説明

発光素子搭載用基板およびその製造方法

【課題】金属箔の積層やメッキ等を行わずに、低コストで簡易な工程により、反りを十分に抑制しながら、柱状金属体側面がパッドレスでも柱状金属体を介して給電が可能な発光素子搭載用基板の製造方法および発光素子搭載用基板、並びに発光素子パッケージを提供する。
【解決手段】2以上の柱状金属体14a〜14cと、柱状金属体14a〜14cと導通しつつその裏面側に設けられた2以上の電極10a〜10bと、その柱状金属体14a〜14cの上面を露出させる絶縁層16と、その周囲に設けられた枠状金属体18とを備える発光素子搭載用基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードチップなどの発光素子を基板の表面に搭載するための発光素子搭載用基板の製造方法および発光素子搭載用基板に関する。この発光素子搭載用基板は、特に照明装置に用いる発光素子パッケージの基板として有用である。
【背景技術】
【0002】
従来から、金属基板の上面に保護金属層を介して金属凸部を形成し、この金属凸部の周囲に金属凸部の高さと同じ高さの絶縁樹脂層を形成し、金属凸部上面に放熱パターンと絶縁樹脂層上面に給電用パターンを同時にメッキ形成し、金属凸部の上面に放熱パターンを介して発光素子を実装可能とした発光素子搭載用基板が知られている(特許文献1参照)。そして、この発光素子搭載用基板の製造方法として、以下の方法が知られている。特許文献1の図7(b)に示すように、金属凸部が形成された金属基板に、樹脂付き銅箔を加熱プレスして、金属凸部に対応する位置に凸部を形成する。次いで、研削や研磨によりその凸部を除去して、金属凸部を露出させる。次いで、金属凸部を露出させた後に、全面に銅メッキを施して、給電パターンをエッチングにより形成していた。また、銅箔をエッチングすることで給電パターンを形成することも行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−167086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したように、研削や研磨により凸部を除去して、金属凸部を露出させ、全面に銅メッキを施してから給電パターンをエッチングにより形成したり、銅箔をエッチングして給電パターンを形成することは、手間であり、低コスト化の要請もあって改善が望まれていた。
【0005】
ところで、上記のような発光素子搭載用基板を製造する場合、上下非対称な構造が一般的であるため、樹脂で絶縁層を形成した際に、加熱収縮などによって基板に反りが生じ易い。このような反りが生じると、後に個々の基板に切断する切断工程などに支障が生じるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、金属箔の積層やメッキ等を行わずに、低コストで簡易な工程により、反りを十分に抑制しながら、柱状金属体側面がパッドレスでも柱状金属体を介して給電が可能な発光素子搭載用基板を製造できる発光素子搭載用基板の製造方法を提供することにある。また、この製法により得られる発光素子搭載用基板、その発光素子搭載用基板を用いた発光素子パッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
【0008】
即ち、本発明の発光素子搭載用基板の製造方法は、複数の柱状金属体及び枠状金属体を設けた金属板に絶縁層を形成して、少なくとも前記柱状金属体の上面が絶縁層から露出した積層体を得る工程と、前記金属板を複数に分断して、前記柱状金属体に導通する電極を形成する工程と、得られた積層体を切断して、2以上の柱状金属体を有する基板を複数得る工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の製造方法によれば、柱状金属体を設けた金属板を複数に分断して、柱状金属体に導通する電極を形成する工程と、これを切断して2以上の柱状金属体を有する基板を得る工程とを有するため、得られる基板の柱状金属体側面がパッドレスでも柱状金属体を介して、発光素子への給電が可能となる。また、柱状金属体を介して、発光素子で発生する熱を効率良く裏面側に放熱することが可能となる。従って、従来技術のように、給電パターン等の形成のために金属箔の積層やメッキ等を行う必要がないため、原料が少なくて済むので低コストとなり、しかも製造工程も非常に簡易なものとなる。更に、金属板に枠状金属体を設けているため、これによって反りを十分に抑制することができ、また、この枠状金属体を利用して、絶縁層を形成するための樹脂をスキージ等で塗布することができる。その結果、金属箔の積層やメッキ等を行わずに、低コストで簡易な工程により、反りを十分に抑制しながら、柱状金属体側面がパッドレスでも柱状金属体を介して給電が可能な発光素子搭載用基板を製造することができる。
【0010】
また、前記金属板を複数に分断する工程がエッチングにより行われることが好ましい。この工程によると、エッチングにより電極やパッドのパターン形成が可能となるため、簡易な方法で、ソルダ接続やワイヤ接続に好適な電極形状やパッド形状にすることが可能となる。
【0011】
本発明で製造される発光素子搭載用基板は、発光素子パッケージ用の基板であることが好ましい。発光素子パッケージ用の基板であると、これを実装する側の配線基板に設けられた給電パターンを利用できるため、柱状金属体を介して発光素子へ給電するのがより容易になる。
【0012】
また、前記エッチングを行う際に、前記枠状金属体の内側の金属板を裏面側からエッチングすることで、前記柱状金属体の裏面側の電極の下面と前記絶縁層の下面とが略同じ高さになるように、前記柱状金属体に導通する電極を形成することが可能である。この工程によって、基板を上下反転させた状態で、前記柱状金属体の裏面側の電極の上面と前記絶縁層の上面とが略同じ高さであり、前記絶縁層の上面よりも前記枠状金属体の上面がより高い位置に形成してある発光素子搭載用基板を製造することができる。この基板では、上下反転させた状態で、前記柱状金属体の裏面側の電極に発光素子を実装することができ、また、上面がより高い位置に形成してある枠状金属体を利用して樹脂のポッティング等が容易な構造とすることができる。
【0013】
また、前記柱状金属体の上面に発光素子搭載用の凹部を形成する工程を更に備えることも可能である。これにより、柱状金属体の凹部の内壁面により発光素子の光を効率良く反射させることができるようになる。
【0014】
また、前記金属板を複数に分断する工程が、前記柱状金属体から前記枠状金属体まで又は前記枠状金属体の付近まで延びるパターンを形成するものであることが好ましい。この工程によると、柱状金属体から前記枠状金属体まで延びるパターンが、柱状金属体に比べて肉薄となるか、又は途中で途切れるため、枠状金属体を切断除去する際に、金属の切断量を少なくして、切断を容易にすることができるようになる。
【0015】
一方、本発明の発光素子搭載用基板は、2以上の柱状金属体と、柱状金属体と導通しつつその裏面側に設けられた2以上の電極と、その柱状金属体の上面を露出させる絶縁層と、その絶縁層の周囲に設けられた枠状金属体と、を備える、柱状金属体側面がパッドレスの発光素子搭載用基板である。
【0016】
本発明の発光素子搭載用基板によると、2以上の柱状金属体と、柱状金属体と導通しつつその裏面側に設けられた2以上の電極とを備えるため、柱状金属体側面がパッドレスでも柱状金属体を介して、発光素子への給電が可能となる。また、柱状金属体を介して、発光素子で発生する熱を効率良く裏面側に放熱することが可能となる。従って、従来技術のように、給電パターン等の形成のために金属箔の積層やメッキ等を行う必要がないため、原料が少なくて済むので低コストとなり、しかも製造工程も非常に簡易なものとなる。更に、絶縁層の周囲に枠状金属体を設けているため、これによって反りを十分に抑制することができ、また、この枠状金属体を利用して、絶縁層を形成するための樹脂をスキージ等で塗布することができる。その結果、金属箔の積層やメッキ等を行わずに、低コストで簡易な工程により、反りを十分に抑制しながら、柱状金属体側面がパッドレスでも柱状金属体を介して給電が可能な発光素子搭載用基板を提供することができる。
【0017】
前記枠状金属体の上面と柱状金属体の上面とがフラットであることが好ましい。これにより、枠状金属体を利用して、絶縁層を形成するための樹脂をスキージ等で塗布した際に、柱状金属体の上面を被覆する樹脂の量を少なくすることができ、柱状金属体の上面を絶縁層から露出させ易くなる。
【0018】
また、前記絶縁層がシリコーン白色レジストで形成されていることが好ましい。白色レジストで絶縁層を形成することで、白色レジスト層を追加することなく、発光素子からの光の反射率を高めることができ、特にシリコーン系の白色レジストを使用することで、耐熱性や耐光性を向上させることができる。
【0019】
本発明の発光素子搭載用基板は、発光素子パッケージ用の基板であることが好ましい。発光素子パッケージ用の基板であると、これを実装する側の配線基板に設けられた給電パターンを利用できるため、柱状金属体を介して発光素子へ給電するのがより容易になる。
【0020】
また、前記柱状金属体の上面に発光素子搭載用の凹部を形成してあることが好ましい。これにより、柱状金属体の凹部の内壁面により発光素子の光を効率良く反射させることができるようになる。
【0021】
また、上下反転させた状態で、前記柱状金属体の裏面側の電極の上面と前記絶縁層の上面とが略同じ高さであり、前記絶縁層の上面よりも前記枠状金属体の上面がより高い位置に形成してあることが好ましい。この基板では、上下反転させた状態で、前記柱状金属体の裏面側の電極に発光素子を実装することができ、また、上面がより高い位置に形成してある枠状金属体を利用して樹脂のポッティング等が容易な構造とすることができる。
【0022】
他方、本発明の発光素子パッケージは、上記何れかに記載の発光素子搭載用基板の何れかの柱状金属体に発光素子を熱的に又は熱的かつ電気的に接続し、他の柱状金属体に前記発光素子を電気的に接続したことを特徴とする。本発明の発光素子パッケージによると、発光素子を何れかの柱状金属体に少なくとも熱的に接続してあるため、柱状金属体を介して、発光素子で発生する熱を効率良く裏面側に放熱することが可能となる。また、他の柱状金属体に前記発光素子を電気的に接続してあるため、搭載面がパッドレスでも柱状金属体を介して、発光素子への給電が可能となる。
【0023】
別発明の発光素子パッケージは、上記何れかに記載の発光素子搭載用基板の何れかの電極に発光素子を熱的に又は熱的かつ電気的に接続し、他の電極に前記発光素子を電気的に接続したことを特徴とする。本発明の発光素子パッケージによると、発光素子を何れかの電極に少なくとも熱的に接続してあるため、電極に導通する柱状金属体を介して、発光素子で発生する熱を効率良く裏面側に放熱することが可能となる。また、他の電極に前記発光素子を電気的に接続してあるため、裏面がパッドレスでも柱状金属体を介して、発光素子への給電が可能となる。
【0024】
その際、透光性樹脂により実装した発光素子を封止してあることが好ましい。本発明の発光素子搭載用基板では、絶縁層の上面に給電パターンを形成する必要がないため、柱状金属体の上面と前記絶縁層の上面とをフラット(面一かつ平坦)にすることができるので、透光性樹脂で封止する際に、空気が凹部に残存するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の発光素子搭載用基板の一例を発光素子パッケージに使用した例を示す図であり、(a)は全体の縦断面図、(b)は発光素子搭載用基板の平面図、(c)は発光素子搭載用基板の底面図
【図2】本発明の発光素子搭載用基板の製造工程フローの一例を示す図
【図3】本発明の発光素子搭載用基板の製造工程の一例を示す断面図
【図4】本発明の発光素子搭載用基板の他の例を発光素子パッケージに使用した例を示す断面図
【図5】本発明の発光素子搭載用基板の他の例を示す底面図
【図6】本発明の発光素子搭載用基板の他の例を示す底面図
【図7】本発明の発光素子搭載用基板の他の例を示す平面図
【図8】本発明の発光素子搭載用基板の他の例を示す断面図
【図9】本発明の発光素子搭載用基板の製造工程の他の例を示す断面図
【図10】本発明の発光素子搭載用基板の他の例を示す図であり、(a)は全体の平面図、(b)は切断前の発光素子搭載用基板のI−I断面図、(c)は切断後の発光素子搭載用基板のI−I断面図
【図11】本発明の発光素子搭載用基板の他の例を示す断面図
【図12】本発明の発光素子搭載用基板の他の例を示す断面図であり、(a)は切断前の状態を示し、(b)は切断後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
(発光素子搭載用基板)
本発明の発光素子搭載用基板は、図1(a)〜(c)に示すように、発光素子搭載側に設けられた2以上の柱状金属体14a〜14cと、柱状金属体14a〜14cの裏面側に設けられた2以上の電極10a〜10bと、その柱状金属体14a〜14cの上面を露出させる絶縁層16と、その周囲に設けられたと枠状金属体18と、を備えるものである。
【0028】
本発明の発光素子搭載用基板は、柱状金属体側面がパッドレス構造である。ここで、「パッドレス」とは、柱状金属体14a〜14cの上面がそのまま絶縁層16から露出して、メッキ等で形成したパッドを有しない構造を指し、具体的にはボンディングワイヤの接続のためのパッド又は配線パターンのランド部などを有しない構造を指す。
【0029】
本実施形態では、1つの基板当たり3つの柱状金属体14a〜14cを設けた例を示すが、本発明では、1つの基板当たり2以上の柱状金属体を設けていればよい。また、1つの基板に複数の発光素子を搭載する場合、1つの基板当たり更に多くの柱状金属体が設けられる。
【0030】
また、本実施形態では、1つの基板当たり2の電極10a〜10bを設けた例を示すが、本発明では、1つの基板当たり2以上の電極を設けていればよい。また、1つの基板に複数の発光素子を搭載する場合、1つの基板当たり更に多くの電極が設けられたり、電極間がパターンで接続された構造となる。
【0031】
本実施形態では、枠状金属体18が環状に設けられ、その平面視形状が矩形である例を示すが、枠状金属体18は、環状でなく一部が途切れた構造でもよい。また、一部が途切れた構造の場合、例えば1〜4箇所が途切れた構造が例示される。但し、本発明の枠状金属体18は、絶縁層16の形成のし易さや、反りの抑制の観点から、環状に設けられることが好ましい。
【0032】
本実施形態では、枠状金属体18の上面と柱状金属体14a〜14cの上面とがフラットである場合の例を示すが、本発明では、柱状金属体14a〜14cの上面より、枠状金属体18の上面が低いものや、枠状金属体18の上面が高いものでもよい。
【0033】
また、本実施形態では、柱状金属体14a〜14cの上面と絶縁層16の上面とがフラットである場合の例を示すが、本発明では、柱状金属体14a〜14cの上面より、絶縁層16の上面が低いものや、絶縁層16の上面が高いものでもよい。
【0034】
以下、図2および図3に示す製造工程により、図1の発光素子搭載用基板を製造する方法について説明する。本発明の発光素子搭載用基板の製造方法は、図2および図3に示すように、複数の柱状金属体14及び枠状金属体18を設けた金属板10に絶縁層16を形成して、少なくとも柱状金属体14の上面が絶縁層16から露出した積層体を得る工程と、金属板10を複数に分断して、柱状金属体14に導通する電極10a,10bを形成する工程と、得られた積層体を切断して、2以上の柱状金属体14を有する基板を複数得る工程と、を備える。より詳細は、次の通りである。
【0035】
(1)金属板10に柱状金属体14及び枠状金属体18を形成する(ステップS1)。図3(a)〜(c)に示すように、金属板10をエッチングして、発光素子の搭載及びワイヤ接続のための柱状金属体14及び枠状金属体18が形成される。本実施形態では、金属板10として、単層の金属板10を用いた例を示すが、エッチング時に耐性を示す別の保護金属層が金属板10の中間に介在する積層板を使用してもよい。保護金属層が介在することで、表面金属層の選択的なエッチングが可能となる。単層の場合の金属板10の厚みは、例えば30〜5000μmである。
【0036】
積層板を使用する場合、金属板10と保護金属層と柱状金属体14等を形成するための表面金属層とが積層された積層板を用いる。積層板は、何れの方法で製造したものでもよく、例えば電解メッキ、無電解メッキ、スパッタリング、蒸着などを利用して製造したものや、クラッド材などが何れも使用可能である。積層板の各層の厚みについては、例えば、金属板10の厚みは、30〜5000μm、保護金属層の厚みは、1〜20μm、表面金属層の厚みは10〜500μmである。
【0037】
金属板10は、単層または積層体の何れでもよく、構成する金属としては、何れの金属でもよく、例えば銅、銅合金、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、鉄、その他の合金等が使用できる。なかでも、熱伝導性や電気伝導性の点から、銅、アルミニウムが好ましい。上記のような、放熱が良好な金属板10を備える構造により、発光素子の温度上昇を防止できるため、駆動電流をより多く流せ、発光量を増加させることができる。また、別途設けるヒートシンクへの熱伝導を良好にすることが可能となる。
【0038】
積層板を使用する場合に、表面金属層を構成する金属としては、通常、銅、銅合金、ニッケル、錫等が使用でき、特に熱伝導性や電気伝導性の点から、銅が好ましい。
【0039】
積層板を使用する場合に、保護金属層を構成する金属としては、金属板10及び表面金属層とは別の金属が使用され、これらの金属のエッチング時に耐性を示す別の金属が使用できる。具体的には、これらの金属が銅である場合、保護金属層を構成する別の金属としては、金、銀、亜鉛、パラジウム、ルテニウム、ニッケル、ロジウム、鉛−錫系はんだ合金、又はニッケル−金合金等が使用される。但し、本発明は、これらの金属の組合せに限らず、上記金属のエッチング時に耐性を示す別の金属との組合せが何れも使用可能である。
【0040】
次に、図3(b)に示すように、エッチングレジストMを用いて、金属板10のエッチングを行って、柱状金属体14及び枠状金属体18を形成する。柱状金属体14のサイズは、実装される発光素子のサイズ、伝熱効率等の観点から設計される。例えば、発光ダイオードチップ(ベアチップ)を搭載する場合、直下に設けられる柱状金属体14の上面の幅又は直径は、300〜2000μmが好ましい。この柱状金属体14の上面形状は、円形でもよいが、発光素子の投影形状に合わせたもの(例えば長方形又は正方形)が好ましい。
【0041】
一方、ワイヤ接続のための柱状金属体14の上面形状は、基板サイズを小さくする観点から、楕円形や長方形が好ましい。また、ワイヤ接続のための柱状金属体14の上面の短辺又は短径は、100〜1000μmが好ましい。
【0042】
金属板10に形成する枠状金属体18の形状は、最終的な製品基板の枠状金属体18の形状と、個々の基板への切断の態様に応じて決定される。本実施形態では、最終的な製品基板の枠状金属体18の形状が矩形であり、個々の基板への切断が、金属板10に形成する枠状金属体18の中央で切断される例を示している。このため、金属板10に形成する枠状金属体18の形状は、複数の矩形が連続する格子状となる。
【0043】
本発明では、個々の基板への切断を容易にする観点から、金属板10に形成する枠状金属体18が、複数の直線部が縦横に交差した格子状の形状を有することが好ましい。
【0044】
枠状金属体18の一辺の上面の幅としては、0.05〜50mmが好ましく、0.1〜0.5mmがより好ましい。枠状金属体18の一辺の高さとしては、30〜300μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。また、枠状金属体18の一辺の内側の長さは、発光素子30のサイズにもよるが、1.5〜10mm程度である。
【0045】
エッチングレジストMは、感光性樹脂やドライフィルムレジスト(フォトレジスト)などが使用できる。なお、金属板10の裏面が同時にエッチングされるのを防止するためのマスク材を、金属板10の下面に設けるのが好ましい(図示省略)。
【0046】
エッチングの方法としては、金属板10や保護金属層を構成する各金属の種類に応じた、各種エッチング液を用いたエッチング方法が挙げられる。例えば、金属板10銅であり、保護金属層が前述の金属(金属系レジストを含む)の場合、市販のアルカリエッチング液、過硫酸アンモニウム、過酸化水素/硫酸等が使用できる。エッチング後には、エッチングレジストMが除去される。
【0047】
積層板を使用する場合には、柱状金属体14等から露出している保護金属層を最終的に除去する必要があるが、これを先に除去せずに、絶縁層16を形成することも可能である。保護金属層は、エッチングにより除去することができる。具体的には、金属板10が銅であり、保護金属層が前記の金属である場合、はんだ剥離用として市販されている、硝酸系、硫酸系、シアン系などの酸系のエッチング液等を用いるのが好ましい。
【0048】
予め露出する保護金属層を除去する場合、除去部分から金属板10の表面が露出するが、これと絶縁層16との密着性を高めるために、黒化処理、粗化処理などの表面処理を行うことが好ましい。
【0049】
(2)次いで、柱状金属体14及び枠状金属体18を設けた金属板10に絶縁層16を形成する(ステップS2)。例えば、図3(d)〜(e)に示すように、シート状の絶縁樹脂材料等を用いて、プレス面により加熱プレスすることで、金属板10に絶縁層16を一体化することができる。また、液状の絶縁樹脂材料等を用いて、カーテンコータ等で塗布した後に、これを加熱等により硬化させることも可能である。
【0050】
本発明では、枠状金属体18を利用して、絶縁層16を形成することができ、枠状金属体18を利用して樹脂をスキージ等で塗布する工程を有することが好ましい。また、枠状金属体18の内側にポッティングすることにより、絶縁層16を形成することも可能である。
【0051】
一方、加熱プレスを行う場合、絶縁樹脂材料の厚みが十分で、かつプレス面が平面であれば、上面は平面になるが、柱状金属体14等の上面を、後に容易に露出させる観点から、柱状金属体14等に対応する位置に凸部Aが形成されることが好ましい。その為には、プレス面と被積層体との間に、少なくとも、凹状変形を許容するシート材を配置しておくのが好ましい。また、柱状金属体14等に対応する位置に凹部を有するプレス面を使用してもよい。
【0052】
加熱プレスの方法としては、加熱加圧装置(熱ラミネータ、加熱プレス)などを用いて行えばよく、その際、空気の混入を避けるために、雰囲気を真空(真空ラミネータ等)にしてもよい。加熱温度、圧力など条件等は、絶縁樹脂層形成材と金属層形成材の材質や厚みに応じて適宜設定すればよいが、圧力としては、0.5〜30MPaが好ましい。
【0053】
絶縁層形成材としては、配線基板に要求される耐熱性を有するものであれば何れの材料でもよい。具体的には、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の各種反応硬化性樹脂や、それとガラス繊維、セラミック繊維、アラミド繊維等との複合体(プリプレグ)などが挙げられる。
【0054】
本発明では、特に、シリコーン白色レジストを用いて絶縁層16を形成することが好ましい。シリコーン白色レジストは、熱硬化性のシリコーン樹脂をベースポリマーとし、白色の充填剤を含有するもので、市販の材料を用いることができる。シリコーン白色レジストは、上記のスキージ等で金属板10に塗布した後、加熱硬化させることで絶縁層16を形成することができる。
【0055】
また、絶縁層16として、熱伝導性の高い材料で構成されることが好ましく、例えば、熱伝導性フィラーを含む樹脂等が例示される。この場合の絶縁層16は、1.0W/mK以上の熱伝導率を有し、1.2W/mK以上の熱伝導率を有することが好ましく、1.5W/mK以上の熱伝導率を有することがより好ましい。これによって、柱状金属体14からの熱を効率良く金属板10側に放熱することができる。ここで、絶縁樹脂層16の熱伝導率は、適宜、熱伝導性フィラーの配合量および粒度分布を考慮した配合を選択することで決定されるが、硬化前の絶縁性接着剤の塗工性を考慮すると、一般的には10W/mK程度が上限として好ましい。
【0056】
(3)少なくとも柱状金属体14を絶縁層16から露出させる(ステップS3)。図3(f)に示すように、凸部Aを除去するなどして、絶縁層16から柱状金属体14が露出し、上面全体が平坦な積層体を得る。この凸部Aの除去の際、絶縁層16の高さと柱状金属体14の高さが一致するように除去して平坦化することが好ましい。これにより柱状金属体14の周囲には絶縁樹脂層16が形成され、絶縁樹脂層16の周囲には枠状金属体18が形成された状態となる。
【0057】
凸部Aの除去方法としては、研削や研磨による方法が好ましく、ダイヤモンド製等の硬質刃を回転板の半径方向に複数配置した硬質回転刃を有する研削装置を使用する方法や、サンダ、ベルトサンダ、グラインダ、平面研削盤、硬質砥粒成形品などを用いる方法などが挙げられる。研削装置を使用すると、当該硬質回転刃を回転させながら、固定支持された配線基板の上面に沿って移動させることによって、上面を平坦化することができる。また、研磨の方法としては、ベルトサンダ、バフ研磨等により軽く研磨する方法が挙げられる。本発明のように積層体に凸部Aが形成されていると、その部分のみを研削するのが容易になり、全体の平坦化がより確実に行える。
【0058】
(4)金属板10を複数に分断して、柱状金属体14a〜14cに導通する電極10a〜10bを形成するする(ステップS4)。本実施形態では、柱状金属体14a及び14cが電極10bに導通する例を示すが、柱状金属体14a及び14cに各々導通する電極及びパッドを設けてもよい。
【0059】
本実施形態では、図3(g)に示すように、エッチングにより、金属板10を複数に分断する例を示す。その際、次の工程で切断される部分の金属板10を予めエッチングで除去しておくのが、切断刃の長寿命化やバリの発生を防止する上で好ましい。
【0060】
エッチングの際には、前述のようなエッチング液やマスクが使用される。このとき、柱状金属体14が同時にエッチングされるのを防止するためのマスク材を、上面に設けるのが好ましい(図示省略)。
【0061】
柱状金属体14a〜14cや電極10a〜10bの表面には、反射効率を高めるために金、ニッケル、銀などの貴金属によるメッキを行うのが好ましい。また、従来の配線基板と同様に、発光素子搭載側又は裏側にソルダレジストを形成したり、部分的に半田メッキを行ってもよい。
【0062】
(5)積層体を切断して、2以上の柱状金属体14a〜14cを有する基板を複数得る(ステップS5)。図3(h)には、切断位置を矢印で示した。切断には、ダイサー、ルータ、レーザなどの各種切断装置を使用することができる。切断を行う際、矩形に切断(繰り抜き)するのは、切断工程が複雑になるため、その際、矩形に切断(繰り抜き)するのは、切断工程が複雑になるため、切断線を延長した直線状(格子状)に切断を行うのが好ましい。
【0063】
これにより、図1(a)〜(c)に示すように、2以上の柱状金属体14a〜14cと、柱状金属体14a〜14cに導通しつつその裏面側に設けられた2以上の電極10a〜10bと、その柱状金属体の上面を露出させる絶縁層16と、その絶縁層16の周囲に設けられた枠状金属体18とを備え、柱状金属体側面がパッドレスの発光素子搭載用基板を製造することができる。
【0064】
この発光素子搭載用基板は、柱状金属体側面に発光素子30を搭載してもよく、電極側面に発光素子30を搭載してもよい。
【0065】
(発光素子パッケージ)
本発明では、図1に示すように、柱状金属体14aの上面又は電極10bもしくはパッド10cに、発光素子30がボンディング(接着等)される。ボンディングの方法としては、導電性ペースト、熱伝導性シート、熱伝導性接着剤、両面テープ、半田等のソルダによる接合など何れでもよいが、金属による接合が放熱性の点から好ましい。
【0066】
発光素子30としては、発光ダイオードチップ(ベアチップ)、半導体レーザチップ等が挙げられる。発光素子30には、発光側に2つの電極が有るタイプと、一方の電極のみが有るタイプがあり、その裏面は、カソードタイプとアノードタイプの2種類がある。本発明では、これらを何れも使用することができる。
【0067】
発光素子30は、柱状金属体14b、14cの上面又は電極10a、10bに、電気的に接続される。この導電接続は、発光素子の上部電極31、32と各々の電極10a、10b等とを、金属細線21によるワイヤボンディング等で結線することで行うことができる。ワイヤボンディングとしては、超音波やこれと加熱を併用したものなどが可能である。また、別実施形態として、金属細線を用いずに発光素子30の下側電極と電極10a、10bとを導電接続するように構成できる。
【0068】
また、柱状金属体14の周囲に、リフレクタを形成することもでき、絶縁層16を立体的に成形してリフレクタ機能を有する構造にしてもよい。また、ダムの内側を透明樹脂等で被覆することができ、さらに、その上方に、凸面の透明樹脂レンズを設けることができる。透明樹脂や透明樹脂レンズには、蛍光剤を含有させることも可能である。好ましい形態は、透光性樹脂22により実装した発光素子30を封止したものである。
【0069】
透光性樹脂22による封止の方法としては、金型を用いてモールディングする方法、基板のインサートによる射出成形、印刷やスキージによる方法、ディスペンサを用いた方法など、何れでもよい。
【0070】
発光素子パッケージは、一般的に、基板に1個の発光素子30が実装されたパッケージ構成であるが、本発明においては、複数の発光素子30を実装できるように構成した基板を用いたものも発光素子パッケージとして呼ぶ。
【0071】
(別実施形態)
(1)前述した実施形態では、1つの基板当たり3つの柱状金属体を設け、そのうちの2つの柱状金属体が電極で接続された例を示したが、本発明では、柱状金属体14の各々に、電極又はパッドを設けてもよい。図4(a)に示す例では、柱状金属体14aに対してパッド10cが、柱状金属体14bに対して電極10aが、柱状金属体14cに対して電極10bが、各々設けられている。これにより、パッド10cを放熱専用として使用することができる。
【0072】
(2)前述した実施形態では、3つの柱状金属体が設けられる例を示したが、本発明では、図4(b)に示すように、2つの柱状金属体14a〜14bのみを設けてもよい。その場合、一方の柱状金属体14aが、発光素子30を熱的かつ電気的に接続する役割を有し、他方の柱状金属体14bが、発光素子30を電気的に接続する役割を有する。この基板を用いた発光素子パッケージは、発光素子搭載用基板の何れかの柱状金属体14aに発光素子30を熱的かつ電気的に接続し、他の柱状金属体14bに発光素子30を電気的に接続したものとなる。
【0073】
図4(b)に示す実施形態では、発光素子30の裏面に電極32を有する例を示したが、図示した例の柱状金属体14aの上面を発光素子30の投影面より大きくすることで、2つの柱状金属体14a〜14bのみを設けた基板でも、2ワイヤ方式の発光素子30を実装することが可能になる。
【0074】
なお、図示した実施形態では、透光性樹脂22による封止がスキージにより行われた例を示している。スキージによりレンズを形成する場合、使用する樹脂の粘度等によって、レンズ形状を調整することができる。
【0075】
(3)前述した実施形態では、柱状金属体側に発光素子が搭載される例を示したが、本発明では、図4(c)に示すように、電極側に発光素子30を搭載してもよい。その場合、発光素子搭載用基板の何れかのパッド(又は電極)10cに発光素子30を熱的に又は熱的かつ電気的に接続し、他の電極10a、10bに発光素子30を電気的に接続してある発光素子パッケージとなる。
【0076】
(4)前述した実施形態では、枠状金属体を有する発光素子搭載用基板を製造する場合の例を示したが、図4(c)に示す発光素子搭載用基板のように、本発明の製造方法によると、枠状金属体18を有していない発光素子搭載用基板を製造することも可能である。
【0077】
その場合、図7(a)に示すように、得られた積層体を切断して、2以上の柱状金属体14を有する基板を複数得る工程において、枠状金属体18の内側(最も内側の仮想線)を切断することにより、枠状金属体18を有さない発光素子搭載用基板を製造することができる。この切断方法によると、切断後に、枠状金属体18を形成するための格子状部分が残存することになる。その際、矩形に切断(繰り抜き)するのは、切断工程が複雑になるため、図7(a)の最も内側の仮想線を延長した直線状に切断を行うのが好ましい。なお、図7(a)の最も外側の仮想線の方向に、切断を行うことも可能であり、その場合、金属板10に設けた枠状金属体18の全体を発光素子搭載用基板に残すことができる。
【0078】
上記のような切断方法によると、切断後に格子状部分が残存することになるため、図7(b)に示すように、枠状金属体18の四辺の中央線の形状を維持しながら、枠状金属体18の縦又は横の辺の一方又は両方を中央線からズラして切断することにより、格子状部分が残存するのを防止することができる。
【0079】
(5)前述した実施形態では、絶縁層を樹脂で形成する例を示したが、本発明における絶縁層の形成材料は、絶縁材料であれば何れでもよく、基板材料として通常使用されない樹脂、例えばシリコーン樹脂等や、樹脂以外のセラミックス、ガラス、無機塩類などを用いることも可能である。セラミックスの場合、例えば、セラミックスの微粒子や原料粒子を含有するスラリーを金属板に塗布した後、焼成・焼結させることで、金属板と一体化した絶縁層を形成することができる。また、絶縁層自体の反射効率を高めるために、絶縁層として白色顔料等を含有する樹脂を使用することも可能である。その場合、ソルダレジストを設けずに使用することが好ましい。
【0080】
(6)前述した実施形態では、金属板を複数に分断する工程がエッチングにより行われる例を示したが、本発明では、レーザー照射、切断刃等を用いた溝加工によって金属板10を複数に分断することも可能である。
【0081】
(7)前述した実施形態では、エッチングによって矩形状に金属板を分断して電極を形成する例を示したが、本発明では、図5(a)〜(c)に示すように、電極側面のパターンは、更に複雑なものでもよい。
【0082】
図5(a)に示す例では、電気的な接続のための電極10a、10bが比較的小さく形成されており、熱的な接続のためのパッド10cは大きく形成されている。このように、基板の周囲に金属板10が残存しない構造の場合、積層体を切断する際に、切断刃を長寿命化できると共に、バリの発生などの問題を生じにくくすることができる。
【0083】
図5(b)に示す例では、更に、熱的な接続のためのパッド10cをより大きく形成している。これによって、発光素子30からの放熱をより良好にすることができる。
【0084】
図5(c)に示す例では、電極側に発光素子30を搭載するため、裏面側には、絶縁層16より露出した柱状金属体14a〜14cが存在する。この場合、柱状金属体14a〜14cの上面の形状は、ソルダ接続に好適な形状が選択される。その形状としては、例えば、円形、楕円形、四角形などである。
【0085】
(8)前述した実施形態では、1つの基板に1つの発光素子を搭載する場合の例を示したが、本発明では、図6に示すように、1つの基板に複数の発光素子30を搭載してもよい。その場合、電極10a、10bは、全て独立させてもよいが、接続パターン10dを介して、電極同士を電気的に接続するのが好ましい。接続形態としては、直列、並列、またはその組合せの何れでもよい。
【0086】
(9)前述した実施形態では、絶縁層を形成する際に、柱状金属体の上方に凸部を形成した後に、凸部を除去する例を示したが、本発明では、絶縁層をフラットに形成した後に、サンドブラスト等によって、表面全体を除去するなどして、柱状金属体を露出させてもよい。
【0087】
(10)前述した実施形態では、枠状金属体が環状に設けられ、その平面視形状が矩形である例を示したが、本発明では、平面視形状が円形、楕円形、三角形、四角形、その他の多角形など何れの形状の枠状金属体でもよい。また、環状でなく一部が途切れた構造としては、C字型、U字型、コの字型など、いずれでもよい。
【0088】
(11)前述した実施形態では、金属板を複数に分断して、前記柱状金属体に導通する電極を形成する際に、枠状金属体をエッチングする例を示したが、本発明では、図4(a)に示すように、枠状金属体の裏面側の金属板を残してもよい。その場合、枠状金属体の裏面側の金属板を枠状金属体より大きくすることで、絶縁層と枠状金属体との接着面積が増えるため、構造的により強固になる。また、同様の観点から、図4(a)に示すように、金属板を複数に分断して、前記柱状金属体に導通する電極を形成した後に、金属板を複数に分断した部分(エッチング部分等)に、これを埋めるように、絶縁層を更に形成してもよい。その場合、先に形成された絶縁層と異なる種類の樹脂等を使用することも可能であるが、両者の密着性等の観点から、同じ種類の樹脂等を使用するのが好ましい。
【0089】
一方、個々の基板へ切断を行う際に、切断厚みを小さくする観点からは、金属板を複数に分断して、前記柱状金属体に導通する電極を形成する際に、枠状金属体をエッチングすることが好ましい。
【0090】
(12)本発明の製造方法では、図8に示すように、柱状金属体14aの上面に発光素子搭載用の凹部40を形成する工程を更に備えることも可能である。これにより、柱状金属体14aの上面に発光素子搭載用の凹部40を形成してある発光素子搭載用基板を得ることができる。
【0091】
凹部40の形成方法としては、エッチング、切削加工などが挙げられるが、エッチングが好ましい。特に、柱状金属体14aをエッチングで金属板10に形成する際に、環状のマスクを使用して、同時に凹部40の形成を行うことが好ましい。
【0092】
(13)本発明の製造方法では、図9(g)に示すように、エッチングを行う際に、枠状金属体18の内側の金属板10を裏面側からエッチングすることで、柱状金属体14a〜14bの裏面側の電極10a〜10bの下面と絶縁層16の下面とが略同じ高さになるように、柱状金属体14a〜14bに導通する電極10a〜10bを形成することが可能である。これにより、図9(h)に示すように、上下反転させた状態で、柱状金属体14a〜14bの裏面側の電極10a〜10bの上面と絶縁層16の上面とが略同じ高さであり、絶縁層16の上面よりも枠状金属体18の上面がより高い位置に形成してある発光素子搭載用基板を製造することができる。なお、図9(a)〜(f)に示す工程は、図3(a)〜(f)に示す工程と同様に実施することができる。
【0093】
透光性樹脂22は、前述した他の実施形態と同様にして形成することができるが、この実施形態によると、樹脂のポッティングの際に、枠状金属体18が外壁として作用するため、より容易にポッティングを行うことができる。
【0094】
(14)本発明の製造方法では、金属板10を複数に分断する工程が、柱状金属体14a〜14cから枠状金属体18まで又は枠状金属体18の付近まで延びるパターン41を形成するものであってもよい。本実施形態では、図10(a)〜(c)に示すように、パターン41が、柱状金属体14a〜14cから枠状金属体18まで延びる例を示す。
【0095】
このようなパターン41は、エッチングで形成することができ、電極10a〜10cの形成と同時に行うことができる。また、この実施形態では、図10(b)に示す矢印に沿って基板が切断されるが、その際、パターン41は、柱状金属体14a〜14cに比べて肉薄となるため、枠状金属体18を切断除去する際に、金属の切断量を少なくして、切断を容易にすることができるようになる。同様の効果は、パターン41が枠状金属体18の付近まで延びて途切れている場合でも得られる。
【0096】
このようなパターン41を設けることで、電極10a等のみを設ける場合と比較して、規範の放熱効果が大きくなると共に、絶縁層16への密着部分(面積)が大きくなるため、より強固な構造の基板とすることができる。
【0097】
(15)本発明では、図11に示すように、基板の裏面側において、金属板10がエッチング等されて生じた凹部45に対して、樹脂等の絶縁材を充填してもよい。その場合、充填する樹脂としては、絶縁層16と同じ材料又は異なった材料が使用できる。樹脂等の充填は、スキージ、印刷などによって好適に行うことができる。このように凹部45に樹脂等を充填することによって、基板の強度をより高めることができる。
【0098】
(16)本発明では、図12(a)に示すように、基板の切断位置(矢印の位置)のパターン41をより肉薄とする目的で、基板の切断位置の金属板10の裏面側に予め凹溝46を形成しておいてもよい。凹溝46を形成する方法としては、ダイサー等による切断、エッチング等が挙げられるが、基板の平坦性を保つ観点からエッチングにより、凹溝46を形成することが好ましい。凹溝46の幅は切断時の刃物の幅より広いことが好ましい。
【0099】
その場合、凹溝46に対して、樹脂等の絶縁材を充填してもよい。その場合、充填する樹脂としては、絶縁層16と同じ材料又は異なった材料が使用できる。樹脂等の充填は、スキージ、印刷などによって好適に行うことができる。基板の切断後は、図12(b)に示すように、凹溝46に充填された樹脂の一部が基板に残存することになる。
【符号の説明】
【0100】
10 金属板
10a,10b 電極(パッド)
10c パッド(電極)
14a〜14c 柱状金属体
16 絶縁層
18 枠状金属体
22 透光性樹脂
30 発光素子
40 柱状金属体の凹部
41 パターン
A 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の柱状金属体及び枠状金属体を設けた金属板に絶縁層を形成して、少なくとも前記柱状金属体の上面が絶縁層から露出した積層体を得る工程と、
前記金属板を複数に分断して、前記柱状金属体に導通する電極を形成する工程と、
得られた積層体を切断して、2以上の柱状金属体を有する基板を複数得る工程と、
を備える発光素子搭載用基板の製造方法。
【請求項2】
前記金属板を複数に分断する工程がエッチングにより行われる請求項1記載の発光素子搭載用基板の製造方法。
【請求項3】
前記エッチングを行う際に、前記枠状金属体の内側の金属板を裏面側からエッチングすることで、前記柱状金属体の裏面側の電極の下面と前記絶縁層の下面とが略同じ高さになるように、前記柱状金属体に導通する電極を形成する請求項2に記載の発光素子搭載用基板の製造方法。
【請求項4】
前記柱状金属体の上面に発光素子搭載用の凹部を形成する工程を更に備える請求項1又は2に記載の発光素子搭載用基板の製造方法。
【請求項5】
前記金属板を複数に分断する工程が、前記柱状金属体から前記枠状金属体まで又は前記枠状金属体の付近まで延びるパターンを形成するものである請求項1又は2に記載の発光素子搭載用基板の製造方法。
【請求項6】
2以上の柱状金属体と、柱状金属体と導通しつつその裏面側に設けられた2以上の電極と、その柱状金属体の上面を露出させる絶縁層と、その絶縁層の周囲に設けられた枠状金属体とを備える発光素子搭載用基板。
【請求項7】
前記枠状金属体の上面と柱状金属体の上面とが同じ高さである請求項6記載の発光素子搭載用基板。
【請求項8】
前記絶縁層がシリコーン白色レジストで形成されている請求項6又は7に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項9】
前記柱状金属体の上面に発光素子搭載用の凹部を形成してある請求項6〜8いずれかに記載の発光素子搭載用基板。
【請求項10】
上下反転させた状態で、前記柱状金属体の裏面側の電極の上面と前記絶縁層の上面とが略同じ高さであり、前記絶縁層の上面よりも前記枠状金属体の上面がより高い位置に形成してある請求項6記載の発光素子搭載用基板。
【請求項11】
請求項6又は7に記載の発光素子搭載用基板の何れかの柱状金属体に発光素子を熱的に又は熱的かつ電気的に接続し、他の柱状金属体に前記発光素子を電気的に接続してある発光素子パッケージ。
【請求項12】
請求項6又は7に記載の発光素子搭載用基板の何れかの電極に発光素子を熱的に又は熱的かつ電気的に接続し、他の電極に前記発光素子を電気的に接続してある発光素子パッケージ。
【請求項13】
透光性樹脂により実装した発光素子を封止してある請求項11又は12に記載の発光素子パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−253322(P2012−253322A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−54449(P2012−54449)
【出願日】平成24年3月12日(2012.3.12)
【出願人】(395015803)株式会社ダイワ工業 (2)
【Fターム(参考)】