説明

バッテリパック収容構造およびバッテリパックおよび歩行補助装置

【課題】バッテリパック収容部に液滴が浸入しても、電気接続コネクタ部分には液滴が浸入しない構造とし、部品点数の増加やバッテリパックの着脱操作性を悪くすることないバッテリパック収容構造とすること。
【解決手段】バッテリパック150を着脱自在に収容するバッテリ収容凹部102の下部であって電気接続コネクタ140の設置位置とは異なった位置に形成された排水用開口149と、バッテリ収容凹部102の起立した壁部102Bに、電気接続コネクタ140の上側位置を横切り、且つ上下に傾斜して延在し、傾斜下位端が排水用開口149に至るよう形成された水案内凹凸部143とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリパック収容構造およびバッテリパックおよび歩行補助装置に関し、特に、防滴構造を有するバッテリパック収容構造およびバッテリパックおよびそのバッテリパック収容構造を有する歩行補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外で使用される電気機器、電動機器の電源であるバッテリパックの収容部は、バッテリパックの収容部分に雨水等が浸入しないウォータプルーフ構造になっている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−135289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリパック収容部のウォータプルーフ構造を確実で信頼性が高いものにするほど、部品点数が増えたり、大型化したり、バッテリパック収容部の開閉操作やバッテリパックの着脱操作が面倒なものになったりする。
【0005】
ところで、リチウムイオン電池等の再充電可能なバッテリパックの多くは、密閉型パッケージで、防滴仕様になっているから、バッテリパック収容部において液滴の付着を避ける必要がある箇所は、バッテリパックとの電気的接続部である電気接続コネクタであり、バッテリパック収容部に液滴が浸入しても、電気接続コネクタ部分に液滴が浸入しなければよい。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上述の見解に基づき、バッテリパック収容部に液滴が浸入しても、電気接続コネクタ部分には液滴が浸入しない構造とし、部品点数の増加やバッテリパックの着脱操作性を悪くすることないバッテリパック収容構造とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるバッテリパック収容構造は、バッテリパック(150)を着脱自在に収容するバッテリ収容凹部(102)を有し、前記バッテリ収容凹部(102)の下部に前記バッテリパック(150)と電気的に接続される電気接続コネクタ(140)が設置されたバッテリパック収容構造であって、前記バッテリ収容凹部(102)の下部であって前記電気接続コネクタ(140)の設置位置とは異なった位置に形成された排水用開口(149)と、前記バッテリ収容凹部(102)の起立した壁部(102B)に、前記電気接続コネクタ(140)の上側位置を横切り、且つ上下に傾斜して延在し、傾斜下位端が前記排水用開口(149)に至るよう形成された水案内凹凸部(143)とを有する。
【0008】
この構成によれば、バッテリ収容凹部(102)の壁部(102B)に付着した液滴は、水案内凹凸部(143)に案内されて、電気接続コネクタ(140)の配置を避けるように流れて排水用開口(149)に至たる。これにより、電気接続コネクタ(140)に液滴が付着することがない。
【0009】
本発明によるバッテリパック収容構造は、好ましくは、前記水案内凹凸部は前記バッテリ収容凹部に収容される前記バッテリパックの起立した外壁部に形成された水案内凹凸部と嵌り合う位置に形成されている。
【0010】
この構成によれば、バッテリパック(150)にも水案内凹凸部(158)が形成されていることにより、バッテリ収容凹部(102)に液滴が浸入しても、液滴は電気接続コネクタ(140、154)の配置を避けるように流れて排水用開口(149)に至たる。これにより、電気接続コネクタ(140、154)に液滴が付着することがない。
【0011】
本発明によるバッテリパック収容構造は、好ましくは、前記バッテリパック(150)が前記バッテリ収容凹部(102)の開口縁部に対応する外縁部の少なくとも一部に、前記バッテリ収容凹部(102)の内壁(102C、102E)に当接するフランジ部(151D)が突出形成されている。
【0012】
この構成によれば、バッテリパック(150)とバッテリ収容凹部(102)の内壁とが当接する箇所にフランジ部が設けられたことによって、水除け構造となることで、この両者の間隙より液滴がバッテリ収容凹部(102)内に浸入することが低減する。
【0013】
本発明によるバッテリパックは、下底部に電気接続コネクタ(154)が設置された密閉型パッケージのバッテリパックであって、バッテリパック(150)の起立した外壁部(151C)に、前記電気接続コネクタ(154)の上側位置を横切り、且つ上下に傾斜して延在する水案内凹凸部(158)が形成されている。
【0014】
この構成によれば、バッテリパック(150)の外壁部(151C)に液滴が付着しても、液滴は水案内凹凸部(158)に案内されて、電気接続コネクタ(154)の配置を避けるように流れる。これにより、電気接続コネクタ(154)に液滴が付着することが回避される。
【0015】
本発明による歩行補助装置は、使用者の腰部に装着されて使用者の腰背部から左右の腰側部に延在する腰部フレーム(22)と腰部フレーム(22)を使用者の腰部に取り付けるための腹部ベルト(30)とからなる腰部装具(20)と、前記腰部フレーム(22)の左右の先端部分に取り付けられた左右の動力発生装置(26、28)と、前記動力発生装置(26、28)が発生する動力を歩行補助力として使用者の大腿部に付与する大腿部装具(68、73)とを有する歩行補助装置であって、前記腰部フレーム(22)に、上述の発明によるバッテリパック収容構造が構成され、当該バッテリパック収容構造のバッテリ収容凹部(102)に収容されるバッテリパック(150)を前記動力発生装置(26、28)の電源としている。
【0016】
この構成によれば、屋外で使用される歩行補助装置に、本発明によるバッテリパック収容構造が適用されて、電気接続コネクタ(140、154)に液滴が付着しない効果が際立ったものになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるバッテリパック収容構造によれば、バッテリ収容凹部の壁部に付着した液滴は、水案内凹凸部に案内されて電気接続コネクタの配置を避けるように流れて排水用開口に至たるから、電気接続コネクタに液滴が付着することがない。これにより、バッテリパック収容部に液滴が浸入しても、電気接続コネクタ部分には液滴が浸入することがなく、部品点数の増加やバッテリパックの着脱操作性を悪くすることない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるバッテリパック収容構造が適用される歩行補助装置の一つの実施形態を示す斜視図。
【図2】本実施形態による歩行補助装置の腰部装具のメインフレーム周辺の分解斜視図。
【図3】本実施形態による歩行補助装置の背部当て板のヒンジ部分を拡大して示す分解斜視図。
【図4】本実施形態によるバッテリパック収容構造およびバッテリパックを装置前方から見た斜視図。
【図5】本実施形態によるバッテリパック収容構造およびバッテリパックを装置後方から見た斜視図。
【図6】本実施形態によるバッテリパック収容構造およびバッテリパックの正面図。
【図7】図6のVII−VIIに沿った拡大断面図。
【図8】図6のIIX−IIXに沿った拡大断面図(内蔵部品の図示省略)。
【図9】図8の丸囲みA部分の拡大断面図。
【図10】他の実施形態によるバッテリパック収容構造に用いられるバッテリパックを装置後方から見た斜視図。
【図11】他の実施形態による図8の丸囲みA部分と同等部分の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
先ず、本発明によるバッテリパック収容構造が適用される歩行補助装置の一つの実施形態を、図1、2を参照して説明する。以下の説明では、歩行補助装置の方向を各図に示す方向に基づいて説明する。歩行補助装置は、略左右対称な構造を有しており、使用者に装着された状態で、その前後方向が使用者の矢状軸に一致し、その左右方向が使用者の前額軸に一致する。
【0020】
図1に示されているように、歩行補助装置10は腰部装具20を有する。腰部装具20は、剛体構造のメインフレーム(腰部フレーム)22を備えている。メインフレーム22は、使用者の腰背部に対応する中間部分22Aと、中間部分22Aの左右両側に連続して延在し、使用者の腰部に装着された状態で、腰背部より左右の腰側部の外方かつ前方へ延出する左右の前端部分22B、22Cとを含み、平面視で略C字形状をなしている。メインフレーム22は、中空構造によるプラスチックの成形品で、例えば、ポリアミド樹脂やガラス繊維強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチック等の高剛性(機械的強度)を有する材料により構成されている。
【0021】
メインフレーム22の中間部分22Aには、前後方向に貫通する収容孔23(図2参照)が形成されており、当該収容孔23内には、制御装置およびバッテリを備えた電装ユニット25が収容される。メインフレーム22の中間部分22Aの内側には、背部当て板24が取り付けられている。背部当て板24は、プラスチック製であり、通気性と柔軟性を得るために、上下方向に延在するスリット24Aが左右方向に所定間隔をおいて多数形成されている。
【0022】
メインフレーム22の内側には使用者の腹部に巻き付けられる腹部ベルト30が設けられている。腹部ベルト30は、本実施形態では、左側ベルト36と、右側ベルト38と、前側ベルト40と、左横腹部ベルト44と、右横腹部ベルト46とにより構成されている。これらのベルト36、38、40、44、46は、織布や皮革等の可撓性材料から構成されている。
【0023】
左側ベルト36は、両端をメインフレーム22の中間部分22Aの左側部分の上下部位に止め金(図示省略)によって固定され、長手方向における中間部分が折り返されてこの折り返し端が前方へ延出している。左側ベルト36は、長手方向における中間部分にベルト長さを調節するバックル27を有している。右側ベルト38は、左右対称に配置されていることを除けば、左側ベルト36と同様の構成されており、長手方向における中間部分にベルト長さを調節するバックル29を有している。
【0024】
左側ベルト36の中間部分には、左側ベルト36のベルト幅と同等の横幅を有するフック形状部51Aとベルト通し開口51Bとを備えたフック部材51が、ベルト通し開口51Bに左側ベルト36を折り返すようにして通された形態で取り付けられている。同様に、右側ベルト38の折り返し先端部には、右側ベルト38のベルト幅と同等の横幅を有するフック形状部52Aとベルト通し開口52Bとを備えたフック部材52が、ベルト通し開口52Bに右側ベルト38を折り返すようにして通された形態で取り付けられている。フック部材51、52は、プラスチック材料や金属材料等から形成されている。
【0025】
前側ベルト40の左右両端部には、井桁形状の係合部材56、58が取り付けられている。係合部材56、58は、フック形状部51A、52Aに係脱可能に係合する矩形開口部56A、58Aと、ベルト長さ調節バックル部56B、58Bとを備え、ベルト長さ調節バックル部56B、58Bには前側ベルト40の各端部が取り付けられている。
【0026】
前側ベルト40は、係合部材56、58の矩形開口部56A、58Aにフック部材51、52のフック形状部51A、52Aが離脱可能に引っ掛けられることにより、左右の端部を左側ベルト36と右側ベルト38に係脱可能に連結される。
【0027】
左側ベルト36と右側ベルト38と前側ベルト40とは、メインフレーム22の中間部分22Aと協働して使用者の腹部を取り囲む閉ループをなし、メインフレーム22を使用者の腰部に装着可能にする。閉ループの大きさはベルト長さ調節バックル部56B、58B等によって調整可能になっている。
【0028】
左横腹部ベルト44は、左側ベルト36の内側にあって、一端をメインフレーム22の中間部分22Aの左側部分に止め金(図示省略)によって左側ベルト36と共に固定されている。左横腹部ベルト44の他端は、止め金(図示省略)によって左側ベルト36のフック部材51近傍部分に連結されている。同様に、右横腹部ベルト46は、右側ベルト38の内側にあって、一端がメインフレーム22の中間部分22Aの右側部分に止め金(図示省略)によって右側ベルト38と共に取り付けられている。右横腹部ベルト46の他端は、止め金(図示省略)によって右側ベルト38のフック部材52近傍部分に連結されている。
【0029】
メインフレーム22の左右の前端部分22B、22Cの内側部分には、止め具(図示省略)によって左側スタビライザ部材53、右側スタビライザ部材54の一端部が各々固定されている。
【0030】
左側スタビライザ部材53は、先端部にベルト通し具53Aを有し、ベルト通し具53Aに左側ベルト36の折り返し端近傍部、つまりフック部材51の近傍部分の左側ベルト36を通され、左側ベルト36の折り返し端近傍部を支持している。同様に、右側スタビライザ部材54は、先端部にベルト通し具54Aを有し、ベルト通し具54Aに右側ベルト38の折り返し端近傍部、つまりフック部材51の近傍部分の右側ベルト38を通され、右側ベルト38の折り返し端近傍部を支持している。
【0031】
スタビライザ部材53、54は、材質、断面形状等の選定により、少なくとも自立でき、メインフレーム22の左右の前端部分22B、22Cと腹部ベルト30の中間部分とを接続する方向(前後方向)と、上下方向には比較的高い剛性(高い耐曲げ強度)を示し、左右方向(板厚方向)には比較的低い剛性(低い耐曲げ強度)を示す設定になっている。つまり、各スタビライザ部材53、54は、上下方向に比して左右方向に弾性変形し易い構成になっている。これにより、スタビライザ部材53、54は、腹部ベルト30が使用者の腹部に締め付けられることにより、各々、左右方向の内側に弾性変形するも、フック部材51、52の高さ位置を安定に保つスタビライザ作用を奏する。
【0032】
メインフレーム22の左右の先端部である前端部分22B、22Cは、使用者の左右の腰側部に位置する。この各前端部分22B、22Cの下側には、ヒンジ部(図示省略)を介して動力発生装置である左側電動モータユニット26、右側電動モータユニット28が取り付けられている。ヒンジ部は、前後方向に延在する回転軸(図示省略)を有する。これにより、各電動モータユニット26、28は、メインフレーム22に対して使用者の矢状軸周り(開脚方向)に回動可能である。各電動モータユニット26、28は、ケーシング内に、回転アクチュエータである電動モータと、電動モータの出力部材の回動角度を検出する角度センサ等(図示省略)とを内蔵している。
【0033】
電動モータユニット26、28には、電動モータの出力部材とトルク伝達関係で連結されるスイングアーム60、62の基端部60A、62Aが着脱可能に連結されている。
【0034】
スイングアーム60、62は、アルミニウム等の軽金属や、ガラス繊維強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチック等の高剛性を有する材料により構成され、使用者の股関節部の外側から使用者の大腿部前側へと太腿に沿って延びるように捩られた形状をし、大腿部前側に位置する先端部60B、62Bを有する。
【0035】
スイングアーム60、62の先端部60B、62Bには、球面式の連結部64、66によって大腿前部当て板68、70が、首振り可能に取り付けられている。大腿前部当て板68、70は、プラスチック製で、大腿前部の形状に合った湾曲形状をしており、通気性と柔軟性を高めるために、上下方向に延在する多数のスリット68A、70Aが形成されている。
【0036】
大腿前部当て板68、70には、フック形状部71、72が一体成形されている。大腿前部当て板68、70には、大腿部ベルト73、74の一端部(基端部)が連結されている。大腿部ベルト73、74の他端部(先端部)には、フック形状部71、72に係脱可能に係合する矩形開口部75A、76Aと、ベルト長さ調節バックル部75B、76Bとを含む井桁形状の係合部材75、76が取り付けられている。これにより、大腿部ベルト73、74は、各々ベルト長さ調節バックル部75B、76Bによって個別にベルト長さ調節可能になっている。
【0037】
大腿部ベルト73、74は、係合部材75、76の矩形開口部75A、76Aをフック形状部71、72に離脱可能に引っ掛けることにより、先端側を大腿前部当て板68、70に係脱可能に連結され、大腿部を縛るループをなす。
【0038】
以上のようにして、歩行補助装置10は、メインフレーム22が腹部ベルト30によって使用者の腰部に装着され、スイングアーム60、62の先端部60B、62Bを大腿部ベルト73、74および大腿前部当て板68、70によって使用者の左右の大腿部に装着される。この状態で、使用者が歩行すると、歩行による大腿部の前後の振り運動によって各スイングアーム60、62が基端部60A、62Aを中心として前後に回動する。
【0039】
このスイングアーム60、62の回動が電動モータユニット26、28の角度センサによって検出されることにより、後述する制御装置160による自動制御によって使用者の歩行に応じて電動モータユニット26、28の電動モータが駆動され、左右のスイングアーム60、62が使用者の歩行に応じて回動駆動される。これにより、電動モータユニット26、28の電動モータが発生する動力が使用者の下肢に歩行補助力として付与される。
【0040】
次に、電装ユニット25および電装ユニット25に設けられるバッテリパック収容構造の詳細を、図2〜図9を参照して説明する。
【0041】
図2に示されているように、電装ユニット25は、メインフレーム22の中間部分22Aに貫通形成された略楕円形状の収容孔23に嵌合装着されるユニットケーシング100を有している。ユニットケーシング100は、図2、図4、図5、図7に示されているように、前側のケース本体100Aと後側(背面側)のカバー100Bとの組立体により構成されている。ケース本体100Aには上側ボルト孔103と下側ボルト孔104とが形成されている(図7参照)。メインフレーム22の中間部分22Aには上側固定片111と下側固定片113とが形成されている。ユニットケーシング100は、図7に示されているように、上側固定片111、下側固定片113に形成されたボルト通し孔111A、133Aに挿入されて上側ボルト孔103、下側ボルト孔104に螺合するボルト114、115により、収容孔23に嵌め込まれた状態で、メインフレーム22にねじ止め固定されている。
【0042】
電装ユニット25はユニットケーシング100内にマイクロコンピュータを含む制御装置160(図7参照)を内蔵している。制御装置160は、電装ユニット25に装填されたバッテリパック150より電力供給を受け、電動モータユニット26、28を制御する。カバー100Bには電装ユニット25の電源スイッチ161の押しボタン162が背面に露呈する形態で設けられている(図5、図7参照)。図2に示されているように、ユニット本体100の左右側部には、ゴム製の連結ブロック105が外向きにそれぞれ突設されている。各連結ブロック105は、左右のケーブル106をそれぞれ挿通された状態で、メインフレーム22の収容孔23の左右縁に開口した連結孔107にそれぞれ遊嵌される。左右のケーブル106は、電装ユニット25と電動モータユニット26、28とを電気的に接続し、制御信号の送受や電力供給等に供されるものである。
【0043】
図4に示されているように、ケース本体100Aの前面側には扁平な箱状(長方体)のバッテリパック150を着脱自在に収容する前面開口のバッテリ収容凹部102が形成されている。バッテリ収容凹部102の底部102Aの左右方向の中央部には、バッテリパック150と電気的接続を行うための複数個のユニット側端子141を備えた電気接続コネクタ140が設置されている。バッテリ収容凹部102の底部102Aの左右両側、つまり電気接続コネクタ140の左右両側方には、ケース本体100Aを上下に貫通し、バッテリ収容凹部102の底部102Aをケース本体100A外に開放する排水用開口149が形成されている。
【0044】
バッテリ収容凹部102の起立した奧壁部102Bには、水案内凹部143(図4、図7参照)が形成されている。水案内凹部143は、半円形の溝断面形状をしていて、電気接続コネクタ141の設置位置の上位置を左右に横切って延在するアーチ形をなし、中央頂部143Aの左右両側に下り勾配に傾斜した傾斜部143Bを有し、その左右の傾斜下位端143Cが各々左右の排水用開口149の上側(真上)に至っている。本実施形態では、水案内凹部143は、上下に間隔をおいて2個設けられている。なお、起立した奧壁部102Bとは、装置の通常使用状態で、鉛直面をなす壁部のことである。
【0045】
バッテリパック150は、リチウムイオン電池等の再充電可能なバッテリであり、合成樹脂性の密閉ケース151内に複数個のバッテリセル(図示省略)を気密に内蔵した密閉型パッケージによる防滴仕様のものである。図5に示されているように、密閉ケース151の下底部151Aの左右方向の中央部には、電装ユニット25と電気的接続を行うための複数個のバッテリ側端子153を備えた電気接続コネクタ154が、密閉ケース151の外面に露呈する形態で設けられている。
【0046】
密閉ケース151の下底部151Aの左右両側には、排水用開口149に係合可能な複数個の係合片155が下方に突出形成されている。
【0047】
密閉ケース151の上部151Bには横断面形状が横転U字形をした弾性片部156が密閉ケース151に一体成形されている。弾性片部156の上部には、バッテリ収容凹部102の上壁部に形成された係合凹部142(図7参照)に係合する逆止形状の係止爪部157が一体成形されている。
【0048】
バッテリパック150がバッテリ収容凹部102に収容された状態で、密閉ケース151が密閉ケース151の奧壁部102Bに対向する背壁部151Cには、水案内凹部143と同一形状で、水案内凹部143に嵌合する半円形の横断面形状の水案内凸部158(図5、図7参照)が形成されている。つまり、水案内凸部158は、バッテリパック150の起立した外壁部である奧壁部102Bにあり、電気接続コネクタ153の設置位置の上位置を左右に横切って延在するアーチ形をなし、中央頂部153Aの左右両側に下り勾配に傾斜した傾斜部153Bを有し、バッテリパック150がバッテリ収容凹部102に収容された状態において左右の傾斜部153Bの傾斜下位端153Cが各々左右の排水用開口149の上側に至っている。
【0049】
電装ユニット25に対するバッテリパック150の装填は、バッテリパック150の上側が手前に来る傾斜姿勢で、先ず、バッテリパック150の下側をバッテリ収容凹部102内に入れ、係合片155を排水用開口149に落とし込むように係合させる。次に、係合片155と排水用開口149との係合部を回動支点として、バッテリパック150を立てるようにバッテリパック150の上側をバッテリ収容凹部102内に入れる。すると、バッテリパック150の全体がバッテリ収容凹部102内に収容されると共に係止爪部157が弾性片部156のばね力によって係合凹部142に係合し、係合片155と排水用開口149との係合と、係止爪部157と係合凹部142との係合によってバッテリパック150がバッテリ収容凹部102内に固定(係止)され、装填が完了する。
【0050】
この状態では、ユニット側端子141とバッテリ側端子153とが導通接触し、装填完了と同時にバッテリパック150と電装ユニット25の電気系統とが導電接続される。なお、排水用開口149に係合片155が係合しても、排水用開口149は、余剰の十分な開放空間によって排水用の開口として作用する。
【0051】
バッテリパック150の取り外しは、ケース本体100Aの上部に形成されている開口100Cの部分にて弾性片部156を指先で下方に押すことにより、係止爪部157を係合凹部142との係合より離脱させ、バッテリパック150の上側を手前に倒してバッテリ収容凹部102の前方に出し、その後、係合片155を排水用開口149より抜き出すようにしてバッテリパック150を係合凹部142より取り出す。
【0052】
前述の背部当て板24は、図2に示されているように、メインフレーム22に装着された電装ユニット25の前面側に設けられ、ヒンジ部121によりメインフレーム22に対して開閉自在に支持されている。背部当て板24は、電装ユニット25の前面側を遮蔽してバッテリ収容凹部102の前方を閉鎖する閉じ位置と、電装ユニット25の前面側を露出させ、バッテリ収容凹部102を開放する開き位置との間を回動可能である。
【0053】
背部当て板24の背面には、上下方向に延在する一対のリブ127(図2参照)が設けられている。リブ151は、背部当て板24が閉じ位置にある時に、バッテリ収容凹部102に収容されているバッテリパック150の前面(露出面)に当接することにより、バッテリパック150の押さえ込みを行い、バッテリパック150のバッテリ収容凹部102に対する収容強度を強化する。
【0054】
ヒンジ部121は、図3に示されているように、背部当て板24の背面下部に突設され、所定の間隔で対向配置された一対の弾性係止片122と、この弾性係止片122に枢動可能に連結される支持ブロック112とによって構成されている。弾性係止片122は、その先端側を拡開するように弾性変形可能であり、これにより、弾性係止片122の先端側の内面から突設された軸部123が、支持ブロック112の左右側壁に形成された軸孔124にそれぞれ挿入可能となっている。支持ブロック112は、軸孔124が形成された前端の左右下部112Aが前方に向けて先細り状に切り欠かれており、これにより、背部当て板開き状態において軸孔124に対する軸部123の挿入が容易となる。
【0055】
図2に示されているように、背部当て板24の背面上部に突設された円柱状をなす左右の係合部125には、それぞれ磁石が埋設されている。一方、メインフレーム22における収容孔23の左右上方には、左側ベルト36、右側ベルト38、左横腹部ベルト44、及び右横腹部ベルト46の端部を固定するための鉄系金属製の固定部126がそれぞれ突設されている。背部当て板24の係合部125は、背部当て板24の閉鎖時に、メインフレーム22の固定部126に対してそれぞれ当接するように配置されており、磁力によって固定部126に吸着する。このような構成により、ヒンジ部121によって背部当て板24を開閉容易としつつ、その閉鎖状態を安定的に維持することが可能である。
【0056】
バッテリ収容凹部102は、背部当て板24によって前方を遮蔽されるだけで、液滴の浸入を拒むウォータプルーフ構造になっていないので、バッテリ収容凹部102に雨水の液滴が浸入することがある。このうち、バッテリパック150の前面に付着した液滴は、そのまま下方に垂れ落ちて電気接続コネクタ140と154との接続部分に至ることはない。バッテリパック150の左右側面とバッテリ収容凹部102との対向間隙に浸入した液滴は、下方に垂れ落ち、排水用開口134からバッテリ収容凹部102外へ排出され、電気接続コネクタ140と154との接続部分に至ることはない。
【0057】
バッテリ収容凹部102の奧壁部102Bとバッテリパック150の密閉ケース151の背壁部151Cとの間隙に浸入した液滴は、下方に垂れ落ちる途中で、水案内凹部143と水案内凸部158との係合部分に至ると、水案内凹部143と水案内凸部158とを傾斜樋のようにして、これらに案内されて電気接続コネクタ140と154との接続部分を避けるように左右両側に流れ、排水用開口134に至り、排水用開口134からバッテリ収容凹部102外へ排出される。これにより、バッテリ収容凹部102の奧壁部102Bとバッテリパック150の背壁部151Cとの間隙に浸入した液滴も電気接続コネクタ140と154との接続部分に至ることはない。
【0058】
上述の作用により、バッテリ収容凹部102が、背部当て板24によって前方を遮蔽されるだけで、液滴の浸入を拒むウォータプルーフ構造になっていなくても、液滴が電気接続コネクタ140と154との接続部分に至ることがなく、液滴付着による電気的障害を生じることがない。
【0059】
このようなことから、バッテリパック150は、背部当て板24を開放した状態で電装ユニット25の前面側(使用者側)から電装ユニット25のバッテリ収容凹部102に対して簡単に着脱することができる。つまり、ヒンジ部121を支点として背部当て板24を開閉させるという簡易な操作により、バッテリパック150を着脱、交換することが可能な状態となる。
【0060】
このようにして、背部当て板24をバッテリパック150の外蓋として機能させることができるから、バッテリパック101へのアクセスを容易としつつ、バッテリパック150を固定するための部材を別途設けることなく、バッテリパック150の装着状態を安定的に保持することが可能となる。
【0061】
他の実施形態として、図8、図9に示されているように、バッテリパック150の密閉ケース151がバッテリ収容凹部102の前側の開口縁部に対応する外縁部には、ラップ形状のフランジ部151Dが突出形成されている。フランジ部151Dは、バッテリ収容凹部102の前側の開口縁部に拡張形成された凹部102Cに嵌り込み、先端部151Eをもって凹部102Cの内壁102Dに当接している。これにより、バッテリパック150の密閉ケース151とユニットケーシング100のケース本体100Aとの間の間隙より液滴がバッテリ収容凹部102内に浸入することが低減し、液滴が電気接続コネクタ140と154との接続部分に至る虞が低減する。
【0062】
この簡易のシール構造は、図10に示されているように、バッテリパック150及びバッテリ収容凹部102の左右両側部分と底部とに連続して設けられていてよい。なお、フランジ部とバッテリ収容凹部102の内壁とが当接する箇所は、バッテリパック150及びバッテリ収容凹部102の上部にも設けられていてもよく、バッテリ収容凹部102内に液滴が浸入することを防ぐ上で、可及的にバッテリパック150及びバッテリ収容凹部102の周縁の多くの部分に設けられていることが好ましい。
【0063】
また、図11に示されているように、フランジ部151Dは、裏側壁部151Fをもって凹部102Cの内壁102Eに突き当たり当接することにより、バッテリパック150の密閉ケース151とユニットケーシング100のケース本体100Aとの間における水除け構造であってもよい。さらに、防水性をより高めるためには、簡易シール構造のように、上記実施例よりも、フランジ部とバッテリ収容凹部102の内壁とがより密接に当接する構造であることが好ましい。
【0064】
本発明を特定の実施形態に基づいて詳細に説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。上記実施形態に示した本発明に係る歩行補助装置の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて選択的に用いることが可能である。
【0065】
例えば、バッテリ収容凹部102側の水案内部が凸部で、バッテリパック150の水案内部が凹部であってもよい。水案内凹部143、水案内凸部158の横断面形状は、半円形以外に、三角形、四角形でもよい。水案内凹部143、水案内凸部158の形状は、アーチ形以外に、三角山形であってもよく、液滴が電気接続コネクタ140と154との接続部分を避けて排水用開口134へ流れることを案内する形状であればよい。また、排水用開口134はバッテリ収容凹部102の左右両側でなくて片側にだけ設けられていてもよい。この場合の水案内凹部143、水案内凸部158の形状は、排水用開口134に向けて下り勾配の水傾斜を有する直線形状であればよい。水案内凹部143、水案内凸部158の個数は、1個でも、2個以上の複数個であってもよい。また、水案内凹凸部は、バッテリ収容凹部102とバッテリパック150の何れか一方にのみ設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 歩行補助装置
20 腰部装具
22 メインフレーム(腰部フレーム)
24 背部当て板(腰当て部材)
25 電装ユニット
25 電装ユニット
26 左側電動モータユニット(動力発生装置)
28 右側電動モータユニット(動力発生装置)
60、62 スイングアーム
68、70 大腿前部当て板
73、74 大腿部ベルト
100 ユニットケーシング
102 バッテリ収容凹部
140 電気接続コネクタ
143 水案内凹部
149 排水用開口
150 バッテリパック
151 密閉ケース
154 電気接続コネクタ
158 水案内凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリパックを着脱自在に収容するバッテリ収容凹部を有し、前記バッテリ収容凹部の下部に前記バッテリパックと電気的に接続される電気接続コネクタが設置されたバッテリパック収容構造であって、
前記バッテリ収容凹部の下部であって前記電気接続コネクタの設置位置とは異なった位置に形成された排水用開口と、
前記バッテリ収容凹部の起立した壁部に、前記電気接続コネクタの上側位置を横切り、且つ上下に傾斜して延在し、傾斜下位端が前記排水用開口に至るよう形成された水案内凹凸部と、
を有するバッテリパック収容構造。
【請求項2】
前記水案内凹凸部は前記バッテリ収容凹部に収容される前記バッテリパックの起立した外壁部に形成された水案内凹凸部と嵌り合う位置に形成されている請求項1に記載のバッテリパック収容構造。
【請求項3】
前記バッテリパックが前記バッテリ収容凹部の開口縁部に対応する外縁部の少なくとも一部に、前記バッテリ収容凹部の内壁に当接するフランジ部が突出形成されている請求項1または2に記載のバッテリパック収容構造。
【請求項4】
下底部に電気接続コネクタが設置された密閉型パッケージのバッテリパックであって、
バッテリパックの起立した外壁部に、前記電気接続コネクタの上側位置を横切り、且つ上下に傾斜して延在する水案内凹凸部が形成されているバッテリパック。
【請求項5】
使用者の腰部に装着されて使用者の腰背部から左右の腰側部に延在する腰部フレームと腰部フレームを使用者の腰部に取り付けるための腹部ベルトとからなる腰部装具と、前記腰部フレームの左右の先端部分に取り付けられた左右の動力発生装置と、前記動力発生装置が発生する動力を歩行補助力として使用者の大腿部に付与する大腿部装具とを有する歩行補助装置であって、
前記腰部フレームに請求項1から3の何れか一項に記載のバッテリパック収容構造が構成され、当該バッテリパック収容構造のバッテリ収容凹部に収容されるバッテリパックを前記動力発生装置の電源としている歩行補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−16449(P2013−16449A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196461(P2011−196461)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】