説明

スイッチング電源装置

【課題】負荷への過電圧保護のためのラッチ停止機能を利用し、負荷が待受状態とされる無負荷時における省電力化を図るとともに、スイッチングトランスの鳴きを防止して静粛性を高める。
【解決手段】負荷1が待受状態とされる無負荷時に、負荷を制御する主制御部2から電圧上昇回路43への制御により、制御IC420の電源端子P420cに印加される端子電圧を負荷への過電圧保護に必要な閾値電圧と比較して上昇させることにより、トランジスタ41のスイッチング動作をラッチ停止する。また、負荷を制御する主制御部からラッチ解除回路44への制御により、制御IC420の電源端子に印加される端子電圧を、制御IC420が動作する最低動作電圧と比較して電圧降下させることにより、ラッチ停止を解除し、トランジスタ41のスイッチング動作を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源装置に係り、特に、負荷への過電圧保護機能を有するスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のスイッチング電源装置として、(DC−DCコンバータの)出力電流が過大となるのを防止しつつ低コスト化を図ることができるスイッチング電源装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−66329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術に記載した特許文献1のスイッチング電源装置によれば、負荷(同文献における図2に示された符号101、102)が待受状態とされる無負荷時においてもトランジスタ(符号Q1)のスイッチング動作が継続されるため、無負荷であるのにもかかわらず、スイッチングトランス(符号20)やトランジスタ(符号Q1)の動作ロスが発生し、待機状態の消費電力が増大する難点があった。また、低負荷時における消費電力を削減して省電力化を図るにあたっては、トランジスタ(符号Q1)を間欠発振させることが多いものの、この間欠発振に伴い、スイッチングトランス(符号20)に鳴きが発生して静粛性に欠ける難点があった。
【0005】
本発明は、これらの難点を解消するためになされたもので、負荷への過電圧保護のためのラッチ停止機能を利用し、負荷が待受状態とされる無負荷時における省電力化を図るとともに、スイッチングトランスの鳴きを防止して静粛性を高めることができるスイッチング電源装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるスイッチング電源装置は、1次側の直流電圧の電力を2次側に伝達するための1次巻線及び2次巻線並びに1次巻線へのスイッチング動作を制御するための動作電圧を電源供給する補助巻線を有するスイッチングトランスと、補助巻線の出力電圧に基づいてスイッチングトランスを駆動させるためのトランジスタと、トランジスタのスイッチング動作を制御して負荷への過電圧保護を行うための制御ICを有するスイッチング制御回路と、スイッチングトランスの2次巻線の電圧を整流・平滑して負荷に電源供給するための2次側整流平滑回路と、2次側整流平滑回路の出力電圧を制御ICを経由して一定に保つ制御を行うための定電圧制御回路と、負荷が待受状態とされる無負荷時においてトランジスタのスイッチング動作をラッチ停止させるにあたり、制御ICの電源端子に印加される端子電圧を当該負荷への過電圧保護に必要な閾値電圧と比較して上昇させるための電圧上昇回路と、ラッチ停止を解除しトランジスタのスイッチング動作を再開させるにあたり、電源端子に印加される端子電圧を制御ICが動作する最低動作電圧と比較して降下させるためのラッチ解除回路とを備えるものである。
【0007】
また、本発明の第2の態様であるスイッチング電源装置は、本発明の第1の態様において、電圧上昇回路は、負荷を制御するための主制御部によりオン/オフが切換わる電圧上昇用トランジスタと、電圧上昇用トランジスタがオン状態のとき制御ICの電源端子に印加される端子電圧を上昇させるための電圧調整抵抗とを有するものである。
【0008】
また、本発明の第3の態様であるスイッチング電源装置は、本発明の第1の態様において、ラッチ解除回路は、負荷を制御するための主制御部によりオン/オフが切換わるラッチ解除用トランジスタと、スイッチング動作時にスイッチング制御回路のコンデンサに蓄えられた電荷をラッチ解除用トランジスタがオン状態のときに放電するための放電抵抗とを有するものである。
【0009】
また、本発明の第4の態様であるスイッチング電源装置は、本発明の第2の態様において、主制御部は、電圧上昇用トランジスタをオン/オフ切換えるための電圧上昇用ダイオードを有するものである。
【0010】
また、本発明の第5の態様であるスイッチング電源装置は、本発明の第3の態様において、主制御部は、ラッチ解除用トランジスタをオン/オフ切換えるためのラッチ解除用ダイオードと、スイッチング動作時に電荷を蓄えるための蓄電池、コンデンサ等の蓄電部と、蓄電部に蓄えられた電荷をラッチ解除用ダイオードに電源供給するためのスイッチとを有するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスイッチング電源装置によれば、負荷が待受状態とされる無負荷時に、当該負荷を制御する主制御部から電圧上昇回路への制御により、制御ICの電源端子に印加される端子電圧を当該負荷への過電圧保護に必要な閾値電圧と比較して上昇させることにより、トランジスタのスイッチング動作がラッチ停止し、省電力化が図られるばかりでなく、トランジスタを間欠発振させる必要がないため、スイッチングトランスの鳴きの発生を防止でき静粛性が高められる。また、同様に当該負荷を制御する主制御部からラッチ解除回路への制御により、制御ICの電源端子に印加される端子電圧を、当該制御ICが動作する最低動作電圧と比較して降下(電圧降下)させることにより、ラッチ停止が解除され、トランジスタのスイッチング動作が再開する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例によるスイッチング電源装置の具体的な構成を示す回路ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のスイッチング電源装置を適用した実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施例によるスイッチング電源装置の具体的な構成を示す回路ブロック図である。このスイッチング電源装置には、家電機器等の負荷1と、負荷1を制御するための主制御部2と、交流電源(商用電源)3と、交流電源3からの交流電圧Vinが印加され、この交流電圧Vinを直流電圧に変換するための電源入力制御部4と、負荷1及び主制御部2をそれぞれ動作させるための出力電圧Voutを生成する電源出力制御部5と、1次側である電源入力制御部4及び2次側である電源出力制御部5の間を絶縁し、1次側の直流電圧を2次側に伝達するためのスイッチングトランス6と、負荷1及び主制御部2がそれぞれ接続される2つの端子(以下、それぞれ出力端子、GND端子という。)P1、P2とが設けられている。
【0015】
このスイッチング電源装置において、スイッチングトランス6には、1次側である電源入力制御部4からの直流電圧を2次側である電源出力制御部5に伝達するための1次巻線60及び2次巻線61と、1次巻線60へのスイッチング動作を制御するための動作電圧を電源供給する補助巻線62とが備えられている。
【0016】
次に、電源入力制御部4には、交流電源3からの交流電圧Vinを整流・平滑して直流電圧に変換するための1次側整流平滑回路40と、スイッチングトランス6を構成する補助巻線62からの電源供給に基づいて1次巻線60のスイッチング動作を行うための(NPN型の)トランジスタ41と、トランジスタ41のスイッチング動作、すなわち、オン/オフの切換えを制御するための制御IC420を有するスイッチング制御回路42と、負荷1が待受状態とされる無負荷時においてトランジスタ41のスイッチング動作をラッチ停止させるにあたり、制御IC420の電源端子P420cに印加される端子電圧を当該負荷への過電圧保護に必要な閾値電圧と比較して上昇させるための電圧上昇回路43と、前述のラッチ停止を解除しトランジスタ41のスイッチング動作を再開させるにあたり、電源端子P420cに印加される端子電圧を制御IC420が動作する最低動作電圧と比較して降下させるためのラッチ解除回路44とが備えられている。
【0017】
この電源入力制御部4において、1次側整流平滑回路40は、ダイオードブリッジDB、コンデンサC1を有している。また、スイッチング制御回路42は、ダイオードD1、コンデンサC2、抵抗R1、第1のフォトカプラPC1を構成する(NPN型の)トランジスタ(以下、スイッチング制御用トランジスタという。)Q1、制御IC420を有している。また、電圧上昇回路43は、抵抗(以下、電圧調整抵抗という。)R2、第2のフォトカプラPC2を構成する(NPN型の)トランジスタ(以下、電圧上昇用トランジスタという。)Q2を有している。さらに、ラッチ解除回路44は、抵抗(以下、放電抵抗という。)R3、第3のフォトカプラPC3を構成する(NPN型の)トランジスタ(以下、ラッチ解除用トランジスタ)Q3を有している。
【0018】
電源入力制御部4の具体的な接続の態様として、1次側整流平滑回路40を構成するダイオードブリッジDBの整流側の一方及び他方間には、交流電源3が並列接続されている。また、ダイオードブリッジDBの(+)端子及び(−)端子の両端子間には、コンデンサC1が並列接続されている。また、ダイオードブリッジDBの(+)端子には、スイッチングトランス6を構成する1次巻線60(の両端)を経由して、スイッチング制御回路42を構成するトランジスタ41のコレクタが接続されており、このトランジスタ41のエミッタには、スイッチング制御回路42を構成する抵抗R1を経由して基準電位点が接続されている。また、トランジスタ41のベースには、制御IC420の制御端子P420aが接続されている。また、ダイオードブリッジDBの(+)端子と1次巻線60との間には、電圧上昇回路43を構成する電圧調整抵抗R2を経由して第2のフォトカプラPC2を構成する電圧上昇用トランジスタQ2のコレクタが接続されており、このトランジスタQ2のエミッタには、スイッチング制御回路42を構成するコンデンサC2を経由して基準電位点が接続されている。
【0019】
スイッチング制御回路42を構成する制御IC420において、フィードバック端子P420bには、第1のフォトカプラPC1を構成するスイッチング制御用トランジスタQ1を経由して基準電位点が接続されている。また、電源端子P420cには、ダイオードD1、スイッチングトランス6を構成する補助巻線62(の両端)を順次経由して基準電位点が接続されている。さらに、OCP端子P420dには、抵抗R1を経由して基準電位点が接続されている。
【0020】
ラッチ解除回路44において、放電抵抗R3の一端側は、電圧上昇回路43の第2のフォトカプラPC2を構成する電圧上昇用トランジスタQ2のエミッタとスイッチング制御回路42を構成するコンデンサC2との間に接続されており、この抵抗R3の他端側には、第3のフォトカプラPC3を構成するラッチ解除用トランジスタQ3を経由して基準電位点が接続されている。
【0021】
次に、電源出力制御部5には、スイッチングトランス6を構成する1次巻線60から誘起された後、2次巻線61にて受電される直流電圧を整流・平滑して出力電圧Voutを生成し、負荷1及び主制御部2にそれぞれ電源供給するための2次側整流平滑回路50と、2次側整流平滑回路50の出力電圧Voutを、電源入力制御部4のスイッチング制御回路42を構成する制御IC420を経由して一定に保つ制御を行うための定電圧制御回路51とが備えられている。
【0022】
この電源出力制御部5において、2次側整流平滑回路50は、ダイオードD2、コンデンサC3を有している。また、定電圧制御回路51は、抵抗(分圧抵抗を含む。)R4〜R7、第1のフォトカプラPC1を構成するダイオード(以下、スイッチング制御用ダイオードという。)D3、シャントレギュレータSRを有している。
【0023】
電源出力制御部5の具体的な接続の態様として、2次側整流平滑回路50を構成するダイオードD2のアノードには、スイッチングトランス6を構成する2次巻線61(の両端)を経由して基準電位点が接続されており、このダイオードD2のカソードには、出力端子P1が接続されている。また、ダイオードD2のカソード及び出力端子P1間には、コンデンサC3が並列接続されているとともに、定電圧制御回路51を構成する抵抗R6、抵抗R7を順次経由して基準電位点が接続されている。さらに、2次巻線61の他端及びGND端子P2間には、基準電位点が接続されている。
【0024】
定電圧制御回路51において、第1のフォトカプラPC1を構成するスイッチング制御用ダイオードD3のアノードは、抵抗R4を経由して2次側整流平滑回路50を構成するダイオードD2のカソード及び出力端子P1間に接続されている。また、スイッチング制御用ダイオードD3のカソード及びシャントレギュレータSRのカソード間は、抵抗R5を経由して、2次側整流平滑回路50を構成するダイオードD2のカソード及び出力端子P1間に接続されている。また、シャントレギュレータSRのリファレンスは、直列接続された抵抗R6、抵抗R7の間に接続されており、出力端子P1の電位を分圧して当該シャントレギュレータのリファレンスに供給している。さらに、シャントレギュレータSRのアノードには、基準電位点が接続されている。
【0025】
次に、主制御部2には、ダイオードD4、コンデンサC4、抵抗R8、スイッチSW、第2のフォトカプラPC2を構成するダイオード(以下、電圧上昇用ダイオードという。)D5、第3のフォトカプラPC3を構成するダイオード(以下、ラッチ解除用ダイオードという。)D6、CPU200を有している。なお、コンデンサC4は、電源入力制御部4を構成するトランジスタ41のスイッチング動作時において、電源端子P1に印加される出力電圧Voutに基づく電荷を蓄えるための蓄電部を構成するものであり、このような蓄電部としては、コンデンサC3の態様のみならず、例えば、蓄電池を適用することもできる。
【0026】
主制御部2の具体的な接続の態様として、ダイオードD4のアノードには、出力端子P1が接続されており、そのカソードには、コンデンサC4を経由して基準電位点が接続されている。また、ダイオードD4のカソード及びコンデンサC4間には、スイッチSW、第3のフォトカプラPC3を構成するラッチ解除用ダイオードD6を順次経由して基準電位点が接続されている。また、CPU200において、電源端子P200aには、出力端子P1が接続されており、第1の制御端子P200bには、抵抗R8、第2のフォトカプラPC2を構成する電圧上昇用ダイオードD5を順次経由して基準電位点が接続され、さらに、第2の制御端子P200cには、スイッチSWをオン/オフ切換えるように当該スイッチが接続されている。
【0027】
このように構成された本発明の実施例によるスイッチング電源装置において、以下、具体的な動作について説明する。
【0028】
図1において、電源入力制御部4の1次側整流平滑回路40を構成するダイオードブリッジDBの整流側の一方及び他方の両端間に、交流電源3からの交流電圧Vinが印加されると、この交流電圧Vinは、ダイオードブリッジDBを経由して整流された後、コンデンサC1を経由して平滑されることにより、直流電圧が生成される。また、前述の直流電圧は、スイッチングトランス6を構成する1次巻線60に印加されるため、スイッチング制御回路42を構成する制御IC420の電源端子P420cの端子電圧は所定の最低動作電圧が確保されることにより、この制御IC420が駆動して動作状態となり、当該制御ICの制御端子P420aからトランジスタ41にベース電流が電源供給され、このトランジスタ41がオフ状態からオン状態に切換えられる。さらに、前述のようにスイッチングトランス6を構成する1次巻線60に直流電圧が印加されると、この1次巻線60から誘起された(+)電圧が補助巻線62にて受電されるとともに、同様に誘起された(−)電圧が2次巻線61にて受電される。
【0029】
また、スイッチングトランス6を構成する補助巻線62にて受電された(+)電圧は、電源入力制御部4のスイッチング制御回路42を構成するダイオードD1、コンデンサC2を経由して整流・平滑された後、制御IC420の電源端子P420cに印加されることにより、この電源端子P420cの端子電圧は、当該制御ICを動作させる最低動作電圧の電圧レベルよりも十分に高い一方、後述する負荷1への過電圧保護に必要な閾値電圧(以下、スレッシュ電圧という。)の電圧レベルよりも十分に低い値で確保される。このような電源供給が行われると、制御IC420は、トランジスタ41をオン状態のまま保持することができる。
【0030】
一方、スイッチングトランス6を構成する2次巻線61にて受電された(−)電圧は、電源出力制御部5の2次側整流平滑回路50を構成するダイオードD2に逆方向の電圧で印加されるため、出力電圧Voutが生成されることはなく、これと同時に、補助巻線62に接続された(電源入力制御部4の)スイッチング制御回路42を構成する制御IC420の制御端子P420cまでの電源供給路が形成され、形成された電源供給路上のコンデンサC2を充電させ電荷を蓄える。このとき、制御IC420の電源端子P420cに印加される端子電圧は、前述の最低動作電圧の電圧レベルよりも十分に高い一方、スレッシュ電圧の電圧レベルよりも十分に低い値で確保されているため、これを検出した制御IC420は、トランジスタ41をオン状態からオフ状態に切換えることで1次巻線60に逆起電力が発生する。これにより、1次巻線60から誘起された(−)電圧が補助巻線62にて受電されるとともに、同様に誘起された(+)電圧が2次巻線61にて受電される。
【0031】
また、スイッチングトランス6を構成する補助巻線62にて受電された(−)電圧は、前述の(+)電圧の電源供給時と同様、ダイオードD1、コンデンサC2を順次経由して整流・平滑された後、制御IC420の電源端子P420cに印加されることになる。このような電源供給が行われると、制御IC420は、トランジスタ41をオフ状態のまま保持することができる。
【0032】
さらに、スイッチングトランス6を構成する2次巻線61にて受電された(+)電圧は、電源出力制御部5の2次側整流平滑回路50を構成するダイオードD2に順方向の電圧で印加されるため、コンデンサC3が充電されるとともに放電状態となって出力電圧Voutを生成し、この後、2次巻線61のエネルギーが放出され、当該2次巻線の(−)電圧及び補助巻線62の(+)電圧がそれぞれ「0V」になると、トランジスタ41はオフ状態から反転して、再びオン状態に切換えられる。
【0033】
すなわち、前述までの動作が繰返されることによって、電源入力制御部4を構成するトランジスタ41のオン(オン状態)/オフ(オフ状態)が切換えられるようなスイッチング動作が継続する。
【0034】
次に、電源出力制御部5の定電圧制御回路51を構成する抵抗R6、抵抗R7を経由して分圧された出力電圧Voutにより、シャントレギュレータSRに流れ込むシャント電流が所定の閾値(電流量)を超えると、このシャントレギュレータSRはオフ状態からオン状態に切換えられ、抵抗R9を経由してアノード電流が流れ込む第1のフォトカプラPC1を構成するスイッチング制御用ダイオードD3をオフ状態からオン状態に切換えることができる。また、この動作に連動するフィードバック制御によって、(電源入力制御部4の)スイッチング制御回路42の第1のフォトカプラPCを構成するスイッチング制御用トランジスタQ1は、オフ状態からオン状態に切換えられる。
【0035】
ここで、出力電圧Voutが上昇した場合には、電源出力制御部5の定電圧制御回路51を構成するシャントレギュレータSRが電流を引き込み、第1のフォトカプラPC1を構成するスイッチング制御用ダイオードD3に電流を流すことにより、(電源入力制御部4の)スイッチング制御回路42の第1のフォトカプラPC1を構成するスイッチング制御用トランジスタQ1のインピーダンスを下げることで、出力電圧Vout(の電圧レベル)を低下させて定電圧制御を行うことができる。一方、出力電圧Voutが低下した場合には、シャントレギュレータSRが電流を引込まず、スイッチング制御用ダイオードD4に電流を流さないことにより、スイッチング制御用トランジスタQ1のインピーダンスを上げることで、出力電圧Vout(の電圧レベル)を上昇させて定電圧制御を行うことができる。
【0036】
なお、電源出力制御部5の定電圧制御回路51により定電圧制御された出力電圧Voutは、電源端子P1を経由して負荷1に印加され当該負荷の動作電源となるばかりでなく、同様な電源端子P1を経由して主制御部2を構成するCPU200の電源端子P200aに印加され当該CPUの動作電源となり、さらには、ダイオードD4、コンデンサC4を経由して整流・平滑された後、このコンデンサC4を充電させて電荷を蓄えることができる。
【0037】
次に、前述のような電源入力制御部4を構成するトランジスタ41のスイッチング動作が継続している状態において、出力端子P1及びGND端子P2にそれぞれ接続された負荷1にて例えば、故障、破損等が発生し、出力電圧Voutが異常上昇して(例えば、軽度の)過電圧になると、この過電圧は、スイッチングトランス6を構成する2次巻線61から誘起された後、補助巻線62にて受電される。なお、補助巻線62にて受電された過電圧の電圧レベルは、当該補助巻線の巻数及び2次巻線61の巻数に対応して、当該2次巻線に発生した(+)電圧の電圧レベルよりも低い値であり、電源入力制御部4のスイッチング制御回路42を構成するダイオードD1を導通させ、このダイオードD1、コンデンサC2を経由して整流・平滑された後、制御IC420の電源端子P420cに印加される。
【0038】
また、電源入力制御部4のスイッチング制御回路42を構成する制御IC420は、電源端子P420cに印加された端子電圧が、負荷1への過電圧保護に必要なスレッシュ電圧よりも高いことを検出し、制御端子P420aにベースが接続されたトランジスタ41へのスイッチング動作を制御して、その動作をラッチ停止させることができる。これにより、安全かつ確実に過電圧の発生から負荷1が保護される。
【0039】
次に、前述と同様、電源入力制御部4を構成するトランジスタ41のスイッチング動作が継続している状態において、負荷1の動作を監視・制御している主制御部2のCPU200は、この負荷1が無負荷の待受状態であると検出すると、第1の制御端子P200bに接続された抵抗R8を経由して例えば、ワンパルスのアノード電流が流れ込む第2のフォトカプラPC2を構成する電圧上昇用ダイオードD54をオフ状態からオン状態に切換えることができる。また、この動作に連動するフィードバック制御によって、(電源入力制御部4の)電圧上昇回路43の第2のフォトカプラPC2を構成する電圧上昇用トランジスタQ2は、オフ状態からオン状態に切換えられる。
【0040】
ここで、前述のように、(電源入力制御部4の)電圧上昇回路43の第2のフォトカプラPC2を構成する電圧上昇用トランジスタQ2がオフ状態からオン状態に切換えられると、1次側整流平滑回路40にて生成された直流電圧の電圧レベルが、電圧上昇回路43の電圧調整抵抗R2を経由して調整され、オン状態の電圧上昇用トランジスタQ2を経由して制御IC420の電源端子P420cに印加される。この電源端子P420cの端子電圧は、負荷1への過電圧保護に必要なスレッシュ電圧と比較して上昇するため、これを確認した制御IC420は、制御端子P420aにベースが接続されたトランジスタ41のスイッチング動作を制御して、その動作をラッチ停止させることができる。これにより、負荷1が無負荷の待受状態であるとき、負荷1を制御する主制御部2から電圧上昇回路43への制御によって速やかにトランジスタ41のスイッチング動作を制御し、その動作をラッチ停止させることができるため、省電力化が図られるばかりでなく、トランジスタ41を間欠発振させる必要がないため、スイッチングトランス6の鳴きの発生を防止でき静粛性が高められる。
【0041】
なお、ラッチ停止中において、主制御部2のCPU200は、二次電池やコンデンサ等の図示しない蓄電部により動作する。
【0042】
次に、前述のようなラッチ停止された電源入力制御部4を構成するトランジスタ41のスイッチング動作を再開させるにあたって、主制御部2のCPU200は、第2の制御端子P200cからスイッチSWに例えば、ワンパルスの制御信号を送出して当該スイッチをオフ状態からオン状態に切換えることにより、前述のスイッチング動作時においてコンデンサC4に蓄えられた電荷が放電し、第3のフォトカプラPC3を構成するラッチ解除用ダイオードD6をオフ状態からオン状態に切換えることができる。また、この動作に連動するフィードバック制御によって、(電源入力制御部4の)ラッチ解除回路44の第3のフォトカプラPC3を構成するラッチ解除用トランジスタQ3は、オフからオンに切換えられる。
【0043】
ここで、前述のように、(電源入力制御部4の)ラッチ解除回路44の第3のフォトカプラPC3を構成するラッチ解除用トランジスタQ3がオフ状態からオン状態に切換えられると、前述のスイッチング動作時においてスイッチング制御回路42を構成するコンデンサC2に蓄えられた電荷が放電し、抵抗3にて消費されることにより、制御IC420の電源端子P420cの端子電圧が降下(電圧降下)する。この端子電圧が、制御IC420を動作させる最低動作電圧と比較して下回ると、制御IC420の動作が再開するため、ラッチ停止は解除され、トランジスタ41のスイッチング動作についても再開されることになる。
【0044】
前述までの説明から明らかなように、本発明のスイッチング電源装置における実施例によれば、負荷1が待受状態とされる無負荷時に、当該負荷を制御する主制御部2から電圧上昇回路43への制御により、制御IC420の電源端子P420cに印加される端子電圧を当該負荷への過電圧保護に必要な閾値電圧(スレッシュ電圧)と比較して上昇させることにより、トランジスタ41のスイッチング動作がラッチ停止し、省電力化が図られるばかりでなく、トランジスタ41を間欠発振させる必要がないため、スイッチングトランス6の鳴きの発生を防止でき静粛性が高められる。また、同様に当該負荷を制御する主制御部2からラッチ解除回路44への制御により、制御IC420の電源端子P420cに印加される端子電圧を、当該制御ICが動作する最低動作電圧と比較して降下(電圧降下)させることにより、ラッチ停止が解除され、トランジスタ41のスイッチング動作が再開する。
【0045】
なお、本発明のスイッチング電源装置においては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成のスイッチング電源装置であっても採用できるということはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0046】
1……負荷
2……主制御部
D4……ダイオード
C4……コンデンサ(蓄電部)
SW……スイッチ
6……スイッチングトランス
60……1次巻線
61……2次巻線
62……補助巻線
41……トランジスタ
42……スイッチング制御回路
C2……コンデンサ
420……制御IC
P420c…電源端子
43……電圧上昇回路
R2……電圧調整抵抗
Q2……電圧上昇用トランジスタ
44……ラッチ解除回路
R3……放電抵抗
Q3……ラッチ解除用トランジスタ
50……2次側整流平滑回路
51……定電圧制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側の直流電圧の電力を2次側に伝達するための1次巻線(60)及び2次巻線(61)並びに前記1次巻線へのスイッチング動作を制御するための動作電圧を電源供給するための補助巻線(62)を有するスイッチングトランス(6)と、
前記補助巻線の出力電圧に基づいて前記スイッチングトランスを駆動させるためのトランジスタ(41)と、
前記トランジスタのスイッチング動作を制御して負荷(1)への過電圧保護を行うための制御IC(420)を有するスイッチング制御回路(42)と、
前記スイッチングトランスの前記2次巻線の電圧を整流・平滑して前記負荷に電源供給するための2次側整流平滑回路(50)と、
前記2次側整流平滑回路の出力電圧を前記制御ICを経由して一定に保つ制御を行うための定電圧制御回路(51)と、
前記負荷が待受状態とされる無負荷時において前記トランジスタのスイッチング動作をラッチ停止させるにあたり、前記制御ICの電源端子(P420c)に印加される端子電圧を当該負荷への過電圧保護に必要な閾値電圧と比較して上昇させるための電圧上昇回路(43)と、
前記ラッチ停止を解除し前記トランジスタのスイッチング動作を再開させるにあたり、前記電源端子に印加される前記端子電圧を前記制御ICが動作する最低動作電圧と比較して降下させるためのラッチ解除回路(44)とを備えることを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記電圧上昇回路は、前記負荷を制御するための主制御部(2)によりオン/オフが切換わる電圧上昇用トランジスタ(Q2)と、前記電圧上昇用トランジスタがオン状態のとき前記制御ICの前記電源端子に印加される前記端子電圧を上昇させるための電圧調整抵抗(R2)とを有することを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記ラッチ解除回路は、前記負荷を制御するための主制御部(2)によりオン/オフが切換わるラッチ解除用トランジスタ(Q3)と、前記スイッチング動作時に前記スイッチング制御回路のコンデンサ(C2)に蓄えられた電荷を前記ラッチ解除用トランジスタがオン状態のときに放電するための放電抵抗(R3)とを有することを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記主制御部は、前記電圧上昇用トランジスタをオン/オフ切換えるための電圧上昇用ダイオード(D5)を有することを特徴とする請求項2記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記主制御部は、前記ラッチ解除用トランジスタをオン/オフ切換えるためのラッチ解除用ダイオード(D6)と、前記スイッチング動作時に電荷を蓄えるための蓄電池、コンデンサ等の蓄電部(C4)と、前記蓄電部に蓄えられた電荷を前記ラッチ解除用ダイオードに電源供給するためのスイッチ(SW)とを有することを特徴とする請求項3記載のスイッチング電源装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−70576(P2013−70576A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209020(P2011−209020)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】