説明

電磁式ショックアブソーバ

【課題】ばね上部とばね下部との接近離間動作に対する力を発生させる電磁式ショックアブソーバの実用性を向上させる。
【解決手段】ばね下部側躯体70,104に、支持スプリング112,114によってねじロッド32が弾性的に支持され、ばね上部側躯体38,102にナット34が支持され、かつ、ばね上部側躯体38,102に配設された電磁式モータ36がナット34に回転力を付与可能な構造のショックアブソーバにおいて、支持スプリング112,114によって弾性的に支持されたねじロッド32を、ナット34を支持する側の躯体であるばね上部側躯体38,102ではなく、ねじロッド32を支持する側の躯体であるばね下部側躯体70,104に係合させることで、ねじロッド32の軸線方向の移動を許容しつつ軸線回りの回転を禁止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ばね上部とばね下部との接近離間動作に対する力を発生させる電磁式ショックアブソーバに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、電磁式モータの力に依拠して、ばね上部とばね下部との接近離間動作に対する力を発生させる電磁式ショックアブソーバが検討されており、例えば、下記特許文献に記載の電磁式ショックアブソーバが存在する。その電磁式ショックアブソーバを含んで構成される車両用の電磁式サスペンション装置によれば、いわゆるスカイフック理論に基づく振動減衰特性を容易に実現できる等の利点から、高性能な装置として期待されている。
【特許文献1】特開2006−143146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献に記載の電磁式ショックアブソーバは、電磁式モータの回転力を、ばね上部とばね下部との接近離間動作に対する力に変換するために、ねじロッドとナットとを含んで構成されるねじ機構が採用されている。上記特許文献のショックアブソーバは、ナットを保持する部分が、スプリングおよびダンパを介して連結されて、ばね下部に弾性的に支持された構造とされている。そのような構造の電磁式ショックアブソーバは、車輪から入力されてばね上部に伝達される振動、特に、比較的高い周波数振動を効果的に吸収することが可能とされている。
【0004】
また、上記特許文献に記載のショックアブソーバは、電磁式モータがねじロッドに回転力を付与可能な構造とされているのに対して、ナットに回転力を付与可能な構造のショックアブソーバも検討されている。ナットを回転させる構造のショックアブソーバの場合、例えば、中空形状のモータ軸を採用してねじロッドを貫通させる構造とすること等によって、ショックアブソーバの軸線方向におけるコンパクト化、あるいは、ストローク範囲の増加を図ることが可能であり、そのような観点からすれば、ねじロッドが回転する構造のショックアブソーバに比較して、ナットを回転させる構造のショックアブソーバの方が望ましい。電磁式ショックアブソーバは、上述のような種々の改良が進められており、さらなる改良を施すことによって、その電磁式ショックアブソーバの実用性が向上すると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い電磁式ショックアブソーバを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の電磁式ショックアブソーバは、相対回転不能かつばね上部とばね下部との接近離間動作に伴って軸線方向に相対移動可能とされたばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方に、支持スプリングによってねじロッドが弾性的に支持される構造で、かつ、2つの躯体の他方に支持されたナットに、電磁式モータが回転力を付与可能な構造とされ、ねじロッドの一部とそれら躯体の一方の一部とを互いに係合させて、そのねじロッドのその一方に対する軸線方向の移動を許容しつつその一方に対する回転を禁止する機構を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電磁式ショックアブソーバは、ねじロッドの軸線方向の移動を許容しつつ軸線回りの回転を禁止する機構が、支持スプリングによって支持されたねじロッドを、ナットを支持する側の躯体ではなく、ねじロッドを支持する側の躯体に係合させる構造であるため、比較的簡便な構成,構造とすることが可能である。そのような利点を有することで、本発明の電磁式ショックアブソーバは実用性の高いものとなる。
【発明の態様】
【0007】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(6)項ないし(9)項の各々が請求項2ないし請求項5の各々に相当する。
【0008】
(1)ばね上部とばね下部との接近離間動作に対する力を発生させる電磁式ショックアブソーバであって、
ばね上部とばね下部とにそれぞれ連結され、相対回転不能かつばね上部とばね下部との接近離間動作に伴って軸線方向に相対移動可能とされたばね上部側躯体とばね下部側躯体と、
雄ねじが形成され、前記軸線方向に沿った姿勢で配置されるねじロッドと、
そのねじロッドの一部と前記ばね上部側躯体と前記ばね下部側躯体との一方の一部とを互いに係合させて、そのねじロッドのその一方に対する前記軸線方向の移動を許容しつつその一方に対する回転を禁止するロッド移動許容回転禁止機構と、
そのロッド移動許容回転禁止機構によって前記軸線方向の移動が許容された前記ねじロッドを、前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方に弾性的に支持させるための支持スプリングと、
雌ねじが形成されて前記ねじロッドと螺合する状態で、前記ばね上部側躯体と前記ばね下部側躯体との他方に回転可能にかつ前記軸線方向に移動不能に支持されたナットと、
前記ばね上部側躯体と前記ばね下部側躯体との他方に配設され、前記ばね上部とばね下部との接近離間動作に対する力を発生させるべく、前記ナットに回転力を付与する電磁式モータと
を備えた電磁式ショックアブソーバ。
【0009】
本項に記載の電磁式ショックアブソーバは、ねじロッドとナットとを含んで構成されるねじ機構を備えており、ねじロッドがばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方に支持スプリングによって弾性的に支持され、それらの他方に支持されたナットが電磁式モータによって回転力が付与される構造のものを前提としている。このような構造のショックアブソーバにおいては、弾性的に支持されたねじロッドを、それの軸線方向の移動を許容しつつ軸線回りの回転を禁止する状態とする必要がある。ねじロッドをその状態とするための機構が、本項に記載の電磁式ショックアブソーバでは、ねじロッドの一部とそれを支持する側の躯体の一部とを互いに係合させて、ねじロッドのその躯体に対する軸線方向の移動を許容しつつその躯体に対する回転を禁止する構造とされている。つまり、本項の態様は、ロッド移動許容回転禁止機構が、ねじロッドの一部を、ナットを支持する側の躯体ではなく、ねじロッド支持する側の躯体の一部と係合させる構造であることから、比較的簡便の構成,構造のショックアブソーバが実現することとなる。なお、本項に記載の「ねじロッド」は、雄ねじが形成された部分である軸部のみであってもよく、その軸部の他にその軸部と一体的に設けられた部分、例えば、支持スプリングの一端部を指示する部分等をも含んだものであってもよい。つまり、ねじロッドは、他の部品,部材等を含んで構成されるものであってもよい。
【0010】
ねじロッドの軸線方向の移動を許容しつつ軸線回りの回転を禁止する機構として、その他にも、例えば、ナットを支持する側の躯体に、ねじロッドをそれの軸線方向の移動を許容しつつ軸線回りの回転を禁止する状態で保持する保持具を、ナットと同軸的に配設した構造のショックアブソーバが検討されている。具体的には、ねじロッドの外周面にねじ溝以外に軸線方向に延びるスプライン溝を設け、保持具が、ねじロッドと摺動可能にスプライン嵌合する構造のものである。そのような構造のショックアブソーバは、ねじロッドの外周面にねじ溝とスプライン溝とが交錯し、比較的複雑な構造となっている。それに対して、本項の態様のショックアブソーバは、例えば、ねじロッドの一部として、ねじロッドを支持する側の躯体に近い部分にナットと螺合しない部分を設け、その部分をねじロッドを支持する側の躯体の一部に係合させる構造とすることが可能であり、比較的簡便な構造のものとすることが可能である。
【0011】
本項の態様における「支持スプリング」は、サスペンション装置が一般的に備える車重を支える目的で設けられたスプリング、つまり、ばね上部とばね下部とを弾性的に連結するメインスプリングとは異なるものである。支持スプリングは、例えば、主として、比較的周波数の高い振動に対処することを目的として設けることが可能であり、その支持スプリングによっても、ばね下部から入力されてばね上部へ伝達される衝撃を緩和することが可能である。なお、支持スプリングには、種々の構造のものを採用可能である。例えば、アブソーバが後に説明するダンパをも備える場合には、コイルスプリングを採用し、シリンダ装置とされた液圧式ダンパがコイルスプリングを貫通して(例えば、コイルスプリングの中に)配置されるように構成すれば、コンパクトな電磁式ショックアブソーバが実現する。
【0012】
本項の態様の電磁式ショックアブソーバは、ばね上部とばね下部との接近離間動作に対して、単に抵抗力のみを発生可能なものに限定されず、例えば、ばね上部とばね下部とを積極的に相対動作させる推進力や、外部からの入力に対してばね上部とばね下部とを相対動作させないようにする力をも発生可能なものとされてもよい。その場合、本項の態様の電磁式ショックアブソーバを利用すれば、ばね上振動に対する減衰力を発生させるいわゆるスカイフックダンパ理論に基づいた制御や、車体のロールやピッチの抑制を目的とした車体の姿勢制御等を実行することも可能である。
【0013】
(2)前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方としての前記ばね下部側躯体に、前記ねじロッドが前記支持スプリングによって弾性的に支持され、前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との他方としての前記ばね上部側躯体に、前記ナットが支持されるとともに前記電磁式モータが配設された(1)項に記載の電磁式ショックアブソーバ。
【0014】
本項に記載の態様によれば、ねじロッドとばね下部側躯体との間に支持スプリングが配設されるため、車輪から入力されてねじ機構および電磁式モータに伝達される衝撃の緩和,振動の減衰が可能である。つまり、本項の態様によれば、ねじ機構および電磁式モータへ伝達される振動が効果的に減衰されるため、信頼性の高いショックアブソーバが実現することになる。
【0015】
(3)前記電磁式モータが、前記ナットを一端部に固定保持するとともに前記ねじロッドを貫通させる中空のモータ軸を有する(1)項または(2)項に記載の電磁式ショックアブソーバ。
【0016】
本項に記載の態様は、電磁式モータの構造を具体的に限定した態様である。本項に記載の態様においては、中空形状のモータ軸を有する電磁式モータを採用しており、そのモータ軸の内部にねじロッドを貫通させていることから、ショックアブソーバの軸線方向におけるコンパクト化を図ることが可能となる。
【0017】
(4)当該電磁式ショックアブソーバが、
前記支持スプリングと並設され、前記ねじロッドの前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方に対する移動に対しての減衰力を発生させるダンパを有する(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の電磁式ショックアブソーバ。
【0018】
本項に記載の態様は、支持スプリングと並列的にダンパが設けられた態様であり、そのダンパにより、ねじロッドとそれを支持する側の躯体との相対振動を効果的に減衰させることができる。そのため、本項の態様によれば、例えば、ダンパの減衰係数の適切化等によって、ばね下共振周波数およびその近傍の周波数の振動のばね下部からばね上部への伝達を効果的に抑制可能なショックアブソーバを構築することも可能である。
【0019】
(5)前記ダンパが、
(A)前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方の少なくとも一部を構成し、内部に作動液を収容するハウジングと、(B)そのハウジング内を2つの液室に区画するとともにそのハウジング内を移動可能なピストンと、(C)そのピストンの移動に伴う前記2つの液室間の作動液の流通を、その流通に対して抵抗を付与する状態で許容する作動液流通許容機構とを含んで構成される液圧式のダンパとされ、
前記ねじロッドの一端部が前記ハウジング内に延び入り前記ピストンに連結された(4)項に記載の電磁式ショックアブソーバ。
【0020】
本項に記載の態様は、ダンパをシリンダ装置としての構造を有する液圧式ダンパに限定し、ねじロッドを液圧式ダンパのピストンロッドとして機能させる態様である。本項の態様によれば、液圧式ダンパのピストンロッドとショックアブソーバのロッドとが一体化されることで、単純な構成,構造のショックアブソーバが実現する。このような構造のショックアブソーバは、ねじロッドの一端部でそれの軸線回りの回転を禁止することができないため、前記ロッド移動許容回転禁止機構が有効である。本項の態様においては、ねじロッドが、単一の部材で構成されてもよく、雄ねじが形成された部分とピストンに連結される部分とが、別部材で構成されてもよい。なお、本項に記載の「作動液流通許容機構」は、例えば、2つの作動液室を区画するピストンに設けられたオリフィス,絞り弁等によって構成することが可能である。
【0021】
(6)前記ねじロッドの一部と前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方の一部との一方に、凸部が形成され、前記ねじロッドの一部と前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方の一部との他方に、凹部が形成され、それら凸部と凹部との一方が前記軸線方向に延びる形状とされ、
前記ロッド移動許容回転禁止機構が、それら凸部と凹部とを摺動可能に嵌合させて、前記ねじロッドの前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方に対する前記軸線方向の移動を許容しつつそれに対する回転を禁止するように構成された(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の電磁式ショックアブソーバ。
【0022】
本項に記載の態様は、ロッド移動許容回転禁止機構の構造を具体化した態様である。本項の態様には、例えば、凸部としてキーを、凹部としてキー溝を採用した態様や、ねじロッドの一部とそれを支持する側の躯体の一部とを摺動可能にスプライン嵌合させた態様等を採用可能である。なお、本項の態様のショックアブソーバは、上記「凸部」,「凹部」を1つずつ設けられたものに限定されるのではなく、複数ずつ設けられたものであってもよい。
【0023】
(7)前記ねじロッドが、
雄ねじが形成された軸部と、その軸部から延び出した延出部とを含んで構成され、
前記ロッド移動許容回転禁止機構が、前記ねじロッドの前記延出部と前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方の一部とを互いに係合させて、前記ねじロッドの前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方に対する前記軸線方向の移動を許容しつつそれに対する回転を禁止するように構成された(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の電磁式ショックアブソーバ。
【0024】
本項に記載の「延出部」は、一端部が軸部に固定されてその軸部からそれの径方向に延び出している部分をいう。その延出部は、どのような形状であってもよく、例えば、軸部の径より大きな径の環状に形成された形状、その環状に形成された部分とその端部から軸線方向に延びる筒状に形成された部分とを合わせた形状等とすることが可能である。ねじロッドを支持する側の躯体は、ねじロッドや支持スプリングを収容する部分を有する形状であることが一般的であり、ねじロッドの延出部は、ねじロッドを支持する側の躯体におけるねじロッドを収容する部分に、軸部よりも近い箇所となる。例えば、その延出部の外周面と、その躯体のねじロッドを収容する部分とを互いに係合させることは容易である。したがって、本項の態様によれば、ねじロッドの延出部とねじロッドを支持する側の躯体の一部とを互いに係合させることが比較的容易であり、簡便な構成,構造のショックアブソーバが実現する。
【0025】
先に述べた保持具を有するショックアブソーバは、その保持具がナットと同軸的に設けられているため、その保持具の長さの分だけねじロッドを長くする必要があった。それに対して、本項の態様によれば、径方向に延び出している延出部において、ねじロッドを支持する側の躯体に係合させることから、上記保持具を有するショックアブソーバのねじロッドに比較して、ねじロッドの長さを短くすることが可能である。その結果として、例えば、ショックアブソーバ自体の軸線方向の長さを短くすること、ねじロッドが短くされたことで生まれた軸線方向のスペースを利用してサスペンション装置のストローク範囲を増加させること等が可能である。
【0026】
(8)前記支持スプリングが、前記ねじロッドの周囲を取り巻いて配設されるコイルスプリングであり、一端部が前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方に保持され、他端部が前記ねじロッドの前記延出部に保持されることで、
前記ねじロッドの前記延出部が、ばね座として機能する(7)項に記載の電磁式ショックアブソーバ。
【0027】
本項に記載の態様は、支持スプリングの構造を限定するとともに、その支持スプリングの保持構造を限定した態様であり、ねじロッドのばね座として機能する部分と躯体の一部とを互いに係合させる態様である。本項の態様によれば、コイルスプリングのばね座をねじロッドに設けた構造のショックアブソーバに対して、先に説明した凸部と凹部とを形成するだけで、ロッド移動許容回転禁止機構を構成することができるため、単純な構成,構造のショックアブソーバが実現する。
【0028】
(9)前記ダンパが、
(A)前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方の少なくとも一部を構成し、内部に作動液を収容するハウジングと、(B)そのハウジング内を2つの液室に区画するとともにそのハウジング内を移動可能なピストンと、(C)そのピストンの移動に伴う前記2つの液室間の作動液の流通を、その流通に対して抵抗を付与する状態で許容する作動液流通許容機構とを含んで構成される液圧式のダンパとされ、
前記ねじロッドの前記軸部の一端部が前記ハウジング内に延び入り前記ピストンに連結され、
前記ねじロッドの前記延出部に、前記凸部と前記凹部との一方が形成され、前記ハウジングに、それの外周面に前記凸部と前記凹部との他方が形成され、
前記ロッド移動許容回転禁止機構が、それら凸部と凹部とを摺動可能に嵌合させて、前記ねじロッドの前記ハウジングに対する前記軸線方向の移動を許容しつつそのハウジングに対する回転を禁止するように構成された(7)項または(8)項に記載の電磁式ショックアブソーバ。
【0029】
本項に記載の態様は、ショックアブソーバがダンパを備えた態様において、凸部と凹部とを形成する箇所を限定した態様である。本項の態様は、例えば、延出部をダンパのハウジングより僅かに大きな筒状の部分を有する形状に形成し、その延出部の筒状に形成された部分の内周面とハウジングの外周面とに、それぞれ、凸部と凹部とのいずれかを形成して、それらを摺動可能に嵌合させる態様を採用可能である。
【実施例】
【0030】
以下、請求可能発明のいくつかの実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0031】
図1に、請求可能発明の第1実施例である電磁式ショックアブソーバを含んで構成される車両用サスペンション装置10を示す。このサスペンション装置10は、独立懸架式のサスペンション装置であり、前後左右の各車輪毎に、車輪を保持してばね下部の一部分を構成するサスペンションロアアーム12と、車体(タイヤハウジングの上部)に設けられてばね上部の一部分を構成するマウント部14との間に配設されている。本サスペンション装置10は、ショックアブソーバとサスペンションスプリングとが一体化されたものであり、大きくは、電磁式ショックアブソーバの主体となるアクチュエータ20と、ショックアブソーバの構成要素であってアクチュエータ20とロアアーム12とを連結するための連結機構22と、サスペンションスプリングとしてのエアスプリング24とに区分することができ、それらを構成要素として含んで構成されており、それらが一体化されたものとなっている。
【0032】
アクチュエータ20は、雄ねじが形成された軸部30を含んで構成されたねじロッド320と、ベアリングボールを保持してねじロッド32の軸部30と螺合する雌ねじが形成されたナット34とを含んで構成されるボールねじ機構と、動力源としての電磁式モータ36(以下、単に「モータ36」という場合がある)と、それらボールねじ機構およびモータ36を収容するケーシング38とを備えている。そのケーシング38は、外周部において、マウント部14に連結されている。
【0033】
モータ36は、中空とされたモータ軸40を有しており、そのモータ軸40は、転がり軸受42,44,46によってケーシング38に回転可能に保持されている。モータ軸40の外周部には、周方向に複数の永久磁石48が固定されて配設されており、それらは、モータ36のロータを構成している。永久磁石48に対向するように、複数の極体50(コアにコイルが巻回されたもの)が、ケーシング38の内面に固定されて配設され、それらの極体50の各々がステータ極とされることで、それらはステータを構成している。このような構造とされることで、モータ36は、いわゆるDCブラシレスモータとされているのである。また、モータ軸40の下端部の内側には、ナット34が固定されており、モータ36は、ナット34に回転力を付与することが可能となっている。そして、ねじロッド32が、ナット34と螺合させられて、モータ軸40内から下方に延び出した状態で配設される。さらに、そのねじロッド32は、ケーシング38からも下方に延び出して、連結機構22に連結される。なお、ねじロッド32は、連結機構22によって、ロアアーム12に対して軸線方向に移動可能かつ回転不能とされている。そのねじロッド32をロアアーム12に対して軸線方向に移動可能かつ回転不能とする構造は、後に詳しく説明するため、ここでの説明はひとまず留保する。
【0034】
連結機構22は、液圧式のダンパ60を有している。そのダンパ60は、作動液を収容するハウジング70と、そのハウジング70にそれの内部において液密かつ摺動可能に嵌合されたピストン72とを含んで構成されている。ハウジング70は、それの内部が、ピストン72の下側の下室74と上側の上室76とに区画されている。ハウジング70は、それの下端部に設けられたブシュ78を介してロアアーム12に連結されている。一方、アクチュエータ20の上記ねじロッド32の軸部30がハウジング70内に延び入っており、ピストン72は、そのねじロッド32の軸部30の下端部に連結されている。つまり、ねじロッド32は、ピストンロッドを兼ねるものとされている。なお、ハウジング70およびねじロッド32の軸部30とは、シール80を介して摺接する状態とされており、作動液室の液密は保たれている。
【0035】
ダンパ60は、ツインチューブ式のショックアブソーバに類似する構造のものとされており、ハウジング70は、外筒90と内筒92とを含んで構成され、それらの間にリザーバ室94が形成されている。なお、上記ピストン72は、その内筒92内に液密かつ摺動可能に嵌合されている。ダンパ22は、ピストン72に設けられた上下方向に貫通する連通路によって、ピストン72の移動に伴う2つの作動液室74,76の間の作動液の流通を許容するとともに、連通路に設けられた絞りによって、2つの作動液室74,76の間の作動液の流通に対する抵抗を付与するものとされている。また、下室74とリザーバ室94との間に設けられたベースバルブ体96によって、それら下室74とリザーバ室94との間の作動液の流通に対する抵抗を付与するものとされ、作動液流通許容機構を備えるものとされている。
【0036】
ダンパ60のハウジング70には、それの外周部に環状の下部リテーナ100が設けられている。その下部リテーナ100とアクチュエータ20のケーシング38との間には、ケーシング38に上端部が固定されたアウタチューブ102と、そのアウタチューブ102に嵌入されて下端部が下部リテーナ100に固定されたインナチューブ104とを含んで構成されるシリンダ106が設けられている。一方、ねじロッド32の軸部30には、それの中間部に、筒状に形成された浮動部材108がそれの上端部において固定されており、ねじロッド32は、その浮動部材108を含んで構成されるものとなっている。そして、その浮動部材108が、それに形成されたフランジ部110の下面側と下部リテーナ100との間に配設された圧縮コイルスプリング112と、浮動部材108のフランジ部110の上面側とインナチューブ104の上端部に形成されたフランジ部110との間に配設された圧縮コイルスプリング114とによって挟持されている。つまり、ねじロッド32は、2つのスプリング112,114によって、弾性的に支持されているのである。なお、2つのスプリング112,114は、ダンパ60と並設されており、連結機構22の構成要素となっている。
【0037】
エアスプリング24は、マウント部14に連結されるチャンバシェル120と、ダンパ60のハウジング70,インナチューブ104等を介してロアアーム12に連結されるエアピストン筒122と、それらを接続するダイヤフラム124とを含んで構成されている。チャンバシェル120は、それの蓋部126が、防振ゴムを有するスプリングサポート128を介してアクチュエータ20のケーシング38に連結されている。また、蓋部126は、防振ゴムを有するアッパーサポート130を介してマウント部に14に連結されている。エアピストン筒122は、シリンダ106を内部に収容した状態で、下端部がシリンダ106のインナチューブ104の外周部に固定されている。ダイヤフラム124が、一端部がチャンバシェル120の下端部に固定され、他端部がエアピストン筒122の上端部に固定されており、それらチャンバシェル120とエアピストン筒122とダイヤフラム124とによって圧力室132が区画形成されている。その圧力室132には、流体としての圧縮エアが封入されている。このような構造から、エアスプリング24は、その圧縮エアの圧力によって、ロアアーム12とマウント部14、つまり、ばね上部とばね下部とを弾性的に連結しているのである。
【0038】
以上のような構造から、ショックアブソーバは、ケーシング38,アウタチューブ102を含んでばね上部側躯体が構成されるとともに、ダンパ60のハウジング70,インナチューブ104を含んでばね下部側躯体が構成された構造のものとなっている。それらばね上部側躯体とばね下部側躯体とは、相対回転不能かつばね上部とばね下部との接近離間動作に伴って軸線方向に相対移動可能とされている。そして、ショックアブソーバは、ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方としてのばね下部側躯体に、ねじロッド32が2つのスプリング112,114によって弾性的に支持される構造とされるとともに、ばね上部側躯体とばね下部側躯体との他方としてのばね上部側躯体に、アクチュエータ20のナット34が支持され、かつ、そのナット34に回転力を付与するモータ36が配設される構造となっている。また、それらスプリング112,114は、両者が協働してねじロッドをばね下部側躯体に弾性的に支持させるための支持スプリングとして機能するものとなっている。
【0039】
また、上述のような構造から、アクチュエータ20は、ナット34,モータ36,ばね上部側躯体を構成するケーシング38,アウタチューブ102を含んでばね上部側ユニットが構成されるとともに、ねじロッド32がばね下部側ユニットとされる構造のものとなっている。そして、ばね上部側ユニットがマウント部14に連結されるとともに、ばね下部側ユニットが連結機構22を介してサスペンションロアアーム12に連結される構造のものとなっている。
【0040】
上述のような構造により、アクチュエータ20は、ばね上部とばね下部とが接近・離間する場合に、ねじロッド32とナット34とが軸線方向に相対移動可能、つまり、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとが相対移動可能とされ、その相対移動に伴って、ナット34がねじロッド32に対して回転する。それによって、モータ軸40も回転する。モータ36は、ナット34に回転トルクを付与可能とされ、この回転トルクによって、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの相対移動に対して、その相対移動を阻止する方向の抵抗力を発生させることが可能である。この抵抗力をばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの相対動作に対する減衰力、ひいては、ばね上部とばね下部との接近・離間に対する減衰力として作用させることで、アクチュエータ20は、いわゆるショックアブソーバとして機能するものとなっている。また、アクチュエータ20は、ばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの相対動作に対する推進力をも発生させることが可能とされており、いわゆるスカイフックダンパ理論,擬似的なグランドフック理論等に基づく制御を実行することが可能とされている。さらに、モータ36の回転トルクによって、ばね上ばね下間距離を任意の距離に維持することが可能であり、車両旋回時の車体のロール,車両加減速時の車体のピッチ等を効果的に抑制することや、車両の高さいわゆる車高を調整すること等が可能とされている。
【0041】
アクチュエータ30の振動減衰機能に着目すれば、アクチュエータ20は、5Hz以下の比較的周波数の低い振動に対しては動作が円滑に追従し、そのような低周波振動に対しては、効果的な振動減衰が可能である。しかし、10Hzを超えるような周波数の高い振動に対しては、自身の追従性から、効果的な振動減衰が難しい。本サスペンション装置10では、上述した連結機構22によって、アクチュエータ20とロアアーム12が連結されており、その連結機構22によって、10Hzを超えるような高周波振動であっても、その振動のばね下部からばね上部への高周波振動の伝達が、効果的に抑制されることになる。
【0042】
次に、先の説明において留保しているところのねじロッド32をロアアーム12に対して軸線方向に移動可能かつ回転不能とする構造、つまり、ねじロッド32をばね下部側躯体に対して軸線方向に移動可能かつ回転不能とする構造について、図2および図3をも参照しつつ説明する。図2は、連結機構22を拡大して示す正面図であり、図3は、連結機構22の内部を示す平面断面図(図1におけるA−A断面)である。図3に示すように、ダンパ60のハウジング70の外周面に、凸部である4つのキー140が固定され、筒状に形成された浮動部材108の内周面には、凹部である4条のキー溝142が形成されている。それらハウジング70のキー140と浮動部材108のキー溝142とが嵌合する状態で、ハウジング70が浮動部材108の内部に嵌入されている。そのような構造により、ねじロッド32は、ハウジング70に対する軸線方向の移動が許容されるとともに、それに対する回転が禁止されることになる。つまり、本実施例のショックアブソーバは、ねじロッド32の一部とばね下部側躯体の一部とを互いに係合させて、ねじロッド32のばね下部側躯体に対する軸線方向の移動を許容しつつその躯体に対する回転を禁止するロッド移動許容回転禁止機構を備えたものとなっている。なお、ばね座である浮動部材108は、ねじロッド32の軸部30から径方向に延び出した延出部であり、ロッド移動許容回転禁止機構は、ねじロッド32の延出部である浮動部材108と、ばね下部側躯体の一部としてのダンパ60のハウジング70とを互いに係合させる構造となっている。
【0043】
本サスペンション装置10は、ばね上部とばね下部との相対移動を禁止する機構、いわゆるバウンドストッパ、および、リバウンドストッパをも有している。具体的には、ばね上部側躯体とばね下部側躯体との相対移動に対して、バウンドストッパは、インナチューブ104の上端部に固定された環状プレート150の上面が、緩衝ゴム152を介してアクチュエータ20のケーシング38の下面に当接するように構成され、リバウンドストッパは、環状プレート150の下面が、緩衝ゴム154を介してアウタチューブ102の下端部に形成されたフランジ部に当接するように構成されている。また、アクチュエータ20のばね上部側ユニットとばね下部側ユニットとの相対移動に対して、バウンドストッパは、ケーシング38の下面が、緩衝ゴム156を介して浮動部材108の上面に当接するような構成とされている。さらに、ねじロッド32とばね下部側躯体との相対移動に対して、バウンドストッパは、ダンパ60のハウジング70の上面が、緩衝ゴム158を介して浮動部材108の下面に当接するように構成され、リバウンドストッパは、ハウジング70の内部の上部側が、緩衝ゴム160を介してピストン72の上面に当接するような構成とされている。
【0044】
先に述べたように、本サスペンション装置10は、ねじロッド32の軸線方向の移動を許容しつつ軸線回りの回転を禁止する機構として、ねじロッド32の一部とばね下部側躯体の一部とを互いに係合させる構造のものが採用されていた。それに対して、図4に示す電磁式サスペンション装置180のような構造の装置も存在する。その比較例としてのサスペンション装置180においては、ねじロッド182の軸部184に軸線方向に延びるスプライン溝が形成され、ケーシング38に、ベアリングボールを保持するロッドホルダ186がナット34と同軸的に配設されている。そして、それらねじロッド182とロッドホルダ186とが、スプライン嵌合することで、ねじロッド182の軸線方向の移動を許容しつつ軸線回りの回転を禁止するように構成されている。
【0045】
本サスペンション装置10と、上記の比較例のサスペンション装置180とを比較すれば、それら装置自体の長さは同じ長さであるが、本サスペンション装置10は、比較例のサスペンション装置180に比較して、それが有するロッドホルダ186の長さLRHの分だけ、アクチュエータ20のストローク、つまり、ねじロッド32とナット34との相対移動可能な量、および、ダンパ60のストローク、つまり、ねじロッド32とばね下部側躯体との相対移動可能な量が、長くされているのである。また、裏を返せば、そのロッドホルダ186の長さLRHの分だけ、サスペンション装置10自体の長さを短くすることも可能である。つまり、本サスペンション装置10は、装置のストロークが長くされ、振動減衰機能が向上させられているのである。また、本実施例のショックアブソーバは、ロッド移動許容回転禁止機構が、比較例のサスペンション装置180の構造に対して、凸部と凹部とを設けるだけで実現しており、単純な構成,構造のショックアブソーバとなっているのである。
【0046】
<第2実施例>
図5〜図7に、第2実施例の電磁式ショックアブソーバを含んで構成される車両用サスペンション装置200を示す。図5は、サスペンション装置200の正面図であり、図6は、それが有する連結機構202を拡大して示す図であり、図7は、連結機構202の内部を示す断面図(図5におけるB−B断面)である。なお、本実施例の電磁式ショックアブソーバは、ロッド移動許容回転禁止機構を除き、第1実施例のショックアブソーバと略同様の構成であるため、本実施例の説明においては、第1実施例のショックアブソーバと同じ機能の構成要素については、同じ符号を用いて対応するものであることを示し、それらの説明は省略するあるいは簡略に行うものとする。
【0047】
本実施例のショックアブソーバが有するねじロッド210は、第1実施例のものと同様に、軸部212,延出部としての浮動部材214を含んで構成されるものであるが、浮動部材214は、図7に示すように、それに設けられたフランジ部220の外周面に、凸部であるインボリュート形状の6つの歯222が形成されている。一方、ばね下部側躯体を一構成要素であるインナチューブ224には、内周面に、凹部である6条の溝226が形成されている。それら浮動部材214の歯222とインナチューブ224の溝226とが噛み合うように、浮動部材214がインナチューブ224の内部に嵌入されている。つまり、浮動部材214とインナチューブ224とは、摺動可能にスプライン嵌合されたものとなっている。したがって、本実施例のショックアブソーバも、第1実施例のものと同様に、ねじロッド210の一部とばね下部側躯体の一部とを互いに係合させて、ねじロッド210のばね下部側躯体に対する軸線方向の移動を許容しつつその躯体に対する回転を禁止するロッド移動許容回転禁止機構を備えたものとなっている。また、ロッド移動許容回転禁止機構は、ねじロッド210の延出部である浮動部材214と、ばね下部側躯体の一部としてのインナチューブ224とを互いに係合させる構造となっている。
【0048】
本実施例におけるサスペンション装置200のアクチュエータロッド210の長さLR2と、第1実施例において説明した比較例のサスペンション装置180のアクチュエータロッド182の長さLR0とを比較すれば、本実施例におけるサスペンション装置200のアクチュエータロッド210が、比較例のサスペンション装置200が有するロッドホルダ186が無いことで、ΔLだけ短くされている。そのことにより、サスペンション装置自体の長さが、比較例のサスペンション装置180ではL0であるのに対して、本実施例のサスペンション装置200ではL2とされ、ΔLだけ短くされている。つまり、本サスペンション装置200は、装置自体の長さが短くされてコンパクト化されているのである。また、裏を返せば、その長さの差ΔLだけ、第1実施例のものと同様に、サスペンション
装置のストロークを長くすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】請求可能発明の第1実施例である電磁式ショックアブソーバを含んで構成される車両用サスペンション装置を示す正面断面図である。
【図2】第1実施例の電磁式ショックアブソーバが備えるロッド移動許容回転禁止機構を拡大して示す正面断面図である。
【図3】第1実施例の電磁式ショックアブソーバが備えるロッド移動許容回転禁止機構を示す断面図(図1におけるA−A断面)である。
【図4】図1に示すサスペンション装置と、既に検討されている構造の電磁式ショックアブソーバを含んで構成されるサスペンション装置とを比較した図である。
【図5】請求可能発明の第2実施例である電磁式ショックアブソーバを含んで構成される車両用サスペンション装置を示す正面断面図である。
【図6】第2実施例の電磁式ショックアブソーバが備えるロッド移動許容回転禁止機構を拡大して示す正面断面図である。
【図7】第2実施例の電磁式ショックアブソーバが備えるロッド移動許容回転禁止機構を示す断面図(図5におけるB−B断面)である。
【図8】図5に示すサスペンション装置と、既に検討されている構造の電磁式ショックアブソーバを含んで構成されるサスペンション装置とを比較した図である。
【符号の説明】
【0050】
10:車両用サスペンション装置 12:ロアアーム(ばね下部) 14:マウント部(ばね上部) 20:アクチュエータ 22:連結機構 24:エアスプリング 30:軸部 32:ねじロッド 34:ナット 36:電磁式モータ 38:ケーシング 40:モータ軸 60:液圧式ダンパ 70:ハウジング 72:ピストン 74:下室 76:上室 94:リザーバ室 96:ベースバルブ体 100:下部リテーナ 102:アウタチューブ 104:インナチューブ 108:浮動部材(延出部) 110:フランジ部 112,114:圧縮コイルスプリング(支持スプリング)140:キー(凸部) 142:キー溝(凹部) 152〜160:緩衝ゴム 180:車両用サスペンション装置(比較例) 182:ねじロッド 184:軸部 186:ロッドホルダ 200:車両用サスペンション装置 202:連結機構 210:ねじロッド 212:軸部 214:浮動部材(延出部) 220:フランジ部 222:歯(凸部) 224:インナチューブ 226:溝(凹部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ばね上部とばね下部との接近離間動作に対する力を発生させる電磁式ショックアブソーバであって、
ばね上部とばね下部とにそれぞれ連結され、相対回転不能かつばね上部とばね下部との接近離間動作に伴って軸線方向に相対移動可能とされたばね上部側躯体とばね下部側躯体と、
雄ねじが形成され、前記軸線方向に沿った姿勢で配置されるねじロッドと、
そのねじロッドの一部と前記ばね上部側躯体と前記ばね下部側躯体との一方の一部とを互いに係合させて、そのねじロッドのその一方に対する前記軸線方向の移動を許容しつつその一方に対する回転を禁止するロッド移動許容回転禁止機構と、
そのロッド移動許容回転禁止機構によって前記軸線方向の移動が許容された前記ねじロッドを、前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方に弾性的に支持させるための支持スプリングと、
雌ねじが形成されて前記ねじロッドと螺合する状態で、前記ばね上部側躯体と前記ばね下部側躯体との他方に回転可能にかつ前記軸線方向に移動不能に支持されたナットと、
前記ばね上部側躯体と前記ばね下部側躯体との他方に配設され、前記ばね上部とばね下部との接近離間動作に対する力を発生させるべく、前記ナットに回転力を付与する電磁式モータと
を備えた電磁式ショックアブソーバ。
【請求項2】
前記ねじロッドの一部と前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方の一部との一方に、凸部が形成され、前記ねじロッドの一部と前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方の一部との他方に、凹部が形成され、それら凸部と凹部との一方が前記軸線方向に延びる形状とされ、
前記ロッド移動許容回転禁止機構が、それら凸部と凹部とを摺動可能に嵌合させて、前記ねじロッドの前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方に対する前記軸線方向の移動を許容しつつそれに対する回転を禁止するように構成された請求項1に記載の電磁式ショックアブソーバ。
【請求項3】
前記ねじロッドが、
雄ねじが形成された軸部と、その軸部から延び出した延出部とを含んで構成され、
前記ロッド移動許容回転禁止機構が、前記ねじロッドの前記延出部と前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方の一部とを互いに係合させて、前記ねじロッドの前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方に対する前記軸線方向の移動を許容しつつそれに対する回転を禁止するように構成された請求項1または請求項2に記載の電磁式ショックアブソーバ。
【請求項4】
前記支持スプリングが、前記ねじロッドの周囲を取り巻いて配設されるコイルスプリングであり、一端部が前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方に保持され、他端部が前記ねじロッドの前記延出部に保持されることで、
前記ねじロッドの前記延出部が、ばね座として機能する請求項3に記載の電磁式ショックアブソーバ。
【請求項5】
前記ダンパが、
(A)前記ばね上部側躯体とばね下部側躯体との一方の少なくとも一部を構成し、内部に作動液を収容するハウジングと、(B)そのハウジング内を2つの液室に区画するとともにそのハウジング内を移動可能なピストンと、(C)そのピストンの移動に伴う前記2つの液室間の作動液の流通を、その流通に対して抵抗を付与する状態で許容する作動液流通許容機構とを含んで構成される液圧式のダンパとされ、
前記ねじロッドの前記軸部の一端部が前記ハウジング内に延び入り前記ピストンに連結され、
前記ねじロッドの前記延出部に、前記凸部と前記凹部との一方が形成され、前記ハウジングに、それの外周面に前記凸部と前記凹部との他方が形成され、
前記ロッド移動許容回転禁止機構が、それら凸部と凹部とを摺動可能に嵌合させて、前記ねじロッドの前記ハウジングに対する前記軸線方向の移動を許容しつつそのハウジングに対する回転を禁止するように構成された請求項3または請求項4に記載の電磁式ショックアブソーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−119902(P2009−119902A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292957(P2007−292957)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】