説明

バッテリ装置

【課題】屋外で利用した場合等に雨滴等の水がかかってしまってケースの内部に水が入ってしまうことがあったとしても、このケースの内部に水を溜めないようにケースの内部の排水性を高める。
【解決手段】ケース11には、ケース11の内と外とを貫通する第1排水孔28および第2排水孔68が設けられているので、このケース11の内部に水が入ってしまうことがあったとしても、このケース11の内部に水を、ケース11の内からケース11の外へ排水することができる。また、第1排水孔28は、係合構造51の下側に設定されているので、この係合構造51の下側におけるケース11の内部の排水性を高めることができる。また、第2排水孔68は、バッテリ装置10自体を置いた場合に最下部に位置する部分に設けられているので、水の自重を利用してバッテリ装置10の最下部からケース11の内部からケース11の外部に排水するのに有利となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバッテリパックを1つの電力源として電動工具本体に装着するバッテリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コードレスで利用できる電動工具が知られている。このような電動工具は、工具として機能する電動工具本体に、電力源となる充電式のバッテリパックが装着されて構成される。このような充電式のバッテリパックにあっては、複数種類の電動工具本体の電力源として装着できるように共通規格化されている。つまり、この充電式のバッテリパックにあっては、複数種類の電動工具本体に装着できるように共通規格化されており、ユーザは、この共通規格化された充電式のバッテリパックを複数所有している場合が多い。なお、この充電式のバッテリパックとしては、例えば供給電圧が18Vに設定された18V仕様のバッテリパックが広く普及している。
他方、電動工具には、例えば芝刈機やチェーンソーのように供給電圧が36Vに設定される電動工具がある。このような電動工具には、広く普及する18V仕様のバッテリパックを装着して利用することができない。このため、このような電動工具にあっても18V仕様のバッテリパックを利用することができるように、36Vの供給電圧に変換するバッテリ装置が知られている(下記特許文献1参照)。下記特許文献1にて開示されるバッテリ装置は、2つのバッテリパックを1つの電力源として機能するように構成されている。このように構成されたバッテリ装置によれば、18V仕様のバッテリパックを36V仕様のバッテリパックのように扱うことができ、共通規格化されたバッテリパックのメリットを享受できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102008040061号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで上記したバッテリ装置にあっては、屋外で利用することがある。このようにバッテリ装置を屋外で利用すると、バッテリ装置に雨滴等の水がかかってしまって、ケースの内部に水が入ってしまうことがある。このようにケースの内部に水が入ってしまうと、ケースの内部に水が溜まってしまって、バッテリ装置自体を重くしてしまったりする。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、複数のバッテリパックを1つの電力源として電動工具本体に装着するバッテリ装置において、屋外で利用した場合等に雨滴等の水がかかってしまってケースの内部に水が入ってしまうことがあったとしても、このケースの内部に水を溜めないようにケースの内部の排水性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するにあたって本発明に係るバッテリ装置は次の手段をとる。
すなわち、本発明の第1の発明に係るバッテリ装置は、複数のバッテリパックを1つの電力源として電動工具本体に装着するバッテリ装置であって、外装をなすケースを備え、前記ケースには、該ケースの内と外とを貫通する排水孔が設けられていることを特徴とする。
この第1の発明に係るバッテリ装置によれば、ケースには、ケースの内と外とを貫通する排水孔が設けられているので、このケースの内部に水が入ってしまうことがあったとしても、このケースの内部に水を、ケースの内からケースの外へ排水することができる。これによって、屋外で利用した場合等に雨滴等の水がかかってしまってケースの内部に水が入ってしまうことがあったとしても、このケースの内部に水を溜めないようにケースの内部の排水性を高めることができる。
【0007】
第2の発明に係るバッテリ装置は、前記第1の発明に係るバッテリ装置において、前記排水孔は、該バッテリ装置自体を置いた場合に最下部に位置する部分に設けられていることを特徴とする。
この第2の発明に係るバッテリ装置によれば、排水孔は、バッテリ装置自体を置いた場合に最下部に位置する部分に設けられているので、水の自重を利用してバッテリ装置の最下部からケースの内部からケースの外部に排水するのに有利となる。これによって、ケースの内部に水を溜めないようにケースの内部の排水性を、さらに高めることができる。
【0008】
第3の発明に係るバッテリ装置は、前記第1または前記第2の発明に係るバッテリ装置において、前記バッテリパックを装着するためのバッテリ装着部と、制御基板を内蔵するための筐体部とが該筐体部の延在方向にて視た側面視でL字形をなしており、前記排水孔は、前記筐体部の下側に設定されていることを特徴とする。
この第3の発明に係るバッテリ装置によれば、排水孔は筐体部の下側に設定されているので、この筐体部の内部の排水性を高めることができる。これによって、制御基板が内蔵される筐体部の内部の排水性を効果的に高めることができる。
【0009】
第4の発明に係るバッテリ装置は、前記第1から前記第3のいずれかの発明に係るバッテリ装置において、前記電動工具本体にスライド装着するためのスライド構造と、該スライド構造により該電動工具本体にスライド装着した場合に該スライド装着した状態の該電動工具本体と係合する係合構造とを備え、前記排水孔は、前記係合構造の下側に設定されていることを特徴とする。
この第4の発明に係るバッテリ装置によれば、排水孔は係合構造の下側に設定されているので、この係合構造の下側におけるケースの内部の排水性を高めることができる。つまり、ケースの外部の水がケースの内部に最も浸入し易い係合構造の下側におけるケースの内部の排水性を高めることができるので、ケース全体にとしてのケースの内部の排水性を効率よく高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明に係るバッテリ装置によれば、ケースの内部に水を溜めないようにケースの内部の排水性を高めることができる。
第2の発明に係るバッテリ装置によれば、ケースの内部に水を溜めないようにケースの内部の排水性を、さらに高めることができる。
第3の発明に係るバッテリ装置によれば、制御基板が内蔵される筐体部の内部の排水性を効果的に高めることができる。
第4の発明に係るバッテリ装置によれば、ケース全体にとしてのケースの内部の排水性を効率よく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】バッテリ装置を装着した芝刈機を示す上面視図である。
【図2】バッテリパックを取り外したバッテリ装置を示す斜視図である。
【図3】バッテリパックを取り付けたバッテリ装置を示す側面視図である。
【図4】バッテリパックを取り付けたバッテリ装置を示す上面視図である。
【図5】バッテリパックを取り付けたバッテリ装置を示す後面視図である。
【図6】バッテリパックを取り付けたバッテリ装置を示す裏面視図である。
【図7】図6のVII−VII断面矢視を示すバッテリ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るバッテリ装置を実施するための形態について図1〜図7を参照しながら説明する。
図1は、バッテリ装置10を装着した芝刈機1を示す上面視図である。この芝刈機1は、芝を刈る園芸工具として利用される電動工具である。この芝刈機1は、いわゆるコードレスにて構成される電動工具であり、充電式のバッテリが装着されて電力供給される。すなわち芝刈機1は、工具として機能する芝刈機本体2にバッテリ装置10を装着することで駆動する。つまり、この芝刈機1は、バッテリ装置10から供給される電力により芝刈機本体2に内蔵されるモータ(不図示)を回転駆動させ、芝刈機本体2に内蔵される切断刃(不図示)を回転させて芝を刈ることができる。なお、この芝刈機1は、芝刈機本体2内部の前後位置の両側のそれぞれに4つの車輪3が設けられており、芝生上を移動できるようになっている。なお、この芝刈機本体2は、本発明に係る電動工具本体に相当する。また、このバッテリ装置10は、本発明に係る電動工具本体の電力源に相当する。また、この芝刈機1は、使用時の供給電力の電圧が36Vに設定される電動工具となっている。
【0013】
次に、上記した芝刈機1の芝刈機本体2に装着されるバッテリ装置10について説明する。図2は、バッテリパック90を取り外したバッテリ装置10を示す斜視図である。図3は、バッテリパック90を取り付けたバッテリ装置10を示す側面視図である。図4は、バッテリパック90を取り付けたバッテリ装置10を示す上面視図である。図5は、バッテリパック90を取り付けたバッテリ装置10を示す後面視図である。図6は、バッテリパック90を取り付けたバッテリ装置10を示す裏面視図である。図7は、図6のVII−VII断面矢視を示すバッテリ装置10の断面図である。なお、説明の便宜上、図示にも規定しているとおり、芝刈機本体2(電動工具本体)に向けてスライド装着させる方向をバッテリ装置10の前側と規定し、バッテリパック90の装着側をバッテリ装置10の上側と規定している。
図2〜図6に示すバッテリ装置10は、上記したように芝刈機本体2(電動工具本体)に装着されるものであり、図4等に示す複数となる2つのバッテリパック90,90を1つの芝刈機本体2の電力源として機能させるように構成される。このバッテリ装置10には、供給電力の電圧が18Vに設定されるバッテリパック90,90の2つを装着可能に構成される。このように装着された2つの18Vの電圧のバッテリパック90,90は、36Vの電圧に変換(直列接続)して芝刈機本体2(電動工具本体)に出力する。このため、バッテリ装置10は、図2に示すように、その上面側に、2つのバッテリパック90,90を装着するためのバッテリ装着部20,20が2つ並列して設けられている。また、バッテリ装置10は、図6に示すように、その裏面側に、芝刈機本体2(電動工具本体)の装着部5に装着するための1つの本体装着部40が設けられている。また、バッテリ装置10は、主制御基板を内蔵する筐体部60が設けられている。すなわちバッテリ装置10は、概略、外装をなすケース11に対して、バッテリ装着部20と、本体装着部40と、筐体部60とが設けられることにより構成される。
【0014】
ケース11は、プラスチック樹脂の成形品であり、図2および図3に示すようにケース本体111と蓋体部112とを合体させることにより形成される。このケース11は、図2および図3に示すように側面視でL字形をなして幅方向に延在した内部中空構造により形成される。このケース11の内部には各種電気配線および各種制御基板が内蔵される。
ケース11は、図2および図3に示すように、前後方向後端から前後方向中間部にかけてバッテリ装着部20,20が左右並列して形成され、前後方向前端部には筐体部60が左右延在して形成されている。具体的には、このケース11のうちバッテリ装着部20,20が設けられる範囲にあっては、上下方向の高さを適宜に有した中空構造にて形成されて前後左右方向に延在している。なおバッテリパック90,90は、バッテリ装着部20,20に対してスライド装着した場合、バッテリ装着部20,20の上側に配置されるようになっている。これに対して、ケース11のうち筐体部60が設けられる範囲にあっては、このバッテリ装着部20,20が設けられる範囲に比して上側に突き出した中空構造にて形成されて左右方向に延在している。このため、筐体部60は、2つのバッテリ装着部20,20が並列する面方向に対して交差方向となる上側に突き出すように延在する。なお、このケース11には、バッテリ装着部20が設けられる側とは反対側に、後に説明する本体装着部40が設けられる。
【0015】
ところで、このバッテリ装着部20の上側には、このバッテリ装着部20にスライド装着されたバッテリパック90が配置される。ここで筐体部60の上端面601は、バッテリ装着部20にスライド装着されたバッテリパック90の上端面901と面一となっている。つまり、筐体部60の上側に向いた配設領域は、バッテリ装着部20に装着されたバッテリパック90の大きさを鑑みて設定されている。また、筐体部60は、このように上側に突き出した形状で、バッテリ装置10の左右方向に延びる幅領域いっぱいまで延在している。このようにしてバッテリ装着部20と筐体部60とは、図3に示すように筐体部60の左右延在方向となる方向で視た側面視でL字形をなすように、互いの配置位置が設定されている。言い換えれば、バッテリ装置10は、装着されたバッテリパック90を囲うかのようなL字形状(辺を2つ有する構造)に一体化したバッテリ装着部20および筐体部60を配設して構成される。また、このバッテリ装着部20の上下の厚みは、このバッテリ装着部20に装着されたバッテリパック90の厚みよりも薄くなるように設定されている。この筐体部60には、図7に示すように、バッテリ装着部20に装着されたバッテリパック90と電気的に接続される主制御基板62が内装されている。この主制御基板62は、バッテリ装着部20,20に装着されたバッテリパック90,90から供給される電力を受けて芝刈機本体2(電動工具本体)に出力するにあたり、この供給される電力電圧から出力する電力電圧を変圧する機能等を有している。
【0016】
次に、バッテリ装着部20の構造について説明する。
このバッテリ装着部20,20は、互いに並列するようにケース11に配設されている。具体的には、バッテリ装着部20,20は、バッテリパック90の長手方向に沿ってバッテリパック90をスライドさせることにより、バッテリパック90をスライド装着できるように構成される。このため、バッテリ装着部20,20は、バッテリパック90の長手方向に沿ったスライド装着方向に沿って、互いに平行配置された関係にある。
バッテリ装着部20は、上記したバッテリパック90を装着可能に構成されるものであり、従前より汎用されるバッテリパック90の装着構造を有して構成される。すなわち、図2に示すように、バッテリ装着部20は、バッテリパック90の装着構造に対応したスライド構造21および電気接続構造31を備える。スライド構造21は、バッテリパック90のスライド装着をガイドする構造を有する。スライド構造21は、バッテリパック90に設けられた不図示のガイド雄形部をスライド移動可能に嵌め込むガイドレール部23を備える。ガイドレール部23,23は、バッテリ装着部20の左右両側のそれぞれの部分に前後方向に延在するようにして形成されている。このガイドレール部23,23は、バッテリパック90に設けられた雄形装着構造に対応する雌形形状を有して形成される。このようにしてバッテリパック90は、ガイドレール部23,23にガイドされながら図示後ろ側から図示前側にスライドさせ、バッテリ装着部20に装着されることとなる。
【0017】
このようにして、スライド構造21は、バッテリパック90の前側から後ろ側に向けたスライド移動をガイドするように機能し、このバッテリ装着部20にバッテリパック90をスライド装着することができる。また、電気接続構造31は、このスライド装着により、バッテリパック90をバッテリ装着部20に電気的に接続する構造を有する。電気接続構造31は、プラス用接続端子33と、マイナス用接続端子35と、制御用接続端子37とを備える。プラス用接続端子33は、バッテリパック90に設けられた雌形のプラス端子(不図示)と接続可能な雄形に形成される。同様にマイナス用接続端子35も、バッテリパック90に設けられた雌形のマイナス端子(不図示)と接続可能な雄形に形成され、制御用接続端子37も、バッテリパック90に設けられた雌形の制御端子(不図示)と接続可能な雄形に形成される。このようにして、電気接続構造31は、バッテリパック90のスライド装着によってバッテリパック90をバッテリ装置10に電気的に接続した装着状態とすることができる。
ここで、バッテリ装着部20の周囲となるバッテリ装着部20の前側部位には、バッテリパック90を把持するための指入れスペースS1が設けられている。この指入れスペースS1は、主としてバッテリ装着部20に装着されたバッテリパック90をバッテリ装着部20から取り外す際に、ユーザの指を入れることのできるようにするスペースである。具体的には、バッテリパック90をバッテリ装着部20に装着した状態で、筐体部60とバッテリパック90との間に10〜20mmの指入れスペースS1(隙間)ができるように、筐体部60とバッテリ装着部20との配置関係が設定されている。なお、この指入れスペースS1の具体的な幅としては、ユーザの平均的な指の大きさを鑑みて、この大きさよりも僅かに大きく設定される15mmの幅に設定されている。また、このようにバッテリパック90のスライド取外し方向に、バッテリパック90を押し出せるように指入れスペースS1(隙間)が設けられていると、バッテリパック90のスライド取外しが、し易くなる。また、指入れスペースS1は、バッテリパック90の係合解除操作部95とは反対側に位置しているので、バッテリパック90の解除操作が行い易いものとすることができて、有利に係合解除操作部95の解除操作を行うことができる。
【0018】
次に、本体装着部40の構造について説明する。本体装着部40は、芝刈機本体2(電動工具本体)の装着部5(図1参照)にスライド装着する構造を有しており、従前より汎用されるバッテリパック90の装着構造と略同様に構成される。すなわち、本体装着部40は、バッテリ装置10の裏面側に設けられるものであり、スライド装着のガイド構造およびスライド装着による電気接続構造を含む装着構造41と、装着部5に対する装着構造41の着脱状態を切り替える係合構造51とを備える。この本体装着部40のスライド装着のガイド構造は、芝刈機本体2の装着部5に設けられたガイドレール部(不図示)にスライド移動可能に嵌め込むガイド雄形部42により構成される。このガイド雄形部42は、本体装着部40の左右両側のそれぞれの部分に前後方向に延在するようにして形成されている。また、本体装着部40のスライド装着による電気接続構造は、プラス端子43と、マイナス端子45と、制御端子47とを備える。プラス端子43は、芝刈機本体2の装着部5に設けられた雄形のプラス用接続端子(不図示)と接続可能な雌形に形成される。また、マイナス端子45も、芝刈機本体2の装着部5に設けられた雄形のマイナス用接続端子(不図示)と接続可能な雌形に形成され、制御端子47も、芝刈機本体2の装着部5に設けられた雄形の制御用接続端子(不図示)と接続可能な雌形に形成される。
【0019】
係合構造51は、装着部5に対する装着構造41の着脱状態を切り替える雄フック機構にて構成される。すなわち図7に示すように、本体装着部40の係合構造51は、雄フック部材52と、付勢ばね59とを備え、スライド装着した状態の芝刈機本体2と係合する構造にて構成される。
雄フック部材52は、ケース11に対して相対的に上下移動できる部材であり、付勢ばね59の付勢力により外側となる下側に向けて常時付勢されている。この雄フック部材52は、雄フック部53と、係合解除操作部55と、操作ガイド孔57とが一体成形されることにより構成される。雄フック部53は、雄フック部材52の外側端(下端)部分を構成し、芝刈機本体2の装着部5に設けられた雌フック部(不図示)に雌雄係合するものであり、適宜のフック形状を有して形成される。なお、この雄フック部53は、バッテリパック90と同様、雌雄係合状態の際に面当接して係合を支持するストッパ形状531と、雌雄係合する際の雄フック部材52の内側移動をガイドする傾斜形状532とが設けられている。係合解除操作部55は、雄フック部材52の後端部分にて外部に露出するように形成される。この係合解除操作部55は、上記した雄フック部53の突出方向と交差方向後ろ側に外部に露出するように設けられている。つまり、この係合解除操作部55は、芝刈機本体2の装着部5に設けられた雌フック部(不図示)に対する雄フック部53の雌雄係合を解除する際に操作する部分である。この係合解除操作部55には、ユーザの指により押圧することができるように、外形が窪んだ形状にて形成されており、中心部分が押圧操作面部56として設定されている。
【0020】
押圧操作面部56は、スライド装着した状態の芝刈機本体2の装着部5との係合を解除操作する際に押出し操作を行う部分である。この押圧操作面部56は、平面形状にて形成されているが、バッテリパック90の係合解除操作部95に設けられる押圧操作面部96とは相違する配設設定となっている。すなわち、押圧操作面部56は、芝刈機本体2の装着部5にスライド装着する際のスライド装着方向に沿って延びる面状を有して形成されている。この押圧操作面部56は、雄フック部53の突出し方向に対して直交する方向に沿って延びる面状を有して形成されている。具体的には、この押圧操作面部56の平面形状は、雄フック部53の上下移動と直交する方向に延びるように形成されている。つまり、解除操作するための押圧操作面部56を押圧する方向と、この押圧操作面部56の面が延在する方向とは、互いに直交する。言い換えれば、このバッテリ装置10が水平位置、すなわちバッテリ装着部20に対するバッテリパック90のスライド装着の方向が水平方向となる場合に、上記した係合解除操作部55に設けられる押圧操作面部56は、このスライド装着の方向と一致する水平方向に延びるように形成される。また、この押圧操作面部56は、スライド装着方向となる図示前後方向の長さが、このスライド装着方向と直交する図示左右方向の長さよりも長くなっている。このため、押圧操作面部56の平面形状は、略長方形の形状となっている。ちなみに、バッテリパック90の係合解除操作部95に設けられる押圧操作面部96の平面形状は、バッテリ装置10のスライド装着方向(前後方向)に対して傾斜方向に延びるように形成されている。
【0021】
係合解除操作部55の解除操作方向は、ケース11の内側方向となるバッテリ装置10の上側方向に設定されている。すなわち、後に説明する付勢ばね59の付勢に抗して係合解除操作部55をバッテリ装置10の上側に押圧して解除操作を行うと、雄フック部53の外部突出しをバッテリ装置10の内側に退避させるようにし、芝刈機本体2の装着部5に設けられる雌フック部(不図示)に対する雄フック部53の雌雄係合を外すこととなる。また、操作ガイド孔57は、このような雄フック部53の外部突出し及び内部退避の上下移動をガイドする機能を有する。すなわち、操作ガイド孔57は、雄フック部53と係合解除操作部55との間に設けられ、ケース11内部に該ケース11と一体化して設けられた円柱状ガイド部58が挿し込まれる。ここで操作ガイド孔57は、この操作ガイド孔57の挿し込まれる円柱状ガイド部58とともに、バッテリ装置10の上下方向に延びるようにして形成される。このようにして、後に説明する付勢ばね59の付勢力に抗して係合解除操作部55をバッテリ装置10の上側に押圧する(解除操作をする)と、この押圧により雄フック部53の外部突出しをバッテリ装置10の内部に退避させる。この際、操作ガイド孔57は、挿し込まれた円柱状ガイド部58に沿って移動する。これによって、雄フック部材52の突出退避する動きはガイドされることとなる。付勢ばね59は、一端側がケース11に当接し且つ他端側が雄フック部材52に当接した圧縮コイルばねにて形成される。このため、付勢ばね59は、雄フック部材52を、外側となる下側に向けて常時付勢する。
【0022】
また、このバッテリ装置10の上面側の前面部分には、本体装着部40による芝刈機本体2に対しての装着をガイドするための装着用目印部65が設けられている。この装着用目印部65は、本発明に係る電動工具本体に対しての装着をガイドするための表示部に相当する。この装着用目印部65は、上記した芝刈機本体2にバッテリ装置10をスライド装着させるにあたって、このバッテリ装置10のスライド装着を容易に行えるようにする目印として機能する。すなわち、装着用目印部65は、バッテリ装置10のうち本体装着部40が設けられる裏面側とは反対側の上面側に設けられている。また、この装着用目印部65は、バッテリ装置10のスライド装着方向の前面側に設けられている。具体的には、図2および図4に示すように、筐体部60の上面部分には、一段上に張り出した形状となる装着用目印部65が設けられている。この装着用目印部65は、図1に示す電動工具本体としての芝刈機本体2に設けられた目印部5a,5bに対応するように設けられている。具体的には、この装着用目印部65は、芝刈機本体2に対するスライド構造21によるスライド装着をガイドする2つの端縁651,652を有して形成される。また、装着用目印部65の両端縁651,652が、芝刈機本体2の目印部5a,5bに沿って位置するように、装着用目印部65は形成されている。この装着用目印部65の端縁651,652は、本発明に係る表示ラインに相当し、芝刈機本体2にスライド装着されるバッテリパック90の幅を表すように配置されている。なお、この装着用目印部65の両端縁651,652と芝刈機本体2の目印部5a,5bとは、バッテリ装置10のスライド装着方向(図示前後方向)に沿ったライン状に延びるように形成されている。これによって、バッテリ装置10を芝刈機本体2の装着部5に装着するにあたっては、装着用目印部65の両端縁651,652と芝刈機本体2の目印部5a,5bとを同一ライン上に位置させるように、バッテリ装置10を配置させてスライド装着すれば、バッテリ装置10の裏面側を見ることなくバッテリ装置10を芝刈機本体2の装着部5に装着することができる。
【0023】
また、このバッテリ装置10のケース11には、第1排水孔28および第2排水孔68が設けられている。この第1排水孔28および第2排水孔68は、ケース11の内部に浸入した水を排水するためのものであり、ケース11の内部の排水性を高めるためのものである。なお、この第1排水孔28および第2排水孔68は、バッテリ装置10において重力方向下側に配置されるようにバッテリ装置10を置いた場合の排水性を高めるものである。つまり、バッテリパック90を装着したこのバッテリ装置10を、例えば図5や図7の図示上下を逆転させて平面に載置した場合に、ケース11の内部に浸入した水を第1排水孔28および第2排水孔68を通じてケース11の外部に排水する。
第1排水孔28は、係合構造51の下部に配設されている。すなわち、第1排水孔28は、図7に示すように、バッテリ装置10の後側の上部分に、ケース11の内外を連通するようにケース11を貫通させて設けられている。詳しく言えば、第1排水孔28は、係合構造51の雄フック部材52の上側に位置するように、ケース11の内外を連通するように設けられている。つまり、バッテリ装置10を図示上下逆転させて平面に載置した場合には、第1排水孔28は、係合構造51の雄フック部材52の下側に位置する。これによって、バッテリ装置10を図示上下逆転させて平面に載置した場合に、この雄フック部材52が設けられる部位からケース11の内部に浸入した水を、この第1排水孔28を通じてケース11の外部に排水させることができる。
また、第2排水孔68は、バッテリ装置10自体を置いた場合に最下部に位置する部分となる、筐体部60の下部に配設されている。すなわち、第2排水孔68は、図7に示すように、バッテリ装置10の前側の上部分に、ケース11の内外を連通するようにケース11を貫通させて設けられている。詳しく言えば、第2排水孔68は、主制御基板62の上側に位置するように、ケース11の内外を連通するように設けられている。つまり、バッテリ装置10を図示上下逆転させて平面に載置した場合には、第2排水孔68は、筐体部60の最下部に位置する。これによって、バッテリ装置10を図示上下逆転させて平面に載置した場合に、ケース11の外部からケース11の内部に浸入した水を、この第2排水孔28を通じてケース11の外部に排水させることができ、この主制御基板62近くに水を貯めてしまうことを防止することができる。
【0024】
上記した実施の形態のバッテリ装置10によれば、次のような作用効果を奏する。
すなわち、上記したバッテリ装置10によれば、ケース11には、ケース11の内と外とを貫通する第1排水孔28および第2排水孔68が設けられているので、このケース11の内部に水が入ってしまうことがあったとしても、このケース11の内部に水を、ケース11の内からケース11の外へ排水することができる。これによって、屋外で利用した場合等に雨滴等の水がかかってしまってケース11の内部に水が入ってしまうことがあったとしても、このケース11の内部に水を溜めないようにケース11の内部の排水性を高めることができる。また、上記したバッテリ装置10によれば、第1排水孔28は、係合構造51の下側に設定されているので、この係合構造51の下側におけるケース11の内部の排水性を高めることができる。つまり、ケース11の外部の水がケース11の内部に最も浸入し易い係合構造51の下側におけるケース11の内部の排水性を高めることができるので、ケース11全体にとしてのケース11の内部の排水性を効率よく高めることができる。また、上記したバッテリ装置10によれば、第2排水孔68は、バッテリ装置10自体を置いた場合に最下部に位置する部分に設けられているので、水の自重を利用してバッテリ装置10の最下部からケース11の内部からケース11の外部に排水するのに有利となる。これによって、ケース11の内部に水を溜めないようにケース11の内部の排水性を、さらに高めることができる。また、上記したバッテリ装置10によれば、第2排水孔68は、筐体部60の下側に設定されているので、この筐体部60の内部の排水性を高めることができる。これによって、主制御基板62が内蔵される筐体部60の内部の排水性を効果的に高めることができる。
【0025】
なお、本発明に係るバッテリ装置にあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、次のように適宜個所を変更して構成するようにしてもよい。
例えば、また、上記した実施の形態における主制御基板62は、18V仕様のバッテリパック90から供給される電力電圧を、36Vの供給電圧で芝刈機本体2に出力するように制御するものであった。しかしながら、本発明に係る制御基板としては、これに限定されることなく、バッテリ装置に適宜に設けられる例えば表示装置等の制御を行うものも含まれる。つまり、本発明に係るバッテリ装置は、上記した電力を出力するにあたり供給される電力電圧を変圧する主制御基板のほか、適宜の装置制御を行う副制御基板が新たに設けられて構成されるものであってもよい。
また、上記した実施の形態における電動工具として、芝を刈る園芸工具として利用される芝刈機1を例示した。しかしながら、本発明に係る電動工具としては、これに限定されることなく、例えば充電式バッテリ駆動型のチェーンソーのように、充電式のバッテリによって駆動する適宜の電動工具で構成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 芝刈機(電動工具)
2 芝刈機本体(電動工具本体)
3 車輪
5 装着部
5a,5b 目印部
10 バッテリ装置
11 ケース
111 ケース本体
112 蓋体部
20 バッテリ装着部
21 スライド構造
23 ガイドレール部
28 第1排水孔
31 電気接続構造
33 プラス用接続端子
35 マイナス用接続端子
37 制御用接続端子
40 本体装着部
41 装着構造
42 ガイド雄形部
43 プラス端子
45 マイナス端子
47 制御端子
51 係合構造
52 雄フック部材
53 雄フック部
531 ストッパ形状
532 傾斜形状
55 係合解除操作部
56 押圧操作面部
57 操作ガイド孔
58 円柱状ガイド部
59 付勢ばね
60 筐体部
601 筐体部の上端面
62 主制御基板
65 装着用目印部
651,652 端縁
68 第2排水孔
90 バッテリパック
901 バッテリパックの上端面
95 係合解除操作部
96 押圧操作面部
S1 指入れスペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリパックを1つの電力源として電動工具本体に装着するバッテリ装置であって、
外装をなすケースを備え、
前記ケースには、該ケースの内と外とを貫通する排水孔が設けられていることを特徴とするバッテリ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリ装置において、
前記排水孔は、該バッテリ装置自体を置いた場合に最下部に位置する部分に設けられていることを特徴とするバッテリ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバッテリ装置において、
前記バッテリパックを装着するためのバッテリ装着部と、制御基板を内蔵するための筐体部とが該筐体部の延在方向にて視た側面視でL字形をなしており、
前記排水孔は、前記筐体部の下側に設定されていることを特徴とするバッテリ装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のバッテリ装置において、
前記電動工具本体にスライド装着するためのスライド構造と、該スライド構造により該電動工具本体にスライド装着した場合に該スライド装着した状態の該電動工具本体と係合する係合構造とを備え、
前記排水孔は、前記係合構造の下側に設定されていることを特徴とするバッテリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−4228(P2013−4228A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132172(P2011−132172)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】