説明

搬送装置

【課題】移動距離を延長しても、直線移動機構全体の重量化、および旋回動作による慣性力の増大を適切に回避する。
【解決手段】搬送装置A1は、固定ベース1と、垂直状の旋回軸線Os周りに旋回可能な旋回ベース2と、旋回ベース2に支持された直線移動機構3と、直線移動機構3に支持され、ワークWを水平直線状の移動行程に沿って搬送するハンド4A,4Bと、軸線Osに沿って配置され、固定ベース1内のモータM3,M4からの駆動力を直線移動機構3に伝達するための伝動軸25,26とを備える。直線移動機構3は、水平軸線O1周りに回転可能な駆動プーリ335、および、垂直面内に沿うように駆動プーリ335に掛け回され、移動行程の平行線に沿って往復動する出力ベルト337を含んで構成された駆動機構33A,33Bと、出力ベルト337に連結されたハンド4A,4Bを移動可能に支持するガイドレール32A,32Bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関し、より詳しくは、基板等の薄板状のワークを直線状に搬送することができる搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置のうち、直線状の移動行程に沿ってハンドを移動させる機構(直線移動機構)をもつものは、いわゆる多関節型ロボットに比較して構成が簡単で安価であり、たとえば、半導体製造装置の製造工程、あるいは、液晶表示パネルの製造工程において、各処理室へのウエハ、あるいはガラス基板等の薄板状のワークの搬入あるいは搬出用として多用されている。
【0003】
このような薄板状のワークを搬送するための搬送装置としては、たとえば下記の特許文献1に開示されたものがある。この搬送装置は、旋回ベースに支持された直線移動機構としてのリンクアーム機構が設けられ、このリンクアーム機構の先端部に基板等の板状ワークを水平に保持可能なハンドが設けられたものである。旋回ベースは、固定ベースに対して旋回可能に支持されており、固定ベース上でこの旋回ベースが垂直状の旋回軸線周りに旋回すると、それに伴ってリンクアーム機構が旋回させられる。固定ベースの内部には、リンクアーム機構を駆動させるための駆動源が設けられているとともに、この駆動源からの駆動力をリンクアーム機構に伝達するための伝動軸が旋回ベースの内部まで延びるように設けられている。リンクアーム機構は、複数のアームが回転可能に連結された2つの平行四辺形リンクを有する構成とされており、固定ベース内の上記駆動源からの駆動力が伝動軸を介して伝達されることによって駆動させられる。リンクアーム機構が駆動すると、ハンドに保持された板状ワークが水平面内で直線的に移動させられる。これにより、板状ワークが所定位置から他の位置へと搬送させられる。
【0004】
近年では、たとえば、液晶表示パネルの製造において取り扱うパネルサイズが大型化する傾向にある。それに伴い、搬送装置において搬送するべきワークもまた、大型化するとともに相当の重量を有するようになり、また、ワークを保持するハンドの移動距離についても長大化が求められる。
【0005】
しかしながら、上記従来の搬送装置では、ワークの重量が嵩むと、これを支持するリンクアーム機構においても所定の高い剛性を備えることが必要になり、当該リンクアーム機構の重量化を招く。
【0006】
また、ハンドの移動距離を大きくするには、リンクアーム機構を構成するアームの長さを長くする必要がある。そうすると、リンクアーム機構は、全体として上記旋回軸線から遠ざかる位置に変位することになり、これと上記リンクアーム機構の重量化とが相俟って、上記旋回ベースの旋回動作の開始時および停止時においては、旋回ベースに大きな慣性力が作用することになる。その結果、旋回用の駆動源として出力の大きいものが必要になり、好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−186259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、直線移動機構によって移動させられるハンドの移動距離の長大化のニーズに対しても、直線移動機構の全体の重量化、および旋回動作にともなう慣性力の増大を適切に回避することができる搬送装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0010】
本発明によって提供される搬送装置は、固定ベースと、この固定ベースに対して垂直状の旋回軸線周りに旋回可能に支持された旋回ベースと、この旋回ベースに支持された直線移動機構と、この直線移動機構に支持され、この直線移動機構の作動によりワークを水平直線状の移動行程に沿って搬送するハンドと、上記固定ベース内に配置された駆動源と、上記旋回軸線に沿って配置され、上記駆動源からの駆動力を上記直線移動機構に伝達するための伝動軸と、を備えた搬送装置であって、上記直線移動機構は、水平軸線周りに回転可能に支持された駆動プーリを含む複数のプーリ、および、垂直面内に沿うように上記複数のプーリに掛け回され、上記移動行程の平行線に沿う所定の区間を往復動する出力ベルトを含んで構成された駆動機構と、上記ハンドを移動可能に支持するガイドレールと、を有し、上記ハンドは、連結部材を介して上記出力ベルトに連結されており、上記駆動機構は、上記伝動軸と上記駆動プーリとの間に介在させられるベベルギア機構と、上記旋回軸線の平行線に沿って配置される回転軸と、上記伝動軸の回転を上記回転軸に伝達する伝達部と、を備え、上記ベベルギア機構は、上記回転軸の一端に設けられた第1のベベルギアと、この第1のベベルギアに噛み合わされ、上記回転軸の回転を上記駆動プーリに伝達するための第2のベベルギアと、を有することを特徴としている。
【0011】
本発明に係る搬送装置においては、ハンドは、ガイドレールに支持されるとともに、ベルト式の駆動機構により駆動させられるように構成されている。このような構成によれば、ハンドの移動距離を延長するには、ガイドレール、および出力ベルトを長尺化することにより容易に対応することが可能である。このため、ハンドの移動距離の長大化によって直線移動機構が重量化するのを適切に回避することができる。
【0012】
また、駆動機構において、出力ベルトは、垂直面内に沿うように駆動プーリを含む複数のプーリに掛け回されており、伝動軸から駆動プーリへの駆動力の伝達は、ベベルギア機構を介してなされる。このような構成によれば、旋回軸線の近傍にベベルギア機構や駆動プーリなどの駆動力伝達経路を効率よく配置することができる。したがって、このような構成によれば、旋回動作の開始時および停止時において、旋回ベースに作用する慣性力が増大するのを回避することができる。
【0013】
好ましい実施の形態においては、上記旋回ベースは、上下に分離可能に連結された上位部と下位部とを備えており、上記伝達部は、上記上位部に対して上記旋回軸線周りに回転可能に支持された連係部材と、上記伝動軸に対して上方から係合させられ、かつ上記連係部材に対して着脱可能に設けられた係合部材と、を備える。
【0014】
このような構成によれば、搬送装置を必要に応じて上下に分離することができるので、たとえば据え付け時などにおいて取り扱い易いものとなる。すなわち、移動行程の長大化にともなって直線移動機構が比較的に長尺となるところ、この直線移動機構を旋回ベースの上位部に支持させた状態で分離することが可能となるので、上記据え付け時などにおいても、搬送装置の取り扱いが容易になる。
【0015】
好ましい実施の形態においては、上記ハンドは、上記移動行程に沿って相互に干渉することなく移動可能とされた第1および第2のハンドを含み、上記駆動機構は、上記第1および第2のハンドをそれぞれ駆動する第1および第2の駆動機構を含んでいるとともに、上記伝動軸は、上記第1および第2の駆動機構に対応して同軸状に配置された第1および第2の伝動軸からなっており、上記ベベルギア機構は、上記第1および第2の駆動機構、ならびに上記第1および第2の伝動軸にそれぞれ対応するように構成された第1および第2のベベルギア機構を含んでいる。
【0016】
上記構成の搬送装置は、ハンドを2つ備え、当該2つのハンドが別個独立して駆動させられるいわゆる2アーム式の搬送装置においても好適に適用することができる。
【0017】
好ましい実施の形態においては、上記第1および第2の伝動軸は、その一方が他方に内挿通されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の参考例に係る搬送装置の全体斜視図である。
【図2】図1に示す搬送装置の平面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図3の部分拡大図である。
【図5】図3のV−V線に沿う断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る搬送装置の全体斜視図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】図8のIX−IX線に沿う部分断面図である。
【図10】図8のX−X線に沿う部分断面図である。
【図11】図7のXI−XI線に沿う部分断面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る搬送装置の分離手順を説明するための部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る搬送装置の好ましい実施形態につき、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0020】
図1〜図5は、本発明の参考例に係る搬送装置を示している。搬送装置A1は、たとえば液晶表示パネル用の基板等といった薄板状のワークWを搬送するためのものである。この搬送装置A1は、図1〜図3に表れているように、固定ベース1と、この固定ベース1に対して垂直状の旋回軸Os周りに旋回可能に支持された旋回ベース2と、旋回ベース2に支持された直線移動機構3と、直線移動機構3に各別に支持された一対のハンド4A,4Bと備えている。ハンド4A,4Bは、上記薄板状のワークWを水平姿勢で保持するためのものである。
【0021】
図3によく表れているように、固定ベース1は、底壁部11と、円筒状の側壁部12と天井壁13とを備えた、略円柱状の外形を有するハウジング1Aを備えており、天井壁13には、中心開口13Aが形成されている。
【0022】
固定ベース1の内部には、昇降ベース14が支持されている。昇降ベース14は、中心開口13Aよりも小径の外径をもち、上下方向に所定の寸法を有する円筒部141と、この円筒部141の下端に形成された外向フランジ部142とを有している。ハウジング1Aの側壁部12の内壁には、上下方向の直線ガイドレール15が複数取り付けられているとともに、昇降ベース14の外向フランジ部142に設けた複数のガイド部材16が直線ガイドレール15に対して上下方向スライド移動可能に支持されている。これにより、昇降ベース14は、固定ベース1に対し、上下方向に所定範囲内で移動可能であり、このとき、昇降ベース14の円筒部141の上部がハウジング1Aの中心開口13Aから出没する。
【0023】
固定ベース1の天井壁13と昇降ベース14の外向フランジ部142との間には、この昇降ベース14の円筒部141を取り囲むようにして配置されたベローズ17の両端が連結されている。このベローズ17は、昇降ベース14の上下方向の移動にかかわらず、固定ベース1の天井壁13と昇降ベース14の外向フランジ部142との間を気密シールする。
【0024】
固定ベース1の内部にはまた、ベローズ17の外側において、鉛直方向に配置されて回転するネジ軸181と、このネジ軸181に螺合され、かつ昇降ベース14の外向フランジ部142に貫通状に固定されたナット部材182とからなるボールネジ機構18が配置されている。ネジ軸181は、その下端に取付けたプーリ183に掛け回されたベルト184によってモータM1に連係されており、このモータM1の駆動により、正逆方向に回転させられる。このようにしてネジ軸181を回転することにより、昇降ベース14が昇降させられる。
【0025】
旋回ベース2は、図3に表れているように、円筒軸21と、その上方に一体的につながる上板22とを備えている。円筒軸21は、昇降ベース14の円筒部141の内部にベアリング231を介して旋回軸線Osを中心として回転可能に支持されている。円筒部141と円筒軸21との間にはまた、ベアリング231よりも上位に位置するシール機構232が介装されている。シール機構232は、当該シール機構232よりも上方の空間と、シール機構232よりも下方の昇降ベース14の内側空間とを遮蔽して気密性を保持するものである。円筒軸21の下端には、プーリ211が一体的に形成されており、このプーリ211と円筒部141内に支持されたモータM2の出力軸に取り付けたプーリとの間にベルト241が掛け回されている。これにより、モータM2を駆動させると、旋回ベース2が旋回軸線Os周りに旋回する。
【0026】
図3および図4に表れているように、旋回ベース2の円筒軸21には、後述する第1および第2の駆動機構33A,33Bに駆動力を伝達するための第1および第2の伝動軸25,26が旋回軸Osに沿って同軸状に挿通されている。第2の伝動軸26は、円筒状の軸とされ、円筒軸21の内側にベアリング233を介して回転可能に支持されている。第1の伝動軸25は、第2の伝動軸26の内側にベアリング234を介して回転可能に支持されている。第1の伝動軸25の下端は、円筒部141内に支持されたモータM3の出力軸に連結されている。また、第1の伝動軸25の上端には、ベベルギア252が設けられている。一方、第2の伝動軸26の下端には、プーリ261が設けられており、このプーリ261と、円筒部141内に支持されたモータM4の出力軸に取り付けたプーリとの間にベルト242が掛け回されている。第2の伝動軸26の上端には、ベベルギア262が設けられている。
【0027】
直線移動機構3は、ハンド4A,4Bを水平直線状の移動行程GLに沿って搬送するためのものであり、図3に表れているように、ガイド部材31と、このガイド部材31上に設けられたガイドレール32A,32Bと、ハンド4A,4Bに水平方向の駆動力を伝達する第1および第2の駆動機構33A,33Bとを有する。
【0028】
ガイド部材31は、水平方向に延びる長手軸線(移動行程GL)を有する平面視長矩形状をしているとともに、底壁311、側壁312、中壁313、およびカバー314を備えている。このガイド部材31はまた、旋回ベース2の上板22に固定されており、旋回ベース2が旋回させられると、これにともなって旋回する。ガイド部材31の底壁311と旋回ベース2の上板22との間は図示しないシール部材によって気密シールされている。内側の一対のガイドレール32Aは、中壁313に支持され、外側の一対のガイドレール32Bは、側壁312に支持されている。
【0029】
ハンド4Aは、その下部に形成された一対の支持アーム41a、および支持アーム41aに設けられたスライダ321Aを介して、一対のガイドレール32Aに支持されている。ハンド4Bは、ハンド4Aの側方を迂回するように形成された一対の支持アーム41b、および支持アーム41bに設けられたスライダ321Bを介して、一対のガイドレール32Bに支持されている。各ガイドレール32A,32Bの上方は、カバー314によって覆われている。ハンド4Aの支持アーム41aは、カバー314の上面に形成されたスリット314aを貫通しており、支持アーム41aには、連結部材42aが設けられている。連結部材42aは、中壁313に形成されたスリットを貫通して後述する第1の駆動機構33Aの出力ベルト337に連結されている。また、ハンド4Bにおいては、支持アーム41bは、カバー314の側面に形成されたスリット314bを貫通しており、支持アーム41bには、連結部材42bが設けられている。連結部材42bは、中壁313に形成されたスリットを貫通して第2の駆動機構33Bの出力ベルト337に連結されている。
【0030】
図1〜図3によく表れているように、ハンド4A,4Bには、ガイド部材31の長手方向に延びる複数のホーク状の保持片43a,43bが一体形成されており、これらの保持片43a,43b上に上記薄板状のワークWが載置保持される。なお、図3および図5においては、図1および図2と異なり、ハンド4A,4Bの双方が固定ベース1の上方に位置する状態を示している。
【0031】
第1および第2の駆動機構33A,33Bは、ハンド4A,4Bを各別に移動行程GLに沿って移動させるためのものである。第1および第2の駆動機構33A,33Bは、基本的に同様の構成を有しているので、以下に第1の駆動機構33Aの構成について具体的に説明し、第2の駆動機構33Bについては適宜説明を省略する。
【0032】
第1の駆動機構33Aは、図3〜図5に表れているように、伝動軸331,332と、ベベルギア機構333Aと、減速機構334と、駆動プーリ335と、プーリ336a〜336fと、出力ベルト337とを備え、ガイド部材31内に収容されている。伝動軸331は、ガイド部材31によって、旋回軸線Osに対して直交する水平軸線O1周りに回転可能に支持されている。伝動軸331の一端(図中右側)には、ベベルギア331aが設けられており、このベベルギア331aは、第1の伝動軸25の上端に設けられたベベルギア252と噛み合っている。ベベルギア機構333Aは、ベベルギア252およびベベルギア331aによって構成されており、第1の伝動軸25の旋回軸線Os周りの回転を水平軸線O1周りの回転に変換したうえで駆動プーリ335に伝達するためのものである。伝動軸331の他端は減速機構334の入力軸に連結されている。
【0033】
伝動軸332は、ガイド部材31によって水平軸線O1周りに回転可能に支持されている。伝動軸332の一端は、減速機構334の出力軸に連結されている。伝動軸332の他端(図中左側)には駆動プーリ335が設けられている。また、伝動軸332とガイド部材31との間には、シール機構338が介装されている。このシール機構338によって、ガイド部材31の内部から旋回ベース2を介して連通する昇降ベース14の内側空間は、外部に対して気密シールされている。なお、必要に応じて伝動軸331および伝動軸332の間に図示しないカップリングジョイントを設けてもよい。
【0034】
図5に表れているように、プーリ336a〜336fは、ガイド部材31内においてそれぞれ所定の水平軸線周りに回転可能に支持されている。出力ベルト337は、駆動プーリ335およびプーリ336a〜336fに対し、垂直面内に沿うように掛け回されている。プーリ336a,336bは、ガイド部材31の長手方向(移動行程GLに沿う方向)の両端部近傍に設けられている。一方、プーリ336c,336d,336e,336fは、駆動プーリ335の近傍に設けられており、そのうちのプーリ336c,336dは、出力ベルト337の外側に配置されている。これにより、出力ベルト337には、適度な張力が付与されている。出力ベルト337としては、たとえばタイミングベルトが好適に用いられる。
【0035】
このような構成により、モータM3を駆動させると、モータM3の回転駆動力は第1の伝動軸25を介して第1の駆動機構33Aに伝達される。当該駆動機構33Aにおいては、ベベルギア機構333Aによって旋回軸線Os周りの回転から水平軸線O1周りの回転へと回転の軸方向が変換されるとともに、減速機構334によって減速されたうえで、駆動プーリ335が回転させられる。この駆動プーリ335の回転に伴って出力ベルト337が所定の垂直面内において往復動する。
【0036】
プーリ336a,336bは、移動行程GLの平行線に沿って配置されている。そして、図5において出力ベルト337におけるプーリ336a,336bの上方に位置する領域は、移動行程GLと平行な区間34aとなっており、出力ベルト337は、この区間34aにおいて往復動しうるように構成されている。出力ベルト337における上記区間34aの所定部位には、ハンド4Aの支持アーム41aから延びる連結部材42aが連結されている。これにより、ハンド4Aは、第1の駆動機構33Aの駆動により、内側2つのガイドレール32Aに支持されながら移動行程GLに沿って水平にスライドする。
【0037】
第2の駆動機構33Bにおいては、図4に表れているように、伝動軸331,332は、旋回軸線Osを挟んで第1の駆動機構33Aの伝動軸331,332に対向するように配置され、それぞれ水平軸線O1周りに回転可能とされている。伝動軸331の一端(図中左側)にはベベルギア331aが設けられており、このベベルギア331aは、第2の伝動軸26の上端に設けられたベベルギア262と噛み合っている。これらのベベルギア262およびベベルギア331aによってベベルギア機構333Bが構成されている。
【0038】
モータM4を駆動させると、モータM4の回転駆動力は、ベルト242、第2の伝動軸26を介して第2の駆動機構33Bに伝達される。当該駆動機構33Bにおいては、ベベルギア機構333Bによって旋回軸線Os周りの回転から水平軸線O1周りの回転へと回転の軸方向が変換されるとともに、減速機構334によって減速されたうえで、駆動プーリ335が回転させられる。この駆動プーリ335の回転に伴って出力ベルト337が所定の垂直面内において往復動する。また、出力ベルト337における所定部位には、ハンド4Bの支持アーム41bから延びる連結部材42bが連結されている。これにより、ハンド4Bは、第2の駆動機構33Bの駆動により、外側2つのガイドレール32Bに支持されながら移動行程GLに沿って水平にスライドする。
【0039】
上記構成の搬送装置A1は、たとえば液晶表示パネルの製造工程において、プロセスチャンバへワークを搬入し、あるいは搬出するために用いられる。この場合、搬送装置A1は、たとえば周部に複数のプロセスチャンバが配置されたトランスポートチャンバ内に真空雰囲気下で配置される。
【0040】
近年では、液晶表示パネルの取り扱うパネルサイズが大型化する傾向にあり、これにともなってハンド4A,4Bの移動距離の長大化が求められる。本参考例の搬送装置A1においては、ハンド4A,4Bは、ガイドレール32A,32Bに支持されているとともに、ベルト式の駆動機構33A,33Bによって駆動させられるように構成されている。したがって、ハンド4A,4Bの移動距離を延長するには、ガイドレール32A,32B、および出力ベルト337を長尺化することにより容易に対応することができる。このため、たとえば本参考例とは異なるリンクアーム機構によって直線移動機構を構成する場合と比べて、上記移動距離の長大化よって直線移動機構3が重量化するのを適切に回避することができる。
【0041】
また、搬送装置A1においては、第1および第2の駆動機構33A,33Bの駆動源であるモータM3,M4は、旋回動作をともなわない昇降ベース14(固定ベース1)内に配置されているので、旋回ベース2内にモータM3,M4の配線類を引き回す必要がない。したがって、旋回ベース2についてはエンドレス旋回が可能であり、ワークWの搬送をフレキシブルに行って製造効率を向上させることが期待できる。
【0042】
加えて、第1および第2の駆動機構33A,33Bにおいては、第1および第2の伝動軸25,26から駆動プーリ335,335への駆動力の伝達は、ベベルギア機構333A,333Bを介してなされ、出力ベルト337,337は、垂直面内に沿うように掛け回されている。このような構成によれば、ベベルギア機構333A,333Bから駆動プーリ335,335に至る駆動力伝達経路を旋回軸線Osの近傍に効率よく配置することができる。このような配置の工夫により、ハンド4A,4Bの移動距離の長大化に対応可能なベルト方式を採用しつつ、旋回ベース2の旋回動作の開始時および終了時において、旋回ベース2に作用する慣性力が増大するのを適切に回避することができる。その結果、旋回用のモータM2としては比較的に出力の小さいものを採用することができ、省スペース化や省電力化にも寄与する。
【0043】
また、ベベルギア機構333A,333Bを構成するベベルギア252,262は、第1および第2の伝動軸25,26の上端にそれぞれ設けられている。かかる構成によれば、駆動プーリ335,335を旋回軸線Osに対してより近傍に配置することが可能になり、旋回ベース2に作用する慣性力が増大するのを回避するうえで好適である。また、減速機構334は、比較的に重量が嵩む傾向にあるところ、本参考例ではベベルギア331aと駆動プーリ335との間に設けられており、旋回軸線Osの比較的に近傍に配置されている。このような構成は、駆動機構33A,33Bに対応する減速機構334を設ける場合においても、旋回ベース2に対する慣性力が増大するのを回避するうえで好適である。
【0044】
図6〜図11は、本発明の実施形態に係る搬送装置A2を示している。なお、図6以降の図面においては、上記参考例と同一または類似の要素には同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0045】
本実施形態に係る搬送装置A2は、図6および図7に表れているように、固定ベース1と、旋回ベース2’と、直線移動機構3’と、一対のハンド4A,4Bとを備え、上記参考例の搬送装置A1と同様に、薄板状のワークWを直線状の移動行程GLに沿って搬送するためのものである。なお、図7および図11においては、図6と異なり、ハンド4A,4Bの双方が固定ベース1の上方に位置する状態を示している。
【0046】
本実施形態の搬送装置A2は、上下に分離可能に構成されたものであり、これに伴って主として旋回ベース2’および直線移動機構3’において種々の変更が施されている点において上記参考例における搬送装置A1と相違している。
【0047】
旋回ベース2’は、図7によく表れているように、円筒軸21’(下位部)とその上方につながるハウジング22’(上位部)とを備えている。円筒軸21’とハウジング22’とは、複数の締結ボルト27(図7においては1つのみが示されている)を介して連結されており、上下に分離可能となっている。ハウジング22’が円筒軸21’に連結された状態において、円筒軸21’とハウジング22’との間は図示しないシール部材によって気密シールされている。円筒軸21’の上部には位置決め用の複数のノックピン212(図7においては1つのみが示されている)が立設されており、当該ノックピン212は、ハウジング22’に形成されたピン孔221に嵌入されている。
【0048】
ハウジング22’は、後述する駆動機構33A’,33B’の一部を収容保持する部分である。ハウジング22’の中央上部には開口222が形成されており、この開口222の下方に環状の支持部材223が連結固定されている。また、図9に表れているように、支持部材223の所定部位には、旋回軸線Osの平行線に沿う貫通孔224が形成されている。
【0049】
第1および第2の伝動軸25,26は、その上端の構成が上記参考例と異なる。本実施形態においては、図9によく表れているように、第1および第2の伝動軸25,26の上端には、それぞれ、ベベルギア252,262に代えてスプライン軸部253,263が形成されている。
【0050】
直線移動機構3’は、ガイド部材31と、ガイドレール32A,32Bと、第1および第2の駆動機構33A’,33B’とを有する。
【0051】
図7に表れているように、ガイド部材31においては、中壁313の中央部に開口313Aが形成されており、この開口313Aには、この開口313Aを気密状態で塞ぐ蓋体315が着脱可能に取り付けられている。カバー314には、中央部に開口314Aが形成されており、この開口314Aには、この開口314Aを塞ぐ蓋体316が着脱可能に取り付けられている。このガイド部材31はまた、旋回ベース2’のハウジング22’に固定されている。
【0052】
第1および第2の駆動機構33A’,33B’は、上記参考例における第1および第2の駆動機構33A,33Bに比べて、第1および第2の連係部材35,36、第1および第2の係合部材37,38、ならびに回転軸339,339を追加的に備えている点が主な相違点である。第1および第2の駆動機構33A’,33B’は、類似の構成を有しているので、以下に主として第1の駆動機構33A’について説明し、第2の駆動機構33B’については適宜説明を省略する。
【0053】
図9によく表れているように、第1および第2の連係部材35,36は、ハウジング22’の支持部材223に対し、旋回軸線Osに沿って同軸状に挿通されている。第1の連係部材35は、円筒軸351と、この円筒軸351に対して周方向外方に突出する鍔部352とを有し、支持部材223の内側にベアリングを介して回転可能に支持されている。鍔部352は、第1の連係部材35の回転面内において、上記支持部材223の下方に重なるように設けられている。鍔部352の周縁には、プーリ353が設けられている。また、鍔部352の所定部位には、旋回軸線Osの平行線に沿う貫通孔354が形成されている。
【0054】
第2の連係部材36は、円筒軸361と、この円筒軸361に対して周方向外方に突出する鍔部362とを有し、第1の連係部材35の円筒軸351にベアリングを介して回転可能に支持されている。円筒軸361は、第1の連係部材35の円筒軸351の内側に位置している。鍔部362は、第2の連係部材36の回転面内において、上記支持部材223および鍔部352の下方に重なるように設けられている。鍔部362の周縁には、プーリ363が設けられている。また、鍔部362の所定部位には、旋回軸線Osの平行線に沿う貫通孔364が形成されている。
【0055】
ここで、支持部材223の貫通孔224、ならびに第1および第2の連係部材35,36の貫通孔354,364は、それぞれその中心が、旋回軸線Osを共通中心とする同心円上に位置するように配置されている。これにより、これらの貫通孔224,354,364は、鉛直軸線Osに沿う一直線上に並ぶ状態とすることが可能である。図9に表れているように、この状態において貫通孔224,354,364にピン51を挿通することにより、第1および第2の連係部材35,36の支持部材223に対する相対回転が阻止される。
【0056】
第1の連係部材35の円筒軸351の上端には、第1の係合部材37が取付ボルト52を介して着脱可能に設けられている。より具体的には、第1の係合部材37は、円筒軸371と、この円筒軸371の上端に設けられ、第1の連係部材35の円筒軸351に重ね合わされた外向フランジ部372とを有する。円筒軸371の下端には、上記第1の伝動軸25の上端に形成されたスプライン軸部253に係合するスプラインボス部373が形成されている。これにより、第1の係合部材37は、第1の伝動軸25に対し、上方から係合させることが可能となっている。
【0057】
第2の連係部材36の円筒軸361の上端には、第2の係合部材38が取付ボルト53を介して着脱可能に設けられている。より具体的には、第2の係合部材38は、円筒軸381と、この円筒軸381の上端に設けられ、第2の連係部材36の円筒軸361に重ね合わされた外向フランジ部382とを有する。円筒軸381の下端には、上記第2の伝動軸26の上端に形成されたスプライン軸部263に係合するスプラインボス部383が形成されている。これにより、第2の係合部材38は、第2の伝動軸26に対し、上方から係合させることが可能となっている。ここで、円筒軸381は、第1の係合部材37の円筒軸371の外側、かつ第2の連係部材36の円筒軸361の内側に配置されている。このため、第2の係合部材38を第2の連係部材36から取り外した状態においては、第2の伝動軸26のスプライン軸部263と第2の連係部材36の円筒軸361との間には、円筒軸381の厚みに相当する隙間がある。
【0058】
第1の駆動機構33A’において、回転軸339は、旋回ベース2’のハウジング22’上部から垂下する円筒状の支持部225によって垂直軸線O2周りに回転可能に支持されている。この垂直軸線O2は、旋回軸線Osに対し、移動行程GLに沿う方向に変位した位置に設定されている。回転軸339の下端には、プーリ339aが設けられており、このプーリ339aと、第1の連係部材35のプーリ353との間にベルト391が掛け回されている。一方、回転軸339の上端には、ベベルギア339bが設けられている。
【0059】
伝動軸331は、図10によく表れているように、支持部225によって水平軸線O3周りに回転可能に支持されている。伝動軸331の一端に設けられたベベルギア331aは、回転軸339の上端のベベルギア339bと噛み合っている。ベベルギア339bおよびベベルギア331aによってベベルギア機構333A’が構成されている。
【0060】
伝動軸332は、ハウジング22’に取り付けられた支持部材226によって水平軸線O3周りに回転可能に支持されている。支持部材226とハウジング22’との間は図示しないシール部材によって気密シールされている。
【0061】
図8または図11に表れているように、出力ベルト337は、駆動プーリ335、およびプーリ336a〜336dに掛け回されている。プーリ336a,336bは、ガイド部材31の長手方向(移動行程GLに沿う方向)の両端部近傍に設けられている。一方、プーリ336c,336dは、駆動プーリ335の近傍に設けられており、かつ、出力ベルト337の外側に配置されている。これにより、出力ベルト337には、適度な張力が付与されている。
【0062】
このような構成により、モータM3を駆動させると、モータM3の回転駆動力は、第1の伝動軸25を介して第1の駆動機構33A’に伝達され、当該駆動機構33A’においては、第1の係合部材37、第1の連係部材35、およびベルト391の連係によってベベルギア機構333A’に伝達される。そして、ベベルギア機構333A’によって旋回軸線Os周りの回転から水平軸線O3周りの回転へと回転の軸方向が変換されるとともに、減速機構334によって減速されたうえで、駆動プーリ335が回転させられる。この駆動プーリ335の回転に伴って出力ベルト337が所定の垂直面内において往復動する。また、出力ベルト337における所定部位には、ハンド4Aの支持アーム41aから延びる連結部材42aが連結されている。これにより、ハンド4Aは、第1の駆動機構33A’の駆動により、内側2つのガイドレール32Aに支持されながら移動行程GLに沿って水平にスライドする。
【0063】
第2の駆動機構33B’においては、図9に表れているように、回転軸339は、垂直軸線O4周りに回転可能に支持されている。この垂直軸線O4は、旋回軸線Osを挟んで上記垂直軸線O2に対向して位置する。回転軸339(図中右側)の下端には、プーリ339aが設けられており、このプーリ339aと、第2の連係部材36のプーリ363との間にベルト392が掛け回されている。回転軸339の上端には、ベベルギア339bが設けられている。第2の駆動機構33B’の伝動軸331は、水平軸線O5周りに回転可能に支持されており、この伝動軸331の一端に設けられたベベルギア331aは、上記ベベルギア339bと噛み合っている。ベベルギア339bおよびベベルギア331aによってベベルギア機構333B’が構成されている。
【0064】
モータM4を駆動させると、駆動モータM4の回転駆動力は、ベルト242および第2の伝動軸26を介して第2の駆動機構33B’に伝達され、当該駆動機構33B’においては、第2の係合部材38、第2の連係部材36、およびベルト392の連係によってベベルギア機構333B’に伝達される。そして、ベベルギア機構333B’によって旋回軸線Os周りの回転から水平軸線O5周りの回転へと回転の軸方向が変換されるとともに、減速機構334によって減速されたうえで、駆動プーリ335が回転させられる。この駆動プーリ335の回転に伴って出力ベルト337が所定の垂直面内において往復動する。また、出力ベルト337における所定部位には、ハンド4Bの支持アーム41bから延びる連結部材42bが連結されている。これにより、ハンド4Bは、第2の駆動機構33B’の駆動により、外側2つのガイドレール32Bに支持されながら移動行程GLに沿って水平にスライドする。
【0065】
本実施形態の搬送装置A2においては、ハンド4A,4Bは、ガイドレール32A,32Bに支持されているとともに、ベルト式の駆動機構33A’,33B’によって駆動させられるように構成されている。したがって、ハンド4A,4Bの移動距離を延長するには、ガイドレール32A,32B、および出力ベルト337を長尺化することにより容易に対応することができる。このため、たとえば本実施形態とは異なるリンクアーム機構によって直線移動機構を構成する場合と比べて、上記移動距離の長大化によって直線移動機構3’が重量化するのを適切に回避することができる。
【0066】
搬送装置A2においては、第1および第2の駆動機構33A’,33B’の駆動源であるモータM3,M4は、旋回動作をともなわない昇降ベース14内に配置されている。このため、旋回ベース2’についてはエンドレス旋回が可能であり、ワークWの搬送をフレキシブルに行って製造効率を向上させることが期待できる。
【0067】
また、第1および第2の駆動機構33A’,33B’においては、第1および第2の伝動軸25,26から駆動プーリ335,335への動力の伝達は、ベベルギア機構333A’,333B’を介してなされ、出力ベルト337,337は、垂直面内に沿うように掛け回されている。このような構成によれば、ベベルギア機構333A’,333B’から駆動プーリ335,335に至る駆動力伝達経路を旋回軸線Osの近傍に効率よく配置することができる。このような配置の工夫により、ハンド4A,4Bの移動距離の長大化に対応可能なベルト方式を採用しつつ、旋回ベース2’の旋回動作の開始時および終了時において、旋回ベース2’に作用する慣性力が増大するのを適切に回避することができる。その結果、旋回用のモータM2としては比較的に出力の小さいものを採用することができ、省スペース化や省電力化にも寄与する。
【0068】
さらに、本実施形態の搬送装置A2においては、たとえば据え付け時などの際には、直線移動機構3’を支持するとともに鉛直軸線Os周りに旋回する旋回ベース2’は、上述したように、上位部であるハウジング22’と下位部である円筒軸21’とに分離することができる。
【0069】
円筒軸21’からハウジング22’を分離する際には、たとえば図12を参照して説明する以下の手順によって行う。まず、ハンド4A,4Bの支持アーム41a,41bをそれぞれ蓋体316の上方から退避させたうえで、蓋体316および蓋体315を取り外す。
【0070】
次に、モータM3,M4を駆動させることにより第1および第2の連係部材35,36をそれぞれ支持部材223に対して回転させて、支持部材223の貫通孔224、ならびに第1および第2の連係部材35,36の貫通孔354,364が一直線上に並ぶ状態にする。この状態でこれらの貫通孔224,354,364にピン51を挿通する。これにより、第1および第2の連係部材35,36は、支持部材223に対して回転不能となる。
【0071】
次に、取付ボルト52を緩めて第1の係合部材37を第1の連係部材35から取り外し、この第1の係合部材37を、ハウジング22’の開口222およびガイド部材31の開口313A,314Aを通じて上方に引き抜く。これにより、第1の伝動軸25と第1の連係部材35との連係が解除される。次に、取付ボルト53を緩めて第2の係合部材38を第2の連係部材36から取り外し、この第2の係合部材38を、ハウジング22’の開口222およびガイド部材31の開口313A,314Aを通じて上方に引き抜く。これにより、第2の伝動軸26と第2の連係部材36との連係が解除される。
【0072】
次に、締結ボルト27を緩めて旋回ベース2’の円筒軸21’およびハウジング22’の連結状態を解除する。
【0073】
次いで、たとえばガイド部材31の上部の適所に図示しない吊りフックを係止させ、当該吊りフックを引き上げることにより、旋回ベース2’のハウジング22’、およびハウジング22’に支持された直線移動機構3’について、これらが一体となった状態で、固定ベース1側から分離することができる。
【0074】
円筒軸21’(下位部)に対するハウジング22’(上位部)の連結は、分離の際とは逆の手順によって行うことができる。すなわち、まず、ハウジング22’を円筒軸21’に載置し、締結ボルト27を締めつけることにより、ハウジング22’と円筒軸21’とを連結する。ここで、ノックピン212によって円筒軸21’に対するハウジング22’の位置決めが高精度でなされており、分離前とほぼ同じ相対位置関係を維持することができる。次いで、第2の係合部材38を第2の連係部材36に取り付け、その後に第1の係合部材37を第1の連係部材35に取り付ける。次いで、ピン51を取り外し、第1および第2の連係部材35,36を支持部材223に対して相対回転可能な状態にする。
【0075】
このような構成の搬送装置A2によれば、ハンド4A,4Bの移動距離を延長するのに際してガイド部材31やガイドレール32A,32Bを含む直線移動機構3’の長手方向寸法を長尺化しても、上記のように直線移動機構3’を旋回ベース2’のハウジング22’に支持させた状態で分離することができるため、据え付け時などにおいても、搬送装置A2の取り扱いが容易になる。
【0076】
また、搬送装置A2においては、第1および第2の係合部材37,38を取り外した状態において、第1および第2の伝動軸25,26のうち外側に位置する第2の伝動軸26と、第1および第2の連係部材35,36のうち内側に位置する第2の連係部材36との間には、鉛直軸線Osの周方向に第2の係合部材38の円筒軸381の厚み相当量の間隙空間S1が確保される。このため、旋回ベース2’のハウジング22’(上位部)を円筒軸21’(下位部)に対して分離し、あるいは連結する際に、ハウジング22’を上下移動させたとしても第2の伝動軸26と第2の連係部材38とが接触するのを回避することができ、これらの部材がこじる、あるいは変形するといった問題が生じることもない。
【0077】
また、搬送装置A2においては、旋回ベース2’のハウジング22’(上位部)を円筒軸21’(下位部)に対して分離する際に、上述したように、支持部材223ならびに第1および第2の連係部材35,36のそれぞれに形成された貫通孔224,354,364に対して共通のピン51を挿通しておくことにより、第1および第2の連係部材35,36のそれぞれをハウジング22’に対して回転不能となるように仮固定しておくことができる。このとき、第1および第2の伝動軸25,26については、モータM3,M4のブレーキ機能によってその回転が阻止されている。このため、第1および第2の係合部材37,38を第1および第2の連係部材35,36に取り付ける際に、第1の連係部材35と第1の伝動軸25、および第2の連係部材36と第2の伝動軸26のそれぞれの位置関係が変化することはない。したがって、第1および第2の係合部材37,38を取り付ける際に位置合わせなどの調整が不要となり、取り扱いの面で好適である。
【0078】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は上記した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る搬送装置の各部の具体的な構成は、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。
【0079】
ワークを載置するハンドとしては、上記実施形態のように2つのハンド4A,4Bを備えるものに限定されず、たとえば、1つのハンドのみを備えたいわゆるワンハンド式の構成としてもよい。
【0080】
上記実施形態では、出力ベルト337はタイミングベルトとされているが、これに限定されず、たとえば、平ベルトやスチールベルト、あるいはワイヤを用いて構成してもよい。
【0081】
上記実施形態では、真空雰囲気下で用いることを前提として説明をしたが、もちろん、本発明に係る搬送装置は、大気圧下で用いるものとして構成することも可能である。
【符号の説明】
【0082】
A1,A2 搬送装置
GL 移動行程
M3 モータ(駆動源)
M4 モータ(駆動源)
Os 旋回軸線
O1,O3,O5 水平軸線
W ワーク
1 固定ベース
2,2’ 旋回ベース
3,3’ 直線移動機構
4A ハンド(第1の)
4B ハンド(第2の)
21’ 円筒軸(下位部)
22’ ハウジング(上位部)
25 第1の伝動軸
26 第2の伝動軸
32A,32B ガイドレール
33A,33A’ 第1の駆動機構
33B,33B’ 第2の駆動機構
34a 区間
35 第1の連係部材
36 第2の連係部材
37 第1の係合部材
38 第2の係合部材
42a,42b 連結部材
252,262 ベベルギア(第1のベベルギア)
331a ベベルギア(第2のベベルギア)
333A,333A’ ベベルギア機構(第1のベベルギア機構)
333B,333B’ ベベルギア機構(第2のベベルギア機構)
334 減速機構
335 駆動プーリ
336a〜336f プーリ
337 出力ベルト
339 回転軸
339b ベベルギア(第1のベベルギア)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ベースと、この固定ベースに対して垂直状の旋回軸線周りに旋回可能に支持された旋回ベースと、この旋回ベースに支持された直線移動機構と、この直線移動機構に支持され、この直線移動機構の作動によりワークを水平直線状の移動行程に沿って搬送するハンドと、上記固定ベース内に配置された駆動源と、上記旋回軸線に沿って配置され、上記駆動源からの駆動力を上記直線移動機構に伝達するための伝動軸と、を備えた搬送装置であって、
上記直線移動機構は、水平軸線周りに回転可能に支持された駆動プーリを含む複数のプーリ、および、垂直面内に沿うように上記複数のプーリに掛け回され、上記移動行程の平行線に沿う所定の区間を往復動する出力ベルトを含んで構成された駆動機構と、上記ハンドを移動可能に支持するガイドレールと、を有し、
上記ハンドは、連結部材を介して上記出力ベルトに連結されており、
上記駆動機構は、上記伝動軸と上記駆動プーリとの間に介在させられるベベルギア機構と、上記旋回軸線の平行線に沿って配置される回転軸と、上記伝動軸の回転を上記回転軸に伝達する伝達部と、を備え、
上記ベベルギア機構は、上記回転軸の一端に設けられた第1のベベルギアと、この第1のベベルギアに噛み合わされ、上記回転軸の回転を上記駆動プーリに伝達するための第2のベベルギアと、を有することを特徴とする、搬送装置。
【請求項2】
上記旋回ベースは、上下に分離可能に連結された上位部と下位部とを備えており、
上記伝達部は、上記上位部に対して上記旋回軸線周りに回転可能に支持された連係部材と、上記伝動軸に対して上方から係合させられ、かつ上記連係部材に対して着脱可能に設けられた係合部材と、を備える、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
上記ハンドは、上記移動行程に沿って相互に干渉することなく移動可能とされた第1および第2のハンドを含み、
上記駆動機構は、上記第1および第2のハンドをそれぞれ駆動する第1および第2の駆動機構を含んでいるとともに、
上記伝動軸は、上記第1および第2の駆動機構に対応して同軸状に配置された第1および第2の伝動軸からなっており、
上記ベベルギア機構は、上記第1および第2の駆動機構、ならびに上記第1および第2の伝動軸にそれぞれ対応するように構成された第1および第2のベベルギア機構を含んでいる、請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
上記第1および第2の伝動軸は、その一方が他方に内挿通されている、請求項3に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−30361(P2012−30361A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236669(P2011−236669)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【分割の表示】特願2007−116524(P2007−116524)の分割
【原出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】