説明

電子装置及び電子モジュール

【課題】ノイズの遮蔽を十分に行うことができ、かつLSIを3次元的に配置する際に空間を有効的に利用することができるようにする。
【解決手段】配線基板100には半導体装置103が内蔵されている。配線基板100には、平面視で半導体装置103と重なる領域に互いに離間して設けられた複数の第1導体106と、複数の第1導体106の少なくとも一つを半導体装置103に接続するビア120と、半導体装置103を介して複数の第1導体106とは反対側に設けられ、平面視で複数の第1導体106を覆っている第2導体102と、複数の第1導体106を介して半導体装置103とは反対側に設けられ、平面視で第1導体106を覆っている第3導体101と、第2導体102と第3導体101によって挟まれた空間に、半導体装置103を囲むように設けられ、繰り返し構造を有する構造体とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置を配線基板に内蔵した電子装置及び電子モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の小型携帯電子機器の発展に伴い、高速動作するデジタル回路と無線通信回路が混載した電子装置の利用が拡大している。これら電子機器において、デジタルLSIから発生したノイズが、電源・グラウンドプレーンからなる平行平板を導波路として伝搬することにより、近接する無線回路等へ悪影響を及ぼすことがある。従って、これら電子機器においては、ノイズ遮蔽を施すことが一般的ではあるが、機器の小型化とともにその対策は一層困難となっている。
【0003】
近年、特定の構造を有する導体パターンを規則的に配置することで、配線基板中の電磁波の伝搬特性を制御できることが明らかになってきている。特に、特定の周波数帯域における電磁波伝搬を抑制するように構成された構造は電磁バンドギャップ構造(以下、EBG構造と記載)を呼ばれ、新たなノイズ対策手法として着目されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、シート状の導体プレーンの上方に島状の導体エレメントを規則的に複数配置し、その島状エレメントそれぞれをビアで導体プレーンに接続した、マッシュルーム構造と呼ばれる形態のEBG構造が示されている。特許文献2、及び特許文献3においては、このようなEBG構造を配線基板表面に配置し、LSIからのノイズ遮蔽に適用している例が開示されている。特許文献4においては、デジタルLSIとアナログLSIが実装された配線基板において、LSI下部の配線基板中にEBG構造を配置し、LSI間のノイズ遮蔽に適用している例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6262495号明細書
【特許文献2】特表2007−527629号公報
【特許文献3】特表2007−531253号公報
【特許文献4】特開2008−10859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの特許文献に開示されたノイズ遮蔽技術には、複数の電源配線を必要とするようなLSIに対しては十分なノイズ遮蔽効果が得られないという問題点がある。この原因は、電源配線層が間隙を隔てて複数の導体パターンから構成されることに起因する。その理由は、導体層に間隙がある場合には導体層を伝搬したノイズがその間隙から放射され、導体層と異なる層や配線基板の外部にノイズが漏洩するためである。また、このようなノイズの漏洩はノイズ源の上下に近接したLSIや回路へ容易にノイズが伝搬する原因にもなる。従って、LSIを3次元的に配置する際に空間を有効的に利用することが困難であり、携帯電子機器の小型化を妨げるという問題もある。
【0007】
本発明の目的は、ノイズの遮蔽を十分に行うことができ、かつLSIを3次元的に配置する際に空間を有効的に利用することができる電子装置及び電子モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、多層の配線層を有する配線基板と、
前記配線基板に内蔵された半導体装置と、
前記配線基板に設けられ、平面視で前記半導体装置と重なる領域に互いに離間して設けられた複数の第1導体と、
前記複数の第1導体の少なくとも一つを前記半導体装置に接続する接続部材と、
前記配線基板に設けられ、前記半導体装置を介して前記複数の第1導体とは反対側に設けられ、平面視で前記第1導体を覆っている第2導体と、
前記配線基板に設けられ、前記複数の第1導体を介して前記半導体装置とは反対側に設けられ、平面視で前記第1導体を覆っている第3導体と、
前記第2導体と前記第3導体によって挟まれた空間に、前記半導体装置を囲むように導体を用いて形成され、繰り返し構造を有する構造体と、
を備える電子装置が提供される。
【0009】
本発明によれば、複数積層された電子装置を備え、
前記電子装置は、それぞれ
多層の配線層を有する配線基板と、
前記配線基板に内蔵された半導体装置と、
前記配線基板に設けられ、平面視で前記半導体装置と重なる領域に互いに離間して設けられた複数の第1導体と、
前記複数の第1導体の少なくとも一つを前記半導体装置に接続する接続部材と、
前記配線基板に設けられ、前記半導体装置を介して前記複数の第1導体とは反対側に設けられ、平面視で前記第1導体を覆っている第2導体と、
前記配線基板に設けられ、前記複数の第1導体を介して前記半導体装置とは反対側に設けられ、平面視で前記第1導体を覆っている第3導体と、
前記第2導体と前記第3導体によって挟まれた空間に、前記半導体装置を囲むように導体を用いて形成され、繰り返し構造を有する構造体と、
を備える電子モジュールが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ノイズの遮蔽を十分に行うことができ、かつLSIを3次元的に配置する際に空間を有効的に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る電子装置の構造を示す図である。
【図2】EBGの一例を示す図である。
【図3】EBGの一例を示す図である。
【図4】EBGの一例を示す図である。
【図5】第2の実施形態に係る電子装置の構造を示す断面図である。
【図6】第3の実施形態に係る電子装置の構造を示す断面図である。
【図7】第4の実施形態に係る電子装置の構造を示す断面図である。
【図8】第5の実施形態に係る電子装置の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1(a)は、第1の実施の形態である配線基板の断面図であり、図1(b)は第1導体106を含む層の上面図である。配線基板100には、配線基板に内蔵された半導体装置103と、複数の第1導体106(導体パターン)が配置されている。詳細には、配線基板100は、コア層110の上下それぞれに、配線が設けられている層を複数有している。コア層110は、例えばCu、Al、及びステンレスのいずれかにより形成されているが、これに限定されず、樹脂基板等であってもよい。半導体装置103はコア層110に配置されているが、コア層110には、半導体装置103に接続するための配線層が少なくとも一つ設けられている。複数の第1導体106は、同一の層(第1の層)に間隙105を隔てて配置されている。複数の第1導体106は、それぞれビア120を介して半導体装置103に接続されている。配線基板100には、第1の領域107及び第2の領域104が設けられている。第1の領域107は3次元的に設けられており、第1導体106、第1導体の間隙105の少なくとも一部、及び半導体装置103を包含している。第2の領域104も3次元的に設けられており、第1の領域107を平面視で囲んでいる。
【0014】
また配線基板100は、第3導体101及び第2導体102を有している。第3導体101及び第2導体102の一方は、第1の領域107と第2の領域104の上側を延在しており、他方は第1の領域107と第2の領域104の下側を延在している。すなわち第1の領域107と第2の領域104は、第3導体101及び第2導体102に挟まれている。
【0015】
第2の領域104においては、第1導体106と第3導体101との間には、第1導体106と同電位の導体エレメント108が規則的に配列し、第3導体101に対向している。第2の領域104には、第1導体106と第3導体101を導波路として伝搬する電磁波のうち特定の周波数帯域の電磁波を遮断する性質を有するEBG構造が形成されている。第1導体106と同電位の導体層と第2導体102との間でも、同様なEBG構造が第2の領域104に形成されている。これらEBG構造は、導体エレメント108を用いて構成されている。
【0016】
電源プレーンが第1導体106に対応しており、グラウンドプレーンが第3導体101及び第2導体102に対応している場合、半導体装置103内部のトランジスタのスイッチングなどによって不要ノイズである電磁波が発生する。ここで第1導体の間隙105から漏洩する電磁波は、間隙105を覆うように配置された第3導体101により遮断され、また電源プレーン(第1導体106)とグラウンドプレーン(第2導体102)の間を配線基板100の端部へ向かって伝搬する電磁波は、第2の領域104に形成されているEBG構造によって遮断される。従って、半導体装置103の内部から発生するノイズとしての電磁波が基板外部へ漏洩することが抑制される。
【0017】
電磁ノイズをできるだけ発生源に近いところで遮断して、他のデバイスや回路動作への悪影響を排除するという観点では、第2の領域104、第3導体101、及び第2導体102は、半導体装置103にできるだけ近い領域に形成することが望ましく、そのためにはEBG構造の一部は半導体装置103が内蔵されるコア層110に形成されることが望ましい。例えばEBG構造を構成する導体の少なくとも一部は、コア層110に設けられた配線層を用いて形成される。
【0018】
半導体装置103は、上下が第3導体101と第2導体102で覆われ、横方向は第2の領域104のEBG構造で囲われている。このような構造では、半導体装置103が発生源となる電磁波の漏洩が抑制されるだけではなく、外部から侵入する電磁ノイズを遮断することもできる。
【0019】
半導体装置103が表面実装される場合、上記と同様の効果を得るためには、半導体装置103の側方及び上方を覆うような金属シールドを被せる必要がある。本実施形態では半導体装置103の側方への電磁波伝搬をEBG構造で遮断しており、また半導体装置103の上方及び下方への電磁波伝播は、第3導体101と第2導体102で遮断している。第3導体101と第2導体102は例えばグラウンドプレーンである。従って、本実子形態のシールド構造は特別な部材を追加する必要がなく、通常のLSI内蔵基板作製プロセスで実現できる。従って、薄型化や3次元積層化が可能となる点で優れている。
【0020】
なお、配線基板100の最上層に位置する配線層、及び最下層に位置する配線層には、それぞれ電極パッド109が設けられている。
【0021】
図2、図3、及び図4の各図には、EBG構造の単位セルの具体例を示している。ただしEBG構造の単位セルは、図2〜図4に示した例に限定されない。
【0022】
図2に示す例では、いわゆるマッシュルーム型のEBG構造や類似のEBG構造の単位セルを示している。これらは、第1導体プレーン201、第2導体プレーン204、及び導体エレメント202から構成される。導体エレメント202は島状の導体であり、第2導体プレーン204にビアなどの接続部材203で接続されている。接続部材203はマッシュルームの軸部分に相当し、インダクタンスを形成している。導体エレメント202はマッシュルームのヘッドに相当し、第1導体プレーン201との間でキャパシタンスを形成する。マッシュルーム型EBG構造は、第1導体プレーン201と第2導体プレーン204の平行平板を、上記したキャパシタンスと上記したインダクタンスからなる直列共振回路でシャントした等価回路で表現することができる。そしてこの直列共振回路の共振周波数が最も減衰が大きいバンドギャップの中心周波数を与える。
【0023】
図2(a)は、図1に示したEBG構造のユニットセルの層構成を示す断面模式図であり、図2(b)はその斜視図である。図1の第1導体106と第3導体101は、それぞれ図2の第2導体プレーン204と第1導体プレーン201に対応する。また、図1の第1導体106と第2導体102は、それぞれ図2の第1導体プレーン201と第2導体プレーン204に対応する。図2(a),(b)に示す例では、厚さ方向において、第2導体プレーン204、導体エレメント202、及び第1導体プレーン201がこの順に並んでいる。
【0024】
図2(c)は、導体エレメント202と第2導体プレーン204の間に第1導体プレーン201が配置されたEBG構造の断面模式図であり、図2(d)はその斜視図である。図2(c),(d)に示す例では、厚さ方向において、第2導体プレーン204、第1導体プレーン201、及び導体エレメント202がこの順に並んでいる。そして接続部材203は、第1導体プレーン201に設けられた開口を通ることにより、第1導体プレーン201との絶縁を確保しつつ、導体エレメント202に接続している。
【0025】
図2(e),(f)に示す例では、図2(a),(b)に示す例に加えて、第2導体プレーン204は開口部206を有している。開口部206に平面コイル205が形成されている。平面コイル205は、第2導体プレーン204と接続部材203を接続している。すなわち第2導体プレーン204は、平面コイル205及び接続部材203を介して導体エレメント202が接続されている。平面コイル205によりインダクタンスを増加させることが可能となり、EBG構造のユニットセルの小型化やバンドギャップの低周波化に有利である。
【0026】
図3は、図2(a)及び(c)に示した例に類似しているが、島状の導体エレメント202の代わりにらせん状の導体エレメント302を有している構造、いわゆるオープンスタブ型のEBG構造やそれに類似の構造を示している。導体エレメント302は対向する第1導体プレーン301と電気的に結合したマイクロストリップ線路であり、その一端はオープン端となっており、オープンスタブとして機能する。図3(a)及び(b)は、それぞれ導体エレメント302が第1導体プレーン301と第2導体プレーン304との間に配置された構造の断面模式図と斜視図である。また、図3(c)及び(d)は、それぞれ第1導体プレーン301が導体エレメント302と第2導体プレーン304との間に配置された構造の断面模式図と斜視図である。やはり、第1導体プレーン301及び第2導体プレーン304が、電源プレーン及びグラウンドプレーンに対応する。
【0027】
図4は、第1導体プレーン401の中に形成されたらせん状の導体エレメント403が第2導体プレーン402に対向している。この構造はEBG構造を構成するために必要な層数を削減できる点で優れている。やはり、第1導体プレーン401及び第2導体プレーン402が、電源プレーン及びグラウンドプレーンに対応する。
【0028】
なお、EBG構造の少なくとも一部が配線基板100のコア層110に形成されるという意味は、例えば上記した第1導体プレーン201、301、401、第2導体プレーン204、304、402、導体エレメント202、302、403のいずれかひとつ以上がコア層110の導体を使って形成されているということである。
【0029】
また、第1導体プレーン、第2導体プレーン、導体エレメントの相対的関係が変わらなければ、上下逆の構造でも同様の効果がある。
【0030】
ここで、EBG構造の単位セルは一つのみ設けられていてもよいし、複数繰り返し設けられていてもよい。ここで「繰り返し」単位セルを配置する場合、互いに隣り合う単位セルにおいて、同一の接続部材の間隔(中心間距離)が、対象にしている電磁波の波長λの1/2以内となるようにするのが好ましい。また「繰り返し」には、いずれかの単位セルにおいて構成の一部が欠落している場合も含まれる。また単位セルが2次元配列を有している場合には、「繰り返し」には単位セルが部分的に欠落している場合も含まれる。また「周期的」には、一部の単位セルにおいて構成要素の一部がずれている場合や、一部の単位セルそのものの配置がずれている場合も含まれる。すなわち厳密な意味での周期性が崩れた場合においても、単位セルが繰り返し配置されている場合には、メタマテリアルとしての特性を得ることができるため、「周期性」にはある程度の欠陥が許容される。なおこれらの欠陥が生じる要因としては、単位セル間に配線やビア、接続部材を通す場合、既存の配線レイアウトや基板間接続構造にメタマテリアル構造を追加する場合において既存のビアやパターン、接続部材によって単位セルが配置できない場合、製造誤差、及び既存のビアやパターン、接続部材を単位セルの一部として用いる場合などが考えられる。
【0031】
(第2の実施形態)
図5は、コアレス基板にLSIを内蔵したLSI内蔵基板へ本発明を適用した例である。このコアレス基板にはLSI501が内蔵されている。そしてグラウンドプレーン504、505がLSI501及び電源プレーン503の間隙502を上下に覆っている。また、LSI501の側方、LSI501が内蔵されるコア層相当の層507には、LSI501が設けられている。そして電源プレーン503とグラウンドプレーン504、505との間には、EBG構造506が形成されている。このEBG構造506は、例えばマッシュルーム型である。コアレス基板では、LSIが埋め込まれている層のLSI以外の領域もレイアウトが比較的自由な配線層として利用できるため、EBG構造506を容易に形成できる。また、一般的な基板よりも基板全体の薄型化が可能であり、モジュールや機器の小型・薄型化に有利である。
【0032】
(第3の実施形態)
図6は、複数のLSIが内蔵された基板600へ本発明を適用した例を示す断面模式図である。基板600には、LSI601、602が、例えばフェイスダウンで内蔵されており、電源プレーン606の間隙603、604を、グラウンドプレーン608,609が覆っている。LSI601,602は平面視で互いに離間しており、また基板600の厚さ方向において少なくとも一部が重なっている。本図に示す例では、厚さ方向においてLSI601,602の一方は他方に完全に重なっている。またEBG構造607がLSI601、602の側方に形成されており、基板600の端部への不要電磁波の伝搬や基板600の端部からの漏洩を抑制している。EBG構造607は、図6中の上方のグラウンドプレーン608とはマッシュルーム型のEBG構造を構成し、図6中の下方のグラウンドプレーン609とはオープンスタブ型EBG構造を形成している。平面視でLSI601及び602の間を仕切るようにEBG構造607の一部が形成されている。このため、近接配置されたLSI601,602同士の電磁干渉を抑制することができ、結果として小型化と低電圧動作の両立に優れる。
【0033】
(第4の実施形態)
図7は、金属コアを用いた基板へ本発明を適用した例を示す断面図である。基板に内蔵されたLSI702はグラウンドプレーン704と金属コア707で覆われており、LSI702の側方にLSI702を囲うようにEBG構造706が形成されている。グラウンドプレーン704は、図4で示したようならせん状の導体エレメントがその一部の領域に形成された構造であり、電源プレーン705に対向している。また、同じくグラウンドプレーン704と接続される金属コア707表面にマッシュルーム構造が形成され、そのマッシュルームのヘッドは電源プレーン705に対向した構造となっている。金属コアへのEBG構造の形成方法は、印刷法、めっき法、シート積層などで導体エレメントなどをビルドアップ形成する方法であってもよいし、エッチングにより金属コア表面に所望のパターンを形成する方法であってもよい。LSI702から発生するノイズは基板端や基板表面へ伝搬することは抑制されるために、他のLSI701をLSI702に対して3次元的に実装しても、LSI701がLSI702からのノイズの悪影響をうけない。したがって、複数の電子部品(受動部品703なども含む)を3次元的に実装することが可能になり、その結果、小型モジュールが実現可能となる。
【0034】
(第5の実施形態)
図8は、本発明を半導体パッケージへ適用した例を示す断面図である。Cu支持板806上にフェイスアップで薄化したLSI801が接着され、さらにその上に複数の配線層がビルドアップ形成された構造となっている。図7と同様に、Cu支持板806表面に、Cu支持板806を構成要素の一部としてEBG構造が形成されている。このため、Cu支持板表面を伝播して漏洩する電磁波を遮断する。更に、グラウンドプレーン804がLSI801と電源プレーン803の間隙802を覆い、電源プレーン803との間に領域805に例示するようにEBG構造が形成されている。LSI内蔵技術を用いた半導体パッケージにおいても応用可能である。
【0035】
上記した各実施形態は、LSI内蔵基板単体で完全な電磁波シールド効果を有する構造を実現するものである。厚さ方向の不要電磁波伝搬に関しては、マザーポードなどへLSI内蔵基板が実装された状態において、同様の効果を実現することも可能である。例えば、LSI内蔵基板内部では、電源プレーンの間隙をグラウンドプレーンで覆わない構造であっても、マザーボードへ実装した状態でその間隙からの漏洩電磁波を遮断するようにマザーボード側のグラウンドプレーンを配置することでも同様の効果が得られる。
【0036】
なお、本発明はLSI内蔵基板やそれらを用いたモジュール、特にデジタル回路とアナログ回路が密に混載した無線通信機器に適用できる。例えば、上記したLSI内蔵基板を互いに重ねてモジュール化してもよい。この場合において、最上層のLSI内蔵基板の上に第2の電子部品を搭載した構造(例えば図7)にしてもよい。また、半導体パッケージにも適用可能である。
【0037】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0038】
100 配線基板
101 第3導体
102 第2導体
103 半導体装置
104 第2の領域
105 間隙
106 第1導体
107 第1の領域
108 導体エレメント
109 電極パッド
110 コア層
120 ビア
201 第1導体プレーン
202 導体エレメント
203 接続部材
204 第2導体プレーン
205 平面コイル
206 開口部
301 第1導体プレーン
302 導体エレメント
303 接続部材
304 第2導体プレーン
401 第1導体プレーン
402 第2導体プレーン
403 導体エレメント
501 LSI
502 間隙
503 電源プレーン
504 グラウンドプレーン
505 グラウンドプレーン
506 EBG構造
507 層
600 基板
601 LSI
602 LSI
603 間隙
604 間隙
606 電源プレーン
607 EBG構造
608 グラウンドプレーン
609 グラウンドプレーン
701 LSI
702 LSI
703 受動部品
704 グラウンドプレーン
705 電源プレーン
706 EBG構造
707 金属コア
801 LSI
802 間隙
803 電源プレーン
804 グラウンドプレーン
805 領域
806 Cu支持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層の配線層を有する配線基板と、
前記配線基板に内蔵された半導体装置と、
前記配線基板に設けられ、平面視で前記半導体装置と重なる領域に互いに離間して設けられた複数の第1導体と、
前記複数の第1導体の少なくとも一つを前記半導体装置に接続する接続部材と、
前記配線基板に設けられ、前記半導体装置を介して前記複数の第1導体とは反対側に設けられ、平面視で前記複数の第1導体を覆っている第2導体と、
前記配線基板に設けられ、前記複数の第1導体を介して前記半導体装置とは反対側に設けられ、平面視で前記第1導体を覆っている第3導体と、
前記第2導体と前記第3導体によって挟まれた空間に、前記半導体装置を囲むように導体を用いて形成され、繰り返し構造を有する構造体と、
を備える電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置において、
前記複数の第1導体はそれぞれ電源プレーンである電子装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子装置において、
前記構造体はEBGの単位セルを繰り返し配置することにより形成されている電子装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子装置において、
前記配線基板は、コア層と、前記コア層の上下にそれぞれ設けられた前記配線層とを有しており、
前記半導体装置は前記コア層に設けられており、
前記構造体の一部は前記コア層内に設けられている電子装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電子装置において、
前記コア層は金属により形成されており、
前記構造体は、前記コア層をその一部に用いて形成されている電子装置。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子装置において、
前記配線基板はコアレス基板であり、
前記構造体の一部は、前記半導体装置が設けられている層に形成されている電子装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の電子装置において、
前記配線基板内に設けられ、平面視で前記半導体装置から離間して設けられ、かつ前記配線基板の厚さ方向において少なくとも一部が前記半導体装置に重なっている電子部品をさらに備え、
平面視で前記半導体装置と前記電子部品の間にも前記構造体が設けられている電子装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子装置において、
前記配線基板の上に搭載された第2の電子部品を備える電子装置。
【請求項9】
複数積層された電子装置を備え、
前記電子装置は、それぞれ
多層の配線層を有する配線基板と、
前記配線基板に内蔵された半導体装置と、
前記配線基板に設けられ、平面視で前記半導体装置と重なる領域に互いに離間して設けられた複数の第1導体と、
前記複数の第1導体の少なくとも一つを前記半導体装置に接続する接続部材と、
前記配線基板に設けられ、前記半導体装置を介して前記複数の第1導体とは反対側に設けられ、平面視で前記第1導体を覆っている第2導体と、
前記配線基板に設けられ、前記複数の第1導体を介して前記半導体装置とは反対側に設けられ、平面視で前記第1導体を覆っている第3導体と、
前記第2導体と前記第3導体によって挟まれた空間に、前記半導体装置を囲むように導体を用いて形成され、繰り返し構造を有する構造体と、
を備える電子モジュール。
【請求項10】
請求項9に記載の電子モジュールにおいて、
最上層の前記電子装置は、前記配線基板上に搭載された第2の電子部品を備える電子モジュール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−60056(P2012−60056A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204222(P2010−204222)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、総務省、「マイクロ波帯、ミリ波帯の利用拡大のための機器雑音抑制技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】