説明

導波管配置用の電気−光ギャップセル

本発明は、デバイス層の少なくとも一部に形成された第一光伝送媒体、デバイス層の少なくとも一部に形成された第二光伝送媒体、およびデバイス層の少なくとも一部に形成されたスロットを包含し、該スロットが少なくとも一つの湾曲した縁部を有し、該スロットが該第一および第二伝送媒体に隣接して配置される、導波管配置用の電気−光ギャップ−セルを提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、一般的には光導波管に関し、より詳しくは、光導波管中に配置する電気−光ギャップセルに関する。
【背景技術】
【0002】
フォトニクス、すなわち情報を保存、伝送および/または処理するための光の使用は、日用品や高度の技術製品市場に急速に浸透している。例えば、光学は、多くの都市および地方ネットワークに特に選ばれた伝送媒体である。フォトニクス用途に使用される様々な光学的デバイスは、電子的デバイスと組み合わされるか、またはハイブリッド集積されることが多い。例えば、基材は、光の形態で情報を伝送および/または受信するための一個以上の電子的または光電子的デバイス(例えばトランジスター、抵抗体等)、ならびにレーザー、検出器および一種以上の導波管デバイスを包含することができる。光学的および電子的機能の統合が進むにつれて、光電子的デバイスの機能性も増加することが期待されている。
【0003】
導波管を経由するデータ伝送が関与するある種の光学的通信用途では、導波管中を伝搬する光の位相を変化させることが望ましい場合がある。例えば、1個の導波管中に放たれた光が第二の導波管中を伝搬する光と干渉する光減衰器、スペクトル選択性フィルター、干渉計等には、制御可能な位相調節を使用することができる。しかし、導波管中を伝搬する光の位相を調節する伝統的な方法は、フォトニクスデバイスが電子的デバイスと緊密に統合される用途には、あまり良く適合していない場合がある。
【0004】
光学的導波管中を伝搬する光の位相を制御する伝統的な方法は、導波管の有効屈折率が温度に依存するという事実を利用している。例えば、導波管の温度を増加することにより、導波管の光路長を変化させることができるが、導波管の膨脹も引き起こす。典型的には、光学的導波管の温度を変化させ、それによって、導波管の光路長を変化させるのに、ジュールヒーターが使用される。温度依存性位相制御装置の感度は、導波管材料における路長の熱的係数によって異なる。材料の中には、より大きな熱−光係数を示すものもあるが、これらの材料は、低損失単一モード導波管に成形するのが困難で、光学的導波管に使用するにはあまり適していない場合がある。
【0005】
温度依存性位相制御装置は、基材特性のために包含するのが困難である場合もある。第一に、位相制御の熱−光学的方法は、熱吸収または熱的質量の問題ため、作用する温度の変化に十分迅速に応答できない場合がある。基材上に含まれることもある電子的デバイスと緊密に統合されるためには、そのように造り出される物体の全体的な熱的負荷を考慮する必要がある。第二に、基材上に一個以上の位相制御装置が含まれる場合、熱的クロストークが、温度依存性位相制御装置の正確さ、精細さ、および制御を低下させることがある。温度依存性位相制御装置の位相表示(expression)の範囲も、熱的クロストークにより小さくなることがある。位相表示範囲の低下は、位相制御装置に加えられる温度の範囲を増加することにより、少なくとも部分的に補償できるが、温度範囲を増加すると、典型的にはデバイスのパワー消費も対応して増加する。
【0006】
導波管中を移動する光の位相を調節するために電気−光学的活性材料を使用するスロットを有するモノリシック光導波管が、クラップの特許(米国特許第6,424,755号)に記載されている。この電気−光学的活性材料は、導波管の2つの部分間にある長方形スロット中に配置され、2個の長方形電極が長方形スロット上に配置されている。長方形電極に電圧を印加すると、長方形スロットに漏れ電界(fringing electric field)が形成され、長方形電極に印加される電圧を変化させることにより、電気−光学的活性材料の屈折率を変えることができる。しかし、Clappに記載されているスロットを有するモノリシック光導波管には、多くの欠点がある。例えば、長方形スロットは、多くの鋭い角部を含み、そこに操作の際に応力および/またはひずみが集中し、他の破損モード、例えば静止疲労破壊、材料破損等につながる危険性がある。別の例として、長方形電極は電界が過度に集中する多くの鋭い角部を含む。
【特許文献1】米国特許第6,424,755号
【発明の開示】
【0007】
本発明の一態様として、デバイス層の少なくとも一部に形成された第一光伝送媒体、デバイス層の少なくとも一部に形成された第二光伝送媒体、およびデバイス層の少なくとも一部に形成されたスロットを包含し、該スロットが少なくとも一つの湾曲した縁部を有し、該スロットが該第一および第二伝送媒体に隣接して配置される、導波管配置用の電気−光ギャップ−セルを提供する。デバイスの形成方法も提供する。
【0008】
本発明の別の態様として、位相調節装置用の、内部に、導波管に隣接してスロットが形成されている位相調節素子を提供する。この位相調節素子は、該位相調節素子の少なくとも一部を該スロット中に導入できるように選択された形状を有する基材、該位相調節素子の該一部を該スロット中に導入した時に、導波管の近くになるように基材中に形成された開口部、および該スロットの近くに形成された少なくとも一個の電極を包含する。該位相調節素子は、該開口部中に配置された電気−光学的活性材料も包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、類似の番号が類似の部品を示す添付の図面を参照しながら行う下記の説明により理解することができる。
【0010】
本発明には、様々な修正および選択できる形態が可能であるが、図面には本発明の具体的な実施態様を示し、ここで詳細に説明する。しかし、無論、この具体的な実施態様の説明は、本発明をここに開示する特定の形態に限定するものではなく、反対に、請求項に規定する本発明の精神および範囲内に入るすべての修正、均等物および代替物を含む。
【0011】
本発明の代表的な実施態様を以下に説明する。明瞭にするために、本明細書では、現実的な実施態様のすべての特徴を説明してはいない。無論、そのようなすべての現実的な実施態様の展開では、開発者の特別な目標を達成するために、多くの実施態様に特別な決定を行うこと、例えば実施態様毎に異なる装置や仕事に関する制約に従うことが必要である。その上、開発努力は複雑で時間を要するが、当業者が通常行うそのような開発に対して本開示の有益性は評価されるであろう。
【0012】
図1Aは、第一の代表的な位相調節装置100の一実施態様の透視図を概念的に例示する。例えば、この第一の代表的な位相調節装置100は、一個以上の光学的デバイス、例えば光減衰器、スペクトル選択的フィルター、干渉計等に使用される光制御できる位相調節を導入するのに使用できる。例示する実施態様では、この分野で一般的にクラッド層、導波管コア、導波管層、緩衝体、下側クラッド、等と呼ばれるデバイス層110中に、一個以上の導波管部分105(1−2)が形成されている。当業者には公知の他の製造方法を使用して形成される別の実施態様では、クラッド層は半導体または他の材料、例えば重合体でよく、シリコンまたは他の材料等の基材120上に形成される。例えば、クラッド層は、ガラスまたは重合体で形成することができる。無論、位相調節装置100の形状は一例であり、別の実施態様としては、位相調節装置100は、他の部品を含むことができる。例えば、以下に詳細に説明する様に、位相調節装置100は、当業者には良く知られている、リング共振器、格子、ウィスパリング・ギャラリー(whispering gallery)モード物体、フォトニッククリスタル等を包含する様々な異なった光伝送媒体を含むことができる。
【0013】
例示する実施態様に示す導波管部分105(1−2)は、デバイス層110の屈折率よりも大きい屈折率を有する材料から形成される。例えば、導波管部分105(1−2)は、屈折率が約1.4557であるドーピングしたシリカから形成し、デバイス層110は、屈折率が約1.445である、ドーピングした、またはドーピングしていないシリカから形成することができる。別の実施態様では、導波管部分105(1−2)およびデバイス層110は、いずれかの望ましい材料から形成することができる。一実施態様では、デバイス層110は、少なくとも一部、導波管部分105(1−2)の下に形成された下側クラッド層(図には示していない)および少なくとも一部、導波管部分105(1−2)の上に形成された上側クラッド層(図には示していない)を含むことができる。一実施態様では、上側クラッド層および下側クラッド層は、屈折率が等しくなくてよい。
【0014】
例示する実施態様では、スロット130が、導波管部分105(1−2)の末端が、デバイス層110中に形成されたスロット130の近傍となるように、層110の中に切り込む、切断する、またはエッチングすることができる。一実施態様では、スロット130の横縁部150(1−2)で導波管部分105(1−2)中を伝搬する信号によるエバネッセントフィールド振幅が、ピーク値の−40dB未満になるように、スロット130を切り込む。しかし、スロット130の正確な位置および横縁部150(1−2)における望ましいエバネッセントフィールド振幅は、設計で選択する事項である。一実施態様としては、導波管中でいずれかの方向に伝搬する好ましくない光から生じる反射を抑制するように、導波管部分150(1−2)およびスロット130が相対的な角度で形成されてなる。
【0015】
図1Bは、第一位相調節装置100の一実施態様を上から下に向かって見た図を概念的に示す。例示する実施態様では、スロット130は、デバイス層110中のいわゆる「ダンベル形状」の開口部である。しかし、別の実施態様では、スロット130は、どのような所望の形状を有する開口部でもよい。特に、スロット130は、スロット130の一個以上の縁部が湾曲しているように形成することができる。例えば、スロット130は、スロット130の一個以上の縁部が、デバイス層110の表面に対してほぼ平行な方向の平面でゼロではない曲率半径を有するように形成することができる。スロット130を上記のように設けることにより、操作の際に製造されるスロット130を取り囲む材料に対する応力および/またはひずみを下げることができ、これによって静止疲労破壊、材料破損等の破損様式が起こる可能性を少なくすることができる。
【0016】
本発明の実施に必要という訳ではないが、スロット130の一個以上の表面を処理し、一個以上の表面の特性を追加、除去、または変更することができる。一実施態様では、スロット130の一個以上の表面を処理し、スロット130の表面の一つ以上で、またはスロット130中に挿入される別の素子上で、好ましい分子配列(preferred molecular orientation)を形成することができる。別の一実施態様では、十分に浸透する重合体マトリックス、炭素ナノチューブ、および補助ドーピング剤の少なくとも一種を、スロット130中に挿入された材料から形成するか、または送達して、スロット130の表面の一つ以上と相互作用させることができる。別の実施態様で使用できるスロット130の他の処理としては、表面エネルギーを変化させる前処理、例えばシランおよび/または誘導体、および光学的材料中で、および/または別に調製される、スロット130の表面に移動する添加剤、がある。別の実施態様では、スロット130は、有益な特性、例えば高い電気−光学的および/または非直線的光学特性および/または好ましい蛍光および/または発光特性、を導入するように設計された、発色団、安定剤、屈折率調整剤、または他の試剤で処理することができる。
【0017】
図1Aおよび1Bに示すように、一対の電極140(1−2)をデバイス層110の上に、各電極140(1−2)の一部がスロット130の横縁部150(1−2)のそれぞれの一方に実質的に隣接するように、形成することができる。例示する実施態様では、電極140(1−2)は、電極140(1−2)の一つ以上の縁部が湾曲するように、フック形状に湾曲している。一実施態様では、電極140(1−2)は、一個以上の縁部が、層110の平面でゼロではない曲率半径を有するように形成される。しかし、別の実施態様では、より多くの、またはより少ない電極140(1−2)をデバイス層110の上に形成することができ、電極140(1−2)は、どのような所望の形状でも有することができる。さらに、以下に詳細に説明するような様々な他の実施態様では、電極140(1−2)の部分をスロット130の中に形成または導入することができる。例えば、電極140(1−2)は、デバイス層110の上に形成することはなく、代わりに、スロット130の中に(または実質的に中に)形成または導入することができる。
【0018】
一実施態様では、スロット130は、電気−光学的活性材料(図には示していない)で充填することができる。当業者には明らかなように、スロット130中の電気−光学的活性材料の分子軸は、電極140(1−2)に印加する相対的な電位を変えることにより、調節することができる。例えば、分子軸の向きは、電気−光学的活性材料の屈折率がほぼ最大にある向きから、電気−光学的活性材料の屈折率がほぼ最小にある向きに変えることができる。別の例として、複屈折性電気−光学的活性材料の偏極に依存する屈折率を、電極140(1−2)に印加する電位を変えることにより、変化させることができる。その結果、スロット130を通って伝搬する光の位相、振幅、および/または偏極を調節することができる。
【0019】
一実施態様では、電気−光学的活性材料は、スロット130の中に導入できる液体でよい。例えば、電気−光学的活性材料は、液晶、高分子分散した液晶、異種高分子が互いに絡みあった網目、等でよい。重合体分散した液晶は、別の実施態様では、炭素系重合体、不均質分子系、シロキサン、はしご形シロキサン、ケイ素含有重合体、デンドリマー、超分子状構造等でよい。あるいは、以下に詳細に説明するように、電気−光学的活性材料は、スロット130中に挿入できる別の素子の一部でもよい。
【0020】
図2は、層220中に形成された電極200(1−4)およびスロット210(1−2)の画像を示す。例示する実施態様では、電極200(1−2)およびスロット210(1)は、第一導波管(図には示していない)用の第一位相調節装置225(1)一部であり、電極200(3−4)およびスロット210(2)は、第二導波管(図には示していない)用の第二位相調節装置225(2)一部である。上記のように、電極200(1−4)およびスロット210(1−2)の一つ以上の縁部は、湾曲していることができる。例えば、電極200(1−4)および/またはスロット210(1−2)の一つ以上の縁部は、層110の平面でゼロではない曲率半径を有することができる。
【0021】
図3A−Eは、電極140(1−2)の別の配置を有する位相調節装置100の4つの別の実施態様を概念的に示す。図3Aは、導波管部分105(1−2)に対してほぼ直角の方向で見た、電極140(1−2)の第一の選択できる配置を有する、位相調節装置100の第一の選択できる実施態様を示す。図3Aに示す第一の実施態様では、各電極140(1−2)の第一部分300は、クラッド層110および隣接するスロット130の上に形成されている。電極140(1−2)の第二部分305は、クラッド層110に隣接して、スロット130の内側に形成されている。一実施態様では、電極140(1−2)の第一部分300は、電極140(1−2)の第二部分305と同じ材料で形成することができる。例えば、電極140(1−2)の第一および第二部分300、305は、金属、金属酸化物等で形成することができる。別の一実施態様では、電極140(1−2)の第一部分300は、電極140(1−2)の第二部分305と同じ材料で形成しなくてもよい。例えば、電極140(1−2)の第二部分305は、導波管面を覆い、伝搬する信号が中を通過できる、電極を形成するための、酸化インジウムスズまたは他の、実質的に透明な導電性材料で形成することができる。
【0022】
図3Bは、導波管105(1−2)の軸に沿って見た、電極140(1−2)の第一実施態様を概念的に示す。光が電極140(1−2)を通って移動できるように、電極140(1−2)中の開口部310を、導波管部分105(1−2)の末端に隣接して設けることができる。一実施態様では、開口部310により、導波管部分105(1−2)が電極140(1−2)の中を通ることができる。しかし、別の実施態様では、導波管部分105(1−2)は、電極140(1−2)の中を通らなくてもよい。電極140(1−2)の第一の配置によって、スロット130中に実質的に水平な電界を備えてもよい。
【0023】
図3Cは、導波管部分105(1−2)に対してほぼ直角の方向で見た、電極140(1−2)の第二の選択できる配置を有する、位相調節装置100の第二の選択できる実施態様を示す。図3Cに示す第二の実施態様では、第一電極140(1)は、クラッド層110およびスロット130の上に形成されている。第二電極140(2)は、クラッド層110の下で、スロット130の下に形成されている。例えば、第二電極140(2)は、基材120の上にクラッド層110を形成する前に、基材120の中に形成することができる。この電極140(1−2)の第二の配置により、スロット130中実質的に垂直な電界を備えてもよい。
【0024】
図3Dは、導波管部分105(1−2)に対してほぼ直角の方向で見た、電極140(1−2)の第三の選択できる配置を有する、位相調節装置100の第三の実施態様を示す。図3Dに示す第三の実施態様では、電極140(1−2)は、キャリヤー320にカップリングされている。一実施態様では、電極140(1−2)およびキャリヤー320は、所望により、位相調節装置100を形成する前に組み立て、次いで位相調節装置100の中に挿入することができる。この電極140(1−2)の第三の配置により、スロット130中に実質的に水平な電界を備えてもよい。
【0025】
図3Eは、導波管部分105(1−2)に対してほぼ直角の方向で見た、電極140(1−2)の第四の選択できる配置を有する、位相調節装置100の第四の実施態様を示す。図3Eに示す第四の実施態様では、電極140(1−2)は、クラッド層110の中に、導波管部分105(1−2)に対して実質的に直角に形成される。例えば、電極140(1−2)は、クラッド層110の中に偏って(vias)形成することができる。この電極140(1−2)の第四の配置により、スロット130中に実質的に水平な電界を与えてもよい。
【0026】
図4は、第二の代表的な位相調節装置400の一実施態様を概念的に示す。図4に示す実施態様では、導波管部分410(1−2)の少なくとも一部が、スロット130の横縁部150(1−2)に対してほぼ平行に向いており、それによって、導波管部分410(1)の中を伝搬する光の画分を導波管部分410(2)に伝送することができる。例えば、第二の代表的な位相調節装置400は、連結波(coupled wave)デバイス、例えば平らな導波管、マッハツェンダー干渉計等でよい。導波管部分410(1−2)の末端はスロット130の近傍にあってよい。しかし、これは、本発明の実施に必要というわけではなく、別の実施態様においては、導波管部分410(1−2)の末端はスロット130の近傍になくてもよい。
【0027】
図1の第一の代表的な位相調節装置100におけるように、第二の位相調節装置400中のスロット130は、スロット130の横縁部150(1−2)で導波管部分410(1−2)中を伝搬する信号によるエバネッセント場振幅が、ピーク値の−40dB未満になるように、スロット130を切り込む、エッチングする、または切断することができる。しかし、スロット130の正確な位置および横縁部150(1−2)における望ましいエバネッセント場振幅は、設計で選択する事項である。
【0028】
図5A−Eは、第二の代表的な位相調節装置400の5つの選択できる実施態様を概念的に示す。光を導波管部分410(1)から導波管部分410(2)に伝送させる代わりに、図5A−Eに示す5つの選択できる実施態様は、光を導波管部分410(1)から、良く知られている保存、集積、および/または伝送用の様々な光学的デバイスに伝送することができる。図5A−Eで、導波管部分410(1)は、少なくとも一部がスロット130の横縁部150(1)に対してほぼ平行になるように向けられている。図5Aでは、リング共振器420が、スロット130の横縁部150(2)の近くに配置されている。図5Bでは、ウィスパリング・ギャラリー物体430が、スロット130の横縁部150(2)の近傍に配置されている。図5Cでは、格子440、例えば回折格子、が、スロット130の横縁部150(2)の近傍に配置されている。図5Cでは、フォトニック素子450、例えばフォトニッククリスタルまたはフォトニック帯域−ギャップデバイス、が、スロット130の横縁部150(2)の近傍に配置されている。図5Eでは、第一リング共振器420が、スロット130の横縁部150(2)の近くに配置されている。第二スロット450が第一リング共振器420と第二リング共振器470との間に配置され、導波管部分410(1)中を伝搬する光の第一画分が第一リングおよび共振器420に伝送され、光の第二画分が第二リングおよび共振器420に、およびその逆に伝送される。
【0029】
図6は、スロット130の中に挿入できる位相調節素子600の一実施態様を概念的に示す。例えば、位相調節素子600は、滑らせることにより、スロット130の中に挿入する、およびスロット130から取り出すことができる。一実施態様では、位相調節素子600は、マイラー(Mylar)、シリコーン等の材料から形成することができる基材610を包含する。基材610の中に開口部620を形成することができる。開口部620は、位相調節素子600をスロット130の中に挿入した時に、開口部620が導波管に実質的に隣接し、導波管と実質的に整列するように、基材610の中に形成することができる。このように配置された時、導波管中を伝搬する光の少なくとも一部は、開口部620を通過することができる。
【0030】
電気−光学的活性材料を開口部620中に配置することができる。上記のように、様々な実施態様で、電気−光学的活性材料は、液晶、高分子分散した液晶、重合体安定化させた液晶、異種高分子が互いに絡み合った網目等でよい。各種の別の実施態様では、スロット130中に導入される位相調節素子600は、スロット130中に導入した時に、より一層電気−光学的になる材料を含んでなる。
【0031】
本発明の実施に必要という訳ではないが、一個以上の電極630(1−4)は、基材の中または上に形成することができる。一実施態様では、電位を電極630(1−4)に与え、上記のように分子軸を配向させることができる。1本以上の導電性トレース(図には示していない)をクラッド層110中に形成し、次いで例えばはんだ付けにより、電極630(1−4)と電気的に接続することができる。当業者には明らかなように、より多くの、またはより少ない電極630(1−4)を、基材の中または上に形成することができる。さらに、電極630(1−4)は、基材610上のどの、所望の位置にでも配置することができる。特に、電極630(1−4)は、開口部620中を縁取る電界の所望の向きを与えることができる。一実施態様では、電極630(1−4)は、図1A−Bに示す電極140(1−2)を置き換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1A】第一の代表的な位相調節装置の一実施態様を概念的に例示する。
【図1B】第一の代表的な位相調節装置の一実施態様を概念的に例示する。
【図2】図1Aおよび1Bに例示するような、第一の代表的な位相調節装置の埋め込んだ導波管構造中に形成された電極およびスロットの画像を示す。
【図3A】電極の4種類の選択できる実施態様を概念的に例示したものである。
【図3B】電極の4種類の選択できる実施態様を概念的に例示したものである。
【図3C】電極の4種類の選択できる実施態様を概念的に例示したものである。
【図3D】電極の4種類の選択できる実施態様を概念的に例示したものである。
【図3E】電極の4種類の選択できる実施態様を概念的に例示したものである。
【図4】第二の代表的な位相調節装置の一実施態様を概念的に例示する。
【図5A】第二の代表的な位相調節装置の、5種類の選択できる実施態様の一つを概念的に例示したものである。
【図5B】第二の代表的な位相調節装置の、5種類の選択できる実施態様の一つを概念的に例示したものである。
【図5C】第二の代表的な位相調節装置の、5種類の選択できる実施態様の一つを概念的に例示したものである。
【図5D】第二の代表的な位相調節装置の、5種類の選択できる実施態様の一つを概念的に例示したものである。
【図5E】第二の代表的な位相調節装置の、5種類の選択できる実施態様の一つを概念的に例示したものである。
【図6】図1A、Bおよび図4に示す第一または第二の代表的な位相調節装置で使用できる位相調節素子の一実施態様を概念的に例示したものである。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイス層の少なくとも一部に形成された第一光伝送媒体、
前記デバイス層の少なくとも一部に形成された第二光伝送媒体、および
前記デバイス層の少なくとも一部に形成されたスロット
を含んでなり、
前記スロットが、少なくとも一つの湾曲した縁部を有し、前記第一および第二伝送媒体に隣接して配置されてなる、装置。
【請求項2】
前記スロットが、ゼロではない曲率半径を有する少なくとも一つの縁部を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ゼロではない曲率半径を有する少なくとも一つの縁部が、基材の表面に対して実質的に平行な平面中に、ゼロではない曲率半径を有する少なくとも一つの縁部を含んでなる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第一光伝送媒体が導波管を形成してなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記導波管が、前記スロットの横縁部に対してほぼ直角に配置されてなる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記導波管の末端が、前記スロットの横縁部の近傍にある、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記導波管中でいずれかの方向に伝搬する好ましくない光から生じる反射を抑制するように、前記導波管および前記スロットが相対的な角度で形成されてなる、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記導波管の少なくとも一部が、前記スロットの横縁部に対してほぼ平行に配置されてなる、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記第二光伝送媒体が、導波管、リング共振器、ウィスパリング・ギャラリーモードの物体、空胴を規定した格子、フォトニック結晶、およびフォトニック帯域−ギャップ物体の少なくとも一つである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
第三光伝送媒体をさらに含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第三光伝送媒体が、導波管、リング共振器、ウィスパリング・ギャラリーモードの物体、空胴を規定した格子、フォトニック結晶、およびフォトニック帯域−ギャップ物体の少なくとも一つである、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記スロットが、位相調節素子を受けるように適合されてなる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記位相調節素子が、
位相調節素子を前記スロット中に挿入できるように選択された形状を有する基材と、
位相調節素子を前記スロット中に挿入した時に、前記導波管の近くになるように前記基材中に形成された開口部と、
前記開口部中に配置された電気−光学的活性材料と、
を含んでなる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも一個の電極が前記基材上に配置されてなる、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記位相調節素子の前記基材上に配置された少なくとも一個の電極に連結された少なくとも一個の伝導性素子をさらに含んでなる、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記位相調節素子が、前記スロット中に導入された電気−光学的活性液体を含んでなる、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記スロット中に導入された前記位相調節素子が、前記スロット中に導入すると次第に電気−光学的になる材料を含んでなる、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
異種高分子が互いに絡み合ったマトリックス、炭素ナノチューブ、補助ドーピング剤、および導入材料により行われる表面処理の少なくとも一種を与えるように、前記スロットの表面が変性されてなる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記スロットの表面が、好ましい分子配列を有してなる、請求項1〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記スロットの近傍に配置された少なくとも一個の電極をさらに含んでなり、前記少なくとも一個の電極が、前記スロット中に可変電界の少なくとも一部を与えるように適合されてなる、請求項1〜19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記少なくとも一個の電極が、少なくとも一つの湾曲した電極縁部を有する、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記少なくとも一個の電極が、少なくとも一つの、ゼロではない曲率半径を有する電極縁部を有する、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記ゼロではない曲率半径を有する少なくとも一つの電極縁部が、誘電層の表面に対して実質的に平行な面中に、ゼロではない曲率半径を有する少なくとも一つの電極縁部を含んでなる、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
基材、
前記基材上に形成されたデバイス層、
前記デバイス層の少なくとも一部に形成された導波管、
前記デバイス層の少なくとも一部に形成されたスロット、
前記スロットの近くに配置された少なくとも一個の電極、および
前記スロット中に配置された位相調節素子
を含んでなり、
前記スロットが、前記デバイス層の表面に対して実質的に平行な面中に、ゼロではない曲率半径を有する少なくとも一つの縁部を有し、前記スロットにより、前記導波管中を伝搬する光の少なくとも一部が前記導波管から別の伝送媒体に伝送され、前記少なくとも一個の電極が、前記デバイス層の表面に対して実質的に平行な面中に、ゼロではない曲率半径を有する少なくとも一つの電極縁部を有し、前記スロット中に可変電界の少なくとも一部を与えることができる、装置。
【請求項25】
前記位相調節素子が、
前記位相調節素子を前記スロット中に挿入できるように選択された形状を有する基材、
前記位相調節素子を前記スロット中に挿入した時に、前記導波管の近傍になるように前記基材中に形成された開口部、および
前記開口部中に配置された電気−光学的活性材料
を含んでなる、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
少なくとも一個の電極が前記位相調節素子の前記基材上に配置されている、請求項24または25に記載の装置。
【請求項27】
前記スロットにより、前記導波管中を伝搬する光の少なくとも一部が、前記導波管から、導波管、リング共振器、ウィスパリング・ギャラリーモードの物体、空胴を規定した格子、フォトニック結晶、およびフォトニック帯域−ギャップ物体の少なくとも一つに、伝送される、請求項24〜26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
デバイス層の少なくとも一部に第一光伝送媒体を形成し、
前記デバイス層の少なくとも一部に第二光伝送媒体を形成し、そして
前記デバイス層の少なくとも一部にスロットを形成する、ことを含んでなり、
前記スロットが、少なくとも一つの湾曲した縁部を有し、前記スロットが、前記第一および第二伝送媒体に隣接して配置される、方法。
【請求項29】
前記第一光伝送媒体の形成工程が、前記スロットの横縁部に対してほぼ直角に向いている導波管を形成することを含んでなる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記スロットの形成工程が、前記導波管の末端が前記スロットの横縁部の近傍なるように前記スロットを形成することを含んでなる、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
前記第一光伝送媒体の形成工程が、導波管を形成することを含んでなり、前記導波管の少なくとも一部が、前記スロットの横縁部に対してほぼ平行に配置されてなる、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記第二光伝送媒体の形成工程が、導波管、リング共振器、ウィスパリング・ギャラリーモードの物体、空胴を規定した格子、フォトニック結晶、およびフォトニック帯域−ギャップ物体の少なくとも一つを形成することを含んでなる、請求項28〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
第三光伝送媒体を前記基材中に形成することをさらに含んでなる、請求項28〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記スロット中に電気−光学的活性素子を配置することをさらに含んでなる、請求項28〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記スロット中に電気−光学的活性素子を配置する工程が、液晶および重合体分散した液晶の少なくとも一種を前記スロット中に導入することを含んでなる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記スロット中に電気−光学的活性素子を配置する工程が、位相調節素子を前記スロット中に挿入することを含んでなる、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
異種高分子が互いに絡み合ったマトリックス、炭素ナノチューブ、および補助ドーピング剤の少なくとも一種を、前記スロット中に導入された前記光学的媒体中に形成することをさらに含んでなる、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記異種高分子が互いに絡み合ったマトリックス、前記炭素ナノチューブ、および前記補助ドーピング剤の少なくとも一種がスロットの表面に伸びている、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
シラン、シラン誘導体、スロットの表面へ移動し得る添加剤、発色団、安定剤、および屈折率調整剤の少なくとも一種を使用して、前記スロットを処理することをさらに含んでなる、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも一個の電極が、前記スロット中に可変電界の少なくとも一部を与えることができるように、前記スロットの近傍に、少なくとも一個の湾曲した縁部を有する少なくとも一個の電極を配置することをさらに含んでなる、請求項28〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
装置内部の、導波管の近傍にスロットが形成されてなる位相調節装置に使用する位相調節素子であって、
前記位相調節素子の少なくとも一部を前記スロット中に導入できるように選択された形状を有する基材、
前記位相調節素子の前記部分を前記スロット中に導入した時に、前記導波管の近傍になるように前記基材中に形成された開口部、
前記開口部の近傍に形成された少なくとも一個の電極、および
前記開口部中に配置された電気−光学的活性材料
を含んでなる、位相調節素子。
【請求項42】
前記電気−光学的活性材料が、液晶、超分子状構造、および光学的活性媒体の少なくとも一種を含んでなる、請求項41に記載の位相調節素子。
【請求項43】
前記電気−光学的活性材料が、高分子マトリックスおよび異種高分子が互いに絡み合った網目の少なくとも一種の中に配置されてなる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記高分子が、炭素系重合体、不均質分子系、シロキサン、はしご形シロキサン、ケイ素含有重合体、デンドリマー、および超分子状構造の少なくとも一種を含んでなる、請求項43に記載の位相調節素子。
【請求項45】
前記電気−光学的活性材料の屈折率が、印加された電界に応答して変化し得る、請求項41に記載の位相調節素子。
【請求項46】
前記電気−光学的活性材料が複屈折性である、請求項41に記載の位相調節素子。
【請求項47】
前記複屈折性電気−光学的活性材料の屈折率の向きが、印加された電界に応答して変化し得る、請求項46に記載の位相調節素子。
【請求項48】
前記位相調節素子が、前記スロットから取り外し可能である、請求項41に記載の位相調節素子。
【請求項49】
装置内部の、導波管の近傍にスロットが形成されてなる位相調節装置に使用する位相調節素子を製造する方法であって、
前記位相調節素子の少なくとも一部を前記スロット中に導入できるように選択された形状を有する基材を形成し、
前記位相調節素子を前記スロット中に導入した時に、前記導波管の近くになるように前記基材中に開口部を形成し、
前記開口部の近くに少なくとも一個の電極を形成し、そして
前記開口部中に電気−光学的活性材料を堆積させる、ことを含んでなる、方法。
【請求項50】
前記電気−光学的活性材料の堆積工程が、液晶、重合安定化された液晶、および高分子分散した液晶の少なくとも一種を前記開口部中に堆積させることを含んでなる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記選択された形状を有する基材を形成する工程が、前記位相調節素子を前記スロットから取り外せるように、前記基材を形成することを含んでなる、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記基材の形成工程が、マイラー(登録商標)およびシリコーンの少なくとも一種から前記基材を形成することを含んでなる、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも一個の電極を形成する工程が、選択された配向の漏れ電界の少なくとも一部を前記開口部中に与えることができる、複数の電極を形成することを含んでなる、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
添付図面を参照しながら実質的に本明細書で説明した、請求項1に記載の装置。
【請求項55】
添付図面を参照しながら実質的に本明細書で説明した、請求項28に記載の方法。

【図2】
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【図4】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−516462(P2007−516462A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520016(P2006−520016)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003108
【国際公開番号】WO2005/010578
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(502053328)ダウ・コーニング・コーポレイション (12)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2200 West Salzburg Road, Midland, MI 48611ー0994, U.S.A.
【Fターム(参考)】