説明

内視鏡装置

【課題】 観察窓における観察視野領域内に、振動子から付着物除去のための超音波振動を効率よく伝播させることのできる内視鏡装置を実現すること。
【解決手段】 内視鏡装置1は、内視鏡2の挿入部11先端に撮像用光学系34に対向して設けられた透明部材32と、透明部材32の内表面に貼着された振動子37と、透明部材の外表面に設けられ、振動子37からの超音波振動fを、透明部材32の外表面を伝播する表面弾性波Фに変換する回折格子40と、透明部材32の外周部分に設けられ、伝播された表面弾性波Фを外表面とは異なる面へ偏向させて吸収する吸収部32a,38と、を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察窓表面の付着物を確実に除去することで、観察性を向上させる内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年低侵襲医療を目的として内視鏡を用いた外科手術が普及している。このような内視鏡下の手術においては、内視鏡先端部に配設された観察窓に対して、汚れの付着、曇りの発生による観察環境の低下を防止することが課題となっている。
【0003】
消化器用内視鏡においては、内視鏡先端部のレンズに対して送水することで、曇りや汚れの除去を行うものがあるが、外科用の内視鏡では、付着する汚れが手術によって飛散した血液や脂肪などである場合があり、単純な送水のみでは汚れを除去できないケースがある。また、消化器用内視鏡でも、経鼻タイプの内視鏡では、先端部が細く高密度に部品が配置されているために送水後の水滴の除去が十分でない場合もある。
【0004】
この問題に対する対策としては、例えば、特許文献1に開示された技術が知られている。
この従来の内視鏡装置は、挿入部の内管の先端に、画像取り込み窓となるカバーガラスが対物光学系に対応して取付けられている。このカバーガラスの外表面には、例えば光触媒(酸化チタン等)の親水性を有した親水処理層であるコーティング層が形成されている。
【0005】
このコーティング層は、カバーガラスが周囲環境との温度差により結露すると、その親水性により水の粒子を拡散して薄膜状の水膜とし、表面が曇るのを防止する。つまり、水膜の形成により、カバーガラス外表面を曇らせることなく、初期状態である明瞭な視野が確保される。そして、このカバーガラスのコーティング層上に形成された水膜に、体液、図示しない電気メスによる飛沫等の汚れが接触すると、これらの汚れが付着する。
【0006】
また、挿入部の内管には、超音波振動子がカバーガラスに対して振動伝達可能に設けられている。この超音波振動子は、駆動制御されて超音波振動を発振し、この超音波振動がカバーガラスに伝播される。ここで、従来の内視鏡装置は、カバーガラスに伝播された超音波振動と重力の作用により、カバーガラスの外表面のコーティング層に被着形成される水膜が落下して除去される。このとき、水膜に付着される汚れも、水膜と共に落とされ、カバーガラスの外表面の洗浄が行われる。なお、送水ノズル等により、コーティング層上に水の補給を行うことでも、水膜は形成できる。以上によりカバーガラスの外表面の付着物(汚れと水滴や水膜)が除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−55275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら従来の内視鏡装置では、内管の振動子が取り付けられる場所が、観察視野の邪魔とならないように、内管の内表面のうち、対物光学系に対向する部分以外の周辺部となっている。つまり、観察窓(カバーガラス)の観察視野領域は、振動子の取り付け箇所から離れた領域となり、振動子の取り付け場所によっては、振動子からの超音波振動が観察視野領域に伝わり難く(超音波振動は、振動子取り付け面の法線方向に強く伝播し、特に高周波振動の場合顕著となる)、観察窓の付着物を十分に除去しきれない可能性があった。
【0009】
そこで、本願は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、観察窓における観察視野領域内に、振動子から付着物の除去のための超音波振動を効率よく伝播させることのできる内視鏡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、本発明の内視鏡装置は、内視鏡の挿入部先端に撮像用光学系に対向して設けられた透明部材と、前記透明部材の内表面に貼着された振動子と、前記透明部材の外表面に設けられ、前記振動子からの超音波振動を、前記透明部材の外表面を伝播する表面弾性波に変換する回折格子と、前記透明部材の外周部分に設けられ、前記表面弾性波を外表面とは異なる面へ偏向させて吸収する吸収部と、を具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、観察窓における観察視野領域内に、振動子から付着物の除去のための超音波振動を効率よく伝播させることが可能となり、観察窓の付着物を確実に除去できる内視鏡装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡システムの全体構成、および電気的構成を主に示すブロック図
【図2】同、硬性内視鏡の先端部分の構成を示す断面図
【図3】同、図2のIII−III線に沿って切断した先端部の断面図
【図4】同、送水シースの先端部分の構成を示す断面図
【図5】同、図4の矢視V方向の送水シースの構成を示す平面図
【図6】同、硬性内視鏡の挿入部が送水シースに挿通配置された状態を示す先端部分の斜視図
【図7】同、硬性内視鏡の挿入部が送水シースに挿通配置された状態を示す先端部分の断面図であって、観察窓に付着物が付着した状態を示す図
【図8】同、図7の硬性内視鏡の挿入部が送水シースに挿通配置された状態を示す先端部分の拡大図
【図9】同、表面弾性波の伝播を説明するための硬性内視鏡の先端面を示す平面図
【図10】本発明の第2の実施の形態に係り、ガラス板を内表面方向からみた、硬性内視鏡の挿入部の断面図
【図11】同、図10のXI−XI線に沿って切断した先端部の断面図
【図12】本発明の第3の実施の形態に係り、表面弾性波の伝播を説明するための硬性内視鏡の先端面を示す平面図
【図13】同、図12のXIII−XIII線に沿って切断した先端部の断面図
【図14】同、第1の変形例を示し、表面弾性波の伝播を説明するための硬性内視鏡の先端面を示す平面図
【図15】同、図14のXV−XV線に沿って切断した先端部の断面図
【図16】同、第2の変形例を示し、表面弾性波の伝播を説明するための硬性内視鏡の先端面を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明である内視鏡装置について説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態に基づく図面は、模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0014】
(第1の実施の形態)
先ず、図面に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。なお、以下の説明において、例えば、腹腔鏡下外科手術を行う硬性内視鏡を例示する。
また、図1から図9は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は内視鏡システムの全体構成、および電気的構成を主に示すブロック図、図2は硬性内視鏡の先端部分の構成を示す断面図、図3は図2のIII−III線に沿って切断した先端部の断面図、図4は送水シースの先端部分の構成を示す断面図、図5は図4の矢視V方向の送水シースの構成を示す平面図、図6は硬性内視鏡の挿入部が送水シースに挿通配置された状態を示す先端部分の斜視図、図7は硬性内視鏡の挿入部が送水シースに挿通配置された状態を示す先端部分の断面図であって、観察窓に付着物が付着した状態を示す図、図8は図7の硬性内視鏡の挿入部が送水シースに挿通配置された状態を示す先端部分の拡大図、図9は表面弾性波の伝播を説明するための硬性内視鏡の先端面を示す平面図である。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態の内視鏡装置である内視鏡システム1は、硬性内視鏡(以下、単に内視鏡という)2と、この内視鏡2の挿入部11が内部に挿通配置される洗浄液供給手段を構成する送水シース3と、ビデオプロセッサ5と、光源装置4と、モニタ6と、によって、主に構成されている。
【0016】
内視鏡2は、従来の構成と同様であるため、何れも図示しないが、硬質な挿入部11(図2参照)に連設された操作部と、この操作部に設けられたスイッチ類と、操作部から延出する複合ケーブルであるユニバーサルケーブルと、このユニバーサルケーブルの延出端に配設された光源コネクタと、この光源コネクタの側部から延出する電気ケーブルと、この電気ケーブルの延出端に配設された電気コネクタと、を有して構成されている。なお、光源コネクタは、光源装置4に着脱自在に接続される。また、電気コネクタは、ビデオプロセッサ5に着脱自在に接続されている。
【0017】
また、ビデオプロセッサ5は、光源装置4、およびモニタ6に電気的に接続されている。ビデオプロセッサ5は、内視鏡2が撮像した画像データを映像信号化して、モニタ6に表示させる。さらに、ビデオプロセッサ5は、内視鏡2の操作部に配設されたスイッチ類の操作信号が入力され、これら信号に基づいて、光源装置4を制御したり、送水タンク24にエアーを送り、この送水タンク24内の洗浄水である生理食塩水等を送水シース3に送液制御したりするための制御手段である制御装置を構成している。
【0018】
次に、内視鏡システム1の主に電気的な構成について、図1に基づいて、以下に説明する。
図1に示すように、ビデオプロセッサ5は、CPUである制御部51と、電源/映像信号処理回路52と、圧電振動子加振回路53と、ポンプ制御回路54と、コンプレッサであるポンプ55と、を有して構成されている。
【0019】
制御部51は、電源/映像信号処理回路52、圧電振動子加振回路53、およびポンプ制御回路54と電気的に接続されており、各回路を制御する。また、電源/映像信号処理回路52は、モニタ6とも電気的に接続され、モニタ6へ内視鏡画像信号を出力する。
【0020】
圧電振動子加振回路53は、内視鏡2の圧電振動子37を振動させる機能を有し、制御部51の制御により、圧電振動子37の振動強度を出力する電力量により可変制御する。
【0021】
ポンプ制御回路54は、ポンプ55と電気的に接続され、制御部51の制御により、ポンプ55を駆動制御する電気信号を出力する。
【0022】
光源装置4は、ハロゲンランプ等の光源56と、この光源56を駆動する光源制御回路57と、を有して構成されている。光源制御回路57は、ビデオプロセッサ5の制御部51と電気的に接続されて、この制御部51により制御される。
【0023】
次に、内視鏡2の挿入部11の先端部分の構成について、図2、および図3に基づいて、以下に説明する。
内視鏡2の挿入部11は、図2(a),(b)、および図3に示すように、挿入部外装を構成する金属製の管状部材31の先端に、本実施の形態における吸収部の一部を構成する、固定支持部材38が嵌合固着されている。そして、固定支持部材38に周囲が覆われるように支持固定された観察窓である透明部材の略円盤状のガラス板32が接着剤を介して接合されている。
【0024】
管状部材31の内部には、撮像用光学系を含む撮像モジュール34、およびここでは2本の照明用のライトガイド33が配置されている。撮像光学系を構成する撮像モジュール34の内部には、詳細には図示しないが、結像用光学系、固体撮像素子、およびそのドライバチップが組み込まれており、通信ケーブル35が根元方向へ引き出されている。
【0025】
また、ガラス板32の内表面(裏面)には、観察視野を妨げない位置、つまり対向配置された撮像モジュール34の外方(ここでは外周一部から所定距離だけ離間した方向)の一領域側に、矩形状の圧電振動子37が貼着されている。圧電振動子37には配線36が接続され、電気的に駆動されるようになっている。つまり、圧電振動子37には、加振のための電圧を供給する配線36が内視鏡2の根元方向に引き出されている。また、圧電振動子37のガラス板32への固定は、接着剤による固定に限定することなく、半田等でもよい。この圧電振動子37は、その共振周波数、又は共振周波数近傍で駆動され、超音波振動をガラス板32内に発生させる。
【0026】
ガラス板32は、図2(b)に示すように、内表面(裏面)に貼着された圧電振動子37に対向した外表面の位置に断面矩形状で直線状の複数の溝部が並列配置された回折格子40が設けられている。つまり、圧電振動子37は、ガラス板32の内表面に貼着された面積がガラス板32の外表面に形成された回折格子40の面積に対して同一、または、それ以上となっている。また、ガラス板32の外表周部の角部は、曲面形成され、表面弾性波の方向を外表面とは異なる面へ偏向する吸収部の一部を構成する曲面部32aが形成されている。
【0027】
上述の圧電振動子37から発生された超音波振動f(図8参照)は、主として圧電振動子37の貼着面(ガラス板32の内表面)に垂直な方向に伝播し、圧電振動子37に対向したガラス板32の上記回折格子40に入射する。この回折格子40に入射した超音波振動は、回折格子40によりガラス板32の外表面を伝播する表面弾性波Ф(図8参照)に変換される。
【0028】
本実施の形態では、回折格子40の構造パラメータである格子周期がガラス板32を伝播する表面弾性波Ф速度を超音波振動fの周波数で除した値となっており、回折格子40から放射される表面弾性波Фの波長と略同じ値となっている。また、回折格子40の溝の深さは、格子周期の約1/10に設定されている。
【0029】
なお、上述した曲面部32aは、生産性の低下防止のため、ガラス板32の全周角部に形成されているが、勿論、圧電振動子37によって発生された超音波振動が回折格子40によって変換された表面弾性波Фが伝播して到達するガラス板32の外周角部領域のみに形成しても良い。
【0030】
また、内視鏡2の構成部品は、管状部材31と、固定支持部材38を介してそれに接合されたガラス板32によって封止されており、高圧蒸気による滅菌処理に耐え得る構造となっている。
さらに、本実施形態においては、ガラス板32の撮像モジュール34の撮像光学系と対向する内表面は平面状としているが、撮像光学系に対向する面の一部が凸状もしくは凹形状となって、撮像光学系の一部を構成しても良い。
【0031】
また、本実施の形態のライトガイド33は、ユニバーサルケーブルへ延設され、ライトガイド33が光源コネクタで終端されている。そして、通信ケーブル35、および配線36が電気ケーブルを介して、電気コネクタに接続されている。
【0032】
つまり、内視鏡2は、ユニバーサルケーブル、および電気ケーブルを介して、ライトガイド33が光源制御回路57を含む光源装置4の光源56に、撮像モジュール34から引き出された通信ケーブル35がビデオプロセッサ5の電源/映像信号処理回路52に、圧電振動子37から引き出された配線36がビデオプロセッサ5の加振手段を構成する圧電振動子加振回路53に、夫々接続される構成となっている。
【0033】
次に、送水シース3について図4、および図5に基づいて、以下に説明する。
送水シース3は、先端部材を備えた被覆チューブ21と、この被覆チューブ21の基端に連設された図示しない接続部と、この接続部の側部から延出する図示しない送水チューブと、を有して構成されている。なお、送水チューブの延出端は、送水タンク24に接続されている。この送水タンク24には、ビデオプロセッサ5の送気コネクタに一端が接続された送気チューブ(何れも不図示)の他端が接続されている。
【0034】
送水シース3の被覆チューブ21は、チューブ本体41と、このチューブ本体41の先端に嵌着された略円筒形状の先端部材42と、を有して構成されている。チューブ本体41の肉厚部分の一部には、送水用の断面円形状の送水路43が1つ形成されている。この送水路43は、接続部まで配設され、この接続部を介して送水チューブと連通している。
【0035】
先端部材42は、チューブ本体41の送水路43に対向する位置の開口端面に沿った板体である、ひさし部44を有している。
【0036】
このように構成された送水シース3は、送水路43が送水タンク24と送水チューブを介して連通するように接続される。そして、送水タンク24内の洗浄水である生理食塩水等は、ポンプ制御回路54によって制御されるポンプ55からのエアーにより送水タンク24内の圧力が上昇されることで、送水路43中に送液されて内視鏡先端部へ流れるようになっている。
【0037】
以上に説明した本実施の形態の内視鏡システム1は、図6に示すように、内視鏡2の挿入部11が送水シース3の被覆チューブ21に挿通配置され、例えば、腹腔鏡下外科手術に用いられる。
【0038】
内視鏡システム1は、図7に示すように、術中にガラス板32の外表面に血液、脂肪等の汚れ101が付着した場合に、医師であるユーザが内視鏡2の操作部に設けられたスイッチ類のリモートスイッチを操作する。すると、このスイッチ操作による制御信号に応じて、圧電振動子37には、ビデオプロセッサ5の圧電振動子加振回路53から励振信号が供給され、超音波振動fがガラス板32中に発生する。
【0039】
これに先立ち、上記スイッチ類の操作により、送水シース3からガラス板32の外表面に洗浄水が供給される。つまり、コンプレッサであるポンプ55から送水タンク24内にエアーが供給され、送水タンク24内の洗浄水が送水シース3に供給される。この洗浄水は、送水シース3のチューブ本体41に形成された送水路43を介して、チューブ本体41の先端から噴出し、ひさし部44に当たって、ガラス板32の略外表面全面に沿って流れ出すことになる。
【0040】
そして、図8に示すように、ガラス板32の圧電振動子37が貼着された内表面(裏面)である振動面で発生した超音波振動fは、ガラス板32内部を略垂直方向に伝播する。この超音波振動fは、回折格子40に到達して、この回折格子40によりガラス板32の外表面を伝播する表面弾性波に変換され、図9に示すように、ガラス板32の中心側(撮像モジュール34の撮像光学系によって集光される撮影光軸O)、およびこの中心側に対して回折格子40を挟んだ反対側の外周部に向かってガラス板32外表面を横方向に直線的に表面弾性波Фとして伝播する。なお、回折格子40によって発生する表面弾性波Фの進行方向を規定する格子ベクトルの方向は、回折格子40の周期性の方向として定義される。ここでは、回折格子40が直線状の溝部が並列配置された構成であるため、これら溝部に対して、直交する方向に表面弾性波Фが回折格子40を挟んだ互いに逆向きとなる2つの進行方向に伝播される。
【0041】
ガラス板32に回折格子40が設けられていない場合、超音波振動fの指向性が高いため、上記圧電振動子37の平面と、この圧電振動子37の平面に対向するガラス板32の外表面の間で超音波振動fが反射を繰り返し、この対向部分は振動がよく伝播するが、それ以外のガラス板32の圧電振動子37から離れた領域にはあまり超音波振動fが伝播されない。
【0042】
これに対し、本実施の形態のように、ガラス板32の外表面に回折格子40を設けた場合は、圧電振動子37から直進した超音波振動fが回折格子40により、ガラス板32における撮像モジュール34の観察視野領域Lf(図9中の2点鎖線)の中心方向(撮影光軸Oが通過する方向)に向かって、直線的な表面弾性波Фとして変換され伝播される。
【0043】
換言すると、図9に示すように、表面弾性波Фは回折格子40の溝部の配列方向に対して垂直な方向に放射される。ガラス板32の中心方向に伝播された表面弾性波Фは、ガラス板32の外表面で観察視野領域Lf部分に到達して、さらに通過する。そして、表面弾性波Фは、観察視野領域Lfに付着している血液等の汚れ101を、洗浄水の供給と共に伝播方向に押し出して除去する。なお、表面弾性波Фは、その振動をガラス板32の表面に集中させて伝播するので、ガラス板32の外表面に付着した汚れ101に効率的に振動を伝えて、汚れを除去することができる。
【0044】
つまり、発生した超音波振動fが回折格子40に入射すると、超音波振動fが撮影光軸O方向に向かって、表面弾性波Фとして変換される。この回折格子40により、指向性の高い高周波の超音波振動fであっても、ガラス板32の中心方向(撮影光軸Oが通過する方向)に効率的に表面弾性波Фとして伝播させることが可能となり、外表面に付着した汚れ101を洗浄水と混合させ、一部は霧状となり、また一部は洗浄水とともに押し流すことにより、ガラス板32における観察視野領域Lfの略全面に亘って汚れ101を効率良く確実に除去することが可能となる。
【0045】
また、ガラス板32の外表面の輪郭を形成している外形部である外周部に到達した表面弾性波Фは、さらに、曲面部32aによって、ガラス板32の側面となる外周面に沿って伝播される。なお、本実施の形態の曲面部32aは、表面弾性波Фをガラス板32の外表面に反射して戻らないように、反射表面弾性波Фの波長より大きな曲率半径で面取りされている。
【0046】
そして、ガラス板32の側周面まで伝播された表面弾性波Фは、ガラス板32の外周を保持固定する吸収部となる固定支持部材38によって吸収される。また、回折格子40からガラス板32の観察視野領域Lfとは反対方向に伝播する表面弾性波Фも、同様に曲面部32aに沿ってガラス板32の側周面に伝播され、ガラス板32の外周部で固定支持部材38によって吸収される。
【0047】
なお、ガラス板32の外周部に表面弾性波の反射を抑える曲面部32aを形成しない場合、またはガラス板32に曲面部32aを形成しても固定支持部材38を設けなかった場合、ガラス板32の外表面に回折格子40から観察視野領域Lfに向かう表面弾性波Фと、ガラス板32の外周、または外周内表面で反射された相対的に方向が異なる(おおよそ互いに異なる逆向き)観察視野領域Lfに向かった表面弾性波Фが同時に存在してしまう。その結果、ガラス板32の外表面に付着した汚れ101に対して、互いに向きが逆方向の表面弾性波Фによる振動が同時に作用する場合が生じることになり、これら逆方向の表面弾性波Фが振動を打ち消してしまい、汚れ101の除去性が著しく低下する可能性がある。
【0048】
本実施の形態では、ガラス板32の外表面側の外周部に、ガラス板32の外表面を伝播する表面弾性波Фをガラス板32の側周面へと伝播させる曲面部32aを形成すると共に、ガラス板32の外周に表面弾性波Фを吸収する吸収部となる固定支持部材38を設けることで、汚れ101に対して一方向に表面弾性波が作用して、効率的に汚れを除去することが可能となる。
【0049】
また、本実施の形態では、人体内に接したり、滅菌消毒時に薬品に曝されたりする内視鏡挿入部先端の外表面に表面弾性波Фを吸収するための吸収部材を設ける必要がないという利点もある。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態の内視鏡システム1では、圧電振動子37の超音波振動fを、効率よくガラス板32の中心方向、換言すると撮像モジュール34の観察視野領域Lf中心方向に伝播させ、内視鏡2の撮像モジュール34に対向するガラス板32の外表面、特に観察視野領域Lf内の汚れ101を効率良く除去することができる。
【0051】
特に、格子間隔(格子周期)を、おおよそガラス板32の表面を伝播する表面弾性波の速度を回折格子40に入射する超音波振動fの周波数で除した(割った)値としてあるので、回折格子に入射する超音波振動Φをガラス板32の外表面を伝播する表面弾性波にモード変換することができる。表面弾性波Фは、その振動をガラス板32の表面に集中させて伝播するので、ガラス板32の外表面に付着した汚れ101に効率的に振動を伝えて、汚れを除去することができる。
【0052】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の内視鏡システム1の第2の実施の形態について、図10、および図11に基づいて、以下に詳しく説明する。図10、および図11は、本発明の第2の実施の形態に係り、図10はガラス板を内表面方向からみた、硬性内視鏡の挿入部の断面図、図11は図10のXI−XI線に沿って切断した先端部の断面図である。
【0053】
なお、本実施の形態の説明において、第1の実施の形態にて説明した構成については、同一の符号を付して、構成および作用の説明を省略する。また、以下に説明する本実施の形態の構成は、第1の実施の形態の内視鏡2に対しても勿論適用可能なものである。
【0054】
本実施の形態では、ガラス板32は、内表面側の外周縁辺部分にリング状の吸収部材45が設けられている。この吸収部材45は、ガラス板32の側周面に伝播された表面弾性波Фをガラス板32の内表面縁辺にて確実に吸収して反射しないようにするため、ゴムなどの弾性体から形成されている。
【0055】
例えば、ガラス板32の厚さが薄い場合、固定支持部材38は、肉厚も薄くしなければならず、ガラス板32との接触面積が小さくなってしまう。この場合、固定支持部材38は、ガラス板32の側周面に伝播された表面弾性波Фを完全に吸収しきれない場合がある。ガラス板32の側面で表面弾性波Фが吸収されない場合、ガラス板32の内表面にて表面弾性波Фが反射され、この反射された表面弾性波Фが入射(伝播)経路と逆の経路となるガラス板32の側周面から曲面部32aを介して外表面へと伝播してしまう。
【0056】
そのため、本実施の形態では、上述の第1の実施の形態の効果に加え、吸収部材45をガラス板32の内表面縁辺部分に設けることで、ガラス板32の側周面にて固定支持部材38によって吸収しきれなかった表面弾性波を吸収部材45により吸収して、ガラス板32の外周部へ入射(伝播)経路と逆方向への表面弾性波Фの反射を確実に抑制することができる。
【0057】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の内視鏡システム1の第3の実施の形態について、図12から図16に基づいて、以下に詳しく説明する。図12から図16は、本発明の第3の実施の形態に係り、図12は表面弾性波の伝播を説明するための硬性内視鏡の先端面を示す平面図、図13は図12のXIII−XIII線に沿って切断した先端部の断面図、図14は第1の変形例を示し、表面弾性波の伝播を説明するための硬性内視鏡の先端面を示す平面図、図15は図14のXV−XV線に沿って切断した先端部の断面図、図16は第2の変形例を示し、表面弾性波の伝播を説明するための硬性内視鏡の先端面を示す平面図である。
【0058】
なお、本実施の形態の説明においても、第1の実施の形態にて説明した構成については、同一の符号を付して、構成および作用の説明を省略する。また、以下に説明する本実施の形態の構成は、第1、および第2の実施の形態の内視鏡2に対しても勿論適用可能なものである。
【0059】
本実施の形態のガラス板32は、図12、および図13に示すように、回折格子40を境にして観察視野領域Lfと反対側の外周部が回折格子40の長手方向と平行であって、外表面、および内表面と垂直方向に直線的に削り落とされた反射面を構成する面取り部である平面部32bが形成されている。この平面部32bは、回折格子40に平行な長さが回折格子40の溝部の長手方向の長さ以上となっており、回折格子40の端部から所定の距離L1だけ離れた位置、つまり、表面弾性波Фが到達する所定の距離L1となる位置に形成されており、本実施の形態において表面弾性波Фを反射する反射領域を含んでいる。
【0060】
そして、ガラス板32を挿入部11の先端で固定する固定支持部材38は、ガラス板32の平面部32b全面に面接触して接着剤などを介して固着する段部38aが形成されている。つまり、段部38aは、ガラス板32の厚寸法と略同一の厚みを有して、ガラス板32の平面部32bと面接触している。
【0061】
なお、本実施の形態では、ガラス板32の外表面に伝播する表面弾性波Фがガラス板32の外表面の輪郭を形成している外形部である外形端部(外周部、または平面部32b)に到達する領域を領域A,Bとする。そして、回折格子40の溝部形状が直線の場合は、表面弾性波Фが伝播する方向である格子ベクトルの向きが回折格子40の溝部の長手方向に対して垂直な方向となる。
【0062】
ここでは、ガラス板32の外表面を観察視野領域Lf側に伝播する表面弾性波Фaが到達して、表面弾性波Фaを曲面部32aによって側周面に偏向するガラス板32の外周部分が第1の領域Aとしている。この第1の領域Aは、表面弾性波Фaの反射を抑制するように、ここでは、表面弾性波Фaを偏向して吸収する吸収部を構成する曲面部32a、および固定支持部材38に固定支持される側周面となる。つまり、第1の領域Aを含む吸収領域では、吸収部を備え、上述の各実施の形態と同様に、ガラス板32の曲面部32aで偏向された表面弾性波Фaを側周面で吸収する構成となっている。
【0063】
換言すると、観察視野領域Lf側に形成された回折格子40の溝部の長手方向における両端部の2点から、この溝部の長手方向に直交する方向である格子ベクトルと平行な観察視野領域Lf側に引いた2つの直線が到達するガラス板32の外周部の2点間の円弧状の領域が第1の領域Aとなる。回折格子40から観察視野領域Lf側に放射された表面弾性波Фaは、上記格子ベクトルと平行に直線的に伝播するので、ガラス板32の外周部のうち第1の領域Aのみに到達する。この第1の領域Aに到達した表面弾性波Фaは、吸収部を備えた吸収領域にて反射することなく吸収される。
【0064】
一方、観察視野領域Lf側とは反対側のガラス板32の外表面を伝播して、表面弾性波Фbが到達する平面部32bにおける領域を第2の領域Bとしている。この第2の領域Bは、表面弾性波Фbが平面部32bによって反射される反射部を構成している。つまり、第2の領域Bを含む反射領域では、ガラス板32の平面部32bが外表面に対して略直角(垂直)な平面、つまり、断面形状が略90度(外表面と平面部32bとの成す角が略90度)であるため、到達して平面部32bに入射してきた表面弾性波Фbが反射される構成となっている。
【0065】
換言すると、回折格子40からは観察視野領域Lf方向とは反対側の方向にも表面弾性波Фbが放射される。ここでは、観察視野領域Lf側と反対側に形成された回折格子40の溝部の長手方向における両端部の2点から、この溝部の長手方向に直交する方向である格子ベクトルと平行な観察視野領域Lf側と反対側に引いた2つの直線が到達するガラス板32の平面部32bの2点間の直線状の領域が第2の領域Bとなる。回折格子40から観察視野領域Lf側と反対側に放射された表面弾性波Фbは、上述と同様に、格子ベクトルと平行に直線的に伝播するので、ガラス板32の外周部のうち第2の領域Bのみに到達する。この第2の領域Bに到達した表面弾性波Фbは、平面部32bによる反射領域にて吸収されることなく反射される。
【0066】
なお、ガラス板32の上面から見たとき、平面部32bを含むガラス板32の外形は、第2の領域Bにおいて、回折格子40と平行な形状であることが望ましい。つまり、回折格子40の任意の点から、上述の格子ベクトルと平行に引いた直線が、第2の領域Bにおいてガラス板32の平面部32bと直交し、回折格子40とガラス板32の平面部32bの距離が一定であることが望ましい。
【0067】
さらに、回折格子40と第2の領域Bとの所定の距離L1は、回折格子40の格子周期の1/2の整数倍(格子周期×1/2×n、n=整数)であることが望ましい。このような構成にすることで、第2の領域Bに入射してきた表面弾性波Фbは、入射方向に対して180度となる反対向きに反射され、かつ、反射領域を含むガラス板32の平面部32bからの反射波(表面弾性波Фb)と、回折格子40から観察視野領域Lf側に直接伝播する表面弾性波Фaが振幅を強めあうように重ね合わされるので、平面部32bからの反射波(表面弾性波Фb)も汚れ除去に貢献する。
【0068】
以上の説明から、本実施の形態では、上述の第1の実施の形態の効果に加え、ガラス板32の外表面に付着した汚れ101に対して、さらに効率的に振動を伝えて、確実に汚れを除去することができる。
【0069】
(第1の変形例)
次に、図14、および図15に基づいて、本実施の形態の第1の変形例を説明する。
本変形例では、図14、および図15に示すように、ガラス板32の反射領域を含む平面部32bにおいて、固定支持部材38が面接触して固着される部分が、ガラス板32の肉厚(外表面から内表面までの厚さ寸法)よりも所定の高さ(長さ)H1だけ内表面側に下がった位置となるように構成されている。つまり、固定支持部材38は、上述の段部38aが形成されておらず、ガラス板32の肉厚よりも薄い肉厚(厚さ寸法)を備え、反射面である平面部32bと面接触して固着されて、ガラス板32を固定支持している。また、上記所定の高さH1は、少なくともガラス板32の外表面から表面弾性波Фbの1波長以上の長さ(高さ)が設定されている。
【0070】
なお、表面弾性波Фa,Фbの波長は、圧電振動子37の振動周波数と、ガラス板32を伝播する表面弾性波の音速によって規定されるものである。例えば、圧電振動子37の振動周波数が40MHzのとき、カバーガラスとなる標準的なガラス板32の材質から決まる外表面を伝播する表面弾性波Фa,Фbの音速が約3400m/sとなるので、回折格子40の格子周期(溝部の間隔)が約85μmに設定される。表面弾性波Фa,Фbの波長は格子周期と一致するので、上記所定の高さH1は85μm以上となっている。
【0071】
また、表面弾性波Фbは、伝播するガラス板32の外表面から1波長程度の深さ内にその振動エネルギーの90%以上が集中しているため、ガラス板32の外表面から1波長の間を固定支持部材38と平面部32bとの固定に使用せずに、空気と接している状態にすることで、反射領域である第2の領域Bでの表面弾性波Фbの反射率を上げて振動エネルギーの低減を防止することができるため、第2の領域Bからの反射波(表面弾性波Фb)による汚れ101の除去へ効率を高めることができる。
【0072】
(第2の変形例)
次に、図16に基づいて、本実施の形態の第2の変形例を説明する。
以上に説明した本実施の形態、および各実施の形態の回折格子40の溝部形状が直線の場合は、格子ベクトルの向きは溝部の長手方向に対して垂直な方向となる。
【0073】
本変形例では、図16に示すように、回折格子40を構成する並設される複数の溝部が上面側から見た形状が曲線(円弧状)をしている。このように回折格子40を円弧状の曲線群とすることで、ガラス板32の外表面を観察視野領域Lf側に伝播される表面弾性波Фaが2次元的に拡散するように回折格子40から放射されるようになる。
【0074】
また、回折格子40の上面から見た形状が円弧状の曲線となっている場合には、回折格子40から反射領域となる第2の領域Bまでの所定の距離を一定とするために、ガラス板32の外形一部を外表面と直交する方向へ円弧状に切り欠いた反射面を構成する面取り部である円弧面32cが設けられる。
【0075】
この第2の領域Bにおいて、固定支持部材38は、円弧面32cに面接触するように円弧状の曲線となって突起した形状を有している。このような形状により、回折格子40の任意の点から観察視野領域Lf側と反対方向へ格子ベクトルと平行に引いた直線が第2の領域Bでガラス板32の円弧面32cと直交しているため、表面弾性波Фbが入射方向に対して180度となる反対向きに反射される。
【0076】
回折格子40の形状が円弧状の曲線の場合では、格子ベクトルは溝部の曲線の接線に対して垂直な方向となる。格子ベクトルの方向は表面弾性波Фが伝播する方向であるので、表面弾性波Фは溝部の曲線の接線に対して垂直な方向に伝播する、即ち、観察視野領域Lf側に伝播される表面弾性波Фaは2次元的に拡散するように回折格子40から放射される。その結果、上述した本実施の形態の効果に加え、ガラス板32の外表面において回折格子40の占有面積がより小さい構成としても、ガラス板32の観察視野領域Lf全体に表面弾性波を伝播させることができる。
【0077】
以上に説明した各実施の形態の内視鏡システム1は、第1の実施の形態を基本構成として、第2,第3の実施の形態の構成を組み合わせた構成とすることができる。
【0078】
つまり、各実施の形態に記載した発明は、その実施の形態、および変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
【0079】
例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。
【符号の説明】
【0080】
1・・・内視鏡システム
2・・・内視鏡
3・・・送水シース
4・・・光源装置
5・・・ビデオプロセッサ
6・・・モニタ
11・・・挿入部
31・・・管状部材
32・・・ガラス板
32a・・・曲面部
33・・・ライトガイド
34・・・撮像モジュール
37・・・圧電振動子
38・・・固定支持部材
40・・・回折格子
53・・・圧電振動子加振回路
f・・・超音波振動
Ф・・・反射表面弾性波
Lf・・・観察視野領域
O・・・撮影光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の挿入部先端に撮像用光学系に対向して設けられた透明部材と、
前記透明部材の内表面に貼着された振動子と、
前記透明部材の外表面に設けられ、前記振動子からの超音波振動を、前記透明部材の外表面を伝播する表面弾性波に変換する回折格子と、
前記透明部材の外周部分に設けられ、伝播された前記表面弾性波を外表面とは異なる面へ偏向させて吸収する吸収部と、
を具備することを特徴とする内視鏡装置
【請求項2】
前記吸収部は、前記表面弾性波を前記透明部材の外表面とは異なる面へ偏向させる曲面部を含み、前記曲面部が少なくとも前記表面弾性波が到達する前記透明部材の外表面角部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置
【請求項3】
前記透明部材は、外表面輪郭となる外形部に前記表面弾性波を吸収する第1の領域と、表面弾性波を反射させる第2の領域を有し、前記第1の領域が前記回折格子から観察視野方向の外表面に前記表面弾性波が伝播されて到達する領域であって、前記第2の領域が前記回折格子から観察視野方向と反対方向の外表面に前記表面弾性波が伝播されて到達する領域であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記透明部材は、前記第2の領域において、外表面に伝播されて到達した前記表面弾性波を入射方向と反対方向に反射する反射面が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置
【請求項5】
前記透明部材は、前記表面弾性波を反射する前記反射面が前記外形部の一部が面取りされて形成され、前記反射面を含む側面部が前記挿入部に設けられた固定支持部材に面接触して固着されていることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡装置
【請求項6】
前記透明部材は、外表面と前記反射面との成す角が略90度であることを特徴とする請求項4、または請求項5に記載の内視鏡装置
【請求項7】
前記透明部材は、前記挿入部先端に設けられた固定支持部材と側面部が面接触して固着されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の内視鏡装置
【請求項8】
前記反射面は、外表面から内表面側に前記表面弾性波の1波長以上の距離を有した位置から前記内表面側に向かった面のみが前記固定支持部材と面接触して固着されていることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡装置。
【請求項9】
前記透明部材の内表面の縁辺に配設され、前記表面弾性波を吸収する吸収部材を備えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の内視鏡装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−78454(P2011−78454A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230870(P2009−230870)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】