説明

傾斜角度測定装置

【課題】互いに離間した複数の平面または回転対称な線織面からなる被検面の傾斜角度を、被検面を傷付けることなく、高精度に測定することが可能な傾斜角度測定装置を得る。
【解決手段】アライメント用反射平面41および測定光偏向用反射面42A,42Bを有する反射素子40を、被検面91A,91Bから離間した位置に保持し、干渉計10から反射素子40に向けて測定光を照射する。アライメント用反射平面41からの戻り光により形成される干渉縞画像に基づき、干渉計10に対する反射素子40のアライメントが調整される。測定光偏向用反射面42A,42Bにおいて偏向されて被検面91A,91Bに照射され、再帰反射されて測定光偏向用反射面42A,42Bを経由し干渉計10に戻る被検光により形成される干渉縞画像に基づき、被検面91A,91Bの相対傾斜角度が解析される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに離間した複数の平面または回転対称な線織面からなる被検面の傾斜角度を測定する傾斜角度測定装置に関し、特に、互いに平行に配置された2つの平面間の平行度や円筒面各部の傾斜角度を測定するのに好適な傾斜角度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モールド成形によりレンズを作製する場合、2つの成形用金型の間に相対的な傾きずれが生じていると、成形されたレンズに面倒れ(2つのレンズ面それぞれの回転軸同士の相対的な傾きずれ)が発生してしまう。このような面倒れは、成形された非球面レンズの収差を増大させる要因となるので、成形用金型間の相対的な傾きずれを無くすように調整することが望ましく、そのために金型同士の平行度(平行な状態からどの程度傾きずれが生じているのか)を高精度に測定することが要望されている。
【0003】
従来、互いに平行に配置された2つの平面間の平行度を測定する装置として、下記特許文献1に記載されたものが知られている。この従来装置は、オートコリメータを用いるものであり、2つの平面のうちの一方に立方体状のビームスプリッタを設置しておき、オートコリメータからの測定光をビームスプリッタに照射し、ビームスプリッタの前面からの戻り光と、ビームスプリッタを介して照射された、2つの平面のうちの他方からの戻り光との焦点面上における位置のずれによって、2つの平面間の平行度を測定するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−139919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来装置は、被検面上にビームスプリッタを設置する必要があるため、被検面を傷付ける虞がある。
【0006】
また、高精度な測定結果を得るためには、測定系、ビームスプリッタおよび被検面の相対的なアライメント調整を正確に行う必要があるが、このようなアライメント調整を行うための機構を備えていないため、アライメント調整の誤差が測定誤差として重畳される虞がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、互いに離間した複数の平面または回転対称な線織面からなる被検面の傾斜角度を、被検面を傷付けることなく、高精度に測定することが可能な傾斜角度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明に係る傾斜角度測定装置は、以下の特徴を備えている。
すなわち、本発明に係る傾斜角度測定装置は、互いに離間した複数の平面または回転対称な線織面からなる被検面の傾斜角度を測定する傾斜角度測定装置であって、
測定光軸に沿って測定光を出射するとともに該測定光が照射された被照射面から反射された戻り光により所定の画像を形成する測定系と、
アライメント用反射平面および該アライメント用反射平面に対し所定の角度で配置された、前記測定光を互いに異なる方向に偏向する測定光偏向用反射面を有する反射素子と、
前記反射素子を前記被検面から離間した位置に保持する反射素子保持手段と、
前記測定光軸に対する前記反射素子のアライメントを調整する反射素子アライメント調整手段と、
前記被検面に対する前記測定系のアライメントを調整する測定系アライメント調整手段と、
前記測定系から出射された前記測定光が前記測定光偏向用反射面において偏向されて前記被検面の各部に照射され、該被検面の各部から再帰反射されて該測定光偏向用反射面を経由し前記測定系に戻る被検光により形成される解析用画像を撮像する撮像手段と、
撮像された前記解析用画像に基づき、前記被検面の各部の相対傾斜角度を解析する解析手段と、を備えてなることを特徴とする。
【0009】
本発明において、前記測定光がパルス光からなり、該パルス光の出射タイミングと前記撮像手段による撮像タイミングとを同期させる測定タイミング調整手段を備えていることが好ましい。
【0010】
また、前記測定系は、前記被検光を参照光と干渉させて干渉縞画像を形成する干渉光学系からなるものとすることができる。
【0011】
この場合、前記干渉縞画像がキャリア縞を重畳されたキャリア縞重畳干渉縞画像であり、前記解析手段は、前記キャリア縞重畳干渉縞画像を、フーリエ変換法を用いて解析するフーリエ変換解析部を有してなるものとすることができる。
【0012】
一方、前記参照光を第1の円偏光、前記被検光を該第1の円偏光とは偏光の回転方向が逆向きとなる第2の円偏光とする円偏光生成手段と、前記第1の円偏光からなる参照光と前記第2の円偏光からなる被検光とからなる干渉光を複数に分割する干渉光分割手段と、分割された複数の干渉光の各光路上にそれぞれ配置された、透過軸の方向が互いに異なる複数の偏光子と、を備え、前記撮像手段は、前記複数の偏光子の各々を通過した各干渉光により形成される、互いに位相が異なる複数の干渉縞画像をそれぞれ撮像する複数の撮像部からなるものとすることもできる。
【0013】
また、前記測定光偏向用反射面と前記被検面の各部との間の各光路上にそれぞれ配置された参照基準板を備え、該参照基準板は、前記測定光偏向用反射面において偏向された前記測定光の一部を透過するとともに他の一部を反射して前記参照光となす参照基準面を有してなる、とすることもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る傾斜角度測定装置は、上述の特徴を備えていることにより、以下のような作用効果を奏する。
【0015】
すなわち、本発明の傾斜角度測定装置においては、反射素子保持手段により被検面から離間した位置に保持された反射素子の測定光偏向用反射面において測定光が偏向されて被検面の各部に照射され、被検面の各部からそれぞれ反射され測定光偏向用反射面を経由した戻り光により形成される解析用画像に基づき、被検面の各部の傾斜角度が測定解析される。
【0016】
測定光を分岐するための反射素子が、被検面から離間した位置に保持されていることにより、被検面に接触することなく測定することが可能となるので、被検面を傷付ける虞がない。
【0017】
また、反射素子がアライメント用反射平面を有するとともに、測定光軸に対する反射素子のアライメントを調整する反射素子アライメント調整手段と、被検面に対する測定系のアライメントを調整する測定系アライメント調整手段とを備えているので、測定系、反射素子および被検面の相対的なアライメント調整を正確に行うことができる。したがって、アライメント調整の誤差が測定誤差として重畳されることを防止することができるので、高精度な測定結果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係る傾斜角度測定装置の概略構成図(平面図(A)および正面図(B))である。
【図2】第1実施形態の測定系の構成を示す図である。
【図3】第1実施形態の解析制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態において撮像される干渉縞画像の模式図である。
【図5】パルス光の発光タイミングを示す図である。
【図6】第2実施形態に係る傾斜角度測定装置の概略構成図である。
【図7】第2実施形態の解析制御装置の構成を示すブロック図である。
【図8】第3実施形態に係る傾斜角度測定装置の概略構成図である。
【図9】反射素子および被検面の変形態様を示す概略図である。
【図10】他の形態の測定系を示す概略構成図である。
【図11】第4実施形態に係る傾斜角度測定装置の概略構成図である。
【図12】第4実施形態の解析制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、上述の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態の説明に使用する各図は概略的な説明図であり、詳細な形状や構造を示すものではなく、各部材の大きさや部材間の距離等については適宜変更して示してある。また、図1(A),(B)、図2、図6には、方向を示すための座標系を図示している。
【0020】
〈第1実施形態〉
第1実施形態に係る傾斜角度測定装置は、図1に示すように、干渉計10、干渉計調整ステージ30、反射素子40、反射素子調整ステージ50および解析制御部60(同図(B)のみに図示)を備え、モールド成形用の2つの金型90A,90Bの各被検面91A,91B(互いに離間した複数(2つ)の平面となっている)の相対的な傾斜角度(平行度)を測定するように構成されている。
【0021】
上記干渉計10は、図2に示すように、パルス発光可能なレーザ光源11、1/4λ板12、ビーム径変換用レンズ13、コリメータレンズ14、ビームスプリッタ15、参照基準板16、1/4λ板17、結像レンズ18A,18Bおよび撮像カメラ19を備え、平行光からなる測定光を測定光軸C10に沿って反射素子40に向けて出射するように構成されている。また、金型90A,90B側から反射素子40を介して入射された被検光を、参照光と合波して干渉光を形成し、該干渉光により形成される干渉縞画像を撮像カメラ19により撮像するように構成されている。
【0022】
なお、上記撮像カメラ19は、本実施形態における撮像手段を構成するものであり、結像レンズ18A,18B側から入射された干渉光を3つに分岐する、3個のプリズム21A,21B,21Cからなる光束分岐プリズム20(本実施形態における干渉光分割手段を構成する)、各プリズム21A,21B,21Cの光出射端面側にそれぞれ配置された、各々の透過軸の方向が互いに異なる3枚の偏光板22A,22B,22C(本実施形態における偏光子を構成する)および各偏光板22A,22B,22Cの後段側にそれぞれ配置された3個の撮像素子23A,23B,23C(本実施形態における撮像部を構成するもので、CCDやCMOS等からなる)を備えてなる。
【0023】
上記干渉計調整ステージ30は、図1に示すように、ベース板31と、該ベース板31に対し、図中X軸回りおよびY軸回りの傾きが調整可能に配置された傾動板32と、該傾動板32上に設置された載置板33と、調整ネジ34A,34Bとを備え、載置板33上に設置された干渉計10の図中X軸回りおよびY軸回りのアライメントを調整するように構成されている。また、この干渉計調整ステージ30は、上記ベース板31を支持するθステージ35を備えており(図1(B)参照)、このθステージ35により、干渉計10の図中Z軸回りのアライメントを調整するように構成されている。
【0024】
上記反射素子40は、該反射素子40のアライメント調整時に用いられるアライメント用反射平面41と、該アライメント用反射平面41に対し所定の角度(本実施形態では、内角45度(外角135度))で配置された2つの測定光偏向用反射面42A,42B(平面で構成される)とを備え、上記干渉計10からの測定光を測定光偏向用反射面42A,42Bにおいて2つの方向に分岐、偏向し、一方を金型90Aの被検面91Aに照射し、他方を金型90Bの被検面91Bに照射するように構成されている。また、被検面91A,91Bからそれぞれ再帰反射された被検光を測定光偏向用反射面42A,42Bにおいてそれぞれ偏向(直角に反射)し、干渉計10に向けて出射するように構成されている。
【0025】
上記反射素子調整ステージ50は、上記載置板33上に設置されたベース板51と、該ベース板51に対し、図中Y軸回りおよびZ軸回りの傾きが調整可能に配置された傾動板52と、調整ネジ53A,53Bとを備え、傾動板52上に設置された反射素子40のアライメントを調整するように構成されている。
【0026】
上記解析制御部60は、図1に示すように、コンピュータ等からなる解析制御装置61(本実施形態における解析手段を構成する)と、干渉縞画像等を表示するモニタ装置62と、解析制御装置61に対する各種入力を行うための入力装置63とを備えており、この解析制御装置61は、図3に示すように、コンピュータ内に搭載されるCPUやハードディスク等の記憶部および該記憶部に格納されたプログラム等により構成される測定タイミング調整部64、解析用画像生成部65および画像解析部66を備えてなる。
【0027】
上記測定タイミング調整部64は、パルス点灯時におけるレーザ光源11からのパルス光の出射タイミングと撮像カメラ19による干渉縞画像の撮像タイミングとを同期させる測定タイミング調整手段を構成するものであり、撮像カメラ19からの画像信号(ビデオ信号として出力される)に基づき、上記撮像素子23A,23B,23Cの各光蓄積時間内の所定のタイミングで、レーザ光源11からパルス光が出射されるように調整する。
【0028】
上記解析用画像生成部65は、パルス発光時の撮像カメラ19による撮像により得られた画像信号に基づき、解析に用いられる干渉縞画像(以下「解析用干渉縞画像」と称する)を生成するように構成されている。
【0029】
上記画像解析部66は、生成された上記解析用干渉縞画像に基づき、被検面91A,91Bの相対的な傾斜角度(平行度)を解析するように構成されている。
【0030】
なお、本実施形態では、上記干渉計調整ステージ30により、被検面91A,91Bに対する測定系(干渉計10)のアライメントを調整する測定系アライメント調整手段が構成されている。また、上記反射素子調整ステージ50により、測定光軸C10に対する反射素子40のアライメントを調整する反射素子アライメント調整手段が構成されており、干渉計調整ステージ30および反射素子調整ステージ50により、反射素子40を被検面91A,91Bから離間した位置に保持する反射素子保持手段が構成されている。
【0031】
また、本実施形態では、レーザ光源11、1/4λ板12、ビーム径変換用レンズ13、コリメータレンズ14、ビームスプリッタ15(無偏光ハーフミラーからなる)、参照基準板16、1/4λ板17および結像レンズ18A,18Bにより、被検光を参照光と干渉させて干渉縞画像を形成する干渉光学系(測定系)が構成されており、1/4λ板12、参照基準板16および1/4λ板17により、光源部(レーザ光源11)からの出力光の偏光状態を調整し、被検光を第1の円偏光、参照光を該第1の円偏光とは偏光の向きが逆となる第2の円偏光とする円偏光生成手段が構成されている。
【0032】
以下、第1実施形態に係る傾斜角度測定装置の作用について説明する。測定を実施するのに先立ってアライメント調整が行われるので、まず、その手順について説明する。
【0033】
(アライメント調整)
〈1〉反射素子40の光軸C40が測定光軸C10に対し平行となるように、反射素子40の傾き調整を行う。この傾き調整は、反射素子40のアライメント用反射平面41に測定光を照射し、該アライメント用反射平面41からの反射光と参照光とにより形成される干渉縞画像(以下「反射素子アライメント用干渉縞画像」と称する)がヌル縞に最も近い状態となるように、反射素子調整ステージ50を用いて行われる。なお、反射素子調整ステージ50の機械的な精度等によっては、反射素子40の光軸C40および測定光軸C10を互いに完全に平行に調整し切れない可能性もある。このような場合は、反射素子アライメント用干渉縞画像に基づき、反射素子40の光軸C40と測定光軸C10との相対的な傾きをアライメント誤差として求めておき、このアライメント誤差に起因する測定誤差を解析時に補正するようにすればよい。
【0034】
〈2〉反射素子40の測定光偏向用反射面42A,42Bに照射された測定光が、該測定光偏向用反射面42A,42Bで2つの方向に分岐、偏向され、一方が被検面91Aに照射されて該被検面91Aから再帰反射され、他方が被検面91Bに照射されて該被検面91Bから再帰反射されるように、被検面91A,91Bに対する反射素子40および干渉計10のアライメント調整を行う。このアライメント調整は、測定光偏向用反射面42A,42Bに実際に測定光を照射して行う。すなわち、アライメント調整が完了している場合、測定光偏向用反射面42A,42Bに照射された測定光は、該測定光偏向用反射面42A,42Bで分岐、偏向されて被検面91A,91Bに照射され、該被検面91A,91Bで反射されて再び測定光偏向用反射面42A,42Bを経由して干渉計10に戻ることになる。そして、この戻り光と参照光とにより、図4に示すような2つの干渉縞画像(一方は測定光偏向用反射面42Aを経由した戻り光により形成される干渉縞画像で、他方は測定光偏向用反射面42Bを経由した戻り光により形成される干渉縞画像)が形成されることになる。そこで、このような2つの干渉縞画像(解析可能な状態のものであれば良い)が実際に形成されるように、上述の干渉計調整ステージ30を用いて、被検面91A,91Bに対する反射素子40および干渉計10のアライメント調整を行う。なお、一方の干渉縞画像がヌル縞に最も近い状態となるまでアライメント調整を行ってもよい。
【0035】
なお、反射素子40Aの加工精度によっては、アライメント用反射平面41に対する2つの測定光偏向用反射面42A,42Bの設置角度が設計値と異なるなどの製造誤差が生じる可能性がある。このような場合には、製造誤差を予め測定しておき、この製造誤差に起因する測定誤差を解析時に補正するようにすればよい。
【0036】
アライメント調整の完了後、2つの金型90A,90Bの相対的な傾斜角度(平行度)の測定を行う。以下、その測定時における作用について説明する。
【0037】
(測定時の作用)
〈1〉アライメント調整後、図2に示すレーザ光源11から直線偏光のレーザ光がパルス光として出射される。パルス発光のタイミングは、上記測定タイミング調整部64により、撮像カメラ19における撮像タイミングに応じて、例えば、図5に示すように調整される。図5は、撮像カメラ19の各撮像素子23A,23B,23Cによる信号電荷の転送がインターライン・トランスファ方式で行われ、その読み出しがNTSC規格のインタレース方式に適合するフレーム読み出しで行われる場合を想定したものである。
【0038】
すなわち、図5に示す例では、各撮像素子23A,23B,23Cにおける奇数(ODD)フィールドと偶数(EVEN)フィールドの各電荷蓄積期間(受光許容期間)が1/30秒で、かつ各フィールドの電荷蓄積期間が1/60秒ずつオーバーラップしている。また、奇数フィールド、偶数フィールドの順に交互に読み出され、1組の奇数フィールド、偶数フィールドにより1つのフレームが構成される。パルス光は、1フレームを構成する1組の奇数および偶数フィールドの各々の電荷蓄積期間が互いにオーバーラップした期間内の略中央の位置において、例えば10μs幅で1回のみ発生されるようになっている。したがって、1フレームを構成する1組の奇数および偶数フィールドには、このパルス光が出射された期間においてのみ同時に電荷が蓄積されるようになっている。このように構成することにより、干渉縞画像を撮像する際に干渉計10に生じる振動の影響を排除することが可能になるので、インライン(オンプロセス)での測定が可能となる。
【0039】
〈2〉レーザ光源11から出射されたパルス光は、1/4λ板12により円偏光に変換された後、ビーム径変換用レンズ13を介してコリメータレンズ14に入射し、該コリメータレンズ14において平行光に変換され(円偏光であることは変わらない)、ビームスプリッタ15を介して(光束分岐面15aで図中下方に反射されて)参照基準板16に入射する。
【0040】
〈3〉参照基準板16に入射したパルス光は、参照基準面16aにおいて2つに分岐され、一方は円偏光(第1の円偏光)からなる参照光としてビームスプリッタ15に向けて反射され、他方は1/4λ板17に入射する。
【0041】
〈4〉1/4λ板17に入射したパルス光は、該1/4λ板17により直線偏光に変換され、測定光軸C10に平行な測定光として干渉計10から出射され、反射素子40に入射する。
【0042】
〈5〉反射素子40に入射した測定光は、図2に示すように、該反射素子40の測定光偏向用反射面42A,42Bにおいて2つの方向に分岐、偏向され、一方が測定光偏向用反射面42Aから被検面91Aに照射され、他方が測定光偏向用反射面42Bから被検面91Bに照射される。
【0043】
〈6〉被検面91Aに照射された一方の測定光は、該被検面91Aより再帰反射され、反射素子40の測定光偏向用反射面42Aを経由して干渉計10に戻り、1/4λ板17により、上記参照光(第1の円偏光)とは偏光の回転方向が逆向きとなる円偏光(第2の円偏光。参照光を左円偏光とすれば右円偏光となる)に変換され、被検面91Aの波面情報を担持した被検光(以下「第1被検光」と称する)として参照基準板16に向けて出射される。
【0044】
〈7〉同様に、被検面91Bに照射された他方の測定光は、該被検面91Bより再帰反射され、反射素子40の測定光偏向用反射面42Bを経由して干渉計10に戻り、1/4λ板17により、上記参照光とは偏光の回転方向が逆向きとなる円偏光(第2の円偏光。参照光を左円偏光とすれば右円偏光となる)に変換され、被検面91Bの波面情報を担持した被検光(以下「第2被検光」と称する)として参照基準板16に向けて出射される。
【0045】
〈8〉1/4λ板17から出射された第1被検光は、参照基準面16aにおいて上記参照光と合波された後(合波された光を以下「第1干渉光」と称する)、ビームスプリッタ15および結像レンズ18A,18Bを介して撮像カメラ19内に入射する。
【0046】
〈9〉同様に、1/4λ板17から出射された第2被検光は、参照基準面16aにおいて上記参照光と合波された後(合波された光を以下「第2干渉光」と称する)、ビームスプリッタ15および結像レンズ18A,18Bを介して撮像カメラ19内に入射する。
【0047】
〈10〉撮像カメラ19内に入射した第1被検光は、光束分岐プリズム20により3つに分岐され、プリズム21A,21B,21Cの各光出射端面側に各々配置された各偏光板22A,22B,22Cをそれぞれ透過した後、各偏光板22A,22B,22Cの後段側に各々配置された各撮像素子23A,23B,23C上において干渉縞画像(以下「第1干渉縞画像」と称する)をそれぞれ形成する。
【0048】
〈11〉同様に、撮像カメラ19内に入射した第2被検光は、光束分岐プリズム20により3つに分岐され、プリズム21A,21B,21Cの各光出射端面側に各々配置された各偏光板22A,22B,22Cをそれぞれ透過した後、各撮像素子23A,23B,23C上において干渉縞画像(以下「第2干渉縞画像」と称する)をそれぞれ形成する。第1干渉縞画像と第2干渉縞画像は、図4に示すように、各撮像素子23A,23B,23C上に同時に形成され、各撮像素子23A,23B,23Cによりそれぞれ同時に撮像される。
【0049】
〈12〉3枚の偏光板22A,22B,22Cは、各々の透過軸の方向が互いに異なるように設定されているので(例えば、偏光板22Aの透過軸の方向に対し、偏光板22Bの透過軸の方向が45度、偏光板22Cの透過軸の方向が90度回転するように設定される)、各撮像素子23A,23B,23C上に形成される各第1干渉縞画像は、位相が互いに異なった(90度ずつずれた)ものとなる。同様に、各撮像素子23A,23B,23C上に形成される各第2干渉縞画像も、位相が互いに異なった(90度ずつずれた)ものとなる。
【0050】
〈13〉各撮像素子23A,23B,23Cによりそれぞれ同時に撮像された各第1干渉縞画像および各第2干渉縞画像の画像データは、各撮像素子23A,23B,23Cからそれぞれ別個のビデオ信号として出力され、上記解析用画像生成部65により、互いに位相が異なる各3枚の解析用画像(各第1干渉縞画像の画像データから生成されるものを「解析用第1干渉縞画像」、各第2干渉縞画像の画像データから生成されるものを「解析用第2干渉縞画像」と称する)がそれぞれ生成される。
【0051】
〈14〉生成された3枚の解析用第1干渉縞画像に基づき、上記画像解析部66において解析が行われ(公知の位相シフト法を適用することが可能)、被検面91Aの参照基準面16aに対する傾斜角度が求められる。同様に、3枚の解析用第2干渉縞画像に基づき、被検面91Bの参照基準面16aに対する傾斜角度報が求められる。そして、求められた、参照基準面16aに対する被検面91A,91Bの各傾斜角度に基づき、被検面91A,91Bの相対的な傾斜角度(平行度)が求められる。なお、解析用第1干渉縞画像および解析用第1干渉縞画像に基づき被検面91A,91Bの形状情報を求めることも可能である。
【0052】
このように本実施形態の傾斜角度測定装置によれば、撮像カメラ19による1回の撮像により、位相が互いに異なる複数枚(3枚)の解析用第1干渉縞画像および解析用第2干渉縞画像を生成することができるので、これら複数枚の画像に基づき位相シフト法を適用した高精度な解析を行うことが可能となっている。なお、位相が互いに異なる複数枚の干渉縞画像を1回の撮像により得る技術は、例えば、特開平2−287107号公報に詳述されている。
【0053】
〈第2実施形態〉
第2実施形態に係る傾斜角度測定装置は、図6に示すように、干渉計10A、参照基準板調整ステージ70、反射素子40A、反射素子調整ステージ50Aおよび解析制御部60Aを備え、円筒体100の内周面(回転対称な線織面である円筒面状に形成されている)である被検面101の各部の相対的な傾斜角度(平行度)を測定するように構成されている。
【0054】
上記干渉計10Aは、パルス発光可能なレーザ光源11A、ビーム径変換用レンズ13A、ビームスプリッタ15A、コリメータレンズ14A、参照基準板16A、結像レンズ18Cおよび撮像カメラ19Aを備え、平行光からなる測定光を測定光軸C10Aに沿って反射素子40Aに向けて出射するように構成されている。また、被検面101側から反射素子40Aを介して入射された被検光を、参照光と合波して干渉光を形成し、該干渉光により形成される干渉縞画像を撮像カメラ19Aにより撮像するように構成されている。なお、撮像カメラ19Aは、本実施形態における撮像手段を構成するものであり、結像レンズ18Cにより形成される干渉縞画像を撮像する撮像素子23D(CCDやCMOS等からなる)を備えてなる。
【0055】
上記参照基準板調整ステージ70は、ベース板71と、該ベース板71に対し、図中X軸回りおよびY軸回りの傾きが調整可能に配置された傾動板72と、該傾動板72に固設された円筒状の基準板支持部73と、調整ネジ74A,74Bとを備え、基準板支持部73に設置された参照基準板16Aのアライメントを調整するように構成されている。なお、ベース板71および傾動板72には、測定光を通過させるための透孔71a,72aがそれぞれ形成されている。
【0056】
上記反射素子40Aは、該反射素子40Aのアライメント調整時に用いられるアライメント用反射平面41Aと、該アライメント用反射平面41Aに対し所定の角度(本実施形態では、内角45度(外角135度))で配置された、円錐面状の測定光偏向用反射面42Cとを備え、上記干渉計10Aからの測定光を測定光偏向用反射面42Cにおいて測定光軸C10Aに対し放射状に偏向して被検面101の各部に照射するように構成されている。また、被検面101の各部から再帰反射された被検光を測定光偏向用反射面42Cにおいて偏向(直角に反射)し、干渉計10Aに向けて出射するように構成されている。
【0057】
上記反射素子調整ステージ50Aは、上記傾動板72に設置された複数(図6では2本のみ図示しているが、3本配置されている)の支持ポール54と、該支持ポール54により支持されたベース板51Aと、該ベース板51A対し、図中X軸回りおよびY軸回りの傾きが調整可能に配置された傾動板52Aと、調整ネジ53C,53Dとを備え、傾動板52A上に設置された反射素子40Aのアライメントを調整するように構成されている。
【0058】
上記解析制御部60Aは、コンピュータ等からなる解析制御装置61A(本実施形態における解析手段を構成する)と、干渉縞画像等を表示するモニタ装置62Aと、解析制御装置61Aに対する各種入力を行うための入力装置63Aとを備えており、この解析制御装置61Aは、図7に示すように、コンピュータ内に搭載されるCPUやハードディスク等の記憶部および該記憶部に格納されたプログラム等により構成される測定タイミング調整部64A、解析用画像生成部65Aおよびフーリエ変換解析部67を備えてなる。
【0059】
上記測定タイミング調整部64Aは、パルス点灯時におけるレーザ光源11Aからパルス光の出射タイミングと撮像カメラ19Aによる干渉縞画像の撮像タイミングとを同期させる測定タイミング調整手段を構成するものであり、撮像カメラ19Aからの画像信号(ビデオ信号として出力される)に基づき、上記撮像素子23Dの光蓄積時間内の所定のタイミングで、レーザ光源11Aからパルス光が出射されるように調整する。
【0060】
上記解析用画像生成部65Aは、パルス発光時の撮像カメラ19Aによる撮像により得られた画像信号に基づき、解析に用いられる解析用干渉縞画像を生成するように構成されている。
【0061】
上記フーリエ変換解析部67は、本実施形態におけるフーリエ変換解析手段を構成するものであり、生成された上記解析用干渉縞画像に基づき、被検面101の各部の相対的な傾斜角度を、フーリエ変換法を用いて解析するように構成されている。
【0062】
なお、図示を省略しているが、本実施形態では、上記第1実施形態における干渉計調整ステージ30と同様の調整機構を備えており、この調整機構により測定系アライメント調整手段が構成されている。また、上記反射素子調整ステージ50Aにより、測定光軸C10Aに対する反射素子40Aのアライメントを調整する反射素子アライメント調整手段が構成されており、参照基準板調整ステージ70および反射素子調整ステージ50Aにより、反射素子40Aを被検面101から離間した位置に保持する反射素子保持手段が構成されている。
【0063】
以下、第2実施形態に係る傾斜角度測定装置の作用について説明する。測定を実施するのに先立ってアライメント調整が行われるので、まず、その手順について説明する。
【0064】
(アライメント調整)
〈1〉参照基準板16Aの参照基準面16Aaが、測定光軸C10Aに対し垂直となるように、参照基準板16Aの傾き調整を行う。この傾き調整は、例えば、参照基準板16A上にコーナーキューブ(図示略)を設置して測定光を照射し、該コーナーキューブからの反射光と参照基準面16Aaからの反射光(参照光)とにより形成される干渉縞画像がヌル縞に最も近い状態となるように、参照基準板調整ステージ70を用いて行われる。
【0065】
〈2〉反射素子40Aの光軸C40Aが測定光軸C10Aに対し平行となるように、反射素子40Aの傾き調整を行う。この傾き調整は、反射素子40Aのアライメント用反射平面41Aに測定光を照射し、該アライメント用反射平面41Aからの反射光と参照光とにより形成される反射素子アライメント用干渉縞画像がヌル縞に最も近い状態となるように、反射素子調整ステージ50Aを用いて行われる。なお、反射素子調整ステージ50Aの機械的な精度等によって、反射素子40Aの光軸C40Aおよび測定光軸C10Aを互いに完全に平行に調整し切れない場合には、反射素子アライメント用干渉縞画像に基づき、反射素子40Aの光軸C40Aと測定光軸C10Aとの相対的な傾きをアライメント誤差として求めておき、このアライメント誤差に起因する測定誤差を解析時に補正するようにすればよい。
【0066】
〈3〉反射素子40Aの測定光偏向用反射面42Cに照射された測定光が、該測定光偏向用反射面42Cで放射状に偏向され、被検面101の各部に照射されて該被検面101の各部から再帰反射されるように、被検面101に対する反射素子40Aおよび干渉計10Aのアライメント調整を行う。このアライメント調整は、測定光偏向用反射面42Cに実際に測定光を照射して行う。すなわち、アライメント調整が完了している場合、測定光偏向用反射面42Cに照射された測定光は、該測定光偏向用反射面42Cで偏向されて被検面101の各部に照射され、該被検面101の各部で反射されて再び測定光偏向用反射面42Cを経由して干渉計10Aに戻ることになる。そして、この戻り光と参照光とにより、リング状の干渉縞画像(図示略)が形成されることになる。そこで、このようなリング状の干渉縞画像(解析可能な状態のものであれば良い)が実際に形成されるように、被検面101に対する反射素子40Aおよび干渉計10Aのアライメント調整を行う。
【0067】
アライメント調整の完了後、被検面101の各部の相対的な傾斜角度(平行度)の測定が行われる。本実施形態では、後述するようにフーリエ変換法を用いて干渉縞画像の解析が行われるため、測定に際し、解析用の干渉縞画像に予めキャリア縞(空間キャリア周波数)が重畳されるようにする必要がある。キャリア縞の重畳は、例えば、被検面101に対し、反射素子40Aおよび干渉計10Aを微小な角度だけ傾斜させることにより行われる。以下、そのようなキャリア縞重畳のための調整が行われたとして、測定時における作用について説明する。
【0068】
(測定時の作用)
〈1〉図6に示すレーザ光源11Aからレーザ光がパルス光として出射される。パルス発光のタイミングは、上記測定タイミング調整部64Aにより、撮像カメラ19Aにおける撮像タイミングに応じて、上記第1実施形態と同様に調整される。すなわち、撮像カメラ19の撮像素子23Dによる信号電荷の転送がインターライン・トランスファ方式で行われ、その読み出しがNTSC規格のインタレース方式に適合するフレーム読み出しで行われる場合、図5に示すように、パルス光は、1フレームを構成する1組の奇数および偶数フィールドの各々の電荷蓄積期間が互いにオーバーラップした期間内の略中央の位置において、例えば10μs幅で1回のみ発生されるようになっている。したがって、1フレームを構成する1組の奇数および偶数フィールドには、このパルス光が出射された期間においてのみ同時に電荷が蓄積されるようになっている。このように構成することにより、干渉縞画像を撮像する際に干渉計10Aに生じる振動の影響を排除することが可能になるので、インライン(オンプロセス)での測定が可能となる。
【0069】
〈2〉レーザ光源11Aから出射されたパルス光は、ビーム径変換用レンズ13Aおよびビームスプリッタ15Aを介して(光束分岐面15Aaで図中下方に反射されて)コリメータレンズ14Aに入射し、該コリメータレンズ14Aにおいて平行光に変換されて参照基準板16Aに入射する。
【0070】
〈3〉参照基準板16Aに入射したパルス光は、参照基準面16Aaにおいて2つに分岐され、一方は参照光としてコリメータレンズ14Aに向けて反射され、他方は測定光軸C10Aに平行な測定光として干渉計10Aから出射され、反射素子40Aに入射する。
【0071】
〈4〉反射素子40Aに入射した測定光は、該反射素子40Aの測定光偏向用反射面42Cにおいて放射状に偏向され、被検面101の各部に照射される。
【0072】
〈5〉被検面101の各部に照射された測定光は、該被検面101の各部より再帰反射され、反射素子40Aの測定光偏向用反射面42Cを経由して干渉計10Aに戻り、被検面101の各部の波面情報を担持した被検光として参照基準板16Aに入射する。
【0073】
〈6〉参照基準板16Aに入射した被検光は、参照基準面16Aaにおいて上記参照光と合波されて干渉光を形成し、コリメータレンズ14A、ビームスプリッタ15Aおよび結像レンズ18Cを介して撮像カメラ19A内に入射し、撮像素子23D上において干渉縞画像を形成する。形成された干渉縞画像は、撮像素子23Dにより撮像される。
【0074】
〈7〉撮像素子23Dにより撮像された干渉縞画像の画像データは、撮像素子23Dからビデオ信号として出力され、上記解析用画像生成部65Aにより、解析用画像(以下「解析用干渉縞画像」と称する)が生成される。
【0075】
〈8〉生成された解析用干渉縞画像に基づき、上記フーリエ変換解析部67において、フーリエ変換法による解析が行われる。すなわち、解析用干渉縞画像をフーリエ変換し、その空間周波数領域におけるスペクトル分布を求め、予め重畳されたキャリア縞(空間キャリア周波数)に付随している信号のスペクトルのみを取り出し、それを原点に向けてシフトする。この処理により、解析用干渉縞画像に重畳されていた不要信号およびキャリア縞が除去されるので、除去後の画像データを解析することにより、高精度に被検面101の各部の相対的な傾斜角度を求めることができる。なお、解析用干渉縞画像に基づき被検面101の各部の形状情報を求めることも可能である。
【0076】
〈第3実施形態〉
第3実施形態に係る傾斜角度測定装置は、図8に示すように、干渉計10Bおよび反射素子40B(光軸C40B)を備え、図示した筒状体110の内周面(回転対称な線織面である円錐面状に形成されている)である被検面111の各部の相対的な傾斜角度を測定するように構成されている。
【0077】
上記干渉計10Bは、上述の第1実施形態の干渉計10や第2実施形態の干渉計10Aと同様の構成とすることができる。また、図示していないが、第1実施形態または第2実施形態と同様に、反射素子40Bを被検面111から離間した位置に保持する反射素子保持手段、測定光軸C10Bに対する反射素子40Bのアライメントを調整する反射素子アライメント調整手段、被検面111に対する測定系(干渉計10B)のアライメントを調整する測定系アライメント調整手段、および解析用画像に基づき、被検面111の各部の相対傾斜角度を解析する解析手段を備えている。
【0078】
上記反射素子40Bは、該反射素子40Bのアライメント調整時に用いられるアライメント用反射平面41Cと、該アライメント用反射平面41Cに対し所定の角度で配置された、円錐面状の測定光偏向用反射面42Dとを備え、上記干渉計10Bからの測定光を測定光偏向用反射面42Dにおいて反射、偏向して被検面111の各部に照射するように構成されている。また、被検面111の各部から再帰反射された被検光を測定光偏向用反射面42Dにおいて反射、偏向し、干渉計10Bに向けて出射するように構成されている。なお、本実施形態の作用は、上述の第1実施形態や第2実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0079】
〈反射素子および被検面の変形態様〉
上記反射素子40Bは、図8に示した被検面111のような凹状面を測定するのに適しているが、これを図9に示す反射素子40C(光軸C40C)に替えることにより、図示した円錐台状被検体120の外周側面(回転対称な線織面である円錐面状に形成されている)である被検面121のような凸状面の各部の相対的な傾斜角度を測定することも可能となる。
【0080】
この反射素子40Cは、該反射素子40Cのアライメント調整時に用いられるアライメント用反射平面41Dと、該アライメント用反射平面41Dに対し所定の角度で配置された、円錐面状の測定光偏向用反射面42Eとを備えている。上記反射素子40Bと異なるのは、アライメント用反射平面41Dに対する測定光偏向用反射面42Eの設置角度であり、他の構成および作用は同様である。
【0081】
〈測定系の変形態様〉
上述の各実施形態においては、測定系として干渉計(10,10A,10B)が用いられているが、図10に示すようなオートコリメータ80を測定系として用いることも可能である。
【0082】
このオートコリメータ80は、光源81、コンデンサレンズ82、十字線等の標線が形成された光源側焦点鏡83、ビームスプリッタ84(光束分岐面84a)、対物レンズ85、撮像側焦点鏡86、結像レンズ87および撮像カメラ88を備え、光源側焦点鏡83および撮像側焦点鏡86は、対物レンズ85の焦点面にそれぞれ配置されている。
【0083】
このオートコリメータ80の測定光軸C80上に、図示せぬ反射素子(上記各実施形態のものを用いることが可能)を配置し、オートコリメータ80からの測定光を反射素子の測定光偏向用反射面で偏向して、図示せぬ被検面の各部に照射する。被検面の各部から再帰反射され、反射素子を経由してオートコリメータ80に戻る被検光は対物レンズ85により集光され、光源側焦点鏡83上に標線像(以下「被検面標線像」と称する)が形成される(上記反射素子40を用いた場合には、2つの被検面標線像が形成される)。また、オートコリメータ80からの測定光は、反射素子のアライメント用反射平面からも再帰反射されてオートコリメータ80に戻り、対物レンズ85により集光され、光源側焦点鏡83上に標線像(以下「基準標線像」と称する)が形成される。この被検面標線像および基準標線像を、結像レンズ87を介して撮像カメラ88内の撮像素子89上に結像させて撮像し、その画像データを、図示せぬ解析装置において解析することにより、被検面の各部の相対的な傾斜角度を測定することができる。
【0084】
〈第4実施形態〉
図11に示す第4実施形態に係る傾斜角度測定装置は、上述の第1実施形態と同じく、モールド成形用の2つの金型290A,290Bの各被検面291A,291Bの相対的な傾斜角度(平行度)を測定するように構成されたものであり、干渉計200、反射素子40、反射素子調整ステージ50および解析制御部260を備えている点は、上記第1実施形態と同様である。第1実施形態と異なるのは、反射素子40と2つの金型290A,290Bとの間の光路上に参照基準板220A,220Bが配置され、これらの参照基準板220A,220Bが、参照基準板調整ステージ270A,270Bにより保持されている点、および反射素子40のアライメント調整用の平行平面板216を備えている点にある。なお、図示を省略しているが、第1実施形態の干渉計調整ステージ30(図1参照)と同様の干渉計調整ステージを備えており、上記反射素子調整ステージ50および参照基準板調整ステージ270A,270Bは、この干渉計調整ステージの載置板(第1実施形態の載置板33を参照)上に設置されている。
【0085】
上記干渉計200は、図11に示すように、半導体レーザ等からなるレーザ光源201と、該レーザ光源201からの光束の出射方向を音響光学効果により切り替えることにより、該光束を、所定のタイミング毎に極めて短い時間(例えば、10μs)のみ出力されるパルス光として図中上方に出射するAOM202と、該AOM202からのパルス光のビーム径を拡大するビーム径変換用レンズ203と、該ビーム径変換用レンズ203から出射された光束を、光束分岐面210aにおいて図中左方に向けて反射するビームスプリッタ210と、該ビームスプリッタ210からの光束を平行光からなる測定光に変換し、測定光軸C200に沿って出射するコリメータレンズ211と、結像レンズ212および撮像カメラ213を備えている。
【0086】
なお、上記撮像カメラ213は、本実施形態における撮像手段を構成するものであり、結像レンズ212側から入射された干渉光を、光束分岐面214aにおいて2つに分岐するビームスプリッタ214と、該ビームスプリッタ214の各光出射端面側にそれぞれ配置された2個の撮像素子215A,215B(CCDやCMOS等からなる)を備えてなる。
【0087】
上記平行平面板216は、上記反射素子40の干渉計200に対するアライメント調整を行う際に測定光軸C200上に配置され(図中2点鎖線で示す)、アライメント調整後に測定光の光路から外れた位置(図中実線で示す)に配置されるものであり、図示せぬ傾き調整ステージ(測定光軸C200に対する平行平面板216の傾きを調整するステージ)およびリニアステージ(平行平面板216を測定光軸C200に対し垂直な方向に移動させるステージ)により保持されている。
【0088】
上記反射素子40は、上述の第1実施形態で説明したものと同じ構成のものであり、上記干渉計200からの測定光を測定光偏向用反射面42A,42Bにおいて2つの方向に分岐、偏向し、一方を参照基準板220Aを介して金型290Aの被検面291Aに照射し、他方を参照基準板220Bを介して金型290Bの被検面291Bに照射するように構成されている。
【0089】
上記反射素子調整ステージ50は、上述の第1実施形態で説明したものと同じ構成のものであり、図示せぬ上記載置板上に設置されたベース板51と、該ベース板51に対し、図中Y軸回りおよびZ軸回りの傾きが調整可能に配置された傾動板52と、調整ネジ53A,53Bとを備え、傾動板52上に設置された反射素子40のアライメントを調整するように構成されている。
【0090】
上記参照基準板220Aは、測定光偏向用反射面42Aからの測定光を参照基準面221Aにおいて2つに分岐し、一方を測定光偏向用反射面42Aに向けて再帰反射し、他方を被検面291Aに向けて透過するように構成されている。同様に、上記参照基準板220Bは、測定光偏向用反射面42Bからの測定光を参照基準面221Bにおいて2つに分岐し、一方を測定光偏向用反射面42Bに向けて再帰反射し、他方を被検面291Bに向けて透過するように構成されている。
【0091】
上記参照基準板調整ステージ270Aは、ベース板271Aと、該ベース板271Aに対し、図中X軸回りおよびZ軸回りの傾きが調整可能に配置された傾動板272Aと、調整ネジ273A,273Bとを備え、傾動板272A上に設置された参照基準板220Aの傾きを調整するように構成されている。同様に、上記参照基準板調整ステージ270Bは、ベース板271Bと、該ベース板271Bに対し、図中X軸回りおよびZ軸回りの傾きが調整可能に配置された傾動板272Bと、調整ネジ273A,273Bとを備え、傾動板272B上に設置された参照基準板220Bの傾きを調整するように構成されている。なお、上述のベース板271A,271Bおよび傾動板272A,272Bには、測定光を通過させるための透孔(図示略)がそれぞれ形成されている。
【0092】
上記解析制御部260は、図11に示すように、コンピュータ等からなる解析制御装置261(本実施形態における解析手段を構成する)と、干渉縞画像等を表示するモニタ装置262と、解析制御装置261に対する各種入力を行うための入力装置263とを備えており、この解析制御装置261は、図12に示すように、コンピュータ内に搭載されるCPUやハードディスク等の記憶部および該記憶部に格納されたプログラム等により構成される測定タイミング調整部264、解析用画像生成部265および画像解析部266を備えてなる。
【0093】
上記測定タイミング調整部264は、上記AOM202からのパルス光が上記ビーム径変換用レンズ203に入射するタイミングと、上記撮像カメラ213による干渉縞画像の撮像タイミングとを同期させる測定タイミング調整手段を構成するものであり、上記撮像カメラ213からの画像信号(ビデオ信号として出力される)に基づき、上記撮像素子215A,215Bの各光蓄積時間内の所定のタイミングで、AOM202からのパルス光がビーム径変換用レンズ203に入射されるようにAOM202の駆動を制御する。
【0094】
上記解析用画像生成部265は、パルス光がビーム径変換用レンズ203に向けて出射されたタイミングで撮像カメラ213による撮像により得られた画像信号に基づき、解析用干渉縞画像を生成するように構成されている。
【0095】
上記画像解析部266は、生成された上記解析用干渉縞画像に基づき、被検面291A,291Bの相対的な傾斜角度(平行度)を解析するように構成されている。
【0096】
なお、本実施形態では、図示せぬ干渉計調整ステージにより、被検面291A,291Bに対する測定系(干渉計200)のアライメントを調整する測定系アライメント調整手段が構成されている。また、上記反射素子調整ステージ50により、測定光軸C200に対する反射素子40のアライメントを調整する反射素子アライメント調整手段が構成されており、干渉計調整ステージおよび反射素子調整ステージ50により、反射素子40を被検面291A,291Bから離間した位置に保持する反射素子保持手段が構成されている。
【0097】
以下、第4実施形態に係る傾斜角度測定装置の作用について説明する。測定を実施するのに先立ってアライメント調整が行われるので、まず、その手順について説明する。
【0098】
(アライメント調整)
〈1〉図11に示す平行平面板216を測定光軸C200上に設置し、その反射基準面216aが測定光軸C200に対し垂直となるように、平行平面板216の傾き調整を行う。この傾き調整は、例えば、反射基準面216aと反射素子40との間の光路上にコーナーキューブ(図示略)を設置して測定光を照射し、該コーナーキューブからの反射光と反射基準面216aからの反射光とにより形成される干渉縞画像がヌル縞に最も近い状態となるように、図示せぬ傾き調整ステージを用いて行われる。
【0099】
〈2〉反射素子40の光軸C40が測定光軸C40に対し平行となるように、反射素子40の傾き調整を行う。この傾き調整は、反射素子40のアライメント用反射平面41に平行平面板216を介して測定光を照射し、該アライメント用反射平面41からの反射光と反射基準面216aからの反射光とにより形成される反射素子アライメント用干渉縞画像がヌル縞に最も近い状態となるように、反射素子調整ステージ50を用いて行われる。反射素子40の傾き調整が終了した後、平行平面板216を測定光の光路外に移動させる。
【0100】
〈3〉参照基準板220Aの参照基準面221Aが測定光軸C200に対し垂直となるように、参照基準板220Aの傾き調整を行う。この傾き調整は、例えば、参照基準面221Aと被検面291Aとの間の光路上にコーナーキューブ(図示略)を設置し、反射素子40の測定光偏向用反射面42Aを介して参照基準板220Aに測定光を照射し、該コーナーキューブからの反射光と参照基準面221Aからの反射光とにより形成される干渉縞画像がヌル縞に最も近い状態となるように、参照基準板調整ステージ270Aを用いて行われる。
【0101】
〈4〉同様に、参照基準板220Bの参照基準面221Bが測定光軸C200に対し垂直となるように、参照基準板220Bの傾き調整を行う。この傾き調整は、例えば、参照基準面221Bと被検面291Bとの間の光路上にコーナーキューブ(図示略)を設置し、反射素子40の測定光偏向用反射面42Bを介して参照基準板220Bに測定光を照射し、該コーナーキューブからの反射光と参照基準面221Bからの反射光とにより形成される干渉縞画像がヌル縞状態となるように、参照基準板調整ステージ270Bを用いて行われる。なお、参照基準板調整ステージ270A,270Bの機械的な精度等によって、参照基準板220A,220Bの傾きを互いに完全に調整し切れない場合には、調整時に撮像された干渉縞画像に基づき、参照基準面221A,221Bのアライメント誤差を求めておき、このアライメント誤差に起因する測定誤差を解析時に補正するようにすればよい。
【0102】
〈5〉反射素子40の測定光偏向用反射面42A,42Bに照射された測定光が、該測定光偏向用反射面42A,42Bで2つの方向に分岐、偏向され、一方が参照基準板220Aを介して被検面291Aに照射されて該被検面291Aから再帰反射され、他方が参照基準板220Bを介して被検面291Bに照射されて該被検面291Bから再帰反射されるように、被検面291A,291Bに対する反射素子40および干渉計200のアライメント調整を行う。このアライメント調整は、測定光偏向用反射面42A,42Bで分岐、偏向され、参照基準板220A,220Bを介して被検面291A,291Bに照射された後、該被検291A,291Bで反射されて再び参照基準板220A,220Bに戻る光と、最初に参照基準板220A,220Bを透過する際に、参照基準面221A,221Bから反射された光との光干渉により、図4に示すような2つの干渉縞画像が形成されるように、上述の干渉計調整ステージを用いて行われる(上記第1実施形態のアライメント手順〈2〉参照)。
【0103】
アライメント調整の完了後、2つの金型290A,290Bの相対的な傾斜角度(平行度)の測定を行う。以下、その測定時における作用について説明する。
【0104】
(測定時の作用)
〈1〉図11に示すレーザ光源201からのレーザ光が、AOM202により所定のタイミングで方向変換され、パルス光としてビーム径変換用レンズ203に向けて出射される。パルス光がビーム径変換用レンズ203に向けて出射されるタイミングは、上記測定タイミング調整部264により、撮像カメラ213における撮像タイミングに応じて、上記第1実施形態と同様に調整される。すなわち、撮像カメラ213の撮像素子215A,215Bによる信号電荷の転送がインターライン・トランスファ方式で行われ、その読み出しがNTSC規格のインタレース方式に適合するフレーム読み出しで行われる場合、図5に示すように、パルス光は、1フレームを構成する1組の奇数および偶数フィールドの各々の電荷蓄積期間が互いにオーバーラップした期間内の略中央の位置において、例えば10μs幅で1回のみビーム径変換用レンズ203に向けて出射されるようになっている。したがって、1フレームを構成する1組の奇数および偶数フィールドには、このパルス光がビーム径変換用レンズ203に向けて出射された期間においてのみ同時に電荷が蓄積されるようになっている。
【0105】
〈2〉ビーム径変換用レンズ203に向けて出射されたパルス光は、該ビーム径変換用レンズ203およびビームスプリッタ210を介して(光束分岐面210aで図中左方に反射されて)コリメータレンズ211に入射し、該コリメータレンズ211において測定光軸C200に平行な測定光に変換されて反射素子40に向けて出射される。
【0106】
〈3〉反射素子40に入射した測定光は、該反射素子40の測定光偏向用反射面42A,42Bにおいて2つの方向に分岐、偏向され、一方が測定光偏向用反射面42Aから参照基準板220Aに照射され、他方が測定光偏向用反射面42Bから参照基準板220Bに照射される。
【0107】
〈4〉参照基準板220Aに入射した測定光は、参照基準面221Aにおいて2つに分岐され、一方は参照光(以下「第1参照光」と称する)として測定光偏向用反射面42Aに向けて反射され、他方は参照基準面221Aを透過して被検面291Aに照射される。
【0108】
〈5〉同様に、参照基準板220Bに入射した測定光は、参照基準面221Bにおいて2つに分岐され、一方は参照光(以下「第2参照光」と称する)として測定光偏向用反射面42Bに向けて反射され、他方は参照基準面221Bを透過して被検面291Bに照射される。
【0109】
〈6〉被検面291Aに照射された測定光は、該被検面291Aの波面情報を担持した被検光として再帰反射され、参照基準面221Aにおいて上記第1参照光と合波される(合波された光を以下「第1干渉光」と称する)。
【0110】
〈7〉同様に、被検面291Bに照射された測定光は、該被検面291Bの波面情報を担持した被検光として再帰反射され、参照基準面221Bにおいて上記第2参照光と合波される(合波された光を以下「第2干渉光」と称する)。
【0111】
〈8〉上記第1干渉光は、反射素子40の測定光偏向用反射面42Aにより干渉計200に向けて反射され、コリメータレンズ211、ビームスプリッタ210および結像レンズ212を介して撮像カメラ213に入射した後、その一部がビームスプリッタ214を透過して撮像素子215Aに入射し、該撮像素子215A上において干渉縞画像(以下「第1干渉縞画像」と称する)を形成し、該第1干渉縞画像が撮像素子215Aにより撮像される。なお、撮像素子215Aおよび撮像素子215Bは、各々の光軸が結像レンズ212の光軸(測定光軸C200と一致する)に対して互いに逆方向にシフトした位置にそれぞれ配置されている。このため、第1干渉光の他の一部は、ビームスプリッタ214の光束分岐面214aにより図中下方に反射されるが、この第1干渉光は撮像素子215Bには入射しないようになっている。
【0112】
〈9〉同様に、上記第2干渉光は、反射素子40の測定光偏向用反射面42Bにより干渉計200に向けて反射され、コリメータレンズ211、ビームスプリッタ210および結像レンズ212を介して撮像カメラ213に入射した後、その一部がビームスプリッタ214の光束分岐面214aにより図中下方に反射されて撮像素子215Bに入射し、該撮像素子215B上において干渉縞画像(以下「第2干渉縞画像」と称する)を形成し、該第2干渉縞画像が撮像素子215Bにより撮像される(撮像のタイミングは上記第1干渉縞画像の撮像と同時)。なお、上述のように、撮像素子215Aおよび撮像素子215Bが配置されているため、第2干渉光の他の一部は、ビームスプリッタ214を透過して図中右方に出射されるが、この第2干渉光は撮像素子215Aには入射しないようになっている。
【0113】
〈10〉2つの撮像素子215A,215Bにより同時に撮像された第1干渉縞画像および第2干渉縞画像の各画像データは、撮像素子215A,215Bから別個のビデオ信号として出力され、上記解析用画像生成部265により2つの解析用画像(第1干渉縞画像の画像データから生成されるものを「解析用第1干渉縞画像」、第2干渉縞画像の画像データから生成されるものを「解析用第2干渉縞画像」と称する)がそれぞれ生成される。
【0114】
〈11〉生成された解析用第1干渉縞画像に基づき、上記画像解析部266において解析が行われ(公知の縞解析法を適用することが可能)、被検面291Aの参照基準面221Aに対する傾斜角度が求められる。同様に、解析用第2干渉縞画像に基づき、被検面291Bの参照基準面221Bに対する傾斜角度報が求められる。そして、求められた各傾斜角度情報に基づき、被検面291A,291Bの相対的な傾斜角度(平行度)が求められる。なお、解析用第1干渉縞画像および解析用第1干渉縞画像に基づき被検面291A,291Bの形状情報を求めることも可能である。
【0115】
このように本実施形態の傾斜角度測定装置によれば、測定光偏向用反射面42A,42Bと被検面291A,291Bとの間の各光路上に、参照基準板220A,220Bを配置したことにより、参照基準面221A,221Bと被検面291A,291Bとの間の光路長を短くすることができるので、被検面291A,291B間の空気の擾乱等の影響を受け難くすることが可能となる。
【0116】
また、上述の第1干渉縞画像および第2干渉縞画像を、2つの撮像素子215A,215Bを用いて別々に撮像するように構成することにより、これら2つの干渉縞画像を1つの撮像素子により撮像するように構成した場合よりも、第1干渉縞画像および第2干渉縞画像を拡大して撮像することができるので、より高精度な測定を行うことが可能となる。
【0117】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に態様が限定されるものではなく、種々の態様のものを実施形態とすることができる。
【0118】
例えば、反射素子におけるアライメント用反射平面と測定光偏向用反射面との相対角度は、測定対象となる被検面各部の相対角度に応じて適宜に設定することが可能である。
【0119】
また、上記各実施形態における干渉計はフィゾータイプとされているが、マイケルソンタイプ等の他のタイプの干渉計を用いることも可能である。
【0120】
また、上記第4実施形態において、互いに別体分離の構成とされた反射素子40と参照基準板220A,220Bとを、互いに一体に構成することも可能である。
【符号の説明】
【0121】
10,10A,10C,200 干渉計
11,11A,201 レーザ光源
12,17 1/4λ板
13,13A,203 ビーム径変換用レンズ
14,14A,211 コリメータレンズ
15,15A,84,210,214 ビームスプリッタ
15a,15Aa,84a,210a,214a 光束分岐面
16,16A,220A,220B 参照基準板
16a,16Aa,221A,221B 参照基準面
18A,18B,18C,87,212 結像レンズ
19,19A,88,213 撮像カメラ
20 光束分岐プリズム
21A,21B,21C プリズム
22A,22B,22C 偏光板
23A,23B,23C,23D,89,215A,215B 撮像素子
30 干渉計調整ステージ
31 ベース板
32 傾動板
33 載置板
34A,34B 調整ネジ
35 θステージ
40,40A,40B,40C 反射素子
41,41A,41B,41C,41D アライメント用反射平面
42A,42B,42C,42D,42E 測定光偏向用反射面
50,50A 反射素子調整ステージ
51,51A ベース板
52,52A 傾動板
53A,53B,53C,53D 調整ネジ
54 支持ポール
60,60A,260 解析制御部
61,61A,261 解析制御装置
62,62A,262 モニタ装置
63,63A,263 入力装置
64,64A,264 測定タイミング調整部
65,65A,265 解析用画像生成部
66,266 画像解析部
67 フーリエ変換解析部
70,270A,270B 参照基準板調整ステージ
71,271A,271B ベース板
71a,72a 透孔
72,272A,272B 傾動板
73 基準板支持部
74A,74B,273A,273B,273A,273B 調整ネジ
80 オートコリメータ
81 光源
82 コンデンサレンズ
83 光源側焦点鏡
85 対物レンズ
86 撮像側焦点鏡
90A,90B,290A,290B 金型
91A,91B,101,111,121,291A,291B 被検面
100 円筒体
110 筒状体
120 円錐台状被検体
10,C10A,C10B,C80,C200 測定光軸
40,C40A,C40B,C40C 光軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間した複数の平面または回転対称な線織面からなる被検面の傾斜角度を測定する傾斜角度測定装置であって、
測定光軸に沿って測定光を出射するとともに該測定光が照射された被照射面から反射された戻り光により所定の画像を形成する測定系と、
アライメント用反射平面および該アライメント用反射平面に対し所定の角度で配置された、前記測定光を互いに異なる方向に偏向する測定光偏向用反射面を有する反射素子と、
前記反射素子を前記被検面から離間した位置に保持する反射素子保持手段と、
前記測定光軸に対する前記反射素子のアライメントを調整する反射素子アライメント調整手段と、
前記被検面に対する前記測定系のアライメントを調整する測定系アライメント調整手段と、
前記測定系から出射された前記測定光が前記測定光偏向用反射面において偏向されて前記被検面の各部に照射され、該被検面の各部から再帰反射されて該測定光偏向用反射面を経由し前記測定系に戻る被検光により形成される解析用画像を撮像する撮像手段と、
撮像された前記解析用画像に基づき、前記被検面の各部の相対傾斜角度を解析する解析手段と、を備えてなることを特徴とする傾斜角度測定装置。
【請求項2】
前記測定光がパルス光からなり、該パルス光の出射タイミングと前記撮像手段による撮像タイミングとを調整する測定タイミング調整手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の傾斜角度測定装置。
【請求項3】
前記測定系は、前記被検光を参照光と干渉させて干渉縞画像を形成する干渉光学系からなることを特徴とする請求項1または2記載の傾斜角度測定装置。
【請求項4】
前記干渉縞画像が空間キャリア縞を重畳されたキャリア縞重畳干渉縞画像であり、
前記解析手段は、前記キャリア縞重畳干渉縞画像を、フーリエ変換法を用いて解析するフーリエ変換解析部を有してなることを特徴とする請求項3記載の傾斜角度測定装置。
【請求項5】
前記参照光を第1の円偏光、前記被検光を該第1の円偏光とは偏光の回転方向が逆向きとなる第2の円偏光とする円偏光生成手段と、
前記第1の円偏光からなる参照光と前記第2の円偏光からなる被検光とからなる干渉光を複数に分割する干渉光分割手段と、
分割された複数の干渉光の各光路上にそれぞれ配置された、透過軸の方向が互いに異なる複数の偏光子と、を備え、
前記撮像手段は、前記複数の偏光子の各々を通過した各干渉光により形成される、互いに位相が異なる複数の干渉縞画像をそれぞれ撮像する複数の撮像部からなることを特徴とする請求項3記載の傾斜角度測定装置。
【請求項6】
前記測定光偏向用反射面と前記被検面の各部との間の各光路上にそれぞれ配置された参照基準板を備え、該参照基準板は、前記測定光偏向用反射面において偏向された前記測定光の一部を透過するとともに他の一部を反射して前記参照光となす参照基準面を有してなる、ことを特徴とする請求項3記載の傾斜角度測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−237379(P2011−237379A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111218(P2010−111218)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】