説明

基板収納装置

【課題】基板収納装置内の基板の撓みを抑制して基板の収納間隙を可及的に広くすることができる基板収納装置を提供する。
【解決手段】基板21を搬送する基板搬送ロボットによって搬入出された基板21を載置する棚22を複数段備え前記基板21を収納する基板収納装置2において、前記基板収納装置2の基板21を載置する棚22に開口部24を設け、前記基板21を浮上させるためのエアを前記開口部24から噴射させるエア供給源と、前記基板21と前記開口部24とを吸着させるために前記開口部24からエアを吸入するエア吸入源と、前記開口部24と前記エア供給源及びエア吸入源とを連通させる配管23a、23bとを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルの製造工程において、液晶基板(以下基板という)を多段に収納する基板収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルの製造工程には、基板に、薄膜形成処理、洗浄処理、レジスト塗布等の基板処理を行なう工程がある。
基板処理工程において基板を搬送する基板搬送ロボットは、例えば、基板を処理する基板処理装置から基板処理装置、または基板処理装置から基板を収納する基板収納装置に基板を搬入出する。
【0003】
図5は、基板搬送ロボット1が基板収納装置20から基板21を搬入出するときの基板収納装置20及び基板搬送ロボット1の斜視図である。
基板搬送ロボット1は、例えば、図5に示すように、ベース機構11と昇降機構12と1組のアーム機構13とアーム機構の先端に軸支されたハンド部材14とを備えている。
【0004】
ベース機構11は、内部に図示しない複数のモータを備えていて昇降機構12を昇降させると共に昇降機構12をZ軸の軸心周りに回動させることができる。
アーム機構13は、昇降機構に軸支された第1のアーム13aと第2のアーム13bとハンド部材14とが連結されて、そのハンド部材14をX1またはX2の方向に移動させる機構である。このアーム機構13もベース機構11内に備えられたモータによって駆動される。
【0005】
また、ハンド部材14は、図示しない真空吸着等の手段によってハンド部材14の上面に基板21を載せて固定させることができる。
【特許文献1】特開2004−42984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板搬送ロボットによって基板を基板収納装置から搬入出する場合、基板収納装置には基板を載置するための棚が設けられてあり、この棚に基板を載置する。
図6及び図7は、図5の装置に用いる基板収納装置の概略模式図であって、基板収納部の断面拡大図である。図6及び図7に示すように基板21の収納間隙は4.7mmないし6.3mm程度と狭く、その狭い間隙に基板をすくい上げて取り出す(または搬入する)ための基板搬送ロボット先端に備えたハンド部材14を挿入し、かつ少し持ち上げた状態で出し入れすることが必要となる。このハンド部材14は、強度や基板受け面の平坦性を確保するために2〜3mm程度の厚さが必要であり、また基板の出し入れ時に基板収納装置20と摺れ合わないように基板を0.2 〜0.5mm程度基板収納装置の基板を載置する棚から浮かした状態で出し入れすることが必要となる。さらに液晶用ガラス基板のサイズは1500mm×1800mm、1800mm×2200mm等であって非常に大きなものであり、基板搬送ロボットは2〜3mm程度の極めて狭い間隙余裕の中を2000mm程の距離を移動しなければならない。
【0007】
近年、液晶基板を用いた装置の大型化にともない、基板のサイズも大型化している。
図6に示すように基板21を搬送する基板搬送ロボットのハンド部材14上に載置された基板21は、基板21の自重によって撓んだ状態となる。基板のサイズが大きく、基板の厚みが薄くなるほど撓みも大きくなる。
また、図7に示すように、基板21を収納する基板収納装置20の棚に基板21が載置された時も同様に基板の自重によって撓むこととなる。
そのために、基板収納装置に収納された基板と基板との収納間隙はさらに狭くなる。
したがって基板搬送ロボットを用いて基板をこの基板収納装置の棚に載置することは極めて困難な作業となる。
【0008】
本発明は以上のような問題点を改善するべく基板収納装置内の基板の撓みを抑制して基板の収納間隙を可及的に広くすることができる基板収納装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明は、基板を搬送する基板搬送ロボットによって搬入出された基板を載置する棚を複数段備え前記基板を収納する基板収納装置において、
前記基板収納装置の基板を載置する棚に開口部を設け、前記基板を浮上させるためのエアを前記開口部から噴射させるエア供給源と、前記基板と前記開口部とを吸着させるために前記開口部からエアを吸入するエア吸入源と、前記開口部と前記エア供給源及びエア吸入源とを連通させる配管とを設けたことを特徴とする基板収納装置である。
【0010】
上記目的を達成するために、第2の発明は、前記配管が前記基板を収納する基板収納装置に内蔵されたことを特徴とする基板収納装置である。
【0011】
上記目的を達成するために、第3の発明は、前記基板が大形の液晶基板からなることを特徴とする基板収納装置である。
【発明の効果】
【0012】
本願発明は、基板収納装置の基板を載置する棚に基板を浮上又は吸着させるためのエアを噴射または吸入するための開口部を設けて、基板を棚に載置するまでは開口部から噴射するエアによって基板を浮上させて基板の撓みを抑制し、基板を棚に載置した時には基板を棚に吸着させることで基板を水平方向に引っ張った状態として基板の自重による撓みを抑制することができる。そのために、収納間隙を可及的に広くすることができ、基板の搬入出作業をよりスムーズに行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[実施の形態1]
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
図1は本発明の基板収納装置の正面断面図であって、部分拡大断面図である。
同図に示すように、基板収納装置2には、エアを循環させるための配管23a、23bが内蔵されており、棚22の基板載置面には基板21の下面にエアを噴射する開口部24が設けられている。その他の構成は従来技術で示した図5に記載の基板処理装置20と同様である。
以上のような構成において、基板搬送ロボットのハンド部材14によって基板21を基板収納装置2の棚22に載置する場合は、図示を省略したエア供給源からエアを供給して、基板21の下面に備えた開口部24からエアを噴射し基板21の撓みを抑制する。これによって、基板の撓みがエアによって抑制され基板の搬入出の際の基板の間隙を可及的に広くすることができ、基板の搬入出をスムーズに行なうことができる。
【0014】
図2は図1と同様に本発明の基板収納装置の正面断面図であって、部分拡大断面図である。
同図に示すように、基板収納装置2には、エアを循環させるための配管23a、23bが内蔵されており、棚22の基板載置面には基板21の下面にエアを吸入する開口部24が設けられている。その他の構成は図1に記載の基板処理装置2と同様である。
以上のような構成において、基板搬送ロボットのハンド部材14によって基板21を基板収納装置2の棚22に載置すると、図示を省略したエア吸入源によって配管23a、23b内のエアを吸入する。ここで、基板21の下面に備えた開口部24上には基板21が載置された状態であり、配管内に滞留するエアは配管内から吸出されるように図示を省略したエア吸入源に吸入される。すなわち、配管内のエアが吸出されると引き続きエア吸入源の吸入力によって開口部24から外部のエアを吸い込むこととなるが、開口部24は基板21と接触しており、その結果、開口部24と基板21は吸着した状態となる。
基板21は開口部24に吸着した状態となることで、水平方向(Y1及びY2の方向)に引っ張った状態を維持することとなる。したがって、基板の自重による撓みを抑制して、収納間隙を可及的に広くすることができ、基板の搬入出をスムーズに行なうことができる。
【0015】
図3は図2の矢印A−A断面図であり、図4は図2のY1方向から基板収納装置2を見たときの側面図であって、一部省略部分拡大図である。
図3及び図4に示すように、例えば、矢印Bから図示を省略したエア供給源によってエアが供給されると、エアは配管23aから配管23b、配管23cと循環して、開口部24から噴出される。
一方、矢印Cからは、図示を省略したエア吸入源によって、配管23a、23b、23c内のエアを吸入する。配管内のエアが吸入されると開口部24からはエアの流れに従って外部のエアを吸い込むこととなる。
以上のように開口部24からはエアが噴射または吸入されが、図3及び図4に示すように、配管23bと23cとの間には各々バルブ25a、25bが設けられており、このバルブ25a、25bによって開口部24にエアを噴射又は吸入させることができる。
すなわち、棚22に基板が載置されると基板21と開口部24とを吸着させるため、エア吸入源からエアを吸入するように、例えば図4に示す矢印Cの方向にエアが吸入されて、配管23aに連通したバルブ25aを開とし、エア供給源に連通したバルブ25bを閉とする。
逆に基板21を棚22上に搬入出する際は、基板21に開口部24からエアを噴射させるために、例えば図4の矢印Bから配管23aを介してエア供給源に連通したバルブ25bを開とし、エア吸入源に連通したバルブ25aを閉とする。
【0016】
ここで、基板搬送ロボットは図示を省略した制御装置によって駆動制御されて、ハンド部材14に載置された基板21を搬入出するが、予め定められた制御プログラムによって基板21を基板収納装置内に搬入出すること及び基板を棚に載置することは制御装置に記憶されており、この制御装置によって前述したバルブの開閉も制御することができる。
したがって、基板を載置した基板搬送ロボットのハンド部材14が基板収納装置に搬入出すると図示を省略した制御装置によって基板21に開口部24からエアを噴射させるためにエア供給源に連通したバルブ25bを開とし、エア吸入源に連通したバルブ25aを閉とする。
基板が棚22に載置されると、基板21と開口部24とを吸着させるため、図示を省略した制御装置によってエア吸入源にエアを吸入するように、エア吸入源に連通したバルブ25aを開とし、エア供給源に連通したバルブ25bを閉とする。
【0017】
なお、本願発明は前述した実施形態に限定されるものではない。
棚22の上面に開口した開口部24は、基板の大きさ、重量等によって適宜の個数を設けることができる。
また、基板処理装置に内蔵された配管は実施形態の位置に限定させるものではなく、基板処理装置の大きさ、形状等によって適宜配設することができ、基板処理装置に内蔵することなく外部に設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の基板収納装置の正面断面図である。
【図2】本発明の基板収納装置の正面断面図である。
【図3】図2の矢印A−A断面図である。
【図4】図2の基板収納装置の側面図である。
【図5】基板収納装置及び基板搬送ロボットの斜視図である。
【図6】基板収納装置の概略模式図である。
【図7】基板収納装置の概略模式図である。
【符号の説明】
【0019】
1 基板搬送ロボット
11 ベース機構
12 昇降機構
13 アーム機構
13a 第1アーム
13b 第2アーム
14 ハンド部材
2 基板収納装置
20 基板収納装置
21 基板
22 棚
23a 配管
23b 配管
23c 配管
24 開口部
25a バルブ
25b バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する基板搬送ロボットによって搬入出された基板を載置する棚を複数段備え前記基板を収納する基板収納装置において、
前記基板収納装置の基板を載置する棚に開口部を設け、
前記基板を浮上させるためのエアを前記開口部から噴射させるエア供給源と、
前記基板と前記開口部とを吸着させるために前記開口部からエアを吸入するエア吸入源と、
前記開口部と前記エア供給源及びエア吸入源とを連通させる配管とを設けた基板収納装置。
【請求項2】
前記配管が前記基板を収納する基板収納装置に内蔵された請求項1に記載の基板収納装置。
【請求項3】
前記基板が大形の液晶基板からなる請求項1又は2に記載の基板収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−96027(P2007−96027A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283936(P2005−283936)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】