説明

電力変換システムを動作させる方法及びシステム

【課題】電力を電力系統に供給する電力変換システムを提供する。
【解決手段】システム14は、直流電源12に結合された電力変換器16を含んでおり、電力変換器16及び電力系統22に結合され、電力変換器16を電力系統22に選択的に電気的に結合するように構成されたAC接触器24も含んでいる。システムは、電力変換器16及びAC接触器24に通信可能に結合され、供給される直流電圧12が、ある長さの時間中、ある電圧レベルより高いままであった場合、電力変換器16を電力系統22に電気的に結合し、電力変換器16を活性化するために、AC接触器24を閉じるように構成されたシステムコントローラ18も含んでいる。システムコントローラ18は、交流電力出力が、ある長さの時間中、ある電力レベルより小さいままであった場合、AC接触器24を閉じた位置に維持すると同時に、電力変換器16を不活性化するようにも構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される実施形態は、一般に、電力変換システムを動作させることに関し、より詳細には、予め規定された電力を電力系統に供給するために電力変換システムを制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽エネルギーは、ますます魅力的なエネルギー源となってきており、クリーンで再生可能な代替エネルギー形態として認識されている。太陽光の形態での太陽エネルギーは、太陽電池によって電気エネルギーに変換することができる。光を電気エネルギーに変換する装置のより一般的な用語は、「光起電力電池」である。太陽電池は光起電力(PV)電池の一部である。
【0003】
より大きい電流及びより高い電圧を得るために、太陽電池はソーラーモジュールを形成するように電気的に接続される。複数の太陽電池に加えて、ソーラーモジュールは、例えば、照度センサ、温度センサ、電圧計、電流計、及び/又は、電力計等のセンサを含んでもよい。ソーラーモジュールもまた、モジュール列を形成するように接続することができる。典型的には、モジュール列によって出力された直流(DC)電圧は、電力変換器、例えば、DC−交流(AC)電圧インバータに供給される。DC−ACインバータは、DC電圧を三相AC電圧又は電流に変換する。DC−ACインバータから出力される三相ACは電力変圧器に供給され、電力変圧器は三相高圧AC電力を電力系統に出力する。AC接触器は、電力変換器を電力系統に選択的に電気的に結合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0103108号明細書
【発明の概要】
【0005】
典型的には、電力系統に結合された発電システムのオペレータは、規定されたレベルの電力を電力系統に供給することに同意する。できるだけ毎日電力を電力系統に供給することが、オペレータにとって財政的に有益である。太陽が昇るにつれて、PVアレイ電圧は上昇する。PVアレイ電圧が予め規定されたレベルに達すると、電力変換器は活性化し(activate)、AC接触器は閉じて電力変換器と電力系統とを結合し、発電システムは電力を電力系統に供給しようとする。PVアレイが規定されたレベルの電力を供給できない場合、例えば、照度レベルが規定されたレベルの電力をサポートするのに十分なほど高くない場合、AC接触器は開き、電力変換器を電力系統から切り離す。典型的には、AC接触器は、再び電力を電力系統に供給しようとするために閉じるまでの予め規定された長さの時間中、開いたままである。このプロセスは、PVアレイが規定されたレベルの電力をサポートできるようになるまで繰り返される。同様のプロセスが、太陽が沈むにつれて繰り返される可能性がある。AC接触器の反復するオン及びオフは、摩耗を生じさせ、AC接触器の耐用年数を短くする。
【0006】
ある態様では、電力を電力系統に供給する電力変換システムが提供される。前記システムは、直流(DC)電源によって生成された電力を受けるように結合され、構成された電力変換器を含んでいる。前記システムは、前記電力変換器及び前記電力系統に結合され、前記電力変換器を前記電力系統に選択的に電気的に結合するように構成された接触器も含んでいる。このシステムは、前記電力変換器及び前記接触器に通信可能に結合され、前記電力変換器に供給されるDC電圧が、予め規定された長さの時間中、予め規定された電圧レベルより高いままであった場合、前記電力変換器を前記電力系統に電気的に結合し、前記電力変換器を活性化するために前記接触器を閉じるように構成されたシステムコントローラも含んでいる。前記システムコントローラは、前記電力変換器の交流(AC)電力出力が、予め決められた長さの時間中、予め決められた電力レベルより小さいままであった場合、前記接触器を閉じた位置に維持すると同時に、前記電力変換器を不活性化する(deactivate)ようにも構成されている。
【0007】
他の態様では、電力変換システムを動作させる方法が提供される。前記電力変換システムは、電力変換器と、前記電力変換器を電力系統に選択的に電気的に結合するように構成された接触器とを含んでいる。前記方法は、前記電力変換器に供給される直流(DC)電圧が、予め規定された長さの時間中、予め規定された電圧レベルより高いままであったことを決定するステップを含んでいる。前記方法は、前記電力変換器を前記電力系統に電気的に結合するために前記接触器を閉じるステップと、前記直流電圧入力を交流(AC)電圧出力に変換するために前記電力変換器を活性化するステップも含んでいる。前記方法は、前記電力変換器のAC電力出力を決定するステップと、前記AC電力出力が、予め規定された長さの時間中、予め規定されたレベルより低いままであった場合、前記接触器を閉じた位置に維持すると同時に、前記電力変換器の動作を中止するステップも含んでいる。
【0008】
さらに他の態様では、光起電力(PV)アレイに結合された電力変換器と、前記電力変換器を電力系統に選択的に電気的に結合するように構成された接触器とを含む電力変換システムの動作を制御するように結合され、構成されたシステムコントローラが提供される。前記システムコントローラは、前記電力変換器のAC電力出力を決定し、前記AC電力が予め規定された電力レベルより低い場合、前記電力変換器の動作を中止するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電力変換システムを含む例示的な発電システムのブロック図である。
【図2】図1に示す電力変換システムを動作させる例示的な方法の第1のフローチャートである。
【図3】図1に示す電力変換システムを動作させる例示的な方法の第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載される方法及びシステムは、供給される電力が予め規定されたレベルより上である場合、電力を電力系統に供給するために発電システム内に含まれる電力変換システムを制御するのを容易にする。本明細書に記載される方法及びシステムは、電力変換システムと電力系統とを選択的に電気的に結合する接触器の摩耗を低減し、耐用年数を延ばすと同時に、発電システムが電力を電力系統に供給する時間を最長化する。
【0011】
本明細書に記載される方法及びシステムの技術的効果は、(a)電力変換器に供給される直流(DC)電圧が、予め規定された長さの時間中、予め規定された電圧レベルより高いままであったことを決定するステップ、(b)電力変換器を電力系統に電気的に結合するために接触器を閉じるステップ、(c)電力変換器を活性化するステップ、(d)電力変換器のAC電力出力を決定するステップ、及び、(e)AC電力出力が、予め規定された長さの時間中、予め規定された電力レベルより小さいままであった場合、接触器を閉じた位置に維持すると同時に、電力変換器の動作を中止するステップのうち少なくとも1つを含んでいる。
【0012】
図1は、光起電力(PV)発電システム10の例示的な実施形態のブロック図である。この例示的な実施形態では、PV発電システム10は、PVアレイ12及び電力変換システム14を含んでいる。この例示的な実施形態では、電力変換システム14は、電力変換器16及びシステムコントローラ18を含んでいる。システム10は、例えば変圧器又は電力系統22であるがこれに限定されない負荷への送達のために、交流(AC)出力電圧20を供給するように構成されている。電力系統22は、電力分配系統、電力送電系統、又は電気を送達するために構成された任意の形式の電力系統を含んでもよい。PVアレイ12は、少なくとも1つのPV電池(図1には示さず)、例えば、少なくとも1つの太陽電池を含んでいる。PVアレイ12によって生成される電力を受けるように本明細書では記載されているが、システム10を本明細書に記載されているように機能させる任意の適切なDC電源から2段電力変換器に電力を供給することができる。
【0013】
この例示的な実施形態では、システムコントローラ18は、メモリ装置23を含むか、メモリ装置23に結合されている。システムコントローラ18は、電力変換器18内に含まれるか、電力変換器18に結合されており、電力変換器16の動作を制御するように構成されている。例えば、システムコントローラ18は、変換器制御信号を生成し、変換器制御信号を変換器16に供給する。変換器16は、変換器制御信号にしたがって動作する。
【0014】
本明細書に記載される実施形態は、本明細書に記載されている処理タスクを実行するどのようないかなる特定のシステムコントローラ及び/又はプロセッサにも限定されない。用語「プロセッサ」は、この用語が本明細書で使用されている場合、本明細書に記載されたタスクを実行するために必要な計算(calculations,or computations)を実行することができる任意の機械を意味することを目的としている。用語「プロセッサ」は、構造化入力を受け入れ、出力を生成するために、定められた規則にしたがってこの入力を処理することができる任意の機械を意味することも目的としている。本明細書で使用されている語句「構成された」は、当業者によって理解されるであろうように、プロセッサが本発明の実施形態のタスクを実行するハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを備えていることを意味することにも留意すべきである。本明細書で使用される場合、用語プロセッサは、中央処理ユニット、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、及び、本明細書に記載されている機能を実行することができる任意の他の回路又はプロセッサを示している。
【0015】
この例示的な実施形態では、電力変換システム16は、電力変換器14と電力系統22とを選択的に結合する接触器24も含んでいる。接触器24は、AC接触器、リレー、及び/又は、発電システム10を本明細書に記載されているように機能させる任意の適切なスイッチング装置を含んでもよい。この例示的な実施形態では、システムコントローラ18は、電力変換器16及び接触器24に通信可能に結合され、これらの動作を制御するように構成されている。例えば、太陽が昇っていて、電力変換器16が不活性なとき、システムコントローラ18は、PVアレイ12の出力部26でのPVアレイ開回路電圧に対応する電圧信号を受ける。典型的には、この電圧信号は、電力を供給するためのPVアレイ12の準備の、システムコントローラ18に利用可能な唯一の指標である。PVアレイ12の開回路電圧は、照度及び温度の関数である。
【0016】
この例示的な実施形態では、第1の予め規定されたPVアレイ電圧レベルが、例えばメモリ装置23に記憶される。第1の予め規定されたPVアレイ電圧レベルは、PVアレイ12が電力変換器16内の損失を克服することができる電力を供給するのに十分なほど高い照射レベルに対応する電圧である。システムコントローラ18が、予め規定された長さの時間中にPVアレイ電圧が第1の予め規定された電圧レベルより高いままであったことを決定すると、接触器24は閉じられ、電力変換器16は活性化される。予め規定された長さの時間は、本明細書では、覚醒タイマとも呼ばれ、予め規定された秒数及び/又は分数をメモリ装置23内に含んでいる。この例示的な実施形態では、予め規定された期間は、約1分と10分との間、又はより具体的には、2分と8分との間、又はさらにより具体的には、約5分である。
【0017】
接触器24が閉じられ、電力変換器16が活性化されると、発電システム10は、第1の予め規定された電力レベルより大きい電力レベルで電力系統22に電力を供給しようとする。第1の予め規定された電力レベルは、前記電力の規定されたレベル(すなわち、PV発電システムのオペレータが電力系統に供給することに同意した電力のレベル)であってもよく、又は、電力変換システム14が本明細書に記載されているように機能するのを可能にする電力の任意の他のレベルであってもよい。PVアレイ12に利用可能な照度が、第1の予め規定された電力のレベルをサポートするために十分なほど高くなく、電力変換器16の電力出力が、予め規定された長さの時間中に第1の予め規定された電力のレベルより小さいままである場合、接触器24は閉じた位置に維持され、システムコントローラ18は、電力変換器16の動作を中止する(すなわち、電力変換器16をオフにする)。電力変換器16の動作を中止することは、システム10の電力出力がゼロになる原因となる。この予め決められた時間の長さは、本明細書では、休眠タイマと呼ぶこともできる。この例示的な実施形態では、予め規定された期間は、約1分と10分との間、又はより具体的には、2分と8分との間、又はさらにより具体的には、約5分である。休眠タイマの長さと覚醒タイマの長さは、同じであってもよく、異なってもよい。
【0018】
電力変換システム14は、系統22に電力を供給しようとするのを待機しているとき、休眠モードにある、と言われる。システムコントローラ18は、次に電力を電力系統22に供給しようとするときを決定するために、PVアレイを監視し続ける。電力変換器16を活性化及び不活性化するこのプロセスは、発電システム10が規定されたレベルの電力をサポートできるようになるまで繰り返される。
【0019】
システム10が規定されたレベルの電力をサポートできるようになると、現在の照度によってサポートされる電力が、第1の予め規定された電力のレベル未満に減少し、予め規定された期間中に第1の予め規定された電力のレベルより小さいままである(すなわち、休眠タイマが満了する)まで、電力変換器16は「オン」のままである(すなわち、活性化され、電力を電力系統22に供給している)。例えば、太陽が沈むにつれ、PVアレイ12に利用可能な照射レベルは低下し、PVアレイ12によってサポートされる出力電力の減少が生じる。システムコントローラ18が、システム10が第1の予め規定された電力のレベルをサポートできないことを決定すると、システムコントローラ18は、電力変換器16の動作を中止し、これは、システム10の電力出力がゼロになる原因となる(すなわち、電力変換システム14は休眠モードに戻る)。例えば、システムコントローラ18は、システム10の電力出力が、休眠タイマを超える長さの時間中、第1の予め規定された電力のレベル未満である場合、システム10が第1の予め規定された電力のレベルをサポートできないことを決定してもよい。
【0020】
システムコントローラ18は、本明細書では接触器開遅延とも呼ばれる、接触器24が閉じられている時間の長さも監視する。接触器24は接触器開遅延の終了以前には開かない。この例示的な実施形態では、接触器開遅延は、約15分と45分との間、又はより具体的には、20分と40分との間、又はさらにより具体的には、約30分である。PVアレイ電圧が、予め規定された電圧レベル未満に低下し、覚醒タイマを超える長さの時間中、PVアレイ電圧レベル未満のままである場合、接触器24は、接触器開遅延の満了まで閉じたままである。接触器開遅延が満了すると、接触器24は開き、電力変換器16を電力系統22から電気的に切り離す。
【0021】
電力変換器16の動作を制御することは、接触器24をオン及びオフで反復させるよりも、接触器24の摩耗を低減させる。接触器24の摩耗の低減により、接触器14の耐用年数が延び、維持費と、接触器24の交換に関連した他の費用とが減少する。
【0022】
この例示的な実施形態では、電力変換器16は、DC−DC昇圧型変換器28及びDC−ACインバータ30を含む2段電力変換器である。2段電力変換器として例示されているが、発電システム10は、1段電力変換器、多段電力変換器、及び/又は、システム10を本明細書に記載されているように機能させる任意の適切な電力変換器を含んでもよい。この例示的な実施形態では、システムコントローラ18は、昇圧型変換器28及びインバータ30の動作を独立して制御するように構成されている。システムコントローラ18は、2段電力変換器16の動作を制御するために2段電力変換器16に与えられる電力動作点を決定するように構成されている。例えば、最大電力点(MPP)は、最大電力点追従(MPPT)と呼ばれるプロセスを使用して、システムコントローラ18によって決定することができる。システムコントローラ18は、最大電力点に対応する電力動作点信号を供給し、変換器28を昇圧し、これに応じて、昇圧型変換器28は、PVアレイ12から利用可能な最大電力を抽出するように構成されている。
【0023】
昇圧型変換器28の出力部32は、少なくとも1つの導体、例えばDCバス36によってインバータ30の入力部34に結合される。PVアレイ12は、少なくとも1つの導体40を介して2段電力変換器16に結合され、インバータ30は、少なくとも1つの導体42を介して電力系統22に結合される。単一のラインとして例示されているが、導体40、導体42及びDCバス36は、システム10を本明細書に記載されているように機能させる任意の数の別個の導体を含んでもよい。例えば、PV発電システム10が単相システムである場合、導体40、導体42及びDCバス36は、各々、単一の導体を含んでもよい。代わりに、PV発電システム10が三相システムである場合、導体40、導体42及びDCバス36は、各々、相ごとに1つ、3つの別個の導体を含んでもよい。さらに、PV発電システム10は、任意の適切な数の相を含んでもよい。DCバス電圧は、昇圧型変換器28によって供給されるどのような電力のレベルを通過する際にも、インバータ30によって制御される。インバータ30は、AC出力電流(有効及び無効)も調整する。より具体的には、システムコントローラ18は、DCバス電圧を制御するため、及び/又は、インバータ30によって出力され、電力系統22に供給されるAC電圧20の力率を制御するために、インバータ30の動作を制御する。
【0024】
図2は、電力変換システム、例えば電力変換システム14(図1に示す)を動作させる例示的な方法46の第1のフローチャート44である。この例示的な実施形態では、方法46は、本明細書では「オフ」とも呼ばれる不活性状態(48)又は「休眠モード」にある電力変換器、例えば電力変換器16(図1に示す)によって開始する。この例示的な実施形態では、システムコントローラ18は、PVアレイ電圧が、電力変換器16が活性化されるであろう電圧レベルに対応する記憶されている電圧レベルより高いか否かを決定する(50)。システムコントローラ18が、PVアレイ電圧が記憶されている電圧レベルより高く、予め規定された長さの時間より長い時間(すなわち、覚醒タイマ)中、記憶されている電圧レベルより高いままであったことを決定した場合(50)、システムコントローラ18は、接触器、例えば接触器24(図1に示す)が閉じているかどうか決定する(52)。システムコントローラ18が、接触器24が閉じていないと決定した場合(52)、システムコントローラ18は接触器24を閉じる(54)。システムコントローラ18が、接触器24が閉じていると決定した場合(52)、又は、システムコントローラ18が接触器24を閉じた(54)後、システムコントローラは、電力変換器16を活性化する(56)。
【0025】
この例示的な実施形態では、システムコントローラ18は、電力変換器16の電力出力が記憶されている電力レベルより大きいか否かを決定する(58)。電力変換器16の電力出力が記憶されている電力レベルより大きい場合、電力変換器16は活性化したままである(すなわち、作動し続ける)。電力変換器16の電力出力が記憶されている電力レベルより小さく、予め規定された長さの時間より長い時間(すなわち、休眠タイマ)中、記憶されている電力レベルより小さいままであった場合、電力変換器16は不活性化される(60)(すなわち、「オフ」にされる)。電力変換器16が不活性化されると(60)、システムコントローラ18は、電力変換器16を不活性状態(48)にする。
【0026】
この例示的な実施形態では、システムコントローラ18が、PVアレイ電圧が記憶されている電圧レベルより低いと決定した場合(50)、システムコントローラ18は、接触器24が開いているかどうかを決定する(62)。接触器24が開いている場合、電力変換器16は不活性状態のままである(48)。接触器24が閉じている場合、システムコントローラ18は、接触器開遅延が終了しているかどうかを決定する(64)。接触器開遅延が終了していない場合、電力変換器16は不活性状態のままであり(48)、接触器24は閉じた位置に維持される。接触器開遅延が終了している場合、システムコントローラ18は接触器24を開き(66)、電力変換器16は不活性状態のままである(48)。接触器開遅延は、接触器24を開と閉の間で繰り返し反復させることなしに、電力変換システム14が覚醒及び/又は休眠を反復することを可能にする。
【0027】
図3は、電力変換システム、例えば電力変換システム14(図1に示す)を動作させる例示的な方法72の第2のフローチャート70である。この例示的な実施形態では、方法72は、予め規定された電圧レベル及び予め規定された電力レベルを含むことができるがこれらに限定されない予め規定された制限を、メモリ装置、例えばメモリ装置23(図1に示す)に記憶するステップ(74)を含んでもよい。この例示的な実施形態では、方法72は、電力変換器、例えば電力変換器16(図1に示す)に供給されるDC電圧が、予め規定された長さの時間の間、予め規定された電圧レベルより高いままであったことを決定するステップ(76)を含む。システムコントローラ、例えばシステムコントローラ18(図1に示す)は、電力変換器16に供給されるDC電圧が、電力系統、例えば電力系統22(図1に示す)に電力を供給しようとするのに適しているか否かを決定してもよい(76)。より具体的には、システムコントローラ18は、DCバス電圧が、予め規定された長さの時間の間、予め規定された電圧レベルより高いままであったか否かを決定してもよい(76)。
【0028】
この例示的な実施形態では、方法72は、電力変換器16を電力系統、例えば電力系統22(図1に示す)に電気的に結合させるために、接触器、例えば接触器24(図1に示す)を閉じるステップ(78)も含んでいる。例えば、システムコントローラ18は、電力変換器16に供給されるDC電圧が、予め規定された長さの時間の間、予め規定された電圧レベルより高いままであった場合、信号を接触器24に供給する。接触器24は、信号に応じて閉じる(78)。この例示的な実施形態では、方法72は、DC電圧入力をAC電圧出力に変換するために電力変換器16を活性化するステップ(80)も含んでいる。
【0029】
この例示的な実施形態では、方法72は、電力変換器16のAC電力出力を決定するステップ(82)も含んでいる。例えば、システムコントローラ18は、電力変換器16のAC電力出力を決定することができる(82)。方法72は、AC電力出力が予め規定された電力レベル、例えばメモリ装置23に記憶されている予め規定された電力レベルより小さい場合、接触器24を閉じた位置に維持すると同時に、電力変換器16の動作を中止するステップ(84)も含んでいる。例えば、電力変換器16の動作を中止するステップ(84)は、電力変換器16のAC電力出力が、予め規定された長さの時間(すなわち、休眠タイマ)中、予め規定された電力レベルより小さいままであったことを決定した後に、電力変換器16をオフにするステップを含んでもよい。予め規定された期間は、メモリ装置23に記憶してもよい。
【0030】
方法72は、本明細書では接触器開遅延とも呼ばれる、接触器24が閉じられている時間の長さを監視するステップ86も含んでいる。接触器24は、接触器開遅延の終了前には開かれていないことになる。PVアレイ電圧が、予め規定された電圧レベル未満に低下しており、覚醒タイマを超える長さの時間中、予め規定された電圧レベル未満のままであった場合、接触器24は、接触器開遅延の終了まで閉じたままである。方法72は、接触器開遅延が終了した場合、接触器24を開くステップ88も含んでおり、これは電力変換器16を電力系統22から電気的に切り離す。
【0031】
さらに、コンピュータ実行可能な構成要素を有する1つ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体が、電力変換システム14の動作を制御するために構成されていてもよい。コンピュータ実行可能な構成要素は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに電圧測定信号、電流測定信号、及び電力測定信号の少なくとも1つを受信させるインタフェース構成要素と、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに電力を電力系統に供給するときを決定する少なくとも1つのアルゴリズムを記憶させるメモリ構成要素と、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに電力変換システムの動作を制御する動作信号を発生させる解析構成要素とを含んでもよい。
【0032】
本明細書に記載された実施形態は、1つ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体を含み、各々の媒体は、データを含むように構成されてもよく、又は、データを操作するためのコンピュータ実行可能な命令を含む。コンピュータ実行可能な命令は、データ構造、オブジェクト、プログラム、ルーチン、又は、種々の異なった機能を実行することができる汎用コンピュータに関係するもの、又は、限定された数の機能を実行することができる専用コンピュータに関するもののような、処理システムによってアクセスすることができる他のプログラムモジュールを含んでいる。本開示の態様は、本明細書に記載されている命令を実行するように構成されている場合、汎用コンピュータを専用コンピューティングデバイスに変える。コンピュータ実行可能な命令は、処理システムに特定の機能又は機能群を実行させるものであり、本明細書に記事されている方法に関するステップを実施するためのプログラムコード手段の例である。さらに、実行可能な命令の特定のシーケンスは、このようなステップを実施するために使用することができる対応する作用の例を提供する。コンピュータ読み取り可能な媒体の例は、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、読み出し専用メモリ(「ROM」)、プログラム可能読み出し専用メモリ(「PROM」)、消去及びプログラム可能読み出し専用メモリ(「EPROM」)、電気的消去及びプログラム可能読み出し専用メモリ(「EEPROM」)、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(「CD−ROM」)、あるいは、処理システムによってアクセスすることができるデータ又は実行可能な命令を提供することができる任意の他の装置又は構成要素を含んでいる。
【0033】
本発明に記載されているのは、電力変換システムを動作させる例示的な方法及びシステムである。本発明に記載されている方法及びシステムは、動作の数を有意に減少させることによって、AC接触器の信頼性を改善する。太陽が朝昇り夕方沈む際の覚醒及び休眠サイクル中、AC接触器は、通常の覚醒/休眠タイマ(例えば、5分)より長い期間(例えば、30分)中、「オン」に保持される(すなわち、閉じられる)。この動作モード中、電力系統に電力を選択的に供給するためにAC接触器を反復させる代わりに、DC−ACインバータは、電力系統に電力を選択的に供給するために動作される。
【0034】
本明細書に記載されている方法及びシステムは、電力変換システムの効率的且つ経済的な運転を容易にする。方法及びシステムの例示的な実施形態が、本明細書に詳細に記載及び/又は例示されている。方法及びシステムは、本明細書に記載されている特定の実施形態に限定されず、むしろ各々のシステムの構成要素や、各々の方法のステップも、本明細書に記載されている他の構成要素及びステップと独立して、別々に利用することができる。各々の構成要素及び各々のステップは、他の構成要素及び/又は方法ステップと組み合わせて使用することもできる。
【0035】
本明細書に記載されている及び/又は例示されている方法及び装置の要素/構成要素/等を導入する場合、冠詞「1つの(「a」、「an」)」及び「前記(「the」、「said」)」は、1つ以上の要素/構成要素/等が存在することを意味することを目的としている。用語「備える」、「含む」及び「有する」は、包括的なものであることを目的としており、列挙された要素/構成要素/等以外に、追加の要素/構成要素/等が存在してもよいことを意味している。
【0036】
この発明の詳細な説明は、最良の形態を含む本発明を開示するために、また、どのような当業者でも、任意の装置又はシステムを作成及び使用することと、任意の組み込まれた方法を実行することとを含む、本発明を実施することを可能にするために、例を使用している。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が想到する他の例を含むことができる。このような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有している場合、又は、それらが特許請求の範囲の文言と実質的な違いのない等価の構造要素を含んでいる場合、特許請求の範囲の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0037】
10 光起電力(PV)発電システム
12 PVアレイ
14 電力変換システム
16 電力変換器
18 システムコントローラ
20 交流(AC)電圧
22 電力系統
23 メモリ装置
24 接触器
26 出力部
28 昇圧型変換器
30 インバータ
32 出力部
34 入力部
36 DCバス
40 導体
42 導体
44 第1のフローチャート
46 電力変換システムを動作させる方法
48 不活性状態
50 PVアレイ電圧が記憶されている電圧レベルより高いか否かを決定する
52 接触器が閉じているかどうかを決定する
54 接触器を閉じる
56 電力変換器を活性化する
58 電力変換器の電力出力が記憶されている電力レベルより大きいか否かを決定する
60 電力変換器を不活性化する
62 接触器が開いているかどうかを決定する
64 接触器開遅延が終了しているかどうかを決定する
66 接触器を開く
70 第2のフローチャート
72 電力変換システムを動作させる方法
74 予め規定された制限をメモリ装置に記憶する
76 DC電圧が、予め規定された長さの時間中、予め規定された電圧レベルより高いままであったことを決定する
78 接触器を閉じる
80 電力変換器を活性化する
82 AC電力出力を決定する
84 電力変換器の動作を終了する
86 接触器が閉じている時間の長さを監視する
88 接触器を開く

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を電力系統(22)に供給する電力変換システム(14)であって、
直流(DC)電源(12)によって生成された電力を受けるように結合され、構成された電力変換器(16)と、
前記電力変換器及び前記電力系統に結合され、前記電力変換器を前記電力系統に選択的に電気的に結合するように構成された接触器(24)と、
前記電力変換器及び前記接触器に通信可能に結合され、
前記電力変換器に供給されるDC電圧が、予め規定された長さの時間中、予め規定された電圧レベルより高いままであった場合、前記電力変換器を前記電力系統に電気的に結合し、前記電力変換器を活性化するために、前記接触器を閉じ、
前記電力変換器の交流(AC)電力出力が、予め決められた長さの時間中、予め決められた電力レベルより小さいままであった場合、前記接触器を閉じた位置に維持すると同時に、前記電力変換器を不活性化する
ように構成されたシステムコントローラ(18)とを備えるシステム(14)。
【請求項2】
前記DC電源(12)は光起電力(PV)アレイを備える、請求項1記載のシステム(14)。
【請求項3】
前記システムコントローラ(18)は、前記電力変換器(16)に供給されるDC電圧が、前記予め規定された電圧レベルより高いかどうかを決定するようにさらに構成されている、請求項1記載のシステム(14)。
【請求項4】
前記システムコントローラ(18)は、前記電力変換器(16)のAC電力出力を決定するようにさらに構成されている、請求項1記載のシステム(14)。
【請求項5】
前記電力変換器(16)は2段電力変換器を備える、請求項1記載のシステム(14)。
【請求項6】
前記システムコントローラ(18)は、予め規定された時間の長さ、予め規定された電圧レベル、予め規定された電力レベル、及び接触器開遅延値の少なくとも1つを記憶するように構成されたメモリ装置(23)を備える、請求項1記載のシステム(14)。
【請求項7】
前記システムコントローラ(18)は、前記接触器(24)が閉じている時間の長さを監視するように構成されている、請求項6記載のシステム(14)。
【請求項8】
前記システムコントローラ(18)は、前記電力変換器(16)に供給されるDC電圧が、前記予め規定された長さの時間中、前記予め規定された電圧レベルより低いままであり、且つ、前記接触器が閉じている時間の長さが前記接触器開遅延値を超えている場合、前記接触器(24)を開くようにさらに構成されている、請求項7記載のシステム(14)。
【請求項9】
光起電力(PV)アレイ(12)に結合された電力変換器(16)と、前記電力変換器を電力系統(22)に選択的に電気的に結合するように構成された接触器(24)とを含む電力変換システム(14)の動作を制御するように結合され、構成されたシステムコントローラ(18)であって、
前記電力変換器のAC電力出力を決定し、
前記AC電力が、予め規定された長さの時間中、予め規定された電力レベルより小さいままであった場合、前記接触器を閉じた位置に維持すると同時に、前記電力変換器の動作を中止する
ように構成されている、システムコントローラ(18)。
【請求項10】
前記接触器(24)が閉じている時間の長さを監視し、
前記電力変換器(16)に供給されるDC電圧が、予め規定された長さの時間中、予め規定された電圧レベルより低いままであり、前記接触器が閉じている時間の長さが接触器開遅延を超えている場合、前記接触器を開く
ようにさらに構成されている、請求項9記載のシステムコントローラ(18)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−93023(P2013−93023A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230388(P2012−230388)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】