説明

テレメータシステム及び情報収集方法

【課題】子局が多い場合に従来より短時間で情報収集を可能とする。
【解決手段】所定周波数の無線回線を時分割多重により使用する親局10及び子局20−1〜20−nから構成される。親局10には、複数の子局それぞれに対する情報収集の要求情報と共に収集した情報について返送するタイムスロットを指示するタイムスロット情報を複数の子局へ一斉に送出する情報要求部15が備えられ、複数の子局20−1〜20−nには、自局宛の要求情報を受け取った場合に、到来したタイムスロット情報に応じて対応するタイムスロットへ収集情報を配置して送信する送信制御部25が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定周波数の無線回線を時分割多重により使用する親局及び子局から構成されるテレメータシステム及びこのシステムに適用される情報収集方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のテレメータシステムにあっては、親局から複数の子局へ所定周波数の下り信号を用いて個別に呼び出しを行い、各子局では上記所定周波数とは異なる上り信号を用いて収集情報を送信するポーリング・セレクティング方式が用いられていた。
【0003】
【特許文献1】上記ポーリング・セレクティング方式の一例を説明すると、図7に示すように、親局Pから呼び出し信号S1を子局C1へ送ると、これに応えて子局C1は収集情報を含む応答信号R1を返送し、次に、親局Pから呼び出し信号S2を子局C2へ送ると、これに応えて子局C2は収集情報を含む応答信号R2を返送し、次に、親局Pから呼び出し信号S3を子局C3へ送ると、これに応えて子局C3は収集情報を含む応答信号R3を返送し、・・・以下同様にして、親局Pから呼び出し信号Snを子局Cnへ送ると、これに応えて子局Cnは収集情報を含む応答信号Rnを返送する。
【0004】
上記のように呼び出しと応答が対になっているもので、子局毎に呼び出しを行う必要があり、また、個別の子局にチャネルが割り当てられて応答がなされるもので、無駄が多く、特に子局が多くなると時間を要するものであった。
【0005】
上記に対し、データ収集の効率化を図るべく、ポーリング周期を設定変更するシステムが特許文献1に開示されている。この特許文献1に記載の発明にあっては、ポーリング周期を設定変更することから収集情報の多い子局から短周期にて情報を収集できる利点はあるものの、子局数が多くなると全ての子局から情報収集を行うまでの時間は短縮できないものである。
【特許文献1】特開2000−267892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、子局の数が多い場合に情報収集に多くの時間を要することであり、本発明では、子局が多い場合にも従来ほどの時間を要することなく情報収集が可能であり、また、情報の伝送を効率良く行うことのできるテレメータシステム及び情報収集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るテレメータシステムは、所定周波数の無線回線を時分割多重により使用する親局及び子局から構成されるテレメータシステムにおいて、親局には、複数の子局それぞれに対する情報収集の要求情報と共に収集した情報について返送するタイムスロットを指示するタイムスロット情報を複数の子局へ一斉に送出する情報要求部が備えられ、複数の子局には、自局宛の要求情報を受け取った場合に、到来したタイムスロット情報に応じて対応するタイムスロットへ収集情報を配置して送信する送信制御部が備えられていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るテレメータシステムでは、前記情報要求部は、タイムスロット情報として、同一チャネルの異なるタイムスロットを指示する情報を送出することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るテレメータシステムでは、前記情報要求部は、タイムスロット情報として、フレーム及びフレーム内のチャネルを指示する情報と、チャネル内において情報をセットする先頭タイムスロット及びタイムスロット幅の情報を送出することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る情報収集方法は、所定周波数の無線回線を時分割多重により使用する親局及び子局から構成されるテレメータシステムに適用される情報収集方法において、前記親局から、複数の子局それぞれに対する情報収集の要求情報と共に収集した情報について返送するタイムスロットを指示するタイムスロット情報を複数の子局へ一斉に送出し、前記複数の子局では、自局宛の要求情報を受け取り、到来したタイムスロット情報に応じて対応するタイムスロットへ収集情報を配置して送信することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る情報収集方法は、前記タイムスロット情報として、同一チャネルの異なるタイムスロットを指示する情報を送出することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る情報収集方法は、前記タイムスロット情報として、フレーム及びフレーム内のチャネルを指示する情報と、チャネル内において情報をセットする先頭タイムスロット及びタイムスロット幅の情報を送出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、親局から、複数の子局それぞれに対する情報収集の要求情報と共に収集した情報について返送するタイムスロットを指示するタイムスロット情報を複数の子局へ一斉に送出し、上記複数の子局では、自局宛の要求情報を受け取り、到来したタイムスロット情報に応じて対応するタイムスロットへ収集情報を配置して送信するようにしたので、一度の要求情報送出によって複数の子局に対し情報収集の要求を送ることができ、効率の良い呼び出しができると共に、指定されたタイムスロットに情報を配置して効率の良い伝送が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明では、複数の子局への一斉呼び出しにより個々の子局へ呼び出しを行う場合に比べて時間短縮を図り、返送するタイムスロットを指示することによりタイムスロットの効率的な運用を図り、子局が多い場合にも従来ほどの時間を要することなく情報収集を可能とする目的を達成し、また、情報の伝送を効率良く行うという目的も併せて達成したものである。
【実施例1】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明に係るテレメータシステム及び情報収集方法の実施例を説明する。 各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1に、本発明に係るテレメータシステムの構成図を示す。このテレメータシステムにあっては、親局10と複数の子局20−1、20−2、・・・、20−nとを有する。親局10及び子局20−1、20−2、・・・、20−nから構成されるテレメータシステムにおいては、所定周波数の無線回線を時分割多重により使用するものである。親局10には、ワークステーションやパーソナルコンピュータなどにより構成される管理装置11と、無線機12と、LCDやCRTなどの表示器13と、キーボードやマウスなどの操作部14とが備えられている。
【0016】
管理装置11のCPUには、情報要求部15及び情報収集解析部16が備えられている。情報要求部15は、複数(必ずしもnではない)の子局それぞれに対する情報収集の要求情報と共に収集した情報について返送するタイムスロットを指示するタイムスロット情報を複数の子局へ一斉に送出するものである。情報収集解析部16は、子局20−1、20−2、・・・、20−nから送られてくる情報について無線機12を介して取り込み、所定の閾値と比較するなどして警報や注意報などを発するための解析を行うものである。解析の結果は、表示器13ヘ表示される。
【0017】
一方、子局20−1、20−2、・・・、20−nは、基本的に同一の構成であるから、子局20−1について説明すると、無線機21と、センサ22−1〜22−mと、プロセッサにより構成される制御部23とを備えている。制御部23には、受信処理部24、送信処理部25、データ収集部26が備えられている。受信処理部24は、無線機21から信号を取り込み自局へ送られた情報であるかなどの判定を行うのものであり、送信処理部25は、到来したタイムスロット情報に応じて対応するタイムスロットへ収集情報を配置して送信する制御を行うものであり、データ収集部26は、センサ22−1〜22−mから所定のタイミングでデータ収集を行い、必要な場合に蓄積しておき、送信時に送信制御部25へ渡す処理を行うものである。センサ22−1〜22−mの種類としては、温度計、雨量計、風速計、震度計、積雪量計など、必要に応じて備えられるものである。
【0018】
以上の通り構成されたテレメータシステムにおいては、例えば都道府県防災デジタル総合通信システムにおけるテレメータ系のデジタル回線が用いられる。このデジタル回線にあっては図2に示されるように、同一の周波数に4チャネルが1フレームとして多重化されている。親局10では、管理装置11のCPUが図3に示すフローチャートに対応するプログラムを実行することにより情報要求部15として機能し、また、図5に示すフローチャートに対応するプログラムを実行することにより情報収集解析部16として機能するものである。一方、子局20−1、20−2、・・・、20−nにおけるプロセッサである制御部23は、図4に示すフローチャートに対応するプログラムを実行することにより受信処理部24、送信処理部25、データ収集部26として機能する。以下、これら図3〜図5のフローチャートに基づき、システムの動作を説明する。
【0019】
親局10における管理装置11のCPUは、図3に示されるようにタイマ割り込みにより或いは操作部14からのコマンド入力により情報収集時となったかを検出している(S11)。タイマ割り込みにより或いはコマンド入力により情報収集時となると、予め設定されているまたは操作部14から入力された複数の子局からなる宛先情報と、それぞれの子局が収集すべき情報の種類情報を送信情報として揃える(S12)と共に、各子局から返送される収集情報の量(例えば、バイト数)を求めて、返送タイムスロットの割り当てを行って、収集した情報について返送するタイムスロットを指示するタイムスロット情報を作成し、これら宛先情報、それぞれの子局が収集すべき情報の種類情報及びタイムスロット情報をセットとして、予め定められているチャネル(例えばチャネルCH1)を使用して送信する(S13)。タイムスロット情報としては、チャネルを指示する情報、チャネル内において収集情報をセットする先頭のスロット(例えば、第Nワード目)とスロット幅(例えば、Mワード分)の情報が指示される。なお、複数の子局に対して、同一のチャネル内の異なるタイムスロットの指定を行い、伝送効率を高めるものとする。また、同一のチャネル内の異なるタイムスロットの指定を行う場合、隣接する子局の情報を識別し易くするため、データをセットしないガードスロットを子局毎の情報間に配置すると好適である。
【0020】
これに対して、各子局20−1、20−2、・・・、20−nでは、図4に示されるように収集要求情報が親局10から送られてくるのを待っており(S21)、収集要求情報が到来すると、自局宛ての情報であるかを検出して(S22)、自局宛ての情報であることが検出されると、当該子局が収集すべき情報の種類情報及びタイムスロット情報を取り出し(S23)、これに対応して必要な情報を揃え、タイムスロットの指示を無線機21へ行って送信する(S24)。
【0021】
これに対し、親局10における管理装置11のCPUは、図5に示されるように収集情報の到来を待っており(S31)、情報到来を検出すると、タイムスロットにおける配置からどこの子局から送られた如何なる種類の情報であるかを検出して、情報の解析を行い(S32)、結果を表示器13へ表示する(S33)。
【0022】
このような処理により、例えば、図6に示されるようにフレームF1のチャネルCH1において親局10から子局20−1〜20−8へ宛先情報、それぞれの子局が収集すべき情報の種類情報及びタイムスロット情報が一斉に送られる。この場合、子局20−1〜20−4については、チャネルCH2の異なるタイムスロットが指定され、子局20−5〜20−8については、チャネルCH3の異なるタイムスロットが指定されたとすると、フレームF1におけるチャネルCH2の異なるタイムスロットに子局20−1〜20−4からの情報がセットされて親局10へ送られ、チャネルCH3の異なるタイムスロットに子局20−5〜20−8からの情報がセットされて親局10へ送られる。
【0023】
以下、子局20−9、・・・、20−nに対しても同様に処理がなされ、一度の呼び出しにより複数の子局から情報収集することができ、時間の短縮と伝送の効率化を図ることができる。フレームF2においては、子局20−1〜20−4に対してのみ一斉呼び出しが行われ、子局20−5〜20−8に対して情報収集要求が送られていないため、子局20−1〜20−4からの情報が親局10へ送られ、子局20−5〜20−8からの情報の返送がなされない例を示している。なお、図6の例では、1チャネルに4子局の情報を多重してセットするものを示したが、特に4子局に限定されるものではなく、3子局以下或いは5子局以上の情報を多重してセットするようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るテレメータシステムの一実施例を示す構成図。
【図2】本発明に係るテレメータシステムの一実施例において採用した無線回線におけるフレーム構成を示す図。
【図3】本発明に係るテレメータシステムの一実施例における親局の情報要求に係る動作を説明するためのフローチャート。
【図4】本発明に係るテレメータシステムの一実施例における子局の情報返送に係る動作を説明するためのフローチャート。
【図5】本発明に係るテレメータシステムの一実施例における親局の情報受け取り及び解析に係る動作を説明するためのフローチャート。
【図6】本発明に係るテレメータシステムの一実施例における親局と子局間の通信手順を示す図。
【図7】従来例に係るテレメータシステムにおける親局と子局間の通信手順を示す図。
【符号の説明】
【0025】
10 親局
11 管理装置
12 無線機
13 表示器
14 操作部
15 情報要求部
16 情報収集解析部
20−1〜20−n 子局
21 無線機
22−1〜22−m センサ
23 制御部
24 受信処理部
25 送信処理部
26 データ収集部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周波数の無線回線を時分割多重により使用する親局及び子局から構成されるテレメータシステムにおいて、
親局には、複数の子局それぞれに対する情報収集の要求情報と共に収集した情報について返送するタイムスロットを指示するタイムスロット情報を複数の子局へ一斉に送出する情報要求部が備えられ、
複数の子局には、自局宛の要求情報を受け取った場合に、到来したタイムスロット情報に応じて対応するタイムスロットへ収集情報を配置して送信する送信制御部が備えられていることを特徴とするテレメータシステム。
【請求項2】
前記情報要求部は、タイムスロット情報として、同一チャネルの異なるタイムスロットを指示する情報を送出することを特徴とする請求項1に記載のテレメータシステム。
【請求項3】
前記情報要求部は、タイムスロット情報として、フレーム及びフレーム内のチャネルを指示する情報と、チャネル内において情報をセットする先頭タイムスロット及びタイムスロット幅の情報を送出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のテレメータシステム。
【請求項4】
所定周波数の無線回線を時分割多重により使用する親局及び子局から構成されるテレメータシステムに適用される情報収集方法において、
前記親局から、複数の子局それぞれに対する情報収集の要求情報と共に収集した情報について返送するタイムスロットを指示するタイムスロット情報を複数の子局へ一斉に送出し、
前記複数の子局では、自局宛の要求情報を受け取り、到来したタイムスロット情報に応じて対応するタイムスロットへ収集情報を配置して送信することを特徴とする情報収集方法。
【請求項5】
前記タイムスロット情報として、同一チャネルの異なるタイムスロットを指示する情報を送出することを特徴とする請求項4に記載の情報収集方法。
【請求項6】
前記タイムスロット情報として、フレーム及びフレーム内のチャネルを指示する情報と、チャネル内において情報をセットする先頭タイムスロット及びタイムスロット幅の情報を送出することを特徴とする請求項4または5に記載の情報収集方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−235224(P2007−235224A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50811(P2006−50811)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】