説明

振動アクチュエータ、レンズ鏡筒、および光学装置

【課題】低速から高速まで安定して動作することが可能な振動アクチュエータと、そのアクチュエータを有するレンズ鏡筒および光学装置を提供すること。
【解決手段】電気機械変換素子104に交流電圧が印加されることにより、振動波が発生する振動部材103と、振動波によって振動部材103に対して相対移動する相対移動部材102と、電気機械変換素子104に前記交流電圧を印加する電圧印加手段22,23,25と、振動部材103と相対移動部材102との相対移動速度に応じて交流電圧の振幅を変化させる制御手段20とを有する振動アクチュエータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動アクチュエータ、レンズ鏡筒、および光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばカメラのオートフォーカス駆動機構においては、超音波モータが用いられることがある。超音波モータは、圧電素子が設けられた弾性体(ステータ)と、移動子(ロータ)とが重ねられて構成されており、圧電体に超音波域の周波数(駆動周波数)を有する高周波電圧を印加することによって弾性体を振動させ、進行性振動波を発生させる。その進行性振動波の影響により、バネによって加圧されているロータが回転駆動する。
【0003】
超音波モータは、共振周波数よりも高い周波数領域で使用されるために、駆動周波数(f)を下げるにしたがい、共振周波数に近づき、回転速度が指数関数的に増加する。すなわち、超音波モータのロータの回転速度は、駆動周波数(f)が低いと高速回転し、駆動周波数(f)が高いと低速回転になるが、低速回転状態では、ロータの回転が止まりやすく、安定して低速回転を続けることが困難であるという問題点があった。
【0004】
なお、超音波モータのロータの回転速度の制御に関して、駆動周波数が低い場合に、低電圧から高電圧に駆動電圧を切り替える技術が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、従来の超音波モータでは、ロータが低速回転している場合にロータの安定した回転を実現させることが困難であった。
【特許文献1】特開2002−305884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、低速から高速まで安定して動作することが可能な振動アクチュエータと、そのアクチュエータを有するレンズ鏡筒および光学装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る振動アクチュエータは、
電気機械変換素子(104)に交流電圧が印加されることにより、振動波が発生する振動部材(103)と、
前記振動波によって前記振動部材(103)に対して相対移動する相対移動部材(102)と、
前記電気機械変換素子(104)に前記交流電圧を印加する電圧印加手段(22,23,25)と、
前記振動部材(103)と前記相対移動部材(102)との相対移動速度に応じて交流電圧の振幅を変化させる制御手段(20)とを有する。
【0007】
本発明の振動アクチュエータは、振動部材(103)と相対移動部材(102)との相対移動速度に応じて、交流電圧の振幅を変化させる制御手段(20)を有する。そのため、アクチュエータの低速回転時には、アクチュエータに高電圧を印加することが可能になり、低速回転時に安定してアクチュエータを動作させることが可能となる。また、アクチュエータの高速回転時には、低電圧を印加させても、慣性力により相対移動部材(102)は安定して動作することができ、しかも省エネルギーにも寄与する。
【0008】
振動アクチュエータは、前記相対移動部材(102)の移動速度が所定の値(Ns)より小さい場合に、前記所定の値(Ns)より大きい場合の交流電圧の振幅に対して、前記交流電圧の振幅を増大させるようにしてもよい。ロータ(102)の回転速度が所定の値より小さい場合に、電圧を上げることにより、ロータ(102)の低速回転時に安定してアクチュエータを駆動することができる。
【0009】
振動アクチュエータは、前記交流電圧の振幅を、段階的に変化させるようにしてもよい。アクチュエータの駆動速度に応じ、交流電圧を段階的に変化させることにより、アクチュエータの駆動速度を滑らかに変化させることができる。
【0010】
振動アクチュエータは、前記交流電圧の振幅を、連続的に変化させるようにしてもよい。アクチュエータの駆動速度に応じ、交流電圧を連続的に変化させることにより、アクチュエータの駆動速度をより滑らかに変化させることができる。
【0011】
振動アクチュエータは、前記相対移動部材(102)の移動速度を検出する検出手段(26)をさらに有し、前記検出手段が認識する前記相対移動部材(102)の移動速度に応じて制御をするようにしてもよい。これにより、アクチュエータの駆動速度がモニターされるので、制御回路20によりフィードバック制御されるようになり、アクチュエータの高精度な制御が可能になる。
【0012】
振動アクチュエータは、前記相対移動部材(102)の移動速度が所定時間以上で所定値以下と判断された場合には、前記制御手段(20)が、前記電圧印加手段(22,23,25)から前記電気機械変換素子(102)に印加される前記交流電圧を遮断するようにしてもよい。故障等の何らかの原因によりアクチュエータが駆動されない場合に電圧を出力し続けていると、アクチュエータが過熱し、故障の原因になってしまう。そこで、交流電圧を遮断することでアクチュエータの故障を防止することができる。
【0013】
振動アクチュエータは、前記電圧印加手段(25)と前記電気機械変換素子(104)とによって共振回路(27)が形成されるようにしてもよい。電圧印加手段とは別に共振回路を準備する必要が無くなり、装置のコンパクト化に寄与する。
【0014】
本発明に係るレンズ鏡筒は、上記のいずれかに記載の振動アクチュエータを有する。本発明に係る光学装置は、上記のいずれかに記載の振動アクチュエータを有する。
【0015】
なお、上述の説明では、本発明をわかりやすく説明するために、実施形態を示す図面の符号に対応つけて説明したが、本発明は、これに限定されるものでない。後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替させてもよい。更に、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るカメラの概略構成図、
図2は図1に示すAFモータの駆動回路図、
図3は図1に示すAFモータとして用いられる超音波モータの側面図、
図4は図2に示す駆動回路の制御の一例を示すフローチャート図、
図5は図2に示す駆動回路におけるタイミングチャート図、
図6は超音波モータにおける駆動周波数(f)と回転速度(N)との関係を示すグラフである。
【0017】
まず、図1に基づき、本発明の一実施形態のカメラの全体構成について説明する。以下の説明では、レンズ鏡筒100とカメラボディ200とが着脱自在となる一眼レフカメラについて説明する。図1に示すように、カメラボディ200には、レンズ鏡筒100が着脱自在に装着される。
【0018】
図1に示すように、カメラボディ200は、その内部に着脱自在に内蔵される電池1を有する。この電池1の負極端子は、カメラボディ200の共通接地線7に接続されると共に、電気接点66に接続される。また、この電池1の負極端子は、電源回路2にも接続される。
【0019】
カメラボディ200とレンズ鏡筒100とが連結された状態で、カメラボディ200の共通接地線7は、レンズ鏡筒100の共通接地線8に接続され、導通が確保される。また、カメラボディ200とレンズ鏡筒100とが連結された状態では、電気接点61〜66を介して、レンズ鏡筒100内の電気回路と、カメラボディ200内の電気回路とが電気的に接続される。
【0020】
電池1の正極端子は、ボディCPU3にて制御される給電スイッチ5に接続され、この給電スイッチ5がオンされると、電気接点61を介してレンズ鏡筒100の電源回路11、ブレ補正用モータ(VRモータ)15、絞り駆動回路16および電圧モニタ回路18に電圧を供給可能になっている。電池1の正極端子は、さらにカメラボディ200内の電源回路2に接続される。電源回路2はボディCPU3により制御される。
【0021】
ボディCPU3のGND端子は、共通接地線7に接続してあり、CPU3のVDD端子は、それぞれのダイオードを介して、電池1の正極端子および電源回路2の出力端子に接続してある。このため、ボディCPU3は、電池投入時より起動することが可能になっている。カメラボディ200の外部スイッチ群4の操作は、ボディCPU3に入力され、所定のスイッチ入力を検出した場合、ボディCPU3は、電源回路2をon/off制御する。
【0022】
たとえばカメラの動作として、通常、不図示のシャッターボタンを半押しした場合には、ボディCPU3は、電源回路2をon制御する。これにより電源回路2は電圧を出力し、電気接点62を介してレンズCPU9に対して給電し、レンズCPU9が動作可能となる。レンズCPU9には、共通接地線8との間で、各種スイッチ10が接続してあり、各種スイッチ10が操作されることにより、レンズCPU9の各種設定や制御を変更可能になっている。
【0023】
レンズCPU9が動作可能となると、電気接点63〜65を介して、レンズCPU9はボディCPU3と通信を行う。その結果、ボディCPU3は給電スイッチ5をon状態に切り替え、レンズCPU9は電源回路11を起動し、レンズ内に存在するAFモータ駆動回路12、ブレ補正回路13に給電を行い、各機能の動作を開始する。また、給電スイッチ5がon状態にあるので、レンズ内のAFモータ14、VRモータ15および絞りモータ17はいずれも動作可能状態である。
【0024】
レンズ鏡筒100の内部回路において、レンズ内のAFモータ14およびVRモータ15が動作状態時に、電源回路11の出力が何らかの理由でダウンすることがある。そのような場合には、電源回路11からのAFモータ駆動回路12およびブレ補正回路13への給電が停止し、AFモータ14およびVRモータ15の負荷は、電気接点61を介して供給される電池1の電源経路から自動的に切り離されるようになっている。
【0025】
図1に示すAFモータ14は、図3に示す超音波モータ14aで構成されている。この超音波モータ14aでは、バネ101によりロータ102がステータ103に対して加圧接触され、ステータ103には、圧電素子104が接合してあり、圧電素子104は、基板106が接合してある。圧電素子104に対して電極引き出し線105を介して交流電圧が印加され、圧電素子104が励振することにより、ステータ103に進行性振動波が発生し、ロータ102が回転駆動するようになっている。
【0026】
図3に示す圧電素子104を有する超音波モータ14aは、図2に示すように、電気回路ではキャパシタ成分Cで表すことができ、AFモータ駆動回路12内のトランス(変圧器)25の2次側インダクタンスL2と対になり、共振回路27を構成している。
【0027】
AFモータ駆動回路12内では、トランス(変圧器)25の2次側インダクタンスL2と対を成す1次側インダクタンスL1が配置してあり、それとグランドラインとの間にはスイッチング素子24が接続され、そのスイッチング素子24の制御は、制御回路20の出力ポートOUTにて行われる。出力ポートOUTから出力される高周波パルス信号の周波数を変化させることで、超音波モータ14aの駆動周波数(f)を変化させることができる。
【0028】
トランス25の1次側インダクタンスL1には、電源回路22,23からの電圧E1のみ、あるいは電圧E1+E2が印加されるようになっている。1次側インダクタンスL1への電圧E1のみ、あるいは電圧E1+E2の切替は、スイッチング素子21により行われ、その素子21は、制御回路20の制御ポートCTLからの出力信号により制御される。
【0029】
また、図2に示すように、超音波モータ14aの回転状態は回転検出センサ26により検出され、制御回路20のモニタポートMONに入力され、常に回転状態を認識できるようになっている。図2に示す制御回路20は、図1に示すレンズCPU9に組み込まれていても良く、あるいは、別の制御回路であっても良い。図2に示す電源回路22および23は、図1に示す電源回路11に組み込まれてあっても良く、あるいは別の回路でも良い。
【0030】
次に、主として図4に基づき、たとえば図1に示すAFモータ14として用いられる図2および図3に示す超音波モータ14aの制御について説明する。
【0031】
図4に示すステップS1にて、制御がスタートすると、図2に示す制御回路20の制御端子CTLからの出力信号に基づき、スイッチング素子21がONになり、図4に示すステップS2にて、トランス25の1次側インダクタンスL1には、電源回路22からの電圧E1のみが印加される。図5では、その状態を時刻t0からt1の間で示される。その状態では、図2に示す制御回路20の出力ポートOUTからは何ら駆動信号が出力されない。そのため、超音波モータ14aに振動進行波は発生せず、制御回路20のモニタポートMONでは、超音波モータ14aの回転検出が0である旨の信号が入力される。
【0032】
次に、ステップS2では、図1に示すボディCPU3への入力信号に基づき、レリーズボタンが半押し状態か否かを判断し、そうでない場合には、ステップS2およびステップS3を繰り返し、半押しの場合には、ステップS4の動作を行う。
【0033】
ステップS4では、図5に示す時刻t1に示すように、図2に示す制御ポートCTLからスイッチング素子21へ制御信号を送り、スイッチング素子21をオフ状態とさせる。その結果、一次側インダクタンスL1には、電源回路22および23からの加重電圧E1+E2が電圧V1として印加される。また、ステップS4では、図2に示す出力ポートOUTから、図5に示すように、比較的に高周波のパルス信号が図2に示すスイッチング素子24に印加される。そのため、図2に示す二次側インダクタンスL2および超音波モータ14aには、図5に示す時刻t1からt2の間の波形で示すように、比較的に高周波で高電圧の電圧V2が印加される。
【0034】
次に、図4に示すステップS5では、図2に示す制御回路20は、回転検出センサ26にて検出された回転速度が所定時間以上0か否かを判断する。ステップS4にて、図5に示す時刻t1からt2の間におけるパルス状電圧V2が図2に示す超音波モータ14aに印加されれば、制御回路20のモニタポートMONで検出されるように、超音波モータ14aは、低速回転しているはずである。
【0035】
それにもかかわらず、図4に示すステップS5にて、制御回路20のモニタポートMONで検出される回転速度の検出が0である場合とは、何らかの故障が生じているか、あるいはオートフォーカス制御が終了している場合である。したがって、そのような場合には、図4に示すステップS7に行き、図2に示す制御回路20または図1に示すレンズCPU9から制御信号を電源回路11に出力し、AFモータ14である超音波モータ14aへの電圧の供給を遮断する。
【0036】
また、図4に示すステップS5にて、制御回路20のモニタポートMONで検出される回転速度の検出が0で無い場合には、オートフォーカス制御が正常状態で続行中であると考えられる。そのような場合には、ステップS6に行き、図2に示す制御回路20は、超音波モータの回転速度が、図6に示す所定回転速度Nsよりも高いか否かを判断する。
【0037】
超音波モータの回転速度が、図6に示す所定回転速度Nsよりも低い場合には、ステップS4に戻り、ステップS4およびS5を繰り返す。制御回路20は、オートフォーカス動作を素早くするために、たとえば図5に示す時刻t2のタイミングで、図2に示す出力端子OUTからの駆動周波数を低くし、超音波モータ14aの回転速度を上げる。
【0038】
その結果、図2に示す制御回路20は、モニタポートMONからの入力信号に基づき、超音波モータ14aの回転速度が、図6に示す所定回転速度Nsよりも高いことを検出する。所定回転速度Nsよりも高い回転速度が検知される場合とは、安定して回転し続けることができる回転速度であると判断することができる。そのような場合には、図4に示すステップS2に戻り、図5に示す時刻t2からt3で示すように、図2に示す制御回路20は、制御ポートCTLから制御信号を出力し、スイッチング素子21をオンにする。そのため、1次側インダクタンスL1には、電圧V1として、電圧E1のみが印加される。
【0039】
その結果、図2に示す超音波モータ14aには、図5に示す時刻t2からt3までの高速回転時の駆動波形の電圧V2が印加される。高速回転時の駆動波形の電圧V2の振幅は、低速回転時の駆動波形の電圧V2よりも短く、この実施形態では、約半分である。
【0040】
オートフォーカス制御を終了させるために、超音波モータ14aの回転速度を高速回転から低速回転に移行させるために、図2に示す制御回路20が、たとえば図5に示す時刻t3のタイミングで、図2に示す出力端子OUTからの駆動周波数を高くし、超音波モータ14aの回転速度を下げる。
【0041】
その結果、図2に示す制御回路20は、モニタポートMONからの入力信号に基づき、図4に示すステップS6にて、超音波モータ14aの回転速度が、図6に示す所定回転速度Nsよりも低いことを検出する。そこで、図4に示すステップS4に戻り、図5に示す時刻t3からt4で示すように、図2に示す制御回路20は、制御ポートCTLから制御信号を出力し、スイッチング素子21をオフにする。そのため、1次側インダクタンスL1には、電圧V1として、電圧E1+E2が印加される。
【0042】
その結果、図2に示す超音波モータ14aには、図5に示す時刻t3からt4までの低速回転時の駆動波形の電圧V2が印加される。そして、図2に示す制御回路20が、オートフォーカス動作の終了を検知すれば、出力ポートOUTからの駆動パルス信号の出力を停止させ、超音波モータ14aの駆動を停止させる。
【0043】
本実施形態に係る超音波モータ14aを含む駆動回路12と、それを用いたレンズ鏡筒100を含むカメラによれば、超音波モータ14aの低速回転時には高電圧を印加して、駆動トルクを増大させ、低速回転時にも安定してモータ14aを駆動し続けることができる。また、超音波モータ14aの高速回転時には低電圧を印加させても、慣性力によりロータ102は安定して回転することができ、しかも省エネルギーにも寄与する。
【0044】
なお、図6において、所定回転速度Nsよりも低い回転領域では、不安定な低速回転領域であることが言える。不安定な低速回転領域とは、超音波モータ14aの特性の基づくものであり、図6に示すように、駆動周波数fを高い方から低い方に移動させた場合に回転速度が停止する駆動周波数f1と、その逆の駆動周波数f2が異なるヒステリシスが生じる領域である。
【0045】
このような低速回転領域では、従来では、安定して低速回転させることが困難であったが、本実施形態では、上述したように、高速回転時に比較して、電圧を上げることで、低速回転時にも安定してモータ14aを駆動し続けることができる。図6に示す所定回転速度Nsは、たとえばヒステリシスが生じる最大回転数Nmの1.2倍〜1.3倍以上の値である。
【0046】
なお、上述した実施形態では、図5に示すように、図2に示す制御回路20の出力ポートOUTから出力される駆動信号の周波数が、時刻t2またはt3にて、急激に変化しているが、それに限らず、多段階に変化させても良く、あるいはなだらかに徐々に変化させても良い。また、同様に、図2に示す超音波モータ14aに印加される電圧V2の振幅に関しても、時刻t2またはt3にて、急激に変化しているが、それに限らず、多段階に変化させても良く、あるいはなだらかに徐々に変化させても良い。
【0047】
さらに上述した実施形態では、図2に示す回転検出センサ26を用いて、超音波モータ14aの回転速度を検出し、その検出結果に基づき、超音波モータ14aに印加される電圧V2の振幅を変化させたが、それに限らない。たとえば、回転検出センサ26を具備させることなく、制御回路20の出力ポートOUTから出力される駆動周波数信号を、制御回路20自体がモニタリングし、その駆動周波数に対応して、超音波モータ14aに印加される電圧V2の振幅を変化させてもよい。その駆動周波数は、超音波モータ14aの回転速度と対応するからである。
【0048】
さらにまた、上述した実施形態では、本発明の振動アクチュエータを、一眼レフカメラに組み込んだ例について説明したが、一眼レフカメラに限らず、コンパクトカメラ、ビデオカメラ、顕微鏡、携帯電話などの光学機器に組み込んでも良く、さらには、その他の装置に組み込んでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係るカメラの概略構成図である。
【図2】図2は図1に示すAFモータの駆動回路図である。
【図3】図3は図1に示すAFモータとして用いられる超音波モータの側面図である。
【図4】図4は図2に示す駆動回路の制御の一例を示すフローチャート図である。
【図5】図5は図2に示す駆動回路におけるタイミングチャート図ある。
【図6】超音波モータにおける駆動周波数(f)と回転速度(N)との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0050】
14…AFモータ
14a…超音波モータ
20…制御回路
21,24…スイッチング素子
22…電源回路
23…電源回路
25…トランス
26…回転検出センサ
27…共振回路
100…レンズ鏡筒
102…ロータ
103…ステータ
104…圧電素子
200…カメラボディ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械変換素子に交流電圧が印加されることにより、振動波が発生する振動部材と、
前記振動波によって前記振動部材に対して相対移動する相対移動部材と、
前記電気機械変換素子に前記交流電圧を印加する電圧印加手段と、
前記振動部材と前記相対移動部材との相対移動速度に応じて交流電圧の振幅を変化させる制御手段とを有する振動アクチュエータ。
【請求項2】
前記相対移動部材の移動速度が所定の値より小さい場合に、前記所定の値より大きい場合の交流電圧の振幅に対して、交流電圧の振幅を増大させることを特徴とする請求項1に記載の振動アクチュエータ。
【請求項3】
前記交流電圧の振幅を、段階的に変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の振動アクチュエータ。
【請求項4】
前記交流電圧の振幅を、連続的に変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の振動アクチュエータ。
【請求項5】
前記相対移動部材の移動速度を検出する検出手段をさらに有し、前記検出手段が認識する前記相対移動部材の移動速度に応じて制御をすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の振動アクチュエータ。
【請求項6】
前記相対移動部材の移動速度が所定時間以上で所定値以下と判断された場合には、前記制御手段が、前記電圧印加手段から前記電気機械変換素子に印加される前記交流電圧を遮断することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の振動アクチュエータ。
【請求項7】
前記電圧印加手段と前記電気機械変換素子とによって共振回路が形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の振動アクチュエータ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の振動アクチュエータを有するレンズ鏡筒。
【請求項9】
請求項8に記載のレンズ鏡筒を有する光学装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−148206(P2010−148206A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321173(P2008−321173)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】