説明

エンジンの燃焼装置制御システム

【課題】不検出区間を縮めることによって、ピストンの位置を精度よく検出して、検出結果に基づきエンジンの燃焼装置に最適の混合気噴射タイミングと点火タイミング情報を提供する。
【解決手段】フライホイール10が回転中に、検出センサがフライホイール10の内側面上に形成されたインデックス20aを検出することによってエンジン回転数及びピストンの位置を正確に測定することができる。このようなインデックス20aはフライホイール10と中心を同じくする円周上に実質的に均一に形成されると同時に、所定の間隔に区分させることによってエンジン回転数の測定と同時にピストンが上死点に到達する位置を正確に予測できるようになる。これにより、別の回転板なしにフライホイール10上にエンジンの燃焼装置制御システムを実現することができ、エンジンのECUがさらに正確に混合気の噴射タイミングと点火タイミングを制御できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジンの燃焼装置制御システムに係り、詳しくはエンジンを改造したり別の外部装置を開発したりせずにエンジンの回転数を検出すると同時に、エンジンの回転に伴うクランクシャフトの回転角度を検出することによってクランクシャフトに回転力を提供するピストン位置を精度よく検出するためのものである。
【0002】
さらに、本発明は、ピストンの位置に応じて燃料噴射タイミングを制御するエンジンの燃焼装置制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
最近のエンジンは、燃料と空気の混合比率、混合気の噴射量、混合気の噴射時期などがコンピュータ、すなわち電子制御ユニット(Electronic Control Unit;以下、ECUと称する)により制御される電子制御式エンジンである。
【0004】
このような電子制御式エンジンは、シリンダ内部に噴射される混合気を理論空燃比に近くすることによって、燃料の完全燃焼を誘導する。これにより、エンジンの出力が向上され、燃料の不完全燃焼による有害成分の排出が軽減される。
【0005】
一方、このような電子制御式エンジンが最適の出力を出し、その燃料を完全燃焼するためには、混合気が適切な時期に噴射され、圧縮された混合気が適切な時期に爆発することが大事である。言い換えれば、混合気の噴射タイミングと、点火タイミングを適切に合わせることが極めて重要である。
【0006】
一方、混合気の噴射タイミングと、点火タイミングを適切に合わせるためにはエンジン回転数及びピストンの位置を検出することが重要である。
【0007】
従来の検出装置はクランクシャフトに連動された別の回転板を設け、回転板の任意の地点に設けられたドッグをセンサが検出する方法で回転数及びピストンの位置を検出する。
【0008】
このような従来の検出装置はエンジン回転数及びピストンの位置を精密に検出できない問題点がある。このような問題点を改善するため、基本エンジンを変更したり基本構成品以外に部品を追加したりして組み立てなければならないという問題点がある。
【0009】
また、従来の検出装置は、クランクポジションセンサが回転板に形成されたいずれか特定部分の検出ドッグを検出することによってエンジン回転数とピストンの位置を検出するように構成される。これによって従来の検出装置はクランクシャフトに設けられた回転板が1回転してクランクポジションセンサがこれを検出する前まではエンジン回転数及びピストンの位置、特にピストンの位置を精度よく検出できなくなる。言い換えれば、特定部分の検出ドッグを除いた部分は不検出区間なので、検出装置は不検出区間ではピストンの位置を正確に検出できなくなる。
【0010】
一方、このような問題点はエンジン回転数及びピストンの位置を精度よく検出できないので、相対的に混合気の噴射タイミングと、点火タイミングを適切に制御できない結果を招き、その結果エンジンの出力が低下し、エンジンから排出される排ガスに有害物質が増加するなど色々の問題を発生させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前述したような従来の問題点を解決するために案出されたもので、その目的は不検出区間を縮めることによって、ピストンの位置を精度よく検出して、検出結果に基づきエンジンの燃焼装置に最適の混合気噴射タイミングと点火タイミング情報を提供するところにある。
【0012】
本発明の他の目的は、ピストンの位置を精密に検出する手段を通じてエンジンの回転数も同時に検出するところにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、エンジンの燃焼装置に最適の混合気噴射タイミングと点火タイミング情報を提供することによって最適のタイミングに混合気を噴射し混合気を点火することによって最適の効率を奏するエンジンの燃焼装置制御信号を供給するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る少なくとも一つ以上のピストンの往復動によって動作するエンジンの制御システムは、フライホイールと少なくとも一つ以上の検出センサ及びECUを含む。
【0015】
フライホイールは前記ピストンの往復動に連動して回転し、前記フライホイール上には構造的に形成されたパターン(以下、“インデックス(index)”と称する)が回転中心から同心円上に実質的に等間隔でありながら相異なる飛び飛びの角度区間にグループ分けされるように複数個形成される。検出センサは前記インデックスと近接した位置のエンジン胴体に回転されない状態に固設され、前記インデックスを検出することによって所定の信号を出力し、前記区間別に区分されるように信号を出力する。そして、ECUは受信した前記信号に含まれた前記インデックス検出情報及び区間情報のうち少なくとも一つを用いて前記ピストンの位置を認識するようになる。
【0016】
さらに、前記ECUは所定の時間範囲内で前記検出結果に基づきエンジンの回転数を計算し、計算されたエンジン回転数による回転速度と前記区間情報に基づくピストンの位置情報に基づき、ピストンの特定位置到達時間を予測することができる。
【0017】
ここで、前記インデックスのうちいずれか一つが前記検出センサにより検出される時、前記少なくとも一つのピストンのうちいずれか一つが概略上死点に到達した状態になるように設定される。
【0018】
望ましくは、前記フライホイールの前記区間は、前記インデックスが第一の間隔で等間隔に形成され、前記角度区間の境界では前記第1の間隔と異なる第二間隔で離隔され、前記各角度区間別に前記インデックスの個数が異なることによって識別される。
【0019】
前記インデックスは前記フライホイールの内側面及び外周面のうちいずれか一つに形成され、ドッグ(dog)、スルーホールまたはブラインド(blind)ホールのうちいずれか一つが第一の間隔で等間隔に設けられることによって形成され、前記検出センサは、前記インデックスに対応する所定のパルスをセンサ信号として生成するインダクティブセンサであることが望ましい。
【0020】
また、前記異なる間隔に離隔された角度区間の境界は前記ドッグ、スルーホールまたはブラインドホールのうちいずれか一つが前記第二の間隔で形成されることが望ましい。
【0021】
一方、前記検出センサは、インダクティブセンサ、赤外線センサ、光センサ、超音波センサ及び近接センサのうちいずれか一つでありうる。
【0022】
本発明の他の実施例は、燃焼装置として燃料噴射ノズル及びディストリビュータをさらに含む。前記燃料噴射ノズルは前記ECUの制御により前記ピストンが既定の位置に到達する時燃焼室に混合気を噴射し、前記ディストリビュータも前記ECUの制御によって、前記ピストンが既定の位置に到達する時、すなわち前記ピストンがエンジンの回転速度によって上死点付近の既定の位置で前記混合気を点火させるように制御する。したがって、前記ECUは検出した前記ピストンの位置に基づき前記燃料噴射ノズル及びディストリビュータを制御するようになる。これにより、本発明のエンジンシステムは、ピストンが既定の位置に到達した時混合気の噴射タイミング及び点火タイミングを制御することによって熱エネルギを運動エネルギに変換するエンジンの効率を極大化しうる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によればエンジンの燃焼装置制御システムは所定の検出センサを使ってピストンの位置及びエンジン回転数を精密に認識することができ、これによりECUは混合気の噴射タイミングと点火タイミングを適切に制御することができるようになる。
【0024】
また、ピストン上死点の位置のような特定地点の到達を予め予測することによって、始動時のようにエンジンが低速で動作する場合もピストンの特定地点到達を正確に予測し検出することができる。
【0025】
本発明のエンジンの燃焼装置の制御システムはエンジンの回転を検出するための別の回転板のような検出用ホイールを使用しないことによってエンジンに他の制約を与えず、設計に非接触センサを使用することによってエンジン制御システムの耐久性を確保している。
【0026】
本発明のエンジンの燃焼装置制御システムは検出のためのインデックスを設けることによって、ピストンが上死点に到達する時間を予測できるようにすると同時に、エンジン回転数を測定することによって時間予測がさらに正確かつ信頼性があるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係るエンジンの制御システムの望ましい実施例を添付した図面に基づき詳述する。
【0028】
本発明のエンジン燃焼装置制御システムは、ピストンの往復動を回転運動に変換させるクランクシャフトの一端に固定され、前記クランクシャフトの回転に応じて回転されるフライホイール(Fly Wheel)上に構造的に形成されたパターン(以下、“インデックス(index)”と称する)と、前記インデックスと対向する近接位置のエンジン胴体に回転されない状態に固設され、インデックスにより所定の信号を生成する検出センサを含む。前記インデックスがフライホイールと中心を同様にする所定の円周上に実質的に均一に分布されることによって、前記検出センサはフライホイールが1回転しなくてもエンジン回転数とピストンの位置を検出する。すなわち、前記検出センサはフライホイールとはクランクシャフトを媒介に連結されたピストンのシリンダ内における移動位置を検出する。
【0029】
まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施例によるエンジンの制御システムの構造を説明する。但し、図1及び図2の構成のうち本発明の説明に必須事項でない構成部分に対する説明は省く。また、以下では例示的に一つのピストンについてだけその位置を検出する場合を説明する。これは、多数のピストンが前記一つのピストンとクランクシャフト上に一定角度に設けられていて、前記一つのピストンの位置を検出することによって他の多数のピストンの位置も容易に認識できるからである。
【0030】
本発明のエンジン制御システムは、所定のインデックスが形成されたフライホイール10、検出センサ70及びECU(Electronic Control Unit)80を含む。本発明のエンジン制御システムはエンジンシステムに含める。
【0031】
フライホイール10はエンジン100の一側に設けられる。フライホイール10はクランクシャフト1の一端に前記クランクシャフト1と回転中心が同様に固設される。クランクシャフト1はシャフト上に位相角度を相違にするリンク状が少なくとも一つ以上形成され、このリンク部分にはそれぞれピストン(図示せず)が回動自在に連結されている。前記ピストンはエンジンのシリンダ内で連続的な吸込、圧縮、爆発、排気過程を経ながら往復動をクランクシャフト1の回転運動に変換させ、クランクシャフト1はフライホイール10を回転させると同時に、エンジン100の回転作動を円滑にする。フライホイール10は、図1を基準にすると反時計方向に回転する。
【0032】
従って、本発明のエンジン制御システムはフライホイール10の回転速度を測定することによってエンジンの回転数を正確にすることができる。
【0033】
図1を参照すれば、フライホイール10の中心孔12の周囲のボス(boss)14にはダウエルピン(dowel pin)14aが装着されている。ダウエルピン14aはピストンが上死点に到達する時、最下端の位置に配置されるように設けられる。従って、エンジン制御システムはフライホイール10の回転を検出することによってピストンの上死点位置を正確に検出することができる。
【0034】
フライホイール10には検出センサ70の信号を発生されるための所定のインデックスが形成される。このようなインデックスは検出センサの種類に応じて多様な形態を有しうる。但し、インデックスはフライホイール10と中心を同じくする円周上に実質的に等間隔に形成されることによって、フライホイール10の1回転周期に至らない場合にもエンジン回転数を検出できるようにする。さらに、実質的に等間隔にインデックスを設けることによってフライホイール10の回転バランスを取るようにする。
【0035】
また、ピストン(図示せず)上死点の位置及びダウエルピン14aの位置に対応するインデックス上の位置を予め予測できるように、インデックスは所定の区間に区分され、各区間毎に相異なる形態を有する。結局、このような区分はフライホイール10の1回転中に検出センサ70が生成する信号の振幅、個数等を通じて区分されるものなので、インデックスはこれに対応するように形成される。以下、各区間を“回転角度表示部”と称する。フライホイール10に形成されたインデックスは再び後述する。
【0036】
検出センサ70はフライホイール10上のインデックスと対向する近接位置のエンジン100の胴体に該当するシリンダブロック3に固着されフライホイール10の回転にも関わらず回転しない。検出センサ70は赤外線センサ、インダクティブセンサ(inductive sensor)、光センサ(optical sensor)、超音波センサなどが該当し、フライホイール10上のインデックスを検出して1回転周期に反復する所定パターンの信号をECU80に出力する。ECU80は検出センサ70から提供される信号から所定の‘インデックス検出情報’及び区間情報を抽出できる。
【0037】
本発明の実施例ではインダクティブセンサを使用する。インダクティブセンサの場合インデックスとセンサとの距離の変化に伴ってパルスを出力するのみならず、フライホイール10の回転速度が早くなることによって出力されるパルスの振幅が異なることによって振幅を測定してエンジン回転数を測定できる。
【0038】
本発明の実施例では一つの検出センサだけを使用したが、複数個の検出センサを含むことによって信頼性を高められる。
【0039】
ECU80は検出センサ70から受信した信号から抽出したインデックス検出情報及び区間情報を通じてエンジン回転数及びピストンの上死点位置を把握する。ECU80は各信号に対応するピストンの位置及びエンジン回転数を精度よく認識できるようになり、これに基づき燃焼装置である混合気の噴射タイミングと点火タイミングを適切に制御できるようにする。
【0040】
以下、図3を参照して本発明の一実施例によるインデックスが形成されたフライホイールを説明し、それによる検出センサ70及びECU80の動作を説明する。図3の実施例は検出センサ70をインダクティブセンサとして使用する場合を説明する。
【0041】
インデックスは検出センサ70の動作を引き起こすためのものである。インダクティブセンサは所定距離離隔されている磁性物質間の距離の変位が発生する場合に信号を発生させる。従って、変位を発生させるために所定間隔を隔ててスルーホール、ブラインドホールまたはドッグを形成し、各ホールやドッグの間にインデックスを形成させる。
【0042】
図3の実施例においてフライホイール10の内側面には円周方向に沿って五つの区間、すなわち第1ないし第5回転角度表示部20、30、40、50、60が形成される。実施例によって、フライホイール10に形成されたインデックスは5個ではない別の所定個数の区間に区分されうる。
【0043】
第1ないし第5回転角度表示部20、30、40、50、60はフライホイール10の中心孔12を中心にする同心円上に順次に形成される。従って、第1回転角度表示部20が形成されており、第1回転角度表示部20と所定の間隔を隔てて第2回転角度表示部30が形成されている。第3回転角度表示部40は第2回転角度表示部30と所定の間隔を隔てて形成されており、第3回転角度表示部40と所定の間隔を隔てて第4回転角度表示部50が形成されている。また、第4回転角度表示部50と所定の間隔を隔てて第5回転角度表示部60が順次に形成されている。
【0044】
第1ないし第5回転角度表示部20、30、40、50、60は、フライホイール10の内側面に等間隔をなすブラインドホール16を形成することによって、ブラインドホール16間にインデックスが形成されるように構成される。
【0045】
また、各回転角度表示部毎に相異なる個数のインデックスが形成される。すなわち、図3の実施例は検出センサ70が生成する信号の個数を通じて区間を区分する。
【0046】
他の実施例により、5個でない区間に区分した場合、各区間毎に異なる個数の信号が発するようにインデックスの数を設定する。従って、インデックスは実質的に等間隔でありながらインデックスの数が相違になるため各区間の長さが相違になる。もし、区間の区分が生成されるパルスの個数によらない場合なら、区間の長さが相違にならない場合もある。例えば、生成されるパルスの振幅で区分する場合なら、ブラインドホールの深さなどに区分することができる。
【0047】
図3ではインデックスの個数で各区間を区分する。従って、第1ないし第5回転角度表示部20、30、40、50、60はそれぞれ7、6、4、5、3個であって相異なる数のインデックスを含む。
【0048】
第1回転角度表示部20は等間隔をなす7個のインデックス20a、20b、20c、20d、20e、20f、20gで構成され、第2回転角度表示部30は等間隔をなす6個のインデックス30a、30b、30c、30d、30e、30fで構成される。第3回転角度表示部40は等間隔をなす4個のインデックス40a、40b、40c、40dで構成され、第4回転角度表示部50は等間隔をなす5個のインデックス50a、50b、50c、50d、50eで構成される。同様に、第5回転角度表示部60は等間隔をなす3個のインデックス60a、60b、60cでそれぞれ構成される。
【0049】
しかし、他の実施例により7、6、4、5、3個ではなく別の個数に設定することができ、各回転角度表示部を区分できれば良い。また、インデックスの個数ではなく各回転角度表示部により検出センサ70が出力するパルスの振幅を相違に形成することができる。
【0050】
各回転角度表示部20、30、40、50、60の区分はドッグ、スルーホールまたはブライドホールを既存のインデックス形成のためのものより長く形成する。
【0051】
第1回転角度表示部20は図1のようにダウエルピン14aと対応して構成される。これは検出センサ70が第1回転角度表示部20を検出してピストンが上死点に配置されることを検出するためである。かつ、第1回転角度表示部20は7つのインデックス20a、20b、20c、20d、20e、20f、20gで構成されており、6番目インデックス20fがダウエルピン14aと整列するように構成される。
【0052】
検出センサ70の位置はフライホイール10上のインデックスのいずれか一つと対向するように設置すれば良い。但し、図3の実施例では、回転中最下に位置するインデックスに対応するように設置される。
【0053】
検出センサ70は最下側を通る第1ないし第5回転角度表示部20、30、40、50、60の各インデックスとの間隔変化によって発生する磁力線の変化に伴って特定数のパルスを発生する。すなわち、第1ないし第5回転角度表示部20、30、40、50、60の各インデックス個数に対応するパルスを発生するように構成される。
【0054】
検出センサ70は回転する第1回転角度表示部20のインデックス20a、20b、20c、20d、20e、20f、20gに対応して7個のパルスを発生する。そして、第2回転角度表示部30のインデックス30a、30b、30c、30d、30e、30fに対応して6個のパルスを発生し、第3回転角度表示部40のインデックス40a、40b、40c、40dに対応して4個のパルスを発生し、第4回転角度表示部50のインデックス50a、50b、50c、50d、50eに対応して5個のパルスを発生し、第5回転角度表示部60のインデックス60a、60b、60cに対応して3個のパルスを発生する。
【0055】
図4は本発明の他の実施例によるインデックスの形状を示した図である。
【0056】
図4を参照すれば、本発明のインデックスはフライホイール200の内側面ではなく、縁部の外周面200a上に、ドッグ201の形態に始動モータ(図示せず)から動力伝達のための歯車205と並んで形成される。各区間の区分は相対的に長いドッグ203を使用した。
【0057】
図4の検出センサ207は図3の場合のようにフライホイール200上のインデックスと対向する近接位置のエンジンの胴体に該当するシリンダブロックに固定されフライホイール200の回転にも関わらず回転しない。また、検出センサ207はフライホイール200の外周面200aの外でありながらフライホイール200の中心を通る仮想の直線上に、インデックスと対向するように設置することができる。
【0058】
図3及び図4の実施例以外にも赤外線センサや近接センサを使用することができ、各インデックスはセンサに対応する形態に構成することができる。受光部及び発光部を全て備えた赤外線センサの場合、インデックスは反射鏡を用いて図3及び図4のインデックスに対応する方法で設置することができる。
【0059】
図5は図3の検出センサが生成するパルスの形態を示した波形図である。図5を参照すれば、波形図の横軸は時間tであり、縦軸は電圧になる。
【0060】
図5の波形図は5個の回転角度表示部20、30、40、50、60に対応して発生する各パルス列a、b、c、d、eを示す。各パルス列は所定時間のブラインドスパン(f)に区分される。これらはピストンが1回上昇後下降するのにかかる時間周期(g)に反復される。検出センサ70、203が出力する図5の波形にはインデックス検出情報と区間情報が含まれる。各パルスはインデックス検出情報になり、ブラインドスパン(f)区間に区分されたパルス列は区間情報を含む。
【0061】
検出センサ70が各回転角度表示部20、30、40、50、60に対応して生成する特定数のパルスはECU80に入力される。ECU80は入力されるパルス列で区間情報を抽出し、区間情報を用いて各回転角度表示部20、30、40、50、60に対応するフライホイール10の回転角度を認識する。ECU80はフライホイール10の回転角度を認識することによってピストンの位置を精密に判断できる。
【0062】
ECU80はインデックス検出情報を抽出することによってエンジン回転数も精密に認識することができる。また、検出センサ70がインダクティブセンサの場合、ECU80はパルスの振幅からエンジン回転数を判断することができる。
【0063】
結局、エンジン100が駆動されることによって7−6−4−5−3個のパルスが順次に発生することによって、ECU80は各パルスに対応するピストンの位置を精密に認識して混合気の噴射タイミングと、点火タイミングを適切に制御できるようにする。
【0064】
以下、エンジン制御回路の概念を示したブロック図である図6を参照して、本発明の一実施例によるECUの動作を説明する。
【0065】
図6においてECU80は所定の記憶媒体81を含み、検出センサ70、ユーザインターフェース部90、燃料噴射ノズル101及びディストリビュータ(distributor)103と電気的に連結される。参考に、図6は本発明にだけ限定されず、エンジン回転数及びピストン位置検出機能を含む一般的なエンジンの燃料噴射制御回路にも適用される。また、本発明に係るエンジン回転数及びピストン位置検出機能を含んでも、場合によっては図6と実質的に機能面においては同一であるが、回路構成は別に表現することもできる。
【0066】
ECU80は基本的にエンジン100の全般的な動作を制御する。さらにECU80は本発明の検出センサ70から所定の信号を提供されることによって、エンジン回転数及びピストン(図示せず)の位置を把握する。その結果、ECU80は提供された信号に基づき燃料噴射ノズル101及びディストリビュータ103を制御する。
【0067】
ECU80は検出センサ70から図5のような出力パルスを提供されることによってフライホイール10が一回転に及ばない回転の時にも所定個数のインデックスを検出することによってエンジン回転数を計算することができる。引き続き、エンジン100の速度が増加することによってECU80は新たなエンジン回転数値を引き続き計算し、表示部91を通じてユーザに出力する。
【0068】
また、ECU80は少なくとも一つ回転角度表示部を通るとピストンの位置を判断することができ、ピストンが上死点に到達する時点を予測することができる。図5の場合、第5回転角度表示部91の3個のパルス列(e)出力があった後、ECU80は所定時間、すなわち一つのブラインド(g)時間に第1回転角度表示部のパルス列(a)に該当する時間を足したほど後でピストンが上死点に到達することであることを予測することができる。ここで、所定のパルス列に該当する時間はエンジン回転数と関連するので、ECU80は計算されたエンジン回転数に基づきピストンの上死点到達時間を予測する。前述したことはエンジン100が1回転がなされない始動時にも混合気の噴射タイミングと点火タイミングを適切に制御できるということを意味する。
【0069】
記憶媒体81には各種のプログラムその他ECU80の動作のための情報が保存されるのみならず、検出センサ70から出力されるパルス数によるピストンの位置情報、パルスの振幅に対応するエンジン回転数情報及び時間当たり出力パルス数によるエンジン回転数情報が保存されうる。
【0070】
特に、検出センサ70が第5回転角度表示部60と第1回転角度表示部20を連続的に検出して3番目のパルスと7番目のパルスを引き続き出力することにより、ECU80はピストンが現在上死点に配置されたことを精密に検出することができる。
【0071】
ユーザインターフェース部90は表示部91及び入力部93を含む。
【0072】
表示部91はECU80が計算したエンジン回転数等を含む各種情報をECU80から受信してユーザに表示する。
【0073】
入力部93はエンジンの動作及びECU80に対する各種ユーザの命令を入力されECU80に伝達する。
【0074】
ECU80の制御により、燃料噴射ノズル101はエンジン100に混合気を噴射し、ディストリビュータ103はピストンの上死点で点火プラグ(図示せず)が点火するようにする。
【0075】
以上では本発明の最適の実施例について示しかつ説明したが、本発明は前述した特定の実施例に限らず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨から逸脱しない範囲内で本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって多様に変形・実施可能である。このような変形実施は、本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはいけない。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、不検出区間を縮めることによって、ピストンの位置を精度よく検出して、検出結果に基づきエンジンの燃焼装置に最適の混合気噴射タイミングと点火タイミング情報を提供する技術として、自動車のエンジン、内燃機関のエンジン等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係るエンジンの燃焼装置制御システムの構成を示す図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】本発明の一実施例によるインデックスが形成されたフライホイールを示した斜視図である。
【図4】本発明の他の実施例によるインデックスの形状を示した図である。
【図5】図3の検出センサが生成するパルスの形態を示した波形図である。
【図6】本発明の一実施例によるECUを含むエンジンの燃焼装置制御回路のブロック図である。
【符号の説明】
【0078】
1 クランクシャフト
3 シリンダブロック
10 フライホイール
12 中心孔
14 ボス
14a ダウエルピン
16 ブラインドホール
20 第1回転角度表示部
20a,20b,20c,20d,20e,20f,20g インデックス
30 第2回転角度表示部
30a,30b,30c,30d,30e,30f インデックス
40 第3回転角度表示部
40a,40b,40c,40d インデックス
50 第4回転角度表示部
50a,50b,50c,50d,50e インデックス
60 第5回転角度表示部
60a,60b,60c インデックス
70 検出センサ
80 ECU
81 記憶媒体
90 ユーザインターフェース部
91 表示部
93 入力部
100 エンジン
101 燃料噴射ノズル
103 ディストリビュータ
200 フライホイール
200a 縁部の外周面
201,203 ドッグ
205 歯車
207 検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つ以上のピストンの往復動により動作するエンジンの制御システムにおいて、
前記ピストンの往復動に連動して回転し、複数個のインデックスが回転中心からの同心円上に実質的に等間隔でありながら相異なる飛び飛びの角度区間にグループ分けされるように形成されたフライホイールと、
該フライホイール上のインデックスと対向する近接位置のエンジンの胴体に固設され、前記インデックスを検出することによって前記区間別に区分されるように所定の検出信号を出力する少なくとも一つの検出センサと、
該検出センサの検出信号に含まれる前記インデックス検出情報及び区間情報のうち少なくとも一つを用いて前記ピストンの位置を検出し、前記検出されたピストンが既定の位置に到達する時エンジンの燃焼装置に作動信号を供給するECUとを含むことを特徴とするエンジンの燃焼装置制御システム。
【請求項2】
前記ECUは、検出センサの検出信号に基づき前記エンジンの時間当りの回転数を計算し、計算された前記エンジン回転数による回転速度と前記区間情報に基づく前記ピストンの位置情報に基づき、前記ピストンの特定の位置到達時間を予測することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃焼装置制御システム。
【請求項3】
前記インデックスのうち既定のいずれか一つが前記検出センサにより検出される時、前記いずれか一つのピストンが概略上死点に到達した位置になるように形成されることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃焼装置制御システム。
【請求項4】
前記フライホイールの前記区間は、
前記インデックスが第一の間隔で等間隔に形成され、前記角度区間の境界では前記第1の間隔と異なる第二間隔で離隔され、前記各角度区間別に前記インデックスの個数が異なることによって識別されることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃焼装置制御システム。
【請求項5】
前記インデックスは前記フライホイールの内側面または外周面のうちいずれか一つに形成され、ドッグ(dog)、スルーホール及びブラインドホールのうちいずれか一つが前記第一の間隔で等間隔に設けられることによって形成され、
前記検出センサは、前記インデックスに対応する所定のパルスをセンサ信号として生成するインダクティブセンサであることを特徴とする請求項4に記載のエンジンの燃焼装置制御システム。
【請求項6】
前記異なる間隔に離隔された角度区間の境界は前記ドッグ、スルーホール及びブラインドホールのうちいずれか一つが前記第二の間隔で形成されることを特徴とする請求項5に記載のエンジンの燃焼装置制御システム。
【請求項7】
前記検出センサは、インダクティブセンサ、赤外線センサ、光センサ、超音波センサ及び近接センサのうちいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃焼装置制御システム。
【請求項8】
前記燃焼装置は燃料を噴射する燃料噴射ノズルと混合気を点火するディストリビュータで構成され、前記ECUは前記検出センサから提供されたピストンの位置情報に基づき前記ピストンが既定の位置に到達した時前記燃料噴射ノズル及びディストリビュータのうち少なくともいずれか一つを作動指令することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃焼装置制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−118507(P2006−118507A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307600(P2005−307600)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(505394312)斗山英維高株式會社 (3)
【Fターム(参考)】