説明

デジタル放送記録再生装置およびその制御方法、プログラム

【課題】デジタル放送録画時にCASカードが抜き取られた場合であっても録画を継続し、コンテンツの欠落を防止できる。
【解決手段】暗号化データストリームを復号するための情報が格納され、装置に対して着脱可能な記憶媒体の着脱を検出する検出手段と、暗号化データストリームを、前記装置に装着されている記憶媒体に格納された情報を用いて復号する復号手段と、復号データストリームを第1の記録手段に録画中に、前記記憶媒体が抜き取られたことが前記検出手段で検出された場合、放送データを暗号化データストリームで第2の記録手段に録画するように切り替える切替手段と、前記第2の記録手段への録画が終了した後に、前記検出手段により前記記憶媒体が前記装置に装着されていることが検出された場合、前記第2の記録手段に録画された暗号化データストリームを前記復号手段で復号して、前記第1の記録手段に記録する制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送録画時にCASカードが抜き取られた場合のデジタル放送の記録再生技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、デジタル放送のコンテンツ(番組)は放送事業者によって暗号化(スクランブル)された暗号化データストリームの形式で配信されており、特定の視聴者のみが視聴可能である。このような放送方式を限定受信方式という。具体的には、暗号化データストリームを復号するための鍵情報を生成するCAS(Conditional Access System)カードをデジタル放送受信装置に装着する。そして、CASカードが生成した鍵情報を用いて暗号化データストリームを復号(デスクランブル)することで、コンテンツが視聴可能となる。また、上記限定受信方式でデジタル放送を録画する場合も視聴する場合と同様に、CASカードに格納された鍵情報を利用して暗号化されたコンテンツを復号する。そして、復号した映像・音声データはHDD(Hard Disk Drive)やDVD、ブルーレイディスクなどのメディアに記録される。
【0003】
このCASカードを利用する限定受信方式において、デジタル放送を視聴中又は録画中に何らかの理由によりユーザがCASカードをデジタル放送受信装置から抜き取ってしまうと復号ができなくなるため、デジタル放送の視聴や録画が継続できなくなる。ここで特許文献1には、デジタル放送受信装置にCASカードが装着されていない場合や、装着されているCASカードに格納された復号鍵ではコンテンツを復号できない場合、暗号化されていない視聴案内番組へ受信番組を切り替えることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−303759号公報
【特許文献2】特開2005−328146号公報
【特許文献3】特開2001−351323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、受信装置で番組を録画している最中にCASカードが抜き取られた場合、CASカードが装着されていない期間の録画は行われないという課題は解決できない。結果、ユーザは再生時に一部が欠落した番組を視聴することになる。録画中にCASカードを抜き取ったユーザが、その録画の予約設定あるいは実行指示を行った本人であれば、録画の一部欠落を承知していたとも考えられるので、それほど問題とならないかも知れない。しかし、同世帯の家族など、別のユーザが、録画中であることを気づかずにCASカードを抜き取ってしまった場合には、録画を希望していたユーザにとって大きな問題となる。
【0006】
また、特にデジタル放送を録画する場合には、デジタル放送受信装置に内蔵されたHDDなどの非可搬性のストレージデバイスだけでなく、可搬性のあるリムーバブルメディアに直接記録する場合もある。このようにリムーバブルメディアに直接記録している最中にCASカードが抜き取られると、一連のコンテンツが記録されていない中途半端な録画状態となる。さらに、中途半端な録画状態であることにユーザが気付かずにリムーバブルメディアをデジタル放送受信装置から取り出してしまい不完全な状態で保存されてしまう場合がある。仮に、一度取り出したリムーバブルメディアを再び装着したとしても、欠落したコンテンツの一部を補うことはできない。このため、リムーバブルメディアに直接記録している最中にCASカードが抜き取られても、コンテンツをリムーバブルメディアに適切に録画できる技術が望まれている。
【0007】
ここで、一連のコンテンツが異なるメディアに分割して記録された場合に、コンテンツを結合しやすくする技術が特許文献2に記載されている。また、コンテンツを結合するための機器IDとコンテンツの暗号を解読するための情報をコンテンツと共にメディアに記録する技術が特許文献3に記載されている。しかしながら、これらの文献にも、メディアへの録画途中にCASカードが抜き取られた場合の対処方法については記載がなく、上述した課題は解決できない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、デジタル放送録画時にCASカードが抜き取られた場合であっても録画を継続し、コンテンツの欠落を防止でき、ユーザの利便性を向上させることができる技術を実現する。特に、リムーバブルメディアのような可搬性を有する記録媒体に録画している場合にも対応することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のデジタル放送記録再生装置は、暗号化データストリームで配信されるデジタル放送の放送データを、着脱可能な第1の記録手段または内蔵された第2の記録手段のいずれかに録画する機能を有するデジタル放送記録再生装置であって、暗号化データストリームを復号するための情報が格納され、前記装置に対して着脱可能な記憶媒体の着脱を検出する検出手段と、暗号化データストリームを、前記装置に装着されている記憶媒体に格納された情報を用いて復号し、復号データストリームを出力する復号手段と、前記復号データストリームを前記第1の記録手段に録画中に、前記記憶媒体が抜き取られたことが前記検出手段で検出された場合、検出されてからの放送データを暗号化データストリームで前記第2の記録手段に録画するように切り替える切替手段と、前記第2の記録手段への録画が終了した後に、前記検出手段により前記記憶媒体が前記装置に装着されていることが検出された場合、前記第2の記録手段に録画された暗号化データストリームを前記復号手段で復号して、前記第1の記録手段に記録するよう制御する制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、デジタル放送録画時にCASカードが抜き取られた場合であっても録画を継続し、コンテンツの欠落を防止でき、ユーザの利便性を向上させることができる。特に、リムーバブルメディアのような可搬性を有する記録媒体に録画している場合にも、このリムーバブルメディアに適切な録画コンテンツを保存することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る実施形態1のデジタル放送記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態1によりデジタル放送の録画中にCASカードが抜き取られた場合の処理手順を説明する図である。
【図3】本発明に係る実施形態2のデジタル放送記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態2によりデジタル放送の録画中にCASカードが抜き取られた場合の処理を示すフローチャートである。
【図5】実施形態2によりデジタル放送の録画中にCASカードが抜き取られた場合の処理手順を説明する図である。
【図6】本発明に係る実施形態3のデジタル放送記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図7】実施形態3によりデジタル放送の録画中にCASカードが抜き取られた場合の処理手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
[実施形態1]以下、本発明に係る実施形態1について説明する。図1は、本発明に係る実施形態1のデジタル放送受信録画再生装置(以下、デジタル放送記録再生装置)の構成を示すブロック図である。図1において、デジタル放送記録再生装置1は、BS(Broadcast Satellite)、CS(Communication Satellite)、あるいは地上デジタル放送設備などから配信されるデジタル放送波をアンテナ2により受信する。そして、受信されたデジタル放送波は、チューナ部3により放送データに復調され、所望のチャンネルについて映像・音声情報を含む時分割多重化された暗号化データストリーム(スクランブルTSデータ)がスイッチ部7に出力される。CASカード4は、デジタル放送記録再生装置1に着脱可能であり、CASカードIDや、デジタル放送波を復調して得られる暗号化された信号を復号(デスクランブル)するために必要となる復号鍵を記憶している。
【0014】
カード挿抜検出部5は、CASカード4がCASカードI/F21に装着されているか否かを検知し、CASカード4の挿抜状態を記録方式切替制御部6、カードID取得部17、CPU15に通知する。カードID取得部17は、CASカードI/F21に装着されているCASカード4に固有のCASカードIDを読み出して記憶する。カードID比較部19は、カードID取得部17が録画開始時に取得したCASカードIDと、録画中に抜き取られた後に挿し戻されたCASカードから取得したCASカードIDとを比較して、同じCASカードが挿し戻されたか否かを判定する。カードID比較部19は、判定結果を記録方式切替制御部6およびCPU15に通知する。
【0015】
記録方式切替制御部6は、カード挿抜検出部5からCASカード4が抜き取られたという通知を受信すると、チューナ部3から出力されたスクランブルTSデータが記録再生制御部16へ直接転送されるようにスイッチ部7をBに切り替える。また、記録方式切替制御部6は、カードID比較部19から、挿し戻されたCASカードが録画開始時に装着されていたCASカードと同一カードであるとの判定結果を受信した場合、スイッチ部7をAに戻す。すなわち、記録方式切替制御部6は、チューナ部3から出力されるスクランブルTSデータがデスクランブラ部8へ転送されるように、スイッチ部7を切り替える。加えて、記録方式切替制御部6は、スイッチ部7を切り替え(記録方式を切り替え)た際には、CPU15に通知する。
【0016】
CPU15は図示しない不揮発性記憶装置(HDD12を含む)に記憶された制御プログラムを実行し、デジタル放送記録再生装置1の各部を制御して、デジタル放送記録再生装置の機能を実現する。
【0017】
CPU15は、記録方式切替制御部6の通知に応じて、
・記録方式(スクランブルTSデータまたはデスクランブルTSデータのいずれの形式で記録するか)、と
・切り替えられた記録方式でのストリームデータの記録開始位置(記録開始アドレス)および終了位置(終了アドレス)、
とを、記録方式切替情報として切替情報管理部18に通知する。なお、記録開始アドレスや終了アドレスの代わりに、記録開始時刻や終了時刻、データサイズ、記録時間など、同様の意味を持つ他の情報を算出しても良い。
【0018】
デスクランブラ部8は、MULTI2方式で暗号化されたスクランブルTSデータを、CASカード4に記憶されている復号鍵を用いて復号(デスクランブル)し、復号データストリーム(デスクランブルTSデータ)を生成する。また、デスクランブラ部8は、デスクランブルTSデータを記録再生制御部16へ転送する。記録再生制御部16は、HDD12へ記録されたコンテンツの再生を制御する。また、記録再生制御部16は、デスクランブラ部8からのデスクランブルTSデータや、スイッチ部7からのスクランブルTSデータをHDD12へ記録する。
【0019】
デマルチプレクサ部9は、復号データストリームであるデスクランブルTSデータから映像・音声・データ等のESデータを分離する。MPEG−2デコード部10は、デマルチプレクサ部9で分離された、MPEG−2 Video方式で符号化圧縮された映像ESデータをデコードし、映像データを出力する。また、MPEG−2デコード部10は、デマルチプレクサ部9で分離された、MPEG−2 AAC(Advanced Audio Coding)方式や、AC−3方式等で符号化圧縮された音声ESデータをデコードし、PCM音声データを出力する。MPEG−2デコード部10によりデコードされた映像データは出力部11を構成するディスプレイなどに表示され、音声データは出力部11を構成するスピーカなどから出力される。
【0020】
リモコン受光部14は、ユーザがリモコン13を操作することによってリモコン13から赤外線などによって出力される指示を受信し、指示に対応した、チャンネル切り替え、録画、再生、電源ONまたはOFF等のコマンドをCPU15に通知する。CPU15は、ユーザからの操作指示に基づき各動作モードにおいて、システムを構成する各ブロックを制御する。また、CPU15は、切替情報管理部18の記憶内容を参照、更新するとともに、記録再生制御部16に対してデータ読み込み、書き出し、削除等の指示を行う。
【0021】
マージ処理部20は、記録方式切替情報に基づき、HDD12に記録されたデスクランブルTSデータと、デスクランブラ部8でスクランブルTSデータから復号されたデータとをつなぎ合わせて一連のコンテンツとなるように合成するマージ処理を行う。
【0022】
<録画処理>図2は、デジタル放送の録画中にCASカードが抜き取られた場合の録画処理の流れを説明する図である。図2において、CASカード4が装着されている場合、デスクランブラ部8で復号されたデスクランブルTSデータが記録再生制御部16によりHDD12に記録される。また、識別情報としてのCASカードID、記録方式及び開始/終了アドレスを切替情報管理部18に記憶する。ここでは記録方式がデスクランブルTS、開始アドレス0、終了アドレス100が記憶される(S1)。
【0023】
録画中にCASカードが抜き取られた場合、記録方式切り替え制御部6はスイッチ部7を制御し、デスクランブルTSからスクランブルTSへ記録方式を切り替える。このとき、カードID取得部17は、抜き取られる前にCASカード4から読み出したCASカードIDを記憶している。また、記録方式切替情報が切替情報管理部18に記憶される。ここでは、記録方式がスクランブルTS、開始アドレス100、終了アドレス250が追加で記憶される(S2)。
【0024】
次に、録画中にCASカードが挿し戻されたことをカード挿抜検出部5が検知すると、カードID取得部17は、CASカードI/F21に装着されているCASカードIDを読み出して記憶する。カードID比較部19は、録画開始時にカードID取得部17が取得したCASカードIDと、録画中に抜き取られた後に挿し戻されたCASカードから取得したCASカードIDとを比較して、同じCASカードが挿し戻されたか否かを判定する。比較の結果、CASカード4が抜き取られたときと異なるCASカードIDであった場合は、スクランブルTS記録を継続する。また、CASカードIDが一致した場合は、記録方式及びアドレスを切替情報管理部18に記憶する。ここでは記録方式がデスクランブルTS、開始アドレス250、終了アドレス350が追加で記憶される(S3)。
【0025】
録画終了後、マージ処理部20は、記録方式切替情報に基づき、HDD12に記録されたデータストリームのうち、スクランブルTS記録部分をデスクランブラ部8で復号して一連のコンテンツとなるようマージ処理を行う。ここで、マージ処理中に再びCASカードが抜き取られた場合には、抜き取られる直前までのデータが復号され、この時点で記憶されている開始アドレス及び終了アドレスは、復号された領域に応じて更新される(S4)。ここでは、スクランブルTS記録された開始アドレス100および終了アドレス250が開始アドレス150および終了アドレス225に更新される。また、デスクランブルTS記録された開始アドレス250および終了アドレス330が開始アドレス225および終了アドレス325に更新される。スクランブルTS記録されたデータを復号した後、一連のコンテンツとなるようマージ処理を行う(S5)。2つのコンテンツを1つのコンテンツに結合するマージ処理の詳細な技術については種々存在している。例えば、昨今のデジタルレコーダには複数のコンテンツを1つにする結合機能が搭載されており、本発明のマージ処理ではこのような既存の機能を用いれば良い。なお、ファイルデータとして1つに結合するのではなく、複数のファイルデータを1つのファイルデータのように見せる処理であっても良い。本発明においては、コンテンツの結合処理自体はどのような方法を用いても良く、結合処理の違いによって本発明は影響されるものではない。
【0026】
以上の処理により、デジタル放送の録画中に、何らかの理由によりCASカードが抜き取られた場合でも、録画を継続でき、その期間のデータが欠落してしまうことなくコンテンツを記録、再生することが可能になる。
【0027】
[実施形態2]次に、本発明に係る実施形態2について説明する。本実施形態は、デジタル放送をリムーバブルメディアに直接記録する構成である。図3は、本発明に係る実施形態2のデジタル放送記録再生装置の構成を示すブロック図である。なお、以下では、図1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。図3において、デジタル放送記録再生装置30は、CPU15が記録再生制御部16を制御し、デジタル放送をリムーバブルメディア31に記録する。具体的には、記録再生制御部16は、CASカード4が装着されている場合、デスクランブラ部8で復号されたデスクランブルTSデータをリムーバブルメディア31に直接記録する。ここで、リムーバブルメディア31としては、DVD、ブルーレイディスク、USBメモリなどの可搬性のあるメディアの他、USBI/Fなどを介して接続される外付けHDDなどのストレージデバイスでも適用可能である。即ち、ユーザによってデジタル放送記録再生装置から容易に取り外し可能なメディアやデバイスをリムーバブルメディアと称する。
【0028】
デジタル放送の録画中に、CASカード4が抜き取られたことをカード挿抜検出部5により検知されると、記録フォーマット切替制御部106がスイッチ部7を制御し、デスクランブルTS記録からスクランブルTS記録へ記録方式を切り替える。また、記録先切替制御部32が記録先切替スイッチ33を第1の記録手段としてのリムーバブルメディア31から第2の記録手段としてのHDD12に切り替える。また、切替情報管理部18は、記録方式、開始アドレスおよび終了アドレスの各情報のほかに、記録先情報が記録される。また、識別情報としてのCASカードIDと装置固有の機器IDがID書込部34によりリムーバブルメディア31の任意の領域(以下、ID/フラグ書込領域)に書き込まれる。さらに、リムーバブルメディア31に記録されたデータは、録画途中にCASカード4が抜き取られたことにより不完全なコンテンツであることを示すフラグがフラグ生成部35によりリムーバブルメディア31のID/フラグ書込領域に書き込まれる。このとき、記録先として装置内部のHDD12を選択したのは、このHDD12は容易に着脱できる構成を備えていないためである。後述するマージ処理において、HDD12に一時的に記録したデータをリムーバブルメディア31に移す処理を行うが、この処理をより確実かつ安定して動作させるため、移すデータを保存する先を内蔵のHDD12としている。
【0029】
なお、本システムでは、記録先を切り替える際に生じるデータの途切れや記録漏れを防ぐ目的で、チューナ部3から出力されるスクランブルTSデータをバッファ部37がバッファリングしている。また上記処理後に一時的にリムーバブルメディアが取り外されたとしても、再びリムーバブルメディア31が装着されると、リムーバブルメディア31に書き込まれている不完全フラグ、機器IDおよびCASカードIDがID/フラグ取得部36に読み込まれる。そして、ID比較部19が、現在のCASカードIDおよび機器IDと比較する。この際、リムーバブルメディア31に不完全コンテンツが記録されていることを出力部11を構成するディスプレイおよび/またはスピーカから出力する。また、比較の結果、機器IDが異なっている場合には、残りのコンテンツが記録されている機器に関する情報を出力部11から出力し、CASカードIDが異なっている場合には、再生が可能になるCASカードIDを表示する。
【0030】
一方、リムーバブルメディア31に書き込まれた機器IDおよびCASカードIDが一致した場合、HDD12およびリムーバブルメディア31に記録された不完全コンテンツをマージ処理するか否かをユーザに通知するための警告を出力部11から出力する。ここで、コンテンツをマージすることが指示された場合には、HDD12に記録されているスクランブルTSデータをCASカードに記憶された復号鍵を利用して復号する。そして、復号したデスクランブルTSデータとリムーバブルメディア31に記録されているデータとをマージ処理部20によりマージする。マージ終了後、ID書込部34はリムーバブルメディア31のID/フラグ書込領域の無効化処理を行い、CPU15はHDD12に記録されているスクランブルTSデータを削除する。なお、上記の説明では、一時的にリムーバブルメディア31が取り外された場合について記載したが、本発明はリムーバブルメディア31が一時的に取り外されなくても、マージ処理を実行することができる。
【0031】
<録画処理>図4は、実施形態2によるデジタル放送の録画中にCASカードが抜き取られた場合の録画処理の流れを説明するフローチャートである。図4において、CASカード4が装着されている場合、デスクランブラ部8で復号されたデスクランブルTSデータが記録再生制御部16によりリムーバブルメディア31に記録される(S51)。また、CASカードID、記録方式及び開始/終了アドレスが切替情報管理部18に記憶される。
【0032】
録画中にCASカードが抜き取られたことがカード挿抜検出部5により検知された場合(S52でYES)、記録方式切替制御部6はスイッチ部7を制御し、デスクランブルTSからスクランブルTSへ記録方式を切り替える(S54)。また、記録先切替制御部32が記録先切替スイッチ33を制御し、リムーバブルメディア31からHDD12に切り替える(S54)。このとき、CASカードIDおよび機器IDがID書込部34によりリムーバブルメディア31のID/フラグ書込領域に書き込まれる(S55)。さらに、リムーバブルメディア31に記録されたデータが不完全コンテンツであることを示す不完全フラグがフラグ生成部35によりリムーバブルメディア31のID/フラグ書込領域に書き込まれる(S55)。
【0033】
録画終了後、リムーバブルメディア31が取り出されない(S57でNO)、または取り出し後再装着された場合(S57、58でYES)、リムーバブルメディア31の不完全フラグ、機器ID、CASカードIDをID/フラグ取得部36で読み込む。そして、カードID比較部19が、読み込んだリムーバブルメディア31に書き込まれている機器ID、CASカードIDと現在の装置に装着されたCASカードIDおよび機器IDとの比較を行う(S59)。S60では、S59での比較の結果、機器IDとCASカードIDとが一致し、かつ不完全フラグがリムーバブルメディア31に書き込まれているか否かにより、処理を切り分ける。機器IDとCASカードIDとが一致し、かつ不完全フラグがリムーバブルメディア31に書き込まれている場合には、S62へ移行する。また、比較の結果、不完全フラグが書き込まれており、かつ機器IDが異なっている場合やCASカードIDが異なっている場合には(S60でNO)、CPU15は残りのコンテンツが記録されている機器に関する情報を表示する(S61)。また、CASカードIDが異なっている場合には(S60でNO)、CPU15は再生に必要なCASカードIDをディスプレイに表示する(S61)。
【0034】
リムーバブルメディア31に書き込まれた機器IDおよびCASカードIDが一致し、かつ不完全フラグが書き込まれていた場合(S60でYES)、CPU15は、HDD12およびリムーバブルメディア31に記録された不完全コンテンツをマージ処理するか否かをユーザに問い合わせる。CPU15は不完全コンテンツであることを示すとともに、マージ処理を実行するか否かをユーザが選択するための選択画面をディスプレイに表示する処理である(S62)。ここで、コンテンツをマージすることがユーザから指示された場合(S62でYES)、HDD12に記録されているスクランブルTSデータをCASカードに記憶された復号鍵を利用して復号する。そして、復号したデスクランブルTSデータとリムーバブルメディア31に記録されているデータとをマージ処理部20によりマージする(S63)。
【0035】
マージ終了後(S64でYES)、ID書込部34がリムーバブルメディア31のID/フラグ書込領域を不良ブロックとして無効化処理を行い、CPU15がHDD12に記録されているスクランブルTSデータを削除する(S65)。この無効化処理では、マージ処理後のコンテンツに含まれるメディアのID/フラグ書込領域を、コンテンツ再生時にスキップするように不良ブロックとしてファイルシステムに登録する処理である。
【0036】
続いて、上記のフローチャートで実施する処理におけるデータの取り扱いについて、概念的に示した図5を用いて説明する。まず、S41として、リムーバブルメディア31にデスクランブルTSのコンテンツが録画されている。この状態において、S42でCASカードが抜き取られると、リムーバブルメディア31にCASカードID、機器ID、不完全フラグを記録する。それとともに、録画コンテンツの記録形式をCASカードが存在しないためにスクランブルTSデータに切り替えるとともに、記録先をHDD12として記録を継続する。
【0037】
S43では、録画終了に伴い、リムーバブルメディア31にはCASカードが抜き取られるまでのデスクランブルTSデータが記録される。また、HDD12にはCASカードが抜き取られた後のスクランブルTSデータが記録される。その後、S44では、CASカードが再び挿入され、かつ、リムーバブルメディア31が装着されていることを前提とし、S59で説明した比較処理が実行される。その結果、コンテンツをデスクランブルしてマージする場合には、S45として、HDD12に記録されたスクランブルTSデータを読み出してデスクランブラで復号し、復号したデータをリムーバブルメディア31に書き込む処理を実行する。また、S42でリムーバブルメディア31に機器IDなどを書き込んだ領域を無効化する処理を行う。再生する際には、無効化処理した領域をスキップして読み出すことで、正常に記録されたコンテンツと同様の再生を行うことができる。また、HDD12に記録されていたスクランブルTSデータは不要となるので削除する。
【0038】
以上の処理により、デジタル放送の録画中に、何らかの理由によりCASカードが抜き取られた場合でも、録画を継続でき、その期間のデータが欠落してしまうことなくコンテンツを記録、再生することが可能になる。特にデジタル放送をリムーバブルメディアに直接録画中にCASカードが抜き取られたことにより一連のコンテンツが異なるメディアに分割されて記録された場合であっても、録画終了後にリムーバブルメディアのコンテンツとHDDのコンテンツをマージする。このため、不完全なコンテンツが記録されたメディアが生成されることを防止し、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0039】
[実施形態3]次に、本発明に係る実施形態3について説明する。本実施形態は、実施形態2と同様に、デジタル放送をリムーバブルメディアに直接記録する構成である。そして、実施形態3は、実施形態2として説明した処理に対して、ユーザへの通知処理に係る機能を追加した実施形態である。図6は、本発明に係る実施形態3のデジタル放送記録再生装置の構成を示すブロック図である。なお、以下では、図1および図3と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。図6において、デジタル放送記録再生装置60は、リムーバブルメディア31のメディアIDをメディアID取得部61により読み取り、CASカード4が抜き取られた日時情報と共に記憶する。また、画面生成部63によりリムーバブルメディア31に不完全コンテンツが記録されていることをユーザに通知する表示用データを生成し、リムーバブルメディア31に書き込む。なお、メディアIDは、録画中にCASカードが抜き取られた場合、それまでに記録したストリームデータと共にリムーバブルメディア31へ記録される記録先メディアを示す識別情報である。
【0040】
録画終了後、CASカード4は挿し戻されているが、リムーバブルメディア31が取り出されてしまっている場合、CPU15は、リムーバブルメディア31がないことを示す通知を出力部11から出力する。リムーバブルメディア31が再装着されると、メディアID取得部61によりメディアIDが読み取られ、メディアID比較部62は記録先が切り替えられた時にメディアID取得部61により既に記憶されているメディアIDとの比較を行う。メディアIDが一致し、HDD12にマージされていないスクランブルTSデータが記録されている場合には、CASカード4に記憶された復号鍵を利用して復号する。そして、マージ処理部20は、復号したデスクランブルTSデータとリムーバブルメディア31に記録されているデータとをマージ処理部20によりマージする。マージ処理後、リムーバブルメディア31に書き込まれた表示用データを記録した領域の無効化処理とHDD12に記録されているスクランブルTSデータの削除を行う。
【0041】
<録画処理>図7は、実施形態3によるデジタル放送の録画中にCASカードが抜き取られた場合の録画処理の流れを説明する図である。図5に示した実施形態2における録画処理に対して、メディアIDの管理と画面データの追加と表示を行う処理を加えている。図7において、CASカード4が装着されている場合、デスクランブラ部8で復号されたデスクランブルTSデータが記録再生制御部16によりリムーバブルメディア31に記録される(S71)。
【0042】
録画中にCASカードが抜き取られたことがカード挿抜検出部5により検知された場合、記録方式切替制御部6はスイッチ部7を制御し、デスクランブルTSからスクランブルTSへ記録方式を切り替える。また、記録先切替制御部32が記録先切替スイッチ33を制御し、リムーバブルメディア31からHDD12に切り替える(S72)。このとき、メディアIDおよびCASカードが抜き取られた日時情報がメディアID取得部61により記憶される。また、画面生成部63で生成された不完全コンテンツが記録されていることをユーザに通知する表示用データがリムーバブルメディア31に書き込まれる(S73)。これにより、録画終了後、マージされていない不完全コンテンツが記録されているリムーバブルメディアが再生機器に装着されて視聴される際に、図7に示すお知らせ画面7aが表示される。また、録画終了後、CASカードは挿し戻されたが、メディアが取り出されてしまっている場合には、マージされていない残りのコンテンツが記録されているHDD12を内蔵する装置60のディスプレイに図7に示す画面bが表示される。よって、録画終了後に、異なるメディアに分割されて記録されたコンテンツのマージ処理がまだ終っていないことをユーザに知らしめることができる。
【0043】
その後、リムーバブルメディア31が装着されている場合は、メディアID取得部61によりメディアIDが読み取られ、メディアID比較部62は記録先が切り替えられた時にメディアID取得部61により既に記憶されているメディアIDとの比較を行う。メディアIDが一致し、HDD12にマージされていないスクランブルTSデータが記録されている場合には、CASカード4に記憶された復号鍵を利用して復号する。そして、マージ処理部20は、復号したデスクランブルTSデータとリムーバブルメディア31に記録されているデータとをマージ処理部20によりマージする。マージ処理後、リムーバブルメディア31に書き込まれた画面データを記録した領域の無効化処理とHDD12に記録されているスクランブルTSデータの削除を行う(S74)。
【0044】
以上の処理により、録画終了後に、異なるメディアに分割されて記録されたコンテンツのマージ処理がまだ終っていないことをユーザに知らしめることができる。なお、上述した各実施形態では、デジタル放送記録再生装置に内蔵される固定大容量メディアとしてHDD12を一例として説明したが、別の形態の大容量メディアであっても同様の効果を期待できる。
【0045】
[他の実施形態]本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するように各種デバイスを動作させるために、これらデバイスと接続された装置或いはシステムのコンピュータに対して、本実施形態の機能を実現するソフトウェアを供給しても達成できる。この場合、上記ソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム又は装置に供給し、そのコンピュータ(CPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行して各種デバイスを動作させることで達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0046】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性の半導体メモリカード、ROMなどを用いることができる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現される場合もある。しかし、さらにプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0047】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに装着された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる場合も有得る。その後、プログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号化データストリームで配信されるデジタル放送の放送データを、着脱可能な第1の記録手段または内蔵された第2の記録手段のいずれかに録画する機能を有するデジタル放送記録再生装置であって、
暗号化データストリームを復号するための情報が格納され、前記装置に対して着脱可能な記憶媒体の着脱を検出する検出手段と、
暗号化データストリームを、前記装置に装着されている記憶媒体に格納された情報を用いて復号し、復号データストリームを出力する復号手段と、
前記復号データストリームを前記第1の記録手段に録画中に、前記記憶媒体が抜き取られたことが前記検出手段で検出された場合、検出されてからの放送データを暗号化データストリームで前記第2の記録手段に録画するように切り替える切替手段と、
前記第2の記録手段への録画が終了した後に、前記検出手段により前記記憶媒体が前記装置に装着されていることが検出された場合、前記第2の記録手段に録画された暗号化データストリームを前記復号手段で復号して、前記第1の記録手段に記録するよう制御する制御手段と、を有することを特徴とするデジタル放送記録再生装置。
【請求項2】
前記第1の記録手段への放送データの録画中に前記記憶媒体が抜き取られたことを前記検出手段により検出された場合、当該記憶媒体の識別情報と、前記第2の記録手段に記録される放送データの記録開始アドレス及び終了アドレスを示す情報とを記憶する切替情報管理手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送記録再生装置。
【請求項3】
前記第1の記録手段への放送データの録画中に前記記憶媒体が抜き取られたことにより記録先が前記第2の記録手段へ切り替えられた場合、前記記憶媒体の識別情報と、前記録画を行っていた装置の識別情報と、前記第1の記録手段へ記録された放送データが不完全な状態であることを示す情報とを前記第1の記録手段に書き込む書込手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送記録再生装置。
【請求項4】
前記書込手段は、前記第1の記録手段に、ユーザに対して当該第1の記録手段には不完全な放送データが記録されていることを通知するための表示用データを書き込むことを特徴とする請求項3に記載のデジタル放送記録再生装置。
【請求項5】
暗号化データストリームで配信されるデジタル放送の放送データを、着脱可能な第1の記録手段または内蔵された第2の記録手段のいずれかに録画する機能を有するデジタル放送記録再生装置の制御方法であって、
暗号化データストリームを復号するための情報が格納され、前記装置に対して着脱可能な記憶媒体の着脱を検出する検出工程と、
暗号化データストリームを、前記装置に装着されている記憶媒体に格納された情報を用いて復号し、復号データストリームを出力する復号工程と、
前記復号データストリームを前記第1の記録手段に録画中に、前記記憶媒体が抜き取られたことが前記検出工程で検出された場合、検出されてからの放送データを暗号化データストリームで前記第2の記録手段に録画するように切り替える切替工程と、
前記第2の記録手段への録画が終了した後に、前記検出工程により前記記憶媒体が前記装置に装着されていることが検出された場合、前記第2の記録手段に録画された暗号化データストリームを復号して、前記第1の記録手段に記録するよう制御する制御工程と、を有することを特徴とするデジタル放送記録再生装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−199878(P2010−199878A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41297(P2009−41297)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】