説明

給湯システム

【課題】燃焼エネルギーの無駄な使用を無くし、かつ給湯使用時に最初に温度の低い水が出ることを無くす給湯システムを提供する。
【解決手段】給湯システムA1は、気−液型熱交換器11を有する給湯器10と、水栓ユニット30と、制御部40を備える。水栓ユニット30は、三方弁31と給湯温度センサー35と蛇口36と蛇口開センサー37を備えており、三方弁の入力ポート32は気−液型熱交換器11の下流側配管14に、第1出力ポート33は給湯循環用ポンプ21と逆止弁22を介して気−液型熱交換器11の上流側配管13に、第2出力ポート34は蛇口36側に、それぞれ接続している。給湯温度センサー35は入力ポート32側に取り付けてある。制御部40は、給湯温度センサー35の温度tが設定温度Tより低いとき、給湯循環用ポンプ21を駆動し、三方弁31を入力ポート32と第1出力ポート33が接続するように切り替え操作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器と、給湯器に接続する水栓ユニットと、制御部とを備える給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
都市ガス等を燃料とするバーナーと熱交換器とを備え、熱交換器内でバーナーの燃焼ガスである高温ガスとそこに供給される水との間で熱交換を行って温湯を得るようにした給湯器と、その給湯器で作られた温湯を温湯配管を通して外部に取り出すようにした給湯栓と、前記給湯器のバーナーの燃焼制御や温湯の温度設定などを行うための制御部とから構成される給湯システムは、従来から知られている。前記給湯システムには、給湯栓からの温湯の供給に加えて、風呂浴槽にも給湯できるようにしたもの、さらには風呂浴槽内の温湯を追い焚きできるようにしたものも知られている。
【0003】
通常の給湯システムの場合、給湯器内の熱交換器の位置と蛇口のような給湯栓の位置との間にはある程度の距離があることと、給湯開始時には給湯器も給湯配管も常温であることから、蛇口を開けてから適温の温湯が蛇口から出てくるまでに多少の時間が必要となっている。また、使用者にとって、適温になるまでに蛇口から排出される常温湯はほとんど使用に共さないものであり、適温になるまでの出水は無駄に排水されているといえる。このことは、給湯システム全体としての給湯効率を低下させているともいえ、解決すべき課題となっている。上記のことは、ベランダに給湯器を設置しているようなシステム環境において、特に大きな課題となる。
【0004】
この課題を解決するための1つの提案として、特許文献1には、図6に示すような瞬間湯沸器100が記載されている。この瞬間湯沸器100は、水を加熱する熱交換器101と、熱交換器101を加熱するバーナー102と、熱交換器101の下流側の水温を検知する温度検知器103と、給湯栓104と、制御器105を備え、熱交換器103の上流側と下流側は、給湯循環用ポンプ105と逆止弁106を備えた循環107で接続されている。そして、制御器105は、前記温度検知器103の温度信号を検知し、循環路107を流れる循環湯の温度が設定温度より高い時は熱交換器101を冷却せしめ、低い時は熱交換器101をバーナー102で加熱せしめる制御をするようになっている。108は水流スイッチを示す。
【0005】
この瞬間湯沸器100では、給湯栓104が閉じられているときでも、給湯循環用ポンプ105を稼動させて、給湯器100内に貯留する温湯(循環路107を流れる循環湯)を常に適温(設定温度)に維持できるようになっており、瞬間湯沸器の使用開始時からすぐに適正な湯温の温湯を給湯栓104から得ることができるので、使用者にとって使用勝手のよいものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭60−185049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の瞬間湯沸器(給湯器)は、給湯栓を開くとすぐに給湯栓から適温の温湯が出てくるという利点はある。しかし、瞬間湯沸器内に滞留する温湯が低温になると、自動的に設定温度まで加熱されるようになっており、お湯を使うときの時間間隔が長くなると、その間でも、瞬間湯沸器内に滞留する温湯を保温するためにバーナーが燃焼することとなり、その分のエネルギーが無駄になるという課題がある。
【0008】
また、前記した温湯循環路と給湯栓との間の距離が長い場合には、その間の水は常温であることから、給湯使用時の最初に温度の低い水が出ることは避けられず、そのまま廃棄される可能性がある。そのために、無視できない水の無駄が生じる恐れがある。さらに、この形態の瞬間湯沸器では、給湯循環用ポンプやバーナーが運転の断続を頻繁に繰り返すようになることから、機器の耐久性が低下する。
【0009】
本発明は、現在の給湯器の持つ上記のような不都合を解消することを課題としており、より具体的には、燃焼エネルギーの無駄な使用を無くしながら、給湯使用時の最初に温度の低い水が出ることによる不快感をなくすことができ、それにより、結果として捨て水の無駄も同時に解消することのできる給湯システムを開示することを第1の課題とする。また、給湯循環用ポンプやバーナーを含む熱交換器等の耐久性が担保される給湯システムを開示することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による給湯システムは、水を加熱するための気−液型熱交換器と前記気−液型熱交換器に高温ガスを供与するバーナーとを備える給湯器と、前記気−液型熱交換器の下流側に接続する水栓ユニットと、制御部を備える給湯システムであって、前記水栓ユニットは、1入力ポート2出力ポート型の三方弁と給湯温度センサーと蛇口と蛇口開センサーを備えており、前記三方弁の入力ポートは前記気−液型熱交換器の下流側に、第1出力ポートは給湯循環用ポンプと逆止弁を介して前記気−液型熱交換器の上流側に、第2出力ポートは蛇口側に、それぞれ接続しており、前記給湯温度センサーは入力ポートの入り口側に取り付けてあり、前記制御部は、前記蛇口開センサーからの開信号を受けたときに、前記給湯温度センサーの測定温度の検知を開始し、検知温度tが設定温度Tより低いときには前記給湯循環用ポンプを駆動するとともに前記三方弁を入力ポートと第1出力ポートが接続するように切り替え操作を行い、検出温度tが設定温度Tと等しいかそれより高くなったときには前記給湯循環用ポンプの駆動を停止するとともに前記三方弁を入力ポートと第2出力ポートが接続するように切り替え操作する、ことを特徴とする。
【0011】
上記の給湯システムでは、蛇口を備える水栓ユニット側に給湯温度センサーが配置されており、制御部は、開栓時に給湯温度センサーが測定する温度が設定温度よりも低いときに、水栓ユニット内の三方弁を切り替えて、給湯温湯を給湯器との間で循環させ、設定温度まで昇温させる。そして、給湯温湯が設定温度まで昇温したときに、制御部は、再度三方弁を切り替えて、温湯を蛇口側に導き、出湯させる。
【0012】
そのために、本発明による給湯システムでは、開栓時に設定温度よりも低い温湯が蛇口から排出されるのを回避することができ、かつ、水の無駄もなく、使用者に不愉快な思いをさせることもない。さらに、特許文献1に記載した形態の瞬間湯沸器と比較して、開栓した直後の短い時間だけ、給湯器と水栓ユニットとの間での給湯温湯の循環が行われるので、給湯循環用ポンプやバーナーを含む熱交換器等の耐久性も担保されるとともに、燃焼エネルギーの無駄も排除できる。また、給湯循環用ポンプの運転時間も短いため、節電効果も達成できる。
【0013】
本発明による給湯システムにおいて、前記給湯循環用ポンプと逆止弁は前記給湯器内に備えられていてもよく、前記水栓ユニット内に備えられていてもよい。給湯器内に備える場合には、水栓ユニットを小型化できる利点があり、水栓ユニット内に備える場合には、従来使用されている給湯器をそのまま用いて、本発明による給湯システムを構築できる利点がある。
【0014】
本発明による給湯システムの他の態様では、前記給湯システムは、さらに、前記気−液型熱交換器の出力側に接続する風呂浴槽と、前記風呂浴槽内の温湯と前記気−液型熱交換器の出力側であって前記風呂浴槽への接続箇所でない箇所で分流する温湯との間で熱交換を行う追い焚き用の液−液型熱交換器とを備える。そして、前記液−液型熱交換器で熱交換した後の前記分流した温湯は、前記給湯循環用ポンプと逆止弁を介して前記気−液型熱交換器の上流側に戻されるようにされる。
【0015】
この態様の給湯システムでは、風呂浴槽への給湯機能に加えて、前記給湯循環用ポンプを利用して、風呂浴槽内の温湯に対する追い焚き機能も追加される。
【発明の効果】
【0016】
上記のように、本発明による給湯システムでは、(a)給湯使用時の最初に温度の低い水が出ることによる不快感をなくす、(b)配管内の温められる前の水を出さないことにより、捨て水防止効果を達成できる、(c)給湯使用時のみに給湯循環用ポンプで温湯を循環させるため、給湯循環用ポンプや熱交換器等の耐久性が担保されるとともに、給湯循環用ポンプの運転時間が短いために節電効果が達成できる、等の固有の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による給湯システムの第1の実施の形態の構造を模式的に示す図。
【図2】図1に示す給湯システムの運転操作のフローチャートを示す図。
【図3】本発明による給湯システムの第2の実施の形態の構造を模式的に示す図。
【図4】本発明による給湯システムの第3の実施の形態の構造を模式的に示す図。
【図5】図4に示す給湯システムでの追い焚き運転時でのフローチャートを示す図。
【図6】従来の瞬間湯沸器の一例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明による給湯システムをいくつかの実施の形態に基づき説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明による給湯システムの第1の実施の形態の構造を模式的に示すである。この給湯システムA1は、基本的に、給湯器10と水栓ユニット30と制御部40とを備える。なお、通常、制御部40は、図1に示すように、給湯器10内にその構成の一部として備えられる。前記給湯器10は、気−液型熱交換器11と、前記気−液型熱交換器11に高温燃焼ガスを供与するバーナー12と有し、水道配管からの給水は、上流側管路13を通って気−液型熱交換器11に至り、そこでバーナー12の燃焼ガスと熱交換して加熱されて温湯となり、下流側配管14を通って、前記水栓ユニット30側に流れる。
【0019】
上流側管路13には水量センサー15が設けてあり、水量センサー15からの信号は制御部40に送られ、制御部40はその信号に基づいてバーナー12の燃焼制御を行う。上流側管路13と下流側配管14は、流量調整弁16を備えたバイパス管路17で接続されており、また、下流側配管14における前記バイパス管路17との接続部より下流側には、出湯温度センサー18と流量調整弁19が設けられている。出湯温度センサー18からの信号は制御部40に送られ、制御部40はその信号に基づいて、流量調整弁16、19の開度を適宜制御して、給水量が変動した場合にも、所定温度の温湯が水栓ユニット30側に流れるよう制御する。なお、給湯器10における上記した構成は、通常の給湯器と同じである。
【0020】
水栓ユニット30は、三方弁31と給湯温度センサー35と蛇口36と蛇口開センサー37を備える。三方弁31は、1つの入力ポート32と第1と第2の2つの出力ポート33,34を備える形態である。また、蛇口開センサー37は使用者が蛇口36を開けたかどうかを検知するものであり、使用者が蛇口36を開けたかどうかは、使用者が直接開弁する操作と、赤外線等を遮断することで間接的に開弁する操作の双方が含まれる。
【0021】
三方弁31の前記入力ポート32には、前記気−液型熱交換器11の下流側配管14が接続している。そして、下流側配管14内を流れる温湯が入力ポート32に流入する直前の温湯温度を測定できるように、前記給湯温度センサー35が配置されている。また、前記第1出力ポート33は、循環用配管20を介して、前記気−液型熱交換器11の上流側配管13と、水量センサー15の上流位置において接続している。そして、前記循環用配管20が給湯器10内を通過している部分には、給湯循環用ポンプ21と逆止弁22とがこの順で取り付けられている。前記第2出力ポート34は蛇口36に接続している。以下の説明では、第1出力ポート33を循環側ポート33、また、第2出力ポート34を出湯側ポート34ということとする。
【0022】
以下、上記の給湯システムA1の運転操作を図2のフローチャートも参照して説明する。なお、給湯システムA1において、蛇口36が閉じられているときには、図1に示すように、出湯側ポート34は閉じられ、入力ポート32と循環側ポート33とが連通した状態にある。その状態では、前記上流側管路13、下流側配管14および循環用配管20には、前回使用したときの水または温湯で満たされている。
【0023】
使用者が蛇口36を開くと、その開弁操作は蛇口開センサー37によって検知され、開信号が制御部40に送られる(S00)。制御部40は、前記開信号を受けると、前記給湯温度センサー35の測定温度の検知を開始し、検知温度tが予め設定した設定温度T以上に達しているかどうかを判断する(S01)。なお、設定温度Tは、予め設定してある蛇口36から出てくる出湯温度Taと同じ温度であってもよく、前記出湯温度Taよりもある程度低い温度であってもよい。ただし、設定温度Tは、使用者が不快を感じない程度の温湯が得られる温度であることは必要である。
【0024】
制御部40は、前記検知温度tが設定温度Tよりも低い場合には、三方弁31の出湯側ポート34を閉じ、入力ポート32と循環側ポート33とを連通した状態とし(通常の場合は、三方弁31の初期設定状態が維持された状態)(S02)、前記した循環用配管20に取り付けた給湯循環用ポンプ21を駆動(ON)する(S03)。
【0025】
給湯循環用ポンプ21の駆動により、循環用配管20、上流側管路13および下流側配管14内の水または温湯は、図1で矢印の方向に流れる循環流となる。給湯循環用ポンプ21の容量によっては、循環流に水道配管からの給水が入り込む場合もある。その流れは水量センサー15によって検出され、検出信号が制御部40に送られる。制御部40はその信号を受け、バーナー12を着火する(S04)。バーナー12の着火により、前記循環流は次第に昇温して、前記設定温度Tに達する。
【0026】
前記給湯温度センサー35により、循環流が設定温度Tに達したことが検知されると(S01)、その信号が制御部40に送られる。それに応じ、制御部40は、三方弁31の切り替え操作を行い、循環側ポート33を閉じ、入力ポート32と出湯側ポート34を連通した状態とし(S05)、給湯循環用ポンプ21の駆動を停止(OFF)する(S06)。三方弁31の前記切り替え操作により、設定温度Tに昇温した温湯が蛇口36から出てくるようになり、以下、従来の給湯器と同様にして、蛇口36からの給湯が継続する。
【0027】
使用者により蛇口36が閉じられると(S07)、その閉弁操作は蛇口開センサー37によって検知され、蛇口閉信号が制御部40に送られる。制御部40は、閉信号を受けると、三方弁31を、図1に示すように、出湯側ポート34を閉じ、入力ポート32と循環側ポート33とを連通した状態に切り替える(S08)。それにより、各管路を流れる水量はなくなるので、水量センサー15からの信号を受けて、制御部40はバーナー12の燃焼を停止(OFF)する(S09)。
【0028】
上記のように、本発明による給湯システムでは、蛇口36を開いたときに、設定温度Tよりも低い温湯が蛇口36から排出されるのを、水の無駄のない状態で、効果的に回避することができる。また、蛇口36を閉じたときには、直ちにバーナー12は燃焼を停止し、次に蛇口36が開かれるまで燃焼することはないので、燃焼エネルギーの無駄も排除することができる。さらに、蛇口36を開いた後の短い時間だけ、給湯器10と水栓ユニット30(の三方弁31)との間での給湯温湯の継続した循環が行われ、またバーナー12の継続した燃焼が行われるだけであり、給湯循環用ポンプ21やバーナー12を含む熱交換器11等の耐久性も担保される。
【0029】
[第2の実施の形態]
図3は、本発明による給湯システムの第2の実施の形態の構造を模式的に示している。この形態の給湯システムA2は、前記した給湯循環用ポンプ21と逆止弁22とが、図1に示すように給湯器10内にではなく、水栓ユニット30内に設けられている点、前記循環用配管20が給湯器10の外で前記上流側管路13に接続している点、および、水栓ユニット30が第2の制御部41を備える点で、第1の実施の形態A1と相違している。他の構成は、第1の実施の形態A1と同じであり、同じ符号を付して説明は省略する。
【0030】
図3に示す給湯システムA2では、蛇口開センサー37からの開信号は前記第2の制御部41に送られる。そして、開信号を受けると、第2の制御部41が給湯温度センサー35の測定温度の検知を開始し、また、それに応じて、第1の実施の形態A1で説明したと同様に、三方弁31の切り替え操作と給湯循環用ポンプ21の駆動操作などを行う。
【0031】
この形態の給湯システムA2は、図3からわかるように、従来用いられている給湯器をそのまま用いて、本発明による給湯システムを構築することができる利点がある。もちろん、給湯システムA1の操作部40をそのまま用いることもでき、その場合には、第2の制御部41を必要としない。しかし、この場合には、従来用いられている給湯器に取り付けられている制御部を一部改変することが必要となる。
【0032】
[第3の実施の形態]
図4は、本発明による給湯システムの第3の実施の形態の構造を模式的に示しており、図5は、その給湯システムを追い焚き運転するときのフローチャートを示している。この給湯システムA3は、風呂浴槽50と、該風呂浴槽50内の温湯を追い焚きする機能をさらに備えている点で、図1に示した給湯システムA1と相違する。以下では、給湯システムA1と同じ機能を奏する部材には同じ符号を付して、説明は省略し、新たに追加した風呂浴槽50とその追い焚きする機能中心に説明する。
【0033】
給湯システムA3では、風呂浴槽50が設けられ、該風呂浴槽50には、下流側配管14の流量調整弁19より下流で分岐している風呂給湯用管路51から温湯が送られる。風呂給湯用管路51には注湯電磁弁52および逆止弁53が設けてあり、注湯電磁弁52は制御部40により操作される。さらに、給湯システムA3は液−液型熱交換器60を備えており、その受熱側には、風呂浴槽50内の温湯が循環する。すなわち、前記風呂給湯用管路51の逆止弁53の下流位置から風呂湯循環路54が分岐しており、該風呂湯循環路54は液−液型熱交換器60内を通って風呂浴槽50に達している。また、風呂湯循環路54には、風呂湯循環用ポンプ55と風呂温度センサー56が取り付けられている。
【0034】
液−液型熱交換器60の放熱側には、気−液型熱交換器11によって昇温した温水が送られる。すなわち、気−液型熱交換器11の下流側配管14から分岐した追い焚き用配管61が液−液型熱交換器60内を通った後、前記給湯循環用ポンプ21の上流側において、前記した循環用配管20と合流している。また、追い焚き用配管61には、追い焚き用電磁弁62が取り付けられており、制御部40により操作される。
【0035】
上記の給湯システムA3において、蛇口36を開閉するときに三方弁31等に生じる作動は、上記した給湯システムA1、A2の場合と同じである。風呂浴槽50に湯を張るときは、図示しない湯貼りスイッチを操作する。それにより、制御部40は注湯電磁弁52を開き、温湯が風呂給湯用管路51を通って風呂浴槽50内に入り込まれる。
【0036】
風呂浴槽50内に貯められた温湯を追い焚きするときの態様を、図5のフローチャートを参照して説明する。使用者は、図示しない風呂追い焚きスイッチをONにする(S10)。それを受けて、制御部40は風呂循環用ポンプ55を駆動(ON)する(S11)。制御部40は、風呂温度センサー56の温度を検出し、検知温度tsが風呂設定温度Tsよりも低いかどうかを判断する(S12)。低くない場合は、追いだきが不要であると判断し、風呂循環用ポンプ55を停止(OFF)し(S13)、風呂追い炊き運転を終了する(S14)。
【0037】
検知温度tsが風呂設定温度Tsよりも低い場合には、制御部40は、追い焚き用電磁弁62を開き(S15)、前記した給湯循環用ポンプ21を駆動(ON)する(S16)。それと同時に、制御部40は、前記した水量センサー15が流量を検知したかどうかを判断し(S17)、流量を検知した場合には、バーナー12を着火(ON)する(S18)。そして、風呂温度センサー56の温度を検出しながら、検知温度tsが風呂設定温度Tsよりも低いかどうかを継続して判断する(S20)。
【0038】
検知温度tsが風呂設定温度Tsに達した段階で、制御部40は、追いだきが不要になったと判断し、バーナー12の燃焼を停止(OFF)する(S21)。引き続き、給湯循環用ポンプ21の運転を停止(OFF)し(S22)、追い焚き用電磁弁62を閉じ(S23)、さらに、前記したS13およびS14の処理を行う。
【0039】
なお、S17で、水量センサー15が流量を検知しなかった場合には、制御部40は、前記したS22,S23,S13,S14の処理を順次行う。
【0040】
上記のように、給湯システムA3においては、前記した給湯循環用ポンプ21に加えて、風呂循環用ポンプ55、風呂温度センサー56、液−液型熱交換器60、追い焚き用電磁弁62、配管等を追加することで、追い焚き用の燃焼部を別途追加することなく、風呂追い焚き機能を付加することが可能となる。
【符号の説明】
【0041】
A1,A2,A3…本発明による給湯システム、
10…給湯器、
11…気−液型熱交換器、
12…バーナー、
13…上流側管路、
14…下流側配管、
15…水量センサー、
16、19…流量調整弁、
17…バイパス管路、
18…出湯温度センサー、
20…循環用配管、
21…給湯循環用ポンプ、
22…逆止弁、
30…水栓ユニット、
31…三方弁、
32…入力ポート、
33…第1出力ポート(循環側ポート)、
34…第2出力ポート(出湯側ポート)、
35…給湯温度センサー、
36…蛇口、
37…蛇口開センサー、
40…制御部、
41…第2の制御部、
50…風呂浴槽、
51…風呂給湯用管路、
52…注湯電磁弁、
53…逆止弁、
54…風呂湯循環路、
55…風呂湯循環用ポンプ、
56…風呂温度センサー、
60…液−液型熱交換器、
61…追い焚き用配管、
62…追い焚き用電磁弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱するための気−液型熱交換器と前記気−液型熱交換器に高温ガスを供与するバーナーとを備える給湯器と、前記気−液型熱交換器の下流側に接続する水栓ユニットと、制御部を備える給湯システムであって、
前記水栓ユニットは、1入力ポート2出力ポート型の三方弁と給湯温度センサーと蛇口と蛇口開センサーを備えており、前記三方弁の入力ポートは前記気−液型熱交換器の下流側に、第1出力ポートは給湯循環用ポンプと逆止弁を介して前記気−液型熱交換器の上流側に、第2出力ポートは蛇口側に、それぞれ接続しており、前記給湯温度センサーは入力ポートの入り口側に取り付けてあり、
前記制御部は、前記蛇口開センサーからの開信号を受けたときに、前記給湯温度センサーの測定温度の検知を開始し、検知温度tが設定温度Tより低いときには前記給湯循環用ポンプを駆動するとともに前記三方弁を入力ポートと第1出力ポートが接続するように切り替え操作を行い、検出温度tが設定温度Tと等しいかそれより高くなったときには前記給湯循環用ポンプの駆動を停止するとともに前記三方弁を入力ポートと第2出力ポートが接続するように切り替え操作する、ことを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯システムであって、前記給湯循環用ポンプと逆止弁は前記給湯器内に備えられていることを特徴とする給湯システム。
【請求項3】
請求項1に記載の給湯システムであって、前記給湯循環用ポンプと逆止弁は前記水栓ユニット内に備えられていることを特徴とする給湯システム。
【請求項4】
請求項1に記載の給湯システムであって、前記給湯システムは、さらに、前記気−液型熱交換器の出力側に接続する風呂浴槽と、前記風呂浴槽内の温湯と前記気−液型熱交換器の出力側であって前記風呂浴槽への接続箇所でない箇所で分流する温湯との間で熱交換を行う追い焚き用の液−液型熱交換器とを備え、前記液−液型熱交換器で熱交換した後の前記分流した温湯は、前記給湯循環用ポンプと逆止弁を介して前記気−液型熱交換器の上流側に戻されることを特徴とする給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−75224(P2011−75224A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228220(P2009−228220)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】