説明

圧電駆動装置、撮像装置、および携帯端末装置

【課題】衝撃耐性の向上と装置の小型化・薄型化を実現する駆動装置を提供する。
【解決手段】本発明の駆動装置は、圧電素子と、圧電素子の伸縮方向の一端に固定される錘と、圧電素子の他端に固定される駆動部材とを有し、圧電素子と錘とが前記圧電素子の伸縮方向に対して空間的に重なりを有して当接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子などの電気機械変換素子を用いた駆動装置に関し、また、駆動装置を備えるカメラ等の撮像装置や、更にこの撮像装置を備える携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電素子を用いた駆動装置に関しては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に記載の駆動装置は、ズームレンズにおいて2つのレンズ群とこれらをそれぞれ駆動する駆動手段が設けられており、お互いのレンズ群の移動に要する領域で利用されていなかった光軸方向の領域を有効に利用するものである。
【0003】
この構成により、レンズ駆動機構の光軸方向の寸法を小さくすることができる。つまり、2つのレンズ群の駆動手段を逆向きに配置して光軸方向にオーバーラップさせることによって、レンズ駆動機構をより小型化することが可能であるとしている(特許文献1参照)。
【0004】
また、特許文献2には圧電素子に鋸歯形状駆動電圧を与えることにより、圧電素子を急激に伸縮させる駆動装置が記載されている。
図6に、圧電素子を用いた駆動装置の一例の概略構成図を示す。図6に示す駆動装置100は、圧電素子103と、圧電素子103の一端側に設けられる錘102と、圧電素子103の他端側に設けられる駆動軸104とを備え、それぞれが接着材等で接着固定されている。
【0005】
駆動軸104には、軸の両側から軸をつかむように係合部材(移動体)が設けられている。ここで、係合部材とは、スライダー107とホルダー105およびこのスライダー107とホルダー105を駆動軸に摩擦係合させるための付勢手段としてのばね106より構成されている。
【0006】
圧電素子103は、チタン酸ジルコン酸鉛(以下PZT)による圧電素子がスタック(堆積)されて構成されるものである。例えば、PZTは、約50[μm]の厚さで、直径Φが1.8[mm]のシート状のものがある。その両面に電界を与えるための電極が銀・パラジウム等により設けられている。このシートを約60層スタックすると、全厚みを約3.5[mm]となる。
【0007】
錘102は、直径Φが3[mm]で長さが1[mm]であり、密度の高いタングステン等の金属で構成されている。駆動軸104は、直径Φが1[mm]で長さが4[mm]であるカーボン長繊維を軸方向に整列させバインダーとしてエポキシ樹脂で固めたものである。
【0008】
この圧電素子103に鋸歯形状駆動電圧を与えることにより、圧電素子に取り付けられた駆動軸が急激に伸縮され、駆動軸に摩擦保持された移動体が「滑り」、「非滑り」を繰り返し移動可能となる(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−131611 号公報 (第3−4頁、図6)
【特許文献2】特開2002−218773 号公報 (第3−4頁、図1および図3)
【0009】
駆動装置100の適用例として、図7に、駆動装置100を用いた撮像装置120の概略構成図を示す。図7に示すように、撮像装置120は、筐体125の中に光軸に沿って配置された非球面レンズ121と、光学フィルタ123と、半導体撮像素子124とを有している。レンズ121は鏡筒122により保持されており、鏡筒122の一部には駆動装置100の駆動軸104に対して係合する係合部材127設けられている。
【0010】
鏡筒122は、光軸と平行に駆動軸104が配置された駆動装置100により光軸方向に移動可能となっている。これにより、被写体の距離に対して撮像素子124の撮像面にぴったり被写体を結像するために、鏡筒122を光軸方向に移動させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、図6に示すような圧電素子を用いた駆動装置は、駆動部材と圧電素子と錘とが、圧電素子の伸縮方向に直列的に配置されるものである。駆動部材は移動に必要な距離に加えて摩擦保持される係合部材の長さを確保しておくことを要し、全長が長くなってしまうものであった。従って、圧電駆動装置を、レンズを移動させオートフォーカス(Auto Focus)機構や、ズーム(Zoom)機構に適用する場合、図7に示す撮像装置120のA部分のように、光軸方向の移動に必要な距離に係合部材の長さを加えた長さが必要となるため、圧電駆動装置を搭載する装置の小型・薄型化の際の障害となっている。
【0012】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、圧電駆動装置が搭載される装置の小型化・薄型化を実現する圧電駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、本発明の駆動装置は、圧電素子と、圧電素子の伸縮方向の一端に固定される錘と、圧電素子の他端に固定される駆動部材とを有し、圧電素子と錘とが前記圧電素子の伸縮方向に対して空間的に重なりを有して当接しているものである。
【0014】
この構成により、圧電素子と錘とが重なりを有することから、圧電素子と錘を加えた長さ方向の寸法を短くすることができ、駆動装置全体を小型化することができる。
【0015】
また、本発明の駆動装置は、凹部を有する圧電素子と、圧電素子の伸縮方向の一端に固定される平坦部と前記圧電素子の凹部内に収容される凸部とを有する錘と、圧電素子の他端に固定される駆動部材とを備えるものである。
【0016】
この構成により、圧電素子の凹部内に錘の凸部が収容されることから、圧電素子と錘を加えた長さ方向の寸法を短くすることができ、駆動装置全体を小型化することができる。
【0017】
また、本発明の駆動装置は、圧電素子と、前記圧電素子の一部を収容する凹部を有し、前記凹部の底面で前記圧電素子の伸縮方向の一端と固定される錘と、圧電素子の他端に固定される駆動部材とを有するものである。
【0018】
この構成により、錘の製作は一般的にダイカストや、旋盤などによる機械加工によるので、加工における困難さは殆ど変化しないで行うことができるので、圧電素子の作成が容易となる。また、錘が圧電素子の外形を覆うので圧電素子を保護することができる。すなわち、例えば、ハンドリング等で圧電素子が傷付くのを防止できるという利点を有する。また、圧電素子と錘とが重なりを有することから、圧電素子と錘を加えた長さ方向の寸法を短くすることができ、駆動装置全体を小型化することができる。
【0019】
また、本発明の駆動装置は、前記圧電素子と錘とが略同軸上に配置されている。
【0020】
この構成により、圧電素子の伸縮によって錘に発生するモーメントを低減させることができ、圧電素子の伸縮方向と直交する成分を有する回転運動が発生しにくくなるので、効率を低下させることなく騒音の発生を防ぐことができる。
【0021】
また、本発明の撮像装置は、圧電素子と、圧電素子の伸縮方向の一端に固定される錘と、圧電素子の他端に固定される駆動部材とを有し、圧電素子と錘とが前記圧電素子の伸縮方向に対して空間的に重なりを有して当接している駆動装置と、前記駆動部材とレンズを保持する鏡筒とを係合する係合部材と、レンズからの光を電気信号に変化する撮像素子と、を備え、圧電素子の伸縮に応じて鏡筒がレンズの光軸方向に移動する。
【0022】
この構成により、一般的に光学系に移動する部分を有する撮像装置において、撮像装置の厚さは光学系の光路長でなく、光学系を光軸方向に移動する部分によって大きく左右されるが、この部分の長さを短縮することが可能となり撮像装置の薄型化が実現できる。
【0023】
また、本発明の撮像装置は、上記構成に加えて、レンズを保持する鏡筒が光軸方向に移動することにより前記撮像素子の撮像面に対する結像倍率が変化するものである。
【0024】
この構成により、変倍機構部分の寸法を短く構成できるので、ズームレンズを有する撮像装置の小型化が可能となる。また、ズームレンズにおいては、複数群のレンズをそれぞれに移動させることが必要のため、設計の自由度が低下しやすいが、変倍機構部分の寸法を短くできるために、配置を含めて設計の自由度を高めることが可能となる。
【0025】
また、本発明の携帯端末装置は、上記の撮像装置を備えるものである。
【0026】
この構成により、携帯端末装置の耐衝撃性を向上する。すなわち、撮像装置のレンズ移動する部分の長さが短くできるので、携帯端末装置において落下衝撃などが印加された場合にも、圧電素子と錘とが、圧電素子の伸縮方向に対して重なりを持って配置してあるために各々の境界面に印加される衝撃力によるモーメントが、長さが短縮されていることで低減される。これにより、携帯端末装置の耐衝撃特性を改善することができ、信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の駆動装置によれば、衝撃耐性の向上と装置の小型化・薄型化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態に係る駆動装置について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明における第1の実施の形態を示す駆動装置1の要部断面図である。
【0030】
図1に示す本実施の形態1の駆動装置1は、圧電素子3と、圧電素子3の一端側に設けられる錘2と、圧電素子3の他方側に設けられる駆動部材としての駆動軸4とを備え、それぞれが接着材(図示せず)により接着固定されている。
【0031】
圧電素子3は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(以下、PZT)による圧電素子をスタック(堆積)させて構成されるものである。本実施の形態1の圧電素子3は、円盤状のPZTをスタックしてある部分3aと、中央部分が中空のドーナッツ状のPZTをスタックしてある部分3bとが一体に構成されている。すなわち、圧電素子3は一定の深さの円柱状の空間9を有する形状である。
【0032】
圧電素子3の一端側に設けられる錘2は、例えばタングステン等の密度の高い金属で形成され、段付形状をしており、直径の細い部分が、空間9に対応して挿入される形状としてある。錘2は直径の大きな段付部分2bにて、圧電素子3に接着固定されている。この際、錘2の直径の細い部分2aの先端部分と圧電素子3との間には隙間10が設けられていることが必要である。
【0033】
これは、錘2が圧電素子3の端部に配置させてあるものとするためで、これにより機械的に錘2を折り返したさせてあるものと等価にすることができる。また、圧電素子3と錘2とは同軸になるように配置してある。具体的には、例えば、錘2の段付部分2bの直径部分がΦ3.5[mm]で長さが0.48[mm]とし、細い部分2aの直径部分がΦ1.8[mm]で長さが0.98[mm]とした。また、圧電素子3の外径をΦ3.2[mm]で長さが1.5[mm]とし、空間9をΦ2[mm]で長さが1.0[mm]として成形した。
【0034】
駆動軸4は、Φ1.0[mm]で長さが4.0[mm]であるカーボン長繊維を軸方向に整列させ、バインダーとしてエポキシ樹脂で固めて耐磨耗性を向上して形成した。
【0035】
この構成により、図1に示すように、錘2の重心Gは、圧電素子3と錘2とが接着する当接平面と同軸Dとの交点付近に位置している。
【0036】
駆動軸4には、軸の両側から軸をつかむように係合部材が設けられている。ここで、係合部材とは、スライダー7とホルダー5およびこのスライダー7とホルダー5を駆動軸に摩擦係合させるための付勢手段としてのばね6より構成される。
【0037】
次に、駆動装置1の動作について説明をする。この駆動装置1の圧電素子3に、図示しないHブリッジなどにより構成された駆動回路により鋸歯状波などの駆動電圧を印加する。駆動電圧を増加させると図1において圧電素子3は伸びる方向(同図中左側の方向)に変形する。駆動電圧を徐々に上昇させると圧電素子3はゆっくり伸び、これに伴い駆動軸4もゆっくりと左方向に変位する。
【0038】
駆動軸4と係合部材とは静摩擦により係合された状態で同じ位置関係で変位する。つまり徐々に電圧を上昇させると係合部材は図の左側へ変位する。
【0039】
次に、駆動電圧を逆方向に急激に変化させると、圧電素子3は急激に縮み、これに伴い駆動軸4は右方向へと急速に変位する。このとき、係合部材は駆動軸4との摩擦に打ち勝ってその場にとどまり、移動しない(慣性の法則による)。その結果、駆動軸4に対して係合部材左に移動することになる。これを繰り返すことにより、係合部を連続して移動させることができる。
【0040】
また、移動方向を変えるには、電圧の印加を逆にしたり、駆動波形を反転したりすることによって実現できる。本実施の形態においては、駆動回路を前述のようにHブリッジとしてあるので印加電圧の極性を簡単に逆転させることができるので便利である。印加電圧の電圧波形や印加方法および時間間隔などは、種々変更することは可能であるが、実際の系により効率・移動速度・騒音などの特性から最適化することが大切である。
【0041】
このように、本実施の形態1の駆動装置1は、係合部材を移動させることができる。また、圧電素子3と錘2が同軸になるように配置してあるために、圧電素子3の伸縮によって錘2に発生する不要なモーメントを低減することができ、振動や騒音の発生防止できる。
【0042】
さらに、本実施の形態1の駆動装置1は、駆動軸4については同じ形状であるが、錘2の直径の細い部分が、圧電素子3の空間9に対応して挿入される形状であるので、圧電素子3と錘2を加えた長さ方向の寸法を短くすることができる。具体的には、圧電素子3と錘2を加えた長さ方向の寸法を3[mm]からおよそ2[mm]とすることができ、1[mm]短縮することができた。これにより、駆動装置1全体も小型化することができ、駆動装置1を適用する撮像装置等も小型・薄型化することができる。
【0043】
具体的な寸法については、圧電素子と錘の形状の変更により適宜変更することが可能であるが、同様の特性を得るためには圧電素子と錘とは変更の前後で同程度の体積にすることが望ましい。
【0044】
(実施の形態2)
図2Aは本発明における第2の実施の形態を示す駆動装置21の要部断面図である。
なお、以下の説明では、上述した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0045】
本発明の実施の形態2の駆動装置21の説明を行う。本実施の形態2の圧電素子23は従来例と同様な円柱形をしている。一方、錘22は中央部分に円筒形の空間を設けてその中に、圧電素子23が収納できるように形成されている。そして、錘22の円筒形の底面部において圧電素子23と錘22とが接着固定されている。
【0046】
この構成により、錘22の中央部分に設けられた円筒形の空間の中に、圧電素子23が収納できるように形成されているので、圧電素子23と錘22を加えた長さ方向の寸法を短くすることができ、駆動装置21全体としても小型化することができる。
【0047】
さらに、本実施の形態2の駆動装置21は、実施の形態1の駆動装置1と比較して、錘の形状は若干複雑になるが、錘の製作には一般的にダイカストや、旋盤などによる機械加工によるので、加工における困難さは殆ど変化しないで行うことができる。よって、圧電素子を2種類用意してスタックする実施の形態1と比較して、圧電素子の作成が容易となる。
【0048】
また、本実施の形態2の駆動装置21の構成によれば、錘22が圧電素子23の外形を覆うので圧電素子を保護することができる。すなわち、例えば、ハンドリング等で圧電素子23が傷付くのを防止できるという利点を有する。
【0049】
また、図2Bに示すように、実施の形態1と2を組み合わせて用いることも可能である。すなわち、錘22に設けられた凹部の内側に圧電素子23と接触しないように凸部を設ける構造としても良い。これによって、設計の自由度が向上できる。また、錘の形状を比較的大きくできるので、タングステンなどの高価な材料を真鍮などの安価な材料に変更することも可能である。
【0050】
(実施の形態3)
本実施の形態3における撮像装置30について説明する。図3は、本実施の形態3の撮像装置30の要部断面図である。なお、以下の説明では、上述した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
図3に示すように、撮像装置30は、筐体35の中に光軸に沿って配置された非球面レンズ38と、光学フィルタ34と、半導体撮像素子36とを有している。レンズ38は鏡筒37により保持されており、鏡筒37の一部には駆動装置31の駆動軸4に対して係合する係合部材27が設けられている。
【0052】
鏡筒37は、光軸と平行に駆動軸4が配置された駆動装置31により光軸方向に移動可能となっている。レンズ38は非球面形状を有するレンズで(以下、「レンズ」という)簡単のためレンズを1枚しか示さないが、実際には2枚以上のレンズによって構成されている。被写体の距離に対して撮像素子36の撮像面に(図示せず)ぴったり被写体を結像するために、鏡筒37を光軸方向に移動させる、いわゆるオートフォーカス(Auto focus)機能を有している。
【0053】
オートフォーカスの方法は、周知技術の画像の読み出しを行い読み出し信号の高調波成分が最大になる点を求める方法を用いている。
【0054】
駆動装置31は、上述の実施の形態1または2の駆動装置を用いており、動作は前述の説明したものと同じである。これによって、レンズ38から結像面までのいわゆるバックフォーカス位置を駆動装置31によって調整する形態の撮像装置である。
【0055】
光学フィルタ34は、屈折率の異なる誘電膜を積層して構成する反射型で可視光領域以外の光の透過を抑制する。半導体撮像素子36は、例えば、画素数が約130万の1/4インチ形のCCDで、画素サイズは約2.8[μm]である。
【0056】
このように構成された本実施の形態3の撮像装置30は、上述の実施の形態1または2の駆動装置31を用いており、駆動装置31は圧電素子33と錘32とが駆動軸4の軸方向に対して重なりを有するように構成されているので、同じ駆動軸4を用いても、全長が短縮化されている。
【0057】
従って、駆動装置を光軸と平行に設置する構成であっても撮像装置全体の厚さを薄くすることができる。また、撮像装置30に駆動装置31が飛び出さない場合に対しても、全長が低減できることは明らかである。また、このような撮像装置において、オートフォーカスをする際に光学系を光軸方向に移動する駆動装置を光軸方向と平行に配置しておくことは、効率面から形状的にも有利であるが、駆動装置を光軸と直交する方向に配置して、カム等による変換機構を設けるものへの応用も可能である。
【0058】
また、光軸に沿って配置された非球面レンズ38が複数のレンズ群である場合、レンズ群の光軸方向の関係および、撮像素子36との関係を変更させることも可能である。この場合には像面に対しての結像倍率を変更することが可能となる。いわゆるズームレンズ(Zoom lens)を用いた撮像装置が実現できる。
【0059】
非球面レンズ38が複数のレンズ郡である場合、レンズ群ごとに移動が必要となるので複数の駆動装置が必要となり、軸方向に対しての大きさが大きくなり薄型化が困難になる。しかし、駆動装置31を用いる本実施の形態によれば、レンズ群のうち移動距離の長いレンズに対する駆動装置に対して、他より光軸方向の圧電素子と錘の重なりを大きくすることで薄型化を実現できる。なお、これらの寸法・形状などは、適宜変更することが可能であることは当業者にとって明らかである。
【0060】
(実施の形態4)
本実施の形態4における携帯端末装置40について説明する。図4に、本実施の形態4の携帯端末装置40の正面図である。図5(a)は、本実施の形態4の携帯端末装置40の側面図である。図5(b)は、従来の携帯端末装置50の側面図である。
なお、以下の説明では、上述した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
図4に示すように、本実施の形態4の携帯端末装置40は、折りたたみ型の携帯電話である。携帯端末装置40は、上側筐体41と下側筐体42とがヒンジ45を介して折りたたみ可能な構成としてある。上側筐体41は、液晶による表示画面44、スピーカ43、送受信を行うアンテナ46、撮像装置30などを備えている。下側筐体42は、入力キー47、マイク44等を備えている。
【0062】
撮像装置30は、上述の実施の形態3におけるオートフォーカス機能付の撮像装置を用いている。撮像装置30の一部には駆動装置31が配置されている。撮像装置30の撮像方向は、図4中の表示画面44を含む平面に対して垂直方向であり、つまり光軸が同図中の正面方向である。オートフォーカスによる光学系の移動方向も同様に正面方向である。
【0063】
携帯端末装置40は、使用時には、上側筐体41と下側筐体42とを開いて使用し、使用しない時には折りたたんでおく形態のものである。
【0064】
携帯端末装置40は、上述のように実施の形態3に示した撮像装置30を搭載しており、薄型化の向上を実現している。折り畳み携帯端末の場合、上側筐体に搭載される撮像装置が上側筐体の厚さを支配的に決定するが、図5(a)に示すように、本実施の形態4の携帯端末装置40の上側筐体41の厚さはT1となる一方で、従来の携帯端末装置50は、従来の駆動装置100を備える撮像装置120を搭載しており図5(b)に示すように、上側筐体51の厚さはT3となっている。
【0065】
すなわち、撮像装置30の駆動装置41の光軸方向に対する厚さの差によってそれぞれT1およびT3となり、T1<T3の関係となっている。また、撮像装置が上側筐体の厚さを支配的に決定しない場合であっても、上側筐体41の内部での厚さ方向の余裕ができるために他の部品などの配置や、他の部品を追加できるなどの設計の自由度を向上させることが可能となる。
【0066】
なお、本実施の形態の駆動装置または撮像装置はこの構成に限定されず、様々な形態の携帯情報装置に適用可能である。たとえば、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)や、パーソナルコンピュータ、パーソナルコンピュータの外付け機器等の携帯情報装置などにも応用できることは明らかである。
【0067】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の駆動装置は、カメラ、携帯電話、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)や、パーソナルコンピュータ、パーソナルコンピュータの外付け機器等の携帯情報装置などに適用することができ、適用する装置を小型・薄型化することができる駆動装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1の実施の形態の駆動装置1の要部断面図
【図2A】第2の実施の形態の駆動装置21の要部断面図
【図2B】駆動装置の変形例の要部断面図
【図3】第3の実施の形態の撮像装置30の要部断面図
【図4】第4の実施の形態の携帯端末装置40の正面図
【図5】(a)第4の実施の形態の携帯端末装置40の側面図(b)従来の携帯端末装置50の側面図
【図6】従来の圧電素子を用いた駆動装置の概略構成図
【図7】従来の駆動装置を搭載した撮像装置の概略構成図
【符号の説明】
【0070】
1 駆動装置
2 錘
3 圧電素子
4 駆動軸
5 ホルダー
6 ばね
7 スライダー
9 空間
10 隙間
30 撮像装置
31 駆動装置
38 非球面レンズ
37 鏡筒
34 光学フィルタ
36 半導体撮像素子
35 筐体
27 係合部材
40 携帯電話装置
41 上側筐体
42 下側筐体
43 スピーカ
44 表示画面
45 ヒンジ
46 アンテナ
47 入力キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
圧電素子の伸縮方向の一端に固定される錘と、
圧電素子の他端に固定される駆動部材とを有し、
圧電素子と錘とが前記圧電素子の伸縮方向に対して空間的に重なりを有して当接している駆動装置。
【請求項2】
凹部を有する圧電素子と、
圧電素子の伸縮方向の一端に固定される平坦部と前記圧電素子の凹部内に収容される凸部とを有する錘と、
圧電素子の他端に固定される駆動部材とを備える駆動装置。
【請求項3】
圧電素子と、
前記圧電素子の少なくとも一部を収容する凹部を有し、前記凹部の底面で前記圧電素子の伸縮方向の一端と固定される錘と、
圧電素子の他端に固定される駆動部材とを備える駆動装置。
【請求項4】
前記圧電素子と錘とが略同軸上に配置されている請求項1から3いずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
圧電素子と、圧電素子の伸縮方向の一端に固定される錘と、圧電素子の他端に固定される駆動部材とを有し、圧電素子と錘とが前記圧電素子の伸縮方向に対して空間的に重なりを有して当接している駆動装置と、
前記駆動部材とレンズを保持する鏡筒とを係合する係合部材と、
レンズからの光を電気信号に変化する撮像素子と、を備え、
圧電素子の伸縮に応じて鏡筒がレンズの光軸方向に移動する撮像装置。
【請求項6】
レンズを保持する鏡筒が光軸方向に移動することにより前記撮像素子の撮像面に対する結像倍率が変化する請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の撮像装置を備える携帯端末装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−300708(P2007−300708A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−125042(P2006−125042)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】