説明

貯湯式給湯機

【課題】浴室に人が入ってきたときには素早く使用者が不快に感じない温度まで上げることの出来る貯湯式給湯機を提供すること。
【解決手段】本発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯湯する貯湯タンクと、浴室に設けられた浴室リモコンと、浴室リモコンには浴室内に人が居るかどうかを判別する人感センサー部とを備え、貯湯タンクから浴槽への湯張りを行うふろ自動運転機能を有する貯湯式給湯機であって、ふろ自動運転機能がONとなっている際に湯張りを開始すると、予め設定されている湯量よりも少ない湯量で、かつ、予め設定されている湯張り温度よりも低い温度で、浴槽内にふろ湯張りを完了し、ふろ湯張り完了後は、貯湯タンク内の高温湯を使用した保温運転は行わず、人感センサー部で浴室内に入浴したことを検出すると、浴槽へ貯湯タンクから高温のたし湯を所定量行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクを有し、貯湯タンク内の湯水を利用して風呂湯張り、風呂保温運転を行う貯湯式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の貯湯式給湯機のふろ運転は、自動湯張り機能や追いだき機能等を標準的に搭載し、現在では必要不可欠な機能となっている。特にふろ自動運転機能は、1)設定水位または設定水量まで浴槽に湯張りし、2)浴槽の湯温を設定温度まで沸上げた後、3)所定時間の保温動作を行うものである。
【0003】
前記保温動作は、水位低下を検出して自動的に浴槽へ補水(足し湯)したり、浴槽の湯温の低下を検出して自動的に沸上げする機能を所定時間(例えば4時間)継続する機能であり、ユーザーにとっては大変便利な機能である(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
従来のふろ自動運転機能の動作を簡単に説明すると、給湯機リモコン内のふろ自動運転スイッチを入り操作すると、先ず、浴槽にお湯を張るための注湯弁が開き、混合弁にてタンクの湯と給水管と混合された湯を設定水位まで浴槽へ供給する。次に設定水位までお湯はりが完了すると、注湯弁を閉じ、循環用ポンプを駆動し、浴槽内の湯を攪拌し、かつ、熱交換器にてタンクの湯水と熱交換をして浴槽温度を設定温度まで沸上げを行う。
【0005】
そして設定温度まで沸上げが終了すると、以降は所定時間(例えば4時間)の保温状態になる。この保温状態は、水位の低下を自動的に検出し、浴槽へ設定水位まで足し湯を行い、または所定時間毎に循環用ポンプを駆動し、浴槽内の湯温の低下を自動的に検出し、熱交換器にて設定温度まで沸上げを行う機能である。
【0006】
また、近年では省エネルギー性を鑑みて浴室に人を検出するセンサーを備え、前記センサーによって浴室内に人がいない時は浴槽の温度を低い温度で保温し、浴室内に人が入ったことを検知すると通常の温度で浴槽の保温運転を開始するといった給湯機もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平09−170752号公報
【特許文献2】特開2001−235222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の構成では、浴室に人がいない時も保温運転をしており、貯湯タンク内の高温湯を使用して追い焚きを行う構成であるので、家族の間で入浴の間隔が長い時間空くと、不必要に追い焚き運転を行ってしまい、貯湯タンク内の高温湯を不必要に使用してしまい、省エネ性に課題を有していた。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、浴室に人がいない時の余計な浴槽の保温熱量を使うことなく、浴室に人が入ってきたときには素早く使用者が不快に感じない温度まで上げることの出来る貯湯式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯湯する貯湯タン
クと、浴室に設けられた浴室リモコンと、浴室リモコンには浴室内に人が居るかどうかを判別する人感センサー部とを備え、貯湯タンクから浴槽への湯張りを行うふろ自動運転機能を有する貯湯式給湯機であって、ふろ自動運転機能がONとなっている際に湯張りを開始すると、予め設定されている湯量よりも少ない湯量で、かつ、予め設定されている湯張り温度よりも低い温度で、浴槽内にふろ湯張りを完了し、ふろ湯張り完了後は、貯湯タンク内の高温湯を使用した保温運転は行わず、人感センサー部で浴室内に入浴したことを検出すると、浴槽へ貯湯タンクから高温のたし湯を所定量行うことにより、浴室に人がいない時の余計な浴槽の保温熱量を使うことなく、浴室に人が入ってきたときには高温のたし湯で素早く設定温度近くまで上げることの出来るので、無駄なエネルギーを使うこともなく省エネルギーになると共に、高温のお湯をたし湯するため、浴槽の湯温を一気に使用者が不快に感じない温度まで上げることが出来るので不快感を与えることもなく、使い勝手をより良くすることが出来る。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、浴室に人がいない時の余計な浴槽の保温熱量を使うことなく、浴室に人が入ってきたときには素早く使用者が不快に感じない温度まで上げることの出来る貯湯式給湯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における貯湯式給湯機の構成図
【図2】同実施の形態1における貯湯式給湯機のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯湯する貯湯タンクと、浴室に設けられた浴室リモコンと、浴室リモコンには浴室内に人が居るかどうかを判別する人感センサー部とを備え、貯湯タンクから浴槽への湯張りを行うふろ自動運転機能を有する貯湯式給湯機であって、ふろ自動運転機能がONとなっている際に湯張りを開始すると、予め設定されている湯量よりも少ない湯量で、かつ、予め設定されている湯張り温度よりも低い温度で、浴槽内にふろ湯張りを完了し、ふろ湯張り完了後は、貯湯タンク内の高温湯を使用した保温運転は行わず、人感センサー部で浴室内に入浴したことを検出すると、浴槽へ貯湯タンクから高温のたし湯を所定量行うことにより、浴室に人がいない時の余計な浴槽の保温熱量を使うことなく、浴室に人が入ってきたときには高温のたし湯で素早く設定温度近くまで上げることの出来るので、無駄なエネルギーを使うこともなく省エネルギーになると共に、高温のお湯をたし湯するため、浴槽の湯温を一気に使用者が不快に感じない温度まで上げることが出来るので不快感を与えることもなく、使い勝手をより良くすることが出来る。
【0014】
また、使用者がリモコンでふろ自動運転をONしてから、実際に入浴のために浴室に入るまでの時間が空いた場合でも、保温動作を行わないため、無駄なエネルギーを使わないため、省エネルギーになる。湯量を少なめにお湯張りをしているため、無駄な放熱ロスも最小限に抑えることが出来るので、更に省エネルギーになると共に、ユーザが入室した場合は、高温のお湯をたし湯するため、浴槽の湯温を一気に使用者が不快に感じない温度まで上げることが出来るので不快感を与えることもなく、使い勝手をより良くすることが出来る。
【0015】
第2の発明の貯湯式給湯機は、特に第1の発明において、ふろ自動運転中は、前回の保温動作もしくは高温のたし湯を行った時間からの経過時間を計測し、人感センサー部で浴室内に人が入室したことを検出すると、計測した経過時間に応じて高温のたし湯の温度と湯量を切り替える構成としたことにより、浴室に人がいない時の余計な浴槽の保温熱量を使うことなく、浴室に人が入ってきたときには経過時間によりたし湯する温度と湯量を切り替えることができるので素早く設定温度まで上げることの出来、無駄なエネルギーを使
うこともなく省エネルギーになると共に、経過時間により高温のお湯の温度と湯量を決めてたし湯するため、浴槽の湯温を上げすぎる、あるいは設定温度まで上がらない、ということも無くなり、使用者に不快感を与えることも無く、使い勝手をより良くすることが出来る。
【0016】
第3の発明の貯湯式給湯機は、特に第1または第2の発明において、屋外の気温を検出する外気温センサーを備えており、人感センサー部で浴室内に人が入室したことを検出すると、屋外の気温に応じて高温のたし湯の温度と湯量を切り替える構成としたことにより、外気温度によって浴槽の放熱係数を計算し、高温のお湯の温度と湯量を決めて、たし湯するため、浴槽の湯温を上げすぎる、あるいは設定温度まで上がらない、ということも無くなり、使用者に不快感を与えることも無く、使い勝手をより良くすることが出来る。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における貯湯式給湯機の構成図を示すものである。図1において、10はお湯を貯湯するタンクであり、上部には給湯管11を、タンク10の下部には給水管12を有している。給水管12は上水道が接続される給水口13から、水道圧を減圧させる減圧弁14を介して接続されている。タンク10内では、比重差からお湯が上部、水が下部に分離し、タンク10内の湯水の沸き上げ時にはタンク10上部からお湯が貯湯されることで、お湯が押し下げられる形で層を形成して蓄積される。
【0019】
そして、給湯管11から給湯されると、それに伴い給水管12からタンク10内に水が給水されて、タンク10内は常に湯水で満たされた状態となる。タンク10には、下部から上部へと連結された沸き上げ配管15が接続されてあり、その沸き上げ配管15には、沸き上げポンプ16と熱源部17が介在している。
【0020】
そして、沸き上げポンプ16を駆動することで、タンク10下部の湯水を熱源部17へと供給し、熱源部17によって湯水が加熱された後、タンク10上部へと戻されることで貯湯されていく。このとき熱源部17は、ヒートポンプサイクル機構を有したヒートポンプ若しくはヒータとする。18は給湯機本体の制御部であり(図示せず)、各センサーからの入力に応じて各負荷を駆動してタンクの沸き上げを行ったり設定温度での給湯を行ったりする。
【0021】
一般的には電力会社より提供されている電力制度のうち、比較的安価な深夜電力を使って夜間のうちに貯湯タンク10に湯を貯めておくのが一般的である。しかしながら、給湯の使用量によっては貯湯されている湯の量では湯切れする場合が有り、制御部18は貯湯タンク10のサーミスタ19の温度を監視しながら昼間であっても熱源部17にてお湯を追加沸き増しをするのが一般的である。
【0022】
また、ふろ給湯混合弁23、ふろ給湯サーミスタ24、ふろ注湯弁25、浴槽22を備えており、給湯管11と給水管12の湯水をふろ給湯サーミスタ24が設定温度になるようにふろ給湯混合弁23にて混合してふろ注湯弁25から浴槽22に注湯する。
【0023】
また、ふろ循環用ポンプ26、水熱交換器27、ふろ温度サーミスタ28、熱交ポンプ29を備えており、ふろの保温動作をするときは循環用ポンプ26と熱交ポンプ29を動作させてふろ温度サーミスタ28の温度が設定温度になるまで運転する。
【0024】
そして、使用者がカラン20、シャワー21への給湯を行うとき、タンク10から給湯
管11を介して供給されたお湯と、減圧弁14で減圧され給水管12を介して供給される水を、給湯混合弁31が給湯温度が目標温度になるように駆動されて湯水のミキシングを行う。
【0025】
また、浴室28に設置された給湯機リモコン(以降浴室リモコンと呼ぶ)32を備えている。浴室リモコン32と給湯機本体の制御部18とのデータ通信を行ったりスイッチや表示の制御をするマイクロコンピュータ33(図示せず)がある。浴室リモコン32には給湯温度を変更するためのUP/DOWNスイッチやふろ自動運転の入/切操作をするためのふろ自動運転スイッチなどの操作部34がある。
【0026】
また、給湯温度やふろ自動運転中であることなど給湯機の状態を表示するための表示部35がる。そして、浴室リモコン32には、人が浴室に入ってきたことを検出するための人感センサー部36がある。
【0027】
以上のように構成された貯湯式給湯機ふろ自動運転機能について、以下その動作、作用を説明する。図2は本発明のフローチャートを示したものである。
【0028】
まず、浴室リモコン32の操作部34に配設されたふろ自動運転スイッチを入り操作すると、先ず、ふろ注湯弁25が開き、ふろ給湯混合弁23にてタンク10から給湯管11を介して供給されたお湯と、減圧弁14で減圧され給水管12を介して供給される水を、混合したお湯が浴槽22へと注湯される。
【0029】
この時、浴室リモコン32で設定されたふろ設定温度T1℃よりも一定温度T2℃だけ下げた温度α(=T1−T2)を湯張り目標温度としてふろ給湯サーミスタ24が温度αになるようにふろ給湯混合弁23にて混合された湯を注湯する。そして、浴室リモコン32で設定されているふろ設定水量L1よりも一定量L2だけ少ない水量β(=L1−L2)を目標として流量センサー30で注湯量をカウントする。そして、次に目標水量βまでお湯はりが完了すると、ふろ注湯弁25を閉じ、循環用ポンプ26を駆動し、浴槽22内の湯を攪拌し、かつ、熱交換器27にてタンク10の湯水と熱交換をして浴槽温度をお湯張り目標温度αまで加熱動作を行う。
【0030】
そして浴槽温度が目標温度αまで加熱動作が終了すると、浴室リモコン32は報知音や表示部35でお風呂が沸きあがったことを知らせる。ここで、ユーザが浴室に入ると人感センサー部36が人を検出して入浴を検出する。
【0031】
そして、制御部18はふろ設定温度よりも高温(例えば60℃)のお湯をL2相当分だけを注湯する。このように、ユーザが浴室に入室した時に設定湯量L1まで追加注湯するので、浴室リモコン32に設定した水量よりも多くなっているといった不満もない共に、高温のお湯をたし湯するので、ふろ設定温度T1付近まで一気に上昇させることができ、入浴した時の不快感を与えることもない。
【0032】
また、湯張りが完了したことを報知した後、ユーザが入浴するまで時間間隔が空いてしまっても、人感センサー36で浴室に入室するまでふろ保温動作をすることは無いので、無駄なエネルギーを使うことも無く、省エネルギー性能を良くすることが出来る。
【0033】
また、少ない水量βにてふろ湯張りをしているのでユーザが入浴するまでの間の放熱量も少なく抑えることができ省エネルギーになっている。更には、ユーザが入浴後は、通常通りのふろ保温動作を行うので非常に省エネかつ使い勝手が良い給湯機となる。
【0034】
また、入浴中のふろ保温動作やユーザが浴室に入室した時の高温たし湯からの経過時間
を制御部18にてカウントし、次にユーザが浴室に入ってきたときは、このカウントしている経過時間によって、高温たし湯の温度と湯量を計算し、ふろ設定温度に近づけるように制御することも出来る。このように制御部18にて経過時間から放熱量を計算して高温たし湯する温度と湯量を計算することで、より快適性を向上させることが出来、使い勝手を良くするものである。
【0035】
また、給湯機本体に設置された屋外の気温を検出する外気温センサー(図示せず)によって外気温度を検出し、屋外の気温に応じて、高温たし湯の温度と湯量を制御部18にて計算し、最適な浴槽の温度と湯量になるように計算し、注湯することで、より快適性と省エネ性を向上させることが出来、使い勝手をよくするものである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明にかかる貯湯式給湯機は、浴室リモコンに搭載された人感センサーを用いて不在時はふろ保温をせず、浴室に人が入ってくると高温のたし湯を行って浴槽温度を上げる構成として省エネ性と快適性を両立しているので、電気温水器やヒートポンプ給湯機等の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0037】
10 タンク
11 給湯管
12 給水管
15 沸き上げ配管
16 沸き上げポンプ
17 熱源部
18 制御部
20 カラン
21 シャワーヘッド
22 浴槽
23 ふろ混合弁
24 ふろ給湯サーミスタ
25 ふろ注湯弁
26 ふろ循環用ポンプ
27 水熱交換器
28 ふろ温度サーミスタ
29 熱交ポンプ
30 流量センサー
31 浴室
32 浴室リモコン
34 操作部
35 表示部
36 人感センサー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、浴室に設けられた浴室リモコンと、前記浴室リモコンには浴室内に人が居るかどうかを判別する人感センサー部とを備え、前記貯湯タンクから浴槽への湯張りを行うふろ自動運転機能を有する貯湯式給湯機であって、ふろ自動運転機能がONとなっている際に湯張りを開始すると、予め設定されている湯量よりも少ない湯量で、かつ、予め設定されている湯張り温度よりも低い温度で、浴槽内にふろ湯張りを完了し、ふろ湯張り完了後は、前記貯湯タンク内の高温湯を使用した保温運転は行わず、前記人感センサー部で浴室内に入浴したことを検出すると、浴槽へ貯湯タンクから高温のたし湯を所定量行うことを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項2】
ふろ自動運転中は、前回の保温動作もしくは高温のたし湯を行った時間からの経過時間を計測し、前記人感センサー部で浴室内に人が入室したことを検出すると、計測した経過時間に応じて高温のたし湯の温度と湯量を切り替える構成としたことを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯機。
【請求項3】
屋外の気温を検出する外気温センサーを備えており、前記人感センサー部で浴室内に人が入室したことを検出すると、屋外の気温に応じて高温のたし湯の温度と湯量を切り替える構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載の貯湯式給湯機。

【図1】
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【図2】
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