定電流電源装置
【課題】高周波規制を満たしつつ、入力電圧の変動に対する定電流出力の安定性を確保でき、かつ、出力電流リップルを抑えることのできる定電流電源装置について、小型化するとともに、起動時に過電流が流れてしまうのを防止すること。
【解決手段】定電流電源装置1は、定電流を出力する定電流回路20と、定電流回路20を制御する制御部10と、起動遅延回路40と、を備えるとともに、定電流回路20より定電流電源装置1の入力側に設けられた力率改善回路30を備える。力率改善回路30は、制御部10から定電流回路20に送信されるゲート信号に基づいて動作する。起動遅延回路40は、定電流電源装置1への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの時間、定電流回路20および力率改善回路30の動作を停止させる。
【解決手段】定電流電源装置1は、定電流を出力する定電流回路20と、定電流回路20を制御する制御部10と、起動遅延回路40と、を備えるとともに、定電流回路20より定電流電源装置1の入力側に設けられた力率改善回路30を備える。力率改善回路30は、制御部10から定電流回路20に送信されるゲート信号に基づいて動作する。起動遅延回路40は、定電流電源装置1への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの時間、定電流回路20および力率改善回路30の動作を停止させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定電流電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、定電流を出力する電源として、定電流電源装置がある。この定電流電源装置は、例えば、発光ダイオードを点灯させるために用いられる(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
[定電流電源装置100の構成]
図14は、従来例に係る定電流電源装置100の回路図である。定電流電源装置100は、交流電源Vinから入力される交流電力を用いて、直列接続された複数の発光ダイオードLED1〜LEDn(nは、n≧3を満たす整数)に定電流を出力する。この定電流電源装置100は、整流部RFと、キャパシタC7と、制御部10と、定電流回路20と、を備える。
【0004】
定電流回路20は、抵抗R1と、キャパシタC3と、ダイオードD3と、インダクタL2と、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q1と、を備える。
【0005】
整流部RFの2つの入力端子には、交流電源Vinの両端が接続される。整流部RFの第1の出力端子には、キャパシタC7の一方の電極と、ダイオードD3のカソードと、キャパシタC3の一方の電極と、発光ダイオードLED1のアノードと、が接続される。発光ダイオードLEDnのカソードには、キャパシタC3の他方の電極と、インダクタL2の一端と、が接続される。インダクタL2の他端には、ダイオードD3のアノードと、スイッチ素子Q1のドレインと、が接続される。
【0006】
スイッチ素子Q1のソースには、抵抗R1を介して定電流電源装置100の基準電位点に相当する整流部RFの第2の出力端子が接続されるとともに、制御部10が接続される。この制御部10は、スイッチ素子Q1のゲートと、整流部RFの第2の出力端子と、にも接続される。整流部RFの第2の出力端子には、キャパシタC7の他方の電極も接続される。
【0007】
[定電流電源装置100の動作]
以上の構成を備える定電流電源装置100は、制御部10により定電流回路20を制御して、定電流制御を行う。具体的には、制御部10により、スイッチ素子Q1のドレイン電流に応じてスイッチ素子Q1を制御することで、定電流電源装置100の出力電流に応じてスイッチ素子Q1を制御して、定電流制御を行って、定電流を出力する。
【0008】
例えば、制御部10により、スイッチ素子Q1のゲートにHレベルのゲート信号を印加して、スイッチ素子Q1をオン状態にしたとする。すると、交流電源Vinから入力された交流電力が整流部RFにより整流されて、第2の出力端子を基準とした直流電力が第1の出力端子から出力される。整流部RFの第1の出力端子から出力される直流電流は、発光ダイオードLED1〜LEDnと、インダクタL2の一端から他端と、スイッチ素子Q1と、抵抗R1と、を介して、整流部RFの第2の出力端子に流れる。これによれば、発光ダイオードLED1〜LEDnに電流が流れるので、これら発光ダイオードLED1〜LEDnが点灯する。また、インダクタL2の一端から他端に電流が流れることで、インダクタL2にエネルギーが蓄えられることとなる。
【0009】
上述のスイッチ素子Q1に流れる電流、すなわちスイッチ素子Q1のドレイン電流は、抵抗R1に流れることで電圧変換され、制御部10に入力される。ここで、スイッチ素子Q1がオン状態にしておくと、インダクタL2の一端から他端に流れる電流は、時間が経過するに従って増加する。また、スイッチ素子Q1がオン状態である期間では、スイッチ素子Q1のドレイン電流は、インダクタL2の一端から他端に流れる電流、すなわち定電流電源装置100の出力電流に等しい。そして、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したものは、スイッチ素子Q1のドレイン電流が増加するに従って高くなる。以上より、スイッチ素子Q1がオン状態である期間では、制御部10に入力される上述の電圧は、時間が経過するに従って上昇する。
【0010】
制御部10は、制御部10に入力される上述の電圧、すなわちスイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したものを監視しており、この電圧のピーク値や平均値が予め定められた閾値電圧Vrefまで上昇すると、スイッチ素子Q1のゲートにLレベルのゲート信号を印加する。これによれば、スイッチ素子Q1がオフ状態になる。
【0011】
スイッチ素子Q1がオフ状態になると、スイッチ素子Q1がオン状態であった期間にインダクタL2に蓄えられたエネルギーにより、インダクタL2の一端から他端、ダイオードD3、発光ダイオードLED1〜LEDnの順に電流が流れ、発光ダイオードLED1〜LEDnが点灯する。スイッチ素子Q1がオン状態であった期間にインダクタL2に蓄えられたエネルギーは、上述の順に電流が流れるに従って減少し、上述の順に流れる電流は、インダクタL2に蓄えられているエネルギーが減少するに従って減少する。このため、スイッチ素子Q1がオフ状態になると、時間が経過するに従って、インダクタL2の一端から他端に流れる電流が減少する。
【0012】
また、スイッチ素子Q1がオフ状態になると、スイッチ素子Q1のドレイン電流が「0」になるので、制御部10に入力される上述の電圧は、「0」になる。
【0013】
制御部10は、制御部10に入力される上述の電圧、すなわちスイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したものが「0」になってから、予め定められた時間が経過すると、スイッチ素子Q1のゲートにHレベルのゲート信号を印加する。これによれば、スイッチ素子Q1がオン状態になる。
【0014】
なお、定電流電源装置100の出力電流、すなわち発光ダイオードLED1〜LEDnに流れる電流は、キャパシタC3により平滑化される。
【0015】
また、第1の出力端子から出力される電流により、キャパシタC7は充電される。このため、交流電源Vinから入力される交流電圧が変動しても、キャパシタC7に蓄えられたエネルギーがなくなるまでは、定電流電源装置100は、定電流を出力できる。すなわち、キャパシタC7は、入力電圧の変動に対する定電流電源装置100の定電流出力の安定性を確保する。そして、キャパシタC7の容量を大きくするに従って、入力電圧の変動に対する定電流電源装置100の定電流出力の安定性を向上させることができる。
【0016】
しかしながら、キャパシタC7の容量については、高周波規制により、単純に大きくすることはできない。そこで、定電流回路20より定電流電源装置100の入力側に、力率改善回路を設けることが考えられる。これによれば、力率改善回路により力率を改善することができるので、高周波規制を満たすことができる。また、力率改善回路の出力電圧は、直流であり、この直流電圧が定電流回路20に入力されることになるので、定電流電源装置100の出力電流リップルを抑えることができる。
【0017】
ところが、力率改善回路を上述のように設けると、構成部品が増加してしまうため、定電流電源装置が大型化してしまう。そこで、定電流回路20を制御する制御手段と、力率改善回路を制御する制御手段と、を兼用することが考えられる。これによれば、高周波規制を満たしつつ、入力電圧の変動に対する定電流出力の安定性を確保でき、かつ、出力電流リップルを抑えることのできる定電流電源装置について、小型化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2004−355872号公報
【特許文献2】特開2010−40878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、定電流電源装置100では、上述のように、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したもののピーク値や平均値が予め定められた閾値電圧Vrefまで上昇すると、定電流回路20に設けられたスイッチ素子Q1をオフ状態にする。このため、定電流電源装置100の起動時においては、定電流電源装置100に交流電源Vinから交流電力の入力が開始されてから、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したもののピーク値や平均値が閾値電圧Vrefに上昇するまでに時間がかかり、スイッチ素子Q1がオン状態のままとなる期間が発生してしまう。
【0020】
ここで、上述のように制御手段を定電流回路20と力率改善回路とで兼用すると、スイッチ素子Q1がオン状態のままである期間では、力率改善回路が動作してしたままの状態となってしまう。このため、上述のように制御手段を定電流回路20と力率改善回路とで兼用すると、定電流電源装置100の起動時において、定電流電源装置100に過電流が流れてしまうおそれがあった。
【0021】
上述の課題を鑑み、本発明は、高周波規制を満たしつつ、入力電圧の変動に対する定電流出力の安定性を確保でき、かつ、出力電流リップルを抑えることのできる定電流電源装置について、小型化するとともに、起動時に過電流が流れてしまうのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1) 本発明は、負荷(例えば、図1の発光ダイオードLED1〜LEDnに相当)に定電流を供給する定電流電源装置(例えば、図1の定電流電源装置1に相当)であって、定電流を出力する定電流回路(例えば、図1の定電流回路20に相当)と、前記定電流回路より前記定電流電源装置の入力側に設けられた力率改善回路(例えば、図1の力率改善回路30に相当)と、前記定電流回路を制御する制御手段(例えば、図1の制御部10に相当)と、前記定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間(例えば、図5の時刻t21〜t23の期間に相当)、前記定電流回路および前記力率改善回路の動作を停止させる起動遅延回路(例えば、図1の起動遅延回路40に相当)と、を備え、前記力率改善回路は、前記制御手段から前記定電流回路に送信される制御信号に基づいて動作することを特徴とする定電流電源装置を提案している。
【0023】
この発明によれば、負荷に定電流を供給する定電流電源装置に、定電流を出力する定電流回路と、定電流回路を制御する制御手段と、定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間に定電流回路および力率改善回路の動作を停止させる起動遅延回路と、を設けるとともに、定電流回路より定電流電源装置の入力側に力率改善回路を設けた。そして、力率改善回路を、制御手段から定電流回路に送信される制御信号に基づいて動作させることとした。
【0024】
このため、制御手段を、定電流回路と力率改善回路とで兼用することになるので、定電流電源装置を小型化することができる。
【0025】
また、力率改善回路により力率を改善することができるので、高周波規制を満たすことができる。
【0026】
また、入力電圧の変動に対する定電流出力の安定性に関わるキャパシタの容量について、上述の定電流電源装置100では、高周波規制により単純に大きくすることができなかったが、本発明の定電流電源装置では、上述のように高周波規制を満たすことができるため、大きくすることができる。このため、入力電圧の変動に対する定電流出力の安定性を確保できる。
【0027】
また、力率改善回路の出力電圧は、直流であり、この直流電圧が定電流回路に入力される。このため、定電流電源装置の出力電流リップルを抑えることができる。
【0028】
また、上述のように制御手段を兼用するため、定電流回路における定電流制御のタイミングで力率改善回路を制御することになる。このため、力率改善回路における力率改善制御は、力率の改善に最適なタイミングで行われるわけではないので、力率改善回路の出力電圧は、入力電圧に対して依存性を有することになる。しかしながら、力率改善回路の後ろに定電流回路が設けられているため、定電流電源装置の出力電流は、定電流回路における定電流制御が行われた後のものである。したがって、定電流電源装置は、定電流を出力することができる。
【0029】
また、定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間では、定電流回路および力率改善回路の動作が停止する。このため、定電流電源装置の起動時において、力率改善回路が動作したままの状態となってしまうのを防止できるので、定電流電源装置に過電流が流れてしまうのを防止できる。
【0030】
(2) 本発明は、(1)の定電流電源装置について、前記起動遅延回路は、前記定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間(例えば、図5の時刻t21〜t23の期間に相当)、前記制御手段に、前記制御信号の出力を停止させることを特徴とする定電流電源装置を提案している。
【0031】
この発明によれば、(1)の定電流電源装置において、起動遅延回路により、定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間、制御手段に、制御信号の出力を停止させることとした。
【0032】
このため、定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間では、力率改善回路の動作が停止するので、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0033】
(3) 本発明は、(1)の定電流電源装置について、前記起動遅延回路(例えば、図6の起動遅延回路40Aに相当)は、前記定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間(例えば、図5の時刻t21〜t23の期間に相当)、前記制御手段から出力された前記制御信号をマスクすることを特徴とする定電流電源装置を提案している。
【0034】
この発明によれば、(1)の定電流電源装置において、起動遅延回路により、定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間、制御手段から出力された制御信号をマスクすることとした。
【0035】
このため、定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間では、力率改善回路の動作が停止するので、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0036】
(4) 本発明は、(1)〜(3)のいずれかの定電流電源装置について、前記定電流回路は、前記負荷に流れる電流が入力端子(例えば、後述のドレインに相当)に入力される第1のスイッチ素子(例えば、図1のスイッチ素子Q1に相当)と、前記第1のスイッチ素子に流れた電流を電圧変換する電流電圧変換手段(例えば、図1の抵抗R1に相当)と、を備え、前記制御手段は、前記電流電圧変換手段により変換された電圧に基づいて、前記第1のスイッチ素子に制御信号(例えば、後述のゲート信号に相当)を送信し、前記力率改善回路は、前記制御信号に基づいてチョッパ制御される第2のスイッチ素子(例えば、図1のスイッチ素子Q2に相当)を備えることを特徴とする定電流電源装置を提案している。
【0037】
この発明によれば、(1)〜(3)のいずれかの定電流電源装置において、定電流回路に、負荷に流れる電流が入力端子に入力される第1のスイッチ素子と、第1のスイッチ素子に流れた電流を電圧変換する電流電圧変換手段と、を設けた。また、制御手段により、電流電圧変換手段により変換された電圧に基づいて、第1のスイッチ素子に制御信号を送信することとした。また、力率改善回路に、制御信号に基づいてチョッパ制御される第2のスイッチ素子を設けた。
【0038】
このため、定電流回路の入力電圧は、力率改善回路の出力電圧であるため、直流である。したがって、制御手段が第1のスイッチ素子に送信する制御信号のデューティ比は、略一定となり、第2のスイッチ素子は、第1のスイッチ素子に送信される制御信号に基づいて動作するため、第2のスイッチ素子のデューティ比も、略一定となる。よって、定電流電源装置の入力電流は、定電流電源装置の入力電圧に比例することになるので、定電流電源装置の力率を向上することができる。
【0039】
なお、第2のスイッチ素子を第1のスイッチ素子で兼用すれば、定電流電源装置をさらに小型化することができる。ところが、兼用すると、第1のスイッチ素子には、負荷に流れる電流だけでなく、第2のスイッチ素子に流れていた電流も流れることとなる。このため、電流電圧変換手段により変換された電圧には、負荷に流れた電流を電圧変換したもの以外も含まれてしまう。これによれば、制御手段は、負荷に流れた電流を正確に検出することができなくなるため、定電流電源装置は、定電流制御を正確に行うことができず、定電流を出力できなくなってしまう。しかしながら、この発明によれば、第1のスイッチ素子と第2のスイッチ素子とを別々に設けているため、制御手段は、負荷に流れた電流を正確に検出することができる。したがって、定電流電源装置は、定電流制御を正確に行うことができ、定電流を出力することができる。
【0040】
(5) 本発明は、(4)の定電流電源装置について、前記起動遅延回路による前記定電流回路および前記力率改善回路の動作の停止が解除された後に、前記第1のスイッチ素子および前記第2のスイッチ素子に対してソフトスタート制御を行うソフトスタート回路(例えば、図7のソフトスタート回路50に相当)を備えることを特徴とする定電流電源装置を提案している。
【0041】
この発明によれば、(4)の定電流電源装置において、起動遅延回路による定電流回路および力率改善回路の動作の停止が解除された後に、第1のスイッチ素子および第2のスイッチ素子に対してソフトスタート制御を行うソフトスタート回路を設けた。
【0042】
このため、起動遅延回路による定電流回路および力率改善回路の動作の停止が解除された後では、第1のスイッチ素子および第2のスイッチ素子のオン幅は、急激に広くなるのではなく、時間が経過するに従って広くなる。したがって、定電流電源装置の起動時において、定電流電源装置に過電流が流れてしまうのをより確実に防止できる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、高周波規制を満たしつつ、入力電圧の変動に対する定電流出力の安定性を確保でき、かつ、出力電流リップルを抑えることのできる定電流電源装置について、小型化するとともに、起動時に過電流が流れてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態に係る定電流電源装置の回路図である。
【図2】定常動作状態における前記定電流電源装置のタイミングチャートである。
【図3】定常動作状態において入力電圧が急変した場合における前記定電流電源装置のタイミングチャートである。
【図4】起動時における前記定電流電源装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】起動時における前記定電流電源装置のタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係る定電流電源装置の回路図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る定電流電源装置の回路図である。
【図8】前記定電流電源装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】前記定電流電源装置のタイミングチャートである。
【図10】本発明の第4実施形態に係る定電流電源装置の回路図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る定電流電源装置の回路図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係る定電流電源装置の回路図である。
【図13】本発明の第7実施形態に係る定電流電源装置の回路図である。
【図14】従来例に係る定電流電源装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0046】
<第1実施形態>
[定電流電源装置1の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る定電流電源装置1の回路図である。定電流電源装置1は、図14に示した従来例に係る定電流電源装置100とは、力率改善回路30および起動遅延回路40を備える点と、キャパシタC7の代わりにキャパシタC2を備える点と、が異なる。なお、定電流電源装置1において、定電流電源装置100と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
起動遅延回路40は、制御部10に接続される。
【0048】
力率改善回路30は、定電流回路20より定電流電源装置1の入力側、より具体的には、定電流回路20と交流電源Vinとの間に設けられる。この力率改善回路30は、キャパシタC1と、ダイオードD1、D2と、インダクタL1と、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q2と、を備える。
【0049】
インダクタL1とダイオードD1とは、直列接続され、これらインダクタL1とダイオードD1とを直列接続したものには、ダイオードD2が並列接続される。そして、整流部RFの第1の出力端子には、インダクタL1とダイオードD1とを直列接続したものと、ダイオードD2と、を介して、キャパシタC2および定電流回路20が接続される。具体的には、整流部RFの第1の出力端子には、インダクタL1の一端と、ダイオードD2のアノードと、が接続される。インダクタL1の他端には、ダイオードD1のアノードが接続される。ダイオードD1のカソードと、ダイオードD2のカソードとには、キャパシタC2の一方の電極と、ダイオードD3のカソードと、キャパシタC3の一方の電極と、発光ダイオードLED1のアノードと、が接続される。
【0050】
整流部RFの第1の出力端子には、キャパシタC1の一方の電極も接続される。キャパシタC1の他方の電極には、整流部RFの第2の出力端子が接続される。インダクタL1の他端には、スイッチ素子Q2のドレインが接続され、スイッチ素子Q2のソースには、整流部RFの第2の出力端子が接続される。スイッチ素子Q2のゲートには、スイッチ素子Q1のゲートが接続される。
【0051】
[定電流電源装置1の動作]
以上の構成を備える定電流電源装置1の動作は、起動時と起動完了後とで異なる。ここで、本実施形態では、制御部10は、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したもののピーク値が閾値電圧Vrefまで上昇すると、スイッチ素子Q1のゲートにLレベルのゲート信号を印可するものとする。また、起動時とは、詳細については後述するが、定電流電源装置1に交流電源Vinから交流電力の入力が開始されてから、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したもののピーク値が閾値電圧Vrefに上昇するまでの期間のことである。起動完了後とは、上述の期間が終了した後の期間のことである。
【0052】
[起動完了後における定電流電源装置1の動作]
まず、起動完了後における定電流電源装置1の動作について、以下に説明する。起動完了後においては、定電流電源装置1は、定常動作状態となり、定電流回路20を制御する制御部10により、力率改善回路30も制御して、定電流制御だけでなく力率改善制御も行う。具体的には、定電流電源装置100と同様に、制御部10により、スイッチ素子Q1のドレイン電流に応じてスイッチ素子Q1を制御することで、定電流電源装置1の出力電流に応じてスイッチ素子Q1を制御して、定電流制御を行って、定電流を出力する。さらに、制御部10により、スイッチ素子Q1と同期してスイッチ素子Q2を制御して、力率改善制御を行って、力率を改善する。
【0053】
スイッチ素子Q2のゲートには、上述のようにスイッチ素子Q1のゲートが接続されている。このため、スイッチ素子Q1のゲートに印加されるゲート信号は、スイッチ素子Q2のゲートにも印加されるので、スイッチ素子Q2は、スイッチ素子Q1と同期してスイッチングすることとなる。
【0054】
スイッチ素子Q2を備える力率改善回路30は、いわゆる昇圧型チョッパ回路で構成される。このため、整流部RFの第1の出力端子から出力された直流電圧は、力率改善回路30で昇圧され、定電流回路20に供給されるとともに、キャパシタC2を充電する。なお、このキャパシタC2は、定電流電源装置1の起動時においては、ダイオードD2を介して電流が供給され、充電される。
【0055】
定常動作状態では、入力電圧VVinが急変してしまうことが有り得る。そこで、定常動作状態における定電流電源装置1の動作と、入力電圧VVinが急変した場合における定電流電源装置1の動作と、について、図2、3を用いて以下に説明する。
【0056】
図2は、定常動作状態における定電流電源装置1のタイミングチャートである。
【0057】
VVinは、交流電源Vinから入力される交流電圧、すなわち入力電圧を示し、IVinは、交流電源Vinから入力される交流電流、すなわち入力電流を示す。
【0058】
VC1は、キャパシタC1の一方の電極の電圧を示す。このキャパシタC1の一方の電極の電圧VC1は、入力電圧VVinを整流部RFで整流した後の電圧である。このため、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1の波形は、入力電圧VVinを整流した波形となる。
【0059】
VGSQ1およびVGSQ2は、スイッチ素子Q1、Q2のそれぞれのゲート−ソース間電圧を示す。スイッチ素子Q1のゲートに印加されるゲート信号は、スイッチ素子Q2のゲートにも印加されるため、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGSQ1の波形と、スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧VGSQ2の波形とは、等しく、同期してHレベルの電圧VHになったりLレベルの電圧VLになったりする。
【0060】
IL1は、インダクタL1の一端から他端に流れる電流を示す。このインダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1は、スイッチ素子Q2のスイッチングに応じて変化する。
【0061】
VC2は、キャパシタC2の一方の電極の電圧を示す。このキャパシタC2の一方の電極の電圧VC2は、入力電圧VVinに応じて変化する。ただし、電圧VC2の振幅は、入力電圧VVinの振幅と比べて大幅に狭くなる。
【0062】
IL2は、インダクタL2の一端から他端に流れる電流を示す。このインダクタL2の一端から他端に流れる電流IL2は、スイッチ素子Q1のスイッチングに応じて変動する。
【0063】
ILEDは、発光ダイオードLED1〜LEDnのそれぞれに流れる平均電流を示す。この平均電流ILEDは、インダクタL2の一端から他端に流れる電流IL2を平均化したものに等しい。
【0064】
図3は、定常動作状態において入力電圧VVinが急変した場合における定電流電源装置1のタイミングチャートである。
【0065】
図3では、時刻t1〜t2の期間に、入力電圧VVinが急変し、他の期間と比べて入力電圧VVinの振幅が小さくなっている。このため、時刻t1〜t2の期間では、他の期間と比べて、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1が低くなる。しかしながら、時刻t1〜t2の期間では、定常動作時に充電されたキャパシタC2から、蓄えられていたエネルギーが定電流回路20に供給される。このため、時刻t1〜t2の期間では、キャパシタC2が放電されてしまうため、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2が低下するものの、インダクタL2の一端から他端に流れる電流IL2と、発光ダイオードLED1〜LEDnのそれぞれに流れる平均電流ILEDとは、図2に示した入力電圧VVinが急変していない場合と変わらない。
【0066】
[起動時における定電流電源装置1の動作]
次に、起動時における定電流電源装置1の動作について、以下に説明する。起動時においては、定電流電源装置1は、制御部10の起動を起動遅延回路40により遅延させて、定電流回路20における定電流制御と、力率改善回路30における力率改善制御と、を停止させる。
【0067】
ここで、定電流電源装置1に起動遅延回路40が設けられていない場合について、図4を用いて説明する。
【0068】
図4は、起動時における定電流電源装置200のタイミングチャートである。定電流電源装置200とは、起動遅延回路40が設けられていない定電流電源装置1のことを示すものとする。ST10は、制御部10の状態を示し、VC3は、キャパシタC3の一方の電極の電圧を示す。
【0069】
時刻t11において、交流電源Vinから定電流電源装置200に対して交流電力の入力を開始して、定電流電源装置200の起動を開始したものとする。すると、以降では、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1は、入力電圧VVinに応じて変化する。
【0070】
時刻t11から所定の時間が経過した時刻t12において、制御部10がオン状態になったものとする。すると、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したもののピーク値は、閾値電圧Vref未満であるため、制御部10から出力されるゲート信号は、Hレベルの電圧VHとなる。このため、スイッチ素子Q1、Q2がともにオン状態となり、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1は、時間が経過するに従って増加する。また、キャパシタC2には、上述のようにダイオードD2を介して電流が供給されるため、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2は、時間が経過するに従って上昇する。
【0071】
ここで、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1の増加は、以下の2つの要因により起こる。
【0072】
1つ目の要因は、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1と、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2と、の電位差が比較的小さいということである。これら電圧VC1とVC2との電位差が小さくなるに従って、スイッチ素子Q2のオフ状態における電流IL1の減少する度合いが低くなる。そして、スイッチ素子Q2のオフ状態において電流IL1がゼロレベルまで減少しなくなると、電流IL1はリセットされることなく蓄積され、その結果、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1が増加してしまう。
【0073】
2つ目の要因は、スイッチ素子Q2がオン状態のままであるということである。スイッチ素子Q2がオン状態のままである時間が長くなるに従って、すなわちスイッチ素子Q2のオン幅が広くなるに従って、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1は、増加する。
【0074】
なお、時刻t12から後述の時刻t13までの期間では、スイッチ素子Q2のオン幅が定常動作状態の場合と比べて広いため、1つ目の要因と比べて2つ目の要因の方が、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1の増加に大きく影響している。
【0075】
時刻t12から所定の時間が経過した時刻t13において、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したもののピーク値が閾値電圧Vrefまで上昇したものとする。すると、制御部10から出力されるゲート信号は、Lレベルとなり、スイッチ素子Q1、Q2がオフ状態となり、以降では、定電流電源装置1と同様に、スイッチ素子Q1のドレイン電流に応じて定電流制御および力率改善制御が行われることとなる。
【0076】
ここで、スイッチ素子Q2のオン幅は、定常動作状態の場合と略等しくなるので、上述の2つ目の要因は、小さくなる。一方、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1と、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2と、の電位差は、時刻t12〜t13の期間から大きな変化がないため、上述の1つ目の要因は、小さくならない。以上より、上述の1つ目の要因により、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1の上昇は、継続される。
【0077】
しかしながら、力率改善制御が行われる力率改善回路30は、上述のように昇圧型チョッパ回路で構成されているため、力率改善回路30の出力により充電されるキャパシタC2の一方の電極の電圧VC2は、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1と比べて上昇する。このため、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1と、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2と、の電位差は、時間が経過するに従って大きくなる。
【0078】
時刻t13から所定の時間が経過した時刻t14において、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1と、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2と、の電位差が十分に大きくなったものとする。すると、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1は、時間が経過するに従って減少し、時刻t15では、ゼロレベルにまで減少する。
【0079】
以上のように、定電流電源装置200、すなわち定電流電源装置1に起動遅延回路40が設けられていない場合には、起動時において、時刻t12〜t13の期間のようにスイッチ素子Q2のオン幅が広くなり、力率改善回路30が動作したままの状態となってしまい、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1が増加してしまう。このインダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1は、スイッチ素子Q2のドレイン電圧と、インダクタL1のインダクタンス値と、によって定まるが、この電流IL1が大きくなるに従って、インダクタL1が飽和しやすくなる。インダクタL1が飽和してしまうと、整流部RFやスイッチ素子Q2といった、入力ラインに接続されている素子に過電流が流れてしまうおそれがある。
【0080】
しかしながら、定電流電源装置1には、上述のように起動遅延回路40が設けられている。このため、定電流電源装置1は、図5を用いて後述するように、起動時においてスイッチ素子Q2のオン幅が広くなってしまうのを防止して、力率改善回路30が動作したままの状態となってしまうのを防止できる。
【0081】
図5は、起動時における定電流電源装置1のタイミングチャートである。ST40は、起動遅延回路40の状態を示す。
【0082】
時刻t21において、交流電源Vinから定電流電源装置1に対して交流電力の入力を開始して、定電流電源装置1の起動を開始したものとする。定電流電源装置1への交流電力の入力が開始されると、起動遅延回路40がオン状態になる。起動遅延回路40は、オン状態において、制御部10から出力されるゲート信号をLレベルの電圧VLにする。
【0083】
時刻t21から所定の時間が経過した時刻t22において、制御部10がオン状態になったものとする。しかしながら、上述のように、制御部10から出力されるゲート信号を起動遅延回路40がLレベルの電圧VLにしているため、スイッチ素子Q1のゲート―ソース間電圧VGSQ1およびスイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧VGSQ2がVLのままとなり、スイッチ素子Q1、Q2はともにオフ状態のままとなる。このため、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1は、ゼロのままである。ただし、キャパシタC2は、上述のようにダイオードD2を介して電流が供給されるため、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2は、時間が経過するに従って上昇する。また、スイッチ素子Q1、Q2がオフ状態のままであるため、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1は、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧VRFOUTのピーク値で維持される。
【0084】
時刻t21から予め定められた時間T1が経過した時刻t23において、起動遅延回路40がオフ状態になる。すると、図4の時刻t13以降と同様に、スイッチ素子Q1のドレイン電流に応じて定電流制御および力率改善制御が行われることとなる。
【0085】
上述の予め定められた時間T1については、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2が、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧VRFOUTのピーク値まで上昇するまでの時間以上に設定される。この予め定められた時間T1は、例えば交流電源Vinから入力される交流電力の周波数が50Hzの場合には、10ms以上に設定される。
【0086】
以上の定電流電源装置1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0087】
定電流電源装置1は、定電流回路20を制御する制御部10により、力率改善回路30も制御する。このため、制御部10を、定電流回路20と力率改善回路30とで兼用することになるので、定電流電源装置1を小型化することができる。
【0088】
また、定電流電源装置1は、力率改善回路30により力率改善制御を行って、力率を改善する。このため、高周波規制を満たすことができる。
【0089】
また、上述の定電流電源装置100では、入力電圧VVinの変動に対する定電流出力の安定性に関わるキャパシタC7の容量について、高周波規制により単純に大きくすることができなかった。これに対して、定電流電源装置1では、上述のように高周波規制を満たすことができるため、入力電圧VVinの変動に対する定電流出力の安定性に関わるキャパシタC2の容量について、大きくすることができる。このため、入力電圧の変動に対する定電流出力の安定性を確保できる。
【0090】
また、定電流電源装置1では、力率改善回路30の出力電圧は、直流であり、この直流電圧が定電流回路20に入力される。このため、定電流電源装置1の出力電流リップルを抑えることができる。
【0091】
また、定電流電源装置1は、上述のように制御部10を兼用するため、定電流回路20における定電流制御のタイミングで力率改善回路30を制御することになる。このため、力率改善回路30における力率改善制御は、力率の改善に最適なタイミングで行われるわけではないので、力率改善回路30の出力電圧は、入力電圧に対して依存性を有することになる。しかしながら、力率改善回路30の後ろに定電流回路20が設けられているため、定電流電源装置1の出力電流は、定電流回路20における定電流制御が行われた後のものである。したがって、定電流電源装置1は、定電流を出力することができる。
【0092】
また、定電流電源装置1では、定電流回路20の入力電圧は、上述のように直流である。このため、制御部10がスイッチ素子Q1に送信するゲート信号のデューティ比は、略一定となり、スイッチ素子Q2は、スイッチ素子Q1に送信されるゲート信号に基づいて動作するため、スイッチ素子Q2のデューティ比も、略一定となる。したがって、定電流電源装置1の入力電流は、定電流電源装置1の入力電圧に比例することになるので、定電流電源装置1の力率を向上することができる。
【0093】
また、スイッチ素子Q2をスイッチ素子Q1で兼用すれば、定電流電源装置1をさらに小型化することができる。ところが、兼用すると、スイッチ素子Q1には、定電流電源装置1の出力電流だけでなく、スイッチ素子Q2に流れていた電流も流れることとなる。このため、制御部10は、定電流電源装置1の出力電流を正確に検出することができなくなるため、定電流制御を正確に行うことができず、定電流を出力できなくなってしまう。しかしながら、定電流電源装置1は、スイッチ素子Q1とスイッチ素子Q2とを別々に備えているため、制御部10は、定電流電源装置1の出力電流を正確に検出することができる。したがって、定電流電源装置1は、定電流制御を正確に行うことができ、定電流を出力することができる。
【0094】
また、定電流電源装置1では、力率改善回路30は、いわゆる昇圧型チョッパ回路で構成される。このため、力率改善回路30の出力電圧は、入力電圧VVinと比べて高くなる。したがって、昇圧型チョッパ回路で構成される力率改善回路30を備えていない場合と比べて、多くのエネルギーをキャパシタC2に蓄積させることができ、長時間に亘ってキャパシタC2から定電流回路20に電力を供給することができるので、定電流電源装置1は、長時間に亘って定電流を出力することができる。
【0095】
また、定電流電源装置1では、交流電源Vinから交流電力の入力が開始されてから予め定められた時間T1が経過するまでの期間において、スイッチ素子Q1、Q2がともにオフ状態のままとなり、定電流回路20および力率改善回路30の動作が停止する。このため、定電流電源装置1の起動時において、スイッチ素子Q2がオン状態のままとなってしまうのを防止して、力率改善回路30が動作したままの状態となってしまうのを防止できるので、定電流電源装置1に過電流が流れてしまうのを防止できる。
【0096】
<第2実施形態>
[定電流電源装置1Aの構成]
図6は、本発明の第2実施形態に係る定電流電源装置1Aの回路図である。定電流電源装置1Aは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る定電流電源装置1とは、起動遅延回路40の代わりに起動遅延回路40Aを備える点が異なる。なお、定電流電源装置1Aにおいて、定電流電源装置1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0097】
起動遅延回路40Aは、制御部10と、スイッチ素子Q1、Q2のそれぞれのゲートと、の間に設けられる。
【0098】
[定電流電源装置1Aの動作]
以上の構成を備える定電流電源装置1Aは、定電流電源装置1と同様に、起動時において、起動遅延回路40Aにより、定電流回路20における定電流制御と、力率改善回路30における力率改善制御と、を停止させる。起動遅延回路40Aは、起動遅延回路40と同様に、交流電源Vinから定電流電源装置1Aへの交流電力の入力が開始されるとオン状態になり、予め定められた時間T1が経過するとオフ状態になる。ただし、オン状態において、起動遅延回路40は、制御部10から出力されるゲート信号をLレベルの電圧VLにするのに対して、起動遅延回路40Aは、制御部10から出力されるゲート信号をマスクして、スイッチ素子Q1、Q2のゲートにはLレベルの電圧が印可されるようにする。
【0099】
以上の定電流電源装置1Aによれば、定電流電源装置1が奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0100】
<第3実施形態>
[定電流電源装置1Bの構成]
図7は、本発明の第3実施形態に係る定電流電源装置1Bの回路図である。定電流電源装置1Bは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る定電流電源装置1とは、ソフトスタート回路50を備える点が異なる。なお、定電流電源装置1Bにおいて、定電流電源装置1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0101】
ソフトスタート回路50は、起動遅延回路40と制御部10との間に設けられる。
【0102】
[定電流電源装置1Bの動作]
以上の構成を備える定電流電源装置1Bは、定電流電源装置1と同様に、起動時において、制御部10の起動を起動遅延回路40により遅延させて、定電流回路20における定電流制御と、力率改善回路30における力率改善制御と、を停止させる。さらに、起動遅延回路40による制御部10の起動の遅延が終了した後に、ソフトスタート回路50により、スイッチ素子Q1、Q2に対してソフトスタート制御を行う。
【0103】
ここで、ソフトスタート回路50が設けられていない定電流電源装置1では、図5の時刻t23〜t24の期間のように、スイッチ素子Q2のオフ状態においてインダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1がゼロレベルまで減少しない期間が発生してしまう。
【0104】
図8は、図5の時刻t23〜t24の期間を拡大した図である。時刻t23〜t24の期間では、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1と、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2と、の電位差が比較的小さい。このため、上述の1つ目の要因により、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1が増加してしまっている。
【0105】
しかしながら、定電流電源装置1Bには、上述のようにソフトスタート回路50が設けられている。このため、定電流電源装置1Bは、図9を用いて後述するように、起動遅延回路40による制御部10の起動の遅延が終了した後に、スイッチ素子Q2のオフ状態においてインダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1をゼロレベルまで減少させることができる。
【0106】
図9は、図8と対になる図であり、起動遅延回路40による制御部10の起動の遅延が終了した後における定電流電源装置1Bのタイミングチャートである。
【0107】
時刻t33において、起動遅延回路40がオフ状態になり、起動遅延回路40による制御部10の起動の遅延が終了したものとする。すると、ソフトスタート回路50は、制御部10に制御信号を送信して、スイッチ素子Q1、Q2に対してソフトスタート制御を行わせる。このため、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGSQ1のオン幅と、スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧VGSQ2のオン幅とは、時間が経過するに従って広くなっている。これによれば、起動遅延回路40による制御部10の起動の遅延が終了した際に、定電流電源装置1と比べて、スイッチ素子Q1、Q2のそれぞれのオン幅が狭くなるため、スイッチ素子Q2のオン状態におけるインダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1の上昇が抑制される。したがって、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1と、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2と、の電位差が比較的小さいために、スイッチ素子Q2のオフ状態における電流IL1の減少する度合いが低くなっていても、スイッチ素子Q2のオフ状態においてインダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1がゼロレベルまたはゼロレベル近傍まで減少することになる。よって、電流IL1の蓄積が抑制され、その結果、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1の増加が抑制されている。
【0108】
以上の定電流電源装置1Bによれば、定電流電源装置1が奏することのできる上述の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
【0109】
定電流電源装置1Bは、起動遅延回路40による制御部10の起動の遅延が終了した後に、ソフトスタート回路50により、スイッチ素子Q1、Q2に対してソフトスタート制御を行う。このため、起動遅延回路40による制御部10の起動の遅延が終了した後では、スイッチ素子Q1、Q2のオン幅は、急激に広くなるのではなく、時間が経過するに従って広くなり、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1の増加が抑制される。したがって、定電流電源装置1に過電流が流れてしまうのをより確実に防止できる。
【0110】
<第4実施形態>
[起動遅延回路40Bおよびソフトスタート回路50Aの構成]
図10は、本発明の第4実施形態に係る定電流電源装置1Cに設けられる起動遅延回路40Bおよびソフトスタート回路50Aの回路図である。起動遅延回路40Bおよびソフトスタート回路50Aは、図7に示した本発明の第3実施形態に係る定電流電源装置1Bに設けられる起動遅延回路40およびソフトスタート回路50の具体的な回路の一例である。なお、定電流電源装置1Cにおいて、定電流電源装置1Bと同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0111】
起動遅延回路40Bは、抵抗R4〜R7と、キャパシタC5と、NPN型トランジスタで構成されるスイッチ素子Q3、Q4と、を備える。抵抗R6の一端には、キャパシタC2の一方の電極が接続され、抵抗R6の他端には、抵抗R7を介して、キャパシタC2の他方の電極が接続される。抵抗R7には、キャパシタC5が並列接続される。抵抗R6と抵抗R7との接続点には、スイッチ素子Q4のベースが接続される。
【0112】
抵抗R4の一端には、制御部10に設けられたレギュレータを介して、キャパシタC2の一方の電極が接続される。抵抗R4の他端には、抵抗R5を介して、キャパシタC2の他方の電極が接続される。抵抗R4と抵抗R5との接続点には、スイッチ素子Q4のコレクタと、スイッチ素子Q3のベースと、が接続される。スイッチ素子Q3のエミッタには、キャパシタC2の他方の電極が接続される。
【0113】
ソフトスタート回路50Aは、抵抗R2、R3と、キャパシタC4と、を備える。抵抗R2の一端には、制御部10に設けられたレギュレータを介して、キャパシタC2の一方の電極が接続される。抵抗R2の他端には、抵抗R3を介して、キャパシタC2の他方の電極が接続される。抵抗R3には、キャパシタC4が並列接続される。また、抵抗R2と抵抗R3との接続点には、制御部10と、スイッチ素子Q3のコレクタと、が接続される。
【0114】
[起動遅延回路40Bおよびソフトスタート回路50Aの動作]
以上の構成を備える起動遅延回路40Bおよびソフトスタート回路50Aは、それぞれ、上述の起動遅延回路40およびソフトスタート回路50と同様に動作する。具体的には、交流電源Vinから交流電力の入力が開始されると、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2は、図4を用いて上述したように、時間が経過するに従って上昇し、抵抗R6およびキャパシタC5で構成される時定数回路に印加される。このため、交流電源Vinから交流電力の入力が開始されてから、抵抗R6およびキャパシタC5で構成される時定数回路の時定数により定まる時間が経過するまでは、スイッチ素子Q4がオフ状態であり、上述の時間が経過すると、スイッチ素子Q4がオン状態になる。
【0115】
なお、抵抗R6およびキャパシタC5で構成される時定数回路の時定数により定まる時間とは、上述の予め定められた時間T1のことである。このため、抵抗R6の抵抗値やキャパシタC5の容量を設定することで、予め定められた時間T1を任意に設定することができる。
【0116】
スイッチ素子Q4がオフ状態である期間、すなわち定電流電源装置1Cの起動を開始してから予め定められた時間T1が経過するまでの期間では、スイッチ素子Q3のベースに、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2を上述のレギュレータで定電圧化したものが印加され、スイッチ素子Q3がオン状態になる。このため、制御部10には、上述の閾値電圧Vrefとして、キャパシタC2の他方の電極の電圧、すなわちLレベルの電圧VLが印加されることとなる。したがって、制御部10は、スイッチ素子Q1、Q2をオフ状態にする。
【0117】
一方、スイッチ素子Q4がオン状態になった後、すなわち定電流電源装置1Cの起動を開始してから予め定められた時間T1が経過した後では、スイッチ素子Q3がオフ状態になる。このため、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2を上述のレギュレータで定電圧化したものが、抵抗R2およびキャパシタC4で構成される時定数回路に印加される。このため、抵抗R2およびキャパシタC4で構成される時定数回路により定まる時間が経過するまでは、上述の閾値電圧Vrefは、時間が経過するに従って上昇する。したがって、スイッチ素子Q1、Q2のオン幅は、時間が経過するに従って広くなり、スイッチ素子Q1、Q2に対してソフトスタート制御が行われることとなる。
【0118】
以上の定電流電源装置1Cによれば、定電流電源装置1Bが奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0119】
<第5実施形態>
[起動遅延回路40Cおよびソフトスタート回路50Aの構成]
図11は、本発明の第5実施形態に係る定電流電源装置1Dに設けられる起動遅延回路40Cおよびソフトスタート回路50Aの回路図である。起動遅延回路40Cおよびソフトスタート回路50Aは、図7に示した本発明の第3実施形態に係る定電流電源装置1Bに設けられる起動遅延回路40およびソフトスタート回路50の具体的な回路の一例である。なお、定電流電源装置1Dにおいて、定電流電源装置1B、1Cと同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0120】
起動遅延回路40Cは、抵抗R6〜R9と、キャパシタC5と、NPN型トランジスタで構成されるスイッチ素子Q4と、PNP型トランジスタで構成されるスイッチ素子Q5と、を備える。スイッチ素子Q4のエミッタには、キャパシタC2の他方の電極が接続され、スイッチ素子Q4のコレクタには、抵抗R8および抵抗R9を介して、キャパシタC2の他方の電極が接続される。抵抗R8と抵抗R9との接続点には、スイッチ素子Q5のベースが接続される。スイッチ素子Q5のエミッタには、キャパシタC2の一方の電極が接続され、スイッチ素子Q5のコレクタには、制御部10に設けられたレギュレータが接続される。
【0121】
[起動遅延回路40Cおよびソフトスタート回路50Aの動作]
以上の構成を備える起動遅延回路40Cおよびソフトスタート回路50Aは、それぞれ、上述の起動遅延回路40およびソフトスタート回路50と同様に動作する。具体的には、交流電源Vinから交流電力の入力が開始されてから、抵抗R6およびキャパシタC5で構成される時定数回路の時定数により定まる時間が経過するまでは、スイッチ素子Q4がオフ状態であり、上述の時間が経過すると、スイッチ素子Q4がオン状態になる。
【0122】
スイッチ素子Q4がオフ状態である期間、すなわち定電流電源装置1Cの起動を開始してから予め定められた時間T1が経過するまでの期間では、スイッチ素子Q5のベースに、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2が印加され、スイッチ素子Q5がオフ状態になる。このため、制御部10に設けられたレギュレータに、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2が印加されないため、制御部10には、上述の閾値電圧Vrefとして、キャパシタC2の他方の電極の電圧、すなわちLレベルの電圧VLが印加されることとなる。したがって、制御部10は、スイッチ素子Q1、Q2をオフ状態にする。
【0123】
一方、スイッチ素子Q4がオン状態になった後、すなわち定電流電源装置1Cの起動を開始してから予め定められた時間T1が経過した後では、スイッチ素子Q5がオン状態になる。このため、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2を上述のレギュレータで定電圧化したものが、抵抗R2およびキャパシタC4で構成される時定数回路に印加される。このため、抵抗R2およびキャパシタC4で構成される時定数回路により定まる時間が経過するまでは、上述の閾値電圧Vrefは、時間が経過するに従って上昇する。したがって、スイッチ素子Q1、Q2のオン幅は、時間が経過するに従って広くなり、スイッチ素子Q1、Q2に対してソフトスタート制御が行われることとなる。
【0124】
以上の定電流電源装置1Cによれば、定電流電源装置1Bが奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0125】
<第6実施形態>
[起動遅延回路40Dおよびソフトスタート回路50Aの構成]
図12は、本発明の第6実施形態に係る定電流電源装置1Eに設けられる起動遅延回路40Dおよびソフトスタート回路50Aの回路図である。起動遅延回路40Dおよびソフトスタート回路50Aは、図7に示した本発明の第3実施形態に係る定電流電源装置1Bに設けられる起動遅延回路40およびソフトスタート回路50の具体的な回路の一例である。なお、定電流電源装置1Eにおいて、定電流電源装置1B、1C、1Dと同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0126】
起動遅延回路40Dは、抵抗R5〜R7、R10〜R13と、キャパシタC6と、ダイオードD4、D5と、ツェナーダイオードDZと、NPN型トランジスタで構成されるスイッチ素子Q3と、PNP型トランジスタで構成されるスイッチ素子Q6、Q7と、を備える。
【0127】
キャパシタC6は、抵抗R6に並列接続される。抵抗R13の一端には、キャパシタC2の一方の電極が接続され、抵抗R13の他端には、ツェナーダイオードDZのカソードと、スイッチ素子Q7のベースと、が接続される。ツェナーダイオードDZのアノードには、抵抗R7を介してキャパシタC2の他方の電極が接続される。スイッチ素子Q7のエミッタには、キャパシタC2の一方の電極が接続される。スイッチ素子Q7のコレクタには、スイッチ素子Q6のベースが接続されるとともに、抵抗R11を介してキャパシタC2の他方の電極が接続される。
【0128】
スイッチ素子Q6のエミッタには、キャパシタC2の一方の電極が接続され、スイッチ素子Q6のコレクタには、ダイオードD4のアノードと、ダイオードD5のアノードと、が接続される。スイッチ素子Q5のカソードには、抵抗R12および抵抗R7を介して、キャパシタC2の他方の電極が接続される。ダイオードD4のカソードには、抵抗R10および抵抗R5を介してキャパシタC2の他方の電極が接続されるとともに、スイッチ素子Q3のベースが接続される。スイッチ素子Q3のエミッタには、キャパシタC2の他方の電極が接続され、スイッチ素子Q3のコレクタには、制御部10が接続される。
【0129】
[起動遅延回路40Dおよびソフトスタート回路50Aの動作]
以上の構成を備える起動遅延回路40Dおよびソフトスタート回路50Aは、それぞれ、上述の起動遅延回路40およびソフトスタート回路50と同様に動作する。具体的には、交流電源Vinから交流電力の入力が開始されてから、抵抗R7およびキャパシタC6で構成される時定数回路の時定数により定まる時間が経過するまでは、スイッチ素子Q7がオフ状態であり、上述の時間が経過すると、スイッチ素子Q7がオン状態になる。
【0130】
スイッチ素子Q7がオフ状態である期間、すなわち定電流電源装置1Dの起動を開始してから予め定められた時間T1が経過するまでの期間では、スイッチ素子Q6がオン状態になり、スイッチ素子Q3がオン状態になる。このため、制御部10には、上述の閾値電圧Vrefとして、キャパシタC2の他方の電極の電圧、すなわちLレベルの電圧VLが印加されることとなる。したがって、制御部10は、スイッチ素子Q1、Q2をオフ状態にする。
【0131】
一方、スイッチ素子Q7がオン状態になった後、すなわち定電流電源装置1Dの起動を開始してから予め定められた時間T1が経過した後では、スイッチ素子Q6がオフ状態になり、スイッチ素子Q3がオフ状態になる。このため、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2を上述のレギュレータで定電圧化したものが、抵抗R2およびキャパシタC4で構成される時定数回路に印加される。このため、抵抗R2およびキャパシタC4で構成される時定数回路により定まる時間が経過するまでは、上述の閾値電圧Vrefは、時間が経過するに従って上昇する。したがって、スイッチ素子Q1、Q2のオン幅は、時間が経過するに従って広くなり、スイッチ素子Q1、Q2に対してソフトスタート制御が行われることとなる。
【0132】
以上の定電流電源装置1Dによれば、定電流電源装置1Bが奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0133】
<第7実施形態>
[起動遅延回路40Eおよびソフトスタート回路50Aの構成]
図13は、本発明の第7実施形態に係る定電流電源装置1Fに設けられる起動遅延回路40Eおよびソフトスタート回路50Aの回路図である。起動遅延回路40Eおよびソフトスタート回路50Aは、図7に示した本発明の第3実施形態に係る定電流電源装置1Bに設けられる起動遅延回路40およびソフトスタート回路50の具体的な回路の一例である。なお、定電流電源装置1Fにおいて、定電流電源装置1B、1C、1D、1Eと同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0134】
起動遅延回路40Eは、抵抗R6、R7と、リセット回路41と、を備える。抵抗R6と抵抗R7との接続点には、リセット回路41が接続される。このリセット回路41には、制御部10が接続されるとともに、制御部10に設けられたレギュレータを介して、キャパシタC2の一方の電極が接続される。
【0135】
[起動遅延回路40Eおよびソフトスタート回路50Aの動作]
以上の構成を備える起動遅延回路40Eおよびソフトスタート回路50Aは、それぞれ、上述の起動遅延回路40およびソフトスタート回路50と同様に動作する。具体的には、リセット回路41によりキャパシタC2の一方の電極の電圧VC2を監視する。
【0136】
交流電源Vinから交流電力の入力が開始されると、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2は、図4を用いて上述したように、時間が経過するに従って上昇する。キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2がゼロから上昇し始めてから予め定められた時間T1が経過するまでの時間、すなわち定電流電源装置1Fの起動を開始してから予め定められた時間T1が経過するまでの期間では、リセット回路41により、制御部10に、上述の閾値電圧Vrefとして、キャパシタC2の他方の電極の電圧、すなわちLレベルの電圧VLが印加させる。これによれば、制御部10は、スイッチ素子Q1、Q2をオフ状態にする。
【0137】
一方、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2がゼロから上昇し始めてから予め定められた時間T1が経過した後、すなわち定電流電源装置1Fの起動を開始してから予め定められた時間T1が経過した後では、リセット回路41により、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2を上述のレギュレータで定電圧化したものを、抵抗R2およびキャパシタC4で構成される時定数回路に印加させる。このため、抵抗R2およびキャパシタC4で構成される時定数回路により定まる時間が経過するまでは、上述の閾値電圧Vrefは、時間が経過するに従って上昇する。したがって、スイッチ素子Q1、Q2のオン幅は、時間が経過するに従って広くなり、スイッチ素子Q1、Q2に対してソフトスタート制御が行われることとなる。
【0138】
以上の定電流電源装置1Eによれば、定電流電源装置1Bが奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0139】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0140】
例えば、上述の各実施形態では、制御部10は、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したもののピーク値が閾値電圧Vrefまで上昇すると、スイッチ素子Q1のゲートにLレベルのゲート信号を印可するものとした。しかしながら、これに限らず、例えば、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したものの平均値が閾値電圧Vrefまで上昇すると、スイッチ素子Q1のゲートにLレベルのゲート信号を印可するものとしてもよい。
【0141】
また、上述の各実施形態では、定電流回路20は、いわゆる降圧回路で構成されているが、これに限らず、昇圧回路で構成されるものとしてもよい。
【0142】
また、上述の各実施形態では、定電流電源装置1は、発光ダイオードLED1〜LEDnに定電流を供給するものとしたが、これに限らず、モータといった定電流を必要とするものに定電流を供給できる。
【0143】
また、上述の第4〜第7実施形態では、制御部10に設けられたレギュレータは、キャパシタC2の一方の電極に接続されるものとしたが、これに限らず、例えば、キャパシタC1の一方の電極や、発光ダイオードLEDnのカソードに接続してもよい。これによれば、キャパシタC2の一方の電極の電圧の代わりに、キャパシタC1の一方の電極の電圧を用いたり、発光ダイオードLEDnのカソードの電圧を用いたりして、起動遅延回路40B、40C、40D、40Eやソフトスタート回路50Aが動作することとなる。
【符号の説明】
【0144】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、100、200;定電流電源装置
10;制御部
20;定電流回路
30;力率改善回路
40、40A、40B、40C、40D、40E;起動遅延回路
41;リセット回路
50、50A;ソフトスタート回路
C1〜C7;キャパシタ
D1〜D5;ダイオード
DZ;ツェナーダイオード
L1、L2;インダクタ
Q1〜Q7;スイッチ素子
R1〜R13;抵抗
【技術分野】
【0001】
本発明は、定電流電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、定電流を出力する電源として、定電流電源装置がある。この定電流電源装置は、例えば、発光ダイオードを点灯させるために用いられる(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
[定電流電源装置100の構成]
図14は、従来例に係る定電流電源装置100の回路図である。定電流電源装置100は、交流電源Vinから入力される交流電力を用いて、直列接続された複数の発光ダイオードLED1〜LEDn(nは、n≧3を満たす整数)に定電流を出力する。この定電流電源装置100は、整流部RFと、キャパシタC7と、制御部10と、定電流回路20と、を備える。
【0004】
定電流回路20は、抵抗R1と、キャパシタC3と、ダイオードD3と、インダクタL2と、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q1と、を備える。
【0005】
整流部RFの2つの入力端子には、交流電源Vinの両端が接続される。整流部RFの第1の出力端子には、キャパシタC7の一方の電極と、ダイオードD3のカソードと、キャパシタC3の一方の電極と、発光ダイオードLED1のアノードと、が接続される。発光ダイオードLEDnのカソードには、キャパシタC3の他方の電極と、インダクタL2の一端と、が接続される。インダクタL2の他端には、ダイオードD3のアノードと、スイッチ素子Q1のドレインと、が接続される。
【0006】
スイッチ素子Q1のソースには、抵抗R1を介して定電流電源装置100の基準電位点に相当する整流部RFの第2の出力端子が接続されるとともに、制御部10が接続される。この制御部10は、スイッチ素子Q1のゲートと、整流部RFの第2の出力端子と、にも接続される。整流部RFの第2の出力端子には、キャパシタC7の他方の電極も接続される。
【0007】
[定電流電源装置100の動作]
以上の構成を備える定電流電源装置100は、制御部10により定電流回路20を制御して、定電流制御を行う。具体的には、制御部10により、スイッチ素子Q1のドレイン電流に応じてスイッチ素子Q1を制御することで、定電流電源装置100の出力電流に応じてスイッチ素子Q1を制御して、定電流制御を行って、定電流を出力する。
【0008】
例えば、制御部10により、スイッチ素子Q1のゲートにHレベルのゲート信号を印加して、スイッチ素子Q1をオン状態にしたとする。すると、交流電源Vinから入力された交流電力が整流部RFにより整流されて、第2の出力端子を基準とした直流電力が第1の出力端子から出力される。整流部RFの第1の出力端子から出力される直流電流は、発光ダイオードLED1〜LEDnと、インダクタL2の一端から他端と、スイッチ素子Q1と、抵抗R1と、を介して、整流部RFの第2の出力端子に流れる。これによれば、発光ダイオードLED1〜LEDnに電流が流れるので、これら発光ダイオードLED1〜LEDnが点灯する。また、インダクタL2の一端から他端に電流が流れることで、インダクタL2にエネルギーが蓄えられることとなる。
【0009】
上述のスイッチ素子Q1に流れる電流、すなわちスイッチ素子Q1のドレイン電流は、抵抗R1に流れることで電圧変換され、制御部10に入力される。ここで、スイッチ素子Q1がオン状態にしておくと、インダクタL2の一端から他端に流れる電流は、時間が経過するに従って増加する。また、スイッチ素子Q1がオン状態である期間では、スイッチ素子Q1のドレイン電流は、インダクタL2の一端から他端に流れる電流、すなわち定電流電源装置100の出力電流に等しい。そして、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したものは、スイッチ素子Q1のドレイン電流が増加するに従って高くなる。以上より、スイッチ素子Q1がオン状態である期間では、制御部10に入力される上述の電圧は、時間が経過するに従って上昇する。
【0010】
制御部10は、制御部10に入力される上述の電圧、すなわちスイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したものを監視しており、この電圧のピーク値や平均値が予め定められた閾値電圧Vrefまで上昇すると、スイッチ素子Q1のゲートにLレベルのゲート信号を印加する。これによれば、スイッチ素子Q1がオフ状態になる。
【0011】
スイッチ素子Q1がオフ状態になると、スイッチ素子Q1がオン状態であった期間にインダクタL2に蓄えられたエネルギーにより、インダクタL2の一端から他端、ダイオードD3、発光ダイオードLED1〜LEDnの順に電流が流れ、発光ダイオードLED1〜LEDnが点灯する。スイッチ素子Q1がオン状態であった期間にインダクタL2に蓄えられたエネルギーは、上述の順に電流が流れるに従って減少し、上述の順に流れる電流は、インダクタL2に蓄えられているエネルギーが減少するに従って減少する。このため、スイッチ素子Q1がオフ状態になると、時間が経過するに従って、インダクタL2の一端から他端に流れる電流が減少する。
【0012】
また、スイッチ素子Q1がオフ状態になると、スイッチ素子Q1のドレイン電流が「0」になるので、制御部10に入力される上述の電圧は、「0」になる。
【0013】
制御部10は、制御部10に入力される上述の電圧、すなわちスイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したものが「0」になってから、予め定められた時間が経過すると、スイッチ素子Q1のゲートにHレベルのゲート信号を印加する。これによれば、スイッチ素子Q1がオン状態になる。
【0014】
なお、定電流電源装置100の出力電流、すなわち発光ダイオードLED1〜LEDnに流れる電流は、キャパシタC3により平滑化される。
【0015】
また、第1の出力端子から出力される電流により、キャパシタC7は充電される。このため、交流電源Vinから入力される交流電圧が変動しても、キャパシタC7に蓄えられたエネルギーがなくなるまでは、定電流電源装置100は、定電流を出力できる。すなわち、キャパシタC7は、入力電圧の変動に対する定電流電源装置100の定電流出力の安定性を確保する。そして、キャパシタC7の容量を大きくするに従って、入力電圧の変動に対する定電流電源装置100の定電流出力の安定性を向上させることができる。
【0016】
しかしながら、キャパシタC7の容量については、高周波規制により、単純に大きくすることはできない。そこで、定電流回路20より定電流電源装置100の入力側に、力率改善回路を設けることが考えられる。これによれば、力率改善回路により力率を改善することができるので、高周波規制を満たすことができる。また、力率改善回路の出力電圧は、直流であり、この直流電圧が定電流回路20に入力されることになるので、定電流電源装置100の出力電流リップルを抑えることができる。
【0017】
ところが、力率改善回路を上述のように設けると、構成部品が増加してしまうため、定電流電源装置が大型化してしまう。そこで、定電流回路20を制御する制御手段と、力率改善回路を制御する制御手段と、を兼用することが考えられる。これによれば、高周波規制を満たしつつ、入力電圧の変動に対する定電流出力の安定性を確保でき、かつ、出力電流リップルを抑えることのできる定電流電源装置について、小型化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2004−355872号公報
【特許文献2】特開2010−40878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、定電流電源装置100では、上述のように、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したもののピーク値や平均値が予め定められた閾値電圧Vrefまで上昇すると、定電流回路20に設けられたスイッチ素子Q1をオフ状態にする。このため、定電流電源装置100の起動時においては、定電流電源装置100に交流電源Vinから交流電力の入力が開始されてから、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したもののピーク値や平均値が閾値電圧Vrefに上昇するまでに時間がかかり、スイッチ素子Q1がオン状態のままとなる期間が発生してしまう。
【0020】
ここで、上述のように制御手段を定電流回路20と力率改善回路とで兼用すると、スイッチ素子Q1がオン状態のままである期間では、力率改善回路が動作してしたままの状態となってしまう。このため、上述のように制御手段を定電流回路20と力率改善回路とで兼用すると、定電流電源装置100の起動時において、定電流電源装置100に過電流が流れてしまうおそれがあった。
【0021】
上述の課題を鑑み、本発明は、高周波規制を満たしつつ、入力電圧の変動に対する定電流出力の安定性を確保でき、かつ、出力電流リップルを抑えることのできる定電流電源装置について、小型化するとともに、起動時に過電流が流れてしまうのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1) 本発明は、負荷(例えば、図1の発光ダイオードLED1〜LEDnに相当)に定電流を供給する定電流電源装置(例えば、図1の定電流電源装置1に相当)であって、定電流を出力する定電流回路(例えば、図1の定電流回路20に相当)と、前記定電流回路より前記定電流電源装置の入力側に設けられた力率改善回路(例えば、図1の力率改善回路30に相当)と、前記定電流回路を制御する制御手段(例えば、図1の制御部10に相当)と、前記定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間(例えば、図5の時刻t21〜t23の期間に相当)、前記定電流回路および前記力率改善回路の動作を停止させる起動遅延回路(例えば、図1の起動遅延回路40に相当)と、を備え、前記力率改善回路は、前記制御手段から前記定電流回路に送信される制御信号に基づいて動作することを特徴とする定電流電源装置を提案している。
【0023】
この発明によれば、負荷に定電流を供給する定電流電源装置に、定電流を出力する定電流回路と、定電流回路を制御する制御手段と、定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間に定電流回路および力率改善回路の動作を停止させる起動遅延回路と、を設けるとともに、定電流回路より定電流電源装置の入力側に力率改善回路を設けた。そして、力率改善回路を、制御手段から定電流回路に送信される制御信号に基づいて動作させることとした。
【0024】
このため、制御手段を、定電流回路と力率改善回路とで兼用することになるので、定電流電源装置を小型化することができる。
【0025】
また、力率改善回路により力率を改善することができるので、高周波規制を満たすことができる。
【0026】
また、入力電圧の変動に対する定電流出力の安定性に関わるキャパシタの容量について、上述の定電流電源装置100では、高周波規制により単純に大きくすることができなかったが、本発明の定電流電源装置では、上述のように高周波規制を満たすことができるため、大きくすることができる。このため、入力電圧の変動に対する定電流出力の安定性を確保できる。
【0027】
また、力率改善回路の出力電圧は、直流であり、この直流電圧が定電流回路に入力される。このため、定電流電源装置の出力電流リップルを抑えることができる。
【0028】
また、上述のように制御手段を兼用するため、定電流回路における定電流制御のタイミングで力率改善回路を制御することになる。このため、力率改善回路における力率改善制御は、力率の改善に最適なタイミングで行われるわけではないので、力率改善回路の出力電圧は、入力電圧に対して依存性を有することになる。しかしながら、力率改善回路の後ろに定電流回路が設けられているため、定電流電源装置の出力電流は、定電流回路における定電流制御が行われた後のものである。したがって、定電流電源装置は、定電流を出力することができる。
【0029】
また、定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間では、定電流回路および力率改善回路の動作が停止する。このため、定電流電源装置の起動時において、力率改善回路が動作したままの状態となってしまうのを防止できるので、定電流電源装置に過電流が流れてしまうのを防止できる。
【0030】
(2) 本発明は、(1)の定電流電源装置について、前記起動遅延回路は、前記定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間(例えば、図5の時刻t21〜t23の期間に相当)、前記制御手段に、前記制御信号の出力を停止させることを特徴とする定電流電源装置を提案している。
【0031】
この発明によれば、(1)の定電流電源装置において、起動遅延回路により、定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間、制御手段に、制御信号の出力を停止させることとした。
【0032】
このため、定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間では、力率改善回路の動作が停止するので、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0033】
(3) 本発明は、(1)の定電流電源装置について、前記起動遅延回路(例えば、図6の起動遅延回路40Aに相当)は、前記定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間(例えば、図5の時刻t21〜t23の期間に相当)、前記制御手段から出力された前記制御信号をマスクすることを特徴とする定電流電源装置を提案している。
【0034】
この発明によれば、(1)の定電流電源装置において、起動遅延回路により、定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間、制御手段から出力された制御信号をマスクすることとした。
【0035】
このため、定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間では、力率改善回路の動作が停止するので、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0036】
(4) 本発明は、(1)〜(3)のいずれかの定電流電源装置について、前記定電流回路は、前記負荷に流れる電流が入力端子(例えば、後述のドレインに相当)に入力される第1のスイッチ素子(例えば、図1のスイッチ素子Q1に相当)と、前記第1のスイッチ素子に流れた電流を電圧変換する電流電圧変換手段(例えば、図1の抵抗R1に相当)と、を備え、前記制御手段は、前記電流電圧変換手段により変換された電圧に基づいて、前記第1のスイッチ素子に制御信号(例えば、後述のゲート信号に相当)を送信し、前記力率改善回路は、前記制御信号に基づいてチョッパ制御される第2のスイッチ素子(例えば、図1のスイッチ素子Q2に相当)を備えることを特徴とする定電流電源装置を提案している。
【0037】
この発明によれば、(1)〜(3)のいずれかの定電流電源装置において、定電流回路に、負荷に流れる電流が入力端子に入力される第1のスイッチ素子と、第1のスイッチ素子に流れた電流を電圧変換する電流電圧変換手段と、を設けた。また、制御手段により、電流電圧変換手段により変換された電圧に基づいて、第1のスイッチ素子に制御信号を送信することとした。また、力率改善回路に、制御信号に基づいてチョッパ制御される第2のスイッチ素子を設けた。
【0038】
このため、定電流回路の入力電圧は、力率改善回路の出力電圧であるため、直流である。したがって、制御手段が第1のスイッチ素子に送信する制御信号のデューティ比は、略一定となり、第2のスイッチ素子は、第1のスイッチ素子に送信される制御信号に基づいて動作するため、第2のスイッチ素子のデューティ比も、略一定となる。よって、定電流電源装置の入力電流は、定電流電源装置の入力電圧に比例することになるので、定電流電源装置の力率を向上することができる。
【0039】
なお、第2のスイッチ素子を第1のスイッチ素子で兼用すれば、定電流電源装置をさらに小型化することができる。ところが、兼用すると、第1のスイッチ素子には、負荷に流れる電流だけでなく、第2のスイッチ素子に流れていた電流も流れることとなる。このため、電流電圧変換手段により変換された電圧には、負荷に流れた電流を電圧変換したもの以外も含まれてしまう。これによれば、制御手段は、負荷に流れた電流を正確に検出することができなくなるため、定電流電源装置は、定電流制御を正確に行うことができず、定電流を出力できなくなってしまう。しかしながら、この発明によれば、第1のスイッチ素子と第2のスイッチ素子とを別々に設けているため、制御手段は、負荷に流れた電流を正確に検出することができる。したがって、定電流電源装置は、定電流制御を正確に行うことができ、定電流を出力することができる。
【0040】
(5) 本発明は、(4)の定電流電源装置について、前記起動遅延回路による前記定電流回路および前記力率改善回路の動作の停止が解除された後に、前記第1のスイッチ素子および前記第2のスイッチ素子に対してソフトスタート制御を行うソフトスタート回路(例えば、図7のソフトスタート回路50に相当)を備えることを特徴とする定電流電源装置を提案している。
【0041】
この発明によれば、(4)の定電流電源装置において、起動遅延回路による定電流回路および力率改善回路の動作の停止が解除された後に、第1のスイッチ素子および第2のスイッチ素子に対してソフトスタート制御を行うソフトスタート回路を設けた。
【0042】
このため、起動遅延回路による定電流回路および力率改善回路の動作の停止が解除された後では、第1のスイッチ素子および第2のスイッチ素子のオン幅は、急激に広くなるのではなく、時間が経過するに従って広くなる。したがって、定電流電源装置の起動時において、定電流電源装置に過電流が流れてしまうのをより確実に防止できる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、高周波規制を満たしつつ、入力電圧の変動に対する定電流出力の安定性を確保でき、かつ、出力電流リップルを抑えることのできる定電流電源装置について、小型化するとともに、起動時に過電流が流れてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態に係る定電流電源装置の回路図である。
【図2】定常動作状態における前記定電流電源装置のタイミングチャートである。
【図3】定常動作状態において入力電圧が急変した場合における前記定電流電源装置のタイミングチャートである。
【図4】起動時における前記定電流電源装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】起動時における前記定電流電源装置のタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係る定電流電源装置の回路図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る定電流電源装置の回路図である。
【図8】前記定電流電源装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】前記定電流電源装置のタイミングチャートである。
【図10】本発明の第4実施形態に係る定電流電源装置の回路図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る定電流電源装置の回路図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係る定電流電源装置の回路図である。
【図13】本発明の第7実施形態に係る定電流電源装置の回路図である。
【図14】従来例に係る定電流電源装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0046】
<第1実施形態>
[定電流電源装置1の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る定電流電源装置1の回路図である。定電流電源装置1は、図14に示した従来例に係る定電流電源装置100とは、力率改善回路30および起動遅延回路40を備える点と、キャパシタC7の代わりにキャパシタC2を備える点と、が異なる。なお、定電流電源装置1において、定電流電源装置100と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
起動遅延回路40は、制御部10に接続される。
【0048】
力率改善回路30は、定電流回路20より定電流電源装置1の入力側、より具体的には、定電流回路20と交流電源Vinとの間に設けられる。この力率改善回路30は、キャパシタC1と、ダイオードD1、D2と、インダクタL1と、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q2と、を備える。
【0049】
インダクタL1とダイオードD1とは、直列接続され、これらインダクタL1とダイオードD1とを直列接続したものには、ダイオードD2が並列接続される。そして、整流部RFの第1の出力端子には、インダクタL1とダイオードD1とを直列接続したものと、ダイオードD2と、を介して、キャパシタC2および定電流回路20が接続される。具体的には、整流部RFの第1の出力端子には、インダクタL1の一端と、ダイオードD2のアノードと、が接続される。インダクタL1の他端には、ダイオードD1のアノードが接続される。ダイオードD1のカソードと、ダイオードD2のカソードとには、キャパシタC2の一方の電極と、ダイオードD3のカソードと、キャパシタC3の一方の電極と、発光ダイオードLED1のアノードと、が接続される。
【0050】
整流部RFの第1の出力端子には、キャパシタC1の一方の電極も接続される。キャパシタC1の他方の電極には、整流部RFの第2の出力端子が接続される。インダクタL1の他端には、スイッチ素子Q2のドレインが接続され、スイッチ素子Q2のソースには、整流部RFの第2の出力端子が接続される。スイッチ素子Q2のゲートには、スイッチ素子Q1のゲートが接続される。
【0051】
[定電流電源装置1の動作]
以上の構成を備える定電流電源装置1の動作は、起動時と起動完了後とで異なる。ここで、本実施形態では、制御部10は、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したもののピーク値が閾値電圧Vrefまで上昇すると、スイッチ素子Q1のゲートにLレベルのゲート信号を印可するものとする。また、起動時とは、詳細については後述するが、定電流電源装置1に交流電源Vinから交流電力の入力が開始されてから、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したもののピーク値が閾値電圧Vrefに上昇するまでの期間のことである。起動完了後とは、上述の期間が終了した後の期間のことである。
【0052】
[起動完了後における定電流電源装置1の動作]
まず、起動完了後における定電流電源装置1の動作について、以下に説明する。起動完了後においては、定電流電源装置1は、定常動作状態となり、定電流回路20を制御する制御部10により、力率改善回路30も制御して、定電流制御だけでなく力率改善制御も行う。具体的には、定電流電源装置100と同様に、制御部10により、スイッチ素子Q1のドレイン電流に応じてスイッチ素子Q1を制御することで、定電流電源装置1の出力電流に応じてスイッチ素子Q1を制御して、定電流制御を行って、定電流を出力する。さらに、制御部10により、スイッチ素子Q1と同期してスイッチ素子Q2を制御して、力率改善制御を行って、力率を改善する。
【0053】
スイッチ素子Q2のゲートには、上述のようにスイッチ素子Q1のゲートが接続されている。このため、スイッチ素子Q1のゲートに印加されるゲート信号は、スイッチ素子Q2のゲートにも印加されるので、スイッチ素子Q2は、スイッチ素子Q1と同期してスイッチングすることとなる。
【0054】
スイッチ素子Q2を備える力率改善回路30は、いわゆる昇圧型チョッパ回路で構成される。このため、整流部RFの第1の出力端子から出力された直流電圧は、力率改善回路30で昇圧され、定電流回路20に供給されるとともに、キャパシタC2を充電する。なお、このキャパシタC2は、定電流電源装置1の起動時においては、ダイオードD2を介して電流が供給され、充電される。
【0055】
定常動作状態では、入力電圧VVinが急変してしまうことが有り得る。そこで、定常動作状態における定電流電源装置1の動作と、入力電圧VVinが急変した場合における定電流電源装置1の動作と、について、図2、3を用いて以下に説明する。
【0056】
図2は、定常動作状態における定電流電源装置1のタイミングチャートである。
【0057】
VVinは、交流電源Vinから入力される交流電圧、すなわち入力電圧を示し、IVinは、交流電源Vinから入力される交流電流、すなわち入力電流を示す。
【0058】
VC1は、キャパシタC1の一方の電極の電圧を示す。このキャパシタC1の一方の電極の電圧VC1は、入力電圧VVinを整流部RFで整流した後の電圧である。このため、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1の波形は、入力電圧VVinを整流した波形となる。
【0059】
VGSQ1およびVGSQ2は、スイッチ素子Q1、Q2のそれぞれのゲート−ソース間電圧を示す。スイッチ素子Q1のゲートに印加されるゲート信号は、スイッチ素子Q2のゲートにも印加されるため、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGSQ1の波形と、スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧VGSQ2の波形とは、等しく、同期してHレベルの電圧VHになったりLレベルの電圧VLになったりする。
【0060】
IL1は、インダクタL1の一端から他端に流れる電流を示す。このインダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1は、スイッチ素子Q2のスイッチングに応じて変化する。
【0061】
VC2は、キャパシタC2の一方の電極の電圧を示す。このキャパシタC2の一方の電極の電圧VC2は、入力電圧VVinに応じて変化する。ただし、電圧VC2の振幅は、入力電圧VVinの振幅と比べて大幅に狭くなる。
【0062】
IL2は、インダクタL2の一端から他端に流れる電流を示す。このインダクタL2の一端から他端に流れる電流IL2は、スイッチ素子Q1のスイッチングに応じて変動する。
【0063】
ILEDは、発光ダイオードLED1〜LEDnのそれぞれに流れる平均電流を示す。この平均電流ILEDは、インダクタL2の一端から他端に流れる電流IL2を平均化したものに等しい。
【0064】
図3は、定常動作状態において入力電圧VVinが急変した場合における定電流電源装置1のタイミングチャートである。
【0065】
図3では、時刻t1〜t2の期間に、入力電圧VVinが急変し、他の期間と比べて入力電圧VVinの振幅が小さくなっている。このため、時刻t1〜t2の期間では、他の期間と比べて、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1が低くなる。しかしながら、時刻t1〜t2の期間では、定常動作時に充電されたキャパシタC2から、蓄えられていたエネルギーが定電流回路20に供給される。このため、時刻t1〜t2の期間では、キャパシタC2が放電されてしまうため、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2が低下するものの、インダクタL2の一端から他端に流れる電流IL2と、発光ダイオードLED1〜LEDnのそれぞれに流れる平均電流ILEDとは、図2に示した入力電圧VVinが急変していない場合と変わらない。
【0066】
[起動時における定電流電源装置1の動作]
次に、起動時における定電流電源装置1の動作について、以下に説明する。起動時においては、定電流電源装置1は、制御部10の起動を起動遅延回路40により遅延させて、定電流回路20における定電流制御と、力率改善回路30における力率改善制御と、を停止させる。
【0067】
ここで、定電流電源装置1に起動遅延回路40が設けられていない場合について、図4を用いて説明する。
【0068】
図4は、起動時における定電流電源装置200のタイミングチャートである。定電流電源装置200とは、起動遅延回路40が設けられていない定電流電源装置1のことを示すものとする。ST10は、制御部10の状態を示し、VC3は、キャパシタC3の一方の電極の電圧を示す。
【0069】
時刻t11において、交流電源Vinから定電流電源装置200に対して交流電力の入力を開始して、定電流電源装置200の起動を開始したものとする。すると、以降では、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1は、入力電圧VVinに応じて変化する。
【0070】
時刻t11から所定の時間が経過した時刻t12において、制御部10がオン状態になったものとする。すると、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したもののピーク値は、閾値電圧Vref未満であるため、制御部10から出力されるゲート信号は、Hレベルの電圧VHとなる。このため、スイッチ素子Q1、Q2がともにオン状態となり、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1は、時間が経過するに従って増加する。また、キャパシタC2には、上述のようにダイオードD2を介して電流が供給されるため、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2は、時間が経過するに従って上昇する。
【0071】
ここで、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1の増加は、以下の2つの要因により起こる。
【0072】
1つ目の要因は、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1と、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2と、の電位差が比較的小さいということである。これら電圧VC1とVC2との電位差が小さくなるに従って、スイッチ素子Q2のオフ状態における電流IL1の減少する度合いが低くなる。そして、スイッチ素子Q2のオフ状態において電流IL1がゼロレベルまで減少しなくなると、電流IL1はリセットされることなく蓄積され、その結果、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1が増加してしまう。
【0073】
2つ目の要因は、スイッチ素子Q2がオン状態のままであるということである。スイッチ素子Q2がオン状態のままである時間が長くなるに従って、すなわちスイッチ素子Q2のオン幅が広くなるに従って、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1は、増加する。
【0074】
なお、時刻t12から後述の時刻t13までの期間では、スイッチ素子Q2のオン幅が定常動作状態の場合と比べて広いため、1つ目の要因と比べて2つ目の要因の方が、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1の増加に大きく影響している。
【0075】
時刻t12から所定の時間が経過した時刻t13において、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したもののピーク値が閾値電圧Vrefまで上昇したものとする。すると、制御部10から出力されるゲート信号は、Lレベルとなり、スイッチ素子Q1、Q2がオフ状態となり、以降では、定電流電源装置1と同様に、スイッチ素子Q1のドレイン電流に応じて定電流制御および力率改善制御が行われることとなる。
【0076】
ここで、スイッチ素子Q2のオン幅は、定常動作状態の場合と略等しくなるので、上述の2つ目の要因は、小さくなる。一方、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1と、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2と、の電位差は、時刻t12〜t13の期間から大きな変化がないため、上述の1つ目の要因は、小さくならない。以上より、上述の1つ目の要因により、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1の上昇は、継続される。
【0077】
しかしながら、力率改善制御が行われる力率改善回路30は、上述のように昇圧型チョッパ回路で構成されているため、力率改善回路30の出力により充電されるキャパシタC2の一方の電極の電圧VC2は、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1と比べて上昇する。このため、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1と、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2と、の電位差は、時間が経過するに従って大きくなる。
【0078】
時刻t13から所定の時間が経過した時刻t14において、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1と、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2と、の電位差が十分に大きくなったものとする。すると、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1は、時間が経過するに従って減少し、時刻t15では、ゼロレベルにまで減少する。
【0079】
以上のように、定電流電源装置200、すなわち定電流電源装置1に起動遅延回路40が設けられていない場合には、起動時において、時刻t12〜t13の期間のようにスイッチ素子Q2のオン幅が広くなり、力率改善回路30が動作したままの状態となってしまい、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1が増加してしまう。このインダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1は、スイッチ素子Q2のドレイン電圧と、インダクタL1のインダクタンス値と、によって定まるが、この電流IL1が大きくなるに従って、インダクタL1が飽和しやすくなる。インダクタL1が飽和してしまうと、整流部RFやスイッチ素子Q2といった、入力ラインに接続されている素子に過電流が流れてしまうおそれがある。
【0080】
しかしながら、定電流電源装置1には、上述のように起動遅延回路40が設けられている。このため、定電流電源装置1は、図5を用いて後述するように、起動時においてスイッチ素子Q2のオン幅が広くなってしまうのを防止して、力率改善回路30が動作したままの状態となってしまうのを防止できる。
【0081】
図5は、起動時における定電流電源装置1のタイミングチャートである。ST40は、起動遅延回路40の状態を示す。
【0082】
時刻t21において、交流電源Vinから定電流電源装置1に対して交流電力の入力を開始して、定電流電源装置1の起動を開始したものとする。定電流電源装置1への交流電力の入力が開始されると、起動遅延回路40がオン状態になる。起動遅延回路40は、オン状態において、制御部10から出力されるゲート信号をLレベルの電圧VLにする。
【0083】
時刻t21から所定の時間が経過した時刻t22において、制御部10がオン状態になったものとする。しかしながら、上述のように、制御部10から出力されるゲート信号を起動遅延回路40がLレベルの電圧VLにしているため、スイッチ素子Q1のゲート―ソース間電圧VGSQ1およびスイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧VGSQ2がVLのままとなり、スイッチ素子Q1、Q2はともにオフ状態のままとなる。このため、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1は、ゼロのままである。ただし、キャパシタC2は、上述のようにダイオードD2を介して電流が供給されるため、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2は、時間が経過するに従って上昇する。また、スイッチ素子Q1、Q2がオフ状態のままであるため、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1は、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧VRFOUTのピーク値で維持される。
【0084】
時刻t21から予め定められた時間T1が経過した時刻t23において、起動遅延回路40がオフ状態になる。すると、図4の時刻t13以降と同様に、スイッチ素子Q1のドレイン電流に応じて定電流制御および力率改善制御が行われることとなる。
【0085】
上述の予め定められた時間T1については、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2が、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧VRFOUTのピーク値まで上昇するまでの時間以上に設定される。この予め定められた時間T1は、例えば交流電源Vinから入力される交流電力の周波数が50Hzの場合には、10ms以上に設定される。
【0086】
以上の定電流電源装置1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0087】
定電流電源装置1は、定電流回路20を制御する制御部10により、力率改善回路30も制御する。このため、制御部10を、定電流回路20と力率改善回路30とで兼用することになるので、定電流電源装置1を小型化することができる。
【0088】
また、定電流電源装置1は、力率改善回路30により力率改善制御を行って、力率を改善する。このため、高周波規制を満たすことができる。
【0089】
また、上述の定電流電源装置100では、入力電圧VVinの変動に対する定電流出力の安定性に関わるキャパシタC7の容量について、高周波規制により単純に大きくすることができなかった。これに対して、定電流電源装置1では、上述のように高周波規制を満たすことができるため、入力電圧VVinの変動に対する定電流出力の安定性に関わるキャパシタC2の容量について、大きくすることができる。このため、入力電圧の変動に対する定電流出力の安定性を確保できる。
【0090】
また、定電流電源装置1では、力率改善回路30の出力電圧は、直流であり、この直流電圧が定電流回路20に入力される。このため、定電流電源装置1の出力電流リップルを抑えることができる。
【0091】
また、定電流電源装置1は、上述のように制御部10を兼用するため、定電流回路20における定電流制御のタイミングで力率改善回路30を制御することになる。このため、力率改善回路30における力率改善制御は、力率の改善に最適なタイミングで行われるわけではないので、力率改善回路30の出力電圧は、入力電圧に対して依存性を有することになる。しかしながら、力率改善回路30の後ろに定電流回路20が設けられているため、定電流電源装置1の出力電流は、定電流回路20における定電流制御が行われた後のものである。したがって、定電流電源装置1は、定電流を出力することができる。
【0092】
また、定電流電源装置1では、定電流回路20の入力電圧は、上述のように直流である。このため、制御部10がスイッチ素子Q1に送信するゲート信号のデューティ比は、略一定となり、スイッチ素子Q2は、スイッチ素子Q1に送信されるゲート信号に基づいて動作するため、スイッチ素子Q2のデューティ比も、略一定となる。したがって、定電流電源装置1の入力電流は、定電流電源装置1の入力電圧に比例することになるので、定電流電源装置1の力率を向上することができる。
【0093】
また、スイッチ素子Q2をスイッチ素子Q1で兼用すれば、定電流電源装置1をさらに小型化することができる。ところが、兼用すると、スイッチ素子Q1には、定電流電源装置1の出力電流だけでなく、スイッチ素子Q2に流れていた電流も流れることとなる。このため、制御部10は、定電流電源装置1の出力電流を正確に検出することができなくなるため、定電流制御を正確に行うことができず、定電流を出力できなくなってしまう。しかしながら、定電流電源装置1は、スイッチ素子Q1とスイッチ素子Q2とを別々に備えているため、制御部10は、定電流電源装置1の出力電流を正確に検出することができる。したがって、定電流電源装置1は、定電流制御を正確に行うことができ、定電流を出力することができる。
【0094】
また、定電流電源装置1では、力率改善回路30は、いわゆる昇圧型チョッパ回路で構成される。このため、力率改善回路30の出力電圧は、入力電圧VVinと比べて高くなる。したがって、昇圧型チョッパ回路で構成される力率改善回路30を備えていない場合と比べて、多くのエネルギーをキャパシタC2に蓄積させることができ、長時間に亘ってキャパシタC2から定電流回路20に電力を供給することができるので、定電流電源装置1は、長時間に亘って定電流を出力することができる。
【0095】
また、定電流電源装置1では、交流電源Vinから交流電力の入力が開始されてから予め定められた時間T1が経過するまでの期間において、スイッチ素子Q1、Q2がともにオフ状態のままとなり、定電流回路20および力率改善回路30の動作が停止する。このため、定電流電源装置1の起動時において、スイッチ素子Q2がオン状態のままとなってしまうのを防止して、力率改善回路30が動作したままの状態となってしまうのを防止できるので、定電流電源装置1に過電流が流れてしまうのを防止できる。
【0096】
<第2実施形態>
[定電流電源装置1Aの構成]
図6は、本発明の第2実施形態に係る定電流電源装置1Aの回路図である。定電流電源装置1Aは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る定電流電源装置1とは、起動遅延回路40の代わりに起動遅延回路40Aを備える点が異なる。なお、定電流電源装置1Aにおいて、定電流電源装置1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0097】
起動遅延回路40Aは、制御部10と、スイッチ素子Q1、Q2のそれぞれのゲートと、の間に設けられる。
【0098】
[定電流電源装置1Aの動作]
以上の構成を備える定電流電源装置1Aは、定電流電源装置1と同様に、起動時において、起動遅延回路40Aにより、定電流回路20における定電流制御と、力率改善回路30における力率改善制御と、を停止させる。起動遅延回路40Aは、起動遅延回路40と同様に、交流電源Vinから定電流電源装置1Aへの交流電力の入力が開始されるとオン状態になり、予め定められた時間T1が経過するとオフ状態になる。ただし、オン状態において、起動遅延回路40は、制御部10から出力されるゲート信号をLレベルの電圧VLにするのに対して、起動遅延回路40Aは、制御部10から出力されるゲート信号をマスクして、スイッチ素子Q1、Q2のゲートにはLレベルの電圧が印可されるようにする。
【0099】
以上の定電流電源装置1Aによれば、定電流電源装置1が奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0100】
<第3実施形態>
[定電流電源装置1Bの構成]
図7は、本発明の第3実施形態に係る定電流電源装置1Bの回路図である。定電流電源装置1Bは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る定電流電源装置1とは、ソフトスタート回路50を備える点が異なる。なお、定電流電源装置1Bにおいて、定電流電源装置1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0101】
ソフトスタート回路50は、起動遅延回路40と制御部10との間に設けられる。
【0102】
[定電流電源装置1Bの動作]
以上の構成を備える定電流電源装置1Bは、定電流電源装置1と同様に、起動時において、制御部10の起動を起動遅延回路40により遅延させて、定電流回路20における定電流制御と、力率改善回路30における力率改善制御と、を停止させる。さらに、起動遅延回路40による制御部10の起動の遅延が終了した後に、ソフトスタート回路50により、スイッチ素子Q1、Q2に対してソフトスタート制御を行う。
【0103】
ここで、ソフトスタート回路50が設けられていない定電流電源装置1では、図5の時刻t23〜t24の期間のように、スイッチ素子Q2のオフ状態においてインダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1がゼロレベルまで減少しない期間が発生してしまう。
【0104】
図8は、図5の時刻t23〜t24の期間を拡大した図である。時刻t23〜t24の期間では、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1と、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2と、の電位差が比較的小さい。このため、上述の1つ目の要因により、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1が増加してしまっている。
【0105】
しかしながら、定電流電源装置1Bには、上述のようにソフトスタート回路50が設けられている。このため、定電流電源装置1Bは、図9を用いて後述するように、起動遅延回路40による制御部10の起動の遅延が終了した後に、スイッチ素子Q2のオフ状態においてインダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1をゼロレベルまで減少させることができる。
【0106】
図9は、図8と対になる図であり、起動遅延回路40による制御部10の起動の遅延が終了した後における定電流電源装置1Bのタイミングチャートである。
【0107】
時刻t33において、起動遅延回路40がオフ状態になり、起動遅延回路40による制御部10の起動の遅延が終了したものとする。すると、ソフトスタート回路50は、制御部10に制御信号を送信して、スイッチ素子Q1、Q2に対してソフトスタート制御を行わせる。このため、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGSQ1のオン幅と、スイッチ素子Q2のゲート−ソース間電圧VGSQ2のオン幅とは、時間が経過するに従って広くなっている。これによれば、起動遅延回路40による制御部10の起動の遅延が終了した際に、定電流電源装置1と比べて、スイッチ素子Q1、Q2のそれぞれのオン幅が狭くなるため、スイッチ素子Q2のオン状態におけるインダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1の上昇が抑制される。したがって、キャパシタC1の一方の電極の電圧VC1と、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2と、の電位差が比較的小さいために、スイッチ素子Q2のオフ状態における電流IL1の減少する度合いが低くなっていても、スイッチ素子Q2のオフ状態においてインダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1がゼロレベルまたはゼロレベル近傍まで減少することになる。よって、電流IL1の蓄積が抑制され、その結果、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1の増加が抑制されている。
【0108】
以上の定電流電源装置1Bによれば、定電流電源装置1が奏することのできる上述の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
【0109】
定電流電源装置1Bは、起動遅延回路40による制御部10の起動の遅延が終了した後に、ソフトスタート回路50により、スイッチ素子Q1、Q2に対してソフトスタート制御を行う。このため、起動遅延回路40による制御部10の起動の遅延が終了した後では、スイッチ素子Q1、Q2のオン幅は、急激に広くなるのではなく、時間が経過するに従って広くなり、インダクタL1の一端から他端に流れる電流IL1の増加が抑制される。したがって、定電流電源装置1に過電流が流れてしまうのをより確実に防止できる。
【0110】
<第4実施形態>
[起動遅延回路40Bおよびソフトスタート回路50Aの構成]
図10は、本発明の第4実施形態に係る定電流電源装置1Cに設けられる起動遅延回路40Bおよびソフトスタート回路50Aの回路図である。起動遅延回路40Bおよびソフトスタート回路50Aは、図7に示した本発明の第3実施形態に係る定電流電源装置1Bに設けられる起動遅延回路40およびソフトスタート回路50の具体的な回路の一例である。なお、定電流電源装置1Cにおいて、定電流電源装置1Bと同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0111】
起動遅延回路40Bは、抵抗R4〜R7と、キャパシタC5と、NPN型トランジスタで構成されるスイッチ素子Q3、Q4と、を備える。抵抗R6の一端には、キャパシタC2の一方の電極が接続され、抵抗R6の他端には、抵抗R7を介して、キャパシタC2の他方の電極が接続される。抵抗R7には、キャパシタC5が並列接続される。抵抗R6と抵抗R7との接続点には、スイッチ素子Q4のベースが接続される。
【0112】
抵抗R4の一端には、制御部10に設けられたレギュレータを介して、キャパシタC2の一方の電極が接続される。抵抗R4の他端には、抵抗R5を介して、キャパシタC2の他方の電極が接続される。抵抗R4と抵抗R5との接続点には、スイッチ素子Q4のコレクタと、スイッチ素子Q3のベースと、が接続される。スイッチ素子Q3のエミッタには、キャパシタC2の他方の電極が接続される。
【0113】
ソフトスタート回路50Aは、抵抗R2、R3と、キャパシタC4と、を備える。抵抗R2の一端には、制御部10に設けられたレギュレータを介して、キャパシタC2の一方の電極が接続される。抵抗R2の他端には、抵抗R3を介して、キャパシタC2の他方の電極が接続される。抵抗R3には、キャパシタC4が並列接続される。また、抵抗R2と抵抗R3との接続点には、制御部10と、スイッチ素子Q3のコレクタと、が接続される。
【0114】
[起動遅延回路40Bおよびソフトスタート回路50Aの動作]
以上の構成を備える起動遅延回路40Bおよびソフトスタート回路50Aは、それぞれ、上述の起動遅延回路40およびソフトスタート回路50と同様に動作する。具体的には、交流電源Vinから交流電力の入力が開始されると、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2は、図4を用いて上述したように、時間が経過するに従って上昇し、抵抗R6およびキャパシタC5で構成される時定数回路に印加される。このため、交流電源Vinから交流電力の入力が開始されてから、抵抗R6およびキャパシタC5で構成される時定数回路の時定数により定まる時間が経過するまでは、スイッチ素子Q4がオフ状態であり、上述の時間が経過すると、スイッチ素子Q4がオン状態になる。
【0115】
なお、抵抗R6およびキャパシタC5で構成される時定数回路の時定数により定まる時間とは、上述の予め定められた時間T1のことである。このため、抵抗R6の抵抗値やキャパシタC5の容量を設定することで、予め定められた時間T1を任意に設定することができる。
【0116】
スイッチ素子Q4がオフ状態である期間、すなわち定電流電源装置1Cの起動を開始してから予め定められた時間T1が経過するまでの期間では、スイッチ素子Q3のベースに、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2を上述のレギュレータで定電圧化したものが印加され、スイッチ素子Q3がオン状態になる。このため、制御部10には、上述の閾値電圧Vrefとして、キャパシタC2の他方の電極の電圧、すなわちLレベルの電圧VLが印加されることとなる。したがって、制御部10は、スイッチ素子Q1、Q2をオフ状態にする。
【0117】
一方、スイッチ素子Q4がオン状態になった後、すなわち定電流電源装置1Cの起動を開始してから予め定められた時間T1が経過した後では、スイッチ素子Q3がオフ状態になる。このため、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2を上述のレギュレータで定電圧化したものが、抵抗R2およびキャパシタC4で構成される時定数回路に印加される。このため、抵抗R2およびキャパシタC4で構成される時定数回路により定まる時間が経過するまでは、上述の閾値電圧Vrefは、時間が経過するに従って上昇する。したがって、スイッチ素子Q1、Q2のオン幅は、時間が経過するに従って広くなり、スイッチ素子Q1、Q2に対してソフトスタート制御が行われることとなる。
【0118】
以上の定電流電源装置1Cによれば、定電流電源装置1Bが奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0119】
<第5実施形態>
[起動遅延回路40Cおよびソフトスタート回路50Aの構成]
図11は、本発明の第5実施形態に係る定電流電源装置1Dに設けられる起動遅延回路40Cおよびソフトスタート回路50Aの回路図である。起動遅延回路40Cおよびソフトスタート回路50Aは、図7に示した本発明の第3実施形態に係る定電流電源装置1Bに設けられる起動遅延回路40およびソフトスタート回路50の具体的な回路の一例である。なお、定電流電源装置1Dにおいて、定電流電源装置1B、1Cと同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0120】
起動遅延回路40Cは、抵抗R6〜R9と、キャパシタC5と、NPN型トランジスタで構成されるスイッチ素子Q4と、PNP型トランジスタで構成されるスイッチ素子Q5と、を備える。スイッチ素子Q4のエミッタには、キャパシタC2の他方の電極が接続され、スイッチ素子Q4のコレクタには、抵抗R8および抵抗R9を介して、キャパシタC2の他方の電極が接続される。抵抗R8と抵抗R9との接続点には、スイッチ素子Q5のベースが接続される。スイッチ素子Q5のエミッタには、キャパシタC2の一方の電極が接続され、スイッチ素子Q5のコレクタには、制御部10に設けられたレギュレータが接続される。
【0121】
[起動遅延回路40Cおよびソフトスタート回路50Aの動作]
以上の構成を備える起動遅延回路40Cおよびソフトスタート回路50Aは、それぞれ、上述の起動遅延回路40およびソフトスタート回路50と同様に動作する。具体的には、交流電源Vinから交流電力の入力が開始されてから、抵抗R6およびキャパシタC5で構成される時定数回路の時定数により定まる時間が経過するまでは、スイッチ素子Q4がオフ状態であり、上述の時間が経過すると、スイッチ素子Q4がオン状態になる。
【0122】
スイッチ素子Q4がオフ状態である期間、すなわち定電流電源装置1Cの起動を開始してから予め定められた時間T1が経過するまでの期間では、スイッチ素子Q5のベースに、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2が印加され、スイッチ素子Q5がオフ状態になる。このため、制御部10に設けられたレギュレータに、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2が印加されないため、制御部10には、上述の閾値電圧Vrefとして、キャパシタC2の他方の電極の電圧、すなわちLレベルの電圧VLが印加されることとなる。したがって、制御部10は、スイッチ素子Q1、Q2をオフ状態にする。
【0123】
一方、スイッチ素子Q4がオン状態になった後、すなわち定電流電源装置1Cの起動を開始してから予め定められた時間T1が経過した後では、スイッチ素子Q5がオン状態になる。このため、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2を上述のレギュレータで定電圧化したものが、抵抗R2およびキャパシタC4で構成される時定数回路に印加される。このため、抵抗R2およびキャパシタC4で構成される時定数回路により定まる時間が経過するまでは、上述の閾値電圧Vrefは、時間が経過するに従って上昇する。したがって、スイッチ素子Q1、Q2のオン幅は、時間が経過するに従って広くなり、スイッチ素子Q1、Q2に対してソフトスタート制御が行われることとなる。
【0124】
以上の定電流電源装置1Cによれば、定電流電源装置1Bが奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0125】
<第6実施形態>
[起動遅延回路40Dおよびソフトスタート回路50Aの構成]
図12は、本発明の第6実施形態に係る定電流電源装置1Eに設けられる起動遅延回路40Dおよびソフトスタート回路50Aの回路図である。起動遅延回路40Dおよびソフトスタート回路50Aは、図7に示した本発明の第3実施形態に係る定電流電源装置1Bに設けられる起動遅延回路40およびソフトスタート回路50の具体的な回路の一例である。なお、定電流電源装置1Eにおいて、定電流電源装置1B、1C、1Dと同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0126】
起動遅延回路40Dは、抵抗R5〜R7、R10〜R13と、キャパシタC6と、ダイオードD4、D5と、ツェナーダイオードDZと、NPN型トランジスタで構成されるスイッチ素子Q3と、PNP型トランジスタで構成されるスイッチ素子Q6、Q7と、を備える。
【0127】
キャパシタC6は、抵抗R6に並列接続される。抵抗R13の一端には、キャパシタC2の一方の電極が接続され、抵抗R13の他端には、ツェナーダイオードDZのカソードと、スイッチ素子Q7のベースと、が接続される。ツェナーダイオードDZのアノードには、抵抗R7を介してキャパシタC2の他方の電極が接続される。スイッチ素子Q7のエミッタには、キャパシタC2の一方の電極が接続される。スイッチ素子Q7のコレクタには、スイッチ素子Q6のベースが接続されるとともに、抵抗R11を介してキャパシタC2の他方の電極が接続される。
【0128】
スイッチ素子Q6のエミッタには、キャパシタC2の一方の電極が接続され、スイッチ素子Q6のコレクタには、ダイオードD4のアノードと、ダイオードD5のアノードと、が接続される。スイッチ素子Q5のカソードには、抵抗R12および抵抗R7を介して、キャパシタC2の他方の電極が接続される。ダイオードD4のカソードには、抵抗R10および抵抗R5を介してキャパシタC2の他方の電極が接続されるとともに、スイッチ素子Q3のベースが接続される。スイッチ素子Q3のエミッタには、キャパシタC2の他方の電極が接続され、スイッチ素子Q3のコレクタには、制御部10が接続される。
【0129】
[起動遅延回路40Dおよびソフトスタート回路50Aの動作]
以上の構成を備える起動遅延回路40Dおよびソフトスタート回路50Aは、それぞれ、上述の起動遅延回路40およびソフトスタート回路50と同様に動作する。具体的には、交流電源Vinから交流電力の入力が開始されてから、抵抗R7およびキャパシタC6で構成される時定数回路の時定数により定まる時間が経過するまでは、スイッチ素子Q7がオフ状態であり、上述の時間が経過すると、スイッチ素子Q7がオン状態になる。
【0130】
スイッチ素子Q7がオフ状態である期間、すなわち定電流電源装置1Dの起動を開始してから予め定められた時間T1が経過するまでの期間では、スイッチ素子Q6がオン状態になり、スイッチ素子Q3がオン状態になる。このため、制御部10には、上述の閾値電圧Vrefとして、キャパシタC2の他方の電極の電圧、すなわちLレベルの電圧VLが印加されることとなる。したがって、制御部10は、スイッチ素子Q1、Q2をオフ状態にする。
【0131】
一方、スイッチ素子Q7がオン状態になった後、すなわち定電流電源装置1Dの起動を開始してから予め定められた時間T1が経過した後では、スイッチ素子Q6がオフ状態になり、スイッチ素子Q3がオフ状態になる。このため、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2を上述のレギュレータで定電圧化したものが、抵抗R2およびキャパシタC4で構成される時定数回路に印加される。このため、抵抗R2およびキャパシタC4で構成される時定数回路により定まる時間が経過するまでは、上述の閾値電圧Vrefは、時間が経過するに従って上昇する。したがって、スイッチ素子Q1、Q2のオン幅は、時間が経過するに従って広くなり、スイッチ素子Q1、Q2に対してソフトスタート制御が行われることとなる。
【0132】
以上の定電流電源装置1Dによれば、定電流電源装置1Bが奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0133】
<第7実施形態>
[起動遅延回路40Eおよびソフトスタート回路50Aの構成]
図13は、本発明の第7実施形態に係る定電流電源装置1Fに設けられる起動遅延回路40Eおよびソフトスタート回路50Aの回路図である。起動遅延回路40Eおよびソフトスタート回路50Aは、図7に示した本発明の第3実施形態に係る定電流電源装置1Bに設けられる起動遅延回路40およびソフトスタート回路50の具体的な回路の一例である。なお、定電流電源装置1Fにおいて、定電流電源装置1B、1C、1D、1Eと同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0134】
起動遅延回路40Eは、抵抗R6、R7と、リセット回路41と、を備える。抵抗R6と抵抗R7との接続点には、リセット回路41が接続される。このリセット回路41には、制御部10が接続されるとともに、制御部10に設けられたレギュレータを介して、キャパシタC2の一方の電極が接続される。
【0135】
[起動遅延回路40Eおよびソフトスタート回路50Aの動作]
以上の構成を備える起動遅延回路40Eおよびソフトスタート回路50Aは、それぞれ、上述の起動遅延回路40およびソフトスタート回路50と同様に動作する。具体的には、リセット回路41によりキャパシタC2の一方の電極の電圧VC2を監視する。
【0136】
交流電源Vinから交流電力の入力が開始されると、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2は、図4を用いて上述したように、時間が経過するに従って上昇する。キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2がゼロから上昇し始めてから予め定められた時間T1が経過するまでの時間、すなわち定電流電源装置1Fの起動を開始してから予め定められた時間T1が経過するまでの期間では、リセット回路41により、制御部10に、上述の閾値電圧Vrefとして、キャパシタC2の他方の電極の電圧、すなわちLレベルの電圧VLが印加させる。これによれば、制御部10は、スイッチ素子Q1、Q2をオフ状態にする。
【0137】
一方、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2がゼロから上昇し始めてから予め定められた時間T1が経過した後、すなわち定電流電源装置1Fの起動を開始してから予め定められた時間T1が経過した後では、リセット回路41により、キャパシタC2の一方の電極の電圧VC2を上述のレギュレータで定電圧化したものを、抵抗R2およびキャパシタC4で構成される時定数回路に印加させる。このため、抵抗R2およびキャパシタC4で構成される時定数回路により定まる時間が経過するまでは、上述の閾値電圧Vrefは、時間が経過するに従って上昇する。したがって、スイッチ素子Q1、Q2のオン幅は、時間が経過するに従って広くなり、スイッチ素子Q1、Q2に対してソフトスタート制御が行われることとなる。
【0138】
以上の定電流電源装置1Eによれば、定電流電源装置1Bが奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0139】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0140】
例えば、上述の各実施形態では、制御部10は、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したもののピーク値が閾値電圧Vrefまで上昇すると、スイッチ素子Q1のゲートにLレベルのゲート信号を印可するものとした。しかしながら、これに限らず、例えば、スイッチ素子Q1のドレイン電流を抵抗R1で電圧変換したものの平均値が閾値電圧Vrefまで上昇すると、スイッチ素子Q1のゲートにLレベルのゲート信号を印可するものとしてもよい。
【0141】
また、上述の各実施形態では、定電流回路20は、いわゆる降圧回路で構成されているが、これに限らず、昇圧回路で構成されるものとしてもよい。
【0142】
また、上述の各実施形態では、定電流電源装置1は、発光ダイオードLED1〜LEDnに定電流を供給するものとしたが、これに限らず、モータといった定電流を必要とするものに定電流を供給できる。
【0143】
また、上述の第4〜第7実施形態では、制御部10に設けられたレギュレータは、キャパシタC2の一方の電極に接続されるものとしたが、これに限らず、例えば、キャパシタC1の一方の電極や、発光ダイオードLEDnのカソードに接続してもよい。これによれば、キャパシタC2の一方の電極の電圧の代わりに、キャパシタC1の一方の電極の電圧を用いたり、発光ダイオードLEDnのカソードの電圧を用いたりして、起動遅延回路40B、40C、40D、40Eやソフトスタート回路50Aが動作することとなる。
【符号の説明】
【0144】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、100、200;定電流電源装置
10;制御部
20;定電流回路
30;力率改善回路
40、40A、40B、40C、40D、40E;起動遅延回路
41;リセット回路
50、50A;ソフトスタート回路
C1〜C7;キャパシタ
D1〜D5;ダイオード
DZ;ツェナーダイオード
L1、L2;インダクタ
Q1〜Q7;スイッチ素子
R1〜R13;抵抗
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に定電流を供給する定電流電源装置であって、
定電流を出力する定電流回路と、
前記定電流回路より前記定電流電源装置の入力側に設けられた力率改善回路と、
前記定電流回路を制御する制御手段と、
前記定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間、前記定電流回路および前記力率改善回路の動作を停止させる起動遅延回路と、を備え、
前記力率改善回路は、前記制御手段から前記定電流回路に送信される制御信号に基づいて動作することを特徴とする定電流電源装置。
【請求項2】
前記起動遅延回路は、前記定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間、前記制御手段に、前記制御信号の出力を停止させることを特徴とする請求項1に記載の定電流電源装置。
【請求項3】
前記起動遅延回路は、前記定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間、前記制御手段から出力された前記制御信号をマスクすることを特徴とする請求項1に記載の定電流電源装置。
【請求項4】
前記定電流回路は、
前記負荷に流れる電流が入力端子に入力される第1のスイッチ素子と、
前記第1のスイッチ素子に流れた電流を電圧変換する電流電圧変換手段と、を備え、
前記制御手段は、前記電流電圧変換手段により変換された電圧に基づいて、前記第1のスイッチ素子に制御信号を送信し、
前記力率改善回路は、前記制御信号に基づいてチョッパ制御される第2のスイッチ素子を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の定電流電源装置。
【請求項5】
前記起動遅延回路による前記定電流回路および前記力率改善回路の動作の停止が解除された後に、前記第1のスイッチ素子および前記第2のスイッチ素子に対してソフトスタート制御を行うソフトスタート回路を備えることを特徴とする請求項4に記載の定電流電源装置。
【請求項1】
負荷に定電流を供給する定電流電源装置であって、
定電流を出力する定電流回路と、
前記定電流回路より前記定電流電源装置の入力側に設けられた力率改善回路と、
前記定電流回路を制御する制御手段と、
前記定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間、前記定電流回路および前記力率改善回路の動作を停止させる起動遅延回路と、を備え、
前記力率改善回路は、前記制御手段から前記定電流回路に送信される制御信号に基づいて動作することを特徴とする定電流電源装置。
【請求項2】
前記起動遅延回路は、前記定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間、前記制御手段に、前記制御信号の出力を停止させることを特徴とする請求項1に記載の定電流電源装置。
【請求項3】
前記起動遅延回路は、前記定電流電源装置への電力供給が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間、前記制御手段から出力された前記制御信号をマスクすることを特徴とする請求項1に記載の定電流電源装置。
【請求項4】
前記定電流回路は、
前記負荷に流れる電流が入力端子に入力される第1のスイッチ素子と、
前記第1のスイッチ素子に流れた電流を電圧変換する電流電圧変換手段と、を備え、
前記制御手段は、前記電流電圧変換手段により変換された電圧に基づいて、前記第1のスイッチ素子に制御信号を送信し、
前記力率改善回路は、前記制御信号に基づいてチョッパ制御される第2のスイッチ素子を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の定電流電源装置。
【請求項5】
前記起動遅延回路による前記定電流回路および前記力率改善回路の動作の停止が解除された後に、前記第1のスイッチ素子および前記第2のスイッチ素子に対してソフトスタート制御を行うソフトスタート回路を備えることを特徴とする請求項4に記載の定電流電源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−13288(P2013−13288A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145614(P2011−145614)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
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