説明

セラミックの厚肉押出成形体の乾燥加熱矯正法

【課題】水系押出成形体の成形精度の向上、特に厚肉長尺型成形体の乾燥工程における変形、寸法変化を抑制できる混合混練物の組成および成形体の乾燥加熱矯正法を提供する。
【解決手段】半導体製造プロセス用SiC部材の製造方法として、SiCの粉体と、水溶性樹脂を主成分とするバインダーと、水とを含む混練材料を混練して混合混練物を得る混練工程と、前記混合混練物を押出成形して成形体を得る成形工程と、高湿環境下で、前記成形体全体を均温化して乾燥体を得る乾燥工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造の熱処理プロセスに用いられる、厚肉長尺型処理冶具の製造方法に関し、特に乾燥加熱矯正法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセス用SiC製治具(以下、単に冶具ともいう)には、半導体ウエハーを処理する際の高効率化のために、高い寸法精度が要求される。このため、冶具の成形の各工程においても、高い寸法精度が求められる。中でも成形工程および、成形工程後の各工程において、成形体の変形を抑制することはきわめて重要である。従って、冶具の製造プロセスとしては、主に高い寸法精度を実現できる方法を選択する。
【0003】
冶具の成形方法の1つに、押出成形がある。これは、原料として混練物を押出成形機に投入し、所望のサイズと形状を備える成形体を押し出す方法である。成形段階で所望の寸法精度が確保できるので、成形工程後の各工程においても成形体の寸法変化を所定範囲内に抑えることができれば、最終的に高い寸法精度を実現できる。
【0004】
押出成形の原料である混練物として、セラミック粉と水溶性樹脂を主成分とするバインダーと水との混合混練物、セラミック粉と樹脂の混合混練物などがある。セラミック粉と樹脂の混合混練物を原料とする押出成形(以下、樹脂系押出成形ともいう)は、成形直後に形状が決定でき、加えて成形直後にサイジング等の形状精度向上が図れる。
【0005】
一方、樹脂系押出成形においては、セラミック粉と先の樹脂との混合混練物による成形体を焼成しセラミック化する際に、樹脂を徐々に分解させ、ガス化または低分子化させる工程を経る必要がある。この工程は一般に、脱脂工程と呼ばれている。脱脂工程では、樹脂を構成している大量の高分子がガス化または低分子化するのに伴って、成形体内部に気泡、クラックを発生させる。加えて、高分子が熱分解する際に、環境負荷となるおそれのある成分が発生するおそれもある。このため、焼成炉に、排ガスの処理設備や、高分子が熱分解して発生した低分子物質液体の捕集回収設備などの環境対策設備が必要である。
【0006】
これに対して、セラミック粉と水溶性樹脂を主成分とするバインダーと水との混合混練物では、樹脂系押出成形用の混合混練物中の樹脂の代わりに、水と水溶性樹脂とがセラミック粒子間の結合作用を担っている。すなわち、樹脂に相当する部分の70%以上が水、残りが水溶性樹脂とで構成されている。混合混練物中に含まれる水は、成形体を得た後、乾燥させることによって除去できる。このため、セラミック粉と水溶性樹脂を主成分とするバインダーと水との混合混練物を原料とする押出成形(以下、水系押出成形ともいう)では、脱脂工程で起こりうる樹脂のガス化に伴う、成形体内部の気泡やクラックの発生を著しく低減でき、同時に先に述べた環境対策設備が縮小または不要にできる。このような状況から、水系押出成形が見直されている。たとえば特許文献1〜4には、水系押出成形によるばね製造方法が開示されている。
【0007】
水系押出成形を用いたセラミック製品としては、自動車用触媒担持体としてのハニカム構造体や、電子基板等もある。これらの成形体の壁や板の厚さは(以下、肉厚ともいう)1mm(ミリメートル)以下のものがほとんどである。このような製品の製造工程、特に乾燥工程においては、成形体を、押出成形に使用されている水溶性樹脂溶液のゲル化温度以上に急速に加熱して成形体を硬化させることによって、成形後の変形を抑制している。この時の乾燥法には、マイクロ波照射による加熱や、遠赤外線照射による加熱、熱風による加熱、およびそれらの組み合わせ等の選択肢がある。このような乾燥法はいずれも、成形体内外の温度分布をできるだけ小さくし、急速昇温することで押出成形体を均一にゲル化させ成形体の変形を最小化する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平1−110905号公報
【特許文献2】特開平1−110906号公報
【特許文献3】特開平1−110907号公報
【特許文献4】特開平2−283658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方、同様に水系押出成形を用いたセラミック製品である半導体製造プロセス用SiC製治具は、肉厚5mm以上の厚みがあり、かつ長尺で大型の成形体(以下、厚肉長尺型成形体ともいう)である。このような成形体に対して先述のような急速加熱による乾燥法を適用しても、成形体の変形を抑制することは困難である。これは、このような厚肉長尺型成形体を急速加熱すると、成形体の表面と内部との間に、温度分布および湿度(水分)分布が発生し、そりやうねりなどの変形や割れを引き起こしてしまうためである。
【0010】
本発明は、このような課題を鑑み、水系押出成形体の成形精度の向上、特に厚肉長尺型成形体の乾燥工程における変形、寸法変化を抑制できる混合混練物の組成および成形体の乾燥加熱矯正法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、SiCの粉体と、水溶性樹脂を主成分とするバインダーと、水とを含む混練材料を混練して混合混練物を得る混練工程と、前記混合混練物を押出成形して成形体を得る成形工程と、高湿環境下で、前記成形体全体を均温化して乾燥体を得る乾燥工程と、を有する半導体製造プロセス用SiC部材の製造方法である。
【0012】
前記水溶性樹脂としてメチルセルロースとポリアルキレングリコールを含んでもよい。
【0013】
少なくとも2回以上設定温度を変更し、各設定温度において前記成形体全体を均温化することを繰り返して乾燥してもよい。
【0014】
前記成形体を、樹脂製ラップで露出の無いように包み、50〜70℃で維持して前記成形体全体を均温化した後、乾燥矯正冶具にて保持して、さらに50〜70℃で維持して前記成形体全体を均温化して乾燥してもよい。
【0015】
前記水溶性樹脂として、混練材料の総量に対して3.5〜7.5質量%、かつ水に溶解させた水溶液濃度15〜25質量%としたメチルセルロースと、メチルセルロースに対する質量比が0.67〜1.5であるポリアルキレングリコールとを含んでもよい。
【0016】
前記SiCの粉体の平均粒径が1〜10μmであり、SiCの粉体の割合は混練材料の総量に対して66〜78質量%含んでもよい。
【0017】
前記ポリアルキレングリコールとして、分子量200超〜600未満のポリエチレングリコールを含んでもよい。
【発明の効果】
【0018】
厚肉長尺型冶具の製造において、本発明に開示のセラミック粉と水溶性樹脂を主成分とするバインダーと水との混合混練物を押出成形し、乾燥加熱矯正方法を適用することによって、特に乾燥工程においてそりやうねりなどの変形や割れを防ぎ、優れた成形寸法精度にて製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による、半導体製造プロセス用SiC部材の製造プロセスの工程概略図。
【図2】本発明で使用される押出成形機の例。
【図3】本発明の乾燥工程で使用される乾燥条件の例。
【図4】本発明の乾燥工程で使用される乾燥加熱矯正冶具の例。
【図5A】本発明による厚肉長尺成形体で、円弧断面形状柱の例。
【図5B】本発明による厚肉長尺成形体で、角断面形状柱の例。
【図6A】本発明中でのそり量についての説明図。
【図6B】本発明中でのそり量についての説明図。
【図7A】本発明中でのうねり量についての説明図。
【図7B】本発明中でのうねり量についての説明図。
【図8A】押出成形不良時に発生する欠陥例で、ラミネーションの例。
【図8B】押出成形不良時に発生する欠陥例で、クラックの例。
【図8C】押出成形不良時に発生する欠陥例で、成形体表面に発生する肌荒れの例。
【図8D】押出成形不良時に発生する欠陥例で、成形体角に発生する肌荒れの例。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、半導体製造プロセス用SiC部材の押出成形法による工程概略図である。本発明では、このうち混練、成形、乾燥工程に関する部分を中心に説明する。すなわち、原料を調合・混練して混合混練物とし、押出成形機にて成形し、乾燥する工程である。
【0021】
本発明の適用が好適な例として、肉厚5mm以上の厚肉長尺型冶具を図5A、図5Bに示す。図5Aは、円弧断面形状の厚肉長尺品の例で、長さ(記号A)1200mm、高さ(記号B)50mm、肉厚(記号C)5mmの製品である。図5Bは、角柱断面形状の厚肉長尺品の例で、長さ(記号A)1200mm、高さ(記号B)20mm、肉厚(記号C)25mmである。これらのような厚肉長尺品において、たとえばそりやうねりの量が0.5mm以内と高い成形寸法精度が必要であり、成形工程および乾燥工程でのそりやうねりなどの変形を低減、抑制する必要がある。そりやうねりなどの変形は、成形体の内外での温度分布や、水分量分布、ばらつきなどに起因して発生すると考えられるため、混合混練物の組成と、混練工程から乾燥工程までの水分量コントロールが特に重要である。
【0022】
<混練工程>
まず混練する材料(以下、混練材料ともいう)は、本質的に、SiC粉体と、水溶性樹脂を主成分とするバインダーと、水と、を含む。このような、水を含む原料による押出成形は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの熱可塑性樹脂を含む樹脂系押出成形と比較すると、焼成工程においてガス等を発生しないため、環境対策設備の負荷を軽減できる。
【0023】
混練材料の総量に対するSiCの粉体の割合は、66〜78質量%が好ましい。66質量%未満では、寸法精度を保つことが困難になり、また78質量%を超えると、可塑性が不足して押出成形が困難になる。さらに、68〜74質量%がより好ましい。68質量%以上では、成形後の自重による変形を抑制できるので、より好ましい。SiCの粉体の割合が多いほど、混練材料を混合し混練したもの(以下、混合混練物ともいう)の粘度が増大する。このため、混練材料を混練する押出混練機や撹拌式のバッチ処理型混練機や押出成形機内において、混合混練物と、混合混練物を加圧する機械部品との接触の増加によって表面摩耗が増大し、それによって不純物金属の混入の増加が懸念される。さらに、押出成形機内での磨耗が増加することによって、Fe、Cr、Ni等不純物金属が混入し、一般的なセラミックであるアルミナ、ジルコニア等の白色セラミックでは黒色化等の変色を起こす原因となる。74質量%以下とすると混合混練物の粘度が適度になるので、好ましい。半導体製造プロセス用として重要なSiC純度を確保する観点からも、68〜74質量%がより望ましい。
【0024】
SiCの平均粒子直径(以下、平均粒径ともいう)は、押出成形に対応するために、100μm以下が好ましい。SiCは極めて硬度の高い物質であり、平均粒径の大きいSiCを使用すると、押出混練機や攪拌式のバッチ処理型混練機や押出成形機においてSiC粉はそのまま研磨剤として働き、粉と装置間の摩擦の際の研磨作用によって不純物金属の混入がより多くなるためである。摩耗低減の観点からは、SiCの平均粒径は10μm以下がより好ましい。最も好ましくは1μm以上5μm以下である。このような平均粒径の範囲では、SiCの粒子間を埋めるSiが微細ネットワークを組むようになり、製品としても高強度にできる。また1μmより細かいと、金属Si含浸工程において冷却時のSi(シリコン)が膨張してクラックを発生するおそれがある。なお、本明細書において、平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布によって測定した値をいう。
【0025】
バインダー主成分である水溶性樹脂として、混練時に有機バインダーとして機能するものと、SiCの粉体との混合時にSiC粒子の表面処理剤として機能するものとを両方含むことが好ましい。たとえばメチルセルロース(以下、MCともいう)と、ポリアルキレングリコールとを両方含むことが好ましい。メチルセルロースは混練時の有機バインダーとして、またポリアルキレングリコールはSiCの粉体との混合時に表面処理剤として、それぞれ機能する。このように、バインダー主成分である水溶性樹脂としては、成形工程中において可塑性を付与すること、各工程において保形性を維持できることなど考慮して、乾燥工程中を含む広い温度範囲で成形体の変形を防止する「のり」として機能しうるように、材料や添加量を調整する。以下に説明する。
【0026】
混練時に有機バインダーとして機能する水溶性樹脂としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース塩、PVA(ポリビニルアルコール)などや、それらに水溶性フェノール樹脂を混合した樹脂などが適する。また、これらの樹脂を適宜混合して使用できる。混練材料の総量に対する有機バインダーとして機能する水溶性樹脂の割合は、3.5〜7.5質量%が好ましい。3.5質量%未満では、成形圧力によって混練材料中においてSiC粉の分布の不均一が起こりやすくなる。不均一部分が発生すると、SiC粉の凝集部分が形成されて、押出成形機や押出混練機内での詰まりや、流動の不均一を招き、成形性を低下させる懸念がある。7.5質量%を超えると水溶性樹脂の弾性的な挙動が大きくなり、押出成形では、スウェル現象、すなわち、ダイス形状より全体に断面が膨張する現象が起こる懸念がある。更には、4〜7質量%とすると作業性がよく、より好ましい。
【0027】
混練時に有機バインダーとして機能する水溶性樹脂は、熱可逆のゲル化特性を有する。特にゲル化に伴って粘度上昇するタイプが好ましい。ゲル化温度は、樹脂の種類や、水溶性樹脂を水に溶解させた水溶液の濃度に依存する。以下、特に断らない限り、メチルセルロースの場合を例に説明する。SM−8000(信越化学社製、商品名:メトローズ)を水に溶解させた水溶液の場合、2質量%水溶液ではゲル化温度が少なくとも50℃以上であるが、10質量%を超える水溶液ではゲル化温度が20℃以上の範囲にまで低下する。成形後の乾燥工程の初期において、ゲル化した水溶性樹脂が、保水性のある有機バインダーとしてSiC粒子間の「のり」として機能し、変形を抑制する。室温付近での成形時の作業性も考慮すると、SM−8000の場合、15〜25質量%水溶液が好ましい。15質量%未満では成形すると、SiC粉体の部分的な凝集が起こる懸念があり、押出成形が困難になる。また25質量%を超えると弾性的な挙動が大きくなり、スウェル現象が大きくなる懸念がある。ゲル化温度と粘度のバランスからは、17〜22質量%水溶液がより好ましい。
【0028】
SiCの粉体との混合時にSiCの表面処理剤として機能する水溶性樹脂としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールが挙げられる。SiCの粉体は、まずポリアルキレングリコールと混合して、SiC粒子表面にポリアルキレングリコールがコーティング処理された粉体とし、続いて前記有機バインダーとして機能する水溶性樹脂と混合する。SiC粒子の表面を予めコーティング処理することにより、SiC粒子間隔を均一にし、かつSiC粉体表面を親水性とすることで有機バインダーへの分散性を向上させる効果がある。この効果や作業温度などを勘案して、添加量や分子量等を決定する。さらに、一般にポリアルキレングリコールの融点は常温より低く、沸点が高いため、比較的広い温度範囲において水溶性を維持する効果もある。
【0029】
SiCの粉体との混合時にSiCの表面処理剤として機能する水溶性樹脂の投入量は、有機バインダーとして機能する水溶性樹脂に対する質量比で0.67〜1.5であることが好ましい。質量比0.67未満の場合は柔軟性が不足する一方、質量比1.5より大きい場合は成形そのものがしにくくなる。さらには、質量比0.9〜1.1で投入すると、変形を抑制した精度の良い成形体を得ることができるので、最も好ましい。
【0030】
以下、特に断らない限り、ポリエチレングリコールの場合を例に説明する。ポリエチレングリコール(分子量200〜600程度)は、一般に水の沸点までは液体であり、水に溶解して水溶液となる。ポリエチレングリコールの投入量は、有機バインダーとして機能するメチルセルロースに対する質量比で0.67〜1.5であることが好ましい。前記質量比とすることによって、メチルセルロースは、混練時には保水性のある有機バインダーとしてSiC粒子間の「のり」として機能する。成形後の乾燥工程において50℃以上となるとゲル化して水溶性を失うが、代わりに、上記ポリエチレングリコール水溶液が成形体を覆う。これによって、混練時だけでなく高温においても柔軟性を付与し、乾燥中の変形や割れを抑制する効果があると考えられる。
【0031】
質量比0.67未満の場合は柔軟性が不足する。質量比1.5を超えるとメチルセルロースとポリエチレングリコールとの間で水の取り合いになり、メチルセルロース水溶液が不足するようになるため、成形しにくくなる。さらには、質量比0.9〜1.1で投入すると、変形を抑制した精度の良い成形体を得ることができるので、最も好ましい。なお、この他のSiC粒子の表面処理剤として機能するポリアルキレングリコールの場合にも、同様に作業温度や有機バインダーへの分散性を考慮して、組成を決定すればよい。
【0032】
混練温度は5〜20℃が好ましい。混練温度が5℃未満の場合、メチルセルロース水溶液の粘度が増大するため、混練機内に混練材料の残留し(以下、内部残留ともいう)、混練操作は困難になる懸念がある。一方、20℃を超える場合は有機バインダーとして機能する水溶性樹脂が水に溶解した水溶液がゲル化し、混合混練物を安定的に製造することが困難になる。10〜18℃とすると、作業性が良好で、かつ成形可能な混合混練物をより安定的に製造できるので、より好ましい。
【0033】
前記した混練温度範囲において成形可能な混合混練物を得るには、前記ポリエチレングリコールの分子量は200超〜600未満であることが好ましい。さらに、前記ポリエチレングリコールの分子量は250〜550であることがより好ましい。分子量200以下の前記ポリエチレングリコールと前記メチルセルロースとを、前記質量比で、前記温度範囲で混練すると、メチルセルロースとポリエチレングリコールとで水分の取り合いを起こし、成形工程以前の混練物として安定的に得るのが難しい。また、分子量600以上の分子量のポリエチレングリコールとメチルセルロースとを、前記質量比で、前記混練温度範囲で混練すると、ポリエチレングリコールは水溶性を発現することが難しく、均一に分散しにくくなるため、これを成形することが著しく困難となる。ポリエチレングリコールの分子量を250〜550とすることで、前記混練温度範囲で混練しても水溶性で均一に分散して安定な混練物を作製でき、所定の押出成形体を得ることができる。さらに乾燥条件を調整することで、そりやうねりなどの変形や割れを抑制した肉厚長尺型冶具を製造できることを見出した。
【0034】
この他の材料として、押出成形機での摩耗低減の観点から、潤滑剤を含んでいてもよい。潤滑剤は水溶性でなくてもよいが、少なくとも水に対する分散性が良好であることが好ましい。たとえば、ポリオキシアルキレン系化合物(日油社製、商品名:ユニルーブ)やオレイン酸が好適である。混練材料の総量に対する潤滑剤の割合は、混練材料の総量に対して外掛けでそれら各成分について0.5質量%以内を目安に適宜添加を調整できる。これは、SiC粉の原料ロットの違い等による流動性の変化を補うものである。これによって、後の洗浄工程において鉄を主とする金属不純物を極力低減させ、たとえばFeの含有量500ppm以下と、高純度のSiC部材を得ることができる。
【0035】
以上の材料を混練機でよく混練する。
【0036】
<成形工程>
押出成形機に、所定の押出金型(ダイスともいう。一例として図2)を取り付けて、上記の混合混練物を投入して押出成形を行い、所望のサイズと形状を備える成形体を得る。
【0037】
押出成形温度は、5〜20℃が好ましい。押出成形温度が5℃未満の場合、混練工程と同様にメチルセルロース水溶液の粘度が増大し、押出成形機やダイスに内部残留が発生する懸念がある。一方、20℃を超える場合は、混合混練物の可塑性の低下により、ラミネーション、クラック、肌荒れなどの欠陥が発生し、良質な成形体を得ることが困難となる。図8A、図8B、図8C、図8Dに欠陥例のいくつかを示す。成形体の中央部と外周部とで押出成形時の成形速度が異なることに起因する剥離である、ラミネーション、成形体中央部に発生するクラック、成形体の表面(角以外)に発生するクラック、成形体の角に発生するクラック(それぞれ図8A〜図8D参照)などがある。10〜18℃とすると、作業性が良好で、かつ良質な成形体が得られるので、より好ましい。
【0038】
<乾燥工程>
このようにして製造された成形体は、次に乾燥工程に投入される。
【0039】
乾燥工程において、ゲル化が成形体全体にわたって均一に進行しないと、非ゲル化部分のメチルセルロースがゲル化部分のメチルセルロースの水分を吸収し、水分量分布の不均一が発生する。これは、乾燥工程での均一な乾燥を阻害し、変形や割れを発生させる要因となる。従って、高湿環境下で、成形体全体を均温化して乾燥させることが特に重要と考えられる。温湿度を同時に制御可能な環境下の場合には、少なくとも2回以上設定温度を変更し、各設定温度において成形体全体を均温化することを繰り返すことが好ましい。50〜100℃かつ飽和水蒸気雰囲気または湿度80%以上の環境下で、成形体全体にわたって均温化するまでは加熱することがさらに好ましい。また、温度と湿度を同時に制御できない環境下の場合には、成形体を樹脂製ラップで露出の無いように包み、50〜70℃で維持して成形体全体を均温化した後、乾燥矯正冶具にて保持して、さらに50〜70℃で維持することが好ましい。
【0040】
均温化の判断は以下のようにして行う。たとえば、50℃かつ飽和水蒸気雰囲気の環境下で加熱する際に、成形体内部の温度測定用に、同じ形状の成形体(以下、成形体Aともいう)も同時に入れておく。この成形体A内部の中心温度を測定する。測定は、成形体Aの長さ、幅、肉厚の1/2の箇所に熱電対を差し込むことで測定した。この時、最も熱が伝達しにくい中心部分の温度が、設定温度±1℃になったことで、全体が均温化したと判断する。また、その後、設定温度をより高温(たとえば80℃)に変更する場合も、成形体A内部の中心温度が設定温度±1℃となったら均温化したと判断する。このように、設定温度の変更毎に均温化を繰り返すことで、乾燥温度条件を求められる。
【0041】
一方、乾燥のもう一つの因子である湿度の制御に関しては、乾燥温度80℃以上の領域において、飽和水蒸気雰囲気または湿度80%以上の状態から、湿度を低減させて行く過程での成形体の変形を、装置外部から観察することで基本条件を求める。最終的な成形体中の残存水分量に関しては、投入水分量の80%以上の質量が減少すれば、後の焼成工程等においてそり量、うねり量が増大しないことをあらかじめ確認した。従って、質量減少が投入水分量の80%以上となることから、湿度条件を決定できる。
【0042】
以上の操作において、50℃以上になると、メチルセルロースはゲル化して水溶性を失う。代わりに、ポリエチレングリコールは高温でも単独で水に溶解して水溶液となるので、SiCの粉体、およびゲル化したメチルセルロースを保持し、成形体表面を水溶液として覆って乾燥を緩やかにする効果があると考えられる。乾燥温度や時間は、成形体の組成や形状、大きさによって適宜調整すればよい。
【0043】
上記のように乾燥することによって、成形体中の水分量のばらつきは最小限に抑制され、均一な乾燥ができる。従って、寸法精度のきわめて高い乾燥後の成形体(以下、乾燥体ともいう)を得ることができる。
【0044】
温湿度を同時に制御可能な恒温恒湿槽を使用する場合は、乾燥工程において、先に述べた高湿度環境下で、成形体を平滑な通気性の棚板等に置いて加熱することによって、そり、うねり等の変形や割れがきわめて低減または抑制された乾燥体を得ることができる。ここで図6A、図6B、図7A、図7Bを参照してそり量、うねり量について説明する。そり量とは、成形体の底面を下にして平行定盤60に成形体62を置いたときのダイスの高さと成形体最大高さ63の差(図6B参照)である。うねり量とは、成形体の底面を下にして平行定盤60に成形体72を置き、さらに成形体72の長さ方向に定規や平行精度のある板を合わせた時の、ダイスの幅と成形体最大幅73の差をそれぞれさす(図7B参照)。そり量、うねり量ともに成形体全体で、所望の成形体寸法に対して、所定範囲内にある必要がある。たとえば±0.5mm以内の範囲というように、使用目的や成形体の形状に応じて許容範囲が決まる。
【0045】
また、乾燥工程において湿度制御できない乾燥機などの装置を使用する場合もある。この場合でも、成形体を樹脂製ラップで露出の無いように包み、50〜70℃で所定時間保持することによって、上記と同様に均温化効果が得られる。その後、成形体を図4のような乾燥矯正冶具にセットし、ネジ止め等で保持した状態で、50〜70℃で乾燥加熱を行うことで温湿度を同時に制御可能なケースと同様に、そり、うねり等の変形や割れがきわめて低減または抑制された乾燥体を得ることができる。
【0046】
恒温恒湿槽の場合は、槽内の温湿度分布は殆ど無いと見なすことができるのに対して、乾燥機の場合は、乾燥機内の湿度分布を無くすことはきわめて困難である。そのため、乾燥矯正冶具を使用せずに乾燥機による乾燥を行うと、ラップを剥した後の乾燥機内の湿度分布やそれ起因する成形体の湿度分布によって変形を発生させてしまう。すなわち、乾燥機内の湿度分布や成形体の湿度分布による変形を抑制するために、乾燥矯正冶具を使用する。
【0047】
なお、上記した混練材料による押出成形体は、乾燥矯正冶具にとりつける際、少なくとも、ナット(たとえば図4の44)を締め付けるだけで割れを発生させるようなことはないため、適している。
【実施例】
【0048】
<例1>
(例1−1)
混練材料の総量の68.2質量%の平均粒径2.3μmのSiCの粉体と、混練材料の総量の5.1質量%のポリエチレングリコール(日油社製、商品名:PEG400)をエタノール溶液中で超音波照射しながら分散撹拌した。続いてエバポレータでエタノールを蒸発させ、ポリエチレングリコールによってコーティングされたSiCの粉体(以下、処理済みSiC粉体ともいう)を得た。続いてそのSiCの粉体に、混練材料の総量の5.1質量%(ポリエチレングリコールのメチルセルロースに対する質量比は1.0)のメチルセルロース(信越化学社製、商品名:メトローズ、品番:SM−8000)を水で希釈して20質量%水溶液とした溶液と、潤滑剤としてポリオキシアルキレン系化合物(日油社製、商品名:ユニルーブ、品番:50MB26)とオレイン酸とをそれぞれ混練材料の総量の1.0質量%、0.1質量%加えて、5〜15℃に温度制御しながら、混練機(宮崎鉄工社製、商品名:MP100)により良く混練した。具体的には、メチルセルロース水溶液を混練してストランド化(ひも状に)し、これと処理済みSiC粉体とを混合させて混合体ストランドを得て、混練機を3回繰り返して通過させた。
【0049】
これを真空押出成形機(図2参照、宮崎鉄工社製、商品名:MF−100)によって、角形状断面の長さ(A)1200mm、高さ(B)170mm、幅(C)210mmの柱(以下、角形状断面の長さ1200mmの柱ともいう。図5B参照)を成形した。
【0050】
これによって得られた成形体を、恒温恒湿槽 (ESPEC社製、商品名:TBL−6H)にて、乾燥させた。その際、成形体を、長さ(図5B中の記号A)方向が水平になるように、気孔率80%のセラミックスフォーム(ブリヂストン社製、商品名:セラミックフォーム、品番:#6および#13)の板に置いておき、図3のように温度と湿度とを同時に制御しながら乾燥させた。なお、図3の実線が温度変化、点線が湿度変化を示す。その結果、長さ1200mm、そり量±0.1mm、うねり量±0.1mmの乾燥体が得られた。なお、本発明でのそり量、うねり量の許容範囲は、±0.5mm以内である。上記で得た乾燥体のそり量、うねり量共に許容範囲内であった。
【0051】
(例1−2)
押出成形機でのダイスを変更する以外は、実施例1−1と同様にして、円弧状断面状の長さ(A)1200mm、高さ(B)500mm、幅(C)5mmの柱(以下、弧状断面状の長さ1200mmの柱ともいう。図5A参照)を成形した。
【0052】
これによって得られた成形体を、樹脂製ラップ(旭化成ホームプロダクツ社製、商品名:サランラップ(登録商標))で包んで設定温度50℃にした汎用乾燥機に入れて3時間保持する。その後、樹脂製ラップを剥した成形体を乾燥矯正冶具内に設置し、さらに設定温度を50℃にした汎用乾燥機内で168時間乾燥させた。その結果、長さ1200mm、そり量±0.25mm、うねり量±0.1mmの乾燥体が得られた。そり量とうねり量共に許容範囲内であった。
【0053】
<例2>
(例2−1)
混練材料の総量の74.0質量%のSiCの粉体と、混練材料の総量の4.2質量%のポリエチレングリコールと、混練材料の総量の同じく4.2質量%(ポリエチレングリコールのメチルセルロースに対する質量比は1.0)のメチルセルロースと、混練材料の総量の0.7質量%のユニルーブとを用いることを除いては実施例1−1と同様にして、角形状断面の長さ1200mmの柱を成形し、乾燥した。
【0054】
その結果、長さ1200mm、そり量±0.1mm、うねり量±0.1mmの乾燥体が得られた。そり量とうねり量共に許容範囲内であった。
【0055】
(例2−2)
混練材料の総量の74.0質量%のSiCの粉体と、混練材料の総量の4.2質量%のポリエチレングリコールと、混練材料の総量の同じく4.2質量%(ポリエチレングリコールのメチルセルロースに対する質量比は1.0)のメチルセルロースと、混練材料の総量の0.7質量%のユニルーブとを用いることを除いては実施例1−2と同様にして、弧状断面状の長さ1200mmの柱を成形し、乾燥した。
【0056】
その結果、長さ1200mm、そり量±0.3mm、うねり量±0.2mmの乾燥体が得られた。そり量、うねり量共に許容範囲内であった。
【0057】
<例3>
(例3−1)
混練材料の総量の78.0質量%のSiCの粉体と、混練材料の総量の3.5質量%のポリエチレングリコールと、混練材料の総量の同じく3.5質量%(ポリエチレングリコールのメチルセルロースに対する質量比は1.0)のメチルセルロースと、混練材料の総量の0.6質量%のユニルーブとを用いることを除いては実施例1−1と同様にして、角形状断面の長さ1200mmの柱を成形し、乾燥した。
【0058】
その結果、長さ1200mm、そり量±0.1mm、うねり量±0.2mmの乾燥体が得られた。そり量、うねり量共には許容範囲内であった。
【0059】
(例3−2)
混練材料の総量の78.0質量%のSiCの粉体と、混練材料の総量の3.5質量%のポリエチレングリコールと、混練材料の総量の同じく3.5質量%(ポリエチレングリコールのメチルセルロースに対する質量比は1.0)のメチルセルロースと、混練材料の総量の0.6質量%のユニルーブとを用いることを除いては実施例1−2と同様にして、弧状断面状の長さ1200mmの柱を成形し、乾燥した。
【0060】
その結果、長さ1200mm、そり量±0.3mmうねり量±0.2mmの乾燥体が得られた。そり量、うねり量共には許容範囲内であった。
【0061】
<例4>
(例4−1)
混練材料の総量の4.0質量%のポリエチレングリコールと、混練材料の総量の4.0質量%のメチルセルロースを水で希釈して15質量%水溶液とした溶液と、混練材料の総量の0.8質量%のユニルーブとを用いることを除いては実施例1−1と同様にして、角断面形状の長さ1200mmの柱を成形し、乾燥した。
【0062】
その結果、長さ1200mm、そり量±0.1mmうねり量±0.1mmの乾燥体が得られた。そり量、うねり量共には許容範囲内であった。
【0063】
(例4−2)
混練材料の総量の4.0質量%のポリエチレングリコールと、混練材料の総量の4.0質量%のメチルセルロースを水で希釈して15質量%水溶液とした溶液と、混練材料の総量の0.8質量%のユニルーブとを用いることを除いては、実施例1−2と同様にして、弧形状断面の長さ1200mmの柱を成形し、乾燥した。
【0064】
その結果、長さ1200mm、そり量±0.3mm、うねり量±0.2mmの乾燥体が得られた。そり量、うねり量共には許容範囲内であった。
【0065】
<例5>
(例5−1)
混練材料の総量の5.6質量%のポリエチレングリコールと、混練材料の総量の5.6質量%のメチルセルロースを水で希釈して22質量%水溶液とした溶液と、混練材料の総量の0.8質量%のユニルーブとを用いることを除いては実施例1−1と同様にして、角形状断面の長さ1200mmの柱を成形し乾燥した。
【0066】
その結果、長さ1200mm、そり量±0.1mm、うねり量±0.1mmの乾燥体が得られた。そり量、うねり量共には許容範囲内であった。
【0067】
(例5−2)
混練材料の総量の5.6質量%のポリエチレングリコールと、混練材料の総量の5.6質量%のメチルセルロースを水で希釈して22質量%水溶液とした溶液と、混練材料の総量の0.8質量%のユニルーブとを用いることを除いては実施例1−2と同様にして、弧形状断面の長さ1200mmの柱を成形し乾燥した。
【0068】
その結果、長さ1200mm、そり量±0.3mm、うねり量±0.2mmの乾燥体が得られた。そり量、うねり量共には許容範囲内であった。
【0069】
<例6>
(例6−1)
ポリエチレングリコールを含まず、混練材料の総量の6.2質量%のメチルセルロースを水で希釈して20質量%水溶液とした溶液を用いることを除いては実施例1−1と同様にして、角形状断面の長さ1200mmの柱を成形し、乾燥した。
【0070】
その結果、長さ1200mm、そり量30〜50mmの乾燥体が得られた。そり量は±0.5mmを大幅に超えており、許容範囲を満たさなかった。
【0071】
(例6−2)
ポリエチレングリコールを含まず、混練材料の総量の6.2質量%のメチルセルロースを水で希釈して20質量%水溶液とした溶液を用いることを除いては実施例1−2と同様にして、弧状断面形状の長さ1200mmの柱を成形し、乾燥した。
【0072】
乾燥途中の24時間経過後に確認したところ、成形体は破断していた。
【0073】
<例7>
混練材料の総量の5.1質量%のポリエチレングリコール(日油社製、商品名:PEG200)を用いることを除いては実施例1−2と同様にして、円弧形状断面の長さ1200mmの柱を成形した。その際に円弧断面形状柱に表面に図8Cや図8Dに示されるような成形体表面に発生する肌荒れ、成形体角に発生する肌荒れが発生し、良好な成形体は得られなかった。
【0074】
<例8>
混練材料の総量の5.1質量%のポリエチレングリコール(日油社製、商品名:PEG600)を用いることを除いては実施例1−2と同様の混練材料を、5〜15℃に温度制御しながら混練した。
【0075】
この温度において、上記ポリエチレングリコールは白色ワックス状となっており、ストランド化したMC水溶液と処理済みSiC粉体との混合体を押出混錬機に投入して3回以上繰り返して通過させても、混合混練物は短くちぎれ、ストランド状にならなかった。すなわち、本来は有機バインダーとして機能するはずのメチルセルロースが、メチルセルロース水溶液内に均一に分散してないと考えられる。
【0076】
これを実施例1−2と同様にして、円弧形状断面の長さ1200mmの柱を成形したところ、円弧断面形状柱に表面に図8Cや図8Dに示されるような成形体の表面(角以外)に発生するクラックや、成形体の角に発生するクラックなどが発生し良好な成形体は得られなかった。
【0077】
以下の表1に、各例に係るサンプルの組成と結果をまとめて示す。表1においては、組成を質量%で表し、良好な成形体が得られれば○、得られなければ×と表記した。表2は、表1の組成を体積%で表したものである。表1および表2において、例1−1〜例5−2は実施例であり、例6−1〜例8は比較例である。
【0078】
【表1】

【0079】
※1)品番はPEG200
※2)品番はPEG600
【0080】
【表2】

【0081】
※1)品番はPEG200
※2)品番はPEG600
【産業上の利用可能性】
【0082】
半導体製造プロセス用で、特に肉厚5mm以上かつ長尺品など、加熱矯正法を適用して製造する冶具の製造に好適である。
【符号の説明】
【0083】
20 エアー混入した混合混練物
21 ホッパー
22 供給ローラー
23 上部スクリュー
24 真空槽
25 真空ポンプ
26 エアー除去された混合混練物
27 ダイス
28 成形体
40 円弧断面形状押出成形体
41 型抑え板
42 小円弧矯正型
43 大円弧矯正型
44 締め付けナット
51 円弧断面形状押出成形体
52 角柱断面形状押出成形体
60 平行定盤
61 そりを観察する方向(側面方向)
62 押出成形体側面概略図
63 成形体最大高さ
70 定規や平面‐平行の一定の精度有する板
71 うねりを観察する方向(上面方向)
72 押出成形体上面概略図
73 成形体最大幅
80 ラミネーション
81 成形体中央に発生するクラック
82 成形体の表面(角以外)に発生するクラック
83 成形体の角に発生するクラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiCの粉体と、水溶性樹脂を主成分とするバインダーと、水とを含む混練材料を混練して混合混練物を得る混練工程と、
前記混合混練物を押出成形して成形体を得る成形工程と、
高湿環境下で、前記成形体全体を均温化して乾燥体を得る乾燥工程と、
を有する半導体製造プロセス用SiC部材の製造方法。
【請求項2】
前記水溶性樹脂としてメチルセルロースとポリアルキレングリコールを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
少なくとも2回以上設定温度を変更し、各設定温度において前記成形体全体を均温化することを繰り返して乾燥する乾燥工程を有する、請求項1〜2のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項4】
前記成形体を、樹脂製ラップで露出の無いように包み、50〜70℃で維持して前記成形体全体を均温化した後、乾燥矯正冶具にて保持して、さらに50〜70℃で前記成形体全体を維持して乾燥する乾燥工程を有する、請求項1〜2のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記水溶性樹脂として、混練材料の総量に対して3.5〜7.5質量%、かつ水に溶解させた水溶液濃度15〜25質量%としたメチルセルロースと、メチルセルロースに対する質量比が0.67〜1.5であるポリアルキレングリコールとを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記SiCの粉体の平均粒径が1〜10μmであり、SiCの粉体の割合は混練材料の総量に対して66〜78質量%含まれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記水溶性樹脂として、分子量200超〜600未満のポリエチレングリコールとを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【公開番号】特開2012−223920(P2012−223920A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91434(P2011−91434)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】