説明

貯湯式給湯装置

【課題】浴槽の循環口より下に残水がある場合でも、設定水位の湯張りを短時間及び正確に行うことが出来る貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】湯水を貯湯する貯湯タンク2と、該貯湯タンク2の湯を浴槽7に落とし込む湯張り管21と、前記浴槽7に接続される風呂循環回路12と、浴槽7の湯水を風呂循環回路12に循環させる風呂循環ポンプ10とを備えたものに於いて、前記貯湯タンク2内の湯を浴槽7に設定水位までの湯張りで、循環口36より下の位置に残湯がある場合、設定湯張り量の半分以上の所定量を湯張り後、初回求めた基準水位と現状水位との差から必要湯張り量を演算し、この演算結果に従って湯張りするので、湯張り時間が短いく待ち時間が短縮されるものであり、更に正確に設定水位まで湯張り出来、安心して使用出来るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貯湯タンクの貯湯温水を用いて浴槽への湯張りを行う貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の給湯装置では、自動湯張り運転で浴槽への湯張りは、浴槽の水位をみながら少量ずつ行われ、浴槽の循環口が水没する位置を基準水位として、設定水位まで湯張りされるものであった。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開平6−101904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来のものでは、少量ずつの湯張りが何回も繰り返えされるので、湯張り用のミキシング弁や開閉弁が何回も開閉し、耐久性に問題を有すると共に、湯張り完了までに時間がかかり過ぎると言う問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、この発明は上記課題を解決するため、特にその構成を、請求項1では、湯水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンクの湯を浴槽に落とし込む湯張り管と、前記浴槽に接続される風呂循環回路と、浴槽の湯水を風呂循環回路に循環させる風呂循環ポンプとを備えたものに於いて、前記貯湯タンク内の湯を浴槽に設定水位までの湯張りで、循環口より下の位置に残湯がある場合、設定湯張り量の半分以上の所定量を湯張り後、初回求めた基準水位と現状水位との差から必要湯張り量を演算し、この演算結果に従って湯張りするものである。
【0005】
又請求項2では、前記演算は、基準水位と現状水位との水位差と浴槽断面積の積より求めるものである。
更に請求項3では、前記設定湯張り量の内の所定量の湯張り後は、風呂循環ポンプを所定時間駆動させるエアパージを行うものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明の請求項1によれば、循環口より上に残湯がない場合には、一挙に設定湯張り量の半分以上を先ず湯張りして、循環口を水没させると共に、設定水位に近づけた後に残りを該設定水位にまで湯張りするので、湯張り時間が短いく待ち時間が短縮されるものであり、更に正確に設定水位まで湯張り出来、安心して使用出来るものである。
【0007】
又請求項2によれば、水位差と浴槽断面積とを掛け算するので、より正確な湯張りが行えるものであり、極めて使用勝手が良いものである。
更に請求項3によれば、最終的な水位確認前にエアパージが行われるので、精度の高い水位検知が出来、常に設定される水位までの正確な湯張りが行われるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次にこの発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
この貯湯式給湯装置は、時間帯別契約電力の電力単価が安価な深夜時間帯に湯水を沸き上げて貯湯し、この貯湯した湯水を給湯に用いるもので、1は湯水を貯湯する貯湯タンク2を備えた貯湯タンクユニット、3は貯湯タンク2内の下部に備えられ湯水を加熱する下部ヒータ、4は貯湯タンク2内の上部に備えられ湯水を加熱する上部ヒータ、この下部ヒータ3と上部ヒータ4とで加熱手段を構成しており、5は台所や洗面所等に設けられた給湯栓、6はこの貯湯式給湯装置を遠隔操作するリモコン、7は浴槽である。
【0009】
8は前記浴槽7の湯水を加熱するためのステンレス製の蛇管よりなる熱交換器で、貯湯タンク2内の上部に配置されていると共に、この熱交換器8には風呂往き管9および風呂循環ポンプ10を備えた風呂戻り管11よりなる風呂循環回路12が接続されて浴槽7の湯水が循環可能にされ、浴槽7内の湯水が貯湯タンク2内の高温水により加熱されて保温あるいは追い焚きが行われるものである。
【0010】
13は風呂戻り管11を介して熱交換器8に流入する浴槽水の温度を検出する風呂戻り温度センサ、14は熱交換器8を流出して風呂往き管9を介して浴槽7へ流れる浴槽水の温度を検出する風呂往き温度センサである。
【0011】
15は貯湯タンク2上部に連通した出湯管16からの湯と、貯湯タンク2底部に連通した給水管17から分岐された給水バイパス管18からの低温水を混合する電動ミキシング弁より構成された給湯混合弁であり、その下流の給湯管19に設けた給湯温度センサ20で検出した湯温がリモコン6でユーザーが設定した給湯設定温度になるように混合比率が制御されるものである。
【0012】
21は給湯管19から分岐されて風呂戻り管11に連通された湯張り管で、この湯張り管21には、浴槽7への湯張りの開始/停止を行う湯張り弁22と、浴槽7への湯張り量をカウントする風呂流量カウンタ23と、浴槽水が給湯管19へ逆流するのを防止する2つの逆止弁24とが設けられているものである。
【0013】
25は貯湯タンク2の上下方向に複数個配置された貯湯温度センサで、この実施形態では5つの貯湯温度センサが配置され上から25a、25b、25c、25d、25eと呼び、この貯湯温度センサ25が検出する温度情報によって、貯湯タンク2内にどれだけの熱量が残っているかを検知し、そして貯湯タンク2内の上下方向の温度分布を検知するものである。
【0014】
前記リモコン6には、給湯設定温度を設定する給湯温度設定スイッチ26、及び風呂設定温度を設定する風呂温度設定スイッチ27がそれぞれ設けられていると共に、浴槽7へ風呂設定温度の湯をリモコン6の湯張り量設定スイッチ(図示せず)で設定された湯張り量だけ湯張りし所定時間保温及び、浴槽6内の水位が所定量低下すると設定された水位まで所定温度の補水を行わせる風呂自動スイッチ28と、浴槽水を追い焚きさせる追い焚きスイッチ29が設けられているものである。
【0015】
30は貯湯タンクユニット1内の各センサの入力を受け各アクチュエータの駆動を制御するマイコンを有し制御部を構成する給湯制御部である。この給湯制御部30に前記リモコン6が無線または有線により接続されユーザーが任意の給湯設定温度および風呂設定温度を設定できるようにしているものである。
【0016】
31は風呂往き管19途中に備えられた圧力センサから成る水位センサで、設置時等予め浴槽7の丁度良い湯張り量を設定し、この湯張り量の2/3を湯張り後の水位を水位センサ31で検知し、これを基準水位として給湯制御部30に記憶し残りの1/3を湯張りして設定水位とするものである。
【0017】
32は貯湯タンク2の過圧を逃す過圧逃し弁、33は給水の圧力を減圧する減圧弁、34は給湯する湯水の量をカウントする給湯流量カウンタ、35は風呂往き管19に備えられた循環口36より上に湯水があることを検知するフローセンサ、37は給水の温度を検出する給水温度センサである。
【0018】
次にこの一実施形態の作動を説明する。
まず、深夜電力時間帯になって貯湯温度センサ25が貯湯タンク2内に翌日に必要な熱量が残っていないことを検出すると、給湯制御部30は下部ヒータ3と上部ヒータ4に対して沸き上げ開始指令を発する。指令を受けた下部ヒータ3と上部ヒータ4は通電を開始して、貯湯タンク2内の湯水を朝の所定時間までに高温に沸き上げて貯湯する。
【0019】
次に給湯運転について説明すると、給湯栓5を開くと、給水管17からの給水が貯湯タンク2内に流れ込む。そして貯湯タンク2に貯められた高温水が出湯管16を介して給湯混合弁15へ流入し、給水バイパス管18からの低温水と混合され、給湯制御部30により給湯混合弁15の混合比率が調整されて給湯設定温度の湯が給湯栓5から給湯される。そして、給湯栓5の閉止によって給湯が終了するものである。
【0020】
次に風呂の沸き上げ運転について図3のフローチャートで説明すると、リモコン5の風呂自動スイッチ28がONされると、自動運転がスタートし、先ずステップ38で浴槽7の循環口36より上に残湯があるか判断して、上に残湯なしのNOでステップ39で設定湯張り量×2/3を注湯し、ステップ40に進んで風呂循環ポンプ10をオンして、ステップ41でこの風呂循環ポンプ10の駆動が3分経過したかを判断し、YESでステップ42に進みフローセンサ35がオンかを判断し、NOの場合はステップ43で風呂の栓抜け異常となり、YESのステップ44では風呂循環ポンプ10をオフし、風呂循環回路12のエアパージを終了するものである。
【0021】
そしてステップ45に進んで水位センサ31で現在の現状水位を検知して設定水位との水位差を求め、ステップ46で予め求めておいた浴槽7が空の状態で、設定湯張り量×2/3を注湯した時の設定水位までの水位を基準水位差とし、この基準水位差より今回の水位差が小さいかを判断し、YESでは循環口36より下に残水があったと言うことで、ステップ47で今回の水位差×浴槽断面積により補水量を算出し、次にステップ48に進んでこの算出された補水量で注湯するものであり、浴槽7が空の場合のNOではステップ49に進んで残りの設定湯張り量×1/3を注湯し、ステップ48及びステップ49の次には同じくステップ50に進んで初回沸き上げし、ステップ51で自動保温運転に入るものである。
【0022】
従って、循環口36より上に残湯がない場合には、設定湯張り量の2/3を一気に注湯し、注湯後は一回のみ水位検知して湯張りするので、無駄な検知や作動がなく、湯張り時間が短くて済み待ち時間が短縮され使用勝手が良いものであり、又湯張り回路の開閉弁の耐久性も向上して長期間の使用に十分耐えられるものである。
【0023】
更に残湯がなければ残り1/3を注湯するし、残湯があれば水位差に浴槽断面積を掛けて正確に設定水位まで注湯出来、確実に設定水位の湯張りが行われるものであり、又2/3の注湯後には必ず風呂循環回路12のエアパージが行われてから、水位検知されるので、精度の良い水位検知が可能で、常に安心して使用されるものである。
【0024】
又この実施形態では、電気ヒータを加熱源とした電気温水器を例に上げて説明したが、ヒートポンプ回路を加熱源として備え深夜電力や契約電力等を利用して、貯湯するヒートポンプ式給湯機でも良いことは勿論である
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の一実施形態を示す貯湯式給湯装置の概略構成図。
【図2】同要部電気回路のブロック図。
【図3】同自動運転を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0026】
2 貯湯タンク
7 浴槽
8 熱交換器
10 風呂循環ポンプ
12 風呂循環回路
21 湯張り管
30 給湯制御部
36 循環口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンクの湯を浴槽に落とし込む湯張り管と、前記浴槽に接続される風呂循環回路と、浴槽の湯水を風呂循環回路に循環させる風呂循環ポンプとを備えたものに於いて、前記貯湯タンク内の湯を浴槽に設定水位までの湯張りで、循環口より下の位置に残湯がある場合、設定湯張り量の半分以上の所定量を湯張り後、初回求めた基準水位と現状水位との差から必要湯張り量を演算し、この演算結果に従って湯張りする事を特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記演算は、基準水位と現状水位との水位差と浴槽断面積の積より求める事を特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記設定湯張り量の内の所定量の湯張り後は、風呂循環ポンプを所定時間駆動させるエアパージを行う事を特徴とする請求項1及び2記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−10146(P2006−10146A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185856(P2004−185856)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】