説明

履物等

【課題】 多様な履物等利用者の多様な特性・目的・症状に合わせて上下肢関節の関節ブレを適合化可能なものにするために、足首関節ブレをドライバ・ローリング(足首関節の駆動挙動)と区別可能なものとする履物等を提供することを目的とする。
【解決手段】 上下肢関節の関節ブレの起因が体重移動により起こる足首関節ブレであり、当該利用者の特性・目的・症状に合わせて上下肢関節の関節ブレの適合化を可能なものにするための要諦は、足首関節ブレをフレキシブルにドライバ・ローリングと区別し制御可能なものにすることであり、そのように区別し制御可能なものにするための要諦は、ゼロブレ基準線を履物等の中で区別可能なものにすることである。本発明は、底支点の軌跡を制御するための基準線としてゼロブレ基準線を履物等の中で周辺部と区別可能なものにする区別線線原体(部材又は模様)を履物等に産設(配置)して上記の目的を実現したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来、注目されなかった技術分野に係るので、まず、当該技術分野のニーズから説明する。
【0002】
また、当該技術分野では適合する学術用語がないため、用語を定義して使うことにより冗長な繰り返しの修飾文節を避ける。
また、定義を検索できるように、定義は「・・と定義する」、「・・と定義し」と若干の不可避の例外を除いて書くことにするので、例えば、「足首関節ブレと定義」で検索すれば足首関節ブレの定義が参照できるようにする。
また、複雑な技術概念の参照の便宜のために検索可能なように内容を示す見だしを、例えば、{{足首関節ブレの説明}}などとつけることにするので、「{{」を検索すれば、見出しを順次呼び出すことができる。
又、長文で内容が、どの句とどの句が同格か、又は修飾文節がどこにかかるか、が特に判りにくくなる場合は、1文の中で区切り点を小さい意味単位の区切りの方から順番に、必要に応じて「、」、「;」、「:」、「::」、「。」の順に使って行って論理を説明しやすくする。
また、文中に「並びに/若しくは」が頻繁に使われると読みにくいので、「・」を「並びに/若しくは」の意味として定義して用いる。
【0003】
ここで、体重移動動作の実践者を単に実践者と定義する。
又、履物、又は取り替え式の履物用中敷き、又は足着用物(ソックスなど)、を履物等と定義する。
{{上下肢関節の関節ブレの説明}}
又、足首関節、膝関節、股関節、仙腸関節、肩甲胸郭関節、肩甲上腕関節、肘関節、及び手首関節、を総称して上下肢関節と定義すると、体重移動を伴う動作(体重移動動作と定義する)に於ける上下肢関節の関節挙動には、意図しないのに体重移動時に起こる上下肢関節の外乱的な左右方向の関節挙動(これを関節ブレと定義する)と、意図した関節挙動と、がある。
体重移動動作に於ける関節ブレの中で頻繁に問題になるのは、上下肢関節に於ける体重移動による関節ブレである。それらの関節ブレで代表的なものとして、例えば、足ブレ(足首関節に於ける関節ブレ)、膝ブレ(膝関節ブレ)、股関節ブレ、体軸ブレ(上下肢関節のブレの組合せ)、目線ブレ(上下肢関節のブレの組合せ)、などという俗称で表現されるものがある。体重移動動作に於ける関節ブレの起因が足首関節ブレである。
【0004】
ここで、特に当該関節ブレの起因である足首関節の関節ブレ(足首関節ブレ)の挙動につき詳しく説明する。
{{足首関節の説明}}
足全体には、主なものでも、距腿関節及び距骨下関節という解剖学では足関節と呼ばれるものを始めとして、楔舟関節、距踵舟関節、踵立方関節、足根中足関節、中足指節関節、指節間関節など足全体に散在する多数の関節群があり、実践者には足の機能が理解しにくい。この足機能の難解さこそが足首関節ブレへの対処を困難にしている諸悪の根源である。
そこで、足全体の関節群の機能を統合した一つ仮想関節を想定し、その所在位置が距腿関節中心である仮想球関節を想定して、当該仮想球関節を足首関節と定義する。
「足首関節」及びその関連の概念は、発明者らが開発したLモデルという足挙動メカニズム理論によるものだが、足の関節群の複雑な挙動を簡便に説明できるのでLモデルを用いて説明する。
【0005】
{{ドライバ、ローリング、足首関節ブレの説明}}
Lモデルでは、
背屈若しくは底屈、回内若しくは回外、内転若しくは外転、の3軸関節挙動成分が組み合わさった立体的な関節挙動を球関節挙動と定義する。
Lモデルでは、足首関節の球関節挙動には:
体正面方向に体重移動する主要駆動源として、足首関節の背屈底屈軸の対地での向き方向を変えないで体重移動を行う内力起源の球関節挙動であり、その関節挙動成分の混合割合が体の仕組みに沿った随意的球関節挙動(この足首関節の関節挙動をドライバと定義する)と;
体正面方向に体重移動する補助的な駆動源として、足首関節の背屈底屈軸の対地での向き方向を変えないで、ドライバによる足底転動とは異なった意図的な足底転動を起こす内力起源の背屈底屈の随意的関節挙動(この足の転動に関わる足首関節の関節挙動をローリングと定義する)と;
体重移動時に意図しないのに反射的に起こる外力起源の球関節挙動であり、足首関節の背屈底屈軸の対地での向き方向をブレさせる外乱的な主に左右方向の関節挙動であり、足の不規則な挙動を発生させる不随意的球関節挙動(足ブレと呼ばれるこの足首関節の関節挙動を足首関節ブレと定義する)と:
があり得るとする。あり得るとは、足首関節ブレ・ローリングがゼロの場合もあり得るという意味である。例えば、足首関節ブレがゼロなら足ブレが起こらず、更にその上にローリングの値によっては足底は転動せずに接地中はフラット状態を保つこともあり得る。
Lモデルでは:
ドライバは、内力起源の内反外反であり、背屈若しくは底屈、回内若しくは回外、内転若しくは外転、が規則的に組合わさった随意関節挙動であり;
ローリングは、背屈若しくは底屈の随意関節挙動であり;
足首関節ブレは、外力起源の内反外反を主体としたものであり、背屈若しくは底屈、回内若しくは回外、内転若しくは外転、が不規則的に混合した不随意関節挙動である:
と想定して扱う。
また、最も基本的な体重移動動作である直進歩行では、ドライバ・ローリングだけであれば、足首関節の背屈底屈軸の対地での向き方向が変わらないので、足首関節ブレが起こらず、上下肢関節の関節ブレが起こらないので、体の安定性が保たれる。
【0006】
{{足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別可能なことの必要性の説明}}
しかし、体重移動動作の実践者が体重移動を行う際に足裏で体重を支える支え方によっては、ドライバ・ローリングに足首関節ブレが混入することがあり、足首関節の背屈底屈軸の対地方向にブレが生じ、上下肢関節に関節ブレが生じることがある。
上下肢関節は筋肉及び腱及び靱帯で連結されているために、その足首関節ブレが足から上に向かって上位の他の上下肢関節それぞれに影響してそれぞれの関節ブレを引き起こす。
従って、関節ブレを実践者の特性・目的・症状に合わせて適合化するための要諦は、起因である足首関節ブレを足首関節のドライバ・ローリングと区別して制御可能なことである。
ドライバ・ローリングは内力起源の随意挙動であるから、実践者は意図して容易に制御することができる。
しかし、足首関節ブレの制御については、足首関節ブレは外力起源であり且つ不随意的な自律反射による外乱挙動であるから、ドライバ・ローリングに混入するのを制御するのは困難であり、実践者にとって「体重移動により起こる足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別して制御」(以下、「区別制御」という)するのが現実的に不可能であった。
【0007】
従って、足首関節ブレを区別制御するための要諦は、足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別可能なものにすることである。
【0008】
従来、履物等業界・スポーツ界では、立体的な足首関節の球関節挙動は複雑すぎるので、それを単に足の捻れ(ネジレ)として捉え足関節の回内回外という地面に平行な1軸の運動軸まわりの捻りに注目するのが普通であった。さらに、その足関節の回内回外も、足首関節ブレの回内回外相当成分とドライバの回内回外相当成分とが区別されないで合計で把握されてきた。
【0009】
また関連業界及び関連学会では、体重移動により起こる足ブレ(足首関節ブレ)を制御することが上下肢関節の各関節ブレを制御することに繋がることは従来から経験的に認識されてきたものの、足首関節ブレを制御するために、足首関節ブレとドライバ・ローリングとを区別する方法までは踏み込まれることはなかった。そのため、実践者には、足首関節のドライバ・ローリングと足首関節ブレとを区別する効率的な術がなく、従って、上下肢関節の各関節ブレをフレキシブルに制御する効率的な術がなかったのである。
【0010】
{{足首関節ブレが起因の傷害の予防}}
体重移動により起こる足首関節ブレは、上下肢関節のそれぞれに於いてそれぞれの関節ブレを誘起し、その関節ブレがたとえその関節に急性損傷を与えない程度の関節ブレであっても習慣的に継続して起これば、関節の噛み合い面への横方向への片当たり・荷重負担が関節の片減りなどの損傷・変形を引き起こす主原因となった。足首関節では外反母趾、膝関節では変形性膝関節症などが代表的である。
従って、当該損傷を予防又は矯正する局面からみて、多様な実践者の特性や、どの関節の関節ブレをどのように予防又は矯正をしたいのかという実践者のそれぞれの目的・症状に応じて当該関節ブレをフレキシブルに適合化できることが重要である。
【0011】
{{足首関節ブレの低減と活用}}
一方、上下肢関節関連の筋肉・腱が丈夫な健常者の走歩行又はスポーツ等の局面に於ける体重移動動作では、多様な実践者の特性・目的・症状に応じてフレキシブル・パワフルに、膝ブレ・股関節ブレ・体軸ブレ・目線ブレなどという形で表現される上下肢関節の各関節ブレ、足首関節ブレ、を低減又は逆に増大するように制御することが求められる。
即ち、走歩行又はスポーツ等のパフォーマンスに於ける再現性の高い方向安定性及び/又は疲労低減化及び/又は高出力を目的とする局面では:
目線ブレ・膝ブレ・股関節ブレ・体軸ブレなどの方向ブレやエネルギー消費を低減すべく、上下肢関節の関節ブレ、つまりその起因の足首関節ブレ、を低減若しくはゼロになるように足首関節ブレを区別制御すること;
又は逆に、当該パフォーマンスに於ける前後左右への制動・迅速駆動・方向転換のための加速度やパワーを向上させるべく、上下肢関節の関節ブレを逆に活用するためにその起因である足首関節ブレを増大するように足首関節ブレを区別制御すること:
など多様なフレキシブルさで足首関節ブレを区別制御することが求められる。
【0012】
以上のように、実践者の特性・目的・症状に合わせて上下肢関節の関節ブレを適合化するためには、それらの多様な特性・目的・症状に適合したやり方で足首関節ブレを低減又は増大すべくフレキシブルに区別制御可能なになることが重要である。
実践者が足首関節ブレを区別制御するための要諦は、足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別可能なものにすることであった。
しかし、従来、実践者に解りやすく足挙動メカニズム理論にまで掘り下げて説明した体重移動により起こる足首関節ブレに関する挙動理論はなかった。またそれ故、当然、足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別可能なものにするという履物等の技術思想もなかった。
【0013】
{{本発明が属する技術分野}}
本発明は、履物等に関し、特に、足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別可能なものにする構成に特徴を有する履物等に関する。
【背景技術】
【0014】
本発明に係る履物等(以下、本発明履物等という)に相当するものは従来に存在しない。
従って以下に、本発明履物等に最も近いと思われる従来の履物等(以下、従来履物等という)の例につき従来技術を説明する。
【0015】
従来履物等として、履物等の構成を特定の目的に一義的に合わせて足の挙動を一部拘束して履物等利用者の挙動を誘導するための構成のものがある。例えば、足の捻れ(回内回外)による、足の疲労、外反母趾など足首関節の損傷、及び/又は、スポーツ等に於ける走行不安定性、を回避することを一義的に目的とした履物等が多く存在する。
代表的な例として、特許文献1の特開2002−262903(P2002−262903A)の発明の名称 「シャンク部を備えた靴」がある。
また、別の代表的な例として、
【特許文献2】特開2005−95388(P2005−95388A) 発明の名称 「シューズ」がある。
【0016】
前記の「シャンク部を備えた靴」は、前足部の回内運動の回転軸が土踏まず部(解剖学では中足部)に在るとして、当該回転軸まわりに前足部(解剖学では指節部)の回内運動が起こるという足挙動メカニズム前提に基づいている。
一方、前記の「シューズ」は、前足部(解剖学では指節部)の回内運動の回転軸が中足部に在る足底面に平面的に走る直線として、同技術の明細書の段落番号0099に記載されるとおり靴型中心線(解剖学的には、足の長軸)を回転軸にして前足部の回内回外運動が起こるという足挙動メカニズム前提に基づいている。
つまり、上記いずれの従来履物等も、指節部の回内回外は中足部より後ろにある回転軸のまわりに回る回内回外によるという足挙動メカニズム前提に特徴を有し、当該前提に基づいて機能する手段を講じた構成となっている。
【0017】
このように、従来履物等はいずれも;
多様にフレキシブルに足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別制御することを目的とする履物等ではなく;
履物等利用者の足の捻れを一義的な方向に誘導するという技術思想に基づいて構成されたものであった。
【0018】
【特許文献1】特開2002−262903(P2002−262903A)号公報 発明の名称 「シャンク部を備えた靴」 出願人 ダイナゲイト株式会社 他1社
【特許文献2】特開2005−95388(P2005−95388A)号公報 発明の名称 「シューズ」 出願人 美津濃株式会社
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
以下、本発明が解決しようとする課題について説明する。
【0020】
{{従来技術の問題点}}
前記した従来履物等の技術思想では;
足の足根部、中足部(土踏まず部)、及び前足部(指節部)、の回内回外のうち中足部の回内回外のみに焦点を当てて、当該不安定性が前足部の中足部回内回外運動軸まわりの不適切な捻れ(回外若しくは回内)によりもたらされると捉えるので;
足全体に起こる足首関節ブレを制御することができない;
という不備が起こる。
また、足首関節の球関節挙動は、例えば歩く時の足首関節のドライバ・ローリングと足首関節ブレという挙動の合計挙動であるが;
歩行ストライド大小による背屈底屈の大小によってもそのドライバ・ローリングは変化するし;
ドライバ分の回内回外と足首関節ブレ分の回内回外を区別しないで合計で回内回外全部を一義的に拘束すると、安定した体重移動動作に必要なドライバ分の回内回外まで拘束してしまう危険性がある。
このように、従来履物等はいずれも、足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別制御可能な補助ツールになり得ないという問題点があった。
【0021】
また、前足部回内・回外に足首関節の捻れ(回内・回外)を一義的に合計で拘束してしまう(例えば、特開2005−95388(P2005−95388A)号公報 発明の名称 「シューズ」の図6又は図7 参照)ので、多様なそれぞれの履物等装着者の特性・目的・症状に合わせて足首関節ブレをフレキシブルにドライバ・ローリングと区別制御可能なものでなく、足首関節ブレが起こす上下肢関節の関節ブレの当該特性・目的・症状に適合化可能なものでもなかった。
【0022】
前記した従来履物等の例以外に、足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別可能な補助ツールとなる従来履物等は見当たらない。
【0023】
{{本発明の必要性}}
実践者の特性・目的・症状に合わせて上下肢関節の関節ブレの適合化を可能なものにするためには、足首関節の足首関節ブレを、ドライバ・ローリングと区別して、当該特性・目的・症状に合わせてフレキシブルに制御する必要がある。従って、ここでは実践者が足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別可能な補助ツールを持つことが要諦となる。
【0024】
{{本発明が目的とするもの}}
足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別可能なものとする補助ツールがあれば、当該補助ツールは足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別制御し、自らの特性・目的・症状に合わせて上下肢関節の関節ブレの適合化する道を実践者に与える。
従って、本発明では、足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別可能なものとする足首関節ブレ区別用の補助ツールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
{{Lモデルの論拠部分の説明}}
当該補助ツールである本発明履物等の構成を説明する前に、先ず、本発明履物等(課題を解決するための手段)が拠って立つランズノスモデル(これをLモデルと定義する)という足挙動メカニズム理論を説明することが欠かせない。本発明履物等がLモデルに基づいているので、Lモデル独自の用語及びロジックを用いないと本発明履物等を説明できないからである。
Lモデルは、発明者らが開発した従来にない独自の足挙動メカニズム理論であり、体重移動動作に於ける足首関節の球関節挙動の中の足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別可能にするものである。
ここではLモデルについては、その論拠部分とLモデル式ゼロブレ基準線特定方法につき説明する。つまり、本発明履物等は後述するLモデル式ゼロブレ基準線特定方法で実施可能であるが、Lモデルの論拠が当業者の常識・公知・公用の範疇内にあるものとはいえないため、それらとのギャップを埋めるためにLモデルの論拠部分も記すこととする。
以下、Lモデル用語を定義しながらLモデルの論拠部分を説明する。
【0026】
{{軸、線、線線の説明}}
Lモデルに基づいた本発明の説明では、類似の線が多く出て来て紛らわしい。そこで、体に所属する線とそれ以外の線を区別するために、以降、体に所属する線を特別に「軸」という言葉で表し、それ以外の線を「線」、「線」のグループを「線線」という用語で表す。
【0027】
また、Lモデルでは、地面は水平平滑平面の地球表面若しくはそれに準ずる床面などを意味するという前提で理論展開する。地面が水平平滑平面でない場合には、当該前提によって得られた理論を微修正するだけで使用可能である。
【0028】
体重移動動作に於ける上下肢関節の関節ブレの制御スキルの基本は、直進歩行動作に於ける上下肢関節の関節ブレの制御スキルであり;
直進歩行動作以外の体重移動動作に於ける上下肢関節の関節ブレの制御スキルも、直進歩行動作に於ける上下肢関節の関節ブレの制御スキルを適用・応用したものである;
と従来から考えられてきた。Lモデルでも、その考えに従う。
上下肢関節の関節ブレの起因は、足首関節ブレである。
従って、Lモデルでは、体重移動動作に於ける足首関節ブレの制御スキルの基本は、直進歩行動作に於ける足首関節ブレの制御スキルであり;
直進歩行動作以外の体重移動動作に於ける足首関節ブレの制御スキルも、直進歩行動作に於ける足首関節ブレの制御スキルを適用・応用したものであるとする。
【0029】
すなわち、実践者は、直進歩行動作に於ける足首関節ブレの区別制御で獲得した筋肉運動連鎖を応用・適用して練習すれば、実践者の特性・目的・症状に合わせてフレキシブルに直進歩行動作以外の体重移動動作に於ける足首関節ブレの区別制御ができるようになるとする。
【0030】
Lモデルでは、足首関節ブレがゼロでの、つまりドライバ・ローリングだけでの足首関節の関節挙動は、他の上下肢関節の各関節挙動と運動連鎖を行って自然な体重移動動作を生むので、そのような体重移動動作をLモデル型体重移動動作と定義する。
【0031】
{{底部仮想地面の説明}}
また、体重移動に伴って接地中の履物等の地面接触部は地面(水平平面と想定した)を転動又は地面とフラット維持するが、当該地面接触部は転動及び足首関節の挙動を受けて変形する。従って、履物等又は足に属する或る3次元形状を平面視する場合、当該地面接触部の面に投影して平面視の形状を得ようとしても複雑になる。
そこで、Lモデルでは、底部仮想地面という履物等に付属する仮想の地面の概念を導入する。
いま、装着した履物等に於ける或る仮想水平平面(D)が:
履物等に属する仮想水平平面(D)であり;
履物等が接地中だけは地面平面と同化して地面平面に対して動かない仮想水平平面(D)であり;
鉛直方向上方から足首関節中心を自らの面内に投影した点を履物等地面接触面への付着点とする仮想水平平面(D)であり;
体重移動による足首関節中心の動きに従って当該付着点が自らの面内を移動するような仮想水平平面(D)である:
場合に、当該仮想水平平面(D)を底部仮想地面と定義する。
底部仮想地面は、装着された履物等の地面接触面が平面でない時、又はたとえ平面であっても当該地面接触面が地面に対して複雑な変位・変形する時、に履物等の基準平面として便利である。つまり、底部仮想地面を導入すれば、例えば、足首関節中心の3次元運動の軌跡を、複雑な変位・変形をする履物等地面接触面へ投影するのではなく仮想の底部仮想地面へ投影すれば、それは運動・変形がなく履物等と共に接地・離地を繰り返す水平平面内の運動軌跡となり、それは実践者が感知するイメージにも近く理解しやすい。
【0032】
{{走査投影視の説明}}
さらに、Lモデルでは走査投影視というコンセプトを導入するので説明する。
Lモデルでは、3次元的な動きをする形状が体重移動動作中に地面に対して複雑に変位(運動・移動)し、履物等の底部面が転動又はフラット維持しながら体重移動をするケースを扱う。例えば、足首関節中心の3次元的な軌跡という足に属する形状を考えると、体重移動動作中に足首関節中心は複雑に運動するので、当該3次元的形状の挙動を時系列的に実践者がイメージするには複雑過ぎる。
また、履物等の足底接触部・履物等底部・甲被覆部などの形状は、足と共に動く上に、複雑な3次元構造をなしているので、それらに配置された3次元的な形状の動きも複雑過ぎて理解できない。通常、3次元の静物は水平平面に投影すると平面視の2次元形状を得られるので平面視の手法が便利であるが、本発明は変位・変形する3次元複雑形状を扱うので平面視の手法では矛盾がでる。
そこでLモデルでは、平面視に類似して扱える「走査投影視」という概念を導入する。
即ち、体重移動に応じて運動する或る瞬間の足首関節中心を含んで体正面方向に直角に鉛直に切った足・履物等の断面(すなわち、地面接触面と底部仮想地面の付着点に於ける断面)を各瞬間にわたり走査(スキャニング)して、当該断面内に位置する任意の3次元的な形状(A)の部分を鉛直方向上方から底部仮想地面に投射して記録するという仮想の操作をして、装着した履物等の後端から前端までを当該断面が移動し終わった時に底部仮想地面内に形状(B)を得ると考えると、当該形状(B)は高さが消えて底部仮想地面内の2次元的な形状となる。このように3次元形状(A)を、走査(スキャニング)しながら鉛直方向上方から底部仮想地面に投影して記録して得られる底部仮想地面内の2次元形状(B)にすることを、走査投影視すると定義する。当該形状(A)が変位・変形しない場合は、「走査投影視」は「平面視」と同じ意味となる。
Lモデルでは、当該形状(A)、当該形状(B)の上記した関係を表現して、当該形状(B)を称して単に「走査投影視での(若しくは、走査投影視の、若しくは、走査投影視した、若しくは、走査投影視化した)当該形状(A)」などと表現できるように「走査投影視」の意味を用いるものとする。従って、特段に強調する場合以外では、「底部仮想地面への走査投影視」などとわざわざ表現しなくとも「走査投影視」だけの表現でも十分とする。
例えば、底部仮想地面に、3次元的な形状例えば実際は足関節の3次元の内反外反運動軸、を走査投影視すると、走査投影視された内反外反運動軸は底部仮想地面内の直線という2次元形状になる。それらの2次元化した形状は、実践者にとって実際の感知感覚に近いし理解しやすいので、Lモデルでは走査投影視という2次元化方式を採る。
足・履物等に在る形状を走査投影視すると;
履物等の地面接触部の複雑な変位・変形があったとしても;
足や履物等に属する形状(A)の体重移動動作中の挙動を2次元的に当該履物等装着者が感知したい時には;
当該履物等・足が東西南北どの方向を向いていようと、底部仮想地面は履物等に属するものなので、水平な地面に投影する時に通常使う「平面視」と同じ感覚で、当該3次元形状(A)と当該2次元形状(B)の関係を履物等内で表現できるので便利である。
【0033】
{{底支点及び底支点軌跡の説明}}
又、Lモデルでは、底支点及び底支点軌跡という概念を導入する。
或る瞬間の接地足の於いて、荷重を当該接地足の足底面の或る領域の面積で支えるが、その時に当該面積にかかる足底圧の合力を支える足底面の走査投影視での中心点を底支点と定義し、体重移動動作中に底部仮想地面の面内に底支点が描く時系列的な底支点位置変化を表す軌跡を底支点軌跡と定義する。底支点はあくまで合力が働く底部仮想地面内の中心点であり、実際に底支点だけに力が集中負荷され、底支点軌跡の両側の足底領域には足底圧がいっさい掛からないという意味では必ずしもないことは留意すべきである。
また、体重移動動作の足着地・体重移動・体姿勢バランスの仕方や走歩行のストライドや動作リズムなどによって底支点軌跡は一歩ごとに変動し、また、歩行法や走行法によっては、底支点軌跡は必ずしも足後部後端から足前部前端の全域に亘るのではなく、一部分だけに描かれる場合もある。
ヒトの足底は底支点を感知する触覚(体性感覚)の神経が発達していて底支点の位置を容易に感知できるので、立脚足の足底での時系列的な底支点軌跡を体重移動動作に於ける体重移動挙動の縮図と捉えれば、抽象的で曖昧な体重移動挙動を、底支点軌跡という具象的な図形パターンで一般実践者にも明確なものとする。
【0034】
{{足首関節中心と底支点の関係の説明}}
Lモデルでは:
体重移動動作の各瞬間に体の体重移動に応じて、体重(重力)は体重心に働きその鉛直真下に向かい;
立脚脚の下腿を経て、足首関節中心にかかり;
その後、足首関節中心を経て、足経由で履物等の底部仮想地面にかかるとし;
また、当該足首関節中心の走査投影視での点が、底部仮想地面内で底支点となるとし;
また、当該足首関節中心が描く走査投影視での軌跡が、底部仮想地面内で底支点軌跡になる:
と想定する。この想定は実際の歩行実験に於ける走査投影視での足首関節中心軌跡と底支点軌跡がほぼ一致することから、妥当な想定と思われる。
【0035】
{{歩行実験による知見の説明}}
発明者らは、歩行実験により足挙動メカニズムに関わるいくつかの事実を発見した。
当該発見より得られた知見がLモデルの理論的基盤を形成しているものである。
当該発見を以下に説明する。
まず、一つ目は、底部仮想地面内で底支点が或る底支点軌跡に載って等速直行歩行の体重移動動作をすれば、足首関節ブレがゼロで発生せず、逆に、底支点を当該底支点軌跡から離すように制御して体重移動動作をすれば、再現的に確実に足首関節ブレを発生させることができたことである。つまり、底部仮想地面の面内で底支点がその上を辿ると足首関節ブレがゼロになるような底部仮想地面の面内で描かれる底支点軌跡があるという発見である。Lモデルでは、当該底支点軌跡をゼロブレ軌跡と定義する。
二つ目は、ゼロブレ軌跡が、図2の2のような曲線、その曲線を簡略化すれば図2の1ような折線を底部仮想地面に描くということである。
三つ目は、底部仮想地面に描かれたゼロブレ軌跡を境界線として、ゼロブレ軌跡より内甲側に底支点をかけると内反等のブレが起こり、ゼロブレ軌跡の上に底支点をかけると足首関節ブレがゼロであり、ゼロブレ基準線より外甲側に底支点をかけると外反等のブレが起こるということである。
【0036】
従って、底支点軌跡とゼロブレ軌跡が重なる時は、足首関節ブレはゼロである。足首関節ブレがゼロということは、体重移動動作を行って起きている足首関節の挙動はドライバ・ローリングだけである。
また、底支点軌跡をゼロブレ軌跡から離して体重移動動作を行った時は、起きている足首関節の挙動はドライバ・ローリングと足首関節ブレである。
従って、両者の差分を認識すれば、足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別可能である。
従って、当該差分により足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別する際に、ゼロブレ軌跡が底部仮想地面内での底支点の動きを測る基準線となるので、当該ゼロブレ軌跡をゼロブレ基準線と定義し直す。
Lモデルでは、足首関節ブレを制御するには、底支点軌跡をゼロブレ基準線に対して制御すればよいことになる。
【0037】
{{歩行実験による知見のLモデル的表現}}
当該歩行実験により得られた知見をゼロブレ基準線に基づいた観点として見直せば;
第1は、体重移動動作中に、足後部だけでなく足前部に於いても、底支点がゼロブレ基準線に乗れば足首関節ブレがゼロで発生せず、逆に、底支点をゼロブレ基準線から離せば再現的に確実に足首関節ブレを発生する;
第2は、ゼロブレ基準線が図2の2のような曲線(後述するゼロブレ基準曲線)、簡略化すれば図2の1ような折線(後述するゼロブレ基準折線)を底部仮想地面に描く;
第3は、底部仮想地面に描かれたゼロブレ基準線を境界線として、ゼロブレ基準線より内甲側に底支点をかけると内反等のブレが起こり、ゼロブレ基準線の上に底支点をかけると足首関節ブレがゼロであり、ゼロブレ基準線より外甲側に底支点をかけると外反等のブレが起こる;
となる。
【0038】
{{ゼロブレ基準線とゼロブレ基準折線の理論的検証}}
当該知見の意味するところから開発した、ゼロブレ基準線に関連する足挙動メカニズム理論がLモデルである。
以下、当該足挙動メカニズム理論の理論的な検証につき説明する。
図4に示すように、解剖学的には、走査投影視で見て、底支点にかかる荷重に自律的に反射して足の内反を主体とする作用(以下、内反等作用と定義する)を起こす筋肉群の力作用点(腱の屈折点又は着点)と外反を主体とする作用(以下、外反等作用と定義する)を起こす筋肉群の力作用点の分布が;
内反外反等領域の境界線(これを内外反等域境界線と定義する)20を分水嶺として内甲側31と外甲側30の両側に分かれて、即ち、内外反等域境界線20より内甲側31に内反等域、内外反等域境界線20より外甲側31に外反等域、と分かれて分布している。
内反等作用の領域には内反等作用のある筋肉群の力作用点として、前脛骨筋21,後脛骨筋22,長指屈筋23,長拇指屈筋24、及びヒラメ筋・ヒフク筋32のそれらが分布し;
外反等作用の領域には外反等作用のある筋肉群の力作用点として、長拇指伸筋25,長指伸筋26,第3腓骨筋27,長腓骨筋28,及び短腓骨筋29のそれらが分布する。これらの筋肉群の力作用点が、距骨下関節をはじめとする足根間関節群に作用して足後部での内反等若しくは外反等を起こすと、Lモデルでは考える。
また、底支点にかかる荷重の地面反力(外力)による刺激に対して反射して起こす外反等作用と内反等作用の領域の間には、自然界の連続性から見て、外反等と内反等がちょうど均衡する境界線が存在する筈であると、Lモデルでは考える。その均衡する境界線が、足後部での内外反等域境界線20であると考える。即ち、内外反等域境界線20に底支点にかかる荷重が乗れば、当該荷重(外力)による内反等も外反等がゼロになると考える。即ち、外力による内反等も外反等は、外力起源であり且つ背屈底屈軸の向き方向をブレさせるので、足首関節ブレとなると考える。
換言すれば、底支点が内外反等域境界線20に乗れば足首関節ブレ(外力起源の内反等・外反等)がゼロになり、底支点が内外反等域境界線20から外れれば足首関節ブレ(外力起源の内反等・外反等)が発生すること、及び自然界の連続性から見て、足後部では内外反等域境界線20とゼロブレ軌跡(ゼロブレ基準線)は同じものであると考えても妥当であると思われる。
足後部の内外反等域境界線20の存在は解剖学的によく知られており、内外反等域境界線20は歩行実験で得られるゼロブレ軌跡(図2の1の線と同じ)の足後部の部分の位置とほぼ一致する。
一方、足前部の部分の内外反等域境界線20−Aの存在は解剖学的には定説がないが;
長拇指屈筋の着点24−Aの作用は純粋の内反作用であり、長指屈筋の着点23−Aは外反気味の作用をするので;
Lモデルでは、内外反等域境界線20−Aより内甲側31に内反等域、内外反等域境界線20より外甲側31に外反等域、と分かれて分布していると想定する。
また足後部と同様に、足前部にも外反等作用の領域と内反等作用の領域の間には外反等と内反等が均衡する境界線が存在する筈であると考え、その均衡する境界線が内外反等域境界線20−Aと考える。
歩行実験によって発見した現象として、足後部だけでなく足前部に於いてもゼロブレ基準線が存在し、図2の1若しくは2の線がゼロブレ基準線(ゼロブレ軌跡)である。
この歩行実験で得られるゼロブレ基準線の足前部の部分の現象については、Lモデルでは、底支点が足前部に移動した時に足根中足関節及び中足指節関節及び指節間関節に、上記した内反等作用のある筋肉群及び外反等作用のある筋肉群が、足後部に於けると同様の作用を及ぼして起こる均衡現象だと解釈すると当該実験結果とよく符合する。
このことから、Lモデルのベースモデルでは、後足部の内外反等域境界線20と、足前部の内外反等域境界線20−Aの線からなる図2の1の折線を足全体の折線型の内外反等域境界線と考え、Lモデルのベースモデルでは、底部仮想地面に描かれるこの足全体の折線型の内外反等域境界線(図2の1の折線)全体をゼロブレ基準折線と定義する。
【0039】
さらに、Lモデルでは、解剖学的及び力学的観点からみても、ゼロブレ基準折線がゼロブレ軌跡若しくは足全体の内外反等域境界線と重なると解釈できる根拠がある。
すなわち、解剖学では;
距腿関節と距靴下関節の2関節のみを統合した球関節を「足関節」と呼んでいるが;
足関節の3軸の球関節挙動は、足関節の内反外反運動軸まわりの回転である内反外反と足関節の背屈底屈運動軸まわりの回転である背屈底屈の2軸挙動に統合できるとされている。
仮想の「足首関節」はLモデル独自の概念であり、解剖学でいう「足関節」とは違うが;
Lモデルのベースモデルでは、足後部では足首関節と足関節が一致すると想定する。
そうすると力学的に、足後部では、底支点(走査投影視での足首関節中心)が走査投影視での当該内反外反運動軸に乗って動く限り、底支点にかかる底部仮想地面からの体重の鉛直方向の反力(即ち外力)は、当該内反外反運動軸まわりの回転モーメント(即ち、外力起源の足首関節ブレ)を発生しない。この時、背屈底屈運動軸まわりの回転モーメント(背屈底屈トルク)は発生するが、この成分は自らの背屈底屈運動軸の対地向き方向をブレさせないので足首関節ブレの成分にはならない。すなわち、少なくとも足後部では、底支点が走査投影視での当該内反外反運動軸に乗って動く限り、足首関節ブレがゼロであるので、走査投影視での当該内反外反運動軸がゼロブレ基準折線と一致し、内反外反境界線20とも一致すると想定しても妥当性がある。
このことから、Lモデルでは、足後部では走査投影視での当該内反外反運動軸がゼロブレ基準折線と一致すると考える。
解剖学的に、Inman氏の「The joints of the ankle、P26〜P43、The Wiliams & Wilkins Co出版」によれば、当該内反外反運動軸は、欧米人の場合で、走査投影視の足の長軸3に対する角度は走査投影視で12〜34度の範囲内に分布するというデータ例がある。一方、日本人向けのデータ例では、足の長軸3に対する角度が投影視で分布の中央値が16度(分布の大きさをプラスマイナス13度とすれば3〜29度)という見解(例えば、山崎勉編 「整形外科理学療法の理論と技術」 メディカルビュー社 東京 36〜61頁)もある。
Lモデルでは、これらの所見を勘案して世界的に見て当該内反外反運動軸は、接地した足で走査投影視の長軸3に対する角度が走査投影視で3〜45度の範囲内に分布すると想定する。
【0040】
{{ゼロブレ基準曲線の理論的検証}}
一方、ゼロブレ基準線が図2の2のような曲線の場合について説明する。
正しい等速直行歩行の体重移動動作では、体重心が地面に対して描く平面視軌跡は、ほぼ正弦曲線若しくは余弦曲線(以下、形状は同じなので正弦曲線に代表させて正弦曲線と呼ぶ)をなすことが従来からよく知られている。
Lモデルでは、体重心が体の軸の回りにゼロを含む小さい半径で円運動をしていると想定するので、体が等速直行している場合は小さい半径で円運動する体重心の進行方向の成分は歩行速度による対地位置変化量に比べ小さいので無視でき、体重心の対地位置変化の左右方向成分は正弦曲線を描くはずであり、左右の体重心の対地の平面視軌跡は正弦曲線を描くと想定する。即ち、Lモデルでは、正しい等速直行歩行の体重移動動作とは、左右にブレない体の軸の回りにゼロを含む小さい半径で体重心が円運動をするような体重移動動作であると想定する。
また、左右交互に体重支持足を周期的に切り換える歩行に於いては、片足だけで体重を支持する立脚相があるので;
そのことは、体重支持足では底支点軌跡が対地での体重心の平面視軌跡の正弦曲線と平行又は重なる正弦曲線をなす、とするLモデルの想定は妥当であるという根拠となりうる。
また、正しい等速直行歩行の体重移動動作に於いて、対地での体重心の平面視軌跡がきれいに正弦曲線であるのは、体重心の動きが進行しながら体の軸回りの回転に従っていて左右の体のブレがない状態であると考えられるので;
正しい等速直行歩行の体重移動動作が、足首関節ブレがゼロの体重移動動作に該当し;
その足首関節ブレがゼロの体重移動動作が、対地での体重心の平面視軌跡が正弦曲線となるケースに該当する;
とLモデルで想定するが、その想定は妥当と思われる。
一方、足首関節ブレがゼロの体重移動動作では、底支点軌跡がゼロブレ基準線(ゼロブレ軌跡)と重なるので;
体重は底支点にかかる筈であるので、体重心(体重作用点)の平面視軌跡と底支点軌跡は平行又は重なる筈であるから、体重心の平面視軌跡が正弦曲線をなすなら底支点軌跡も正弦曲線をなす筈であり;
足首関節ブレがゼロなら、その正弦曲線をなす底支点軌跡はゼロブレ軌跡(ゼロブレ基準線)であり、ゼロブレ基準線も正弦曲線をなすことを意味する。
これらのことから、LモデルのLモデル足構造モデルでは、底部仮想地面に描かれる図2の2の正弦曲線をゼロブレ基準曲線と定義する。
【0041】
以上のことから、LモデルのLモデル足構造モデルに於いては、図5(a)の例で説明すれば、正しい等速直行歩行では、ゼロブレ基準曲線2は左右それぞれに、体の正面方向中心線18まわりに描かれる平面視の体重心の正弦曲線の軌跡14(又はそれに平行な正弦曲線の軌跡)の一部分を切り取った部分2−Aに相当すると想定する。
この時、左と右のゼロブレ基準曲線2は、左と右が互いに左右鏡面対称になり且つ同じ正弦曲線14に乗るように特定することが望ましい。
これらのことは、歩行動作の左右対称な循環性、及び左右足の体重支持足切り換え期の体のブレを起こさない円滑性(その体のブレによる2次的な足首関節ブレを起こさない円滑性でもある)を満たすための必要条件である。
当該循環性及び円滑性の必要条件は、左と右のゼロブレ基準曲線が、正弦曲線14に乗っており且つ互いに左右鏡面対称であれば、満たされる。
なぜならば;
左右足を交互に周期的に繰り返し左右対称な循環的である等速直行歩行に於いては、左右の足は1歩(正弦曲線の半周期に相当)だけずれたタイミングで交互に左右鏡面対称な動きの形で左右足を調和させて歩行するので;
或る瞬間の一方の足の正弦曲線と当該瞬間の他方の足の正弦曲線は半周期(180度)ずれており、他方の足の正弦曲線を半周期ずらせば左右の正弦曲線は左右鏡面対称となるから;
まず当該循環性は、左と右のゼロブレ基準曲線が互いに左右鏡面対称であれば、満たされるからである。
残る円滑性は:
体重心の動きの平面視軌跡がきれいに正弦曲線14を描くということは、体重支持足切り換え期に体重心の動きにブレがないこと、すなわち足首関節ブレがゼロであること、を意味すること;
足首関節ブレがゼロになる状態では、底支点軌跡はゼロブレ軌跡となりゼロブレ基準曲線と一致すること;
前に述べた通り体重心の動きの平面視軌跡(即ち正弦曲線14)が底支点軌跡と重なる又は平行であると想定すること:
から、底支点軌跡、即ちは足首関節ブレがゼロになる状態ではゼロブレ基準曲線、は正弦曲線14と重なる又は平行であることになり:
左と右のゼロブレ基準曲線が正弦曲線14に交互に乗れば、満たされるからである。
このように、同じ一本の正弦曲線14から左右鏡面対称になるように切り取った左右のゼロブレ基準曲線2に沿って底支点を動かして、体重支持足を切り換えても、体重心の動きにブレすなわち足首関節ブレは起こらない筈である。
以上のゼロブレ基準曲線2に関することは、ゼロブレ基準曲線2を簡略化した、Lモデルのベースモデルに於ける、ゼロブレ基準折線1にも当てはまる。図5(b)の例で説明すれば、左右のゼロブレ基準折線1は正弦曲線14を簡略化した折線の繋がり15(又はそれに平行な折線の繋がり)の一部分を切り取った部分1−Aに相当すると想定する。つまり、左右のゼロブレ基準折線1は、左右が互いに左右鏡面対称になり且つ同じ接線の繋がり15に乗るように特定することが望ましい。
【0042】
{{切り換え調和の概念の説明}}
このように、左右の足の体正面方向線(図3の19)を体の正面方向中心線18に重なる又は平行なように設定した状態で;
左右のゼロブレ基準曲線が同じ正弦曲線14に乗るなるように又はゼロブレ基準折線が同じ折線の繋がり15に乗るなるように、且つ左と右のゼロブレ基準曲線又はゼロブレ基準折線が左右鏡面対称となるように特定することを、左右のゼロブレ基準曲線若しくはゼロブレ基準折線を「切り換え調和」するように特定すると表現できるように「切り換え調和」の意味を定義する。
歩行実験では、切り換え調和するように特定した左右のゼロブレ基準曲線又はゼロブレ基準折線に底支点軌跡を合わせて歩行すれば、足首関節ブレが発生せず、ドライバ又はドライバとローリングの安定したスムーズな体重移動動作が再現可能であることが確認された。
【0043】
詳しくは後で説明するが、LモデルのLモデル足構造モデルではゼロブレ基準曲線2をゼロブレ基準線として用い、Lモデルのベースモデルではゼロブレ基準折線1をゼロブレ基準線として用いる。
Lモデルでは、ゼロブレ基準曲線2とゼロブレ基準折線1の関係は、実際は、ゼロブレ基準曲線2を簡略化したものがゼロブレ基準折線1であるという関係になると想定する。
しかし、両者を具体的に特定する場合は、Lモデルでは便宜的手法として、逆にまず特定しやすいゼロブレ基準折線1を特定して、そのゼロブレ基準折線1をベースとして正弦曲線に変形させたものをゼロブレ基準曲線2として特定する手法を用いる。
【0044】
{{当業者は簡単な歩行実験でLモデル論拠の追認可能}}
以上が、Lモデルの論拠部分を説明したものである。
Lモデルは仮説ではあるが、上述したLモデルによる足首関節ブレの挙動は、実際の足首関節ブレの歩行実験挙動結果ともよく一致するので、Lモデルは足首関節の関節挙動の実態に近い理論モデルと考えられる。
また、前記した歩行実験挙動結果は、当業者が自分の足を使って非常に簡単な歩行実験で追実験することにより容易に追認することができる。即ち、足首関節ブレは上位の関節に影響するので、最も足首関節に近く且つ左右のブレが検知しやすい膝関節のブレ若しくは目線ブレの挙動を観察することにより、足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別可能であることを確認できる。例えば、膝関節では足首関節ブレがなくドライバ・ローリングのみの歩行であれば、手で触って膝関節の左右ブレがない筈であり、足首関節ブレがあれば手で触って膝関節の左右ブレがある筈である。当該追実験方法を記せば、膝関節ブレを示す時の底支点軌跡を足圧測定器及び/又は感圧紙を使って計測して、膝関節ブレがゼロの時が足首関節ブレがゼロとなる時であるから、ゼロブレ基準線と底支点軌跡と足首関節ブレの関係を膝関節の関節ブレとして簡単に確認できる。
【0045】
{{Lモデル式ゼロブレ基準線特定方法の説明}}
以下、具体的に、Lモデルを本発明に係る補助ツールに適用するためにゼロブレ基準線の特定方法を説明する。
以下に記すLモデルに基づく、ゼロブレ基準線の具体的な特定方法をLモデル式ゼロブレ基準線特定方法と定義する。
【0046】
Lモデルでは、「Lモデル足構造モデル」を導き出すためのベースとして簡略型の「ベースモデル」というモデルを考え、ベースモデルからLモデル足構造モデルを導き出すとう2段階方式を採る。但し、ベースモデルは、Lモデル足構造モデルに比べ若干精度が落ちるものの、簡易であり実践者が理解しやすい上に充分に実用に耐えるので;
Lモデルでは、ベースモデルもLモデル足構造モデルと同様に本発明に係る当該補助ツールに適用することができるものとする。
【0047】
Lモデルでは、ベースモデルとして:
中足部の一部と足根部とを一体の弾性体ブロックにして扱い、当該弾性体ブロックを足後部と定義し;
中足部の残りの一部と指節部を一体の弾性体ブロックにして扱い、当該弾性体ブロックを足前部と定義し;
足は足後部と足前部という2つの弾性体ブロックから構成される:
というモデルを考える。
また、ベースモデルでは、足首関節の背屈底屈については、足後部と足前部の区別なく足全体で無段階に体重移動に応じて順次、背屈底屈が行われるというモデルを考える。
Lモデルでは、走査投影視での足首関節中心を底支点とするので、走査投影視でみると足首関節の背屈底屈軸は底支点にくっついて底部仮想地面を移動するように見える。これは戦車のキャタピラーの屈折軸が対地で移動する様に似ている。そのため、体重移動動作中に足底面をフラットに保つことも、丸く転動面を形成するように挙動することもできるとする。
【0048】
また、Lモデルのベースモデルでは、走査投影視でのゼロブレ基準折線の折れ点(図2の5)を屈折点と定義する。屈折点5は足からはみ出すこともあり得るし、走査投影視した足のプロフィルからはみ出すこともあり得る。
【0049】
一方、Lモデル足構造モデルとしては;
足は足後部と足前部(解剖学的には、足根部と中足部と指節部)が一体の弾性体ブロックであるというモデルとした。
つまり、Lモデル足構造モデルでは、底支点軌跡については、上記したゼロブレ基準折線1が変形して歪み、底部仮想地面内で正弦曲線のゼロブレ基準曲線を描くモデルとした。
又、Lモデル足構造モデルでは、足首関節の背屈底屈については、ベースモデルに於ける足首関節の背屈底屈のモデルと同じものを考える。
Lモデル足構造モデルでは、底部仮想地面内に描かれたゼロブレ基準折線(図2の1)を滑らかに変形させて底部仮想地面内に描いた正弦曲線(図2の2)がゼロブレ基準曲線である。ゼロブレ基準曲線2はゼロブレ基準折線1の屈折点5を通らないのが普通である。
【0050】
Lモデルでは、ドライバは足の向きを体正面方向に対して足首関節の背屈底屈軸を一定に保って歩行するのに使われる挙動であるが、足首関節ブレが混入すれば足ブレが起こり、ドライバ・ローリングだけなら足のブレが起こらないとする。
また、ローリングは、走査投影視でみて足首関節中心の位置、即ち底支点の位置に於ける体正面方向に直角の背屈底屈運動軸まわりの背屈底屈を行い;
ローリングの大きさ及びローリングの回転方向によっては、足底の転動が起こらず足底はフラットを保つこともあり、逆にドライバによる足底の転動より大きな転動を起こすこともあると考える。
【0051】
ここで、形状Xの近似形状Yに滑らかに変形させる、又は、形状Xの余分の部分だけを切り捨てて形状Yにする、又は、形状Xを走査投影視して形状Yとする、など或る形状Xに或る操作を加えることにより形状Yを導き出す時に、「形状Xをベースとする形状Y」、又は「形状Yのベースである形状X」、と表現できるように「ベース」の意味を「対応するおおもと」の意味として定義する。
【0052】
図2及び図3に基づいて説明すると、Lモデルでは、底部仮想地面内で屈折点5及びゼロブレ基準折線1を特定し、ゼロブレ基準折線1を滑らかに変形させてゼロブレ基準曲線2を特定する。このように、ゼロブレ基準曲線2は底部仮想地面内でゼロブレ基準折線1をベースとして導き出される。
【0053】
ゼロブレ基準線の具体的な特定方法について図3によって説明する。
Lモデルでは、ゼロブレ基準線はゼロブレ基準曲線若しくはゼロブレ基準折線をベースとし、ゼロブレ基準曲線はゼロブレ基準折線をベースとして導き出す。従って、最終的に、ゼロブレ基準線はゼロブレ基準折線をベースとする。
Lモデルでは、左右のゼロブレ基準折線を「切り換え調和」するように特定するので、ゼロブレ基準折線は、その足後部の部分が特定できれば、折線の繋がり15から足前部の部分も特定できる。
Lモデルでは、ゼロブレ基準折線の足後部として、足関節の走査投影視での内反外反運動軸を用いる。当該内反外反運動軸の位置と向きは人種・性別・年齢・生活習慣による個体差などの差異が大きく、その分布範囲は大きいと思われるが、一つの型番の履物等の設計では当該型番の平均利用者像を想定して、かなり広くバラつく個人差をある程度割り切って、まず、左右履物等のゼロブレ基準折線を特定し、そのゼロブレ基準折線をベースにして左右履物等のゼロブレ基準曲線を特定する。
ゼロブレ基準線は、ゼロブレ基準曲線若しくはゼロブレ基準線を用いるか、直接足圧測定器等を使って実測したゼロブレ軌跡を用いてもよい。
【0054】
{{平均長軸角度α度で立つという概念の説明}}
また、等速直行歩行動作に於ける走査投影視での足の体正面方向線19に対して左右それぞれの走査投影視での足の長軸3がなす角度α度として、左右の足の向きを左右鏡面対称に想定する。当該角度α度は歩行習慣として個人差が大きいので、Lモデルでは片足でプラス33度(外股歩き)〜マイナス33度(内股歩き)の範囲に分布すると想定する。
履物等の設計段階ではこの個人差を割り切って平均像での当該角度を想定せざるを得ない。
Lモデルでは、想定した平均像の履物等装着者で考えて;
足の体正面方向線19と走査投影視の片方の足の長軸3がなす角度α度を平均長軸角度と定義し;
体正面方向中心線18に走査投影視で平行な足の体正面方向線19に対して平均長軸角度α度に走査投影視の足の長軸3を向けて立つことを「平均長軸角度α度で立つ」と表現するものとする。
【0055】
また、Lモデル式ゼロブレ基準線特定方法では、左右履物等それぞれにゼロブレ基準線のベースとなるゼロブレ基準曲線若しくはゼロブレ基準折線の特定に際しては;
履物等装着者が平均長軸角度α度で立つ状態で、左右履物等のゼロブレ基準曲線若しくはゼロブレ基準折線を切り換え調和するように特定する。
【0056】
{{Lモデル式ゼロブレ基準線特定方法の具体的な要領}}
以下、ゼロブレ基準線をLモデル式ゼロブレ基準線特定方法により特定する場合の、Lモデルでの、左右履物等それぞれのゼロブレ基準線のベースとなるゼロブレ基準折線の具体的な特定方法について図3に基づいて説明する。
Lモデルでは、ゼロブレ基準折線をゼロブレ基準線として採用する時は、ここで述べる手法で特定したゼロブレ基準折線を適用する。ゼロブレ基準曲線をゼロブレ基準線として採用する場合は、ここで述べる手法で特定したゼロブレ基準折線をベースにして特定されたゼロブレ基準曲線を用いる。
Lモデルでは、或る型番の履物等をその平均的な利用者が履いて平均長軸角度α度で立った時の左右それぞれの走査投影視での足の長軸3の、踵骨後端中央から第2指基節骨の骨頭までの走査投影視での長さ17の直線線分、を履物等側に属するものとして左右履物等それぞれの、長軸線分と定義する。
そして、Lモデルでは、左右履物等それぞれの底部仮想地面内に於いて:
足の第1中足骨頭に2つある種子骨中心の走査投影視での中間点6を基準点6として、
走査投影視で当該基準点6から履物等の内甲側方向に長軸線分長の36%の距離にある長軸線分に平行な底部仮想地面内の直線、
及び走査投影視で当該基準点6から履物等の外甲側方向に長軸線分長の14%の距離にある長軸線分に平行な底部仮想地面内の直線、
及び走査投影視で当該基準点6から足の前側(つま先側)に長軸線分長の7%の距離にある長軸線分に直角の底部仮想地面内の直線、
及び走査投影視で当該基準点6から足の後側(踵側)に長軸線分長の41%の距離にある長軸線分に直角の底部仮想地面内の直線、
の4直線に底部仮想地面内で囲まれる範囲から選ばれたいずれか一つの屈折点5に端を発して;
履物等装着者が体正面方向中心線18に走査投影視で一致又は平行な足の体正面方向線19に対して平均長軸角度α度で立った状態で;
長軸線分に対して走査投影視で3〜45度の範囲内から選ばれたいずれか1つの交差角度β度をなして当該屈折点5から外甲側後方向に向かって斜めに走る底部仮想地面内の直線と;
長軸線分に対して、走査投影視で(β―2α)度の交差角度γ度をなして、当該屈折点5から前外甲側方向へ向かって走る底部仮想地面内の直線と;
からなる、履物等装着者が足の体正面方向線19に対して平均長軸角度α度(片足)に足の長軸を向けて立った状態で左右鏡面対称になるような左右履物等それぞれの仮想の折れ線1を:
左右履物等それぞれのゼロブレ基準折線1として特定する。
こうすると、走査投影視で考えて、左右の履物等のゼロブレ基準折線は切り換え調和するように特定されている筈である。
Lモデルでは、平均長軸角度α度については、人種・歩行文化により平均的に外股(プラス)で歩いたり、内股(マイナス)で歩いたりする市場に対して、α度をマイナス33度〜プラス33度の間のいずれか1つの角度を選択する。
【0057】
また、Lモデルでは、左右履物等それぞれのゼロブレ基準曲線2は以下のように特定される。
即ち、ゼロブレ基準曲線2には、走査投影視でゼロブレ基準折線1に沿った正弦曲線の弧が通常用いられる。左右履物等のゼロブレ基準曲線は、上記の要領で特定されたゼロブレ基準折線をベースにして走査投影視で正弦曲線の弧になるように、且つ切り換え調和するように、変形させて、履物等装着者が平均長軸角度α度で立った状態で左右鏡面対称になるような左右履物等それぞれの走査投影視での曲線になるように特定することが望ましい。
また、ゼロブレ基準曲線としては、走査投影視でゼロブレ基準折線に沿ってゼロブレ基準折線を滑らかに変形した曲線弧として、正弦曲線の弧の替わりに円弧曲線、インボリュート曲線、サイクロイド曲線、トロコイド曲線、放物線、など他の類似曲線の弧を代用して近似してもよい。
【0058】
以上が、Lモデル式ゼロブレ基準線特定方法である。
本発明履物等の設計に於いては、当該特定方法によって、ゼロブレ基準折線若しくはゼロブレ基準曲線若しくはゼロブレ基準線を特定すべきである。
【0059】
{{課題解決手段の構成の説明}}
以下、課題解決手段の構成について説明する。
本発明は、「足首関節ブレ区別用の補助ツール」として提供されるべくLモデルに基づいて設計・製作された履物等である。
【0060】
Lモデルに基づいてLモデル式ゼロブレ基準線特定方法によってゼロブレ基準折線を特定すれば、それをベースにしてゼロブレ基準曲線を特定することができる。つまり、ゼロブレ基準折線若しくはゼロブレ基準曲線と重なるものとしてゼロブレ基準線を特定することができる。
【0061】
本発明は、体重移動動作中に底支点の軌跡を制御するための基準線としてゼロブレ基準線を履物等の中で周辺部と区別できる核産設線原体を産設した履物等である。
つまり、本発明履物等は;
Lモデルに基づいてLモデル式ゼロブレ基準線特定方法によって特定されたゼロブレ基準線を用い;
そのゼロブレ基準線を区別可能なものにする核産設線原体を備えた;
以下に記載する第1〜第10の局面の本発明履物等として記載された履物等である。
以下、当該のそれぞれの本発明履物等の構成につき順次説明する。
【0062】
第1の局面の本発明履物等の履物等は::
左右履物等それぞれに:
履物等装着者が周辺部との属性の差異により周辺部と区別可能なものとするように、履物等に設けられた若しくは描かれた、任意形状の連続した部材・模様又は断続して1列に配列された複数の任意形状の部材・模様、を差異区別体と定義し;
差異区別体の中心線の走査投影視での仮想線であり、
且つ底部仮想地面内での走査投影視した履物等プロフィルからはみ出す走査投影視での差異区別体の中心線の部分はカットして当該プロフィル内部領域一杯に納まる部分だけの底部仮想地面内での当該仮想線、
を称して産設線と定義し;
当該装着者が産設線として周辺部との属性の差異により走査投影視で区別可能なものになるように、
履物等の足底接触部又は履物等底部に設けられた任意形状の、差異区別体としての、連続した一つの部材若しくは断続して1列に配列された複数の部材、
又は、履物等の甲被覆部に沿って設けられた任意形状の、差異区別体としての、連続した一つの部材若しくは断続して1列に配列された複数の部材、
又は、履物等の甲被覆部に沿って描かれた任意形状の、差異区別体としての、連続した一つの模様若しくは断続して1列に配列された複数の模様、
を総称して産設線原体と定義し;
Lモデルに基づいてLモデル式ゼロブレ基準線特定方法により特定された、ゼロブレ基準折線若しくはゼロブレ基準曲線を用いたゼロブレ基準線、に重なる産設線を持つ産設線原体を核産設線原体と定義し;
1本〜5本の本数範囲の中から選ばれたいずれか1種類の本数の産設線原体からなる産設線原体の配列であり、
且つ核産設線原体を必ず含んだ当該配列を、
区別線線原体と定義し;
必ず核産設線原体を含んで区別線線原体を構成する産設線原体の単体の寸法を、左右それぞれに履物等の足底接触部若しくは履物等底部若しくは履物等の甲被覆部に沿って計って履物等の長軸線分の長さの40%〜280%の範囲の中から選ばれたいずれか一つの寸法の長さで且つ当該長軸線分の長さの0.5〜21%の範囲の中から選ばれたいずれか一つの寸法の巾で且つ描く場合を除いて高さ若しくは深さを1〜20ミリメートルの範囲の中から選ばれたいずれか一つの寸法に特定して、産業利用を目的として当該産設線原体の周辺部との属性の差異をつけて産設線原体若しくは核産設線原体若しくは区別線線原体若しくはそれら原体の一部分を履物等に設ける又は描くことを称して、産設線原体若しくは核産設線原体若しくは区別線線原体を履物等に「産設する」と表現するものとし、更には、産設線若しくはゼロブレ基準線を履物等に「産設する」と表現するものとして:
区別線線原体を産設したことを特徴とする::
履物等である。
【0063】
第2の局面の本発明履物等の履物等は;
第1の局面の本発明履物等に於いて、区別線線原体を産設した場所が履物等の足底接触部(靴ではインソール又は中敷き)であることを特徴とする;
区別線線原体を産設した履物等である。
【0064】
第3の局面の本発明履物等の履物等は;
第1の局面の本発明履物等に於いて、区別線線原体を産設した場所が履物等の地面接触部(アウトソール部若しくは地面接触部位)という履物等底部であることを特徴とする;
区別線線原体を産設した履物等である。
【0065】
第4の局面の本発明履物等の履物等は;
第1の局面の本発明履物等に於いて、
区別線線原体を産設した場所が履物等の足底接触部と地面接触部に挟まれて地面接触部上面に貼設される中間層(靴であれば、ミッドソール部)という履物等底部であることを特徴とする;
区別線線原体を産設した履物等である。
【0066】
第5の局面の本発明履物等の履物等は::
第2〜第4のいずれか1つの局面の本発明履物等に於いて、区別線線原体が:
区別線線原体を構成する産設線原体とその周辺部との属性の差異がJIS KのD硬度数値で5〜99の範囲の中から選ばれたいずれか1つの数値の硬度差であるような区別線線原体であり;
当該産設線原体が当該周辺部より硬い材料で産設された部材の区別線線原体である:
ことを特徴とする::
区別線線原体を産設した履物等である。
【0067】
第6の局面の本発明履物等の履物等は::
第2〜第4のいずれか1つの局面の本発明履物等に於いて、区別線線原体が:
区別線線原体を構成する産設線原体とその周辺部との属性の差異が当該周辺部との凸凹差であるような区別線線原体であり;
当該産設線原体が当該周辺部より、連続又は断続して、突起若しくは陥没して産設された部材の区別線線原体である:
であることを特徴とする::
区別線線原体を産設した履物等である。
【0068】
第7の局面の本発明履物等の履物等は::
第1の局面の本発明履物等に於いて、区別線線原体が:
産設した場所が履物等の甲被覆部である区別線線原体であり:
当該区別線線原体を構成する産設線原体が;
任意形状の連続した一つの設けられた部材若しくは断続して配列されて設けられた任意形状の複数の部材又は任意形状の連続した一つの描かれた模様若しくは断続して配列されて描かれた任意形状の複数の模様であり;
且つ、当該産設線原体とその周辺部との属性の差異が色彩差となるように当該産設線原体が当該周辺部と違った色彩で産設された産設線原体であり;
且つ、履物等の甲被覆部にタン部・開口部が在る場合はその在るタン部・開口部及び足首部に産設する部分が欠落した産設線原体であり、タン部若しくは開口部がない場合は足首部に産設する部分が欠落した産設線原体であり;
そのような産設線原体から構成された区別線線原体である:
ことを特徴とする::
区別線線原体を産設した履物等である。
【0069】
第8の局面の本発明履物等の履物等は::
第5又は第6の局面の本発明履物等に於いて:
産設された区別線線原体を構成する産設線原体とその周辺部との属性の差異が、当該周辺部との剛性差(ヤング率の差異)であり;
且つ、当該産設線原体を連続タイプの当該産設線原体として組合せ構造又は織物ベルトからなる可撓体にし;
且つ、当該可撓体を0.1〜216GPaの範囲内から選択されたいずれか1つの数値のヤング率の弾性材料を少なくとも1種類を含む可撓体とした:
ことを特徴とする::
区別線線原体を産設した履物等である。
【0070】
第9の局面の本発明履物等の履物等は::
第8の局面の本発明履物等に於いて:
当該可撓体を核産設線原体だけからなる区別線線原体で構成されたシャンクと置き換え;
且つ当該シャンクが、請求項8に記載されたヤング率の範囲内から選択されたいずれか1つの数値のヤング率を有する一体のシャンク又は組合せ構造体のシャンクであり;
当該シャンクが、側面視では半径150cm以下の円弧で下方に凸状となるように曲がった中心線を持つ、パイプ形状若しくは丸棒の一部をなすような断面形状若しくは矩形断面形状の帯板のシャンクであり;
且つ当該シャンクが、走査投影視ではゼロブレ基準曲線タイプのゼロブレ基準線と重なる当該中心線を持つ一体部材又は組合せ構造部材のシャンクである:
ことを特徴とする::
区別線線原体を産設した履物等である。
【0071】
第10の局面の本発明履物等の履物等は::
第5〜第9の中で第7を除いたいずれか1つの局面の本発明履物等に於いて:
区別線線原体を構成する産設線原体を連続したタイプの部材とし;
当該区別線線原体のつま先方向の端(履物等先端)、踵方向の端(履物等後端)、及び区別線線原体の足前部足後部の境部、の3点に於いて、区別線線原体とそれぞれ接合される若しくは対面する、甲被覆部に設けられる補強ベルトであり;
且つ、履物等の甲被覆部にタン部・開口部が在る場合はその在るタン部・開口部及び足首部を迂回して、タン部・開口部がない場合は足首部を迂回して、当該3点を連結する補強ベルトである;
ような当該補強ベルトで以て、底支点にかかる荷重によって区別線線原体の足前部及び足後部の走査投影視での長さが伸びるのを拘束するように;
区別線線原体と当該補強ベルトで前後上下方向に履物等靴全体を取り巻く枠を形成するようにした:
ことを特徴とする::
区別線線原体を産設した履物等である。
【0072】
{{本発明履物等の作用の説明 共通部分}}
以下、上記した本発明履物等の構成による作用を説明する。
本発明はLモデルに基づいた足首関節ブレ区別用の補助ツールである。換言すれば、本発明は、底支点の軌跡を制御するための基準線としてゼロブレ基準線を履物等の中で周辺部と区別可能なものとする核産設線原体を必ず含んで産設した履物等である。
足首関節ブレを区別制御可能なものにすることが本発明の目的であった。
ヒトは底支点・底支点軌跡を感知できるので、底支点とゼロブレ基準線の相対関係に基づいて足の挙動を把握することが、足首関節ブレを足首関節のドライバ・ローリングと区別して把握したことになることを、既に説明した。
【0073】
補助ツールの中でゼロブレ基準線を区別可能なものがあれば、底支点とゼロブレ基準線を比較して、ドライバ・ローリングと足首関節ブレとを区別可能な補助ツールとなる。そうすれば、足首関節ブレを区別制御可能な補助ツールとなる。
体重移動動作に於いては、足首関節ブレが足から上位へと影響してそれぞれの上位の上下肢関節の関節ブレを引き起こすので;
当該補助ツールが、ゼロブレ基準線を区別可能なものでありさえすれば、実践者がゼロブレ基準線に対して底支点軌跡をいろいろのパターンで試行錯誤して体重移動動作をやることにより、当該補助ツールが足首関節ブレ及び上下肢関節の関節ブレの制御スキルを容易に学習可能なものとする。
そうなれば、実践者の特性・目的・症状に合わせて上下肢関節の関節ブレを適合化するために、当該特性・目的・症状に合うようにフレキシブルに足首関節ブレが区別制御可能なものとなる。
【0074】
従って、ゼロブレ基準線を当該補助ツールの中で区別可能なものにする構成を備えたものにすることが重要であり、また、当該補助ツールは体重移動動作中を通して足と密着して挙動するものであることが好ましい。
【0075】
しかし、ゼロブレ基準線は仮想線であるから、忘れやすく且つ当該補助ツールの中で区別しにくい。
それゆえ、実践者が一旦しっかりと装着すれば体重移動動作中を通して、足首関節ブレの発生場所である足首関節と空間的相対関係を保持して挙動するという履物等の特性に着目して;
当該補助ツールとして本発明は、ゼロブレ基準線を履物等の中で区別可能なものにする差異区別体である核産設線原体を必ず含んだ区別線線原体を産設した履物等としたものである。
【0076】
{{各局面個別での本発明履物等の作用の説明及び補足説明}}
以下、本発明履物等の構成による作用を具体的に順番に説明する。
【0077】
図14の例で説明すると、第1の局面では、本発明履物等は、Lモデルに基づいてLモデル式ゼロブレ基準線特定方法により特定されたゼロブレ基準線33と底支点軌跡との関係を履物等装着者が把握しやすいように、履物等装着者が履物等の中で当該ゼロブレ基準線33をその周辺部39と区別しやすくなるように工夫を施した核産設線原体9を必ず含んだ区別線線原体35を履物等に産設したものである。すなわち、履物等に設けられた部材若しくは描かれた模様からなる産設線原体36で構成される区別線線原体35には、必ず、走査投影視すると底部仮想地面内でゼロブレ基準線33を表す産設線34を持つ核産設線原体9が産設されている。産設線原体36には産設線34を中心線11として、図9(a)に示すように連続した一つの部材37若しくは図9(b)に示すように断続して1列に配列された複数の部材37が用いられる。
核産設線原体9は、図11に示すように、ゼロブレ基準折線1若しくはゼロブレ基準曲線2が適用された中心線11である産設線34を持つ。
核産設線原体9は、本発明履物等の装着者をしてゼロブレ基準線33を履物等の中で区別可能なものにする作用を持つ。すなわち、当該区別線線原体35は、履物等に於ける周辺部39との属性の差異により当該周辺部39と当該区別線線原体35を区別可能なものにし、ゼロブレ基準線33を区別可能なものにする。
ハードウェアである区別線線原体35・核産設線原体9を配置した本発明履物等を設計する前準備として、ソフトウェアとして当該ゼロブレ基準線33を選定して特定していなければならない。当該ゼロブレ基準線33がゼロブレ基準折線1のタイプであれゼロブレ基準曲線2のタイプであれ、ゼロブレ基準線33は前述したLモデル式ゼロブレ基準線特定方法で規定された範囲内から選択され特定されるべきである。ゼロブレ基準線33のタイプの選択と特定はLモデルに基づくかぎり、設計上で自在に選択してもよい。
本発明履物等の特徴とするところは、Lモデル式ゼロブレ基準線特定方法で規定された範囲内から選択され特定されたゼロブレ基準線33を核産設線原体9として体現し、核産設線原体9を必ず含んだ区別線線原体35を履物等に産設するところにある。それゆえ、当該区別線線原体35は、ゼロブレ基準線33を本発明履物等の中で周辺部39と区別可能なものとする効果をもたらす。
それゆえ、本発明履物等は、ゼロブレ基準線33を区別可能な補助ツールとして作用し、足首関節ブレを区別制御可能な補助ツールとして機能する。
【0078】
第2、第3、及び第4の局面では、本発明履物等は、第1の局面に於いて、
区別線線原体35を産設する場所として履物等のそれぞれ異なった場所を選択したものである。
つまり、
第2の局面では、区別線線原体35を産設する場所として履物等の足底接触部(靴ではインソール又は中敷き)38を選んだものである。例えば、図8(a)では区別線線原体を構成する産設線原体36が産設されている。
第3の局面では、区別線線原体35を産設する場所として履物等の地面接触部(アウトソール部若しくは地面接触部位)13に産設線原体36を産設したものである。例えば、図8(c)では、区別線線原体を構成する産設線原体36が産設されている。
第4の局面では、区別線線原体35を産設する場所として履物等の足底接触部と地面接触部に挟まれる中間層(靴であれば、ミッドソール部)12を選んだものである。例えば、図8(b)では、区別線線原体を構成する産設線原体36が産設されている。
こうすることにより、第2〜第4のいずれの局面の本発明履物等に於いても、履物等のそれぞれの上記した場所に産設された核産設線原体9を必ず含んだ区別線線原体35は、その周辺部39との属性の差異を足裏の感知感覚によって当該周辺部39と当該区別線線原体35を区別可能なものにする効果をもたらし、ゼロブレ基準線33を区別可能なものにする効果をもたらす。ここで、核産設線原体9は産設線原体36の一種である。
例えば、図7が履物等の底部、即ち足底接触部38若しくは地面接触部若しくは中間層、を走査投影視で表すものとして、図7に示すようにゼロブレ基準折線1に基づく核産設線原体9−C、若しくはゼロブレ基準曲線2に基づく核産設線原体9−Aが、第2〜第4の局面の本発明履物等のそれぞれの対応する上記した場所に産設されている。
【0079】
第5の局面では、本発明履物等は、第2〜第4の中のいずれか1つの局面に於いて、
区別線線原体35を構成する産設線原体36とその周辺部39との属性の差異を前記したとおりの硬度差とし、当該産設線原体36が当該周辺部39より硬い材料で産設された区別線線原体35を選択したものである。
つまり、履物等の足底接触部若しくは中間層若しくは地面接触部に産設された核産設線原体9を必ず含んだ区別線線原体35は、その周辺部39との属性の差異として硬度差により周辺部39と当該区別線線原体35を区別可能なものにする効果をもたらし、ゼロブレ基準線33を区別可能なものにする効果をもたらす。
【0080】
第6の局面では、本発明履物等は、第2〜第4の中のいずれか1つの局面に於いて、
区別線線原体35を構成する産設線原体36とその周辺部39との属性の差異を凸凹差とし、
当該産設線原体36が当該周辺部39より、図9(a)に示すように連続又は図9(b)に示すように断続して、図10(a)に示すように突起若しくは図10(b)に示すように陥没して産設された産設線原体36の配列である区別線線原体35を選択したものである。
つまり、履物等の足底接触部若しくは中間層若しくは地面接触部に産設された核産設線原体9を必ず含んだ区別線線原体35は、その周辺部39との属性の差異として凸凹差により周辺部39と当該区別線線原体35を区別可能なものにする効果をもたらし、ゼロブレ基準線33を区別可能なものにする効果をもたらす。
突起タイプの産設線原体36の高さは均一でなくてよい。足の骨にかかる部分と筋肉・腱にかかる部分では足裏の剛性が違うので、足裏の剛性が高いところは産設線原体36の高さを低く、足裏の剛性が低いところはその逆にしてもよい。
【0081】
第7の局面では本発明履物等は、第1の局面に於いて、区別線線原体が;
図6の例に示すように、履物等の甲被覆部4−Bに産設されたものであり、且つ産設された核産設線原体9−Bを必ず含んだ区別線線原体(図6では核産設線原体9−Bだけからなる区別線線原体を示している)を形成する産設線原体が任意形状の連続した一つの設けられた部材37(図9(a))若しくは断続して配列して設けられた任意形状の複数の設けられた部材37(図9(b))又は任意形状の連続した一つの描かれた模様37(図9(a))若しくは断続して配列して描かれた任意形状の複数の模様37(図9(b))、である。当該部材若しくは当該模様の周辺部39との属性の差異は色彩差である。当該色彩差が明瞭であれば、意匠デザインの面からの要請で、色彩は周辺の色彩と区別できる色彩であれば任意でよいし、また、区別線線原体を形成する産設線原体が複数本である場合は、産設線原体の色彩が相違しても構わない。
履物等の甲被覆部に産設された区別線線原体の中の核産設線原体9−Bの周辺部39との色彩差によって、当該区別線線原体は本発明履物等の中でゼロブレ基準線をその周辺部と区別可能なものにする効果をもたらす。
【0082】
第1〜第7のいずれの局面に於いても、本発明履物等は、本発明履物等の中でゼロブレ基準線33を中心線とする核産設線原体9その周辺部39と区別可能なものであるので、別途、足で底支点・底支点軌跡を感知することができる当該装着者をして、その底支点・底支点軌跡と当該ゼロブレ基準線33の関係を比較可能なものにさせ、足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別を可能なものにする作用を持つ。従って、本発明履物等は足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別可能なものとする履物等として作用する。
【0083】
第8の局面では、本発明履物等は、第5〜第6の局面の中のいずれか1つの局面に於いて;
区別線線原体を構成する産設線原体を連続した組合せ構造又は織物ベルトからなる可撓体にし;
当該可撓体を0.1〜216GPaの範囲内から選択されたいずれか1つの数値のヤング率(剛性率)の弾性材料を少なくとも1種類を含む可撓体としたことによって、周辺部39より当該可撓体を伸びにくい(ヤング率の差異)材料に選定することができ、当該可撓体を踏んで足を転動又はフラット維持させると足裏が当該可撓体を押さえつけて拘束するために、当該可撓体のほぼ真上を通っている上方に凸状をした足の内甲側縦アーチの底辺の伸びを拘束して足の着地衝撃の緩和能を補強することができる。
また、少なくとも産設される核産設線原体(当該可撓体)は、その周辺部39のヤング率を上記の範囲のヤング率差を設けるように選択することにより、ヤング率の差異(剛性差)によって周辺部39と核産設線原体を区別可能なものにし、ゼロブレ基準線を区別可能なものにする効果をもたらす。
【0084】
第9の局面では、本発明履物等は、第8の局面に於いて;
当該可撓体を核産設線原体だけからなる区別線線原体で構成されたシャンクと置き換えた履物等である。
当該シャンクは:
側面視で下方に凸状に曲がった中心線を持ち且つ走査投影視でゼロブレ基準曲線2と重なる中心線11を持つシャンク9−Dであり;
図12(a)、(e)、(f)、及び(g)で示すようなシャンク9−D、又は、丸棒の一部(図示せず)、又は、帯板形状、のシャンク9−Dであるので:
当該シャンク9−Dはバネとして作用する。
当該帯板形状のシャンク9−Dは、例えば図12(a)、(b)、(c)、及び(d)で示すような捻れた帯板形状、又は図示の逆方向に捻れた帯板形状(図示せず)、又は捻れない帯板形状(図示せず)でもよい。
また、当該材料は弾性材料であるので、形状記憶性があり復元性がある材料をシャンク用として選択可能であり、そうすることが好ましい。
核産設線原体である当該シャンク9−Dの走査投影視での中心線11に底支点をなぞらせると足首関節ブレがゼロとなり;
また、当該シャンク9−Dが下方に凸状の弓状のバネとなり、当該シャンクの上方を通る上方に凸状の足の内甲側縦アーチの足の着地衝撃緩和能を補強し、バネの復元力が足の前進を助ける作用を持つ。第8の局面で記載したヤング率の範囲の中の材料を選択することにより、シャンク9−Dの曲げ剛性(ヤング率)を周辺部39より大きいものとして選択することができ、当該シャンクは剛性差により周辺部39と区別可能なものになる。
また、当該シャンク9−Dは、力学的には、立体的な曲がり梁と見なされる。曲がり梁としての当該シャンク9−Dに底支点を乗せた場合、曲がり梁は、力学上、上下方向の撓みだけでなく、梁の捻れのバネ反力を生む。つまり、当該シャンク9−Dでは、足後部に対応する部分で着地衝撃を受けて歪んだ後に、足前部では内反方向の捻れのバネ反力を生むように設計可能である。これは、前進歩行の体重移動動作で考えると、体重による鉛直方向の力を前進力に変換して足を助ける力を当該シャンク9−Dが足に与えることになる。また、当該シャンク9−Dに底支点を乗せて体重移動動作を行えば、当該シャンク9−Dは剛性が高いので足を誘導して足首関節ブレがゼロのLモデル型体重移動動作を助け、足が楽になる作用をする。
また、当該シャンク9−Dは、下方に凸状の弓状にしたことによる上下方向のバネ作用により、着地時の衝撃を緩和する衝撃緩和材として、また、当該シャンクの上に位置する足の内側縦アーチの衝撃緩和能の負担を助けるので足の疲労軽減ツールとしても作用する。
【0085】
第10の局面では、本発明履物等では、第5〜第9の中で第7を除くいずれか1つの局面に於いて;
産設された連続したタイプの産設線原体(図9(a)の36)で構成される区別線線原体35、及び、甲被覆部4−Bに設けられた補強ベルト10で前後上下方向に履物等靴全体を取り巻く枠を形成している。
当該枠(10と35)は、当該区別線線原体のつま先方向の端(履物等先端)16−A、踵方向の端(履物等後端)16−C、及び区別線線原体の足前部足後部の境部16−B、の3点に於いて、上下に接合され若しくは対面(区別線線原体が足底接触部38に産設される場合は、補強ベルト10と接合できず対面するだけとなる場合がある)して当該枠(10と35)の上下がバラバラな動きを拘束され且つ区別線線原体35の足前部及び足後部の走査投影視での距離が伸びるのを拘束されるので、たまたま区別線線原体35の中の核産設線原体の上を通っている足の内側縦アーチのへたり変形が抑制され、長時間の体重移動動作による足の疲労を軽減する作用をする。
【0086】
区別線線原体が本発明履物等の中でゼロブレ基準線をその周辺部と区別可能なものにする効果をもたらすという本発明履物等の特性に関して;
第8の局面に於ける本発明履物等は、産設された核産設線原体を必ず含んだ区別線線原体とその周辺部39とのヤング率差異により当該特性を;
第9の局面に於ける本発明履物等は、第8の局面の本発明履物等より継承した当該特性を;
第10の局面に於ける本発明履物等は、第5又は第6の局面の本発明履物等より継承した当該特性を;
という具合にそれぞれに当該特性を持つ。
【0087】
従って、第1〜第10のいずれの局面の本発明履物等も、周辺部39との属性の差異を持つ区別線線原体35を産設してあるので、当該差異によりゼロブレ基準線33を区別可能なものである。従って、底支点・底支点軌跡とゼロブレ基準線33の位置関係を比べることにより足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別できる。
従って、本発明履物等は、解決すべき課題としての「足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別可能なものとする足首関節ブレ区別用の補助ツール」として機能するものである。
【発明の効果】
【0088】
{{本発明履物等の効果の説明}}
ヒトは3次元空間認知能力が低いため、体重移動動作中に足の3次元的な複雑な動きに合わせて動くゼロブレ基準線を認識するのは極めて困難だという弱点を抱える。本発明履物等は、底支点の軌跡を制御するための基準線となるゼロブレ基準線を足と挙動を共にする履物等の中で周辺部と区別できるので、当該弱点を埋める効果がある。
【0089】
すなわち、第1〜第10の局面の本発明履物等は、いずれも;
履物等の3次元的な形状である甲被覆部又は履物等底部に核産設線原体を必ず含んだ区別線線原体を底部仮想地面内へ走査投影視化して産設するという工夫を施したことにより、ゼロブレ基準線を地面に描かれた線に近い感覚で理解でき;
また、体重移動動作中にでもリアルタイムにゼロブレ基準線を把握でき;
また、本来感知可能な底支点・底支点軌跡と当該ゼロブレ基準線とを比べて足首関節ブレをドライバ・ローリングと区別でき;
足首関節ブレを体重移動動作中にリアルタイムに制御可能なものにする効果を発揮する。
【0090】
その結果、本発明履物等はいずれも足首関節ブレ区別用の補助ツールとして特に適した機能を有すると云える。
【0091】
さらに、その結果、本発明履物等はいずれも、実践者自らの特性・目的・症状に合わせて上下肢関節の関節ブレをフレキシブルに制御可能なものとする。その結果、当該特性・目的・症状に合わせて上下肢関節の関節ブレの適合化を可能なものとする。
【0092】
つまり、本発明履物等のいずれも、足首関節ブレ制御スキルを取得することを従来より容易にする効果を持ち、その結果、多様な上下肢関節の関節ブレを特性・目的・症状に合わせて適合化することを従来履物等より容易に可能なものにする。例えば、上下肢関節の関節ブレを適合化することにより、外反母趾・膝痛の予防・矯正、体の向きの制御、などを可能にする効果がある。
【0093】
また、本発明履物等に産設されている核産設線原体は、足首関節ブレがゼロにし、体重移動動作中の履物等の走歩行安定性を増加し、履物等の変形が軽減し、足の疲労を低減する、ガイドラインを提供する機能がある。
【0094】
また、従来よく行われる歩行法として、足首関節ブレ・膝関節ブレに注目を払わない流儀の歩行法がある。
また、従来の別の歩行法の流儀として、底支点が踵部の中央部から中足部の外甲側を経て、更に拇指球を経て母趾へ抜ける流儀の、足首関節ブレ・膝関節ブレを活用したダイナミックな歩行法も広く普及している。
Lモデル型体重移動動作としての歩行は足首関節ブレ及びそれによる膝関節ブレがゼロであるので、従来流儀の歩行法とは違う。
しかし、足首関節ブレとドライバ・ローリングを区別制御可能な補助ツールである本発明履物等はいずれも、足首関節ブレ・膝関節ブレをフレキシブルに区別制御可能であるので、実践者をしてフレキシブルに各種流儀の歩行法を習得しやすくする効果を持つ。
【0095】
さらに、第8の局面では、本発明履物等は;
区別線線原体である可撓体を0.1〜216GPaの範囲内から選択されたいずれか1つの数値のヤング率の弾性材料を少なくとも1種類を含む可撓体として選んで、通常のゴム材料より曲げ剛性及び引っ張り剛性が高い、つまりヤング率が高い、ものを選択できるので;
区別線線原体が引っ張り変形しにくくなるので、核産設線原体の上を通る足の内甲側縦アーチのアーチ曲率へたりを軽減させ、足の衝撃緩和能の減少を軽減し、足の疲労を軽減する効果を持つ。
【0096】
また、第9の局面での本発明履物等では、固めのシャンクには体重を乗せて体重移動をしやすいので、当該シャンクが足首関節ブレをゼロにしたLモデル型体重移動動作に本発明履物等装着者を誘導する効果がある。
第9の局面での本発明履物等は、また、立体的に転動しやすい上下方向の曲率に当該シャンクが沿っている上に、当該シャンクがバネの働きをするので足底を転動しやすく歩きやすい効果がある。
さらに、第9の局面での、本発明履物等は、当該シャンクの上を通る足の内甲側縦アーチの衝撃緩和能を補強して、足の疲労や上下肢関節への衝撃の少ない履物等を提供できる効果がある。
【0097】
さらに、第10の局面では、本発明履物等は、区別線線原体と履物等の甲被覆部に設けた補強ベルトで上下方向に3点で拘束した履物等靴全体を取り巻く枠構造をしているので、足に装着された場合には、区別線線原体の平面視での両端距離は当該枠により拘束され伸びにくくなるので、区別線線原体の上を通る足の内甲側縦アーチのアーチ曲率へたりを軽減させ、足の疲労と衝撃緩和能の減少を軽減する効果を持つ。
【0098】
底支点・底支点軌跡の底部仮想地面内での動きの制御は、体重移動(即ち体重心移動)の制御に他ならない。従って、本発明履物等はいずれも、体重移動とゼロブレ基準線との関係を実践者をして把握可能なものにし、極めて曖昧で解り難いために従来より実践者の最大の悩みのタネであった体重移動制御方法を具体的で解りやすいものにする効果がある。
【0099】
体重移動により起こる不適切な足首関節ブレが、上下肢関節のそれぞれに於いてそれぞれの関節ブレを起こし、関節面への横方向への片当たり・過大荷重負担が、本来の関節面でない脆弱な部分の関節に片減りなどの損傷・変形を引き起こし、足の外反母趾、膝関節・股関節の変形性関節症などの主原因となる。当該損傷・変形を予防・矯正する局面からみて、上下肢関節の関節ブレを多様な実践者の特性やどの関節をどのように予防又は矯正をしたいのかというそれぞれの目的に応じてフレキシブルに合わせて適合化するために、本発明履物等はいずれも、実践者の特性・目的・症状に応じてフレキシブルに足首関節ブレを制御可能なものにする効果がある。
また、スポーツ等の局面では、本発明履物等はいずれも、多様な実践者の特性・目的に応じてフレキシブル・パワフルに、膝ブレ・股関節ブレ・体軸ブレ・目線ブレなどという形で表現される上下肢関節の各関節ブレ(足首関節ブレを含む)を低減若しくは増大すべく制御可能なものにする効果がある。
【0100】
また、特に第6の局面での本発明履物等に於いて、区別線線原体を構成する産設線原体がその周辺部39より連続又は断続して突起して産設された履物等では;
リフレクソロジー(一種の整体術)に於いて、強圧すれば高血圧・肩こり・リュウマチ・糖尿病・便秘・脳卒中に効くといわれる足裏の反射ゾーン(ツボ)が、偶然にも、ゼロブレ基準線に沿って点在する。従って、周辺部39に比べ突起した形状をもつ当該産設線原体を産設した本発明履物等は、当該反射ゾーン(ツボ)への強圧効果を得ることができるという副次的効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0101】
{{本発明の実施形態の包括的説明}}
以下、本発明履物等の最良の実施形態について、第1〜第10の局面の本発明履物等について包括的に説明する。
【0102】
本発明履物等に用いられる履物等として、婦人靴、紳士靴、スニーカ、運動靴、ウォーキングシューズ、ランニングシューズ、各種靴の中敷き、サンダル、足袋、靴下、足首サポータ、そして、球技若しくは陸上若しくはウインタースポーツ若しくは武術格闘技若しくは舞踏若しくはリハビリテーション療法若しくは美容ケアのいずれかの種目に専ら用いられるそれぞれの種目専用靴、があり、
本発明履物等はそれらにLモデルに基づく本発明技術を適用したものである。
【0103】
本発明履物等は、装着者の足の甲側を全体又は部分的に覆う部分を含む甲被覆部と、足底・ソックスに接する足底接触部(インソール若しくは中敷きなど)及び/又は履物等底部の地面と直接接する地面接触部(アウトソール若しくはソックスなどの地面接触部位)及び/又は足底接触部の下に配置され地面接触部の上面に貼り合わされる履物等底部の中間層(ミッドソール)を有している。インソール、ミッドソール、アウトソールは、靴業界で常用されるものである。
また、足底接触部(インソール若しくは中敷き)は、靴に組み込んだもの、靴の純正部品として取り替え式のもの、又は足底接触部が独立して別売りで製造・販売されるものもある。
また、本発明履物等は;
ソックスのような着用物のタイプのように、履物等底部の中間層相当部分がない構成のもの及び/又は足底接触部と履物等底部の地面接触部と履物等底部の中間層が融合した構成のものもあるし;
また、サンダル・下駄・ハイヒールのように甲被覆部に開口部が大きく覆い方が不完全なものでもよい。
【0104】
核産設線原体9を必ず含んで産設線原体36からなる区別線線原体35は、履物等の足底接触部38(中敷き若しくはインソール)、又は履物等底部(中間層12、又は、地面接触部13)、又は甲被覆部4−Bに産設されるのが好ましい。
【0105】
本発明履物等のサイズ型番の設計に於いては;
前記したLモデル式ゼロブレ基準線特定方法に規定する数値範囲内から、人種・性別・年齢・体形により或る型番の利用者層の個人差の平均モデルを想定して選択して、Lモデル式ゼロブレ基準線特定方法によって、ゼロブレ基準折線を特定し、又はその特定されたゼロブレ基準折線をベースにしてゼロブレ基準曲線を特定し、さらにそれらからゼロブレ基準線を特定すべきである。但し、ゼロブレ基準線を実測値から特定する場合はその限りではない。
換言すれば、第1〜第10のいずれかの局面での本発明履物等に産設する区別線線原体・核産設線原体のベースとなるゼロブレ基準線は、Lモデル式ゼロブレ基準線特定方法に基づいて特定すべきものである。なお、ゼロブレ基準線は、実測したゼロブレ軌跡から特定してもよい。
【0106】
左右履物等それぞれに、区別線線原体は、必ず核産設線原体を含む少なくとも1本、多くとも5本の産設線原体から構成されるべきである。
産設線原体は、履物等に於いて産設線原体と周辺部39との属性の差異により、ゼロブレ基準線と重なる産設線として走査投影視で周辺部39と区別可能なものとするように、履物等に産設される連続した一つの部材若しくは断続して1列に配列された複数の部材若しくは模様である。核産設線原体の走査投影視での中心線は、特定された当該ゼロブレ基準線に重なるように設計されるべきである。
各局面での本発明履物等で記載した当該部材及び当該模様は、履物等に於いて産設線原体としてその周辺部との区別可能なものであれば形状を問わない。
当該部材として、通常、帯状、棒状、細長い板状、1列に断続して配列された複数の形状を用いれば、履物等の中で区別可能なものであるので、当該部材の断面は任意であるが、通常は、矩形断面、円・楕円管、円・楕円柱の部分断面、又はそれらを崩した単独若しくは組み合わせ形状の断面の部材が用いられるのが普通である。
【0107】
当該模様は描かれるものであるので、当該模様の色彩の種類については任意で構わないが、少なくとも核産設線原体(模様)は周辺の色彩と明確な色彩差があることが好ましい。産設線線原体(模様)ごとに違った色彩でも構わないが、それぞれ色彩が周辺部の色彩と色彩差があり、特に核産設線原体(模様)の色彩を際だたせることが好ましい。
特に、第7の局面での本発明履物等では、区別線線原体が履物等の甲被覆部に産設されるが、履物等の意匠デザインの要求から、区別線線原体を構成する産設線原体は核産設線原体を必ず含んで複数本になることがある。
【0108】
左右履物等それぞれの産設線原体の、巾及び長さ及び描く場合を除いて高さ若しくは深さ、の寸法は、第1の局面での本発明履物等で記載した範囲内で選択され特定されて履物等に産設されるべきである。
【0109】
本発明履物等のいずれに於いても、区別線線原体・核産設線原体を履物等に産設する方法として、連続又は断続した部材タイプの当該原体を産業利用を目的として左右履物等それぞれに設ける方法、及び/又は、連続又は断続した模様タイプの当該原体を産業利用を目的として左右履物等それぞれに描く方法がある。これらの方法には、履物等業界周知・公知・公用の製法を用いることで充分である。
例えば;
当該部材タイプの当該原体を設ける製法の代表的なものとしては、縫製・貼着・融着成形・接着・射出成形・加熱加硫圧着・ホットメルト接着、などの単独又は複合した履物等業界で周知・公知・公用の製法が用いられ;
当該模様タイプの当該原体を描く方法の代表的なものとしては、織込み・染付け・融着・吹付け・焼付け・印刷・手描き、などの単独又は複合した履物等業界周知・公知・公用の製法が用いられる。
【0110】
部材タイプの産設線線原体の材料として、例えば、金属(鉄・鋼・各種合金を含む)・プラスティックの帯・板・棒線、ゴム、発泡ウレタン、ウレタン、EVA、ナイロン、発泡ゴム、天然繊維・人工繊維の織物、天然皮革、カーボン繊維・ケブラー繊維・アラミド繊維・ポリエステル繊維・ガラス繊維金属線などの高張力繊維又はそれらの織物・組合せ構造体、などの中から少なくとも1種を含む材料であり、周辺部の材料との硬度・ヤング率の差異などの属性の差異を勘案して選んだ材料、であることが好ましい。
模様タイプの産設線線原体に使う色彩顔料には、耐久性耐候性のあるもの、周辺部の色彩と差異を区別可能なものであれば、自在に選択して構わない。
【0111】
産設線原体の周辺部としては、通常の履物等と同様に当業界で周知・公知・公用の材料及び構成を用いて構わない。
【0112】
第8若しくは第9の局面での本発明履物等では、0.1〜216GPaの範囲内から選択されたいずれか1つの数値のヤング率の弾性材料が用いられるが、例えば、当該弾性材料として、形状記憶合金又は鋼のような金属、ポリウレタン樹脂・ポリアミド樹脂・ポリカーボネート樹脂などの高ヤング率の樹脂、コルク、ゴム、などの中から少なくとも1種を含む材料であり、周辺部の材料との硬度・ヤング率の差異などの属性の差異を勘案して選んだ材料、であることが好ましい。
【0113】
特に、第9の局面での本発明履物等では、シャンクの材料は、シャンクはへたりの来ない素材が好ましいので、形状記憶合金又は鋼のような形状記憶性若しくは弾性復元性の強い金属、又は樹脂素材の場合でも形状記憶性を持った素材、又はそれらの組合せ、が好ましい。
【0114】
第10の局面での本発明履物等では;
連続したタイプの産設線原体(図9(a)の36)で構成する区別線線原体35、及び、甲被覆部4−Bに設けられた補強ベルト10で前後上下方向に履物等靴全体を取り巻く枠を形成する。
例えば図13で説明すれば、当該枠(10と35)は、区別線線原体のつま先方向の端16―A、踵方向の端16−C、及び区別線線原体の足前部足後部の境部16−B、の3点に於いて、上下に接合する若しくは対面させる。
また、第10の局面での本発明履物等では、第7の局面での本発明履物等と兼ねて、第7の局面での本発明履物等の甲被覆部に産設される連続した一つの部材タイプの区別線線原体を構成する産設線原体をベルトタイプの部材として、第10の局面での本発明履物等の甲被覆部に設けられる補強ベルトとして兼ねることもできる。この場合は、区別線線原体が履物等の底部と甲被覆部に2つ設けられることになる。
補強ベルト10の素材は、通常に靴・シューズに用いられている公知・公用の補強ベルト材料で構わない。
【0115】
{{本発明の各実施例の個別的説明}}
以下、代表的な実施例について、説明する。
【実施例1】
【0116】
図1に示す実施形態は、第9の局面の本発明履物等で記載したシャンク9−Dと第10の局面の本発明履物等で記載した補強ベルト10を組み合わせて、当該シャンク9−Dと補強ベルト10で上下前後方向に履物等を取り巻く枠を形成した本発明履物等の実施例である。当該枠では、当該シャンク9−Dと当該補強ベルト10は履物等先端16−A、足前部と足後部の境16−B、履物等後端16−Cの3点で接合される。
当該補強ベルト10の実施例として、図13で外甲側からの側面図で例示した補強ベルト10がある。当該シャンクは履物等の足底接触部、中間層、地面接触部のいずれに産設しても構わない。
本実施形態では;
当該シャンクとその周辺部とのヤング率差異(剛性差)により、ゼロブレ基準線が区別可能なものとなり、足首関節ブレがドライバ・ローリングと区別可能なものとなり、最終的に上下肢関節の関節ブレを制御可能になるだけでなく;
当該枠は着地衝撃を緩和し足疲労軽減の面で好ましく作用する。
すなわち、当該シャンクは;
側面視で下方に凸状に曲がった中心線を持つ弾性体であるので、下方に凸状の弓状のバネとして作用し、当該シャンクの上方を通る上方に凸状の足の内甲側縦アーチの足の着地衝撃の緩和能を補強し、バネの復元力が足の前進を助ける作用を持つので足の疲労軽減の面で好ましく作用する。
なお、シャンクの材料は形状記憶性があり復元性がある材料を選択することが好ましい。
【実施例2】
【0117】
図13に例示した実施形態は、第10の局面の本発明履物等の実施例である。
この実施例では;
連続したタイプの産設線原体(例えば、図9の(a)の36)からなる区別線線原体35と、履物等先端16−A、足前部と足後部の境16−B、履物等後端16−Cの3点で接合される甲被覆部4−Bに設けられる補強ベルト10であり;
当該区別線線原体35は靴底部の中間層12(ミッドソール)に産設されている。
当該補強ベルト10は、履物等の甲被覆部4−Bに足首を通す開口部があるので足首部を迂回して、またタン部・開口部がある場合はそれらを迂回して、当該3点で当該区別線線原体35に接合されて、前後上下方向に履物等靴全体を取り巻く当該枠(35と10)を形成する。
当該補強ベルト10で以て、区別線線原体35の足前部及び足後部の走査投影視での長さが伸びるのを拘束するので、たまたま区別線線原体35の上を通っている足の内側縦アーチのへたり変形が抑制され、長時間の体重移動動作による足の疲労を軽減する。
また、区別線線原体35を構成する産設線原体36とその周辺部39との属性の差異により、ゼロブレ基準線が区別可能なものとなり、足首関節ブレがドライバ・ローリングと区別可能なものとなり、最終的に上下肢関節の関節ブレを制御可能になる。
【実施例3】
【0118】
図7に示す実施例では、核産設線原体9としてゼロブレ基準折線1に基づく核産設線原体9−C、若しくはゼロブレ基準曲線2に基づく核産設線原体9−Aが履物等に産設される。
図7は、図8(a)若しくは(b)若しくは(c)を走査投影視したものを表す。
図8(a)若しくは(b)若しくは(c)で例示するように、当該産設線原体36としての核産設線原体9−C若しくは核産設線原体9−Aは足底接触部38若しくは中間層12若しくは地面接触部13に産設することができる。
また、例えば、図7を走査投影視での足底接触部38のインナーソールを示す図と見て、例示された本発明履物等であるインナーソール4が第6の局面での本発明履物等の実施例を表すと見た場合、突起タイプの産設線原体(図10(a)の36)としての核産設線原体9−C若しくは核産設線原体9−Aの突起の高さは均一でなくてよい。足裏で足の骨にかかる部分と筋肉・腱にかかる部分では、その剛性が違うので突起を感知しやすくするために、足裏の剛性が高いところは当該核産設線原体の高さを低く、足裏の剛性が低いところはその逆にしてもよい。突起タイプの当該核産設線原体は図9(b)のような断続した複数の突起のタイプの産設線原体36でもよい。
また、区別線線原体を構成する当該核産設線原体とその周辺部39との突起の差によって、ゼロブレ基準線が区別可能なものとなり、足首関節ブレがドライバ・ローリングと区別可能なものとなり、最終的に上下肢関節の関節ブレを制御可能になる。
また、足のリフレクソロジー(一種の整体術)に於いて、強圧すれば高血圧・肩こり・リュウマチ・糖尿病・便秘・脳卒中に効くといわれる足裏の反射ゾーン(ツボ)が偶然にゼロブレ基準線に沿って点在するので、強圧効果を高めるためには、当該核産設線原体を足底接触部38に設けることが好ましい。この際は、足底接触部の材料としてはコルクなどを用いてもよい。
【実施例4】
【0119】
図6に例示する本発明履物等は、第7の局面での本発明履物等の実施例である。
図6の例に示すように、核産設線原体9−Bだけからなる区別線線原体として、履物等の甲被覆部4−Bに、部材が設けられたか、又は模様が描かれた、履物等である。
当該部材若しくは当該模様の周辺部39との属性の差異は色彩差であり、当該色彩差が明瞭であることがゼロブレ基準線を区別できるためには好ましい。図6では区別線線原体35として核産設線原体9−Bが産設された実施例である。
意匠デザインの面からの要請で、色彩は周辺の色彩と区別できる色彩であれば任意でよいし、また、意匠デザイン上で核産設線原体9−B以外に産設線原体が複数本設ける又は描く必要があれば、5本以内の範囲で任意に産設することができる。また、複数の産設線原体の色彩が互いに相違しても構わない。
履物等の甲被覆部に産設された区別線線原体の中の核産設線原体9−Bの周辺部39との色彩差によって、本発明履物等の中でゼロブレ基準線をその周辺部と区別可能なものである。
【0120】
以上、本発明の実施の形態および実施例について説明した。
本発明を実施するに際し、本説明に記載しない事項、及び、区別線線原体(産設線原体・核産設線原体)を履物等に産設することに係る部分以外の履物等に係る実施形態については、周知・公知・公用・当業界の常識でもって本発明履物等の設計・製造を実施できるので、ここでは説明を省略してある。
従って、今回開示された実施の形態および実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0121】
{{1例として歩行指導産業での利用可能性}}
本発明の産業上の利用可能性として、本発明履物等の製造・販売は当然であるので、それ以外の一例を記す。
例えば、体重移動動作が歩行動作であるとして;
歩行に於ける上下肢関節の関節ブレを自らの特性・目的・症状に合わせて適合化したい実践者を指導するために、指導者及び当該実践者が共に本発明履物等を装着した感覚・知見を共有して、その共有した感覚・知見を双方向に確認しながら指導者が実践者を指導すれば、言葉による勘違いや誤解のない効果的な指導ができる。
歩行中の足首関節ブレと膝ブレの相関関係、歩行中の微妙な体重移動方法、足首関節と股関節の微妙な連動方法、など実践者が理解困難だった曖昧な従来指導方法に比べて;
具体的でありモビリティに優れ且つ安価な本発明履物等を使って指導することにより、より効率的な遠隔指導又は対面指導が可能になる利点がある。
また、これは中央の中核的な指導者が、地域の歩行指導者を指導する場合にも当てはまる。
そのような利点を活用して本発明履物等を使った歩行指導産業;
すなわち、遠隔教育、通信教育、インターネットを含む通信ネットワークを使ったイーラーニング(e-learning)、ウォーキング講習会、ウォーキング教室、若しくは指導教本販売など;
への利用可能性がある。
この利用可能性は、歩行指導産業に限らず、ゴルフ・野球・サッカー・テニスなど各種のスポーツ、及びダンス・フィットネス・走行など、へ足首関節ブレ制御スキルを応用・適用・逆用・展開をするスキルに関する指導産業についても当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】第9の局面の本発明履物等で記載したシャンクと第10の局面の本発明履物等で記載した補強ベルトを組み合わせて履物等を取り巻く枠を形成した本発明履物等の実施例を示す平面図
【図2】ゼロブレ基準折線とゼロブレ基準曲線の関係を示す足の骨格を示す平面図
【図3】Lモデル式ゼロブレ基準線特定方法によるゼロブレ基準折線の特定法の説明のための足骨格の平面図
【図4】内外反等域境界線の説明のための足骨格の平面図
【図5】(a)体重心が描く軌跡とゼロブレ基準曲線の関係説明図(平面図),(b)体重心が描く簡略化した軌跡とゼロブレ基準折線の関係説明図(平面図)
【図6】第7の局面の本発明履物等の例の平面図
【図7】ゼロブレ基準曲線タイプの核産設線原体(a)とゼロブレ基準折線タイプの核産設線原体(b)の走査投影視での各履物等底部での産設状態を示す説明図(平面図)
【図8】各履物等底部、即ち、足底接触部(a)、中間層(b)、地面接触部(c)それぞれに産設した産設線原体の例の説明図(断面図)
【図9】(a)連続するタイプの産設線原体の例、(b)断続タイプの産設線原体の例、の説明図(平面図)
【図10】突起(a)タイプの産設線原体と陥没(b)タイプの産設線原体の例の説明図(断面図)
【図11】核産設線原体の例の説明図(平面図)
【図12】シャンクの平面図(a)、帯板タイプのシャンクの断面d−d(b)、断面c−c(c)、断面b−b(d)、及び、パイプ部分断面タイプのシャンクの断面d−d(e)、断面c−c(f)、断面b−b(g)を示すシャンク形状例の説明図
【図13】第10の局面の甲被覆部に補強ベルトを設けた本発明履物等の実施例(外甲側からの側面図)
【図14】産設線原体、核産設線原体、及び区別線線原体の例の説明図(平面図)
【符号の説明】
【0123】
1 ゼロブレ基準折線
1−A 折線の繋がりから切り取ったゼロブレ基準折線
2 ゼロブレ基準曲線
2−B 正弦曲線から切り取ったゼロブレ基準曲線
3 走査投影視での足の長軸
4 走査投影視での履物等の底部
4−A 履物等の走査投影視での底部のプロフィル
4−B 履物等の甲被覆部
5 屈折点
6 二つの種子骨中心の中間点
7 底部仮想地面又は地面
8 踵骨
9 核産設線原体
9−A ゼロブレ基準曲線をベースとした核産設線原体
9−B 甲被覆部に産設されたゼロブレ基準曲線をベースとした核産設線原体
9−C ゼロブレ基準折線をベースとした核産設線原体
9−D ゼロブレ基準曲線をベースとしたシャンク(核産設線原体)
10 補強ベルト
11 産設線原体の中心線
12 履物等の底部の中間層
13 履物等の底部の地面接触部
14 正弦曲線
15 折線の繋がり
16−A 区別線線原体の前端
16−B 区別線線原体の足前部と足後部の境
16−C 区別線線原体の後端
17 長軸線分の長さ
19 体正面方向中心線に一致する又は平行な足の体正面方向線
20 足後部の内外反等域境界線、全体の内外反等域境界線
20−A 足前部の内外反等域境界線
21 前脛骨筋の作用点
22 後脛骨筋の作用点
23 長指屈筋の屈曲点
23−A 長指屈筋の着点
24 長拇指屈筋の屈曲点
24−A 長拇指屈筋の着点
25 長拇指伸筋の屈曲点
26 長指伸筋の屈曲点
27 第3腓骨筋の屈曲点
28 長腓骨筋の屈曲点
29 短腓骨筋の屈曲点
30 外甲側
31 内甲側
32 ヒラメ筋・ヒフク筋の着点
33 ゼロブレ基準線
34 産設線
35 区別線線原体
36 産設線原体
37 部材又は模様
38 足底接触部
39 産設線原体の周辺部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右履物等それぞれに:
履物等装着者が周辺部との属性の差異により周辺部と区別可能なものとするように、履物等に設けられた若しくは描かれた、任意形状の連続した部材・模様又は断続して1列に配列された複数の任意形状の部材・模様、を差異区別体と定義し;
差異区別体の中心線の走査投影視での仮想線であり、
且つ底部仮想地面内での走査投影視した履物等プロフィルからはみ出す走査投影視での差異区別体の中心線の部分はカットして当該プロフィル内部領域一杯に納まる部分だけの底部仮想地面内での当該仮想線、
を称して産設線と定義し;
当該装着者が産設線として周辺部との属性の差異により走査投影視で区別可能なものになるように、
履物等の足底接触部又は履物等底部に設けられた任意形状の、差異区別体としての、連続した一つの部材若しくは断続して1列に配列された複数の部材、
又は、履物等の甲被覆部に沿って設けられた任意形状の、差異区別体としての、連続した一つの部材若しくは断続して1列に配列された複数の部材、
又は、履物等の甲被覆部に沿って描かれた任意形状の、差異区別体としての、連続した一つの模様若しくは断続して1列に配列された複数の模様、
を総称して産設線原体と定義し;
Lモデルに基づいてLモデル式ゼロブレ基準線特定方法により特定された、ゼロブレ基準折線若しくはゼロブレ基準曲線を用いたゼロブレ基準線、に重なる産設線を持つ産設線原体を核産設線原体と定義し;
1本〜5本の本数範囲の中から選ばれたいずれか1種類の本数の産設線原体からなる産設線原体の配列であり、
且つ核産設線原体を必ず含んだ当該配列を、
区別線線原体と定義し;
必ず核産設線原体を含んで区別線線原体を構成する産設線原体の単体の寸法を、左右それぞれに履物等の足底接触部若しくは履物等底部若しくは履物等の甲被覆部に沿って計って履物等の長軸線分の長さの40%〜280%の範囲の中から選ばれたいずれか一つの寸法の長さで且つ当該長軸線分の長さの0.5〜21%の範囲の中から選ばれたいずれか一つの寸法の巾で且つ描く場合を除いて高さ若しくは深さを1〜20ミリメートルの範囲の中から選ばれたいずれか一つの寸法に特定して、産業利用を目的として当該産設線原体の周辺部との属性の差異をつけて産設線原体若しくは核産設線原体若しくは区別線線原体若しくはそれら原体の一部分を履物等に設ける又は描くことを称して、産設線原体若しくは核産設線原体若しくは区別線線原体を履物等に「産設する」と表現するものとし、更には、産設線若しくはゼロブレ基準線を履物等に「産設する」と表現するものとして:
区別線線原体を産設したことを特徴とする履物等。
【請求項2】
請求項1に於いて、区別線線原体を産設した場所が履物等の足底接触部(靴ではインソール又は中敷き)であることを特徴とする区別線線原体を産設した履物等。
【請求項3】
請求項1に於いて、区別線線原体を産設した場所が履物等の地面接触部(アウトソール部若しくは地面接触部位)という履物等底部であることを特徴とする区別線線原体を産設した履物等。
【請求項4】
請求項1に於いて、区別線線原体を産設した場所が履物等の足底接触部と地面接触部に挟まれて地面接触部上面に貼設される中間層(靴であれば、ミッドソール部)という履物等底部であることを特徴とする区別線線原体を産設した履物等。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか1つに於いて、区別線線原体が:
区別線線原体を構成する産設線原体とその周辺部との属性の差異がJIS KのD硬度数値で5〜99の範囲の中から選ばれたいずれか1つの数値の硬度差であるような区別線線原体であり;
当該産設線原体が当該周辺部より硬い材料で産設された部材の区別線線原体である:
ことを特徴とする区別線線原体を産設した履物等。
【請求項6】
請求項2〜請求項4のいずれか1つに於いて、区別線線原体が:
区別線線原体を構成する産設線原体とその周辺部との属性の差異が当該周辺部との凸凹差であるような区別線線原体であり;
当該産設線原体が当該周辺部より、連続又は断続して、突起若しくは陥没して産設された部材の区別線線原体である:
であることを特徴とする区別線線原体を産設した履物等。
【請求項7】
請求項1に於いて、区別線線原体が:
産設した場所が履物等の甲被覆部である区別線線原体であり:
当該区別線線原体を構成する産設線原体が;
任意形状の連続した一つの設けられた部材若しくは断続して配列されて設けられた任意形状の複数の部材又は任意形状の連続した一つの描かれた模様若しくは断続して配列されて描かれた任意形状の複数の模様であり;
且つ、当該産設線原体とその周辺部との属性の差異が色彩差となるように当該産設線原体が当該周辺部と違った色彩で産設された産設線原体であり;
且つ、履物等の甲被覆部にタン部・開口部が在る場合はその在るタン部・開口部及び足首部に産設する部分が欠落した産設線原体であり、タン部及び開口部がない場合は足首部に産設する部分が欠落した産設線原体であり;
そのような産設線原体から構成された区別線線原体である:
ことを特徴とする区別線線原体を産設した履物等。
【請求項8】
請求項5又は請求項6に於いて:
産設された区別線線原体を構成する産設線原体とその周辺部との属性の差異が、当該周辺部との剛性差(ヤング率の差異)であり;
且つ、当該産設線原体を連続タイプの当該産設線原体として組合せ構造又は織物ベルトからなる可撓体にし;
且つ、当該可撓体を0.1〜216GPaの範囲内から選択されたいずれか1つの数値のヤング率の弾性材料を少なくとも1種類を含む可撓体とした:
ことを特徴とする区別線線原体を産設した履物等。
【請求項9】
請求項8に於いて:
当該可撓体を核産設線原体だけからなる区別線線原体で構成されたシャンクと置き換え;
且つ当該シャンクが、請求項8に記載されたヤング率の範囲内から選択されたいずれか1つの数値のヤング率を有する一体のシャンク又は組合せ構造体のシャンクであり;
当該シャンクが、側面視では半径150cm以下の円弧で下方に凸状となるように曲がった中心線を持つ、パイプ形状若しくは丸棒の一部をなすような断面形状若しくは矩形断面形状の帯板のシャンクであり;
且つ当該シャンクが、走査投影視ではゼロブレ基準曲線タイプのゼロブレ基準線と重なる当該中心線を持つ一体部材又は組合せ構造部材のシャンクである:
ことを特徴とする区別線線原体を産設した履物等。
【請求項10】
請求項5〜請求項9の中で請求項7を除いたいずれか1つに於いて:
区別線線原体を構成する産設線原体を連続したタイプの部材とし;
当該区別線線原体のつま先方向の端(履物等先端)、踵方向の端(履物等後端)、及び区別線線原体の足前部足後部の境部、の3点に於いて、区別線線原体とそれぞれ接合される若しくは対面する、甲被覆部に設けられる補強ベルトであり;
且つ、履物等の甲被覆部にタン部・開口部が在る場合はその在るタン部・開口部及び足首部を迂回して、タン部及び開口部がない場合は足首部を迂回して、当該3点を連結する補強ベルトである;
ような当該補強ベルトで以て、底支点にかかる荷重によって区別線線原体の足前部及び足後部の走査投影視での長さが伸びるのを拘束するように;
区別線線原体と当該補強ベルトで前後上下方向に履物等靴全体を取り巻く枠を形成するようにした:
ことを特徴とする区別線線原体を産設した履物等。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−65992(P2009−65992A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2007−132313(P2007−132313)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(599160239)
【出願人】(506380271)
【Fターム(参考)】