説明

積層型半導体パッケージ

【課題】高密度に相互接続した積層型半導体パッケージを提供する。
【解決手段】第1の配線基板20に第1の半導体チップ30が実装され、一方の側に第1の電極パッド23が形成された第1の半導体パッケージ10と、第2の配線基板60の他方の側に第2の電極パッド64が形成された第2の半導体パッケージ50は、半導体チップ収容孔41xと、絶縁性基材41を厚さ方向に貫通する複数の線状導体42に接合された第3の電極パッド42と、第4の電極パッド44と、を備えた接続用部材40で接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体パッケージを積層した積層型半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板に半導体チップを実装した半導体パッケージや、複数の半導体パッケージを積層した積層型半導体パッケージ(所謂POP(Package on package)構造)が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
従来の積層型半導体パッケージでは、例えば、下側の半導体パッケージに、半導体チップ搭載部の周囲に半導体チップの厚さ以上の高さを有するバンプ(はんだバンプ等)を形成して、上側の半導体パッケージと接続していた。
【0004】
又、バンプを用いない例として、樹脂封止した下側の半導体パッケージの樹脂部に下側の半導体パッケージの電極パッドを露出する貫通孔を形成し、貫通孔に低融点金属(はんだ等)を流し込んで、上側の半導体パッケージと接続する方法も行われている。これは、所謂TMV(Through mold via)と称される方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−351565号公報
【特許文献2】特開2011−29236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、下側の半導体パッケージと上側の半導体パッケージとをバンプを介して相互接続する方法では、バンプを大きくする必要がある。そのため、相互接続数(バンプの数)を増やせないか、或いは、実装面積(バンプが配置される領域の面積)を小さくできない。つまり、下側の半導体パッケージと上側の半導体パッケージとを高密度に相互接続することが困難である。
【0007】
又、所謂TMVと称される方法では、貫通孔の加工精度や低融点金属の充填性の制約から、バンプを介して相互接続する方法と同様に、下側の半導体パッケージと上側の半導体パッケージとを高密度に相互接続することが困難である。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、下側の半導体パッケージと上側の半導体パッケージとを従来よりも高密度に相互接続した積層型半導体パッケージを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本積層型半導体パッケージは、第1の配線基板の一方の側に第1の半導体チップが実装され、前記一方の側に前記第1の半導体チップと電気的に接続された第1の電極パッドが形成された第1の半導体パッケージと、第2の配線基板の他方の側に第2の電極パッドが形成された第2の半導体パッケージと、絶縁性基材を厚さ方向に貫通する半導体チップ収容孔と、前記絶縁性基材を厚さ方向に貫通する複数の線状導体と、前記絶縁性基材の一方の面に形成され、複数の前記線状導体の一端と接合された第3の電極パッドと、前記絶縁性基材の他方の面に形成され、複数の前記線状導体の他端と接合された第4の電極パッドと、を備えた接続用部材と、を有し、前記接続用部材は、前記第1の半導体チップを前記半導体チップ収容孔に収容し、前記第1の電極パッドと前記第4の電極パッドとが接合された状態で、前記第1の半導体パッケージ上に搭載され、前記第2の半導体パッケージは、前記第2の電極パッドと前記第3の電極パッドとが接合された状態で、前記接続用部材上に搭載されていることを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
開示の技術によれば、下側の半導体パッケージと上側の半導体パッケージとを従来よりも高密度に相互接続した積層型半導体パッケージを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施の形態に係る積層型半導体パッケージを例示する断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る接続用部材を例示する斜視図である。
【図3】図1のA部を拡大して例示する斜視透視図である。
【図4】第1の実施の形態に係る積層型半導体パッケージの製造工程を例示する図(その1)である。
【図5】第1の実施の形態に係る積層型半導体パッケージの製造工程を例示する図(その2)である。
【図6】第1の実施の形態に係る積層型半導体パッケージの製造工程を例示する図(その3)である。
【図7】第1の実施の形態に係る積層型半導体パッケージの製造工程を例示する図(その4)である。
【図8】第1の実施の形態の変形例1に係る積層型半導体パッケージを例示する断面図である。
【図9】第1の実施の形態の変形例1に係る接続用部材を例示する斜視図である。
【図10】第1の実施の形態の変形例1に係る接続用部材を例示する部分平面図である。
【図11】第1の実施の形態の変形例2に係る積層型半導体パッケージを例示する断面図である。
【図12】第1の実施の形態の変形例2に係る接続用部材を例示する斜視図である。
【図13】第1の実施の形態の変形例3に係る積層型半導体パッケージを例示する断面図である。
【図14】第1の実施の形態の変形例3に係る接続用部材を例示する斜視図である。
【図15】第2の実施の形態に係る積層型半導体パッケージを例示する断面図である。
【図16】第2の実施の形態に係る積層型半導体パッケージの製造工程を例示する図(その1)である。
【図17】第2の実施の形態に係る積層型半導体パッケージの製造工程を例示する図(その2)である。
【図18】第2の実施の形態に係る積層型半導体パッケージの製造工程を例示する図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0013】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る積層型半導体パッケージの構造]
まず、第1の実施の形態に係る積層型半導体パッケージの構造について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る積層型半導体パッケージを例示する断面図である。図2は、第1の実施の形態に係る接続用部材を例示する斜視図である。図3は、図1のA部を拡大して例示する斜視透視図である。但し、図2において、線状導体42の端部は省略されている。又、図3において、接合部29及び69は省略されている。
【0014】
図1〜図3において、X方向は後述する絶縁性基材41の一方の面41aと平行な方向、Y方向は一方の面41a内においてX方向に垂直な方向(紙面奥行き方向)、Z方向はX方向及びY方向に垂直な方向(絶縁性基材41の厚さ方向)をそれぞれ示している。他の図においても同様である。
【0015】
図1〜図3を参照するに、第1の実施の形態に係る積層型半導体パッケージ1は、大略すると、第1の半導体パッケージ10と、接続用部材40と、第2の半導体パッケージ50とを有する。
【0016】
第1の半導体パッケージ10は、大略すると、第1の配線基板20と、第1の半導体チップ30とを有する。第1の半導体チップ30は、第1の配線基板20の一方の側にフリップチップ実装されている。
【0017】
第1の配線基板20は、基板本体21と、電極パッド22と、電極パッド23と、電極パッド24とを有する。基板本体21は、例えば、縦(Y方向)30mm×横(X方向)30mm×厚さ(Z方向)3mm程度の大きさであり、例えば、エポキシ系の絶縁性樹脂やシリコン等から形成されている。
【0018】
基板本体21の一方の面21aには、第1の半導体チップ30との接続用の電極パッド22が例えばエリアアレイ状に形成されている。そして、基板本体21の一方の面21aの電極パッド22の周囲には、接続用部材40との接続用の電極パッド23が例えばペリフェラル状に形成されている。電極パッド23には突起電極25が形成されている。電極パッド22と電極パッド23とは、基板本体21に形成された配線パターンやビア配線等(図示せず)を介して、電気的に接続されている。
【0019】
電極パッド22の平面形状は、例えば円形であり、その場合の直径は例えば50μm程度とすることができる。電極パッド22のピッチは、例えば、100μm程度とすることができる。電極パッド23の平面形状は、例えば円形であり、その場合の直径は、例えば40〜400μm程度とすることができる。電極パッド23のピッチは、例えば、80〜800μm程度とすることができる。なお、平面形状とは、対象物を各図のZ方向から見た形状を指す(以降同様)。
【0020】
電極パッド22及び23は、それぞれ、例えば、銅(Cu)を主成分として含む材料から形成することができる。突起電極25は、例えば、円柱状であり、その場合の直径は例えば電極パッド23の直径よりも数10μm小さい程度とすることができる。突起電極25の高さは、例えば、20μm程度とすることができる。突起電極25としては、例えば、所謂銅ポスト等を用いることができる。なお、電極パッド23は、本発明に係る第1の電極パッドの代表的な一例である。
【0021】
基板本体21の他方の面21bには、他の配線基板等(図示せず)と電気的に接続される電極パッド24が例えばペリフェラル状に形成されている。電極パッド24の平面形状は、例えば円形であり、その場合の直径は例えば200μm程度とすることができる。電極パッド24のピッチは、例えば、400μm程度とすることができる。電極パッド24は、例えば、銅(Cu)を主成分として含む材料から形成することができる。
【0022】
電極パッド23と電極パッド24とは、基板本体21に形成された配線パターンやビア配線等(図示せず)を介して、電気的に接続されている。但し、電極パッド23と電極パッド24とは、必ずしも対応する位置に形成される必要はなく、例えば、電極パッド24のピッチを電極パッド23のピッチよりも広くしても構わない。つまり、基板本体21を用いてピッチ変換しても構わない。又、電極パッド23と電極パッド24とは直径が異なっていても構わない。
【0023】
第1の半導体チップ30は、例えば、シリコン等からなる半導体基板31に半導体集積回路等(図示せず)が形成されたものである。第1の半導体チップ30の回路形成面(基板本体21の一方の面21aと対向する面)には、半導体集積回路等(図示せず)と電気的に接続されている電極パッド32が、電極パッド22と対応する位置に例えばエリアアレイ状に形成されている。電極パッド32の材料や平面形状、ピッチ等は、電極パッド22と同等とすることができる。
【0024】
第1の半導体チップ30の電極パッド32は、接合部38を介して、第1の配線基板20の電極パッド22と電気的に接続されている。接合部38としては、例えば、はんだバンプ等を用いることができる。はんだバンプの材料としては、例えば、Pbを含む合金、SnとCuの合金、SnとSbの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。第1の半導体チップ30の回路形成面と第1の配線基板20の基板本体21の一方の面21aとの間には、エポキシ系の絶縁性樹脂等を主成分とするアンダーフィル樹脂39が充填されている。
【0025】
接続用部材40は、絶縁性基材41と、線状導体42と、電極パッド43と、電極パッド44とを有する。絶縁性基材41の中央部近傍には、Z方向(厚さ方向)に貫通する半導体チップ収容孔41xが形成されている。半導体チップ収容孔41xは、第1の半導体パッケージ10の第1の半導体チップ30を収容するためのスペースとなる部分である。
【0026】
絶縁性基材41には、全体に亘りZ方向(厚さ方向)に形成された多数の貫通孔41yに金属材料が充填された線状導体42が形成されている。つまり、絶縁性基材41には、厚さ方向に貫通する多数の線状導体42が形成されている。
【0027】
接続用部材40の大きさは、例えば、縦(Y方向)30mm×横(X方向)30mm×厚さ(Z方向)50〜120μm程度とすることができる。半導体チップ収容孔41xの大きさは、例えば、縦(Y方向)10mm×横(X方向)10mm×深さ(Z方向)50〜120μm程度とすることができる。
【0028】
絶縁性基材41としては、例えばアルミナ(酸化アルミニウム)、ムライト、窒化アルミニウム、ガラスセラミックス(ガラスとセラミックスの複合材料)、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタンジルコン酸鉛等の無機誘電体を主成分とする材料を用いることができる。
【0029】
線状導体42は、その一端面が絶縁性基材41の一方の面41aから露出しており、その他端面が絶縁性基材41の他方の面41bから露出している。各線状導体42は、互いに略平行に略一定間隔で絶縁性基材41の略全面に亘って形成されている。線状導体42の平面形状は、例えば円形や六角形等とすることができる。線状導体42の平面形状が円形である場合の直径は、例えば、30nm〜2000nm程度とすることができる。
【0030】
又、線状導体42は、隣接する線状導体42の間隔が線状導体42の直径よりも小さくなる程度に密に形成されていることが好ましい。但し、線状導体42の配置形態については、特に限定されず、例えばヘキサゴナル状に配置されていてもよいし、グリッド状に配置されていてもよい。
【0031】
各線状導体42は、絶縁性基材41の一方の面41aに形成された導体と他方の面41bに形成された導体とを接続するビアとしての機能を有する。但し、線状導体42の一部は導体には接続されず、電気的に孤立(フローティング)した状態であっても構わない。線状導体12を形成する金属材料としては、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等を用いることができる。
【0032】
絶縁性基材41の一方の面41aには、電極パッド43が例えばペリフェラル状に形成されている。絶縁性基材41の他方の面41bには、電極パッド44が電極パッド43に対応する位置(Z方向から見て略重複する位置)に形成されている。電極パッド43は、複数の線状導体42の一端と接合されており、電極パッド44は、複数の線状導体42の他端と接合されている。つまり、電極パッド43と電極パッド44とは、複数の線状導体42を介して、電気的に接続されている(図3参照)。
【0033】
電極パッド43は、接合部69を介して、第2の半導体パッケージ50の突起電極65と電気的に接続されている。電極パッド44は、接合部29を介して、第1の半導体パッケージ10の突起電極25と電気的に接続されている。接合部29及び69としては、例えば、はんだペースト等を用いることができる。はんだペーストの材料としては、例えば、Pbを含む合金、SnとCuの合金、SnとSbの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0034】
電極パッド43及び44のそれぞれの平面形状は、例えば円形であり、その場合の直径は例えばそれぞれ40〜400μm程度とすることができる。電極パッド43及び44のそれぞれのピッチは、電極パッド64及び23のそれぞれのピッチに対応しており、例えば、80〜800μm程度とすることができる。
【0035】
電極パッド43及び44は、それぞれ、例えば、銅(Cu)を主成分として含む材料から形成することができる。電極パッド43及び44は、それぞれ、複数層から形成されても構わない。電極パッド43及び44の厚さは、それぞれ、例えば、20μm程度とすることができる。なお、電極パッド43は、本発明に係る第3の電極パッドの代表的な一例であり、電極パッド44は、本発明に係る第4の電極パッドの代表的な一例である。
【0036】
第2の半導体パッケージ50は、大略すると、第2の配線基板60と、第2の半導体チップ70とを有する。第2の半導体チップ70は、第2の配線基板60の一方の側にフリップチップ実装されている。なお、第2の配線基板60及び第2の半導体チップ70の各構成要素の材料や形状等は第1の配線基板20及び第1の半導体チップ30に準ずるため、共通する部分についての説明は省略する場合がある。
【0037】
第2の配線基板60は、基板本体61と、電極パッド62と、電極パッド63と、電極パッド64とを有する。基板本体61の一方の面61aには、第2の半導体チップ70との接続用の電極パッド62が例えばエリアアレイ状に形成されている。そして、基板本体61の一方の面61aの電極パッド62の周囲には、他の配線基板等(図示せず)との接続用の電極パッド63が例えばペリフェラル状に形成されている。電極パッド62と電極パッド63とは、基板本体61に形成された配線パターンやビア配線等(図示せず)を介して、電気的に接続されている。
【0038】
基板本体61の他方の面61bには、接続用部材40と電気的に接続される電極パッド64が例えばペリフェラル状に形成されている。電極パッド64には突起電極65が形成されている。電極パッド63と電極パッド64とは、基板本体61に形成された配線パターンやビア配線等(図示せず)を介して、電気的に接続されている。但し、電極パッド63と電極パッド64とは、必ずしも対応する位置に形成される必要はない。又、電極パッド63と電極パッド64とは直径が異なっていても構わない。なお、電極パッド64は、本発明に係る第2の電極パッドの代表的な一例である。
【0039】
第2の半導体チップ70の回路形成面(基板本体61の一方の面61aと対向する面)には、半導体集積回路等(図示せず)と電気的に接続されている電極パッド72が、電極パッド62と対応する位置に例えばエリアアレイ状に形成されている。第2の半導体チップ70の電極パッド72は、接合部78を介して、第2の配線基板60の電極パッド62と電気的に接続されている。第2の半導体チップ70の回路形成面と第2の配線基板60の基板本体61の一方の面61aとの間には、エポキシ系の絶縁性樹脂等を主成分とするアンダーフィル樹脂79が充填されている。
【0040】
このように、積層型半導体パッケージ1において、接続用部材40は、第1の半導体チップ30を半導体チップ収容孔41xに収容し、電極パッド23と電極パッド44とが接合された状態で、第1の半導体パッケージ10上に搭載されている。又、第2の半導体パッケージ50は、電極パッド64と電極パッド43とが接合された状態で、接続用部材40上に搭載されている。
【0041】
なお、第2の半導体パッケージ50において、第2の半導体チップ70に代えて、例えばコンデンサ等の電子部品が搭載されてもよい。このような場合も含め、本願では、接続用部材40上に搭載される部材を『第2の半導体パッケージ』と称する。
【0042】
又、突起電極25及び65は必ずしも必要ではなく、電極パッド43及び44がそれぞれ電極パッド64及び23と直接接続されていてもよい。
【0043】
[第1の実施の形態に係る積層型半導体パッケージの製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る積層型半導体パッケージの製造方法について説明する。但し、第1の半導体パッケージ10及び第2の半導体パッケージ50の製造方法は周知であるため、ここでは接続用部材40の製造方法を中心に説明する。図4〜図7は、第1の実施の形態に係る積層型半導体パッケージの製造工程を例示する図である。
【0044】
まず、図4に示す工程では、絶縁性基材41全体に亘りその厚さ方向に、多数の貫通孔41yを形成する。ここでは、アルミニウム(Al)の陽極酸化法を用いる例を説明する。最初に、例えば、縦(Y方向)30mm×横(X方向)30mm×厚さ(Z方向)50〜120μm程度の平板状のアルミニウム(Al)を準備して、一方の側を絶縁被膜し、表面を洗浄する。
【0045】
そして、平板状のアルミニウム(Al)を陽極として電解液(好適には硫酸水溶液)中に浸漬し、これに対向配置される白金(Pt)電極を陰極として通電(パルス電圧を印加)する。これにより、アルミニウム(Al)の陽極酸化膜(微小径の貫通孔41yが規則正しく形成された酸化アルミニウムの膜)である絶縁性基材41を形成できる。
【0046】
貫通孔41yは、例えば平面視円形や平面視六角形等とすることができる。平面視円形の場合の直径φは、例えば30nm〜2000nm程度とすることができる。又、貫通孔41yは、隣接する貫通孔41yの間隔Pが貫通孔41yの直径φよりも小さくなる程度に密に形成することが好ましい。なお、陽極酸化法では、電解液の種類、電圧、時間等の条件により、陽極酸化膜である絶縁性基材41の厚さ、貫通孔41yの径やピッチを調整することができる。但し、貫通孔41yの配置形態については、特に限定されず、例えばヘキサゴナル状に配置してもよいし、グリッド状に配置してもよい。
【0047】
次に、図5に示す工程では、絶縁性基材41に形成された貫通孔41yに金属材料を充填して線状導体42を形成する。線状導体42は、例えばスクリーン印刷法やインクジェット法等を用いて、例えば銀(Ag)や銅(Cu)等の導電性ペーストを貫通孔41yに充填することにより形成することができる。
【0048】
線状導体42は、以下のようにして形成してもよい。例えば金属材料として銅(Cu)を用い、絶縁性基材41の表面(貫通孔41yの内壁面を含む)に、無電解銅(Cu)めっき法によりシード層を形成する。そして、形成したシード層を給電層として利用した電解銅(Cu)めっき法により、貫通孔41yに銅(Cu)を充填することができる。又、無電解銅(Cu)めっき法のみにより、銅(Cu)を貫通孔41yに充填しても構わない。
【0049】
更に、必要に応じて機械研磨、化学機械研磨(CMP)等により両面を研磨して平坦化し、線状導体42の両端を絶縁性基材41の両面に露出させることができる。このようにして、絶縁性基材41に、厚さ方向に貫通する微小径の線状導体42を高密度に形成できる。
【0050】
次に、図6に示す工程では、絶縁性基材41の一方の面41aに電極パッド43を例えばペリフェラル状に形成し、絶縁性基材41の他方の面41bに電極パッド44を例えばペリフェラル状に形成する。但し、電極パッド43と電極パッド44とは、対応する位置(Z方向から見て略重複する位置)に形成する。
【0051】
具体的には、まず、例えばスパッタ法や無電解めっき法等により、絶縁性基材41の一方の面41a全面及び他方の面41b全面に、それぞれ、例えばチタン(Ti)層と銅(Cu)層を順次積層したTi/Cu層(図示せず)を形成する。それぞれのTi/Cu層の厚さは、例えば1μm程度とすることができる。
【0052】
次に、絶縁性基材41の一方の面41a全面に形成されたTi/Cu層上に電極パッド43を形成したい部分を露出するレジスト層(図示せず)を形成する。又、絶縁性基材41の他方の面41b全面に形成されたTi/Cu層上に電極パッド44を形成したい部分を露出するレジスト層(図示せず)を形成する。
【0053】
そして、それぞれのTi/Cu層を給電層とする電解めっき法により、それぞれのレジスト層内に露出するTi/Cu層上に例えば銅(Cu)層を形成する。銅(Cu)層の厚さは、例えば20μm程度とすることができる。そして、それぞれのレジスト層を除去後、銅(Cu)層に覆われていない部分のTi/Cu層をエッチングにより除去する。
【0054】
これにより、絶縁性基材41の一方の面41aに、Ti/Cu層に更に銅(Cu)層が積層された電極パッド43が形成され、他方の面41bに、Ti/Cu層に更に銅(Cu)層が積層された電極パッド44が形成される。
【0055】
なお、この工程の後に、絶縁性基材41の一方の面41aに、電極パッド43の表面(接合部69と接する面)のみを露出する絶縁層(ソルダーレジスト層)を形成してもよい。又、絶縁性基材41の他方の面41bに、電極パッド44の表面(接合部29と接する面)のみを露出する絶縁層(ソルダーレジスト層)を形成してもよい。これにより、後述の図7に示す工程の後、接合部69や接合部29が線状導体42の端面と短絡することを防止できる。
【0056】
次に、図7に示す工程では、絶縁性基材41の中央部近傍(電極パッド43及び44よりも内側の部分)に、Z方向(厚さ方向)に貫通する半導体チップ収容孔41xを形成する。半導体チップ収容孔41xは、例えば、COレーザ等を用いたレーザ加工法等により形成できる。これにより、接続用部材40が完成する。
【0057】
図7に示す工程の後、接続用部材40の電極パッド43又は第2の半導体パッケージ50の突起電極65に接合部69となるはんだペースト等を塗布して、電極パッド43と突起電極65とをはんだペースト等を介して対向配置する。又、接続用部材40の電極パッド44又は第1の半導体パッケージ10の突起電極25に接合部29となるはんだペースト等を塗布して、電極パッド44と突起電極25とをはんだペースト等を介して対向配置する。
【0058】
そして、リフロー等によりはんだペースト等を加熱して溶融させ、その後硬化させて、接合部69及び29を形成する。これにより、図1等に示す積層型半導体パッケージ1が完成する。
【0059】
なお、絶縁性基材41として、アルミナ(陽極酸化膜ではない)、ムライト、窒化アルミニウム、ガラスセラミックス(ガラスとセラミックスの複合材料)、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタンジルコン酸鉛等の無機誘電体を主成分とする材料を用いてもよい。
【0060】
この場合には、図4に示す工程において、これらのグリーンシートを準備し、準備したグリーンシートにドリル加工等により貫通孔41yを形成する。そして、図5に示す工程で、絶縁性基材41に形成された貫通孔41yに銅ペースト等の金属材料を充填して線状導体42を形成することができる。図6以降の工程については、上記説明の通りである。但し、この場合には、線状導体42の直径及びピッチは、数μm程度となる。
【0061】
このように、第1の実施の形態に係る積層型半導体パッケージ1では、第1の半導体パッケージ10と、第2の半導体パッケージ50とを、第1の半導体パッケージ10と第2の半導体パッケージ50とに挟持された接続用部材40を介して接続している。
【0062】
そして、接続用部材40には、半導体チップ収容孔41xが形成されている。又、接続用部材40には、第1の半導体パッケージ10の電極パッド23及び第2の半導体パッケージ50の電極パッド64の位置やピッチに対応した上下接続部(電極パッド43及び44,並びにこれらを接続する複数の線状導体42)が形成されている。
【0063】
そのため、第1の半導体パッケージ10の第1の半導体チップ30を半導体チップ収容孔41xに収容した状態で、第1の半導体パッケージ10の電極パッド23と第2の半導体パッケージ50の電極パッド64とを接続用部材40の上下接続部を介して接続できる。
【0064】
その結果、第1の半導体パッケージ10と第2の半導体パッケージ50とを大きなはんだバンプを用いて接続したり、所謂TMVと称される方法を用いて接続したりする従来の方法に比べ、接続ピッチを狭くすることが可能となる。
【0065】
なお、第1の半導体パッケージ10と第2の半導体パッケージ50とを大きなはんだバンプを用いて接続したり、所謂TMVと称される方法を用いて接続したりする従来の方法では、接続ピッチを0.4mm以下とすることは困難である。一方、本実施の形態に係る接続用部材40では、上下接続部の複数の線状導体42は陽極酸化法等により狭ピッチに形成でき、電極パッド43及び44はセミアディティブ法等により狭ピッチに形成できる。その結果、本実施の形態に係る接続用部材40では、上下接続部のピッチを80μm程度まで狭くすることが可能である。
【0066】
すなわち、第1の半導体パッケージ10の電極パッド23と第2の半導体パッケージ50の電極パッド64が0.4mm以下に狭ピッチ化された場合、はんだバンプを用いた方法や所謂TMVと称される方法では、相互接続が困難となる。本実施の形態に係る接続用部材40を用いることにより、このような場合でも、第1の半導体パッケージ10と第1の半導体パッケージ50とを相互接続することが可能となり、容易に積層型半導体パッケージ(所謂POP構造)を実現できる。
【0067】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、絶縁性基材の一方の面及び他方の面に、各電極パッドを配置する開口部を有する接地用ベタ配線を設け、擬似同軸構造を実現した接続用部材の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0068】
図8は、第1の実施の形態の変形例1に係る積層型半導体パッケージを例示する断面図である。図9は、第1の実施の形態の変形例1に係る接続用部材を例示する斜視図である。図10は、第1の実施の形態の変形例1に係る接続用部材を例示する部分平面図である。但し、図9において、線状導体42の端部は省略されている。図8〜図10を参照するに、第1の実施の形態の変形例1に係る積層型半導体パッケージ1Aは、接続用部材40が接続用部材40Aに置換された点が、積層型半導体パッケージ1(図1及び図2参照)と相違する。
【0069】
接続用部材40Aにおいて、絶縁性基材41の一方の面41aには、電極パッド43及び接地用ベタ配線45が形成されている。接地用ベタ配線45には、平面形状が略円形の多数の開口部45xが縦横に配列されている。そして、接地用ベタ配線45の各開口部45x内には、平面形状が略円形の電極パッド43が、接地用ベタ配線45と接触していない状態で配置されている。但し、開口部45xと電極パッド43が接触しなければ、それぞれの平面形状は略円形でなくても構わない。なお、接地用ベタ配線45は、本発明に係る第1のベタ配線の代表的な一例であり、開口部45xは、本発明に係る第1の開口部の代表的な一例である。
【0070】
同様に、絶縁性基材41の他方の面41bには、電極パッド44及び接地用ベタ配線46が形成されている。接地用ベタ配線46には、平面形状が略円形の多数の開口部46xが縦横に配列されている。そして、接地用ベタ配線46の各開口部46x内には、平面形状が略円形の電極パッド44が、接地用ベタ配線46と接触していない状態で配置されている。但し、開口部46xと電極パッド44が接触しなければ、それぞれの平面形状は略円形でなくても構わない。なお、接地用ベタ配線46は、本発明に係る第2のベタ配線の代表的な一例であり、開口部46xは、本発明に係る第2の開口部の代表的な一例である。
【0071】
接地用ベタ配線45と接地用ベタ配線46とは対応する位置(Z方向から見て略重複する位置)に形成されており、複数の線状導体42を介して、電気的に接続されている。各電極パッド43及び44には、第1の半導体パッケージ10や50と接続される信号配線や電源配線等が割り当てられている。
【0072】
接地用ベタ配線45は、接合部69、突起電極65、及び電極パッド64を介して、第2の半導体パッケージ50の接地配線(GND配線)に接続されている。接地用ベタ配線46は、接合部29、突起電極25、及び電極パッド23を介して、第1の半導体パッケージ10の接地配線(GND配線)に接続されている。
【0073】
このように、電極パッド43及び44並びにそれらを接続する複数の線状導体42の周囲には、それぞれ所定の間隔を空けて接地用ベタ配線45及び46並びにそれらを接続する複数の線状導体42が配置されている。すなわち、電極パッド43及び44並びにそれらを接続する複数の線状導体42と、周囲に位置する接地用ベタ配線45及び46並びにそれらを接続する複数の線状導体42により、同軸線路と同等の構造となる。その結果、電極パッド43及び44並びに電極パッド43及び44を接続する複数の線状導体42に対する外部からのノイズをシールド(遮蔽)する効果を奏する。
【0074】
又、隣接して配置される電極パッド43及び44並びにそれらを接続する複数の線状導体42間には、接地用ベタ配線45及び46並びにそれらを接続する複数の線状導体12が配置されている。そのため、隣接して配置される電極パッド43及び44並びにそれらを接続する複数の線状導体42間に生じる電気的結合(容量結合)を低減することが可能となる。その結果、電極パッド43及び44並びにそれらを接続する複数の線状導体42自体がノイズ源となることを防止できる。
【0075】
又、絶縁性基材41の一方の面41a及び他方の面41bに、それぞれ、面積の広い接地用ベタ配線45及び46を設けることにより、積層型半導体パッケージ1で発生する熱を接地用ベタ配線45及び46で均一化すると共に、外部に放熱することができる。その結果、積層型半導体パッケージ1の所定の部分のみが高温化して変形する等の問題を防止できる。
【0076】
又、絶縁性基材41の一方の面41a及び他方の面41bに、それぞれ、面積の広い接地用ベタ配線45及び46を設けることにより、接続用部材40Aの機械的強度を向上できる。その結果、積層型半導体パッケージ1の製造工程において、接続用部材40Aを単体で取り扱う際の作業を容易にできる。換言すれば、接続用部材40Aを単体で取り扱う際に、接続用部材40Aを破壊等する虞を低減できる。
【0077】
なお、接地用ベタ配線45及び46を、それぞれ電源用ベタ配線に代えてもよい。接地用ベタ配線も電源用ベタ配線も交流的には同電位であるため、上記と同様の効果を奏する。この場合には、絶縁性基材41の一方の面41a側の電源用ベタ配線は、接合部69、突起電極65、及び電極パッド64を介して、第2の半導体パッケージ50の電源配線に接続される。又、絶縁性基材41の他方の面41b側の電源用ベタ配線は、接合部29、突起電極25、及び電極パッド23を介して、第1の半導体パッケージ10の電源配線に接続される。各電極パッド43及び44には、第1の半導体パッケージ10や50と接続される信号配線やGND配線等が割り当てられる。
【0078】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2は、変形例1に示した擬似同軸構造の変形例である。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0079】
図11は、第1の実施の形態の変形例2に係る積層型半導体パッケージを例示する断面図である。図12は、第1の実施の形態の変形例2に係る接続用部材を例示する斜視図である。但し、図12において、線状導体42の端部は省略されている。図11及び図12を参照するに、第1の実施の形態の変形例2に係る積層型半導体パッケージ1Bは、接続用部材40Aが接続用部材40Bに置換された点が、積層型半導体パッケージ1A(図8〜図10参照)と相違する。
【0080】
接続用部材40Bにおいて、絶縁性基材41の一方の面41aには、電極パッド43、接地用ベタ配線45A及び45Bが形成されている。接地用ベタ配線45A及び45Bは、接続用部材40Aの接地用ベタ配線45(図9等参照)を2つの系統に分割したものであり、両者は接続用部材40B内では電気的に接続されていない。接地用ベタ配線45A及び45Bの各開口部45x内には、それぞれ平面形状が円形の電極パッド43が、接地用ベタ配線45A及び45Bと接触していない状態で配置されている。なお、接地用ベタ配線45A及び45Bは、本発明に係る第1のベタ配線(互いに電気的に独立した複数のベタ配線)の代表的な一例である。
【0081】
同様に、絶縁性基材41の他方の面41bには、電極パッド44、接地用ベタ配線46A及び46Bが形成されている。接地用ベタ配線46A及び46Bは、接続用部材40Aの接地用ベタ配線46を2つの系統に分割したものであり、両者は接続用部材40B内では電気的に接続されていない。接地用ベタ配線46A及び46Bの各開口部46x内には、それぞれ平面形状が円形の電極パッド44が、接地用ベタ配線46A及び46Bと接触していない状態で配置されている。なお、接地用ベタ配線46A及び46Bは、本発明に係る第2のベタ配線(互いに電気的に独立した複数のベタ配線)の代表的な一例である。
【0082】
接地用ベタ配線45Aと接地用ベタ配線46Aとは対応する位置(Z方向から見て略重複する位置)に形成されており、複数の線状導体42を介して、電気的に接続されている。接地用ベタ配線45Bと接地用ベタ配線46Bとは対応する位置(Z方向から見て略重複する位置)に形成されており、複数の線状導体42を介して、電気的に接続されている。
【0083】
接地用ベタ配線45Aは、接合部69、突起電極65、及び電極パッド64を介して、第2の半導体パッケージ50の第1系統の接地配線(例えば、小電流用のGND配線)に接続されている。接地用ベタ配線45Bは、接合部69、突起電極65、及び電極パッド64を介して、第2の半導体パッケージ50の第2系統の接地配線(例えば、大電流用のGND配線)に接続されている。第1系統の接地配線と第2系統の接地配線とは、第2の半導体パッケージ50内で接続されていてもよい。
【0084】
同様に、接地用ベタ配線46Aは、接合部29、突起電極25、及び電極パッド23を介して、第1の半導体パッケージ10の第1系統の接地配線(例えば、小電流用のGND配線)に接続されている。接地用ベタ配線46Bは、接合部29、突起電極25、及び電極パッド23を介して、第1の半導体パッケージ10の第2系統の接地配線(例えば、大電流用のGND配線)に接続されている。第1系統の接地配線と第2系統の接地配線とは、第1の半導体パッケージ10内で接続されていてもよい。
【0085】
このように、絶縁性基材の一方の面及び他方の面に形成する接地用ベタ配線を複数系統に分割しても、第1の実施の形態の変形例1と同様の効果を奏する。
【0086】
なお、必ずしも、接地用ベタ配線45B及び46Bの周囲に接地用ベタ配線45A及び46Aを設けなくてもよく、任意の2領域に設ければよい。例えば、平面視において、接続用部材40Bの左側半分に接地用ベタ配線45A及び46Aを設け、右側半分に接地用ベタ配線45B及び46Bを設けることができる。又、接地用ベタ配線を3つ以上の系統に分割してもよい。
【0087】
又、第1の実施の形態の変形例1と同様の理由により、接地用ベタ配線45A及び46A、接地用ベタ配線45B及び46Bの何れか一方又は双方を、それぞれ電源用ベタ配線に代えてもよい。例えば、接地用ベタ配線45A及び46Aはそのままとし、接地用ベタ配線45B及び46Bを電源用ベタ配線に代えることができる。
【0088】
又、接地用ベタ配線(又は、それらに代わる電源用ベタ配線)は、絶縁性基材41の一方の面41a及び他方の面41bの一部の領域のみに設けてもよい。例えば、絶縁性基材41の一方の面41a及び他方の面41bのそれぞれの外縁部のみに、接地用ベタ配線45A及び46A(又は、それらに代わる電源用ベタ配線)を額縁状に設けることができる。この場合には、接地用ベタ配線45B及び46Bは設けないため、接地用ベタ配線45A及び46Aに囲まれた領域には、図2と同様に、ベタ配線で囲まれていない電極パッド43及び44が配置される。
【0089】
又、接地用ベタ配線(又は、それらに代わる電源用ベタ配線)の一部には、開口部を設けなくてもよい。例えば、図12において、接地用ベタ配線45A及び46Aには開口部45x及び46xを設けず、接地用ベタ配線45B及び46Bのみに開口部45x及び46xを設けてもよい。この場合には、接地用ベタ配線45A及び46Aが形成される領域には、電極パッド43及び44は形成されない。
【0090】
或いは、図12において、接地用ベタ配線45A及び46Aには開口部45x及び46xを設けず、接地用ベタ配線45B及び46Bを削除してもよい。この場合には、接地用ベタ配線45A及び46Aが形成される領域には、電極パッド43及び44は形成されず、接地用ベタ配線45A及び46Aに囲まれた領域には、図2と同様に、ベタ配線で囲まれていない電極パッドが43及び44配置される。
【0091】
これらの場合には、開口部45x及び46xが設けられていない接地用ベタ配線45A及び46A並びにそれらを接続する複数の線状導体42により、接地用ベタ配線45A及び46Aに囲まれた領域へのノイズをシールド(遮蔽)する効果が得られる。
【0092】
このように、接地用ベタ配線(又は、それらに代わる電源用ベタ配線)を形成する領域や開口部の有無等は、要求する仕様に対応させて任意に決定することができる。
【0093】
〈第1の実施の形態の変形例3〉
第1の実施の形態の変形例3では、絶縁性基材の一方の面及び他方の面の電極パッド上に突起電極を設ける例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例3において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0094】
図13は、第1の実施の形態の変形例3に係る積層型半導体パッケージを例示する断面図である。図14は、第1の実施の形態の変形例3に係る接続用部材を例示する斜視図である。但し、図14において、線状導体42の端部は省略されている。図13及び図14を参照するに、第1の実施の形態の変形例3に係る積層型半導体パッケージ1Cは、接続用部材40が接続用部材40Cに置換された点が、積層型半導体パッケージ1(図1及び図2参照)と相違する。接続用部材40Cにおいて、電極パッド43上には突起電極48が形成され、電極パッド44上には突起電極49が形成されている。
【0095】
又、第1の半導体パッケージ10の電極パッド23上に突起電極25は設けられていなく、第2の半導体パッケージ50の電極パッド64上に突起電極65は設けられていない。接続用部材40Cの突起電極48と第2の半導体パッケージ50の電極パッド64とは、接合部69を介して、電気的に接続されている。接続用部材40Cの突起電極49と第1の半導体パッケージ10の電極パッド23とは、接合部29を介して、電気的に接続されている。
【0096】
このように、突起電極を接続用部材側に設けることにより、第1の実施の形態の効果に加えて、更に、以下の効果を奏する。すなわち、接続用部材と接続する半導体パッケージとして、所謂LGA(Land Grid Array)タイプのパッケージを選択することができる。
【0097】
〈第2の実施の形態〉
[第2の実施の形態に係る積層型半導体パッケージの構造]
まず、第2の実施の形態に係る積層型半導体パッケージの構造について説明する。第1の実施の形態では、接続用部材の絶縁性基材として無機材料を用いる例を示したが、第2の実施の形態では、接続用部材の絶縁性基材として有機材料を用いる例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0098】
図15は、第2の実施の形態に係る積層型半導体パッケージを例示する断面図である。図15を参照するに、第2の実施の形態に係る積層型半導体パッケージ1Dは、接続用部材40が接続用部材40Dに置換された点が、積層型半導体パッケージ1(図1及び図2参照)と相違する。
【0099】
接続用部材40Dにおいて、絶縁性基材41Aは有機材料から形成されている。絶縁性基材41Aは、第1の半導体パッケージ10の第1の配線基板20及び第2の半導体パッケージ50の第2の配線基板60よりもヤング率が小さい材料(低弾性率材料)を用いることが好ましい。
【0100】
第1の配線基板20及び第2の配線基板60のヤング率は20000MPa〜30000MPa程度であるから、絶縁性基材41Aのヤング率は、1Pa〜300MPa程度とすることが好ましい。絶縁性基材41Aのヤング率を第1の配線基板20及び第2の配線基板60のヤング率よりも小さくすることにより、積層型半導体パッケージ1Dに熱が加わった際に絶縁性基材41Aが変形する。そのため、接続用部材40Dと第1の半導体パッケージ10及び第2の半導体パッケージ50とのそれぞれの接合部に加わる熱応力を緩和できる。
【0101】
絶縁性基材41Aの具体的な材料としては、例えば、フィラー無しであって平均分子長が線状導体42の間隔よりも小さいエポキシ系の絶縁性樹脂(熱硬化型樹脂)を用いることができる。又、絶縁性基材41Aの材料として、シリコーンゴムを用いても構わない。これらの材料を用いることにより、絶縁性基材41Aのヤング率を1Pa〜300MPa程度とすることができる。
【0102】
[第2の実施の形態に係る積層型半導体パッケージの製造方法]
次に、第2の実施の形態に係る積層型半導体パッケージの製造方法について説明する。但し、第1の半導体パッケージ10及び第2の半導体パッケージ50の製造方法は周知であるため、ここでは接続用部材40Dの製造方法を中心に説明する。図16〜図18は、第2の実施の形態に係る積層型半導体パッケージの製造工程を例示する図である。
【0103】
まず、第1の実施の形態の図4及び図5と同様の工程により、多数の貫通孔41yに金属材料が充填された線状導体42を有する絶縁性基材41を形成する。
【0104】
次に、図16に示す工程では、絶縁性基材41の一方の面41aに保護層91を形成し、絶縁性基材41の他方の面41bに保護層92を形成する。保護層91及び92の材料としては、それぞれ例えば、銅(Cu)やニッケル(Ni)等の金属を用いることができる。保護層91及び92は、それぞれ、例えば、スパッタ法やめっき法等で形成できる。保護層91及び92の厚さは、それぞれ、例えば、1〜10μm程度とすることができる。なお、保護層91及び92は、線状導体42を保護するための層であり、所定の工程が終了後に除去される。
【0105】
次に、図17に示す工程では、図16に示す構造体から絶縁性基材41のみを除去して、複数の線状導体42の間に間隙41zを形成する。図16に示す構造体から絶縁性基材41のみを除去するには、例えば、50〜60℃の水酸化ナトリウム水溶液中に図16に示す構造体を所定時間浸漬すればよい。これにより、酸化アルミニウムからなる絶縁性基材41のみがエッチングされて除去される。
【0106】
なお、一般に、アルミニウム(Al)が陽極酸化して形成された酸化アルミニウムの結晶は、アルミナ(Al)であることが知られている。アルミナ(Al)は耐久性に優れ、酸やアルカリにも強い。しかしながら、本実施の形態では、絶縁性基材41を完全なアルミナ(Al)ではなく、ベーマイトの状態で形成している。このため、絶縁性基材41はアルカリに弱く、水酸化ナトリウム水溶液によって容易にエッチングすることができる。
【0107】
次に、図18に示す工程では、図17に示す間隙41zに未硬化の有機材料を充填して絶縁性基材41Aを形成し、その後、硬化温度以上に加熱して硬化させる。これにより、絶縁性基材41Aの貫通孔41y内に線状導体42が形成された形態となる。絶縁性基材41Aを形成する有機材料としては、例えば、フィラー無しであって平均分子長が線状導体42の間隔よりも小さいエポキシ系の絶縁性樹脂(熱硬化型樹脂)やシリコーンゴム等を用いることができる。硬化後の絶縁性基材41Aのヤング率は、1Pa〜300MPa程度とすることが好ましい。
【0108】
絶縁性基材41Aを硬化させた後、保護層91及び92を除去する。保護層91及び92が例えば銅(Cu)である場合は、塩化第二銅をエッチング液として用い、時間調整することにより、保護層91及び92を除去できる。これにより、厚さ方向に貫通する複数の線状導体42が設けられた絶縁性基材41Aが完成する。各線状導体42の両端面は、それぞれ、絶縁性基材41Aの一方の面41a及び他方の面41bから露出する。
【0109】
次に、第1の実施の形態の図6及び図7と同様の工程を実行することにより、接続用部材40Dが完成する。その後、接続用部材40Dの電極パッド43又は第2の半導体パッケージ50の突起電極65に接合部69となるはんだペースト等を塗布して、電極パッド43と突起電極65とをはんだペースト等を介して対向配置する。又、接続用部材40Dの電極パッド44又は第1の半導体パッケージ10の突起電極25に接合部29となるはんだペースト等を塗布して、電極パッド44と突起電極25とをはんだペースト等を介して対向配置する。そして、リフロー等によりはんだペースト等を加熱して溶融させ、その後硬化させて、接合部69及び29を形成することにより、図15に示す積層型半導体パッケージ1Dが完成する。
【0110】
このように、接続用部材の絶縁性基材として無機材料に代えて有機材料を用いることにより、第1の実施の形態の効果に加えて、更に、以下の効果を奏する。すなわち、絶縁性基材のヤング率を各半導体パッケージの配線基板のヤング率よりも小さくすることにより、積層型半導体パッケージに熱が加わった際に絶縁性基材が変形する。そのため、接続用部材と第1の半導体パッケージ及び第2の半導体パッケージとのそれぞれの接合部に加わる熱応力を緩和できる。
【0111】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0112】
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、接続用部材に1つの半導体チップ収容孔を設ける例を示した。しかし、接続用部材を複数の半導体チップが実装された半導体パッケージに適用する場合には、複数の半導体チップに対応する複数の半導体チップ収容孔を設けることができる。
【0113】
又、各実施の形態及びその変形例において、第2の半導体パッケージ上に更に接続用部材を搭載し、その上に第3の半導体パッケージを搭載してもよい。すなわち、複数の接続用部材を用いることにより、3つ以上の半導体パッケージがそれぞれ接続用部材を介して接続された積層型半導体パッケージを実現できる。
【0114】
又、各実施の形態及びその変形例は、適宜組み合わせることができる。例えば、第2の実施の形態に係る接続用部材を、第1の実施の形態の変形例1〜3と同様に変形してもよい。
【符号の説明】
【0115】
1、1A、1B、1C、1D 積層型半導体パッケージ
10 第1の半導体パッケージ
20 第1の配線基板
21、61 基板本体
21a 基板本体21の一方の面
21b 基板本体21の他方の面
22、23、24、32、43、44、62、63、64、72 電極パッド
25、48、49、65 突起電極
29、38、69、78 接合部
30 第1の半導体チップ
31 半導体基板
39、79 アンダーフィル樹脂
40、40A、40B、40C、40D 接続用部材
41、41A 絶縁性基材
41a 絶縁性基材41の一方の面
41b 絶縁性基材41の他方の面
41x 半導体チップ収容孔
41y 貫通孔
41z 間隙
42 線状導体
45、45A、45B、46、46A、46B 接地用ベタ配線
45x、46x 開口部
50 第2の半導体パッケージ
60 第2の配線基板
61a 基板本体61の一方の面
61b 基板本体61の他方の面
70 第2の半導体チップ
91、92 保護層
P 間隔
φ 直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の配線基板の一方の側に第1の半導体チップが実装され、前記一方の側に前記第1の半導体チップと電気的に接続された第1の電極パッドが形成された第1の半導体パッケージと、
第2の配線基板の他方の側に第2の電極パッドが形成された第2の半導体パッケージと、
絶縁性基材を厚さ方向に貫通する半導体チップ収容孔と、前記絶縁性基材を厚さ方向に貫通する複数の線状導体と、前記絶縁性基材の一方の面に形成され、複数の前記線状導体の一端と接合された第3の電極パッドと、前記絶縁性基材の他方の面に形成され、複数の前記線状導体の他端と接合された第4の電極パッドと、を備えた接続用部材と、を有し、
前記接続用部材は、前記第1の半導体チップを前記半導体チップ収容孔に収容し、前記第1の電極パッドと前記第4の電極パッドとが接合された状態で、前記第1の半導体パッケージ上に搭載され、
前記第2の半導体パッケージは、前記第2の電極パッドと前記第3の電極パッドとが接合された状態で、前記接続用部材上に搭載されている積層型半導体パッケージ。
【請求項2】
前記接続用部材は、
前記絶縁性基材の一方の面に設けられた、第1の開口部を有する第1のベタ配線と、
前記絶縁性基材の他方の面に設けられた、第2の開口部を有する第2のベタ配線と、を更に有し、
前記第1の開口部内には、前記第1のベタ配線と接触しない状態で、前記第3の電極パッドが配置されており、
前記第2の開口部内には、前記第2のベタ配線と接触しない状態で、前記第4の電極パッドが配置されており、
前記第1のベタ配線と前記第2のベタ配線とは、複数の前記線状導体を介して、電気的に接続されており、
前記第1のベタ配線及び前記第2のベタ配線は、前記第1の半導体パッケージの接地配線若しくは電源配線、又は、前記第2の半導体パッケージの接地配線若しくは電源配線と電気的に接続されている請求項1記載の積層型半導体パッケージ。
【請求項3】
前記第1のベタ配線は、互いに電気的に独立した複数のベタ配線を含み、
前記第2のベタ配線は、互いに電気的に独立した複数のベタ配線を含み、
前記第1のベタ配線に含まれる複数のベタ配線と、前記第2のベタ配線に含まれる複数のベタ配線とは、複数の前記線状導体を介して、互いに電気的に接続されている請求項2記載の積層型半導体パッケージ。
【請求項4】
前記第1のベタ配線に含まれる複数のベタ配線の一部及び前記第2のベタ配線に含まれる複数のベタ配線の一部は、前記第1の半導体パッケージの接地配線、又は、前記第2の半導体パッケージの接地配線と電気的に接続されており、
前記第1のベタ配線に含まれる複数のベタ配線の残部及び前記第2のベタ配線に含まれる複数のベタ配線の残部は、前記第1の半導体パッケージの電源配線、又は、前記第2の半導体パッケージの電源配線と電気的に接続されている請求項3記載の積層型半導体パッケージ。
【請求項5】
前記第1のベタ配線は、前記絶縁性基材の一方の面の外縁部に形成され、前記第2のベタ配線は、前記絶縁性基材の他方の面の外縁部に形成されている請求項2乃至4の何れか一項記載の積層型半導体パッケージ。
【請求項6】
前記第3の電極パッド上及び前記第4の電極パッド上には、それぞれ突起電極が形成されている請求項1乃至5の何れか一項記載の積層型半導体パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図9】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−89762(P2013−89762A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228933(P2011−228933)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】