説明

撮像装置、及び撮像方法

【課題】 自動的に被写体に合焦する自動合焦機能を備え、手振れを検出し、該検出した手振れを補正する撮像装置、及び該撮像装置における撮像方法。
【解決手段】 手振れが発生していた場合は、複数のデータサンプリング領域のコントラストが検出され、それらの合計、又は平均が最大となるようにAF処理が行われる。複数のデータサンプリング領域によるAF処理では、まず、レンズズームの状態が判断される(ステップ120)。そして、十字カーソルボタンの操作により、ズームレンズがワイド側に振られているときは、AF領域1以外のデータサンプリング領域が広範囲に配置され(ステップ122)、ズームレンズがテレ側に振られているときは、AF領域1以外のデータサンプリング領域がAF領域1に近接した位置に配置され(ステップ124)、全データサンプリング領域のデータを参照してAF処理が行なわれる(ステップ126)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、及び該撮像装置における撮像方法に係り、特に、自動的に被写体に合焦する自動合焦機能、並びに撮像倍率の変更機能を備えた撮像装置、及び該撮像装置における撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルカメラ等の撮像装置は、手振れの悪影響をできるだけ抑えてより望ましい画像を撮像することが試みられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、デジタルカメラが簡易の手振れ検出機能をもち、通常の撮像時には撮像される画像の中心のエリアのコントラストが最大となるようにモーターを駆動することでAFを行ない、手振れ検出時には、画像の中心の周辺のエリアのコントラストが検出され、平均、又は合計のコントラストが最大となる処理を行なうことで合焦精度を向上させる機能の提案がなされている。
【特許文献1】特開2001−305417公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1の機能では、手振れ検出時に検出される画像の中心の周辺のコントラストを検出するエリアは、単一に限られている。従って、合焦精度を上げることができる撮像倍率は単一である。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、撮像倍率が異なる場合でも、異なる撮像倍率に応じて合焦精度を上げることができる撮像装置、及び撮像方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、自動的に被写体に合焦する自動合焦機能、並びに撮像倍率の変更機能を備えた撮像装置であって、撮像倍率が高く変更されるのに伴い撮像画面内の合焦に用いるためのデータを抽出する複数のデータ抽出領域の配置の範囲の外郭を狭く調整し、前記撮像倍率が低く変更されるのに伴い前記外郭を広く調整する調整手段を有する。
【0007】
請求項1の発明によれば、調整手段が、撮像倍率が高く変更されるのに伴い撮像画面内の合焦に用いるためのデータを抽出する複数のデータ抽出領域の配置の範囲の外郭を狭く調整し、前記撮像倍率が低く変更されるのに伴い前記外郭を広く調整する。
【0008】
ここで、外郭を狭く又は広く調整する、の調整とは、データ抽出領域の領域数を変えることなく、データ抽出領域同士の間隔を広狭する調整を指す。
【0009】
当該撮像装置は、自動的に被写体に合焦する自動合焦機能、並びに撮像倍率の変更機能を備えている。
【0010】
このように、請求項1記載の発明は、撮像倍率が異なる場合でも、異なる撮像倍率に応じて合焦精度を上げることができる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、前記請求項1に記載の撮像装置が、手振れを検出し該検出した手振れを補正する手振れ補正機能を備えると共に、前記データ抽出領域の領域数を単一又は複数に切り換える切換手段を更に有し、前記手振れが検出された場合は、前記切換手段により前記データ抽出領域の領域数を複数に切り換え、前記調整手段による前記外郭の調整を実行することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明によれば、切換手段が、データ抽出領域の領域数を単一又は複数に切り換える。
【0013】
そして、手振れが検出された場合は、切換手段によりデータ抽出領域の領域数を複数に切り換え、調整手段による外郭の調整を実行する。
【0014】
このように、請求項2記載の発明は、手振れが検出された場合は、撮像倍率が異なる場合でも、異なる撮像倍率に応じて合焦精度を上げることができる。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2記載の発明において、前記手振れが検出されない場合は、単一のデータ抽出領域のみで合焦が正常か異常かを判定する判定手段を更に有し、前記判定手段により異常と判定された場合に、前記切換手段により前記データ抽出領域の領域数を複数に切り換え、前記調整手段による前記外郭の調整を実行することを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明によれば、判定手段が、手振れが検出されない場合は、単一のデータ抽出領域のみで合焦が正常か異常かを判定する。
【0017】
そして、判定手段により異常と判定された場合に、切換手段によりデータ抽出領域の領域数を複数に切り換え、調整手段による外郭の調整を実行する。
【0018】
このように、請求項3記載の発明は、手振れが検出された場合だけでなく、判定手段により異常と判定された場合においても、撮像倍率が異なる場合でも、異なる撮像倍率に応じて合焦精度を上げることができる。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の発明において、前記単一のデータ抽出領域は、前記撮像画面の中央に配置されることを特徴とする。
【0020】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の発明において、前記複数のデータ抽出領域の配置範囲の外郭の狭広調節基準が、前記撮像画面の中央であることを特徴とする撮像装置。
【0021】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の発明において、前記複数のデータ抽出領域の領域数を制限する制限手段を更に備える。
【0022】
このように、請求項6記載の発明は、データ抽出領域の数を制限することで、合焦の処理負荷の軽減、例えば合焦時間の短縮、消費電力の抑制等を行なうことができる。
【0023】
請求項7の発明は、自動的に被写体に合焦する自動合焦機能、撮像倍率の変更機能、並びに手振れを検出し該検出した手振れを補正する手振れ補正機能を備えたを備えた撮像装置における撮像方法であって、前記手振れが検出された場合は、撮像画面内に、合焦に用いるためのデータを抽出する複数のデータ抽出領域を配置し、撮像倍率が高く変更されるのに伴い前記複数のデータ抽出領域の配置で定まる前記データを抽出する範囲の外郭を狭く調整し、前記撮像倍率が低く変更されるのに伴い前記外郭を広く調整する。
【0024】
従って、請求項7に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様に作用するので、請求項1に記載の発明と同様に撮像倍率が異なる場合でも、異なる撮像倍率に応じて合焦精度を上げることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明は、撮像倍率が異なる場合でも、異なる撮像倍率に応じて合焦精度を上げることができる撮像装置、及び撮像方法を得るという優れた効果を有する。
【0026】
また、手振れ補正機能がある場合には、データ抽出領域の領域数を増加することと、当該データ抽出領域の外郭を広狭することを併用することで、合焦精度をさらに向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を静止画像及び動画像の双方の撮像を行う機能を有するデジタルカメラに適用した場合について説明する。
【0028】
まず、図1を参照して、第1の実施の形態に係るデジタルカメラ10の外観上の構成を説明する。
【0029】
デジタルカメラ10の正面には、被写体像を結像させるためのレンズ21と、撮像時に必要に応じて被写体に照射する光(撮像補助光)を発する発光部44と、撮像する被写体の構図を決定するために用いられるファインダ20と、が備えられている。また、デジタルカメラ10の上面には、撮像を実行する際に押圧操作されるレリーズボタン(所謂シャッター)56Aと、電源スイッチ56Bと、モード切替スイッチ56Cと、が備えられている。
【0030】
なお、第1の実施の形態に係るデジタルカメラ10のレリーズボタン56Aは、中間位置まで押下される状態(以下、「半押し状態」という。)と、当該中間位置を超えた最終押下位置まで押下される状態(以下、「全押し状態」という。)と、の2段階の押圧操作が検出可能に構成されている。
【0031】
そして、デジタルカメラ10では、レリーズボタン56Aを半押し状態にすることによりAE(Automatic Exposure、自動露出)機能が働いて露出状態(シャッタースピード、絞りの状態)が設定された後、AF(Auto Focus、自動合焦)機能が働いて合焦制御され、その後、引き続き全押し状態にすると露光(撮像)が行われる。
【0032】
また、モード切替スイッチ56Cは、静止画像の撮像を行うモードである静止画撮像モード、動画像の撮像を行うモードである動画撮像モード、及び被写体像を後述するLCD38に再生するモードである再生モードの何れかのモードに設定する際に回転操作される。
【0033】
一方、デジタルカメラ10の背面には、前述のファインダ20の接眼部と、撮像された被写体像やメニュー画面等を表示するための液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という。)38と、十字カーソルボタン56Dと、が備えられている。なお、十字カーソルボタン56Dは、LCD38の表示領域における上・下・左・右の4方向の移動方向を示す4つの矢印ボタンを含んで構成されている。
【0034】
さらに、デジタルカメラ10の背面には、LCD38にメニュー画面を表示させるときに押圧操作されるメニューボタンと、それまでの操作内容を確定するときに押圧操作される決定ボタンと、直前の操作内容をキャンセルするときに押圧操作されるキャンセルボタンと、発光部44の発光状態を設定するときに押圧操作される発光ボタンと、が備えられている。
【0035】
次に、図2を参照して、第1の実施の形態に係るデジタルカメラ10の電気系の要部構成を説明する。
【0036】
デジタルカメラ10は、前述のレンズ21を含んで構成された光学ユニット22と、レンズ21の光軸後方に配設された電荷結合素子(以下、「CCD」という。)24と、入力されたアナログ信号に対して各種のアナログ信号処理を行うアナログ信号処理部26と、を含んで構成されている。
【0037】
また、デジタルカメラ10は、入力されたアナログ信号をデジタルデータに変換するアナログ/デジタル変換器(以下、「ADC」という。)28と、入力されたデジタルデータに対して各種のデジタル信号処理を行うデジタル信号処理部30と、を含んで構成されている。
【0038】
なお、デジタル信号処理部30は、所定容量のラインバッファを内蔵し、入力されたデジタルデータを後述するメモリ48の所定領域に直接記憶させる制御も行う。
【0039】
CCD24の出力端はアナログ信号処理部26の入力端に、アナログ信号処理部26の出力端はADC28の入力端に、ADC28の出力端はデジタル信号処理部30の入力端に、各々接続されている。従って、CCD24から出力された被写体像を示すアナログ信号はアナログ信号処理部26によって所定のアナログ信号処理が施され、ADC28によってデジタル画像データに変換された後にデジタル信号処理部30に入力される。
【0040】
一方、デジタルカメラ10は、被写体像やメニュー画面等をLCD38に表示させるための信号を生成してLCD38に供給するLCDインタフェース36と、デジタルカメラ10全体の動作を司るCPU(中央処理装置)40と、撮像により得られたデジタル画像データ等を記憶するメモリ48と、メモリ48に対するアクセスの制御を行うメモリインタフェース46と、を含んで構成されている。
【0041】
さらに、デジタルカメラ10は、可搬型のメモリカード52をデジタルカメラ10でアクセス可能とするための外部メモリインタフェース50と、デジタル画像データに対する圧縮処理及び伸張処理を行う圧縮・伸張処理回路54と、を含んで構成されている。
【0042】
なお、第1の実施の形態のデジタルカメラ10では、メモリ48としてフラッシュ・メモリ(Flash Memory)が用いられ、メモリカード52としてスマートメディア(Smart Media(登録商標))が用いられている。
【0043】
デジタル信号処理部30、LCDインタフェース36、CPU40、メモリインタフェース46、外部メモリインタフェース50及び圧縮・伸張処理回路54はシステムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU40は、デジタル信号処理部30及び圧縮・伸張処理回路54の作動の制御、LCD38に対するLCDインタフェース36を介した各種情報の表示、メモリ48及びメモリカード52へのメモリインタフェース46ないし外部メモリインタフェース50を介したアクセスを各々行うことができる。
【0044】
一方、デジタルカメラ10には、主としてCCD24を駆動させるためのタイミング信号を生成してCCD24に供給するタイミングジェネレータ32が備えられており、CCD24の駆動はCPU40によりタイミングジェネレータ32を介して制御される。
【0045】
さらに、デジタルカメラ10にはモータ駆動部34が備えられており、光学ユニット22に備えられた焦点調整モータ、ズームモータ及び絞り駆動モータの駆動もCPU40によりモータ駆動部34を介して制御される。また、該ズームモータの駆動は、前記十字カーソルボタン56Dの操作によるものであり、レンズの焦点距離をワイド側又はテレ側に変更できるようになっている。
【0046】
すなわち、第1の実施の形態に係るレンズ21は複数枚のレンズを有し、焦点距離の変更(変倍)が可能なズームレンズとして構成されており、図示しないレンズ駆動機構を備えている。このレンズ駆動機構に上記焦点調整モータ、ズームモータ及び絞り駆動モータは含まれるものであり、これらのモータは各々CPU40の制御によりモータ駆動部34から供給された駆動信号によって駆動される。
【0047】
また、デジタルカメラ10は、手振れの検出を行なう手振れ検出部41を含んで構成されている。
【0048】
該手振れ検出部41の、手振れの検出に際しては、LCD38に表示されるべき画像内の特定の領域におけるコントラストの変化を検出するようになっており、コントラストが大きく変化したとき、手振れが発生したと判定するようになっている。
【0049】
なお、上に述べた特定の領域として、AF処理用の領域が用いられる。例えば図3(A)に示されるのは、レンズの焦点距離がワイド側に振られているときのワイド撮像画面SAであるが、中央の1つのAF領域1(RE1)、又は、AF領域1(RE1)と前記ワイド撮像画面SAの四隅近傍のAF領域2A(RE2A)、AF領域3A(RE3A)、AF領域4A(RE4A)、AF領域5A(RE5A)、の5領域が用いられる。
【0050】
検出のタイミングは、例えば、LCD38等での表示の周期(1/30秒)と同期したタイミングとされるようになっている。
【0051】
このように、第1の実施の形態では、より多くのAF領域を対象としてAF処理ができる。これにより、ワイド撮像画面SAの全体、即ち撮像範囲のより広い範囲に対して合焦に用いるための検出を行うことにより、合焦検出の精度が向上し、よりよい撮像を行うことが可能となる。
【0052】
さらに、デジタルカメラ10は、撮像画像の四隅近傍のAF領域の配置を変更するAF領域配置調整部42を含んで構成されている。
【0053】
AF領域配置調整部42は、前記手振れ検出部41が手振れが発生したと判定すると、AF処理用の領域が中央の1つのAF領域1(RE1)から、AF領域1(RE1)と前記ワイド撮像画面SAの四隅近傍のAF領域2A(RE2A)、AF領域3A(RE3A)、AF領域4A(RE4A)、AF領域5A(RE5A)、の5領域に切り換えるようになっている。
【0054】
図3(B)に示されるのは、レンズの焦点距離がテレ側に振られているときのテレ撮像画面SBである。前述の図3(A)に示されるワイド撮像画面SAの四隅近傍に配置されるデータ抽出領域(AF領域2A(RE2A)、AF領域3A(RE3A)、AF領域4A(RE4A)、及びAF領域5A(RE5A))と比較すると、当該テレ撮像画面SBの四隅近傍に配置されるAF領域2B(RE2B)、AF領域3B(RE3B)、AF領域4B(RE4B)、及びAF領域5B(RE5B)の配置位置は、AE領域1RE1の近傍となっている。
【0055】
例えば、AF機能によりピントを合わせる被写体を、画像の中心に固定したポートレート撮像時を考える。ポートレート撮像時は、被写体のみにピントを合わせ、背景をぼかすために、レンズをテレ側に固定して焦点距離を長くし、被写界深度の浅い設定とすることが多い。このような設定がなされた場合に、前述の図3(A)に示すようなデータ抽出領域の配置を行ない、撮像データを参照したとすると、ぼけてもよい背景に対してもAF処理を行なうことになってしまい、撮像者の要求とは異なる合焦精度の画像を得ることになってしまう。
【0056】
レンズズームの倍率が低い、即ちレンズの焦点距離がワイド側に振られておりレンズの焦点距離が短い場合は、被写体深度が低い。このために、背景によってぼけが発生することは少ない。そこで、AF領域配置調整部42は、前述の図3(A)に示されるように、データ抽出領域を広い範囲に配置するようになっている。
【0057】
これに対し、レンズズームの倍率が高い、即ちレンズの焦点距離がテレ側に振られておりレンズの焦点距離が長い場合は、AF領域配置調整部42は、前述の図3(B)に示されるように、被写体近傍にデータ抽出領域を配置する。これにより、背景によるぼけの影響を低減し、手振れ発生時のAF精度を向上させるようになっている。
【0058】
このように、焦点距離が、例えばテレ側にあるのかワイド側にあるのか等のレンズズームの倍率に応じてデータ抽出領域の配置を変化させることで、第1の実施の形態では、手振れ発生時にAF処理精度を向上させることができる。
【0059】
さらに、前述のレリーズボタン56A、電源スイッチ56B、モード切替スイッチ56C、十字カーソルボタン56D、メニューボタン等の各種ボタン、スイッチ類(同図では、「操作部56」と総称。)はCPU40に接続されており、CPU40は、これらの操作部56に対する操作状態を常時把握できる。また、前述した発光部44もCPU40に接続されており、発光部44による撮像補助光の発光もCPU40によって制御される。
【0060】
次に、第1の実施の形態に係るデジタルカメラ10の撮像時における全体的な作用について簡単に説明する。
【0061】
まず、CCD24は、光学ユニット22を介した撮像を行い、被写体像を示すR(赤)、G(緑)、B(青)毎のアナログ信号をアナログ信号処理部26に順次出力する。アナログ信号処理部26は、CCD24から入力されたアナログ信号に対して相関二重抽出処理等のアナログ信号処理を施した後にADC28に順次出力する。
【0062】
ADC28は、アナログ信号処理部26から入力されたR、G、B毎のアナログ信号を各々12ビットのR、G、Bの信号(デジタル画像データ)に変換してデジタル信号処理部30に順次出力する。デジタル信号処理部30は、内蔵しているラインバッファにADC28から順次入力されるデジタル画像データを蓄積して一旦メモリ48の所定領域に直接格納する。
【0063】
メモリ48の所定領域に格納されたデジタル画像データは、CPU40による制御に応じてデジタル信号処理部30により読み出され、所定の物理量に応じたデジタルゲインをかけることでホワイトバランス調整を行うと共に、ガンマ処理及びシャープネス処理を行って8ビットのデジタル画像データを生成する。
【0064】
そして、デジタル信号処理部30は、生成した8ビットのデジタル画像データに対しYC信号処理を施して輝度信号Yとクロマ信号Cr、Cb(以下、「YC信号」という。)を生成し、YC信号をメモリ48の上記所定領域とは異なる領域に格納する。
【0065】
なお、LCD38は、CCD24による連続的な撮像によって得られた動画像(スルー画像)を表示してファインダとして使用することができるものとして構成されており、LCD38をファインダとして使用する場合には、生成したYC信号を、LCDインタフェース36を介して順次LCD38に出力する。これによってLCD38にスルー画像が表示されることになる。
【0066】
ここで、静止画撮像モードが設定されている場合、レリーズボタン56Aがユーザによって半押し状態とされたタイミングで前述のようにAE機能が働いて露出状態が設定された後、AF機能が働いて合焦制御され、その後、引き続き全押し状態とされたタイミングで、必要に応じて発光部44から撮像補助光が射出されると共に、その時点でメモリ48に格納されているYC信号を、圧縮・伸張処理回路54によって所定の圧縮形式(第1の実施の形態では、JPEG形式)で圧縮した後に外部メモリインタフェース50を介してメモリカード52に電子化ファイルとして記録する。
【0067】
一方、動画撮像モードが設定されている場合には、レリーズボタン56Aが全押し状態とされたタイミングで、必要に応じて発光部44から撮像補助光が射出されると共に、その時点からメモリ48に格納されるYC信号を、所定期間毎に時系列で圧縮・伸張処理回路54により所定の圧縮形式(第1の実施の形態では、Motion JPEG形式)で圧縮した後に外部メモリインタフェース50を介してメモリカード52に順次記録していき、再度レリーズボタン56Aが全押し状態とされたタイミングで、当該記録動作を終了する。この動作により、動画像を示す動画像データが電子化ファイルとしてメモリカード52に記録されることになる。
【0068】
ところで、第1の実施の形態のデジタルカメラ10は、手振れ発生により、AF領域の配置を切り換える機能を備えている。当該機能に関する部分の作用を図4、図5のフローチャートに従い詳細に説明する。
【0069】
まず、図4(A)に示すステップ100では、後述のAF処理が実施される。
【0070】
図4(B)に示すAF処理では、まず、ステップ110で、手振れが発生したか否かが判断される。手振れが発生していないと判断され否定された場合はステップ112へ移行し、肯定された場合はステップ114へ移行する。
【0071】
手振れが発生していないと判断されて移行したステップ112では、撮像画面の中心エリアに配置されるAF領域1(RE1)のデータによりAF処理が行なわれる。
【0072】
即ち、手振れが検出されていない場合には、AF領域1(RE1)内のコントラストのみが検出され、前記焦点調整モータモータの駆動にともなってコントラストが最大となるように処理が行われる。
【0073】
なお、手振れが検出されていない場合でも、AF領域1(RE1)内のコントラストの検出を1/30秒の周期毎に毎回行うとともに、5回に1回程度の割合でAF領域2A(RE2A)、AF領域3A(RE3A)、AF領域4A(RE4A)、及びAF領域5A(RE5A)内のコントラストの検出を行っておき、手振れが検出さた場合には毎回全AF領域内のコントラストを検出するようにしてもよい。
【0074】
ステップ114では、後述の複数のデータ抽出領域によるAF処理が行なわれる。このように、手振れが検出さた場合には、全AF領域内のコントラストが検出され、それらの合計、又は平均のコントラストが最大となるように処理が行われる。
【0075】
図5に示されるように、複数のデータ抽出領域によるAF処理では、まず、ステップ120にて、レンズズームの状態が判断される。十字カーソルボタン56Dの操作により、レンズがワイド側に振られているときは、ステップ122へ移行し、レンズがテレ側に振られているときは、ステップ124へ移行する。
【0076】
ステップ122では、前述の図3(A)に示されるように、AF領域1(RE1)以外のデータ抽出領域を広範囲に配置する。
【0077】
ステップ124では、前述の図3(B)に示されるように、AF領域1(RE1)以外のデータ抽出領域をAF領域1(RE1)の近傍に配置する。
【0078】
次にステップ126へ移行する。ステップ126では、全データ抽出領域のデータを参照してAF処理が行なわれる。
【0079】
次に、第2の実施の形態に係るデジタルカメラ10について説明する。
【0080】
なお、前記第1の実施の形態と基本的に同一の構成については、前記第1の実施の形態と同符号を付してその説明を省略する。
【0081】
AF処理を撮像画面の中心エリアに配置されるAF領域1(RE1)だけで実施する場合と比較し、他の複数のデータ抽出領域においてもAF処理を実施する場合は、画像信号処理制御にかかる負荷は大きくなる。そして、AF処理速度の低下、及び消費電力の増大が起こってしまう。
【0082】
そこで、図6に示されるようにデジタルカメラ10は、デジタルカメラ10の消費電力調節機能をオン・オフに切り換える切換スイッチ58を備えている。オンの場合は、簡易AFモードで、オフの場合は、高精度AFモードである。
【0083】
また、図7に示されるようにデジタルカメラ10は、前記切換スイッチ58がオンとなった場合に駆動される低消費電力部60を備えている。
【0084】
当該第2の実施の形態は、前記切換スイッチ58がオンとなった場合に、前記低消費電力部60が、データ抽出領域の領域数を減らす機構である。切換スイッチ58がオンの場合は、図8に示されるように、省エネ撮像画面S8に、AF領域2(RE2)とAF領域3(RE3)との代わりにAF領域6(RE6)が、AF領域4(RE4)とAF領域5(RE5)との代わりにAF領域7(RE7)が、配置されるようになっている。
【0085】
これにより、AF処理速度の低下、及び消費電力の増大を抑制することができる。
【0086】
これに対し、切換スイッチ58がオフの場合は、前記第1の実施の形態と同様に、図3に示されるようにデータ抽出領域は配置される。
【0087】
なお、AF領域6(RE6)、及びAF領域7(RE7)の位置は、図8に示す位置に限定されるものではなく、所望のAF処理が実施可能である位置であればよい。
【0088】
次に、第2の実施の形態に関する部分の作用を図9のフローチャートに従い詳細に説明する。
【0089】
まず、ステップ130では、切換スイッチ58の切り替えが行なわれる。
【0090】
ステップ132では、切換スイッチ58がオン(高精度AFモード)か、切換スイッチ58がオフ(簡易AFモード)かの判定が行なわれる。切換スイッチ58がオンの場合はステップ134へ移行し、切換スイッチ58がオフの場合はステップ136へ移行する。
【0091】
ステップ134では、前述の図3で示されるようにデータ抽出領域が配置される。
【0092】
これに対し、ステップ136では、前述の図8で示されるようにデータ抽出領域が配置される。
【0093】
次にステップ138へ移行する。ステップ138では、前述したAF処理が行なわれる。
【0094】
次に、第3実施の形態に係るデジタルカメラ10について説明する。
【0095】
第3実施の形態は、前述したAF処理において、撮像画面の中心エリアに配置されるAF領域1(RE1)のデータによりAF処理を実施し、当該AF処理が失敗した場合に、前述した複数のデータ抽出領域によるAF処理を行なう機能を有する。当該機能に関する部分の作用を図10のフローチャートに従い詳細に説明する。
【0096】
まず、ステップ150で、手振れが発生したか否かが判断される。手振れが発生していないと判断され否定された場合はステップ152へ移行し、肯定された場合はステップ156へ移行する。
【0097】
手振れが発生していないと判断されて移行したステップ152では、撮像画面の中心エリアに配置されるAF領域1(RE1)のデータによりAF処理が行なわれる。
【0098】
次に、ステップ154へ移行する。ステップ154では、AF処理が成功したか否かが判断される。AF処理が成功し肯定された場合は当該処理は終了し、前記ステップ154で否定された場合は、ステップ156へ移行する。
【0099】
ステップ156では、前述の複数のデータ抽出領域によるAF処理が行なわれる。
【0100】
このように、第3実施の形態は、撮像画面の中央の領域におけるAF処理が異常である場合、即ちAF領域1(RE1)内のコントラストの変化が小さい場合には、広範囲の領域のデータの抽出を行なうことで、AF処理精度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】第1の実施の形態に係るデジタルカメラの外観を示す外観図である。
【図2】第1の実施の形態に係るデジタルカメラの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図3】(A)はレンズズームがワイドに振られている場合のデータ抽出配置を示し、(B)はレンズズームがテレに振られている場合のデータ抽出配置を示す。
【図4】(A)は第1の実施の形態に係るAF処理の流れを示すフローチャートで、(B)はAF処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】複数のデータ抽出領域によるAF処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態に係るデジタルカメラの外観を示す外観図である。
【図7】第2の実施の形態に係るデジタルカメラの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図8】簡易AFモードの場合のデータ抽出配置を示す。
【図9】第2の実施の形態に係るAF処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】第3実施の形態に係るAF処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0102】
10 デジタルカメラ
21 レンズ
22 光学ユニット
32 タイミングジェネレータ
34 モータ駆動部
38 LCD
40 CPU(判定手段)
41 手振れ検出部
42 AF領域配置調整部(調整手段、切換手段)
56D 十字カーソルボタン
58 切換スイッチ
60 低消費電力部(制限手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動的に被写体に合焦する自動合焦機能、並びに撮像倍率の変更機能を備えた撮像装置であって、
撮像倍率が高く変更されるのに伴い撮像画面内の合焦に用いるためのデータを抽出する複数のデータ抽出領域の配置の範囲の外郭を狭く調整し、前記撮像倍率が低く変更されるのに伴い前記外郭を広く調整する調整手段を有する撮像装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の撮像装置が、手振れを検出し該検出した手振れを補正する手振れ補正機能を備えると共に、
前記データ抽出領域の領域数を単一又は複数に切り換える切換手段を更に有し、
前記手振れが検出された場合は、前記切換手段により前記データ抽出領域の領域数を複数に切り換え、前記調整手段による前記外郭の調整を実行することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記手振れが検出されない場合は、単一のデータ抽出領域のみで合焦が正常か異常かを判定する判定手段を更に有し、
前記判定手段により異常と判定された場合に、前記切換手段により前記データ抽出領域の領域数を複数に切り換え、前記調整手段による前記外郭の調整を実行することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記単一のデータ抽出領域は、前記撮像画面の中央に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項5】
前記複数のデータ抽出領域の配置範囲の外郭の狭広調節基準が、前記撮像画面の中央であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項6】
前記複数のデータ抽出領域の領域数を制限する制限手段を更に備える請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項7】
自動的に被写体に合焦する自動合焦機能、撮像倍率の変更機能、並びに手振れを検出し該検出した手振れを補正する手振れ補正機能を備えたを備えた撮像装置における撮像方法であって、
前記手振れが検出された場合は、撮像画面内に、合焦に用いるためのデータを抽出する複数のデータ抽出領域を配置し、
撮像倍率が高く変更されるのに伴い前記複数のデータ抽出領域の配置で定まる前記データを抽出する範囲の外郭を狭く調整し、前記撮像倍率が低く変更されるのに伴い前記外郭を広く調整する撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−72075(P2007−72075A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257688(P2005−257688)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】