説明

小型プリント配線板の製造方法、小型プリント配線板、小型プリント配線板からなる整流子、並びにその整流子を用いた小型整流子モータ

【課題】打ち抜き加工における配線パターンのクラック、箔浮き、剥がれ等の損傷の発生や、突起部の折れ、割れ等の損傷の発生を軽減又は解消可能な小型プリント配線板の製造方法、及び、小型プリント配線板を提供する。
【解決手段】小型プリント配線板からなるプリント配線整流子10の突起部14の整流子面側には、ソルダーレジストにより付加パターン18が形成される。付加パターン18は、最高面18aが、整流子セグメント16の表面16aの絶縁基材11からの高さよりも高く、最低面18bが、整流子セグメント16の表面16aの絶縁基材11からの高さよりも低くなるように形成されており、付加パターン18の最高面18aと最低面18bとの段差d1は、整流子セグメント16の表面の絶縁基材11からの高さ(すなわち、整流子セグメント16の厚み)tよりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型プリント配線板の製造方法、小型プリント配線板、及び、小型プリント配線板からなる整流子並びにその整流子を用いた小型整流子モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、母材基板の部分領域から形成される小型プリント配線板が知られており、このような小型プリント配線板は、通常、母材基板上に設けられ、所定の配線パターンが形成された各部分領域を、プレス加工機を用いて母材基板から打ち抜くことにより製造される。このような小型プリント配線板の典型的な例として、小型整流子モータ用のプリント配線整流子が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−309004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、プリント配線板は、外形等の加工をプレス加工機による打ち抜きによって実施する際に、加工部付近の配線パターンにクラック、浮き、剥がれ等の損傷が生じることを回避するため、配線パターンを打ち抜き加工部から所定の間隔だけ逃がして形成する構造となっている。しかしながら、上述したような小型プリント配線板の場合には、寸法上そのような逃げを設けることができず、外周等の打ち抜き加工部に隣接させて配線パターンを形成することが多く、このような配線パターンの打ち抜き加工における損傷が問題となっていた。又、特定の用途によっては、小型プリント配線板の外周を、突起部等を有する比較的複雑な形状に加工する必要があり、突起部等に設けた配線パターンに損傷が発生したり、突起部自体に折れ、割れ等の損傷が発生し易いため、製品の歩留まりを低下させる要因となっていた。
【0005】
この点について、図7を参照して、小型プリント配線板からなる整流子(プリント配線整流子)100を例として詳述する。ここで、図7において、(a)はプリント配線整流子100を一方の主面側から見た平面図、(b)は他方の主面側から見た平面図、(c)は(a)のA−A断面図である。
【0006】
図7に示すように、プリント配線整流子100は、略円板状に形成され、その中央部には、モータのシャフトが装着される貫通穴103が設けられている。又、プリント配線整流子100の外周102は、半径方向外方に突出する6個の突起部104を有している。図7(a)に示すように、プリント配線整流子100の一主面側には、略扇形の配線パターン106として形成される6個の整流子セグメントが、各突起部104に隣接するように配置されている(以下、図7(a)側の主面を整流子面ともいう)。又、図7(b)に示すように、各突起部104の整流子面の裏面側は、その全面が配線パターン110として形成されており、後述するように、この配線パターン110は、モータの電機子コイルのリード線との接続部として用いられる(以下、図7(b)側の主面を接続面ともいう)。
【0007】
そして、各整流子セグメント106は、スルーホール114によって、それぞれ隣接する突起部104の接続部110に接続され、更に、半径方向に対向する一対の整流子セグメント106(したがって、それぞれ隣接する接続部110)は、配線パターン112、スルーホール118によって互いに接続されている。又、プリント配線整流子100の接続面の接続部110を除いた部分(円周105の内部)には、全面にソルダーレジスト116(図7(c)参照)が形成されている。
【0008】
プリント配線整流子100の各突起部104には、図7(c)に示すように、電機子コイルのリード線119が絡げられ、このリード線119を接続部110に溶接又は半田付けすることによって、電機子コイルと各整流子セグメント106とが接続される。このように、プリント配線板100の外周102に突起部104を設け、リード線119と各整流子セグメント106との接続を、整流子面の裏面側の接続部110で実施するのは、プリント配線整流子100のサイズが小さいことにより、溶接又は半田付けによって発生する不純物等の影響が整流子セグメント106に及ばないようにするための処置である。この際、突起部104の整流子面側は、配線パターンが不要であるため、スルーホール114の周囲を除いて絶縁基材101が露出している。
【0009】
尚、プリント配線整流子100において、配線パターン112は、銅箔層107及び銅めっき層109の各層からなり、整流子セグメント106及び接続部110には、銅箔層107、銅めっき層109の上にニッケル/金めっき層111が積層されている。又、スルーホール114は、導体ペースト113等を充填することにより穴埋めされている。
【0010】
以上のように構成されたプリント配線整流子100では、母材基板からプレス加工により打ち抜く際に、特に、突起部104に形成された配線パターンである接続部110に、クラック、箔浮き、剥がれ等の損傷が発生したり、突起部に折れ、割れ等の損傷が発生し易いという課題があった。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、打ち抜き加工における配線パターンのクラック、箔浮き、剥がれ等の損傷の発生や突起部の折れ、割れ等の損傷の発生を軽減又は解消可能な小型プリント配線板の製造方法、及び、小型プリント配線板を提供することを目的とする。
【0012】
又、本発明は、打ち抜き加工における配線パターンのクラック、箔浮き、剥がれ等の損傷の発生や突起部の折れ、割れ等の損傷の発生を軽減又は解消可能な小型プリント配線板からなる整流子、及び、その整流子を用いた小型整流子モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記の課題に対して、小型プリント配線板の主面において、配線パターンが形成された部分と、基材が露出している部分との間に、配線パターンの厚み分の段差(例えば、図7(c)に示す段差D’)が存在することに着目して鋭意検討を行ったところ、小型プリント配線板の打ち抜き工程において、上記段差のために小型プリント配線板の外周付近に過大な応力が作用する余地が生じ、その結果、外周付近に過大な変形が発生することが、配線パターン損傷の一つの要因であることを見出した。そして、この知見に基づいて更に検討を重ねた結果、以下に記載した本発明に係る小型プリント配線板の製造方法、及び、小型プリント配線板の発明に至り、本発明の課題を解決することができた。又、これによって、本発明に係る整流子、及び、その整流子を用いた小型整流子モータを提供することも可能となった。
【0014】
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、さらに他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0015】
(1)絶縁基材と配線層を備えた母材基板の部分領域から形成される小型プリント配線板の製造方法において、前記母材基板(1)の第1及び第2主面に配線パターン(16,20,22)を形成する工程と、前記母材基板に付加パターン(18,38)を形成する工程と、前記母材基板から前記部分領域を打ち抜いて前記小型プリント配線板(10,30)を得る工程と、を備え、前記部分領域は、その外周に突起部(14)を有し、前記母材基板の第1及び第2主面に配線パターンを形成する工程は、前記突起部の第2主面側に配線パターン(20)を形成する段階を含んでおり、前記母材基板に付加パターン(18,38)を形成する工程は、前記付加パターン(18,38)の最高面(18a,38a)、前記付加パターン(18,38)の最低面(18b,38b)、及び、前記第1主面に形成される配線パターン(16)の表面(16a)のうち、前記絶縁基材(11)からの高さが最大となるものと最小となるものとの段差(D)が、前記母材基板の第1主面に形成される配線パターン(16)の表面(16a)の前記絶縁基材(11)からの高さ(t)よりも小さくなるように、前記突起部(14)の第1主面側に前記付加パターン(18,38)を形成する段階を含むことを特徴とする小型プリント配線板の製造方法(請求項1)。
【0016】
本項の小型プリント配線板の製造方法によれば、突起部の第1主面側に付加パターンを形成し、付加パターンの最高面、付加パターンの最低面、及び、母材基板の第1主面に形成される配線パターンの表面のうち、絶縁基材からの高さが最大となるものと最小となるものとの段差を、母材基板の第1主面に形成される配線パターンの表面の絶縁基材からの高さ(すなわち、この配線パターンの厚み)よりも小さくすることによって、突起部の第1主面側における配線パターンの厚み分の段差が低減又は解消されるため、母材基板から部分領域を打ち抜いて小型プリント配線板を得る工程において、部分領域の外周をプレス加工機等により安定に保持することが可能となる。これによって、外周付近に設けられた配線パターン、特に、突起部の第2主面側に存在する配線パターンにクラック、箔浮き、剥がれ等の損傷が発生することを軽減又は解消するとともに、突起部自体の折れ、割れ等の構造的損傷の発生を防ぐことも可能となり、製品の歩留まりを向上させることができる。
【0017】
(2)(1)項に記載の小型プリント配線板の製造方法において、前記付加パターン(18,38)の最高面と最低面との間の段差(d1)、及び、前記付加パターンの最高面と前記母材基板の第1主面に形成される配線パターン(16)の表面との間の段差(d2)のいずれか一方又は両方を、略ゼロとするものであってもよい。
【0018】
(3)(1)及び(2)項に記載の小型プリント配線板の製造方法において、前記母材基板に付加パターン(18)を形成する工程は、前記付加パターン(18)の最高面の前記絶縁基材(11)からの高さ(h2)が、前記母材基板の第1主面に形成される配線パターン(16)の表面の前記絶縁基材(11)からの高さ(t)よりも高くなるように、前記付加パターン(18)を形成することを含むことを特徴とする小型プリント配線板の製造方法(請求項2)。
【0019】
本項の小型プリント配線板の製造方法によれば、付加パターンの最高面の絶縁基材からの高さが、母材基板の第1主面に形成される配線パターンの表面の絶縁基材からの高さよりも高くなるように、付加パターンを形成することにより、母材基板から部分領域を打ち抜いて小型プリント配線板を得る工程において、付加パターンが、母材基板の第1主面に形成された配線パターンと、プレス加工機等の剪断部材との間の間隔を保持するスペーサとしての機能も果たすものとなり、打ち抜き工程における配線パターンの汚染、傷等の発生を防止することができる。
【0020】
(4)(1)〜(3)項に記載の小型プリント配線板の製造方法において、前記付加パターンは、絶縁層(18)を含むことを特徴とする小型プリント配線板の製造方法(請求項3)。
【0021】
(5)(4)項に記載の小型プリント配線板の製造方法において、好ましくは、前記絶縁層は、ソルダーレジストからなるものである。
【0022】
(6)(1)〜(5)項に記載の小型プリント配線板の製造方法において、前記付加パターンは、導体層(38)を含むことを特徴とする小型プリント配線板の製造方法(請求項4)。
【0023】
(7)(6)項に記載の小型プリント配線板の製造方法において、前記導体層は、前記母材基板の第1主面に形成される配線パターンの延長部分からなることが好ましい。
【0024】
(8)(6)及び(7)項に記載の小型プリント配線板の製造方法において、前記付加パターンは、前記導体層と該導体層の上に積層された前記絶縁層からなるものであってもよい。
【0025】
(9)絶縁基材と配線層を備えた母材基板の部分領域から形成され、第1及び第2主面に配線パターン(16,20,22)が形成された小型プリント配線板(10,30)において、前記小型プリント配線板は、外周に突起部(14)を有し、前記突起部の第2主面側には配線パターン(20)が形成され、前記突起部の第1主面側には付加パターン(18,38)が形成されており、前記付加パターン(18,38)の最高面(18a,38a)、前記付加パターン(18,38)の最低面(18b,38b)、及び、前記第1主面に形成される配線パターン(16)の表面(16a)のうち、前記絶縁基材(11)からの高さが最大となるものと最小となるものとの段差(D)は、前記第1主面に形成される配線パターン(16)の表面(16a)の前記絶縁基材(11)からの高さ(t)よりも小さいことを特徴とする小型プリント配線板(請求項5)。
【0026】
(10)(9)項に記載の小型プリント配線板において、前記付加パターン(18,38)の最高面と最低面との間の段差(d1)、及び、前記付加パターンの最高面と前記第1主面に形成される配線パターン(16)の表面との間の段差(d2)のいずれか一方又は両方を、略ゼロとするものであってもよい。
【0027】
(11)(9)及び(10)項に記載の小型プリント配線板において、前記付加パターン(18)の最高面の前記絶縁基材からの高さ(h2)は、前記第1主面に形成される配線パターン(16)の表面の前記絶縁基材からの高さ(t)よりも高いことを特徴とする小型プリント配線板(請求項6)。
【0028】
(12)(9)〜(11)項に記載の小型プリント配線板において、前記付加パターンは、絶縁層(18)を含むことを特徴とする小型プリント配線板。
【0029】
(13)(12)項に記載の小型プリント配線板において、好ましくは、前記絶縁層は、ソルダーレジストからなるものである。
【0030】
(14)(9)〜(13)項に記載の小型プリント配線板において、前記付加パターンは、導体層(38)を含むことを特徴とする小型プリント配線板。
【0031】
(15)(14)項に記載の小型プリント配線板において、前記導体層は、前記第1主面に形成される配線パターンの延長部分からなることが好ましい。
【0032】
(16)(14)又は(15)項に記載の小型プリント配線板において、前記付加パターンは、前記導体層と該導体層の上に積層された前記絶縁層からなるものであってもよい。
【0033】
(17)絶縁基材と配線層を備えた母材基板の部分領域から形成され、第1及び第2主面に配線パターン(16,20,22)が形成された小型プリント配線板からなる整流子(10,30)において、前記整流子は、外周に突起部(14)を有し、前記第1主面に、整流子セグメントを構成する配線パターン(16)が形成され、前記突起部の第2主面側に、電機子コイルのリード線との接続部を構成する配線パターン(20)が形成されており、前記突起部の第1主面側には付加パターン(18,38)が形成され、前記付加パターン(18,38)の最高面(18a,38a)、前記付加パターン(18,38)の最低面(18b,38b)、及び、前記整流子セグメントを構成する配線パターン(16)の表面(16a)のうち、前記絶縁基材(11)からの高さが最大となるものと最小となるものとの段差(D)は、前記整流子セグメントを構成する配線パターン(16)の表面(16a)の前記絶縁基材(11)からの高さ(t)よりも小さいことを特徴とする整流子(請求項7)。
【0034】
(18)(17)項に記載の整流子を備えることを特徴とする小型整流子モータ(請求項8)。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、上記構成としたことにより、打ち抜き加工における配線パターンにクラック、箔浮き、剥がれ等の損傷が発生することや突起部の折れ、割れ等の損傷の発生を軽減又は解消可能な小型プリント配線板の製造方法を提供することが可能となり、小型プリント配線板、並びに、この小型プリント配線板からなる整流子、及び、その整流子を用いた小型整流子モータの歩留まりの向上に寄与するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。尚、各図面は、本発明の原理を明瞭に示すための模式図であって、図示された各構成要素の縮尺は、必ずしも実際の寸法を正確に反映するものではない。
【0037】
図1は、本発明の第1の実施形態における小型プリント配線板であるプリント配線整流子10を示す図であり、(a)はプリント配線整流子10を一方の主面(本実施形態における第1主面)側から見た平面図、(b)は他方の主面(本実施形態における第2主面)側から見た平面図、(c)は(a)のA−A断面図である。
【0038】
図1に示すように、プリント配線整流子10は、略円板状に形成され、その中央部には、モータのシャフトが装着される貫通穴13が設けられている。又、プリント配線整流子10の外周12は、半径方向外方に突出する6個の突起部14を有している。図1(a)に示すように、プリント配線整流子10の第1主面側には、略扇形に形成された6個の整流子セグメントを構成する配線パターン16(以下、単に整流子セグメント16ともいう)が、各突起部14に隣接するように配置されている(以下、第1主面を整流子面ともいう)。又、図1(b)に示すように、各突起部14の整流子面の裏面である第2主面側は、その全面が配線パターン20として形成されており、後述するように、この配線パターン20は、モータの電機子コイルのリード線との接続部として用いられる(以下、接続部を構成する配線パターン20を、単に接続部20ともいい、第2主面を接続面ともいう)。
【0039】
そして、各整流子セグメント16は、スルーホール24によって、それぞれ隣接する突起部14の接続部20に接続され、更に、半径方向に対向する一対の整流子セグメント16(したがって、それぞれ隣接する接続部20)は、配線パターン22、スルーホール28によって互いに接続されている。又、プリント配線整流子10の接続面の接続部20を除いた部分(円周25の内部)には、全面にソルダーレジスト26(図1(c)参照)が形成されている。
【0040】
プリント配線整流子10の各突起部14には、図1(c)に示すように、電機子コイルのリード線29が絡げられ、このリード線29を接続部20に溶接又は半田付けすることによって、電機子コイルと各整流子セグメント16とが電気的に接続される。このように、プリント配線板10の外周12に突起部14を設け、リード線29と各整流子セグメント16との接続を、整流子面の裏面側の接続部20で実施するのは、プリント配線整流子10のサイズが小さいことにより、溶接又は半田付けによって発生する不純物等の影響が整流子セグメント16に及ばないようにするための処置である。
【0041】
尚、プリント配線整流子10において、配線パターン22は、銅箔層17及び銅めっき層19の各層からなり、整流子セグメント16及び接続部20には、銅箔層17、銅めっき層19の上にニッケル/金めっき層21が積層されている。又、スルーホール24は、導体ペースト23等を充填することにより穴埋めされている。
【0042】
本実施形態において、プリント配線整流子10の突起部14の整流子面側には、好ましくはソルダーレジストからなる絶縁樹脂により付加パターン18が形成されている。
本実施形態では、付加パターン18は、最高面18aが、整流子セグメント16の表面16aの絶縁基材11からの高さよりも高く、最低面18bが、整流子セグメント16の表面16aの絶縁基材11からの高さよりも低くなるように形成されている。したがって、最高面18a、最低面18b、及び整流子セグメント16の表面16aのうち、絶縁基材11からの高さが最大のものと最小のものとの段差Dは、付加パターン18の最高面18aと最低面18bとの段差d1であり、この段差d1(=D)は、整流子セグメント16の表面の絶縁基材11からの高さ(すなわち、整流子セグメント16の厚み)tよりも小さいものである。
【0043】
次に、図2及び図3を参照して、プリント配線整流子10の製造方法について説明する。
ここで、プリント配線整流子10は、母材基板上に所定のパターンを形成した後、母材基板の部分領域を打ち抜くことによって形成されるものである。本発明は、母材基板の種類によって限定されるものではなく、例えば、ガラス布基材エポキシ樹脂を絶縁基材とし、その両面に配線層となる銅箔をラミネートしてなるガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板を使用することができる。典型的には、母材基板を構成する絶縁基材の厚みは0.2〜0.3mm、銅箔の厚みは35μm程度である。突起部の大きさに関しては、幅は0.5mm程度で突出量は0.4mm程度である。
【0044】
尚、図2では、破線mの右側に示されている領域が、製造工程の完了後にプリント配線整流子10となる部分領域であり、図1(c)に示された箇所に対応する。破線mは、後述する打ち抜き工程における剪断線を示し、剪断後に突起部14の外周となる部分に対応する。又、図2、図3において、製造工程の完了後にプリント配線整流子10及びその各構成要素となる部分は、図1において対応する符号が括弧付きで示されている。
【0045】
先ず、図2(a)に示すように、母材基板1に、NCボール盤等を用いてスルーホール24、28(及び、その他の必要な貫通穴)を形成する。
【0046】
次に、図2(b)に示すように、無電界めっき及び/又は電界めっきにより、銅箔17上に銅めっき層19を形成するとともに、スルーホール24、28の内壁に銅めっき層19を付着させ、スルーホール24、28内の導通を得る。次いで、スルーホール24の内部に、例えば銅ペースト等からなる導体を充填し、スルーホール24を穴埋めする。この際、銅箔層17上に積層される銅めっき層19の厚みは、典型的には、20μm程度である。
【0047】
次に、スクリーン印刷法や写真現像法などの手段により、銅箔層17、銅めっき層19上に所定のパターンにエッチングレジストを形成した後、露出した銅箔層17、銅めっき層19のエッチング除去、エッチングレジストの剥離を経て、図2(c)に示すように、母材基板1上に配線パターン16、20、22を形成する。
【0048】
ここで、母材基板1の一方の主面(第1主面)には、整流子セグメントを構成する配線パターン16が形成され、母材基板1の他方の主面(第2主面)には、各整流子セグメント16を接続する配線パターン22が形成される(以下、第1主面を整流子面、第2主面を接続面ともいう)。又、製造工程の完了後、突起部14となる部分(以下、単に突起部(14)という)の、接続面側には、電機子コイルのリード線との接続部を構成する配線パターン20が形成される。そして、突起部(14)の整流子面側に配線パターンは形成されず、突起部(14)の整流子面側には、この段階では、絶縁基材11が露出している。
【0049】
次に、母材基板1の接続面の接続部20を除いた部分(すなわち、図1(b)に示す円周25の内部に相当し、図2(d)には破線で示される円周25の右側部分)には、その全面にソルダーレジスト層26を形成し、突起部(14)の整流子面側(すなわち、図1(a)に示す円周25の外部に相当し、図2(d)では破線で示される円周25の左側部分)には、同様のソルダーレジストにより、付加パターン18を形成する。
この際、付加パターン18は、その厚みに関して、図2(e)を参照して後述する条件を満たすように形成される。
【0050】
尚、本発明は、ソルダーレジストの種類及びその形成方法によって限定されるものではなく、例えば、液状又はペースト状のレジストを塗布及び硬化するものであってもよい。生産性及びレジスト面の平坦性等の点で、感光性レジストをフィルム状に加工した所謂ドライフィルムレジストを用い、母材基板1上にラミネート及び硬化することによって形成することが好ましい。
【0051】
次に、図2(c)に示す工程で形成された配線パターン16、20、22のうち、図2(d)に示す工程で形成されたソルダーレジスト26及び付加パターン18から露出する部分にニッケル/金めっき処理を実施し、図2(e)に示すように、銅箔層17、銅めっき層19上にニッケル/金めっき層21(以下、単に金めっき層ともいう)を形成する。
【0052】
典型的なニッケル/金めっき処理は、次のようなものである。先ず、無電解ニッケルめっき液によりニッケル層(例えば、10μm程度)を形成し、このニッケル層の上面に置換金めっき液、次いで、無電解金めっき液により、金めっき層(例えば、0.1μm程度)を形成する。但し、本実施形態において、通常行われうる任意の適切な金めっき処理を適用することができる。
【0053】
ここで、本実施形態では、図2(d)に示す工程において、付加パターン18の最高面18aの絶縁基材11からの高さh2が、整流子セグメント16の表面16aの絶縁基材11からの高さ(すなわち整流子セグメントの厚み)tよりも高く、かつ、付加パターン18の最低面18bの絶縁基材11からの高さh1が、整流子セグメント16の表面16aの絶縁基材11からの高さtよりも低くなる。更に、付加パターン18の最高面18aと最低面18bとの段差d1(D)が、整流子セグメント16の厚みtよりも小さくなるように形成するものである。これによって、付加パターン18の最高面18aと整流子セグメント16の表面との段差d2も、整流子セグメント16の厚みtよりも小さいものとなる。
【0054】
尚、本実施形態では、整流子セグメント16は金めっき層21を備えているため、その表面の絶縁基材11からの高さtは、金めっき層21の厚みを含むものであるが、本発明は、金めっき層21の有無によって限定されるものではない。例えば、配線パターン16に金めっき処理を実施しない場合には、第1主面に形成される配線パターン16の表面の絶縁基材11からの高さは、銅箔層17、銅めっき層19の厚みとなる。この場合、付加パターン18の最高面18aの絶縁基材からの高さh2が、配線パターン16の表面の絶縁基材11からの高さよりも高いという条件については、図2(d)に示す工程において、付加パターン18を、配線パターン16の突起部(14)上に形成される部分16’上に積層するように形成することによって満足される。
【0055】
次に、図3を参照して、本実施形態におけるプリント配線整流子10の打ち抜き工程、及び、本実施形態におけるプリント配線整流子10の製造方法の作用効果について説明する。ここで、図3(a)は、図2(e)に示す工程に続くプリント配線整流子10の打ち抜き工程を模式的に示す断面図であり、図3(b)は、比較のために、従来のプリント配線整流子100(図7参照)について、同様の工程を示す断面図である。
【0056】
図3において、符号121で示される要素は、打ち抜き工程に用いるプレス機の押圧側剪断部材、符号123で示される要素は受け側剪断部材である。図3(a)に示す工程において、押圧側剪断部材121が矢印A方向に母材基板1を押圧することにより、剪断線mに沿って母材基板1の所定の部分領域(10)が打ち抜かれ、プリント配線整流子10を得るものである。
【0057】
ここで、従来のプリント配線整流子100の場合には、図7(c)に示すように、突起部104の整流子面側に配線パターン106の厚みt分の段差D’が存在しており、図3(b)に示すように、この段差D’は、プレス加工機を用いた打ち抜き工程において、突起部(104)付近における母材基板3と受け側剪断部材123との間のギャップとなる。このギャップD’は、典型的には50μm以上(例えば、60〜70μm)となるため、絶縁基材101の厚みが0.2mm程度である小型プリント配線板の場合、打ち抜き加工の品質を左右する無視できない要因となる。
【0058】
これに対して、本実施形態におけるプリント配線整流子10の製造工程では、図3(a)に示すように、付加パターン18の最高面18aと最低面18bとの間の段差d1、及び、付加パターン18の最高面18aと整流子セグメントを構成する配線パターン16との間の段差d2が、突起部(14)付近における母材基板1と受け側剪断部材123との間のギャップd1、d2となるものである。これらのギャップd1、d2は、いずれも配線パターン16の絶縁基材11からの高さt(図3(b)に示すギャップD’に相当する)よりも小さいものであるため、従来の構成と比較して、突起部(14)付近における母材基板1と受け側剪断部材123との間のギャップが低減される。前述のように突起部の大きさは、幅は0.5mm程度であり突出量は0.4mm程度である。
【0059】
これによって、プレス加工機による打ち抜き工程において、突起部(14)付近に過大な応力や変形を発生させることなく、打ち抜き加工部付近を安定に保持することが可能となるため、配線パターン、特に、突起部(14)の接続面側に存在する配線パターン20にクラック、箔浮き、剥がれ等の損傷が発生することを軽減又は解消するとともに、突起部(14)自体の折れ、割れ等の構造的損傷の発生を防ぐことも可能となる。
【0060】
このような作用効果を奏する上では、ギャップd1、d2は可能な限り小さくすることが好ましく、特に、本発明は、付加パターン18の最高面18aと最低面18bとの間の段差d1、及び、付加パターン18の最高面18aと整流子セグメント16の表面との間の段差d2のいずれか一方又は両方を、略ゼロとする場合を含むものである。更に、付加パターン18の最高面18aは、その絶縁基材11からの高さh2を、整流子セグメント16の絶縁基材11からの高さt以下とするものであってもよい。
【0061】
但し、本実施形態において、付加パターン18の最高面18aの絶縁基材11からの高さh2を、整流子セグメント16の表面の絶縁基材11からの高さtよりも高くした上で、段差d2を確保していることには、次のような利点が存在する。
【0062】
すなわち、図3(b)に示すように、従来のプリント配線整流子100の場合、打ち抜き工程の間に整流子セグメント106の表面と受け側剪断部材123とが密着するものとなる。これに対して、本実施形態におけるプリント配線整流子10の製造工程では、付加パターン18の最高面18aの絶縁基材11からの高さh2が、整流子セグメント16の絶縁基材1からの高さtよりも高くなるように、付加パターン18を形成している。このため、図3(a)に示すように、打ち抜き工程において、付加パターン18が、整流子セグメント16と受け側剪断部材123との間の間隔d2を保持するスペーサとしての機能も果たすものとなり、整流子セグメント16が受け側剪断部材123と直接接触することを回避して、整流子セグメント16の汚染、傷等の発生を防止することができる。
【0063】
尚、打ち抜き工程の間、押圧側剪断部材121が矢印A方向に母材基板1の加工部付近を押圧するにつれて、母材基板1は、整流子セグメント16と受け側剪断部材123との間の間隔が広がる方向に(図3(a)で、所定の部分領域(10)が下に凸となるように)変形するため、整流子セグメント16と受け側剪断部材123とが直接接触するおそれは、更に軽減される。
【0064】
又、本発明は、例えば、配線パターン16に突起部14上に形成される部分があるか否か、あるいは、付加パターン18を、配線パターン16(の銅箔層17、銅めっき層19)上に積層するように形成するか否かによって限定されるものではないが、配線パターン16の整流子セグメントとしての機能、及び、適切な付加パターン18の形成の容易性等を勘案すれば、本実施形態におけるプリント配線整流子10のように、配線パターン16に突起部14上に形成される延長部分16’を設け、付加パターン18は、円周25の外部で、その一部が延長部分16’上に積層されるように形成する態様が好ましい。
【0065】
具体的には、例えば、絶縁基材11の厚みが0.2〜0.3mm程度であり、整流子セグメント16の厚みが60〜70μm程度である場合、付加パターン18を、付加パターン18の最低面18bの高さを40μm程度とし、最高面18aの高さを整流子セグメント16の厚みよりも10μm程度高いものとすることによって、打ち抜き工程における配線パターンのクラック、箔浮き、剥がれ等の損傷の発生が顕著に改善されること、ならびに突起部の折れ、割れ等の構造的損傷の発生の改善が確認されている。
【0066】
次に、図4及び図5を参照して、本発明の第2の実施形態における小型プリント配線板であるプリント配線整流子30、及び、その製造方法について説明する。ここで、図4及び図5に示すプリント配線整流子30について、上述した第1の実施形態におけるプリント配線整流子10と同様の構成要素には、同様の符号を付し、以下の説明において、プリント配線整流子10と重複する部分の説明は省略する。
【0067】
図4に示すプリント配線整流子30は、プリント配線整流子10と比較して、付加パターン38の構成のみが相違するものである。本実施形態において、プリント配線整流子10の突起部14の整流子面側に形成された付加パターン38は、整流子セグメントを構成する配線パターン16のうち、銅箔層17、銅めっき層19のみを突起部全体に延長した延長部分16’からなる。この構成では、平坦面である付加パターン38の最高面38aと最低面38bは同一の表面であり、その間の段差d1はゼロである。又、銅箔層17、銅めっき層19のみからなる付加パターン38の最高面38aの高さは、金めっき層21を含む整流子セグメント16の表面16aの絶縁基材11からの高さよりも低いものとなる。
【0068】
したがって、付加パターン38の最高面38a、付加パターン38の最低面38b、及び、整流子セグメント16の表面16aのうち、絶縁基材11からの高さが最大となるものと最小となるものとの段差Dは、付加パターン38の表面38a(38b)と整流子セグメント16との間の段差(すなわち金めっき層21分の厚み)d2である。この段差Dは、当然に、整流子セグメント16の絶縁基材11からの高さ(すなわち、整流子セグメント16の厚み)tよりも小さい。
【0069】
尚、本実施形態では、付加パターン38は導体層により構成されるものであるが、電機子コイルのリード線29は、第1の実施形態におけるプリント配線整流子10と同様に、接続部20に溶接又は半田付けされるものであるため、付加パターン38は配線パターンとして機能するものではない。但し、このように付加パターン38を導体層により構成することには、リード線29と接続部20との接続を溶接または半田付けにより実施する場合、それが容易になるという利点が存在する。
【0070】
次に、図5を参照して、プリント配線整流子30の製造方法について説明する。本実施形態におけるプリント配線整流子30の製造工程は、図5(c)に示す配線パターンの形成工程において、突起部(14)の整流子面側に、整流子セグメント16の延長部分16‘の銅箔層17、銅めっき層19を、付加パターン38として残すようにパターニングすること、したがって、図5(d)に示すソルダーレジスト層の形成工程において、母材基板1の接続面側にのみソルダーレジスト層26を形成する点で、図2に示すプリント配線整流子30の製造工程と相違する。又、このように、図5(d)に示す工程において、母材基板1の整流子面側にはソルダーレジスト層26を形成しないため、図5(e)に示す金めっき工程において、必要に応じてめっきレジスト等を使用し、整流子面側の金めっき層21をパターニングするものである。
【0071】
尚、付加パターン38は、配線パターンとして機能するものではないため、整流子セグメント16から孤立したパターンとして形成するものであってもよい。
【0072】
上述したように、本実施形態では、平坦面である付加パターン38の最高面38aと最低面38bは同一の表面であり、その間の段差d1はゼロである。又、付加パターン38の最高面38aは、整流子セグメント16の表面16aよりも低いものとなり、その段差d2は、金めっき層21分のみの厚みに相当する。したがって、付加パターン38の最高面38a、最低面38b、及び、整流子セグメント16の表面16aのうち、絶縁基材11からの高さが最大となるものと最小となるものとの段差Dは、上記段差d2となり、付加パターン38を、上記段差Dが整流子セグメント16の厚みtよりも小さくなるように形成するという条件は、製造工程自体の特徴により自然に満足される。
【0073】
本実施形態における製造工程においても、引き続く打ち抜き工程(図示は省略する)において、従来の構成と比較して、突起部(14)付近における母材基板1と受け側剪断部材123との間のギャップが低減されるため、配線パターン、特に、突起部(14)の接続面側に存在する配線パターン20にクラック、箔浮き、剥がれ等の損傷が発生することを軽減又は解消するとともに、突起部(14)自体の折れ、割れ等の構造的損傷が発生することを防ぐことも可能となる。
【0074】
次に、図6を参照して、本発明の第3の実施形態における小型整流子モータ50について説明する。図6において、(a)は小型整流子モータ50の構成を模式的に示す縦断面、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。
【0075】
図6に示す小型整流子モータ50は、断面略口字状のフレーム52を有し、フレーム52には、略口字状の各角部に界磁磁石70が設けられている。シャフト54は、一端部を軸受66によってフレーム52に軸支され、他端部は、軸受68によって、フレーム52に固定されたブラケット62に軸支されている。シャフト54には、電機子コイル64が巻回された6極の極歯を有するコア56が設けられるとともに、整流子58が装着されている。そして、ブラケット62には、整流子58の各整流子セグメント59と接触するように、ブラシ60が保持されている。
【0076】
本実施形態における小型整流子モータ50において、その整流子58は、例えばプリント配線整流子10又はプリント配線整流子30のような、本発明に係る小型プリント配線板を用いた整流子であり、これによって、小型整流子モータのコストを低減できると共に、信頼性を向上させることができる。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態において、プリント配線整流子10は、絶縁層のみによって付加パターン18を形成し、プリント配線整流子30は、導体層のみによって付加パターン38を形成するものとしたが、本発明に係る付加パターンは、例えば導体層の上に絶縁層を積層することによって形成するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1の実施形態における小型プリント配線板であるプリント配線整流子を示す図であり、(a)はプリント配線整流子を整流子面側から見た平面図、(b)は接続面側から見た平面図、(c)は(a)のA−A断面図である。
【図2】(a)〜(e)は、本発明の第1の実施形態における小型プリント配線板であるプリント配線整流子の製造方法における各工程を示す図である。
【図3】(a)は、本発明の第1の実施形態における小型プリント配線板であるプリント配線整流子の製造方法における打ち抜き工程を示す図であり、(b)は、従来のプリント配線整流子の製造方法における同様の打ち抜き工程を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における小型プリント配線板であるプリント配線整流子を示す図であり、(a)はプリント配線整流子を整流子面側から見た平面図、(b)は接続面側から見た平面図、(c)は(a)のA−A断面図である。
【図5】(a)〜(e)は、本発明の第2の実施形態における小型プリント配線板であるプリント配線整流子の製造方法における各工程を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態における小型整流子モータを示す図であり、(a)は小型整流子モータの構成を模式的に示す縦断面、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。
【図7】従来の小型プリント配線板の一例であるプリント配線整流子を示す図であり、(a)はプリント配線整流子を整流子面側から見た平面図、(b)は接続面側から見た平面図、(c)は(a)のA−A断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1:母材基板、10,30:プリント配線整流子(小型プリント配線板)、11:絶縁基材、14:突起部、16:整流子セグメント(第1主面に形成される配線パターン)、16a:整流子セグメントの表面、18、38:付加パターン、18a、38a:付加パターンの最高面、18b、38b:付加パターンの最低面、20:接続部(突起部の第2主面側に形成される配線パターン)、22:配線パターン、t:整流子セグメントの絶縁基材からの高さ、D:付加パターンの最高面、付加パターンの最低面、及び、整流子セグメントの表面のうち、絶縁基材からの高さが最大となるものと最小となるものとの段差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基材と配線層を備えた母材基板の部分領域から形成される小型プリント配線板の製造方法において、
前記母材基板(1)の第1及び第2主面に配線パターン(16,20,22)を形成する工程と、
前記母材基板に付加パターン(18,38)を形成する工程と、
前記母材基板から前記部分領域を打ち抜いて前記小型プリント配線板(10,30)を得る工程と、を備え、
前記部分領域は、その外周に突起部(14)を有し、前記母材基板の第1及び第2主面に配線パターンを形成する工程は、前記突起部の第2主面側に配線パターン(20)を形成する段階を含んでおり、
前記母材基板に付加パターン(18,38)を形成する工程は、前記付加パターン(18,38)の最高面(18a,38a)、前記付加パターン(18,38)の最低面(18b,38b)、及び、前記第1主面に形成される配線パターン(16)の表面(16a)のうち、前記絶縁基材(11)からの高さが最大となるものと最小となるものとの段差(D)が、前記母材基板の第1主面に形成される配線パターン(16)の表面(16a)の前記絶縁基材(11)からの高さ(t)よりも小さくなるように、前記突起部(14)の第1主面側に前記付加パターン(18,38)を形成する段階を含むことを特徴とする小型プリント配線板の製造方法。
【請求項2】
前記母材基板に付加パターン(18)を形成する工程は、前記付加パターン(18)の最高面の前記絶縁基材(11)からの高さ(h2)が、前記母材基板の第1主面に形成される配線パターン(16)の表面の前記絶縁基材(11)からの高さ(t)よりも高くなるように、前記付加パターン(18)を形成することを含むことを特徴とする請求項1に記載の小型プリント配線板の製造方法。
【請求項3】
前記付加パターンは、絶縁層(18)を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の小型プリント配線板の製造方法。
【請求項4】
前記付加パターンは、導体層(38)を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の小型プリント配線板の製造方法。
【請求項5】
絶縁基材と配線層を備えた母材基板の部分領域から形成され、第1及び第2主面に配線パターン(16,20,22)が形成された小型プリント配線板(10,30)において、
前記小型プリント配線板は、外周に突起部(14)を有し、前記突起部の第2主面側には配線パターン(20)が形成され、前記突起部の第1主面側には付加パターン(18,38)が形成されており、
前記付加パターン(18,38)の最高面(18a,38a)、前記付加パターン(18,38)の最低面(18b,38b)、及び、前記第1主面に形成される配線パターン(16)の表面(16a)のうち、前記絶縁基材(11)からの高さが最大となるものと最小となるものとの段差(D)は、前記第1主面に形成される配線パターン(16)の表面(16a)の前記絶縁基材(11)からの高さ(t)よりも小さいことを特徴とする小型プリント配線板。
【請求項6】
前記付加パターン(18)の最高面の前記絶縁基材からの高さ(h2)は、前記第1主面に形成される配線パターン(16)の表面(16a)の前記絶縁基材からの高さ(t)よりも高いことを特徴とする請求項5に記載の小型プリント配線板。
【請求項7】
絶縁基材と配線層を備えた母材基板の部分領域から形成され、第1及び第2主面に配線パターン(16,20,22)が形成された小型プリント配線板からなる整流子(10,30)において、
前記整流子は、外周に突起部(14)を有し、前記第1主面に、整流子セグメントを構成する配線パターン(16)が形成され、前記突起部の第2主面側に、電機子コイルのリード線との接続部を構成する配線パターン(20)が形成されており、
前記突起部の第1主面側には付加パターン(18,38)が形成され、前記付加パターン(18,38)の最高面(18a,38a)、前記付加パターン(18,38)の最低面(18b,38b)、及び、前記整流子セグメントを構成する配線パターン(16)の表面(16a)のうち、前記絶縁基材(11)からの高さが最大となるものと最小となるものとの段差(D)は、前記整流子セグメントを構成する配線パターン(16)の表面(16a)の前記絶縁基材(11)からの高さ(t)よりも小さいことを特徴とする整流子。
【請求項8】
請求項7に記載の整流子を備えることを特徴とする小型整流子モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−277937(P2009−277937A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128633(P2008−128633)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(504257302)ミネベアモータ株式会社 (112)
【Fターム(参考)】