説明

硬化性エポキシ樹脂系粘着組成物

A)少なくとも1つのエポキシ樹脂、B)ゴム粒子、C)ポリウレタン、板状フィラー及び酸化防止剤から選択された少なくとも1つの添加剤、D)少なくとも1つの熱活性化潜在性硬化剤及びE)少なくとも1つの可塑剤を含む組成物であって、熱によって硬化させる際、粘着剤は、油で汚染された金属表面に強力な結合を形成すると同時に、良好な衝撃強度及び/又は耐衝撃性を示すことができる生成物をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着剤として有用な組成物に関し、より詳細には、改善された耐衝撃性及び/又は改善された油性金属基材への粘着性を有するエポキシ系粘着組成物の調製に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの組成物及び製法が、膨張性、耐衝撃性ならびに接着し、充填し及び部品構造を形成するために有用な粘着剤の他の鍵となる特性を改善する目的で、多種多様なエポキシ系組成物及び他の樹脂及び粘着剤を製造し、使用するために、従来技術に記載されている。例えば、粘着組成物の製造用成分及び種々の基材を互いに接着し、構造強化を提供する組成物の使用について記載した特許は、米国特許第5,290,857号、第5,686,509号、第5,334,654号、第6,015,865号、第5,278,257号、第6,884,854号及び第6,776,869号ならびに米国特許公開第2005-0022929号を含む。
【0003】
車両組立てのような高度な構造接着作業のために、広範な硬化スケジュール、剛性改善、溶接低減及びエネルギー/管理を提供する粘着剤が必要である。特に、これらの特性を有するのみならず、油性物質で汚染された金属表面(特に、車両建設において用いることができる他のタイプの金属よりかなり安価であるという長所がある冷延鋼板からなる表面)に強力な結合を形成することができる熱硬化性化学構造の粘着剤を開発することが望ましい。
【0004】
特に、エポキシ樹脂基材に安定して分散し、ナノサイズ(例えば、約25〜約200nm)のコア−シェルゴム粒子の使用が、エポキシ系粘着剤の衝撃性を改善し得ることが知られている。しかし、そのような材料は、強力に油で汚染された金属表面と結合する硬化性粘着剤の能力に干渉する傾向がある。
【発明の概要】
【0005】
我々は、予想外に改善された粘着剤が、エポキシ樹脂と、ゴム粒子(好ましくは、コア−シェル構造及び/又は500nm未満の平均粒径を有する)と、ポリウレタン、板状フィラー及び酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤と、少なくとも1つの可塑剤(例えば、スルホン酸エステル可塑剤、リン酸エステル可塑剤)と、加熱によって活性化し得る少なくとも1つの潜在的硬化剤とを混合することによって製造することができることを見出した。また、任意に、そのような組成物は、キレート改変エポキシ樹脂、衝撃改変/強化助剤、マイカ(例えば、酸化カルシウム)以外のフィラー、チキソトロピー剤(例えば、フュームドシリカ、混合ミネラルチキソトロピー剤)又は他のアジュバントを含む。基材又はキャリアに塗布され、熱によって硬化することにより、粘着剤は、油で汚染された金属表面に強力な結合を形成すると同時に、良好な衝撃強度及び/又は耐衝撃性を示すことができる生成物をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の好ましい一実施形態では、粘着性組成物は、少なくとも1つのエポキシ樹脂(特に、ビスフェノールAのようなフェノールのジグリシジルエーテル)、少なくとも1つのコア−シェルゴム粒子、少なくとも1つの可塑剤(特に、リン酸エステル可塑剤)、少なくとも1つのポリウレタン(特に、イソシアネート終端プレポリマーと、例えば、米国特許第5,278,257号の実施例として記載されているような、ヒドロキシル及びアミノ基のような、例えば、フェノール性の、ベンジルアルコール、アミノフェニル又はベンジルアミノ基のような1以上の活性水素含有基を有する化合物との反応生成物)、アミン終端ポリエーテル等の1以上のアミン終端ポリマーと1以上のエポキシ樹脂との反応によって得られた少なくとも1つのエポキシ系プレポリマー、及び少なくとも1つの熱活性化潜在的硬化剤を含む。
【0007】
本発明の他の好ましい実施形態では、粘着組成物は、少なくとも1つのエポキシ樹脂(特に、ビスフェノールAのようなフェノールのジグリシジルエーテル)、少なくとも1つのコア−シェルゴム粒子、可塑剤(特に、スルホン酸エステル可塑剤)、アミノ終端ポリエーテルのような1以上のアミノ終端ポリマーと1以上のエポキシ樹脂との反応によって得られた少なくとも1つのエポキシ系プレポリマー、マイカ及び/又はタルク、少なくとも1つの酸化防止剤(特に、ヒンダードフェノール酸化防止剤)及び少なくとも1つの熱活性化潜在的硬化剤を含む。
【0008】
発明のさらに別の好ましい実施形態では、粘着組成物は、少なくとも1つのエポキシ樹脂(特に、ビスフェノールA等のポリフェノールのジグリシジルエーテル)、少なくとも1つのコア−シェルゴム粒子、可塑剤(特に、リン酸エステル可塑剤)、少なくとも1つのポリウレタン(特に、アクリレート官能化ポリウレタン)、アミノ終端ポリエーテルのような1以上のアミノ終端ポリマーと1以上のエポキシ樹脂との反応によって得られる少なくとも1つのエポキシ系プレポリマー、少なくとも1つの酸化防止剤(特に、ヒンダードフェノール酸化防止剤)及び少なくとも1つの熱活性化潜在的硬化剤を含む。
【0009】
他の実施形態では、粘着性組成物は、少なくとも1つのエポキシ樹脂(特に、ビスフェノールAのようなポリフェノールのジグリシジルエーテル)、50〜250nmの平均粒径を有し、液状エポキシ樹脂マトリクス中に安定して分散されたコア−シェルゴム粒子、少なくとも1つのポリウレタン、少なくとも1つのリン酸エステル可塑剤及び少なくとも1つの板状フィラー(特に、マイカ及び/又はタルク)を含む。そのような製剤は、冷延鋼板に特に強固な接着を達成すると同時に、優れた衝撃特性を示すことができる。
【0010】
エポキシ樹脂
一般に、1分子に少なくとも約2つの1,2−エポキシ基を有する多くのポリエポキシドが、本発明の組成物用のエポキシ樹脂として適切である。ポリエポキシドは、飽和、不飽和、環状、鎖状、脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式ポリエポキシド化合物であってもよい。適当なポリエポキシドの例は、ポリグリシジルエーテルを含み、それはアルカリ存在下、エピクロルヒドリン又はエピブロモヒドリンとポリフェノールとの反応によって製造される。従って、適当なポリフェノールは、例えば、レゾルシノール、ピロカテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA(ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン)、ビスフェノールF(ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン及び1,5−ヒドロキシナフタレンである。ポリグリシジルエーテルのベースとしての他の適当なポリフェノールは、フェノールとノボラック樹脂型ホルムアルデヒ又はアセトアルデヒドの既知の縮合生成物である。
【0011】
原則として適当な他のポリエポキシドは、多価アルコール又はジアミンのポリグリシジルエーテルである。そのようなポリグリシジルエーテルは、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール又はトリメチロールプロパン)から誘導される。
【0012】
他のポリエポキシドは、ポリカルボン酸のポリグリシジルエーテル、例えば、グリシドール又はエピクロロヒドリンと脂肪族又は芳香族ポリカルボン酸(シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、テレフタル酸又は二量体脂肪酸等)の反応生成物である。他のエポキシドは、オレフィン性不飽和脂環式化合物のエポキシ化生成物又は天然油脂から誘導される。
【0013】
特定の選択は、ビスフェノールA又はビスフェノールFとエピクロルヒドリンとの反応によって誘導される液状エポキシ樹脂である。一般に、室温で液体であるエポキシ樹脂は、150〜約480のエポキシ当量を有する。
【0014】
また、室温で固体であるエポキシ樹脂をもう一つの選択肢として用いることができ、それは、ポリフェノールとエピクロロヒドリンとから得られ、特に好ましいのは、45〜130℃、好ましくは50〜80℃の融点を有するビスフェノールA又はビスフェノールFをベースとしたものが挙げられる。それらは、より高い分子量によって実質的に液状エポキシ樹脂と異なり、その結果、それらは室温で固体となる。固体エポキシ樹脂は、一般に、400以上のエポキシ当量を有する。
【0015】
一般に、組成物は、エポキシ樹脂約25〜55重量%(一実施形態では、約30〜約50重量%)を含有することができる。
【0016】
ポリウレタン
本発明の一実施形態では、粘着組成物は、1以上のポリウレタンを含む。ポリウレタンは、複数のウレタン及び/又はウレア結合並びに室温未満のガラス転移温度(例えば、約0℃未満、約−20℃未満又は約−40℃未満)を有する1以上のソフト(エラストマー)セグメントを含有するいずれかのオリゴマー又はポリマー物質であってもよい。ウレタン及びウレア結合は、一般に、ポリオール(例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、モノマーポリアルコール、ポリブタジエンポリオール)又はポリアミンのような活性水素含有物質とイソシアネート(特に、1分子に2以上のイソシアネート基を含む化合物)との反応によって形成される。本発明の特定の実施形態では、使用のために選択されたポリウレタンは、イソシアネート基の少なくとも一部において反応又はブロック化したイソシアネート官能化ポリウレタンプレポリマーである。プレポリマーのイソシアネート基はアルコール(例えば、フェノール)、オキシム、アミン、ラクタム(例えば、カプロラクタム)、アセトアセテート、マロネート等のいずれかの適当な反応物とブロック化又は反応することができる。本発明の一実施形態では、粘着組成物が硬化する際、ブロッキング基は、ポリウレタンプレポリマーにおいて残存し、他の実施形態では、組成物が硬化する際、粘着組成物の他の成分と反応することができるように、脱ブロック化が起こる。
【0017】
例えば、ポリウレタンは、米国特許第3,297,745号、第4,360,653号、第4,390,662号、第4,719,268号、第4,486,582号、第4,618,658号、第5,334,654号及び第5,700,891号に記載されている(全趣旨を参照することによりここに取り込む)もののようなアクリレート官能化ポリウレタンであってもよい。(メタ)アクリレート官能化ポリウレタンは、イソシアネート終端ウレタンプレポリマーとイソシアネート反応性アクリレート及び/又はメタクリレートとの反応生成物を含むことができる。イソシアネート終端プレポリマーは、多官能イソシアネート、一般に、芳香族ジイソシアネートと、ポリオール、好ましくは長鎖水酸基終端ポリエーテルまたはポリエステルポリオール、例えば、C2〜C4ポリアルコールのエチレン及びプロピレンオキサイド付加物、ポリテトラメチレングリコール(ポリTHF)及びポリカプロラクトンとの反応によって製造される。硬化した粘着剤の柔軟性を高めるために、ポリオールの数平均分子量は、約400〜4000、好ましくは700〜2000の範囲とすればよい。一般に、1000未満の数平均分子量を有するポリオールを利用するアクリレート終端ウレタン樹脂は、非常に粘性である。より高分子量のポリオールは、製剤化された粘着剤における未成熟段階で分離を引き起こす傾向があり、不十分な物理特性をもたらす。好ましいイソシアネート終端ウレタンプレポリマーは、いずれかの既知の手段で製造することができ、例えば、2000のmwポリプロピレングリコールを、80/20の2,4/2,6−トルエンジイソシアネート混合物と反応させることができる。メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)又はパラフェニレンジイソシアネート(PPDI)等のいずれか他のポリイソシアネートも適している。
【0018】
一般に、(メタ)アクリレート官能化ポリウレタンを製造するために使用されるイソシアネート反応性アクリレート及びメタクリレート((メタ)アクリレート)は、ヒドロキシアルキルアクリレート及びメタクリレートならびにヒドロキシアクリレート(ヒドロキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート又はメタクリレート、ヒドロキシペンチルアクリレート又はメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート等)を含む。一般に、アクリレート又はメタクリレートのエステル部位は、C2〜C8アルコールからのものである。異なる(メタ)アクリレートの混合物を用いることができる。
【0019】
(メタ)アクリレート官能化ポリウレタンの定義に含まれるように選択した物質を製造するために用いることができるさらなる材料は、以下を含む。
250〜10000、好ましくは700〜40000の数平均分子量を有し、約10℃以下、好ましくは−10℃以下のガラス転移点を有するプレポリマー。これらポリプレマーの平均的な官能基は、少なくとも2、好ましくは2〜6、特に好ましくは2から3である。プレポリマーの終端官能基は、イソシアネート反応性であり、アミノ又はヒドロキシ又はカルボキシ又はメルカプトであってもよく、好ましくはヒドロキシである。特に好ましいプレポリマーは、数平均分子量約700〜約4000の直鎖又は分岐ポリプロピレングリコール、数平均分子量約700〜約4000の直鎖又は分岐ポリテトラヒドロフラン、数平均分子量約700〜約4000の直鎖又は分岐ポリ(1,2−ブチレンオキサイド)及び数平均分子量約700〜約4000のヒドロキシ終端ポリエステル、
【0020】
ポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネート又はトリイソシアネート(イソフォノロンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等)、及び
イソシアネート反応性アクリレート又はメタクリレート、好ましくはヒドロキシアクリレート又はメタクリレート(ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等)を含む。
【0021】
鎖延長剤(例えば、1,4ブタンジオール、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール等のジオール及びトリオール)は、任意に、ポリオールと組み合わせて、好ましくは0.01〜約5重量%で使用することができる。トリオール鎖延長剤は、上述したように、この反応の間に添加され、ポリイソシアネートの適当量が使用された場合、分岐NCO−先端化プレポリマーが生成する。ジオール鎖延長剤は、結果として生じるプレポリマーの分子量をコントロールするために用いることができる。このNCO−官能化ポリマーは、次いで、NCO−反応性アクリレート又はメタクリレートと反応させて、(メタ)アクリレート−官能化ポリウレタンのような本発明の目的のために記載された物質をもたらす。
【0022】
また、(メタ)アクリレート官能化ポリウレタンは、商業源(例えば、Air Productsによって商品名ANCAREZで販売されるアクリレート官能化ポリウレタン)から入手可能である。
【0023】
本発明の粘着組成物に対して適当なポリウレタンは、イソシアネート終端プレポリマー及び1以上の活性水素含有基(例えば、米国特許第3,525,779号、第3,636,133号、第5,278,257号及び第6,776,869号、米国公開公報第2005-070634号及びWO 2006/128722号(全趣旨を参照することによりここに取り込む)に記載のような、ヒドロキシ、チオールならびに第1級脂肪族、脂環式、複素環式芳香族及びアラルキル(araliphatic)アミノ及び第2級脂肪族、脂環式、複素環式芳香族及びアラルキル(araliphatic)アミノのようなアミノ基、アルキルアミド、フェノール、ベンジルアルコール、アミノフェニル又はベンジルアミノ基等)を有する化合物の反応生成物を含む。そのようなポリウレタンは、イソシアネート反応性終端基(例えば、活性水素含有終端基)を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。また、この種のポリウレタンは、商品名RAMで、商業的にHuntsman Advanced Materials(以前Vantico)から入手可能である。
【0024】
また、本発明における適切な使用のためのポリウレタンは、エーテル基を含む分岐芳香族ウレタンポリマー(例えば、Bayer Material Scienceによって商品名DESMOCAP 11A及びDESMOCAP 12Aで販売されている製品、これは、4−ノニルフェノールブロックイソシアネートプレポリマー又は4−ノニルフェノールでブロックされたポリプロピレングリコール/トルエンジイソシアネートプレポリマーとして記載されている)である。
【0025】
また、ポリウレタンは、米国公開公報第2007-0066721号及び第2007-0105983号(それぞれ、全趣旨を参照することによりここに取り込む)に開示のタイプのエポキシ−官能化ポリウレタンであってもよい。そのようなエポキシ−官能化ポリウレタンは、例えば、イソシアネート−官能化ポリウレタンプレポリマーとヒドロキシ−官能化グリシジルエーテルとの反応によって製造することができる。
【0026】
一般に、本発明の粘着組成物は、20重量%まで(例えば、約0.1〜約10又は約2〜約8重量%)のポリウレタンを含有することができる。
【0027】
可塑剤及びポリウレタンの双方が存在する本発明の実施形態では、可塑剤:ポリウレタンの重量比は、一般に、約0.1:1〜10:1又は他の実施形態では、約0.3:1〜約3:1である。
【0028】
本発明の特定の実施形態では、使用のために選択されるポリウレタンは、可塑性及び/又は柔軟性を有する。例えば、Bayer Material Scienceによって商品名DESMOCAP 2540(2倍の金属シアニド触媒と、ブロック化イソシアネート基とを用いて製造されるTDIとポリアルキレングリコールとに基づく鎖状プレポリマーとして示されている)で販売されているポリウレタンが、そのような目的のために適しているであろう。
【0029】
可塑剤
本発明に用いられる適当な可塑剤は、例えば、スルホン酸エステル可塑剤、リン酸エステル可塑剤、スルホンアミド可塑剤、グリセリントリエステル可塑剤、脂肪族ジカルボン酸のジアルキルエステル、安息香酸のグリコールエステル等を含む。好ましくは、可塑剤はフタレート含有可塑剤でない。
【0030】
具体的なスルホン酸エステル可塑剤は、ペンタデシルスルホン酸のフェニルクレシルエステル等のフェノール性化合物のアルキルスルホン酸エステルを含む。適当な市販のスルホナート可塑剤は、商品名MESAMOLLでバイエルから市販されている可塑剤を含む。
【0031】
リン酸エステル可塑剤は、例えば、リン酸のフェノールエステル(例えば、トリクレシルホスファート、クレシルジフェニルホスファート、イソプロピルトリフェニルホスファート、2−エチルヘキシルジフェニルホスファート、イソデシルジフェニルホスファート及びトリフェニルホスファート)のようなリン酸の有機エステル並びに他のトリアリールホスファート及びアルキルジアリールホスファートを含む。他の適当なホスファート可塑剤は、限定されないが、トリブトキシエチルホスファート、トリブチルホスファート等を含む。
【0032】
適当なグリセリントリエステル可塑剤は、米国特許第6,652,774号(全趣旨を参照することによりここに取り込む)に記載されている化合物を含む。
【0033】
また、例えば、N−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド(Unitex Chemical社によって商品名UNIPLEX 225で販売)、N−エチルトルエンスルホンアミド、N−(n−ブチル)ベンゼンスルホンアミド、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド等のような芳香族スルホンアミドを含むスルホンアミド可塑剤が利用できる。
【0034】
本発明の使用に適する他の可塑剤は、アジピン酸脂肪族ジカルボン酸C3〜C20ジアルキルエステル(例えば、ジオクチルアジピン酸エステル、ジブチルアジピン酸エステル、ジ(2−エチルヘキシル)アジピン酸エステル、ジイソノニルアジピン酸エステル、ジイソデシルアジピン酸エステル及びジ(ヘプチル、ノニル)アジピン酸エステル並びにジプロピレングリコールジベンソエート及びジプロピレングリコールモノベンゾエートのような安息香酸のグリコールエステルを含む。
【0035】
本発明の粘着組成物は、例えば、約20重量%までの全可塑剤(例えば、約0.1〜10又は約1〜約8重量%)を含むことができる。
【0036】
酸化防止剤
本発明の一実施形態では、粘着性組成物は、1以上の酸化防止剤をさらに含む。本発明の目的のために特に適当な酸化防止剤は、フェノール性(特に、ヒンダードフェノール性)酸化防止剤、例えば、フェノールとジエンとのアルキル化反応生成物、例えば、p−クレゾールとジシクロペンタジエンとのブチル化反応生成物(Eliokemから販売されている商品名WINGSTAY L))並びにステアリル3−(3,5−ジ−tert-ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート(Akrochem社によって販売されている商品名ANTIOXIDANT 1076)が挙げられる。
【0037】
一般に、酸化防止剤は、3重量%(例えば、約0.1〜約2重量%)までの濃度で粘着組成物に存在させることができる。
【0038】
板状フィラー
本発明の特定の実施形態では、粘着組成物は、さらに1以上の板状フィラー(例えば、マイカ、ガラスフレーク、金属フレーク、離層グラファイト、タルク又はクレイ(例えば、カオリン)を含有する。好ましくは、マイカは、粉末又は顆粒状の4Kマイカのような白雲母である。マイカ粒子は、例えば、比較的高いアスペクト比(例えば、約5〜約15)で、約10〜約20lb/ft3の容積密度、約10〜約100ミクロンのメジアン径[D(V、0.5)、サンプルの50%がこの値より小さく、50%がこの値より大きい粒子サイズ、また、マスメジアン径として知られる]を有していてもよい。一般に、組成物は、約10重量%(例えば、約0.1〜約3重量%)の板状フィラーを含んでいてもよい。板状フィラーの表面は、例えば、シランのような架橋剤との反応によって任意に処理されていてもよい。
【0039】
硬化剤
本発明の組成物は、好ましくは1部又は1成分組成物であり、高温で硬化するものであり、それらは、また、室温をかなり上回る温度に粘着剤が加熱される際、粘着成分のある程度の架橋又は硬化を達成することができる1以上の硬化剤(硬化促進剤)を含む。つまり、硬化剤は、加熱によって活性化される。硬化剤は、触媒方式で機能するか、本発明の好ましい実施形態では、接着成分の1以上との反応によって直接硬化プロセスに関与することができる。
【0040】
例えば、グアニジン、置換グアニジン、置換ウレア、メラミン樹脂、グアナミン誘導体、環状第三アミン、芳香族アミン及び/又はそれらの混合物は、本発明の粘着組成物のための熱的に活性化可能であるか潜在的硬化剤として用いることができる。硬化剤は、化学量論的に硬化反応に関係することができるが、それらは、触媒活性であってもよい。置換グアニジンの例は、メチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、メチルイソビグアニジン、ジメチルイソビグアニジン、テトラメチルイソビグアニジン、ヘキサメチルイソビグアニジン、ヘプタメチルイソビグアニジンであり、特に、シアノグアニジン(ジシアンジアミド)である。適当なグアナミド誘導体の代表例は、アルキル化ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂又はメトキシメチルエトキシメチルベンゾグアナミンが挙げられる。一成分、熱硬化性粘着剤としての選択基準は、もちろん、樹脂系中への、室温でのそれらの物質の溶解性が低いことであり、そのため、固体、微粒子の硬化剤が好ましく、ジシアンジアミドが特に適している。組成物の良好な貯蔵安定性がそれによって確保される。
【0041】
上述した硬化剤に加えて又は代わりに、触媒活性置換ウレアを使用することができる。それらは、特にp−クロロフェニル−N,N−ジメチルウレア(モニュロン)、3−フェニル−1,1−ジメチルウレア(フェヌロン)または3,4−ジクロロフェニル−N,N−ジメチルウレア(ジウロン)である。原則として、触媒的に活性第三アクリル−またはアルキルアミン(例えば、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノ)フェノール)、ピペリジン又はピペリジン誘導体も使用することができるが、それらは、多くの場合、接着剤系に相当溶解し、そのため、単一成分システムの有用な貯蔵安定性がなし遂げられない。また、種々のイミダゾール誘導体(好ましくは、固体イミダゾール誘導体)を、触媒的に活性なアクセラレータとして使用することができる。2−エチル−2−メチルイミダゾール、N−ブチルイミダゾール、ベンズイミダゾール及びN−C1〜C12−アルキルイミダゾール又はN−アリールイミダゾールが挙げられる。特定の選択は、微細顆粒の形態でのいわゆる促進化ジシアンジアミドの形態での硬化剤及びアクセラレータの組合せの使用が挙げられる。よって、触媒的に活性なアクセラレータのエポキシ硬化システムへの別々の追加は必要でない。
【0042】
使用される硬化剤の量は、硬化剤が触媒として機能するか又は組成物の架橋において直接関与するかどうか、組成物中のエポキシ基及び他の反応基の濃度、好ましい硬化レート等を含むいくつかの要因に依存する。一般に、組成物は、約0.5から約8重量部の硬化剤を含む。
【0043】
ゴム粒子
ゴム粒子、特に、コア−シェル構造及び/又は比較的小さい平均粒径(例えば、約500nm未満又は約200nm未満)を有するゴム粒子は、本発明の組成物のさらなる構成成分である。一実施形態では、ゴム粒子は、コア−シェル構造及び約500nm未満の平均粒径を有する。他の実施形態では、ゴム粒子はシェルがないが、約500nm未満の平均粒径を有する。さらに別の実施形態では、ゴム粒子は、コア−シェル構造及び約500nmを超える平均粒径を有する。
【0044】
好ましくは、ゴム粒子は、比較的小さい。例えば、平均粒径は、約0.03から約2ミクロン又は約0.05から約1ミクロンとすることができる。本発明の特定の実施形態では、ゴム粒子は、約500nm未満の平均直径を有する。他の実施形態では、平均粒径は、約200nm未満である。例えば、ゴム粒子は、約25から約200nm又は約50から約150nmの範囲の平均粒径を有することができる。
【0045】
コア−シェルゴム粒子は、一般に、非弾性ポリマー材料(すなわち、ガラスの転移温度が周囲温度より大きな(例えば、約50℃を超える)熱可塑性又は熱硬化性/架橋ポリマー)からなるシェルで囲まれた、弾性又はゴム特性(すなわち、約0℃未満、例えば、約−30℃未満のガラスの転移温度)を有するポリマー材料からなるコアを有する。例えば、コアは、ジエンホモポリマー又はコポリマー(例えば、ブタジエン又はイソプレンのホモポリマー、ブタジエン又はイソプレンと、ビニル芳香族モノマーのような1以上のエチレン性不飽和モノマーとのコポリマー、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリレート等)を含んでいてもよく、一方、シェルは、適当に高いガラス転移温度を有する、(メタ)アクリレート(例えば、メタクリル酸メチル)、ビニル芳香族モノマー(例えば、スチレン)、ビニルシアン化物(例えば、アクリロニトリル)、不飽和酸及び無水物(例えば、アクリル酸)、(メタ)アクリルアミド等のような1以上のモノマーのポリマー又はコポリマーを含んでいてもよい。シェルで用いられるポリマー又はコポリマーは、金属カルボキシレート構造によって(例えば、二価金属陽カチオンの塩類を形成することによって)イオンにより架橋された酸基を有していてもよい。
【0046】
シェルポリマー又はコポリマーは、1分子につき2以上の二重結合を有するモノマーを用いることにより、共有結合して架橋することもできる。シェルの外表面は、カルボン酸基のような基で官能化することができる。また、ポリブチルアクリレート又はポリシロキサンエラストマー(例えば、ポリジメチルシロキサン、特に架橋ポリジメチルシロキサン)を含む他のゴム様ポリマーを、コアのために使用することが適するかもしれない。ゴム粒子は、2以上の層(例えば、1つのゴム様材料の中心コアが異なるゴム様材料の第2のコアに囲まれていてもよいし、あるいは、ゴム様のコアが異なる組成の2つのシェルで囲まれていてもよいし、あるいは、ゴム粒子がソフトコア、ハードシェル、ソフトシェル、ハードシェルを有していてもよい)から構成することができる。
【0047】
本発明の一実施形態では、用いられるゴム粒子は、コアと、異なる化学組成及び/又は特性を有する少なくとも2つの同心のシェルとからなる。コア又はシェル又はコアとシェルとの双方は、例えば、米国特許第5,686,509号(全趣旨を参照することによりここに取り込む)に記載されているように、架橋されていてもよい(例えば、イオンによって又は共有結合によって)。シェルはコアにグラフト化されていてもよい。シェルを含むポリマーは、本発明の組成物の他の成分と相互作用することができる1以上の異なる種類の官能基(例えば、エポキシ基)を有していてもよい。
【0048】
一般に、コアは、ゴム粒子の重量に対して、約50から約95重量%、シェルは、ゴム粒子の重量に対して、約5から約50重量%を含んでいる。
【0049】
コア−シェル構造を有するゴム粒子を製造する方法は、当該分野でよく知られており、例えば、米国特許第3,985,703号、第4,419,496号、第4,778,851号、第5,223,586号、第5,290,857号、第5,534,594号、第5,686,509号、第5,981,659号、第6,111,015号、第6,147,142号、第6,180,693号、第6,331,580号及び米国公開2005-124761号(全趣旨を参照することによりここに取り込む)に記載されている。コア−シェル構造を有するゴム粒子は、いくつかの商業源からも入手可能である。
【0050】
例えば、以下のコア−シェルゴムが、本発明の使用に適している。GENIOPERL P22、P23、P52及びP53を含むGENIOPERLの商品名でWacker Chemieから入手可能な粉末形態のコア−シェル粒子、これは、架橋ポリシロキサンコア、エポキシ官能化ポリメチルメタクリレートシェルを有し、ポリシロキサン含量が65重量%、DSC/DMTAによる測定で軟化点約120℃、約100nmの一次粒径である。PARALOIDの商品名(特に、PARALOID EXL 2600/3600シリーズの製品)でRohm & Haasから入手可能なコア−シェル粒子、これはスチレン/メチルメタクリレートコポリマーがグラフト化されたポリブタジエンコアを含むポリマーがグラフト化され、約0.1から約0.3ミクロンの平均粒径を有する。コア−シェルゴム粒子、これは商品名DEGALAN(例えば、DEGALAN 4899F、これは約95℃のガラス転移温度を有すると報告されている)でRoehm GmbH又はRoehm America, Inc.から市販されている。コア−シェルゴム粒子、これは、商品名F351で日本ゼオンから市販されている。コア−シェルゴム粒子、これは、商品名BLENDEXでGeneral Electricで市販されている。
【0051】
コア−シェル構造を有するゴム粒子は、ゴム粒子がビスフェノールAのジグリシジルエーテルのような1以上のエポキシ樹脂に分散されているマスターバッチとして製造することができる。例えば、ゴム粒子は、一般に、水溶性分散液又はエマルジョンとして製造されている。そのような分散液又はエマルジョンは、所望のエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂と水との混合物、蒸留等によって取り出された他の揮発性物質と組み合わせることができる。そのようなマスターバッチを製造する一つの方法が、欧州特許公報EP 1632533号(全趣旨を参照することによりここに取り込む)においてより詳細に記載されている。
【0052】
例えば、ゴム粒子の水性ラテックスは、水中で、部分的な可溶性を有する有機媒体と接触させ、次いで、水中で第1の有機媒体より低い部分的な可溶性を有する他の有機媒体と接触させ、水を分離し、第2有機媒体中でゴム粒子の分散液を提供する。この分散液は、次いで、所望のエポキシ樹脂及び蒸留等で取り出された揮発成分と混合し、マスターバッチを提供する。
エポキシ樹脂マトリクス中に安定に分散したコア−シェル構造を有するゴム粒子のマスターバッチの他の製造方法は、米国特許第4,778,851号及び第6,111,015号(全趣旨を参照することによりここに取り込む)に記載されている。好ましくは、ゴム粒子はエポキシ樹脂マトリクス中で安定して分散している(つまり、コア−シェルゴム粒子は、マスターバッチが、室温に放置されることによってエージングされるにつれて、マスターバッチからの粒子の沈殿(分離)がほとんどない又は全く凝集せずに分離した個々の粒子として存在する)。ゴム粒子のシェルは、マスターバッチの安定性を改善するために、有利に官能化されてもよいが、特定の実施形態において、シェルは官能化されない(組成物が硬化する際、粘着組成物の他の成分のいずれかと反応する官能基を含まない)。
【0053】
特に、エポキシ樹脂マトリクス中のコア−シェル構造を有するゴム粒子の適当な分散液は、商品名「ACE MX」でカネカ社から入手可能である。
【0054】
例えば、コアは、主に、ブタジエンのようなジエン、(メタ)アクリレート、特にアクリルニトリルのような不飽和ニトリル及び/又はポリマー化又はコポリマー化した場合、低いガラス転移温度を有するポリマー又はコポリマーを生成するいずれかの他のモノマーの原料供給によって形成することができる。外側シェルは、主に、メチルメタクリレートのような(メタ)アクリレート、スチレンのようなビニル系芳香族モノマー及び/又は塩化ビニルのようなエチレン性不飽和ハロゲン化炭化水素及び/又はポリマー化又はコポリマー化した場合、高いガラス転移温度を有するポリマーを精製する他のモノマーの原料供給によって形成することができる。
【0055】
コア−シェルゴムは、粒径が0.07から10ミクロン、特に0.1から5ミクロンの範囲とすることができる。
【0056】
このように作られるコア−シェルゴムは、エポキシマトリックス又はフェノールマトリックス中に分散することができる。マトリクス材料は、望ましくは室温の液体である。エポキシマトリクスの例は、ビスフェノールA、F又はSのグリシジルエーテル、ビスフェノール、ノボラックエポキシド及び脂環式エポキシを含む。フェノール樹脂の例は、ビスフェノールA系フェノキシを含む。
【0057】
コア−シェルゴム粒子は、約5〜約50重量%(約15〜約40重量%)の範囲の量でエポキシ又はフェノールマトリックス中に存在することができる。
【0058】
本発明の製剤において、製剤を硬化するために用いられる温度にかかわりなく、これらのコア−シェルゴムを使用することによって、製剤中で強固に硬化することを可能にする。つまり、コア−シェルゴムのために製剤中での本来的に起こる2相分離のために、例えば、製剤において混和性、部分的に混和性又は非混和性である、製剤を硬化するために用いられるそれらとは異なる温度で固化することができる液状ゴムと対照的に、製剤中の相分離が、性質上、実質的に均一となることがしばしば観察されるためマトリックス特性の最小限の破壊に止まる。
【0059】
さらに、硬化に関して温度中立性の観点から、実質的に均一な分散のために、硬化の達成を予想することができる。
【0060】
Kanekaから入手可能なコア−シェルゴム構造の多くは、(メタ)アクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体から形成されたコアを有すると思われており、ブタジエンは、エポキシ樹脂中に分散され、粒子が分離された相における主な成分である。エポキシ樹脂に分散するコア−シェルゴム粒子の他の市販のマスターバッチは、Wacker Chemie GmbHから入手可能であるGENIOPERL M23A(ビスフェノールAグリシジルエーテルに基づく芳香族エポキシ樹脂中に30重量%コア−シェル粒子が分散し、コア−シェル粒子は平均粒径約100nmを有し、エポキシ−感応アクリレート共重合体がグラフト化された架橋されたシリコーンゴムコアを含み、シリコーンゴムコアはコア−シェル粒子の約65重量%存在する)を含む。
【0061】
一般に、組成物は約5〜約35重量部(一実施形態では、約15〜約30重量部)のコア−シェル構造を有するゴム粒子を含むことができる。
【0062】
異なるコア−シェルゴム粒子の組合せが、本発明において有利に使用することができる。コアシェルゴム粒子は、例えば、粒径、コア及び/又はシェルそれぞれのガラス転移温度、コア及び/又はシェルそれぞれに使用されるポリマー組成、シェルそれぞれの官能化等において異なるかもしれない。一部のコア−シェル粒子は、エポキシ樹脂マトリクス中に安定に粒子が分散したマスターバッチの形態の接着組成物に供給され、他の一部は、乾燥粉末(つまり、エポキシ樹脂又は他のマトリクス材なしに)の形態の接着組成物に供給されるかもしれない。例えば、粘着組成物は、平均粒径約0.1から約0.5ミクロンを有する乾燥粉末での第1のコア−シェル粒子と、平均粒径約25から約200ミクロンを有する約5〜約50重量%の濃度で液状ビスフェノールAグリシジルエーテルのマトリクス中に安定に分散された第2のコア−シェル粒子との双方を用いて調製することができる。第1:第2コア−シェルゴム粒子の重量比は、例えば、約1.5:1から約0.3:1とすることができる。
【0063】
本発明の他の実施形態では、ゴム粒子には、中心コアを封じ込めるシェルがない。そのような実施形態において、ゴム粒子の化学組成は、各粒子全体にわたって基本的に均一である。しかし、粒子の外表面は、粘着組成物中でのゴム粒子の分散能を高める(例えば、ゴム粒子の凝集を低減させる、粘着組成物でのゴム粒子の沈降傾向を低減させる)ように、架橋剤、酸化剤等と反応させることにより改変することができる。また、ゴム粒子表面の改変は、粘着剤が硬化する際、ゴム粒子に対するエポキシ樹脂マトリクスの粘着力を高めるかもしれない。あるいは、ゴム粒子は、粒子の異なる領域においてゴム粒子を構成するポリマーの架橋の程度を変化させるために、放射線照射を受けるかもしれない。例えば、ゴム粒子は、粒子の中心におけるよりも粒子の表面により近いところで、ゴムがより高度に架橋するように、γ線照射で処理することができる。
【0064】
シェルを有さないゴム粒子の製造において使用される適当なポリマーは、コア−シェルゴム粒子のコアとして使用するために適当なものとして先に記載されたポリマーのいずれから選択することができる。このように、ゴム粒子は、弾性又はゴム用特性(つまり、ガラス転移温度が約0℃よりも低く、例えば、約−30℃未満)を有するポリマー材料を含むことができる。実例となる適当なポリマーは、限定されることなく、ジエンホモポリマー及びコポリマー並びにポリシロキサンを含む。ポリマーは、カルボキシレート基、水酸基等のような官能基を含むことができ、鎖状、分岐、架橋、ランダム共重合またはブロック共重合構造を有していてもよい。
【0065】
コア−シェル構造を有さないが本発明の使用に適しているゴム粒子は、商業源から入手可能である。例えば、Eliokem社によって供給される以下のゴム粒子を用いることができる。NEP R0401及びNEP R401S(双方とも、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体に基づく)、NEP R0501(カルボキシル化されたアクリロニトリル/ブタジエン共重合体に基づく、CAS 9010-81-5)、NEP RO60IA(ヒドロキシ終端ポリジミチルシロキサンに基づく、CAS 70131-67-8)並びにNEP R0701及びNEP 0701S(ブタジエン/スチレン/2−ビニルピリジン共重合体に基づく、CAS 25053-48-9)。前述の材料は、無機材料(例えば、炭酸カルシウム又はシリカ)の微量を含むと思われている。
【0066】
また、粒子表面で、例えば、極性基(例えば、水酸基、カルボン酸基)を形成することによって粒子の外表面を改変するために反応性ガス又は他の試薬で処理されたゴム粒子も、本発明の使用に適している。実例となる反応性ガスは、例えば、オゾン、C12、F2、O2、SO3及び酸化性ガスを含む。そのような試薬を用いるゴム粒子の表面を改変する方法は、当該分野で公知であり、例えば、米国特許第5,382,635号、第5,506,283号、第5,693,714号及び第5,969,053号(全趣旨を参照することによりここに取り込む)に記載されている。また、適当な表面改変ゴム粒子は、商業源から入手可能である(例えば、Exousia社によって商品名「Vistamer」で販売されているゴム)。
【0067】
ゴム粒子がコア−シェル構造を有さない場合、粒子は、比較的小さい平均粒径を有することが一般に好ましい。本発明の特定の実施形態では、ゴム粒子は、約500nm未満の平均粒径を有する。他の実施形態では、平均粒径は、約200nm未満である。例えば、ゴム粒子は、約25から約200nm又は約50から約150nmの平均粒径を有することができる。
【0068】
ゴム粒子は、まず乾燥形態で供給され、そのような粒子は、粘着組成物を硬化する前に粘着組成物中に良好に分散することを確保することが有利かもしれない。つまり、ゴム粒子の凝集を、分離した個々のゴム粒子を供給するためにバラバラにすることが好ましく、それは粘着組成物の他の成分と乾燥ゴム粒子との完全で、徹底的な混合によって達成されるかもしれない。例えば、乾燥ゴム粒子を、エポキシ樹脂と混合し、基本的に完全にゴム粒子を分散させて、ゴム粒子のいずれの凝集をもバラバラにするために効果的な時間、粉砕又は溶融混合することができる。
【0069】
一般に、本発明の実施形態では、粘着組成物は、ゴム粒子及び/又は衝撃改質/強化助剤を含み、エポキシ樹脂の重量比:衝撃改質/強化助剤の混合重量(例えば、エポキシを主成分とするプレポリマー)及びコア−シェル構造を有するゴム粒子は、約0.25:1から約2.5:1又は約0.5:1から約1.5:1である。
【0070】
本発明の実施形態では、粘着組成物は、ゴム粒子と1以上の衝撃改質/強化助剤との双方を含み、衝撃改質/強化助剤の重量比(例えば、エポキシを主成分とするプレポリマー):ゴム粒子は、通常、約3:1から約0.2:1又は約2:1から約0.5:1である。
【0071】
衝撃改質/強化助剤剤
本発明の硬化粘着組成物の衝撃特性は、1以上の衝撃改質及び/又は強化助剤を導入することによって、さらに改善又は改質することができる。一実施形態では、粘着組成物が硬化する際、衝撃改質/強化助剤がエポキシ樹脂成分の反応に関与することができる1以上の官能基を含有する。適当な反応性官能基は、エポキシ基、カルボン酸基などを含む。
【0072】
1以上のアミン終端ポリエーテルのようなアミン終端ポリマー又はポリマーでキャップされたアミノシランと、1以上のエポキシ樹脂との反応によって得られるエポキシ系プレポリマー(時々ここで「付加物」と記す)は、好ましいタイプの衝撃改質/強化助剤を表す。このような目的のために有用なエポキシ樹脂は、上述したエポキシ樹脂の中から選択することができ、特に、ビスフェノールA及びビスフェノールFのようなポリフェノールのジグリシジルエーテル(例えば、約150から約100のエポキシ当量を有するもの)が好ましい。固体および液体エポキシ樹脂の混合物が、用いるのに適しているかもしれない。
【0073】
アミン終端ポリエーテルからのそのようなエポキシ系プレポリマーの製造は、周知の技術であって、例えば、米国特許第5,084,532号及び第6,015,865号(全趣旨を参照することによりここに取り込む)に記載されている。一般に、反応させるアミン終端ポリエーテル:エポキシ樹脂の比率を調節することは、多くの場合好ましい。アミン官能基を完全に反応させるように、アミン基に対してエポキシ基を過剰に用いるようにエポキシ基を反応させる(つまり、エポキシ系プレポリマーが実質的にアミン基を有さない)。
【0074】
エポキシ系プレポリマーの製造において、例えば、以下の化合物を用いることができる。
1.以下の式で表される線形アミノ終端ポリオキシエチレンエーテル:

ここで、nは17から27が好ましい。
【0075】
2.以下の式で表される線形アミノ終端ポリオキシプロピレンエーテル:

ここで、nは5から100が好ましい。これらは、Huntsman Chemica社(JEFFAMINE(登録商標)(D−シリーズ)から得られる。このようなアミン終端ポリオキシプロピレンエーテルの数平均分子量は、例えば、約300から約5000と変化させることができる。
【0076】
3.以下の式で表される三官能化化合物:

ここで、Aは、

であり、x、y及びzは、それぞれ独立して、1〜40であり、x+y+zは好ましくは6より大である。これらの三官能基化合物の典型例は、Huntsman Chemical社のJeffamine(登録商標)(T−シリーズ)として入手可能である。そのような物質は、典型的には、約300から約6000の数平均分子量を有する。
【0077】
4.ポリマーでキャップされたアミノシラン、以下の一般式で包含されるもの:

ここで、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アリール及びアリールオキシであり、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、アルキル及びアリールから選択され、Xはアルケン、アルケニレン、アリーレンから選択され、ヘテロ原子、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリジエン、ポリシロキサン及びポリイミドによって中断されていてもよい。
【0078】
例えば、アミン終端シロキサンは、以下の式で包含されるジアミノシロキサン等を用いてもよい:

ここで、R11及びR12は、同一又は異なって、アルキレン、アリーレン、アルキレンオキサイド、アリーレンオキサイド、アルキレンエステル、アリーレンエステル、アルキレンアミド又はアリーレンアミドから選択され、R9及びR10は、同一又は異なって、アルキル又はアリールから選択され、R7及びR8は、上記と同義であり、nは1から1200である。
【0079】
KF857、KF858、KF859、KF861、KF864及びKF880の商品名として、信越化学工業から商業的に入手可能である特定のアミノ改変シリコーン流体は、ここで有用となり得る。さらに、Wacker Siliconesは、L650、L651、L653、L654、L655及びL656として一連のアミノ官能化シリコーン流体を提供しており、商用名WACKER FINISH WR 1600であるアミノ官能化ポリジメチルシロキサンがここで有用となり得る。
【0080】
付加物の形成において有用な他のアミノ官能化シラン又はシロキサンは、Degussa's Sivento divisionから市販品として入手可能であり、アミノ官能化シラン組成物(DYNASYLAN(登録商標)1126)、オリゴマージアミノシラン系(DYNASYLAN(登録商標)1146)、N−ビニルベンジル−N’−アミノエチル−e−アミノプロピルポリシロキサン(DYNASYLAN(登録商標)1175)、N−(n−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(DYNASYLAN(登録商標)1189)、アミノ官能化シラン組成物(DYNASYLAN(登録商標)1204)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(DYNASYLAN(登録商標)1411)、3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン(DYNASYLAN(登録商標)1505)、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(DYNASYLAN(登録商標) 1506)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(DYNASYLAN(登録商標)AMEO)、アミノシラン組成物(DYNASYLAN(登録商標)AMEO-T)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(DYNASYLAN(登録商標)AMMO)、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(DYNASYLAN(登録商標)DAMO)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(DYNASYLAN(登録商標)DAMO-T)及びトリアミノ官能化プロピルトリメトキシシラン(DYNASYLAN(登録商標)TRIAMO)などである。
【0081】
エポキシ樹脂をアミン終端ポリエーテルに反応させる際、アミノ基がエポキシド基と完全に反応するように、アミノ終端ポリエーテルに対してエポキシ基の過剰を用いることが好ましい。典型的には、アミン終端ポリエーテルの活性水素当量(AHEW)に対してエポキシ基が1.5から10倍過剰、例えば、3.5倍過剰である。本発明による組成物の製造では、エポキシ系プレポリマー成分は、主に、第1段階で製造することが好ましい。このため、望ましくは、エポキシ樹脂は、所望の比率で、アミン終端ポリエーテルc)と反応させる。例えば、反応は3時間の長さ、望ましくは90〜130℃で、例えば、約120℃の高温で、行うことが好ましい。
【0082】
エポキシ粘着剤における公知の他の強化剤又は衝撃改質剤を、アミノ終端ポリエーテルとエポキシ樹脂との反応によって誘導される上述したエポキシ系プレポリマーに加えて又はそのエポキシ系プレポリマーの代わりに用いることができる。一般に、そのような強化剤及び衝撃改質剤は、約0℃より低い、好ましくは、約−30℃より低い、さらに好ましくは約−50℃より低いガラス転移温度を有していることによって特徴付けられる。そのような強化剤及び衝撃改質剤は、限定されないが、
【0083】
ブタジエンのような共役ジエンのエポキシ反応性コポリマー(特に、ブタジエンと(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸又はアルキルアクリレートのような比較的極性のコモノマーとのエポキシ反応性コポリマー、例えば、Noveon社の商品名HYCARで入手可能な生成物のような、カルボキシル終端ブタジエンニトリルゴムのような、)と、エポキシ樹脂(米国特許公開第2003/0196753号及び第2005-0070634号及び米国特許第6,776,869号に記載されている(全趣旨を参照することによりここに取り込む)ような)との反応生成物、
【0084】
無水物(例えば、マレイン酸無水物等の不飽和無水物)及びジエンポリマー(例えば、液状1,4−シスポリブタジエン)の付加物、典型的には数平均分子量約1000から約5000を有し、例えば、Degussa Corporation によって商品名POLYVESTで販売されている付加物、並びにそのような付加物とエポキシ樹脂とのさらなる反応生成物、
【0085】
ポリエステル、例えば、アモルファス、結晶性及び/又は半結晶性ポリエステルを含み、飽和ポリエステルを含む、脂肪族及び/又は芳香族ジカルボン酸(又は対応アルキルエステル又は無水物)と、C2からC20の鎖長を有するジオールとの縮合によって製造される、ポリエステルは中程度の分子量(例えば、約1000から約20000の数平均分子量)を有し、そのようなポリエステルは、Degussa Corporationによって、商品名DYNACOLLで販売されており、カルボン酸及び/又はヒドロキシ終端基で官能化されたポリエステルを含み、ならびにそのような官能化ポリエステルのエポキシ樹脂の付加物、
【0086】
二量体脂肪酸とエポキシ樹脂との付加物(例えば、Resolution Performance Productsによって商品名EPON 872で販売されている付加物、CVC Specialty Chemicalsによって商品名HYPOX DA323 (前はERISYS EMDA 3-23)で販売されている付加物、ならびに米国特許第5,218,063号(全趣旨を参照することによりここに取り込む)に記載のそれら付加物、
【0087】
ヒドロキシ含有トリグリセリド(例えば、硬化油)とエポキシ樹脂との付加物(例えば、Resolution Performance Productsによって商品名HELOXY 505で販売されている付加物を含む)、
【0088】
ポリスルフィドとエポキシ樹脂との付加物(例えば、Akzo Nobelによって商品名THIOPLAST EPS 350で販売されている付加物を含む)、
アミン終端ポリジエン及びジエンコポリマーとエポキシ樹脂との付加物、
【0089】
ヒドロキシアリールカルボン酸又はヒドロキシアラルキルカルボン酸でキャップされたポリエステルプレポリマー、あるいはキャップされたポリエステル、ポリチオエステル又はポリエーテルセグメント含有ポリアミド(例えば、米国特許第5,202,390号で記載された、全趣旨を参照することによりここに取り込む)、特に、この特許のカラム1の59行目からカラム2の16行目に記載された製剤Iの強化剤、
【0090】
ブロックコポリマー、コポリマーの少なくとも1つのポリマーブロックは、20℃より低いガラス転移温度(好ましくは0℃以下、−30℃以下、−50℃以下)を有し、コポリマーの少なくとも1つのポリマーブロックは、20℃以上のガラス転移温度(好ましくは50℃以上、70℃以上)を有する。特に、ポリスチレンブロック、1,4−ポリブタジエンブロック(好ましくは約−60℃以下のガラス転移温度を有する)及びポリメチルメタクリレートブロック(好ましくは高い、つまり、80%より大きなシンジオタクチック構造を有し、ニトロキシド開始剤を用いたリビング重合法によって製造されたSBMコポリマー(米国特許第5,677,387号、第5,686,534号及び第5,886,112号に記載された方法のような、全趣旨を参照することによりここに取り込む)、Arkemaによって商品名NANOSTRENGTHで販売されている)を含有するブロックコポリマー及び米国特許第6,894,113号(全趣旨を参照することによりここに取り込む)に記載されたブロックコポリマー、
【0091】
アミノ又はヒドロキシル終端ポリマー及びカルボキシ無水物のカルボキシ官能化付加物ならびにそのような付加物とエポキシ樹脂とのさらなる反応生成物(米国特許第6,884,854号及び米国公開第2005-0215730号(全趣旨を参照することによりここに取り込む)に記載されたもの)、
【0092】
エポキシ基で官能化されたエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド又はそれらの混合物のようなアルキレンオキサイドのポリマーのようなエポキシ終端ポリエーテル、ポリアルキレングリコールのヒドロキシキとエピクロロヒドリンとの反応によるものを含む、
【0093】
化学量論過剰のカルボキシル無水物又は二無水物とジアミン又はポリアミンとの反応、次いで、過剰のカルボキシル無水物又はカルボン酸基と少なくとも1つのポリフェノールまたはアミノフェノールとのさらなる反応によって生成されたフェノール終端及びアミノフェニル終端生成物(例えば、米国公開第2004-0181013号に記載されたもの(全趣旨を参照することによりここに取り込む)。
【0094】
異なる衝撃改質/強化助剤の混合物を用いてもよい。本発明の硬化組成物における衝撃改質/強化助剤の総量は、実質的に変更することができるが、典型的には、約40重量以下、例えば、約5〜約25重量%である。
【0095】
エポキシ系プレポリマーが用いられる際、組成物は、一般に、そのようなエポキシ系プレポリマーを約5から約30重量%(一実施形態では、約10〜約25重量%)含むことができる。
【0096】
接着促進剤
基材表面、特に、一般に遭遇する車両組み立て作業において、油性物質で汚染された金属基材表面に対する硬化粘着剤の接着を改善することを助長するため、エポキシ樹脂及びキレート官能基含有化合物の1以上の反応生成物(ここで、キレート改変エポキシ樹脂と称する)を組成物に添加する。
【0097】
そのような反応生成物は、「キレートエポキシ」又は「エポキシ樹脂をキレート化する」として当該分野で一般に呼称されている物質を含む。キレート官能基は、それ自体又は同じ分子において配置された他の官能基と協働することによって、1価又は多価金属原子とキレート結合を形成することができるこれらの官能基を含む。適当なキレート化する官能基は、例えば、酸含有リン酸基(例えば、-PO(OH)2-)、カルボン酸基(-CO2H)、硫黄含有酸性基(例えば、-SO3H)、アミノ基及びヒドロキシ基(特に、芳香族環において互いに隣接するヒドロキシ基)を含む。そのような反応生成物の製造は、当該分野で公知の方法によって行うことができ、例えば、米国特許第4,702,962号、第4,340,716号、欧州特許第EP 342 035号、日本特許公報JP58-063758号及びJP 58-069265号(全趣旨を参照することによりここに取り込む)に記載の方法が挙げられる。エポキシ樹脂及びキレート官能基含有化合物の反応生成物は、例えば、アサヒデンカ社によって販売されているADEKA レジンEP-49-10N、EP-49-55C、EP-49-10、EP-49-20、EP-49-23及びEP-49-25等の商業源から入手可能である。一般に、組成物は、そのようなキレート改変エポキシ樹脂約8重量(例えば、約0.1から約3重量%)を含むことができる。
【0098】
金属キレート化特性を有する他の化合物は、例えば、米国特許公開第2005-0129955号(全趣旨を参照することによりここに取り込む)に記載された粘着促進剤と含む、基材表面への硬化粘着剤の粘着性を増強することを助けるために、本発明の組成物において用いることができる。また、粘着剤増強剤としての使用に適するものは、商品名K-FLEX XM-B301でKing Industries 社によって市販されているアセトアセテート官能化改質樹脂である。
【0099】
他の添加剤
本発明の組成物は、上述した板状フィラーに加えて、種々の粒状又は沈降チョーク、クォーツ粉末、アルミナ、非板状クレイ、ドロマイト、炭素繊維、ガラス繊維、重合繊維、二酸化チタン、フュームドシリカ、カーボンブラック、酸化カルシウム、カルシウム炭酸マグネシウム、バライト及び、特に、アルミニウムマグネシウムカルシウムシリケート型のシリカ様フィラー、例えば、ウォラストナイト及びクロライト等の公知のフィラーを含有してもよい。一般に、本発明の組成物は、約0.5から約10重量%のシリカを含有することができる。
【0100】
本発明の一実施形態では、組成物は、さらに、1以上の発泡剤(ときに当該分野でブローウィング剤という)を含む。結果として生じる粘着剤の発泡性は、特に、部品又は部材におけるギャップ又はキャビティの完全な充填が、部品又は部材の構造一体化を最大限に維持することが重要である用途に有用である。発泡硬化粘着剤は改善された破断強度を有し、それによって、アセンブリに対する衝撃耐性を与える。組成物は、1部又は一成分組成物として利用される場合、発泡剤は、好ましくは、かなり室温より高い温度(一般に、粘着剤の硬化が開始する範囲における温度)に加熱された場合のみ、粘着剤の膨張又は発泡を起こす潜在的な発泡剤であることが好ましい。いずれの適当な発泡剤も使用することができるが、例えば、アゾ化合物、ヒドラジド等の化学的発泡剤、特に、発泡性マイクロスフェアが好ましい。発泡性マイクロスフェアは、一般に、1以上の揮発性物質(例えば、小さい炭化水素またはハロカーボン等)をカプセル化する小径の重合シェル又はバブルを含む。外側のシェルは、通常、シェル内にトラップされた物質の揮発性のために、加熱された際、マイクロスフェアの軟化及び発泡を可能にする特性の熱可塑性物質である。シェルに用いられるポリマーは、直鎖、分岐または架橋されていてもよく、例えば、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ニトリルポリマー等を含んでいてもよい。一般に、発泡性マイクロスフェアの平均粒径は、約5から約100ミクロンの範囲にある。適当な発泡性マイクロスフェアは、商標名DUALITE及びEXPANCELで、それぞれ、ヘンケル社及びCasco Nobel 社から市販されている。
【0101】
さらに他の実施形態では、中空ガラスマイクロスフェアが組成物において存在する。入手可能な中空ガラスマイクロスフェアは、商品名B38、CIS、K20及びVS 5500で入手可能なものを含む適当なグレードを有する商標SCOTCHLITEでMinnesota Mining & Manufacturingによって販売されている材料を含む。ガラスマイクロスフェアは、好ましくは、約5から約200μmの粒径の範囲及び/又は約0.3から約0.5g/ccの密度の範囲を有する。一般に、組成物は、中空ガラスマイクロスフェア約0.5から約5重量%を含有することができる。
【0102】
本発明による粘着組成物は、他の通常の補助剤及び添加剤(例えば、可塑剤、反応及び/又は非反応性希釈剤、流動補助剤、架橋剤(例えば、シラン)、粘着促進剤、湿潤剤、粘着付与剤、難燃剤、チキソトロピー及び/又は流動制御剤、熟成及び/又は腐食抑制剤、安定化剤及び/又は着色顔料等を含んでいてもよい。その加工特性、その柔軟性、必要とされる剛性作用及び基材への粘着結合性に対して粘着剤塗布を行うための必要条件によって、個々の構成成分の相対的な割合は、比較的広い限度範囲内で変化させることができる。
【0103】
一実施形態では、組成物は、モノエポキシド(例えば、アルキル-及びアルケニル置換フェノール類のモノグリシジルエーテル)のような反応希釈剤を含む。一般に、組成物は、10重量%以下(例えば、約0.1から約5重量%)の反応希釈剤を含む。
【0104】
使用方法
本発明の組成物は、例えば、木、金属、被覆又は予め処理された金属、プラスチック、充填プラスチック、シート成形化合物等の熱硬化性材料及びファイバーグラス等を含む異なる材料で形成された部品をともに接着することに適している。粘着剤を用いて結合される基材は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。金属部品を接着するために、特に、冷延鋼板のようなスチールシートの接着のために金属部品の接着に用いることが好ましい。これらは、例えば、電子めっき、ホットディップめっき及び/又は亜鉛/ニッケル被覆スチールシートとすることもできる。組成物は、良好な粘着力がそのような汚染にもかかわらず達成されるため、特に表面を油性物質で汚染されている基材を結合することに有用である。
【0105】
本発明の組成物は、当該分野で公知のいかなる技術によっても、基材表面に適用することができる。例えば、基材上にビード形でロボットからの押出しによって、又は、コーキングガンのような化学的塗布方法又は他のいかなる手動の塗布方法によっても塗布することができ、渦型又は流動技術を使用して塗布することもできる。渦型及び流動技術では、例えば、ポンプ、コントロールシステム、ドージングガンアセンブリ、リモートドージングデバイス及び塗布ガン等の当該分野でよく知られた機器が利用される。一般に、粘着剤は、結合される基材の一方又は双方に塗布される。粘着剤が一緒に結合される基材間に位置するように、基材を接触させる。その後、粘着組成物を、熱硬化可能又は潜在的硬化剤がエポキシ樹脂組成物の硬化を開始する温度に、加熱する。
【0106】
一実施形態では、粘着剤は、ホットメルトとして機能するように製剤化され、つまり、室温で固化する粘着剤であるが、室温より高い温度に加熱した際、ポンピング可能又は流動可能な材料に変化することができる。他の実施形態において、本発明の組成物は、大部分のアプリケーションで、粘着剤が、潜在的な硬化剤が、まだ活性化されない温度での温度まで加熱されることを確実にすることが好ましいため、周囲温度又はわずかに高い温度でワーク部位に流動又はポンピングすることができるように製剤化される。溶融組成物を、基材表面に直接塗布するか又はヘムフランジ操作のような結合される基材に別々にスペースに流動させることができる。さらに他の実施形態では、組成物は、2以上の段階(特に、第1の温度で硬化し、それより高い第2の温度で硬化を完了する)で硬化工程を進めるように製剤化される(例えば、細かく分離された熱可塑性物質を含むことによって又は異なる活性化温度を有する多数の硬化剤を使用することによって)。好ましくは、粘着剤マスの堆積後直ぐに、2つの部位がともに結合され、これによって、仮に互いに2つの部品を結合する。
【0107】
未硬化粘着剤を容易に洗い流すか、でなければ、例えば、互いに仮に結合した金属シートが、洗浄浴、次いでリン酸処理用浴で目的とする脱脂をするために処理されるように、得られた結合は、好ましくは、すでに十分な強度を有する。
【0108】
組成物は、組成物が結合する部品に提供される温度以上又は硬化剤及び/又は促進剤及び/又は潜在的発泡剤(もし存在するならば)が活性化する温度より明らかに高い温度で(つまり、硬化剤の場合には、硬化剤が、粘着剤の他の成分を活性化する最小限温度、発泡剤の場合、発泡剤が粘着剤の発泡又は拡張を起こす最小限温度)オーブン中で最終的に硬化することが好ましい。150℃より高温、例えば、160から220℃の温度で、例えば、約10〜120分間、硬化させることが好ましい。
【0109】
一旦硬化すると、本発明の剤粘着組成物は、電気又はエレクトロニクス産業における注型用樹脂として、又はプリント回路基板に構成部品を結合するためのエレクトロニクスにおけるダイ接着用粘着剤として用いることができる。さらなる組成物の可能な適用は、例えば、繊維強化複合物のような複合物用マトリクス材料である。本発明の粘着剤の1つの特に好ましい応用は、例えば、へりフランジ等の車両構造における構造結合の形態である。
【0110】
組成物が1以上の発泡剤を含む場合の本発明の一実施形態では、粘着剤は、空洞、隙間、構造部材等を補強するのに役立つ構造フォームを形成するために利用することができる。組成物は、硬化及び発泡を引き起こすために加熱する際、1以上の特定方向に発泡するように、粘着剤を配置又は配向するように、キャリア又は容器等内で支持又は収容することができる。このように、組成物は、発泡剤が存在しないならば起こるよりも組成物の近傍における基材表面のより大きな部位と接触させることができるように発泡するため、不均一な形状のスペースを充填することに対して特に有用である。発泡した硬化組成物は、ビークル空洞及び構造部材のエネルギー吸収能を増加させることを確実にする。
【0111】
実施例1〜6
一連の粘着組成物を、各実施例で同量用いた以下の成分に加えて、各実施例で表1に示した成分を用いて調製した(総組成物の重量%として各成分量を示す)。
【0112】
41.00重量%、Kaneka MX156エポキシ樹脂/コア−シェルゴムマスターバッチ(33重量%コア−シェルゴム粒子、Kaneka社)、
15.00重量%エポキシ樹脂/アミン終端ポリエーテル反応生成物、米国特許第6, 015,865号に従って調製、
9.00重量%、Zeon F351コア−シェルゴム粒子(日本ゼオンケミカルズ)、
2.00重量%、Adeka Resin EP-49-10N(エポキシ当量=225、100%固体、Asahi Denka Kogyo)、
3.00重量%、さらにエポキシ樹脂と反応したカルボキシ無水物/アミン終端ポリエーテル付加物、米国特許第6,884,854号又は米国公開第2005-0215730号によって調製、
1.50重量%GARAMITE 1958混合ミネラルチキソトロプ(Southern Clay)、
1.00重量%CARDOLITE LITE 2513反応性希釈剤(Cardolite社)、
0.15重量%SILQUEST A- 187J、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GE Advanced Materials)、
2.00重量%カルシウムオキサイド、
0.50重量%SYLOTHIX 53チキソトロピー剤 (J. Rettenmaier & Soehne)、
1.50重量%CABOSIL TS-720 (Cabot)、
0.30重量%MONARCH 280カーボンブラック(Cabot)及び
0.50重量%AMICURE UR 1,1−ジメチル−3−フェニルウレア(Air Products)。
【0113】
組成物は、SPEEDMIXER mixer (FlackTek, Inc.)で3分間混合し、粘着剤を得た。次いで、組成物を、25psiで25分間真空中にて脱気した。
冷延鋼(CRS)の金属試験片を、FERROCOTE 61AUS油3g/m2で一方を被覆する前に、アセトンで清浄し、ペーパータオルで拭いた。次いで、粘着組成物を、試験片の油側に、暖めて塗布した。試験片を重ねる前に、粘着剤層上に、グラスビーズ(0.25mm)を点在させた。ベーキングサイクルの間、金属クリップを用いて、2つの金属片をともに保持した。すべての試験片/粘着剤アセンブリを、以下のベーク予定に従って硬化させた。190℃で45分間、205℃で10分間、190℃で45分間、室温で2時間。t−剥離試験用の試験片は、75mmのオーバレイと20mmの幅を有し、50mm/分の速度でInstronテスターを利用して引張られた。プラトーでの平均仕事量を、剥離強度を計算するために用いた。ISO 11343試験幾何学(30mmのオーバレイ、20mm幅)を有する衝撃剥離試験用の試験片を、2m/sの落下重量速度で、90J衝撃負荷に付した。衝撃剥離強度を、Instron Dynatup 9250 HV衝撃テスターを用いて、プラトーでの平均衝撃負荷で測定した。得られた試験結果を、表1に示す。実施例6では、実施例1〜5の組成物よりも、より高いt−剥離強度と、より高い凝集破壊を示す一方、高い衝撃剥離を有することが見出された。実施例1〜5は、接着破壊を示し、それは、高度な構造結合塗布には許容できない。理論に束縛されることを望まなければ、実施例6の組成物において達成された優れた特性は、ポリウレタン及びリン酸塩エステル可塑剤の組合せの使用に起因していると考えられている。
【0114】
【表1】

【0115】
1EPON 828 (Hexion Specialty Chemicals, Inc.)又はDER 331 (Dow)、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル
2DY965 CH、ポリウレタン、米国特許第5,278,257号の実施例16の方法によって製造されたと思われる(Huntsman Advanced Materials)
3MESAMOLL スルホン酸エステル可塑剤(Bayer)
4トリクレシルホスファート
5AMICURE CG1200 ジジアンジアミド (Air Products)
【0116】
実施例7
粘着性組成物を以下の成分を含有して調製した。
【0117】
53.66重量%エポキシ樹脂/コア−シェルマスターバッチ(Kaneka MX156、25重量%コア−シェルゴム粒子含有、Kaneka社)、
15.00重量%エポキシ樹脂/アミン終端ポリエーテル反応生成物、米国特許第6,015,865号によって調製、
9.00重量%Zeon F351コア−シェルゴム粒子(日本ゼオンケミカルズ)、
4.00重量%MESAMOLL スルホン酸エステル可塑剤(バイエル)、
2.00重量%Adeka Resin EP-49-10N (エポキシ当量=225; 100%固体、Asahi Denka Kogyo)、
3.00重量%さらにエポキシ樹脂と反応した無水カルボン酸/アミン終端ポリエーテル付加物、米国特許第6,884,854号又は米国公開公報第2005-0215730号によって調製、
0.64重量%WINGSTAY L 酸化防止剤(Eliokem)、
1.50重量%GARAMITE 1958 混合ミネラルチキソトロプ (Southern Clay)、
1.00重量%CARDOLITE LITE 2513 反応性希釈剤 (Cardolite Co.)、
0.15重量%SILQUEST A-187J γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン (GE Advanced Materials)、
2.00重量%酸化カルシウム、
0.85重量%白雲母マイカ4K、
4.40重量%AMICURE CG1200 ジシアンジアミド (Air Products)、
0.50重量%SYLOTHIX 53 (J. Rettenmaier & Soehne)、
1.50重量%CABOSIL TS-720 (Cabot)、
0.30重量%MONARCH 280 カーボンブラック (Cabot)及び
0.50重量%AMICURE UR 1,1−ジメチル−3−フェニルウレア(Air Products)。
【0118】
これらの成分を、GARAMITE 1958混合ミネラルチキソトロプまではリストの順序で添加し、1分間SPEEDMIXERミキサー中で混合した。次いで、GARAMITE 1958 混合ミネラルチキソトロプを添加し、他の成分と1分間混合した。最後の3つの成分を添加して1分間混合する前に、次の2つの成分を添加し、1分間混合した。得られた粘着組成物を真空下で脱気し、実施例1〜6で行った上述した試験を行った。
【0119】
以下の試験結果を得た。CRSでのt−剥離強度は3.8N/mm、100%凝集破壊、23℃での衝撃剥離抵抗は22.5N/mm。
【0120】
硬化粘着組成物の優れた特性は、実施例1〜5のそれらと比較して、スルホン酸エステル可塑剤、マイカ及び酸化防止剤の組み合わせ使用のため、非常に大きなものであると考えられる。
【0121】
実施例8〜10
2つの粘着組成物を、5.00重量%ポリウレタン(DY965 CH ポリウレタン(Huntsman Advanced Materialsによって市販)を用いた実施例8、米国特許第5,278,257号の実施例16に従って調製されたと思われる。ANCAREZ 2364を用いた実施例9、アクリレート官能化ポリウレタン(Air Productsによって市販))に加えて、以下の成分を用いて調製した(各成分の量は、総組成物の重量%を示す)。
【0122】
41.00重量%エポキシ樹脂/コア−シェルゴムマスターバッチ(Kaneka MX156、33重量%コア−シェルゴム粒子含有、Kaneka社)、
13.00重量%エポキシ樹脂(EPON 828又はDER 331、それぞれ、Dow及びHexion Specialty Chemicals, Inc.から入手)、
15.00重量%エポキシ樹脂/アミン終端ポリエーテル反応生成物、米国特許第6,015,865号によって調製、
9.00重量%Zeon F351コア−シェルゴム粒子(日本ゼオンケミカルズ)、
2.00重量%Adeka Resin EP-49-10N (エポキシ当量=225、100%固体)、
3.00重量%さらにエポキシ樹脂と反応した無水カルボン酸/アミン終端ポリエーテル付加物、米国特許第6,884,854号又は米国公開公報第2005-0215730号によって調製、
1.50重量%GARAMITE 1958 混合ミネラルチキソトロプ (Southern Clay)、
1.00重量%CARDOLITE LITE 2513 反応性希釈剤 (Cardolite Co.)、
0.15重量%SILQUEST A-187J γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン (GE Advanced Materials)、
2.00重量%酸化カルシウム、
4.55重量%AMICURE CG1200 ジシアンジアミド(Air Products)、
0.50重量%SYLOTHIX 53 (J. Rettenmaier & Soehne)、
1.50重量% CABOSIL TS-720溶融シリカ (Cabot)、
0.30重量%MONARCH 280 カーボンブラック (Cabot)及び
0.50重量%AMICURE UR 1,1−ジメチル−3−フェニルウレア(Air Products)。
【0123】
さらなる粘着組成物(実施例10)を、エポキシ樹脂(EPON 828又はDER 331)の量を9.90重量%、ANCAREZ 2364ポリウレタンを3.00重量%、AMICURE CG1200ジシアンジアミドを4.40重量%に減量し、リン酸トリクレジル(5.75重量%)及びWINGSTAY L酸化防止剤(0.50重量%)加えた以外、実施例9に従って調製した。
【0124】
粘着組成物を、上述した手順に従ってテストすることによって、表2で示された結果を得た。
【0125】
【表2】

実施例10の硬化した粘着組成物の優れた特性(特に、高いt−剥離強度及び100%凝集破壊)は、実施例8及び9と比較して、主にポリウレタン、可塑剤及び酸化防止剤の組合せの使用によると思われる。
【0126】
実施例11〜16
粘着組成物を以下の成分に基づいて調製した。
42.6重量部(pbw)エポキシ樹脂/コア−シェルゴムマスターバッチ、
8 pbw EPON 828エポキシ樹脂(ダウ)、
15 pbw エポキシ樹脂/アミン終端ポリエステル反応生成物、米国特許第6,015,865号によって調製、
7 pbw Adeka EP-49-10N (エポキシ当量=225; 100%固体、Asahi Denka Kogyo K.K.)、
3 pbw CAB-O-SIL TS720 溶融シリカ (Cabot)、
3 pbw酸化カルシウム、
0.7 pbw DYHARD UR700 ウレア促進剤 (Degussa)、
0.3 pbw MONARCH 580 カーボンブラック (Cabot)、
9.5 pbw Zeon F351 コア−シェルゴム粒子 (Nippon Zeon Chemicals)、
4.9 pbw DYHARD IOOSH ジシアンジアミド (Degussa)。
【0127】
実施例11〜13は、6 pbw のブロックポリウレタンプレポリマーを含有し、一方、実施例14〜16は、8 pbwのこの成分を含有する。
トリフェニルホスファート(TPP)可塑剤の量を、表3に示すように、実施例11〜16においてそれぞれ変化させた。190℃での60分間の硬化後の各組成物の観察された粘着特性を、表3に示す(cf=凝集破壊、scf=表面の凝集破壊)。T−剥離強度は、トリフェニルホスファート可塑剤を粘着組成物中に存在させた場合、電気亜鉛めっき鋼及びホットディップめっき鋼の双方において顕著に改善された。
【0128】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)少なくとも1つのエポキシ樹脂、
B)ゴム粒子、
C)ポリウレタン、板状フィラー及び酸化防止剤から選択された少なくとも1つの添加剤、
D)少なくとも1つの熱活性化潜在性硬化剤及び
E)少なくとも1つの可塑剤を含む組成物。
【請求項2】
ゴム粒子が、500nm未満の平均粒径を有する請求項1の組成物。
【請求項3】
ゴム粒子の少なくとも一部は、エポキシ樹脂中に安定に分散した形態で粘着組成物中に与えられる請求項1の組成物。
【請求項4】
少なくとも1つの衝撃改質/強化助剤をさらに含む請求項1の組成物。
【請求項5】
1以上のアミン終端ポリマーと1以上のエポキシ樹脂との反応によって得られる少なくとも1つのエポキシ系プレポリマーをさらに含む請求項1の組成物。
【請求項6】
ビスフェノールA及びビスフェノールFのジグリシジルエーテルからなる群から選択されるエポキシ樹脂をさらに含む請求項1の組成物。
【請求項7】
少なくとも1つのキレート改質エポキシ樹脂をさらに含む請求項1の組成物。
【請求項8】
少なくとも1つのスルホン酸エステル可塑剤、マイカ及び少なくとも1つの酸化防止剤を含む請求項1の組成物。
【請求項9】
少なくとも1つのポリウレタン及び少なくとも1つのリン酸エステル可塑剤を含む請求項1の組成物。
【請求項10】
ゴム粒子はコア−シェル構造を有する請求項1の組成物。
【請求項11】
ゴム粒子は、ジエンホモポリマー、ジエンコポリマー又はポリシロキサンエラストマーを含むコアを有する請求項1の組成物。
【請求項12】
ゴム粒子は、アルキル(メタ)アクリレートホモポリマー又はコポリマーを含むシェルを有する請求項1の組成物。
【請求項13】
ゴム粒子は、約250nm未満の平均粒径を有する請求項1の組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの可塑剤が、リン酸エステル可塑剤及びスルホン酸エステル可塑剤からなる群から選択される請求項1の組成物。
【請求項15】
少なくとも1つの可塑剤は、リン酸のフェノールエステル及びフェノール性化合物のアルキルスルホン酸エステルからなる群から選択される請求項1の組成物。
【請求項16】
少なくとも1つの可塑剤は、トリフェニルホスファート、トリクレシルホスファート及びペンタデシルスルホン酸のフェニルクレシルエステルからなる群から選択される請求項1の組成物。
【請求項17】
前記組成物は、少なくとも1つの可塑剤を1〜8重量%含む請求項1の組成物。
【請求項18】
請求項1の組成物と表面とを接触させ、表面と接触させた前記組成物を硬化させて複合品を形成することを含む複合品の製造方法。
【請求項19】
表面が金属である請求項18の方法。
【請求項20】
少なくとも2つの表面を前記組成物に接触させ、それらと接触して硬化させる請求項18の方法。
【請求項21】
表面が、少なくとも1つの油性物質で汚染された冷延鋼板である請求項18の方法。
【請求項22】
表面が、少なくとも1つの油性物質で汚染され、組成物が少なくとも1つのキレート改質エポキシ樹脂をさらに含む請求項18の方法。

【公表番号】特表2009−545656(P2009−545656A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522999(P2009−522999)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/074785
【国際公開番号】WO2008/016889
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】