説明

波長可変レーザ

【課題】電流制御を容易にすることが可能な波長可変レーザを提供することを目的とする。
【解決手段】一端S1に設けられた高反射膜HRと、一端S1側に設けられ、電流注入により光が生成される2以上の並列された光素子L1〜L4を有する利得領域3と、利得領域3で生成された光を合波する合波器5と、一端S1と対向する他端S2側に設けられ、当該合波された光に対して周期的な反射ピークを有する反射器7と、を備え、合波器5は利得領域3と反射器7との間に設けられている波長可変レーザ1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体波長可変レーザに関するものである。
【背景技術】
【0002】
波長可変レーザとして、例えば、両端に配置した2つのミラーの間に、利得領域及び位相調整領域を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4896325号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の波長可変レーザでは、両端に設けられた2つのミラーへ電流を注入することにより、反射スペクトルを所望の値に調整させている(バーニア制御)。しかしながら、2つのミラーへ注入する電流をそれぞれ微調整する必要があり、電流制御が複雑で難しいといった問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電流制御を容易にすることが可能な波長可変レーザを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明の波長可変レーザは、一端に設けられた高反射膜と、一端側に設けられ、電流注入により光が生成される2以上の並列された光素子を有する利得領域と、利得領域で生成された光を合波する合波器と、一端と対向する他端側に設けられ、当該合波された光に対して周期的な反射ピークを有する反射器と、を備え、合波器は利得領域と周期的な反射ピークを有する反射器との間に設けられていることを特徴とする。
【0007】
この波長可変レーザによれば、利得領域への電流注入のオン・オフを制御することによって、光を生成する。生成された光を合波器において合波した後、周期的な反射ピークを有する反射器によって、所望の波長を有する光として出力させることができる。この結果、電流制御が簡単な波長可変レーザを得ることができる。また、合波器がセグメントを切り出す役割を、高反射膜が光のフィードバックの役割を担っているが、合波器及び高反射膜の波長依存性は比較的低いので、セグメント内での波長変動を抑制することができる。
【0008】
また、周期的な反射ピークを有する反射器が、リング共振器と他端の劈開面との組合せであっても良い。リング共振器は、周期的な透過スペクトルを有するため、合波器において合波された光から特定の波長を有する光を透過する周期フィルタとして機能し、このリング共振器によって透過した特定の波長の光のみが、他端の劈開面ミラーにより反射され、周期的な反射ピークを有する反射器を構成している。この場合、リング共振器に電流を注入することにより、所定の間隔で周期的に光透過率を変化させることができるので、本発明の波長可変レーザとして好適である。また、リング共振器の一部は、合波器を構成する半導体層と共通の半導体層を用いて作成することができるため、共通の半導体プロセスにより容易に波長可変レーザを形成することができる。
【0009】
さらに、他端の劈開面に所定の反射率を有する反射膜が形成されていてもよい。これにより、反射ミラーを構成する該他端における反射率を、反射膜を形成することにより調整し、レーザ光を効率的に出射させることができる。
【0010】
また、周期的な反射ピークを有する反射器が、超構造回折格子層を有する光素子を含んでいても良い。超構造回折格子層を有する光素子は、周期的な反射スペクトルを有するため、合波器において合波された光から特定の波長を有する光を反射する反射器として好適である。当該光素子への電流注入を調整することにより、レーザ発振波長を変化させることができる。
【0011】
また、合波器が、光導波路層を有するマッハツェンダ干渉計を含んでいることが好ましく、該光導波路層への印加電圧を変えることにより、合波するときの干渉条件を容易に調整することができる。
【0012】
また、合波器は複数のポートを有し、利得領域で生成される正の利得を有する光の波長範囲が、合波器の複数のポートのうちの任意のいずれか1つのポートの透過波長範囲よりも大きいことが好ましい。このため、利得領域で生成される光を合波器において任意の波長成分に容易に合波することが可能となる。ここで、「透過波長範囲」とは、合波器の複数のポートのうちの任意のいずれか1つのポートの透過損失が、他のポートの透過損失よりも少ない波長範囲のことをいう。
【0013】
また、当該1つのポートの透過波長範囲内に、反射器の周期的な反射ピークが存在することが好ましい。これにより、所定の波長でレーザ発振することが可能となる。
【0014】
また、2以上の並列された光素子のうちのいずれか1つに電流を注入して光利得を発生させ、周期的な反射ピークを有する反射器に電流を注入して反射波長を変化させても良い。これにより、所望の波長範囲内でレーザの発振波長を変化させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電流制御を容易にすることが可能な波長可変レーザを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、第1実施形態に係る波長可変レーザの概念図である。
【図2】図2は、高反射膜HRの一形態を示した模式図である。
【図3】図3は、高反射膜HRの反射率の波長依存性を示す図である。
【図4】図4は、図1におけるIV−IV線に沿った光素子の断面図である。
【図5】図5は、25℃における利得領域の光素子の発光スペクトルの一例を示す。
【図6】図6は、図1に示した合波器5を拡大した模式図である。
【図7】図7は、図6のVII−VII線に沿った第1アームW1の断面図である。
【図8】図8は、合波器5の透過スペクトルの一例を示すグラフである。
【図9】図9は、図1のIX−IX線に沿ったリング共振器Rの断面図である。
【図10】図10は、リング共振器Rの光透過スペクトルの一例を示す図である。
【図11】図11は、リングRGのパラメータを示す図である。
【図12】図12は、図12は、第1実施形態に係る波長可変レーザの概念図である。
【図13】図13は、反射器7の反射スペクトルのピーク波長シフトを示す図である。
【図14】図14は、第2実施形態に係る波長可変レーザの概念図である。
【図15】図15は、図14におけるXV−XV線に沿った断面図である。
【図16】図16は、図15におけるXVI−XVI線に沿った断面図である。
【図17】図17は、超構造回折格子層SSGによる光素子40の反射スペクトルを示す図である。
【図18】図18は、超構造回折格子層SSGによる光素子40の反射スペクトルのピーク波長シフトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
【0018】
図1は、本実施形態に係る波長可変レーザの概念図である。波長可変レーザ1は、一端S1に設けられた高反射膜HRと、基板SB上の一端S1側において、電流注入により光が生成される2以上の並列された光素子(L1〜L4)を有する利得領域3と、利得領域3で生成された光を合波する合波器5と、一端S1と対向する他端S2側に設けられ、当該合波光に対して周期的な反射ピークを有する反射器7とを備え、合波器5は利得領域3と反射器7との間に設けられている。反射器7は、周期的な透過スペクトルを有し、周期的な波長選択性を有する周期フィルタとして機能するリング共振器Rと、リング共振器Rを透過した光を反射する反射ミラーとして機能する他端S2から構成される。
【0019】
図1のXYZ直交座標系に示すように、波長可変レーザ1の光軸(X軸)方向において、利得領域3の長さN1は例えば570μmとすることができ、合波器5の長さN2は例えば580μmとすることができ、反射器7の長さN31は例えば200μmとすることができる。すなわち、波長可変レーザ1の光軸方向における全長は、例えば1350μmとすることができる。また、波長可変レーザ1の光軸方向と垂直な軸(Y軸)方向における幅Wは、例えば250μmとすることができる。
【0020】
以下に、高反射膜HRについて説明する。高反射膜HRと、他端S2の劈開面とでレーザ共振器が形成される。他端S2の劈開面には、反射率を調整するための反射膜(コーテイング膜)が形成されていてもよい。高反射膜HRは、波長可変レーザ1の一端S1において、所定の反射波長帯域を有する。高反射膜HRは、その反射波長帯域において、内部光をおよそ80%以上反射させる光のフィードバックの役割を担っている。高反射膜HRは、波長依存性が比較的低いので、セグメント内での波長変動を抑制することができる。
【0021】
図2は、高反射膜HRの一形態を示した模式図である。図2に示すように、高反射膜HRには、積層構造を採用することができ、例えば3層膜または5層膜が挙げられる。一般に、積層構造の層数を大きくすることにより、高反射率を有する高反射膜を形成することができる。高反射膜HRの反射率を大きくすることにより、他端S2側から出る波長λdを有する光は、高出力のものとすることが出来る。一方、高反射膜HRの反射率を所定の反射率に調整することにより、一端S1側から出る光を波長モニターやパワーモニター用に使用することができる。
【0022】
高反射膜HRの積層構造の一例として、AlとアモルファスSi(a−Si)の交互積層膜が挙げられる。具体例として、例えば、波長1.55μmの場合の当該積層膜の材料、屈折率及び膜厚を図2に示す。
【0023】
高反射膜HRは、波長1.5μm〜1.6μmで75%〜98%の反射率を有する。図3に高反射膜HRの反射率の波長依存性を示す。図3のH5は、上記Alとa−Siの交互積層からなる5層膜の反射率を示し、図3のH3は、上記Alとa−Siの交互積層からなる3層膜の反射率を示している。図2及び図3に示すように、当該5層膜の反射率は96%であり、当該3層膜の反射率は81%であることが判る。なお、高反射膜HRは、例えばECR(Electron Cyclotron Resonance:電子サイクロトロン共鳴)スパッタ法で成膜することができる。
【0024】
次に、利得領域3について説明する。図1に示すように、複数の光素子L1〜L4の長手方向はX軸方向にそれぞれ延在しており、複数の光素子L1〜L4はY軸方向に所定の間隔をおいて形成されている。利得領域3の複数の光素子L1〜L4は、すべて同じ設計で作製され、ほぼ同じ特性を示す。
【0025】
利得領域3の光素子L1〜L4には、各々上部電極E1〜E4および下部電極(図示せず)が設けられている。これら上部電極E1〜E4及び下部電極に電気的に接続された利得制御回路10によって、光素子L1〜L4への電流注入量の調整と、光素子L1〜L4への電流注入のオン・オフの制御と、を行うことができる。
【0026】
図4は、図1におけるIV−IV線に沿った光素子L1の断面図である。この他の光素子L2〜L4も光素子L1と同様の構成を有しているので、説明は省略する。図4に示すように、光素子L1には、基板SB上に、下部クラッド層31と、下部光ガイド層G1、活性層A1、及び上部光ガイド層G2を有する光導波路層32と、上部クラッド層33と、コンタクト層34とがこの順に形成され、下部クラッド層31、光導波路層32、及び上部クラッド層33からなるメサ構造の両端を埋め込むようにして電流ブロック層35が形成され、電流ブロック層上に絶縁層36が形成されている。なお、利得領域3の各々の光素子L1〜L4には回折格子は設けられていない。
【0027】
例えば、基板SBにn型InP基板を採用した場合、n型InPからなる下部クラッド層31、GaInAsPの歪み多重量子井戸層(MQW層)からなる活性層A1を含む光導波路層32(MQW層A1:Multiple Quantum Well+SCH層G1,G2:Separate Confinement Heterostructure)、p型InPからなる上部クラッド層33、GaInAsからなるコンタクト層34、Fe−InPからなる電流ブロック層35、SiO2からなる絶縁層を採用することができる。
【0028】
下部クラッド層31、光導波路層32、及び上部クラッド層33からなるメサ構造のY軸方向における幅N4は、例えば1.8μmとすることができる。当該メサ構造のZ軸方向における厚さとコンタクト層34の厚さの和N5として、例えば4μmとすることができる。
【0029】
図4では図示しないが、各々の光素子L1〜L4のコンタクト層34上には、上部電極E1〜E4が設けられており、各々の光素子L1〜L4の基板SB下には、下部電極が設けられている。このため、利得領域3の光素子L1〜L4に電流を注入することにより、正の利得を有し、所定の波長範囲を有する光を生成することができる。
【0030】
図5に、利得領域3の光素子L1〜L4の発光スペクトルの一例を示す。図5の発光スペクトルは、25℃における場合を示しており、利得領域3の光素子L1〜L4は、波長範囲1525nm〜1575nmのブロードな発光を呈し、ほぼこの波長範囲において利得を有することができる。発光スペクトルの中心波長は1550nmである。
【0031】
次に、合波器5について説明する。合波器5は、利得領域3の光素子で生成された光を合波する機能を有する。図6は、図1に示した合波器5を拡大した模式図である。図6に示す合波器5は、第1マッハツェンダ干渉器M1と第2マッハツェンダ干渉器M2とを含んでいる。
【0032】
第1マッハツェンダ干渉器M1は、光素子L1から出力された波長λを有する光が入力されるポートPに光学的に結合されている第1アームW1と、光素子L2から出力された波長λを有する光が入力されるポートPに光学的に結合されている第2アームW2と、光素子L3から出力された波長λを有する光が入力されるポートPに光学的に結合されている第3アームW3と、光素子L4から出力された波長λを有する光が入力されるポートPに光学的に結合されている第4アームW4と、を含んでいる。また、第1マッハツェンダ干渉器M1は、第1アームW1及び第2アームW2で合波された光を出力するポートPと、第3アームW3及び第4アームW4で合波された光を出力するポートPとを更に含んでいる。
【0033】
第2マッハツェンダ干渉器M2は、第1マッハツェンダ干渉器M1のポートPと光学的に結合されているポートP、ポートPと光学的に結合されているポートP、ポートPに光学的に結合されている第5のアームW5、ポートPに光学的に結合されている第6のアームW6、並びに第5アームW5及び第6アームW6で合波された波長λを有する光を出力するポートP、を含んでいる。
【0034】
図6に示すように、第1アームW1、第4アームW4、及び第5アームW5は周期的に蛇行した形状を有し、第2アームW2、第3アームW3、及び第6アームW6は直線形状を有している。これにより、第1アームW1と第2アームW2とは所定の長さの差を有しており、例えばその差を32.51μmとすることができる。また、第3アームW3と第4アームW4とは所定の長さの差を有しており、例えばその差を32.40μmとすることができる。ポートP1〜4はY軸方向において所定の間隔を置いて設けられており、例えば、その間隔Lpは各々20μmとすることができる。
【0035】
図7は、図6のVII−VII線に沿った第1アームW1の断面図である。この他の第2アームW2〜第6アームW6も、第1アームW1と同様の断面構造を有するので説明を省略する。図7に示すように、合波器5の第1アームW1には、基板SB上に、下部クラッド層71と、下部光ガイド層G3、活性層A2、及び上部光ガイド層G4を有する光導波路層72と、上部クラッド層73と、コンタクト層74とがこの順に形成され、下部クラッド層71、光導波路層72、上部クラッド層73、及びコンタクト層74からなるメサ構造を覆うようにして絶縁層75が形成されており、さらに絶縁層75を覆うようにして樹脂層76が形成されている。
【0036】
例えば、基板SBにn型InP基板を採用した場合、n型InPからなる下部クラッド層71、1.4μmのバンドギャップ波長を有するGaInAsPの活性層A2および1.2μmのバンドギャップ波長を有する光ガイド層G3,G4(SCH層)を含む光導波路層72、p型InPからなる上部クラッド層73、GaInAsからなるコンタクト層74、SiO2からなる絶縁層75、ならびにBCB(ベンゾシクロブテン)からなる樹脂層76を採用することができる。
【0037】
合波器5を構成するこれらの半導体層の厚みは、例えば、波長1.52μmでシングルモード導波路となるように設計することができる。なお、後述するが、これらの半導体層は、例えば有機金属気相成長法(MOVPE:(Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)法及びドライエッチングで形成できる。
【0038】
下部クラッド層71、光導波路層72、上部クラッド層73、及びコンタクト層74からなるメサ構造のY軸方向における幅N6は、例えば1.3μmとすることができる。Z軸方向における当該メサ構造の厚さN7として、例えば4μmとすることができる。
【0039】
なお、利得領域3と合波器5とでは、モードフィールドの形状が異なる場合、両者の間にモード変換のためのテーパ型の光導波路が設けられていても良い。これにより、利得領域3と合波器5との接合部分における損失を抑制できる。
【0040】
このように、合波器5が、光導波路層を含むマッハツェンダ干渉計を有していることで、該光導波路への印加電圧を変えることにより、光導波路層の屈折率が変化し、光導波路の光路長を変化させることができる。この結果、合波するときの干渉条件を容易に調整することができ、マッハツェンダ干渉計の透過波長、あるいは合波器5の透過波長を調整することができる。
【0041】
図8は、合波器5の透過スペクトルの一例を示すグラフである。図8において、F1は図6の合波器5のポートPから、F2は図6の合波器5のポートPから、F3は図6の合波器5のポートPから、F4は図6の合波器5のポートPから、それぞれ入力された光の波長と損失の関係を示している。
【0042】
図8に示すように、合波器5は、波長範囲1500nm〜1600nmでほぼ透明な(吸収損失の少ない)導波路であり、合波器5のポートP〜Pから入力された光の合波損失が最小となる波長間隔は、5.1nm〜5.2nm間隔である。すなわち、図8に示すF2の極小値f2と隣接するF4の極小値f4との差は5.1nm〜5.2nmである。同様に、F4の極小値f4と隣接するF1の極小値f1との差は5.1nm〜5.2nmであり、F1の極小値f1と隣接するF3の極小値f3との差は5.1nm〜5.2nmである。
【0043】
図5と図8とに示されるように、利得領域3で生成される正の利得を有する光の波長範囲(例えば1525nm〜1575nm)が、合波器5の複数のポートのうちの任意のいずれか1つのポートの透過波長範囲(例えば、ポートPの場合、1545nm〜1550nm)よりも大きいことが好ましい。これにより、利得領域で生成される光を合波器において任意の波長成分に容易に合波することが可能となる。
【0044】
次に、周期的な反射ピークを有する反射器について説明する。図1に示すように、反射器7は、周期的な波長選択性を有する周期フィルタとして機能するリング共振器Rと、リング共振器Rを透過した光を反射する反射ミラーとして機能する他端S2から構成される。なお、他端S2は、素子の劈開面であってもよいし、さらに反射率調整用の反射膜が形成されていてもよい。この他端S2の反射スペクトルは、リング共振器の透過スペクトルに比較して、波長依存性が小さい。従って、この反射器の反射スペクトルは、リング共振器の透過スペクトルとほぼ同じ反射スペクトルを有する。リング共振器Rは、合波器5のポートPに光学的に結合されたラインBL1と、ラインBL1に光学的に結合された円環状のリングRGと、リングRGに光学的に結合されたラインBL2と、リングRGのコンタクト層(後述)上に設けられた円環状の上部電極E5と、基板SB下に設けられた下部電極(図示しない)とを含んでいる。なお、上部電極E5は、MMI(多モード干渉)カプラを除いた部分(円弧の部分)のみにコンタクトされている。上部電極E5及び下部電極は、波長制御回路20に電気的に接続されており、これにより、反射器7として機能するリング共振器Rへの電流注入の調整ができ、リング共振器の透過波長を変化させ、結果として反射器7の反射波長を変化させることができる。
【0045】
図9は、図1のIX−IX線に沿ったリング共振器Rの断面図である。図9では、上部電極E5及び下部電極を省略している。図9に示すように、リング共振器Rは、基板SB上に、下部クラッド層91と、下部光ガイド層G5、活性層A3、及び上部光ガイド層G6を有する光導波路層92と、上部クラッド層93と、コンタクト層94とがこの順に形成され、下部クラッド層91、光導波路層92、上部クラッド層93、及びコンタクト層94からなるメサ構造の側面、並びに基板SBの一部を覆うようにして絶縁層95が形成されており、さらに絶縁層95を覆うようにして樹脂層96が形成されている。
【0046】
例えば、基板SBにn型InP基板を採用した場合、n型InPからなる下部クラッド層91、1.4μmのバンドギャップ波長を有しGaInAsPからなる活性層A3と、光ガイド層G5,G6(SCH層)とを含む光導波路層92、p型InPからなる上部クラッド層93、GaInAsからなるコンタクト層94、SiOからなる絶縁層95、ならびにBCB(ベンゾシクロブテン)からなる樹脂層96を採用することができる。
【0047】
下部クラッド層91、光導波路層92、上部クラッド層93、及びコンタクト層94からなるメサ構造のY軸方向における幅N8は、例えば1.3μmとすることができ、Z軸方向における当該メサ構造の厚さN9として、例えば4μmとすることができる。
【0048】
リング共振器Rは、所定の間隔で周期的に光を透過する機能を有する。図10にリング共振器Rの光透過スペクトルの一例を示す。横軸は波長を示す。縦軸は損失を示し、マイナスの数字が大きいほど損失が大きいことを示す。この場合、波長5.1nm間隔で周期的に光透過率が高くなることが分かる。
【0049】
図8と図10とを比較すると分かるように、図8に示した合波器5の複数のポートのうちの任意のいずれか1つのポートの透過波長範囲内に、図10に示すリング共振器Rの周期的な透過ピークが存在することが分かる。具体的には、図8のF1に示すポートPの透過波長範囲(1545nm〜1550nm)内に、図10のリング共振器Rの1つの透過ピークT2が存在している。同様に、図8のF2に示すポートPの1つの透過波長範囲(1555nm〜1560nm)内に、図10のリング共振器Rの1つの透過ピークT4が存在している。図8のF3に示すポートPの1つの透過波長範囲(1550nm〜1555nm)内に、図10のリング共振器Rの1つの透過ピークT3が存在している。図8のF4に示すポートPの透過波長範囲(1540nm〜1545nmおよび1560nm〜1565nm)内に、図10のリング共振器Rの透過ピークT1およびT5がそれぞれ存在している。
【0050】
このように、図8に示した合波器5の複数のポートP〜Pのうちの任意のいずれか1つのポートの透過波長範囲内に、図10示すリング共振器の周期的な透過波長が存在するようにすれば、所定の波長でレーザ発振することが可能となる。例えば、合波器5の複数のポートP〜Pのうちの任意のいずれか1つのポートの透過波長範囲内に、リング共振器の周期的な透過ピークが1つのみ存在するようにすれば、反射器7によりリング共振器を透過した波長の光が反射されるので、特定の波長でレーザ発振することが可能となる。
【0051】
図11に、上述の透過スペクトルに影響するリングRGのパラメータを示す。リングRGのMMIカプラの分岐比MPは1:1である。リングRGの円周の長さNは、例えば132.55μmとすることができる。
【0052】
図1では、他端S2として劈開面を用いた場合を説明したが、図12に示すように、他端S2は、劈開面にさらに反射膜ARを形成したものとしてもよい。これにより、該他端S2における反射率を調整し、レーザ光を効率的に出射させることができる。他端S2に設けられる反射膜として、単層または多層膜からなる誘電体膜を用いることができる。他端S2に設けることが可能な膜として、例えば低反射膜が挙げられる。低反射膜の反射率としては、例えば1%〜30%の反射率とすることができる。低反射膜として、例えば、窒化シリコン膜が挙げられる。
【0053】
次に、本実施形態に係る波長可変レーザの製造方法について説明する。まず、合波器5及び反射器7のリング共振器Rの下部クラッド層及び光導波路層となる半導体膜を基板SB全面上に、有機金属気相成長法(MOVPE:Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)により堆積する。その後、合波器5及びリング共振器R部分にマスクをして、利得領域3となる位置のみをエッチングする。次いで、合波器5に対して、利得領域3の下部クラッド層及び光導波路層とをバットジョイント成長する。該マスクを除去し、合波器5、リング共振器R、及び利得領域3の上部クラッド層とコンタクト層となる半導体膜を堆積する。
【0054】
次いで、後工程で上部電極を付与する部分(利得領域3及びリング共振器Rのメサ構造部分)以外のコンタクト層を除去する。合波器5及びリング共振器R部分にマスクをして、利得領域3のメサ構造となる部分をドライエッチングで形成する。当該メサ構造を埋め込むように、電流ブロック層をMOVPE法により成長する。次いで、利得領域3をマスクし、合波器5及びリング共振器Rのメサ構造となる部分をドライエッチングによって形成する。当該マスクを除去し、絶縁層を堆積後、樹脂層となる膜を塗布して硬化させる。その後、当該上部電極を付与する部分の絶縁層と樹脂層とをドライエッチングで除去する。利得領域3のコンタクト層とリング共振器Rのコンタクト層との上に、上部電極(オーミック電極)を蒸着およびリフトオフで形成する。基板SBの裏面を研磨し、裏面電極(オーミック電極)を形成する。
【0055】
そして、基板SBを分割してバー状態にし、当該バーの一端に高反射膜HRをコーティングする。さらに当該バーをチップ化してサブマウントに実装する。利得領域3及びリング共振器Rの上部電極及び下部電極にワイヤボンディングを行う。最後に、温度制御素子(ペルチェ)を付加する。このように、リング共振器Rの一部は、利得領域3や合波器5を構成する半導体層と共通の半導体層を用いて作成することができるため、共通の半導体プロセスにより容易に波長可変レーザを形成することができる。
【0056】
次に、本実施形態に係る波長可変レーザの動作について説明する。ここでは、波長1547nmの光を出力する場合について具体的な数値と共に説明するが、その他の波長の光を出力する場合は適宜数値を調整すれば良い。
【0057】
まず、利得制御回路10の制御信号に基づいて、利得領域3の光素子L1のみに電流(例えば150mA)を注入し、その他の光素子L2〜L4には電流を注入しない。波長制御回路20の制御信号に基づいて、反射器7のリング共振器Rにも電流(例えば1.16mA)を注入する。反射器7の透過スペクトルのピーク波長は、所定の値をとることが可能であり、図10に示したように、例えば1547.02nm(T2)、1552.10nm(T3)、1557.26nm(T4)に位置させることができる。
【0058】
利得領域3の光素子L1から生成され、図5に示したような、正の利得を有し所定の波長範囲を有する光が、合波器5のポートPから第1アームW1を通過すると、図8のF1で示した損失が光に加わる。当該損失が低い透過波長範囲(例えば1545nm〜1550nm)で、なおかつ、反射器7のリング共振器Rの透過損失が低いピーク波長(例えば1547.02nm)が、最もレーザ共振器の損失が低くなるため、その波長でレーザ発振が起こることとなる。
【0059】
図13に、反射器7を構成するリング共振器Rへの注入電流を変化させたときの、リング共振器Rの透過スペクトル、つまり反射器7の反射スペクトルのピーク波長シフトを示す。リング共振器Rへの注入電流を0mA〜1.85mAの範囲に調整することで、図10に示した反射器7の反射スペクトルのピークのいずれかは、1540nm〜1560nmの波長範囲に存在することがわかる。すなわち、反射器7を構成するリング共振器Rへの電流注入量の調整により、波長を変化させることが可能となる。これにより、所望の波長範囲内でレーザの発振波長を変化させることが可能となる。
【0060】
反射器7の反射ピーク波長の波長間隔は、例えば0.1nmとすることができ、一定温度下では、この波長間隔で決まるとびとびの波長でレーザ発振させることができる。なお、波長可変レーザ1の全体の温度を25℃〜40℃と変えることにより、当該とびとびの波長の間の波長を連続的に変えることも可能である。この場合、予め、リング共振器への注入電流、温度、および波長との関係を求めておけば良い。
【0061】
以下に、本実施形態に係る波長可変レーザ1の効果を説明する。本実施形態に係る波長可変レーザでは、利得領域への電流注入のオン・オフを制御することによって、光が生成される。生成された光を合波器において合波した後、周期的な反射ピークを有する反射器によって、所望の周期的な反射ピークを有する光として出力させることができる。この結果、電流制御が簡単な波長可変レーザを得ることができる。また、合波器がセグメントを切り出す役割を、高反射膜が光のフィードバックの役割を担っているが、合波器及び高反射膜は波長依存性が比較的低いので、セグメント内での波長変動を抑制することができる。
(第2実施形態)
【0062】
以下、第2実施形態に係る波長可変レーザについて説明する。図14は、第2実施形態に係る波長可変レーザの概念図である。図15は、図14におけるXV−XV線に沿った断面図である。図16は、図15におけるXVI−XVI線に沿った断面図である。
【0063】
図14に示す波長可変レーザ2が、第1実施形態に係る波長可変レーザ1と異なる点は、周期的な反射ピークを有する反射器の構造であるので、これについてのみ説明する。図14に示すように、第2実施形態に係る波長可変レーザ2では、他端S2側に設けられた周期的な反射ピークを有する反射器9が、超構造回折格子層(SSG:Super Structure Gtating)を有する光素子40と、他端S2にコーティングによって設けられた低反射膜ARとを含んでいる。低反射膜ARとして、例えば波長1540nm〜1560nmの範囲で反射率が0.2%以下のものを採用することができる。
【0064】
図14に示すように、波長可変レーザ2の光軸(X軸)方向における反射器9の長さN32は、例えば600μmとすることができる。すなわち、波長可変レーザ2のX軸方向における全長は、例えば1750μmとすることができ、第1実施形態に係る波長可変レーザ1よりも400μm長くするこができる。
【0065】
図15及び図16に示すように、反射器9の光素子40は、基板SB上に、下部クラッド層41と、下部光ガイド層LG、活性層A4、及び超構造回折格子層SSGを有する光導波路層42と、上部クラッド層43と、コンタクト層44とがこの順に形成され、下部クラッド層41、光導波路層42、及び上部クラッド層43からなるメサ構造の側面、並びに基板SBの一部を覆うようにして電流ブロック層45が埋め込んで形成されており、電流ブロック層45上に絶縁層46が形成されている。
【0066】
例えば、基板SBにn型InP基板を採用した場合、n型InPからなる下部クラッド層41、1.4μmのバンドギャップ波長を有しGaInAsPからなる活性層A4と、下部光ガイド層LGと、超構造回折格子層SSGとを含む光導波路層42、p型InPからなる上部クラッド層43、GaInAsからなるコンタクト層44、Fe−InPからなる電流ブロック層、ならびにSiOからなる絶縁層46を採用することができる。
【0067】
下部クラッド層41、光導波路層42、上部クラッド層43、及びコンタクト層44からなるメサ構造のY軸方向における幅N10は、例えば1.8μmとすることができ、Z軸方向における当該メサ構造の厚さN11として、例えば4μmとすることができる。
【0068】
超構造回折格子層SSGは、波長可変レーザにおける光軸方向(X軸方向)に沿った周期的な凹凸パターンからなる回折格子Gから形成されている。超構造回折格子層SSGを有する光素子40は、周期的な反射ピークを有している。図17に光素子40の反射スペクトルの一例を示す。図17に示す例では、波長範囲1535nm〜1565nmの間に、波長5.6nm間隔で周期的に反射率のピークが5つある。
【0069】
図示しないが、コンタクト層44上に蒸着により形成された上部電極と、基板SB下に設けられた下部電極とに接続されている波長制御回路20により、光素子40への電流注入の調整ができ、反射器9の反射波長を変化させることができる。
【0070】
なお、第2実施形態における合波器では、第1実施形態において説明した合波器のアームの差を変えることにより、光合波損失が最小となるように、波長間隔(例えば5.6nm間隔)を設計することができる。
【0071】
次に、本実施形態に係る波長可変レーザの製造方法について説明する。まず、超構造回折格子層SSGを有する光素子40と合波器5との下部クラッド層および光導波路層となる半導体膜を基板SB全面に堆積する。次いで、電子ビーム露光法、ドライエッチングや、回折格子を埋め込んで成長させる方法により、超構造回折格子層SSGを有する光素子40の各層を形成する。そして、光素子40と合波器5部分にマスクをし、利得領域3となる部分のみをエッチングする。その後、合波器5に対して、利得領域3の下部クラッド層および光導波路層となる半導体膜をバットジョイント法により成長する。当該マスクを除去し、上部クラッド層とコンタクト層を堆積する。後工程で上部電極を付与する部分(利得領域3及び光素子40のメサ構造となる部分)以外のコンタクト層を除去する。合波器5部分にはマスクをして、光素子40と利得領域3のメサ構造となる部分をドライエッチングで形成し、電流ブロック層を埋め込み成長で形成する。
【0072】
さらに、光素子40と利得領域3にマスクをし、合波器5のメサ構造となる部分をドライエッチングで形成する。当該マスクを除去し、絶縁層と樹脂層とを堆積する。上部電極を付与する部分の絶縁層と樹脂層とをドライエッチングで除去する。上部電極(オーミック電極)となる膜を蒸着して、リフトオフ形成する。基板SBの裏面を研磨し、裏面電極(オーミック電極)を形成する。基板SBを分割しバー状態にし、当該バーの一端に高反射膜HRをコーティングする。当該バーをチップ化してサブマウントに実装する。上部電極および下部電極にワイヤボンディングする。最後に、温度制御素子(ペルチェ)を付加する。
【0073】
次に、本実施形態に係る波長可変レーザの動作について説明する。ここでは、波長1554.2nmの光を出力する場合について説明するが、その他の波長の光を出力する場合は適宜値を調整すれば良い。
【0074】
まず、利得制御回路10の制御信号に基づいて、利得領域3の2以上の並列された光素子のうちのいずれか1つにのみ電流を注入して光利得を発生させる。例えば、利得領域3の光素子L3にのみ電流を(例えば150mA)注入し、その他の光素子L1、L2、L4には電流を注入しない。また、波長制御回路20の制御信号に基づいて、超構造回折格子層SSGを有する光素子40に電流を(例えば2.0mA)注入する。
【0075】
光素子L3から出た光が、合波器5を通過すると、図8に示した対応するポートPのF3のプロットのロスが加わる。上記電流値のとき、図8に示す合波器5の対応するポートPの一つの透過波長範囲(1550nm〜1555nm)内には、図17に示す超構造回折格子層SSGを有する光素子40の反射スペクトルのピークのうち1本の波長(1554.2nm)のみが存在する。
【0076】
他端S2側に設けられた反射器9の超構造回折格子層SSGを有する光素子40と、他端S2側に設けられた高反射膜HRとでレーザ共振器が形成される。図8に示す合波器5の対応するポートPの損失が低い一つの透過波長範囲(例えば1550nm〜1555nm)で、かつ、反射器9の超構造回折格子層SSGからの反射が大きい波長(例えば1554.2nm)でレーザ発振が起こる。
【0077】
以上説明したものと同様に、利得領域3のその他の光素子(L1、L2、L4)に電流を注入した時も、合波器5の対応するポートの一つの透過波長範囲内に、反射器9の光素子40の1本の反射ピークが存在する。
【0078】
図18に超構造回折格子層SSGを有する光素子40への注入電流を変えた時の、反射スペクトルのピーク波長シフトを示す。図18から理解されるように、利得領域3の光素子L3に電流を注入したときに、光素子40への電流注入量(例えば0mA〜40mAの範囲)を変化させることで、合波器5の合波ロスが小さい他の波長域においても、反射波長を変化(例えば約4nmの範囲)させることができる。
【0079】
以下に、本実施形態に係る波長可変レーザ2の効果を説明する。本実施形態でも、第1実施形態で説明した波長可変レーザ1と同様の効果を奏することができる。また、超構造回折格子層SSGを有する光素子40は、周期的な反射スペクトルを有するため、合波器5において合波された光から特定の波長を有する光を反射する反射器として好適である。また、超構造回折格子層SSGを有する光素子40への電流注入を調整することにより、レーザ発振波長を変化させることができる。
【0080】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、1つの波長可変レーザにおいて光素子が4つ設けられている例を示したが、光素子の数は2以上8以下であることが好ましい。また、上記実施形態では、合波器の透過波長範囲が5nmである例を示したが、合波器の透過波長範囲は2nm以上7nm以下であることが好ましい。また、上記実施形態では、n型基板上に半導体層を積層する波長可変レーザを例示したが、p型基板上に半導体層を積層する波長可変レーザでもよい。
【0081】
また、利得領域3の2以上の並列された光素子のうちのいずれか1つにのみ電流を注入して光利得を発生させる例を示したが、利得領域3の2以上の光素子に電流を注入して光利得を発生させても良い。例えば、利得領域3の4つの光素子L1〜L4に同時に電流を注入すれば、4つの特定の波長を有する光を同時に得ることができる。いずれの場合においても、本実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0082】
1,2…波長可変レーザ、3…利得領域、5…合波器、7,9…反射器、HR…高反射膜、10…利得制御回路、20…波長制御回路、L1〜L4…光素子、R…リング共振器、SB・・・基板、SSG…超構造回折格子層、40…光素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に設けられた高反射膜と、
前記一端側に設けられ、電流注入により光が生成される2以上の並列された光素子を有する利得領域と、
前記利得領域で生成された光を合波する合波器と、
前記一端と対向する他端側に設けられ、前記合波された光に対して周期的な反射ピークを有する反射器と、を備え、
前記合波器は、前記利得領域と前記反射器との間に設けられている波長可変レーザ。
【請求項2】
周期的な反射ピークを有する前記反射器が、リング共振器と前記他端の劈開面との組合せである請求項1に記載の波長可変レーザ。
【請求項3】
前記他端の劈開面に所定の反射率を有する反射膜が形成されている請求項2に記載の波長可変レーザ。
【請求項4】
周期的な反射ピークを有する前記反射器が、超構造回折格子層を有する光素子を含む請求項1に記載の波長可変レーザ。
【請求項5】
前記合波器が、光導波路層を有するマッハツェンダ干渉計を含む請求項1に記載の波長可変レーザ。
【請求項6】
前記合波器は複数のポートを有し、
前記利得領域で生成される正の利得を有する光の波長範囲が、前記合波器の前記複数のポートのうちの任意のいずれか1つのポートの透過波長範囲よりも大きい請求項1に記載の波長可変レーザ。
【請求項7】
前記複数のポートのうちの任意のいずれか1つのポートの前記透過波長範囲内に、前記反射器の前記周期的な反射ピークが存在する請求項6に記載の波長可変レーザ。
【請求項8】
前記2以上の並列された光素子のうちのいずれか1つに電流を注入して光利得を発生させ、周期的な反射ピークを有する前記反射器に電流を注入して反射波長を変化させる請求項7に記載の波長可変レーザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−171329(P2010−171329A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14327(P2009−14327)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】