説明

プリント基板およびそれを用いた電子機器

【課題】
電子機器において、コネクタや電子部品の接続に用いられるプレスフィット接続に関し、プレスフィット端子近傍のプリント基板が損傷し、プリント基板の耐湿性や実装部品の信頼性を低下させる現象を防止し、高密度実装が可能な電子機器を提供する。
【解決手段】
プリント基板を上面から見たときに、多数のスルーホールのうち隣接するスルーホール間でプレスフィット端子を挿入したときに圧縮力が作用するスルーホール間に、ランド又は最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板に形成されたスルーホールの内壁面に形成された導体膜に接続する導体膜またはスルーホールの内壁面に形成された導体膜に電気的に接続しない導体膜のいずれかがスルーホールの直径と同じかそれよりも広い幅に亘って存在するようにプリント基板を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板やモジュール、コネクタをプレスフィット接続するための配線基板(プリント基板)及びこれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気的配線が形成されている基板への部品等を搭載する場合の接続方法として、プレスフィット接続が注目されている。従来プレスフィット接続は、はんだ接続の困難な基板間の接続方法として、大型計算機等に用いられていたが、(1)接続プロセスが容易であること、(2)プロセスを確立させるための設備投資が少ないこと、(3)はんだ付けに比べて高密度実装が可能であること等の理由から、近年ABS(Antilocked Braking System)等の車載電子機器への適用が増加している。
【0003】
特許文献1には、プレスフィット端子の圧入方向を変えることでスルーホール間の基板にかかる応力を分散し、配線基板の信頼性を高めることが記載されている。この方法によれば、スルーホール間に部品が配置される場合にその部品にかかる応力を軽減することが可能である。
【0004】
特許文献2には、信頼性向上のため、金属コアを有するプリント基板にプレスフィット端子を挿入することが記載されている。この方法によれば、硬い金属コアが、端子のひずみを受け止めるため、プリント基板のひずみ低減には有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−134302号公報
【特許文献2】特開2008−294299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている方法では、本来ひずみが小さかった方向に、大きなひずみが付与されることになる。従って、ばね力が作用する方向については、部品を遠ざけなければならない。無駄なスペースが生じ、高密度実装には限界がある。
【0007】
特許文献2に記載されている方法では、金属コア基板は一般に高コストであり、汎用的に用いられない。
【0008】
本発明の課題は、低コストで高密度実装を実現するための電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明では、3層以上の基板が積層されて電子部品の端子
ピンを挿入するためのスルーホールが多数形成されたプリント基板において、積層された基板うちの最上層の基板と最下層の基板のそれぞれの表面の多数のスルーホールのうちの第1のスルーホールの周りと第2のスルーホールの周りにはそれぞれ導体材料によるランドが形成され、最上層の基板の側に形成された第1のスルーホールの周りの第1のランドと第2のスルーホールの周りの第2のランドとは、最下層の基板の側に形成された第1のスルーホールの周りのランドと第2のスルーホールの周りのランドとそれぞれ第1のスルーホールの内部壁面に形成された導体部材または第2のスルーホールの内部壁面に形成された導体部材で電気的に接続されており、最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板には、第1のスルーホールの内部壁面に形成された導体部材と接続する第1の導体膜と、第2のスルーホールの内部壁面に形成された導体部材と接続する第2の導体膜と、第1の導体膜と第2の導体膜との間に挟まれて第1の導体膜及び第2の導体膜と電気的には接続されていない第3の導体膜がそれぞれ形成されており、プリント基板を上面から見たときに、第1のスルーホールから第2のスルーホールに亘る領域には、第1のランドと第2のランド、第1の導電膜と第2の導電膜、及び第3の導電膜のいずれかが第1のスルーホールと第2のスルーホール直径と同じかそれよりも広い幅に亘って存在しているようにした。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明では、3層以上の基板が積層されて電子部品のプレスフィット端子を挿入するためのスルーホールが多数形成されたプリント基板において、プリント基板の表面と裏面のスルーホールの周囲にはそれぞれ導体材料によるランドが形成され、かつ、表面の側のランドと裏面側のランドとはスルーホールの内壁面に形成された導体膜により電気的に接続されており、3層以上の積層された基板のうち最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板には、スルーホールの内壁面に形成された導体膜に接続する導体膜とスルーホールの内壁面に形成された導体膜に電気的に接続しない導体膜とを含む複数の導体膜が形成されており、プリント基板を上面から見たときに、多数のスルーホールのうち隣接するスルーホール間でプレスフィット端子を挿入したときに圧縮力が作用するスルーホール間に、ランド又は最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板に形成されたスルーホールの内壁面に形成された導体膜に接続する導体膜またはスルーホールの内壁面に形成された導体膜に電気的に接続しない導体膜のいずれかがスルーホールの直径と同じかそれよりも広い幅に亘って存在しているようにした。
【0011】
更に、上記課題を解決するために、本発明では、ベースプレートと、このベースプレートに取付けられた第1の放熱材と、この第1の放熱材を介してベースプレートに取付けられて表面に電子部品を搭載した第1のプリント基板と、ベースプレートに固定されて放熱材と第1のプリント基板を覆うカバーと、このカバーの第1のプリント基板と対向する面に第2の放熱財を介して取付けられて表面に電子部品を搭載した第2のプリント基板と、 第1のプリント基板を外部と電気的に接続するためのコネクタとを備え、第1のプリント基板は、第2のプリント基板及びコネクタとプレスフィット端子で接続されている電子機器において、第1のプリント基板は3層以上の基板が積層されてプレスフィット端子を挿入するためのスルーホールが多数形成されており、積層された基板うちの最上層の基板と最下層の基板のそれぞれの表面の多数のスルーホールのうちの第1のスルーホールの周りと第2のスルーホールの周りにはそれぞれ導体材料によるランドが形成され、最上層の基板の側に形成された第1のスルーホールの周りの第1のランドと第2のスルーホールの周りの第2のランドとは、最下層の基板の側に形成された第1のスルーホールの周りのランドと第2のスルーホールの周りのランドとそれぞれ第1のスルーホールの内部壁面に形成された導体部材または第2のスルーホールの内部壁面に形成された導体部材で電気的に接続されており、最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板には、第1のスルーホールの内部壁面に形成された導体部材と接続する第1の導体膜と、第2のスルーホールの内部壁面に形成された導体部材と接続する第2の導体膜と、第1の導体膜と第2の導体膜との間に挟まれて第1の導体膜及び第2の導体膜と電気的には接続されていない第3の導体膜がそれぞれ形成されており、第1のプリント基板を上面から見たときに、第1のスルーホールから第2のスルーホールに亘る領域には、第1のランドと第2のランド、第1の導電膜と第2の導電膜、及び第3の導電膜のいずれかが第1のスルーホールと第2のスルーホール直径と同じかそれよりも広い幅に亘って存在しているように形成した。
【0012】
更にまた、上記課題を解決するために、本発明では、ベースプレートと、このベースプレートに取付けられた第1の放熱材と、この第1の放熱材を介してベースプレートに取付けられて表面に電子部品を搭載した第1のプリント基板と、ベースプレートに固定されて放熱材と第1のプリント基板を覆うカバーと、カバーの第1のプリント基板と対向する面に第2の放熱財を介して取付けられて表面に電子部品を搭載した第2のプリント基板と、第1のプリント基板を外部と電気的に接続するためのコネクタとを備え、第1のプリント基板は、第2のプリント基板及びコネクタとプレスフィット端子で接続されている電子機器において、第1のプリント基板は3層以上の基板が積層されてプレスフィット端子を挿入するためのスルーホールが多数形成されており、第1のプリント基板の表面と裏面のスルーホールの周囲にはそれぞれ導体材料によるランドが形成され、かつ、表面の側のランドと裏面側のランドとはスルーホールの内壁面に形成された導体膜により電気的に接続されており、3層以上の積層された基板のうち最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板には、スルーホールの内壁面に形成された導体膜に接続する導体膜とスルーホールの内壁面に形成された導体膜に電気的に接続しない導体膜とを含む複数の導体膜が形成されており、第1のプリント基板を上面から見たときに、多数のスルーホールのうち隣接するスルーホール間でプレスフィット端子を挿入したときに圧縮力が作用するスルーホール間に、ランド又は最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板に形成されたスルーホールの内壁面に形成された導体膜に接続する導体膜またはスルーホールの内壁面に形成された導体膜に電気的に接続しない導体膜のいずれかがスルーホールの直径と同じかそれよりも広い幅に亘って存在しているように形成した。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プリント基板表面の膨れを軽減し、より高密度な部品実装が可能となり、電子機器の小型化が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】プリント基板にプレスフィット端子を接続する模式図を示したものである。
【図2】プリント基板にプレスフィット端子を接続したサンプルの横方向からの断面図であり、膨れの位置を示した図である。
【図3】プリント基板にプレスフィット端子を接続したサンプルの上面方向からの断面図であり、膨れの位置を示した図とその模式図である。
【図4A】本発明の実施例に係るプリント基板の矩形のランドを有する配線構造を示した断面図である。
【図4B】本発明の実施例に係るプリント基板の矩形のランドを有する配線構造を示した平面図である。
【図4C】本発明の実施例に係るプリント基板の矩形のランドを有する配線構造を示した第2層目の基板の平面図である。
【図5A】本発明の実施例に係るプリント基板の円形のランドを有する配線構造を示した断面図である。
【図5B】本発明の実施例に係るプリント基板の円形のランドを有する配線構造を示した平面図である。
【図5C】本発明の実施例に係るプリント基板の円形のランドを有する配線構造を示した第2層目の基板の平面図である。
【図6A】本発明の実施例に係り、プレスフィット端子近傍に実装部品が配置されている場合のプリント基板の円形のランドを有する配線構造を示した断面図である。
【図6B】本発明の実施例に係り、プレスフィット端子近傍に実装部品を配置する電極を設けた場合のプリント基板の円形のランドを有する配線構造を示した平面図である。
【図6C】本発明の実施例に係り、プレスフィット端子近傍に実装部品が配置されている場合のプリント基板の円形のランドを有する配線構造を示した第2層目の基板の平面図である。
【図7A】本発明の実施例に係り、プリント基板において、基板の膨れの有無についての評価結果を示す図である。
【図7B】本発明の実施例に係り、プレスフィット端子近傍に実装部品が配置されているプリント基板において、基板の膨れの有無についての評価結果を示す図である。
【図8】本発明に係るプリント基板を搭載した車載電子機器の概略の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
プレスフィット接続の例を図1に示す。プレスフィット接続は、図1に示すように、配
線基板(プリント基板)4に設けられた複数のスルーホール5に対して、プレスフィットコネクタ2に設けられた複数のプレスフィット端子1を圧入し、プレスフィット端子1とスルーホール5内の配線を機械的・金属的に接続することにより電気的接続を行う接続方法である。
【0016】
プレスフィット端子1の接続部11は、図1の右側の拡大図に示したように、その幅寸法wはスルーホール5の内径Dより大きく、長さLの平坦部を有する厚さtのばね構造となっている。そのため、プレスフィット端子1をスルーホール5に圧入した後は、プレスフィット端子1の接続部11のばね力が働くことでスルーホール5に保持される。このような接続方法であるため、従来のはんだ接続とは違い、非加熱・常温、且つ短時間での接続が可能となっている。
【0017】
一方で、自動車用電子機器については、搭載スペースの制約を受けるため、可能な限り小型化することが求められている。電子機器の端子接続部をはんだ付けする場合、既に基板上に実装された部品に、はんだの噴流が付着しないように、端子と部品は一定以上の間隔をあける必要がある。この間隔が無駄なスペースとなり、機器の小型化を阻害する。それに対して、プレスフィット接続では、はんだを噴きつけることがないため、その無駄な間隔を狭めることができる。従って、プレスフィット接続は機器の小型化に好適な接合法である。
【0018】
しかし、更なる小型化・高密度実装化を見据えると、プレスフィット端子1の接続部11のばね力が配線基板4に与えるひずみが高密度実装の限界を規定する場合が発生する。プリント基板4のプレスフィット端子1が挿入されたスルーホール5の近傍には大きな応力がかかり、プリント基板4が損傷を与えられる可能性があるためである。
【0019】
例えば、図2は隣接するスルーホール41−1と41−2にそれぞれプレスフィット端子1−1と1−2とを挿入した状態のプリント基板4を、横方向から観察した断面図(図2)である。また図3は、図2のA−A’断面を矢視の方向から観察したときにプレスフィット端子1−1と1−2とにより発生する力の状態を模式的に表した図である。隣接するスルーホール41−1と41−2の間には、プレスフィット端子1−1と1−2とにより、図3に示した矢印41−1Aと41−2Bとの方向、即ち互いに押し合う方向にばね力が働くため、プリント基板4を構成する素材(ガラス繊維や絶縁樹脂)42の領域43に損傷3(素材42のつぶれによる変形)が発生する。
【0020】
この損傷発生領域43に発生する損傷3の度合い(図3に示した面内における素材42のつぶれによる変形の度合い)に応じて、プリント基板4の表面には膨れ31が発生する。このような膨れ31が生じた場合、(a)プリント基板4の膨れ31が発生した近傍の配線が断線する、(b)プリント基板4のスルーホールの周辺に形成されたソルダーレジストが剥離することで耐湿性が劣化する、(c)プリント基板4に搭載されたチップ抵抗などの部品にひずみがかかり、電気特性が変化する、(d)プリント基板4に搭載されたチップ抵抗などの部品のはんだ接続部の接合信頼性が低下する、などの問題が生じる。
【0021】
プリント基板4にこのような損傷部が発生するのを防止するためには、膨れ31が生じないようにスルーホール間の距離を遠ざけたり、搭載する電子部品を膨れ31が発生した部位から遠ざけたりする方法が考えられるが、このような方法ではプリント基板の面積を大きくしてしまうことになり、電子機器の小型化が難しくなる。そこで、本発明では、電子機器の小型化を狙うために、ばね力による基板の損傷および変形を軽減することが可能なプリント基板およびそれを用いた電子機器を提供するものである。
【0022】
本発明は、これらの課題を解決するものであって、
(1)プレスフィット端子が挿入されるプリント基板およびそれを用いた電子機器において、端子が挿入されたスルーホールで端子のばね力が作用する方向に、当該スルーホール径よりも幅広の内層および表層配線を設置するようにした。
(2)上述のプリント基板およびそれを用いた電子機器において、プリント基板の内層においてスルーホールと導通するアニューラーリングと、表層においてそのアニューラーリングより面積の大きなランドを備え、さらに、内層においてアニューラーリングと絶縁された変形拘束配線を、表層のランドの外周部よりもスルーホールに近い位置まで設けるようにした。
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0024】
本発明を実施するための形態の一例として、スルーホールにプレスフィット端子を挿入した状態のプリント基板の断面を図4A〜C及び図5A〜Cに示す。本発明はn層の多層プリント基板を対象とする発明であるが、簡単のため、4層の場合のプリント基板を例に説明する。図4A及び図5Aに示したプリント基板400又は500の断面において、最上層の基板を第1層401とし、その下の層の基板を第2層402、更にその下の層の基板を第3層403とし、最下層の基板を第4層404として、プレスフィット端子100はスルーホール411−1〜411−3の内部に第1層401の側から挿入されるものとする。プリント基板400又は500に設けられたスルーホール411−1〜411−3の直径をΦとする。
【0025】
先ず、図4C又は図5Cに示すように、表面に回路パターン(図示せず)が形成された第2層の基板402と第3層の基板403とに配線421、431と422、432(図5Cの場合は、配線423,433と424,434)を形成する。配線421、431(図5Cの場合は、配線423,433)は、アニューラーリングと呼ばれ、本配線421、431(図5Cの配線423,433)は、プレスフィット端子100を挿入時にスルーホール411−1〜411−3の壁面の配線が抜け落ちないように、強度を補強する役割を持つものである。
【0026】
配線421、431(図5Cの配線423,433)の幅は、直径Φの各スルーホール411−1〜411−3の端部からそれぞれL3、L4とする。また、L3とL4とに直角な方向の寸法は、h3、h5とする。この配線421、431の形状は、図4Cの配線421、431に示すように矩形でも良く、また、図5Cの配線423(433)に示すように円形状でもよい。また、配線422、432(図5Aの配線424,434)は、配線421、431(図5Cの配線423,433)からG2又はG3だけ離れた位置に形成され、幅L5、奥行きh3を有する。本配線422(432)を変形拘束配線と呼称する。
【0027】
次に、表面に回路パターン(図示せず)が形成され配線421と422 (図5Cの場合は、配線423と424)とが形成された第2層の基板402と、配線431と432(図5Cの場合は、配線433と434)とが形成された第3層の基板403とを、表面に回路パターン(図示せず)が形成された第1層401及び第4層404と積層して接合し、この積層した第1層401から第4層404までの基板をドリルで加工してスルーホール411−1〜411−3を形成する。
【0028】
次に、各スルーホール411−1〜411−3に、それぞれのスルーホール411−1〜411−3の内部を通ってプリント基板400又は500の両側の表層(第1層及び第4層)に接続する配線441〜443(図4A)または445〜447(図5A)を形成する。この配線441〜443 (図4A)または445〜447 (図5A)は、第2層の基板402と第3層の基板403とに形成した配線421,431(図5Aの423,433)と接続している。配線441〜443または445〜447は、直径Φの各スルーホール411−1〜411−3の端部からそれぞれL1、L2の幅を有する。
【0029】
この配線441〜443または445〜447は、スルーホールに挿入したピンをはんだ付けする構造の場合のランドに相当する。このランドは、はんだのフィレットを滑らかな形状とするため、スルーホールの周囲に円形状に形成されるものであるが、プレスフィット接続の場合は、はんだ接続を行わないので、自由な形状で形成できる。従って、図4Bに示したように、幅L1、L2、奥行きh1、h2の矩形状でも良く、図5Bに示したように、直径がL1+L2+Φの円形状の一部でも良い。
【0030】
また、隣り合う配線441と442(図5Bの445と446)の間の幅G1の領域に、パターン444(図5Bの448)を形成する。
【0031】
パターン444(図5Bの448)は必ずしも必要ではなく、図4A及び図4B(図5A及び図5B)においてスルーホール411−2と411−3との間のように、配線442と443(図5Bの446と447)の間隔451(図5Bの452)が狭いときには、パターン444(図5Bの448)を設けずに、配線442と443(図5Bの446と447)同士が隣り合うように配置してもよい。このときの配線443及び443(図5Bの446及び447)のL1及びL2に対応する寸法を、L1’及びL2’とする。
【0032】
各基板401乃至404に形成する配線421、431(図5Aの423と433)と422、432(図5Aの424と434)及び441と442(図5Aの445と446)との寸法については、以下の関係を満たす。
L1>L3+G2>0
L2>L5+G3>0
h1、h2、h3、h4、h5>Φ
G1、G2、G3≧0
図4A乃至C及び図5A乃至Cは、前述したプリント基板400又は500にプレスフィット端子100を挿入した状態を示す。
【0033】
図4A乃至C及び図5A乃至Cでは、接続部103が二股に分かれたニードル・アイと呼ばれるタイプのプレスフィット端子100を図示しているが、それ以外の端子形状でも本発明は適用できる。プレスフィット端子100はプリント基板400又は500のスルーホール411−1〜411−3に挿入されるが、プレスフィット端子100とスルーホール411−1〜411−3の接触部は、第2層の基板402第3層の基板となるようにし、表面の第1層の基板401及び裏面の第4層の基板404とは接触しないようにする。このように配置することで、プレスフィット端子100のばね力は、図3で説明した矢印41−1A,B及び41−2A,Bのような向きでプリント基板400の内部の第2層の基板402と第3層の基板403を構成する絶縁樹脂やガラス繊維に付与される構造となる。
【0034】
プレスフィット端子100のばね力を受ける第2層の基板402と第3層の基板403を構成する絶縁樹脂及びガラス繊維には、膨れようとする力が働くが、硬いCuから成るアニューラーリング421及び431(図5Aの423及び433)および変形拘束配線422及び432(図5Cの424及び434)がその変形を押さえ込むことができる。さらに、アニューラーリング421及び431(図5Aの423及び433)と変形拘束配線422及び432(図5Cの424及び434)との間のギャップG2、G3の部分の膨れについては、表層の第1層目の基板401と裏面側の第4層の基板404のそれぞれの表面に形成されたランド441,442,443(図5Bの445,446,447)が当該部を覆うように設置することで、変形を押さえ込むことができる。
【0035】
上述の配線構造を言い換えれば、次のようになる。図3を用いて説明したように、基板4(図4及び5のプリント基板400又は500に相当)のスルーホール41−1と41−2にそれぞれプレスフィット端子1−1と1−2とを挿入した状態において、基板4を上面から見た場合に、基板4の損傷は、図3の損傷発生領域43、即ち、端子のばね力が作用する方向の、スルーホール径の幅の範囲内に生じる。
【0036】
従って、基板を上面から見たときに、ばね力が作用する方向の、スルーホール径の幅の範囲内を、表層の第1層目の基板401と裏面側の第4層の基板404のそれぞれの表面に形成されたランド441,442,443(図5Bの445,446,447)、及び、第1層目の基板401と第4層の基板404とで挟まれた第2層の基板402と第3層の基板403に形成された配線(アニューラーリング)421と431(図5Cの423と433)及び変形拘束配線422と432(図5Cの424と434)である内層配線(アニューラーリングと変形拘束配線)で覆う構造とすることで、基板4(400,500)の表面の膨れを抑制することができる。
【0037】
なお、配線による基板変形の抑制を効果的に発揮するため、配線の厚みは10μm以上であることが望ましい。
【0038】
このように、プレスフィット端子1のばね力により変形が生じる可能性がある基板4(400,500)の部位について、スルーホール径よりも幅広の配線を、表層と内層に二重に設置することで、プリント基板表層の変形を最小限にとどめることができる。従って、プレスフィット端子1を採用した場合であっても基板4(400,500)の表面の配線の断裂を防止できて製品の信頼性を確保することができ、かつ、プレスフィット端子1を採用することによる高密度実装が可能となる。
【実施例1】
【0039】
先ず、第1の実施例について、図4A乃至Cに示した構成の、ランド及びアニュラーリング、変形拘束配線を矩形状配線で形成したプリント基板400を用いた場合について説明する。
【0040】
電子機器800は図8に示すように、ベースプレート810に放熱材811を介して固定されたメインのプリント基板801(図4のプリント基板400に相当)に、コネクタ802やサブモジュール807、808がプレスフィット端子803で接続され、サブモジュール807、808が放熱材812,813を介して放熱フィン814が取付けられたカバー815に固定された構造となっている。プリント基板801やサブモジュール807、808には、電子部品816が装着されている。また、ベースプレート810とコネクタ802及びカバー815との間はシール材807によりシールされている。
【0041】
このような構成の電子機器800に用いられるメインのプリント基板801の相当するプリント基板400のスルーホール411−1〜411−3にプレスフィット端子803に相当するプレスフィット端子100を挿入したときのプリント基板400の膨れの発生状態を実験した。
【0042】
プレスフィット端子100は、Cu合金を母材とし、下地にNiめっき、最表面にSnめっきを施した端子を用いた。プレスフィット端子100の形状は、図1に示したようなニードル・アイ型とした。図1に示すようにその接続部11の形状は、例えば、外形1.2mm(w:応力作用方向)×0.64mm(t:厚み方向)である。プリント基板400は、1.6mm厚の基板を4層重ねた4層基板とし、スルーホール5の径Φは1.0mmとした。図4に示したG1、G2、G3は0.3mm、L1、L2は0.6mm、L3、L5は0.2mm、L4は0.5mmとした。また、図4に示したh1からh5は1.0、1.5、2.0mmと変化させた。プレスフィット端子100はハンドプレス機で挿入し、挿入距離を調整することで、プレスフィット端子100のプリント基板400との接合部11がプリント基板400の第2〜3層の間に来るような位置にプレスフィット端子100を挿入した。
【0043】
プレスフィット端子100を挿入したプリント基板400について、150℃×1000hの高温放置する信頼性試験を実施した。この信頼性試験により、スルーホール411−1〜411−3間の損傷が拡大し、プリント基板400の表面膨れがより大きくなる。試験後のサンプルについて、断面観察よりプリント基板801の膨れ、レジストの損傷状態を調査し、膨れや損傷がないものを○、あるものを×とし判定した。
【0044】
比較例として、h4(図4C参照)を0.5mmとし、図4Aの配線422及び432に相当する変形拘束配線の幅をスルーホール径Φよりも狭くしたサンプルを作製し、同様に評価した。判定結果を図7に示す。
【0045】
判定の結果、h1〜h5が1.0、1.5、2.0mmのサンプルでは、プリント基板400の絶縁樹脂やガラス繊維にクラックは見られたが、変形拘束配線の変形は微小であり、図4Aの第1層基板401や第4層基板404に形成された配線に相当する表層配線の変形は見られなかった。表層の変化が見られないため、表層のソルダーレジスト(図4A及びBの441,442,443)の損傷も見られなかった。
【0046】
一方、比較例として作成したh4が0.5mmのサンプルについては、変形拘束配線(図4Cの422)が十分に機能せず、ガラス繊維の膨れが見られ、その膨れが図4Aの第1層基板401や第4層基板404の表面に相当する表層の膨れとして現れている様子が見られた。また、ソルダーレジスト(図4A及びBの441,442,443)にクラックが見られた。
【0047】
従って、スルーホール径以上の幅のアニューラーリング、変形拘束配線、ランドを設置することで、基板の変形を軽減することができた。
【実施例2】
【0048】
第2の実施例について、図6A乃至Cに示すような構成のプリント基板600を用いて実施した例を示す。図6A乃至Cに示したプリント基板600は、図5A乃至Cに示した構成の、ランド445〜447及びアニューラーリング、変形拘束配線を円形状配線で形成したプリント基板500とほぼ同じ構成をもち、プリント基板500の第1層の基板601の表面に形成した電極パッド17と18にチップ抵抗素子15がはんだ16により接合されている状態を示している。
【0049】
図6A乃至Cに示した構成において、プレスフィット端子100は実施例1と同様のものを用いた。プリント基板600は、第1層目の基板601と第2層目の基板602、第3層目の基板603及び第4層目の基板604が積層されており、ランド645,646及びアニューラーリング623,633、変形拘束配線624,634,625,635以外は実施例1と同様の条件で形成されたものを用いた。図6Aの648は、ランド645と図示していない隣接するランドとの間に形成した配線である。
【0050】
図6A乃至Cにおいて、各部の寸法は、スルーホール411−1、411−2の径Φは1.0mm、G1、G3は0.3mm、G2は0.2mm、L1、L2は0.6mm、L3、L5は0.2mm、L4は0.7mmとした。変形拘束配線624,634の幅:h4は1.0、1.5、2.0mmと変化させた。さらに、10穴並んだスルーホール411の端部から、プレスフィット端子100の応力作用方向(図6AのX方向)にD=0.9、2.5mm離れた位置にチップ抵抗素子15をはんだ16で接続して実装した。
【0051】
図6A乃至Cに示した構成において、チップ抵抗素子15の真下まで内層配線625及び635(変形拘束配線)を引き伸ばした。このように構成されたプリント基板600の各スルーホール411−1,411−2に、プレスフィット端子100を挿入した。
【0052】
プレスフィット端子100を接続したプリント基板600について、150℃×1000hの高温放置試験を実施し、基板の損傷状態を調査した。別途、−40/130℃×3000cycの温度サイクル試験を実施した。この試験で、実装したチップ抵抗素子15のはんだ接合部16のクラック進展の様子を調べた。
【0053】
比較例として、図6Cに示した変形拘束配線624(634)のh4を0.5mmとし、スルーホール径Φ:1.0mmよりも変形拘束配線624(634)の幅を狭くしたサンプルを作製した。
【0054】
判定の結果を図7Bに示す。変形拘束配線624(634)の幅h4が1.0、1.5、 2.0mmのサンプルでは、第1層目の基板601から第4層目の基板604にかけて絶縁樹脂やガラス繊維に多少のクラックは見られたが、変形拘束配線624(634)の変形は微小であり、第1層目の基板601及び第4層目の基板604に形成された表層配線の変形は見られなかった。表層の変化が見られないため、表層のソルダーレジストの損傷も見られなかった。また、温度サイクル試験後のD=0.9mmと2.5mmの位置のチップ抵抗素子15の両側のはんだ接合部16のクラックの状態を調べたところ、どちらも試験前と試験後とではんだ接合部16のクラックの長さが同じあった。従って、スルーホール411−1に近い距離の実装部品の寿命が短くなるという現象は生じなかった。
【0055】
一方、変形拘束配線624(634)の幅h4がスルーホール411−1の径Φ:1.0mmよりも小さい0.5mmのサンプルについては、変形拘束配線変形拘束配線624(634)が十分に機能せず、第1層目の基板601乃至第4層目の基板604を構成するガラス繊維の膨れが見られ、その膨れが表層の第1層目の基板601及び第4層目の基板604の膨れとして現れている様子が見られ、ソルダーレジストにクラックが見られた。また、チップ抵抗素子15のはんだ接合部16のクラックについては、D=2.5mmの位置よりも、D=0.9mmの位置のクラックが長いことがわかった。
【0056】
つまり、変形拘束配線624(634)の幅h4が短く、十分に機能しない場合、表層の第1層目の基板601及び第4層目の基板604の表面が膨れ、歪むため、スルーホール411−1に近い実装部品の寿命を低下させることがわかった。スルーホール411−1から実装部品を遠ざければ問題とならないが、高密度化を狙うためには、基板表面の膨れを抑えることが重要である。
【0057】
従って、スルーホール径以上の幅のアニューラーリング、変形拘束配線、ランドを設置することで、基板の変形を軽減し、スルーホール近傍のチップ部品の寿命を延ばすことができた。
【0058】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1、100・・・プレスフィット端子 11・・・ばね構造部 2・・・コネクタ 3・・・膨れ 4・・・プリント基板 41・・・スルーホール 42・・・Cu配線 421・・・ランド 422・・・アニューラーリング 423・・・変形拘束配線 43・・・レジスト 44・・・絶縁樹脂 45・・・ガラス繊維 5・・・チップ抵抗(実装部品) 6・・・はんだ 7・・・サブモジュール 15・・・チップ抵抗素子 16・・・はんだ 17、18・・・電極パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3層以上の基板が積層されて電子部品の端子ピンを挿入するためのスルーホールが多数形成されたプリント基板であって、
前記積層された基板うちの最上層の基板と最下層の基板のそれぞれの表面の前記多数のスルーホールのうちの第1のスルーホールの周りと第2のスルーホールの周りにはそれぞれ導体材料によるランドが形成され、前記最上層の基板の側に形成された第1のスルーホールの周りの第1のランドと第2のスルーホールの周りの第2のランドとは、前記最下層の基板の側に形成された第1のスルーホールの周りのランドと第2のスルーホールの周りのランドとそれぞれ前記第1のスルーホールの内部壁面に形成された導体部材または前記第2のスルーホールの内部壁面に形成された導体部材で電気的に接続されており、
前記最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板には、前記第1のスルーホールの内部壁面に形成された導体部材と接続する第1の導体膜と、前記第2のスルーホールの内部壁面に形成された導体部材と接続する第2の導体膜と、前記第1の導体膜と前記第2の導体膜との間に挟まれて前記第1の導体膜及び前記第2の導体膜と電気的には接続されていない第3の導体膜がそれぞれ形成されており、
前記プリント基板を上面から見たときに、前記第1のスルーホールから前記第2のスルーホールに亘る領域には、前記第1のランドと前記第2のランド、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜、及び前記第3の導電膜のいずれかが前記第1のスルーホールと前記第2のスルーホール直径と同じかそれよりも広い幅に亘って存在していることを特徴とするプリント基板。
【請求項2】
前記プリント基板は4層以上の基板が積層されて形成されており、前記プリント基板を上面から見たときに、前記第1のスルーホールから前記第2のスルーホールに亘る領域には、前記第1のランドと前記第2のランド、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜、及び前記第3の導電膜のいずれかが前記第1のスルーホールと前記第2のスルーホール直径と同じかそれよりも広い幅に亘って複数の層存在していることを特徴とする請求項1記載のプリント基板。
【請求項3】
3層以上の基板が積層されて電子部品のプレスフィット端子を挿入するためのスルーホールが多数形成されたプリント基板であって、
前記プリント基板の表面と裏面の前記スルーホールの周囲にはそれぞれ導体材料によるランドが形成され、かつ、前記表面の側のランドと前記裏面側のランドとは前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜により電気的に接続されており、
前記3層以上の積層された基板のうち最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板には、前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に接続する導体膜と前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に電気的に接続しない導体膜とを含む複数の導体膜が形成されており、
前記プリント基板を上面から見たときに、前記多数のスルーホールのうち隣接するスルーホール間で前記プレスフィット端子を挿入したときに圧縮力が作用するスルーホール間に、前記ランド又は前記最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板に形成された前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に接続する導体膜または前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に電気的に接続しない導体膜のいずれかが前記スルーホールの直径と同じかそれよりも広い幅に亘って存在していることを特徴とするプリント基板。
【請求項4】
前記プリント基板は4層以上の基板が積層されて形成されており、前記プリント基板を上面から見たときに、前記多数のスルーホールのうち隣接するスルーホール間で前記プレスフィット端子を挿入したときに圧縮力が作用するスルーホール間に、前記ランド又は前記最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板に形成された前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に接続する導体膜または前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に電気的に接続しない導体膜のいずれかが前記スルーホールの直径と同じかそれよりも広い幅に亘って存在していることを特徴とする請求項3記載のプリント基板。
【請求項5】
前記最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板に形成された前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に電気的に接続しない導体膜は、前記挟まれた基板の矩形状の領域に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のプリント基板。
【請求項6】
前記最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板に形成された前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に接続する導体膜及び前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に電気的に接続しない導体膜は、それぞれ10μm以上の厚さを有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のプリント基板。
【請求項7】
ベースプレートと、
該ベースプレートに取付けられた第1の放熱材と、
該第1の放熱材を介して前記ベースプレートに取付けられて表面に電子部品を搭載した第1のプリント基板と、
前記ベースプレートに固定されて前記放熱材と前記第1のプリント基板を覆うカバーと、
前記カバーの前記第1のプリント基板と対向する面に第2の放熱財を介して取付けられて表面に電子部品を搭載した第2のプリント基板と、
前記第1のプリント基板を外部と電気的に接続するためのコネクタとを備え、
前記第1のプリント基板は、前記第2のプリント基板及び前記コネクタとプレスフィット端子で接続されている電子機器であって、
前記第1のプリント基板は3層以上の基板が積層されて前記プレスフィット端子を挿入するためのスルーホールが多数形成されており、
前記積層された基板うちの最上層の基板と最下層の基板のそれぞれの表面の前記多数のスルーホールのうちの第1のスルーホールの周りと第2のスルーホールの周りにはそれぞれ導体材料によるランドが形成され、前記最上層の基板の側に形成された第1のスルーホールの周りの第1のランドと第2のスルーホールの周りの第2のランドとは、前記最下層の基板の側に形成された第1のスルーホールの周りのランドと第2のスルーホールの周りのランドとそれぞれ前記第1のスルーホールの内部壁面に形成された導体部材または前記第2のスルーホールの内部壁面に形成された導体部材で電気的に接続されており、
前記最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板には、前記第1のスルーホールの内部壁面に形成された導体部材と接続する第1の導体膜と、前記第2のスルーホールの内部壁面に形成された導体部材と接続する第2の導体膜と、前記第1の導体膜と前記第2の導体膜との間に挟まれて前記第1の導体膜及び前記第2の導体膜と電気的には接続されていない第3の導体膜がそれぞれ形成されており、
前記第1のプリント基板を上面から見たときに、前記第1のスルーホールから前記第2のスルーホールに亘る領域には、前記第1のランドと前記第2のランド、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜、及び前記第3の導電膜のいずれかが前記第1のスルーホールと前記第2のスルーホール直径と同じかそれよりも広い幅に亘って存在している
ことを特徴とするプリント基板を用いた電子機器。
【請求項8】
前記プリント基板は4層以上の基板が積層されて形成されており、前記プリント基板を上面から見たときに、前記第1のスルーホールから前記第2のスルーホールに亘る領域には、前記第1のランドと前記第2のランド、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜、及び前記第3の導電膜のいずれかが前記第1のスルーホールと前記第2のスルーホール直径と同じかそれよりも広い幅に亘って複数の層存在していることを特徴とする請求項7記載のプリント基板を用いた電子機器。
【請求項9】
ベースプレートと、
該ベースプレートに取付けられた第1の放熱材と、
該第1の放熱材を介して前記ベースプレートに取付けられて表面に電子部品を搭載した第1のプリント基板と、
前記ベースプレートに固定されて前記放熱材と前記第1のプリント基板を覆うカバーと、
前記カバーの前記第1のプリント基板と対向する面に第2の放熱財を介して取付けられて表面に電子部品を搭載した第2のプリント基板と、
前記第1のプリント基板を外部と電気的に接続するためのコネクタとを備え、
前記第1のプリント基板は、前記第2のプリント基板及び前記コネクタとプレスフィット端子で接続されている電子機器であって、
前記第1のプリント基板は3層以上の基板が積層されて前記プレスフィット端子を挿入するためのスルーホールが多数形成されており、
前記第1のプリント基板の表面と裏面の前記スルーホールの周囲にはそれぞれ導体材料によるランドが形成され、かつ、前記表面の側のランドと前記裏面側のランドとは前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜により電気的に接続されており、
前記3層以上の積層された基板のうち最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板には、前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に接続する導体膜と前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に電気的に接続しない導体膜とを含む複数の導体膜が形成されており、
前記第1のプリント基板を上面から見たときに、前記多数のスルーホールのうち隣接するスルーホール間で前記プレスフィット端子を挿入したときに圧縮力が作用するスルーホール間に、前記ランド又は前記最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板に形成された前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に接続する導体膜または前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に電気的に接続しない導体膜のいずれかが前記スルーホールの直径と同じかそれよりも広い幅に亘って存在している
ことを特徴とするプリント基板を用いた電子機器。
【請求項10】
前記プリント基板は4層以上の基板が積層されて形成されており、前記プリント基板を上面から見たときに、前記多数のスルーホールのうち隣接するスルーホール間で前記プレスフィット端子を挿入したときに圧縮力が作用するスルーホール間に、前記ランド又は前記最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板に形成された前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に接続する導体膜または前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に電気的に接続しない導体膜のいずれかが前記スルーホールの直径と同じかそれよりも広い幅に亘って存在していることを特徴とする請求項9記載のプリント基板を用いた電子機器。
【請求項11】
前記最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板に形成された前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に電気的に接続しない導体膜は、前記挟まれた基板の矩形状の領域に形成されていることを特徴とする請求項7乃至10の何れかに記載のプリント基板を用いた電子機器。
【請求項12】
前記最上層の基板と最下層の基板とに挟まれた基板に形成された前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に接続する導体膜及び前記スルーホールの内壁面に形成された導体膜に電気的に接続しない導体膜は、それぞれ10μm以上の厚さを有することを特徴とする請求項7乃至10の何れかに記載のプリント基板を用いた電子機器。
【請求項13】
積層された複数の基板と、積層された基板の表面及び基板と基板との間に形成された配線と、前記複数の基板を貫通する複数のスルーホールとを備えたプリント基板において、
前記スルーホールは、その内部壁に設けられた導体材料と、その周囲の最上層の基板表面に設けられ、前記導電材料に接続されたランドとを有し、
隣接する第1及び第2のスルーホールを通る断面において、第1のスルーホールのランドの下から前記第2のスルーホールのランドの下まで延在して前記基板の間の層に設けられ、前記スルーホールの導線材料から絶縁されている導体膜を有することを特徴とするプリント基板。
【請求項14】
請求項13において、
前記導体膜と同じ層に、前記スルーホールの導電材料に接続されているアニューラーリングを有することを特徴とするプリント基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−89847(P2013−89847A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230605(P2011−230605)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】