感光性接着剤組成物、並びにそれを用いたフィルム状接着剤、接着シート、接着剤パターン、接着剤層付半導体ウェハ、接着剤層付透明基板、及び半導体装置。
【課題】パターニングされた場合であっても十分な気密封止性を得ることができる感光性接着剤組成物を提供する。
【解決手段】露光及び現像によってパターニングされた後に被着体に対する熱圧着性を有し且つアルカリ現像が可能な感光性接着剤組成物1aであって、露光後、更に加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率が10MPa以上である、感光性接着剤組成物。
【解決手段】露光及び現像によってパターニングされた後に被着体に対する熱圧着性を有し且つアルカリ現像が可能な感光性接着剤組成物1aであって、露光後、更に加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率が10MPa以上である、感光性接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性接着剤組成物、並びにそれを用いたフィルム状接着剤、接着シート、接着剤パターン、接着剤層付き半導体ウェハ、接着剤層付透明基板、及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品の高性能化及び高機能化に伴い、種々の形態を有する半導体パッケージが提案されている。半導体パッケージの製造には、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とを接着するために接着剤が用いられる。この接着剤には、通常、接着性、熱圧着性、耐熱性及び耐湿性等の特性が要求され、フィルム状にして使用する場合には更に貼付性が必要となる。
【0003】
半導体パッケージの機能、形態及び組み立てプロセスの簡略化の手法によっては、上述の特性に加えてパターン形成が可能な感光性を兼ね備える接着剤が必要とされる場合がある。感光性とは光を照射した部分が化学的に変化し、水溶液や有機溶剤に不溶化又は可溶化する機能である。この感光性を有する感光性接着剤を用いると、フォトマスクを介して露光、現像処理を行うことにより、高精細な接着剤パターンを形成することが可能となり、形成された接着剤パターンが被着体に対する熱圧着性を有することとなる。
【0004】
感光性の接着剤組成物としては、従来、フォトレジストや、ポリイミド樹脂前駆体(ポリアミド酸)をベースとしたもの(例えば、特許文献1〜3)、及び低Tgポリイミド樹脂をベースとしたものが知られている(特許文献4)。また、作業環境及び排水処理等の観点から、アルカリ現像液によるパターン形成が可能なものが主流である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−290501号公報
【特許文献2】特開2001−329233号公報
【特許文献3】特開平11−24257号公報
【特許文献4】国際公開第07/004569号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CMOSセンサ等に搭載されている固体撮像素子は、例えば、図26に示されるような、ガラス基板7と半導体チップ12とがパターニングされた接着剤層1を介して接着された構造を有している。このときの接着剤パターンは、半導体チップ12の有効画素領域17を取り囲むようにして形成されており、有効画素領域17が外部からの影響を受けないよう封止材としての役割も担っている。
【0007】
ところが、上記従来の感光性接着剤組成物を用いて上述の固体撮像素子を作製すると、以下の問題が生じる場合があった。すなわち、CMOSセンサ等の組立て時又は使用時において、固体撮像素子が高温高湿下に晒されることがあり、これにより額縁状接着剤で囲まれた内部に結露が発生することがある。このような結露があると、固体撮像素子が正確な光変換を起こせず、画像認識や表示に問題が生じる要因となる。従来の感光性接着剤組成物は、気密封止性が十分に考慮されておらず、特に高精細な接着剤パターンを形成すると接着面積が非常に小さくなるため上述の問題が生じやすい。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、パターニングされた場合であっても十分な気密封止性を得ることができる感光性接着剤組成物、並びにそれを用いたフィルム状接着剤、接着シート、接着剤パターン、接着剤層付半導体ウェハ、接着剤層付透明基板、及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、露光及び現像によってパターニングされた後に被着体に対する熱圧着性を有し且つアルカリ現像が可能な感光性接着剤組成物であって、露光後、更に加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率が10MPa以上である感光性接着剤組成物を提供する。
【0010】
なお、上記「被着体に対する熱圧着性を有し」とは、パターニングされた後の接着剤層に対して被着体を150℃〜180℃で0.2MPa〜1.0MPaで1分間熱圧着したサンプルを作製し、このサンプルの室温でのダイシェア強度が1MPa以上となることを意味する。ここで室温でのダイシェア強度とは、上記条件での熱圧着後のサンプルについて、せん断接着力試験機(Dage社製、商品名:Dage−4000)を用いて、25℃の熱盤上で、測定速度:100μm/秒、測定高さ:50μmの条件で被着体にせん断方向の外力を加えたときの最大応力とした。
【0011】
また、上記「露光後、更に加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率」は、以下の手順にしたがい測定された貯蔵弾性率を意味する。まず、2枚の離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム間に厚さ40μmの感光性接着剤組成物からなるフィルム状接着剤(接着剤層)が積層された積層フィルムを作製し、この積層フィルムに、高精度平行露光機(オーク製作所製、商品名:EXM−1172−B−∞)により1000mJ/cm2で全面露光し、次いで、80℃のホットプレート上で約30秒間加熱する。その後、一方のPETフィルムをはく離して得られるPETフィルム付きフィルム状接着剤を、コンベア現像機(ヤコー社製)を用いて、フィルム状接着剤側を上にして現像液であるテトラメチルアンモニウムハイドライド(TMAH)2.38質量%溶液を、温度26℃、スプレー圧0.18MPaの条件で1分間スプレーし、その後、温度25℃の純水を、スプレー圧0.02MPaの条件で6分間スプレーし、水洗を行う。こうした現像処理を受けたPETフィルム付きフィルム状接着剤を2枚用意し、ホットプレートによって120℃で10分間加熱乾燥させた後、ロール加圧(温度100℃、線圧4kgf/cm、送り速度0.5m/分)によって互いの接着剤同士を貼り合わせるようにして積層し、厚さが80μmの積層体を得る。次に、この積層体から一方のPETフィルムをはく離し、露出した接着剤をテフロン(登録商標)シートにロール加圧して、もう一方のPETフィルムもはく離する。こうして得られた積層体をオーブン中で180℃、3時間の条件で加熱する。この加熱硬化されたフィルム状接着剤をテフロン(登録商標)シートからはく離して5mm幅の短冊状30mmに切断したものをサンプルとし、粘弾性アナライザー(レオメトリックス社製、商品名:RSA−2)を用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hz、測定温度−50℃〜300℃の条件で測定を行い、110℃における貯蔵弾性率を求める。
【0012】
本発明の感光性接着剤組成物によれば、上記構成を有することにより、枠状にパターニングされて被着体同士を接着した場合であっても、硬化樹脂で囲まれた中空部の気密性を十分なものにすることができる。本発明の感光性接着剤組成物が気密封止性に優れる理由を本発明者らは、上記特定の貯蔵弾性率を有する硬化物は、高温下でも架橋体の分子運動が十分抑制され、高温高湿下における透湿性が十分低くなることによるものと考えている。
【0013】
本発明の感光性接着剤組成物において、上記露光後、更に加熱硬化された後のフィルム状接着剤(接着剤層)の110℃における貯蔵弾性率は10MPa以上であるか、20MPa以上であることが好ましい。
【0014】
本発明の感光性接着剤組成物は、気密封止性を更に向上させる観点から、露光後、更に加熱硬化された後のTgが80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。
【0015】
なお、上記Tgは、上記「露光後、更に加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率」を測定するときと同様にしてサンプルを用意し、このサンプルについて上記貯蔵弾性率の測定と同様の条件で測定したときのtanδピーク温度である。
【0016】
感光性接着剤組成物の上記Tgを80℃以上とすることにより、枠状にパターニングされて被着体同士を接着した場合であっても、硬化樹脂で囲まれた中空部の気密性をより確実に維持することができる。
【0017】
また、本発明の感光性接着剤組成物は、熱圧着性、高温接着性、耐湿信頼性及び気密封止性の観点から、露光後の20℃〜200℃における最低溶融粘度が30,000Pa・s以下であることが好ましく、20,000Pa・s以下であることがより好ましい。
【0018】
なお、上記「最低溶融粘度」は、上記「露光後、更に加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率」を測定するときと同様にして、露光、現像及び水洗、並びに、120℃で10分間加熱乾燥まで行ったフィルムを用意し、このフィルムについて、粘弾性測定装置(レオメトリックス・サイエンティフィック・エフ・イー(株)製、商品名:ARES)を用いて測定された20℃〜200℃における溶融粘度の最低値を指す。なお、測定プレートは、直径8mmの平行プレートを用い、測定条件は、昇温速度5℃/min、測定温度−50℃〜300℃、周波数1Hzとする。
【0019】
感光性接着剤組成物の上記最低溶融粘度を30,000Pa・s以下とすることにより、枠状にパターニングされて被着体同士を接着した場合であっても、硬化樹脂で囲まれた中空部の気密性をより確実に維持することができる。この理由を本発明者らは、上記最低溶融粘度を有する感光性接着剤組成物によれば、被着体を熱圧着した場合に十分な接着が可能となり、接着界面から水分等が浸入するのを低減させることができるためと考えている。
【0020】
本発明の感光性接着剤組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)放射線重合性化合物、及び(C)光開始剤を含有することが好ましい。
【0021】
気密封止性を更に向上させる観点から、上記(A)アルカリ可溶性樹脂のTgは、40℃〜150℃であることが好ましく、50℃〜120℃がより好ましく、60℃〜100℃が特に好ましい。(A)アルカリ可溶性樹脂のTgを上記範囲とすることで、感光性接着剤組成物をフィルム状としたフィルム状接着剤を被着体に貼り合わせる際の十分な熱圧着性を確保でき、気密封止性を更に向上させることができる。
【0022】
また、高温接着性及びパターン形成性の観点から、上記(A)アルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリイミド樹脂であることが好ましい。また、気密封止性を向上させて結露の発生を低減させる観点から、上記(A)アルカリ可溶性樹脂は、水酸基を有するポリイミド樹脂であることがより好ましい。
【0023】
さらに、熱圧着性、高温接着性、パターン形成性及び気密封止性の観点から、上記(A)アルカリ可溶性樹脂が、テトラカルボン酸二無水物と、カルボキシル基含有ジアミン及び/又はフェノール性水酸基含有ジアミンをジアミン全体の10モル%〜80モル%含有するジアミンと、を反応させて得られるポリイミド樹脂であることが好ましい。
【0024】
また、熱圧着性、高温接着性、パターン形成性及び気密封止性の観点から、上記ジアミンが、下記一般式(8)で表される脂肪族エーテルジアミンをジアミン全体の10モル%〜80モル%含有することが好ましい。式中、R1〜R3は、各々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、bは2〜80の整数を示す。
【0025】
【化1】
【0026】
さらに、熱圧着性、高温接着性、パターン形成性及び気密封止性の観点から、上記ジアミンが、下記一般式(A−1)で表されるフェノール性水酸基含有ジアミンをジアミン全体の10モル%〜80モル%含有することが好ましい。式中、R21は、単結合、又は2価の有機基を示す。
【0027】
【化2】
【0028】
また、高温接着性及び気密封止性の観点から、上記(B)放射線重合性化合物が、3官能以上の(メタ)アクリレートを少なくとも1種含有することが好ましい。これにより、露光後、更に加熱硬化された後の貯蔵弾性率を上昇させることができ、その結果、気密封止性を向上させることができる。
【0029】
また、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する上記感光性接着剤組成物は、熱圧着性、高温接着性、耐湿信頼性及び気密封止性の観点から、(D)エポキシ樹脂を更に含有することが好ましく、熱圧着性、高温接着性、耐湿信頼性及び気密封止性の観点から、(E)エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物を更に含有することが好ましい。特に、感光性接着剤組成物が(E)エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物を含むことによって、熱圧着性を向上させることができ、その結果、気密封止性を向上させることができる。
【0030】
上記(D)エポキシ樹脂は、高温接着性、パターン形成性、耐湿信頼性及び気密封止性の観点から、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0031】
本発明の感光性接着剤組成物は、フィルム形成性、高温接着性及び気密封止性の観点から、更に(F)フィラーを含有することが好ましい。
【0032】
本発明はまた、上記本発明の感光性接着剤組成物をフィルム状に成形することによって得られるフィルム状接着剤を提供する。
【0033】
本発明はまた、基材と、該基材上に形成された上記本発明のフィルム状接着剤からなる接着剤層と、を備える接着シートを提供する。
【0034】
本発明はまた、被着体上に積層された上記本発明のフィルム状接着剤からなる接着剤層を露光し、露光後の接着剤層をアルカリ現像液で現像処理することによって得られる接着剤パターンを提供する。
【0035】
本発明はまた、半導体ウェハと、該半導体ウェハ上に積層された上記本発明のフィルム状接着剤からなる接着剤層と、を備える接着剤層付半導体ウェハを提供する。
【0036】
本発明はまた、透明基板と、該透明基板上に積層された上記本発明のフィルム状接着剤からなる接着剤層と、を備える接着剤層付透明基板を提供する。
【0037】
本発明はまた、上記本発明の感光性接着剤組成物を用いて、半導体素子同士が接着された構造、及び/又は、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とが接着された構造を有する半導体装置を提供する。本発明の半導体装置が後者の構造を有する場合、半導体素子搭載用支持部材は透明基板であることが好ましい。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、パターニングされた場合であっても十分な気密封止性を得ることができる感光性接着剤組成物、並びにそれを用いたフィルム状接着剤、接着シート、接着剤パターン、接着剤層付半導体ウェハ、接着剤層付透明基板、及び半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のフィルム状接着剤の一実施形態を示す端面図である。
【図2】本発明の接着シートの一実施形態を示す端面図である。
【図3】本発明の接着シートの一実施形態を示す端面図である。
【図4】本発明の接着シートの一実施形態を示す端面図である。
【図5】本発明の接着剤層付半導体ウェハの一実施形態を示す上面図である。
【図6】図5のIV−IV線に沿った端面図である。
【図7】本発明の接着剤パターンの一実施形態を示す上面図である。
【図8】図7のV−V線に沿った端面図である。
【図9】本発明の接着剤パターンの一実施形態を示す上面図である。
【図10】図9のVI−VI線に沿った端面図である。
【図11】本発明の半導体装置の一実施形態を示す端面図である。
【図12】本発明の半導体装置の一実施形態を示す端面図である。
【図13】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図である。
【図14】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図15】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す上面図である。
【図16】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図17】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図18】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図19】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図20】本発明の半導体装置の一実施形態を示す端面図である。
【図21】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図22】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図23】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図である。
【図24】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図25】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図26】本発明の半導体装置の一実施形態を示す端面図である。
【図27】図26に示す半導体素子を固体撮像素子として用いたCMOSセンサの例を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとし、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0041】
本明細書において、感光性接着剤組成物の「貼付性」とは、感光性接着剤組成物をフィルム状に成形することによって得られるフィルム状接着剤とした場合の貼付性を意味する。感光性接着剤組成物の「高温接着性」とは、感光性接着剤組成物を硬化物にした場合の、加熱下での接着性を意味する。感光性接着剤組成物の「パターン形成性」とは、被着体上に形成された上記フィルム状接着剤からなる接着剤層を、フォトマスクを介して露光しアルカリ現像液によって現像したときに得られる接着剤パターンの精度を意味する。感光性接着剤組成物の「熱圧着性」とは、上記接着剤パターンを加熱下で支持部材等に圧着(熱圧着)したときの接着具合を意味する。感光性接着剤組成物の「耐熱性」とは、上記接着剤パターンを支持部材等に熱圧着、硬化し、高温下においたときの耐剥離性を意味する。感光性接着剤組成物の「気密封止性」とは、上記感光性接着剤の額縁状パターンを支持部材等に熱圧着、硬化し、高温高湿下で処理した後の耐結露性(耐曇性)、又は耐剥離性を意味する。「耐リフロー性」とは、上記感光性接着剤の額縁状パターンを支持部材等に熱圧着、硬化し、高温高湿条件下で所定の時間静置し、リフロー加熱を行なった後の耐剥離性を意味する。
【0042】
本実施形態の感光性接着剤組成物は、露光及び現像によってパターニングされた後に被着体に対する熱圧着性を有し且つアルカリ現像が可能な感光性接着剤組成物であって、露光後、更に加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率が10MPa以上であるものである。
【0043】
本実施形態の感光性接着剤組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂(以下、単に(A)成分と呼ぶことがある。)、(B)放射線重合性化合物(以下、単に(B)成分と呼ぶことがある。)、及び(C)光開始剤(以下、単に(C)成分と呼ぶことがある。)、を含むことが好ましい。
【0044】
(A)成分のTgは150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることが最も好ましい。このTgが150℃を超える場合、感光性接着剤組成物をフィルム状としたフィルム状接着剤を被着体に貼り合わせる際に高温を要し、半導体ウェハに反りが発生しやすくなる傾向がある。また、パターン形成後の上記接着剤の溶融粘度が高くなり、熱圧着性が低下する傾向がある。
【0045】
また、フィルム状接着剤のウェハ裏面への貼り付け温度は、20℃〜150℃であることが好ましく、40℃〜100℃であることがより好ましい。上記範囲内では、半導体ウェハの反りが抑えられる傾向にある。上記温度での貼り付けを可能にするためには、フィルム状接着剤のTgを150℃以下にすることが好ましい。また、上記Tgの下限は40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることが最も好ましい。上記Tgが40℃未満の場合、露光、及び加熱硬化後の弾性率を向上させるために、他の硬化成分を多量に配合する必要があり、取り扱い性、保存安定性、パターン形成性、熱圧着性、耐熱性及び低応力性を低下させる傾向がある。
【0046】
ここで、(A)成分の「Tg」とは、(A)成分をフィルム化したものについて、粘弾性アナライザー(レオメトリックス社製、商品名:RSA−2)を用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hz、測定温度−150℃〜300℃の条件で測定したときのtanδピーク温度である。
【0047】
(A)成分の重量平均分子量は、5,000〜500,000の範囲内で制御されていることが好ましく、10,000〜300,000であることがより好ましく、10,000〜100,000であることが最も好ましい。重量平均分子量が上記範囲内にあると、感光性接着剤組成物をシート状、又はフィルム状としたときの強度、可とう性、及びタック性が良好となる。また、熱時流動性が良好となるため、基板表面の配線段差(凹凸)に対する良好な埋込性を確保することが可能となる。上記重量平均分子量が5,000未満であると、フィルム形成性が十分でなくなる傾向がある。一方、上記重量平均分子量が500,000を超えると、熱時流動性、及び上記埋め込み性が十分でなくなる傾向や、パターン形成する際に感光性接着剤組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が十分でなくなる傾向がある。ここで、「重量平均分子量」とは、高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製、商品名:C−R4A)を用いて、ポリスチレン換算で測定したときの重量平均分子量を意味する。
【0048】
(A)成分のTg、及び重量平均分子量を上記範囲内とすることによって、ウェハへの貼り付け温度を低く抑えることができる。さらに、半導体素子を半導体素子搭載用支持部材に接着固定する際の加熱温度(熱圧着温度)も低くすることができ、半導体素子の反りの増大を抑制しながら、高温接着性及び気密封止性を付与することができる。また、貼付性、熱圧着性及び現像性を有効に付与することができる。
【0049】
本実施形態の感光性接着剤組成物では、(A)成分としては、アルカリ可溶性基を有するポリマーが好ましく、アルカリ可溶性基を末端、又は側鎖に有するポリマーがより好ましい。アルカリ可溶性基としては、エチレングリコール基、カルボキシル基、水酸基、スルホニル基、及びフェノール性水酸基等が挙げられる。アルカリ可溶性基を有するポリマーは、上述の官能基の1種を単独で有するものであってもよく、又は2種以上を有するものであってもよい。
【0050】
(A)成分としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンイミド樹脂、ポリウレタンアミドイミド樹脂、シロキサンポリイミド樹脂、及びポリエステルイミド樹脂、並びに、これらの共重合体及びこれらの前駆体(ポリアミド酸等)の他、ポリベンゾオキサゾール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、重量平均分子量が10,000〜1,000,000の(メタ)アクリル共重合体、ノボラック樹脂、及びフェノール樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの樹脂の主鎖及び/又は側鎖に、エチレングリコール、及びプロピレングリコール等のグリコール基、カルボキシル基及び/又は水酸基が付与されたものであってもよい。
【0051】
これらの中でも、高温接着性、耐熱性、及びフィルム形成性の観点から、(A)成分はポリイミド樹脂であることが好ましい。ポリイミド樹脂は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを公知の方法で縮合反応させて得ることができる。
【0052】
上記縮合反応における、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの混合モル比は、テトラカルボン酸二無水物の合計1.0molに対して、ジアミンの合計が0.5mol〜2.0molであることが好ましく、0.8mol〜1.0molであることがより好ましい。なお、テトラカルボン酸無水物、及びジアミンの添加順序は任意でよい。
【0053】
上記縮合反応において、テトラカルボン酸二無水物の合計1.0molに対して、ジアミンの合計が2.0molを超えると、得られるポリイミド樹脂に、アミン末端を有するポリイミドオリゴマーの量が多くなる傾向がある。一方、ジアミンの合計が0.5mol未満であると、酸末端を有するポリイミド樹脂オリゴマーの量が多くなる傾向がある。テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの混合モル比を上記範囲内にすることで、ポリイミド樹脂の重量平均分子量が高くなり、樹脂組成物の耐熱性を含む種々の特性が付与される。
【0054】
また、上記縮合反応における、反応温度は80℃以下が好ましく、0℃〜60℃がより好ましい。反応が進行するにつれ反応液の粘度が徐々に上昇し、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸が生成する。なお、樹脂組成物の諸特性の低下を抑えるため、上述のテトラカルボン酸二無水物は、無水酢酸で再結晶精製処理したものであることが好ましい。
【0055】
本実施形態でのポリイミド樹脂とは、イミド基を有する樹脂を意味する。具体的には、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタンイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタンアミドイミド樹脂、シロキサンポリイミド樹脂、及びポリエステルイミド樹脂等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0056】
ポリイミド樹脂は、上記縮合反応物(ポリアミド酸)を脱水閉環させて得ることができる。脱水閉環は、加熱処理する熱閉環法、及び脱水剤を使用する化学閉環法等で行うことができる。
【0057】
ポリイミド樹脂の原料として用いられるテトラカルボン酸二無水物としては特に制限は無く、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリテート無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ−[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェニル)フェニル]プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェニル)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、及び下記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。下記一般式(1)中、aは2〜20の整数を示す。
【0058】
【化3】
【0059】
上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、例えば、無水トリメリット酸モノクロライド、及び対応するジオールから合成することができ、具体的には1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、及び1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)が挙げられる。
【0060】
また、テトラカルボン酸二無水物としては、溶剤への良好な溶解性及び耐湿性、並びに波長が365nmである光に対する透明性を付与する観点から、下記式(2)、又は(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0061】
【化4】
【0062】
以上のようなテトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0063】
(A)成分は、更に、カルボキシル基及び/又は水酸基含有ポリイミド樹脂であることが好ましい。また、より良好なパターン形成性を維持しつつ、気密封止性を更に向上させ、結露の発生を低減させる観点から、(A)成分は水酸基含有ポリイミド樹脂であることがより好ましい。上記ポリイミド樹脂の原料として用いられるジアミンは、下記式(4)〜(7)及び、下記式(7’)で表される芳香族ジアミンを含むことが好ましい。これら式(4)〜(7)及び、下記式(7’)で表されるジアミンは、全ジアミンの5モル%〜100モル%とすることが好ましく、10モル%〜90モル%とすることが更に好ましく、10モル%〜80モル%とすることが更により好ましく、20モル%〜80モル%とすることが特に好ましく、30モル%〜70モル%とすることが最も好ましい。上記ジアミンの配合量とすることで、アルカリ可溶性を維持しつつ、ポリイミドのTgを上記範囲に調整することができ、貼付性、熱圧着性、高温接着性、耐リフロー性、及び気密封止性を付与することが可能となる。
【0064】
【化5】
【0065】
また、Tgが高いポリイミド樹脂としたときに良好なパターン形成性及び熱圧着性を得る観点から、上記ジアミンとしては、フェノール性水酸基を有するジアミンが好ましく、下記一般式(A−1)で表されるジアミンがより好ましい。下記一般式(A−1)で表されるジアミンは、全ジアミンの10モル%〜80モル%とすることが好ましく、20モル%〜80モル%とすることがより好ましく、30モル%〜70モル%とすることが更に好ましい。ポリイミド樹脂としてカルボキシル基含有樹脂を用いると、加熱乾燥時に配合しているエポキシ樹脂と反応して熱可塑性樹脂の酸価が大きく低下する傾向にある。これに対して、ポリイミド樹脂の側鎖をフェノール性水酸基とすることで、カルボキシル基の場合に比べてエポキシ樹脂との反応が進行しにくくなる。その結果、パターン形成性、熱圧着性及び高温接着性が向上することが考えられる。式中R21は、単結合、又は、2価の有機基を示す。
【0066】
【化6】
【0067】
上記2価の有機基としては、例えば、炭素数1〜30の2価の炭化水素基、又は、ハロゲン原子によって水素の一部若しくは全部が置換されている炭素数1〜30の2価の炭化水素基、−(C=O)−、―SO2−、−O−、−S−、―NH−(C=O)−、―(C=O)−O−、下記一般式(B−1)で表される基、及び下記一般式(B−2)で表される基が挙げられる。式中、nは1〜20の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。
【0068】
【化7】
【0069】
上記R21は、ポリイミドのTgを上昇させたときのパターン形成性の観点から、−C(CF3)2−、及び−C(CH3)2−が好ましい。このような基を有する上記ジアミンを用いることにより、パターン形成時にポリイミドのイミド基同士の凝集を抑制でき、アルカリ現像液が浸透しやすくなることでパターン形成性を向上させることができる。これにより、ポリイミドのTgを上昇させても良好なパターン形成性を得ることが可能となり、気密封止性が更に向上した感光性接着剤組成物の実現が可能となる。
【0070】
本実施形態においては、上記フェノール性水酸基を有するジアミンが、下記式で表される、フルオロアルキル基を有するジフェノールジアミンを含むことが好ましい。ポリイミド鎖にフルオロアルキル基が導入されることによって、ポリイミド同士の分子鎖凝集力が低下し、現像液が浸透しやすくなる。その結果、上記感光性接着剤組成物のパターン形成性(溶解現像性、細線化)がさらに向上する。また、ポリイミドの凝集力の低下によって、熱圧着性を向上させることができ、さらにはポリイミドのTgを上昇させても良好なパターン形成性を得ることが可能となる。これにより、気密封止性及び耐リフロー性が更に向上した感光性接着剤組成物の実現が可能となる。
【0071】
【化8】
【0072】
フルオロアルキル基を有するジフェノールジアミンは、全ジアミンの5モル%〜100モル%とすることが好ましく、10モル%〜90モル%とすることが更に好ましく、10モル%〜80モル%とすることが更により好ましく、20モル%〜80モル%とすることが特に好ましく、30モル%〜70モル%とすることが最も好ましい。
【0073】
上記ポリイミド樹脂の原料として用いられるその他のジアミンとしては特に制限はなく、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタン、3,3’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−(3,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4’−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−アミノエノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(4−アミノエノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(3−アミノエノキシ)フェニル)スルフォン、ビス(4−(4−アミノエノキシ)フェニル)スルフォン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、及び3,5−ジアミノ安息香酸等の芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、下記一般式(8)で表される脂肪族エーテルジアミン、並びに、下記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンが挙げられる。下記一般式(8)中、R1、R2及びR3は各々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、bは2〜80の整数を示す。下記一般式(9)中、R4及びR9は各々独立に、炭素数1〜5のアルキレン基、又はフェニレン基を示し、R5、R6、R7、及びR8は各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、又はフェノキシ基を示し、dは1〜5の整数を示す。なお、上記フェニレン基は、置換基を有していてもよい。
【0074】
【化9】
【0075】
上記ジアミンの中でも、他成分との相溶性、有機溶剤可溶性、及びアルカリ可溶性を付与する点で、上記一般式(8)で表される脂肪族エーテルジアミンが好ましく、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコール系ジアミンがより好ましい。
【0076】
このような脂肪族エーテルジアミンとして具体的には、サンテクノケミカル(株)製ジェファーミンD−230、D−400、D−2000、D−4000、ED−600、ED−900、ED−2000、EDR−148、BASF(製)ポリエーテルアミンD−230、D−400、及びD−2000等のポリオキシアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン等が挙げられる。これらのジアミンは、全ジアミンの1モル%〜80モル%であることが好ましく、10モル%〜80モル%であることがより好ましく、10モル%〜60モル%であることが更により好ましい。この量が1モル%未満であると、高温接着性及び熱時流動性の付与が困難になる傾向にあり、一方、80モル%を超えると、ポリイミド樹脂のTgが低くなり過ぎて、フィルムの自己支持性が十分でなくなる傾向にある。
【0077】
さらに、上記脂肪族エーテルジアミンは、パターン形成性の観点から、下記構造式で表わされるプロピレンエーテル骨格を有し、且つ分子量が300〜600であることが好ましい。このようなジアミンを用いる場合、フィルムの自己支持性、高温接着性、耐リフロー性、及び気密封止性の観点から、その量は全ジアミンの80モル%以下であることが好ましく、60モル%以下であることがより好ましい。また、貼付性、熱圧着性、及び高温接着性の観点から、全ジアミンの10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。この量が上記範囲にあることで、ポリイミドのTgを上記範囲に調整することができ、貼付性、熱圧着性、高温接着性、耐リフロー性、及び気密封止性を付与することが可能となる。下記構造式中、mは3〜7の整数を示す。
【0078】
【化10】
【0079】
また、室温での密着性、及び接着性を向上させる観点から、上記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンが好ましい。
【0080】
上記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンとして具体的には、式(9)中のdが1のものとして、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ビス(4−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノブチル)ジシロキサン、及び1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン等が挙げられ、dが2のものとして、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(4−アミノフェニル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(2−アミノエチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、及び1,1,3,3,5,5−ヘキサプロピル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン等が挙げられる。
【0081】
上記ジアミンは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、上述のジアミンの量は、全ジアミンの1モル%〜80モル%とすることが好ましく、2モル%〜50モル%とすることが更に好ましく、5モル%〜30モル%とすることが最も好ましい。1モル%を下回るとシロキサンジアミンを添加した効果が小さくなり、80モル%を上回ると他成分との相溶性、高温接着性、及び現像性が低下する傾向がある。
【0082】
上述したポリイミド樹脂は、1種を単独で、又は必要に応じて2種以上を混合して用いることができる。
【0083】
また、ポリイミド樹脂の組成を決定する際には、そのTgが、上述のように150℃以下となるように設計することが好ましく、ポリイミド樹脂の原料であるジアミンとして、上記一般式(8)で表される脂肪族エーテルジアミンを用いることが特に好ましい。
【0084】
上記ポリイミド樹脂の合成時に、下記式(10)、(11)又は(12)で表される化合物のような単官能酸無水物及び/又は単官能アミンを縮合反応液に投入することによって、ポリマー末端に酸無水物、又はジアミン以外の官能基を導入することができる。これによって、ポリマーの分子量を低くし、パターン形成時の現像性、及び熱圧着性を向上させることができる。酸無水物及びジアミン以外の官能基としては、特に限定されないが、パターン形成時のアルカリ可溶性を向上させる点で、カルボキシル基、フェノール性水酸基、及びグリコール基等のアルカリ可溶性基が好ましい。また、接着性を付与する点で、下記式(12)で表される化合物やアミノ基を有する(メタ)アクリレート等の放射線重合性基及び/又は熱硬化性基を有する化合物が好ましく用いられる。また、低吸湿性を付与する点で、シロキサン骨格等を有する化合物も好ましく用いられる。
【0085】
【化11】
【0086】
上記ポリイミド樹脂は、光硬化性の観点から、30μmのフィルム状に成形した時の波長365nmの光に対する透過率が10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。このようなポリイミド樹脂は、例えば、上記式(2)で表される酸無水物と、上記一般式(8)で表される脂肪族エーテルジアミン及び/又は上記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンとを反応させることで合成することができる。
【0087】
本実施形態の感光性接着剤組成物において、(A)成分の含有量は、感光性接着剤組成物の固形分全量を基準として10質量%〜90質量%であることが好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、20質量%〜70質量%であることが更に好ましく、30質量%〜60質量%であることが最も好ましい。この含有量が10質量%未満であると、パターン形成時の現像性が十分でなくなる傾向や、タック性等の取り扱い性が十分でなくなる傾向があり、90質量%を超えると、パターン形成時の現像性、及び接着性が十分でなくなる傾向がある。
【0088】
(A)成分としてポリイミド樹脂を配合するときにポリイミド樹脂のアルカリ溶解性が乏しい場合、溶解助剤として、カルボキシル基及び/又は水酸基を有する樹脂、並びに/或いは、親水性基を有する樹脂を添加してもよい。親水性基を有する樹脂としては、アルカリ可溶性の樹脂であれば特に限定はされないが、エチレングリコール、及びプロピレングリコール基のようなグリコール基を有する樹脂等が挙げられる。
【0089】
(B)放射線重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、プロパギル基、ブテニル基、エチニル基、フェニルエチニル基、マレイミド基、ナジイミド基、及び(メタ)アクリル基等が挙げられる。反応性の観点から、(メタ)アクリル基が好ましく、放射線重合性化合物は2官能以上の(メタ)アクリレートであることが好ましい。このようなアクリレートとしては、特に制限されないが、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、4−ビニルトルエン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,2−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、下記一般式で表される化合物、ウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレート、及び尿素アクリレート等が挙げられる。下記一般式中、R19及びR20は各々独立に、水素原子、又はメチル基を示し、g及びhは各々独立に、1〜20の整数を示す。
【0090】
【化12】
【0091】
上述の放射線重合性化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、上記一般式で表されるグリコール骨格を有する放射線重合性化合物は、アルカリ可溶性、及び硬化後の耐溶剤性を十分に付与できる点で好ましく、イソシアヌル酸ジ/トリアクリレート、及びイソシアヌル酸ジ/トリメタクリレートは、パターン形成性、硬化後の高接着性、耐熱性、及び気密封止性を十分に付与できる点で好ましい。
【0092】
また、(B)成分は、3官能以上のアクリレート化合物を含有するものであることが好ましい。この場合、硬化後の接着性を、より向上させることができるとともに、加熱時のアウトガスを抑制することができる。また、硬化後の貯蔵弾性率を上昇させることができ、良好な気密封止性を得ることができる。
【0093】
また、官能基当量の高い放射線重合性化合物を併用することで、低応力化、及び低反り化することが可能となる。官能基当量の高い放射線重合性化合物は、重合官能基当量が200eq/g以上であることが好ましく、300eq/g以上であることがより好ましく、400eq/g以上であることが最も好ましい。特に、重合官能基当量が200eq/g以上の、グリコール骨格と、ウレタン基及び/又はイソシアヌル基を有する放射線重合性化合物を用いることによって、感光性接着剤組成物の現像性、及び接着性を向上させ、且つ低応力化、及び低反り化が可能となる。
【0094】
また、(B)成分として、重合官能基当量が200eq/g以上の放射線重合性化合物と、重合官能基当量が200eq/g未満の放射線重合性化合物とを併用してもよい。この場合、(B)成分としてウレタン基及び/又はイソシアヌル基を有する放射線重合性化合物を用いることが好ましい。
【0095】
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して10質量部〜500質量部であることが好ましく、20質量部〜250質量部であることがより好ましく、30質量部〜150質量部であることが更に好ましく、40質量部〜100質量部であることが最も好ましい。この含有量が500質量部を超えると、重合により熱溶融時の流動性が低下し、熱圧着時の接着性が低下する傾向にある。一方、10質量部未満であると、露光による光硬化後の耐溶剤性が低くなり、パターンを形成するのが困難となる。つまり、現像前後の膜厚変化が大きくなり、残渣が多くなる傾向にある。また、熱圧着時に溶融し、パターンが変形する傾向にある。
【0096】
(C)成分としては、感度向上の点から、波長が365nmである光に対する分子吸光係数が1000ml/g・cm以上であるものが好ましく、2000ml/g・cm以上であるものがより好ましい。なお、分子吸光係数は、サンプルの0.001質量%アセトニトリル溶液を調製し、この溶液について分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:U−3310)を用いて吸光度を測定することによって求められる。
【0097】
感光性接着剤組成物を膜厚30μm以上の接着剤層とする場合、(C)成分は、感度向上、及び内部硬化性向上の観点から、光照射によってブリーチングするものが好ましい。このような(C)成分としては、例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、及びフェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、及び2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、及び1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、及びビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイドの中からUV照射によって光退色する化合物が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0098】
(C)成分は、放射線の照射によって後述する(D)エポキシ樹脂(以下(D)成分と呼ぶことがある。)や(E)エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物(以下(E)成分と呼ぶことがある。)の重合及び/又は付加反応等の硬化反応を促進する機能を発現する光開始剤を含有していてもよい。このような光開始剤としては、例えば、放射線照射によって塩基を発生する光塩基発生剤、及び放射線照射によって酸を発生する光酸発生剤が挙げられ、光塩基発生剤が特に好ましい。
【0099】
放射線としては、例えば、電離性放射線及び非電離性放射線が挙げられ、具体的にはArF、及びKrF等のエキシマレーザー光、電子線極端紫外線、真空紫外光、X線、並びに、イオンビーム、i線、及びg線等の紫外光が挙げられる。
【0100】
光塩基発生剤を用いることで、生成した塩基が(D)成分や(E)成分の硬化触媒として効率よく作用する。その結果、感光性接着剤組成物の架橋密度がより一層高まり、上記感光性接着組成物の被着体への高温接着性、及び耐湿性が向上する。また、上記感光性接着剤組成物に光塩基発生剤を含有させることによって、高温放置時のアウトガスをより低減させることができる。さらに、硬化プロセス温度を低温化、及び短時間化させることができる。
【0101】
また、上記塩基が、(A)成分と(D)成分及び/又は(E)成分との反応後に残存する(A)成分中のカルボキシル基及び/又は水酸基を低減させることができる。そのため、耐湿性、接着性、及びパターン形成性が向上する。
【0102】
光塩基発生剤は、放射線照射時に塩基を発生する化合物であれば特に制限は受けず用いることができる。発生する塩基としては、反応性、及び硬化速度の点から強塩基性化合物が好ましい。
【0103】
このような放射線照射時に発生する塩基としては、例えば、イミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、及び1−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ピペラジン、及び2,5−ジメチルピペラジン等のピペラジン誘導体、ピペリジン、及び1,2−ジメチルピペリジン等のピペリジン誘導体、プロリン誘導体、トリメチルアミン、トリエチルアミン、及びトリエタノールアミン等のトリアルキルアミン誘導体、4−メチルアミノピリジン、及び4−ジメチルアミノピリジン等の4位にアミノ基又はアルキルアミノ基が置換したピリジン誘導体、ピロリジン、及びn−メチルピロリジン等のピロリジン誘導体、ジヒドロピリジン誘導体、トリエチレンジアミン、及び1,8−ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン−1(DBU)等の脂環式アミン誘導体、並びに、ベンジルメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、及びベンジルジエチルアミン等のベンジルアミン誘導体が挙げられる。
【0104】
上述のような塩基を放射線照射によって発生する光塩基発生剤としては、例えば、Journal of Photopolymer Science and Technology 1999年、12巻、313〜314頁、及びChemistry of Materials 1999年、11巻、170〜176頁等に記載されている4級アンモニウム塩誘導体を用いることができる。これらは、放射線照射によって高塩基性のトリアルキルアミンを生成するため、エポキシ樹脂の硬化には最適である。
【0105】
また、Journal of American Chemical Society 1996年、118巻 12925頁、及びPolymer Journal 1996年、28巻 795頁等に記載されているカルバミン酸誘導体も用いることができる。
【0106】
さらに、放射線照射によって1級のアミノ基を発生するオキシム誘導体、光ラジカル発生剤として市販されている2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ ジャパン社製、商品名:イルガキュア907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバ ジャパン社製、商品名:イルガキュア369)、2−(ジメチルアミノ)−2−((4−メチルフェニル)メチル)−1−(4−(4−モルホリニル)フェニル)−1−ブタノン(チバ ジャパン社製、商品名:イルガキュア379)、3,6−ビス−(2−メチル−2−モルホリノ−プロピオニル)−9−N−オクチルカルバゾール(ADEKA社製、商品名:オプトマーN―1414)、ヘキサアリールビスイミダゾール誘導体(ハロゲン、アルコキシ基、ニトロ基、及びシアノ基等の置換基がフェニル基に置換されていてもよい)、及びベンゾイソオキサゾロン誘導体等を用いることができる。
【0107】
上記光塩基発生剤としては、高分子の主鎖及び/又は側鎖に塩基を発生する基を導入した化合物を用いても良い。この場合の分子量としては、接着剤としての接着性、流動性、及び耐熱性の観点から重量平均分子量が1,000〜100,000であることが好ましく、5,000〜30,000であることがより好ましい。
【0108】
上記光塩基発生剤は、室温で放射線を照射しない状態では、後述する(D)成分や(E)成分と反応性を示さないため、室温での貯蔵安定性が非常に優れる。
【0109】
(D)エポキシ樹脂としては、高温接着性、及び耐リフロー性の観点から、分子内に少なくとも2個以上のエポキシ基を含むものが好ましく、パターン形成性、及び熱圧着性の点から、室温(25℃)で液状、又は半固形、具体的には軟化温度が50℃以下であるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂がより好ましい。このような樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型、AD型、S型、又はF型のグリシジルエーテル、水添加ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、エチレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、プロピレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、3官能型、又は4官能型のグリシジルエーテル、ダイマー酸のグリシジルエステル、並びに3官能型、又は4官能型のグリシジルアミンが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0110】
(D)成分としては、5%質量減少温度が150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましく、260℃以上であることが最も好ましい。5%質量減少温度が150℃以上であることで、低アウトガス性、高温接着性、及び耐リフロー性が向上する。
【0111】
上記5%質量減少温度とは、サンプルを示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー製、商品名:TG/DTA6300)を用いて、昇温速度10℃/min、窒素フロー(400ml/min)下で測定したときの5%質量減少温度である。
【0112】
上記(D)成分として、下記構造式で表されるエポキシ樹脂を用いることが好ましい。このようなエポキシ樹脂を用いることで5%質量減少温度、パターン形成性、高温接着性、耐リフロー性、及び気密封止性を十分に付与できる。
【0113】
【化13】
【0114】
また、(D)成分としては、不純物イオンである、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びハロゲンイオン、特に塩素イオン、及び加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることが好ましい。エレクトロマイグレーション防止及び金属導体回路の腐食防止が可能となる。
【0115】
(D)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して5質量部〜300質量部であることが好ましく、10質量部〜100質量部であることがより好ましい。この含有量が300質量部を超えると、アルカリ水溶液への溶解性が低下し、パターン形成性が低下する傾向がある。一方、上記含有量が5質量部未満であると、十分な熱圧着性、及び高温接着性が得にくくなる傾向がある。
【0116】
(D)成分の含有量は、(D)成分と、後述する(E)エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物との総量が、(A)成分100質量部に対して20質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましい。また、(A)成分のTgが70℃以上の場合は、特に30質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることが最も好ましい。(D)成分の含有量を上記範囲とすることで、パターン形成後の溶融粘度を低下させることができ、パターン形成性、熱圧着性、高温接着性、及び気密封止性を向上させることができる。
【0117】
(E)エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物におけるエチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、プロパギル基、ブテニル基、エチニル基、フェニルエチニル基、マレイミド基、ナジイミド基、及び(メタ)アクリル基等が挙げられ、反応性の観点から、(メタ)アクリル基が好ましい。
【0118】
(E)成分としては、特に限定はしないが、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、及び4−ヒドロキシブチルメタクリレートグリシジルエーテルの他、エポキシ基と反応する官能基及びエチレン性不飽和基を有する化合物と、多官能エポキシ樹脂と、を反応させて得られる化合物等が挙げられる。上記エポキシ基と反応する官能基としては、特に限定されないが、イソシアネート基、カルボキシル基、フェノール性水酸基、水酸基、酸無水物、アミノ基、チオール基、及びアミド基等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0119】
(E)成分は、例えば、トリフェニルホスフィン及び/又はテトラブチルアンモニウムブロミドの存在下、1分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂と、エポキシ基1当量に対し0.1当量〜0.9当量の(メタ)アクリル酸とを反応させることによって得られる。また、ジブチルスズジラウレートの存在下、多官能イソシアネート化合物と、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと、ヒドロキシ基含有エポキシ化合物とを反応させることによって、又は多官能エポキシ樹脂と、イソシアネート基含有(メタ)アクリレートとを反応させることによって、グリシジル基含有ウレタン(メタ)アクリレート等が得られる。
【0120】
(E)成分は、5%質量減少温度が150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましく、260℃以上であることが最も好ましい。上記温度が150℃以上であると、保存安定性、接着性、組立て加熱時及び組立て後のパッケージの低アウトガス性、耐熱性、並びに、耐湿性が向上する。
【0121】
さらに、(E)成分としては、不純物イオンであるアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びハロゲンイオン、特には塩素イオン及び加水分解性塩素等を1000ppm以下に低減した高純度品であることが、好ましい。エレクトロマイグレーション防止及び金属導体回路の腐食防止が可能となる。例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びハロゲンイオン等を低減した多官能エポキシ樹脂を原料として用いることで上記不純物イオン濃度を満足することができる。
【0122】
上記耐熱性及び純度を満たす(E)成分としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型、AD型、S型、又はF型のグリシジルエーテル、水添加ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、エチレンオキシド付加体ビスフェノールA及び/又はF型のグリシジルエーテル、プロピレンオキシド付加体ビスフェノールA及び/又はF型のグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ビスフェノールAノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ナフタレン樹脂のグリシジルエーテル、3官能型、又は4官能型のグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂のグリシジルエーテル、ダイマー酸のグリシジルエステル、3官能型、又は4官能型のグリシジルアミン、並びに、ナフタレン樹脂のグリシジルアミン等を原料としたものが挙げられる。
【0123】
熱圧着性、低応力性、及び接着性を改善し、パターン形成時には現像性を維持する観点から、(E)成分のエポキシ基及びエチレン性不飽和基の数は、それぞれ3つ以下であることが好ましく、特にエチレン性不飽和基の数は2つ以下であることが好ましい。このような(E)成分としては特に限定されないが、下記一般式(13)〜(18)で表される化合物等が好ましく用いられる。下記一般式(13)〜(18)において、R12、及びR16は水素原子、又はメチル基を示し、R10、R11、R13、及びR14は2価の有機基を示し、R15、R17、R18、及びR19はエポキシ基、又はエチレン性不飽和基を有する有機基を示す。
【0124】
【化14】
【0125】
上記(E)成分としては、上記一般式(13)、(14)で表される化合物が好ましく用いられる。これらを用いることで、熱圧着性が向上する。
【0126】
本実施形態において、(E)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して5質量部〜300質量部であることが好ましく、10質量部〜200質量部であることがより好ましく、20質量部〜100質量部であることが更に好ましい。この含有量が300質量部を超えると、フィルム形成時にはチキソ性が低下しフィルム形成しにくくなる傾向や、タック性が上昇し取り扱い性が十分でなくなる傾向がある。また、パターン形成時には現像性が低下する傾向があり、光硬化後の溶融粘度が低くなることで熱圧着時にパターンが変形する傾向もある。一方、上記(E)成分の含有量が5質量部未満であると、添加の効果が十分に得られなくなる傾向がある。上記(E)成分はパターン形成性を維持しつつ光硬化時のスペーサとなり、架橋密度を低減することができるため、熱圧着性を大幅に向上させることができる。
【0127】
本実施形態の感光性接着剤組成物は、硬化性成分として、(E)成分以外に、硬化剤、及び硬化促進剤等を含んでもよい。
【0128】
硬化剤としては、例えば、フェノール系化合物、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、脂肪族酸無水物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、三フッ化ホウ素アミン錯体、イミダゾール類、及び第3級アミンが挙げられる。
【0129】
上記硬化剤の中でもフェノール系化合物が好ましく、分子中に少なくとも2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール系化合物がより好ましい。フェノール系化合物を用いることでパターン形成性が向上する。このような化合物としては、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾールノボラック、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック、キシリレン変性フェノールノボラック、ナフトール系化合物、トリスフェノール系化合物、テトラキスフェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、ポリ−p−ビニルフェノール、及びフェノールアラルキル樹脂が挙げられる。
【0130】
上記フェノール系化合物の中でも、数平均分子量が400〜4,000の範囲内のものが好ましい。これによって、半導体装置組立加熱時に、半導体素子、又は装置等の汚染の原因となる加熱時のアウトガスを抑制できる。上記フェノール系化合物の含有量は、(A)成分100質量部に対して1質量部〜100質量部であることが好ましく、2質量部〜50質量部であることがより好ましく、2質量部〜30質量部であることが最も好ましい。この含有量が100質量部を超えると、露光時のエチレン性不飽和基、及びエポキシ基を有する化合物、並びに放射線重合性化合物の反応性が乏しくなる傾向がある。さらに、樹脂の酸価が上昇することで現像後に膜厚が減少したり、膨潤したりする傾向がある。また、現像液の樹脂パターンへの浸透が大きくなることで、その後の加熱硬化時や組立熱履歴でのアウトガスが多くなり、耐熱信頼性及び耐湿信頼性が大きく低下する傾向がある。一方、上記含有量が1質量部未満であると、十分な高温接着性が得られなくなる傾向がある。
【0131】
上記フェノール化合物として、5%質量減少温度が高く、パターン形成性を十分に付与できる点で、下記構造式で表されるフェノール化合物を用いることが好ましい。また、上記フェノール化合物は、樹脂組成物中のポリマー側鎖のカルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基とフェノール性化合物のフェノール性水酸基のモル当量と、(D)成分及び(E)成分のエポキシ樹脂のエポキシ基のモル当量との比[エポキシ基/(カルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基)]が0.5〜1.5であることが好ましく、0.7〜1.4であることがより好ましく、0.9〜1.2であることが最も好ましい。上記エポキシ基/(カルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基)の比が0.5未満であると高温接着性、耐リフロー性、及び気密封止性が低下する傾向があり、1.5を超えるとパターン形成性、高温接着性、及び気密封止性が低下する傾向がある。
【0132】
【化15】
【0133】
硬化促進剤としては、加熱によってエポキシの硬化及び/又は重合を促進する硬化促進剤を含有するものであれば特に制限はない。例えば、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール−テトラフェニルボレート、及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7−テトラフェニルボレートが挙げられる。感光性接着剤組成物における硬化促進剤の含有量は、(D)エポキシ樹脂100質量部に対して0.01質量部〜50質量部が好ましい。
【0134】
さらに、本発明の感光性接着剤組成物には、適宜(F)フィラー(以下(F)成分と呼ぶことがある。)を含有させることもできる。(F)成分としては、例えば、銀粉、金粉、銅粉、及びニッケル粉等の金属フィラー、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、及びセラミック等の無機フィラー、並びに、カーボン、及びゴム系フィラー等の有機フィラーが挙げられ、種類及び形状等にかかわらず特に制限なく使用することができる。
【0135】
上記(F)成分は、所望する機能に応じて使い分けることができる。例えば、金属フィラーは、樹脂組成物に導電性、熱伝導性、及びチキソ性等を付与し、非金属無機フィラーは、接着剤層に熱伝導性、低熱膨張性、及び低吸湿性等を付与する。また、有機フィラーは接着剤層に靭性等を付与する。
【0136】
これら金属フィラー、無機フィラー、又は有機フィラーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、金属フィラー、無機フィラー、又は絶縁性のフィラーが好ましい。半導体装置用接着材料に求められる、導電性、熱伝導性、低吸湿特性、及び絶縁性等が付与される。さらに無機フィラー、又は絶縁性のフィラーの中では、シリカフィラーがより好ましい。樹脂ワニスに対する分散性が良好で且つ、熱時の高い接着力を付与できる。
【0137】
上記(F)成分は、平均粒子径が10μm以下、且つ、最大粒子径が30μm以下であることが好ましく、平均粒子径が5μm以下、且つ、最大粒子径が20μm以下であることがより好ましい。平均粒子径が10μmを超え、且つ、最大粒子径が30μmを超えると、破壊靭性向上の効果が十分に得られない傾向がある。また、平均粒子径、及び最大粒子径の下限は特に制限はないが、取り扱い性の観点から、どちらも0.001μm以上が好ましい。
【0138】
上記(F)成分の含有量は、付与する特性、又は機能に応じて決められるが、樹脂成分とフィラーとの質量の合計に対して0質量%〜50質量%が好ましく、1質量%〜40質量%がより好ましく、3質量%〜30質量%が更に好ましい。フィラーを増量させることによって、低アルファ化、低吸湿化、及び高弾性率化が図れ、ダイシング性(ダイサー刃による切断性)、ワイヤボンディング性(超音波効率)、及び加熱時の接着強度を有効に向上させることができる。
【0139】
上記(F)成分の含有量が50質量%を超えると、熱圧着性、及びパターン形成性が得にくくなる傾向にある。求められる特性のバランスをとるべく、フィラーの最適な含有量を決定する。フィラーを用いた場合の混合及び混練は、通常の撹拌機、らいかい機、三本ロール、及びボールミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。
【0140】
本実施形態の感光性接着剤組成物には、各種カップリング剤を添加することもできる。上記カップリング剤を用いることで、異種材料間の界面結合性が向上する。カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系、及びアルミニウム系が挙げられ、中でも効果が高い点で、シラン系カップリング剤が好ましく、エポキシ基等の熱硬化性基、並びに、メタクリレート及び/又はアクリレート等の放射線重合性基を有する化合物がより好ましい。また、上記シラン系カップリング剤の沸点及び/又は分解温度は150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましい。つまり、200℃以上の沸点及び/又は分解温度で、且つエポキシ基等の熱硬化性基やメタクリレート及び/又はアクリレート等の放射線重合性基を有するシラン系カップリング剤が最も好ましく用いられる。上記カップリング剤の使用量は、その効果、耐熱性、及びコストの面から、使用する(A)成分100質量部に対して、0.01質量部〜20質量部とすることが好ましい。
【0141】
本実施形態の感光性接着剤組成物には、更にイオン捕捉剤を添加することもできる。上記イオン捕捉剤によって、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の絶縁信頼性が向上する。このようなイオン捕捉剤としては、特に制限はなく、例えば、トリアジンチオール化合物、及びフェノール系還元剤等の、銅がイオン化して溶け出すのを防止するための銅害防止剤として知られる化合物、粉末状のビスマス系、アンチモン系、マグネシウム系、アルミニウム系、ジルコニウム系、カルシウム系、チタン系、及びズズ系、並びに、これらの混合系等の無機化合物が挙げられる。
【0142】
上記イオン捕捉剤の具体例としては、特に限定はしないが東亜合成(株)製の無機イオン捕捉剤、商品名:IXE−300(アンチモン系)、IXE−500(ビスマス系)、IXE−600(アンチモン、ビスマス混合系)、IXE−700(マグネシウム、アルミニウム混合系)、IXE−800(ジルコニウム系)、及びIXE−1100(カルシウム系)がある。これらは1種を単独で、又は2種以上混合して用いることができる。上記イオン捕捉剤の使用量は、添加による効果、耐熱性及びコスト等の点から、(A)成分100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部が好ましい。
【0143】
本実施形態では、必要に応じて増感剤を併用することができる。この増感剤としては、例えば、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジ(2−メトキシエチル)ケタール、4,4’−ジメチルベンジル−ジメチルケタール、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ニトロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロ−7−トリフルオロメチルチオキサントン、チオキサントン−10,10−ジオキシド、チオキサントン−10−オキサイド、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、及びアジド基を含む化合物が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0144】
本実施形態では、必要に応じて熱ラジカル発生剤を用いることができる。熱ラジカル発生剤としては、有機過酸化物であることが好ましい。有機過酸化物としては、1分間半減期温度が120℃以上であるものが好ましく、150℃以上であるものがより好ましい。有機過酸化物は、感光性接着剤組成物の調製条件、製膜温度、硬化(貼り合せ)条件、その他プロセス条件、及び貯蔵安定性等を考慮して選択される。
【0145】
使用可能な有機過酸化物としては、特に限定はしないが、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシへキサン)、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、及びビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートが挙げられ、これらのうちの1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0146】
上記熱ラジカル発生剤の添加量は、エチレン性不飽和基を有する化合物の全量に対し、0.01質量%〜20質量%が好ましく、0.1質量%〜10質量%が更に好ましく、0.5質量%〜5質量%が最も好ましい。0.01質量%未満であると硬化性が低下し、添加効果が小さくなる傾向がある。また、5質量%を超えるとアウトガス量が増加し、保存安定性が低下する傾向にある。
【0147】
上記熱ラジカル発生剤としては、半減期温度が120℃以上の化合物であれば特に限定はしないが、例えば、パーヘキサ25B(日油社製)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシへキサン)(1分間半減期温度:180℃)、パークミルD(日油社製)、及びジクミルパーオキサイド(1分間半減期温度:175℃)が挙げられる。
【0148】
本実施形態の感光性接着剤組成物には、キノン類、多価フェノール類、フェノール類、ホスファイト類、及びイオウ類等の重合禁止剤、又は酸化防止剤を、硬化性を損なわない範囲で更に添加してもよい。保存安定性、プロセス適応性、又は酸化防止性が付与される。
【0149】
本実施形態の感光性接着剤組成物において、気密封止性及び取り扱い性の向上、並びに加熱硬化後の反り抑制の観点から、(A)アルカリ可溶性樹脂のTgは、40℃〜150℃であることが好ましい。このようなTgを有するアルカリ可溶性樹脂を含有し、加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率が10MPa以上を満たす感光性樹脂組成物としては、例えば、Tgが40℃〜150℃の(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、放射線重合性基当量が400g/eq以下、好ましくは250g/eq以下である(B)放射線重合性化合物を20質量部〜500質量部、好ましくは40質量部〜200質量部、(C)光開始剤を0.5質量部〜20質量部、好ましくは1質量部〜10質量部、エポキシ基当量が400g/eq以下、好ましくは250g/eq以下である(D)エポキシ樹脂を5質量部〜300質量部、好ましくは10質量部〜100質量部、及び芳香族又はイソシアヌル基を有する(E)エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物を5質量部〜200質量部、好ましくは10質量部〜100質量部を配合したものが挙げられる。これに対して、40℃未満のTgを有するアルカリ可溶性樹脂を含有し、加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率が10MPa以上を満たす感光性樹脂組成物、例えば、Tgが40℃未満の(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、官能基当量が200g/eq以下の2官能以上の(B)放射線重合性化合物及び/又は官能基当量が200g/eq以下の熱硬化性樹脂((D)エポキシ樹脂)を600質量部以上、好ましくは800質量部以上配合することで得られるものは、中空部の気密性を十分なものにすることができるものの、フィルム状に形成したときの取り扱い性が十分でなくなる傾向にあり、また硬化後の反りが大きくなる傾向にある。
【0150】
本実施形態の感光性接着剤組成物において、気密封止性及び取り扱い性の向上、並びに加熱硬化後の反り抑制の観点から、露光後、更に加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率が1GPa以下であることが好ましい。このような条件を満たす感光性接着剤組成物としては、例えば、Tgが40℃〜150℃の(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、放射線重合性基当量が400g/eq以下、好ましくは250g/eq以下である(B)放射線重合性化合物を20質量部〜500質量部、好ましくは40質量部〜200質量部、(C)光開始剤を0.5質量部〜20質量部、好ましくは1質量部〜10質量部、エポキシ基当量が400g/eq以下、好ましくは250g/eq以下である(D)エポキシ樹脂を5質量部〜300質量部、好ましくは10質量部〜100質量部、及び芳香族又はイソシアヌル基を有する(E)エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物を5質量部〜200質量部、好ましくは10質量部〜100質量部を配合したものが挙げられる。これに対して、上記貯蔵弾性率が1GPaを超える感光性樹脂組成物、例えば、(A)アルカリ可溶性樹脂のTgが150℃を超えるもの、又は、Tgが150℃以下の(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、官能基当量が200g/eq以下の2官能以上の(B)放射線重合性化合物及び/又は官能基当量が200g/eq以下の熱硬化性樹脂((D)エポキシ樹脂)を300質量部〜400質量部配合することで得られるものは、中空部の気密性を十分なものにすることができるものの、フィルム状に形成したときの取り扱い性が十分でなくなる傾向にあり、また硬化後の反りが大きくなる傾向にある。
【0151】
上記感光性接着剤組成物をフィルム状に成形することによって、フィルム状接着剤を得ることができる。図1は、本発明のフィルム状接着剤の一実施形態を示す端面図である。図1に示すフィルム状接着剤1は、上記感光性接着剤組成物をフィルム状に成形したものである。
【0152】
フィルム状接着剤1は、例えば、図2に示す基材3上に上記感光性接着剤組成物を塗布し、乾燥させることによってフィルム状に成形される。このようにして、基材3と、基材3上に形成された上記フィルム状接着剤からなる接着剤層1とを備える接着シート100が得られる。図2は、本発明の接着シート100の一実施形態を示す端面図である。図2に示す接着シート100は、基材3と、これの一方面上に設けられたフィルム状接着剤からなる接着剤層1とから構成される。
【0153】
図3は、本発明の接着シートの他の一実施形態を示す端面図である。図3に示す接着シート110は、基材3と、これの一方面上に設けられたフィルム状接着剤からなる接着剤層1とカバーフィルム2とから構成される。
【0154】
フィルム状接着剤1は、以下の方法で得ることができる。まず、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び必要に応じて添加される他の成分を、有機溶媒中で混合し、混合液を混練してワニスを調製する。次に、基材3上にこのワニスを塗布してワニスの層を形成し、加熱によってワニス層を乾燥した後に基材3を除去する。このとき、基材3を除去せずに、接着シート100、110の状態で保存、又は使用することもできる。
【0155】
ワニスの調製に用いる有機溶媒、すなわちワニス溶剤は、材料を均一に溶解、又は分散できるものであれば、特に制限はない。例えば、ジメチルホルムアミド、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、及びN−メチル−ピロリジノン(N−メチル−2−ピロリドン)が挙げられる。
【0156】
上記混合、及び混練は、通常の撹拌機、らいかい機、三本ロール、及びボールミル等の分散機を適宜組み合わせて行うことができる。上記加熱による乾燥は、(B)成分が十分には反応しない温度で、且つ、溶媒が十分に揮散する条件で行う。上記「(B)成分が十分には反応しない温度」とは、具体的には、DSC(例えば、パーキンエルマー社製、商品名:DSC−7型)を用いて、サンプル量:10mg、昇温速度:5℃/min、測定雰囲気:空気、の条件で測定したときの反応熱のピーク温度以下の温度である。具体的には、通常60℃〜180℃で、0.1分〜90分間加熱することによってワニス層を乾燥させる。乾燥前のワニス層の厚みは、1μm〜200μmが好ましい。この厚みが1μm未満であると、接着固定機能が十分でなくなる傾向があり、200μmを超えると、後述する残存揮発分が多くなる傾向がある。
【0157】
得られたワニス層の残存揮発分は10質量%以下が、好ましい。この残存揮発分が10質量%を超えると、組立加熱時の溶媒揮発による発泡が原因で、接着剤層内部にボイドが残存しやすくなり、耐湿性が低下する傾向がある。また、加熱時に発生する揮発成分によって、周辺材料、又は部材が汚染される可能性も高くなる傾向がある。なお、上記の残存揮発成分の測定条件は次の通りである。すなわち、50mm×50mmサイズに切断したフィルム状接着剤1について、初期の質量をM1とし、このフィルム状接着剤1を160℃のオーブン中で3時間加熱した後の質量をM2とし、以下の式により残存揮発分(%)を求める。
残存揮発分(%)=[(M1−M2)/M1]×100
【0158】
基材3は、上述の乾燥条件に耐えるものであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、及びメチルペンテンフィルムを基材3として用いることができる。基材3としてのフィルムは2種以上組み合わせた多層フィルムであってもよく、表面がシリコーン系、及びシリカ系等の離型剤等で処理されたものであってもよい。
【0159】
また、フィルム状接着剤1とダイシングシートとを積層し、接着シートとすることもできる。上記ダイシングシートは、基材上に粘着剤層を設けたシートであり、上述の粘着剤層は、感圧型、又は放射線硬化型のどちらでも良い。また、上述の基材はエキスパンド可能な基材が好ましい。このような接着シートとすることによって、ダイボンドフィルムとしての機能とダイシングシートとしての機能とを併せ持つダイシング・ダイボンド一体型接着シートが得られる。
【0160】
上述のダイシング・ダイボンド一体型接着シートとして具体的には、図4に示すような、基材3、粘着剤層6、及びフィルム状接着剤(接着剤層)1がこの順に積層されてなる接着シート120が挙げられる。
【0161】
図5は、本発明の接着剤層付半導体ウェハの一実施形態を示す上面図であり、図6は図5のIV−IV線に沿った端面図である。図5、及び図6に示す接着剤層付半導体ウェハ20は、半導体ウェハ8と、これの一方面上に設けられたフィルム状接着剤(接着剤層)1と、を備える。
【0162】
接着剤層付半導体ウェハ20は、半導体ウェハ8上に、フィルム状接着剤1を加熱しながらラミネートすることによって得られる。フィルム状接着剤1は、例えば、室温(25℃)〜150℃程度の低温で半導体ウェハ8に貼付けることが可能である。
【0163】
図7、及び図9は、それぞれ本発明の接着剤パターンの一実施形態を示す上面図であり、図8は図7のV−V線に沿った端面図であり、図10は図9のVI−VI線に沿った端面図である。図7〜図10に示す接着剤パターン1aは、被着体としての半導体ウェハ8上において、略正方形の辺に沿ったパターン、又は正方形のパターンを有するように形成されている。
【0164】
接着剤パターン1aは、接着剤層1を、被着体としての半導体ウェハ8上に積層して接着剤層付半導体ウェハ20を得て、接着剤層1を、フォトマスクを介して露光し、露光後の接着剤層1をアルカリ現像液で現像処理することによって形成される。これによって、接着剤パターン1aが形成された接着剤層付半導体ウェハ20が得られる。
【0165】
以下、本実施形態に係るフィルム状接着剤を用いて製造される半導体装置について、図面を用いて具体的に説明する。なお、本発明のフィルム状接着剤の用途は、以下に説明する構造の半導体装置に限定されるものではない。
【0166】
図11は、本発明の半導体装置の一実施形態を示す端面図である。図11に示す半導体装置200において、半導体素子12はフィルム状接着剤1を介して半導体素子搭載用支持部材13に接着され、半導体素子12の接続端子(図示せず)はワイヤ14を介して外部接続端子(図示せず)と電気的に接続され、封止材15によって封止されている。
【0167】
図12は、本発明の半導体装置の他の一実施形態を示す端面図である。図12に示す半導体装置210において、一段目の半導体素子12aはフィルム状接着剤1を介して、端子16が形成された半導体素子搭載用支持部材13に接着され、一段目の半導体素子12aの上に更にフィルム状接着剤1を介して二段目の半導体素子12bが接着されている。一段目の半導体素子12a、及び二段目の半導体素子12bの接続端子(図示せず)は、ワイヤ14を介して外部接続端子と電気的に接続され、封止材15によって封止されている。このように、本発明のフィルム状接着剤は、半導体素子を複数重ねる構造の半導体装置にも好適に使用できる。
【0168】
図11、及び図12に示す半導体装置(半導体パッケージ)は、例えば、図9に示す接着剤層付半導体ウェハ20を破線Dに沿ってダイシングし、ダイシング後の接着剤層付半導体素子を半導体素子搭載用支持部材13に加熱圧着して両者を接着させ、その後、ワイヤボンディング工程、必要に応じて封止材による封止工程等の工程を経ることによって得ることができる。上記加熱圧着における加熱温度は、通常、20℃〜250℃であり、荷重は、通常、0.01kgf〜20kgfであり、加熱時間は、通常、0.1秒間〜300秒間である。
【0169】
その他、本発明の半導体装置の実施形態としては、図18に示すような半導体装置220がある。以下、図18に示す半導体装置220の製造方法について、図面を用いて詳しく説明する。図13は、本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図であり、図14、及び図16〜図19は、本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図であり、図15は本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す上面図である。
【0170】
本実施形態の半導体装置220の製造方法は、以下の(工程1)〜(工程7)を備える。
【0171】
(工程1)半導体ウェハ8内に形成された半導体チップ(半導体素子)12の回路面18上にフィルム状接着剤(接着剤層)1を積層する工程(図13(a)、及び(b))。
【0172】
(工程2)半導体チップ12の回路面18上に設けられた接着剤層1を、マスク4を介した露光、及び現像によってパターニングする工程(図13(c)及び図14(a))。
【0173】
(工程3)半導体ウェハ8を回路面18とは反対側の面から研磨して半導体ウェハ8を薄くする工程(図14(b))。
【0174】
(工程4)半導体ウェハ8をダイシングによって複数の半導体チップ12に切り分ける工程(図14(c)、及び図16(a))。
【0175】
(工程5)半導体チップ12をピックアップして半導体装置用の板状の支持部材(半導体素子搭載用支持部材)13にマウントする工程(図16(b)、及び図17(a))。
【0176】
(工程6)支持部材13にマウントされた半導体チップ12aの回路面18上でパターニングされた接着剤層1に2層目の半導体チップ12bを積層する工程(図17(b))。
【0177】
(工程7)半導体チップ12a、及び12bをそれぞれ外部接続端子と接続する工程(図18)。
【0178】
以下、(工程1)〜(工程7)について詳述する。
【0179】
(工程1)
図13(a)に示す半導体ウェハ8内には、ダイシングラインDによって区分された複数の半導体チップ12が形成されている。この半導体チップ12の回路面18側の面にフィルム状接着剤(接着剤層)1を積層する(図13(b))。接着剤層1を積層する方法としては、予めフィルム状に成形されたフィルム状接着剤を準備し、これを半導体ウェハ8に貼り付ける方法が簡便であるが、スピンコート法等を用いて液状の感光性接着剤組成物のワニスを半導体ウェハ8に塗布し、加熱乾燥する方法によってもよい。
【0180】
(工程2)
接着剤層1は、露光、及び現像によってパターニングされた後に被着体に対する接着性を有し、アルカリ現像が可能な感光性接着剤である。より詳細には、接着剤層1を露光、及び現像によってパターニングして形成されるレジストパターン(接着剤パターン)が、半導体チップ及び支持部材等の被着体に対する接着性を有している。例えば、接着剤パターンに被着体を必要に応じて加熱しながら圧着することによって、接着剤パターンと被着体とを接着することが可能である。
【0181】
半導体ウェハ8に積層された接着剤層1に対して、所定の位置に開口を形成しているマスク4を介して活性光線(典型的には紫外線)を照射する(図13(c))。これによって接着剤層1が所定のパターンで露光される。
【0182】
露光後、接着剤層1のうち露光されなかった部分を、アルカリ現像液を用いた現像によって除去することで、開口11が形成されるように接着剤層1をパターニングする(図14(a))。なお、ネガ型の感光性接着剤組成物の代わりに、ポジ型の感光性接着剤組成物を用いることも可能であり、その場合は接着剤層1のうち露光された部分が現像によって除去される。
【0183】
図15は、接着剤層1がパターニングされた状態を示す上面図である。開口11において半導体チップ12のボンディングパッドが露出する。すなわち、パターニングされた接着剤層1は、半導体チップ12のバッファーコート膜である。矩形状の開口11は、各半導体チップ12上に複数並んで形成されている。開口11の形状、配置、及び数は本実施形態のような形態に限られるものではなく、ボンディングパッド等の所定の部分が露出するように適宜変形が可能である。なお、図15のII−II線に沿った端面図が図14である。
【0184】
(工程3)
パターニングの後、半導体ウェハ8の接着剤層1とは反対側の面を研磨して、半導体ウェハ8を所定の厚さまで薄くする(図14(b))。研磨は、例えば、接着剤層1上に粘着フィルムを貼り付け、粘着フィルムによって半導体ウェハ8を研磨用の治具に固定して行う。
【0185】
(工程4)
研磨後、半導体ウェハ8の接着剤層1とは反対側の面に、ダイボンディング材30、及びダイシングテープ40を有しこれらが積層している複合フィルム5を、ダイボンディング材30が半導体ウェハ8に接する向きで貼り付ける(図14(c))。貼り付けは必要に応じて加熱しながら行う。
【0186】
次いで、ダイシングラインDに沿って半導体ウェハ8を接着剤層1、及び複合フィルム5とともに切断する。これによって、接着剤層1、及び複合フィルム5をそれぞれ備えた複数の半導体チップ12が得られる(図16(a))。このダイシングは、例えば、ダイシングテープ40によって全体をフレームに固定した状態でダイシングブレードを用いて行われる。
【0187】
(工程5)
ダイシングの後、切り分けられた半導体チップ12(12a)を、接着剤層1及びダイボンディング材30とともにピックアップし(図16(b))、支持部材13にダイボンディング材30を介してマウントする(図17(a))。
【0188】
(工程6)
支持部材13にマウントされた半導体チップ12a上の接着剤層1上に、2層目の半導体チップ12bを積層する(図17(b))。すなわち、半導体チップ12aと、その上層に位置する半導体チップ12bとが、それらの間に介在するパターニングされた接着剤層1(バッファーコート膜)によって接着される。半導体チップ12bは、パターニングされた接着剤層1のうち開口11は塞がないような位置に接着される。なお、半導体チップ12bの回路面18上にもパターニングされた接着剤層1(バッファーコート膜)が形成されている。
【0189】
半導体チップ12bの接着は、例えば、接着剤層1が流動性を発現するような温度にまで加熱しながら熱圧着する方法によって行われる。熱圧着後、必要に応じて接着剤層1を加熱して更に硬化を進行させる。
【0190】
(工程7)
その後、半導体チップ12aは、そのボンディングパッドに接続されたワイヤ14aを介して支持部材13上の外部接続端子と接続され、半導体チップ12bはそのボンディングパッドに接続されたワイヤ14bを介して支持部材13上の外部接続端子と接続される。次いで、半導体チップ12a、及び12bを含む積層体を封止材15によって封止することで、半導体装置220が得られる(図18)。
【0191】
本発明の半導体装置の製造方法は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。例えば、(工程1)〜(工程7)の順序を適宜入れ替えることが可能である。図19に示すように、接着剤層1が形成された半導体ウェハ8を研磨により薄くした後、ダイシングを行ってもよい。この場合、ダイシング後、露光、及び現像によって接着剤層1をパターニングすることで、図16(a)と同様の積層体が得られる。また、半導体ウェハを研磨によって薄くし、ダイシングしてから、フィルム状接着剤1の貼り付けとその後の露光、及び現像を行ってもよい。また、3層以上の半導体チップ12が積層されていてもよい。その場合、少なくとも1組の隣り合う半導体チップ同士が、パターニングされた接着剤層1(下層側のバッファーコート膜)によって直接接着される。
【0192】
図20は、本発明の半導体装置の他の一実施形態を示す端面図である。図20に示す半導体装置230は、接続端子(第1の接続部:図示せず)を有する支持部材(第1の被着体)13と、接続用電極部(第2の接続部:図示せず)を有する半導体チップ(第2の被着体)12と、絶縁材からなる接着剤層1と、導電材からなる導電層9とを備えている。支持部材13は、半導体チップ12と対向する回路面18を有しており、半導体チップ12と所定の間隔をおいて配置されている。接着剤層1は、支持部材13、及び半導体チップ12の間において、それぞれと接して形成されており、所定のパターンを有している。導電層9は、支持部材13、及び半導体チップ12の間における、接着剤層1が配置されていない部分に形成されている。半導体チップ12の接続用電極部は、導電層9を介して支持部材13の接続端子と電気的に接続されている。
【0193】
以下、図21〜図25を用いて、図20に示す半導体装置230の製造方法について詳述する。図21、22、24及び25は、本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図であり、図23は、本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図である。本実施形態の半導体装置の製造方法は、以下の(第1工程)〜(第4工程)を備える。
【0194】
(第1工程)接続端子を有する支持部材13上に接着剤層1を設ける工程(図21、及び図22)。
【0195】
(第2工程)接着剤層1を露光、及び現像によって、接続端子が露出する開口11が形成されるようにパターニングする工程(図23、及び図24)。
【0196】
(第3工程)開口11に導電材を充填して導電層9を形成する工程(図25)。
【0197】
(第4工程)接続用電極部を有する半導体チップ12を、支持部材13と接着剤層1との積層体の接着剤層1側に接着すると共に、支持部材13の接続端子と半導体チップ12の接続用電極部とを導電層9を介して電気的に接続する工程(図20)。
【0198】
以下、(第1工程)〜(第4工程)について詳しく説明する。
(第1工程)
図21に示す支持部材13の回路面18上に、接着剤層1を積層する(図22)。積層方法としては、予めフィルム状に成形されたフィルム状接着剤を準備し、これを支持部材13に貼り付ける方法が簡便であるが、スピンコート法等を用いて、感光性接着剤組成物を含有する液状のワニスを支持部材13上に塗布し、加熱乾燥する方法によって積層してもよい。
【0199】
本実施形態に係る感光性接着剤組成物は、露光、及び現像によってパターニングされた後に被着体に対する接着性を有し、アルカリ現像が可能な感光性接着剤組成物である。より詳細には、感光性接着剤組成物を露光、及び現像によってパターニングして形成されるレジストパターンが、半導体チップ、及び基板等の被着体に対する接着性を有している。例えばレジストパターンに被着体を必要に応じて加熱しながら圧着することによって、レジストパターンと被着体とを接着することが可能である。
【0200】
(第2工程)
支持部材13上に設けられた接着剤層1に対して、所定の位置に開口が形成されているマスク4を介して活性光線(典型的には紫外線)を照射する(図23)。これにより接着剤層1が所定のパターンで露光される。
【0201】
露光後、接着剤層1のうち露光されなかった部分を、アルカリ現像液を用いた現像によって除去することで、支持部材13の接続端子が露出する開口11が形成されるように接着剤層1がパターニングされる(図24)。なお、ネガ型の感光性接着剤組成物の代わりに、ポジ型の感光性接着剤組成物を用いることも可能であり、その場合は接着剤層1のうち露光された部分が現像によって除去される。
【0202】
得られたレジストパターンの開口11に導電材を充填して導電層9を形成する(図25)。導電材の充填方法は、グラビア印刷、ロールによる押し込み、及び減圧充填等の各種の方法が採用できる。ここで使用する導電材は、半田、金、銀、ニッケル、銅、白金、又はパラジウム等の金属、酸化ルテニウム等の金属酸化物等からなる電極材料、或いは、上記金属のバンプの他、例えば、導電性粒子と樹脂成分とを少なくとも含有してなるものが挙げられる。導電性粒子としては、例えば、金、銀、ニッケル、銅、白金、及びパラジウム等の金属、酸化ルテニウム等の金属酸化物、並びに、有機金属化合物等の導電性粒子が用いられる。また、樹脂成分としては、例えば、エポキシ樹脂、及びその硬化剤等の上述した硬化性樹脂組成物が用いられる。
【0203】
支持部材13上の接着剤層1に対して、半導体チップ12が直接接着される。半導体チップ12の接続用電極部は、導電層9を介して支持部材13の接続端子と電気的に接続される。なお、半導体チップ12における接着剤層1と反対側の回路面上に、パターン化された接着剤層(バッファーコート膜)が形成されていてもよい。
【0204】
半導体チップ12の接着は、例えば、接着剤層1(感光性接着剤組成物)が流動性を発現するような温度にまで加熱しながら熱圧着する方法によって行われる。熱圧着後、必要に応じて接着剤層1を加熱して更に硬化反応を進行させてもよい。
【0205】
半導体チップ12における接着剤層1と反対側の回路面(裏面)には、裏面保護フィルムを貼り付けることが好ましい。
【0206】
以上の方法によって、図20に示す半導体装置230が得られる。本発明の半導体装置の製造方法は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
【0207】
例えば、接着剤層1は、最初に支持部材13上に設けられることに限られるものではなく、半導体チップ12上に最初に設けることもできる。この場合、半導体装置の製造方法は、例えば、接続用電極部を有する半導体チップ12上に接着剤層1を設ける第1の工程と、接着剤層1を露光、及び現像によって、接続用電極部が露出する開口11が形成されるようにパターニングする第2の工程と、開口11に導電材を充填して導電層9を形成する第3の工程と、接続端子を有する支持部材13を、半導体チップ12と接着剤層1との積層体の接着剤層1に直接接着すると共に、支持部材13の接続端子と半導体チップ12の接続用電極部とを導電層9を介して電気的に接続する第4の工程と、を備える。
【0208】
上記製造方法では、それぞれ個片化された支持部材13、及び半導体チップ12間の接続であるため、支持部材13上の接続端子と半導体チップ12上の接続用電極部との接続が容易である点において好ましい。
【0209】
また、接着剤層1は、複数の半導体チップ12から構成される半導体ウェハ上に最初に設けることもできる。この場合、半導体装置の製造方法は、例えば、接続用電極部を有する複数の半導体チップ12から構成される半導体ウェハ上に接着剤層1を設ける第1の工程と、接着剤層1を露光、及び現像によって、接続用電極部が露出する開口11が形成されるようにパターニングする第2の工程と、開口11に導電材を充填して導電層9を形成する第3の工程と、接続端子を有するウェハサイズの支持部材13(半導体ウェハと同程度の大きさを有する支持部材)を、半導体ウェハと接着剤層1との積層体の接着剤層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続端子と半導体ウェハを構成する半導体チップ12の接続用電極部とを導電層9を介して電気的に接続する第4の工程と、半導体ウェハと接着剤層1と支持部材13との積層体を半導体チップ12ごとに切り分ける(ダイシング)第5の工程と、を備える。
【0210】
また、上記製造方法は、第1の工程において、ウェハサイズの支持部材13上に接着剤層1を設け、第4の工程において、半導体ウェハを、支持部材13と接着剤層1との積層体の接着剤層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続端子と半導体ウェハを構成する半導体チップ12の接続用電極部とを導電層9を介して電気的に接続し、第5の工程において、半導体ウェハと接着剤層1と支持部材13との積層体を半導体チップ12ごとに切り分けてもよい。
【0211】
上記製造方法では、半導体ウェハと支持部材13との接続までの工程(第4の工程)をウェハサイズでできるので作業効率の点において好ましい。なお、半導体ウェハにおける接着剤層1と反対側の回路面(裏面)には、裏面保護フィルムを貼り付けることが好ましい。
【0212】
また、他の半導体装置の製造方法は、接続用電極部を有する複数の半導体チップ12から構成される半導体ウェハ上に接着剤層1を設ける第1の工程と、接着剤層1を露光、及び現像によって、接続用電極部が露出する開口11が形成されるようにパターニングする第2の工程と、開口11に導電材を充填して導電層9を形成する第3の工程と、半導体ウェハと接着剤層1との積層体を半導体チップ12ごとに切り分ける(ダイシング)第4の工程と、接続端子を有する支持部材13を、個片化された半導体チップ12と接着剤層1との積層体の接着剤層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続端子と半導体チップ12の接続用電極部とを導電層9を介して電気的に接続する第5の工程と、を備える。
【0213】
上記製造方法は、第1の工程において、ウェハサイズの支持部材13上に接着剤層1を設け、第4の工程において、ウェハサイズの支持部材13と接着剤層1との積層体を半導体チップ12ごとに切り分け、第5の工程において、半導体チップ12を、個片化された支持部材13と接着剤層1との積層体の接着剤層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続端子と半導体チップ12の接続用電極部とを導電層9を介して電気的に接続してもよい。
【0214】
上記製造方法では、接着剤層1の形成から導電材の充填工程(第3の工程)までをウェハサイズで行え、またダイシング工程(第4の工程)をスムーズにできる点において好ましい。
【0215】
また、フィルム状接着剤を用いて、半導体ウェハ同士、又は半導体チップ同士を接着することによって半導体装置(半導体積層体)を構成することができる。この積層体には、貫通電極を形成することも可能である。
【0216】
この場合、半導体装置の製造方法は、例えば、貫通電極の接続用電極部を有する第1の半導体チップ12上に感光性接着剤からなる接着剤層1を設ける第1の工程と、接着剤層1を露光、及び現像によって、上記接続用電極部が露出する開口11が形成されるようにパターニングする第2の工程と、開口11に導電材を充填して貫通電極接続を形成する第3の工程と、接続用電極部を有する第2の半導体チップ12を、第1の半導体チップ12と接着剤層1との積層体の接着剤層1に直接接着すると共に、第1、及び第2の半導体チップ12の接続用電極部同士を導電層9を介して電気的に接続する第4の工程と、を備える。上記製造方法において、半導体チップに替えて、半導体ウェハを用いてもよい。
【0217】
本実施形態に係る半導体装置は、図26に示すような固体撮像素子400であってもよい。図26は、本発明の半導体装置の一実施形態を示す端面図である。図26に示す半導体装置(固体撮像素子)400は、ガラス基板7、半導体チップ12、接着剤層1、及び有効画素領域17を備える。ガラス基板7と半導体チップ12とは、パターニングされた接着剤層1を介して接着されており、半導体チップ12のガラス基板7側の面には有効画素領域17が形成されている。
【0218】
本実施形態の感光性接着剤組成物から上記接着剤層1を形成することによって、加熱硬化後の上記接着剤層1の分子間架橋密度を高くすることができ、上記接着剤層1を通して浸入する水分量を減少させることができる。これにより、ガラス表面等での結露の発生を十分抑制することができる。
【0219】
また、本実施形態において、更に高い気密封止性を得る観点から、上記接着剤層1がガラス基板7に対して高い接着性を有するものであることが好ましい。上記接着剤層1とガラス基板7との接着界面が十分に接着されていることで、ガラス基板7のはく離を抑制することができ、接着界面からの水分の浸入を更に低減させることができる。これにより、ガラス表面等での結露の発生を更に低減することができる。
【0220】
上記半導体装置(固体撮像素子)400は、例えば、図27に示すようなCMOSセンサの製造に用いられる。図27は、図26に示す半導体素子を固体撮像素子として用いたCMOSセンサの例を示す端面図である。図27に示すCMOSセンサ300において、半導体装置400は、複数の導電性バンプ32を介して半導体素子搭載用支持部材13上の接続端子(図示せず)と電気的に接続されている。なお、導電性バンプ32を用いて半導体装置400が接着された構成に代えて、導電性ワイヤを介して半導体装置400が半導体素子搭載用支持部材13上の接続端子に接続された構成を有していてもよい。
【0221】
CMOSセンサ300は、有効画素領域17の真上(半導体チップ12の反対側)に位置するように設けられたレンズ38と、レンズ38と共に半導体装置400を内包するように設けられた側壁50と、レンズ38が嵌め込まれた状態でレンズ38、及び側壁50の間に介在する嵌め込み用部材42とが半導体素子搭載用支持部材13上に搭載された構成を有する。
【0222】
CMOSセンサ300は、上述のような方法によって製造された半導体装置400を、半導体素子搭載用支持部材13上の接続端子と半導体チップ12を導電性バンプ32を介して接続し、半導体装置400を内包するようにレンズ38、側壁50、及び嵌め込み用部材42を半導体素子搭載用支持部材13上に形成することで製造される。
【0223】
本実施形態に係る感光性接着剤組成物は、CMOSセンサに用途を限定されるものではなく、露光、現像によるパターン形成後に被着体を熱圧着して形成される中空構造を有するパッケージに用いられてもよい。上記中空構造を有するパッケージとしては、インクジェットヘッド、及びバイオセンサー等のマイクロ流路、太陽電池部材、電子ペーパー、SAWフィルター、並びに、特開2005−329532号公報に開示されるMEMSパッケージ等の気密封止性が要求されるものが挙げられる。このようなパッケージに本実施形態に係る感光性接着剤組成物を適用することで、気密封止性に優れたパッケージを作製することができる。また、本実施形態に係る感光性接着剤組成物は、中空構造を作製する際に封止機能を有するリブ材として用いられてもよい。
【0224】
本発明では、上述した本実施形態に係る感光性接着剤組成物を用いて接着剤層付基板を提供することができる。本実施形態に係る接着剤層付基板は、基板と、この基板上に積層された、本実施形態に係る感光性接着剤組成物をフィルム状に成形することによって得られるフィルム状接着剤からなる接着剤層とを備える。基板が透明基板である場合、接着剤層付透明基板を得ることができる。接着剤層付透明基板は、図26に示すような固体撮像素子400の製造に好適である。具体的には、透明基板としてガラス基板7上に本発明に係る接着剤層を設けた接着剤層付透明基板を作製し、接着剤層を露光、現像することによりパターン形成した後、これを半導体チップ12上に貼り合わせることにより固体撮像素子400を製造できる。透明基板以外の基板としては、シリコンウェハやシリコンチップ、樹脂基板などが挙げられる。
【実施例】
【0225】
以下、実施例を挙げて本発明について、より具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0226】
<(A)成分:アルカリ可溶性樹脂>
(PI−1)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた300mLフラスコ内に、ジアミンである2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(セントラル硝子社製、商品名:BIS−AP−AF、分子量:366、)を14.64g(0.04mol)、D−400(BASF社製、商品名:D−400、分子量:433)を17.32g(0.04mol)、及びBY16−871EG(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名:BY16−871EG、分子量:248.5)を2.485g(0.01mol)と、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」と略す。)80gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0227】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(以下「ODPA」と略す。)を31g(0.1mol)、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温して、ポリイミド樹脂PI−1を得た。PI−1のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)=32,000であった。また、PI−1のTgは75℃であった。
【0228】
(PI−2)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた300mLフラスコ内に、ジアミンであるBIS−AP−AFを21.96g(0.06mol)、D−400を8.66g(0.02mol)、及びBY16−871EGを2.485g(0.01mol)と、溶媒であるNMP80gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0229】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPA31g(0.1mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温して、ポリイミド樹脂PI−2を得た。PI−2のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)=31,000であった。また、PI−2のTgは95℃であった。
【0230】
(PI−3)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた300mLフラスコ内に、ジアミンであるBIS−AP−AFを21.96g(0.06mol)、D−400を8.66g(0.02mol)、及びBY16−871EGを3.728g(0.015mol)と、溶媒であるNMP80gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0231】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPAを27.9g(0.09mol)、及びTAA(無水トリメリット酸)5.76g(0.03mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温して、ポリイミド樹脂PI−3を得た。PI−3のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)=20,000であった。また、PI−3のTgは90℃であった。
【0232】
(PI−4)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えたフラスコ内に、ジアミンである5,5’−メチレンビス(アントラニル酸)(和歌山精化製、商品名:MBAA、分子量:286)を11.4g(0.04mol)、D−400を17.32g(0.04mol)、及びBY16−871EGを3.73g(0.015mol)と、溶媒であるNMP90gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0233】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPAを27.9g(0.09mol)、及びTAA(無水トリメリット酸)5.76g(0.03mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温し、ポリイミド樹脂PI−4を得た。PI−4のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算でMw=20,000であった。また、PI−4のTgは75℃であった。
【0234】
(PI−5)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えたフラスコ内に、ジアミンであるMBAAを14.3g(0.05mol)、D−400を12.99g(0.03mol)、及びBY16−871EGを3.73g(0.015mol)と、溶媒であるNMP90gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0235】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPAを27.9g(0.09mol)、及びTAA(無水トリメリット酸)5.76g(0.03mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温し、ポリイミド樹脂PI−5を得た。PI−5のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算でMw=21,000であった。また、PI−5のTgは90℃であった。
【0236】
(PI−6)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えたフラスコ内に、ジアミンであるMBAAを17.16g(0.06mol)、D−400を8.66g(0.02mol)、及びBY16−871EGを3.73g(0.015mol)と、溶媒であるNMP90gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0237】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPAを27.9g(0.09mol)、及びTAA(無水トリメリット酸)5.76g(0.03mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温し、ポリイミド樹脂PI−6を得た。PI−6のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算でMw=23,000であった。また、PI−6のTgは105℃であった。
【0238】
(PI−7)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えたフラスコ内に、ジアミンであるMBAAを5.72g(0.02mol)、D−400を25.98g(0.06mol)、及びBY16−871EGを2.48g(0.01mol)と、溶媒であるNMP110gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0239】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPA31g(0.1mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温し、ポリイミド樹脂PI−7を得た。PI−7のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算でMw=30,000であった。また、PI−7のTgは45℃であった。
【0240】
(PI−8)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えたフラスコ内に、ジアミンであるMBAAを5.72g(0.02mol)、D−400を12.99g(0.03mol)、BY16−871EGを2.48g(0.01mol)、及び1,4−ブタンジオール ビス(3−アミノプロピル)エーテル(東京化成製、商品名:B−12、分子量:204.31)8.17g(0.04mol)と、溶媒であるNMP110gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0241】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPA27.9g(0.09mol)、及びTAA(無水トリメリット酸)3.84g(0.02mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温し、ポリイミド樹脂PI−8を得た。PI−8のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算でMw=21,000であった。また、PI−8のTgは55℃であった。
【0242】
(PI−9)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた300mLフラスコ内に、ジアミンであるBIS−AP−AFを7.32g(0.02mol)、D−400を12.99g(0.03mol)、B−12を6.12g(0.03mol)、及びBY16−871EGを2.485g(0.01mol)と、溶媒であるNMP80gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0243】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPA31g(0.1mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温して、ポリイミド樹脂PI−9を得た。PI−9のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)=32,000であった。また、PI−9のTgは55℃であった。
【0244】
<(E)成分:エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物>
(E−1)
撹拌機、温度計、及び窒素置換装置を備えた500mLフラスコ内に、かく拌しながら液状の高純度ビスフェノールAビスグリシジルエーテルエポキシ樹脂(東都化成製、商品名:YD−825GS、エポキシ当量178g/eq)178g(1.0当量)、アクリル酸36g(0.5当量)、トリフェニルホスフィン0.5g、及びヒドロキノン0.15gを仕込み、100℃で7時間反応させ、分子内に炭素−炭素二重結合及びエポキシ基を有する化合物E−1を得た。E−1を水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定し、酸価が0.3KOHmg/g以下であることを確認した。(5%質量減少温度:300℃、エポキシ基数:約1、(メタ)アクリル基数:約1)
【0245】
<感光性接着剤組成物の調製>
上記で得られた樹脂及び他の化合物を用いて、下記表1及び表2に示す組成比(単位:質量部)にて各成分を配合し、実施例1〜11及び比較例1〜5の感光性接着剤組成物(接着剤層形成用ワニス)を得た。
【0246】
表1及び表2において、各記号は下記のものを意味する。
M−313:東亜合成社製、イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート(放射線重合性基当量:約160g/eq、5%質量減少温度:>400℃)。
YDF−870GS:東都化成社製、ビスフェノールF型ビスグリシジルエーテル(エポキシ当量:165g/eq、5%質量減少温度:270℃)。
YD−825GS:東都化成社製、ビスフェノールA型ビスグリシジルエーテル(エポキシ当量178g/eq、5%質量減少温度:270℃)。
TrisP−PA:本州化学社製、トリスフェノール化合物(α,α,α’−トリス(4−ヒドロキシフェノル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン)(5%質量減少温度:350℃)。
R−972:日本アエロジル社製、疎水性フュームドシリカ(平均粒径:約16nm)
I−819:チバ・ジャパン社製、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(5%質量減少温度:210℃、365nmでの分子吸光係数:2300ml/g・cm)。
I−OXE02:チバ・ジャパン社製、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)。
パークミルD:日油社製、ジクミルパーオキサイド(5%質量減少温度:370℃、365nmでの分子吸光係数:7700ml/g・cm)。
NMP:関東化学社製、N−メチル−2−ピロリドン。
【0247】
なお、5%質量減少温度は以下の条件で測定した。すなわち、サンプルを、示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、商品名「TG/DTA6300」)を用いて、昇温速度10℃/min、窒素フロー(400ml/分)下で5%質量減少温度を測定した。また、分子吸光係数は、サンプルの0.001質量%アセトニトリル溶液を調製し、この溶液について分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、「U−3310」(商品名))を用いて吸光度を測定して求めた。
【0248】
【表1】
【0249】
【表2】
【0250】
<接着シート>
得られた感光性接着剤組成物を、乾燥後の膜厚が40μmとなるように、それぞれ基材(剥離剤処理PETフィルム)上に塗布し、オーブン中にて80℃で20分間加熱し、続いて120℃で20分間加熱して、基材上に感光性接着剤組成物からなる接着剤層を形成した。このようにして、基材、及び基材上に形成された接着剤層を有する接着シートを得た。
【0251】
<評価試験>
上記で得られた接着シートについて、以下の評価試験を行った。
【0252】
(貼付性)
支持台上にシリコンウェハ(6インチ径、厚さ400μm)を載せ、その上に、上記接着シートを、接着剤層がシリコンウェハの裏面(支持台と反対側の面)と接するように、ロール加圧(温度100℃、線圧4kgf/cm、送り速度0.5m/分)によって積層した。基材(PETフィルム)を剥離除去した後、露出した接着剤層上に、厚み80μm、幅10mm、長さ40mmのポリイミドフィルム(宇部興産社製、商品名:ユーピレックス)を、上記と同様の条件でロール加圧して積層した。このようにして、シリコンウェハ、接着剤層、及びポリイミドフィルムからなり、これらがこの順に積層する積層体のサンプルを得た。
【0253】
得られたサンプルについて、レオメータ(東洋製機製作所社製、商品名:ストログラフE−S)を用いて、室温で90°ピール試験を行って、接着剤層とポリイミドフィルムとのピール強度を測定した。その測定結果に基づいて、ピール強度が2N/cm以上のサンプルをA、2N/cm未満のサンプルをBとして、貼付性の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
【0254】
(高温接着性)
ロール加圧の温度を80℃としたこと以外は、上記貼付性の評価試験と同様にして、シリコンウェハ上に接着シートを積層した。得られた積層体を、接着シート側から、高精度平行露光機(オーク製作所製、商品名:EXM−1172−B−∞)によって1000mJ/cm2で露光し、80℃のホットプレート上で30秒間加熱した。基材(PETフィルム)を剥離除去した後、コンベア現像機(ヤコー社製)を用いて、テトラメチルアンモニウムハイドライド(TMAH)2.38質量%溶液を現像液とし、温度26℃、スプレー圧0.18MPaの条件でスプレー現像した後、温度25℃の純水にてスプレー圧0.02MPaの条件で6分間水洗し、120℃で1分間乾燥させた。このようにして、シリコンウェハ上に、感光性接着剤組成物の硬化物からなる硬化物層を形成した。
【0255】
得られたシリコンウェハ、及び硬化物層からなる積層体を、3mm×3mmの大きさに個片化した。個片化した積層体をホットプレート上で、120℃で10分間乾燥させた後、ガラス基板(10mm×10mm×0.55mm)上に、硬化物層がガラス基板と接するようにして積層し、2kgfで加圧しながら、150℃で10秒間圧着した。このようにして、シリコンウェハ、硬化物層、及びガラス基板からなり、これらがこの順に積層する積層体のサンプルを得た。
【0256】
得られたサンプルを、オーブン中で180℃、3時間の条件で加熱し、更に、260℃の熱盤上で10秒間加熱した後、せん断接着力試験機(Dage社製、商品名:Dage−4000)を用いて接着力を測定した。測定結果を表1及び表2に示す。
【0257】
(パターン形成性)
ロール加圧の温度を80℃としたこと以外は上記高温接着性の評価試験と同様にして、シリコンウェハ上に接着シートを積層した。得られた積層体を、接着シート側から、ネガ型パターン用マスク(日立化成社製、商品名:No.G−2)を介して、上記試験と同様に露光した。次いで、上記試験と同様に、ホットプレート上で放置後、基材を除去し、現像、水洗、及び乾燥を行った。このようにして、シリコンウェハ上に、感光性接着剤組成物の接着剤パターンを形成した。
【0258】
形成された接着剤パターンを目視にて観察し、ライン幅/スペース幅=50μm/50μm以下の細線パターンが形成されていた場合をA、60μm/60μm〜400μm/400μmの細線パターンが形成されていた場合をB、パターンが形成されていなかった場合をCとして、パターン形成性の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
【0259】
(最低溶融粘度の測定)
テフロン(登録商標)シート上に実施例1〜11、及び比較例1〜5で得られた接着シートを、接着剤層をテフロン(登録商標)シート側にしてロール(温度60℃、線圧4kgf/cm、送り速度0.5m/分)で加圧することによってラミネートした。その後、高精度平行露光機(オーク製作所社製、商品名:EXM−1172)で1000mJ/cm2露光し、80℃のホットプレート上で30秒間加熱した。得られたシートを、コンベア現像機(ヤコー社製)を用いて、テトラメチルアンモニウムハイドライド(TMAH)2.38質量%溶液を現像液とし、温度26℃、スプレー圧0.18MPaの条件でスプレー現像した後、温度25℃の純水にてスプレー圧0.02MPaの条件で3分間水洗した。基材(PETフィルム)を取り除き、80℃でラミネートして厚みが約200μmとなるように積層し、10mm×10mmの大きさに切り出した。得られたサンプルの片側のテフロン(登録商標)シートを剥がし、120℃で10分間加熱し、粘弾性測定装置(レオメトリックス・サイエンティフィック・エフ・イー株式会社製、商品名:ARES)を用いて測定した。測定プレートは直径8mmの平行プレート、測定条件は昇温5℃/min、周波数1Hzに設定した。20℃〜200℃での溶融粘度の最低値を最低溶融粘度とした。結果を表1及び表2に示す。
【0260】
(熱圧着性)
ロール加圧の温度を60℃とし、上記ネガ型パターン用マスクに代えて額縁状6インチサイズマスクパターン(中空部2mm、線幅0.5mm)を用いたこと以外は、上記パターン形成性の評価試験と同様にして、シリコンウェハ上に、感光性接着剤組成物の接着剤パターンを形成した。
【0261】
ホットプレート上で、120℃で10分間乾燥させた後、形成された接着剤パターンのシリコンウェハと反対側の面上に、ガラス基板(15mm×40mm×0.55mm)を積層し、0.5MPaで加圧しながら、150℃で10分間圧着し、シリコンウェハ、接着剤パターン、及びガラス基板からなり、これらがこの順に積層する積層体のサンプルを得た。
【0262】
得られたサンプルを観察し、未接着部分(空隙)がガラス基板と接着剤パターンとの接着面積に対して20%以下であるものをA、20%を超えるものをCとして、熱圧着性の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
【0263】
(耐リフロー性)
上記熱圧着性の評価試験と同様にして、シリコンウェハ、接着剤パターン、及びガラス基板からなり、これらがこの順に積層する積層体のサンプルを得た。得られたサンプルを、オーブン中で180℃、3時間の条件で加熱した。加熱後のサンプルを、温度85℃、湿度60%の条件下で168時間処理した後、温度25℃、湿度50%の環境下に置いた後、250℃、10秒のIRリフローを行い、剥離の有無を顕微鏡(倍率:15倍)で観察した。15mm×40mm×0.55mmのガラスが圧着された部分のうち、1IC(2mm□、線幅0.5mmの額縁)以上の剥離が見られなかったものをA、剥離が見られたものをCとして、耐リフロー性の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
【0264】
(気密封止性)
上記耐リフローの評価試験と同様に、積層体のサンプルをオーブン中で180℃にて3時間加熱した。加熱後のサンプルを、温度110℃、湿度85%の条件下で48時間処理した後、温度25℃、湿度50%の環境に置き、サンプルのガラス内部の中空部が結露するか顕微鏡(倍率:15倍)で観察した。結露が見られたものをCとして、それ以外のものをAとして、気密封止性の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
【0265】
(110℃貯蔵弾性率)
支持台上にテフロン(登録商標)シートを載せ、その上に、上記接着シートを、ロール加圧(温度60℃、線圧4kgf/cm、送り速度0.5m/分)によって積層した。得られた積層体を、基材付き接着シート側から、高精度平行露光機(オーク製作所製、商品名:EXM−1172−B−∞)によって1000mJ/cm2で露光し、80℃のホットプレート上で30秒間加熱した。基材(PETフィルム)を剥離除去した後、コンベア現像機(ヤコー社製)を用いて、テトラメチルアンモニウムハイドライド(TMAH)2.38質量%溶液を現像液とし、温度26℃、スプレー圧0.18MPaの条件で1分間晒した後、温度25℃の純水にてスプレー圧0.02MPaの条件で6分間水洗した。得られたフィルムをホットプレート上で、120℃で10分間乾燥させた後、厚さが80μmとなるようにロール加圧(温度100℃、線圧4kgf/cm、送り速度0.5m/分)によって積層し、テフロン(登録商標)シート、接着剤層、及びテフロン(登録商標)シートからなる、積層体のサンプルを得た。片側のテフロン(登録商標)シートを剥離除去した後、オーブン中で180℃、3時間の条件で加熱した。加熱後のサンプルを、5mm幅の短冊状に切断し、粘弾性アナライザー(レオメトリックス社製、商品名:RSA−2)を用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hz、測定温度−50℃〜300℃の条件で測定し、110℃での貯蔵弾性率を得た。評価結果を表1及び表2に示す。
【0266】
(硬化後のTg)
上記「110℃貯蔵弾性率」の測定と同様の方法で硬化後のサンプルを作製し、測定を行ったときのtanδピーク温度をTgとした。評価結果を表1及び表2に示す。
【産業上の利用可能性】
【0267】
本発明の感光性接着剤組成物は、十分な気密封止性を有する接着剤パターンを形成できるため、高精細な半導体パッケージの製造に用いる接着剤として好適に用いられる。また、本発明のフィルム状接着剤及び接着シートは、基板、ガラス、及びシリコンウェハ等の被着体、又は支持部材上に適用したときに、液状の樹脂組成物を用いる場合よりも位置合わせ精度に優れる上に、露光によるパターン化の解像度を向上させることができ、更に、パターン形成後の基板、ガラス、及び半導体素子等の被着体との低温熱圧着性を有すると共に、熱硬化後の優れた耐熱性を有するため、半導体素子、光学素子、及び固体撮像素子等の保護の用途、微細な接着領域が求められる接着剤、並びに、やバッファーコート用途に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0268】
1…フィルム状接着剤(接着剤層)、1a…接着剤パターン、2…カバーフィルム、3…基材、4…マスク、5…複合フィルム、6…粘着剤層、7…ガラス基板、8…半導体ウェハ、9…導電層、11…開口、12、12a、12b…半導体素子(半導体チップ)、13…半導体素子搭載用支持部材(支持部材)、14、14a、14b…ワイヤ、15…封止材、16…端子、17…有効画素領域、18…回路面、20…接着剤層付半導体ウェハ、30…ダイボンディング材、32…導電性バンプ、38…レンズ、40…ダイシングテープ、42…嵌め込み用部材、50…側壁、100、110、120…接着シート、200、210、220、230…半導体装置、300…CMOSセンサ、400…半導体装置(固体撮像素子)、D…ダイシングライン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性接着剤組成物、並びにそれを用いたフィルム状接着剤、接着シート、接着剤パターン、接着剤層付き半導体ウェハ、接着剤層付透明基板、及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品の高性能化及び高機能化に伴い、種々の形態を有する半導体パッケージが提案されている。半導体パッケージの製造には、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とを接着するために接着剤が用いられる。この接着剤には、通常、接着性、熱圧着性、耐熱性及び耐湿性等の特性が要求され、フィルム状にして使用する場合には更に貼付性が必要となる。
【0003】
半導体パッケージの機能、形態及び組み立てプロセスの簡略化の手法によっては、上述の特性に加えてパターン形成が可能な感光性を兼ね備える接着剤が必要とされる場合がある。感光性とは光を照射した部分が化学的に変化し、水溶液や有機溶剤に不溶化又は可溶化する機能である。この感光性を有する感光性接着剤を用いると、フォトマスクを介して露光、現像処理を行うことにより、高精細な接着剤パターンを形成することが可能となり、形成された接着剤パターンが被着体に対する熱圧着性を有することとなる。
【0004】
感光性の接着剤組成物としては、従来、フォトレジストや、ポリイミド樹脂前駆体(ポリアミド酸)をベースとしたもの(例えば、特許文献1〜3)、及び低Tgポリイミド樹脂をベースとしたものが知られている(特許文献4)。また、作業環境及び排水処理等の観点から、アルカリ現像液によるパターン形成が可能なものが主流である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−290501号公報
【特許文献2】特開2001−329233号公報
【特許文献3】特開平11−24257号公報
【特許文献4】国際公開第07/004569号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CMOSセンサ等に搭載されている固体撮像素子は、例えば、図26に示されるような、ガラス基板7と半導体チップ12とがパターニングされた接着剤層1を介して接着された構造を有している。このときの接着剤パターンは、半導体チップ12の有効画素領域17を取り囲むようにして形成されており、有効画素領域17が外部からの影響を受けないよう封止材としての役割も担っている。
【0007】
ところが、上記従来の感光性接着剤組成物を用いて上述の固体撮像素子を作製すると、以下の問題が生じる場合があった。すなわち、CMOSセンサ等の組立て時又は使用時において、固体撮像素子が高温高湿下に晒されることがあり、これにより額縁状接着剤で囲まれた内部に結露が発生することがある。このような結露があると、固体撮像素子が正確な光変換を起こせず、画像認識や表示に問題が生じる要因となる。従来の感光性接着剤組成物は、気密封止性が十分に考慮されておらず、特に高精細な接着剤パターンを形成すると接着面積が非常に小さくなるため上述の問題が生じやすい。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、パターニングされた場合であっても十分な気密封止性を得ることができる感光性接着剤組成物、並びにそれを用いたフィルム状接着剤、接着シート、接着剤パターン、接着剤層付半導体ウェハ、接着剤層付透明基板、及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、露光及び現像によってパターニングされた後に被着体に対する熱圧着性を有し且つアルカリ現像が可能な感光性接着剤組成物であって、露光後、更に加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率が10MPa以上である感光性接着剤組成物を提供する。
【0010】
なお、上記「被着体に対する熱圧着性を有し」とは、パターニングされた後の接着剤層に対して被着体を150℃〜180℃で0.2MPa〜1.0MPaで1分間熱圧着したサンプルを作製し、このサンプルの室温でのダイシェア強度が1MPa以上となることを意味する。ここで室温でのダイシェア強度とは、上記条件での熱圧着後のサンプルについて、せん断接着力試験機(Dage社製、商品名:Dage−4000)を用いて、25℃の熱盤上で、測定速度:100μm/秒、測定高さ:50μmの条件で被着体にせん断方向の外力を加えたときの最大応力とした。
【0011】
また、上記「露光後、更に加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率」は、以下の手順にしたがい測定された貯蔵弾性率を意味する。まず、2枚の離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム間に厚さ40μmの感光性接着剤組成物からなるフィルム状接着剤(接着剤層)が積層された積層フィルムを作製し、この積層フィルムに、高精度平行露光機(オーク製作所製、商品名:EXM−1172−B−∞)により1000mJ/cm2で全面露光し、次いで、80℃のホットプレート上で約30秒間加熱する。その後、一方のPETフィルムをはく離して得られるPETフィルム付きフィルム状接着剤を、コンベア現像機(ヤコー社製)を用いて、フィルム状接着剤側を上にして現像液であるテトラメチルアンモニウムハイドライド(TMAH)2.38質量%溶液を、温度26℃、スプレー圧0.18MPaの条件で1分間スプレーし、その後、温度25℃の純水を、スプレー圧0.02MPaの条件で6分間スプレーし、水洗を行う。こうした現像処理を受けたPETフィルム付きフィルム状接着剤を2枚用意し、ホットプレートによって120℃で10分間加熱乾燥させた後、ロール加圧(温度100℃、線圧4kgf/cm、送り速度0.5m/分)によって互いの接着剤同士を貼り合わせるようにして積層し、厚さが80μmの積層体を得る。次に、この積層体から一方のPETフィルムをはく離し、露出した接着剤をテフロン(登録商標)シートにロール加圧して、もう一方のPETフィルムもはく離する。こうして得られた積層体をオーブン中で180℃、3時間の条件で加熱する。この加熱硬化されたフィルム状接着剤をテフロン(登録商標)シートからはく離して5mm幅の短冊状30mmに切断したものをサンプルとし、粘弾性アナライザー(レオメトリックス社製、商品名:RSA−2)を用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hz、測定温度−50℃〜300℃の条件で測定を行い、110℃における貯蔵弾性率を求める。
【0012】
本発明の感光性接着剤組成物によれば、上記構成を有することにより、枠状にパターニングされて被着体同士を接着した場合であっても、硬化樹脂で囲まれた中空部の気密性を十分なものにすることができる。本発明の感光性接着剤組成物が気密封止性に優れる理由を本発明者らは、上記特定の貯蔵弾性率を有する硬化物は、高温下でも架橋体の分子運動が十分抑制され、高温高湿下における透湿性が十分低くなることによるものと考えている。
【0013】
本発明の感光性接着剤組成物において、上記露光後、更に加熱硬化された後のフィルム状接着剤(接着剤層)の110℃における貯蔵弾性率は10MPa以上であるか、20MPa以上であることが好ましい。
【0014】
本発明の感光性接着剤組成物は、気密封止性を更に向上させる観点から、露光後、更に加熱硬化された後のTgが80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。
【0015】
なお、上記Tgは、上記「露光後、更に加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率」を測定するときと同様にしてサンプルを用意し、このサンプルについて上記貯蔵弾性率の測定と同様の条件で測定したときのtanδピーク温度である。
【0016】
感光性接着剤組成物の上記Tgを80℃以上とすることにより、枠状にパターニングされて被着体同士を接着した場合であっても、硬化樹脂で囲まれた中空部の気密性をより確実に維持することができる。
【0017】
また、本発明の感光性接着剤組成物は、熱圧着性、高温接着性、耐湿信頼性及び気密封止性の観点から、露光後の20℃〜200℃における最低溶融粘度が30,000Pa・s以下であることが好ましく、20,000Pa・s以下であることがより好ましい。
【0018】
なお、上記「最低溶融粘度」は、上記「露光後、更に加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率」を測定するときと同様にして、露光、現像及び水洗、並びに、120℃で10分間加熱乾燥まで行ったフィルムを用意し、このフィルムについて、粘弾性測定装置(レオメトリックス・サイエンティフィック・エフ・イー(株)製、商品名:ARES)を用いて測定された20℃〜200℃における溶融粘度の最低値を指す。なお、測定プレートは、直径8mmの平行プレートを用い、測定条件は、昇温速度5℃/min、測定温度−50℃〜300℃、周波数1Hzとする。
【0019】
感光性接着剤組成物の上記最低溶融粘度を30,000Pa・s以下とすることにより、枠状にパターニングされて被着体同士を接着した場合であっても、硬化樹脂で囲まれた中空部の気密性をより確実に維持することができる。この理由を本発明者らは、上記最低溶融粘度を有する感光性接着剤組成物によれば、被着体を熱圧着した場合に十分な接着が可能となり、接着界面から水分等が浸入するのを低減させることができるためと考えている。
【0020】
本発明の感光性接着剤組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)放射線重合性化合物、及び(C)光開始剤を含有することが好ましい。
【0021】
気密封止性を更に向上させる観点から、上記(A)アルカリ可溶性樹脂のTgは、40℃〜150℃であることが好ましく、50℃〜120℃がより好ましく、60℃〜100℃が特に好ましい。(A)アルカリ可溶性樹脂のTgを上記範囲とすることで、感光性接着剤組成物をフィルム状としたフィルム状接着剤を被着体に貼り合わせる際の十分な熱圧着性を確保でき、気密封止性を更に向上させることができる。
【0022】
また、高温接着性及びパターン形成性の観点から、上記(A)アルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリイミド樹脂であることが好ましい。また、気密封止性を向上させて結露の発生を低減させる観点から、上記(A)アルカリ可溶性樹脂は、水酸基を有するポリイミド樹脂であることがより好ましい。
【0023】
さらに、熱圧着性、高温接着性、パターン形成性及び気密封止性の観点から、上記(A)アルカリ可溶性樹脂が、テトラカルボン酸二無水物と、カルボキシル基含有ジアミン及び/又はフェノール性水酸基含有ジアミンをジアミン全体の10モル%〜80モル%含有するジアミンと、を反応させて得られるポリイミド樹脂であることが好ましい。
【0024】
また、熱圧着性、高温接着性、パターン形成性及び気密封止性の観点から、上記ジアミンが、下記一般式(8)で表される脂肪族エーテルジアミンをジアミン全体の10モル%〜80モル%含有することが好ましい。式中、R1〜R3は、各々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、bは2〜80の整数を示す。
【0025】
【化1】
【0026】
さらに、熱圧着性、高温接着性、パターン形成性及び気密封止性の観点から、上記ジアミンが、下記一般式(A−1)で表されるフェノール性水酸基含有ジアミンをジアミン全体の10モル%〜80モル%含有することが好ましい。式中、R21は、単結合、又は2価の有機基を示す。
【0027】
【化2】
【0028】
また、高温接着性及び気密封止性の観点から、上記(B)放射線重合性化合物が、3官能以上の(メタ)アクリレートを少なくとも1種含有することが好ましい。これにより、露光後、更に加熱硬化された後の貯蔵弾性率を上昇させることができ、その結果、気密封止性を向上させることができる。
【0029】
また、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する上記感光性接着剤組成物は、熱圧着性、高温接着性、耐湿信頼性及び気密封止性の観点から、(D)エポキシ樹脂を更に含有することが好ましく、熱圧着性、高温接着性、耐湿信頼性及び気密封止性の観点から、(E)エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物を更に含有することが好ましい。特に、感光性接着剤組成物が(E)エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物を含むことによって、熱圧着性を向上させることができ、その結果、気密封止性を向上させることができる。
【0030】
上記(D)エポキシ樹脂は、高温接着性、パターン形成性、耐湿信頼性及び気密封止性の観点から、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0031】
本発明の感光性接着剤組成物は、フィルム形成性、高温接着性及び気密封止性の観点から、更に(F)フィラーを含有することが好ましい。
【0032】
本発明はまた、上記本発明の感光性接着剤組成物をフィルム状に成形することによって得られるフィルム状接着剤を提供する。
【0033】
本発明はまた、基材と、該基材上に形成された上記本発明のフィルム状接着剤からなる接着剤層と、を備える接着シートを提供する。
【0034】
本発明はまた、被着体上に積層された上記本発明のフィルム状接着剤からなる接着剤層を露光し、露光後の接着剤層をアルカリ現像液で現像処理することによって得られる接着剤パターンを提供する。
【0035】
本発明はまた、半導体ウェハと、該半導体ウェハ上に積層された上記本発明のフィルム状接着剤からなる接着剤層と、を備える接着剤層付半導体ウェハを提供する。
【0036】
本発明はまた、透明基板と、該透明基板上に積層された上記本発明のフィルム状接着剤からなる接着剤層と、を備える接着剤層付透明基板を提供する。
【0037】
本発明はまた、上記本発明の感光性接着剤組成物を用いて、半導体素子同士が接着された構造、及び/又は、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とが接着された構造を有する半導体装置を提供する。本発明の半導体装置が後者の構造を有する場合、半導体素子搭載用支持部材は透明基板であることが好ましい。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、パターニングされた場合であっても十分な気密封止性を得ることができる感光性接着剤組成物、並びにそれを用いたフィルム状接着剤、接着シート、接着剤パターン、接着剤層付半導体ウェハ、接着剤層付透明基板、及び半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のフィルム状接着剤の一実施形態を示す端面図である。
【図2】本発明の接着シートの一実施形態を示す端面図である。
【図3】本発明の接着シートの一実施形態を示す端面図である。
【図4】本発明の接着シートの一実施形態を示す端面図である。
【図5】本発明の接着剤層付半導体ウェハの一実施形態を示す上面図である。
【図6】図5のIV−IV線に沿った端面図である。
【図7】本発明の接着剤パターンの一実施形態を示す上面図である。
【図8】図7のV−V線に沿った端面図である。
【図9】本発明の接着剤パターンの一実施形態を示す上面図である。
【図10】図9のVI−VI線に沿った端面図である。
【図11】本発明の半導体装置の一実施形態を示す端面図である。
【図12】本発明の半導体装置の一実施形態を示す端面図である。
【図13】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図である。
【図14】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図15】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す上面図である。
【図16】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図17】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図18】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図19】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図20】本発明の半導体装置の一実施形態を示す端面図である。
【図21】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図22】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図23】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図である。
【図24】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図25】本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図である。
【図26】本発明の半導体装置の一実施形態を示す端面図である。
【図27】図26に示す半導体素子を固体撮像素子として用いたCMOSセンサの例を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとし、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0041】
本明細書において、感光性接着剤組成物の「貼付性」とは、感光性接着剤組成物をフィルム状に成形することによって得られるフィルム状接着剤とした場合の貼付性を意味する。感光性接着剤組成物の「高温接着性」とは、感光性接着剤組成物を硬化物にした場合の、加熱下での接着性を意味する。感光性接着剤組成物の「パターン形成性」とは、被着体上に形成された上記フィルム状接着剤からなる接着剤層を、フォトマスクを介して露光しアルカリ現像液によって現像したときに得られる接着剤パターンの精度を意味する。感光性接着剤組成物の「熱圧着性」とは、上記接着剤パターンを加熱下で支持部材等に圧着(熱圧着)したときの接着具合を意味する。感光性接着剤組成物の「耐熱性」とは、上記接着剤パターンを支持部材等に熱圧着、硬化し、高温下においたときの耐剥離性を意味する。感光性接着剤組成物の「気密封止性」とは、上記感光性接着剤の額縁状パターンを支持部材等に熱圧着、硬化し、高温高湿下で処理した後の耐結露性(耐曇性)、又は耐剥離性を意味する。「耐リフロー性」とは、上記感光性接着剤の額縁状パターンを支持部材等に熱圧着、硬化し、高温高湿条件下で所定の時間静置し、リフロー加熱を行なった後の耐剥離性を意味する。
【0042】
本実施形態の感光性接着剤組成物は、露光及び現像によってパターニングされた後に被着体に対する熱圧着性を有し且つアルカリ現像が可能な感光性接着剤組成物であって、露光後、更に加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率が10MPa以上であるものである。
【0043】
本実施形態の感光性接着剤組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂(以下、単に(A)成分と呼ぶことがある。)、(B)放射線重合性化合物(以下、単に(B)成分と呼ぶことがある。)、及び(C)光開始剤(以下、単に(C)成分と呼ぶことがある。)、を含むことが好ましい。
【0044】
(A)成分のTgは150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることが最も好ましい。このTgが150℃を超える場合、感光性接着剤組成物をフィルム状としたフィルム状接着剤を被着体に貼り合わせる際に高温を要し、半導体ウェハに反りが発生しやすくなる傾向がある。また、パターン形成後の上記接着剤の溶融粘度が高くなり、熱圧着性が低下する傾向がある。
【0045】
また、フィルム状接着剤のウェハ裏面への貼り付け温度は、20℃〜150℃であることが好ましく、40℃〜100℃であることがより好ましい。上記範囲内では、半導体ウェハの反りが抑えられる傾向にある。上記温度での貼り付けを可能にするためには、フィルム状接着剤のTgを150℃以下にすることが好ましい。また、上記Tgの下限は40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることが最も好ましい。上記Tgが40℃未満の場合、露光、及び加熱硬化後の弾性率を向上させるために、他の硬化成分を多量に配合する必要があり、取り扱い性、保存安定性、パターン形成性、熱圧着性、耐熱性及び低応力性を低下させる傾向がある。
【0046】
ここで、(A)成分の「Tg」とは、(A)成分をフィルム化したものについて、粘弾性アナライザー(レオメトリックス社製、商品名:RSA−2)を用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hz、測定温度−150℃〜300℃の条件で測定したときのtanδピーク温度である。
【0047】
(A)成分の重量平均分子量は、5,000〜500,000の範囲内で制御されていることが好ましく、10,000〜300,000であることがより好ましく、10,000〜100,000であることが最も好ましい。重量平均分子量が上記範囲内にあると、感光性接着剤組成物をシート状、又はフィルム状としたときの強度、可とう性、及びタック性が良好となる。また、熱時流動性が良好となるため、基板表面の配線段差(凹凸)に対する良好な埋込性を確保することが可能となる。上記重量平均分子量が5,000未満であると、フィルム形成性が十分でなくなる傾向がある。一方、上記重量平均分子量が500,000を超えると、熱時流動性、及び上記埋め込み性が十分でなくなる傾向や、パターン形成する際に感光性接着剤組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が十分でなくなる傾向がある。ここで、「重量平均分子量」とは、高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製、商品名:C−R4A)を用いて、ポリスチレン換算で測定したときの重量平均分子量を意味する。
【0048】
(A)成分のTg、及び重量平均分子量を上記範囲内とすることによって、ウェハへの貼り付け温度を低く抑えることができる。さらに、半導体素子を半導体素子搭載用支持部材に接着固定する際の加熱温度(熱圧着温度)も低くすることができ、半導体素子の反りの増大を抑制しながら、高温接着性及び気密封止性を付与することができる。また、貼付性、熱圧着性及び現像性を有効に付与することができる。
【0049】
本実施形態の感光性接着剤組成物では、(A)成分としては、アルカリ可溶性基を有するポリマーが好ましく、アルカリ可溶性基を末端、又は側鎖に有するポリマーがより好ましい。アルカリ可溶性基としては、エチレングリコール基、カルボキシル基、水酸基、スルホニル基、及びフェノール性水酸基等が挙げられる。アルカリ可溶性基を有するポリマーは、上述の官能基の1種を単独で有するものであってもよく、又は2種以上を有するものであってもよい。
【0050】
(A)成分としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンイミド樹脂、ポリウレタンアミドイミド樹脂、シロキサンポリイミド樹脂、及びポリエステルイミド樹脂、並びに、これらの共重合体及びこれらの前駆体(ポリアミド酸等)の他、ポリベンゾオキサゾール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、重量平均分子量が10,000〜1,000,000の(メタ)アクリル共重合体、ノボラック樹脂、及びフェノール樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの樹脂の主鎖及び/又は側鎖に、エチレングリコール、及びプロピレングリコール等のグリコール基、カルボキシル基及び/又は水酸基が付与されたものであってもよい。
【0051】
これらの中でも、高温接着性、耐熱性、及びフィルム形成性の観点から、(A)成分はポリイミド樹脂であることが好ましい。ポリイミド樹脂は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを公知の方法で縮合反応させて得ることができる。
【0052】
上記縮合反応における、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの混合モル比は、テトラカルボン酸二無水物の合計1.0molに対して、ジアミンの合計が0.5mol〜2.0molであることが好ましく、0.8mol〜1.0molであることがより好ましい。なお、テトラカルボン酸無水物、及びジアミンの添加順序は任意でよい。
【0053】
上記縮合反応において、テトラカルボン酸二無水物の合計1.0molに対して、ジアミンの合計が2.0molを超えると、得られるポリイミド樹脂に、アミン末端を有するポリイミドオリゴマーの量が多くなる傾向がある。一方、ジアミンの合計が0.5mol未満であると、酸末端を有するポリイミド樹脂オリゴマーの量が多くなる傾向がある。テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの混合モル比を上記範囲内にすることで、ポリイミド樹脂の重量平均分子量が高くなり、樹脂組成物の耐熱性を含む種々の特性が付与される。
【0054】
また、上記縮合反応における、反応温度は80℃以下が好ましく、0℃〜60℃がより好ましい。反応が進行するにつれ反応液の粘度が徐々に上昇し、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸が生成する。なお、樹脂組成物の諸特性の低下を抑えるため、上述のテトラカルボン酸二無水物は、無水酢酸で再結晶精製処理したものであることが好ましい。
【0055】
本実施形態でのポリイミド樹脂とは、イミド基を有する樹脂を意味する。具体的には、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタンイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタンアミドイミド樹脂、シロキサンポリイミド樹脂、及びポリエステルイミド樹脂等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0056】
ポリイミド樹脂は、上記縮合反応物(ポリアミド酸)を脱水閉環させて得ることができる。脱水閉環は、加熱処理する熱閉環法、及び脱水剤を使用する化学閉環法等で行うことができる。
【0057】
ポリイミド樹脂の原料として用いられるテトラカルボン酸二無水物としては特に制限は無く、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリテート無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ−[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェニル)フェニル]プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェニル)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、及び下記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。下記一般式(1)中、aは2〜20の整数を示す。
【0058】
【化3】
【0059】
上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、例えば、無水トリメリット酸モノクロライド、及び対応するジオールから合成することができ、具体的には1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、及び1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)が挙げられる。
【0060】
また、テトラカルボン酸二無水物としては、溶剤への良好な溶解性及び耐湿性、並びに波長が365nmである光に対する透明性を付与する観点から、下記式(2)、又は(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0061】
【化4】
【0062】
以上のようなテトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0063】
(A)成分は、更に、カルボキシル基及び/又は水酸基含有ポリイミド樹脂であることが好ましい。また、より良好なパターン形成性を維持しつつ、気密封止性を更に向上させ、結露の発生を低減させる観点から、(A)成分は水酸基含有ポリイミド樹脂であることがより好ましい。上記ポリイミド樹脂の原料として用いられるジアミンは、下記式(4)〜(7)及び、下記式(7’)で表される芳香族ジアミンを含むことが好ましい。これら式(4)〜(7)及び、下記式(7’)で表されるジアミンは、全ジアミンの5モル%〜100モル%とすることが好ましく、10モル%〜90モル%とすることが更に好ましく、10モル%〜80モル%とすることが更により好ましく、20モル%〜80モル%とすることが特に好ましく、30モル%〜70モル%とすることが最も好ましい。上記ジアミンの配合量とすることで、アルカリ可溶性を維持しつつ、ポリイミドのTgを上記範囲に調整することができ、貼付性、熱圧着性、高温接着性、耐リフロー性、及び気密封止性を付与することが可能となる。
【0064】
【化5】
【0065】
また、Tgが高いポリイミド樹脂としたときに良好なパターン形成性及び熱圧着性を得る観点から、上記ジアミンとしては、フェノール性水酸基を有するジアミンが好ましく、下記一般式(A−1)で表されるジアミンがより好ましい。下記一般式(A−1)で表されるジアミンは、全ジアミンの10モル%〜80モル%とすることが好ましく、20モル%〜80モル%とすることがより好ましく、30モル%〜70モル%とすることが更に好ましい。ポリイミド樹脂としてカルボキシル基含有樹脂を用いると、加熱乾燥時に配合しているエポキシ樹脂と反応して熱可塑性樹脂の酸価が大きく低下する傾向にある。これに対して、ポリイミド樹脂の側鎖をフェノール性水酸基とすることで、カルボキシル基の場合に比べてエポキシ樹脂との反応が進行しにくくなる。その結果、パターン形成性、熱圧着性及び高温接着性が向上することが考えられる。式中R21は、単結合、又は、2価の有機基を示す。
【0066】
【化6】
【0067】
上記2価の有機基としては、例えば、炭素数1〜30の2価の炭化水素基、又は、ハロゲン原子によって水素の一部若しくは全部が置換されている炭素数1〜30の2価の炭化水素基、−(C=O)−、―SO2−、−O−、−S−、―NH−(C=O)−、―(C=O)−O−、下記一般式(B−1)で表される基、及び下記一般式(B−2)で表される基が挙げられる。式中、nは1〜20の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。
【0068】
【化7】
【0069】
上記R21は、ポリイミドのTgを上昇させたときのパターン形成性の観点から、−C(CF3)2−、及び−C(CH3)2−が好ましい。このような基を有する上記ジアミンを用いることにより、パターン形成時にポリイミドのイミド基同士の凝集を抑制でき、アルカリ現像液が浸透しやすくなることでパターン形成性を向上させることができる。これにより、ポリイミドのTgを上昇させても良好なパターン形成性を得ることが可能となり、気密封止性が更に向上した感光性接着剤組成物の実現が可能となる。
【0070】
本実施形態においては、上記フェノール性水酸基を有するジアミンが、下記式で表される、フルオロアルキル基を有するジフェノールジアミンを含むことが好ましい。ポリイミド鎖にフルオロアルキル基が導入されることによって、ポリイミド同士の分子鎖凝集力が低下し、現像液が浸透しやすくなる。その結果、上記感光性接着剤組成物のパターン形成性(溶解現像性、細線化)がさらに向上する。また、ポリイミドの凝集力の低下によって、熱圧着性を向上させることができ、さらにはポリイミドのTgを上昇させても良好なパターン形成性を得ることが可能となる。これにより、気密封止性及び耐リフロー性が更に向上した感光性接着剤組成物の実現が可能となる。
【0071】
【化8】
【0072】
フルオロアルキル基を有するジフェノールジアミンは、全ジアミンの5モル%〜100モル%とすることが好ましく、10モル%〜90モル%とすることが更に好ましく、10モル%〜80モル%とすることが更により好ましく、20モル%〜80モル%とすることが特に好ましく、30モル%〜70モル%とすることが最も好ましい。
【0073】
上記ポリイミド樹脂の原料として用いられるその他のジアミンとしては特に制限はなく、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタン、3,3’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−(3,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4’−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−アミノエノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(4−アミノエノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(3−アミノエノキシ)フェニル)スルフォン、ビス(4−(4−アミノエノキシ)フェニル)スルフォン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、及び3,5−ジアミノ安息香酸等の芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、下記一般式(8)で表される脂肪族エーテルジアミン、並びに、下記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンが挙げられる。下記一般式(8)中、R1、R2及びR3は各々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、bは2〜80の整数を示す。下記一般式(9)中、R4及びR9は各々独立に、炭素数1〜5のアルキレン基、又はフェニレン基を示し、R5、R6、R7、及びR8は各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、又はフェノキシ基を示し、dは1〜5の整数を示す。なお、上記フェニレン基は、置換基を有していてもよい。
【0074】
【化9】
【0075】
上記ジアミンの中でも、他成分との相溶性、有機溶剤可溶性、及びアルカリ可溶性を付与する点で、上記一般式(8)で表される脂肪族エーテルジアミンが好ましく、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコール系ジアミンがより好ましい。
【0076】
このような脂肪族エーテルジアミンとして具体的には、サンテクノケミカル(株)製ジェファーミンD−230、D−400、D−2000、D−4000、ED−600、ED−900、ED−2000、EDR−148、BASF(製)ポリエーテルアミンD−230、D−400、及びD−2000等のポリオキシアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン等が挙げられる。これらのジアミンは、全ジアミンの1モル%〜80モル%であることが好ましく、10モル%〜80モル%であることがより好ましく、10モル%〜60モル%であることが更により好ましい。この量が1モル%未満であると、高温接着性及び熱時流動性の付与が困難になる傾向にあり、一方、80モル%を超えると、ポリイミド樹脂のTgが低くなり過ぎて、フィルムの自己支持性が十分でなくなる傾向にある。
【0077】
さらに、上記脂肪族エーテルジアミンは、パターン形成性の観点から、下記構造式で表わされるプロピレンエーテル骨格を有し、且つ分子量が300〜600であることが好ましい。このようなジアミンを用いる場合、フィルムの自己支持性、高温接着性、耐リフロー性、及び気密封止性の観点から、その量は全ジアミンの80モル%以下であることが好ましく、60モル%以下であることがより好ましい。また、貼付性、熱圧着性、及び高温接着性の観点から、全ジアミンの10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。この量が上記範囲にあることで、ポリイミドのTgを上記範囲に調整することができ、貼付性、熱圧着性、高温接着性、耐リフロー性、及び気密封止性を付与することが可能となる。下記構造式中、mは3〜7の整数を示す。
【0078】
【化10】
【0079】
また、室温での密着性、及び接着性を向上させる観点から、上記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンが好ましい。
【0080】
上記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンとして具体的には、式(9)中のdが1のものとして、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ビス(4−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノブチル)ジシロキサン、及び1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン等が挙げられ、dが2のものとして、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(4−アミノフェニル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(2−アミノエチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、及び1,1,3,3,5,5−ヘキサプロピル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン等が挙げられる。
【0081】
上記ジアミンは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、上述のジアミンの量は、全ジアミンの1モル%〜80モル%とすることが好ましく、2モル%〜50モル%とすることが更に好ましく、5モル%〜30モル%とすることが最も好ましい。1モル%を下回るとシロキサンジアミンを添加した効果が小さくなり、80モル%を上回ると他成分との相溶性、高温接着性、及び現像性が低下する傾向がある。
【0082】
上述したポリイミド樹脂は、1種を単独で、又は必要に応じて2種以上を混合して用いることができる。
【0083】
また、ポリイミド樹脂の組成を決定する際には、そのTgが、上述のように150℃以下となるように設計することが好ましく、ポリイミド樹脂の原料であるジアミンとして、上記一般式(8)で表される脂肪族エーテルジアミンを用いることが特に好ましい。
【0084】
上記ポリイミド樹脂の合成時に、下記式(10)、(11)又は(12)で表される化合物のような単官能酸無水物及び/又は単官能アミンを縮合反応液に投入することによって、ポリマー末端に酸無水物、又はジアミン以外の官能基を導入することができる。これによって、ポリマーの分子量を低くし、パターン形成時の現像性、及び熱圧着性を向上させることができる。酸無水物及びジアミン以外の官能基としては、特に限定されないが、パターン形成時のアルカリ可溶性を向上させる点で、カルボキシル基、フェノール性水酸基、及びグリコール基等のアルカリ可溶性基が好ましい。また、接着性を付与する点で、下記式(12)で表される化合物やアミノ基を有する(メタ)アクリレート等の放射線重合性基及び/又は熱硬化性基を有する化合物が好ましく用いられる。また、低吸湿性を付与する点で、シロキサン骨格等を有する化合物も好ましく用いられる。
【0085】
【化11】
【0086】
上記ポリイミド樹脂は、光硬化性の観点から、30μmのフィルム状に成形した時の波長365nmの光に対する透過率が10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。このようなポリイミド樹脂は、例えば、上記式(2)で表される酸無水物と、上記一般式(8)で表される脂肪族エーテルジアミン及び/又は上記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンとを反応させることで合成することができる。
【0087】
本実施形態の感光性接着剤組成物において、(A)成分の含有量は、感光性接着剤組成物の固形分全量を基準として10質量%〜90質量%であることが好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、20質量%〜70質量%であることが更に好ましく、30質量%〜60質量%であることが最も好ましい。この含有量が10質量%未満であると、パターン形成時の現像性が十分でなくなる傾向や、タック性等の取り扱い性が十分でなくなる傾向があり、90質量%を超えると、パターン形成時の現像性、及び接着性が十分でなくなる傾向がある。
【0088】
(A)成分としてポリイミド樹脂を配合するときにポリイミド樹脂のアルカリ溶解性が乏しい場合、溶解助剤として、カルボキシル基及び/又は水酸基を有する樹脂、並びに/或いは、親水性基を有する樹脂を添加してもよい。親水性基を有する樹脂としては、アルカリ可溶性の樹脂であれば特に限定はされないが、エチレングリコール、及びプロピレングリコール基のようなグリコール基を有する樹脂等が挙げられる。
【0089】
(B)放射線重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、プロパギル基、ブテニル基、エチニル基、フェニルエチニル基、マレイミド基、ナジイミド基、及び(メタ)アクリル基等が挙げられる。反応性の観点から、(メタ)アクリル基が好ましく、放射線重合性化合物は2官能以上の(メタ)アクリレートであることが好ましい。このようなアクリレートとしては、特に制限されないが、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、4−ビニルトルエン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,2−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、下記一般式で表される化合物、ウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレート、及び尿素アクリレート等が挙げられる。下記一般式中、R19及びR20は各々独立に、水素原子、又はメチル基を示し、g及びhは各々独立に、1〜20の整数を示す。
【0090】
【化12】
【0091】
上述の放射線重合性化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、上記一般式で表されるグリコール骨格を有する放射線重合性化合物は、アルカリ可溶性、及び硬化後の耐溶剤性を十分に付与できる点で好ましく、イソシアヌル酸ジ/トリアクリレート、及びイソシアヌル酸ジ/トリメタクリレートは、パターン形成性、硬化後の高接着性、耐熱性、及び気密封止性を十分に付与できる点で好ましい。
【0092】
また、(B)成分は、3官能以上のアクリレート化合物を含有するものであることが好ましい。この場合、硬化後の接着性を、より向上させることができるとともに、加熱時のアウトガスを抑制することができる。また、硬化後の貯蔵弾性率を上昇させることができ、良好な気密封止性を得ることができる。
【0093】
また、官能基当量の高い放射線重合性化合物を併用することで、低応力化、及び低反り化することが可能となる。官能基当量の高い放射線重合性化合物は、重合官能基当量が200eq/g以上であることが好ましく、300eq/g以上であることがより好ましく、400eq/g以上であることが最も好ましい。特に、重合官能基当量が200eq/g以上の、グリコール骨格と、ウレタン基及び/又はイソシアヌル基を有する放射線重合性化合物を用いることによって、感光性接着剤組成物の現像性、及び接着性を向上させ、且つ低応力化、及び低反り化が可能となる。
【0094】
また、(B)成分として、重合官能基当量が200eq/g以上の放射線重合性化合物と、重合官能基当量が200eq/g未満の放射線重合性化合物とを併用してもよい。この場合、(B)成分としてウレタン基及び/又はイソシアヌル基を有する放射線重合性化合物を用いることが好ましい。
【0095】
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して10質量部〜500質量部であることが好ましく、20質量部〜250質量部であることがより好ましく、30質量部〜150質量部であることが更に好ましく、40質量部〜100質量部であることが最も好ましい。この含有量が500質量部を超えると、重合により熱溶融時の流動性が低下し、熱圧着時の接着性が低下する傾向にある。一方、10質量部未満であると、露光による光硬化後の耐溶剤性が低くなり、パターンを形成するのが困難となる。つまり、現像前後の膜厚変化が大きくなり、残渣が多くなる傾向にある。また、熱圧着時に溶融し、パターンが変形する傾向にある。
【0096】
(C)成分としては、感度向上の点から、波長が365nmである光に対する分子吸光係数が1000ml/g・cm以上であるものが好ましく、2000ml/g・cm以上であるものがより好ましい。なお、分子吸光係数は、サンプルの0.001質量%アセトニトリル溶液を調製し、この溶液について分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:U−3310)を用いて吸光度を測定することによって求められる。
【0097】
感光性接着剤組成物を膜厚30μm以上の接着剤層とする場合、(C)成分は、感度向上、及び内部硬化性向上の観点から、光照射によってブリーチングするものが好ましい。このような(C)成分としては、例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、及びフェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、及び2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、及び1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、及びビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイドの中からUV照射によって光退色する化合物が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0098】
(C)成分は、放射線の照射によって後述する(D)エポキシ樹脂(以下(D)成分と呼ぶことがある。)や(E)エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物(以下(E)成分と呼ぶことがある。)の重合及び/又は付加反応等の硬化反応を促進する機能を発現する光開始剤を含有していてもよい。このような光開始剤としては、例えば、放射線照射によって塩基を発生する光塩基発生剤、及び放射線照射によって酸を発生する光酸発生剤が挙げられ、光塩基発生剤が特に好ましい。
【0099】
放射線としては、例えば、電離性放射線及び非電離性放射線が挙げられ、具体的にはArF、及びKrF等のエキシマレーザー光、電子線極端紫外線、真空紫外光、X線、並びに、イオンビーム、i線、及びg線等の紫外光が挙げられる。
【0100】
光塩基発生剤を用いることで、生成した塩基が(D)成分や(E)成分の硬化触媒として効率よく作用する。その結果、感光性接着剤組成物の架橋密度がより一層高まり、上記感光性接着組成物の被着体への高温接着性、及び耐湿性が向上する。また、上記感光性接着剤組成物に光塩基発生剤を含有させることによって、高温放置時のアウトガスをより低減させることができる。さらに、硬化プロセス温度を低温化、及び短時間化させることができる。
【0101】
また、上記塩基が、(A)成分と(D)成分及び/又は(E)成分との反応後に残存する(A)成分中のカルボキシル基及び/又は水酸基を低減させることができる。そのため、耐湿性、接着性、及びパターン形成性が向上する。
【0102】
光塩基発生剤は、放射線照射時に塩基を発生する化合物であれば特に制限は受けず用いることができる。発生する塩基としては、反応性、及び硬化速度の点から強塩基性化合物が好ましい。
【0103】
このような放射線照射時に発生する塩基としては、例えば、イミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、及び1−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ピペラジン、及び2,5−ジメチルピペラジン等のピペラジン誘導体、ピペリジン、及び1,2−ジメチルピペリジン等のピペリジン誘導体、プロリン誘導体、トリメチルアミン、トリエチルアミン、及びトリエタノールアミン等のトリアルキルアミン誘導体、4−メチルアミノピリジン、及び4−ジメチルアミノピリジン等の4位にアミノ基又はアルキルアミノ基が置換したピリジン誘導体、ピロリジン、及びn−メチルピロリジン等のピロリジン誘導体、ジヒドロピリジン誘導体、トリエチレンジアミン、及び1,8−ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン−1(DBU)等の脂環式アミン誘導体、並びに、ベンジルメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、及びベンジルジエチルアミン等のベンジルアミン誘導体が挙げられる。
【0104】
上述のような塩基を放射線照射によって発生する光塩基発生剤としては、例えば、Journal of Photopolymer Science and Technology 1999年、12巻、313〜314頁、及びChemistry of Materials 1999年、11巻、170〜176頁等に記載されている4級アンモニウム塩誘導体を用いることができる。これらは、放射線照射によって高塩基性のトリアルキルアミンを生成するため、エポキシ樹脂の硬化には最適である。
【0105】
また、Journal of American Chemical Society 1996年、118巻 12925頁、及びPolymer Journal 1996年、28巻 795頁等に記載されているカルバミン酸誘導体も用いることができる。
【0106】
さらに、放射線照射によって1級のアミノ基を発生するオキシム誘導体、光ラジカル発生剤として市販されている2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ ジャパン社製、商品名:イルガキュア907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバ ジャパン社製、商品名:イルガキュア369)、2−(ジメチルアミノ)−2−((4−メチルフェニル)メチル)−1−(4−(4−モルホリニル)フェニル)−1−ブタノン(チバ ジャパン社製、商品名:イルガキュア379)、3,6−ビス−(2−メチル−2−モルホリノ−プロピオニル)−9−N−オクチルカルバゾール(ADEKA社製、商品名:オプトマーN―1414)、ヘキサアリールビスイミダゾール誘導体(ハロゲン、アルコキシ基、ニトロ基、及びシアノ基等の置換基がフェニル基に置換されていてもよい)、及びベンゾイソオキサゾロン誘導体等を用いることができる。
【0107】
上記光塩基発生剤としては、高分子の主鎖及び/又は側鎖に塩基を発生する基を導入した化合物を用いても良い。この場合の分子量としては、接着剤としての接着性、流動性、及び耐熱性の観点から重量平均分子量が1,000〜100,000であることが好ましく、5,000〜30,000であることがより好ましい。
【0108】
上記光塩基発生剤は、室温で放射線を照射しない状態では、後述する(D)成分や(E)成分と反応性を示さないため、室温での貯蔵安定性が非常に優れる。
【0109】
(D)エポキシ樹脂としては、高温接着性、及び耐リフロー性の観点から、分子内に少なくとも2個以上のエポキシ基を含むものが好ましく、パターン形成性、及び熱圧着性の点から、室温(25℃)で液状、又は半固形、具体的には軟化温度が50℃以下であるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂がより好ましい。このような樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型、AD型、S型、又はF型のグリシジルエーテル、水添加ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、エチレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、プロピレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、3官能型、又は4官能型のグリシジルエーテル、ダイマー酸のグリシジルエステル、並びに3官能型、又は4官能型のグリシジルアミンが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0110】
(D)成分としては、5%質量減少温度が150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましく、260℃以上であることが最も好ましい。5%質量減少温度が150℃以上であることで、低アウトガス性、高温接着性、及び耐リフロー性が向上する。
【0111】
上記5%質量減少温度とは、サンプルを示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー製、商品名:TG/DTA6300)を用いて、昇温速度10℃/min、窒素フロー(400ml/min)下で測定したときの5%質量減少温度である。
【0112】
上記(D)成分として、下記構造式で表されるエポキシ樹脂を用いることが好ましい。このようなエポキシ樹脂を用いることで5%質量減少温度、パターン形成性、高温接着性、耐リフロー性、及び気密封止性を十分に付与できる。
【0113】
【化13】
【0114】
また、(D)成分としては、不純物イオンである、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びハロゲンイオン、特に塩素イオン、及び加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることが好ましい。エレクトロマイグレーション防止及び金属導体回路の腐食防止が可能となる。
【0115】
(D)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して5質量部〜300質量部であることが好ましく、10質量部〜100質量部であることがより好ましい。この含有量が300質量部を超えると、アルカリ水溶液への溶解性が低下し、パターン形成性が低下する傾向がある。一方、上記含有量が5質量部未満であると、十分な熱圧着性、及び高温接着性が得にくくなる傾向がある。
【0116】
(D)成分の含有量は、(D)成分と、後述する(E)エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物との総量が、(A)成分100質量部に対して20質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましい。また、(A)成分のTgが70℃以上の場合は、特に30質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることが最も好ましい。(D)成分の含有量を上記範囲とすることで、パターン形成後の溶融粘度を低下させることができ、パターン形成性、熱圧着性、高温接着性、及び気密封止性を向上させることができる。
【0117】
(E)エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物におけるエチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、プロパギル基、ブテニル基、エチニル基、フェニルエチニル基、マレイミド基、ナジイミド基、及び(メタ)アクリル基等が挙げられ、反応性の観点から、(メタ)アクリル基が好ましい。
【0118】
(E)成分としては、特に限定はしないが、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、及び4−ヒドロキシブチルメタクリレートグリシジルエーテルの他、エポキシ基と反応する官能基及びエチレン性不飽和基を有する化合物と、多官能エポキシ樹脂と、を反応させて得られる化合物等が挙げられる。上記エポキシ基と反応する官能基としては、特に限定されないが、イソシアネート基、カルボキシル基、フェノール性水酸基、水酸基、酸無水物、アミノ基、チオール基、及びアミド基等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0119】
(E)成分は、例えば、トリフェニルホスフィン及び/又はテトラブチルアンモニウムブロミドの存在下、1分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂と、エポキシ基1当量に対し0.1当量〜0.9当量の(メタ)アクリル酸とを反応させることによって得られる。また、ジブチルスズジラウレートの存在下、多官能イソシアネート化合物と、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと、ヒドロキシ基含有エポキシ化合物とを反応させることによって、又は多官能エポキシ樹脂と、イソシアネート基含有(メタ)アクリレートとを反応させることによって、グリシジル基含有ウレタン(メタ)アクリレート等が得られる。
【0120】
(E)成分は、5%質量減少温度が150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましく、260℃以上であることが最も好ましい。上記温度が150℃以上であると、保存安定性、接着性、組立て加熱時及び組立て後のパッケージの低アウトガス性、耐熱性、並びに、耐湿性が向上する。
【0121】
さらに、(E)成分としては、不純物イオンであるアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びハロゲンイオン、特には塩素イオン及び加水分解性塩素等を1000ppm以下に低減した高純度品であることが、好ましい。エレクトロマイグレーション防止及び金属導体回路の腐食防止が可能となる。例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びハロゲンイオン等を低減した多官能エポキシ樹脂を原料として用いることで上記不純物イオン濃度を満足することができる。
【0122】
上記耐熱性及び純度を満たす(E)成分としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型、AD型、S型、又はF型のグリシジルエーテル、水添加ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、エチレンオキシド付加体ビスフェノールA及び/又はF型のグリシジルエーテル、プロピレンオキシド付加体ビスフェノールA及び/又はF型のグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ビスフェノールAノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ナフタレン樹脂のグリシジルエーテル、3官能型、又は4官能型のグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂のグリシジルエーテル、ダイマー酸のグリシジルエステル、3官能型、又は4官能型のグリシジルアミン、並びに、ナフタレン樹脂のグリシジルアミン等を原料としたものが挙げられる。
【0123】
熱圧着性、低応力性、及び接着性を改善し、パターン形成時には現像性を維持する観点から、(E)成分のエポキシ基及びエチレン性不飽和基の数は、それぞれ3つ以下であることが好ましく、特にエチレン性不飽和基の数は2つ以下であることが好ましい。このような(E)成分としては特に限定されないが、下記一般式(13)〜(18)で表される化合物等が好ましく用いられる。下記一般式(13)〜(18)において、R12、及びR16は水素原子、又はメチル基を示し、R10、R11、R13、及びR14は2価の有機基を示し、R15、R17、R18、及びR19はエポキシ基、又はエチレン性不飽和基を有する有機基を示す。
【0124】
【化14】
【0125】
上記(E)成分としては、上記一般式(13)、(14)で表される化合物が好ましく用いられる。これらを用いることで、熱圧着性が向上する。
【0126】
本実施形態において、(E)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して5質量部〜300質量部であることが好ましく、10質量部〜200質量部であることがより好ましく、20質量部〜100質量部であることが更に好ましい。この含有量が300質量部を超えると、フィルム形成時にはチキソ性が低下しフィルム形成しにくくなる傾向や、タック性が上昇し取り扱い性が十分でなくなる傾向がある。また、パターン形成時には現像性が低下する傾向があり、光硬化後の溶融粘度が低くなることで熱圧着時にパターンが変形する傾向もある。一方、上記(E)成分の含有量が5質量部未満であると、添加の効果が十分に得られなくなる傾向がある。上記(E)成分はパターン形成性を維持しつつ光硬化時のスペーサとなり、架橋密度を低減することができるため、熱圧着性を大幅に向上させることができる。
【0127】
本実施形態の感光性接着剤組成物は、硬化性成分として、(E)成分以外に、硬化剤、及び硬化促進剤等を含んでもよい。
【0128】
硬化剤としては、例えば、フェノール系化合物、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、脂肪族酸無水物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、三フッ化ホウ素アミン錯体、イミダゾール類、及び第3級アミンが挙げられる。
【0129】
上記硬化剤の中でもフェノール系化合物が好ましく、分子中に少なくとも2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール系化合物がより好ましい。フェノール系化合物を用いることでパターン形成性が向上する。このような化合物としては、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾールノボラック、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック、キシリレン変性フェノールノボラック、ナフトール系化合物、トリスフェノール系化合物、テトラキスフェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、ポリ−p−ビニルフェノール、及びフェノールアラルキル樹脂が挙げられる。
【0130】
上記フェノール系化合物の中でも、数平均分子量が400〜4,000の範囲内のものが好ましい。これによって、半導体装置組立加熱時に、半導体素子、又は装置等の汚染の原因となる加熱時のアウトガスを抑制できる。上記フェノール系化合物の含有量は、(A)成分100質量部に対して1質量部〜100質量部であることが好ましく、2質量部〜50質量部であることがより好ましく、2質量部〜30質量部であることが最も好ましい。この含有量が100質量部を超えると、露光時のエチレン性不飽和基、及びエポキシ基を有する化合物、並びに放射線重合性化合物の反応性が乏しくなる傾向がある。さらに、樹脂の酸価が上昇することで現像後に膜厚が減少したり、膨潤したりする傾向がある。また、現像液の樹脂パターンへの浸透が大きくなることで、その後の加熱硬化時や組立熱履歴でのアウトガスが多くなり、耐熱信頼性及び耐湿信頼性が大きく低下する傾向がある。一方、上記含有量が1質量部未満であると、十分な高温接着性が得られなくなる傾向がある。
【0131】
上記フェノール化合物として、5%質量減少温度が高く、パターン形成性を十分に付与できる点で、下記構造式で表されるフェノール化合物を用いることが好ましい。また、上記フェノール化合物は、樹脂組成物中のポリマー側鎖のカルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基とフェノール性化合物のフェノール性水酸基のモル当量と、(D)成分及び(E)成分のエポキシ樹脂のエポキシ基のモル当量との比[エポキシ基/(カルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基)]が0.5〜1.5であることが好ましく、0.7〜1.4であることがより好ましく、0.9〜1.2であることが最も好ましい。上記エポキシ基/(カルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基)の比が0.5未満であると高温接着性、耐リフロー性、及び気密封止性が低下する傾向があり、1.5を超えるとパターン形成性、高温接着性、及び気密封止性が低下する傾向がある。
【0132】
【化15】
【0133】
硬化促進剤としては、加熱によってエポキシの硬化及び/又は重合を促進する硬化促進剤を含有するものであれば特に制限はない。例えば、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール−テトラフェニルボレート、及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7−テトラフェニルボレートが挙げられる。感光性接着剤組成物における硬化促進剤の含有量は、(D)エポキシ樹脂100質量部に対して0.01質量部〜50質量部が好ましい。
【0134】
さらに、本発明の感光性接着剤組成物には、適宜(F)フィラー(以下(F)成分と呼ぶことがある。)を含有させることもできる。(F)成分としては、例えば、銀粉、金粉、銅粉、及びニッケル粉等の金属フィラー、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、及びセラミック等の無機フィラー、並びに、カーボン、及びゴム系フィラー等の有機フィラーが挙げられ、種類及び形状等にかかわらず特に制限なく使用することができる。
【0135】
上記(F)成分は、所望する機能に応じて使い分けることができる。例えば、金属フィラーは、樹脂組成物に導電性、熱伝導性、及びチキソ性等を付与し、非金属無機フィラーは、接着剤層に熱伝導性、低熱膨張性、及び低吸湿性等を付与する。また、有機フィラーは接着剤層に靭性等を付与する。
【0136】
これら金属フィラー、無機フィラー、又は有機フィラーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、金属フィラー、無機フィラー、又は絶縁性のフィラーが好ましい。半導体装置用接着材料に求められる、導電性、熱伝導性、低吸湿特性、及び絶縁性等が付与される。さらに無機フィラー、又は絶縁性のフィラーの中では、シリカフィラーがより好ましい。樹脂ワニスに対する分散性が良好で且つ、熱時の高い接着力を付与できる。
【0137】
上記(F)成分は、平均粒子径が10μm以下、且つ、最大粒子径が30μm以下であることが好ましく、平均粒子径が5μm以下、且つ、最大粒子径が20μm以下であることがより好ましい。平均粒子径が10μmを超え、且つ、最大粒子径が30μmを超えると、破壊靭性向上の効果が十分に得られない傾向がある。また、平均粒子径、及び最大粒子径の下限は特に制限はないが、取り扱い性の観点から、どちらも0.001μm以上が好ましい。
【0138】
上記(F)成分の含有量は、付与する特性、又は機能に応じて決められるが、樹脂成分とフィラーとの質量の合計に対して0質量%〜50質量%が好ましく、1質量%〜40質量%がより好ましく、3質量%〜30質量%が更に好ましい。フィラーを増量させることによって、低アルファ化、低吸湿化、及び高弾性率化が図れ、ダイシング性(ダイサー刃による切断性)、ワイヤボンディング性(超音波効率)、及び加熱時の接着強度を有効に向上させることができる。
【0139】
上記(F)成分の含有量が50質量%を超えると、熱圧着性、及びパターン形成性が得にくくなる傾向にある。求められる特性のバランスをとるべく、フィラーの最適な含有量を決定する。フィラーを用いた場合の混合及び混練は、通常の撹拌機、らいかい機、三本ロール、及びボールミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。
【0140】
本実施形態の感光性接着剤組成物には、各種カップリング剤を添加することもできる。上記カップリング剤を用いることで、異種材料間の界面結合性が向上する。カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系、及びアルミニウム系が挙げられ、中でも効果が高い点で、シラン系カップリング剤が好ましく、エポキシ基等の熱硬化性基、並びに、メタクリレート及び/又はアクリレート等の放射線重合性基を有する化合物がより好ましい。また、上記シラン系カップリング剤の沸点及び/又は分解温度は150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましい。つまり、200℃以上の沸点及び/又は分解温度で、且つエポキシ基等の熱硬化性基やメタクリレート及び/又はアクリレート等の放射線重合性基を有するシラン系カップリング剤が最も好ましく用いられる。上記カップリング剤の使用量は、その効果、耐熱性、及びコストの面から、使用する(A)成分100質量部に対して、0.01質量部〜20質量部とすることが好ましい。
【0141】
本実施形態の感光性接着剤組成物には、更にイオン捕捉剤を添加することもできる。上記イオン捕捉剤によって、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の絶縁信頼性が向上する。このようなイオン捕捉剤としては、特に制限はなく、例えば、トリアジンチオール化合物、及びフェノール系還元剤等の、銅がイオン化して溶け出すのを防止するための銅害防止剤として知られる化合物、粉末状のビスマス系、アンチモン系、マグネシウム系、アルミニウム系、ジルコニウム系、カルシウム系、チタン系、及びズズ系、並びに、これらの混合系等の無機化合物が挙げられる。
【0142】
上記イオン捕捉剤の具体例としては、特に限定はしないが東亜合成(株)製の無機イオン捕捉剤、商品名:IXE−300(アンチモン系)、IXE−500(ビスマス系)、IXE−600(アンチモン、ビスマス混合系)、IXE−700(マグネシウム、アルミニウム混合系)、IXE−800(ジルコニウム系)、及びIXE−1100(カルシウム系)がある。これらは1種を単独で、又は2種以上混合して用いることができる。上記イオン捕捉剤の使用量は、添加による効果、耐熱性及びコスト等の点から、(A)成分100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部が好ましい。
【0143】
本実施形態では、必要に応じて増感剤を併用することができる。この増感剤としては、例えば、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジ(2−メトキシエチル)ケタール、4,4’−ジメチルベンジル−ジメチルケタール、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ニトロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロ−7−トリフルオロメチルチオキサントン、チオキサントン−10,10−ジオキシド、チオキサントン−10−オキサイド、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、及びアジド基を含む化合物が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0144】
本実施形態では、必要に応じて熱ラジカル発生剤を用いることができる。熱ラジカル発生剤としては、有機過酸化物であることが好ましい。有機過酸化物としては、1分間半減期温度が120℃以上であるものが好ましく、150℃以上であるものがより好ましい。有機過酸化物は、感光性接着剤組成物の調製条件、製膜温度、硬化(貼り合せ)条件、その他プロセス条件、及び貯蔵安定性等を考慮して選択される。
【0145】
使用可能な有機過酸化物としては、特に限定はしないが、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシへキサン)、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、及びビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートが挙げられ、これらのうちの1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0146】
上記熱ラジカル発生剤の添加量は、エチレン性不飽和基を有する化合物の全量に対し、0.01質量%〜20質量%が好ましく、0.1質量%〜10質量%が更に好ましく、0.5質量%〜5質量%が最も好ましい。0.01質量%未満であると硬化性が低下し、添加効果が小さくなる傾向がある。また、5質量%を超えるとアウトガス量が増加し、保存安定性が低下する傾向にある。
【0147】
上記熱ラジカル発生剤としては、半減期温度が120℃以上の化合物であれば特に限定はしないが、例えば、パーヘキサ25B(日油社製)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシへキサン)(1分間半減期温度:180℃)、パークミルD(日油社製)、及びジクミルパーオキサイド(1分間半減期温度:175℃)が挙げられる。
【0148】
本実施形態の感光性接着剤組成物には、キノン類、多価フェノール類、フェノール類、ホスファイト類、及びイオウ類等の重合禁止剤、又は酸化防止剤を、硬化性を損なわない範囲で更に添加してもよい。保存安定性、プロセス適応性、又は酸化防止性が付与される。
【0149】
本実施形態の感光性接着剤組成物において、気密封止性及び取り扱い性の向上、並びに加熱硬化後の反り抑制の観点から、(A)アルカリ可溶性樹脂のTgは、40℃〜150℃であることが好ましい。このようなTgを有するアルカリ可溶性樹脂を含有し、加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率が10MPa以上を満たす感光性樹脂組成物としては、例えば、Tgが40℃〜150℃の(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、放射線重合性基当量が400g/eq以下、好ましくは250g/eq以下である(B)放射線重合性化合物を20質量部〜500質量部、好ましくは40質量部〜200質量部、(C)光開始剤を0.5質量部〜20質量部、好ましくは1質量部〜10質量部、エポキシ基当量が400g/eq以下、好ましくは250g/eq以下である(D)エポキシ樹脂を5質量部〜300質量部、好ましくは10質量部〜100質量部、及び芳香族又はイソシアヌル基を有する(E)エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物を5質量部〜200質量部、好ましくは10質量部〜100質量部を配合したものが挙げられる。これに対して、40℃未満のTgを有するアルカリ可溶性樹脂を含有し、加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率が10MPa以上を満たす感光性樹脂組成物、例えば、Tgが40℃未満の(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、官能基当量が200g/eq以下の2官能以上の(B)放射線重合性化合物及び/又は官能基当量が200g/eq以下の熱硬化性樹脂((D)エポキシ樹脂)を600質量部以上、好ましくは800質量部以上配合することで得られるものは、中空部の気密性を十分なものにすることができるものの、フィルム状に形成したときの取り扱い性が十分でなくなる傾向にあり、また硬化後の反りが大きくなる傾向にある。
【0150】
本実施形態の感光性接着剤組成物において、気密封止性及び取り扱い性の向上、並びに加熱硬化後の反り抑制の観点から、露光後、更に加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率が1GPa以下であることが好ましい。このような条件を満たす感光性接着剤組成物としては、例えば、Tgが40℃〜150℃の(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、放射線重合性基当量が400g/eq以下、好ましくは250g/eq以下である(B)放射線重合性化合物を20質量部〜500質量部、好ましくは40質量部〜200質量部、(C)光開始剤を0.5質量部〜20質量部、好ましくは1質量部〜10質量部、エポキシ基当量が400g/eq以下、好ましくは250g/eq以下である(D)エポキシ樹脂を5質量部〜300質量部、好ましくは10質量部〜100質量部、及び芳香族又はイソシアヌル基を有する(E)エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物を5質量部〜200質量部、好ましくは10質量部〜100質量部を配合したものが挙げられる。これに対して、上記貯蔵弾性率が1GPaを超える感光性樹脂組成物、例えば、(A)アルカリ可溶性樹脂のTgが150℃を超えるもの、又は、Tgが150℃以下の(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、官能基当量が200g/eq以下の2官能以上の(B)放射線重合性化合物及び/又は官能基当量が200g/eq以下の熱硬化性樹脂((D)エポキシ樹脂)を300質量部〜400質量部配合することで得られるものは、中空部の気密性を十分なものにすることができるものの、フィルム状に形成したときの取り扱い性が十分でなくなる傾向にあり、また硬化後の反りが大きくなる傾向にある。
【0151】
上記感光性接着剤組成物をフィルム状に成形することによって、フィルム状接着剤を得ることができる。図1は、本発明のフィルム状接着剤の一実施形態を示す端面図である。図1に示すフィルム状接着剤1は、上記感光性接着剤組成物をフィルム状に成形したものである。
【0152】
フィルム状接着剤1は、例えば、図2に示す基材3上に上記感光性接着剤組成物を塗布し、乾燥させることによってフィルム状に成形される。このようにして、基材3と、基材3上に形成された上記フィルム状接着剤からなる接着剤層1とを備える接着シート100が得られる。図2は、本発明の接着シート100の一実施形態を示す端面図である。図2に示す接着シート100は、基材3と、これの一方面上に設けられたフィルム状接着剤からなる接着剤層1とから構成される。
【0153】
図3は、本発明の接着シートの他の一実施形態を示す端面図である。図3に示す接着シート110は、基材3と、これの一方面上に設けられたフィルム状接着剤からなる接着剤層1とカバーフィルム2とから構成される。
【0154】
フィルム状接着剤1は、以下の方法で得ることができる。まず、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び必要に応じて添加される他の成分を、有機溶媒中で混合し、混合液を混練してワニスを調製する。次に、基材3上にこのワニスを塗布してワニスの層を形成し、加熱によってワニス層を乾燥した後に基材3を除去する。このとき、基材3を除去せずに、接着シート100、110の状態で保存、又は使用することもできる。
【0155】
ワニスの調製に用いる有機溶媒、すなわちワニス溶剤は、材料を均一に溶解、又は分散できるものであれば、特に制限はない。例えば、ジメチルホルムアミド、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、及びN−メチル−ピロリジノン(N−メチル−2−ピロリドン)が挙げられる。
【0156】
上記混合、及び混練は、通常の撹拌機、らいかい機、三本ロール、及びボールミル等の分散機を適宜組み合わせて行うことができる。上記加熱による乾燥は、(B)成分が十分には反応しない温度で、且つ、溶媒が十分に揮散する条件で行う。上記「(B)成分が十分には反応しない温度」とは、具体的には、DSC(例えば、パーキンエルマー社製、商品名:DSC−7型)を用いて、サンプル量:10mg、昇温速度:5℃/min、測定雰囲気:空気、の条件で測定したときの反応熱のピーク温度以下の温度である。具体的には、通常60℃〜180℃で、0.1分〜90分間加熱することによってワニス層を乾燥させる。乾燥前のワニス層の厚みは、1μm〜200μmが好ましい。この厚みが1μm未満であると、接着固定機能が十分でなくなる傾向があり、200μmを超えると、後述する残存揮発分が多くなる傾向がある。
【0157】
得られたワニス層の残存揮発分は10質量%以下が、好ましい。この残存揮発分が10質量%を超えると、組立加熱時の溶媒揮発による発泡が原因で、接着剤層内部にボイドが残存しやすくなり、耐湿性が低下する傾向がある。また、加熱時に発生する揮発成分によって、周辺材料、又は部材が汚染される可能性も高くなる傾向がある。なお、上記の残存揮発成分の測定条件は次の通りである。すなわち、50mm×50mmサイズに切断したフィルム状接着剤1について、初期の質量をM1とし、このフィルム状接着剤1を160℃のオーブン中で3時間加熱した後の質量をM2とし、以下の式により残存揮発分(%)を求める。
残存揮発分(%)=[(M1−M2)/M1]×100
【0158】
基材3は、上述の乾燥条件に耐えるものであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、及びメチルペンテンフィルムを基材3として用いることができる。基材3としてのフィルムは2種以上組み合わせた多層フィルムであってもよく、表面がシリコーン系、及びシリカ系等の離型剤等で処理されたものであってもよい。
【0159】
また、フィルム状接着剤1とダイシングシートとを積層し、接着シートとすることもできる。上記ダイシングシートは、基材上に粘着剤層を設けたシートであり、上述の粘着剤層は、感圧型、又は放射線硬化型のどちらでも良い。また、上述の基材はエキスパンド可能な基材が好ましい。このような接着シートとすることによって、ダイボンドフィルムとしての機能とダイシングシートとしての機能とを併せ持つダイシング・ダイボンド一体型接着シートが得られる。
【0160】
上述のダイシング・ダイボンド一体型接着シートとして具体的には、図4に示すような、基材3、粘着剤層6、及びフィルム状接着剤(接着剤層)1がこの順に積層されてなる接着シート120が挙げられる。
【0161】
図5は、本発明の接着剤層付半導体ウェハの一実施形態を示す上面図であり、図6は図5のIV−IV線に沿った端面図である。図5、及び図6に示す接着剤層付半導体ウェハ20は、半導体ウェハ8と、これの一方面上に設けられたフィルム状接着剤(接着剤層)1と、を備える。
【0162】
接着剤層付半導体ウェハ20は、半導体ウェハ8上に、フィルム状接着剤1を加熱しながらラミネートすることによって得られる。フィルム状接着剤1は、例えば、室温(25℃)〜150℃程度の低温で半導体ウェハ8に貼付けることが可能である。
【0163】
図7、及び図9は、それぞれ本発明の接着剤パターンの一実施形態を示す上面図であり、図8は図7のV−V線に沿った端面図であり、図10は図9のVI−VI線に沿った端面図である。図7〜図10に示す接着剤パターン1aは、被着体としての半導体ウェハ8上において、略正方形の辺に沿ったパターン、又は正方形のパターンを有するように形成されている。
【0164】
接着剤パターン1aは、接着剤層1を、被着体としての半導体ウェハ8上に積層して接着剤層付半導体ウェハ20を得て、接着剤層1を、フォトマスクを介して露光し、露光後の接着剤層1をアルカリ現像液で現像処理することによって形成される。これによって、接着剤パターン1aが形成された接着剤層付半導体ウェハ20が得られる。
【0165】
以下、本実施形態に係るフィルム状接着剤を用いて製造される半導体装置について、図面を用いて具体的に説明する。なお、本発明のフィルム状接着剤の用途は、以下に説明する構造の半導体装置に限定されるものではない。
【0166】
図11は、本発明の半導体装置の一実施形態を示す端面図である。図11に示す半導体装置200において、半導体素子12はフィルム状接着剤1を介して半導体素子搭載用支持部材13に接着され、半導体素子12の接続端子(図示せず)はワイヤ14を介して外部接続端子(図示せず)と電気的に接続され、封止材15によって封止されている。
【0167】
図12は、本発明の半導体装置の他の一実施形態を示す端面図である。図12に示す半導体装置210において、一段目の半導体素子12aはフィルム状接着剤1を介して、端子16が形成された半導体素子搭載用支持部材13に接着され、一段目の半導体素子12aの上に更にフィルム状接着剤1を介して二段目の半導体素子12bが接着されている。一段目の半導体素子12a、及び二段目の半導体素子12bの接続端子(図示せず)は、ワイヤ14を介して外部接続端子と電気的に接続され、封止材15によって封止されている。このように、本発明のフィルム状接着剤は、半導体素子を複数重ねる構造の半導体装置にも好適に使用できる。
【0168】
図11、及び図12に示す半導体装置(半導体パッケージ)は、例えば、図9に示す接着剤層付半導体ウェハ20を破線Dに沿ってダイシングし、ダイシング後の接着剤層付半導体素子を半導体素子搭載用支持部材13に加熱圧着して両者を接着させ、その後、ワイヤボンディング工程、必要に応じて封止材による封止工程等の工程を経ることによって得ることができる。上記加熱圧着における加熱温度は、通常、20℃〜250℃であり、荷重は、通常、0.01kgf〜20kgfであり、加熱時間は、通常、0.1秒間〜300秒間である。
【0169】
その他、本発明の半導体装置の実施形態としては、図18に示すような半導体装置220がある。以下、図18に示す半導体装置220の製造方法について、図面を用いて詳しく説明する。図13は、本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図であり、図14、及び図16〜図19は、本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図であり、図15は本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す上面図である。
【0170】
本実施形態の半導体装置220の製造方法は、以下の(工程1)〜(工程7)を備える。
【0171】
(工程1)半導体ウェハ8内に形成された半導体チップ(半導体素子)12の回路面18上にフィルム状接着剤(接着剤層)1を積層する工程(図13(a)、及び(b))。
【0172】
(工程2)半導体チップ12の回路面18上に設けられた接着剤層1を、マスク4を介した露光、及び現像によってパターニングする工程(図13(c)及び図14(a))。
【0173】
(工程3)半導体ウェハ8を回路面18とは反対側の面から研磨して半導体ウェハ8を薄くする工程(図14(b))。
【0174】
(工程4)半導体ウェハ8をダイシングによって複数の半導体チップ12に切り分ける工程(図14(c)、及び図16(a))。
【0175】
(工程5)半導体チップ12をピックアップして半導体装置用の板状の支持部材(半導体素子搭載用支持部材)13にマウントする工程(図16(b)、及び図17(a))。
【0176】
(工程6)支持部材13にマウントされた半導体チップ12aの回路面18上でパターニングされた接着剤層1に2層目の半導体チップ12bを積層する工程(図17(b))。
【0177】
(工程7)半導体チップ12a、及び12bをそれぞれ外部接続端子と接続する工程(図18)。
【0178】
以下、(工程1)〜(工程7)について詳述する。
【0179】
(工程1)
図13(a)に示す半導体ウェハ8内には、ダイシングラインDによって区分された複数の半導体チップ12が形成されている。この半導体チップ12の回路面18側の面にフィルム状接着剤(接着剤層)1を積層する(図13(b))。接着剤層1を積層する方法としては、予めフィルム状に成形されたフィルム状接着剤を準備し、これを半導体ウェハ8に貼り付ける方法が簡便であるが、スピンコート法等を用いて液状の感光性接着剤組成物のワニスを半導体ウェハ8に塗布し、加熱乾燥する方法によってもよい。
【0180】
(工程2)
接着剤層1は、露光、及び現像によってパターニングされた後に被着体に対する接着性を有し、アルカリ現像が可能な感光性接着剤である。より詳細には、接着剤層1を露光、及び現像によってパターニングして形成されるレジストパターン(接着剤パターン)が、半導体チップ及び支持部材等の被着体に対する接着性を有している。例えば、接着剤パターンに被着体を必要に応じて加熱しながら圧着することによって、接着剤パターンと被着体とを接着することが可能である。
【0181】
半導体ウェハ8に積層された接着剤層1に対して、所定の位置に開口を形成しているマスク4を介して活性光線(典型的には紫外線)を照射する(図13(c))。これによって接着剤層1が所定のパターンで露光される。
【0182】
露光後、接着剤層1のうち露光されなかった部分を、アルカリ現像液を用いた現像によって除去することで、開口11が形成されるように接着剤層1をパターニングする(図14(a))。なお、ネガ型の感光性接着剤組成物の代わりに、ポジ型の感光性接着剤組成物を用いることも可能であり、その場合は接着剤層1のうち露光された部分が現像によって除去される。
【0183】
図15は、接着剤層1がパターニングされた状態を示す上面図である。開口11において半導体チップ12のボンディングパッドが露出する。すなわち、パターニングされた接着剤層1は、半導体チップ12のバッファーコート膜である。矩形状の開口11は、各半導体チップ12上に複数並んで形成されている。開口11の形状、配置、及び数は本実施形態のような形態に限られるものではなく、ボンディングパッド等の所定の部分が露出するように適宜変形が可能である。なお、図15のII−II線に沿った端面図が図14である。
【0184】
(工程3)
パターニングの後、半導体ウェハ8の接着剤層1とは反対側の面を研磨して、半導体ウェハ8を所定の厚さまで薄くする(図14(b))。研磨は、例えば、接着剤層1上に粘着フィルムを貼り付け、粘着フィルムによって半導体ウェハ8を研磨用の治具に固定して行う。
【0185】
(工程4)
研磨後、半導体ウェハ8の接着剤層1とは反対側の面に、ダイボンディング材30、及びダイシングテープ40を有しこれらが積層している複合フィルム5を、ダイボンディング材30が半導体ウェハ8に接する向きで貼り付ける(図14(c))。貼り付けは必要に応じて加熱しながら行う。
【0186】
次いで、ダイシングラインDに沿って半導体ウェハ8を接着剤層1、及び複合フィルム5とともに切断する。これによって、接着剤層1、及び複合フィルム5をそれぞれ備えた複数の半導体チップ12が得られる(図16(a))。このダイシングは、例えば、ダイシングテープ40によって全体をフレームに固定した状態でダイシングブレードを用いて行われる。
【0187】
(工程5)
ダイシングの後、切り分けられた半導体チップ12(12a)を、接着剤層1及びダイボンディング材30とともにピックアップし(図16(b))、支持部材13にダイボンディング材30を介してマウントする(図17(a))。
【0188】
(工程6)
支持部材13にマウントされた半導体チップ12a上の接着剤層1上に、2層目の半導体チップ12bを積層する(図17(b))。すなわち、半導体チップ12aと、その上層に位置する半導体チップ12bとが、それらの間に介在するパターニングされた接着剤層1(バッファーコート膜)によって接着される。半導体チップ12bは、パターニングされた接着剤層1のうち開口11は塞がないような位置に接着される。なお、半導体チップ12bの回路面18上にもパターニングされた接着剤層1(バッファーコート膜)が形成されている。
【0189】
半導体チップ12bの接着は、例えば、接着剤層1が流動性を発現するような温度にまで加熱しながら熱圧着する方法によって行われる。熱圧着後、必要に応じて接着剤層1を加熱して更に硬化を進行させる。
【0190】
(工程7)
その後、半導体チップ12aは、そのボンディングパッドに接続されたワイヤ14aを介して支持部材13上の外部接続端子と接続され、半導体チップ12bはそのボンディングパッドに接続されたワイヤ14bを介して支持部材13上の外部接続端子と接続される。次いで、半導体チップ12a、及び12bを含む積層体を封止材15によって封止することで、半導体装置220が得られる(図18)。
【0191】
本発明の半導体装置の製造方法は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。例えば、(工程1)〜(工程7)の順序を適宜入れ替えることが可能である。図19に示すように、接着剤層1が形成された半導体ウェハ8を研磨により薄くした後、ダイシングを行ってもよい。この場合、ダイシング後、露光、及び現像によって接着剤層1をパターニングすることで、図16(a)と同様の積層体が得られる。また、半導体ウェハを研磨によって薄くし、ダイシングしてから、フィルム状接着剤1の貼り付けとその後の露光、及び現像を行ってもよい。また、3層以上の半導体チップ12が積層されていてもよい。その場合、少なくとも1組の隣り合う半導体チップ同士が、パターニングされた接着剤層1(下層側のバッファーコート膜)によって直接接着される。
【0192】
図20は、本発明の半導体装置の他の一実施形態を示す端面図である。図20に示す半導体装置230は、接続端子(第1の接続部:図示せず)を有する支持部材(第1の被着体)13と、接続用電極部(第2の接続部:図示せず)を有する半導体チップ(第2の被着体)12と、絶縁材からなる接着剤層1と、導電材からなる導電層9とを備えている。支持部材13は、半導体チップ12と対向する回路面18を有しており、半導体チップ12と所定の間隔をおいて配置されている。接着剤層1は、支持部材13、及び半導体チップ12の間において、それぞれと接して形成されており、所定のパターンを有している。導電層9は、支持部材13、及び半導体チップ12の間における、接着剤層1が配置されていない部分に形成されている。半導体チップ12の接続用電極部は、導電層9を介して支持部材13の接続端子と電気的に接続されている。
【0193】
以下、図21〜図25を用いて、図20に示す半導体装置230の製造方法について詳述する。図21、22、24及び25は、本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す端面図であり、図23は、本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す断面図である。本実施形態の半導体装置の製造方法は、以下の(第1工程)〜(第4工程)を備える。
【0194】
(第1工程)接続端子を有する支持部材13上に接着剤層1を設ける工程(図21、及び図22)。
【0195】
(第2工程)接着剤層1を露光、及び現像によって、接続端子が露出する開口11が形成されるようにパターニングする工程(図23、及び図24)。
【0196】
(第3工程)開口11に導電材を充填して導電層9を形成する工程(図25)。
【0197】
(第4工程)接続用電極部を有する半導体チップ12を、支持部材13と接着剤層1との積層体の接着剤層1側に接着すると共に、支持部材13の接続端子と半導体チップ12の接続用電極部とを導電層9を介して電気的に接続する工程(図20)。
【0198】
以下、(第1工程)〜(第4工程)について詳しく説明する。
(第1工程)
図21に示す支持部材13の回路面18上に、接着剤層1を積層する(図22)。積層方法としては、予めフィルム状に成形されたフィルム状接着剤を準備し、これを支持部材13に貼り付ける方法が簡便であるが、スピンコート法等を用いて、感光性接着剤組成物を含有する液状のワニスを支持部材13上に塗布し、加熱乾燥する方法によって積層してもよい。
【0199】
本実施形態に係る感光性接着剤組成物は、露光、及び現像によってパターニングされた後に被着体に対する接着性を有し、アルカリ現像が可能な感光性接着剤組成物である。より詳細には、感光性接着剤組成物を露光、及び現像によってパターニングして形成されるレジストパターンが、半導体チップ、及び基板等の被着体に対する接着性を有している。例えばレジストパターンに被着体を必要に応じて加熱しながら圧着することによって、レジストパターンと被着体とを接着することが可能である。
【0200】
(第2工程)
支持部材13上に設けられた接着剤層1に対して、所定の位置に開口が形成されているマスク4を介して活性光線(典型的には紫外線)を照射する(図23)。これにより接着剤層1が所定のパターンで露光される。
【0201】
露光後、接着剤層1のうち露光されなかった部分を、アルカリ現像液を用いた現像によって除去することで、支持部材13の接続端子が露出する開口11が形成されるように接着剤層1がパターニングされる(図24)。なお、ネガ型の感光性接着剤組成物の代わりに、ポジ型の感光性接着剤組成物を用いることも可能であり、その場合は接着剤層1のうち露光された部分が現像によって除去される。
【0202】
得られたレジストパターンの開口11に導電材を充填して導電層9を形成する(図25)。導電材の充填方法は、グラビア印刷、ロールによる押し込み、及び減圧充填等の各種の方法が採用できる。ここで使用する導電材は、半田、金、銀、ニッケル、銅、白金、又はパラジウム等の金属、酸化ルテニウム等の金属酸化物等からなる電極材料、或いは、上記金属のバンプの他、例えば、導電性粒子と樹脂成分とを少なくとも含有してなるものが挙げられる。導電性粒子としては、例えば、金、銀、ニッケル、銅、白金、及びパラジウム等の金属、酸化ルテニウム等の金属酸化物、並びに、有機金属化合物等の導電性粒子が用いられる。また、樹脂成分としては、例えば、エポキシ樹脂、及びその硬化剤等の上述した硬化性樹脂組成物が用いられる。
【0203】
支持部材13上の接着剤層1に対して、半導体チップ12が直接接着される。半導体チップ12の接続用電極部は、導電層9を介して支持部材13の接続端子と電気的に接続される。なお、半導体チップ12における接着剤層1と反対側の回路面上に、パターン化された接着剤層(バッファーコート膜)が形成されていてもよい。
【0204】
半導体チップ12の接着は、例えば、接着剤層1(感光性接着剤組成物)が流動性を発現するような温度にまで加熱しながら熱圧着する方法によって行われる。熱圧着後、必要に応じて接着剤層1を加熱して更に硬化反応を進行させてもよい。
【0205】
半導体チップ12における接着剤層1と反対側の回路面(裏面)には、裏面保護フィルムを貼り付けることが好ましい。
【0206】
以上の方法によって、図20に示す半導体装置230が得られる。本発明の半導体装置の製造方法は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
【0207】
例えば、接着剤層1は、最初に支持部材13上に設けられることに限られるものではなく、半導体チップ12上に最初に設けることもできる。この場合、半導体装置の製造方法は、例えば、接続用電極部を有する半導体チップ12上に接着剤層1を設ける第1の工程と、接着剤層1を露光、及び現像によって、接続用電極部が露出する開口11が形成されるようにパターニングする第2の工程と、開口11に導電材を充填して導電層9を形成する第3の工程と、接続端子を有する支持部材13を、半導体チップ12と接着剤層1との積層体の接着剤層1に直接接着すると共に、支持部材13の接続端子と半導体チップ12の接続用電極部とを導電層9を介して電気的に接続する第4の工程と、を備える。
【0208】
上記製造方法では、それぞれ個片化された支持部材13、及び半導体チップ12間の接続であるため、支持部材13上の接続端子と半導体チップ12上の接続用電極部との接続が容易である点において好ましい。
【0209】
また、接着剤層1は、複数の半導体チップ12から構成される半導体ウェハ上に最初に設けることもできる。この場合、半導体装置の製造方法は、例えば、接続用電極部を有する複数の半導体チップ12から構成される半導体ウェハ上に接着剤層1を設ける第1の工程と、接着剤層1を露光、及び現像によって、接続用電極部が露出する開口11が形成されるようにパターニングする第2の工程と、開口11に導電材を充填して導電層9を形成する第3の工程と、接続端子を有するウェハサイズの支持部材13(半導体ウェハと同程度の大きさを有する支持部材)を、半導体ウェハと接着剤層1との積層体の接着剤層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続端子と半導体ウェハを構成する半導体チップ12の接続用電極部とを導電層9を介して電気的に接続する第4の工程と、半導体ウェハと接着剤層1と支持部材13との積層体を半導体チップ12ごとに切り分ける(ダイシング)第5の工程と、を備える。
【0210】
また、上記製造方法は、第1の工程において、ウェハサイズの支持部材13上に接着剤層1を設け、第4の工程において、半導体ウェハを、支持部材13と接着剤層1との積層体の接着剤層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続端子と半導体ウェハを構成する半導体チップ12の接続用電極部とを導電層9を介して電気的に接続し、第5の工程において、半導体ウェハと接着剤層1と支持部材13との積層体を半導体チップ12ごとに切り分けてもよい。
【0211】
上記製造方法では、半導体ウェハと支持部材13との接続までの工程(第4の工程)をウェハサイズでできるので作業効率の点において好ましい。なお、半導体ウェハにおける接着剤層1と反対側の回路面(裏面)には、裏面保護フィルムを貼り付けることが好ましい。
【0212】
また、他の半導体装置の製造方法は、接続用電極部を有する複数の半導体チップ12から構成される半導体ウェハ上に接着剤層1を設ける第1の工程と、接着剤層1を露光、及び現像によって、接続用電極部が露出する開口11が形成されるようにパターニングする第2の工程と、開口11に導電材を充填して導電層9を形成する第3の工程と、半導体ウェハと接着剤層1との積層体を半導体チップ12ごとに切り分ける(ダイシング)第4の工程と、接続端子を有する支持部材13を、個片化された半導体チップ12と接着剤層1との積層体の接着剤層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続端子と半導体チップ12の接続用電極部とを導電層9を介して電気的に接続する第5の工程と、を備える。
【0213】
上記製造方法は、第1の工程において、ウェハサイズの支持部材13上に接着剤層1を設け、第4の工程において、ウェハサイズの支持部材13と接着剤層1との積層体を半導体チップ12ごとに切り分け、第5の工程において、半導体チップ12を、個片化された支持部材13と接着剤層1との積層体の接着剤層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続端子と半導体チップ12の接続用電極部とを導電層9を介して電気的に接続してもよい。
【0214】
上記製造方法では、接着剤層1の形成から導電材の充填工程(第3の工程)までをウェハサイズで行え、またダイシング工程(第4の工程)をスムーズにできる点において好ましい。
【0215】
また、フィルム状接着剤を用いて、半導体ウェハ同士、又は半導体チップ同士を接着することによって半導体装置(半導体積層体)を構成することができる。この積層体には、貫通電極を形成することも可能である。
【0216】
この場合、半導体装置の製造方法は、例えば、貫通電極の接続用電極部を有する第1の半導体チップ12上に感光性接着剤からなる接着剤層1を設ける第1の工程と、接着剤層1を露光、及び現像によって、上記接続用電極部が露出する開口11が形成されるようにパターニングする第2の工程と、開口11に導電材を充填して貫通電極接続を形成する第3の工程と、接続用電極部を有する第2の半導体チップ12を、第1の半導体チップ12と接着剤層1との積層体の接着剤層1に直接接着すると共に、第1、及び第2の半導体チップ12の接続用電極部同士を導電層9を介して電気的に接続する第4の工程と、を備える。上記製造方法において、半導体チップに替えて、半導体ウェハを用いてもよい。
【0217】
本実施形態に係る半導体装置は、図26に示すような固体撮像素子400であってもよい。図26は、本発明の半導体装置の一実施形態を示す端面図である。図26に示す半導体装置(固体撮像素子)400は、ガラス基板7、半導体チップ12、接着剤層1、及び有効画素領域17を備える。ガラス基板7と半導体チップ12とは、パターニングされた接着剤層1を介して接着されており、半導体チップ12のガラス基板7側の面には有効画素領域17が形成されている。
【0218】
本実施形態の感光性接着剤組成物から上記接着剤層1を形成することによって、加熱硬化後の上記接着剤層1の分子間架橋密度を高くすることができ、上記接着剤層1を通して浸入する水分量を減少させることができる。これにより、ガラス表面等での結露の発生を十分抑制することができる。
【0219】
また、本実施形態において、更に高い気密封止性を得る観点から、上記接着剤層1がガラス基板7に対して高い接着性を有するものであることが好ましい。上記接着剤層1とガラス基板7との接着界面が十分に接着されていることで、ガラス基板7のはく離を抑制することができ、接着界面からの水分の浸入を更に低減させることができる。これにより、ガラス表面等での結露の発生を更に低減することができる。
【0220】
上記半導体装置(固体撮像素子)400は、例えば、図27に示すようなCMOSセンサの製造に用いられる。図27は、図26に示す半導体素子を固体撮像素子として用いたCMOSセンサの例を示す端面図である。図27に示すCMOSセンサ300において、半導体装置400は、複数の導電性バンプ32を介して半導体素子搭載用支持部材13上の接続端子(図示せず)と電気的に接続されている。なお、導電性バンプ32を用いて半導体装置400が接着された構成に代えて、導電性ワイヤを介して半導体装置400が半導体素子搭載用支持部材13上の接続端子に接続された構成を有していてもよい。
【0221】
CMOSセンサ300は、有効画素領域17の真上(半導体チップ12の反対側)に位置するように設けられたレンズ38と、レンズ38と共に半導体装置400を内包するように設けられた側壁50と、レンズ38が嵌め込まれた状態でレンズ38、及び側壁50の間に介在する嵌め込み用部材42とが半導体素子搭載用支持部材13上に搭載された構成を有する。
【0222】
CMOSセンサ300は、上述のような方法によって製造された半導体装置400を、半導体素子搭載用支持部材13上の接続端子と半導体チップ12を導電性バンプ32を介して接続し、半導体装置400を内包するようにレンズ38、側壁50、及び嵌め込み用部材42を半導体素子搭載用支持部材13上に形成することで製造される。
【0223】
本実施形態に係る感光性接着剤組成物は、CMOSセンサに用途を限定されるものではなく、露光、現像によるパターン形成後に被着体を熱圧着して形成される中空構造を有するパッケージに用いられてもよい。上記中空構造を有するパッケージとしては、インクジェットヘッド、及びバイオセンサー等のマイクロ流路、太陽電池部材、電子ペーパー、SAWフィルター、並びに、特開2005−329532号公報に開示されるMEMSパッケージ等の気密封止性が要求されるものが挙げられる。このようなパッケージに本実施形態に係る感光性接着剤組成物を適用することで、気密封止性に優れたパッケージを作製することができる。また、本実施形態に係る感光性接着剤組成物は、中空構造を作製する際に封止機能を有するリブ材として用いられてもよい。
【0224】
本発明では、上述した本実施形態に係る感光性接着剤組成物を用いて接着剤層付基板を提供することができる。本実施形態に係る接着剤層付基板は、基板と、この基板上に積層された、本実施形態に係る感光性接着剤組成物をフィルム状に成形することによって得られるフィルム状接着剤からなる接着剤層とを備える。基板が透明基板である場合、接着剤層付透明基板を得ることができる。接着剤層付透明基板は、図26に示すような固体撮像素子400の製造に好適である。具体的には、透明基板としてガラス基板7上に本発明に係る接着剤層を設けた接着剤層付透明基板を作製し、接着剤層を露光、現像することによりパターン形成した後、これを半導体チップ12上に貼り合わせることにより固体撮像素子400を製造できる。透明基板以外の基板としては、シリコンウェハやシリコンチップ、樹脂基板などが挙げられる。
【実施例】
【0225】
以下、実施例を挙げて本発明について、より具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0226】
<(A)成分:アルカリ可溶性樹脂>
(PI−1)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた300mLフラスコ内に、ジアミンである2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(セントラル硝子社製、商品名:BIS−AP−AF、分子量:366、)を14.64g(0.04mol)、D−400(BASF社製、商品名:D−400、分子量:433)を17.32g(0.04mol)、及びBY16−871EG(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名:BY16−871EG、分子量:248.5)を2.485g(0.01mol)と、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」と略す。)80gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0227】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(以下「ODPA」と略す。)を31g(0.1mol)、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温して、ポリイミド樹脂PI−1を得た。PI−1のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)=32,000であった。また、PI−1のTgは75℃であった。
【0228】
(PI−2)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた300mLフラスコ内に、ジアミンであるBIS−AP−AFを21.96g(0.06mol)、D−400を8.66g(0.02mol)、及びBY16−871EGを2.485g(0.01mol)と、溶媒であるNMP80gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0229】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPA31g(0.1mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温して、ポリイミド樹脂PI−2を得た。PI−2のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)=31,000であった。また、PI−2のTgは95℃であった。
【0230】
(PI−3)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた300mLフラスコ内に、ジアミンであるBIS−AP−AFを21.96g(0.06mol)、D−400を8.66g(0.02mol)、及びBY16−871EGを3.728g(0.015mol)と、溶媒であるNMP80gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0231】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPAを27.9g(0.09mol)、及びTAA(無水トリメリット酸)5.76g(0.03mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温して、ポリイミド樹脂PI−3を得た。PI−3のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)=20,000であった。また、PI−3のTgは90℃であった。
【0232】
(PI−4)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えたフラスコ内に、ジアミンである5,5’−メチレンビス(アントラニル酸)(和歌山精化製、商品名:MBAA、分子量:286)を11.4g(0.04mol)、D−400を17.32g(0.04mol)、及びBY16−871EGを3.73g(0.015mol)と、溶媒であるNMP90gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0233】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPAを27.9g(0.09mol)、及びTAA(無水トリメリット酸)5.76g(0.03mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温し、ポリイミド樹脂PI−4を得た。PI−4のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算でMw=20,000であった。また、PI−4のTgは75℃であった。
【0234】
(PI−5)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えたフラスコ内に、ジアミンであるMBAAを14.3g(0.05mol)、D−400を12.99g(0.03mol)、及びBY16−871EGを3.73g(0.015mol)と、溶媒であるNMP90gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0235】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPAを27.9g(0.09mol)、及びTAA(無水トリメリット酸)5.76g(0.03mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温し、ポリイミド樹脂PI−5を得た。PI−5のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算でMw=21,000であった。また、PI−5のTgは90℃であった。
【0236】
(PI−6)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えたフラスコ内に、ジアミンであるMBAAを17.16g(0.06mol)、D−400を8.66g(0.02mol)、及びBY16−871EGを3.73g(0.015mol)と、溶媒であるNMP90gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0237】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPAを27.9g(0.09mol)、及びTAA(無水トリメリット酸)5.76g(0.03mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温し、ポリイミド樹脂PI−6を得た。PI−6のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算でMw=23,000であった。また、PI−6のTgは105℃であった。
【0238】
(PI−7)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えたフラスコ内に、ジアミンであるMBAAを5.72g(0.02mol)、D−400を25.98g(0.06mol)、及びBY16−871EGを2.48g(0.01mol)と、溶媒であるNMP110gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0239】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPA31g(0.1mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温し、ポリイミド樹脂PI−7を得た。PI−7のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算でMw=30,000であった。また、PI−7のTgは45℃であった。
【0240】
(PI−8)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えたフラスコ内に、ジアミンであるMBAAを5.72g(0.02mol)、D−400を12.99g(0.03mol)、BY16−871EGを2.48g(0.01mol)、及び1,4−ブタンジオール ビス(3−アミノプロピル)エーテル(東京化成製、商品名:B−12、分子量:204.31)8.17g(0.04mol)と、溶媒であるNMP110gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0241】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPA27.9g(0.09mol)、及びTAA(無水トリメリット酸)3.84g(0.02mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温し、ポリイミド樹脂PI−8を得た。PI−8のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算でMw=21,000であった。また、PI−8のTgは55℃であった。
【0242】
(PI−9)
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた300mLフラスコ内に、ジアミンであるBIS−AP−AFを7.32g(0.02mol)、D−400を12.99g(0.03mol)、B−12を6.12g(0.03mol)、及びBY16−871EGを2.485g(0.01mol)と、溶媒であるNMP80gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
【0243】
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPA31g(0.1mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温して、ポリイミド樹脂PI−9を得た。PI−9のGPC測定を行ったところ、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)=32,000であった。また、PI−9のTgは55℃であった。
【0244】
<(E)成分:エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物>
(E−1)
撹拌機、温度計、及び窒素置換装置を備えた500mLフラスコ内に、かく拌しながら液状の高純度ビスフェノールAビスグリシジルエーテルエポキシ樹脂(東都化成製、商品名:YD−825GS、エポキシ当量178g/eq)178g(1.0当量)、アクリル酸36g(0.5当量)、トリフェニルホスフィン0.5g、及びヒドロキノン0.15gを仕込み、100℃で7時間反応させ、分子内に炭素−炭素二重結合及びエポキシ基を有する化合物E−1を得た。E−1を水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定し、酸価が0.3KOHmg/g以下であることを確認した。(5%質量減少温度:300℃、エポキシ基数:約1、(メタ)アクリル基数:約1)
【0245】
<感光性接着剤組成物の調製>
上記で得られた樹脂及び他の化合物を用いて、下記表1及び表2に示す組成比(単位:質量部)にて各成分を配合し、実施例1〜11及び比較例1〜5の感光性接着剤組成物(接着剤層形成用ワニス)を得た。
【0246】
表1及び表2において、各記号は下記のものを意味する。
M−313:東亜合成社製、イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート(放射線重合性基当量:約160g/eq、5%質量減少温度:>400℃)。
YDF−870GS:東都化成社製、ビスフェノールF型ビスグリシジルエーテル(エポキシ当量:165g/eq、5%質量減少温度:270℃)。
YD−825GS:東都化成社製、ビスフェノールA型ビスグリシジルエーテル(エポキシ当量178g/eq、5%質量減少温度:270℃)。
TrisP−PA:本州化学社製、トリスフェノール化合物(α,α,α’−トリス(4−ヒドロキシフェノル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン)(5%質量減少温度:350℃)。
R−972:日本アエロジル社製、疎水性フュームドシリカ(平均粒径:約16nm)
I−819:チバ・ジャパン社製、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(5%質量減少温度:210℃、365nmでの分子吸光係数:2300ml/g・cm)。
I−OXE02:チバ・ジャパン社製、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)。
パークミルD:日油社製、ジクミルパーオキサイド(5%質量減少温度:370℃、365nmでの分子吸光係数:7700ml/g・cm)。
NMP:関東化学社製、N−メチル−2−ピロリドン。
【0247】
なお、5%質量減少温度は以下の条件で測定した。すなわち、サンプルを、示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、商品名「TG/DTA6300」)を用いて、昇温速度10℃/min、窒素フロー(400ml/分)下で5%質量減少温度を測定した。また、分子吸光係数は、サンプルの0.001質量%アセトニトリル溶液を調製し、この溶液について分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、「U−3310」(商品名))を用いて吸光度を測定して求めた。
【0248】
【表1】
【0249】
【表2】
【0250】
<接着シート>
得られた感光性接着剤組成物を、乾燥後の膜厚が40μmとなるように、それぞれ基材(剥離剤処理PETフィルム)上に塗布し、オーブン中にて80℃で20分間加熱し、続いて120℃で20分間加熱して、基材上に感光性接着剤組成物からなる接着剤層を形成した。このようにして、基材、及び基材上に形成された接着剤層を有する接着シートを得た。
【0251】
<評価試験>
上記で得られた接着シートについて、以下の評価試験を行った。
【0252】
(貼付性)
支持台上にシリコンウェハ(6インチ径、厚さ400μm)を載せ、その上に、上記接着シートを、接着剤層がシリコンウェハの裏面(支持台と反対側の面)と接するように、ロール加圧(温度100℃、線圧4kgf/cm、送り速度0.5m/分)によって積層した。基材(PETフィルム)を剥離除去した後、露出した接着剤層上に、厚み80μm、幅10mm、長さ40mmのポリイミドフィルム(宇部興産社製、商品名:ユーピレックス)を、上記と同様の条件でロール加圧して積層した。このようにして、シリコンウェハ、接着剤層、及びポリイミドフィルムからなり、これらがこの順に積層する積層体のサンプルを得た。
【0253】
得られたサンプルについて、レオメータ(東洋製機製作所社製、商品名:ストログラフE−S)を用いて、室温で90°ピール試験を行って、接着剤層とポリイミドフィルムとのピール強度を測定した。その測定結果に基づいて、ピール強度が2N/cm以上のサンプルをA、2N/cm未満のサンプルをBとして、貼付性の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
【0254】
(高温接着性)
ロール加圧の温度を80℃としたこと以外は、上記貼付性の評価試験と同様にして、シリコンウェハ上に接着シートを積層した。得られた積層体を、接着シート側から、高精度平行露光機(オーク製作所製、商品名:EXM−1172−B−∞)によって1000mJ/cm2で露光し、80℃のホットプレート上で30秒間加熱した。基材(PETフィルム)を剥離除去した後、コンベア現像機(ヤコー社製)を用いて、テトラメチルアンモニウムハイドライド(TMAH)2.38質量%溶液を現像液とし、温度26℃、スプレー圧0.18MPaの条件でスプレー現像した後、温度25℃の純水にてスプレー圧0.02MPaの条件で6分間水洗し、120℃で1分間乾燥させた。このようにして、シリコンウェハ上に、感光性接着剤組成物の硬化物からなる硬化物層を形成した。
【0255】
得られたシリコンウェハ、及び硬化物層からなる積層体を、3mm×3mmの大きさに個片化した。個片化した積層体をホットプレート上で、120℃で10分間乾燥させた後、ガラス基板(10mm×10mm×0.55mm)上に、硬化物層がガラス基板と接するようにして積層し、2kgfで加圧しながら、150℃で10秒間圧着した。このようにして、シリコンウェハ、硬化物層、及びガラス基板からなり、これらがこの順に積層する積層体のサンプルを得た。
【0256】
得られたサンプルを、オーブン中で180℃、3時間の条件で加熱し、更に、260℃の熱盤上で10秒間加熱した後、せん断接着力試験機(Dage社製、商品名:Dage−4000)を用いて接着力を測定した。測定結果を表1及び表2に示す。
【0257】
(パターン形成性)
ロール加圧の温度を80℃としたこと以外は上記高温接着性の評価試験と同様にして、シリコンウェハ上に接着シートを積層した。得られた積層体を、接着シート側から、ネガ型パターン用マスク(日立化成社製、商品名:No.G−2)を介して、上記試験と同様に露光した。次いで、上記試験と同様に、ホットプレート上で放置後、基材を除去し、現像、水洗、及び乾燥を行った。このようにして、シリコンウェハ上に、感光性接着剤組成物の接着剤パターンを形成した。
【0258】
形成された接着剤パターンを目視にて観察し、ライン幅/スペース幅=50μm/50μm以下の細線パターンが形成されていた場合をA、60μm/60μm〜400μm/400μmの細線パターンが形成されていた場合をB、パターンが形成されていなかった場合をCとして、パターン形成性の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
【0259】
(最低溶融粘度の測定)
テフロン(登録商標)シート上に実施例1〜11、及び比較例1〜5で得られた接着シートを、接着剤層をテフロン(登録商標)シート側にしてロール(温度60℃、線圧4kgf/cm、送り速度0.5m/分)で加圧することによってラミネートした。その後、高精度平行露光機(オーク製作所社製、商品名:EXM−1172)で1000mJ/cm2露光し、80℃のホットプレート上で30秒間加熱した。得られたシートを、コンベア現像機(ヤコー社製)を用いて、テトラメチルアンモニウムハイドライド(TMAH)2.38質量%溶液を現像液とし、温度26℃、スプレー圧0.18MPaの条件でスプレー現像した後、温度25℃の純水にてスプレー圧0.02MPaの条件で3分間水洗した。基材(PETフィルム)を取り除き、80℃でラミネートして厚みが約200μmとなるように積層し、10mm×10mmの大きさに切り出した。得られたサンプルの片側のテフロン(登録商標)シートを剥がし、120℃で10分間加熱し、粘弾性測定装置(レオメトリックス・サイエンティフィック・エフ・イー株式会社製、商品名:ARES)を用いて測定した。測定プレートは直径8mmの平行プレート、測定条件は昇温5℃/min、周波数1Hzに設定した。20℃〜200℃での溶融粘度の最低値を最低溶融粘度とした。結果を表1及び表2に示す。
【0260】
(熱圧着性)
ロール加圧の温度を60℃とし、上記ネガ型パターン用マスクに代えて額縁状6インチサイズマスクパターン(中空部2mm、線幅0.5mm)を用いたこと以外は、上記パターン形成性の評価試験と同様にして、シリコンウェハ上に、感光性接着剤組成物の接着剤パターンを形成した。
【0261】
ホットプレート上で、120℃で10分間乾燥させた後、形成された接着剤パターンのシリコンウェハと反対側の面上に、ガラス基板(15mm×40mm×0.55mm)を積層し、0.5MPaで加圧しながら、150℃で10分間圧着し、シリコンウェハ、接着剤パターン、及びガラス基板からなり、これらがこの順に積層する積層体のサンプルを得た。
【0262】
得られたサンプルを観察し、未接着部分(空隙)がガラス基板と接着剤パターンとの接着面積に対して20%以下であるものをA、20%を超えるものをCとして、熱圧着性の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
【0263】
(耐リフロー性)
上記熱圧着性の評価試験と同様にして、シリコンウェハ、接着剤パターン、及びガラス基板からなり、これらがこの順に積層する積層体のサンプルを得た。得られたサンプルを、オーブン中で180℃、3時間の条件で加熱した。加熱後のサンプルを、温度85℃、湿度60%の条件下で168時間処理した後、温度25℃、湿度50%の環境下に置いた後、250℃、10秒のIRリフローを行い、剥離の有無を顕微鏡(倍率:15倍)で観察した。15mm×40mm×0.55mmのガラスが圧着された部分のうち、1IC(2mm□、線幅0.5mmの額縁)以上の剥離が見られなかったものをA、剥離が見られたものをCとして、耐リフロー性の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
【0264】
(気密封止性)
上記耐リフローの評価試験と同様に、積層体のサンプルをオーブン中で180℃にて3時間加熱した。加熱後のサンプルを、温度110℃、湿度85%の条件下で48時間処理した後、温度25℃、湿度50%の環境に置き、サンプルのガラス内部の中空部が結露するか顕微鏡(倍率:15倍)で観察した。結露が見られたものをCとして、それ以外のものをAとして、気密封止性の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
【0265】
(110℃貯蔵弾性率)
支持台上にテフロン(登録商標)シートを載せ、その上に、上記接着シートを、ロール加圧(温度60℃、線圧4kgf/cm、送り速度0.5m/分)によって積層した。得られた積層体を、基材付き接着シート側から、高精度平行露光機(オーク製作所製、商品名:EXM−1172−B−∞)によって1000mJ/cm2で露光し、80℃のホットプレート上で30秒間加熱した。基材(PETフィルム)を剥離除去した後、コンベア現像機(ヤコー社製)を用いて、テトラメチルアンモニウムハイドライド(TMAH)2.38質量%溶液を現像液とし、温度26℃、スプレー圧0.18MPaの条件で1分間晒した後、温度25℃の純水にてスプレー圧0.02MPaの条件で6分間水洗した。得られたフィルムをホットプレート上で、120℃で10分間乾燥させた後、厚さが80μmとなるようにロール加圧(温度100℃、線圧4kgf/cm、送り速度0.5m/分)によって積層し、テフロン(登録商標)シート、接着剤層、及びテフロン(登録商標)シートからなる、積層体のサンプルを得た。片側のテフロン(登録商標)シートを剥離除去した後、オーブン中で180℃、3時間の条件で加熱した。加熱後のサンプルを、5mm幅の短冊状に切断し、粘弾性アナライザー(レオメトリックス社製、商品名:RSA−2)を用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hz、測定温度−50℃〜300℃の条件で測定し、110℃での貯蔵弾性率を得た。評価結果を表1及び表2に示す。
【0266】
(硬化後のTg)
上記「110℃貯蔵弾性率」の測定と同様の方法で硬化後のサンプルを作製し、測定を行ったときのtanδピーク温度をTgとした。評価結果を表1及び表2に示す。
【産業上の利用可能性】
【0267】
本発明の感光性接着剤組成物は、十分な気密封止性を有する接着剤パターンを形成できるため、高精細な半導体パッケージの製造に用いる接着剤として好適に用いられる。また、本発明のフィルム状接着剤及び接着シートは、基板、ガラス、及びシリコンウェハ等の被着体、又は支持部材上に適用したときに、液状の樹脂組成物を用いる場合よりも位置合わせ精度に優れる上に、露光によるパターン化の解像度を向上させることができ、更に、パターン形成後の基板、ガラス、及び半導体素子等の被着体との低温熱圧着性を有すると共に、熱硬化後の優れた耐熱性を有するため、半導体素子、光学素子、及び固体撮像素子等の保護の用途、微細な接着領域が求められる接着剤、並びに、やバッファーコート用途に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0268】
1…フィルム状接着剤(接着剤層)、1a…接着剤パターン、2…カバーフィルム、3…基材、4…マスク、5…複合フィルム、6…粘着剤層、7…ガラス基板、8…半導体ウェハ、9…導電層、11…開口、12、12a、12b…半導体素子(半導体チップ)、13…半導体素子搭載用支持部材(支持部材)、14、14a、14b…ワイヤ、15…封止材、16…端子、17…有効画素領域、18…回路面、20…接着剤層付半導体ウェハ、30…ダイボンディング材、32…導電性バンプ、38…レンズ、40…ダイシングテープ、42…嵌め込み用部材、50…側壁、100、110、120…接着シート、200、210、220、230…半導体装置、300…CMOSセンサ、400…半導体装置(固体撮像素子)、D…ダイシングライン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光及び現像によってパターニングされた後に被着体に対する熱圧着性を有し且つアルカリ現像が可能な感光性接着剤組成物であって、
露光後、更に加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率が10MPa以上である、感光性接着剤組成物。
【請求項2】
露光後、更に加熱硬化された後のTgが80℃以上である、請求項1に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項3】
露光後の20℃〜200℃における最低溶融粘度が30,000Pa・s以下である、請求項1又は2に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項4】
前記感光性接着剤組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)放射線重合性化合物、及び(C)光開始剤を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項5】
前記(A)アルカリ可溶性樹脂のTgが40℃〜150℃である、請求項4に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項6】
前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリイミド樹脂である、請求項4又は5に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項7】
前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、
テトラカルボン酸二無水物と、
カルボキシル基含有ジアミン及び/又はフェノール性水酸基含有ジアミンをジアミン全体の10モル%〜80モル%含有するジアミンと、
を反応させて得られるポリイミド樹脂である、請求項4〜6のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項8】
前記ジアミンが、下記一般式(8)で表される脂肪族エーテルジアミンをジアミン全体の10モル%〜80モル%含有する、請求項7に記載の感光性接着剤組成物。
【化1】
[式中、R1〜R3は、各々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、bは2〜80の整数を示す。]
【請求項9】
前記ジアミンが、下記一般式(A−1)で表されるフェノール性水酸基含有ジアミンをジアミン全体の10モル%〜80モル%含有する、請求項7又は8に記載の感光性接着剤組成物。
【化2】
[式中、R21は、単結合、又は2価の有機基を示す。]
【請求項10】
前記(B)放射線重合性化合物が、3官能以上の(メタ)アクリレートを少なくとも1種含有する、請求項4〜9のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項11】
(D)エポキシ樹脂を更に含有する、請求項4〜10のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項12】
前記(D)エポキシ樹脂が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち少なくとも1種を含有する、請求項11に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項13】
(E)エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物を更に含有する、請求項4〜12のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項14】
(F)フィラーを更に含有する、請求項4〜13のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物をフィルム状に成形することによって得られる、フィルム状接着剤。
【請求項16】
基材と、該基材上に形成された請求項15に記載のフィルム状接着剤からなる接着剤層と、を備える、接着シート。
【請求項17】
被着体上に積層された請求項15に記載のフィルム状接着剤からなる接着剤層を露光し、露光後の前記接着剤層をアルカリ現像液で現像処理することによって得られる、接着剤パターン。
【請求項18】
半導体ウェハと、
該半導体ウェハ上に積層された請求項15に記載のフィルム状接着剤からなる接着剤層と、
を備える接着剤層付半導体ウェハ。
【請求項19】
透明基板と、
該透明基板上に積層された請求項15に記載のフィルム状接着剤からなる接着剤層と、
を備える接着剤層付透明基板。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物を用いて、半導体素子同士が接着された構造、及び/又は、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とが接着された構造を有する、半導体装置。
【請求項21】
前記半導体素子搭載用支持部材が透明基板である、請求項20に記載の半導体装置。
【請求項1】
露光及び現像によってパターニングされた後に被着体に対する熱圧着性を有し且つアルカリ現像が可能な感光性接着剤組成物であって、
露光後、更に加熱硬化された後の110℃における貯蔵弾性率が10MPa以上である、感光性接着剤組成物。
【請求項2】
露光後、更に加熱硬化された後のTgが80℃以上である、請求項1に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項3】
露光後の20℃〜200℃における最低溶融粘度が30,000Pa・s以下である、請求項1又は2に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項4】
前記感光性接着剤組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)放射線重合性化合物、及び(C)光開始剤を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項5】
前記(A)アルカリ可溶性樹脂のTgが40℃〜150℃である、請求項4に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項6】
前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリイミド樹脂である、請求項4又は5に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項7】
前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、
テトラカルボン酸二無水物と、
カルボキシル基含有ジアミン及び/又はフェノール性水酸基含有ジアミンをジアミン全体の10モル%〜80モル%含有するジアミンと、
を反応させて得られるポリイミド樹脂である、請求項4〜6のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項8】
前記ジアミンが、下記一般式(8)で表される脂肪族エーテルジアミンをジアミン全体の10モル%〜80モル%含有する、請求項7に記載の感光性接着剤組成物。
【化1】
[式中、R1〜R3は、各々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、bは2〜80の整数を示す。]
【請求項9】
前記ジアミンが、下記一般式(A−1)で表されるフェノール性水酸基含有ジアミンをジアミン全体の10モル%〜80モル%含有する、請求項7又は8に記載の感光性接着剤組成物。
【化2】
[式中、R21は、単結合、又は2価の有機基を示す。]
【請求項10】
前記(B)放射線重合性化合物が、3官能以上の(メタ)アクリレートを少なくとも1種含有する、請求項4〜9のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項11】
(D)エポキシ樹脂を更に含有する、請求項4〜10のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項12】
前記(D)エポキシ樹脂が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち少なくとも1種を含有する、請求項11に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項13】
(E)エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物を更に含有する、請求項4〜12のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項14】
(F)フィラーを更に含有する、請求項4〜13のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物をフィルム状に成形することによって得られる、フィルム状接着剤。
【請求項16】
基材と、該基材上に形成された請求項15に記載のフィルム状接着剤からなる接着剤層と、を備える、接着シート。
【請求項17】
被着体上に積層された請求項15に記載のフィルム状接着剤からなる接着剤層を露光し、露光後の前記接着剤層をアルカリ現像液で現像処理することによって得られる、接着剤パターン。
【請求項18】
半導体ウェハと、
該半導体ウェハ上に積層された請求項15に記載のフィルム状接着剤からなる接着剤層と、
を備える接着剤層付半導体ウェハ。
【請求項19】
透明基板と、
該透明基板上に積層された請求項15に記載のフィルム状接着剤からなる接着剤層と、
を備える接着剤層付透明基板。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物を用いて、半導体素子同士が接着された構造、及び/又は、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とが接着された構造を有する、半導体装置。
【請求項21】
前記半導体素子搭載用支持部材が透明基板である、請求項20に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
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【図26】
【図27】
【公開番号】特開2011−116968(P2011−116968A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244033(P2010−244033)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
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