説明

カラー撮像装置

【課題】色分解範囲、分解数を従来のカラー撮像方式に比べて拡大・可変して広い色域の映像情報を取得できるカラー撮像装置の提供。
【解決手段】カラー撮像装置1は、複数のスピン注入型磁化反転素子8が、基板7上にアレイ状に配設された回折反射部2と、スピン注入型磁化反転素子8を、所定の回折格子を形成するように時分割で選択し、各時分割された期間毎に、回折格子周期dによって、回折反射部2による回折反射光の波長を選択する波長選択手段3と、回折反射部に直線偏光光ビームを入射させる光ビーム入射手段と、スピン注入により磁化方向が反転されたスピン注入型磁化反転素子によって偏光軸が回転された回折反射光を透過させる偏光手段5と、偏光手段を透過した回折反射光を受光する撮像手段6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー撮像装置に関し、特に、スピン注入による磁化方向の反転による入射光の偏光軸回転を利用して反射光の色分解を行うカラー撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー撮像装置においては、入射する光をRGBの3色に色分解し、RGBに色分解した各光像を撮像素子に入力して各光像毎に光電変換することが行われる。従来、この色分解は、1)単板(オンチップ・カラーフィルタ)、2)単板順次方式、3)多板方式などの方式が採用されている。
【0003】
1)単板(オンチップ・カラーフィルタ)による色分解は、図9(a)に示すように、固体撮像素子の受光面91に、画素毎にR,GおよびBの各原色のカラーフィルタを正方格子状に配置する原色フィルタ(ベイヤ型配列、Gは対角の2箇所)と、補色(グリーン、マゼンタ、イエロー、シアンの4色)を正方格子状に配置する補色フィルタ(色差順次配列)を用いる方式がある。単板方式の原色フィルタは、入射光の波長選択性が高いので色再現性が良い。これに対して、補色フィルタは、入射光の波長を広い範囲で有効に利用できるため、光の利用効率を高くとることができる。これらの単板方式の色分解においては、各固体撮像素子に入射する光を、画素毎に配置されたカラーフィルタによって、所定の色の光像として検出する。そして、各画素で各色毎に検出された画像情報を統合して、カラー画像を得ることができる。この単板(オンチップ・カラーフィルタ)による色分解を利用するカラー撮像方式は、デジタルカメラ等に広く用いられている。
【0004】
また、2)単板順次方式による色分解は、図9(b)および(c)に示すように、RGBフィルタ領域を区分けした円板状のカラーフィルタ93を回転させることにより、時分割でカラー撮像を行うものである。図9(b)に示す単板順次方式は、入射光を回転するカラーフィルタ93を透過させて直接順次色分解し、色分解された入射光をレンズ94を介して固体撮像素子92に入射させる方式である。また、図9(c)に示す単板順次方式は、照明光源側にRGBの回転するカラーフィルタ93を設け、この回転するカラーフィルタ93によって、光源95から撮像する被写体に投射する照明光をRGBの3原色に順次分解する方式である(特許文献1等参照)。これによって、レンズ94を介して固体撮像素子92によって色像を得るに際して、固体撮像素子92の画素を解像度として有効に活かすことができる。また、この方式は、被写体の動きがRGBの切り換え時間、すなわち、回転するカラーフィルタ93の回転速度に対して十分遅い場合に有効な方法である。これらの単板順次方式において、回転するカラーフィルタ93の回転による色光の切り替えは、固体撮像素子92による色像の取得と同期して行われる。
【0005】
さらに、3)多板方式による色分解は、図9(d)に示すように、色分解プリズム96により各色に分解した光像を、青反射ダイクロイックミラー96Bおよび赤反射ダイクロイックミラー96Rにより、R,G、Bの各色毎の色像を、3個の固体撮像素子92R,92G,92Bや撮像管に入射させて感光させて、RGBそれぞれの色信号を取り出す方式である(例えば、特許文献2等参照)。なお、97Rおよび97Bは、トリミングフィルタである。この多板方式では、ダイクロイックミラーは特定の色を反射し、その補色となる色を透過させる役割を有する。この多板方式による色分解では、RGBの色信号がそれぞれの固体撮像素子92R,92G,92Bにより独立に感光して出力されるため、高画質の画像入力系に適している。そのため、この多板方式の色分解は、高画質および高感度が要求される放送用カラーテレビカメラに採用されている。
【特許文献1】特開平7−7734号公報
【特許文献2】特開2000−4446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、単板方式の色分解では、複数画素領域にわたって色分解するため、基本的に解像度が低下する難点がある。また、図9(a)に示すように、2×2画素で一組の色分解系を有するフィルタに対して、1画素単位で映像が変化するような白黒明暗情報が取り込まれた場合、白黒情報であるにもかかわらず偽色が現れる。したがって、この偽色信号を抑圧するために、光学ローパスフィルタなどで信号の高域成分をカットする必要がある、という難点がある。
【0007】
一方、図9(b)および(c)の単板順次方式の色分解では、固体撮像素子92の画素を解像度として有効に活かすことができ、オンチップ・カラーフィルタにおけるような偽色の発生がない利点がある。しかし、回転するカラーフィルタ93を機械的に回転させるなどの回転機構部を必要とする難点があり、RGBの時分割の比率も連続的に変えることができない。また、図9(c)の単板順次方式では、照明光側でRGBの色分解を行うため、その使用がスタジオなどの特定の場所に限られる難点がある。
【0008】
また、図9(d)の多板方式の色分解では、撮像素子が色分解数に応じて複数必要であること、また、色分解プリズム96を使用するため高価となり、カメラの小型化が困難である、という難点がある。
【0009】
以上のとおり、図9(a)〜(d)に示した従来の各方式には、それぞれ、高解像度化、偽色信号発生、機構系(時間分解能、安定性)、コンパクト化に難点があり、全てを克服する方式は未だ知られていない。
【0010】
また、従来のカラー撮像方式では、色分解の範囲は、カラーフィルタ材料やダイクロイック膜で設定されたせいぜい3〜4色に限られ、その基本色(例えば、RGB)で囲まれた色域は、人間が知覚できる色域の半分程度に過ぎない。研究開発としては、動画用として6色、静止画用として12色の色分解の例があるが、これらの場合もカラーフィルタによって基本色が決まり、色分解の範囲を任意に選ぶことはできない。このように限られた
色分解の範囲によって囲まれる色域では、映像の臨場感(コンテンツ制作)や医療・診断、安全・安心、芸術などのための広域な色再現は現状では困難である。
【0011】
一方、照明光源の色温度によってRGBの照射比率が異なるので、それに応じて被写体から得られる反射光のR,G,B比率も異なる。このため、カラー撮影では照明光の色温度によりカメラの色温度を調整しなくてはならない(ホワイトバランス処理)。例えば、屋外の太陽光下での撮影では、色温度が5000〜6000K程度となり、屋内の白熱電球下での撮影では3000〜4000K程度の色温度となる。したがって、屋内から屋外へ、あるいは屋外から屋内へ、など色温度が大きく変化するシーンを同じカメラでそのまま撮影することはできない。
【0012】
従来、このように光源の色温度が大きく変わる場合には、色温度調整フィルタをカメラ光軸上に機械的に挿入することが行われている。したがって、映像は瞬断され、連続的な撮影ができないばかりでなく、カメラマンの負担が大きくなる難点があった。
【0013】
これに対しては、液晶色温度補正フィルタが開発されている(藤掛英夫、佐藤弘人、飯野芳己、河北真宏、佐藤史郎:映像情報メディア学会誌 Vol.56,No.9,pp.1475−1480(2002).)。このフィルタは、2色性色素を液晶に混合し、その複合材料に電圧を印加することにより、短波長の光をカットしたり、あるいは長波長の光をカットしたりするものである。このフィルタには、従来のフィルタ挿入などの機械的な動作は不要で液晶に印加する電圧の調整だけで色温度を連続的に調整できるメリットがある。
【0014】
しかし、この液晶色温度補正フィルタも、基本的には短波長光カット、あるいは長波長光カットなどの単純な補正しかできない難点がある。
【0015】
そこで、本発明の課題は、色分解範囲、分解数を従来のカラー撮像方式に比べて拡大・可変して広い色域の映像情報を取得できるカラー撮像装置を提供することにある。さらに、本発明の課題は、従来方式の高解像度化、コンパクト化、機構部なしの高時間解像度化などにおける問題を克服するとともに、色温度補正範囲および補正の効果を柔軟に可変できるばかりでなく、画面上で領域選択的な色温度補正を可能とするカラー撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に係る発明のカラー撮像装置は、スピン注入により磁化方向が反転されることによって、入射した直線偏光光ビームを、その偏光軸を、磁化反転しないスピン注入型磁化反転素子による反射光の偏光軸と反対方向に回転させて反射する複数のスピン注入型磁化反転素子が、基板上にアレイ状に配設された回折反射部と、前記回折反射部のスピン注入型磁化反転素子の中から、磁化方向を反転させる前記スピン注入型磁化反転素子を、所定の回折格子を形成するように時分割で選択し、選択されたスピン注入型磁化反転素子によって、各時分割された期間毎に、選択されたスピン注入型磁化反転素子によって形成される回折格子の回折格子周期によって、前記回折反射部による回折反射光の波長を選択する波長選択手段と、前記回折反射部に直線偏光光ビームを入射させる光ビーム入射手段と、スピン注入により磁化方向が反転された前記スピン注入型磁化反転素子によって偏光軸が回転された回折反射光を透過させる偏光手段と、前記偏光手段を透過した前記回折反射光を受光して、画像情報を取得する撮像手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
このカラー撮像装置では、回折反射部のスピン注入型磁化反転素子の中から、磁化方向を反転させるスピン注入型磁化反転素子を、所定の回折格子を形成するように時分割で選択し、選択されたスピン注入型磁化反転素子によって、各時分割された期間毎に、選択されたスピン注入型磁化反転素子によって形成される回折格子の回折格子周期によって、回折反射部による回折反射光の波長を選択することによって、各時分割された期間毎に、波長選択手段によって形成された回折格子の回折格子周期によって選択される波長を有し、磁化方向の反転によって偏光軸が回転された回折反射光のみを偏光手段を介して撮像手段に受光させ、選択された波長の色光での画像情報を取得することができる。
【0018】
請求項2に係る発明は、前記カラー撮像装置において、前記波長選択手段が、前記撮像手段によって取得される画像情報の1フレームを分割して構成される色光サブフィールドの数に対応して前記時分割を行い、各色サブフィールドにおいては、前記回折格子の回折格子周期を、各時分割された期間毎に、前記回折反射光の波長の各色光の回折条件を満足するように設定することを特徴とする。
【0019】
このカラー撮像装置では、波長選択手段が、撮像手段によって取得される画像情報の1フレームを分割して構成される色光サブフィールドの数に対応して時分割を行い、各色サブフィールドにおいては、回折格子の回折格子周期を、各時分割された期間毎に、回折反射光の波長の各色光の回折条件を満足するように設定することによって、各時分割された期間毎に、波長選択手段によって形成された回折格子の回折格子周期によって選択される波長を有し、磁化方向の反転によって偏光軸が回転された回折反射光のみを偏光手段を介して撮像手段に受光させ、選択された波長の色光での画像情報を取得することができる。
【0020】
請求項3に係る発明は、前記カラー撮像装置において、前記偏光手段が、前記波長選択手段によって選択され、スピン注入により磁化方向が反転された前記スピン注入型磁化反転素子によって偏光軸が回転された回折反射光のみを透過するように、偏光軸が設定された偏光板であることを特徴とする。
【0021】
このカラー撮像装置では、偏光手段として、前記波長選択手段によって選択され、スピン注入により磁化方向が反転された前記スピン注入型磁化反転素子によって偏光軸が回転された回折反射光のみを透過するように、偏光軸が設定された偏光板を用いている。そのため、カラー撮像装置では、磁化方向の反転によって偏光軸が回転された回折反射光のみを撮像手段に受光させ、選択された波長の色光での画像情報を取得することができる。
【0022】
請求項4に係る発明は、前記カラー撮像装置において、前記偏光手段が、前記回折格子の形成による回折反射光の波長の選択と同期して電圧を印加されることによって、前記回折反射光と同じ偏光軸を有するよう液晶の配向を調整可能な液晶偏光素子であることを特徴とする。
【0023】
このカラー撮像装置では、回折格子の形成による回折反射光の波長の選択と同期して電圧が印加されることによって、回折反射光と同じ偏光軸を有するよう液晶の配向を調整可能な偏光手段としての液晶偏光素子を用いることによって、各時分割された期間毎に、波長選択手段によって形成された回折格子の回折格子周期によって選択される波長を有し、磁化方向の反転によって偏光軸が回転された回折反射光のみを撮像手段に受光させ、選択された波長の色光での画像情報を取得することができる。
【0024】
請求項5に係る発明は、前記カラー撮像装置において、前記波長選択手段および前記偏光手段に接続されるように偏光制御手段をさらに備え、前記偏光制御手段が、前記波長選択手段による回折格子の回折格子周期の設定と、前記偏光手段による前記回折反射光のみを透過するための偏光軸の設定とを、前記サブフィールドの垂直帰線期間内に同期して行うことを特徴とする。
【0025】
このカラー撮像装置では、偏光制御手段により、波長選択手段による回折格子の回折格子周期の設定と、偏光手段による回折反射光のみを透過するための偏光軸の設定とを、前記サブフィールドの垂直帰線期間内に同期して行うことによって、撮像手段が、各1フレームごとに所望の色温度の画像情報を得ることが可能となる。
【0026】
請求項6に係る発明は、前記カラー撮像装置において、前記波長選択手段は、前記時分割の期間を選択することによって、前記回折反射光の色温度を制御することを特徴とする。
【0027】
このカラー撮像装置では、波長選択手段が、時分割の期間を選択することによって、回折反射光の色温度を制御する。したがって、撮像手段が、各1フレームごとに所望の色温度の画像情報を得ることが可能となる。
【0028】
請求項7に係る発明は、前記カラー撮像装置において、前記波長選択手段が、前記1フレームにおける前記サブフィールドの数の比率を調整することによって、前記回折反射光の色温度を制御することを特徴とする。
【0029】
このカラー撮像装置では、波長選択手段が、1フレームにおけるサブフィールドの数の比率を調整することによって、回折反射光の色温度を制御する。したがって、撮像手段が、各1フレームごとに所望の色温度の画像情報を得ることが可能となる。
【0030】
請求項8に係る発明は、前記カラー撮像装置において、前記波長選択手段が、磁化方向を反転させる前記スピン注入型磁化反転素子を、前記回折反射部において空間的に選択することによって、前記回折反射光の色温度を、前記1フレームの画像情報の色温度を領域選択的に制御することを特徴とする。
【0031】
このカラー撮像装置では、波長選択手段が、磁化方向を反転させる前記スピン注入型磁化反転素子を、前記回折反射部において空間的に選択して、前記回折反射光の色温度を、前記1フレームの画像情報の色温度を領域選択的に制御することによって、1フレームの画像の所望の領域を所望の色温度の画像情報として得ることができる。
【0032】
請求項9に係る発明は、前記カラー撮像装置において、前記波長選択手段が、選択する波長範囲を色空間において局所的に任意に限定することによって、局所的な色諧調を拡大するようにしたことを特徴とする。
【0033】
このカラー撮像装置では、波長選択手段が、選択する波長範囲を色空間において局所的に任意に限定することによって、局所的な色諧調を拡大するようにしたことによって、1フレームの画像の所望の領域を、所望の色諧調の画像情報として得ることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明にかかるカラー撮像装置によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)カラー撮像装置は、従来の3〜4色の限られた色分解に対して任意に色分解できる色再現範囲を大きく拡大できる。
(2)カラー撮像装置は、図9(b)の単板順次方式のように、撮像素子の画素構造をそのまま解像度に活かせるので高解像度化が達成できる。
(3)カラー撮像装置は、使用するスピン回折格子(回折反射部)が数十ナノ秒で動作できるので高速の波長選択ができ、通常のテレビの時間解像度には問題なく適応が可能である。
(4)カラー撮像装置は、使用するスピン回折格子(回折反射部)が電気的に駆動するので、図9(b)のような回転機構部が不要である。
(5)カラー撮像装置は、回折反射部が単板で構成されるため、軽量・コンパクト化が可能である。
(6)カラー撮像装置は、選択する波長の成分を時分割して比率が電気的に調整できるので、色温度の補正を電気的に行うことができる。
【0035】
そのため、本発明のカラー撮像装置は、色再現において一層臨場感の高い放送を実現でき、また、医療・診断においても、病変組織あるいは生体検査においてテレビによる忠実な色再現が可能になり、医療・診断におけるテレビの応用が拡大できる。さらに、絵画や伝統芸能、伝統工芸品等の記録においても忠実な色再現ができるため、文化財のアーカイブにも貢献できる。
【0036】
さらに、色域の局所的拡大が可能になるため、わずかな色調変化で従来のTVカメラ(ビデオカメラ)では検出が困難であった水質汚濁の監視、海面への油流出の検知が可能となる、など安全・安心確保の面でもTVカメラ(ビデオカメラ)の応用が拡大できる。また、工業デザインや服飾開発なども、色域の局所的拡大によって、電子データ化することが可能になる。また画面上、領域選択的に色温度補正ができるので、全体照明では実現し得ない局所的色温度選択により特殊演出も可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明のカラー撮像装置について詳細に説明する。
図1は、本発明のカラー撮像装置の構成例を示す模式概念図である。
図1に示すカラー撮像装置1は、回折反射部2と、波長選択手段3と、光ビーム入射手段4と、偏光素子(偏光手段)5と、撮像素子(撮像手段)6とを備える。また、レンズ13は、光ビーム入射手段4に入射する画像情報を有する入射光L1を光ビーム入射手段4に入射させるものである。
【0038】
回折反射部2は、基板7の上に、複数のスピン注入型磁化反転素子(以下、「素子」と略記する)8が、各素子8の間に介設された絶縁層9によって電気的および磁気的に絶縁された状態で、アレイ状に配設された構成を有する。この回折反射部2において、素子8は、図2(a)に示すように、基板7の上に、直交するX軸方向およびY軸方向に沿ってマトリックス状に配置されている。各素子8の下部には下部電極10が配置され、上部には上部透明電極11が配設されている。そして、下部電極10は、図1中、紙面に対して垂直な方向に直列に接続され、上部透明電極11は、図1中、紙面に沿った方向に直列に接続されている。すなわち、下部電極10と、上部透明電極11とは、図2(a)に示すように、それぞれがX軸およびY軸に沿って、相互に直交するように配置されている。
【0039】
基板7としては、例えば、シリコン(Si)、酸化シリコン(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、ガラス等が用いられる。
【0040】
素子8は、下部電極10の側から、上部透明電極11に向けて、スピン固定強磁性層81、非磁性中間層82およびスピンフリー強磁性層83の順に積層された断面柱状の構成を有する。
【0041】
スピン固定強磁性層81は、強磁性材料からなり、磁化方向が固定されている層である。強磁性材料としては、金属系ハーフメタルなどスピン分極率の高い材料を用いることが好ましい。例えば、CoMnAl、CoMnSi、CoCr0.6Fe0.4Al、CoFeB、MiMnSbなどの大きなスピン偏極率を有する材料が挙げられる。また、酸化物系ハーフメタルとしては、La0.7Sr0.3Mn0、SrFe(W0.4Mo0.6)O、SrFeReO、CrO、Feなどが挙げられる。これらの中でも、強磁性材料として、スピン分極率が高いことが好ましい。さらに、スピン固定強磁性層81は、これらの材料の組成の異なる層やIrMnなどのスピン固着層と組み合わせた2〜3層構造であってもよい。このスピン固定強磁性層81の膜厚は、数〜数十nm程度である。このスピン固定強磁性層81は、分子線エピタキシー(MBE)法やスパッタ法などによって、下部電極10の上に形成される。
【0042】
非磁性中間層82は、スピンフリー強磁性層83に進入した光を入射面側に反射させる必要があるため、入射光(例えばRGB光)に対する反射率の大きい材料を用いることが望ましく、例えば、Cu等で形成することができる。この非磁性中間層82の膜厚は、偏極スピン電子がトンネルできる厚さ(2〜3nm)とすることが好ましい。この非磁性中間層82は、MBE法やスパッタ法などによって、スピン固定強磁性層81の上に形成することができる。
【0043】
スピンフリー強磁性層83は、偏極スピン電子の注入により磁化方向が反転して、磁気光学効果(カー効果)によって、入射光の偏光軸を磁化反転しない素子と反対方向に回転させて反射する役割を有する層である。このスピンフリー強磁性層83を形成する強磁性材料としては、例えば、CoFe、NiFeなどが挙げられる。スピン注入磁化反転に要する電流を低減できる点では、低飽和磁化および低ダンピング定数でスピン歳差運動の緩和時間が大きく、スピン流が大きくなるような特性を持つものが好ましい。また、大きな磁気光学効果を実現するという点では、PtMnSb、MnBi,あるいはPt/Co、Pt/Fe、Pd/Co、FePt/Pt、TbFeCo/Ptなどの人工格子でもよい。このスピンフリー強磁性層83の膜厚は、2〜数nm程度である。このスピンフリー強磁性層83は、非磁性中間層82の上にMBE法やスパッタ法などによって形成することができる。
【0044】
また、基板7と、スピン固定強磁性層81との間に設けられる下部電極10は、スピンフリー強磁性層83の上に設けられる上部透明電極11とともに、スピンフリー強磁性層83に偏極スピン電子を注入するためのスピン注入用電極を構成する。この下部電極10と上部透明電極11の間に下部電極10を負に、上部透明電極11を正に電圧を印加することによって、スピンフリー強磁性層83にスピン偏極電子が注入される。スピン注入による磁化反転後、正負逆方向に電圧を印加すれば、スピンフリー強磁性層83の磁化方向はスピン注入前の状態に戻る。
【0045】
この下部電極10は、基板7の上に、TaやCrなどの金属材料をスパッタ法などで堆積し、リソグラフィー法などで所望のサイズの電極母線に加工して形成することができる。また、基板7としてSiやMgOを用いる場合には、電極材料をエピタキシャル成長させて形成することもできる。
【0046】
また、上部透明電極11は、スピンフリー強磁性層43に効率よく光を進入させるため、入射光に対して透明な材料を用いることが望ましい。例えば、IZOあるいはITOなどを用いることができる。
【0047】
波長選択手段3は、下部電極10と、上部透明電極11とに接続され、素子8への電圧の印加を制御する。この制御により、下部電極10と、上部透明電極11との間に、下部電極10を負に、上部透明電極11を正に電圧が印加された素子8におけるスピンフリー強磁性層83の磁化方向が反転される。この波長選択手段3において、回折反射部2を構成する複数の素子8の中から、磁化方向を反転させる素子8を、時分割で選択し、各時分割された期間毎に、所定の回折格子周期dの回折格子を形成するものである。そして、選択されたスピン注入型磁化反転素子によって、各時分割された期間毎に、選択されたスピン注入型磁化反転素子(素子8)によって形成される回折格子の回折格子周期dによって、前記回折反射部による回折反射光の波長を選択するものである。
【0048】
この波長選択手段3による素子8の選択は、図2(a)に示すように、図中垂直方向の下部電極列X1,X2〜Xnと、図中水平方向の上部電極列Y1,Y2〜Ynにおいて、電圧を印加する電極を選択することによって行うことができる。下部電極列X1,X2〜Xnと、上部電極列Y1,Y2〜Ynとからそれぞれ選択された電極の間に電圧を印加すると、その選択された両電極が交差する位置の素子8に電圧が印加され、スピンが注入されて磁化方向が反転される。すなわち、電圧を印加する電極の選択によって、回折反射部2にマトリクス状に配列された素子8の中から磁化反転する素子8を選択することができる。例えば、図2(a)では、下部電極X3と、上部電極Y1、・・・Ynとの間、また、下部電極X6と、上部電極Y1、・・・Ynとの間、下部電極X9と、上部電極Y1、・・・Yn、・・・との間に電圧を印加することによって、それぞれの交点に該当する素子8に電圧を印加することができる。これによって、図2(a)に白抜きで示すように、磁化方向が反転された素子を、図中水平方向に磁化反転されない素子2つを挟む間隔(回折格子周期d=3D,D:素子周期(素子8の図中水平方向の配列間隔)で図中垂直方向一列で並んだ状態で形成し、これによって回折格子周期dの回折格子が形成される。
【0049】
この波長選択手段3は、図4に示すように、撮像素子6によって取得される画像情報の1フレームを分割して構成される色光サブフィールドの数に対応して時分割を行い、各色サブフィールドにおいては、磁化方向が反転した素子8によって形成される回折格子の回折格子周期dを、各時分割された期間毎に、回折反射光の波長の各色光の回折条件である下記式(1)(図3参照)を満足するように設定する。
sinα±sinβ=mλ/d (1)
式(1)中、N=1/d(d:回折格子周期)、入射光の波長λ、入射光が回折格子面法線と成す角α(入射角)、回折光が回折格子面法線と成す角β(回折角)、回折次数m、dは回折格子周期である。
これによって、各時分割された期間毎に、波長選択手段によって形成された回折格子の回折格子周期によって選択される波長を有し、磁化方向の反転によって偏光軸が回転された回折反射光のみを偏光素子(偏光手段)5を介して撮像素子(撮像手段)6に受光させ、選択された波長の色光での画像情報を取得することができる。
【0050】
また、波長選択手段3は、時分割の期間を選択することによって、回折反射光の色温度を制御する。これによって、撮像素子(撮像手段)6が、各1フレームごとに所望の色温度の画像情報を得ることが可能となる。この時分割の期間の選択は、図4に示すように、1フレームにおける各色光のサブフィールドの数の比率を調整することによって行うことができる。これによって、偏光素子5を透過して到達する回折反射光を撮像素子6が受光して、所定の色温度の画像情報を得ることができる。
【0051】
さらに、波長選択手段3は、電圧の印加によって磁化方向を反転させる素子8を、回折反射部2を構成する素子8の中から、空間的に選択することによって、回折反射光の色温度を空間的に制御して、1フレームの画像情報の中で領域を選択して、その領域を所望の色温度にすることが可能となる。ここで、磁化方向を反転させる素子を、回折反射部2を構成する素子8の中から、空間的に制御する、とは、回折反射部2を構成する素子8の中から、例えば、回折格子周期d1の回折格子の領域と、回折格子周期d2の回折格子の領域を各時分割された期間毎に選択し、各回折格子の領域において、それぞれ選択された波長の色光を回折反射光として得ることを言う。そして、具体的には、各時分割された期間毎に選択し、各回折格子の領域において、1フレームにおける各色光のサブフィールドの数の比率を調整することによって、各領域の色温度を調整することを言う。
【0052】
また、波長選択手段3は、磁化方向を反転させる素子によって形成される回折格子の回折格子周期を、各時分割の期間毎に選択することによって、選択する波長範囲を色空間において局所的に任意に限定して、局所的な色諧調を拡大することができる。これによって、1フレームの画像の所望の領域を、所望の色諧調の画像情報として得ることができる。ここで、選択する波長範囲を色空間において局所的に任意に限定して、局所的な色諧調を拡大すること、とは、撮影画像の通常のRGB色分解に対して、注目する画面領域が、特定の色(例えば青色系)に偏っている場合、その画面領域の微妙な色変化は検出できないので、このような場合、通常のRGBの色空間で撮影するのではなく、青色領域にシフトした新しい色空間を設定すれば、特定の色(例えば青色系)周辺の微妙な変化を検出することができる、ことを意味する。
【0053】
また、光ビーム入射手段4は、回折反射部2の素子8の上部の素子8に入射する光ビームの光路上に配設され、被写体(図示せず)からの光像(画像情報)を含む入射光を、レンズ13を介して入射して、直線偏光光ビームL2として回折反射部2に入射させる役割を有するものである。この光ビーム入射手段4として、例えば、光源(図示せず)から照射され被写体からの画像情報を含む入射光L1を直線偏光光ビームL2とするものである。この光ビーム入射手段4としては、液晶偏光素子、偏光板などを用いることができる。
【0054】
さらに、偏光素子(偏光手段)5は、回折反射部2を構成するスピン注入型磁化反転素子(素子8)によって反射された反射光のうち、スピン注入により磁化方向が反転された素子8によって反射され、偏光軸が回転された回折反射光を透過させる。そして、この偏光素子5においては、スピン注入されず磁化方向が反転されていない素子8によって偏光軸が回転された反射光は、透過しない。そして、スピン注入により磁化方向が反転された素子8によって、磁化方向が反転されていない素子8による反射光の偏光軸と反対方向に偏光軸が回転された反射光が透過する。そのため、スピン注入により磁化方向が反転された素子8によって偏光軸が回転され、この偏光素子5を透過した反射光のみが干渉して、回折反射光となる。この偏光素子5としては、液晶偏光素子、偏光板などを用いることができる。
【0055】
この偏光素子5は、偏光制御手段12によって、前記の波長選択手段3による回折格子の形成による回折反射光の波長の選択と同期して行うことが好ましい。偏光制御手段12は、波長選択手段3と、偏光素子5と、撮像素子6とに接続する位置に設置されている。そして、偏光制御手段12によって、液晶偏光素子からなる偏光素子5に印加する電圧を調整することによって、回折反射部2からの回折反射光と同じ偏光軸を有するよう液晶偏光素子を構成する液晶の配向を調整することができる。これによって、偏光素子5は、各時分割された期間毎に、波長選択手段3によって形成された回折格子の回折格子周期dによって選択される波長を有し、磁化方向の反転によって偏光軸が回転された回折反射光のみを撮像素子6に受光させ、選択された波長の色光での画像情報を取得することが可能となる。
【0056】
また、偏光素子5は、前記の各時分割された期間毎に、偏光制御手段12による偏光素子5への電圧の印加の調整による透過可能な偏光軸の設定を、回折反射光のみを透過するために、前記サブフィールドの垂直帰線期間内に、波長選択手段3による回折格子の回折格子周期dの設定と同期して行うことが好ましい。これによって、撮像素子6が、各1フレームごとに所望の色温度の画像情報を得ることが可能となる。
【0057】
撮像素子(撮像手段)6は、偏光素子5を透過した回折反射光を受光して、撮像面に投影された光像を光電変換して電気信号に変換して、画像情報を取得する役割を有するものである。この撮像素子6としては、汎用の撮像素子を用いることができ、特に限定されない。例えば、CCD、CMOS等の固体光電変換素子、撮像管などを用いることができる。
【0058】
この撮像素子6において、光ビーム入射手段4によって、直線偏光光ビームL2として回折反射部2に入射した、被写体(図示せず)からの光(画像情報)を含む入射光は、波長選択手段3によって選択され磁化方向が反転された素子8によって形成される回折格子によって所定の偏光軸を有する回折反射光として反射される。そして、素子8によって反射された入射光は、偏光素子5を透過した回折反射光が撮像素子6によって受光され、受光された光像は光電変換して電気信号に変換され、画像情報として取得される。この受光された光像の1フレームにおいて、各時分割された期間毎に、回折反射部2において波長選択手段3によって選択された素子8で形成される回折格子によって、各サブフィールドで回折反射される回折反射光の波長が選択され、これによって、1フレームにおける各色光サブフィールドの数の比率およびサブフィールドの期間(幅)が制御され、所望の色温度の被写体画像を得ることができる。
【0059】
次に、カラー撮像装置1における回折反射および画像情報の取得について説明する。
このカラー撮像装置1においては、回折反射部2の素子8の上部に被写体(図示せず)からの光像(画像情報)を含む入射光L1をレンズ13および光ビーム入射手段4を介して入射させる。そして、この光ビーム入射手段4を通った入射光(L2)は、直線偏光光ビームL2として回折反射部2にアレイ状に配設された素子8に入射する。
【0060】
回折反射部2においては、光ビーム入射手段4から入射した直線偏光した入射光(L2)は、上部透明電極11を透過して、アレイ状に配設された素子8のスピンフリー強磁性層83に入射する。
【0061】
そして、波長選択手段3によって素子8が選択され、下部電極10と上部透明電極との間に電圧を印加され、磁化方向が反転した素子8のスピンフリー強磁性層83によって入射光が反射される。このとき、素子8における磁化方向による光の偏光軸のカー回転効果を利用して入射した入射光L1の偏光軸が回転する。一般に、カー回転効果においては、同一の方向に一様に磁化された材料中を光が進行すると、その磁化方向を形成するのに必要な電流の方向に沿ってその光の偏光軸が回転する。そして、材料の一部領域のみ磁化方向を反転させると、その領域を通過または反射する光の偏光軸は、他の磁化方向が反転していない領域を通過または反射する光の偏光軸と逆向きに回転する。そこで、回折反射部2においては、この部分的な磁化反転が、アレイ状に配設された素子8で実現される。すなわち、波長選択手段3によって選択された、下部電極10と上部透明電極11との間に電圧を印加すると、その電圧が印加された下部電極10と上部透明電極11の素子8に、スピン偏極(スピン)が注入され、その素子8のスピンフリー強磁性層83の磁化方向が反転される。例えば、図1に示す回折反射部2では、電圧が印加されず磁化方向が反転されていない素子8(非磁化反転素子8B:図1中、スピンフリー強磁性層83を黒く塗り潰した素子)では、スピンフリー強磁性層83の磁化方向は、スピン固定強磁性層81の磁化方向に対して反対方向となっている。これに対して、下部電極10と上部透明電極11によって電圧が印加された素子8(磁化反転素子8A:図1中、スピンフリー強磁性層83を白抜きした素子)では、スピン固定強磁性層81からスピンフリー強磁性層83にスピンが注入される。これによって、スピンフリー強磁性層83の磁化方向が反転され、磁化方向がスピン固定強磁性層81の磁化方向と同一方向となる。
【0062】
このとき、回折反射部2に入射する、直線偏光した入射光(L2)の偏光軸の角度をLとし、非磁化反転素子8Bの磁化方向が反転されていないスピンフリー強磁性層83によって反射され、偏光軸が回転された反射光L2(−)の偏光軸の角度をL−δとすると、磁化反転素子8Aでは、磁化方向が反転されたスピンフリー強磁性層83で反射された反射光L2(+)の偏光軸の角度は、非磁化反転素子8Bによる反射光L2(−)の偏光軸(角度L−δ)と反対方向となり、L+δとなる。そして、偏光素子5において、偏光軸の角度がL+δの光L2(+)のみを透過するようにすれば、偏光素子5を透過して干渉して回折反射光となり、撮像素子6によって受光される。
【0063】
ここで、前記式(1)において、N=1/d(d:回折格子周期)とすれば、下記式(2)となる。
sinα±sinβ=mλ/d (2)
式(2)中、波長λ、入射光が回折格子面法線と成す角α(入射角)、回折光が回折格子面法線と成す角β(回折角)、回折次数m、dは回折格子周期である。
したがって、図1に示す、磁化反転素子8Aによって形成される回折格子では、隣接する磁化反転素子8Aの間の間隔をd(回折格子周期)とすれば、入射角αで磁化反転素子8Aに入射した波長λの光ビームは、回折角(反射角)βで反射したものが干渉して回折反射光となることが分かる。そこで、例えば、入射する光ビームが波長λで入射角αで回折反射部2に入射する場合、波長選択手段3によって下部電極10と上部透明電極11の間に電圧を印加してスピン注入により磁化方向が反転される素子8、すなわち、磁化反転素子8Aの間隔をd(回折格子周期)に設定すれば、回折角(反射角)βで反射する反射光が干渉によって回折反射光となる。また、入射角αおよび回折角(反射角)βを一定の値とすれば、磁化反転素子8Aの間隔(回折格子周期)を変更することによって、回折する光ビームの波長λを変えることができる。したがって、波長選択手段3によって、下部電極10と上部透明電極11の間に電圧を印加してスピン注入により磁化方向が反転される素子8、すなわち、磁化反転素子8Aの間隔(回折格子周期)を制御すれば、回折される光ビームの波長を選択することができる。
【0064】
次に、この回折反射部2における光ビームの回折について、図2(a)および(b)に基づいて説明する。
図2(a)に示すように、回折反射部2において、X軸およびY軸方向に沿ってアレイ(格子)状に配設されている素子8の中から、波長選択手段3(図1参照)によって、下部電極列X1,X2〜Xnと、上部電極列Y1,Y2〜Ynとにおいて、電圧を印加する電極が選択される。下部電極列X1,X2〜Xnと、上部電極列Y1,Y2〜Ynとからそれぞれ選択された電極の間に電圧を印加すると、その選択された両電極が交差する位置の素子8に電圧が印加され、スピンが注入されて磁化方向が反転される。すなわち、電圧を印加する電極の選択によって、マトリクス状に配列された素子8のアレイの中から磁化反転する素子8を選択することができる。この図2(a)に示す回折反射部2では、下部電極X3と、上部電極Y1、・・・Ynとの間、また、下部電極X6と、上部電極Y1、・・・Ynとの間、下部電極X9と、上部電極Y1、・・・Yn、・・・との間に電圧を印加することによって、それぞれの交点に該当する素子8に電圧を印加することができる。これによって、図2(a)に白四角で示すように、磁化反転素子8Aを、X軸方向に非磁化反転素子8B(図2(a)に示す黒四角)2つを挟む間隔(回折格子周期d=3D,D:素子周期(素子8のY軸方向の配列周期)でY軸方向に一列で並んだ回折格子を形成することができる。
【0065】
そして、図2(b)に示すように、磁化方向が反転された磁化反転素子8Aによって形成される領域を「反射光ON」の領域とし、磁化方向が反転されていない非磁化反転素子8Bで形成される領域を「反射光OFF」の領域とすれば、波長選択手段3(図1参照)によって、反射光ONの領域と、反射光OFFの領域を空間的に電気的に選択できることになる。そして、この回折反射部2では、図1において説明したとおり、直線偏光した入射光λ2が入射すると、反射光ONの領域で反射された反射光L2(+)の偏光軸は、反射光OFFの領域で反射された反射光L2(−)の偏光軸の回転方向と反対方向となる。すなわち、直線偏光した入射光(L2)の偏光軸の角度をLとし、非磁化反転素子8Bの磁化方向が反転されていないスピンフリー強磁性層83によって反射され、偏光軸が回転された反射光L2(−)の偏光軸の角度をL−δとすると、磁化反転素子8Aでは、磁化方向が反転されたスピンフリー強磁性層83で反射された反射光L2(+)の偏光軸の角度は、非磁化反転素子8Bによる反射光L2(−)の偏光軸(角度L−δ)と反対方向となり、L+δとなる。そして、偏光素子5(図1参照)において、偏光軸の角度がL+δの光L2(+)のみを透過するようにすれば、偏光素子5を透過して干渉して回折光となる。したがって、この「反射光ON」の領域を形成する素子8を、波長選択手段3(図1参照)によって従来の回折格子の帯状溝のように周期的に設定すれば、式(2)で表される関係にある波長λ、入射角α、回折角(反射角)β、回折格子周期d=3D,(D:素子周期(素子8のY軸方向の配列周期)である「反射光ON」の領域からの反射光は、偏光素子5(図1参照)によって選択されて透過し、相互に干渉して、波長λの回折反射光(偏光軸の角度:L+δ)となる。これによって、波長選択手段3(図1参照)によって、回折格子周期dを電気的に選択することによって、磁化反転素子8Aによって反射され、偏光軸が回転され、さらに偏光素子5を透過して、撮像素子6に受光される回折反射光の波長を選択できることになる。
【0066】
以上、図1、図2(a)および図2(b)について説明したとおり、波長選択手段3によって、アレイ状に配設された素子8の中から、下部電極10と、上部透明電極11との間に電圧を印加して形成される「反射光ON」の領域と、電圧を印加していない「反射光OFF」の領域を、電圧の印加の有無によって任意に選択することができる。そして、図2(a)および(b)に示す回折反射部2では、直線偏光した光ビーム(偏光軸の角度:L)の入射角α、回折角(反射角)βを所定の値に固定すれば、波長選択手段3により電圧を印加する素子8を選択して、非磁化反転素子8Bを挟んで、Y軸方向に一列に並んだ磁化反転素子8Aの間の間隔、すなわち回折格子周期dを可変して回折する光の波長を選択することができる。すなわち、回折反射部2においては、波長選択手段3は、回折反射部2を構成する素子8の中から、下部電極10と、上部透明電極11とによって電圧を印加する素子8を周期的かつ帯状に選択することによって、回折反射光の波長を選択できる。
【0067】
ここで、前記式(2)により、選択する波長(回折反射光の波長)が長い場合には、回折格子周期d、すなわち、磁化反転素子8Aの配列周期を大きく、波長が短い場合は回折格子周期d、すなわち、磁化反転素子8Aの配列周期を小さくするように、波長選択手段3(図1参照)によって電圧を印加する素子8の間隔を制御することにより、同じ入射角αと回折角βで回折させることができる。例えば、図1に示す回折反射部2において、α=β=30度、緑色光(λ=550nm)を選択すれば、回折格子周期d=550nm(従来の回折格子における溝本数1818本/mmに相当)で緑色の回折反射光が得られる。また、同じ入射角αと回折角βで、回折格子周期d=450nm(溝本数2222本/mmに相当)で青色光(λ=450nm)の回折反射光が得られる。さらに、赤色の回折反射光(λ=650nm)では回折格子周期d=650nm(溝本数1538本/mmに相当)にすることによって得られる。このように、光ビーム入射手段4から入射する直線偏光した入射光(L2)を、RGB色分解して各波長の光に応じて回折光を得る場合は、個々の素子8の配列周期Dのサイズを、100nm以下とする必要があり、さらに小さいサイズとすることにより波長分解能が向上する。このとき、必要となる素子8のサイズは、入射角α、回折角βが小さくなるにしたがって、大きくなる。そして、現状の半導体微細加工技術は、超高精細電子線リソグラフィーなどを用いて、8インチウエーハに対して20nmの加工精度を有しているので、このようなサイズの素子(スピン注入型磁化反転素子)8は、数十nmのスケールで作製できる。そのため、本発明のカラー撮像装置1における回折反射部2は、従来の回折格子の溝本数〜数1000本/mmと同等の実効溝本数に相当する回折格子周期dを実現でき、また、素子8における磁化反転はナノ秒オーダの高速で起こるので、回折格子周期dを高速で可変制御できる。
【0068】
この回折反射部2の製造は、MBE法やスパッタ法、あるいはエピタキシャル成長法によって、基板7上に、下部電極10、スピン固定強磁性層81、非磁性中間層82、スピンフリー強磁性層83および上部透明電極11の順に形成することによって行うことができる。このとき、回折反射部2においては、図1に示すように、下部電極10、スピン固定強磁性層81、非磁性中間層82、スピンフリー強磁性層83および上部透明電極11の順に柱状に積層されて形成される複数の素子8が、アレイ状に配設され、相隣接する素子8同士は、絶縁層9を設けて、相互に電気的および磁気的に絶縁するため、スピンフリー強磁性層83などをリソグラフィーなどによるメサエッチングで加工してもよいし、窒素などの局所的イオン注入によって絶縁層9を形成してもよい。
【0069】
そして、本発明のカラー撮像装置1では、波長選択手段3の回折格子周期dの制御による回折反射光の波長の選択を、撮像素子6によって取得される画像情報の1フレームを時分割してR,G,Bそれぞれの撮像のためのサブフィールドに分解して行う。すなわち、波長選択手段3によって、図3に示すように、それぞれのサブフィールドの期間、すなわち、各時分割された期間毎に、R,G,Bのいずれかの波長を選択するために、各波長に対応した回折格子周期dを、前記の回折反射光の波長の各色光の回折条件を満足するように、回折反射部2における素子8を選択して回折格子を形成する。このとき、各サブフィールドにおいて、波長選択手段3による波長の選択と同時に、偏光素子5を制御する偏光制御手段12によって、偏光素子5を透過する回折反射光の偏光軸の回転角度を選択する。これによって、各時分割された期間毎、すなわち各サブフィールド毎に、波長選択手段3によって形成された回折格子の回折格子周期dによって選択される波長を有し、磁化方向の反転によって偏光軸が回転された回折反射光のみを偏光素子5を介して撮像素子6に受光させ、選択された波長の色光での画像情報を各サブフィールド毎に取得することができる。
【0070】
そして、この各サブフィールドにおける波長選択手段3による回折反射光の波長の選択および偏光素子5による回折反射光の偏光軸の回転角度の選択は、図3に示すように、各サブフィールドの垂直帰線期間内に同期して行う。これによって、撮像素子6が、各1フレームごとに、各色光のサブフィールドで構成される所望の色温度の画像情報を得ることが可能となる。そして、回折反射光の色温度の制御は、波長選択手段3における前記時分割の期間を選択し、その時分割された期間毎、すなわち、サブフィールドの期間毎に回折格子周期dを制御して回折反射光の波長を選択することによって行うことができる。
【0071】
また、図4に示すように、1フレームをさらに多数のサブフィールドに時分割し(図4では10サブフィールド)、R,G,Bそれぞれの各色光(波長)のサブフィールドの数の比率を調整することによって、撮像素子6によって受光される回折反射光の1フレームごとの色温度を制御することができる。例えば、図4においては、Bの選択サブフィールドを多く選択すれば、高温の色温度(ハイパスフィルター)の回折反射光となり、逆に、Rの選択フィールドの数を多くすれば、低温の色温度(ローパスフィルター)となる。これによって、撮像素子6は、各1フレームごとに所望の色温度の画像情報を得ることができる。ここで、R,G,Bそれぞれの選択サブフィールドを時系列でまとめれば、偏光素子5における透過する回折反射光の偏光軸の制御はまとめて行うことができる。
【0072】
さらに、本発明のカラー撮像装置1において、波長選択手段3が、磁化方向を反転させる素子8を、回折反射部2において空間的に選択することによって、1フレームの画像情報の色温度を領域選択的に制御することができる。図5(a)および(b)に、この磁化方向を反転させる素子8の空間的な選択による色温度の領域選択的な制御の例を示す。図5(a)に示す画面は、一部は太陽光による照明領域(図5(a)中、左斜め上の領域)で、一部は白熱電球による照明領域(図5(a)中、右斜め下の領域)からなる被写体の画像を示す。このような被写体の場合、図5(b)に示すように、色温度を、それぞれの領域で別々に補正することによって、被写体の照明に対する反射率の相違や全体照明では実現し得ない色温度分布を任意に調整して、より自然な映像を得ることが可能となる。
【0073】
図6は、図5(b)に示す、領域選択的な色温度の補正を可能とするカラー撮像装置1における回折反射部2の例(ハイビジョン用)を示す。この回折反射部2においては、上部透明電極11(X1,X2,X3,・・・・)と下部電極10(Y1,Y2,Y3,・・・・)によって個々の素子8を個別に駆動して、撮像素子6の画素に対応させて、画素対応ユニット行(Y1,Y2,Y3,・・・)列(X1,X2,X3,・・・)に区画し、それぞれの画素対応ユニットから回折される回折反射光が対応する撮像素子の画素に入射するように構成する。この区画は物理的な構造ではなく動作上の区画であり、図6の例では、1区画、すなわち個々の画素対応ユニットは10x10の磁化反転素子8Aから成り、画素対応ユニット(X1,Y1),(X1,Y2),(X1,Y3),(X2,Y1).(X2,Y2),(X3,Y1)に対して回折格子周期dを2電極列周期に設定し、その他の画素対応ユニットについては4電極列周期に設定した例を示す。それぞれに対応する撮像素子6の画素は、2電極列周期と4電極列周期の設定によって、異なる波長の光が入射する。以上のように、画面上の選択は、波長選択手段3(図1参照)による画素対応ユニットの選択によって行うことができる。
【0074】
また、図7は、色温度補正の空間的選択方法の例を示す。この方法では、カメラのビューファインダーなどにおいて、電気的画面マーカーを設け、画面マーカーX101,X102,Y101,Y102によって囲まれた画面に対応する画素対応ユニット領域を選択し、その領域の回折格子周期dとサブフィールドの組み合わせを選択的に設定できるようにすればよい。さらに簡単には、画面をあらかじめ数個の領域に分割しておき、それぞれの画素対応ユニット領域の回折格子周期とサブフィールドの組み合わせを選択できるようにしてもよい。
【0075】
さらに、本発明のカラー撮像装置1において、波長選択手段3によって、選択する波長範囲を色空間において局所的に任意に限定することによって、局所的な色諧調を拡大することができる。局所的な色諧調を拡大することによって、1フレームの画像の所望の領域を、所望の色諧調の画像情報として得ることができる。図8は、色域拡大の例を示す。例えば、海面流出した油の分布や、水質汚濁などによる水面の微妙な色調変化は、肉眼では知覚できても従来のTVカメラ(ビデオカメラ)でははっきり検出することができない。この場合は、図5に示すように、該当する領域のカメラの色域を水面の色近傍に局在させて色諧調を深くとることにより検出できる。すなわち、波長選択手段3によって、図3に示す1フレームのサブフィールドにおける狭い帯域の波長を、各サブフィールドの色光として選択する、つまり、回折格子周期dの調整範囲を狭い範囲に限定すれば、しかも、その波長の選択範囲を狭く限定する範囲を、図5に示すように、領域的に選択すれば、特定の領域の色域を拡大して、その領域の色諧調を深くすることができる。
【0076】
本発明において、以上のような局所的な色温度の制御および局所的な色諧調の制御は、波長選択手段3による磁化反転素子8Aの選択によって形成される回折格子の回折格子周期dを、時分割された各期間で選択し、さらには、回折反射部2の特定の領域において、その回折格子周期dの調整を、波長選択手段3によって電気的に行うことができる。これによって、本発明のカラー撮像装置1では、色再現において一層臨場感の高い放送を実現でき、また、医療・診断においても、病変組織あるいは生体検査においてテレビによる忠実な色再現が可能になり、医療・診断におけるテレビの応用が拡大できる。さらに、絵画や伝統芸能、伝統工芸品等の記録においても忠実な色再現ができるため、文化財のアーカイブにも貢献できる。
【0077】
さらに、色域の局所的拡大が可能になるため、わずかな色調変化で従来のTVカメラ(ビデオカメラ)では検出が困難であった水質汚濁の監視、海面への油流出の検知が可能となる、など安全・安心確保の面でもTVカメラの応用が拡大できる。また、工業デザインや服飾開発なども、色域の局所的拡大によって、電子データ化することが可能になる。また画面上、領域選択的に色温度補正ができれば、全体照明では実現し得ない局所的色温度選択により特殊演出も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明のカラー撮像装置の構成例を示す模式概念図である。
【図2】回折反射部における光ビームの回折を説明する図である。
【図3】波長選択手段による回折反射光の波長の選択および偏光素子による回折反射光の偏光軸の回転角度の選択を説明する図である。
【図4】1フレームを多数のサブフィールドに時分割した例を示す図である。
【図5】(a)および(b)は、磁化方向を反転させる素子の空間的な選択による色温度の領域選択的な制御の例を示す図である。
【図6】領域選択的な色温度の補正を可能とするカラー撮像装置における回折反射部の例(ハイビジョン用)を示す図である。
【図7】色温度補正の空間的選択方法の例を示す図である。
【図8】色域拡大の例を示す図である。
【図9】(a)〜(d)は、それぞれ従来のカラー撮像装置における色分解の方法を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
1 カラー撮像装置
2 回折反射部
3 波長選択手段
4 光ビーム入射手段
5 偏光素子(偏光手段)
6 撮像素子(撮像手段)
7 基板
8 スピン注入型磁化反転素子(素子)
8A 磁化反転素子
8B 非磁化反転素子
81 スピン固定強磁性層
82 非磁性中間層
83 スピンフリー強磁性層
9 絶縁層
10 下部電極
11 上部透明電極
12 偏光制御手段
13 レンズ
X1,X2,X3、X4,X5,X6,X7,X8,X9,X10,・・・・Xn
下部電極列
Y1,Y2,Y3,Y4,Y5,Y6,Y7,Y8,Y9,Y10,・・・Yn
上部電極列
d 回折格子周期
91 受光面
92 撮像素子
92R,92G,92B 固体撮像素子
93 カラーフィルタ
94 レンズ
95 光源
96 色分解プリズム
96B 青反射ダイクロイックミラー
96R 赤反射ダイクロイックミラー
97R,97B トリミングフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピン注入により磁化方向が反転されることによって、入射した直線偏光光ビームを、その偏光軸を、磁化方向が反転しないスピン注入型磁化反転素子による反射光の偏光軸と反対方向に回転させて反射する複数のスピン注入型磁化反転素子が、基板上にアレイ状に配設された回折反射部と、
前記回折反射部のスピン注入型磁化反転素子の中から、磁化方向を反転させる前記スピン注入型磁化反転素子を、所定の回折格子を形成するように時分割で選択し、選択されたスピン注入型磁化反転素子によって、各時分割された期間毎に、選択されたスピン注入型磁化反転素子によって形成される回折格子の回折格子周期によって、前記回折反射部による回折反射光の波長を選択する波長選択手段と、
前記回折反射部に直線偏光光ビームを入射させる光ビーム入射手段と、
スピン注入により磁化方向が反転された前記スピン注入型磁化反転素子によって偏光軸が回転された回折反射光を透過させる偏光手段と、
前記偏光手段を透過した前記回折反射光を受光して、画像情報を取得する撮像手段と、
を備えることを特徴とするカラー撮像装置。
【請求項2】
前記波長選択手段は、前記撮像手段によって取得される画像情報の1フレームを分割して構成されるサブフィールドの数に対応して前記時分割を行い、各サブフィールドにおいては、前記回折格子の回折格子周期を、各時分割された期間毎に、前記回折反射光の波長の各色光の回折条件を満足するように設定することを特徴とする請求項1に記載のカラー撮像装置。
【請求項3】
前記偏光手段は、前記波長選択手段によって選択され、スピン注入により磁化方向が反転された前記スピン注入型磁化反転素子によって偏光軸が回転された回折反射光のみを透過するように、偏光軸が設定された偏光板であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラー撮像装置。
【請求項4】
前記偏光手段は、前記回折格子の形成による回折反射光の波長の選択と同期して電圧を印加されることによって、前記回折反射光と同じ偏光軸を有するよう液晶の配向を調整可能な液晶偏光素子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラー撮像装置。
【請求項5】
前記波長選択手段および前記偏光手段に接続されるように偏光制御手段をさらに備え、前記偏光制御手段は、前記波長選択手段による回折格子の回折格子周期の設定と、前記偏光手段による前記回折反射光のみを透過するための偏光軸の設定とを、前記サブフィールドの垂直帰線期間内に同期して行うことを特徴とする請求項2または請求項4に記載のカラー撮像装置。
【請求項6】
前記波長選択手段は、前記時分割の期間を選択することによって、前記回折反射光の色温度を制御することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のカラー撮像装置。
【請求項7】
前記波長選択手段は、前記1フレームにおける前記サブフィールドの数の比率を調整することによって、前記回折反射光の色温度を制御することを特徴とする請求項6に記載にカラー撮像装置。
【請求項8】
前記波長選択手段は、磁化方向を反転させる前記スピン注入型磁化反転素子を、前記回折反射部において空間的に選択することによって、前記回折反射光の色温度を、前記1フレームの画像情報の色温度を領域選択的に制御することを特徴とする請求項6または請求項7に記載のカラー撮像装置。
【請求項9】
前記波長選択手段は、選択する波長範囲を色空間において局所的に任意に限定することによって、局所的な色諧調を拡大するようにしたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のカラー撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−272758(P2009−272758A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119813(P2008−119813)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】