電力変換装置
【課題】スイッチング素子のゲート電圧閾値が変動しても、スイッチング素子が十分な放電能力を発揮できる、電力変換装置を提供すること。
【解決手段】ハイサイドのスイッチング素子Q1とローサイドのスイッチング素子Q2が直列に接続された直列回路11を備え、スイッチング素子Q1,Q2が両サイドとも重複してオンすることで、直列回路11に接続されるコンデンサ12を放電させる電力変換装置であって、スイッチング素子Q1、Q2に所定の電流値が流れるゲート電圧を測定し、コンデンサ12を放電させるとき、測定したゲート電圧測定値にスイッチング素子Q1のゲート電圧を制御する制御部とを備えることを特徴とするもの。
【解決手段】ハイサイドのスイッチング素子Q1とローサイドのスイッチング素子Q2が直列に接続された直列回路11を備え、スイッチング素子Q1,Q2が両サイドとも重複してオンすることで、直列回路11に接続されるコンデンサ12を放電させる電力変換装置であって、スイッチング素子Q1、Q2に所定の電流値が流れるゲート電圧を測定し、コンデンサ12を放電させるとき、測定したゲート電圧測定値にスイッチング素子Q1のゲート電圧を制御する制御部とを備えることを特徴とするもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子がハイサイドとローサイドに配置された直列回路を備え、前記スイッチング素子がオンすることで、前記直列回路に接続される蓄電装置を放電させる、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、車両の衝突予知信号が入力されると、モータにトルクが発生しないようにインバータ回路のスイッチング素子をスイッチング動作させて、コンデンサに残留した電荷をモータのコイルにて放電させる制御装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、別の従来技術として、高電位側のスイッチング素子と低電位側のスイッチング素子の双方をオン状態とすることで、両スイッチング素子の直列接続体に並列に接続された蓄電手段の両電極を短絡させる、電力変換回路の制御装置が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−20952号公報
【特許文献2】特開2011−83123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、スイッチング素子のゲート電圧閾値は周辺環境やスイッチング素子個々の製造ばらつきなどの要因によって変動するため、スイッチング素子のゲートに対して一律のオン電圧を印加する方法では、スイッチング素子が十分な放電能力を発揮できない可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、スイッチング素子のゲート電圧閾値が変動しても、スイッチング素子が十分な放電能力を発揮できる、電力変換装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る電力変換装置は、
スイッチング素子がハイサイドとローサイドに配置された直列回路を備え、
前記スイッチング素子が両サイドとも重複してオンすることで、前記直列回路に接続される蓄電装置を放電させる電力変換装置であって、
前記スイッチング素子に所定の電流値が流れるゲート電圧を測定し、前記蓄電装置を放電させるとき、測定したゲート電圧測定値に前記スイッチング素子のゲート電圧を制御する制御部を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スイッチング素子のゲート電圧閾値が変動しても、スイッチング素子が十分な放電能力を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る電力変換装置の一実施形態であるインバータ装置100の構成図である。
【図2】スイッチング素子Q1,Q2のゲート電圧Vgeの波形である。
【図3】閾値データの学習有無によるゲート電圧Vgeの変化時間の違いを示した図である。
【図4】放電動作チェックの第1例を示したフローチャートである。
【図5】緊急時の急速放電の第1例を示したフローチャートである。
【図6】素子温度tと閾値データとの関係を定めたマップの一例である。
【図7】放電動作チェックの第2例を示したフローチャートである。
【図8】緊急時の急速放電の第2例を示したフローチャートである。
【図9】素子温度の変化量Δtと閾値データの補正量との関係を定めたマップの一例である。
【図10】放電動作チェックの第3例を示したフローチャートである。
【図11】緊急時の急速放電の第3例を示したフローチャートである。
【図12】温度範囲外では初期値を使う補正マップである。
【図13】放電動作チェックの第4例を示したフローチャートである。
【図14】緊急時の急速放電の第4例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0011】
図1は、本発明に係る電力変換装置の一実施形態であるインバータ装置100の構成図である。インバータ装置100は、直流電力を交流電力に変換する装置であり、例えば、コンデンサ12に蓄電されて平滑化された直流電力に基づいて3相交流電流を生成し、生成した3相交流電流を不図示のモータに供給してそのモータを駆動する装置である。3相交流電流を生成するためには、電源ライン18とアースライン19との間に直列に接続された2つのスイッチング素子から構成される直列回路が3つ並列に必要であるが、図1では、ハイサイドのスイッチング素子Q1とローサイドのスイッチング素子Q2から構成される直列回路11以外の直列回路については省略されている。また、インバータ装置100は、不図示のモータで発生した交流電力を直流電力に変換して、コンデンサ12に供給する装置でもよい。
【0012】
インバータ装置100に接続されるモータは、例えば、車両を走行させる駆動トルクを発生させる走行用モータである。また、そのモータは、エンジンを始動させるスタータでもよいし、発電機でもよい。
【0013】
コンデンサ12は、電源ライン18とアースライン19との間に配置され、直列回路11に並列に接続されている蓄電装置である。コンデンサ12は、インバータ装置100の内部に構成されてもよいし、外部に構成されてもよい。また、コンデンサ12は、バッテリでもよい。
【0014】
スイッチング素子Q1,Q2の具体例として、パワーMOSFET,IGBTなどの半導体素子が挙げられる。スイッチング素子Q1は、第1の主電極(コレクタ又はドレイン)が電源ライン18に接続され、第2の主電極(エミッタ又はソース)がスイッチング素子Q2の第1の主電極に接続された、上アーム素子である。スイッチング素子Q2は、第1の主電極がスイッチング素子Q1の第2の主電極に接続され、第2の主電極がアースライン19に接続された、下アーム素子である。スイッチング素子Q1,Q2の第1の主電極と第2の主電極との間には、それぞれ、ダイオードD1,D2が並列に配置されている。なお、ダイオードD1,D2は、スイッチング素子Q1,Q2の寄生ダイオードでもよい。
【0015】
インバータ装置100は、車両の衝突に備えてコンデンサ12の電荷を強制的に消費するために、スイッチング素子Q1,Q2が両方とも時間的に重複してオンすることで、コンデンサ12を放電させる構成を有している。インバータ装置100は、そのような構成として、例えば、上述の直列回路11の他に、駆動部13と、検出部16と、制御部17とを有している。また、駆動部13と、検出部16と、制御部17は、例えば集積回路で構成されている。
【0016】
駆動部13は、制御部17から供給される制御信号に基づいて、スイッチング素子Q1,Q2を駆動する回路である。駆動部13は、スイッチング素子Q1,Q2のゲート電圧Vgeが制御部17から供給される制御信号に応じた電圧値になるように、スイッチング素子Q1,Q2の各ゲートに供給される電圧を変化させる。駆動部13は、スイッチング素子Q1のゲートに印加されるゲート電圧Vge1を調整する上アーム駆動部14と、スイッチング素子Q2のゲートに印加されるゲート電圧Vge2を調整する下アーム駆動部15とを有している。
【0017】
検出部16は、スイッチング素子Q1,Q2に流れる短絡電流Iの電流値を検出する。図1の場合、検出部16は、スイッチング素子Q2の第1の主電極と第2の主電極との間のセンス素子に流れるセンス電流I1を抵抗R1でモニタすることによって、スイッチング素子Q2の第1の主電極と第2の主電極との間の主電流素子に流れる主電流I2を検出する。これにより、検出部16は、スイッチング素子Q1の第1の主電極と第2の主電極との間及びスイッチング素子Q2の第1の主電極と第2の主電極との間を両方とも貫通して流れる短絡電流I(=I1+I2)を検出できる。
【0018】
制御部17は、検出部16によって検出された短絡電流Iの電流値が所定の電流値Ithになる時点のスイッチング素子Q1,Q2のゲート電圧Vgeを、スイッチング素子Q1,Q2のゲート電圧閾値Vthとして測定する測定部を有する。測定部は、例えば、電流値Ithが流れているときに駆動部13に供給されている制御信号から、電流値Ithが流れるときのゲート電圧Vgeを間接的に測定できる。また、測定部は、スイッチング素子Q1,Q2のゲートに印加される電圧をモニタすることによって、ゲート電圧Vgeを直接的に測定してもよい。
【0019】
制御部17は、車両の衝突信号又は衝突予知信号の受信によってコンデンサ12を緊急に放電させるとき、スイッチング素子Q1,Q2のゲート電圧Vgeが、測定部によって測定されたゲート電圧値に一致するように、駆動部13を制御する。
【0020】
このような構成を有するインバータ装置100によれば、スイッチング素子Q1,Q2の周辺環境や製造ばらつきなどの要因によってスイッチング素子Q1,Q2のゲート電圧閾値Vthが変動しても、スイッチング素子Q1,Q2がコンデンサ12の放電に必要な電流を流せるゲート電圧Vgeを正確に測定できるので、緊急放電時に十分な放電能力をスイッチング素子Q1,Q2に発揮させることができる。インバータ装置100が車両に搭載されている場合、車両の環境は特に変化しやすいため、スイッチング素子Q1,Q2に十分な放電能力を発揮させる点で、インバータ装置100がこのような構成を有していることは特に効果的である。
【0021】
次に、インバータ装置100の第1の動作例について説明する。
【0022】
インバータ装置100は、コンデンサ12の電荷が緊急時に正しく放出されるように、モータが動作していない状態で予め間欠的に放電動作チェックを行う。放電動作チェックは、インバータ装置100が車両に搭載された状態で車両毎に行われる。
【0023】
制御部17は、図2(b)に示されるように、スイッチング素子Q2のゲート閾値電圧の想定値よりも十分に大きな値のゲート電圧Vge2がスイッチング素子Q2のゲートに印加されるように、下アーム駆動部15を制御する。図2(b)の状態では、スイッチング素子Q2のゲート電圧閾値Vthよりも大きな値のゲート電圧Vgeが印加されているため、スイッチング素子Q2はオンしている。
【0024】
制御部17は、スイッチング素子Q2がオンしている図2(b)の状態で、図2(a)に示されるように、スイッチング素子Q1がパルス状にスイッチング動作するように上アーム駆動部14を制御することによって、コンデンサ12の電荷を消費させる。スイッチング素子Q2がオンしている状態でスイッチング素子Q1をパルス状にスイッチング動作させることによって、コンデンサ12が必要以上に過放電されることを防止できる。また、スイッチング素子Q1,Q2に必要以上の過電流が流れることを防止できる。また、スイッチング素子Q1をゲート電圧閾値Vthよりも小さな電圧値で動作させることによってスイッチング素子Q1が過熱することを抑制できる。
【0025】
そして、制御部17は、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2を貫通して流れる短絡電流Iが所定の電流値Ithになる時のスイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を測定し、その測定値をスイッチング素子Q1,Q2の共通の閾値データとしてメモリ20に記録する。
【0026】
放電動作チェックを開始するときに閾値データがメモリ20に記録されていない場合には、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧閾値の想定値よりも十分に小さな初期値(例えば、1V)からゲート電圧Vge1をステップ状に増加させながらスイッチング素子Q1をパルス状にスイッチングさせ、短絡電流Iが一定の電流値Ithを超えた時のゲート電圧Vge1を、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データとしてメモリ20に記録する(図3の「閾値学習なし」の実線を参照)。
【0027】
一方、放電動作チェックを開始するときに閾値データがメモリ20に記録されている場合、制御部17は、メモリ20に記録されている閾値データを基準とした電圧値のゲート電圧Vge1をスイッチング素子Q1のゲートに印加することから開始し、ゲート電圧Vge1を変化させていって、短絡電流Iが一定の電流値Ithを超えた時のゲート電圧Vge1を、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データとしてメモリ20に記録する(図3の「閾値学習あり」の実線を参照)。
【0028】
このように、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データをメモリ20に一度設定すると、次回の放電動作チェック時には、メモリ20に記録された閾値データを基準とした電圧から放電動作チェックを行うことができるため、放電動作チェックを行うための動作時間を図3に示される時間t1短縮できる。また、インバータ装置100の動作時間を時間t1短縮できるため、インバータ装置100の消費電力を抑えることができる。
【0029】
例えば、ゲート電圧Vge1を25mV/msの変化率で変化させるとき、ゲート電圧Vge1を6.75Vを起点に上げる場合と1Vを起点に上げる場合について考える。この場合の時間t1を計算すると、(6.75−1)/0.025=230msとなる。インバータ装置100が動作する上で、コンデンサ12を放電させることが可能な時間(例えば、インバータ装置100に接続されるモータが動作していない時間)は実際には限られている。そのため、メモリ20に記録された閾値データからゲート電圧Vge1を変化させて放電動作チェックを始めることで、動作時間の短縮効果は極めて高い。
【0030】
図4は、放電動作チェックの第1例を示したフローチャートである。
【0031】
ステップS10において、制御部17は、動作チェックトリガーに基づいて、放電動作チェックをスタートさせる。動作チェックトリガーは、例えば、所定のシステムから送信される動作チェック命令信号である。
【0032】
ステップS12において、制御部17は、コンデンサ12をスイッチング素子Q1,Q2によって前回放電させたときのスイッチング素子Q1,Q2の閾値データがメモリ20に格納されているか否かを確認する。制御部17は、閾値データがメモリ20に格納されている場合、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を、メモリ20に格納されている閾値データに設定する(ステップS16)。一方、制御部17は、閾値データがメモリ20に格納されていない場合、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を、インバータ装置100の出荷段階で予め設定されている初期値に設定する(ステップS14)。
【0033】
ステップS18において、制御部17は、スイッチング素子Q2のゲート電圧Vge2がスイッチング素子Q2のゲート電圧閾値の想定値よりも十分大きな値になるように、下アーム駆動部15を制御することによって、スイッチング素子Q2の第1の主電極と第2の主電極との間を短絡させてスイッチング素子Q2をフルオンさせる。
【0034】
ステップS20において、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1がステップS14又はS16で設定された値に1パルス分だけ変化するように、上アーム駆動部14を制御することによって、スイッチング素子Q1をその1パルス期間だけ動作させる。
【0035】
ステップS22において、検出部16は、スイッチング素子Q2のセンスエミッタ電流I1を検出し、その検出値を予め決められた電流検知閾値と比較する。
【0036】
ステップS22において、制御部17は、ステップS22で検出された電流値が電流検知閾値よりも大きくないと判定した場合、短絡電流Iが所定の電流値Ithよりも所定値だけ満たないと判断して、ステップS24において、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を1ステップ高い値に設定する。そして、ステップS20において、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1がステップS24で設定された値に1パルス分だけ変化するように、上アーム駆動部14を制御することによって、スイッチング素子Q1をその1パルス期間だけ動作させる。
【0037】
一方、ステップS22において、制御部17は、ステップS22で検出された電流値が電流検知閾値よりも大きいと判定した場合、短絡電流Iが所定の電流値Ithよりも所定値だけ超えていると判断する。つまり、ステップS22,S24では、短絡電流Iが所定の電流値Ith以上になるまで、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を上昇させている。
【0038】
ステップS26において、制御部17は、ステップS22で検出された電流値が電流検知閾値よりも大きいと判定した場合(短絡電流Iが所定の電流値Ithよりも所定値だけを超えていると判断した場合)、ステップS24を既に実行しているか否かを判断する。
【0039】
ステップS26において、制御部17は、ステップS24を未だ実行していないと判断した場合、ステップS28において、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を1ステップ低い値に設定する。そして、ステップS20において、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1がステップS28で設定された値に1パルス分だけ変化するように、上アーム駆動部14を制御することによって、スイッチング素子Q1をその1パルス期間だけ動作させる。
【0040】
つまり、ステップS26では、ゲート電圧Vge1を一度ステップS24で上昇させてからステップS28で降下させる動作を行っているか否かが判断されている。ステップS24でゲート電圧Vge1を上昇させることなく短絡電流Iが電流値Ithを超えているときには、短絡電流Iが電流値Ith以下になるまで、ステップS28でゲート電圧Vge1を降下させるとよい。これにより、現在のゲート電圧Vge1がスイッチング素子Q1の実際のゲート電圧閾値に一致しているか否かを判定できる。また、スイッチング素子Q1のゲート電圧閾値を跨いでスイッチング素子Q1を動作させることができるので、スイッチング素子Q1の動作チェックも兼ねることができる。
【0041】
一方、ステップS26において、制御部17は、ステップS22を既に実行していると判断した場合、ステップS30において、短絡電流Iが電流値Ithを超えた時に新たに測定されたゲート電圧Vge1を、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データとしてメモリ20に記録して、放電動作チェックを終了させる(ステップS32)。
【0042】
図5は、緊急時の急速放電の第1例を示したフローチャートである。インバータ装置100は、衝突事故等の緊急時に、コンデンサ12の電荷を速やかにスイッチング素子Q1,Q2を介して放出させる急速放電を行う。定格の大きな抵抗体でコンデンサの電荷を放電させて電力を消費する構成の場合、その抵抗体が大きいために、コストの増加、車重の増加、搭載場所の確保等の問題があるが、コンデンサ12の電荷をスイッチング素子Q1,Q2を介して放電することで、そのような問題を解消できる。また、インバータ装置100に接続されるモータのコイルでコンデンサの電力を消費させる構成の場合、放電時間や発熱の増大やバッテリの断線時の放電ができないなどの問題があるが、コンデンサ12の電荷をスイッチング素子Q1,Q2を介して放電することで、そのような問題を解消できる。
【0043】
ステップS40において、制御部17は、急速放電トリガーに基づいて、急速放電をスタートさせる。急速放電トリガーは、例えば、車両の衝突が検知されたことに伴い発生する衝突信号でもよいし、車両の衝突が予知されたことに伴い発生する衝突予知信号でもよい。
【0044】
ステップS42〜S50は、図4のステップS12〜S20と同じであるため、その説明を省略する。
【0045】
ステップS52において、検出部16は、コンデンサ12の電圧を検出し、その検出値を予め決められた規定値と比較する。制御部17は、ステップS52で検出された電圧値が規定値よりも小さいと判定した場合、コンデンサ12の電荷が十分に放電されたと判断して、急速放電を終了させる(ステップS54)。一方、制御部17は、ステップS52で検出された電圧値が規定値よりも小さくないと判定した場合、コンデンサ12の電荷が十分に放電されてないと判断する。
【0046】
ステップS52において、制御部17が、ステップS52で検出された電圧値が規定値よりも小さくないと判定した場合(コンデンサ12の電荷が十分に放電されてないと判断した場合)、ステップS56において、検出部16は、スイッチング素子Q2のセンスエミッタ電流I1を検出し、その検出値を予め決められた電流検知閾値と比較する。
【0047】
ステップS56において、制御部17は、ステップS56で検出された電流値が電流検知閾値よりも大きくないと判定した場合、短絡電流Iが所定の電流値Ithよりも所定値だけ満たないと判断して、ステップS60において、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を1ステップ高い値に設定する。そして、ステップS50において、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1がステップS60で設定された値に1パルス分だけ変化するように、上アーム駆動部14を制御することによって、スイッチング素子Q1をその1パルス期間だけ動作させる。
【0048】
一方、ステップS56において、制御部17は、ステップS56で検出された電流値が電流検知閾値よりも大きいと判定した場合、短絡電流Iが所定の電流値Ithよりも所定値だけ超えていると判断して、ステップS58において、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を1ステップ低い値に設定する。そして、ステップS50において、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1がステップS58で設定された値に1パルス分だけ変化するように、上アーム駆動部14を制御することによって、スイッチング素子Q1をその1パルス期間だけ動作させる。
【0049】
次に、インバータ装置100の第2の動作例について説明する。
【0050】
上述の第1の動作例では、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データをメモリ20に学習したときの素子温度が検出されていないので、前回閾値データを学習した時の素子温度と今回検出時の素子温度に差がある場合、スイッチング素子Q1,Q2の実際のゲート電圧閾値Vthが前回学習したときの閾値データと異なっている可能性がある。その結果、スイッチング素子Q1,Q2の放電能力が十分に発揮されないおそれがある。
【0051】
そこで、第2の動作例では、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データがメモリ20に格納される前に、検出部16は、スイッチング素子Q1,Q2の素子温度を検出する。そして、制御部17は、コンデンサ12をスイッチング素子Q1,Q2によって放電させる前に検出部16によって検出された素子温度に応じて、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データを補正して、放電動作を開始させる。制御部17は、工場出荷時に予めメモリ20に記憶されたマップ等の温度補正データを参照して、閾値データの温度補正を行う。
【0052】
図6は、素子温度tと閾値データとの関係を定めたマップの一例である。制御部17は、このようなマップ等の温度補正データに基づいて、検出部16によって検出された素子温度が高くなるにつれて、閾値データを下げる補正を行う。
【0053】
このように動作させることで、閾値データが、コンデンサ12を放電させる時の実際のゲート電圧閾値に近づくので、放電時に素子温度の影響を受けにくくすることができる。また、実際のゲート電圧閾値が温度上昇によって下がっていても、スイッチング素子Q1,Q2のゲートに過大なゲート電圧Vgeが印加されることを抑制でき、実際のゲート電圧閾値が温度低下によって上昇していても、コンデンサ12の電圧が規定値に下がるまでの放電時間が延びることを抑制できる。
【0054】
図7は、放電動作チェックの第2例を示したフローチャートである。
【0055】
ステップS70において、制御部17は、動作チェックトリガーに基づいて、放電動作チェックをスタートさせる。動作チェックトリガーは、例えば、所定のシステムから送信される動作チェック命令信号である。
【0056】
ステップS71において、検出部16は、スイッチング素子Q1,Q2の素子温度の検出データを取得する。
【0057】
ステップS75において、制御部17は、検出部16によってステップS71で検出された素子温度の検出値に対応する閾値データを、素子温度と閾値データとの関係を定めたマップに基づいて算出し、その算出された閾値データをメモリ20に格納する。
【0058】
ステップS76において、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を、メモリ20に格納されている閾値データに設定する。
【0059】
ステップS78において、制御部17は、スイッチング素子Q2のゲート電圧Vge2がスイッチング素子Q2のゲート電圧閾値の想定値よりも十分大きな値になるように、下アーム駆動部15を制御することによって、スイッチング素子Q2の第1の主電極と第2の主電極との間を短絡させてスイッチング素子Q2をフルオンさせる。
【0060】
ステップS80において、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1がステップS76で設定された値に1パルス分だけ変化するように、上アーム駆動部14を制御することによって、スイッチング素子Q1をその1パルス期間だけ動作させる。
【0061】
ステップS82〜S92は、図4のステップS22〜S32と同じであるため、その説明を省略する。
【0062】
図8は、緊急時の急速放電の第2例を示したフローチャートである。
【0063】
ステップS100において、制御部17は、急速放電トリガーに基づいて、急速放電をスタートさせる。急速放電トリガーは、例えば、車両の衝突が検知されたことに伴い発生する衝突信号でもよいし、車両の衝突が予知されたことに伴い発生する衝突予知信号でもよい。
【0064】
ステップS101〜S110は、図7のステップS71〜S80と同じであるため、その説明を省略する。ステップS112〜S120は、図5のステップS52〜S60と同じであるため、その説明を省略する。
【0065】
次に、インバータ装置100の第3の動作例について説明する。
【0066】
上述の第2の動作例では、インバータ装置100が新品時の温度補正データを使用しているため、スイッチング素子Q1,Q2のゲート電圧閾値に経年劣化によるずれが発生した場合、スイッチング素子Q1,Q2の放電能力が十分に発揮されないおそれがある。
【0067】
そこで、第3の動作例では、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データがメモリ20に格納される前に、制御部17は、検出部16によって検出されたスイッチング素子Q1,Q2の素子温度を閾値データと対応させてメモリ20に格納する。そして、制御部17は、コンデンサ12をスイッチング素子Q1,Q2によって放電させる前に検出部16によって検出された素子温度に応じて、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データを補正して、放電動作を開始させる。制御部17は、工場出荷時に予めメモリ20に記憶されたマップ等の温度補正データを参照して、閾値データの温度補正を行う。
【0068】
図9は、素子温度の変化量Δtと閾値データの補正量との関係を定めたマップの一例である。制御部17は、このようなマップ等の温度補正データに基づいて、検出部16によって今回検出された素子温度と前回検出された素子温度との変化量Δtに基づいて、メモリ20に格納された閾値データを補正するための閾値データの補正量を算出する。閾値データの補正量は、変化量Δtが大きくなるにつれて大きな値に算出される。制御部17は、算出された閾値データの補正量を、メモリ20に格納された閾値データに加算することによって、新たな閾値データを算出する。
【0069】
このように動作させることで、コンデンサ12を放電させる時の素子温度と閾値データがセットでデータ化されるため、放電時に素子温度の影響を受けにくくすることができる。また、素子温度の変化量Δtに応じた閾値データを求めることができるため、経年劣化などによってゲート電圧閾値に生ずるずれに対しても容易に対応できる。
【0070】
図10は、放電動作チェックの第3例を示したフローチャートである。
【0071】
ステップS130において、制御部17は、動作チェックトリガーに基づいて、放電動作チェックをスタートさせる。動作チェックトリガーは、例えば、所定のシステムから送信される動作チェック命令信号である。
【0072】
ステップS131において、検出部16は、スイッチング素子Q1,Q2の素子温度の検出データを取得する。
【0073】
ステップS132において、制御部17は、コンデンサ12をスイッチング素子Q1,Q2によって前回放電させたときのスイッチング素子Q1,Q2の閾値データがメモリ20に格納されているか否かを確認する。制御部17は、閾値データがメモリ20に格納されている場合、検出部16によってステップS131で検出された素子温度の検出値に対応する閾値データの補正量を、素子温度の変化量と閾値データの補正量との関係を定めたマップに基づいて算出し、その算出された補正量をメモリ20に格納された閾値データに加算して、新たな閾値データを算出する。制御部17は、その新たに算出された閾値データをメモリ20に格納する。
【0074】
ステップS136において、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を、メモリ20に格納されている閾値データに設定する。
【0075】
一方、ステップS132において、制御部17は、閾値データがメモリ20に格納されていない場合、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を、インバータ装置100の出荷段階で予め設定されている初期値に設定する(ステップS134)。
【0076】
ステップS138〜S148は、図4のステップS18〜S28と同様であるため、その説明を省略する。
【0077】
ステップS150において、短絡電流Iが電流値Ithを超えた時に新たに測定されたゲート電圧Vge1及び素子温度を、メモリ20に記録するとともに、その放電動作チェックを終了させる(ステップS152)。
【0078】
図11は、緊急時の急速放電の第3例を示したフローチャートである。
【0079】
ステップS160において、制御部17は、急速放電トリガーに基づいて、急速放電をスタートさせる。急速放電トリガーは、例えば、車両の衝突が検知されたことに伴い発生する衝突信号でもよいし、車両の衝突が予知されたことに伴い発生する衝突予知信号でもよい。
【0080】
ステップS161〜S170は、図10のステップS131〜S140と同じであるため、その説明を省略する。ステップS172〜S180は、図5のステップS52〜S60と同じであるため、その説明を省略する。
【0081】
次に、インバータ装置100の第4の動作例について説明する。
【0082】
検出部16によって検出される素子温度が想定外の範囲にある場合、温度補正データがないために、閾値データの温度補正ができない。また、温度補正データがあったとしても、温度変化量Δtが大きくなるにつれて、図12に示されるように、閾値データの補正量が大きくなるために、温度補正されて算出された閾値データに含まれる誤差が大きくなるおそれがある。
【0083】
そこで、第4の動作例では、制御部17は、一定の温度範囲内で放電動作チェック又は急速放電を行うときのみ温度補正を行い、その温度範囲外では温度補正を行わずに、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データを、予め設定された初期値に設定する。
【0084】
このように動作させることで、温度が一定の範囲から外れている場合、温度補正を行わずに初期値を利用することができるため、温度補正データが無くても、放電動作チェック又は急速放電を実行できる。また、温度変化量Δtが大きくなっても、算出される閾値データに含まれる誤差が大きくなることを防止できる。
【0085】
図13は、放電動作チェックの第4例を示したフローチャートである。
【0086】
ステップS190において、制御部17は、動作チェックトリガーに基づいて、放電動作チェックをスタートさせる。動作チェックトリガーは、例えば、所定のシステムから送信される動作チェック命令信号である。
【0087】
ステップS191において、検出部16は、スイッチング素子Q1,Q2の素子温度の検出データを取得する。
【0088】
ステップS192において、制御部17は、検出部16によってステップS191で検出された素子温度が所定の最低温度よりも高く且つ所定の最高温度よりも低い温度領域内であるか否かを確認する。温度領域内に含まれる場合、ステップS193に移行し、温度領域内に含まれない場合、ステップS194に移行する。
【0089】
ステップS193〜S208は、図10のステップS132〜S148と同様であるため、その説明を省略する。
【0090】
ステップS210において、短絡電流Iが電流値Ithを超えた時に新たに測定されたゲート電圧Vge1及び素子温度を、メモリ20に記録するとともに、その放電動作チェックを終了させる(ステップS212)。ただし、短絡電流Iが電流値Ithを超えた時に新たに測定されたゲート電圧Vge1及び素子温度が、所定の最低温度よりも高く且つ所定の最高温度よりも低い温度領域に含まれていない場合には、メモリ20には記録されない。
【0091】
図14は、緊急時の急速放電の第4例を示したフローチャートである。
【0092】
ステップS220において、制御部17は、急速放電トリガーに基づいて、急速放電をスタートさせる。急速放電トリガーは、例えば、車両の衝突が検知されたことに伴い発生する衝突信号でもよいし、車両の衝突が予知されたことに伴い発生する衝突予知信号でもよい。
【0093】
ステップS221〜S230は、図13のステップS221〜S200と同じであるため、その説明を省略する。ステップS232〜S240は、図5のステップS52〜S60と同じであるため、その説明を省略する。
【0094】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に対して、種々の変形、置換、組み合わせを行うことができる。
【0095】
例えば、上述の実施例では、スイッチング素子Q2がオンしている状態でスイッチング素子Q1をパルス状にスイッチング動作させているが、例えば、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との接続点とモータのコイルとの間の電流経路が遮断されている場合には、スイッチング素子Q1がオンしている状態でスイッチング素子Q2をパルス状にスイッチング動作させてもよいし、短絡電流Iが流れるようにスイッチング素子Q1とQ2を両方とも時間的に重複してパルス状にスイッチング動作させてもよい。
【0096】
また、上述の実施例では、短絡電流Iが所定の電流値Ithになる時のスイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を測定し、その測定値に一致するようにスイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1が制御されているが、短絡電流Iが所定の電流値Ithになる時のスイッチング素子Q2のゲート電圧Vge2を測定し、その測定値に一致するようにスイッチング素子Q2のゲート電圧Vge2が制御されてもよい。また、短絡電流Iが所定の電流値Ithになる時のスイッチング素子Q1,Q2それぞれのゲート電圧を測定し、その各測定値に一致するようにスイッチング素子Q1,Q2のそれぞれのゲート電圧が制御されてもよい。
【0097】
また、上述の実施例では、短絡電流Iが所定の電流値Ithになる時の一方のスイッチング素子のゲート電圧の測定値を、両方のスイッチング素子に共通するゲート電圧閾値として測定しているが、短絡電流Iが所定の電流値Ithになる時のスイッチング素子毎のゲート電圧の測定値を、スイッチング素子それぞれのゲート電圧閾値として測定してもよい。
【0098】
また、上述の動作例において、現在のゲート電圧がスイッチング素子の実際のゲート電圧閾値に一致しているか否かを判定するため、また、スイッチング素子のゲート電圧閾値を跨いでスイッチング素子を動作させるため、ゲート電圧を降下させることなく短絡電流Iが所定の電流値Ithに満たないときには、短絡電流Iが電流値Ith以上になるまで、ゲート電圧を上昇させるようにしてもよい。
【0099】
また、上述の実施例では、コンデンサ12は、直列回路11に並列に接続される蓄電装置であるが、本発明は、蓄電装置が、スイッチング素子がハイサイドとローサイドに配置された直列回路に接続されていればよい。例えば、そのような直列回路に接続されるDC/DCコンバータのコンデンサでもよい(例えば、特許文献1の図2における低圧コンデンサ7100など)。
【符号の説明】
【0100】
11 直列回路
12 コンデンサ(キャパシタ)
13 駆動部
14 上アーム駆動部
15 下アーム駆動部
16 検出部
17 制御部
18 電源ライン
19 アースライン
100 インバータ装置
Q1,Q2 スイッチング素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子がハイサイドとローサイドに配置された直列回路を備え、前記スイッチング素子がオンすることで、前記直列回路に接続される蓄電装置を放電させる、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、車両の衝突予知信号が入力されると、モータにトルクが発生しないようにインバータ回路のスイッチング素子をスイッチング動作させて、コンデンサに残留した電荷をモータのコイルにて放電させる制御装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、別の従来技術として、高電位側のスイッチング素子と低電位側のスイッチング素子の双方をオン状態とすることで、両スイッチング素子の直列接続体に並列に接続された蓄電手段の両電極を短絡させる、電力変換回路の制御装置が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−20952号公報
【特許文献2】特開2011−83123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、スイッチング素子のゲート電圧閾値は周辺環境やスイッチング素子個々の製造ばらつきなどの要因によって変動するため、スイッチング素子のゲートに対して一律のオン電圧を印加する方法では、スイッチング素子が十分な放電能力を発揮できない可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、スイッチング素子のゲート電圧閾値が変動しても、スイッチング素子が十分な放電能力を発揮できる、電力変換装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る電力変換装置は、
スイッチング素子がハイサイドとローサイドに配置された直列回路を備え、
前記スイッチング素子が両サイドとも重複してオンすることで、前記直列回路に接続される蓄電装置を放電させる電力変換装置であって、
前記スイッチング素子に所定の電流値が流れるゲート電圧を測定し、前記蓄電装置を放電させるとき、測定したゲート電圧測定値に前記スイッチング素子のゲート電圧を制御する制御部を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スイッチング素子のゲート電圧閾値が変動しても、スイッチング素子が十分な放電能力を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る電力変換装置の一実施形態であるインバータ装置100の構成図である。
【図2】スイッチング素子Q1,Q2のゲート電圧Vgeの波形である。
【図3】閾値データの学習有無によるゲート電圧Vgeの変化時間の違いを示した図である。
【図4】放電動作チェックの第1例を示したフローチャートである。
【図5】緊急時の急速放電の第1例を示したフローチャートである。
【図6】素子温度tと閾値データとの関係を定めたマップの一例である。
【図7】放電動作チェックの第2例を示したフローチャートである。
【図8】緊急時の急速放電の第2例を示したフローチャートである。
【図9】素子温度の変化量Δtと閾値データの補正量との関係を定めたマップの一例である。
【図10】放電動作チェックの第3例を示したフローチャートである。
【図11】緊急時の急速放電の第3例を示したフローチャートである。
【図12】温度範囲外では初期値を使う補正マップである。
【図13】放電動作チェックの第4例を示したフローチャートである。
【図14】緊急時の急速放電の第4例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0011】
図1は、本発明に係る電力変換装置の一実施形態であるインバータ装置100の構成図である。インバータ装置100は、直流電力を交流電力に変換する装置であり、例えば、コンデンサ12に蓄電されて平滑化された直流電力に基づいて3相交流電流を生成し、生成した3相交流電流を不図示のモータに供給してそのモータを駆動する装置である。3相交流電流を生成するためには、電源ライン18とアースライン19との間に直列に接続された2つのスイッチング素子から構成される直列回路が3つ並列に必要であるが、図1では、ハイサイドのスイッチング素子Q1とローサイドのスイッチング素子Q2から構成される直列回路11以外の直列回路については省略されている。また、インバータ装置100は、不図示のモータで発生した交流電力を直流電力に変換して、コンデンサ12に供給する装置でもよい。
【0012】
インバータ装置100に接続されるモータは、例えば、車両を走行させる駆動トルクを発生させる走行用モータである。また、そのモータは、エンジンを始動させるスタータでもよいし、発電機でもよい。
【0013】
コンデンサ12は、電源ライン18とアースライン19との間に配置され、直列回路11に並列に接続されている蓄電装置である。コンデンサ12は、インバータ装置100の内部に構成されてもよいし、外部に構成されてもよい。また、コンデンサ12は、バッテリでもよい。
【0014】
スイッチング素子Q1,Q2の具体例として、パワーMOSFET,IGBTなどの半導体素子が挙げられる。スイッチング素子Q1は、第1の主電極(コレクタ又はドレイン)が電源ライン18に接続され、第2の主電極(エミッタ又はソース)がスイッチング素子Q2の第1の主電極に接続された、上アーム素子である。スイッチング素子Q2は、第1の主電極がスイッチング素子Q1の第2の主電極に接続され、第2の主電極がアースライン19に接続された、下アーム素子である。スイッチング素子Q1,Q2の第1の主電極と第2の主電極との間には、それぞれ、ダイオードD1,D2が並列に配置されている。なお、ダイオードD1,D2は、スイッチング素子Q1,Q2の寄生ダイオードでもよい。
【0015】
インバータ装置100は、車両の衝突に備えてコンデンサ12の電荷を強制的に消費するために、スイッチング素子Q1,Q2が両方とも時間的に重複してオンすることで、コンデンサ12を放電させる構成を有している。インバータ装置100は、そのような構成として、例えば、上述の直列回路11の他に、駆動部13と、検出部16と、制御部17とを有している。また、駆動部13と、検出部16と、制御部17は、例えば集積回路で構成されている。
【0016】
駆動部13は、制御部17から供給される制御信号に基づいて、スイッチング素子Q1,Q2を駆動する回路である。駆動部13は、スイッチング素子Q1,Q2のゲート電圧Vgeが制御部17から供給される制御信号に応じた電圧値になるように、スイッチング素子Q1,Q2の各ゲートに供給される電圧を変化させる。駆動部13は、スイッチング素子Q1のゲートに印加されるゲート電圧Vge1を調整する上アーム駆動部14と、スイッチング素子Q2のゲートに印加されるゲート電圧Vge2を調整する下アーム駆動部15とを有している。
【0017】
検出部16は、スイッチング素子Q1,Q2に流れる短絡電流Iの電流値を検出する。図1の場合、検出部16は、スイッチング素子Q2の第1の主電極と第2の主電極との間のセンス素子に流れるセンス電流I1を抵抗R1でモニタすることによって、スイッチング素子Q2の第1の主電極と第2の主電極との間の主電流素子に流れる主電流I2を検出する。これにより、検出部16は、スイッチング素子Q1の第1の主電極と第2の主電極との間及びスイッチング素子Q2の第1の主電極と第2の主電極との間を両方とも貫通して流れる短絡電流I(=I1+I2)を検出できる。
【0018】
制御部17は、検出部16によって検出された短絡電流Iの電流値が所定の電流値Ithになる時点のスイッチング素子Q1,Q2のゲート電圧Vgeを、スイッチング素子Q1,Q2のゲート電圧閾値Vthとして測定する測定部を有する。測定部は、例えば、電流値Ithが流れているときに駆動部13に供給されている制御信号から、電流値Ithが流れるときのゲート電圧Vgeを間接的に測定できる。また、測定部は、スイッチング素子Q1,Q2のゲートに印加される電圧をモニタすることによって、ゲート電圧Vgeを直接的に測定してもよい。
【0019】
制御部17は、車両の衝突信号又は衝突予知信号の受信によってコンデンサ12を緊急に放電させるとき、スイッチング素子Q1,Q2のゲート電圧Vgeが、測定部によって測定されたゲート電圧値に一致するように、駆動部13を制御する。
【0020】
このような構成を有するインバータ装置100によれば、スイッチング素子Q1,Q2の周辺環境や製造ばらつきなどの要因によってスイッチング素子Q1,Q2のゲート電圧閾値Vthが変動しても、スイッチング素子Q1,Q2がコンデンサ12の放電に必要な電流を流せるゲート電圧Vgeを正確に測定できるので、緊急放電時に十分な放電能力をスイッチング素子Q1,Q2に発揮させることができる。インバータ装置100が車両に搭載されている場合、車両の環境は特に変化しやすいため、スイッチング素子Q1,Q2に十分な放電能力を発揮させる点で、インバータ装置100がこのような構成を有していることは特に効果的である。
【0021】
次に、インバータ装置100の第1の動作例について説明する。
【0022】
インバータ装置100は、コンデンサ12の電荷が緊急時に正しく放出されるように、モータが動作していない状態で予め間欠的に放電動作チェックを行う。放電動作チェックは、インバータ装置100が車両に搭載された状態で車両毎に行われる。
【0023】
制御部17は、図2(b)に示されるように、スイッチング素子Q2のゲート閾値電圧の想定値よりも十分に大きな値のゲート電圧Vge2がスイッチング素子Q2のゲートに印加されるように、下アーム駆動部15を制御する。図2(b)の状態では、スイッチング素子Q2のゲート電圧閾値Vthよりも大きな値のゲート電圧Vgeが印加されているため、スイッチング素子Q2はオンしている。
【0024】
制御部17は、スイッチング素子Q2がオンしている図2(b)の状態で、図2(a)に示されるように、スイッチング素子Q1がパルス状にスイッチング動作するように上アーム駆動部14を制御することによって、コンデンサ12の電荷を消費させる。スイッチング素子Q2がオンしている状態でスイッチング素子Q1をパルス状にスイッチング動作させることによって、コンデンサ12が必要以上に過放電されることを防止できる。また、スイッチング素子Q1,Q2に必要以上の過電流が流れることを防止できる。また、スイッチング素子Q1をゲート電圧閾値Vthよりも小さな電圧値で動作させることによってスイッチング素子Q1が過熱することを抑制できる。
【0025】
そして、制御部17は、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2を貫通して流れる短絡電流Iが所定の電流値Ithになる時のスイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を測定し、その測定値をスイッチング素子Q1,Q2の共通の閾値データとしてメモリ20に記録する。
【0026】
放電動作チェックを開始するときに閾値データがメモリ20に記録されていない場合には、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧閾値の想定値よりも十分に小さな初期値(例えば、1V)からゲート電圧Vge1をステップ状に増加させながらスイッチング素子Q1をパルス状にスイッチングさせ、短絡電流Iが一定の電流値Ithを超えた時のゲート電圧Vge1を、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データとしてメモリ20に記録する(図3の「閾値学習なし」の実線を参照)。
【0027】
一方、放電動作チェックを開始するときに閾値データがメモリ20に記録されている場合、制御部17は、メモリ20に記録されている閾値データを基準とした電圧値のゲート電圧Vge1をスイッチング素子Q1のゲートに印加することから開始し、ゲート電圧Vge1を変化させていって、短絡電流Iが一定の電流値Ithを超えた時のゲート電圧Vge1を、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データとしてメモリ20に記録する(図3の「閾値学習あり」の実線を参照)。
【0028】
このように、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データをメモリ20に一度設定すると、次回の放電動作チェック時には、メモリ20に記録された閾値データを基準とした電圧から放電動作チェックを行うことができるため、放電動作チェックを行うための動作時間を図3に示される時間t1短縮できる。また、インバータ装置100の動作時間を時間t1短縮できるため、インバータ装置100の消費電力を抑えることができる。
【0029】
例えば、ゲート電圧Vge1を25mV/msの変化率で変化させるとき、ゲート電圧Vge1を6.75Vを起点に上げる場合と1Vを起点に上げる場合について考える。この場合の時間t1を計算すると、(6.75−1)/0.025=230msとなる。インバータ装置100が動作する上で、コンデンサ12を放電させることが可能な時間(例えば、インバータ装置100に接続されるモータが動作していない時間)は実際には限られている。そのため、メモリ20に記録された閾値データからゲート電圧Vge1を変化させて放電動作チェックを始めることで、動作時間の短縮効果は極めて高い。
【0030】
図4は、放電動作チェックの第1例を示したフローチャートである。
【0031】
ステップS10において、制御部17は、動作チェックトリガーに基づいて、放電動作チェックをスタートさせる。動作チェックトリガーは、例えば、所定のシステムから送信される動作チェック命令信号である。
【0032】
ステップS12において、制御部17は、コンデンサ12をスイッチング素子Q1,Q2によって前回放電させたときのスイッチング素子Q1,Q2の閾値データがメモリ20に格納されているか否かを確認する。制御部17は、閾値データがメモリ20に格納されている場合、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を、メモリ20に格納されている閾値データに設定する(ステップS16)。一方、制御部17は、閾値データがメモリ20に格納されていない場合、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を、インバータ装置100の出荷段階で予め設定されている初期値に設定する(ステップS14)。
【0033】
ステップS18において、制御部17は、スイッチング素子Q2のゲート電圧Vge2がスイッチング素子Q2のゲート電圧閾値の想定値よりも十分大きな値になるように、下アーム駆動部15を制御することによって、スイッチング素子Q2の第1の主電極と第2の主電極との間を短絡させてスイッチング素子Q2をフルオンさせる。
【0034】
ステップS20において、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1がステップS14又はS16で設定された値に1パルス分だけ変化するように、上アーム駆動部14を制御することによって、スイッチング素子Q1をその1パルス期間だけ動作させる。
【0035】
ステップS22において、検出部16は、スイッチング素子Q2のセンスエミッタ電流I1を検出し、その検出値を予め決められた電流検知閾値と比較する。
【0036】
ステップS22において、制御部17は、ステップS22で検出された電流値が電流検知閾値よりも大きくないと判定した場合、短絡電流Iが所定の電流値Ithよりも所定値だけ満たないと判断して、ステップS24において、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を1ステップ高い値に設定する。そして、ステップS20において、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1がステップS24で設定された値に1パルス分だけ変化するように、上アーム駆動部14を制御することによって、スイッチング素子Q1をその1パルス期間だけ動作させる。
【0037】
一方、ステップS22において、制御部17は、ステップS22で検出された電流値が電流検知閾値よりも大きいと判定した場合、短絡電流Iが所定の電流値Ithよりも所定値だけ超えていると判断する。つまり、ステップS22,S24では、短絡電流Iが所定の電流値Ith以上になるまで、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を上昇させている。
【0038】
ステップS26において、制御部17は、ステップS22で検出された電流値が電流検知閾値よりも大きいと判定した場合(短絡電流Iが所定の電流値Ithよりも所定値だけを超えていると判断した場合)、ステップS24を既に実行しているか否かを判断する。
【0039】
ステップS26において、制御部17は、ステップS24を未だ実行していないと判断した場合、ステップS28において、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を1ステップ低い値に設定する。そして、ステップS20において、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1がステップS28で設定された値に1パルス分だけ変化するように、上アーム駆動部14を制御することによって、スイッチング素子Q1をその1パルス期間だけ動作させる。
【0040】
つまり、ステップS26では、ゲート電圧Vge1を一度ステップS24で上昇させてからステップS28で降下させる動作を行っているか否かが判断されている。ステップS24でゲート電圧Vge1を上昇させることなく短絡電流Iが電流値Ithを超えているときには、短絡電流Iが電流値Ith以下になるまで、ステップS28でゲート電圧Vge1を降下させるとよい。これにより、現在のゲート電圧Vge1がスイッチング素子Q1の実際のゲート電圧閾値に一致しているか否かを判定できる。また、スイッチング素子Q1のゲート電圧閾値を跨いでスイッチング素子Q1を動作させることができるので、スイッチング素子Q1の動作チェックも兼ねることができる。
【0041】
一方、ステップS26において、制御部17は、ステップS22を既に実行していると判断した場合、ステップS30において、短絡電流Iが電流値Ithを超えた時に新たに測定されたゲート電圧Vge1を、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データとしてメモリ20に記録して、放電動作チェックを終了させる(ステップS32)。
【0042】
図5は、緊急時の急速放電の第1例を示したフローチャートである。インバータ装置100は、衝突事故等の緊急時に、コンデンサ12の電荷を速やかにスイッチング素子Q1,Q2を介して放出させる急速放電を行う。定格の大きな抵抗体でコンデンサの電荷を放電させて電力を消費する構成の場合、その抵抗体が大きいために、コストの増加、車重の増加、搭載場所の確保等の問題があるが、コンデンサ12の電荷をスイッチング素子Q1,Q2を介して放電することで、そのような問題を解消できる。また、インバータ装置100に接続されるモータのコイルでコンデンサの電力を消費させる構成の場合、放電時間や発熱の増大やバッテリの断線時の放電ができないなどの問題があるが、コンデンサ12の電荷をスイッチング素子Q1,Q2を介して放電することで、そのような問題を解消できる。
【0043】
ステップS40において、制御部17は、急速放電トリガーに基づいて、急速放電をスタートさせる。急速放電トリガーは、例えば、車両の衝突が検知されたことに伴い発生する衝突信号でもよいし、車両の衝突が予知されたことに伴い発生する衝突予知信号でもよい。
【0044】
ステップS42〜S50は、図4のステップS12〜S20と同じであるため、その説明を省略する。
【0045】
ステップS52において、検出部16は、コンデンサ12の電圧を検出し、その検出値を予め決められた規定値と比較する。制御部17は、ステップS52で検出された電圧値が規定値よりも小さいと判定した場合、コンデンサ12の電荷が十分に放電されたと判断して、急速放電を終了させる(ステップS54)。一方、制御部17は、ステップS52で検出された電圧値が規定値よりも小さくないと判定した場合、コンデンサ12の電荷が十分に放電されてないと判断する。
【0046】
ステップS52において、制御部17が、ステップS52で検出された電圧値が規定値よりも小さくないと判定した場合(コンデンサ12の電荷が十分に放電されてないと判断した場合)、ステップS56において、検出部16は、スイッチング素子Q2のセンスエミッタ電流I1を検出し、その検出値を予め決められた電流検知閾値と比較する。
【0047】
ステップS56において、制御部17は、ステップS56で検出された電流値が電流検知閾値よりも大きくないと判定した場合、短絡電流Iが所定の電流値Ithよりも所定値だけ満たないと判断して、ステップS60において、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を1ステップ高い値に設定する。そして、ステップS50において、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1がステップS60で設定された値に1パルス分だけ変化するように、上アーム駆動部14を制御することによって、スイッチング素子Q1をその1パルス期間だけ動作させる。
【0048】
一方、ステップS56において、制御部17は、ステップS56で検出された電流値が電流検知閾値よりも大きいと判定した場合、短絡電流Iが所定の電流値Ithよりも所定値だけ超えていると判断して、ステップS58において、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を1ステップ低い値に設定する。そして、ステップS50において、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1がステップS58で設定された値に1パルス分だけ変化するように、上アーム駆動部14を制御することによって、スイッチング素子Q1をその1パルス期間だけ動作させる。
【0049】
次に、インバータ装置100の第2の動作例について説明する。
【0050】
上述の第1の動作例では、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データをメモリ20に学習したときの素子温度が検出されていないので、前回閾値データを学習した時の素子温度と今回検出時の素子温度に差がある場合、スイッチング素子Q1,Q2の実際のゲート電圧閾値Vthが前回学習したときの閾値データと異なっている可能性がある。その結果、スイッチング素子Q1,Q2の放電能力が十分に発揮されないおそれがある。
【0051】
そこで、第2の動作例では、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データがメモリ20に格納される前に、検出部16は、スイッチング素子Q1,Q2の素子温度を検出する。そして、制御部17は、コンデンサ12をスイッチング素子Q1,Q2によって放電させる前に検出部16によって検出された素子温度に応じて、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データを補正して、放電動作を開始させる。制御部17は、工場出荷時に予めメモリ20に記憶されたマップ等の温度補正データを参照して、閾値データの温度補正を行う。
【0052】
図6は、素子温度tと閾値データとの関係を定めたマップの一例である。制御部17は、このようなマップ等の温度補正データに基づいて、検出部16によって検出された素子温度が高くなるにつれて、閾値データを下げる補正を行う。
【0053】
このように動作させることで、閾値データが、コンデンサ12を放電させる時の実際のゲート電圧閾値に近づくので、放電時に素子温度の影響を受けにくくすることができる。また、実際のゲート電圧閾値が温度上昇によって下がっていても、スイッチング素子Q1,Q2のゲートに過大なゲート電圧Vgeが印加されることを抑制でき、実際のゲート電圧閾値が温度低下によって上昇していても、コンデンサ12の電圧が規定値に下がるまでの放電時間が延びることを抑制できる。
【0054】
図7は、放電動作チェックの第2例を示したフローチャートである。
【0055】
ステップS70において、制御部17は、動作チェックトリガーに基づいて、放電動作チェックをスタートさせる。動作チェックトリガーは、例えば、所定のシステムから送信される動作チェック命令信号である。
【0056】
ステップS71において、検出部16は、スイッチング素子Q1,Q2の素子温度の検出データを取得する。
【0057】
ステップS75において、制御部17は、検出部16によってステップS71で検出された素子温度の検出値に対応する閾値データを、素子温度と閾値データとの関係を定めたマップに基づいて算出し、その算出された閾値データをメモリ20に格納する。
【0058】
ステップS76において、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を、メモリ20に格納されている閾値データに設定する。
【0059】
ステップS78において、制御部17は、スイッチング素子Q2のゲート電圧Vge2がスイッチング素子Q2のゲート電圧閾値の想定値よりも十分大きな値になるように、下アーム駆動部15を制御することによって、スイッチング素子Q2の第1の主電極と第2の主電極との間を短絡させてスイッチング素子Q2をフルオンさせる。
【0060】
ステップS80において、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1がステップS76で設定された値に1パルス分だけ変化するように、上アーム駆動部14を制御することによって、スイッチング素子Q1をその1パルス期間だけ動作させる。
【0061】
ステップS82〜S92は、図4のステップS22〜S32と同じであるため、その説明を省略する。
【0062】
図8は、緊急時の急速放電の第2例を示したフローチャートである。
【0063】
ステップS100において、制御部17は、急速放電トリガーに基づいて、急速放電をスタートさせる。急速放電トリガーは、例えば、車両の衝突が検知されたことに伴い発生する衝突信号でもよいし、車両の衝突が予知されたことに伴い発生する衝突予知信号でもよい。
【0064】
ステップS101〜S110は、図7のステップS71〜S80と同じであるため、その説明を省略する。ステップS112〜S120は、図5のステップS52〜S60と同じであるため、その説明を省略する。
【0065】
次に、インバータ装置100の第3の動作例について説明する。
【0066】
上述の第2の動作例では、インバータ装置100が新品時の温度補正データを使用しているため、スイッチング素子Q1,Q2のゲート電圧閾値に経年劣化によるずれが発生した場合、スイッチング素子Q1,Q2の放電能力が十分に発揮されないおそれがある。
【0067】
そこで、第3の動作例では、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データがメモリ20に格納される前に、制御部17は、検出部16によって検出されたスイッチング素子Q1,Q2の素子温度を閾値データと対応させてメモリ20に格納する。そして、制御部17は、コンデンサ12をスイッチング素子Q1,Q2によって放電させる前に検出部16によって検出された素子温度に応じて、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データを補正して、放電動作を開始させる。制御部17は、工場出荷時に予めメモリ20に記憶されたマップ等の温度補正データを参照して、閾値データの温度補正を行う。
【0068】
図9は、素子温度の変化量Δtと閾値データの補正量との関係を定めたマップの一例である。制御部17は、このようなマップ等の温度補正データに基づいて、検出部16によって今回検出された素子温度と前回検出された素子温度との変化量Δtに基づいて、メモリ20に格納された閾値データを補正するための閾値データの補正量を算出する。閾値データの補正量は、変化量Δtが大きくなるにつれて大きな値に算出される。制御部17は、算出された閾値データの補正量を、メモリ20に格納された閾値データに加算することによって、新たな閾値データを算出する。
【0069】
このように動作させることで、コンデンサ12を放電させる時の素子温度と閾値データがセットでデータ化されるため、放電時に素子温度の影響を受けにくくすることができる。また、素子温度の変化量Δtに応じた閾値データを求めることができるため、経年劣化などによってゲート電圧閾値に生ずるずれに対しても容易に対応できる。
【0070】
図10は、放電動作チェックの第3例を示したフローチャートである。
【0071】
ステップS130において、制御部17は、動作チェックトリガーに基づいて、放電動作チェックをスタートさせる。動作チェックトリガーは、例えば、所定のシステムから送信される動作チェック命令信号である。
【0072】
ステップS131において、検出部16は、スイッチング素子Q1,Q2の素子温度の検出データを取得する。
【0073】
ステップS132において、制御部17は、コンデンサ12をスイッチング素子Q1,Q2によって前回放電させたときのスイッチング素子Q1,Q2の閾値データがメモリ20に格納されているか否かを確認する。制御部17は、閾値データがメモリ20に格納されている場合、検出部16によってステップS131で検出された素子温度の検出値に対応する閾値データの補正量を、素子温度の変化量と閾値データの補正量との関係を定めたマップに基づいて算出し、その算出された補正量をメモリ20に格納された閾値データに加算して、新たな閾値データを算出する。制御部17は、その新たに算出された閾値データをメモリ20に格納する。
【0074】
ステップS136において、制御部17は、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を、メモリ20に格納されている閾値データに設定する。
【0075】
一方、ステップS132において、制御部17は、閾値データがメモリ20に格納されていない場合、スイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を、インバータ装置100の出荷段階で予め設定されている初期値に設定する(ステップS134)。
【0076】
ステップS138〜S148は、図4のステップS18〜S28と同様であるため、その説明を省略する。
【0077】
ステップS150において、短絡電流Iが電流値Ithを超えた時に新たに測定されたゲート電圧Vge1及び素子温度を、メモリ20に記録するとともに、その放電動作チェックを終了させる(ステップS152)。
【0078】
図11は、緊急時の急速放電の第3例を示したフローチャートである。
【0079】
ステップS160において、制御部17は、急速放電トリガーに基づいて、急速放電をスタートさせる。急速放電トリガーは、例えば、車両の衝突が検知されたことに伴い発生する衝突信号でもよいし、車両の衝突が予知されたことに伴い発生する衝突予知信号でもよい。
【0080】
ステップS161〜S170は、図10のステップS131〜S140と同じであるため、その説明を省略する。ステップS172〜S180は、図5のステップS52〜S60と同じであるため、その説明を省略する。
【0081】
次に、インバータ装置100の第4の動作例について説明する。
【0082】
検出部16によって検出される素子温度が想定外の範囲にある場合、温度補正データがないために、閾値データの温度補正ができない。また、温度補正データがあったとしても、温度変化量Δtが大きくなるにつれて、図12に示されるように、閾値データの補正量が大きくなるために、温度補正されて算出された閾値データに含まれる誤差が大きくなるおそれがある。
【0083】
そこで、第4の動作例では、制御部17は、一定の温度範囲内で放電動作チェック又は急速放電を行うときのみ温度補正を行い、その温度範囲外では温度補正を行わずに、スイッチング素子Q1,Q2の閾値データを、予め設定された初期値に設定する。
【0084】
このように動作させることで、温度が一定の範囲から外れている場合、温度補正を行わずに初期値を利用することができるため、温度補正データが無くても、放電動作チェック又は急速放電を実行できる。また、温度変化量Δtが大きくなっても、算出される閾値データに含まれる誤差が大きくなることを防止できる。
【0085】
図13は、放電動作チェックの第4例を示したフローチャートである。
【0086】
ステップS190において、制御部17は、動作チェックトリガーに基づいて、放電動作チェックをスタートさせる。動作チェックトリガーは、例えば、所定のシステムから送信される動作チェック命令信号である。
【0087】
ステップS191において、検出部16は、スイッチング素子Q1,Q2の素子温度の検出データを取得する。
【0088】
ステップS192において、制御部17は、検出部16によってステップS191で検出された素子温度が所定の最低温度よりも高く且つ所定の最高温度よりも低い温度領域内であるか否かを確認する。温度領域内に含まれる場合、ステップS193に移行し、温度領域内に含まれない場合、ステップS194に移行する。
【0089】
ステップS193〜S208は、図10のステップS132〜S148と同様であるため、その説明を省略する。
【0090】
ステップS210において、短絡電流Iが電流値Ithを超えた時に新たに測定されたゲート電圧Vge1及び素子温度を、メモリ20に記録するとともに、その放電動作チェックを終了させる(ステップS212)。ただし、短絡電流Iが電流値Ithを超えた時に新たに測定されたゲート電圧Vge1及び素子温度が、所定の最低温度よりも高く且つ所定の最高温度よりも低い温度領域に含まれていない場合には、メモリ20には記録されない。
【0091】
図14は、緊急時の急速放電の第4例を示したフローチャートである。
【0092】
ステップS220において、制御部17は、急速放電トリガーに基づいて、急速放電をスタートさせる。急速放電トリガーは、例えば、車両の衝突が検知されたことに伴い発生する衝突信号でもよいし、車両の衝突が予知されたことに伴い発生する衝突予知信号でもよい。
【0093】
ステップS221〜S230は、図13のステップS221〜S200と同じであるため、その説明を省略する。ステップS232〜S240は、図5のステップS52〜S60と同じであるため、その説明を省略する。
【0094】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に対して、種々の変形、置換、組み合わせを行うことができる。
【0095】
例えば、上述の実施例では、スイッチング素子Q2がオンしている状態でスイッチング素子Q1をパルス状にスイッチング動作させているが、例えば、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との接続点とモータのコイルとの間の電流経路が遮断されている場合には、スイッチング素子Q1がオンしている状態でスイッチング素子Q2をパルス状にスイッチング動作させてもよいし、短絡電流Iが流れるようにスイッチング素子Q1とQ2を両方とも時間的に重複してパルス状にスイッチング動作させてもよい。
【0096】
また、上述の実施例では、短絡電流Iが所定の電流値Ithになる時のスイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1を測定し、その測定値に一致するようにスイッチング素子Q1のゲート電圧Vge1が制御されているが、短絡電流Iが所定の電流値Ithになる時のスイッチング素子Q2のゲート電圧Vge2を測定し、その測定値に一致するようにスイッチング素子Q2のゲート電圧Vge2が制御されてもよい。また、短絡電流Iが所定の電流値Ithになる時のスイッチング素子Q1,Q2それぞれのゲート電圧を測定し、その各測定値に一致するようにスイッチング素子Q1,Q2のそれぞれのゲート電圧が制御されてもよい。
【0097】
また、上述の実施例では、短絡電流Iが所定の電流値Ithになる時の一方のスイッチング素子のゲート電圧の測定値を、両方のスイッチング素子に共通するゲート電圧閾値として測定しているが、短絡電流Iが所定の電流値Ithになる時のスイッチング素子毎のゲート電圧の測定値を、スイッチング素子それぞれのゲート電圧閾値として測定してもよい。
【0098】
また、上述の動作例において、現在のゲート電圧がスイッチング素子の実際のゲート電圧閾値に一致しているか否かを判定するため、また、スイッチング素子のゲート電圧閾値を跨いでスイッチング素子を動作させるため、ゲート電圧を降下させることなく短絡電流Iが所定の電流値Ithに満たないときには、短絡電流Iが電流値Ith以上になるまで、ゲート電圧を上昇させるようにしてもよい。
【0099】
また、上述の実施例では、コンデンサ12は、直列回路11に並列に接続される蓄電装置であるが、本発明は、蓄電装置が、スイッチング素子がハイサイドとローサイドに配置された直列回路に接続されていればよい。例えば、そのような直列回路に接続されるDC/DCコンバータのコンデンサでもよい(例えば、特許文献1の図2における低圧コンデンサ7100など)。
【符号の説明】
【0100】
11 直列回路
12 コンデンサ(キャパシタ)
13 駆動部
14 上アーム駆動部
15 下アーム駆動部
16 検出部
17 制御部
18 電源ライン
19 アースライン
100 インバータ装置
Q1,Q2 スイッチング素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子がハイサイドとローサイドに配置された直列回路を備え、
前記スイッチング素子が両サイドとも重複してオンすることで、前記直列回路に接続される蓄電装置を放電させる電力変換装置であって、
前記スイッチング素子に所定の電流値が流れるゲート電圧を測定し、前記蓄電装置を放電させるとき、測定したゲート電圧測定値に前記スイッチング素子のゲート電圧を制御する制御部を備えることを特徴とする、電力変換装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ゲート電圧測定値に前記スイッチング素子のゲート電圧を制御しても、前記スイッチング素子に流れる電流が前記所定の電流値未満であるとき、前記スイッチング素子のゲート電圧を上昇させる、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記スイッチング素子に流れる電流が前記所定の電流値以上になるまで、前記スイッチング素子のゲート電圧を上昇させる、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ゲート電圧測定値に前記スイッチング素子のゲート電圧を制御しても、前記スイッチング素子のゲート電圧を上昇させることなく前記スイッチング素子に流れる電流が前記所定の電流値を超えるとき、前記スイッチング素子のゲート電圧を降下させる、請求項2又は3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ゲート電圧測定値に前記スイッチング素子のゲート電圧を制御しても、前記スイッチング素子に流れる電流が前記所定の電流値を超えるとき、前記スイッチング素子のゲート電圧を降下させる、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記スイッチング素子に流れる電流が前記所定の電流値以下になるまで、前記スイッチング素子のゲート電圧を降下させる、請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記ゲート電圧測定値に前記スイッチング素子のゲート電圧を制御しても、前記スイッチング素子のゲート電圧を降下させることなく前記スイッチング素子に流れる電流が前記所定の電流値未満であるとき、前記スイッチング素子のゲート電圧を上昇させる、請求項5又は6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記蓄電装置を放電させるとき、前記ゲート電圧測定値に前記スイッチング素子のゲート電圧を制御することを、前記ゲート電圧測定値を前記スイッチング素子のゲートに印加することから開始する、請求項1から7のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記スイッチング素子のゲート電圧をパルス状に制御する、請求項1から8のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記制御部は、両サイドの前記スイッチング素子のうち、一方のスイッチング素子がオンしている期間に、もう一方のスイッチング素子のゲート電圧をパルス状に制御する、請求項9に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記スイッチング素子の温度に応じて、前記スイッチング素子のゲート電圧を変化させる、請求項1から10のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記温度が所定の温度範囲外のとき、前記温度に応じて前記スイッチング素子のゲート電圧を変化させることを行わない、請求項11に記載の電力変換装置。
【請求項13】
車両が衝突又は衝突のおそれのあるとき、前記蓄電装置を放電させる、請求項1から12のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項1】
スイッチング素子がハイサイドとローサイドに配置された直列回路を備え、
前記スイッチング素子が両サイドとも重複してオンすることで、前記直列回路に接続される蓄電装置を放電させる電力変換装置であって、
前記スイッチング素子に所定の電流値が流れるゲート電圧を測定し、前記蓄電装置を放電させるとき、測定したゲート電圧測定値に前記スイッチング素子のゲート電圧を制御する制御部を備えることを特徴とする、電力変換装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ゲート電圧測定値に前記スイッチング素子のゲート電圧を制御しても、前記スイッチング素子に流れる電流が前記所定の電流値未満であるとき、前記スイッチング素子のゲート電圧を上昇させる、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記スイッチング素子に流れる電流が前記所定の電流値以上になるまで、前記スイッチング素子のゲート電圧を上昇させる、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ゲート電圧測定値に前記スイッチング素子のゲート電圧を制御しても、前記スイッチング素子のゲート電圧を上昇させることなく前記スイッチング素子に流れる電流が前記所定の電流値を超えるとき、前記スイッチング素子のゲート電圧を降下させる、請求項2又は3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ゲート電圧測定値に前記スイッチング素子のゲート電圧を制御しても、前記スイッチング素子に流れる電流が前記所定の電流値を超えるとき、前記スイッチング素子のゲート電圧を降下させる、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記スイッチング素子に流れる電流が前記所定の電流値以下になるまで、前記スイッチング素子のゲート電圧を降下させる、請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記ゲート電圧測定値に前記スイッチング素子のゲート電圧を制御しても、前記スイッチング素子のゲート電圧を降下させることなく前記スイッチング素子に流れる電流が前記所定の電流値未満であるとき、前記スイッチング素子のゲート電圧を上昇させる、請求項5又は6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記蓄電装置を放電させるとき、前記ゲート電圧測定値に前記スイッチング素子のゲート電圧を制御することを、前記ゲート電圧測定値を前記スイッチング素子のゲートに印加することから開始する、請求項1から7のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記スイッチング素子のゲート電圧をパルス状に制御する、請求項1から8のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記制御部は、両サイドの前記スイッチング素子のうち、一方のスイッチング素子がオンしている期間に、もう一方のスイッチング素子のゲート電圧をパルス状に制御する、請求項9に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記スイッチング素子の温度に応じて、前記スイッチング素子のゲート電圧を変化させる、請求項1から10のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記温度が所定の温度範囲外のとき、前記温度に応じて前記スイッチング素子のゲート電圧を変化させることを行わない、請求項11に記載の電力変換装置。
【請求項13】
車両が衝突又は衝突のおそれのあるとき、前記蓄電装置を放電させる、請求項1から12のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−110807(P2013−110807A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252370(P2011−252370)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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