説明

内視鏡

【課題】挿入部の太径化を抑えつつ、その先端部の内部を冷却する。
【解決手段】挿入部11の挿入部先端部11a内に、CCDを備える撮像部19などを設ける。一端が先端部内部空間48内で開口し、他端が操作部12、ユニバーサルコード13、コネクタ本体17等を経て送気ポンプ42に接続された冷却風送気管路29を挿入部11に挿通する。挿入部11内に、その内周と冷却風送気管路29等の外周との間の隙間により形成される隙間通路64を設ける。隙間通路64の一端を先端部内部空間48に連通させるとともに、他端をコネクタ本体17の通気コネクタ38に連通させることにより、送気ポンプ42からの空気を冷却風送気管路29、隙間通路64などを介して通気コネクタ38から排気させる。撮像部19に接続する多芯ケーブルを冷却風送気管路29内に挿通させて、挿入部11の太径化を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部の先端部に発熱する先端内蔵物が内蔵されている内視鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、被検体内に挿入される細径の挿入部を有している(特許文献1参照)。この挿入部の先端部位である挿入部先端部には、観察部位を照明する照明部、及び観察部位を撮像する撮像光学系が配設されている。照明部は、挿入部先端部の端面に設けられた照明窓と、光源装置からの照明光を照明窓へ導く光ファイバケーブルとを有しており、照明窓から観察部位に向けて照明光を出射する。また、撮像部は、挿入部先端部の端面の観察窓の背面側に配置されたレンズと、このレンズにより結像される光を受光する撮像素子とを有している。撮像素子は、信号ケーブルを介してプロセッサ装置に接続されており、プロセッサ装置の制御の下、観察部位の内視鏡画像を撮像してプロセッサ装置へ出力する。
【0003】
このような内視鏡では、より高品位でかつ詳細な内視鏡画像を得るために、照明部から出射される照明光の光量増加と、撮像素子の高画素化とが求められている。しかしながら、照明光の光量増加や撮像素子の高画素化を行うと、照明部や撮像素子の発熱量が増大して、被検体内に熱傷が発生したり、挿入部先端部内に内蔵されている各種電子部品の寿命を縮めたりするおそれがある。
【0004】
特許文献2には、挿入部先端部を冷却するために、挿入部内に冷却風送気管路を挿通させるようにした内視鏡が記載されている。この冷却風送気管路の一端は挿入部先端部内で開口するとともに、他端は光源装置内に設けられた送気ポンプに接続されている。送気ポンプから挿入部先端部内に送り込まれた空気は、挿入部の筒状本体の内周と、この筒状本体内に挿通された各種内蔵物との間の隙間を通って、内視鏡の操作部に設けられた排気口から排気される。このように挿入部内に空気を流通させることにより、照明部や撮像素子などの発熱内蔵物(先端内蔵物)が冷却される。これにより、照明部の光量増加や撮像素子の高画素化が可能になる。
【0005】
特許文献3には、特許文献2と同様に空気を流通させるための通気管を挿入部内に挿通させて、挿入部内に空気を送り込むことにより、挿入部先端部内の各種発熱内蔵物の冷却を行う内視鏡が記載されている。また、特許文献4では、挿入部内に冷却液の循環路を設けることにより、挿入部先端部内の各種発熱内蔵物の冷却を行う内視鏡が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−281613号公報
【特許文献2】特開2010−194094号公報
【特許文献3】特開2009−028416号公報
【特許文献4】特開2009−022666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献3ないし5では、挿入部内に空気や冷却液が流通する管路を設けるスペースを確保する必要がある。この挿入部内には、上記管路以外にも信号ケーブルや光ファイバケーブルなどの各種内蔵物を挿通するスペースを確保する必要があるので、冷却用の管路を新たに挿入部内に挿通させた場合には挿入部が太径化してしまう。挿入部が太径化する程、患者の体内に挿入する際などに患者の負担が大きくなるので、挿入部は可能な限り細経化することが求められている。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、挿入部の太径化を抑えつつ挿入部先端部内の先端内蔵物の冷却が可能な内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の内視鏡は、被検体内に挿入される内視鏡の挿入部であって、挿入部先端部に先端内蔵物が内蔵されている挿入部と、前記挿入部の基端部に接続された操作部を少なくとも含む内視鏡本体部と、前記挿入部内に挿通され、一端が前記挿入部先端部内で第1開口として開放され、他端が前記内視鏡本体部まで延びてこの内視鏡本体部外に通じる第2開口で開放されている管路と、前記先端内蔵物から延出して前記管路内に挿通される管路内蔵物と、前記挿入部の筒状本体の内周と、前記筒状本体内に挿通された少なくとも前記管路を含む筒状本体内蔵物との間の隙間により形成される隙間通路であって、前記挿入部先端部の内部と、前記内視鏡本体部に設けられこの内視鏡本体部外に通じる第3開口とを接続する隙間通路とを備えており、前記第2開口及び前記第3開口のいずれか一方の開口に対して流体供給源から冷却用の流体が供給されて、前記流体が前記管路及び前記隙間通路を介して他方の開口から排出されることを特徴とする。
【0010】
前記内視鏡本体部は、前記挿入部の基端部に接続された操作部と、一端が前記操作部に接続されるとともに、他端に前記流体供給源に接続されるコネクタを有する接続ケーブルとを備えており、前記一方の開口は、前記コネクタに設けられていることが好ましい。また、前記他方の開口は、前記コネクタまたは前記操作部に設けられていることが好ましい。
【0011】
前記先端内蔵物は、観察部位を撮像する撮像部と、観察部位を照明する照明部との少なくともいずれかを含むことが好ましい。また、前記コネクタには、前記撮像部を駆動するとともに当該撮像部から出力される画像信号に所定の信号処理を施す内視鏡用プロセッサ装置に接続するプロセッサ接続部が設けられており、前記先端内蔵物が前記撮像部である場合に、前記管路内蔵物は、前記撮像部と内視鏡用プロセッサ装置とを接続する信号ケーブルであることが好ましい。
【0012】
前記コネクタには、前記照明光源に接続する光源接続部が設けられているとともに、前記照明部は、前記挿入部先端部の端面に開口した照明窓と、前記照明光源からの照明光を前記照明窓に導く光ファイバケーブルとを有しており、前記先端内蔵物が前記照明部である場合に、前記管路内蔵物は前記光ファイバケーブルであることが好ましい。また、前記一方の開口には、前記流体供給源から前記流体が常時供給されることが好ましい。また、前記流体は空気であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の内視鏡は、挿入部内に挿通された冷却用の流体を流通させるための管路内に、先端内蔵物から延出された管路内蔵物を挿通させているので、挿入部内に管路を挿通させるためのスペースを確保する必要があるものの、このスペースとは別に管路内蔵物を挿通させるためのスペースを挿入部内に確保する必要が無くなる。このため、挿入部内に冷管路を挿通させても挿入部の太径化を抑えることができる。その結果、挿入部の太径化を抑制しつつ先端内蔵物を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】内視鏡の外観図である。
【図2】内視鏡の内部構成の概略図である。
【図3】コネクタ本体の斜視図である。
【図4】挿入部先端部の断面図である。
【図5】挿入部の断面図である。
【図6】送気ポンプから送気される冷却用の空気の流れを説明するための説明図である。
【図7】第2実施形態の内視鏡での冷却用の空気の流れを説明するための説明図である。
【図8】排気コネクタが操作部に設けられている第3実施形態の内視鏡の概略図である。
【図9】第4実施形態の内視鏡の挿入部先端部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
図1及び図2に示すように、内視鏡10は、例えば気管に挿入する気管支鏡であり、気管内に挿入される挿入部11と、挿入部11の基端部に連設された操作部12と、この操作部に一端が接続されたユニバーサルコード(接続ケーブル)13とを備えている。ユニバーサルコード13の他端は、プロセッサ装置14や光源装置15などに接続されるコネクタ本体17が設けられている。なお、操作部12、ユニバーサルコード13、及びコネクタ本体17は本発明の内視鏡本体部を構成する。
【0016】
挿入部11は、可撓性を有しており、断面円形の管状に形成されている。この挿入部11の先端部位である挿入部先端部11aには、観察部位の内視鏡画像を取得するための撮像部19、観察部位に照明光を照射するための照明部20、及び鉗子等の処置具の出口であり、かつ血液や体内汚物等の吸引物を吸引するための吸引口にもなる鉗子・吸引口(以下、単に吸引口という)21などが設けられている。
【0017】
照明部20は、挿入部先端部11aの端面に開口した照明窓23(図4参照)と、光源装置15から出射される照明光を照明窓23まで導く光ファイバケーブル(以下、単に光ファイバという)24とを備えている。撮像部19は、挿入部先端部11aの端面に開口した観察窓25(図4参照)の後方に設けられており、レンズや固体撮像素子などを備えている。
【0018】
挿入部11及び操作部12内には、一端が吸引口21に通じる処置具チャネル27と、光ファイバ24と、一端が本発明の第1開口に相当する冷却風出口28(図4参照)として開放された冷却風送気管路29と、撮像部19及びプロセッサ装置14を接続する多芯ケーブル30とが挿通されている。
【0019】
処置具チャネル27の他端は、操作部12に設けられた処置具入口31に接続している。この処置具入口31は、処置具を挿入するとき以外は栓(図示せず)により塞がれている。また、処置具チャネル27からは吸引管路32が分岐している。この吸引管路32は操作部12に設けられた吸引ボタン33に接続している。
【0020】
吸引ボタン33は、吸引管路32の他に操作部12外において、吸引ポンプ34に接続している。吸引ボタン33は、押圧操作または押圧操作の解除により、吸引管路32と吸引ポンプ34との連通/遮断を切り替える。この吸引ボタン33は、例えばゴムキャップやコイルバネなどの弾性部材(図示せず)の付勢力によって、吸引管路32と吸引ポンプ34との連通を遮断する状態で維持されている。このため、吸引ボタン33の押圧操作/押圧解除操作により吸引口21からの吸引/吸引停止を切り替えることができる。
【0021】
光ファイバ24の他端及び冷却風送気管路29の他端は、操作部12及びユニバーサルコード13の内部を通ってそれぞれコネクタ本体17まで延びている。
【0022】
図3に示すように、コネクタ本体17の先端には、光源装置15の光源用ジャック(図示せず)に接続する光源接続用プラグ(光源接続部)36と、光源装置15の送気用ジャック(図示せず)に接続する送気用接続プラグ37とが設けられている。この送気用接続プラグ37の先端の先端開口37aは本発明の第2開口に相当する。
【0023】
また、コネクタ本体17の外周には、挿入部11の空気漏れを検査するためのリークテスト用の通気コネクタ(第3開口)38と、携帯用光源(図示せず)を接続するための光源コネクタ39(図3以外では図示を省略)とが設けられている。さらに、コネクタ本体17からは、プロセッサ装置14に接続するプロセッサ接続ケーブル(プロセッサ接続部)40が分岐している。
【0024】
図2に戻って、光源接続用プラグ36には、光ファイバ24の他端が挿通されている。この光ファイバ24の他端には、光源用ジャックなどを介して、光源装置15内の照明光出射部(図示せず)から出射される照明光が入射する。
【0025】
送気用接続プラグ37には、冷却風送気管路29の他端が挿通されている。送気用接続プラグ37は、送気用ジャックなどを介して、光源装置15内に設けられた送気ポンプ(流体供給源)42と接続している。送気ポンプ42は内視鏡検査時に送気を常時行う。
【0026】
コネクタ本体17内では、冷却風送気管路29から分岐管路44が分岐している。この分岐管路44はプロセッサ接続ケーブル40に接続している。また、通気コネクタ38はコネクタ本体17の内部に連通しており、さらにコネクタ本体17の内部を介して、ユニバーサルコード13、操作部12、及び挿入部11のそれぞれの内部にも連通している。
【0027】
図4に示すように、挿入部先端部11aは、挿入部11の筒状本体46の先端部と、この筒状本体46の先端部の開口を塞ぐ先端キャップ47と、筒状本体46の内周により形成される先端部内部空間48に内蔵された各種内蔵物とで構成される。なお、図示は省略するが、筒状本体46及び先端キャップ47の外周は、ゴムで被覆されている。
【0028】
先端キャップ47には、吸引口21、照明窓23、及び観察窓25が開口している。先端部内部空間48には、光ファイバ24、処置具チャネル27、及び冷却風送気管路29などが挿通されているとともに、撮像部19が内蔵されている。冷却風送気管路29の冷却風出口28は先端部内部空間48内で開口している。
【0029】
吸引口21には、処置具チャネル27が接続している。照明窓23の背面には、光ファイバ24の出射端が対向している。なお、図示は省略するが、照明窓23と光ファイバ24の出射端との間に照明レンズを設けてもよい。観察窓25は、撮像部19と一体に設けられている。
【0030】
撮像部19は、複数のレンズ50と、各レンズ50及び観察窓25を保持するレンズ保持部51と、プリズム52と、CCDイメージセンサ(以下、単にCCDという)53と、回路基板54,55とを備えている。なお、CCD53の代わりにCMOSイメージセンサを設けてもよい。
【0031】
各レンズ50は、観察窓25から入射した観察部位の像光をプリズム52に入射する。プリズム52は、レンズ50からの像光を内部で屈曲することで、CCD53の撮像面に結像する。
【0032】
CCD53は、例えばインターライン型のCCDからなり、その撮像面が表面に設けられたベアチップが用いられる。このCCD53上には、矩形板状のカバーガラス56が取り付けられている。CCD53は、カバーガラス56を介してプリズム52に接続している。
【0033】
回路基板54は、CCD53の後端側に接着固定されている。この回路基板54は、CCD53と多芯ケーブル30との接続に用いられる。CCD53と回路基板54の互いに隣接する端部にはそれぞれ複数の端子(図示は省略)が設けられており、両者の端子はボンディングワイヤ(図示は省略)などで接続されている。これにより、CCD53と回路基板54とが電気的に接続される。また、回路基板54の後端部には入出力端子58が設けられている。なお、図4中では図面の煩雑化を防止するため入出力端子58が1個しか図示されていないが、入出力端子58は複数設けられている。
【0034】
回路基板55は、図示しない接続ケーブルやフレキシブル基板等を介して、回路基板54に接続している。この回路基板55には、CCD53の駆動や内視鏡画像の画像処理等に係る各種IC59が実装されている。この回路基板55の後端部にも入出力端子60が設けられている。なお、入出力端子60についても図面の煩雑化を防止するため、1個の入出力端子60を代表として図示している。
【0035】
多芯ケーブル30は、複数本の信号ケーブル62を束ね、この信号ケーブル62の束を図示しない編組線や外皮で被覆してなる。多芯ケーブル30は、冷却風送気管路29内に挿通されている。多芯ケーブル30の一端は冷却風出口28から突出しており、この突出部分は編組線及び外皮が除去されることによって各信号ケーブル62が露呈している。なお、図面の煩雑化を避けるため、信号ケーブル62は2本のみを図示している。そして、一方の信号ケーブル62は入出力端子58に半田接続され、他方の信号ケーブル62は入出力端子60に半田接続されている。
【0036】
多芯ケーブル30の他端は、冷却風送気管路29、分岐管路44、及びプロセッサ接続ケーブル40の内部を通って、プロセッサ装置14に接続している(図2参照)。これにより、プロセッサ装置14と撮像部19の各部とが電気的に接続される。プロセッサ装置14から撮像部19に対してはCCD53及びIC59の駆動制御信号が送信され、逆に撮像部19からプロセッサ装置14に対しては内視鏡画像が送信される。
【0037】
図5に示すように挿入部11内には、筒状本体46の内周と、本発明の筒状本体内蔵物に相当する処置具チャネル27、光ファイバ24、及び冷却風送気管路29との間の隙間により、空気が流通可能な隙間通路64が形成されている。なお、操作部12、ユニバーサルコード13、及びコネクタ本体17にも、これらの内周と上記各内蔵物との隙間にそれぞれ隙間通路65,66、67(図2参照)が形成されている。
【0038】
隙間通路64の一端は先端部内部空間48に連通しているとともに、他端は各隙間通路65〜67を介して通気コネクタ38に連通している(図2参照)。これにより、隙間通路64の一端は、先端部内部空間48を介して冷却風送気管路29と連通する。また、隙間通路64の他端は、通気コネクタ38等を介して大気と連通する。従って、冷却風送気管路29は、先端部内部空間48及び隙間通路64などを介して大気と連通する。
【0039】
次に上記構成の内視鏡10の作用について説明を行う。内視鏡検査の準備が完了すると、プロセッサ装置14の制御の下にCCD53の駆動が開始されるとともに、光源装置15からの照明光の出射と、吸引ポンプ34による吸引と、送気ポンプ42による送気とがそれぞれ常時行われる。そして、この準備完了後、患者の気管に挿入部11が挿入され、気管内の観察が開始される。CCD53により撮影された内視鏡画像は、多芯ケーブル30を介してプロセッサ装置14に送信され、このプロセッサ装置14にて画像処理された後、図示しないモニタに表示される。
【0040】
内視鏡画像観察中に、血液や体内汚物などの吸引物を吸引する必要がある場合には、吸引ボタン33が押圧操作される。これにより、吸引ポンプ34と吸引管路32とが連通して、吸引管路32から吸引口21に至る各管路の負圧吸引力が上昇して、吸引口21から吸引物が吸引される。そして、吸引を停止する場合には、吸引ボタン33に対する押圧操作を解除する。これにより、吸引ポンプ34と吸引管路32との連通が遮断されて、吸引口21からの吸引が停止される。
【0041】
図6に示すように、送気ポンプ42から送気された空気(図中の矢印で表示)は、冷却風送気管路29内を通って冷却風出口28から先端部内部空間48内に噴出する。そして、先端部内部空間48内に噴出した空気は、先端部内部空間48から隙間通路64に流れ込む。隙間通路64に流れ込んだ空気は、各隙間通路64〜67を通って通気コネクタ38から外部に排出される。
【0042】
このように、先端部内部空間48には冷却風送気管路29から空気が常時送り込まれるとともに、この送り込まれた空気が隙間通路64等を通って通気コネクタ38から逐次排出される。このため、先端部内部空間48内では、冷却風送気管路29から隙間通路64へ空気が常時流通する。これにより、先端部内部空間48内のCCD53、回路基板54,55、光ファイバ24等の発熱する発熱内蔵物(先端内蔵物)が冷却される。その結果、各発熱内蔵物の発熱量の増加が許容されるので、CCD53の高画素化や照明光の光量増加が可能となる。
【0043】
この際に、本発明では挿入部11内に冷却風送気管路29を挿通させているものの、この冷却風送気管路29内に多芯ケーブル30を挿通させている。このため、挿入部11内に冷却風送気管路29を挿通させるためのスペースを確保する必要があるものの、このスペースとは別に多芯ケーブル30を挿通させるためのスペースを確保する必要はない。このため、挿入部11内に冷却風送気管路29を挿通させても、挿入部11の太径化を抑えることができる。その結果、挿入部11の太径化を抑制しつつ、挿入部先端部11aの内部を冷却することができる。
【0044】
[第2実施形態]
次に、図7を用いて本発明の第2実施形態の内視鏡70について説明を行う。上記第1実施形態の内視鏡10では送気ポンプ42を冷却風送気管路29に接続しているが、内視鏡70では送気ポンプ42を隙間通路64に接続している。なお、内視鏡70は、送気ポンプ42の接続先と、コネクタ本体71の形状とが異なる点を除けば、第1実施形態の内視鏡10と基本的に同じ構成であるので、内視鏡10と機能・構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
【0045】
内視鏡70では、送気ポンプ42が通気コネクタ38に接続している。また、コネクタ本体71には、第1実施形態の送気用接続プラグ37の代わりに、排気コネクタ72が設けられている。この排気コネクタ72には冷却風送気管路29が接続されている。
【0046】
内視鏡画像観察時には送気ポンプ42から送気された空気が、通気コネクタ38及び各隙間通路67,66,65,64内を通って先端部内部空間48内に噴出する。そして、先端部内部空間48内に噴出した空気は、先端部内部空間48から冷却風送気管路29に流れ込む。冷却風送気管路29に流れ込んだ空気は、この冷却風送気管路29内を通って排気コネクタ72から外部に排出される。
【0047】
このように内視鏡70では、冷却風送気管路29及び各隙間通路64〜67内での空気の流れが第1実施形態とは逆になるものの、隙間通路64から冷却風送気管路29へ空気が常時流通することで、第1実施形態と同様に先端部内部空間48内の各発熱内蔵物が冷却される。そして、この内視鏡70においても冷却風送気管路29内に多芯ケーブル30を挿通させているので、挿入部11の太径化が抑制される。
【0048】
[第3実施形態]
次に、図8を用いて本発明の第3実施形態の内視鏡75について説明を行う。上記第1実施形態の内視鏡10では送気ポンプ42から送気された空気を通気コネクタ38から排気しているが、内視鏡75では操作部12から空気を排気する。なお、内視鏡75は空気を操作部12から排気している点を除けば、第1実施形態の内視鏡10と基本的に同じ構成であるので、内視鏡10と機能・構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
【0049】
操作部12には、隙間通路65に連通する排気コネクタ76が設けられている。また、通気コネクタ38は、リークテスト時以外には栓77で塞がれている。これにより、冷却風送気管路29から先端部内部空間48を経て隙間通路64に流れ込んだ空気は、隙間通路64,65を通って排気コネクタ76から排気される。第1実施形態と同様に、冷却風送気管路29から隙間通路64へ空気が常時流通するので、先端部内部空間48内の各発熱内蔵物が冷却される。また、第1実施形態と同様に冷却風送気管路29内に多芯ケーブル30を挿通させているので、挿入部11の太径化が抑制される。
【0050】
なお、上記第3実施形態では、排気コネクタ76を操作部12に設けているが、ユニバーサルコード13に設けてもよい。また、上記第2実施形態において、排気コネクタ72を操作部12またはユニバーサルコード13に設けてもよい。
【0051】
[第4実施形態]
次に、図9を用いて本発明の第4実施形態の内視鏡80について説明を行う。上記第1実施形態では、冷却風送気管路29内に多芯ケーブル30が挿通されているが、内視鏡80では、冷却風送気管路29内に多芯ケーブル30の他に光ファイバ24が挿通されている。なお、内視鏡80は、冷却風送気管路29内に光ファイバ24を挿通させている点を除けば、第1実施形態の内視鏡10と基本的に同じ構成であるので、内視鏡10と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。また、図9では、図面の煩雑化を防止するため、挿入部先端部11aの内部の構成を適宜簡略化している。
【0052】
このように内視鏡80では、挿入部11内に冷却風送気管路29を挿通するためのスペースの他に、多芯ケーブル30及び光ファイバ24をそれぞれ挿通するスペースを別に確保する必要がなくなる。このため、第1実施形態と同様に挿入部11の太径化を抑制することができる。
【0053】
上記各実施形態では、挿入部先端部11aの内部で発熱する発熱内蔵物として、CCD53、回路基板54,55、光ファイバ24などを例に挙げたが、これら以外の発熱内蔵物(先端内蔵物)が挿入部先端部11aの内部に内蔵されていてもよい。
【0054】
上記各実施形態では、冷却風送気管路29内に多芯ケーブル30や光ファイバ24を挿通した場合を例に挙げて説明を行ったが、これら以外に挿入部11内に挿通される内蔵物を冷却風送気管路29内に挿通してもよい。
【0055】
上記各実施形態では、挿入部11内に空気を流通させることにより挿入部先端部11aの内部を冷却しているが、空気以外の各種冷却用の流体(気体または液体を問わず)を流通させてもよい。
【0056】
上各実施形態では、送気ポンプ42をコネクタ本体17,71に接続する場合について説明を行ったが、例えば操作部12またはユニバーサルコード13に接続してもよい。
【0057】
上記各実施形態では、気管に挿入する内視鏡10を例に挙げて説明を行ったが、例えば大腸に挿入される大腸内視鏡等の各種内視鏡にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
10,70,75,80 内視鏡
11 挿入部
12 操作部
13 ユニバーサルコード
14 プロセッサ装置
15 光源装置
19 撮像部
20 照明部
24 光ファイバケーブル
29 冷却風送気管路
30 多芯ケーブル
38 通気コネクタ
42 送気ポンプ
53 CCDイメージセンサ
64 隙間通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に挿入される内視鏡の挿入部であって、挿入部先端部に先端内蔵物が内蔵されている挿入部と、
前記挿入部の基端部に接続された操作部を少なくとも含む内視鏡本体部と、
前記挿入部内に挿通され、一端が前記挿入部先端部内で第1開口として開放され、他端が前記内視鏡本体部まで延びてこの内視鏡本体部外に通じる第2開口で開放されている管路と、
前記先端内蔵物から延出して前記管路内に挿通される管路内蔵物と、
前記挿入部の筒状本体の内周と、前記筒状本体内に挿通された少なくとも前記管路を含む筒状本体内蔵物との間の隙間により形成される隙間通路であって、前記挿入部先端部の内部と、前記内視鏡本体部に設けられこの内視鏡本体部外に通じる第3開口とを接続する隙間通路とを備えており、
前記第2開口及び前記第3開口のいずれか一方の開口に対して流体供給源から冷却用の流体が供給されて、前記流体が前記管路及び前記隙間通路を介して他方の開口から排出されることを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記内視鏡本体部は、前記操作部と、一端が前記操作部に接続されるとともに、他端に前記流体供給源に接続されるコネクタを有する接続ケーブルとを備えており、
前記一方の開口は、前記コネクタに設けられていることを特徴とする請求項1記載の内視鏡。
【請求項3】
前記他方の開口は、前記コネクタまたは前記操作部に設けられていることを特徴とする請求項2記載の内視鏡。
【請求項4】
前記先端内蔵物は、観察部位を撮像する撮像部と、観察部位を照明する照明部との少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の内視鏡。
【請求項5】
前記コネクタには、前記撮像部を駆動するとともに当該撮像部から出力される画像信号に所定の信号処理を施す内視鏡用プロセッサ装置に接続するプロセッサ接続部が設けられており、
前記先端内蔵物が前記撮像部である場合に、前記管路内蔵物は、前記撮像部と内視鏡用プロセッサ装置とを接続する信号ケーブルであることを特徴とする請求項4記載の内視鏡。
【請求項6】
前記コネクタには、前記照明光源に接続する光源接続部が設けられているとともに、
前記照明部は、前記挿入部先端部の端面に開口した照明窓と、前記照明光源からの照明光を前記照明窓に導く光ファイバケーブルとを有しており、
前記先端内蔵物が前記照明部である場合に、前記管路内蔵物は前記光ファイバケーブルであることを特徴とする請求項4記載の内視鏡。
【請求項7】
前記一方の開口には、前記流体供給源から前記流体が常時供給されることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載の内視鏡。
【請求項8】
前記流体は空気であることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項記載の内視鏡。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−120746(P2012−120746A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274803(P2010−274803)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】