説明

車両ドアロックシステム

【課題】従来より低コストで製造可能な車両ドアロックシステムを提供する。
【解決手段】スライドドアが半ドア状態でラッチ駆動モータ41Mのモータ出力軸が一方に回転してラッチ20をロック方向に回転駆動し、スライドドアを全閉状態に移行することができる。また、スライドドアが全閉状態でハンドルを操作したときに、ラッチ駆動モータ41Mのモータ出力軸が他方に回転することで、ポール30をラッチ20との間の摩擦力に抗してリリース位置へと移動し、スライドドアが開放可能になる。ラッチ駆動モータ41Mを、半ドア状態から全閉状態にするための動力源と、スライドドアを開く際のハンドル操作を補助する動力源との両方に兼用したので、製造コスト及び重量を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアに取り付けられて、車両本体に備えたストライカと噛み合って回動するラッチと、ラッチのロック方向への回動を許容しかつロック解除方向への回動を規制するポールとを備えた車両ドアロックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両ドアロックシステムとして、ドアが半ドア状態になったときにラッチ駆動モータによりラッチを回転駆動して、ドアを全閉状態にするものが知られている。ここで、ドアが全閉状態になるとドアと車両本体との間で防音部材が押し潰され、その反力によりラッチとポールとが互いに押し付けられて摩擦結合する。そして、その摩擦結合がドアのハンドルを操作する際の操作抵抗になる。そこで、従来の車両ドアロックシステムでは、ラッチ駆動モータとは別にリリースモータを備え、そのリリースモータがハンドルの操作に応じてポールを回転駆動し、ラッチから離脱させる構成になっていた(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−98819号公報(段落[0025]、[0028]、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来の車両ドアロックシステムでは、ラッチ駆動モータ及びリリースモータの2つの動力源を備えているため製造コストが高くなり、この種の車両ドアロックシステムの普及の妨げになっていた。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来より低コストで製造可能な車両ドアロックシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る車両ドアロックシステムは、車両のドアに取り付けられ、車両本体に備えたストライカと噛み合って回動するラッチと、ラッチと係合し、そのラッチがストライカとの係合を深めるロック方向に回動することを許容しかつその逆のロック解除方向への回動を規制するポールと、半ドア状態でラッチをロック方向に回転駆動して、ドアを完全に閉じた全閉状態に移行するためのラッチ駆動モータとを有し、ロック解除操作部の操作に応じてポールがリリース位置に移動し、ラッチの回動規制が解除される車両ドアロックシステムにおいて、ラッチ駆動モータのモータ出力軸は、半ドア状態になったときに一方に回転駆動される一方、ロック解除操作部が操作されたときに他方に回転駆動され、一方に回転駆動されたモータ出力軸をラッチに連結してそのラッチをロック方向に回転駆動する一方、他方に回転駆動されたモータ出力軸をポールに連結してポールをリリース位置へと移動する伝達系統切換機構を備えたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の車両ドアロックシステムにおいて、伝達系統切換機構は、モータ出力軸からポールへの動力及び反力を伝達する動力伝達状態と遮断する動力遮断状態とに切換可能な第1キャンセル機構を備えたところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2に記載の車両ドアロックシステムにおいて、第1キャンセル機構は、他方に回転駆動されたモータ出力軸から動力を受けて回動しかつその回動軸と直交する方向で動力伝達位置と動力遮断位置との間を移動可能なスライド回動部品と、スライド回動部品のうち回動軸からオフセットした位置に突出形成された連結旋回突部と、スライド回動部品と共通の回動軸を中心に回動可能に設けられ、スライド回動部品が動力伝達位置に配置されたときに連結旋回突部から動力を受けて回動してポールをリリース位置へと移動させるリリース回動部品と、リリース回動部品に形成されて、スライド回動部品が動力遮断位置に配置されたときに連結旋回突部を旋回可能に受容し、連結旋回突部からリリース回動部品への動力を遮断する突部受容部とを備えてなるところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の車両ドアロックシステムにおいて、手動操作により第1キャンセル機構を動力伝達状態と動力遮断状態とに切り換えるためのキャンセル操作部を備えたところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項4に記載の車両ドアロックシステムにおいて、キャンセル操作部は、ドアのうち車両本体との間に挟まれて隠される位置に配置されたところに特徴を有する。
【0010】
請求項6の発明は、請求項2又は3に記載の車両ドアロックシステムにおいて、第1キャンセル機構は、ロック解除操作部としてのハンドルがその可動範囲の始端部から終端部の手前まで移動操作される間は動力伝達状態に保持され、ハンドルが可動範囲の終端部に至ったときに動力遮断状態に切り替わり、さらに、ハンドルが可動範囲の始端部に戻ったときに動力伝達状態に戻るように構成されたところに特徴を有する。
【0011】
請求項7の発明は、請求項2乃至6の何れかに記載の車両ドアロックシステムにおいて、ラッチ駆動モータがポールをリリース位置に保持した状態で動作不能になった場合に、異常を報知する異常報知手段を備えたところに特徴を有する。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1乃至7に記載の車両ドアロックシステムにおいて、伝達系統切換機構は、モータ出力軸からラッチへの動力及び反力を伝達可能にする動力伝達状態と遮断する動力遮断状態とに切換可能な第2キャンセル機構を備えたところに特徴を有する。
【0013】
請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れかに記載の車両ドアロックシステムにおいて、第2キャンセル機構は、他方に回転駆動されたモータ出力軸から動力を受けて回動するアクティブ回動部品と、アクティブ回動部品のうちその回動軸からオフセットした位置に回動可能に軸支されたシーソー形回動部品と、通常はシーソー形回動部品の一端部を位置決めするシーソー当接位置に配置されかつ、ロック解除操作部としてのハンドルの操作に連動して位置決めを解除するシーソー解放位置に移動する位置決可動部材とを備え、位置決可動部材をシーソー当接位置に配置したときに、シーソー形回動部品の一端部が位置決めされた状態でシーソー形回動部品の回動軸がアクティブ回動部品の回動と共に移動することで、シーソー形回動部品の他端部からラッチに動力を付与する一方、位置決可動部材をシーソー解放位置に配置したときに、シーソー形回動部品がアクティブ回動部品に対して自在に回動可能になり、ラッチへの動力が遮断されるところに特徴を有する。
【0014】
請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れかに車両ドアロックシステムにおいて、ラッチ及びポールは、1つのドアに複数備えられる一方、ラッチ駆動モータは、1つのドアに1つ備えられ、伝達系統切換機構は、一方に回転駆動されたモータ出力軸を複数のラッチのうち一部のラッチのみに連結する一方、他方に回転駆動されたモータ出力軸を全てのポールに連結するように構成されたところに特徴を有する。
【0015】
請求項11の発明は、請求項10に記載の車両ドアロックシステムにおいて、ドアはスライドドアであり、スライドドアの後端側に配置されてラッチ駆動モータとラッチとポールとを有し、スライドドアを半ドア状態から全閉状態にするためのクローザ装置と、スライドドアの前端側に配置されてラッチとポールとを有し、スライドドアを全閉状態に保持するための閉鎖ドアロック装置とを備えてなり、伝達系統切換機構は、一方に回転駆動されたモータ出力軸をクローザ装置のラッチのみに連結する一方、他方に回転駆動されたモータ出力軸を全てのポールに連結するように構成されたところに特徴を有する。
【0016】
請求項12の発明は、請求項11に記載の車両ドアロックシステムにおいて、スライドドアのうち前端側に配置されて、ラッチとポールとを有し、スライドドアを全開状態に保持するための全開ドアロック装置を備え、伝達系統切換機構は、他方に回転駆動されたモータ出力軸を全開ドアロック装置のポールに連結するように構成されたところに特徴を有する。
【0017】
請求項13の発明は、請求項1乃至10の何れかに記載の車両ドアロックシステムにおいて、ドアは回動式ドアであり、回動ドアのうち回動中心から離れた側の端部に配置されてラッチ駆動モータとラッチとポールとを有し、回動ドアを全閉状態に保持するための回動ドアロック装置を備え、伝達系統切換機構は、一方に回転駆動されたモータ出力軸を回動ドアロック装置のラッチに連結する一方、他方に回転駆動されたモータ出力軸を回動ドアロック装置のポールに連結するように構成されたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0018】
[請求項1の発明]
請求項1の構成によれば、半ドア状態でラッチ駆動モータのモータ出力軸が一方に回転してラッチをロック方向に回転駆動し、全閉状態に移行することができると共に、全閉状態でロック解除操作部を操作したときに、ラッチ駆動モータのモータ出力軸が他方に回転することで、ポールをラッチとの間の摩擦力に抗してリリース位置へと移動し、ドアが開放可能になる。このように、本発明では、ラッチ駆動モータを、半ドア状態から全閉状態にするための動力源と、ドアを開くためのロック解除操作部の操作を補助することを可能とした動力源との両方に兼用したので、製造コスト及び重量を抑えることができる。
なお、本発明に係る「ロック解除操作部」としては、ハンドル、ワイヤレスリモコン、運転席スイッチ等が挙げられる。
【0019】
[請求項2及び7発明]
請求項2の構成によれば、ラッチ駆動モータがポールをリリース位置に保持した状態で異常停止しても、第1キャンセル機構を動力遮断状態にすることで、モータ出力軸からポールへの動力及び反力が遮断され、ポールをリリース位置からラッチと係合する位置に移動して、ドアを全閉状態にロックすることが可能になる。また、請求項7の構成では、ラッチ駆動モータがポールをリリース位置に保持した状態で動作不能になった場合に異常報知手段にて異常を報知するので迅速な対応が可能になる。
【0020】
[請求項3の発明]
請求項3の構成では、ラッチ駆動モータが正常である場合には、スライド回動部品を動力伝達位置に配置しておけばよい。すると、ラッチ駆動モータから動力を受けて回動したスライド回動部品の連結旋回突部がリリース回動部品を押し、リリース回動部品が回動してポールをリリース位置へと移動させることができる。また、ラッチ駆動モータが異常である場合には、スライド回動部品を動力遮断位置に配置すればよい。すると、連結旋回突部がリリース回動部品の突部受容部に受容されて、その突部受容部内を相対的に自由に旋回可能になる。これにより、リリース回動部品をスライド回動部品から切り離して回動させることができ、ポールをリリース位置からラッチと係合する位置に移動して、ドアを全閉状態にロックすることが可能になる。
【0021】
[請求項4及び5の発明]
請求項4の構成によれば、キャンセル操作部の手動操作により、第1キャンセル機構を動力伝達状態と動力遮断状態とに切り換えることができる。請求項5の構成によれば、そのキャンセル操作部を、ドアのうち車両本体との間に挟まれて隠される位置に配置したことによりキャンセル操作部が操作目的を知らない者にとって見つけ難くなり、誤って操作されることを防ぐことができる。
【0022】
[請求項6の発明]
請求項6の構成によれば、ラッチ駆動モータが正常である場合には、ハンドルが操作されて可動範囲の始端部から終端部の手前まで移動する間に、ラッチ駆動モータの動力によってポールをリリース位置に移動することができる。また、ラッチ駆動モータが異常で任意の位置に停止しても、ハンドルが可動範囲の終端部に至ったときに第1キャンセル機構は動力遮断状態に切り替わっているので、ハンドルを可動範囲の始端部に戻したときにポールがリリース位置からラッチと係合する位置に移動し、ドアを全閉状態にロックすることが可能になる。
【0023】
[請求項8の発明]
請求項8の構成によれば、ラッチ駆動モータのモータ出力軸がラッチに連結され、そのラッチとストライカとが噛み合った状態で異常停止しても、第2キャンセル機構を動力遮断状態に切り換えることで、モータ出力軸からラッチへの動力及び反力が遮断され、ポールをリリース位置に移動したときにラッチとストライカとの噛み合いが解除されて、ドアを開けることができる。
【0024】
[請求項9の発明]
請求項9の構成によれば、ハンドルを操作しない限り、位置決可動部材はシーソー当接位置に配置されてシーソー形回動部品の一端部を位置決めする。すると、ラッチ駆動モータがアクティブ回動部品を回動したときに、シーソー形回動部品の回動軸がアクティブ回動部品の回動に連動して移動し、シーソー形回動部品の他端部からラッチに動力が付与される。これにより、半ドア状態のドアを全閉状態にすることができる。また、ハンドルを操作すると、位置決可動部材がシーソー解放位置に配置されてシーソー形回動部品がアクティブ回動部品に対して自在に回動可能になる。これにより、シーソー形回動部品の他端部からラッチへの動力が遮断され、ポールをリリース位置に移動したときにラッチとストライカとの噛み合いが解除されて、ドアを開けることができる。
【0025】
[請求項10の発明]
ラッチ及びポールを、1つのドアに複数備えた場合には、ポールをリリース位置に移動する際の摩擦抵抗も増す。これに対し、請求項10の構成では、ラッチ駆動モータにて全てのポールをリリース位置に移動することできる。
【0026】
[請求項11、12及び13の発明]
請求項11の構成によれば、半ドア状態から全閉状態にするためのクローザ装置と、全閉状態に保持するための閉鎖ドアロック装置とを備えたスライドドアを開閉操作をラッチ駆動モータの動力により容易に行うことができる。また、請求項12の構成によれば、スライドドアを全開状態に保持するための全開ドアロック装置を備えたスライドドアの開閉操作をラッチ駆動モータの動力により容易に行うことができる。さらに、請求項13の構成によれば、全閉状態に保持するための回動ドアロック装置を備えた回動ドアの開閉操作をラッチ駆動モータの動力により容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図16に基づいて説明する。図1には、本発明の車両ドアロックシステム10を備えたスライドドア90を有する車両が示されている。このスライドドア90は、車両本体99の昇降口を閉じた状態から斜め後方に後退しかつ、途中から真っ直ぐ後退して全開状態になる。そして、車両ドアロックシステム10は、スライドドア90を閉鎖状態に保持するための閉鎖ドアロック装置10Aと、全開状態に保持するための全開ドアロック装置10Cと、半ドア状態から全閉状態にするためのクローザ装置10Bと、リモコン装置91とを備えてなる。
【0028】
図2に示すように、閉鎖ドアロック装置10A及び全開ドアロック装置10Cは、スライドドア90の前端縁における高さ方向の中間部と下端部とに配置され、クローザ装置10Bは、スライドドア90の後端縁における高さ方向の中間部に配置されている。これらに対応して、ドア枠99W(昇降口の枠)の内側面における三箇所にストライカ40が設けられている。
【0029】
各ストライカ40は、例えば断面円形の線材を屈曲して形成され、1対の脚部40X,40Xの先端間に連絡棒40Yを差し渡した門形構造をなしている。そして、閉鎖ドアロック装置10Aに対応したストライカ40は、ドア枠99Wの前側内側面から水平後方に延びかつ1対の脚部40X,40Xがドア枠99Wの内外方向に並べられ、それらのうち外寄りに配置された一方の脚部40Xに閉鎖ドアロック装置10Aが係合するようになっている。なお、図3〜図6には、ストライカ40のうち閉鎖ドアロック装置10Aと係合する部分のみの断面図が示されている。また、クローザ装置10Bに対応したストライカ40は、後側内側面から水平前方に延びかつ1対の脚部40X,40Xがドア枠99Wの内外方向に並べられ、それらのうち外寄りに配置された一方の脚部40Xにクローザ装置10Bが係合するようになっている。なお、図8〜図12には、ストライカ40のうち閉鎖ドアロック装置10Aと係合する部分のみが示されている。さらに、全開ドアロック装置10Cに対応したストライカは、図2には表されていないが1対の脚部がドア枠99Wの後側内側面から水平前方に延びかつ上下方向に並べられ、連絡棒に全開ドアロック装置10Cが係合するようになっている。
【0030】
図3に示すように、閉鎖ドアロック装置10Aは、ベース盤11にラッチ20及びポール30を回動可能に組み付けて備えている。ベース盤11は、ボルト固定孔13を複数箇所に備え、スライドドア90の前端壁に内側から宛がわれてボルト固定孔13に通した(又は、螺合した)ボルトにて固定されている。
【0031】
ベース盤11には、水平方向に延びたストライカ受容溝12が備えられている。このストライカ受容溝12の一端部は、車内側に向かって開放したストライカ受容口12Kになっており、他端部は閉じている。また、ベース盤11が取り付けられたスライドドア90の一端壁にもストライカ受容溝12に対応した切り欠き(図示せず)が備えられている。そして、スライドドア90を閉じるとストライカ受容口12Kからストライカ受容溝12内にストライカ40が進入する。
【0032】
ベース盤11のうちストライカ受容溝12より下方には、ポール30が回動可能に軸支されている。ポール30は、ラッチ回動規制片31とストッパ片32とを回動軸30Jから相反する方向に突出して備えている。また、ポール30とベース盤11との間には図示しないトーションバネが備えられ、このトーションバネによってポール30が図3における反時計回り方向に付勢され、通常はストッパ片32がベース盤11に備えたポールストッパ16に当接して位置決めされている。
【0033】
また、ポール30にはベース盤11を隔ててポール30及びストッパ片32と反対側にポール駆動レバー30Rを備え、そのポール駆動レバー30Rとリモコン装置91とがオープンケーブル93Wにて連結されている。また、オープンケーブル93Wの中間部分は被覆管93Hにて覆われている。そして、オープンケーブル93Wがリモコン装置91側に引かれると、ポール30が図3における時計回り方向に回動してラッチ回動規制片31が次述するラッチ20の回動領域から退避したリリース位置に移動する。
【0034】
ベース盤11のうちストライカ受容溝12より上方にはラッチ20が回動可能に軸支されている。ラッチ20は、金属板を樹脂層で覆って防音を図った構造になっている。ラッチ20には、互いに平行になった1対の係止爪21,22が備えられ、それら係止爪21,22の間がストライカ受容部23になっている。また、ラッチ20は、ベース盤11との間に設けた図示しないトーションバネにより本発明に係るロック解除方向(図3における時計回り方向)に付勢されている。そして、スライドドア90を開けた状態では、ラッチ20に備えたストッパ当接部24とベース盤11に備えたラッチストッパ14との当接によりラッチ20がアンラッチ位置(図3に示した位置)に位置決めされる。
【0035】
そのアンラッチ位置では、前側の係止爪21がストライカ受容溝12の上方に退避しかつ、後側の係止爪22がストライカ受容溝12を横切った状態になり、ストライカ受容部23の開口端がストライカ受容溝12のストライカ受容口12K側を向く。そして、ストライカ受容溝12に進入したストライカ40がストライカ受容部23内に受容されると共に、ストライカ40が後側の係止爪22を押してラッチ20が本発明に係るロック方向に(図3における反時計回り方向)に回動する。これにより、図4に示すように、ストライカ受容溝12のうちストライカ40よりストライカ受容口12K側が前側の係止爪21によって塞がれると共に、前側の係止爪21がストライカ40の脚部40X,40X(図1参照)の間に突入し、ラッチ20がストライカ40と噛み合った状態になる。
【0036】
スライドドア90に勢いを付与して閉じると、スライドドア90がドア枠99Wとの間の防音部材(図示せず)を最大限に押し潰した位置まで閉じられ、このとき、図6に示すように、ラッチ20は、ポール30を通過しかつそのポール30から僅かに離間したオーバーストローク位置に至る。そして、防音部材の弾発力によりスライドドア90が戻され、これに伴ってラッチ20がオーバーストローク位置からアンラッチ位置側に若干戻されると、図5に示すようにラッチ20の前側の係止爪21とポール30のラッチ回動規制片31とが当接し、ラッチ20がフルラッチ位置に位置決めされる。詳細には、前側の係止爪21の先端部には、上述の樹脂層から露出したポール当接部26が設けられており、そのポール当接部26とラッチ回動規制片31とを構成する金属同士が当接する。これにより、ラッチ20のロック解除方向への回動が規制され、スライドドア90が全閉状態に保持される。
【0037】
また、スライドドア90に閉じる際の勢いが弱いために、ラッチ20がオーバーストローク位置又はフルラッチ位置に至らない状態で、防音部材の弾発力によりスライドドア90が戻されると、図4に示すようにポール30がラッチ20の後側の係止爪22の先端部にポール30に当接し、ラッチ20がハーフラッチ位置に位置決めされて、スライドドア90が、所謂、半ドア状態になる。閉鎖ドアロック装置10Aの構成に関する説明は以上である。次に、クローザ装置10Bの構成に関する説明を行う。
【0038】
クローザ装置10Bは、図7〜図15に示されており、それらのうち図13及び図14には、クローザ装置10Bの構成部品が色分けして示されている。図8に示すように、クローザ装置10Bは、閉鎖ドアロック装置10Aと同様のラッチ20、ポール30、ストライカ受容溝12等を有するラッチアンドポール機構20Kを備えている。このラッチアンドポール機構20Kは、ラッチ20の回動軸20Jがストライカ受容溝12より下側、ポール30の回動軸30Jがストライカ受容溝12より上側に配置されている点、後側の係止爪22にラッチ駆動レバー25及び位置検出ピン28が備えられている点等が閉鎖ドアロック装置10Aと異なる。以下、クローザ装置10Bと閉鎖ドアロック装置10Aとの間で同一の構成に関しては同一符号を付して重複説明を省略し、異なる構成に関してのみ説明する。
【0039】
図14に示すように、クローザ装置10Bのベース盤11は、板金を鈍角に曲げてその角部にストライカ受容口12Kを備えている。そして、ベース盤11のうち角部より一方側の先端部には、機構板81が重ねた状態にして連結され、他方側の内面には図7に示すようにラッチアンドポール機構20Kが設けられている。また、ラッチアンドポール機構20Kのラッチ20は、ラッチポールカバー84によって覆われている。
【0040】
図8に示すように、ラッチ20にはラッチ駆動レバー25及び位置検出ピン28が備えられている。そのラッチ駆動レバー25は、ラッチ20の回動軸20Jの軸方向と直交する方向に延びている。そして、ラッチ20がハーフラッチ位置(図8参照)の位置した状態で、ラッチ駆動レバー25は斜め下方を向き、この状態で後述するシーソー形回動盤55(本発明に係る「シーソー形回動部品」に相当する)によってラッチ駆動レバー25が上方に押し上げられて、ラッチ20がフルラッチ位置(図9参照)へと移動する。また、位置検出ピン28は、ラッチ20のうち回動軸20Jから下方にずれた位置に配置されて、回動軸20Jの軸方向と平行になってベース盤11から離れる方向に延びている。また、位置検出ピン28の先端部は図7に示すように、ラッチポールカバー84を貫通してラッチ位置検出センサ83に連結されている。そして、このラッチ位置検出センサ83によってラッチ20が、ハーフラッチ位置(図8参照)、フルラッチ位置(図9参照)及びアンラッチ位置(図11参照)の何れの位置に配置されているかを検出する。
【0041】
図8に示すように、ポール30の回動軸30Jは、ベース盤11から離れる方向に延び、その先端部が図7に示すようにラッチポールカバー84を貫通している。また、その回動軸30Jの先端部から側方にポール駆動レバー33が張り出している。ポール駆動レバー33の先端部は二股に分かれており、その二股の先端部の一方からストッパ片34が突出形成されている。そして、ストッパ片34がラッチポールカバー84に備えたストッパ84Sとの当接することで、ポール30がラッチ20の回動を規制可能な位置に位置決めされている。また、ポール駆動レバー33の二股の先端部の他方は、後述するオープンレバー60の押下片61によって押し下げ可能になっている。そして、ポール駆動レバー33が押し下げられることで、ポール30のラッチ回動規制片31がラッチ20の回動領域から退避したリリース位置に移動し、ラッチ20の回動規制が解除される。
【0042】
機構板81には、本発明に係る伝達系統切換機構の構成部品が取り付けられている。具体的には、以下のようである。機構板81の下端寄り位置には、アクティブレバー50(本発明に係る「アクティブ回動部品」に相当する)が回動可能に軸支されている。アクティブレバー50には、その回動軸50Jを挟んでラッチアンドポール機構20Kと反対側に扇形回動板51が備えられ、その扇形回動板51の外周縁にギヤ50Gが形成されている。また、アクティブレバー50には、回動軸50Jよりラッチアンドポール機構20K側に突出した回動支持突片52が備えられ、その回動支持突片52の先端部にシーソー形回動盤55が回動可能に軸支されている。
【0043】
シーソー形回動盤55は、回動軸55Jを挟んで両側に回動片が張り出したシーソー構造をなし、その上縁部からは機構板81と反対側に押上壁56が曲げ起こされている。押上壁56は、シーソー形回動盤55のうち回動軸55Jの上方位置からラッチアンドポール機構20K側の先端部に亘って延び、ラッチ駆動レバー25に下方から当接可能になっている。また、シーソー形回動盤55は、図7及び図13に示したトーションコイルバネ58により、押上壁56がラッチ駆動レバー25から離れる方向(図8における時計回り方向)に付勢されている。
【0044】
シーソー形回動盤55のうちラッチアンドポール機構20Kと反対側の端部には当接コロ57が取り付けられ、この当接コロ57に上方側から後述する位置決レバー63(本発明に係る「位置決可動部材」に相当する)が突き当てられている。そして、これらアクティブレバー50、シーソー形回動盤55及び位置決レバー63により本発明に係る「第2キャンセル機構」が構成されており、当接コロ57が位置決レバー63によって位置決めされた状態で、アクティブレバー50が図8の反時計回りに回動すると、シーソー形回動盤55の回動軸55Jが上方に移動し、シーソー形回動盤55の先端部における押上壁56がラッチ駆動レバー25を上方に押し上げる。また、位置決レバー63が当接コロ57から離れた位置に移動すると、シーソー形回動盤55がアクティブレバー50に対して自在に回転可能になり、アクティブレバー50からシーソー形回動盤55への動力の伝達が遮断され、シーソー形回動盤55の押上壁56によってラッチ駆動レバー25を押し上げることができなくなる。
【0045】
図14に示すように、アクティブレバー50を挟んでラッチアンドポール機構20Kと反対側にはアクチュエータ41が設けられている。アクチュエータ41は、ラッチ駆動モータ41Mと減速機構41Gとからなる。減速機構41Gは、ウォームギヤ41Aとウォームホイール41Bとを内蔵して備え、ウォームギヤ41Aにラッチ駆動モータ41Mのモータ出力軸が連結されている。そして、ウォームホイール41Bに一体に備えた小ギヤ41X(図14参照)が扇形回動板51のギヤ50Gに噛合している。これによりラッチ駆動モータ41Mによってアクティブレバー50を時計回り方向と反時計回り方向の任意の方向に回動させることができる。
【0046】
図7に示すように、機構板81のうちアクティブレバー50の回動軸50Jの上方には、位置決レバー63及びオープンレバー60が共通の回動軸60Jを中心に回動可能に軸支されている。オープンレバー60のうち回動軸60Jから下方に延びた部位の先端にはオープンケーブル92Wの一端部が連結され、そのオープンケーブル92Wの他端部はリモコン装置91(図16参照)に連結されている。また、オープンケーブル92Wは、両端部を除く全体が被覆管92Hによって覆われている。
【0047】
オープンレバー60の上端部からは、押下片61がポール30側に張り出されている。そして、オープンケーブル92Wがリモコン装置91側に引っ張られると、オープンレバー60が回動して押下片61がポール駆動レバー33を押し下げ、これにより、前述の如く、ポール30のリリース位置に移動して、ポール30によるラッチ20の回動規制が解除される。
【0048】
位置決レバー63はオープンレバー60に重ねて設けられ、位置決レバー63の側縁部から起立した連動当接片63Tが、オープンレバー60の一側縁部に側方から対向している。そして、オープンケーブル92Wがリモコン装置91側に引っ張られてオープンレバー60が回動すると、連動当接片63Tがオープンレバー60に押されて位置決レバー63も回動し、当接コロ57から離間することで、前述の如く、アクティブレバー50からシーソー形回動盤55への動力の伝達が遮断され、シーソー形回動盤55の押上壁56によってラッチ駆動レバー25を押し上げることができなくなる。本実施形態では、位置決レバー63が当接コロ57に当接した位置が、本発明に係る「位置決可動部材」に係る「動力伝達位置」に相当し、位置決レバー63が当接コロ57から離間した位置が、「位置決可動部材」に係る「動力遮断位置」に相当する。
【0049】
オープンレバー60の上方には、リリース入力盤70、スライド回動盤75(本発明に係る「スライド回動部品」に相当する)及びリリースレバー65(本発明に係る「リリース回動部品」に相当する)が共通の回動軸65Jを中心に回動可能に軸支されて、本発明に係る「第1キャンセル機構」を構成している。リリース入力盤70は、図15(A)に示すように、回動軸65Jから下方に延びた第1回動片70Aと、横方向に延びた第2回動片70Bとを有している。第2回動片70Bには、回動軸65Jと直交した軸線に沿って長孔70Rが形成されている。また、第2回動片70Bの先端には、上方を向いたストッパ当接部70Cが形成されている。そして、図7に示すように、機構板81に備えたストッパ81Sにストッパ当接部70Cが当接して、リリース入力盤70が回動可能範囲の一端に位置決めされている。
【0050】
第1回動片70Aには、その下端部を機構板81側に曲げ起こし、その曲げ起こした部分を図7に示すようにラッチアンドポール機構20Kと反対側に突出させかつU字形に湾曲させて湾曲当接部70Tが形成されている。そして、ラッチ駆動モータ41Mにてアクティブレバー50を時計回り方向に回動させたときにアクティブレバー50に備えた加圧部50Tが湾曲当接部70Tに当接し、リリース入力盤70が同図の反時計回り方向に回動する。
【0051】
スライド回動盤75は、図14に示すように、リリース入力盤70と機構板81との間に配置されている。また、スライド回動盤75は、リリース入力盤70における第2回動片70Bの長手方向に延びており、先端側の幅が先細り形状をなす一方、基端側が末広がり形状になっている。図15(B)に示すように、スライド回動盤75には、長手方向に沿って延びた長孔77が形成されると共に、その長孔77の両側には長孔77と平行に1対のスリット78,78が形成されている。また、長孔77の両内側面には、長孔77の基端寄り位置に(図15(B)の右側端部寄り位置)に1対の突起76A,76Aが突出形成されている。そして、その長孔77の基端部を貫通した回動軸65Jと突起76A,76Aとの係止により、スライド回動盤75が回動軸65Jの軸方向と直交する方向に移動することを規制している。また、スライド回動盤75の長手方向に外力を加えると、長孔77と各スリット78との間の両持ち梁部76を撓ませて突起76A,76Aが回動軸65Jを乗り越え、スライド回動盤75をスライドさせることができる。ここで、回動軸65Jが長孔77の基端部(図15(B)の右側端部)に配置されたときのスライド回動盤75の位置が、本発明に係る「スライド回動部品」に係る「動力伝達位置」に相当し、回動軸65Jが長孔77の先端部(図15(B)の左側端部)に配置されたときのスライド回動盤75の位置が、「スライド回動部品」に係る「動力遮断位置」に相当する。
【0052】
そして、スライド回動盤75を動力伝達位置と動力遮断位置との間でスライド操作するためのキャンセル操作突部75B(本発明に係る「キャンセル操作部」に相当する)がスライド回動盤75の基端部に設けられている。そのスライド回動盤75の基端部は、図14に示すように、機構板81の外縁部から側方に露出しており、その露出部分からキャンセル操作突部75Bが突出している。また、リリース入力盤70の先端部からは機構板81から離れる側に連結旋回突部75Aが突出している。この連結旋回突部75Aは、リリース入力盤70の長孔70Rの幅を略同一の幅の角柱形状になし、その長孔70Rを貫通して次述するリリースレバー65のクランク溝65R内に受容されている。
【0053】
リリースレバー65は、図15(C)に示すように、回動軸65Jから斜め下方に延び、その下端部には図7に示すようにリリースケーブル91Wの一端が連結されている。そのリリースケーブル91Wの他端部は、リモコン装置91に連結されると共に、リリースケーブル91Wの中間部は被覆管91Hにて覆われている。また、リリースレバー65は、スプリング82によって図7における時計回り方向に付勢されている。さらに、リリースレバー65は、回動軸65J寄りの基端部から中間部に亘った部分が扇形状に幅が広がっており、そこにクランク溝65Rが形成されている。クランク溝65Rは、図15(C)に示すように、回動軸65Jを中心とした円弧形状の外側円弧溝65R1と、その外側円弧溝65R1より曲率半径が小さい内側円弧溝65R2(本発明に係る「突部受容部」に相当する)とを連絡してなり、全体が略クランク状になっている。そして、図7〜図11に示すように、スライド回動盤75が動力伝達位置に配置されたときには、連結旋回突部75Aが外側円弧溝65R1に受容され、スライド回動盤75が動力遮断位置に配置されたときには、連結旋回突部75Aが内側円弧溝65R2に受容される。
【0054】
ここで、連結旋回突部75Aが外側円弧溝65R1に受容された状態でアクティブレバー50から動力を受けてリリース入力盤70が回動すると、それと一体にスライド回動盤75が回動する。すると、図9から図10の変化に示すように、連結旋回突部75Aが、外側円弧溝65R1を一端から他端に移動し、外側円弧溝65R1の端部の突部当接部65S1に当接する。そして、リリース入力盤70及びスライド回動盤75が更に回動すると、図10から図11の変化に示すように、連結旋回突部75Aが突部当接部65S1を押すことでリリースレバー65がスライド回動盤75から動力を受けて回動し、これによりオープンケーブル92Wをリモコン装置91からクローザ装置10B側に引くことができる。
【0055】
また、図11に示すように、連結旋回突部75Aが突部当接部65S1に当接した状態になると、スライド回動盤75を動力遮断位置に移動して、連結旋回突部75Aを内側円弧溝65R2に移動することができる。すると、連結旋回突部75Aからリリースレバー65への動力の伝達が遮断され、連結旋回突部75Aが内側円弧溝65R2内を相対的に自由に旋回可能になり、スライド回動盤75からリリースレバー65への動力及び反力の伝達が遮断される。
【0056】
全開ドアロック装置10Cは、図示しないが閉鎖ドアロック装置10Aと同様に動作するラッチアンドポール機構を有している。全開ドアロック装置10Cのポールにも閉鎖ドアロック装置10Aと同様にポール駆動レバーが備えられ、そのポール駆動レバーとリモコン装置91との間がオープンケーブル94W(図2参照)にて連結されている。
【0057】
図16に概念的に示すように、リモコン装置91は、前記オープンケーブル92W,93W,94Wが一端部に連結されたリモコン回動レバー98を備えている。そのリモコン回動レバー98は第1原点保持スプリング98Sとストッパ98Tとによって原点位置(図16に示した位置)に付勢かつ位置決めされている。また、リモコン回動レバー98のうちオープンケーブル92W,93W,94Wとの連結部分に対して回動中心を挟んで反対側の端部には、前記リリースケーブル91Wが連結されている。これにより、ラッチ駆動モータ41Mを駆動してリリースケーブル91Wをクローザ装置10B側に引くと、リモコン回動レバー98が原点位置から離れる方向(図16における反時計回り方向)に回動し、オープンケーブル92W,93W,94Wがリモコン装置91側に引かれる。これにより、閉鎖ドアロック装置10A、クローザ装置10B、全開ドアロック装置10Cの全てのポール30がリリース位置に移動し、全てのラッチ20の回動規制が一度に解除される。
【0058】
リモコン装置91には、スライドドア90の内面と外面とに別々に備えられたハンドル95が備えられている。それらハンドル95は、第2原点保持スプリング97Sとストッパ97Tとによって原点位置に付勢かつ保持されている。そして、その第2原点保持スプリング97Sに抗してハンドル95を原点位置から離れる側に移動操作すると、ハンドル95に連結されたハンドル連動部品97が原点位置から所定の単独可動域L1を通過し、リモコン回動レバー98に当接する。そして、この状態でハンドル95を原点位置からさらに離れる側に移動すると、ハンドル連動部品97がリモコン回動レバー98を押して回動させる。また、リモコン装置91には、ハンドル連動部品97が原点位置側から単独可動域L1に進入したことを検出するためのハンドル操作検出センサ96が備えられている。また、上記したハンドル操作検出センサ96の検出信号は前記ラッチ位置検出センサ83の検出信号と共に車両本体99に備えた図示しないECUに取り込まれている。そして、ECUが、それら検出信号に基づいてラッチ駆動モータ41Mを以下に詳説するように駆動する。
【0059】
本実施形態の構成に関する説明は以上である。次に、上記構成による本実施形態の作用効果について説明する。スライドドア90を締めると、閉鎖ドアロック装置10A及びクローザ装置10Bの各ラッチ20が対応したストライカ40とそれぞれ噛み合って回動する。このとき、スライドドア90を比較的強い力で閉めてスライドドア90が全閉状態になると、閉鎖ドアロック装置10A及びクローザ装置10Bの各ラッチ20が図5及び図9に示すようにフルラッチ位置まで回動してそれらラッチ20にポール30(詳細には、ポール30のラッチ回動規制片31)が係合し、各ラッチ20のロック解除方向への回動が規制(禁止)される。これにより、スライドドア90が全閉状態に保持される。
【0060】
また、スライドドア90を比較的弱い力で閉めたために半ドア状態になると、閉鎖ドアロック装置10A及びクローザ装置10Bの各ラッチ20が図4及び図8に示すようにハーフラッチ位置まで回動してそれらラッチ20にポール30が係合し、各ラッチ20のロック解除方向への回動が規制(禁止)され、半ドア状態に保持される。すると、クローザ装置10Bのラッチ位置検出センサ83により、ラッチ20がハーフラッチ位置に位置していることが検出され、その検出結果がECUに取り込まれる。そして、ECUがクローザ装置10Bに備えたラッチ駆動モータ41Mのモータ出力軸を一方に回転させ、アクティブレバー50を図8における反時計回り方向に回転駆動する。このとき、位置決レバー63が当接コロ57に当接してシーソー形回動盤55の一端部を位置決めし、アクティブレバー50によってシーソー形回動盤55の回動軸55Jを持ち上げることで、アクティブレバー50からシーソー形回動盤55に動力が伝達され、シーソー形回動盤55のの他端部(詳細には、シーソー形回動盤55に備えた押上壁56の先端部)がラッチ20のラッチ駆動レバー25を押し上げる。これにより、ラッチ20が図8に示したハーフラッチ位置から図9に示したフルラッチ位置に移動し、スライドドア90が半ドア状態から全閉状態になって保持される。
【0061】
ここで、半ドア状態から全閉状態に移行する途中でハンドル95を操作すると、オープンケーブル92Wがリモコン装置91側に引かれて位置決レバー63がシーソー形回動盤55の当接コロ57から離間する。これにより、アクティブレバー50からシーソー形回動盤55への動力の伝達が緊急遮断され、半ドア状態から全閉状態への移行をキャンセルすることができる。そして、ハンドル95の操作に連動してオープンレバー60も回動し、そのオープンレバー60の押下片61がポール30のポール駆動レバー33を押し下げるので、仮にクローザ装置10Bのポール30がラッチ20に係合していてもリリース位置に移動することができる。また、他のオープンケーブル93Wもハンドル95の操作によってリモコン装置91側に引っ張られるので、閉鎖ドアロック装置10Aにおけるポール30もリリース位置に移動する。これにより、スライドドア90を開くことができる。
【0062】
さて、スライドドア90が全閉状態になると、スライドドア90とドア枠99Wとの間で防音部材が押し潰され、その反力によって閉鎖ドアロック装置10A及びクローザ装置10Bの各ポール30と各ラッチ20とが摩擦係合した状態になる。一方、スライドドア90を開くには、これらポール30とラッチ20との摩擦抵抗に抗して閉鎖ドアロック装置10A及びクローザ装置10Bの両ポール30をリリース位置に移動する必要があり、手動操作のみ両ポール30をリリース位置に移動するには大きな力を要する。しかしながら、本実施形態では、ハンドル95を操作すると、ポール30とラッチ20との摩擦抵抗がハンドル95にかかる前に、ハンドル操作検出センサ96がハンドル95が操作されたことを検出し、これを受けてECUがラッチ駆動モータ41Mのモータ出力軸を他方に回転させる。
【0063】
すると、アクティブレバー50が図10における時計回り方向に回転駆動され、そのアクティブレバー50から動力を受けてリリース入力盤70及びスライド回動盤75が同図における反時計回り方向に回動する。そして、スライド回動盤75の連結旋回突部75Aがリリースレバー65の外側円弧溝65R1における一端側の突部当接部65S1に当接し、図10から図11の変化に示すように、リリースレバー65がリリース入力盤70及びスライド回動盤75と共に回動して、オープンケーブル92Wをクローザ装置10B側に引く。これにより、リモコン装置91のリモコン回動レバー98が回動し、オープンケーブル92W,93Wがリモコン装置91側に引かれて、ラッチ駆動モータ41Mの動力により閉鎖ドアロック装置10A及びクローザ装置10Bの両ポール30をリリース位置に移動することができ、容易にスライドドア90を開くことができる。
【0064】
また、スライドドア90を全開状態にすると、全開ドアロック装置10Cの図示しないラッチ20とストライカ40とが噛み合い、ポール30がラッチ20と摩擦係合する。この場合も、ハンドル95を操作することで、オープンケーブル94Wがリモコン装置91側に引かれて、ラッチ駆動モータ41Mの動力により全開ドアロック装置10Cのポール30をリリース位置に移動することができる。これにより、容易にスライドドア90を閉じることができる。
【0065】
ここで、図11に示すように、オープンケーブル92Wをリモコン装置91からクローザ装置10B側に引いた状態で、ラッチ駆動モータ41Mと共にリリース入力盤70及びスライド回動盤75が異常停止した場合には、ECUがラッチ駆動モータ41Mへの通電状態等からこの異常停止を検出し、例えば、図示しない運転席の警告灯(本発明に係る「異常報知手段」に相当する)を点灯する。この場合、運転者は、スライド回動盤75を動力遮断位置に移動すればよい。すると、連結旋回突部75Aと突部当接部65S1との当接が解除されて、連結旋回突部75Aが内側円弧溝65R2に受容される。なお、警告灯の消灯は、スライド回動盤75を適切な位置に操作したことを検出することで行われる。そして、連結旋回突部75Aからリリースレバー65への動力の伝達が遮断されて、連結旋回突部75Aが内側円弧溝65R2内を相対的に旋回するようにして、リリースレバー65がスプリング82に引っ張られて元の位置に戻る。これにより、リモコン回動レバー98も原点位置に戻り、ラッチ駆動モータ41Mが異常停止しても、閉鎖ドアロック装置10A、クローザ装置10B、全開ドアロック装置10Cのポール30をリリース位置からラッチ20に係合する位置に戻すことができ、スライドドア90を閉じた状態に保持することが可能になる。
【0066】
このように本実施形態の車両ドアロックシステム10によれば、ラッチ駆動モータ41Mを、半ドア状態から全閉状態にするための動力源と、スライドドア90を開く際のハンドル操作を補助する動力源との両方に兼用することができ、製造コスト及び重量を抑えることができる。また、ラッチ駆動モータ41Mがポール30をリリース位置に保持した状態で動作不能になった場合に警告灯にて異常を報知するので迅速な対応が可能になる。なお、異常報知手段としては、警告灯以外にも警告音や警報でもよい。
【0067】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0068】
(1)前記実施形態の車両ドアロックシステム10には、閉鎖ドアロック装置10Aとクローザ装置10Bと全開ドアロック装置10Cとが備えられていたが、図17に示すように、前記実施形態のクローザ装置10Bと同様のアクチュエータ41及び伝達系統切換機構を備えた閉鎖ドアロック装置10B1をスライドドア90の前端部に設けてクローザ装置10B及び全開ドアロック装置10Cは有しないスライドドアの車両ドアロックシステムに本発明を適用してもよい。また、その閉鎖ドアロック装置10B1と全開ドアロック装置10Cを備えてクローザ装置10Bを有しないスライドドアの車両ドアロックシステムに本発明を適用してもよい。さらに、前記実施形態で説明した閉鎖ドアロック装置10Aとクローザ装置10Bとを備えて全開ドアロック装置10Cを有しないスライドドアの車両ドアロックシステムに本発明を適用してもよい。
【0069】
(2)前記実施形態の車両ドアロックシステム10は、スライドドア90に取り付けられていたが、図18に示すように、車両本体に回動可能に備えられ、回動ドアロック装置10B2を備えた回動ドア90Aの車両ドアロックシステムに本発明を適用してもよい。この場合、回動ドアロック装置10B2にラッチアンドポール機構と、前記アクチュエータ41及び伝達系統切換機構を設けた構成にしておけばよい。
【0070】
(3)前記実施形態では、ラッチ駆動モータ41Mが異常停止した場合には、クローザ装置10Bに備えたキャンセル操作突部75Bを操作してラッチ駆動モータ41Mとポール30との間の動力の伝達系統を遮断する構成であったが、例えば、別の構成として以下のように構成してもよい。即ち、リモコン装置91のハンドル95が操作されてその可動範囲の始端部から終端部の手前まで移動する間はラッチ駆動モータ41Mとポール30との間が動力の伝達が可能な状態に保持され、ハンドル95が可動範囲の終端部に至ったときに動力が遮断された状態に切り替わり、さらに、ハンドル95が可動範囲の始端部に戻ったときに動力の伝達が可能な状態に戻るように構成してもよい。
【0071】
(4)また、ラッチ駆動モータ41Mが異常停止した場合に操作されるキャンセル操作突部75Bは、スライドドア90のうち車内を向いた内側面に配置しもよいし、例えば、ドアのうちドア枠の内面と対向する面に配置して、ドアを閉めた際に、キャンセル操作突部75Bがドアと車両本体との間に挟まれて隠れるようにしてもよい。そのような構成にすれば、キャンセル操作突部75Bが操作目的を知らない者にとって見つけ難くなり、誤って操作されることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両ドアロックシステムを備えた車両の概念図
【図2】車両ドアロックシステムを備えたスライドドアの概念図
【図3】アンラッチ状態の閉鎖ドアロック装置の正面図
【図4】ハーフラッチ状態の閉鎖ドアロック装置の正面図
【図5】フルラッチ状態の閉鎖ドアロック装置の正面図
【図6】オーバーラッチ状態の閉鎖ドアロック装置の正面図
【図7】クローザ装置の正面図
【図8】ハーフラッチ状態のクローザ装置の正面図
【図9】フルラッチ状態のクローザ装置の正面図
【図10】リリースレバーに動力を伝達した状態のクローザ装置の正面図
【図11】ラッチ駆動モータの動力によりポールをリリース位置に移動した状態のクローザ装置の正面図
【図12】ラッチ駆動モータの異常停止時にラッチ駆動モータとポールとの間の動力の伝達を遮断した状態のクローザ装置の正面図
【図13】クローザ装置の正面図
【図14】クローザ装置の裏面図
【図15】第1キャンセル機構の構成部品の正面図
【図16】リモコン装置の概念図
【図17】変形例1の車両ドアロックシステムを備えたスライドドアの概念図
【図18】変形例2の車両ドアロックシステムを備えた回動ドアの概念図
【符号の説明】
【0073】
10 車両ドアロックシステム
10A,10B1 閉鎖ドアロック装置
10B クローザ装置
10B2 回動ドアロック装置
10C 全開ドアロック装置
20 ラッチ
30 ポール
40 ストライカ
41M ラッチ駆動モータ
50 アクティブレバー(アクティブ回動部品)
51 扇形回動板
52 回動支持突片
55 シーソー形回動盤(シーソー形回動部品)
56 押上壁
60 オープンレバー
63 位置決レバー(位置決可動部材)
65 リリースレバー(リリース回動部品)
65R2 内側円弧溝(突部受容部)
70 リリース入力盤
75 スライド回動盤(スライド回動部品)
75A 連結旋回突部
75B キャンセル操作突部(キャンセル操作部)
90 スライドドア
90A 回動ドア
91 リモコン装置
91H ハンドル
91W リリースケーブル
92W,93W,94W オープンケーブル
96 ハンドル操作検出センサ
99 車両本体
99W ドア枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアに取り付けられ、車両本体に備えたストライカと噛み合って回動するラッチと、前記ラッチと係合し、そのラッチが前記ストライカとの係合を深めるロック方向に回動することを許容しかつその逆のロック解除方向への回動を規制するポールと、半ドア状態で前記ラッチを前記ロック方向に回転駆動して、前記ドアを完全に閉じた全閉状態に移行するためのラッチ駆動モータとを有し、ロック解除操作部の操作に応じて前記ポールがリリース位置に移動し、前記ラッチの回動規制が解除される車両ドアロックシステムにおいて、
前記ラッチ駆動モータのモータ出力軸は、前記半ドア状態になったときに一方に回転駆動される一方、前記ロック解除操作部が操作されたときに他方に回転駆動され、
前記一方に回転駆動された前記モータ出力軸を前記ラッチに連結してそのラッチを前記ロック方向に回転駆動する一方、前記他方に回転駆動された前記モータ出力軸を前記ポールに連結して前記ポールを前記リリース位置へと移動する伝達系統切換機構を備えたことを特徴とする車両ドアロックシステム。
【請求項2】
前記伝達系統切換機構は、前記モータ出力軸から前記ポールへの動力及び反力を伝達する動力伝達状態と遮断する動力遮断状態とに切換可能な第1キャンセル機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両ドアロックシステム。
【請求項3】
前記第1キャンセル機構は、
前記他方に回転駆動された前記モータ出力軸から動力を受けて回動しかつその回動軸と直交する方向で動力伝達位置と動力遮断位置との間を移動可能なスライド回動部品と、
前記スライド回動部品のうち前記回動軸からオフセットした位置に突出形成された連結旋回突部と、
前記スライド回動部品と共通の前記回動軸を中心に回動可能に設けられ、前記スライド回動部品が前記動力伝達位置に配置されたときに前記連結旋回突部から動力を受けて回動して前記ポールを前記リリース位置へと移動させるリリース回動部品と、
前記リリース回動部品に形成されて、前記スライド回動部品が前記動力遮断位置に配置されたときに前記連結旋回突部を旋回可能に受容し、前記連結旋回突部から前記リリース回動部品への動力を遮断する突部受容部とを備えてなることを特徴とする請求項2に記載の車両ドアロックシステム。
【請求項4】
手動操作により前記第1キャンセル機構を前記動力伝達状態と前記動力遮断状態とに切り換えるためのキャンセル操作部を備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の車両ドアロックシステム。
【請求項5】
前記キャンセル操作部は、前記ドアのうち前記車両本体との間に挟まれて隠される位置に配置されたことを特徴とする請求項4に記載の車両ドアロックシステム。
【請求項6】
前記第1キャンセル機構は、前記ロック解除操作部としてのハンドルがその可動範囲の始端部から終端部の手前まで移動操作される間は前記動力伝達状態に保持され、前記ハンドルが前記可動範囲の終端部に至ったときに前記動力遮断状態に切り替わり、さらに、前記ハンドルが前記可動範囲の始端部に戻ったときに前記動力伝達状態に戻るように構成されたことを特徴とする請求項2又は3に記載の車両ドアロックシステム。
【請求項7】
前記ラッチ駆動モータが前記ポールを前記リリース位置に保持した状態で動作不能になった場合に、異常を報知する異常報知手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至6の何れかに記載の車両ドアロックシステム。
【請求項8】
前記伝達系統切換機構は、前記モータ出力軸から前記ラッチへの動力及び反力を伝達可能にする動力伝達状態と遮断する動力遮断状態とに切換可能な第2キャンセル機構を備えたことを特徴とする請求項1乃至7に記載の車両ドアロックシステム。
【請求項9】
前記第2キャンセル機構は、
前記他方に回転駆動された前記モータ出力軸から動力を受けて回動するアクティブ回動部品と、
前記アクティブ回動部品のうちその回動軸からオフセットした位置に回動可能に軸支されたシーソー形回動部品と、
通常は前記シーソー形回動部品の一端部を位置決めするシーソー当接位置に配置されかつ、前記ロック解除操作部としてのハンドルの操作に連動して前記位置決めを解除するシーソー解放位置に移動する位置決可動部材とを備え、
前記位置決可動部材を前記シーソー当接位置に配置したときに、前記シーソー形回動部品の一端部が位置決めされた状態で前記シーソー形回動部品の回動軸が前記アクティブ回動部品の回動と共に移動することで、前記シーソー形回動部品の他端部から前記ラッチに動力を付与する一方、
前記位置決可動部材を前記シーソー解放位置に配置したときに、前記シーソー形回動部品が前記アクティブ回動部品に対して自在に回動可能になり、前記ラッチへの動力が遮断されることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の車両ドアロックシステム。
【請求項10】
前記ラッチ及び前記ポールは、1つの前記ドアに複数備えられる一方、前記ラッチ駆動モータは、1つの前記ドアに1つ備えられ、
前記伝達系統切換機構は、前記一方に回転駆動された前記モータ出力軸を前記複数のラッチのうち一部の前記ラッチのみに連結する一方、前記他方に回転駆動された前記モータ出力軸を全ての前記ポールに連結するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに車両ドアロックシステム。
【請求項11】
前記ドアはスライドドアであり、
前記スライドドアの後端側に配置されて前記ラッチ駆動モータと前記ラッチと前記ポールとを有し、前記スライドドアを半ドア状態から全閉状態にするためのクローザ装置と、前記スライドドアの前端側に配置されて前記ラッチと前記ポールとを有し、前記スライドドアを全閉状態に保持するための閉鎖ドアロック装置とを備えてなり、
前記伝達系統切換機構は、前記一方に回転駆動された前記モータ出力軸を前記クローザ装置の前記ラッチのみに連結する一方、前記他方に回転駆動された前記モータ出力軸を全ての前記ポールに連結するように構成されたことを特徴とする請求項10に記載の車両ドアロックシステム。
【請求項12】
前記スライドドアのうち前端側に配置されて、前記ラッチと前記ポールとを有し、前記スライドドアを全開状態に保持するための全開ドアロック装置を備え、
前記伝達系統切換機構は、前記他方に回転駆動された前記モータ出力軸を前記全開ドアロック装置の前記ポールに連結するように構成されたことを特徴とする請求項11に記載の車両ドアロックシステム。
【請求項13】
前記ドアは回動式ドアであり、
前記回動ドアのうち回動中心から離れた側の端部に配置されて前記ラッチ駆動モータと前記ラッチと前記ポールとを有し、前記回動ドアを全閉状態に保持するための回動ドアロック装置を備え、
前記伝達系統切換機構は、前記一方に回転駆動された前記モータ出力軸を前記回動ドアロック装置の前記ラッチに連結する一方、前記他方に回転駆動された前記モータ出力軸を前記回動ドアロック装置の前記ポールに連結するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の車両ドアロックシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−115615(P2008−115615A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300208(P2006−300208)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000100827)アイシン機工株式会社 (122)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】