説明

パック電池

【課題】ケース内に電池ブロックが収納され、底板を機器本体に向けた状態で機器本体に装着されるパック電池において、機器本体に装着した状態で強い衝撃を受けた時にも衝撃に耐え得るようにする。
【解決手段】電池ホルダ20は、縦方向に伸長する長方形体状の縦仕切板21と、横方向に伸長する長方形状の横仕切板22とが、互いに直交する状態で固着され、断面十字形状となっている。縦仕切板21の厚さは比較的大きく、横仕切板22の厚さは比較的小さく設定されている。縦仕切板21の表面において、素電池51〜54の外周面が接する領域には、当該外周面に合わせた断面円弧状の内面を有する凹みが形成されている。素電池51〜54の外周部分が凹みに填まり込んで、素電池51〜54の外周面と凹みの内面とが面接触している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパック電池に関し、特に、複数の素電池を配列し複数段に積み重ねた電池ブロックをケース内に収納したパック電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポータブル型PCをはじめ、携帯電話機、トランシーバー、携帯情報端末(PDA)、デジタルスチルカメラ等の電子機器、或いは電動工具、モバイルプリンタ、アシスト自転車などの電源として、二次電池を複数備えたパック電池が広く用いられている。
このパック電池は一般に、素電池を複数配列し、直列に接続したセル群を保護回路基板に接続し、これを一体的に外装体でパックして構成される。
【0003】
そして、このようなパック電池は、機器本体に装着されて、機器本体に電力を供給するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US2010/247994A1
【特許文献2】特開2011−134523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように複数の素電池がケース内に収納されたパック電池は、機器本体に装着された状態で床に落下したりすると、パック電池内部はケースによってある程度保護されるものの、強い衝撃を受けてパック電池内の素電池などが破損することもある。
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、ケース内に電池ブロックが収納され、底板を機器本体に向けた状態で機器本体に装着されるパック電池において、機器本体に装着した状態で強い衝撃を受けた時にも衝撃に耐え得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、底板及び蓋体を有するケ―ス内に、底板に沿って複数の素電池が配列されたものが複数段に積層されてなる電池ブロックが収納され、底板を機器本体に向けた状態で機器本体に装着されるパック電池において、電池ブロックの素電池同士を、底板に対して垂直方向に仕切る縦仕切板と、電池ブロックの素電池同士を底板に沿った方向に仕切る横仕切板とが、交差した状態で互いに固着されてなる電池ホルダを設け、縦仕切板の厚さを、横仕切板の厚さよりも大きく設定した。
【発明の効果】
【0007】
パック電池が機器本体に装着された状態で床に落下したりすると、パック電池に対して大きな衝撃力が加わることがあるが、その強い衝撃力は、主に機器本体の荷重によって、パック電池の底板に対して垂直方向にかかる。
ここで、上記本発明のパック電池によれば、ケース内において、比較的厚さの大きい縦仕切板が、ケースの底板に対して垂直な方向に設けられているので、大きな衝撃力が加わったときに、比較的厚さの大きい縦仕切板がケースの内部空間における支柱として働いて衝撃力を吸収する。従って、素電池に加わる衝撃力は低減される。
【0008】
一方、横仕切板は比較的厚さが小さいが、落下時に横方向には大きな衝撃力は加わらないので大丈夫であり、厚みが小さい分、ケース内における素電池の占める体積を大きくできる。
上記発明において、縦仕切板が支柱としての効果を得る上で、電池ホルダにおいて、縦仕切板と横仕切板とが交差する箇所に、両仕切板が交差する角度を固定する固定リブを設けると、縦仕切板と横仕切板との角度が一定に固定されるので、電池ホルダの強度が向上し、素電池を保持する機能も高まる。
【0009】
また、縦仕切板は、一方の縁を底板の内面上に固定し、他方の縁を蓋体の内面に接するようにすることによって、縦仕切板が、ケース内で内部空間を縦に貫くように配されるので、支柱としての機能が高まる。
また、ケース内において、底板上に、回路基板と当該基板ホルダを保持する基板ホルダを装着し、縦仕切板の一方の縁を、基板ホルダに嵌合させれば、電池ホルダが、基板ホルダ上にしっかりと固定され、縦仕切板の支柱としての機能も高まる。
【0010】
また、素電池が円筒形の場合、縦仕切板の表面に、当該表面に隣接する素電池の外周部分が填まり込む凹部を形成すれば、電池ホルダの凹部内面と素電池の外周部分とを面接触させて、電池ホルダが素電池を安定して保持することができる。
横仕切板の縁と縦仕切板の縁が臨む電池ホルダの端部に、横仕切板及び前記縦仕切板を挟んで隣接する複数の素電池の端子同士を接続するリード板を、横仕切板の縁及び縦仕切板の縁を横切って配設する場合、横仕切板の縁と縦仕切板の縁に、リード板が横切る各位置に段差部を形成することによって、電池ホルダの端部にリード板を容易に位置決めできる。ここで、各段差部の形成位置を、横仕切板と縦仕切板の交差線に対して非対称にすれば、リード板を誤って逆付けするのを防止できる。
【0011】
縦仕切板と横仕切板とは、樹脂成型などで一体的に成形すれば、容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態にかかるパック電池の分解斜視図である。
【図2】パック電池が機器本体に装着された状態を示す斜視図である。
【図3】外装ケースの中に収納されている構成要素を示す斜視図である。
【図4】パック電池1をZ方向端部において、X−Y平面で切断した断面図である。
【図5】電池ホルダ20及び基板ホルダ30を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施する形態について説明するが、本発明の構成およびその構成から奏される作用・効果を分かりやすく説明する一例であって、以下の例示に何ら限定を受けるものではない。
(パック電池1の全体構成)
図1は、パック電池1の内部構成を示す分解斜視図である。
【0014】
このパック電池1は、直方体状の全体形状を有するカメラ用電源であって、底ケース11と蓋ケース12からなる外装ケースの中に、複数の円筒形の素電池51〜54が配列されてなる電池ブロック、素電池51〜54を保持する電池ホルダ20、保護回路が組み込まれた回路基板40、回路基板40を保持する基板ホルダ30、素電池51〜54同士及び素電池と回路基板40を電気接続するリード板41〜43が設けられて構成されている。
【0015】
電池ブロックにおいて、素電池51〜54は、各電池の軸がパック電池1の長手方向(Z方向)に沿って平行に並び、複数段に配列されている。
ここでは、図1に示すように、4本の円筒形の素電池51〜54が2列×2段で配列されたものについて説明する。
図2はパック電池1が機器本体2に装着された状態を示す斜視図である。
【0016】
当図に示すように機器本体2はデジタルビデオカメラであって、パック電池1は、その底ケース11の底面を機器本体2に対向させた状態で、機器本体2の後部に装着されている。
図3は、外装ケースの中に収納されている構成要素(電池ブロック、電池ホルダ20、基板ホルダ30、回路基板40)を示す斜視図である。
【0017】
図4は、パック電池1をZ方向端部において、X−Y平面で切断した断面図である。
これらの図を参照しながら、各構成要素について以下に説明する。
(外装ケース)
底ケース11は、配列された素電池51〜54からなる電池ブロックの底面に相当する大きさを有する長方形状の底板110及びその底板110の外周に沿って立設されたリブ111〜114を有している。
【0018】
蓋ケース12は、電池ブロックの上面をカバーする天板120及び電池ブロックの側面をカバーする側板121〜124を有している。
底ケース11及び蓋ケース12は、耐熱性・機械的強度に優れるポリカーボネート等の樹脂材料を射出成形してなる成形品である。そして、蓋ケース12の側板121〜124の下縁が、底ケース11のリブ111〜114の上縁に嵌合して外装ケースが形成されている。
【0019】
なお、底ケース11には、回路基板40上のコネクタ41の位置に、切り欠き115が形成されている。
また、底ケース11には、パック電池1を機器本体2に装着するときに、機器本体側の突起と係合させる係合溝116が形成されている。
(素電池51〜54)
各素電池51〜54は、例えば直径18mm×長さ65mmを持つ円筒型リチウムイオン二次電池である。
【0020】
素電池51〜54は、各電池の軸がZ方向に沿った状態で、横方向(X方向)及び縦方向(Y方向)に行列状に配列されている。すなわち、下段において素電池53と素電池54が横方向(X方向)に並び、上段において素電池51と素電池52が、横方向(X方向)に並んでいる。また、素電池51と素電池53、並びに素電池52と素電池54は、縦方向(Y方向)に並んでいる。
【0021】
(電池ホルダ20)
図5(a),(b)は、電池ホルダ20及び基板ホルダ30を示す斜視図であって、(a)は電池ホルダ20を基板ホルダ30に装着する前の状態、(b)は装着後の状態を示す。
電池ホルダ20は、縦方向に伸長する長方形状の縦仕切板21と、横方向に伸長する長方形状の横仕切板22とが、互いに直交する状態で固着され、断面十字形状となっている。
【0022】
図4に示すように、縦仕切板21は、横に並ぶ素電池51と素電池52との間、並びに素電池53と素電池54との間に介在し、両者を縦方向に仕切っている。同様に、横仕切板22は、縦に並ぶ素電池51と素電池53の間、並びに素電池52と素電池54との間に介在して両者を横方向に仕切っている。
縦仕切板21と横仕切板22の厚さを比べると、図4に示すように、縦仕切板21の厚さは比較的大きく、横仕切板22の厚さは比較的小さく設定されている。
【0023】
縦仕切板21の厚みは例えば3.0mm、横仕切板22の厚みは例えば中央部(縦仕切板21に近い部分)が1.2mm、先端部が0.9mmである。
縦仕切板21は、外装ケース内で内部空間を縦に貫くように配され、縦仕切板21の上縁は蓋ケース12の天板120内面に面接触し、縦仕切板21の下縁は、基板ホルダ30の台板部31の上面に面接触している。
【0024】
なお、縦仕切板21の下縁には、位置決め用の切込み215が形成されている。また、図3,5(a),(b)に示すように、縦仕切板21の表面には、対応する素電池の端子極性(素電池51,53の正極端子)を示すマーク25が印されている。
図5(a),(b)に示すように、縦仕切板21と横仕切板22とが交差するラインLに沿って、縦仕切板21と横仕切板22とを互いに直角に固定する補強リブ23が列設されている。
【0025】
各補強リブ23は、縦仕切板21と横仕切板22のいずれにも直交するX−Y面に沿った板状に形成されている。また、各補強リブ23は、素電池51〜54に接触しないようにラインLの近傍だけに形成され、各補強リブ23の縁は、素電池51〜54の外周面に沿った滑らかな円弧状となっている。この円弧の半径は例えば9.275mmである。
縦仕切板21の表面において、素電池51〜54の外周面が接する領域には、当該外周面に合わせた断面円弧状の内面を有する凹み211〜214が形成されている。そして、素電池51〜54の外周部分がこの凹み221〜224に填まり込んで、素電池51〜54の外周面と凹み221〜224の内面とが面接触している。
【0026】
電池ホルダ20も、その全体が耐熱性・機械的強度に優れるポリカーボネート等の樹脂材料を射出成型してなる一体成形品である。
ここで、電池ホルダ20の断面形状は、図4に示されるように、縦仕切板21を境にして図4の右方向及び左方向のいずれの方向に進んでも、Y方向の幅が単調減少している。従って、電池ホルダ20を射出成型する際に、金型として、縦仕切板21を境にして、右側部分と左側部分に分けた1対の金型を用いれば、射出成型後に1対の金型を、右方向と左方向にスライドさせて成型物を引き抜くことができる。従って、電池ホルダ20を容易に一体成型することができる。
【0027】
この電池ホルダ20は、下記のように基板ホルダ30の上に固定されるようになっている。
なお、詳しくは後述するが、電池ホルダ20の長手方向(Z方向)一端の端面には、リード板42を位置決めするための段差部24a〜24dが形成され、他方の端面にも、リード板43,44を位置決めする段差が形成されている。
【0028】
(基板ホルダ30)
図5(a)に示すように、基板ホルダ30は、長方形状の台板部31と、そのX方向両端から垂下する1対に収の脚板部32を備え、台板部31の下側で両脚板部32の間に回路基板40を保持している。
また基板ホルダ30は、脚板部32が底ケース11のリブ111の内側に填め込まれて、底ケース11の上に装着される。
【0029】
なお、各脚板部32の下縁には切り込み321が形成され、底ケース11にはこれに填まり込むリブ(不図示)が形成されている。これによって、基板ホルダ30のZ方向の位置決めがされるようになっている。
基板ホルダ30の両脚板部32を底ケース11の内面上に設置すると、台板部31は、底ケース11の底板110内面上に間隙を開けて平行に安定して保持される。そして、回路基板40はその間隙に収納される。
【0030】
図3,4に示すように、台板部31は、下段の素電池53,54の下面を支持しており、台板部31における横方向の縁端部311は、素電池53,54の外周面に沿って湾曲している。
また、台板部31の上面には、基板ホルダ30における縦仕切板21の下端部分を挟持するホルダリブ33a,33bが突設されている。このホルダリブ33a,33bは、台板部31の中央においてZ方向に沿って複数列設されている。また、台板部31の上面には、上記電池ホルダ20の切込み225に填まり込む係止リブ34も突設されている。
【0031】
これによって、電池ホルダ20の縦仕切板21の下縁部分を、このホルダリブ33a,33bの間に挿入すると、ホルダリブ33a,33bが縦仕切板21の下端部分を横方向に挟持して、電池ホルダ20は、基板ホルダ30上に固定される。また、係止リブ34も切込み225に係合して、Z方向に対する位置決めもなされる。
基板ホルダ30も樹脂材料を射出成形してなる成形品である。
【0032】
(回路基板40,リード板42〜44)
回路基板40は、ガラスやエポキシ樹脂などを含む材料からなり配線が形成された基板に、各種素子が実装され、コネクタ41が取付けられている。
このコネクタ41は、上記切り欠き115を通って、機器本体側のコネクタと電気接続される。
【0033】
リード板42〜44は、いずれも導電性に優れる金属材料、例えばニッケル板で形成される。
リード板42は、電池ブロックにおける長手方向(Z方向)の一端において、縦仕切板21及び横仕切板22を挟んで隣接する素電池51〜54の各端子同士を接続している。
すなわち、リード板42は、4本のリード部421〜424を有する枠体状であって、リード部421は横仕切板22の縁をまたいで素電池51,53の負極端子同士を接続し、リード部422は横仕切板22の縁をまたいで素電池52,54の正極端子同士を接続し、リード部423縦仕切板21の縁をまたいで素電池51の負極端子と素電池52の正極端子を接続し、リード部424は縦仕切板21の縁をまたいで素電池53の負極端子と素電池54の正極端子を接続している。
【0034】
一方、長手方向(Z方向)の他端側において、リード板43は素電池51,53の正極端子及び回路基板40の正極端子を接続し、リード板44は素電池52,54の負極端子及び回路基板40の負極端子を接続している。
これによって、素電池51,53が並列接続され、素電池52,54が並列接続され、それらが直列接続されて、回路基板40を経由して、コネクタ41から機器本体に電力を供給できるようになっている。
【0035】
なお、リード板42は、回路基板40の中間端子に接続され、電池ブロックの中間電圧を検知できるようになっている。
(パック電池1を組み立てる方法)
パック電池1の組み立て方法について一例を示す。
電池ホルダ20に素電池51〜54を配置する。ここで、素電池51〜54の端子の向きはマーク25に基づいて配置する。
【0036】
リード板42〜44を素電池51〜54の端子に接続する。
この工程で、リード板42〜44を接続する際に、電池ホルダ20の長手方向の一端面に形成されている段差部24a〜24dにリード板42のリード部421〜424を填め込むことによって、リード部421〜424の内縁が段差部24a〜24dによって位置決めされる。リード板43,44も、電池ホルダ20の長手方向の他端面に設けられた段差で位置決めされる。
【0037】
このようにリード板42〜44を位置決めした状態で、素電池51〜54の端子に、正確に溶接することができる。
一方、基板ホルダ30の下に回路基板40を装着し、その基板ホルダ30の上に、素電池51〜54を組み込んだ電池ホルダ20を装着する。そして、リード板42〜44を、回路基板40に接続する。
【0038】
図3のように、素電池51〜54、電池ホルダ20、基板ホルダ30、回路基板40、リード板42〜44が組合わせられたコアパックが作製される。
コアパックを底ケース11上に装着し、蓋ケース12を被せて超音波溶着することによって、パック電池1が作製される。
(段差部24a〜24dの配置位置に関して)
電池ホルダ20における端面に形成されている段差部24a〜24dは、縦仕切板21と横仕切板22の交差線Lに対して非対称な位置に形成されている。
【0039】
すなわち、図5(b)に示すように、段差部24aと交差線Lの距離Aは、段差部24bと交差線Lとの距離Bよりも小さく、段差部24cと交差線Lの距離Cは、段差部24dと交差線Lの距離Dよりも小さく設定されている。
上記のように電池ホルダ20に装着した素電池51〜54の端子に、リード板42を接続する工程で、リード板42を段差部24a〜24dの周りに装着するが、仮に、段差部24a〜24dが交差線Lに対して対称な位置に設けられていれば、例えばリード板42を本来の向きから180°回転した状態でも、リード部422を段差部24aに、リード部421を段差部24bに位置合わせして装着することはできるが、本実施形態では上記のようにリード板42を、交線Lに対して非対称な位置で電池ホルダ20に位置合わせするようにしているので、リード板42を、本来の向きから180°回転した状態で装着しようとすると、うまく装着できず、リード板42を誤って逆向きに装着するのを防止できる。
【0040】
従って、本実施形態によれば、リード板42の向きを間違うことなく電池ブロックに装着することができる。
(電池ホルダ20による効果)
1.上記のようにパック電池1は、底ケース11の底面を機器本体2に向けて装着されているので、機器本体2が床に落下してその後部に装着したパック電池1を床にぶつけたときや、機器本体2に装着したパック電池1を物にぶつけたときには、外装ケースに対して縦方向(Y方向)に衝撃力が加わりやすく、横方向(X方向)の衝撃力が加わることは少ない。
【0041】
ここで、外装ケース内を縦仕切板21が貫くように配され、縦仕切板21の上縁は蓋ケース12の天板120内面に接し、縦仕切板21の下縁は、基板ホルダ30の台板部31の上面に接し、この台板部31は、底ケース11の底板110内面上に間隙を開けて平行に安定して保持されているので、外装ケース内において、外装ケースに対してY方向に衝撃力が加わっても、同じY方向に沿った縦仕切板21が天板120を支える支柱として機能する。ここで、縦仕切板21はその厚みが比較的大きいので、縦仕切板21に大きな衝撃力が加わっても耐えることができる。
【0042】
従って、衝撃力による外装ケースの変形は少なく、素電池51〜54に対して加わる縦方向の衝撃力は小さくなる。
一方、横仕切板22は、比較的厚みが薄く設定されているが、上記のように外装ケースに対して横方向の衝撃力は加わりにくいので、素電池51〜54が横方向の衝撃力を受けることも少ない。そして、横仕切板22の厚みを薄くすることによって、素電池51,52と素電池53,54との間隔を小さくして、電池ブロックの高さを低減できる。
【0043】

2.縦仕切板21の表面に形成された凹み221〜224に、素電池51〜54の外周部分が填まり込み、素電池51〜54の外周面と凹み221〜224の内面とが面接触しているので、素電池51〜54は、電池ホルダ20によってより安定に保持される。
ここで、凹み221〜224が形成されている箇所では、縦仕切板21の厚みが小さくなっているが、縦仕切板21は、凹み221〜224のところで隣接する素電池によって両側から挟持されているので、強い衝撃力を受けたときにも、縦仕切板21は凹み221〜224のところで撓むことはなく、支柱としての機能を果たす。
【0044】
<その他の事項>
上記実施の形態では、素電池の数が4(2列×2段)で、電池ホルダ20が縦仕切板21及び横仕切板22を1枚づつ備える場合について説明したが、電池ブロックにおける素電池の数(配列数,段数)は、6(3列×2段),8(4列×2段),9(3列×3段),10(5列×2段),12(4列×3段あるいは6列×2段)などでも、電池ホルダ20における縦仕切板21及び横仕切板22の数を変えて実施することができる。
【0045】
上記パック電池1では、素電池として円筒型リチウムイオン二次電池を用いたが、素電池の形状は角形等の形状であっても構わない。また、素電池の種類はニッケルカドミウム二次電池等、他の種類も利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のパック電池は、デジタルカメラ用の電源の他、トランシーバー、携帯情報端末、電動工具、バックアップ電源、アシスト自転車、車両用の電源としても利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 パック電池
2 機器本体
11 底ケース
12 蓋ケース
20 電池ホルダ
21 縦仕切板
22 横仕切板
23 補強リブ
24a〜24d 段差部
25 マーク
30 基板ホルダ
31 台板部
32 脚板部
33a,33b ホルダリブ
34 係止リブ
40 回路基板
42〜43 リード板
51〜54 素電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板及び蓋体を有するケ―ス内に、前記底板に沿って複数の素電池が配列されたものが複数段に積層されてなる電池ブロックが収納され、前記底板を機器本体に向けた状態で当該機器本体に装着されるパック電池であって、
前記電池ブロックの素電池同士を、前記底板に対して垂直方向に仕切る縦仕切板と、
前記電池ブロックの素電池同士を前記底板に沿った方向に仕切る横仕切板とが、交差した状態で互いに固着されてなる電池ホルダを有し、
前記縦仕切板の厚さは、前記横仕切板の厚さよりも大きいことを特徴とするパック電池。
【請求項2】
前記電池ホルダは、
前記縦仕切板と前記横仕切板とが交差する箇所に、両仕切板が交差する角度を固定する固定リブが設けられていることを特徴とする請求項1記載のパック電池。
【請求項3】
前記縦仕切板は、
一方の縁が前記底板の内面上に固定され、他方の縁が前記蓋体の内面に接していることを特徴とする請求項1又は2記載のパック電池。
【請求項4】
前記ケース内には、
前記底板上に、回路基板と当該基板ホルダを保持する基板ホルダが装着され、
前記縦仕切板の一方の縁は、前記基板ホルダに嵌合されていることを特徴とする請求項3記載のパック電池。
【請求項5】
前記素電池は円筒形であって、
前記縦仕切板の表面には、当該表面に隣接する素電池の外周部分が填まり込む凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のパック電池。
【請求項6】
前記横仕切板の縁と縦仕切板の縁が臨む前記電池ホルダの端部に、
前記横仕切板及び前記縦仕切板を挟んで隣接する複数の素電池の端子同士を接続するリード板が、前記横仕切板の縁及び縦仕切板の縁を横切って配設され、
前記横仕切板の縁と縦仕切板の縁には、前記リード板が横切る各位置に段差部が形成され、
当該各段差部の形成位置が、前記横仕切板と縦仕切板の交差線に対して非対称であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のパック電池。
【請求項7】
前記縦仕切板と前記横仕切板とが一体的に成形されていることを特徴とする請求項1〜6に記載のいずれかに記載のパック電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−89560(P2013−89560A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231801(P2011−231801)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】