プリント配線板、電子デバイス、及びプリント配線板の製造方法
【課題】ヒューズ部の焼損時に確実に電路を遮断することのできるプリント配線板、電子デバイス、及びプリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】プリント配線板10が、孔11a(開口部)を有する絶縁性の樹脂基板11と、樹脂基板11上に形成された、導体からなる第1端子部12a及び第2端子部12bと、第1端子部12a及び第2端子部12bを相互に電気的に接続するヒューズ部12cと、を有する。ヒューズ部12cの少なくとも一部は、孔11a上に配置され、且つ、絶縁性を有する多孔質の無機被覆材13で覆われている。
【解決手段】プリント配線板10が、孔11a(開口部)を有する絶縁性の樹脂基板11と、樹脂基板11上に形成された、導体からなる第1端子部12a及び第2端子部12bと、第1端子部12a及び第2端子部12bを相互に電気的に接続するヒューズ部12cと、を有する。ヒューズ部12cの少なくとも一部は、孔11a上に配置され、且つ、絶縁性を有する多孔質の無機被覆材13で覆われている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等を保護するためのヒューズ部を有するプリント配線板、電子デバイス、及びプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばプリント配線板に電子部品を実装することで、電子デバイスとすることが知られている。こうした電子デバイスにおいては、熱暴走や絶縁破壊などにより回路に大電流が流れ、電子デバイスが損傷したり破壊されたりするおそれがある。そこで、電子デバイスを保護するため、プリント配線板上にフェイルセーフ機能としてのヒューズ部を設けることが提案されている。例えばヒューズ用のソケットと、そのソケットに差し込まれるガラス管ヒューズと、を備えるヒューズ部が知られている。
【0003】
また、内部にヒューズ部を有するプリント配線板も提案されている。特許文献1には、基板と、この基板に設けられた開口部の両側に対向して形成された1対のランドと、この1対のランドにそれぞれ接続された第1の配線パターンと、上記1対のランドを上記開口部を跨いで接続し且つ第1の配線パターンよりも細く形成された第2の配線パターンと、を具備したプリント配線板が開示されている。このプリント配線板は、基板の開口部上に細い導体パターン(第2の配線パターン)を備えている。
【0004】
さらに、特許文献2には、フィルム基板上に、金属箔からなるヒューズ部と、該ヒューズ部と連結している一対の端子部と、を有するプリント配線板が開示されている。このプリント配線板では、温度変化などの外部環境の変化の影響を小さくするため、ヒューズ部が樹脂(有機材料)で封止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平05−38937号公報
【特許文献2】特開平07−85771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1又は2に記載のプリント配線板では、以下のような問題が生じ得る。
【0007】
特許文献1、2に記載のプリント配線板では、ヒューズ部に樹脂(例えばプリント配線板の絶縁樹脂や封止樹脂)が接しているため、ヒューズ部の焼損時に周囲の温度が上昇し、樹脂が炭化するおそれがある。例えば銅配線を溶断するために温度を銅の融点(約1000℃)以上に上げると、プリント配線板で一般的に用いられているガラス繊維入りのエポキシ樹脂が炭化してしまうおそれがある。そして、樹脂は炭化すると絶縁性を失うため、炭化した部分から再通電が起きるおそれがある。しかも、いったん電流が流れると微量の電流でも発熱(ジュール熱)により樹脂の炭化が進むため、加速度的に再通電が起きるおそれがある。
【0008】
また、特許文献1に記載のプリント配線板では、焼損したヒューズ部の導体が大きな塊となり、周囲に飛散するおそれがある。特に、複数の電子部品(例えば半導体素子)が並列及び直列に配置されている場合には、1つの半導体素子につながるヒューズ部が遮断されたとしても、他の電子部品は帯電したままになることで、導体の塊の飛散によって短絡すると、故障につながり易い。
【0009】
上記のような再通電や短絡は、電子デバイスの損傷や破壊の原因となり得る。
【0010】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、ヒューズ部の焼損時に確実に電路を遮断することのできるプリント配線板、電子デバイス、及びプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るプリント配線板は、開口部を有する絶縁性の樹脂基板と、前記樹脂基板上に形成された、導体からなる第1端子部及び第2端子部と、前記第1端子部及び前記第2端子部を相互に電気的に接続するヒューズ部と、を有するプリント配線板であって、前記ヒューズ部の少なくとも一部は、前記開口部上に配置され、且つ、絶縁性を有する多孔質の無機被覆材で覆われている。
【0012】
前記無機被覆材は、無機バインダとセラミック充填剤とを含んでいてもよい。
【0013】
前記セラミック充填剤は、粒子状、粉末状、又は繊維状であってもよい。
【0014】
前記セラミック充填剤は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、及び炭化珪素の少なくとも1種からなるものであることが望ましい。
【0015】
前記無機バインダは、水溶性珪酸塩、セラミックゾルの硬化物、セピオライト、及びアタパルジャイトの少なくとも1種からなるものであることが望ましい。
【0016】
前記セラミックゾルは、アルミナゾル、シリカゾル、及びチタニアゾルの少なくとも1種からなるものであることが望ましい。
【0017】
前記無機被覆材の気孔率は、10〜40%であることが望ましい。
【0018】
本発明に係る電子デバイスは、複数の電子部品と、前記プリント配線板と、を有し、前記ヒューズ部が、前記電子部品ごとに設けられてなる。
【0019】
本発明に係るプリント配線板の製造方法は、絶縁性の樹脂基板を準備することと、前記樹脂基板上に、導体からなる第1端子部及び第2端子部を形成することと、前記第1端子部及び前記第2端子部を相互に電気的に接続するヒューズ部を形成することと、前記ヒューズ部に開口部を形成することと、前記開口部上に配置された前記ヒューズ部の少なくとも一部に、無機バインダとセラミック充填剤とを含むペーストを塗布し、乾燥、硬化させることにより、その部分を絶縁性の無機被覆材で覆うことと、を含む。
【0020】
前記開口部の形成は、前記樹脂基板の、前記第1端子部及び前記第2端子部が形成された面とは反対側の面からレーザー加工することにより行ってもよい。
【0021】
前記プリント配線板の製造方法において、絶縁性の前記樹脂基板は、無機フィラーを含み、前記開口部の形成の後、前記開口部の側面の表層部の樹脂を除去することが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ヒューズ部の焼損時に確実に電路を遮断することのできるプリント配線板、電子デバイス、及びプリント配線板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】本発明の実施形態に係るプリント配線板が用いられる回路の一例を示す図である。
【図1B】本発明の実施形態に係るプリント配線板が用いられる回路の第1の別例を示す図である。
【図1C】本発明の実施形態に係るプリント配線板が用いられる回路の第2の別例を示す図である。
【図2A】本発明の実施形態に係るプリント配線板を示す平面図である。
【図2B】図2AのA−A断面図である。
【図3】本実施形態に係るプリント配線板のヒューズ部が溶断される様子を示す図である。
【図4A】本実施形態に係るプリント配線板のヒューズ部が溶断された様子を示すSEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
【図4B】図4A中の一部領域を拡大した写真である。
【図5】本実施形態に係るプリント配線板の、異なる電路断面積を有するヒューズ部の各々について、溶断時の電流の設計値と実測値との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の実施形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図7】図6の製造方法の第1の工程を説明するための図である。
【図8】図7の工程の後の第2の工程を説明するための図である。
【図9】図8の工程の後の第3の工程を説明するための図である。
【図10】図9の工程の後の第4の工程を説明するための図である。
【図11】図10の工程の後の第5の工程を説明するための図である。
【図12A】無機被覆材の形成方法の別例の第1の工程を説明するための図である。
【図12B】図12Aの工程の後の第2の工程を説明するための図である。
【図13A】本発明の実施形態における第1端子部上及び第2端子部上に無機被覆材がはみ出した例を示す図である。
【図13B】本発明の実施形態におけるプリント配線板の第1面又は第2面の全面を無機被覆材が覆う例を示す図である。
【図14】本発明の実施形態における第1端子部及び第2端子部よりも薄いヒューズ部の一例を示す図である。
【図15】本発明の実施形態におけるヒューズ部の断面形状の別例を示す図である。
【図16A】本発明の実施形態におけるヒューズ部の導体パターンの第1の別例を示す図である。
【図16B】本発明の実施形態におけるヒューズ部の導体パターンの第2の別例を示す図である。
【図17A】本発明の実施形態におけるヒューズ部の導体パターンの第3の別例を示す図である。
【図17B】本発明の実施形態におけるヒューズ部の導体パターンの第4の別例を示す図である。
【図18A】本発明の実施形態における第1端子部及び第2端子部とは別途に形成された導体棒を用いて、ヒューズ部を形成する第1の例を示す図である。
【図18B】図18AのA−A断面図である。
【図19A】本発明の実施形態における第1端子部及び第2端子部とは別途形成された導体棒を用いて、ヒューズ部を形成する第2の例を示す図である。
【図19B】図19AのA−A断面図である。
【図20】図18A及び図18Bに示したプリント配線板の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図21A】図20の製造方法の第1の工程を説明するための図である。
【図21B】図21Aの工程の後の第2の工程を説明するための図である。
【図21C】図21Bの工程の後の第3の工程を説明するための図である。
【図22A】図21Cの工程の後の第4の工程を説明するための図である。
【図22B】図22AのA−A断面図である。
【図23】本発明の実施形態における無機固体物上のヒューズ部を絶縁性ペーストで覆った第1の例を示す図である。
【図24】本発明の実施形態における無機固体物上のヒューズ部を絶縁性ペーストで覆った第2の例を示す図である。
【図25A】本発明の実施形態における絶縁性ペースト上のヒューズ部を絶縁性フィルムで覆った例を示す図である。
【図25B】本発明の実施形態における無機固体物上のヒューズ部を絶縁性フィルムで覆った例を示す図である。
【図26A】本発明の実施形態におけるプリント配線板に蓋を設けた例を示す図である。
【図26B】図26AのA−A断面図である。
【図27】本発明の実施形態の蓋を有するプリント配線板の第1の別例を示す図である。
【図28】本発明の実施形態の蓋を有するプリント配線板の第2の別例を示す図である。
【図29】本発明の実施形態の非貫通孔が形成された樹脂基板を有するプリント配線板の一例を示す図である。
【図30A】本発明の実施形態における開口部の横断面の形状の第1の別例を示す図である。
【図30B】本発明の実施形態における開口部の横断面の形状の第2の別例を示す図である。
【図30C】本発明の実施形態における開口部の横断面の形状の第3の別例を示す図である。
【図31A】本発明の実施形態における開口部の縦断面の形状の第1の別例を示す図である。
【図31B】本発明の実施形態における開口部の縦断面の形状の第2の別例を示す図である。
【図31C】本発明の実施形態における開口部の縦断面の形状の第3の別例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図中、矢印Z1、Z2は、それぞれ基板の主面(表裏面)の法線方向(又は基板の厚み方向)を指す。一方、矢印X1、X2及びY1、Y2は、それぞれZ方向に直交する方向(基板の主面に平行な方向)を指す。基板の主面は、X−Y平面となり、基板の側面は、X−Z平面又はY−Z平面となる。
【0025】
プリント配線板の開口部(例えばプリント配線板を貫通しない孔、又はプリント配線板を貫通する孔)に関しては、Z方向に直交する断面(X−Y平面)を、横断面という。また、Z方向に平行な断面(X−Z平面又はY−Z平面)を、縦断面という。
【0026】
本実施形態では、相反する法線方向を向いた2つの主面を、第1面(Z1側の面)、第2面(Z2側の面)という。すなわち、第1面の反対側の主面が第2面であり、第2面の反対側の主面が第1面である。
【0027】
プリント配線板に形成された回路等の配線(グランドも含む)として機能する導体パターンを含む層のほか、ベタパターンのみからなる層も、導体層という。プリント配線板の開口部には、孔や溝のほか、切欠や切れ目等も含まれることとする。孔は貫通孔に限られず、非貫通の孔も含めて、孔といい、ビアホール及びスルーホールが含まれることとする。
【0028】
プリント配線板の表裏面、あるいは内層面に形成されるラインパターン(面上の配線又は面下の溝など)に関しては、ラインパターンと直交する方向のうち、形成面と平行な方向の寸法を「幅」といい、形成面と直交する方向の寸法を「高さ」又は「厚さ」又は「深さ」という。また、ラインパターンの一端から他端までの寸法を「長さ」という。ただし、他の寸法を指すことを明記している場合は、この限りでない。
【0029】
図1Aに、本実施形態に係るプリント配線板10(特にヒューズ部12c)が設けられた回路の一例(回路20)を示す。回路20は、本実施形態に係るプリント配線板10に形成される回路であり、図1Aには、プリント配線板10に実装される電子部品22も併せて示す。
【0030】
図1Aに示されるように、回路20においては、プリント配線板10のヒューズ部12c(図2A参照)が、例えば電源21及び電子部品22と直列に接続される。また、電源21と電子部品22とは、負荷23を介して、互いに電気的に接続される。ただしこれに限られず、例えば図1Bに示されるように、回路20は、複数の負荷23が並列に接続され、それぞれの負荷23に電子部品22及びヒューズ部12cが直接に接続された回路であってもよい。図1Bに示される回路20においては、1つの回路20について、複数のヒューズ部12cが設けられている。また、図1Cに示されるように、回路20は、電子部品22及び負荷23が別に(外部に)設けられた回路であってもよい。一般に、蓄電池で、このような電子部品を外部に設ける構造がとられる。図1A及び図1Bにおいては、負荷23として抵抗を示しているが、負荷23は、抵抗以外のランプ等、電力を消費する部品であれば、どのようなものでもよい。図1A、図1B、及び図1Cに示される回路20は、電子デバイスを構成している。
【0031】
電子部品22は、例えば半導体素子である。ただし、電子部品22が半導体素子であることは必須ではなく、電子部品22の種類は、任意である。例えば電子部品22は、IC回路等の能動部品、あるいはコンデンサ、抵抗、コイル等の受動部品などを採用することができる。
【0032】
プリント配線板10は、図2A及び図2B(図2AのA−A断面図)に示すように、樹脂基板11と、導体層12と、を有する。本実施形態のプリント配線板10は、図2A及び図2Bに示す回路の導体層12で構成されているが、導体層12に別の回路が含まれていてもよい。
【0033】
なお、プリント配線板10に、電子部品22(図1A、図1Bを参照)が実装されてもよい。そのような構造にすると、電子部品22に隣接してプリント配線板10を形成することができるので、実装密度を高めることができると考えられる。その結果、小型の電子デバイスを得ることが可能になると考えられる。
【0034】
樹脂基板11は、絶縁性を有し、プリント配線板10のコア基板となる。ただしこれに限られず、樹脂基板11を、プリント配線板10の層間絶縁層としてもよい。
【0035】
樹脂基板11は、例えばエポキシ樹脂からなる。エポキシ樹脂は、例えば樹脂含浸処理により、ガラス繊維、又はアラミド繊維、紙、ガラスクロス、シリカフィラー、ガラスフィラー等の補強材を含んでいることが好ましい。補強材は、主材料(エポキシ樹脂)よりも熱膨張率の小さい材料であり、例えばガラス繊維、ガラスクロス、シリカフィラー、又はガラスフィラー等の無機材料が好ましく、ガラス繊維又はガラスクロス等の繊維質無機材料がより好ましい。無機材料からなる補強材(無機フィラー)であれば、無機被覆材13の熱膨張係数と樹脂基板11の熱膨張係数とを近づけることができるので、ヒートサイクルによる剥がれを防ぐことができる。その上、無機材料からなる補強材を使用すれば、ペースト状態の無機被覆材13との濡れ性を高めることができるので、無機被覆材13との接着力を強くできる。さらに、繊維質無機材料からなる補強材であれば、後述するように、孔11a(開口部)の側面において容易に樹脂基板11と無機被覆材13とを接続することができる。本実施形態では、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたもの(以下、ガラエポという)からなる樹脂基板11を用いることとする。ただしこれに限定されず、樹脂基板11の材料としては、例えば紙、又はガラス繊維、アラミド繊維等に、ポリエステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、イミド樹脂(ポリイミド)、フェノール樹脂、又はアリル化フェニレンエーテル樹脂(A−PPE樹脂)等の樹脂を含浸させたものも用いることができる。なお、樹脂基板11の形状や、厚さ、材料等は、基本的に任意である。
【0036】
樹脂基板11には、孔11a(開口部)が形成されている。本実施形態では、孔11aが貫通孔である場合を例示するが、孔11aは、貫通孔であっても、非貫通孔であってもよい(後述の図29参照)。また、孔11aの形状はどのような形状であってもよい。本実施形態の孔11aの形状は、例えば四角柱であり、孔11aの横断面(X−Y平面)は、約2×10mmの矩形である。詳しくは、図2A及び図2B中、X方向の寸法d1が例えば2mmであり、Y方向の寸法d2が10mmである。孔11aの深さ(Z方向の寸法d3)は、200μmである。本実施形態では、開口部を孔11aとしているが、溝、切欠、又は切れ目等、他の開口部としてもよい。
【0037】
導体層12は、樹脂基板11上(例えば第2面側)に形成されている。導体層12は、第1端子部12aと、第2端子部12bと、ヒューズ部12cと、を有する。本実施形態では、これら第1端子部12a、第2端子部12b、及びヒューズ部12cが連続して一体に形成されている。しかしこれに限られず、例えばヒューズ部12c等を別々に形成して、後からヒューズ部12cの両端をそれぞれ、第1端子部12a、第2端子部12bに接続してもよい(後述の図18A〜図22B参照)。
【0038】
導体層12は銅からなる。ただしこれに限定されず、導体層12の材料は任意である。また、本実施形態では、ヒューズ部12cの材料と、第1端子部12a及び第2端子部12bの材料とが、同一である場合を例示するが、両者の材料は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0039】
樹脂基板11の厚さは、例えば0.2mmであり、導体層12の厚さは例えば105μmである。ヒューズ部12cの導体幅は例えば0.2〜0.5mmの範囲にあり、ヒューズ部12cの導体長さは例えば2〜15mmの範囲にある。
【0040】
第1端子部12a、第2端子部12bは、ヒューズ部12cの両端に配置される。ヒューズ部12cは、第1端子部12aと第2端子部12bとの間に架設され、これら第1端子部12aと第2端子部12bとを相互に接続されている。そして、ヒューズ部12cの一部(架設部位P)は、孔11a上に配置され、且つ、絶縁性の無機被覆材13で覆われている。ここで、無機被覆材13は、多孔質の絶縁体である。
【0041】
無機被覆材13の気孔率は、10〜40%であることが好ましい。無機被覆材13の気孔率が10%未満の場合には、ヒューズ部12cが溶けてもギャップが形成されず電流が遮断できないことがあり、無機被覆材13の気孔率が40%を越える場合には、無機被覆材13が脆くなり、無機被覆材13が破損し易くなるからである。
【0042】
無機被覆材13の気孔率は、多孔質の無機被覆材13を形成するための絶縁ペーストの溶媒濃度、又は乾燥温度等によって、適宜調整できる。例えば溶媒濃度が濃く低温でゆっくり乾燥させると、無機被覆材13の気孔率が低くなり、溶媒濃度が薄く高温で素早く乾燥させると、無機被覆材13の気孔率が高くなる。
【0043】
無機被覆材13は、孔11aに充填されるとともに、ヒューズ部12cの架設部位Pを覆っている。その結果、架設部位Pが封止され、溶断したヒューズ部12cが周囲へ飛散することを防止できる。
【0044】
本実施形態では、孔11aに充填される部分(無機被覆材13)と、架設部位Pを覆う部分(無機被覆材13)とが一体的に形成されているが、これに限られず、例えば孔11aに、多孔質の無機被覆材13を形成するための絶縁性ペースト又は無機固体物を充填した後、絶縁性ペースト又は無機固体物上にヒューズ部12cを形成し、ヒューズ部12cを絶縁性フィルム等で覆ってもよい(後述の図23〜図25B参照)。この場合、絶縁性フィルムは多孔質でなくてもよいが、絶縁性フィルムが多孔質であると、後述するようにギャップの形成により消弧作用が得られるため、絶縁性フィルムは多孔質であることが望ましい。また、無機被覆材13は、孔11aから第1面側又は第2面側に、はみ出ていてもよい(後述の図13A及び図13B参照)。
【0045】
無機被覆材13は、多孔質であればどのようなものでもよく、全体が多孔質であっても、ヒューズ部12cと接する一部分のみが多孔質であってもよい。本実施形態の無機被覆材13は、絶縁性ペーストからなる。ただしこれに限られず、例えばマイカ等の絶縁性フィルムを含む無機被覆材13であってもよい(後述の図25A及び図25B参照)。
【0046】
無機被覆材13は、無機バインダとセラミック充填剤とを含む絶縁性ペーストからなることが好ましい。無機バインダとセラミック充填剤とを含む絶縁性ペーストであれば、乾燥硬化の過程で無機バインダのみが収縮するため、多孔質の無機被覆材13を得ることができる。
【0047】
無機バインダは、水溶性珪酸塩、セラミックゾルの硬化物、セピオライト、及びアタパルジャイトの少なくとも1種からなることが好ましく、中でも水溶性珪酸塩(例えば水ガラス)又はセラミックゾルからなることが好ましい。水溶性珪酸塩やゾルを乾燥させることで、無機被覆材13を、容易に被接着体(樹脂基板11等)と接着させることができ、ヒートサイクル又は振動が加わっても、無機被覆材13が剥離しにくくなると考えられる。また、水溶性珪酸塩は、耐熱性に優れる無機材料であるため、水溶性珪酸塩を無機被覆材13の主成分とすることで、高温環境下で無機被覆材13が変質又は分解しにくくなるため、ヒューズ部12cが溶断して無機被覆材13が高温に曝されても、無機被覆材13は、その形状及び絶縁性を維持することができると考えられる。
【0048】
無機バインダの上記水溶性珪酸塩は、例えば珪酸ナトリウムを主成分とする水ガラスであることが好ましい。水ガラスは、珪酸ナトリウムを水に溶かして加熱することで得られる。水ガラスは、熱硬化型の無機接着材料に相当する。無機被覆材13が接着性を有することで、ヒューズ部12cの架設部位Pは、確実に無機被覆材13で覆われるようになると考えられる。ただしこれに限られず、水溶性珪酸塩は、珪酸ナトリウム以外の水溶性珪酸塩、例えば珪酸カルシウムなどであってもよい。
【0049】
無機バインダの上記セラミックゾルは、例えばアルミナゾル、シリカゾル、及びチタニアゾルの少なくとも1種からなることが好ましい。
【0050】
無機被覆材13は、例えば上記絶縁性ペースト(例えば水溶液)を、樹脂基板11に塗布して乾燥することで、形成することができる。しかも、こうした形成方法によれば、封止が強固になり、樹脂基板11に加わるヒートサイクル又は振動で無機被覆材13が剥離しにくくなる。
【0051】
セラミック充填剤は、例えばセラミックス粉や、セラミックス顆粒、セラミックス繊維など、粒子状、粉末状、又は繊維状のものであることが好ましい。セラミック充填剤は、各種のガラス材、アルミナ、ジルコニア、シリカ、及び炭化珪素の少なくとも1種からなることが好ましい。セラミックは、耐熱性に優れる無機材料であるため、セラミックを無機被覆材13に含ませることで、高温環境下で無機被覆材13が変質又は分解しにくくなる。このため、ヒューズ部12cが溶断して無機被覆材13が高温に曝されても、無機被覆材13は、その形状及び絶縁性を維持することができると考えられる。
【0052】
無機被覆材13は、ヒューズ部12cの融点において化学的に安定であることが好ましい。例えばヒューズ部12cが銅である場合は、無機被覆材13は、1080℃において化学的に安定であることが好ましい。これにより、溶断時にヒューズ部12cの温度が融点まで上昇しても、無機被覆材13が劣化し又は破壊されにくくなる。化学的に安定であるとは、所定の温度において酸化や分解などをしないことであり、軟化することは含まれないこととする。
【0053】
具体的には、無機被覆材13としては、例えば東亞合成社製のアロンセラミック(登録商標)、オーディック社製のセラマボンド835(登録商標)、ティーエーケミカル社製のベタック(登録商標)、太陽金網社製のレスボンド(登録商標)、萩ガラス社製のニッセラコート(登録商標)、又は朝日化学社製のスミセラム(登録商標)等を用いることができる。これらはいずれも、水ガラスを主成分としている。アロンセラミックは、主にシリカ及びジルコニアを含むものであり、その耐熱温度は1100℃であり、CTE(熱膨張率)は4、8、又は13ppm/℃である。セラマボンド835は、主にジルコニアを含むものであり、その耐熱温度は1650℃である。ベタックは、主にシリカ及びアルミナを含むものであり、その耐熱温度は1550℃である。レスボンドは、主にアルミナ及びジルコニアを含むものであり、その耐熱温度は1640℃であり、CTEは8ppm/℃である。ニッセラコートは、主にアルミナ及びジルコニアを含むものであり、その耐熱温度は1800℃であり、CTEは8ppm/℃である。スミセラムは、主にアルミナ及びジルコニアを含むものであり、その耐熱温度は1600℃であり、CTEは7ppm/℃である。ここで、耐熱温度とは、その温度において酸化、分解、及び軟化がないことを示しており、各材料は、少なくとも耐熱温度においては化学的に安定であるといえる。これらの無機被覆材13は、製造工程では水分を含むペースト状であるが、乾燥して固化すると、多孔質のセラミックになる。
【0054】
孔11aの内面の表層部は、樹脂が除去されていることが好ましい。孔11aの内面の表層部の樹脂は、どのような方法で除去してもよいが、例えば過マンガン酸、クロム酸、硫酸、又はそれらの塩などを用いれば、有機物だけを選択的に除去することができる。その結果、ガラス繊維などの補強材は酸化されないが、樹脂は酸化され表面に凹凸が形成される。特に樹脂基板11が繊維状の無機補強材を含む場合には、繊維の末端が表面に露出することで、樹脂基板11と無機被覆材13とを接続することができ、接着強度を高めることができる。
【0055】
ガラス繊維(補強材)を含有する樹脂基板11の熱膨張係数は、面方向では10〜15ppm/℃、厚さ方向では60ppm/℃であるのに対し、無機被覆材13の熱膨張係数は、面方向及び厚さ方向とも5〜15ppm/℃である。このため、樹脂基板11の側面と接する無機被覆材13は熱膨張差により剥離し易い。この点、繊維状の補強材の末端が露出していれば、強い接着力を得ることができるため、無機被覆材13が剥離しにくくなる。
【0056】
無機被覆材13はヒューズ部12cと同程度の熱膨張係数を有することが好ましい。例えばヒューズ部12cが銅で形成されている場合は、銅の熱膨張係数は約17ppm/℃であるので、無機被覆材13の熱膨張係数は、10〜25ppm/℃の範囲にあることが好ましい。
【0057】
上記のように、本実施形態においては、ヒューズ部12cの架設部位Pが無機被覆材13で覆われている。そして、無機被覆材13は、高温になっても分解しにくい材料からなる。このため、ヒューズ部12cの溶断時に高温になっても、ヒューズ部12cの周囲で、無機被覆材13は分解されないので、無機被覆材13の絶縁性が維持され易い。その結果、ヒューズ部12cが溶断されたときに、確実に電路を遮断することができると考えられる。
【0058】
本実施形態においては、ヒューズ部12cの架設部位Pが、孔11a上に配置され、樹脂基板11とは接していない。このため、ヒューズ部12cが溶断された場合でも、樹脂基板11に含まれる有機物(樹脂など)は炭化されにくい。これにより、樹脂基板11の絶縁性が維持され易くなる。
【0059】
ヒューズ部12cの架設部位Pは、絶縁性の無機被覆材13で覆われているため、ヒューズ部12cが溶断されても、ヒューズ部12cの導体材料が周囲に飛散しにくくなる。これにより、プリント配線板10の周辺部に露出した抵抗等の帯電部を短絡させることも防止できる。
【0060】
図3に、本実施形態に係るプリント配線板10のヒューズ部12cが溶断される様子を示す。詳しくは、図3に示すように、ヒューズ部12cが溶断されると、溶断部P1に空隙R1が形成されることで、ヒューズ部12cが分断され、導通しなくなる。溶断部P1におけるヒューズ部12cの導体は、空隙R1とは反対側に引っ張られ、無機被覆材13を押し広げる方向に力が働き、無機被覆材13によってヒューズ部12cの導体が依然として覆われているので飛散が防止されると考えられる。図4A及び図4B(図4A中の領域R10の拡大写真)に、溶断部P1の断面SEM写真を示す。図4A、図4Bの写真及び銅の面分析の結果から、溶断後、溶断部P1におけるヒューズ部12cの側壁には銅(ヒューズ部12cを構成する導体材料)が存在するもの、無機被覆材13内には銅は存在せず、蒸発した銅が無機被覆材13の内部へ浸透した形跡は確認されなかった。このことから、無機被覆材13を構成する多孔質のセラミックがヒューズ部12cの導体の溶断時の歪みを吸収し、外部への影響を抑えると考えられる。なお、上記の分析では、上述のアロンセラミックを無機被覆材13として用いたが、無機被覆材13が他のセラミックを含む場合であっても、同様の結果が得られると考えられる。
【0061】
また、無機被覆材13が、セラミック粒子を水ガラスで固めた多孔質の封止材である場合には、通常時は、封止材がヒューズ部12cをとり囲んで支持しているので、振動又は異物等による機械的破損を防止し、ヒューズ部12cの溶断時には溶けた銅が水ガラスを溶かす。水ガラスが溶けることにより、気孔が消滅し、封止材が体積収縮を起こし、銅が気孔を埋めるため、ヒューズ部12cにギャップが形成される。具体的には、切れた部分が空洞になりギャップができる。このため、こうした無機被覆材13には、消弧作用があり、消弧作用があると素早く確実に電流を遮断することができる。本実施形態において、消弧作用とは、切断されたヒューズ部12cの導体間に発生するアーク放電を遮断する作用のことをいう。
【0062】
本実施形態においては、無機被覆材13が無機バインダを含んでいるので、無機被覆材13によってヒューズ部12cが強固に保持されるようになる。その結果、振動の激しい自動車や産業機器にプリント配線板10が使用された場合であっても、ヒューズ部12cは、無機被覆材13により強固に保持されているため、破損しにくくなる。
【0063】
ヒューズ部12cは、第1端子部12a及び第2端子部12bよりも細い形状をしている。このため、機械的な強度は、第1端子部12a及び第2端子部12bよりもヒューズ部12cの方が小さくなる。また、ヒューズ部12cが細くなるほど電路断面積が小さくなるため、単位長さあたりの抵抗は、第1端子部12a及び第2端子部12bよりもヒューズ部12cの方が大きくなる。すなわち、第1端子部12a及び第2端子部12bよりもヒューズ部12cの方が発熱し易く、強度が低い。その結果、先の図1Aに示した回路20に異常電流が流れた場合に、設計通りの電流でヒューズ部12cが溶断される。
【0064】
なお、抵抗の大きさは、例えば電路断面積や材質等を選択することで、調整することができる。電路断面積が小さいほど抵抗は大きくなり、比抵抗の大きな材料を選ぶことでも、抵抗は大きくなる。例えば図2Bに示されるように、本実施形態におけるヒューズ部12cの断面形状(X−Z断面)は台形になっている。これにより、矩形断面よりも、電路断面積を小さくすることができると考えられる。ただしこれにより限定されず、ヒューズ部12cの断面の厚みによって、電路断面積を調節してもよい(後述の図14参照)。また、ヒューズ部12cの断面形状(X−Z断面)は台形に限られず任意である(後述の図15参照)。また、より確実に架設部位Pが溶断されるようにするためには、架設部位Pの抵抗を周辺部位よりも高めることが好ましい(後述の図16A〜図17B参照)。
【0065】
図5は、異なる電路断面積を有するヒューズ部12cの各々について、溶断時の電流(溶断電流)の設計値と実測値との関係を示すグラフである。図5のグラフにおいては、溶断電流(A)を縦軸にとり、ヒューズ部12cのパターン長(mm)を横軸にした。図5のグラフ中、線L1は0.040mm2、線L2は0.035mm2、線L3は0.030mm2、線L4は0.025mm2、線L5は0.020mm2、線L6は0.014mm2の電路断面積を有するヒューズ部12cについて、それぞれ溶断電流の設計値を示している。一方、プロットされたデータは、実測値である。
【0066】
図5のグラフに示されるように、電路断面積0.014〜0.040mm2の範囲においては、溶断電流の設計値と実測値とが略一致する。すなわち、概ね設計通りの電流でヒューズ部12cが溶断されることとなる。なお、図5のグラフでは、上述のアロンセラミックを無機被覆材13としたが、他の無機材料についても、傾向としては概ね同様になると考えられる。
【0067】
プリント配線板10は、例えば図6に示すような手順で製造される。図6は、本実施形態に係るプリント配線板10の製造方法の一例を示すフローチャートであり、図7〜図11は、本実施形態に係るプリント配線板10の製造方法における各工程を説明するための図である。
【0068】
まず、ステップS11で、樹脂基板11を準備する。例えば図7に示すように、樹脂基板11の片面(例えば第2面側)に銅箔1001が形成された片面銅張積層板1000を出発材料とする。樹脂基板11の材料は、ガラエポ(ガラス−エポキシ樹脂)である。
【0069】
続けて、図6のステップS12で、樹脂基板11上に導体層12を形成する。導体層12の形成手法としては、例えばプリント配線板の分野で一般的な方法を用いることができる。具体的には、例えば図8に示すように、片面銅張積層板1000の銅箔1001(導体膜)上に、第1端子部12a、第2端子部12b、及びヒューズ部12cに対応したパターンを有するレジスト1002を印刷する。続けて、例えば図9に示すように、レジスト1002が形成されていない部位の銅箔1001をエッチングする。これにより、第1端子部12a及び第2端子部12bと、ヒューズ部12cとが、形成される。ヒューズ部12cは、第1端子部12aと第2端子部12bとを相互に電気的に接続する。このように、本実施形態では、樹脂基板11上に導体膜を形成した後、その導体膜をパターニングすることによって、第1端子部12a及び第2端子部12bを形成することと、ヒューズ部12cを形成することとが、同時になされる。パターニングとヒューズ部12cの形成とを同時に行うため、製造効率が良い。ただし、導体層12の形成方法は任意である。例えば銅箔1001を有さない樹脂基板11を出発材料として、その後、ラミネート等により、樹脂基板11上に銅箔1001を形成してもよい。また、めっきにより、樹脂基板11上又は銅箔1001上に銅めっき皮膜を形成してもよい。
【0070】
続けて、図6のステップS13で、樹脂基板11に孔11aを形成する。例えば図10に示すように、樹脂基板11の第1面側から、樹脂基板11を貫通する孔11aを形成する。これにより、第1端子部12a及び第2端子部12bは、孔11aの周囲に配置され、第1端子部12aと第2端子部12bとの間にヒューズ部12cが架設されることになる。孔11a上には、架設部位P(図2A)が配置される。孔11aは、例えば樹脂基板11の第1面側からレーザ(例えばCO2レーザ)を照射することにより四角柱形状に形成することができる。その後、必要に応じて、過マンガン酸などを用いて孔11aの内面層の樹脂を除去し、無機補強材を露出させる。ただしこれに限られず、孔11aの形成方法は任意である。
【0071】
続けて、図6のステップS14で、無機被覆材13を形成する。
【0072】
具体的には、図11に示すように、例えばディスペンサー1003により、樹脂基板11の第2面側から、ヒューズ部12cのうち、孔11a(開口部)上に配置された部分(架設部位P)に、無機バインダとセラミック充填剤とを含む絶縁性ペースト1003aを塗布する。これにより、孔11aに絶縁性ペースト1003a(図2A、図2B中の無機被覆材13参照)が充填される。
【0073】
続けて、その塗布した絶縁性ペースト1003aを乾燥させ、硬化させる。例えば絶縁性ペースト1003aとしてアロンセラミックを用いた場合は、16〜24時間室温に保持した後、150℃に加熱して、1時間この温度を保持する。また、例えば絶縁性ペースト1003aとしてセラマボンド835を用いた場合は、0.5時間100℃に保持した後、200℃に加熱して、0.5時間この温度を保持する。また、例えば絶縁性ペースト1003aとしてレスボンドを用いた場合は、2時間70℃に保持する。また、例えば絶縁性ペースト1003aとしてニッセラコートを用いた場合は、0.5時間100℃に保持する。また、例えば絶縁性ペースト1003aとしてスミセラムを用いた場合は、0.5時間100℃に保持する。
【0074】
こうして絶縁性ペースト1003aが硬化すると、前述の無機被覆材13(図2A、図2B)となる。すなわち、無機被覆材13はヒューズ部12cの架設部位Pを覆い、架設部位Pが無機被覆材13で封止される。以上の工程により、図2A及び図2Bに示したプリント配線板10が完成する。
【0075】
なお、無機被覆材13の形成方法は任意である。図12A及び図12Bにそれぞれ、無機被覆材13の形成方法の別例を示す。
【0076】
例えば図12Aに示すように、樹脂基板11の第1面側への絶縁性ペースト1003aの流出を防ぐために、板1004を設けてもよい。孔11aの第1面側を板1004で塞いだ状態で、樹脂基板11の第2面側から絶縁性ペースト1003aを孔11aに充填することで、図12Bに示すように、樹脂基板11の第1面側に板1004を有するプリント配線板10が完成する。また、板1004を除去すれば、図2A及び図2Bに示したプリント配線板10が完成する。
【0077】
本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば以下のように変形して実施することもできる。図13Aは、本発明の実施形態における第1端子部12a上及び第2端子部12b上に無機被覆材13がはみ出した例を示し、図13Bは、本発明の実施形態におけるプリント配線板10の第1面又は第2面の全面を無機被覆材13が覆う例を示し、図14は、本発明の実施形態における第1端子部12a及び第2端子部12bよりも薄いヒューズ部12cの一例を示し、図15は、本発明の実施形態におけるヒューズ部12cの断面形状の別例を示し、図16A〜図17Bはそれぞれ、本発明の実施形態におけるヒューズ部12cの導体パターンの別例を示す。
【0078】
無機被覆材13は、孔11aから、はみ出していてもよい。例えば図13Aに示すように、孔11aからはみ出した無機被覆材13が、第1端子部12a上及び第2端子部12b上にあってもよい。また、例えば図13Bに示すように、プリント配線板10の第1面又は第2面の全面を無機被覆材13が覆っていてもよい。
【0079】
厚みによって、ヒューズ部12cの電路断面積を調節してもよい。例えば図14に示すように、ヒューズ部12cの厚みを、第1端子部12a及び第2端子部12bよりも薄くしてもよい。これにより、ヒューズ部12cの抵抗が大きくなり、ヒューズ部12cが溶断され易くなる。
【0080】
ヒューズ部12cの断面形状(X−Z断面)は台形(図2B参照)に限られず任意である。例えば図15に示すように、矩形であってもよい。
【0081】
ヒューズ部12cの導体パターンは、任意である。
【0082】
例えば図16Aに示すように、ヒューズ部12cの導体パターンは、直線パターンであってもよい。この例では、ヒューズ部12cと第1端子部12a及び第2端子部12bとの接続部を太くしている。これにより、ヒューズ部12cが孔11aの内側で溶断され易くなる。その結果、前述した無機被覆材13による導体材料の飛散を防止する効果、及び孔11aによる樹脂基板11の炭化を抑制する効果が、より確実に得られるようになる。
【0083】
また、例えば図16Bに示すように、ヒューズ部12cと第1端子部12a及び第2端子部12bとの接続部がテーパ状(第1端子部12a側の幅又は第2端子部12b側の幅がヒューズ部12cの中央部の幅よりも大きい形状)になっていてもよい。ヒューズ部12cの両端部が滑らかになることで、繰り返しの熱応力による亀裂を抑制することができるようになると考えられる。
【0084】
ヒューズ部12cの導体パターンは、例えば図17Aに示すように、S字状のパターンであってもよい。第1端子部12aと第2端子部12bとの距離が離れることにより、ヒューズ部12cから第1端子部12a及び第2端子部12bへ拡散する熱の影響を小さくすることができると考えられる。また、パターン長が長くなり、パターンの中央部分では第1端子部12a及び第2端子部12bへの熱の拡散の影響を受けにくいので、溶断電流の誤差を小さくすることができると考えられる(図5参照)。そしてその結果、ヒューズ部12cが設計通りの電流(溶断電流)で溶断され易くなると考えられる。S字状のパターンは、パターンの曲げ部が曲線であっても、直線であってもよい。また、ヒューズ部12cの導体パターンは、例えば図17Bに示すように、第1端子部12aと第2端子部12bとが並ぶ方向(X方向)に直進せず、X方向と直交するY方向に迂回するような、凸状のパターンであってもよい。
【0085】
図2A及び図2Bに示した例では、ヒューズ部12cの一部が架設部位Pとなっていたが、図16A〜図17Bに示した例では、ヒューズ部12cの全部が架設部位Pとなっている。そして、架設部位Pを細い線状のパターンにすることで、架設部位Pの抵抗を周辺部位よりも高くしている。これにより、より確実に架設部位Pで溶断されるようになっている。
【0086】
第1端子部12a、第2端子部12b、及びヒューズ部12cが一体に形成されていることは必須ではない。図18Aに、本発明の実施形態における第1端子部12a及び第2端子部12bとは別途に形成された導体棒14を用いてヒューズ部12cを形成する第1の例を示す。図18Bは、図18AのA−A断面図である。
【0087】
例えば図18A及び図18B(図18AのA−A断面図)に示すように、別途形成された導体棒14を用いて、その両端をそれぞれ、例えば導電性の接着剤14a(又は半田)によって、第1端子部12a、第2端子部12bに接続してもよい。こうした構造であれば、導体棒14がヒューズ部12cを構成するため、ヒューズ部12cの太さの調整が容易になり、ひいては設計通りの電流(溶断電流)で溶断され易くなると考えられる。導体棒14は、例えば第1端子部12a及び第2端子部12bと同様、銅からなる。ただしこれに限定されず、導体棒14の材料は任意である。第1端子部12a及び第2端子部12bとは別途に形成される導体棒14を用いることで、ヒューズ部12cの材料を、第1端子部12a及び第2端子部12bの材料と異なる材料にすることが容易になる。その結果、ヒューズ部12cの材料として、高抵抗の金属や溶断時の温度が低い金属などを選ぶことも容易になる。
【0088】
また、導体棒14が配置される部位において、第1端子部12a及び第2端子部12bの各々の側面から、導体層12の導体が孔11a側に突出することで、突出部14bが形成されている。これらの突出部14bは、ヒューズ部12cと第1端子部12a及び第2端子部12bとの接続部に相当する。突出部14bは、導体棒14よりも大きな幅を有する。これにより、ヒューズ部12cの高抵抗部(電路断面積の小さい部分)は孔11aの内側に配置され、孔11aの内側でヒューズ部12cが溶断され易くなる。ただし、突出部14bは必須の構成ではなく、割愛してもよい。
【0089】
図19Aに、本発明の実施形態における第1端子部12a及び第2端子部12bとは別途に形成された導体棒を用いてヒューズ部12cを形成する第2の例を示す。図19Bは、図19AのA−A断面図である。
【0090】
図18A及び図18Bの例では、ヒューズ部12cは無機被覆材13で覆われているものの、接着剤14aは無機被覆材13から露出している。しかしこれに限られず、例えば図19A及び図19B(図19AのA−A断面図)に示すように、無機被覆材13が接着剤14aまで覆っていてもよい。また、無機被覆材13で導体棒14を固定することができる場合には、接着剤14aを割愛してもよい。
【0091】
図18A及び図18Bに示したプリント配線板10は、例えば図20に示すような手順で製造される。図20は、図18A及び図18Bに示したプリント配線板10の製造方法の一例を示すフローチャートであり、図21A〜図22Bは、図18A及び図18Bに示したプリント配線板10の製造方法における各工程を説明するための図である。なお、図22Bは、図22AのA−A断面図である。
【0092】
ステップS21では、図6のステップS11と同様、樹脂基板11を準備する。すなわち、例えば樹脂基板11の片面に銅箔1001が形成された片面銅張積層板1000を出発材料とする。
【0093】
続けて、図20のステップS22で、樹脂基板11上に、第1端子部12a及び第2端子部12bを形成する。例えば図21Aに示すように、片面銅張積層板1000の銅箔1001上に、第1端子部12a及び第2端子部12bに対応したパターンを有するレジスト1005を印刷する。続けて、例えば図21Bに示すように、レジスト1005が形成されていない部位の銅箔1001をエッチングする。これにより、導体層12として、第1端子部12a及び第2端子部12bが形成される。
【0094】
続けて、図20のステップS23で、樹脂基板11に直方体形状の孔11aを形成する。孔11aの第2面側の開口幅d11を導体層12の第1面側の開口幅d12よりも大きくすることで、図21Cに示すように、突出部14bが形成される。孔11aは、例えば樹脂基板11の第1面側からレーザ(例えばCO2レーザ)を照射することにより形成することができる。その後、必要に応じて、孔11aの内面層の樹脂を除去し、無機補強材を露出させる。ただしこれに限られず、孔11aの形成方法は任意である。
【0095】
続けて、図20のステップS24で、ヒューズ部12cを形成する。具体的には、図22A及び図22Bに示すように、別途形成した導体棒14の両端部をそれぞれ、第1端子部12a及び第2端子部12bの突出部14b上に配置し、例えば導電性の接着剤14aで第1端子部12a及び第2端子部12bの各々に接続する。
【0096】
続けて、図20のステップS25で、図6のステップS14と同様、無機被覆材13を形成する。以上の工程により、図18A及び図18Bに示したプリント配線板10が完成する。
【0097】
上記製造方法では、ヒューズ部12cの形成前に孔11aを形成する。しかしこれに限られず、ヒューズ部12cの形成後に孔11aを形成してもよい。孔11aは、レーザ以外の方法、例えばドリルや湿式エッチングなどで形成してもよい。
【0098】
図23及び図24は、本発明の実施形態における無機固体物13a上のヒューズ部12cを絶縁性ペースト13bで覆った例を示し、図25Aは、本発明の実施形態における絶縁性ペースト13b上のヒューズ部12cを絶縁性フィルム13cで覆った例を示し、図25Bは、本発明の実施形態における無機固体物13a上のヒューズ部12cを絶縁性フィルム13cで覆った例を示し、図26Aは、本発明の実施形態におけるプリント配線板10に蓋15を設けた例を示す。図26Bは、図26AのA−A断面図である。また、図27及び図28にはそれぞれ、本発明の実施形態の蓋15を有するプリント配線板10の別例を示す。
【0099】
例えば図23に示すように、絶縁性の無機固体物13a上に配置されたヒューズ部12cを、無機物からなる絶縁性ペースト13bで覆ってもよい。こうした構造は、例えば孔11a内に多孔質の無機固体物13aを配置した後、無機固体物13a上にヒューズ部12cを形成し、ヒューズ部12cを絶縁性ペースト13bで覆うことによって、形成することができる。また、無機固体物13aは、別途前述の無機バインダ等で樹脂基板11に固定してもよいが、図24に示すように、無機被覆材13で無機固体物13aを樹脂基板11に固定してもよい。
【0100】
また、例えば図25Aに示すように、無機物からなる絶縁性ペースト13b上に配置されたヒューズ部12cを、無機物からなる絶縁性フィルム13cで覆ってもよい。こうした構造は、例えば孔11aに絶縁性ペースト13bを充填した後、絶縁性ペースト13b上にヒューズ部12cを形成し、ヒューズ部12cを絶縁性フィルム13cで覆うことによって、形成することができる。また、図25Bに示すように、絶縁性の無機固体物13a上に配置されたヒューズ部12cを、無機物からなる絶縁性フィルム13cで覆ってもよい。こうした構造は、例えば孔11a内に無機固体物13aを配置した後、無機固体物13a上にヒューズ部12cを形成し、ヒューズ部12cを絶縁性フィルム13cで覆うことによって、形成することができる。この場合、絶縁性フィルム又は無機固体物が多孔質であればよい。
【0101】
例えば図26A及び図26B(図26AのA−A断面図)に示すように、プリント配線板10の第2面側に、蓋15を設けてもよい。この例において、蓋15は、第2面側に膨らむ曲面を有する板である。ただし、蓋15の形状や大きさ等は任意である。また、こうした構造において、樹脂基板11の第2面側に蓋15を設けた状態で、樹脂基板11の第1面側から、孔11aに無機被覆材13を充填してもよい。こうした手法で無機被覆材13を形成すると、無機被覆材13(絶縁性ペースト)の充填時に蓋15があることで、蓋15の外への無機被覆材13の流出が抑制されると考えられる。
【0102】
また、図27に示すように、先の図12Bに示した構造について、蓋15を適用してもよい。図27の例では、プリント配線板10の第2面側に蓋15を設けるとともに、プリント配線板10の第1面側には、孔11aの第1面側の開口を塞ぐ蓋15aを設けている。この例において、蓋15aは平板であるが、蓋15aの形状や大きさ等は任意である。さらに、図28に示すように、先の図23に示した構造について、蓋15を適用してもよい。図示はしないが、他の構造について、蓋15や蓋15aを適用してもよい。
【0103】
図29は、本発明の実施形態の非貫通孔(孔11a)が形成された樹脂基板11を有するプリント配線板10の一例を示し、図30A〜図30Cはそれぞれ、本発明の実施形態における開口部の横断面の形状の別例を示し、図31A〜図31Cはそれぞれ、本発明の実施形態における開口部の縦断面の形状の別例を示す。
【0104】
例えば図29に示すように、孔11aは、非貫通孔であってもよい。すなわち、図29に示される孔11aは、ヒューズ部12cの導体部の下側(Z1側)に、樹脂基板11を貫通しないように設けられた直方体形状の非貫通孔である。
【0105】
孔11aの横断面(X−Y平面)の形状は任意である。
【0106】
例えば孔11a(開口部)の横断面の形状は、矩形のほか、例えば図30Aに示すように真円であってもよく、また、三角形や、六角形、八角形等の他の多角形、又は楕円であってもよい。なお、多角形の角の形状は任意であり、例えば直角でも、鋭角でも、鈍角でも、丸みを帯びていてもよい。ただし、熱応力の集中を防止する上では、角が丸みを帯びていた方が好ましい。孔11aは、貫通孔であっても、非貫通孔であってもよい。
【0107】
また、孔11a(開口部)の横断面の形状は、例えば図30B又は図30Cに示すように、十字形又は正多角星形など、中心から放射状に直線を引いた形(複数の羽根を放射状に配置した形)であってもよい。
【0108】
孔11a(開口部)の縦断面の形状も任意である。例えば図31Aに示すように、孔11a(開口部)の形状は、樹脂基板11の第2面側から第1面側に向かって縮径されるようにテーパしたテーパ円柱(円錐台)であってもよい。あるいは、図31Bに示すように、孔11a(開口部)の形状は、例えば樹脂基板11の第1面側から第2面側に向かって縮径されるようにテーパしたテーパ円柱(円錐台)であってもよい。さらに、図31Cに示すように、孔11a(開口部)の形状は、例えば樹脂基板11の第1面側及び第2面側の両方から内側に向かって縮径されるようにテーパした鼓形であってもよい。
【0109】
プリント配線板10や、プリント配線板、電子デバイス等の構成、及びその構成要素の種類、性能、寸法、材質、形状、層数、又は配置等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変更することができる。
【0110】
本発明の製造方法は、図6又は図20のフローチャートに示した内容及び順序に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に内容及び順序を変更することができる。また、用途等に応じて、必要ない工程を割愛してもよい。
【0111】
上記実施形態や変形例等は、任意に組み合わせることができる。例えば図31A〜図31Cに示した孔11a(開口部)を、非貫通孔(非貫通の開口部)にしてもよい。
【0112】
以上、本発明の実施形態について説明したが、設計上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、「請求項」に記載されている発明や「発明を実施するための形態」に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0113】
10 プリント配線板
11 樹脂基板
11a 孔
12 導体層
12a 第1端子部
12b 第2端子部
12c ヒューズ部
13 無機被覆材
13a 無機固体物
13b 絶縁性ペースト
13c 絶縁性フィルム
14 導体棒
14a 接着剤
14b 突出部
15、15a 蓋
20 回路
21 電源
22 電子部品
23 負荷
1000 片面銅張積層板
1001 銅箔
1002 レジスト
1003 ディスペンサー
1003a 絶縁性ペースト
1004 板
1005 レジスト
P 架設部位
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等を保護するためのヒューズ部を有するプリント配線板、電子デバイス、及びプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばプリント配線板に電子部品を実装することで、電子デバイスとすることが知られている。こうした電子デバイスにおいては、熱暴走や絶縁破壊などにより回路に大電流が流れ、電子デバイスが損傷したり破壊されたりするおそれがある。そこで、電子デバイスを保護するため、プリント配線板上にフェイルセーフ機能としてのヒューズ部を設けることが提案されている。例えばヒューズ用のソケットと、そのソケットに差し込まれるガラス管ヒューズと、を備えるヒューズ部が知られている。
【0003】
また、内部にヒューズ部を有するプリント配線板も提案されている。特許文献1には、基板と、この基板に設けられた開口部の両側に対向して形成された1対のランドと、この1対のランドにそれぞれ接続された第1の配線パターンと、上記1対のランドを上記開口部を跨いで接続し且つ第1の配線パターンよりも細く形成された第2の配線パターンと、を具備したプリント配線板が開示されている。このプリント配線板は、基板の開口部上に細い導体パターン(第2の配線パターン)を備えている。
【0004】
さらに、特許文献2には、フィルム基板上に、金属箔からなるヒューズ部と、該ヒューズ部と連結している一対の端子部と、を有するプリント配線板が開示されている。このプリント配線板では、温度変化などの外部環境の変化の影響を小さくするため、ヒューズ部が樹脂(有機材料)で封止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平05−38937号公報
【特許文献2】特開平07−85771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1又は2に記載のプリント配線板では、以下のような問題が生じ得る。
【0007】
特許文献1、2に記載のプリント配線板では、ヒューズ部に樹脂(例えばプリント配線板の絶縁樹脂や封止樹脂)が接しているため、ヒューズ部の焼損時に周囲の温度が上昇し、樹脂が炭化するおそれがある。例えば銅配線を溶断するために温度を銅の融点(約1000℃)以上に上げると、プリント配線板で一般的に用いられているガラス繊維入りのエポキシ樹脂が炭化してしまうおそれがある。そして、樹脂は炭化すると絶縁性を失うため、炭化した部分から再通電が起きるおそれがある。しかも、いったん電流が流れると微量の電流でも発熱(ジュール熱)により樹脂の炭化が進むため、加速度的に再通電が起きるおそれがある。
【0008】
また、特許文献1に記載のプリント配線板では、焼損したヒューズ部の導体が大きな塊となり、周囲に飛散するおそれがある。特に、複数の電子部品(例えば半導体素子)が並列及び直列に配置されている場合には、1つの半導体素子につながるヒューズ部が遮断されたとしても、他の電子部品は帯電したままになることで、導体の塊の飛散によって短絡すると、故障につながり易い。
【0009】
上記のような再通電や短絡は、電子デバイスの損傷や破壊の原因となり得る。
【0010】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、ヒューズ部の焼損時に確実に電路を遮断することのできるプリント配線板、電子デバイス、及びプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るプリント配線板は、開口部を有する絶縁性の樹脂基板と、前記樹脂基板上に形成された、導体からなる第1端子部及び第2端子部と、前記第1端子部及び前記第2端子部を相互に電気的に接続するヒューズ部と、を有するプリント配線板であって、前記ヒューズ部の少なくとも一部は、前記開口部上に配置され、且つ、絶縁性を有する多孔質の無機被覆材で覆われている。
【0012】
前記無機被覆材は、無機バインダとセラミック充填剤とを含んでいてもよい。
【0013】
前記セラミック充填剤は、粒子状、粉末状、又は繊維状であってもよい。
【0014】
前記セラミック充填剤は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、及び炭化珪素の少なくとも1種からなるものであることが望ましい。
【0015】
前記無機バインダは、水溶性珪酸塩、セラミックゾルの硬化物、セピオライト、及びアタパルジャイトの少なくとも1種からなるものであることが望ましい。
【0016】
前記セラミックゾルは、アルミナゾル、シリカゾル、及びチタニアゾルの少なくとも1種からなるものであることが望ましい。
【0017】
前記無機被覆材の気孔率は、10〜40%であることが望ましい。
【0018】
本発明に係る電子デバイスは、複数の電子部品と、前記プリント配線板と、を有し、前記ヒューズ部が、前記電子部品ごとに設けられてなる。
【0019】
本発明に係るプリント配線板の製造方法は、絶縁性の樹脂基板を準備することと、前記樹脂基板上に、導体からなる第1端子部及び第2端子部を形成することと、前記第1端子部及び前記第2端子部を相互に電気的に接続するヒューズ部を形成することと、前記ヒューズ部に開口部を形成することと、前記開口部上に配置された前記ヒューズ部の少なくとも一部に、無機バインダとセラミック充填剤とを含むペーストを塗布し、乾燥、硬化させることにより、その部分を絶縁性の無機被覆材で覆うことと、を含む。
【0020】
前記開口部の形成は、前記樹脂基板の、前記第1端子部及び前記第2端子部が形成された面とは反対側の面からレーザー加工することにより行ってもよい。
【0021】
前記プリント配線板の製造方法において、絶縁性の前記樹脂基板は、無機フィラーを含み、前記開口部の形成の後、前記開口部の側面の表層部の樹脂を除去することが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ヒューズ部の焼損時に確実に電路を遮断することのできるプリント配線板、電子デバイス、及びプリント配線板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】本発明の実施形態に係るプリント配線板が用いられる回路の一例を示す図である。
【図1B】本発明の実施形態に係るプリント配線板が用いられる回路の第1の別例を示す図である。
【図1C】本発明の実施形態に係るプリント配線板が用いられる回路の第2の別例を示す図である。
【図2A】本発明の実施形態に係るプリント配線板を示す平面図である。
【図2B】図2AのA−A断面図である。
【図3】本実施形態に係るプリント配線板のヒューズ部が溶断される様子を示す図である。
【図4A】本実施形態に係るプリント配線板のヒューズ部が溶断された様子を示すSEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
【図4B】図4A中の一部領域を拡大した写真である。
【図5】本実施形態に係るプリント配線板の、異なる電路断面積を有するヒューズ部の各々について、溶断時の電流の設計値と実測値との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の実施形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図7】図6の製造方法の第1の工程を説明するための図である。
【図8】図7の工程の後の第2の工程を説明するための図である。
【図9】図8の工程の後の第3の工程を説明するための図である。
【図10】図9の工程の後の第4の工程を説明するための図である。
【図11】図10の工程の後の第5の工程を説明するための図である。
【図12A】無機被覆材の形成方法の別例の第1の工程を説明するための図である。
【図12B】図12Aの工程の後の第2の工程を説明するための図である。
【図13A】本発明の実施形態における第1端子部上及び第2端子部上に無機被覆材がはみ出した例を示す図である。
【図13B】本発明の実施形態におけるプリント配線板の第1面又は第2面の全面を無機被覆材が覆う例を示す図である。
【図14】本発明の実施形態における第1端子部及び第2端子部よりも薄いヒューズ部の一例を示す図である。
【図15】本発明の実施形態におけるヒューズ部の断面形状の別例を示す図である。
【図16A】本発明の実施形態におけるヒューズ部の導体パターンの第1の別例を示す図である。
【図16B】本発明の実施形態におけるヒューズ部の導体パターンの第2の別例を示す図である。
【図17A】本発明の実施形態におけるヒューズ部の導体パターンの第3の別例を示す図である。
【図17B】本発明の実施形態におけるヒューズ部の導体パターンの第4の別例を示す図である。
【図18A】本発明の実施形態における第1端子部及び第2端子部とは別途に形成された導体棒を用いて、ヒューズ部を形成する第1の例を示す図である。
【図18B】図18AのA−A断面図である。
【図19A】本発明の実施形態における第1端子部及び第2端子部とは別途形成された導体棒を用いて、ヒューズ部を形成する第2の例を示す図である。
【図19B】図19AのA−A断面図である。
【図20】図18A及び図18Bに示したプリント配線板の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図21A】図20の製造方法の第1の工程を説明するための図である。
【図21B】図21Aの工程の後の第2の工程を説明するための図である。
【図21C】図21Bの工程の後の第3の工程を説明するための図である。
【図22A】図21Cの工程の後の第4の工程を説明するための図である。
【図22B】図22AのA−A断面図である。
【図23】本発明の実施形態における無機固体物上のヒューズ部を絶縁性ペーストで覆った第1の例を示す図である。
【図24】本発明の実施形態における無機固体物上のヒューズ部を絶縁性ペーストで覆った第2の例を示す図である。
【図25A】本発明の実施形態における絶縁性ペースト上のヒューズ部を絶縁性フィルムで覆った例を示す図である。
【図25B】本発明の実施形態における無機固体物上のヒューズ部を絶縁性フィルムで覆った例を示す図である。
【図26A】本発明の実施形態におけるプリント配線板に蓋を設けた例を示す図である。
【図26B】図26AのA−A断面図である。
【図27】本発明の実施形態の蓋を有するプリント配線板の第1の別例を示す図である。
【図28】本発明の実施形態の蓋を有するプリント配線板の第2の別例を示す図である。
【図29】本発明の実施形態の非貫通孔が形成された樹脂基板を有するプリント配線板の一例を示す図である。
【図30A】本発明の実施形態における開口部の横断面の形状の第1の別例を示す図である。
【図30B】本発明の実施形態における開口部の横断面の形状の第2の別例を示す図である。
【図30C】本発明の実施形態における開口部の横断面の形状の第3の別例を示す図である。
【図31A】本発明の実施形態における開口部の縦断面の形状の第1の別例を示す図である。
【図31B】本発明の実施形態における開口部の縦断面の形状の第2の別例を示す図である。
【図31C】本発明の実施形態における開口部の縦断面の形状の第3の別例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図中、矢印Z1、Z2は、それぞれ基板の主面(表裏面)の法線方向(又は基板の厚み方向)を指す。一方、矢印X1、X2及びY1、Y2は、それぞれZ方向に直交する方向(基板の主面に平行な方向)を指す。基板の主面は、X−Y平面となり、基板の側面は、X−Z平面又はY−Z平面となる。
【0025】
プリント配線板の開口部(例えばプリント配線板を貫通しない孔、又はプリント配線板を貫通する孔)に関しては、Z方向に直交する断面(X−Y平面)を、横断面という。また、Z方向に平行な断面(X−Z平面又はY−Z平面)を、縦断面という。
【0026】
本実施形態では、相反する法線方向を向いた2つの主面を、第1面(Z1側の面)、第2面(Z2側の面)という。すなわち、第1面の反対側の主面が第2面であり、第2面の反対側の主面が第1面である。
【0027】
プリント配線板に形成された回路等の配線(グランドも含む)として機能する導体パターンを含む層のほか、ベタパターンのみからなる層も、導体層という。プリント配線板の開口部には、孔や溝のほか、切欠や切れ目等も含まれることとする。孔は貫通孔に限られず、非貫通の孔も含めて、孔といい、ビアホール及びスルーホールが含まれることとする。
【0028】
プリント配線板の表裏面、あるいは内層面に形成されるラインパターン(面上の配線又は面下の溝など)に関しては、ラインパターンと直交する方向のうち、形成面と平行な方向の寸法を「幅」といい、形成面と直交する方向の寸法を「高さ」又は「厚さ」又は「深さ」という。また、ラインパターンの一端から他端までの寸法を「長さ」という。ただし、他の寸法を指すことを明記している場合は、この限りでない。
【0029】
図1Aに、本実施形態に係るプリント配線板10(特にヒューズ部12c)が設けられた回路の一例(回路20)を示す。回路20は、本実施形態に係るプリント配線板10に形成される回路であり、図1Aには、プリント配線板10に実装される電子部品22も併せて示す。
【0030】
図1Aに示されるように、回路20においては、プリント配線板10のヒューズ部12c(図2A参照)が、例えば電源21及び電子部品22と直列に接続される。また、電源21と電子部品22とは、負荷23を介して、互いに電気的に接続される。ただしこれに限られず、例えば図1Bに示されるように、回路20は、複数の負荷23が並列に接続され、それぞれの負荷23に電子部品22及びヒューズ部12cが直接に接続された回路であってもよい。図1Bに示される回路20においては、1つの回路20について、複数のヒューズ部12cが設けられている。また、図1Cに示されるように、回路20は、電子部品22及び負荷23が別に(外部に)設けられた回路であってもよい。一般に、蓄電池で、このような電子部品を外部に設ける構造がとられる。図1A及び図1Bにおいては、負荷23として抵抗を示しているが、負荷23は、抵抗以外のランプ等、電力を消費する部品であれば、どのようなものでもよい。図1A、図1B、及び図1Cに示される回路20は、電子デバイスを構成している。
【0031】
電子部品22は、例えば半導体素子である。ただし、電子部品22が半導体素子であることは必須ではなく、電子部品22の種類は、任意である。例えば電子部品22は、IC回路等の能動部品、あるいはコンデンサ、抵抗、コイル等の受動部品などを採用することができる。
【0032】
プリント配線板10は、図2A及び図2B(図2AのA−A断面図)に示すように、樹脂基板11と、導体層12と、を有する。本実施形態のプリント配線板10は、図2A及び図2Bに示す回路の導体層12で構成されているが、導体層12に別の回路が含まれていてもよい。
【0033】
なお、プリント配線板10に、電子部品22(図1A、図1Bを参照)が実装されてもよい。そのような構造にすると、電子部品22に隣接してプリント配線板10を形成することができるので、実装密度を高めることができると考えられる。その結果、小型の電子デバイスを得ることが可能になると考えられる。
【0034】
樹脂基板11は、絶縁性を有し、プリント配線板10のコア基板となる。ただしこれに限られず、樹脂基板11を、プリント配線板10の層間絶縁層としてもよい。
【0035】
樹脂基板11は、例えばエポキシ樹脂からなる。エポキシ樹脂は、例えば樹脂含浸処理により、ガラス繊維、又はアラミド繊維、紙、ガラスクロス、シリカフィラー、ガラスフィラー等の補強材を含んでいることが好ましい。補強材は、主材料(エポキシ樹脂)よりも熱膨張率の小さい材料であり、例えばガラス繊維、ガラスクロス、シリカフィラー、又はガラスフィラー等の無機材料が好ましく、ガラス繊維又はガラスクロス等の繊維質無機材料がより好ましい。無機材料からなる補強材(無機フィラー)であれば、無機被覆材13の熱膨張係数と樹脂基板11の熱膨張係数とを近づけることができるので、ヒートサイクルによる剥がれを防ぐことができる。その上、無機材料からなる補強材を使用すれば、ペースト状態の無機被覆材13との濡れ性を高めることができるので、無機被覆材13との接着力を強くできる。さらに、繊維質無機材料からなる補強材であれば、後述するように、孔11a(開口部)の側面において容易に樹脂基板11と無機被覆材13とを接続することができる。本実施形態では、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたもの(以下、ガラエポという)からなる樹脂基板11を用いることとする。ただしこれに限定されず、樹脂基板11の材料としては、例えば紙、又はガラス繊維、アラミド繊維等に、ポリエステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、イミド樹脂(ポリイミド)、フェノール樹脂、又はアリル化フェニレンエーテル樹脂(A−PPE樹脂)等の樹脂を含浸させたものも用いることができる。なお、樹脂基板11の形状や、厚さ、材料等は、基本的に任意である。
【0036】
樹脂基板11には、孔11a(開口部)が形成されている。本実施形態では、孔11aが貫通孔である場合を例示するが、孔11aは、貫通孔であっても、非貫通孔であってもよい(後述の図29参照)。また、孔11aの形状はどのような形状であってもよい。本実施形態の孔11aの形状は、例えば四角柱であり、孔11aの横断面(X−Y平面)は、約2×10mmの矩形である。詳しくは、図2A及び図2B中、X方向の寸法d1が例えば2mmであり、Y方向の寸法d2が10mmである。孔11aの深さ(Z方向の寸法d3)は、200μmである。本実施形態では、開口部を孔11aとしているが、溝、切欠、又は切れ目等、他の開口部としてもよい。
【0037】
導体層12は、樹脂基板11上(例えば第2面側)に形成されている。導体層12は、第1端子部12aと、第2端子部12bと、ヒューズ部12cと、を有する。本実施形態では、これら第1端子部12a、第2端子部12b、及びヒューズ部12cが連続して一体に形成されている。しかしこれに限られず、例えばヒューズ部12c等を別々に形成して、後からヒューズ部12cの両端をそれぞれ、第1端子部12a、第2端子部12bに接続してもよい(後述の図18A〜図22B参照)。
【0038】
導体層12は銅からなる。ただしこれに限定されず、導体層12の材料は任意である。また、本実施形態では、ヒューズ部12cの材料と、第1端子部12a及び第2端子部12bの材料とが、同一である場合を例示するが、両者の材料は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0039】
樹脂基板11の厚さは、例えば0.2mmであり、導体層12の厚さは例えば105μmである。ヒューズ部12cの導体幅は例えば0.2〜0.5mmの範囲にあり、ヒューズ部12cの導体長さは例えば2〜15mmの範囲にある。
【0040】
第1端子部12a、第2端子部12bは、ヒューズ部12cの両端に配置される。ヒューズ部12cは、第1端子部12aと第2端子部12bとの間に架設され、これら第1端子部12aと第2端子部12bとを相互に接続されている。そして、ヒューズ部12cの一部(架設部位P)は、孔11a上に配置され、且つ、絶縁性の無機被覆材13で覆われている。ここで、無機被覆材13は、多孔質の絶縁体である。
【0041】
無機被覆材13の気孔率は、10〜40%であることが好ましい。無機被覆材13の気孔率が10%未満の場合には、ヒューズ部12cが溶けてもギャップが形成されず電流が遮断できないことがあり、無機被覆材13の気孔率が40%を越える場合には、無機被覆材13が脆くなり、無機被覆材13が破損し易くなるからである。
【0042】
無機被覆材13の気孔率は、多孔質の無機被覆材13を形成するための絶縁ペーストの溶媒濃度、又は乾燥温度等によって、適宜調整できる。例えば溶媒濃度が濃く低温でゆっくり乾燥させると、無機被覆材13の気孔率が低くなり、溶媒濃度が薄く高温で素早く乾燥させると、無機被覆材13の気孔率が高くなる。
【0043】
無機被覆材13は、孔11aに充填されるとともに、ヒューズ部12cの架設部位Pを覆っている。その結果、架設部位Pが封止され、溶断したヒューズ部12cが周囲へ飛散することを防止できる。
【0044】
本実施形態では、孔11aに充填される部分(無機被覆材13)と、架設部位Pを覆う部分(無機被覆材13)とが一体的に形成されているが、これに限られず、例えば孔11aに、多孔質の無機被覆材13を形成するための絶縁性ペースト又は無機固体物を充填した後、絶縁性ペースト又は無機固体物上にヒューズ部12cを形成し、ヒューズ部12cを絶縁性フィルム等で覆ってもよい(後述の図23〜図25B参照)。この場合、絶縁性フィルムは多孔質でなくてもよいが、絶縁性フィルムが多孔質であると、後述するようにギャップの形成により消弧作用が得られるため、絶縁性フィルムは多孔質であることが望ましい。また、無機被覆材13は、孔11aから第1面側又は第2面側に、はみ出ていてもよい(後述の図13A及び図13B参照)。
【0045】
無機被覆材13は、多孔質であればどのようなものでもよく、全体が多孔質であっても、ヒューズ部12cと接する一部分のみが多孔質であってもよい。本実施形態の無機被覆材13は、絶縁性ペーストからなる。ただしこれに限られず、例えばマイカ等の絶縁性フィルムを含む無機被覆材13であってもよい(後述の図25A及び図25B参照)。
【0046】
無機被覆材13は、無機バインダとセラミック充填剤とを含む絶縁性ペーストからなることが好ましい。無機バインダとセラミック充填剤とを含む絶縁性ペーストであれば、乾燥硬化の過程で無機バインダのみが収縮するため、多孔質の無機被覆材13を得ることができる。
【0047】
無機バインダは、水溶性珪酸塩、セラミックゾルの硬化物、セピオライト、及びアタパルジャイトの少なくとも1種からなることが好ましく、中でも水溶性珪酸塩(例えば水ガラス)又はセラミックゾルからなることが好ましい。水溶性珪酸塩やゾルを乾燥させることで、無機被覆材13を、容易に被接着体(樹脂基板11等)と接着させることができ、ヒートサイクル又は振動が加わっても、無機被覆材13が剥離しにくくなると考えられる。また、水溶性珪酸塩は、耐熱性に優れる無機材料であるため、水溶性珪酸塩を無機被覆材13の主成分とすることで、高温環境下で無機被覆材13が変質又は分解しにくくなるため、ヒューズ部12cが溶断して無機被覆材13が高温に曝されても、無機被覆材13は、その形状及び絶縁性を維持することができると考えられる。
【0048】
無機バインダの上記水溶性珪酸塩は、例えば珪酸ナトリウムを主成分とする水ガラスであることが好ましい。水ガラスは、珪酸ナトリウムを水に溶かして加熱することで得られる。水ガラスは、熱硬化型の無機接着材料に相当する。無機被覆材13が接着性を有することで、ヒューズ部12cの架設部位Pは、確実に無機被覆材13で覆われるようになると考えられる。ただしこれに限られず、水溶性珪酸塩は、珪酸ナトリウム以外の水溶性珪酸塩、例えば珪酸カルシウムなどであってもよい。
【0049】
無機バインダの上記セラミックゾルは、例えばアルミナゾル、シリカゾル、及びチタニアゾルの少なくとも1種からなることが好ましい。
【0050】
無機被覆材13は、例えば上記絶縁性ペースト(例えば水溶液)を、樹脂基板11に塗布して乾燥することで、形成することができる。しかも、こうした形成方法によれば、封止が強固になり、樹脂基板11に加わるヒートサイクル又は振動で無機被覆材13が剥離しにくくなる。
【0051】
セラミック充填剤は、例えばセラミックス粉や、セラミックス顆粒、セラミックス繊維など、粒子状、粉末状、又は繊維状のものであることが好ましい。セラミック充填剤は、各種のガラス材、アルミナ、ジルコニア、シリカ、及び炭化珪素の少なくとも1種からなることが好ましい。セラミックは、耐熱性に優れる無機材料であるため、セラミックを無機被覆材13に含ませることで、高温環境下で無機被覆材13が変質又は分解しにくくなる。このため、ヒューズ部12cが溶断して無機被覆材13が高温に曝されても、無機被覆材13は、その形状及び絶縁性を維持することができると考えられる。
【0052】
無機被覆材13は、ヒューズ部12cの融点において化学的に安定であることが好ましい。例えばヒューズ部12cが銅である場合は、無機被覆材13は、1080℃において化学的に安定であることが好ましい。これにより、溶断時にヒューズ部12cの温度が融点まで上昇しても、無機被覆材13が劣化し又は破壊されにくくなる。化学的に安定であるとは、所定の温度において酸化や分解などをしないことであり、軟化することは含まれないこととする。
【0053】
具体的には、無機被覆材13としては、例えば東亞合成社製のアロンセラミック(登録商標)、オーディック社製のセラマボンド835(登録商標)、ティーエーケミカル社製のベタック(登録商標)、太陽金網社製のレスボンド(登録商標)、萩ガラス社製のニッセラコート(登録商標)、又は朝日化学社製のスミセラム(登録商標)等を用いることができる。これらはいずれも、水ガラスを主成分としている。アロンセラミックは、主にシリカ及びジルコニアを含むものであり、その耐熱温度は1100℃であり、CTE(熱膨張率)は4、8、又は13ppm/℃である。セラマボンド835は、主にジルコニアを含むものであり、その耐熱温度は1650℃である。ベタックは、主にシリカ及びアルミナを含むものであり、その耐熱温度は1550℃である。レスボンドは、主にアルミナ及びジルコニアを含むものであり、その耐熱温度は1640℃であり、CTEは8ppm/℃である。ニッセラコートは、主にアルミナ及びジルコニアを含むものであり、その耐熱温度は1800℃であり、CTEは8ppm/℃である。スミセラムは、主にアルミナ及びジルコニアを含むものであり、その耐熱温度は1600℃であり、CTEは7ppm/℃である。ここで、耐熱温度とは、その温度において酸化、分解、及び軟化がないことを示しており、各材料は、少なくとも耐熱温度においては化学的に安定であるといえる。これらの無機被覆材13は、製造工程では水分を含むペースト状であるが、乾燥して固化すると、多孔質のセラミックになる。
【0054】
孔11aの内面の表層部は、樹脂が除去されていることが好ましい。孔11aの内面の表層部の樹脂は、どのような方法で除去してもよいが、例えば過マンガン酸、クロム酸、硫酸、又はそれらの塩などを用いれば、有機物だけを選択的に除去することができる。その結果、ガラス繊維などの補強材は酸化されないが、樹脂は酸化され表面に凹凸が形成される。特に樹脂基板11が繊維状の無機補強材を含む場合には、繊維の末端が表面に露出することで、樹脂基板11と無機被覆材13とを接続することができ、接着強度を高めることができる。
【0055】
ガラス繊維(補強材)を含有する樹脂基板11の熱膨張係数は、面方向では10〜15ppm/℃、厚さ方向では60ppm/℃であるのに対し、無機被覆材13の熱膨張係数は、面方向及び厚さ方向とも5〜15ppm/℃である。このため、樹脂基板11の側面と接する無機被覆材13は熱膨張差により剥離し易い。この点、繊維状の補強材の末端が露出していれば、強い接着力を得ることができるため、無機被覆材13が剥離しにくくなる。
【0056】
無機被覆材13はヒューズ部12cと同程度の熱膨張係数を有することが好ましい。例えばヒューズ部12cが銅で形成されている場合は、銅の熱膨張係数は約17ppm/℃であるので、無機被覆材13の熱膨張係数は、10〜25ppm/℃の範囲にあることが好ましい。
【0057】
上記のように、本実施形態においては、ヒューズ部12cの架設部位Pが無機被覆材13で覆われている。そして、無機被覆材13は、高温になっても分解しにくい材料からなる。このため、ヒューズ部12cの溶断時に高温になっても、ヒューズ部12cの周囲で、無機被覆材13は分解されないので、無機被覆材13の絶縁性が維持され易い。その結果、ヒューズ部12cが溶断されたときに、確実に電路を遮断することができると考えられる。
【0058】
本実施形態においては、ヒューズ部12cの架設部位Pが、孔11a上に配置され、樹脂基板11とは接していない。このため、ヒューズ部12cが溶断された場合でも、樹脂基板11に含まれる有機物(樹脂など)は炭化されにくい。これにより、樹脂基板11の絶縁性が維持され易くなる。
【0059】
ヒューズ部12cの架設部位Pは、絶縁性の無機被覆材13で覆われているため、ヒューズ部12cが溶断されても、ヒューズ部12cの導体材料が周囲に飛散しにくくなる。これにより、プリント配線板10の周辺部に露出した抵抗等の帯電部を短絡させることも防止できる。
【0060】
図3に、本実施形態に係るプリント配線板10のヒューズ部12cが溶断される様子を示す。詳しくは、図3に示すように、ヒューズ部12cが溶断されると、溶断部P1に空隙R1が形成されることで、ヒューズ部12cが分断され、導通しなくなる。溶断部P1におけるヒューズ部12cの導体は、空隙R1とは反対側に引っ張られ、無機被覆材13を押し広げる方向に力が働き、無機被覆材13によってヒューズ部12cの導体が依然として覆われているので飛散が防止されると考えられる。図4A及び図4B(図4A中の領域R10の拡大写真)に、溶断部P1の断面SEM写真を示す。図4A、図4Bの写真及び銅の面分析の結果から、溶断後、溶断部P1におけるヒューズ部12cの側壁には銅(ヒューズ部12cを構成する導体材料)が存在するもの、無機被覆材13内には銅は存在せず、蒸発した銅が無機被覆材13の内部へ浸透した形跡は確認されなかった。このことから、無機被覆材13を構成する多孔質のセラミックがヒューズ部12cの導体の溶断時の歪みを吸収し、外部への影響を抑えると考えられる。なお、上記の分析では、上述のアロンセラミックを無機被覆材13として用いたが、無機被覆材13が他のセラミックを含む場合であっても、同様の結果が得られると考えられる。
【0061】
また、無機被覆材13が、セラミック粒子を水ガラスで固めた多孔質の封止材である場合には、通常時は、封止材がヒューズ部12cをとり囲んで支持しているので、振動又は異物等による機械的破損を防止し、ヒューズ部12cの溶断時には溶けた銅が水ガラスを溶かす。水ガラスが溶けることにより、気孔が消滅し、封止材が体積収縮を起こし、銅が気孔を埋めるため、ヒューズ部12cにギャップが形成される。具体的には、切れた部分が空洞になりギャップができる。このため、こうした無機被覆材13には、消弧作用があり、消弧作用があると素早く確実に電流を遮断することができる。本実施形態において、消弧作用とは、切断されたヒューズ部12cの導体間に発生するアーク放電を遮断する作用のことをいう。
【0062】
本実施形態においては、無機被覆材13が無機バインダを含んでいるので、無機被覆材13によってヒューズ部12cが強固に保持されるようになる。その結果、振動の激しい自動車や産業機器にプリント配線板10が使用された場合であっても、ヒューズ部12cは、無機被覆材13により強固に保持されているため、破損しにくくなる。
【0063】
ヒューズ部12cは、第1端子部12a及び第2端子部12bよりも細い形状をしている。このため、機械的な強度は、第1端子部12a及び第2端子部12bよりもヒューズ部12cの方が小さくなる。また、ヒューズ部12cが細くなるほど電路断面積が小さくなるため、単位長さあたりの抵抗は、第1端子部12a及び第2端子部12bよりもヒューズ部12cの方が大きくなる。すなわち、第1端子部12a及び第2端子部12bよりもヒューズ部12cの方が発熱し易く、強度が低い。その結果、先の図1Aに示した回路20に異常電流が流れた場合に、設計通りの電流でヒューズ部12cが溶断される。
【0064】
なお、抵抗の大きさは、例えば電路断面積や材質等を選択することで、調整することができる。電路断面積が小さいほど抵抗は大きくなり、比抵抗の大きな材料を選ぶことでも、抵抗は大きくなる。例えば図2Bに示されるように、本実施形態におけるヒューズ部12cの断面形状(X−Z断面)は台形になっている。これにより、矩形断面よりも、電路断面積を小さくすることができると考えられる。ただしこれにより限定されず、ヒューズ部12cの断面の厚みによって、電路断面積を調節してもよい(後述の図14参照)。また、ヒューズ部12cの断面形状(X−Z断面)は台形に限られず任意である(後述の図15参照)。また、より確実に架設部位Pが溶断されるようにするためには、架設部位Pの抵抗を周辺部位よりも高めることが好ましい(後述の図16A〜図17B参照)。
【0065】
図5は、異なる電路断面積を有するヒューズ部12cの各々について、溶断時の電流(溶断電流)の設計値と実測値との関係を示すグラフである。図5のグラフにおいては、溶断電流(A)を縦軸にとり、ヒューズ部12cのパターン長(mm)を横軸にした。図5のグラフ中、線L1は0.040mm2、線L2は0.035mm2、線L3は0.030mm2、線L4は0.025mm2、線L5は0.020mm2、線L6は0.014mm2の電路断面積を有するヒューズ部12cについて、それぞれ溶断電流の設計値を示している。一方、プロットされたデータは、実測値である。
【0066】
図5のグラフに示されるように、電路断面積0.014〜0.040mm2の範囲においては、溶断電流の設計値と実測値とが略一致する。すなわち、概ね設計通りの電流でヒューズ部12cが溶断されることとなる。なお、図5のグラフでは、上述のアロンセラミックを無機被覆材13としたが、他の無機材料についても、傾向としては概ね同様になると考えられる。
【0067】
プリント配線板10は、例えば図6に示すような手順で製造される。図6は、本実施形態に係るプリント配線板10の製造方法の一例を示すフローチャートであり、図7〜図11は、本実施形態に係るプリント配線板10の製造方法における各工程を説明するための図である。
【0068】
まず、ステップS11で、樹脂基板11を準備する。例えば図7に示すように、樹脂基板11の片面(例えば第2面側)に銅箔1001が形成された片面銅張積層板1000を出発材料とする。樹脂基板11の材料は、ガラエポ(ガラス−エポキシ樹脂)である。
【0069】
続けて、図6のステップS12で、樹脂基板11上に導体層12を形成する。導体層12の形成手法としては、例えばプリント配線板の分野で一般的な方法を用いることができる。具体的には、例えば図8に示すように、片面銅張積層板1000の銅箔1001(導体膜)上に、第1端子部12a、第2端子部12b、及びヒューズ部12cに対応したパターンを有するレジスト1002を印刷する。続けて、例えば図9に示すように、レジスト1002が形成されていない部位の銅箔1001をエッチングする。これにより、第1端子部12a及び第2端子部12bと、ヒューズ部12cとが、形成される。ヒューズ部12cは、第1端子部12aと第2端子部12bとを相互に電気的に接続する。このように、本実施形態では、樹脂基板11上に導体膜を形成した後、その導体膜をパターニングすることによって、第1端子部12a及び第2端子部12bを形成することと、ヒューズ部12cを形成することとが、同時になされる。パターニングとヒューズ部12cの形成とを同時に行うため、製造効率が良い。ただし、導体層12の形成方法は任意である。例えば銅箔1001を有さない樹脂基板11を出発材料として、その後、ラミネート等により、樹脂基板11上に銅箔1001を形成してもよい。また、めっきにより、樹脂基板11上又は銅箔1001上に銅めっき皮膜を形成してもよい。
【0070】
続けて、図6のステップS13で、樹脂基板11に孔11aを形成する。例えば図10に示すように、樹脂基板11の第1面側から、樹脂基板11を貫通する孔11aを形成する。これにより、第1端子部12a及び第2端子部12bは、孔11aの周囲に配置され、第1端子部12aと第2端子部12bとの間にヒューズ部12cが架設されることになる。孔11a上には、架設部位P(図2A)が配置される。孔11aは、例えば樹脂基板11の第1面側からレーザ(例えばCO2レーザ)を照射することにより四角柱形状に形成することができる。その後、必要に応じて、過マンガン酸などを用いて孔11aの内面層の樹脂を除去し、無機補強材を露出させる。ただしこれに限られず、孔11aの形成方法は任意である。
【0071】
続けて、図6のステップS14で、無機被覆材13を形成する。
【0072】
具体的には、図11に示すように、例えばディスペンサー1003により、樹脂基板11の第2面側から、ヒューズ部12cのうち、孔11a(開口部)上に配置された部分(架設部位P)に、無機バインダとセラミック充填剤とを含む絶縁性ペースト1003aを塗布する。これにより、孔11aに絶縁性ペースト1003a(図2A、図2B中の無機被覆材13参照)が充填される。
【0073】
続けて、その塗布した絶縁性ペースト1003aを乾燥させ、硬化させる。例えば絶縁性ペースト1003aとしてアロンセラミックを用いた場合は、16〜24時間室温に保持した後、150℃に加熱して、1時間この温度を保持する。また、例えば絶縁性ペースト1003aとしてセラマボンド835を用いた場合は、0.5時間100℃に保持した後、200℃に加熱して、0.5時間この温度を保持する。また、例えば絶縁性ペースト1003aとしてレスボンドを用いた場合は、2時間70℃に保持する。また、例えば絶縁性ペースト1003aとしてニッセラコートを用いた場合は、0.5時間100℃に保持する。また、例えば絶縁性ペースト1003aとしてスミセラムを用いた場合は、0.5時間100℃に保持する。
【0074】
こうして絶縁性ペースト1003aが硬化すると、前述の無機被覆材13(図2A、図2B)となる。すなわち、無機被覆材13はヒューズ部12cの架設部位Pを覆い、架設部位Pが無機被覆材13で封止される。以上の工程により、図2A及び図2Bに示したプリント配線板10が完成する。
【0075】
なお、無機被覆材13の形成方法は任意である。図12A及び図12Bにそれぞれ、無機被覆材13の形成方法の別例を示す。
【0076】
例えば図12Aに示すように、樹脂基板11の第1面側への絶縁性ペースト1003aの流出を防ぐために、板1004を設けてもよい。孔11aの第1面側を板1004で塞いだ状態で、樹脂基板11の第2面側から絶縁性ペースト1003aを孔11aに充填することで、図12Bに示すように、樹脂基板11の第1面側に板1004を有するプリント配線板10が完成する。また、板1004を除去すれば、図2A及び図2Bに示したプリント配線板10が完成する。
【0077】
本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば以下のように変形して実施することもできる。図13Aは、本発明の実施形態における第1端子部12a上及び第2端子部12b上に無機被覆材13がはみ出した例を示し、図13Bは、本発明の実施形態におけるプリント配線板10の第1面又は第2面の全面を無機被覆材13が覆う例を示し、図14は、本発明の実施形態における第1端子部12a及び第2端子部12bよりも薄いヒューズ部12cの一例を示し、図15は、本発明の実施形態におけるヒューズ部12cの断面形状の別例を示し、図16A〜図17Bはそれぞれ、本発明の実施形態におけるヒューズ部12cの導体パターンの別例を示す。
【0078】
無機被覆材13は、孔11aから、はみ出していてもよい。例えば図13Aに示すように、孔11aからはみ出した無機被覆材13が、第1端子部12a上及び第2端子部12b上にあってもよい。また、例えば図13Bに示すように、プリント配線板10の第1面又は第2面の全面を無機被覆材13が覆っていてもよい。
【0079】
厚みによって、ヒューズ部12cの電路断面積を調節してもよい。例えば図14に示すように、ヒューズ部12cの厚みを、第1端子部12a及び第2端子部12bよりも薄くしてもよい。これにより、ヒューズ部12cの抵抗が大きくなり、ヒューズ部12cが溶断され易くなる。
【0080】
ヒューズ部12cの断面形状(X−Z断面)は台形(図2B参照)に限られず任意である。例えば図15に示すように、矩形であってもよい。
【0081】
ヒューズ部12cの導体パターンは、任意である。
【0082】
例えば図16Aに示すように、ヒューズ部12cの導体パターンは、直線パターンであってもよい。この例では、ヒューズ部12cと第1端子部12a及び第2端子部12bとの接続部を太くしている。これにより、ヒューズ部12cが孔11aの内側で溶断され易くなる。その結果、前述した無機被覆材13による導体材料の飛散を防止する効果、及び孔11aによる樹脂基板11の炭化を抑制する効果が、より確実に得られるようになる。
【0083】
また、例えば図16Bに示すように、ヒューズ部12cと第1端子部12a及び第2端子部12bとの接続部がテーパ状(第1端子部12a側の幅又は第2端子部12b側の幅がヒューズ部12cの中央部の幅よりも大きい形状)になっていてもよい。ヒューズ部12cの両端部が滑らかになることで、繰り返しの熱応力による亀裂を抑制することができるようになると考えられる。
【0084】
ヒューズ部12cの導体パターンは、例えば図17Aに示すように、S字状のパターンであってもよい。第1端子部12aと第2端子部12bとの距離が離れることにより、ヒューズ部12cから第1端子部12a及び第2端子部12bへ拡散する熱の影響を小さくすることができると考えられる。また、パターン長が長くなり、パターンの中央部分では第1端子部12a及び第2端子部12bへの熱の拡散の影響を受けにくいので、溶断電流の誤差を小さくすることができると考えられる(図5参照)。そしてその結果、ヒューズ部12cが設計通りの電流(溶断電流)で溶断され易くなると考えられる。S字状のパターンは、パターンの曲げ部が曲線であっても、直線であってもよい。また、ヒューズ部12cの導体パターンは、例えば図17Bに示すように、第1端子部12aと第2端子部12bとが並ぶ方向(X方向)に直進せず、X方向と直交するY方向に迂回するような、凸状のパターンであってもよい。
【0085】
図2A及び図2Bに示した例では、ヒューズ部12cの一部が架設部位Pとなっていたが、図16A〜図17Bに示した例では、ヒューズ部12cの全部が架設部位Pとなっている。そして、架設部位Pを細い線状のパターンにすることで、架設部位Pの抵抗を周辺部位よりも高くしている。これにより、より確実に架設部位Pで溶断されるようになっている。
【0086】
第1端子部12a、第2端子部12b、及びヒューズ部12cが一体に形成されていることは必須ではない。図18Aに、本発明の実施形態における第1端子部12a及び第2端子部12bとは別途に形成された導体棒14を用いてヒューズ部12cを形成する第1の例を示す。図18Bは、図18AのA−A断面図である。
【0087】
例えば図18A及び図18B(図18AのA−A断面図)に示すように、別途形成された導体棒14を用いて、その両端をそれぞれ、例えば導電性の接着剤14a(又は半田)によって、第1端子部12a、第2端子部12bに接続してもよい。こうした構造であれば、導体棒14がヒューズ部12cを構成するため、ヒューズ部12cの太さの調整が容易になり、ひいては設計通りの電流(溶断電流)で溶断され易くなると考えられる。導体棒14は、例えば第1端子部12a及び第2端子部12bと同様、銅からなる。ただしこれに限定されず、導体棒14の材料は任意である。第1端子部12a及び第2端子部12bとは別途に形成される導体棒14を用いることで、ヒューズ部12cの材料を、第1端子部12a及び第2端子部12bの材料と異なる材料にすることが容易になる。その結果、ヒューズ部12cの材料として、高抵抗の金属や溶断時の温度が低い金属などを選ぶことも容易になる。
【0088】
また、導体棒14が配置される部位において、第1端子部12a及び第2端子部12bの各々の側面から、導体層12の導体が孔11a側に突出することで、突出部14bが形成されている。これらの突出部14bは、ヒューズ部12cと第1端子部12a及び第2端子部12bとの接続部に相当する。突出部14bは、導体棒14よりも大きな幅を有する。これにより、ヒューズ部12cの高抵抗部(電路断面積の小さい部分)は孔11aの内側に配置され、孔11aの内側でヒューズ部12cが溶断され易くなる。ただし、突出部14bは必須の構成ではなく、割愛してもよい。
【0089】
図19Aに、本発明の実施形態における第1端子部12a及び第2端子部12bとは別途に形成された導体棒を用いてヒューズ部12cを形成する第2の例を示す。図19Bは、図19AのA−A断面図である。
【0090】
図18A及び図18Bの例では、ヒューズ部12cは無機被覆材13で覆われているものの、接着剤14aは無機被覆材13から露出している。しかしこれに限られず、例えば図19A及び図19B(図19AのA−A断面図)に示すように、無機被覆材13が接着剤14aまで覆っていてもよい。また、無機被覆材13で導体棒14を固定することができる場合には、接着剤14aを割愛してもよい。
【0091】
図18A及び図18Bに示したプリント配線板10は、例えば図20に示すような手順で製造される。図20は、図18A及び図18Bに示したプリント配線板10の製造方法の一例を示すフローチャートであり、図21A〜図22Bは、図18A及び図18Bに示したプリント配線板10の製造方法における各工程を説明するための図である。なお、図22Bは、図22AのA−A断面図である。
【0092】
ステップS21では、図6のステップS11と同様、樹脂基板11を準備する。すなわち、例えば樹脂基板11の片面に銅箔1001が形成された片面銅張積層板1000を出発材料とする。
【0093】
続けて、図20のステップS22で、樹脂基板11上に、第1端子部12a及び第2端子部12bを形成する。例えば図21Aに示すように、片面銅張積層板1000の銅箔1001上に、第1端子部12a及び第2端子部12bに対応したパターンを有するレジスト1005を印刷する。続けて、例えば図21Bに示すように、レジスト1005が形成されていない部位の銅箔1001をエッチングする。これにより、導体層12として、第1端子部12a及び第2端子部12bが形成される。
【0094】
続けて、図20のステップS23で、樹脂基板11に直方体形状の孔11aを形成する。孔11aの第2面側の開口幅d11を導体層12の第1面側の開口幅d12よりも大きくすることで、図21Cに示すように、突出部14bが形成される。孔11aは、例えば樹脂基板11の第1面側からレーザ(例えばCO2レーザ)を照射することにより形成することができる。その後、必要に応じて、孔11aの内面層の樹脂を除去し、無機補強材を露出させる。ただしこれに限られず、孔11aの形成方法は任意である。
【0095】
続けて、図20のステップS24で、ヒューズ部12cを形成する。具体的には、図22A及び図22Bに示すように、別途形成した導体棒14の両端部をそれぞれ、第1端子部12a及び第2端子部12bの突出部14b上に配置し、例えば導電性の接着剤14aで第1端子部12a及び第2端子部12bの各々に接続する。
【0096】
続けて、図20のステップS25で、図6のステップS14と同様、無機被覆材13を形成する。以上の工程により、図18A及び図18Bに示したプリント配線板10が完成する。
【0097】
上記製造方法では、ヒューズ部12cの形成前に孔11aを形成する。しかしこれに限られず、ヒューズ部12cの形成後に孔11aを形成してもよい。孔11aは、レーザ以外の方法、例えばドリルや湿式エッチングなどで形成してもよい。
【0098】
図23及び図24は、本発明の実施形態における無機固体物13a上のヒューズ部12cを絶縁性ペースト13bで覆った例を示し、図25Aは、本発明の実施形態における絶縁性ペースト13b上のヒューズ部12cを絶縁性フィルム13cで覆った例を示し、図25Bは、本発明の実施形態における無機固体物13a上のヒューズ部12cを絶縁性フィルム13cで覆った例を示し、図26Aは、本発明の実施形態におけるプリント配線板10に蓋15を設けた例を示す。図26Bは、図26AのA−A断面図である。また、図27及び図28にはそれぞれ、本発明の実施形態の蓋15を有するプリント配線板10の別例を示す。
【0099】
例えば図23に示すように、絶縁性の無機固体物13a上に配置されたヒューズ部12cを、無機物からなる絶縁性ペースト13bで覆ってもよい。こうした構造は、例えば孔11a内に多孔質の無機固体物13aを配置した後、無機固体物13a上にヒューズ部12cを形成し、ヒューズ部12cを絶縁性ペースト13bで覆うことによって、形成することができる。また、無機固体物13aは、別途前述の無機バインダ等で樹脂基板11に固定してもよいが、図24に示すように、無機被覆材13で無機固体物13aを樹脂基板11に固定してもよい。
【0100】
また、例えば図25Aに示すように、無機物からなる絶縁性ペースト13b上に配置されたヒューズ部12cを、無機物からなる絶縁性フィルム13cで覆ってもよい。こうした構造は、例えば孔11aに絶縁性ペースト13bを充填した後、絶縁性ペースト13b上にヒューズ部12cを形成し、ヒューズ部12cを絶縁性フィルム13cで覆うことによって、形成することができる。また、図25Bに示すように、絶縁性の無機固体物13a上に配置されたヒューズ部12cを、無機物からなる絶縁性フィルム13cで覆ってもよい。こうした構造は、例えば孔11a内に無機固体物13aを配置した後、無機固体物13a上にヒューズ部12cを形成し、ヒューズ部12cを絶縁性フィルム13cで覆うことによって、形成することができる。この場合、絶縁性フィルム又は無機固体物が多孔質であればよい。
【0101】
例えば図26A及び図26B(図26AのA−A断面図)に示すように、プリント配線板10の第2面側に、蓋15を設けてもよい。この例において、蓋15は、第2面側に膨らむ曲面を有する板である。ただし、蓋15の形状や大きさ等は任意である。また、こうした構造において、樹脂基板11の第2面側に蓋15を設けた状態で、樹脂基板11の第1面側から、孔11aに無機被覆材13を充填してもよい。こうした手法で無機被覆材13を形成すると、無機被覆材13(絶縁性ペースト)の充填時に蓋15があることで、蓋15の外への無機被覆材13の流出が抑制されると考えられる。
【0102】
また、図27に示すように、先の図12Bに示した構造について、蓋15を適用してもよい。図27の例では、プリント配線板10の第2面側に蓋15を設けるとともに、プリント配線板10の第1面側には、孔11aの第1面側の開口を塞ぐ蓋15aを設けている。この例において、蓋15aは平板であるが、蓋15aの形状や大きさ等は任意である。さらに、図28に示すように、先の図23に示した構造について、蓋15を適用してもよい。図示はしないが、他の構造について、蓋15や蓋15aを適用してもよい。
【0103】
図29は、本発明の実施形態の非貫通孔(孔11a)が形成された樹脂基板11を有するプリント配線板10の一例を示し、図30A〜図30Cはそれぞれ、本発明の実施形態における開口部の横断面の形状の別例を示し、図31A〜図31Cはそれぞれ、本発明の実施形態における開口部の縦断面の形状の別例を示す。
【0104】
例えば図29に示すように、孔11aは、非貫通孔であってもよい。すなわち、図29に示される孔11aは、ヒューズ部12cの導体部の下側(Z1側)に、樹脂基板11を貫通しないように設けられた直方体形状の非貫通孔である。
【0105】
孔11aの横断面(X−Y平面)の形状は任意である。
【0106】
例えば孔11a(開口部)の横断面の形状は、矩形のほか、例えば図30Aに示すように真円であってもよく、また、三角形や、六角形、八角形等の他の多角形、又は楕円であってもよい。なお、多角形の角の形状は任意であり、例えば直角でも、鋭角でも、鈍角でも、丸みを帯びていてもよい。ただし、熱応力の集中を防止する上では、角が丸みを帯びていた方が好ましい。孔11aは、貫通孔であっても、非貫通孔であってもよい。
【0107】
また、孔11a(開口部)の横断面の形状は、例えば図30B又は図30Cに示すように、十字形又は正多角星形など、中心から放射状に直線を引いた形(複数の羽根を放射状に配置した形)であってもよい。
【0108】
孔11a(開口部)の縦断面の形状も任意である。例えば図31Aに示すように、孔11a(開口部)の形状は、樹脂基板11の第2面側から第1面側に向かって縮径されるようにテーパしたテーパ円柱(円錐台)であってもよい。あるいは、図31Bに示すように、孔11a(開口部)の形状は、例えば樹脂基板11の第1面側から第2面側に向かって縮径されるようにテーパしたテーパ円柱(円錐台)であってもよい。さらに、図31Cに示すように、孔11a(開口部)の形状は、例えば樹脂基板11の第1面側及び第2面側の両方から内側に向かって縮径されるようにテーパした鼓形であってもよい。
【0109】
プリント配線板10や、プリント配線板、電子デバイス等の構成、及びその構成要素の種類、性能、寸法、材質、形状、層数、又は配置等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変更することができる。
【0110】
本発明の製造方法は、図6又は図20のフローチャートに示した内容及び順序に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に内容及び順序を変更することができる。また、用途等に応じて、必要ない工程を割愛してもよい。
【0111】
上記実施形態や変形例等は、任意に組み合わせることができる。例えば図31A〜図31Cに示した孔11a(開口部)を、非貫通孔(非貫通の開口部)にしてもよい。
【0112】
以上、本発明の実施形態について説明したが、設計上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、「請求項」に記載されている発明や「発明を実施するための形態」に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0113】
10 プリント配線板
11 樹脂基板
11a 孔
12 導体層
12a 第1端子部
12b 第2端子部
12c ヒューズ部
13 無機被覆材
13a 無機固体物
13b 絶縁性ペースト
13c 絶縁性フィルム
14 導体棒
14a 接着剤
14b 突出部
15、15a 蓋
20 回路
21 電源
22 電子部品
23 負荷
1000 片面銅張積層板
1001 銅箔
1002 レジスト
1003 ディスペンサー
1003a 絶縁性ペースト
1004 板
1005 レジスト
P 架設部位
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する絶縁性の樹脂基板と、
前記樹脂基板上に形成された、導体からなる第1端子部及び第2端子部と、
前記第1端子部及び前記第2端子部を相互に電気的に接続するヒューズ部と、
を有するプリント配線板であって、
前記ヒューズ部の少なくとも一部は、前記開口部上に配置され、且つ、絶縁性を有する多孔質の無機被覆材で覆われている、
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記無機被覆材は、無機バインダとセラミック充填剤とを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記セラミック充填剤は、粒子状、粉末状、又は繊維状である、
ことを特徴とする請求項2に記載のプリント配線板。
【請求項4】
前記セラミック充填剤は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、及び炭化珪素の少なくとも1種からなる、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のプリント配線板。
【請求項5】
前記無機バインダは、水溶性珪酸塩、セラミックゾルの硬化物、セピオライト、及びアタパルジャイトの少なくとも1種からなる、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載のプリント配線板。
【請求項6】
前記セラミックゾルは、アルミナゾル、シリカゾル、及びチタニアゾルの少なくとも1種からなる、
ことを特徴とする請求項5に記載のプリント配線板。
【請求項7】
前記無機被覆材の気孔率は、10〜40%である、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプリント配線板。
【請求項8】
複数の電子部品と、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のプリント配線板と、
を有し、
前記ヒューズ部が、前記複数の電子部品ごとに設けられてなる、
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項9】
絶縁性の樹脂基板を準備することと、
前記樹脂基板上に、導体からなる第1端子部及び第2端子部を形成することと、
前記第1端子部及び前記第2端子部を相互に電気的に接続するヒューズ部を形成することと、
前記ヒューズ部に開口部を形成することと、
前記開口部上に配置された前記ヒューズ部の少なくとも一部に、無機バインダとセラミック充填剤とを含むペーストを塗布し、乾燥、硬化させることにより、その部分を絶縁性の無機被覆材で覆うことと、
を含む、
ことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項10】
前記開口部の形成は、前記樹脂基板の、前記第1端子部及び前記第2端子部が形成された面とは反対側の面からレーザー加工することにより行う、
ことを特徴とする請求項9に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項11】
絶縁性の前記樹脂基板は、無機フィラーを含み、
前記開口部の形成の後、前記開口部の側面の表層部の樹脂を除去すること、
を含む、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項1】
開口部を有する絶縁性の樹脂基板と、
前記樹脂基板上に形成された、導体からなる第1端子部及び第2端子部と、
前記第1端子部及び前記第2端子部を相互に電気的に接続するヒューズ部と、
を有するプリント配線板であって、
前記ヒューズ部の少なくとも一部は、前記開口部上に配置され、且つ、絶縁性を有する多孔質の無機被覆材で覆われている、
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記無機被覆材は、無機バインダとセラミック充填剤とを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記セラミック充填剤は、粒子状、粉末状、又は繊維状である、
ことを特徴とする請求項2に記載のプリント配線板。
【請求項4】
前記セラミック充填剤は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、及び炭化珪素の少なくとも1種からなる、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のプリント配線板。
【請求項5】
前記無機バインダは、水溶性珪酸塩、セラミックゾルの硬化物、セピオライト、及びアタパルジャイトの少なくとも1種からなる、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載のプリント配線板。
【請求項6】
前記セラミックゾルは、アルミナゾル、シリカゾル、及びチタニアゾルの少なくとも1種からなる、
ことを特徴とする請求項5に記載のプリント配線板。
【請求項7】
前記無機被覆材の気孔率は、10〜40%である、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプリント配線板。
【請求項8】
複数の電子部品と、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のプリント配線板と、
を有し、
前記ヒューズ部が、前記複数の電子部品ごとに設けられてなる、
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項9】
絶縁性の樹脂基板を準備することと、
前記樹脂基板上に、導体からなる第1端子部及び第2端子部を形成することと、
前記第1端子部及び前記第2端子部を相互に電気的に接続するヒューズ部を形成することと、
前記ヒューズ部に開口部を形成することと、
前記開口部上に配置された前記ヒューズ部の少なくとも一部に、無機バインダとセラミック充填剤とを含むペーストを塗布し、乾燥、硬化させることにより、その部分を絶縁性の無機被覆材で覆うことと、
を含む、
ことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項10】
前記開口部の形成は、前記樹脂基板の、前記第1端子部及び前記第2端子部が形成された面とは反対側の面からレーザー加工することにより行う、
ことを特徴とする請求項9に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項11】
絶縁性の前記樹脂基板は、無機フィラーを含み、
前記開口部の形成の後、前記開口部の側面の表層部の樹脂を除去すること、
を含む、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載のプリント配線板の製造方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【図4A】
【図4B】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【図4A】
【図4B】
【公開番号】特開2011−258818(P2011−258818A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133173(P2010−133173)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
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