説明

異径基板用アタッチメントおよび基板処理装置ならびに基板若しくは半導体デバイスの製造方法

【課題】大径基板に対応した搬送系を構成する基板収容器(フープ)に、サイズダウンした基板を格納できるようにする。
【解決手段】8インチウェーハを支持し得る第1支持溝16eに支持される上部板401および下部板402と、上部板401および下部板402に設けられ、2インチウェーハであるウェーハ14(必要に応じて、ウェーハホルダ100およびホルダ部材405を介して)を支持し得る第2支持溝404を有する各保持柱403a〜403cとを備える。8インチウェーハに対応したポッド16に、2インチウェーハであるウェーハ14を格納でき、搬送系であるポッド16を共通化して半導体製造装置のコストを削減できる。各ガス供給ノズルから各ウェーハ14までを遠ざけて、各ウェーハ14に到達する前に反応ガスを充分に混合させることができ、各ウェーハ14への成膜精度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一の基板収容器(フープ)に直径寸法が異なる基板を格納できるようにするための異径基板用アタッチメントおよび基板処理装置ならびに基板若しくは半導体デバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素(SiC)は、ケイ素(Si)に比して、絶縁耐圧や熱伝導性が高いこと等から、特にパワーデバイス用素子材料として注目されている。その一方でSiCは、不純物拡散係数が小さいこと等から、Siに比して結晶基板や半導体装置(半導体デバイス)の製造が難しいことが知られている。例えば、Siのエピタキシャル成膜温度が900℃〜1200℃程度であるのに対し、SiCのエピタキシャル成膜温度は1500℃〜1800℃程度となっており、装置の耐熱構造や材料の分解抑制等に技術的な工夫が必要となる。このようなSiCのエピタキシャル成膜を行う基板処理装置としては、例えば、特許文献1に記載された技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、反応室に複数枚の基板を縦方向に積層して処理する、所謂バッチ式縦型基板処理装置が記載され、反応室の長手方向(上下方向)には、第1ガス供給ノズルおよび第2ガス供給ノズルが延在している。第1ガス供給ノズル(ガスノズル)は、シリコンおよび塩素含有ガスとしてのテトラクロロシラン(SiCl)ガス等を反応室内に供給し、第2ガス供給ノズル(ガスノズル)は、還元ガスとしての水素(H)ガス等を反応室内に供給する。そして、少なくともこれらの2種類の反応ガスは反応室の内部で混合され、その後、混合された反応ガスはウェーハ(基板)の表面に沿って流れる。これにより、ウェーハにSiC膜がエピタキシャル成長により形成される。
【0004】
このように、特許文献1に記載された基板処理装置は、第1ガス供給ノズルおよび第2ガス供給ノズルを設け、少なくとも2種類の反応ガスを反応室の内部で混合させている。これにより、1500℃〜1800℃にもなる反応室の内部に延在するガスノズルの内壁やガス供給口へのSiC膜の析出等を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−003885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、基板処理装置のコストを削減するには、処理するウェーハの直径寸法等に関わらず、例えば、ウェーハを搬送するための搬送系等、基板処理装置を形成する構成部品を可能な限り共通化することが望ましい。また、上述の特許文献1に記載された技術のように、2種類の反応ガスを反応室の内部で混合するようにした基板処理装置においては、ウェーハの成膜精度を向上させるためにも、ガス供給ノズルとウェーハとの間の距離を遠くし、ウェーハに到達する前に反応ガスを充分に混合させておくことが望ましい。そのため、例えば8インチウェーハに対応した大型の処理炉を備えた基板処理装置をベースに共通化を考察することが望ましい。
【0007】
しかしながら、実際に処理するウェーハのサイズとしては、2〜4インチである場合が多く、8インチウェーハに対応した環境のもとで、そのまま単純に2〜4インチウェーハを処理することはできない。そこで、8インチウェーハに対応した環境であっても、2〜4インチウェーハを処理できるよう工夫する必要がある。なお、上述の特許文献1に記載された基板処理装置のように、2種類の反応ガスを反応室の内部で混合させるSiCのエピタキシャル成膜を行う基板処理装置に限らず、その他の基板処理装置で上述のような共通化を考察した場合においても同様の課題を生じ得る。
【0008】
本発明の目的は、特に搬送系の共通化に着目し、大径基板に対応した搬送系を構成する基板収容器(フープ)に、サイズダウンした基板を格納可能とする異径基板用アタッチメントおよび基板処理装置ならびに基板若しくは半導体デバイスの製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0011】
すなわち、本発明に係る異径基板用アタッチメントは、第1サイズの基板を支持し得る第1支持溝に支持される板状部材と、前記板状部材に設けられ、前記第1サイズよりも小さい第2サイズの基板を支持し得る第2支持溝を有する保持部材とが備えられる。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0013】
すなわち、大径基板に対応した搬送系を構成する基板収容器(フープ)に、サイズダウンした基板を格納可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る異径基板用アタッチメントを採用した基板処理装置の概要を示す斜視図である。
【図2】処理炉の内部構造を示す断面図である。
【図3】処理炉の横方向の断面を示す横断面図である。
【図4】(a),(b)は、ガス供給ユニットの内部構造を説明する図である。
【図5】処理炉周辺の構造を示す断面図である。
【図6】基板処理装置の制御系統を説明するブロック図である。
【図7】ウェーハをウェーハホルダに保持させた状態を示す断面図である。
【図8】ウェーハおよびウェーハホルダを示す斜視図である。
【図9】(a),(b)は、ポッドの外観形状を示す斜視図である。
【図10】第1実施の形態に係る異径基板用アタッチメントをポッドに格納した状態を示す断面図である。
【図11】図10の破線円A部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図12】図10の異径基板用アタッチメントを示す斜視図である。
【図13】(a),(b)は、図10の異径基板用アタッチメントの動作状態を説明する説明図である。
【図14】(a),(b)は、第2実施の形態に係る異径基板用アタッチメントの構造を示す図13に対応した図である。
【図15】第3実施の形態に係る異径基板用アタッチメントの構造を示す図10に対応した図である。
【図16】図15の破線円B部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図17】(a),(b)は、図15の異径基板用アタッチメントの動作状態を説明する説明図である。
【図18】第4実施の形態に係る異径基板用アタッチメントの構造を示す図10に対応した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施の形態]
以下、本発明の第1実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施の形態では、基板処理装置の一例であるSiCエピタキシャル成長装置において、高さ方向(縦方向)にSiCウェーハを積層する、所謂バッチ式縦型SiCエピタキシャル成長装置を挙げている。これにより、一度に処理できるSiCウェーハの数を増やしてスループット(製造効率)を向上させている。
【0016】
<全体の構成>
図1は本発明に係る異径基板用アタッチメントを採用した基板処理装置の概要を示す斜視図であり、まず、図1を用いて、本発明の一実施の形態におけるSiCエピタキシャル膜を成膜する基板処理装置、および、半導体デバイスの製造工程の一つであるSiCエピタキシャル膜を成膜する基板の製造方法について説明する。
【0017】
基板処理装置(成膜装置)としての半導体製造装置10は、バッチ式縦型熱処理装置であり、種々の機能を備えた複数の装置を収容する筐体12を有している。この半導体製造装置10では、例えば、SiC等で構成された基板としてのウェーハ14を収納する基板収容器として、ポッド(フープ)16をウェーハキャリアとして使用している。
【0018】
筐体12の正面側には、半導体製造装置10の外部から内部にポッド16を導入するためのポッドステージ(容器導入部)18が設けられている。このポッドステージ18上には、他の生産ラインで準備した複数のポッド16が、作業者により牽引される台車CTから搬送されるようになっている。ポッド16には、例えば、6枚のウェーハ14が収納され、蓋16aが閉じられた状態(密閉状態)のもとで、ポッドステージ18上にセットされる。
【0019】
筐体12の正面側で、かつポッドステージ18の背面側には、当該ポッドステージ18と対向するようにしてポッド搬送装置(搬送機構)20が設けられている。ポッド搬送装置20は、ポッドステージ18と筐体12の背面側にある処理炉40との間に設けられ、ポッドステージ18から処理炉40に向けてポッド16を搬送するようになっている。また、ポッド搬送装置20の近傍でかつ背面側には、複数段(図示では3段)のポッド収納棚22,ポッドオープナ24および基板枚数検知器26が設けられている。各ポッド収納棚22は、ポッドオープナ24および基板枚数検知器26の上方側に設けられ、ポッド16を複数個搭載(図示では5個)し、その状態を保持するよう構成されている。
【0020】
そして、ポッド搬送装置20は、ポッドステージ18,各ポッド収納棚22およびポッドオープナ24間で、次々とポッド16を搬送し、ポッドオープナ24は、ポッド16の蓋16aを開けるようになっている。また、ポッドオープナ24に隣接して設けられた基板枚数検知器26は、蓋16aが開けられた状態のもとでポッド16内のウェーハ14の枚数を検知するようになっている。
【0021】
筐体12の内部には、その他に、基板移載機28,基板保持具としてのボート30が設けられている。基板移載機28は、例えば、6本のアーム(ツイーザ)32を備え、各アーム32は、図示しない駆動手段により昇降可能かつ回転可能な構造となっており、ポッド16から6枚のウェーハ14を一度に取り出せるようになっている。そして、各アーム32を正面側から背面側に反転移動させることで、ポッドオープナ24の位置にあるポッド16からボート30に向けて、ウェーハ14を6枚ずつ搬送することができる。
【0022】
ボート30は、例えば、カーボングラファイトやSiC等の耐熱性材料で所定形状に形成され、複数枚のウェーハ14を水平姿勢で、かつ互いに中心を揃えた状態のもとで、縦方向に積層保持するよう構成されている。なお、ボート30の下方側には、例えば、石英やSiC等の耐熱性材料により円柱形状に形成された断熱部材としてのボート断熱部34が設けられ、後述する加熱体48からの熱が、処理炉40の下方側に伝達し難くなっている(図2参照)。
【0023】
筐体12内の背面側でかつ上方側には、処理炉40が設けられている。処理炉40の内部には、複数枚のウェーハ14を装填したボート30が搬入され、これにより、複数積層したウェーハ14を一度に熱処理(バッチ処理)できるようになっている。
【0024】
<処理炉の構成>
図2は処理炉の内部構造を示す断面図を、図3は処理炉の横方向の断面を示す横断面図を、図4(a),(b)はガス供給ユニットの内部構造を説明する図を、図5は処理炉周辺の構造を示す断面図を、図6は基板処理装置の制御系統を説明するブロック図をそれぞれ表している。次に、これらの図2〜図6を用いて、SiCエピタキシャル膜を成膜する半導体製造装置10の処理炉40について説明する。
【0025】
処理炉40には、第1ガス供給口68を有する第1ガス供給ノズル60,第2ガス供給口72を有する第2ガス供給ノズル70および、各ガス供給ノズル60,70からの反応ガスを外部に排気する第1ガス排気口90が設けられている。また、不活性ガスを供給する第3ガス供給口360および、当該不活性ガスを外部に排気する第2ガス排気口390が設けられている。
【0026】
処理炉40は反応管42を備えている。反応管42は、石英またはSiC等の耐熱性材料よりなり、上方側が閉塞され下方側が開口した有底筒状に形成されている。反応管42の開口側(下方側)には、反応管42と同心円状にマニホールド36が配設されている。マニホールド36は、例えば、ステンレス材料等からなり、上方側および下方側が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド36は反応管42を支持し、マニホールド36と反応管42との間には、シール部材としてのOリング(図示せず)が設けられている。これにより、反応管42およびマニホールド36の内部に充填された反応ガスが外部に漏洩するのを防止している。
【0027】
マニホールド36は、その下方側に設けられた保持体(図示せず)に支持されており、これにより反応管42は、地面(図示せず)に対して垂直に据え付けられた状態となっている。ここで、反応管42およびマニホールド36により、反応容器を形成している。
【0028】
処理炉40は加熱体48を備えている。加熱体48は、上方側が閉塞され下方側が開口された有底筒状に形成されている。加熱体48は反応管42の内部に設けられ、加熱体48の内部には反応室44が形成されている。反応室44には、SiC等で構成されたウェーハ14を保持したボート30が収納されるようになっている。
【0029】
処理炉40は、磁場発生部として機能する誘導コイル50を備えている。誘導コイル50は、円筒形状の支持部材51の内周側に螺旋状に固定され、当該誘導コイル50は外部電源(図示せず)により通電されるようになっている。誘導コイル50を通電することにより当該誘導コイル50は磁場を発生し、ひいては加熱体48が誘導加熱される。このように加熱体48を誘導加熱により発熱させることで、反応室44内が加熱されるようになっている。
【0030】
加熱体48の近傍には、反応室44内の温度を検出する温度検出体としての温度センサ(図示せず)が設けられており、当該温度センサおよび誘導コイル50は、コントローラ152の温度制御部52(図6参照)と電気的に接続されている。温度制御部52は、温度センサにより検出された温度情報に基づいて、反応室44内の温度が所望の温度分布となるよう、誘導コイル50への通電具合を所定のタイミングで調節(制御)するようになっている。
【0031】
反応管42と加熱体48との間には、例えば、誘導加熱され難いカーボンフェルト等で形成された断熱材54が設けられている。断熱材54は、反応管42および加熱体48と同様に、上方側が閉塞され下方側が開口された有底筒状に形成されている。このように、断熱材54を設けることで、加熱体48の熱が反応管42あるいは反応管42の外部に伝達されるのを抑制している。
【0032】
また、誘導コイル50の外周側には、反応室44内の熱が外部に伝達されるのを抑制するために、例えば、水冷構造の外側断熱壁55が設けられている。外側断熱壁55は円筒形状に形成され、反応室44(支持部材51)を包囲するよう配置されている。さらに、外側断熱壁55の外周側には、誘導コイル50を通電することで発生する磁場が、外部に漏洩するのを防止するための磁気シール58が設けられている。磁気シール58においても、上方側が閉塞され下方側が開口された有底筒状に形成されている。
【0033】
加熱体48の内周側とウェーハ14の外周側との間には、第1ガス供給口68を有する第1ガス供給ノズル60が設けられている。また、加熱体48の内周側とウェーハ14の外周側との間には、第2ガス供給口72を有する第2ガス供給ノズル70が設けられている。第1ガス供給ノズル60および第2ガス供給ノズル70は、それぞれウェーハ14の周方向に沿って所定間隔を持って設けられ、各ガス供給ノズル60,70の各ガス供給口68,72は、ウェーハ14に向けられている。また、第1ガス排気口90においても、加熱体48の内周側とウェーハ14の外周側との間に開口している。つまり、各ガス供給口68,72および第1ガス排気口90は、それぞれ反応室44と対向している。さらに、反応管42の内周側と断熱材54の外周側との間には、第3ガス供給口360および第2ガス排気口390が設けられている。
【0034】
ここで、第1ガス供給ノズル60および第2ガス供給ノズル70は、図2に示すように、少なくともそれぞれ1本ずつ設ければ良いが、図3に示すように、2本の第1ガス供給ノズル60と3本の第2ガス供給ノズル70を設けるようにしても良い。この場合、3本の第2ガス供給ノズル70の間に、ウェーハ14の周方向に沿うよう交互に2本の第1ガス供給ノズル60を並べて配置する。これにより、第1ガス供給ノズル60および第2ガス供給ノズル70から異なる種類の反応ガスを供給したときに、反応室44内において効率良く反応ガスを混合させることができる。また、第1ガス供給ノズル60および第2ガス供給ノズル70を合計奇数本とすることで、中央部分に位置するガス供給ノズルを中心として、その両側(図3中上下側)にバランス良く反応ガスを供給することができる。よって、ウェーハ14の成膜面に対して反応ガスを均一に供給することができ、成膜精度を向上させることが可能となる。なお、第1ガス供給ノズル60および第2ガス供給ノズル70から供給される反応ガスの種類については後述する。
【0035】
図2に示すように、第1ガス供給ノズル60は、例えば、カーボングラファイト等の耐熱材料にて中空パイプ状に形成され、基端部60aおよび先端部60bを備えている。第1ガス供給ノズル60の基端部60aは、反応管42およびマニホールド36からなる反応容器の開口側、つまりマニホールド36側に設けられ、マニホールド36を貫通して当該マニホールド36に固定されている。第1ガス供給ノズル60は、反応室44内にその長手方向に延在するよう、つまり各ウェーハ14の積層方向に延びるよう設けられ、第1ガス供給ノズル60の先端部60bは、反応管42の底側(上方側)に設けられている。
【0036】
第1ガス供給ノズル60の基端部60aと先端部60bとの間で、かつ第1ガス供給ノズル60の長手方向に沿う先端部60b寄り、つまりウェーハ14に対応する部位には、基端部60aから先端部60bに向けて複数並んで、ウェーハ14に向けて反応ガスを供給するための複数の第1ガス供給口68が設けられている。各第1ガス供給口68はそれぞれ等間隔で設けられ、これにより複数のウェーハ14のそれぞれに対して反応ガスを均一に供給できるようにしている。なお、第1ガス供給ノズル60の基端部60aは、第1ガスライン222を介してガス供給ユニット200に接続されている。
【0037】
第2ガス供給ノズル70は、例えば、カーボングラファイト等の耐熱材料にて中空パイプ状に形成され、基端部70aおよび先端部70bを備えている。第2ガス供給ノズル70の基端部70aは、反応管42およびマニホールド36からなる反応容器の開口側、つまりマニホールド36側に設けられ、マニホールド36を貫通して当該マニホールド36に固定されている。第2ガス供給ノズル70は、反応室44内にその長手方向に延在するよう設けられ、第2ガス供給ノズル70の先端部70bは、反応管42の底側に設けられている。
【0038】
第2ガス供給ノズル70の基端部70aと先端部70bとの間で、かつ第2ガス供給ノズル70の長手方向に沿う先端部70b寄り、つまりウェーハ14に対応する部位には、基端部70aから先端部70bに向けて複数並んで、ウェーハ14に向けて反応ガスを供給するための複数の第2ガス供給口72が設けられている。各第2ガス供給口72はそれぞれ等間隔で設けられ、これにより複数のウェーハ14のそれぞれに対して反応ガスを均一に供給できるようにしている。なお、第2ガス供給ノズル70の基端部70aは、第2ガスライン260を介してガス供給ユニット200に接続されている。
【0039】
ここで、図3に示すように、反応室44の内部において、各ガス供給ノズル60,70と第1ガス排気口90との間でかつ加熱体48とウェーハ14との間に、当該空間を埋めるよう反応室44の長手方向に延在する断面が円弧形状の構造物300を設けるようにすると良い。例えば、図3に示すように、対向位置に構造物300をそれぞれ設けることで、各ガス供給ノズル60,70から供給される反応ガスが、加熱体48の内壁に沿って流れてウェーハ14を迂回してしまうのを防止できる。構造物300としては、耐熱性およびパーティクルの発生を考慮すると、カーボングラファイト等で構成するのが望ましい。
【0040】
図2に示すように、ボート30を挟む各ガス供給口68,72との対向箇所でかつボート30の下方側には、第1ガス排気口90が設けられ、マニホールド36には、第1ガス排気口90に接続されたガス排気管230が貫通して固定されている。ガス排気管230の下流側には、圧力検出器としての圧力センサ(図示せず)が設けられ、さらには圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ214を介して真空ポンプ等の真空排気装置220が接続されている。圧力センサおよびAPCバルブ214には、コントローラ152の圧力制御部98(図6参照)が電気的に接続されている。圧力制御部98は、圧力センサにより検出された圧力に基づき、所定のタイミングでAPCバルブ214の開度を調節(制御)し、ひいては処理炉40内の圧力を所定の圧力とするように調整するようになっている。
【0041】
このように、第1ガス排気口90を各ガス供給口68,72の対向箇所に配置することで、各ガス供給口68,72から供給された反応ガスを、ウェーハ14の側方から水平方向に流してウェーハ14の成膜面に満遍なく行き渡らせた後、第1ガス排気口90から排気することができる。これにより、ウェーハ14の成膜面全体を効果的かつ均一となるよう反応ガスに曝して成膜精度を向上させている。
【0042】
第3ガス供給口360は、各ガス供給口68,72側で、反応管42と断熱材54との間に配置されている。第3ガス供給口360は、マニホールド36を貫通して当該マニホールド36に固定された第3ガスライン240の一端側に設けられ、第3ガスライン240の他端側はガス供給ユニット200に接続されている。また、第2ガス排気口390は、第1ガス排気口90側で、反応管42と断熱材54との間、つまり断熱材54を挟む第3ガス供給口360との対向箇所に配置されており、当該第2ガス排気口390は、ガス排気管230に接続されている。
【0043】
第3ガスライン240は、図4に示すように、バルブ212fおよびMFC(Mass Flow Controller)211fを介して、第4ガス供給源210fに接続されている。第4ガス供給源210fからは、例えば不活性ガスとして、希ガスのArガスが供給され、SiCエピタキシャル膜の成長に寄与する反応ガスが、反応管42と断熱材54との間に進入するのを防止している。これにより、反応管42の内壁や断熱材54の外壁に不要な生成物が付着せず、装置のメンテナンス周期を延ばせるようにしている。なお、反応管42と断熱材54との間に供給された不活性ガス(Arガス等)は、第2ガス排気口390,ガス排気管230およびAPCバルブ214を介して、真空排気装置220から外部に排気される。
【0044】
<反応ガス供給系の構成>
次に、図4を用いて、第1ガス供給系および第2ガス供給系について説明する。図4(a)は、Si原子含有ガスとC(炭素)原子含有ガスとを異なるガス供給ノズルから供給するセパレート方式を示し、図4(b)は、Si原子含有ガスとC原子含有ガスとを同じガス供給ノズルから供給するプレミックス方式を示している。
【0045】
まず、セパレート方式について説明する。図4(a)に示すように、セパレート方式では、第1ガスライン222は、バルブ212a,212b,212cおよびMFC(流量制御手段)211a,211b,211cを介して、第1ガス供給源210a,第2ガス供給源210b,第3ガス供給源210cに接続されている。第1ガス供給源210aからはSiHガスが、第2ガス供給源210bからはHClガスが、第3ガス供給源210cからは不活性ガスがそれぞれ供給される。
【0046】
これにより、SiHガス,HClガス,不活性ガスのそれぞれの供給流量,濃度,分圧,供給タイミングを、反応室44内に対して制御可能となっている。バルブ212a〜212cおよびMFC211a〜211cは、コントローラ152のガス流量制御部78(図6参照)に電気的に接続されている。ガス流量制御部78は、供給すべきそれぞれのガスの流量を所定流量とするよう、所定のタイミングで制御するようになっている。ここで、SiHガス(成膜ガス),HClガス(エッチングガス),不活性ガスをそれぞれ供給するガス供給源210a〜210c,バルブ212a〜212c,MFC211a〜211c,第1ガスライン222,第1ガス供給ノズル60および各第1ガス供給口68によって、第1ガス供給系を構成している。
【0047】
第2ガスライン260は、バルブ212d,212eおよびMFC211d,211eを介して、第5ガス供給源210d,第6ガス供給源210eに接続されている。第5ガス供給源210dからは、C原子含有ガスとして、例えばCガス(成膜ガス)が、第6ガス供給源210eからは、還元ガスとして、例えばHガスがそれぞれ供給される。
【0048】
これにより、Cガス,Hガスのそれぞれの供給流量,濃度,分圧,供給タイミングを、反応室44内に対して制御可能となっている。バルブ212d,212eおよびMFC211d,211eは、コントローラ152のガス流量制御部78(図6参照)に電気的に接続されている。ガス流量制御部78は、供給すべきそれぞれのガスの流量を所定流量とするよう、所定のタイミングで制御するようになっている。ここで、Cガス,Hガスをそれぞれ供給するガス供給源210d,210e,バルブ212d,212e,MFC211d,211e,第2ガスライン260,第2ガス供給ノズル70および第2ガス供給口72によって、第2ガス供給系を構成している。
【0049】
このようにセパレート方式においては、Si原子含有ガスとC原子含有ガスとを異なるガス供給ノズルから供給することにより、ガス供給ノズル内においてSiC膜が成膜されないよう(堆積しないよう)にしている。なお、Si原子含有ガスおよびC原子含有ガスの濃度や流速を調整する場合には、それぞれ適切なキャリアガスを供給すれば良い。
【0050】
また、Si原子含有ガスをより効率的に使用するために、還元ガスとしてHガスを用い、当該HガスをC原子含有ガスとともに第2ガス供給ノズル70から供給している。これにより、反応室44内において、HガスおよびC原子含有ガスをSi原子含有ガスと混合させてHガスを少ない状態とし、その結果、Si原子含有ガスの分解を成膜時と比較して抑制している。よって、第1ガス供給ノズル60内でのSi膜の成膜(堆積)を抑制している。この場合、HガスをC原子含有ガスのキャリアガスとして用いることができる。なお、Si原子含有ガスのキャリアガスとしては、Arガスのような不活性ガス(特に希ガス)を用いることで、Si膜の堆積を抑制することができる。
【0051】
さらに、第1ガス供給ノズル60からは、塩素原子含有ガスとしてHClガスを供給するようにしている。これにより、Si原子含有ガスが熱により分解され、第1ガス供給ノズル60内に堆積し得る状態となったとしても、HClガスによりエッチングモードとなり、その結果、第1ガス供給ノズル60内でのSi膜の成膜(堆積)を抑制している。なお、HClガスには堆積してしまったSi膜をエッチングする効果もあるため、第1ガス供給口68が閉塞するのを効果的に抑制することもできる。
【0052】
次に、図4(b)に示すプレミックス方式について説明する。プレミックス方式のセパレート方式と異なる点は、C原子含有ガスのガス供給源210dを、MFC211d,バルブ212dを介して第1ガスライン222に接続した点である。これにより、Si原子含有ガスとC原子含有ガスとを、第1ガスライン222内で予め混合しておくことができる。よって、上述したセパレート方式に比して反応ガスの混合効率を高めることができ、ひいては成膜時間の短縮等を図ることが可能となる。
【0053】
この場合、第2ガスライン260を介して第2ガス供給ノズル70から、Hガスを単独で供給することができるので、HClガスとHガスとの比(Cl/H)を大きくすることができ、ひいては第1ガス供給ノズル60におけるエッチング効果の方を大きくして、Si原子含有ガスの反応を抑制することができる。このように、プレミックス方式であっても、ある程度、第1ガス供給ノズル60におけるSiC膜の成膜(堆積)を抑制することができる。
【0054】
なお、上述においては、SiCエピタキシャル膜を成膜する際に使用する塩素原子含有ガス(エッチングガス)として、HClガスを使用しているが、これに限らず、Clガス(塩素ガス)等を使用しても良い。
【0055】
また、上述においては、SiCエピタキシャル膜を成膜する際に、Si(シリコン)原子含有ガスとCl(塩素)原子含有ガスとを別々に供給しているが、これに限らず、Si原子とCl原子とを含むガス、例えば、テトラクロロシラン(SiCl)ガス,トリクロロシラン(SiHCl)ガス,ジクロロシラン(SiHCl)ガス等を供給しても良い。これらのSi原子とCl原子とを含むガスは、Si原子含有ガス、または、Si原子含有ガスおよびCl原子含有ガスの混合ガスであるとも言える。特に、SiClガスは、熱分解される温度が比較的高温であるため、第1ガス供給ノズル60内でのSi原子の消費を抑制するという観点から優れている。
【0056】
さらに、上述においては、C(炭素)原子含有ガスとして、Cガスを使用しているが、これに限らず、エチレン(C)ガス,アセチレン(C)ガス等を使用しても良い。
【0057】
また、上述においては、還元ガスとして、Hガスを使用しているが、これに限らず、他のH(水素)原子含有ガスを使用しても良い。さらに、キャリアガスとしては、Ar(アルゴン)ガス,He(ヘリウム)ガス,Ne(ネオン)ガス,Kr(クリプトン)ガス,Xe(キセノン)ガス等の希ガスのうちの少なくとも1つを使用しても良いし、これらの希ガスを任意に組み合わせた混合ガスを使用しても良い。
【0058】
<処理炉の周辺の構成>
次に、図5を用いて、処理炉40およびその周辺の構成について説明する。処理炉40の下方側には、当該処理炉40の開口部分である炉口144を気密に閉塞するシールキャップ(炉口蓋体)102が設けられている。シールキャップ102は、例えば、ステンレス等の金属材料により略円盤状に形成されている。シールキャップ102と処理炉40の天板126との間には、両者間をシールするシール部材としてのOリング(図示せず)が設けられ、これにより処理炉40内を気密に保持できるようにしている。
【0059】
シールキャップ102には回転機構104が設けられ、当該回転機構104の回転軸106は、シールキャップ102を貫通してボート断熱部34に連結されている。そして、回転機構104を回転駆動することにより、回転軸106を介して処理炉40内でボート30が回転し、これに伴いウェーハ14も回転するようになっている。
【0060】
シールキャップ102は、処理炉40の外側に設けられた昇降モータ(昇降機構)Mによって垂直方向(上下方向)に昇降されるよう構成され、これによりボート30を処理炉40に対して搬入搬出できるようになっている。回転機構104および昇降モータMには、コントローラ152の駆動制御部108(図6参照)が電気的に接続されている。駆動制御部108は、回転機構104および昇降モータMを、所定の動作をするよう所定のタイミングにて制御するようになっている。
【0061】
処理炉40の下方側には、予備室としてのロードロック室LRが設けられ、当該ロードロック室LRの外側には下基板LPが設けられている。下基板LPには、昇降台114を摺動自在に支持するガイドシャフト116の基端部が固定され、また、昇降台114と螺合するボール螺子118の基端部が回転自在に支持されている。また、ガイドシャフト116の先端部およびボール螺子118の先端部には、上基板UPが装着されている。ボール螺子118は上基板UPに搭載された昇降モータMにより回転駆動され、昇降台114はボール螺子118の回転駆動により昇降するようになっている。
【0062】
昇降台114には、中空パイプ状の昇降シャフト124が垂下するよう固定され、昇降台114と昇降シャフト124との連結部分は気密となっている。これにより、昇降シャフト124は、昇降台114とともに昇降するようになっている。昇降シャフト124は、ロードロック室LRの上方側の天板126に設けられた貫通孔126aを、所定の隙間を持って貫通している。つまり、昇降シャフト124が昇降する際に、当該昇降シャフト124は天板126に接触することが無い。
【0063】
ロードロック室LRと昇降台114との間には、昇降シャフト124の周囲を覆うよう伸縮性を有するベローズ(中空伸縮体)128が設けられ、当該ベローズ128によりロードロック室LRは気密に保持されている。なお、ベローズ128は、昇降台114の昇降量に対応し得る充分な伸縮量を備え、ベローズ128の内径は昇降シャフト124の外径に比べて充分に大きくなっている。これにより、ベローズ128は、その伸縮時において、昇降シャフト124と接触すること無くスムーズに伸縮することができる。
【0064】
昇降シャフト124の下方側には、昇降基板130が水平に固定され、当該昇降基板130の下方側には、Oリング等のシール部材(図示せず)を介して駆動部カバー132が気密に取り付けられている。昇降基板130および駆動部カバー132は、駆動部収納ケース134を構成しており、これにより、駆動部収納ケース134内の雰囲気とロードロック室LR内の雰囲気とを隔離している。
【0065】
駆動部収納ケース134の内部には、ボート30を回転駆動する回転機構104が設けられ、当該回転機構104の周辺は、水冷構造の冷却機構135により冷却されるようになっている。
【0066】
回転機構104には電力ケーブル138が電気的に接続されており、当該電力ケーブル138は、昇降シャフト124の上方側から中空部を通って、回転機構104に導かれている。また、冷却機構135およびシールキャップ102には、冷却水流路140がそれぞれ形成されており、これらの冷却水流路140には、それぞれ冷却水配管142が接続されている。各冷却水配管142は、昇降シャフト124の上方側から中空部を通って、各冷却水流路140に導かれている。
【0067】
コントローラ152の駆動制御部108により昇降モータMを回転駆動させることで、ボール螺子118が回転し、これにより昇降台114および昇降シャフト124が昇降し、ひいては駆動部収納ケース134が昇降する。そして、駆動部収納ケース134を上昇させることで、昇降基板130に気密に設けたシールキャップ102が処理炉40の開口部である炉口144を密閉し、これによりウェーハ14を熱処理できる状態となる。また、駆動部収納ケース134を下降させることで、シールキャップ102とともにボート30が降下して、ウェーハ14を処理炉40の外部に搬出できる状態となる。
【0068】
図6に示すように、SiCエピタキシャル膜を成膜する半導体製造装置10を制御するコントローラ152は、温度制御部52,ガス流量制御部78,圧力制御部98および駆動制御部108を備えている。これらの温度制御部52,ガス流量制御部78,圧力制御部98および駆動制御部108は、操作部および入出力部を構成し、半導体製造装置10の全体を制御する主制御部150に電気的に接続されている。
【0069】
<ウェーハの積層構造>
次に、ウェーハ14のボート30への積層構造について、図面を用いて詳細に説明する。図7はウェーハをウェーハホルダに保持させた状態を示す断面図を、図8はウェーハおよびウェーハホルダを示す斜視図をそれぞれ表している。
【0070】
ボート30は、複数のウェーハ14を水平状態で支持する3本のボート柱、つまり第1ボート柱31a,第2ボート柱31bおよび第3ボート柱31cを備えている。各ボート柱31a〜31cは、何れもSiC等の耐熱材料により形成され、これらは互いに上板部材および下板部材(何れも図示せず)を介して一体に組み付けられている。
【0071】
各ボート柱31a〜31cは、何れも同じ形状に形成され、ボート30を組み立てた状態のもとで、各ボート柱31a〜31cが対向する側には、切り欠きよりなる複数のホルダ保持部HSが設けられている。各ホルダ保持部HSは、ウェーハ14を搭載したウェーハホルダ100の外周側を取り外し可能に保持するもので、各ボート柱31a〜31cの長手方向に沿って所定間隔で、例えば30段設けられている。つまり、ボート30は、30枚のウェーハ14を、それぞれウェーハホルダ100を介して水平状態でかつ互いに中心を揃えた状態のもとで、縦方向に積層保持するよう構成されている。
【0072】
第1ボート柱31aおよび第2ボート柱31bは、ウェーハ14の周方向に沿って90度間隔となるよう配置されている。また、第2ボート柱31bおよび第3ボート柱31cは、ウェーハ14の周方向に沿って180度間隔となるよう配置されている。つまり、第1ボート柱31aと第2ボート柱31bとの間隔は、第2ボート柱31bと第3ボート柱31cとの間隔よりも狭くなっている。なお、第1ボート柱31aおよび第3ボート柱31cは、第1ボート柱31aおよび第2ボート柱31bの関係と同様に、ウェーハ14の周方向に沿って90度間隔となっている。各ボート柱31a〜31cの間隔のうちの最も広く開口した開口部分、つまり第2ボート柱31bと第3ボート柱31cとの間の開口部分は、ウェーハ14を保持したウェーハホルダ100を移載するための開口部(搬入搬出部)となっている。
【0073】
ウェーハ14を搭載するウェーハホルダ100は、図8に示すように円盤状に形成され、当該ウェーハホルダ100は、円環状のホルダベース(基板ホルダ)110および円盤状のホルダカバー120を備えている。ここで、ホルダベース110およびホルダカバー120においても、何れもSiC等の耐熱材料によりそれぞれ形成されている。
【0074】
ウェーハホルダ100を構成するホルダベース110の外径寸法は、ウェーハ14の外形寸法よりも大きい外径寸法に設定されている。ホルダベース110の中央部分には、ホルダベース110を軸方向に貫通する貫通穴110aが設けられ、当該貫通穴110aの内周縁には環状段差部111が形成されている。この環状段差部111は、ウェーハ14を保持するようになっている。
【0075】
このように、ホルダベース110の環状段差部111にウェーハ14を保持させることで、ホルダベース110の中央部分にウェーハ14を精度良く位置決め(搭載)することができ、さらには図7に示すように、各ボート柱31a〜31cとウェーハ14とを遠ざけることができる。また、ウェーハ14を環状段差部111に保持させることで、ウェーハ14の成膜面となる下面14aを反応室44内の雰囲気に曝すことができる。
【0076】
ウェーハホルダ100をボート30に移載した状態のもとで、ホルダベース110の本体部112における各ボート柱31a〜31cに対応する部分には、本体部112の厚み方向、つまりウェーハホルダ100の軸方向に沿うよう貫通した3つの連通穴、つまり第1連通穴112a,第2連通穴112b,第3連通穴112cがそれぞれ設けられている。
【0077】
また、本体部112の周方向に沿う第1連通穴112aの近傍には、円弧形状に形成されたノッチ部112eが形成されている。ノッチ部112eは、後述する異径基板用アタッチメント400のホルダ位置決め棒406に突き合わせられるものであり、これにより、異径基板用アタッチメント400に対するウェーハホルダ100の位置決めを精度良く行えるようにしている。よって、基板移載機28のアーム32(図1参照)を動作させて、異径基板用アタッチメント400からボート30にウェーハホルダ100(ウェーハ14)を移載する際に、各連通穴112a〜112cを各ボート柱31a〜31cに対して位置ズレすること無く確実に対向させることができる。
【0078】
各連通穴112a〜112cは、いずれも各ボート柱31a〜31cによる反応ガスの消費を考慮して設けている。つまり、ウェーハ14に反応ガスを供給する際、ボート30の回転に伴って各ボート柱31a〜31cにも反応ガスが供給されて、各ボート柱31a〜31cも成膜されることになる。したがって、ウェーハ14に到達する前に反応ガスが消費されるのを抑制するために、反応ガスを消費しない空間として各連通穴112a〜112cを設けている。これにより、ウェーハ14の下面14aに膜厚が均一となるよう成膜することができる。
【0079】
ホルダカバー120は、大径本体部121と小径嵌合部122とを備えており、小径嵌合部122は、ホルダベース110の環状段差部111に入り込んで装着されるようになっている。これにより、ホルダベース110に対するホルダカバー120のがたつきを抑制している。小径嵌合部122は、環状段差部111との間でウェーハ14を挟み、ウェーハ14の成膜面である下面14aとは反対側の上面(非成膜面)14bと接触している。このように、ホルダカバー120は、ウェーハ14の上面14bを覆うことで上面14bが成膜されないようにするとともに、ウェーハ14の上方側から落下してくるパーティクル(微細ゴミ)からウェーハ14を保護するようになっている。
【0080】
<ポッドおよび異径基板用アタッチメントの構造>
次に、ポッド16および当該ポッド16に用いられる異径基板用アタッチメント400の構造について、図面を用いて詳細に説明する。図9(a),(b)はポッドの外観形状を示す斜視図を、図10は第1実施の形態に係る異径基板用アタッチメントをポッドに格納した状態を示す断面図を、図11は図10の破線円A部分を拡大して示す拡大断面図を、図12は図10の異径基板用アタッチメントを示す斜視図を、図13(a),(b)は図10の異径基板用アタッチメントの動作状態を説明する説明図をそれぞれ表している。
【0081】
基板収容器としてのポッド16は、図示しない8インチ(約20cm)ウェーハ(第1サイズの基板)を格納し得る8インチウェーハ専用のポッドであり、このポッド16は、例えばパーティクルを発生しないプラスチック材料等によって、側部16bが開口した中空形状に形成されている。ポッド16の側部16bには、図13に示すように開口段差部16cが設けられ、この開口段差部16cには、蓋16aに設けた嵌合凸部16dが嵌合するようになっている。これにより、側部16bは蓋16aにより開閉自在となっている。なお、開口段差部16cと嵌合凸部16dとの間には、Oリング等のシール部材(図示せず)が設けられ、これによりポッド16の内部を真空状態等に密閉できるようにしている。
【0082】
図10に示すように、ポッド16の内部には、開口側(紙面手前側)から底側(紙面奥側)に延在する複数の第1支持溝16eが設けられている。各第1支持溝16eは、8インチウェーハの外周部分を支持し得るもので、水平方向(図中前後方向)に延在し、垂直方向(図中上下方向)に等間隔で7つ設けられている。
【0083】
ポッド16の内部には、図12に示すような異径基板用アタッチメント400が格納されるようになっている。異径基板用アタッチメント400は、8インチウェーハ専用のポッド16に、例えば、それよりも小さい2インチ(約5cm)ウェーハ(第2サイズの基板)を格納可能とするアタッチメントであり、本実施の形態においては、ウェーハ14が2インチウェーハとなっている。
【0084】
異径基板用アタッチメント400は、円盤状に形成された上部板401と下部板402とを備えており、これらの上部板401および下部板402は、何れもポッド16と同じプラスチック材料等により形成されている。上部板401および下部板402は、何れも8インチサイズ(第1サイズ)となっており、ポッド16の各第1支持溝16eに支持されるようになっている。ここで、上部板401および下部板402は、何れも本発明における板状部材を構成している。
【0085】
上部板401と下部板402との間には、保持部材(保持柱)としての第1保持柱403a,第2保持柱403bおよび第3保持柱403cが設けられている。各保持柱403a〜403cは、何れもポッド16と同じプラスチック材料等により棒状に形成され、上端部が上部板401に下端部が下部板402に、ネジ等の締結手段(図示せず)を介してそれぞれ固定されている。各保持柱403a〜403cの長さ寸法は、上部板401が各第1支持溝16eのうちの最上段に、下部板402が各第1支持溝16eのうちの最下段にそれぞれ支持される長さ寸法に設定されている。なお、これらの保持部材(保持柱)は少なくとも3本設ければ良いが、異径基板用アタッチメントに必要とされる剛性に応じて、4本以上設けるようにしても良い。
【0086】
各保持柱403a〜403cには、切り欠きよりなる複数の第2支持溝404が形成され、各第2支持溝404は、各保持柱403a〜403cの向き合う側にそれぞれ向けられている。各第2支持溝404は、各保持柱403a〜403cの長手方向に沿うよう等間隔で6つ設けられている。各第2支持溝404は、ホルダ部材405を介して、第2サイズのウェーハ14を搭載したウェーハホルダ100(図7,8参照)を支持するようになっており、つまり、異径基板用アタッチメント400は、6枚のウェーハ14を格納可能となっている。また、各保持柱403a〜403cは、上部板401および下部板402の径方向に沿う各第1支持溝16eの内側に設けられている。このように、第1サイズの上部板401および下部板402に、第1サイズより小さい第2サイズのウェーハ14(若しくはウェーハホルダ100)を格納可能なように各保持柱403a〜403cを設けることにより、ポッド16の各第1支持溝16eの間隔に依らず、異径基板用アタッチメント400の保持可能枚数を設定することができる。
【0087】
各保持柱403a〜403cの各第2支持溝404には、ウェーハ14を搭載したウェーハホルダ100を支持するホルダ部材405が支持されている。各ホルダ部材405は、何れもポッド16と同じプラスチック材料等により一部切り欠いた円環状に形成され、各保持柱403a〜403cの各第2支持溝404に、ネジ等の締結手段(図示せず)により固定されている。ここで、図12においては、図示を分かり易くするために、一部のホルダ部材405(2つ)のみを記載している。
【0088】
図10に示すように、各ホルダ部材405の径方向内側には中心孔405aがそれぞれ設けられ、当該中心孔405aの内周縁には、ウェーハ14を搭載したウェーハホルダ100を支持する段差部405bが形成されている。これによりホルダ部材405の中心部分に、ウェーハ14を搭載したウェーハホルダ100を精度良く位置決めすることができる。また、各ホルダ部材405には、図12に示すように切り欠き部405cがそれぞれ設けられ、切り欠き部405cは、ホルダ部材405の径方向に沿って、ホルダ部材405の外周側と内周側(中心孔405a)とを連通している。これにより、基板移載機28のアーム32(図1参照)を、ウェーハ14を搭載したウェーハホルダ100に向けて導き易くし、ホルダ部材405から容易に取り出せるようにしている。ここで、ウェーハ14は、ウェーハホルダ100に保持された状態で、ウェーハホルダ100とともにホルダ部材405に移載され、かつ取り出される。このようにホルダ部材405を有することにより、異径基板用アタッチメント400自体を変更せずとも当該ホルダ部材405のみを変更することで様々なサイズに対応可能となる。特に上述の第1実施の形態のようにウェーハ14をウェーハホルダ100に搭載する場合、ウェーハホルダ100を変更した際に、異径基板用アタッチメント400全体を変更せずとも対応が可能となる。なお、ホルダ部材405は、必要に応じて設ければ良く、直接、第2支持溝404にウェーハ14またはウェーハホルダ100を搭載しても良い。
【0089】
各ホルダ部材405における中心孔405aの近傍には、図13に示すように、ホルダ位置決め棒406が設けられ、このホルダ位置決め棒406の上下端は、ネジ等の締結手段(図示せず)によって、上部板401および下部板402(図10参照)に固定されている。ホルダ位置決め棒406は、中心孔405aの第1保持柱403aに対応する部分、つまり、ウェーハ14を搭載したウェーハホルダ100の移載方向(図12,13の破線矢印M参照)に沿うポッド16の底側に設けられている。このようにホルダ位置決め棒406を有することにより、図8に示すような回転位置を定める必要があるウェーハホルダ100を用いても、ポッド16内で正確に回転位置を決めることができる。なお、ウェーハ14またはウェーハホルダ100の回転位置を決める必要が無い場合は、ホルダ位置決め棒406を設ける必要は無い。
【0090】
ホルダ位置決め棒406は、ポッド16内に格納される各ウェーハホルダ100の回転方向に対する位置を位置決めするもので、ホルダ位置決め棒406には、ウェーハホルダ100を形成するホルダベース110に設けたノッチ部112eが突き合わされるようになっている。これにより、各ウェーハホルダ100を、ポッド16内にセットした異径基板用アタッチメント400に対して、それぞれ精度良く位置決めすることができる。
【0091】
図10ないし図13に示すように、異径基板用アタッチメント400を形成する上部板401および下部板402には、両者を貫通するよう固定部材としての一対の伸縮自在な棒状部材407が設けられている。各棒状部材407はポッド16の側部16b側に配置され、異径基板用アタッチメント400をポッド16内の所定位置にセットして固定するようになっている。つまり、各棒状部材407は、上部板401および下部板402を、ポッド16の第1支持溝16eにそれぞれ固定するようになっている。
【0092】
各棒状部材407は何れも同じ形状に形成されている。棒状部材407は、上部板401と下部板402との間に延在する本体部407aと、上部板401側に設けられ、本体部407aに対してその長手方向に移動自在となった移動部407bと、移動部407bを本体部407aに対して離間する方向に付勢するコイルばね407cとを備えている。これにより、棒状部材407の長手方向に所定の負荷を付加しない場合(自然状態)には、棒状部材407はコイルばね407cのばね力により延びた状態となる。一方、棒状部材407の長手方向に所定の負荷を付加した場合には、棒状部材407はコイルばね407cのばね力に抗して縮んだ状態となる。
【0093】
これにより、各棒状部材407を縮めた状態のもとで異径基板用アタッチメント400をポッド16内にセットすることで、各棒状部材407はポッド16内で突っ張るようにして固定される。したがって、異径基板用アタッチメント400はポッド16内で強固に固定される。なお、固定部材としての棒状部材は、上述のような形態に限らず、例えば、端部に雌ねじ部を有する本体部と、端部に雄ねじ部を有する移動部とから構成して、両者をネジ結合させることで伸縮させるようにした棒状部材であっても良い。また、ポッド16側に各棒状部材407が嵌合する嵌合穴(図示せず)を設けることにより、異径基板用アタッチメント400をポッド16内でより強固に固定できる。
【0094】
図12および図13に示すように、異径基板用アタッチメント400およびポッド16には、ホルダ部材405およびウェーハホルダ100を介して各保持柱403a〜403cに保持されたウェーハ14を押さえる押圧部材408が設けられている。押圧部材408は、ホルダベース110をその径方向から押さえて、ホルダ位置決め棒406にノッチ部112eを突き合わせるようになっている。これにより、ポッド16の内部でウェーハ14を安定的に保持でき、さらにはウェーハホルダ100のポッド16に対する回転方向への位置決め精度を向上させることができる。
【0095】
押圧部材408は、ポッド16に設けられる一対の第1押圧ユニット409と、異径基板用アタッチメント400の上部板401および下部板402に設けられる一対の第2押圧ユニット410とを備えている。なお、図12においては、図示を分かり易くするために、一方の第2押圧ユニット410のみを破線で記載している。
【0096】
第1押圧ユニット409は、ポッド16の蓋16aが開閉することで移動する移動板409aを備えている。この移動板409aは、蓋16aを閉じることで第1ばね409bのばね力に抗して前進し、蓋16aを開けることで第1ばね409bのばね力により後進するようになっている。
【0097】
第2押圧ユニット410は、第1押圧ユニット409の移動板409aの移動に伴って移動するリテーナ410aを備えている。このリテーナ410aは、移動板409aが前進する(蓋16aを閉じる)ことで第2ばね410bのばね力に抗して前進し、移動板409aが後進する(蓋16aを開ける)ことで第2ばね410bのばね力により後進するようになっている。そして、蓋16aを閉じてリテーナ410aを前進させることにより、リテーナ410aはホルダベース110を押さえ付ける。一方、蓋16aを開けてリテーナ410aを後進させることにより、リテーナ410aはホルダベース110から離間する。リテーナ410aがホルダベース110から離間すると、図13(b)の破線矢印Mに示すように、ウェーハ14を搭載したウェーハホルダ100を異径基板用アタッチメント400に対して出し入れ可能、つまりウェーハ14をポッド16に対して出し入れ可能となる。
【0098】
<SiCエピタキシャル膜の成膜方法>
次に、上述した半導体製造装置10を用い、半導体デバイスの製造工程の一工程として、SiC等で構成されるウェーハ14等の基板上に、例えば、SiCエピタキシャル膜を成膜する基板の製造方法(処理方法)について説明する。なお、以下の説明における半導体製造装置10を構成する各部分の動作は、コントローラ152によって制御される。
【0099】
まず、図10に示すように、ポッド16および異径基板用アタッチメント400を準備する。次いで、ポッド16の側部16bからその内部に、異径基板用アタッチメント400を格納する。このとき、上部板401を各第1支持溝16eのうちの最上段に、下部板402を各第1支持溝16eのうちの最下段にそれぞれ支持されるように格納する。そして、各棒状部材407によって、異径基板用アタッチメント400をポッド16内に固定する(アタッチメント固定工程)。なお、アタッチメント固定工程は、図示しない自動装置(ロボット等)により行っても良いし、作業者の手作業により行っても良い。
【0100】
次に、ポッド16内に固定された異径基板用アタッチメント400の各ホルダ部材405に、ウェーハ14を搭載したウェーハホルダ100を順次移載していく。このとき、ホルダベース110のノッチ部112eを、異径基板用アタッチメント400のホルダ位置決め棒406に突き合わせるようにする。これにより、ウェーハ14を搭載したウェーハホルダ100の異径基板用アタッチメント400に対する回転位置が位置決めされる。次いで、図13に示すように、ポッド16の側部16bに向けて蓋16aを臨ませると、嵌合凸部16dが開口段差部16cに嵌合されていく。これに伴い、嵌合凸部16dが各第1押圧ユニット409を動作させて各移動板409aが前進する。また、各移動板409aの前進に伴い、第2押圧ユニット410が動作し、各リテーナ410aが前進してホルダベース110を押さえる。このように蓋16aでポッド16の側部16bを閉じることで、ポッド16内が密閉され、かつウェーハホルダ100が安定的に支持される。これにより、ポッド16へのウェーハ14およびウェーハホルダ100の格納(セット)が完了する(基板セット工程)。なお、ポッド16の密閉時には、例えば、図示しない真空ポンプ等によりポッド16内を真空とし、かつポッド16内にパーティクルが無い状態としている。また、当該基板セット工程においても、図示しない自動装置(ロボット等)により行っても良いし、作業者の手作業により行っても良い。
【0101】
次に、基板セット工程を経た複数のポッド16を、図1に示すように、作業者により牽引される台車CTに搭載し、各ポッド16を半導体製造装置10のポッドステージ18に搬送する。その後、作業者により各ポッド16をそれぞれポッドステージ18上にセットし、これにより第1基板搬送工程が完了する。なお、当該第1基板搬送工程においては、例えば、自走式の台車(自動搬送装置)に複数のポッド16を搭載し、かつ自動的にポッドステージ18上にセットされるようにしても良い。
【0102】
次に、第1基板搬送工程が完了すると、ポッド搬送装置20が動作し、ポッド16がポッドステージ18からポッド収納棚22へ搬送されてストックされる。次に、ポッド搬送装置20により、ポッド収納棚22にストックされたポッド16をポッドオープナ24に搬送してセットし、当該ポッドオープナ24によりポッド16の蓋16aが開かれて、基板枚数検知器26によりポッド16に収納されているウェーハ14(ウェーハホルダ100)の枚数を検知する。その後、基板移載機28の動作により、ポッドオープナ24の位置にあるポッド16からウェーハ14を搭載したウェーハホルダ100を取り出し、次々とボート30に移載していく(第2基板搬送工程)。
【0103】
複数枚のウェーハ14がボート30に装填されて積層されると、各ウェーハ14を保持したボート30は、昇降モータMの回転駆動による昇降台114および昇降シャフト124の昇降動作により反応室44内に搬送、つまりボートローディングされる。ボート30が反応室44内に完全に搬送されると、シールキャップ102は反応室44をシールした状態となり、これにより反応室44の気密が保持されて第3基板搬送工程(ボートローディング工程)が完了する。
【0104】
ボート30を反応室44に搬入した後、反応室44の内部圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気装置220が駆動され、反応室44が真空排気(真空引き)される。この時、反応室44の内部圧力は、圧力センサによって測定され、測定された圧力に基づいて第1ガス排気口90および第2ガス排気口390に連通するAPCバルブ214がフィードバック制御される。
【0105】
また、ウェーハ14の温度および反応室44の内部温度を所定の温度とするよう、誘導コイル50が通電され、これにより加熱体48が加熱される。この時、反応室44の内部温度が所定の温度分布(例えば均一温度分布)となるよう、温度センサが検出した温度情報に基づいて誘導コイル50への通電具合をフィードバック制御する。続いて、回転機構104によりボート30が回転駆動されて、これにより各ウェーハ14も反応室44の内部で回転される。
【0106】
その後、MFC211a,211bおよびバルブ212a,212bを制御し、これにより、SiCエピタキシャル膜の成膜に寄与するSi原子含有ガス(成膜ガス)およびCl原子含有ガス(エッチングガス)を、各ガス供給源210a,210bから供給する。すると、第1ガス供給ノズル60の各第1ガス供給口68から、反応室44内の各ウェーハ14に向けて反応ガスが噴射される。
【0107】
また、C原子含有ガスおよび還元ガスであるHガスを、所定の流量となるよう対応するMFC211d,211eの開度を制御した後、バルブ212d,212eを制御する。すると、それぞれの反応ガスが第2ガスライン260を流通するようになる。これにより、第2ガス供給ノズル70の各第2ガス供給口72から、反応室44内の各ウェーハ14に向けて反応ガスが噴射される。
【0108】
各第1ガス供給口68および各第2ガス供給口72から噴射された反応ガスは、反応室44内の加熱体48の内周側を流れて、第1ガス排気口90からガス排気管230を介して外部に排気される。各第1ガス供給口68および第2ガス供給口72より供給された反応ガスは、それぞれ噴射直後に混合され、反応室44内を通過する際にSiC等で構成される各ウェーハ14と接触し、これにより各ウェーハ14の表面上に、SiCエピタキシャル膜が成膜されていく。
【0109】
また、MFC211fおよびバルブ212fが制御され、第4ガス供給源210fからの不活性ガスとしてのArガス(希ガス)が所定の流量となるよう調整され、第3ガスライン240および第3ガス供給口360を介して、断熱材54と反応管42との間に供給される。第3ガス供給口360から供給されたArガスは、断熱材54と反応管42との間を流れて、第2ガス排気口390から排気される。その後、上述のように反応ガスを各ウェーハ14に曝して、予め設定された時間が経過すると、各反応ガスの供給制御が停止される。ここまでの一連の工程、つまり反応ガスの供給により各ウェーハ14の表面上にSiCエピタキシャル膜を成膜する工程が、本発明における基板処理工程を構成している。
【0110】
次いで、図示しない不活性ガス供給源から不活性ガスが供給され、反応室44内の加熱体48の内側の空間が不活性ガスで置換され、さらに反応室44の内部圧力が常圧に復帰される。
【0111】
反応室44内が常圧に復帰した後、昇降モータMの回転駆動によりシールキャップ102が下降し、処理炉40の炉口144が開口される。これに伴い、熱処理済み(成膜処理済み)の各ウェーハ14が、ウェーハホルダ100を介してボート30に保持された状態でマニホールド36の下方側から反応管42の外部に搬出、つまりボートアンローディングされる。ボート30に保持された各ウェーハ14は、冷えるまでロードロック室LRの内部で待機状態となる。
【0112】
その後、各ウェーハ14が所定の温度にまで冷却されると、基板移載機28の動作により、各ウェーハ14を搭載した各ウェーハホルダ100がボート30から取り出される。次いで、ポッドオープナ24にセットされている空のポッド16内にある異径基板用アタッチメント400に搬送されて移載される。その後、ポッド搬送装置20の動作により、各ウェーハ14を格納したポッド16が、ポッド収納棚22またはポッドステージ18に搬送される。このようにして、半導体製造装置10の一連の動作が完了する。
【0113】
<第1実施の形態の代表的効果>
第1実施の形態で説明した技術的思想によれば、少なくとも、以下に記載する複数の効果のうち、1つ以上の効果を奏する。
【0114】
(1)第1実施の形態によれば、8インチ(第1サイズ)ウェーハを支持し得る第1支持溝16eに支持される上部板401および下部板402と、これらの上部板401および下部板402に設けられ、第1サイズよりも小さい2インチ(第2サイズ)ウェーハであるウェーハ14(必要に応じて、ウェーハホルダ100およびホルダ部材405を介して)を支持し得る第2支持溝404を有する各保持柱403a〜403cとを備えている。これにより、第1サイズのウェーハに対応したポッド16に、サイズダウンした第2サイズのウェーハ14を格納可能となり、搬送系であるポッド16を共通化して半導体製造装置10のコストを削減できる。また、処理すべきウェーハ14のサイズと比較して大きいサイズの処理炉40を用いることができるため、各ガス供給ノズル60,70から各ウェーハ14までを遠ざけることができ、各ウェーハ14に到達する前に反応ガスを充分に混合させておくことができ、各ウェーハ14への成膜精度を向上させることができる。
【0115】
(2)第1実施の形態によれば、各保持柱403a〜403cの上端部に上部板401を、各保持柱403a〜403cの下端部に下部板402を設け、各保持柱403a〜403cを、上部板401および下部板402の径方向に沿う第1支持溝16eの内側に設けている。これにより、各保持柱403a〜403cをコンパクトにすることができ、異径基板用アタッチメント400を格納したポッド16を軽量化することができる。また、第2支持溝404同士の間隔を第1支持溝16e同士の間隔に依らず任意に設定することができる。さらに、異径基板用アタッチメント400とポッド16との接触部分を、上部板401と第1支持溝16eおよび下部板402と第1支持溝16eにできるため、異径基板用アタッチメント400およびポッド16にはそれほど高い加工精度を必要としない。よって、半導体製造装置10のコストをより削減できる。
【0116】
(3)第1実施の形態によれば、上部板401および下部板402に一対の棒状部材407を設け、各棒状部材407により第1支持溝16eを有するポッド16に上部板401および下部板402を固定したので、ポッド16の搬送時等において、ポッド16内で異径基板用アタッチメント400ががたつくのを防止できる。この場合、ポッド16に各棒状部材407と嵌合する嵌合穴を設けることで、異径基板用アタッチメント400をポッド16に確実に固定できる。
【0117】
(4)第1実施の形態によれば、各棒状部材407を伸縮自在とし、かつ上部板401および下部板402を貫通するよう設けたので、ポッド16内の規定の位置に精度良く異径基板用アタッチメント400を固定することができる。
【0118】
(5)第1実施の形態によれば、少なくとも3本の保持柱403a〜403cを設け、各保持柱403a〜403cの向き合う側に第2支持溝404を設けたので、保持柱の数を必要最小限としつつ、第2支持溝404によって各保持柱403a〜403cを軽くできる。よって、異径基板用アタッチメント400を軽量化することができる。
【0119】
(6)第1実施の形態によれば、各保持柱403a〜403cの第2支持溝404に支持され、ウェーハ14を支持する段差部405bを有するホルダ部材405を設けたので、段差部405bの直径寸法を変更、例えば、2インチから4インチに変更することで、種々の直径寸法のウェーハに容易に対応することが可能となる。
【0120】
(7)第1実施の形態によれば、ウェーハ14をホルダベース110に保持させた状態で、ホルダベース110をホルダ部材405に支持させたので、ウェーハ14とホルダ部材405との間にあるホルダベース110を、例えば、反応ガスの流れ具合等(成膜具合等)を考慮して、任意の形状に変更することができる。
【0121】
(8)第1実施の形態によれば、ウェーハ14は、当該ウェーハ14の処理時に用いるボート30の各ボート柱31a〜31cに対応した各連通穴112a〜112cと、各ボート柱31a〜31cに対する位置決めのためのノッチ部112eとを有するホルダベース110に保持された状態で、第1支持溝16eを有するポッド16に格納され、上部板401および下部板402はホルダ位置決め棒406を備え、ノッチ部112eとホルダ位置決め棒406とを突き合わせることで、ホルダベース110をポッド16に対して位置決めしている。これにより、ボート30に対してホルダベース110を精度良く位置決めして、ウェーハ14に到達する反応ガスの濃度をウェーハ14の下面14aの略全域で均一にできる。
【0122】
(9)第1実施の形態によれば、各保持柱403a〜403cに支持されたウェーハ14を押さえる押圧部材408を設けたので、ホルダベース110を介してウェーハ14を固定することができ、ポッド16の搬送時におけるウェーハ14のがたつきを防止できる。
【0123】
(10)第1実施の形態で説明した異径基板用アタッチメント400を有する半導体製造装置10を、半導体装置の製造方法における基板の処理工程において用いることにより、半導体装置の製造方法において、上述した複数の効果のうち、1つ以上の効果を奏する。
【0124】
(11)第1実施の形態で説明した異径基板用アタッチメント400を有する半導体製造装置10を、SiCエピタキシャル膜を形成する基板の製造方法における基板の処理工程において用いることにより、SiCエピタキシャル膜を形成する基板の製造方法において、上述した複数の効果のうち、1つ以上の効果を奏する。
【0125】
[第2実施の形態]
次に、本発明の第2実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、上述した第1実施の形態と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0126】
図14(a),(b)は第2実施の形態に係る異径基板用アタッチメントの構造を示す図13に対応した図を表している。
【0127】
第2実施の形態に係る異径基板用アタッチメント500は、図14(a)に示すように、ウェーハ14を搭載したウェーハホルダ100を、ポッド16の側部16b側に距離Lの分、オフセット(偏心)させた点が異なっている。つまり、ウェーハ14の中心位置を、仮に8インチ(第1サイズ)ウェーハを第1支持溝16eに支持させた場合の8インチウェーハの中心位置よりも、ポッド16の蓋16a側に位置させている。これに伴い、異径基板用アタッチメント500においては、第2押圧ユニット410(図13参照)を省略している。また、ポッド16に設けていた第1押圧ユニット409(図13参照)に換えて、蓋16aの嵌合凸部16dに一対のばね部材(押圧部材)501を設けた点が異なっている。
【0128】
各ばね部材501は、パーティクルを発生しない硬質プラスチック等の弾性材料によって、複数回屈曲された段付き板状に形成され、固定本体部502と先端部503とを備えている。各ばね部材501の各固定本体部502は、ネジ等の締結手段(図示せず)を介して嵌合凸部16dの略中央部分に固定されている。また、各ばね部材501の各先端部503は、ホルダベース110を押さえ付けるようになっている。
【0129】
これにより、蓋16aを閉じた状態においては、図14(a)に示すように、各ばね部材501の各先端部503がホルダベース110に当接してホルダベース110を押さえ付ける。一方、蓋16aを開けた状態においては、図14(b)に示すように、各ばね部材501の各先端部503がホルダベース110から離間して、破線矢印Mに示すように、ウェーハ14を搭載したウェーハホルダ100を、異径基板用アタッチメント500に対して出し入れ可能、つまりウェーハ14をポッド16に対して出し入れ可能となる。
【0130】
<第2実施の形態の代表的効果>
第2実施の形態で説明した技術的思想においても、上述した第1実施の形態と略同様の作用効果を奏することができる。これに加え、第2実施の形態においては、ホルダベース110における各ばね部材501の各先端部503が当接する部分を、上部板401および下部板402の外径部分と同じ位置にできるので、8インチ(第1サイズ)ウェーハ用のポッドおよび蓋をそのまま利用することができ、より共通化を図ることができる。また、第1実施の形態に比して押圧部材の構造を簡素化することができるので、半導体製造装置10のコストをより削減することができる。
【0131】
[第3実施の形態]
次に、本発明の第3実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、上述した各実施の形態と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0132】
図15は第3実施の形態に係る異径基板用アタッチメントの構造を示す図10に対応した図を、図16は図15の破線円B部分を拡大して示す拡大断面図を、図17(a),(b)は図15の異径基板用アタッチメントの動作状態を説明する説明図をそれぞれ表している。
【0133】
第3実施の形態に係る異径基板用アタッチメント600は、図15に示すように、ポッド16に設けた各第1支持溝16eのそれぞれに支持される板状部材601を備えている。各板状部材601は、何れも同じ形状に形成され、上述した各実施の形態におけるホルダ部材405(図10参照)と同様に、ウェーハ14の出し入れ側(図17中下方側)を切り欠いた円環状に形成されている。
【0134】
板状部材601の径方向内側には、ウェーハ14を搭載したウェーハホルダ100を支持する保持部材としての保持部602が一体に設けられている。また、保持部602の内周縁、つまり板状部材601の内周縁には、ウェーハ14を搭載したウェーハホルダ100を支持し得る第2支持溝603が設けられている。このように、第3実施の形態においては、本発明における板状部材,保持部材および第2支持溝を、円環状の一の板状部材601に一体化している。
【0135】
各板状部材601の間には、図16に示すように、雄ねじ部604aおよび雌ねじ部604bを備えた固定棒604が設けられている。各固定棒604は、異径基板用アタッチメント600の左右側に一対設けられ、各板状部材601を複数積層した状態でその間隔を一定に保持するようになっている。各固定棒604は、各板状部材601に形成したネジ貫通孔601aに雄ねじ部604aを貫通させ、その状態で隣り合う雌ねじ部604bにネジ結合させることで、各板状部材601の間隔を一定の間隔で保持できる。なお、各固定棒604の雄ねじ部604aおよび雌ねじ部604bを除く部分(本体部分)の長さ寸法は、隣り合う第1支持溝16eの間隔と同じ長さ寸法に設定され、これにより、異径基板用アタッチメント600をポッド16内に格納するだけで、各板状部材601は、対応する各第1支持溝16eにそれぞれ支持される。
【0136】
ここで、各固定棒604のうち図中最下段にある固定棒604は、雄ねじ部604aを備えておらず、ポッド16に当接するようになっている。また、各固定棒604の図中上方側には、固定部材605が設けられている。固定部材605は、異径基板用アタッチメント600をポッド16内で固定するもので、上述した各実施の形態における棒状部材407(図12参照)と同様に動作するようになっている。固定部材605は、雌ねじ部604bを備えない固定棒604と、当該固定棒604に対してその軸方向に移動自在な移動棒605aと、移動棒605aを固定棒604に対して離間する方向に付勢するコイルばね605bとを備えている。なお、固定部材605は、上述のような形態に限らず、例えば、雌ねじ部604bを有する固定棒604と、これにネジ結合される移動棒(図示せず)とから構成しても良い。
【0137】
図17に示すように、各板状部材601の略中心部分には、ホルダベース110に設けたノッチ部112eが突き合わされるホルダ位置決め棒606が貫通して設けられている。ホルダ位置決め棒606の上端部および下端部は、各板状部材601のうちの最上段および最下段にある各板状部材601に対して、ネジ等の締結手段(図示せず)により固定されている。このように、ホルダ位置決め棒606を各板状部材601の略中心部分に設けることで、第2実施の形態と同様に、ウェーハ14を搭載したウェーハホルダ100を、ポッド16の側部16b側にオフセットさせており、ポッド16の蓋16aを、8インチ(第1サイズ)ウェーハ用として共通化を図っている。ただし、第3実施の形態に係る異径基板用アタッチメント600においては、第1実施の形態と同様に、各板状部材601の中心とウェーハ14の中心とを一致させるようにし、第1押圧ユニット409および第2押圧ユニット410からなる押圧部材408(図13参照)を採用することもできる。
【0138】
各板状部材601の周方向に沿う各固定棒604の間で、かつホルダ位置決め棒606の背面側(図中上方側)には、各板状部材601の各固定棒604から離れた側を支持する支持棒607が設けられている。この支持棒607は、各固定棒604と同じ構成となっており、各固定棒604と協働して各板状部材601の間隔を一定の間隔で保持するようになっている。なお、支持棒607の両端側は、各板状部材601を越えてポッド16に当接しない構成となっており、これにより、異径基板用アタッチメント600をポッド16に対して容易に格納可能としている。
【0139】
<第3実施の形態の代表的効果>
第3実施の形態で説明した技術的思想においても、上述した各実施の形態と略同様の作用効果を奏することができる。これに加え、第3実施の形態においては、上述した各実施の形態に比して、保持部材としての保持柱を省略することができる。また、各板状部材601をポッド16の各第1支持溝16eにそれぞれ支持させたので、ウェーハ14のポッド16への格納枚数を増やすことができ、成膜処理の効率アップを図ることができる。
【0140】
[第4実施の形態]
次に、本発明の第4実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、上述した各実施の形態と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0141】
図18は第4実施の形態に係る異径基板用アタッチメントの構造を示す図10に対応した図を表している。
【0142】
第4実施の形態に係る異径基板用アタッチメント700は、図18に示すように、ポッド16に設けた第1支持溝16eの最上段とポッド16との間の空間に嵌合するような板状部材としての上部板701を備え、また、同様に第1支持溝16eの最下段と、最下段の1段上方にある第1支持溝16eとの間の空間に嵌合するような板状部材としての下部板702を備えている。
【0143】
ウェーハホルダの保持方法は、第2実施の形態(図14参照)と同様に、ウェーハ14を搭載したウェーハホルダ100をポッド16の側部16b側にオフセットさせて保持させる方法を採用しており、これによりポッド16の蓋16aを、8インチ(第1サイズ)ウェーハ用として共通化を図っている。また、上部板701および下部板702の形状は、図12に記載されているように円盤形状に限らず、例えば四角形形状をしていても良い。さらに、上部板701および下部板702を、上述したそれぞれの空間に嵌合させ易くするために、上部板701および下部板702の端部(外周部)に嵌合を案内するテーパを設けても良い。
【0144】
<第4実施の形態の代表的効果>
第4実施の形態で説明した技術的思想においても、上述した各実施の形態と略同様の作用効果を奏することができる。これに加え、第4実施の形態においては、上述した各実施の形態に比して、複雑な加工を必要とすることがないため、低コストで作成することができるとともに、簡易な構造で異径基板用アタッチメントを確実にポッドに固定することができる。また、ポッドに異径基板用アタッチメントを固定する手段として、ポッドとの嵌合を利用しているため、ポッドを何度も移動させることによる振動によって、異径基板用アタッチメントが振動することを防ぎ、ポッド内でのパーティクル等の発生を防止することができる。
【0145】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、本発明に係る異径基板用アタッチメントを、SiCエピタキシャル膜を成膜する成膜装置(基板処理装置)に適用したものを例示したが、ポッド16が格納できる径に対してその径が小さいウェーハを処理する他の形式の基板処理装置にも本発明における技術的思想を適用することができる。
【0146】
また、上記第1,第2実施の形態においては、ウェーハ14をウェーハホルダ100(ホルダベース110)およびホルダ部材405を介して保持部材としての各保持柱403a〜403cの第2支持溝404に支持させ、上記第3実施の形態においては、ウェーハ14をウェーハホルダ100(ホルダベース110)を介して板状部材601における保持部(保持部材)602の内周縁に設けた第2支持溝603に支持させている。しかしながら、本発明はこれに限らず、ウェーハ14を各保持柱403a〜403cの第2支持溝404に直接支持させても良いし、ウェーハ14を板状部材601の第2支持溝603に支持させても良い。
【0147】
本発明は少なくとも以下の実施の形態を含む。
【0148】
〔付記1〕
第1サイズの基板を支持し得る第1支持溝に支持される板状部材と、
前記板状部材に設けられ、前記第1サイズよりも小さい第2サイズの基板を支持し得る第2支持溝を有する保持部材と、
を備える異径基板用アタッチメント。
【0149】
〔付記2〕
前記板状部材は、前記保持部材の上端部に設けられた第1サイズの上部板と、前記保持部材の下端部に設けられた第1サイズの下部板とを有し、前記保持部材は、前記上部板と前記下部板との間で、かつ前記上部板および前記下部板の径方向に沿う前記第1支持溝の内側に設けられることを特徴とする付記1記載の異径基板用アタッチメント。
【0150】
〔付記3〕
前記板状部材を前記第2サイズの基板の出し入れ側を切り欠いた円環状に形成し、前記保持部材の前記第2支持溝を、前記板状部材の内周縁に設けることを特徴とする付記1記載の異径基板用アタッチメント。
【0151】
〔付記4〕
前記板状部材を複数積層し、前記各板状部材間にネジ部を備えた固定棒をそれぞれ配置し、前記各固定棒により前記各板状部材の間隔を一定に保持することを特徴とする付記3記載の異径基板用アタッチメント。
【0152】
〔付記5〕
前記板状部材に固定部材を設け、当該固定部材により前記第1支持溝を有する基板収容器に前記板状部材を固定することを特徴とする付記1〜4のいずれか1つに記載の異径基板用アタッチメント。
【0153】
〔付記6〕
前記固定部材を伸縮自在の棒状部材により形成し、前記固定部材は前記板状部材を貫通するよう設けられることを特徴とする付記5記載の異径基板用アタッチメント。
【0154】
〔付記7〕
前記保持部材を少なくとも3本の保持柱から形成し、前記各保持柱の向き合う側に前記第2支持溝を設けることを特徴とする付記1または2記載の異径基板用アタッチメント。
【0155】
〔付記8〕
前記各保持柱の前記第2支持溝に支持され、前記第2サイズの基板を支持する段差部を有するホルダ部材を備えることを特徴とする付記7記載の異径基板用アタッチメント。
【0156】
〔付記9〕
前記第2サイズの基板を基板ホルダに保持させた状態で、前記基板ホルダを前記ホルダ部材に支持させることを特徴とする付記8記載の異径基板用アタッチメント。
【0157】
〔付記10〕
前記第2サイズの基板は、当該第2サイズの基板の処理時に用いるボートのボート柱に対応した連通穴と、前記ボート柱に対する位置決めのためのノッチ部とを有する基板ホルダに保持された状態で、前記第1支持溝を有する基板収容器に格納され、前記板状部材はホルダ位置決め棒を備え、前記ノッチ部と前記ホルダ位置決め棒とを突き合わせることで、前記基板ホルダを前記基板収容器に対して位置決めすることを特徴とする付記1〜9のいずれか1つに記載の異径基板用アタッチメント。
【0158】
〔付記11〕
前記保持部材に支持された前記第2サイズの基板を押さえる押圧部材を設けることを特徴とする付記1〜10のいずれか1つに記載の異径基板用アタッチメント。
【0159】
〔付記12〕
前記押圧部材は、前記第1支持溝を有する基板収容器に設けられ、前記基板収容器の蓋が開閉することで移動する移動板と、前記板状部材に設けられ、前記移動板の移動に伴って移動するリテーナと、を備えることを特徴とする付記11記載の異径基板用アタッチメント。
【0160】
〔付記13〕
前記押圧部材は、前記第1支持溝を有する基板収容器の蓋に設けられたばね部材であり、当該ばね部材は、前記蓋を閉じることにより前記第2サイズの基板を押圧することを特徴とする付記11記載の異径基板用アタッチメント。
【0161】
〔付記14〕
前記第2サイズの基板の中心位置を、前記第1サイズの基板を前記第1支持溝に支持させた場合の前記第1サイズの基板の中心位置よりも、前記基板収容器の蓋側に位置させることを特徴とする付記11記載の異径基板用アタッチメント。
【0162】
〔付記15〕
第1サイズの基板を支持し得る第1支持溝に支持される板状部材と、
前記板状部材に設けられ、前記第1サイズよりも小さい第2サイズの基板を支持し得る第2支持溝を有する保持部材と、
前記第1支持溝を備え、前記板状部材および前記保持部材からなる異径基板用アタッチメントを格納する基板収容器と、
前記基板収容器を外部から導入するための容器導入部と、
複数積層された前記基板を処理する反応容器と、
前記容器導入部と前記反応容器との間に設けられ、前記容器導入部から前記反応容器に向けて前記基板収容器を搬送する搬送機構と、
を備える基板処理装置。
【0163】
〔付記16〕
第1サイズの基板を支持し得る第1支持溝に支持される板状部材と、前記板状部材に設けられて前記第1サイズよりも小さい第2サイズの基板を支持し得る第2支持溝を有する保持部材とからなる異径基板用アタッチメントを準備し、当該異径基板用アタッチメントを、前記第1支持溝を備える基板収容器内に固定するアタッチメント固定工程と、
前記基板収容器内に固定された前記異径基板用アタッチメントに、前記第2サイズの基板をセットする基板セット工程と、
前記第2サイズの基板を格納した前記基板収容器を、基板処理装置の容器導入部に搬送する第1基板搬送工程と、
前記基板処理装置の搬送機構を動作させて、前記容器導入部にある前記基板収容器を、前記基板処理装置の基板を処理する反応容器に向けて搬送する第2基板搬送工程と、
前記基板収容器内の前記第2サイズの基板を、前記基板処理装置の基板移載機を動作させて前記反応容器に搬送されるボートに複数積層するよう移載し、前記ボートを前記反応容器に搬送する第3基板搬送工程と、
前記反応容器内のガスノズルから反応ガスを供給するとともに、前記反応容器内を加熱体により加熱し、前記基板を処理する基板処理工程と、
を備える基板若しくは半導体デバイスの製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明は、半導体装置(半導体デバイス)やSiCエピタキシャル膜を形成する基板などを製造する製造業等に幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0165】
10…半導体製造装置(基板処理装置)、12…筐体、14…ウェーハ(基板)、14a…下面、14b…上面、16…ポッド(基板収容器)、16a…蓋、16b…側部、16c…開口段差部、16d…嵌合凸部、16e…第1支持溝、18…ポッドステージ(容器導入部)、20…ポッド搬送装置(搬送機構)、22…ポッド収納棚、24…ポッドオープナ、26…基板枚数検知器、28…基板移載機、30…ボート、31a…第1ボート柱、31a…第1ボート柱、31b…第2ボート柱、31c…第3ボート柱、32…アーム、34…ボート断熱部、36…マニホールド(反応容器)、40…処理炉、42…反応管(反応容器)、44…反応室、48…加熱体、50…誘導コイル、51…支持部材、52…温度制御部、54…断熱材、55…外側断熱壁、58…磁気シール、60…第1ガス供給ノズル、60a…基端部、60b…先端部、68…第1ガス供給口、70…第2ガス供給ノズル、70a…基端部、70b…先端部、72…第2ガス供給口、78…ガス流量制御部、90…第1ガス排気口、98…圧力制御部、100…ウェーハホルダ、102…シールキャップ、104…回転機構、106…回転軸、108…駆動制御部、110…ホルダベース(基板ホルダ)、110a…貫通穴、111…環状段差部、112…本体部、112a…第1連通穴、112b…第2連通穴、112c…第3連通穴、112e…ノッチ部、114…昇降台、116…ガイドシャフト、118…ボール螺子、120…ホルダカバー、121…大径本体部、122…小径嵌合部、124…昇降シャフト、126…天板、126a…貫通孔、128…ベローズ、130…昇降基板、132…駆動部カバー、134…駆動部収納ケース、135…冷却機構、138…電力ケーブル、140…冷却水流路、142…冷却水配管、144…炉口、150…主制御部、152…コントローラ、200…ガス供給ユニット、210a…第1ガス供給源、210b…第2ガス供給源、210c…第3ガス供給源、210d…第5ガス供給源、210e…第6ガス供給源、210f…第4ガス供給源、211a〜211e…MFC、212a〜212e…バルブ、214…APCバルブ、220…真空排気装置、222…第1ガスライン、230…ガス排気管、240…第3ガスライン、260…第2ガスライン、300…構造物、360…第3ガス供給口、390…第2ガス排気口、400…異径基板用アタッチメント、401…上部板(板状部材)、402…下部板(板状部材)、403a…第1保持柱(保持部材)、403b…第2保持柱(保持部材)、403c…第3保持柱(保持部材)、404…第2支持溝、405…ホルダ部材、405a…中心孔、405b…段差部、405c…切り欠き部、406…ホルダ位置決め棒、407…棒状部材(固定部材)、407a…本体部、407b…移動部、407c…コイルばね、408…押圧部材、409…第1押圧ユニット、409a…移動板、409b…第1ばね、410…第2押圧ユニット、410a…リテーナ、410b…第2ばね、500…異径基板用アタッチメント、501…ばね部材、502…固定本体部、503…先端部、600…異径基板用アタッチメント、601…板状部材、601a…ネジ貫通孔、602…保持部、603…第2支持溝、604…固定棒、604a…雄ねじ部、604b…雌ねじ部、605…固定部材、605a…移動棒、605b…コイルばね、606…ホルダ位置決め棒、607…支持棒、700…異径基板用アタッチメント、701…上部板(板状部材)、702…下部板(板状部材)、703a…第1保持柱(保持部材)、703b…第2保持柱(保持部材)、703c…第3保持柱(保持部材)、704…第2支持溝、705…ホルダ部材、705a…中心孔、705b…段差部、706…ホルダ位置決め棒、CT…台車、HS…ホルダ保持部、LP…下基板、LR…ロードロック室、M…昇降モータ、UP…上基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1サイズの基板を支持し得る第1支持溝に支持される板状部材と、
前記板状部材に設けられ、前記第1サイズよりも小さい第2サイズの基板を支持し得る第2支持溝を有する保持部材と、
を備える異径基板用アタッチメント。
【請求項2】
第1サイズの基板を支持し得る第1支持溝に支持される板状部材と、
前記板状部材に設けられ、前記第1サイズよりも小さい第2サイズの基板を支持し得る第2支持溝を有する保持部材と、
前記第1支持溝を備え、前記板状部材および前記保持部材からなる異径基板用アタッチメントを格納する基板収容器と、
前記基板収容器を外部から導入するための容器導入部と、
複数積層された前記基板を処理する反応容器と、
前記容器導入部と前記反応容器との間に設けられ、前記容器導入部から前記反応容器に向けて前記基板収容器を搬送する搬送機構と、
を備える基板処理装置。
【請求項3】
第1サイズの基板を支持し得る第1支持溝に支持される板状部材と、前記板状部材に設けられて前記第1サイズよりも小さい第2サイズの基板を支持し得る第2支持溝を有する保持部材とからなる異径基板用アタッチメントを準備し、当該異径基板用アタッチメントを、前記第1支持溝を備える基板収容器内に固定するアタッチメント固定工程と、
前記基板収容器内に固定された前記異径基板用アタッチメントに、前記第2サイズの基板をセットする基板セット工程と、
前記第2サイズの基板を格納した前記基板収容器を、基板処理装置の容器導入部に搬送する第1基板搬送工程と、
前記基板処理装置の搬送機構を動作させて、前記容器導入部にある前記基板収容器を、前記基板処理装置の基板を処理する反応容器に向けて搬送する第2基板搬送工程と、
前記基板収容器内の前記第2サイズの基板を、前記基板処理装置の基板移載機を動作させて前記反応容器に搬送されるボートに複数積層するよう移載し、前記ボートを前記反応容器に搬送する第3基板搬送工程と、
前記反応容器内のガスノズルから反応ガスを供給するとともに、前記反応容器内を加熱体により加熱し、前記基板を処理する基板処理工程と、
を備える基板若しくは半導体デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−195562(P2012−195562A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−1176(P2012−1176)
【出願日】平成24年1月6日(2012.1.6)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】