説明

車両の操舵支援装置及び操舵支援方法

【課題】操舵支援トルクの急激な変化や断続的な変化を抑制することが可能な、車両の操舵支援装置及び操舵支援方法を提供する。
【解決手段】走行路における目標通過位置へ到達するまでに自車両が目標とする姿勢角及び横位置を算出する誘導状態算出部16と、誘導状態算出部16が算出した姿勢角及び横位置と、自車両の現在の姿勢角、横位置及びヨーレートに基づき、誘導経路を生成する誘導経路生成部18と、誘導経路を自車両が走行するための目標操舵角を算出する目標操舵角算出部22と、現在操舵角を検出する操舵角センサ20と、目標操舵角と現在操舵角との差分である操舵角偏差を算出する操舵角偏差算出部24と、操舵角偏差を縮小させるための操舵支援トルクを算出する操舵支援トルク算出部26と、操舵支援トルクを操舵輪へ出力する操舵支援トルク出力部32を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵操作の支援となる情報を、操舵輪を介して運転者に提供する、車両の操舵支援装置及び操舵支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自車両に最適な走行経路を走行させることを目的として、運転者に、操舵輪(ステアリングホイール)を介して、操舵操作の支援となる情報を提供する操舵支援装置がある。このような操舵支援装置としては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。
特許文献1に記載されている操舵支援装置は、現在及び将来的に予測される障害物へ接触する可能性を、障害物と自車両との間の相対運動に応じて設定することにより、障害物の回避に最適な走行経路を自車両が走行するための技術である。ここで、障害物の回避に最適な走行経路を自車両が走行するためには、操舵輪にトルクを出力する操舵制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−307951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の操舵支援装置では、例えば、狭路における走行時等、頻繁な操舵操作を行う可能性がある状況下において、操舵輪に出力する操舵支援トルクが急激に変化する可能性や断続的に変化する可能性がある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、操舵支援トルクの急激な変化や断続的な変化を抑制することが可能な、車両の操舵支援装置及び操舵支援方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、誘導経路を自車両が走行するために操舵輪の目標とする回転角度である目標操舵角を算出し、目標操舵角と操舵輪の現在の回転角度との差分である操舵角偏差を算出する。そして、操舵角偏差を縮小させるための操舵支援トルクを算出し、この算出した操舵支援トルクを操舵輪へ出力する。ここで、上記の誘導経路は、自車両の走行路において自車両が走行すべき経路であり、誘導姿勢角、誘導横位置、自車両の現在の姿勢角、横位置及びヨーレートに基づいて生成する。また、誘導姿勢角は、自車両が走行する走行路において自車両が通過する目標位置である目標通過位置へ到達するまでに、自車両が目標とする姿勢角であり、誘導横位置は、目標通過位置へ到達するまでに、自車両が目標とする横位置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、操舵角偏差を縮小させるための操舵支援トルクを、現在位置から目標通過位置へ到達するまでに、自車両が目標とする誘導姿勢角及び誘導横位置に加え、現在の姿勢角、現在の横位置及び現在のヨーレートに基づいて算出する。
このため、自車両が現在位置から目標通過位置へ到達するまで、操舵支援トルクを連続的に変化させることが可能となり、曲率の急激な変化や断続的な変化を抑制して生成した誘導経路を、自車両に走行させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第一実施形態の操舵支援装置の構成を示すブロック図である。
【図2】走行路における自車両と障害物との位置関係を示す図である。
【図3】予め設定した所定半径と自車両の車速との関係を示す図である。
【図4】本発明の第一実施形態の操舵支援装置が行う処理を示すフローチャートである。
【図5】走行路における自車両と障害物との位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は、本実施形態の操舵支援装置1の構成を示すブロック図である。
図1中に示すように、本実施形態の操舵支援装置1は、走行路検出部2と、障害部検出部4と、目標通過位置検出部6と、自車姿勢角検出部8と、自車位置検出部10と、道路曲率検出部12と、ヨーレート検出部14を備える。これに加え、本実施形態の操舵支援装置1は、誘導状態算出部16と、誘導経路生成部18と、操舵角センサ20と、目標操舵角算出部22と、操舵角偏差算出部24を備える。さらに、本実施形態の操舵支援装置1は、操舵支援トルク算出部26と、操舵角速度センサ28と、操舵支援トルク減衰回路30と、操舵支援トルク出力部32を備える。
【0009】
走行路検出部2は、例えば、CCDカメラ等を有して形成し、自車両の周囲(例えば、自車両の進行方向である車両前後方向前方)の環境を画像として取得する。そして、取得した画像に対するエッジ検出等を行うことにより、自車両が走行する走行路を検出する。走行路を検出した走行路検出部2は、検出した走行路を含む情報信号を、目標通過位置検出部6へ出力する。
ここで、走行路検出部2がエッジ検出等を行う対象とは、具体的に、走行車線の境界を示す路上の白線(車線区分線)や、走行路の側壁、ガードレールである。
【0010】
障害部検出部4は、例えば、CCDカメラ等を有して形成し、自車両の周囲(例えば、自車両の進行方向である車両前後方向前方)の環境を画像として取得する。そして、取得した画像に対するエッジ検出等を行い、さらに、オブジェクトの認識を行うことにより、走行路上に存在する障害物を検出する。障害物を検出した走行路検出部2は、検出した障害物を含む情報信号を、目標通過位置検出部6へ出力する。
【0011】
ここで、障害部検出部4がオブジェクトの認識を行う対象とは、具体的に、走行路の側壁、ガードレール、走行路上に存在する障害物や他車両、歩行者等である。そして、これらのオブジェクトを、走行路上に存在する障害物として検出する。
目標通過位置検出部6は、走行路検出部2及び障害部検出部4が出力した情報信号に基づき、走行路検出部2が検出した走行路において自車両が通過する目標位置である目標通過位置を検出する。そして、検出した目標通過位置を含む情報信号を、誘導状態算出部16及び誘導経路生成部18へ出力する。
【0012】
本実施形態では、一例として、目標通過位置検出部6が、図2中に示すように、目標通過位置として、自車両Cが通過可能であり且つ幅が最小の部分である最狭部Nのうち、幅方向の中心位置Pを検出する場合を説明する。
なお、図2は、走行路における自車両Cと障害物Bとの位置関係を示す図である。また、図2中では、障害物Bとして、路上に存在する二台の他車両(小型車両B1、大型車両B2)と、走行路の側壁(車幅方向右側の側壁B3、車幅方向左側の側壁B4)を示す。さらに、図2中では、当初の位置(例えば、目標通過位置の検出を開始する位置)における自車両Cを、符号「Ca」で示し、当初の位置から移動した位置における自車両Cを、符号「Cb」で示す。
【0013】
また、本実施形態では、一例として、目標通過位置検出部6が、図2中に示すように、自車両Cを中心とする予め設定した所定半径D[m]の範囲内で、最狭部Nのうち、幅方向の中心位置P(目標通過位置)を検出する場合を説明する。
なお、図2中では、当初の位置で自車両Caを中心とする所定半径Dの範囲内で検出した最狭部Nを、符号「N1」で示し、自車両Caを中心とする所定半径Dの範囲内で検出した中心位置Pを、符号「P1」で示す。また、図2中では、当初の位置から移動した位置で自車両Cbを中心とする所定半径Dの範囲内で検出した最狭部Nを、符号「N2」で示し、自車両Cbを中心とする所定半径Dの範囲内で検出した中心位置Pを、符号「P2」で示す。さらに、図2中では、自車両Caを中心とする所定半径Dの領域を示す境界線を、符号「DLa」で示し、自車両Cbを中心とする所定半径Dの領域を示す境界線を、符号「DLb」で示す。
【0014】
ここで、所定半径Dは、例えば、図3中に示すように、自車両Cの車速Vに応じて設定する。なお、図3は、予め設定した所定半径Dと自車両Cの車速Vとの関係を示す図である。
具体的には、図3中に示すように、車速がV(例えば、10[km/h])以下の領域では、所定半径DをD(例えば、3[m])に設定する。そして、車速がVを超える領域(例えば、10[km/h]を超える速度域)では、車速の増加に応じて、所定半径Dを増加(例えば、3[m]を超える距離で増加)させる。
【0015】
また、目標通過位置検出部6は、予め設定した第一所定時間間隔で、目標通過位置(中心位置P)を検出する。ここで、上記の第一所定時間は、例えば、50[msec]や100[msec]として、予め設定する。なお、本実施形態では、一例として、第一所定時間間隔を、100[msec]と設定した場合を説明する。
自車姿勢角検出部8は、例えば、Gセンサ(加速度センサ)を用いて形成し、自車両の現在の姿勢角を検出する。そして、自車姿勢角検出部8は、検出した現在の姿勢角を含む情報信号を、誘導状態算出部16及び誘導経路生成部18へ出力する。
【0016】
自車位置検出部10は、例えば、GPS(Global Positioning System)を用いて形成し、自車両の現在位置を検出する。そして、自車姿勢角検出部8は、検出した現在位置を含む情報信号を、誘導状態算出部16及び誘導経路生成部18へ出力する。なお、自車両の現在位置とは、自車両が走行している走行路における、横位置(道幅方向の位置)である。
【0017】
道路曲率検出部12は、例えば、カーナビゲーションシステム(Automotive navigation system)を用いて形成し、自車両が走行する走行路の曲率を検出する。そして、自車姿勢角検出部8は、検出した曲率を含む情報信号を、誘導状態算出部16及び誘導経路生成部18へ出力する。
ヨーレート検出部14は、例えば、ジャイロスコープ(gyroscope)等、ヨーレート(Yaw Rate)を検出可能なセンサを用いて形成し、自車両の現在のヨーレートを検出する。そして、ヨーレート検出部14は、検出した現在のヨーレートを含む情報信号を、誘導経路生成部18へ出力する。
【0018】
誘導状態算出部16は、目標通過位置検出部6、自車姿勢角検出部8、自車位置検出部10及び道路曲率検出部12が出力した情報信号に基づき、誘導姿勢角と誘導横位置を算出する。そして、誘導状態算出部16は、算出した誘導姿勢角及び誘導横位置を含む情報信号を、誘導経路生成部18へ出力する。
ここで、誘導姿勢角は、目標通過位置検出部6が検出した目標通過位置へ到達するまでに自車両Cが目標とする姿勢角である。また、誘導横位置は、目標通過位置検出部6が検出した目標通過位置へ到達するまでに自車両Cが目標とする横位置である。
【0019】
また、誘導姿勢角の算出は、例えば、自車両Cの進行方向(前後方向)が走行路の延在方向(長さ方向)と平行となるように行う。
また、誘導横位置の算出は、例えば、誘導横位置の算出時における自車両Cの横位置と目標通過位置における自車両Cの横位置との偏差が少なくなるように行う。
【0020】
誘導経路生成部18は、目標通過位置検出部6、自車姿勢角検出部8、自車位置検出部10、道路曲率検出部12、ヨーレート検出部14及び誘導状態算出部16が出力した情報信号に基づき、誘導経路を生成する。そして、誘導経路生成部18は、生成した誘導経路を含む情報信号を、目標操舵角算出部22へ出力する。
ここで、誘導経路は、走行路検出部2が検出した走行路において、自車両Cが走行すべき経路である。
誘導経路の生成は、以下の式(1)を用いて算出する経路曲率k(s)と、以下の式(2)を用いて算出する姿勢角φ(s)と、以下の式(3)を用いて算出する横位置x(s)に基づいて行う。
【0021】
【数1】

【0022】
【数2】

【0023】
【数3】

【0024】
なお、上記の式(1)〜(3)中において、k:現在の経路曲率、φ:現在の姿勢角、x:現在の横位置である。
また、上記の式(1)〜(3)中のλ(λ、λ、λ)は、経路係数(誘導経路の生成に用いる係数)であり、以下の式(4)で算出する。
ここで、式(1)〜(3)中のλは、誘導位置における経路曲率k(y)=0、誘導位置における姿勢角φ(y)=0、誘導位置における横位置x(y)=ζとして算出する。
【0025】
【数4】

【0026】
そして、上記の式(4)を用いて算出した経路係数λ(λ、λ、λ)を、上記の式(1)〜(3)へ代入し、さらに、以下の式(5)で算出する誘導距離sを上記の式(1)〜(3)へ代入して、誘導経路を生成するための誘導点を算出する。
s=T×V …(5)
ここで、上記の式(5)中では、T:誘導距離の算出時間、V:自車両Cの車速である。
【0027】
なお、本実施形態では、一例として、誘導距離の算出時間Tを、0.3[秒]とする場合を説明する。
そして、誘導経路生成部18は、上述した式(1)〜(5)を用いて、上記の誘導点を複数箇所算出し、これらの算出した誘導点の連続した集合により形成した線を、誘導経路として生成する。
操舵角センサ20は、例えば、操舵輪を回転可能に支持するステアリングコラムに設ける。また、操舵角センサ20は、自車両Cの運転者による、操舵輪の現在の回転角度(操舵操作量)である現在操舵角を検出する。そして、操舵角センサ20は、検出した操舵輪の現在操舵角を含む情報信号を、目標操舵角算出部22及び操舵角偏差算出部24へ出力する。なお、以下の説明では、現在操舵角を、「現在操舵角θ」と記載する場合がある。
【0028】
ここで、近年の車両は、操舵輪の操舵角を検出可能なセンサを、標準的に備えている場合が多い。このため、本実施形態では、操舵角センサ20として、自車両Cに既存のセンサである、操舵輪の操舵角を検出可能なセンサを用いる場合について説明する。
目標操舵角算出部22は、誘導経路生成部18及び操舵角センサ20が出力した情報信号に基づき、目標操舵角を算出する。そして、目標操舵角算出部22は、算出した目標操舵角を含む情報信号を、操舵角偏差算出部24へ出力する。なお、以下の説明では、目標操舵角を、「目標操舵角θ*」と記載する場合がある。
【0029】
ここで、目標操舵角は、誘導経路生成部18が生成した誘導経路を自車両Cが走行するために操舵輪(ステアリングホイール)の目標とする回転角度である。
目標操舵角θ*を算出する際には、例えば、走行路上における自車両Cの現在位置と、現在位置における操舵輪の回転角度から、上述した誘導点に到達するために必要な操舵角を算出する。そして、この算出した操舵角を、目標操舵角θ*とする。
【0030】
ここで、本実施形態では、一例として、予め、目標操舵角算出部22に車両運動モデルを記憶させておき、この車両運動モデルを、目標操舵角θ*の算出に用いる場合を説明する。これにより、本実施形態の操舵支援装置1では、車両運動モデルを目標操舵角θ*の算出に用いない場合と比較して、より正確な目標操舵角θ*の算出が可能となる。
なお、車両運動モデルとは、例えば、自車両Cの走行時における、操舵角と速度(車速)に応じて生じる車両の運動(ヨーレート等)を示すモデルであり、車両に個別のパラメータである。
【0031】
操舵角偏差算出部24は、目標操舵角算出部22及び操舵角センサ20が出力した情報信号に基づき、操舵角偏差を算出する。そして、操舵角偏差算出部24は、算出した操舵角偏差を含む情報信号を、操舵支援トルク算出部26及び操舵支援トルク減衰回路30へ出力する。
ここで、操舵角偏差とは、目標操舵角算出部22が算出した目標操舵角θ*と操舵角センサ20が検出した現在操舵角θとの差分である。なお、以下の説明では、操舵角偏差を、「操舵角偏差δθ」と記載する場合がある。
【0032】
操舵角偏差δθは、現在操舵角θから目標操舵角θ*を減算して算出する。したがって、操舵角偏差δθは、以下の式(6)により算出する。
δθ=θ−θ* … (6)
操舵支援トルク算出部26は、操舵角偏差算出部24が出力した情報信号に基づき、トルク指令信号を算出する。そして、操舵支援トルク算出部26は、算出したトルク指令信号を含む情報信号を、操舵支援トルク減衰回路30へ出力する。
【0033】
ここで、トルク指令信号とは、操舵角偏差算出部24が算出した操舵角偏差δθを縮小させるための操舵支援トルクの指令値である。なお、以下の説明では、トルク指令信号を、「トルク指令値T」と記載する場合がある。
本実施形態では、一例として、トルク指令値Tを、以下に示す式(7)を用いて算出する場合について説明する。
=Z×δθ=Z×(θ−θ) … (7)
【0034】
なお、上記の式(7)中において、「Z」は、目標操舵角算出部22に記憶させた目標操舵角θ*への収束の速さに対応する係数である。この係数は、固定の定数、または、車速等に応じた変数として設定する。また、上記の式(7)中に示されているように、トルク指令値Tは、操舵角偏差δθに比例する値である。
【0035】
また、操舵支援トルク算出部26は、予め設定した第二所定時間間隔で、トルク指令値Tを算出する。ここで、上記の第二所定時間は、例えば、50[msec]や100[msec]として、予め設定する。なお、本実施形態では、一例として、第二所定時間間隔を、100[msec]と設定した場合を説明する。したがって、本実施形態では、第一所定時間間隔と第二所定時間間隔を、同じ値に設定する。
【0036】
操舵角速度センサ28は、操舵角センサ20と同様、例えば、操舵輪を回転可能に支持するステアリングコラムに設ける。また、操舵角速度センサ28は、自車両Cの運転者による、操舵輪の現在の操舵時における回転角速度である操舵角速度を検出する。そして、この検出した操舵角速度を含む情報信号を、操舵支援トルク減衰回路30へ出力する。なお、以下の説明では、操舵角速度を、「操舵角速度θ’」と記載する場合がある。
【0037】
ここで、近年の車両は、操舵輪の操舵角速度を検出可能なセンサを、標準的に備えている場合が多い。このため、本実施形態では、操舵角速度センサ28として、自車両Cに既存のセンサである、操舵輪の操舵角速度を検出可能なセンサを用いた場合について説明する。
【0038】
操舵支援トルク減衰回路30は、操舵角偏差算出部24、操舵角速度センサ28及び操舵支援トルク算出部26が出力した情報信号に基づき、操舵支援トルク算出部26が算出したトルク指令値Tを減衰させる減衰指令信号を算出する。そして、操舵支援トルク減衰回路30は、算出した減衰指令信号によりトルク指令値Tを減衰させたトルク減衰指令値Tを含む情報信号を、操舵支援トルク出力部32へ出力する。
【0039】
ここで、操舵支援トルク減衰回路30は、一例として、トルク減衰指令値Tを、以下に示す式(8)を用いて算出する場合について説明する。
T=(θ−θ)×θ’+T … (8)
したがって、本実施形態の操舵支援トルク減衰回路30は、操舵角速度θ’に応じて、トルク指令値T(トルク指令信号)の減衰度合いが変化するように、減衰指令信号Tを算出する。
【0040】
トルク減衰指令値Tを算出した操舵支援トルク減衰回路30は、この算出したトルク減衰指令値Tを含む指令信号を、操舵支援トルク出力部32へ出力する。
操舵支援トルク出力部32は、公知の電動パワーステアリング(Electric Power Steering)であり、操舵輪へ操舵支援トルクを出力可能な電動モータを有する。
【0041】
また、操舵支援トルク出力部32は、操舵支援トルク減衰回路30が出力した指令信号に基づき、電動モータを制御する。これにより、操舵支援トルク出力部32は、操舵支援トルク減衰回路30が算出したトルク減衰指令値Tに応じた操舵支援トルクを、操舵輪へ出力する。
なお、操舵支援トルク出力部32が行なう電動モータの制御は、一般的に、電動モータへ供給する電流を制御して行う。したがって、本実施形態においても、電動モータへ供給する電流を制御して電動モータの制御を行い、トルク減衰指令値Tに相当する操舵支援トルクを、操舵輪へ出力する。
【0042】
(動作)
次に、図1から図3を参照しつつ、図4及び図5を用いて、本実施形態の操舵支援装置1が行なう動作の一例について説明する。
図4は、本実施形態の操舵支援装置1が行う処理を示すフローチャートである。
図4中に示すフローチャートは、自車両Cが走行しており、自車両Cの運転者によって、操舵支援装置1を作動させるスイッチが操作(ON)された状態からスタートする(図4中に示す「START」)。
【0043】
操舵支援装置1を作動させると、自車位置検出部10が、自車両Cの現在位置を検出(ステップS100に示す「車両横位置の検出」)する。そして、自車両Cの現在位置を検出した自車位置検出部10は、算出した現在位置を含む情報信号を、誘導状態算出部16及び誘導経路生成部18へ出力する。ステップS100において、自車両Cの現在位置を検出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS102へ移行する。
ステップS102では、自車姿勢角検出部8により、自車両Cの現在の姿勢角を検出(ステップS102に示す「車両姿勢角の検出」)する。これに加え、ステップS102では、ヨーレート検出部14により、自車両Cの現在のヨーレートを検出する。
【0044】
そして、自車両Cの現在の姿勢角を検出した自車姿勢角検出部8は、検出した現在の姿勢角を含む情報信号を、誘導状態算出部16及び誘導経路生成部18へ出力する。これに加え、自車両Cの現在のヨーレートを検出したヨーレート検出部14は、検出した現在のヨーレートを含む情報信号を、誘導経路生成部18へ出力する。ステップS102において、現在の姿勢角及びヨーレートを検出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS104の処理へ移行する。
【0045】
ステップS104では、道路曲率検出部12により、自車両Cが走行する走行路の曲率を検出(ステップS104に示す「経路曲率の検出」)する。そして、走行路の曲率を検出した道路曲率検出部12は、検出した曲率を含む情報信号を、誘導状態算出部16及び誘導経路生成部18へ出力する。ステップS104において、走行路の曲率を検出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS106へ移行する。
【0046】
ステップS106では、走行路検出部2により、自車両Cが走行する走行路を検出(ステップS106に示す「走行路検出」)する。そして、走行路を検出した走行路検出部2は、検出した走行路を含む情報信号を、目標通過位置検出部6へ出力する。ステップS106において、走行路を検出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS108へ移行する。
【0047】
ステップS108では、障害部検出部4により、走行路上に存在する障害物を検出(ステップS108に示す「障害物検出」)する。そして、障害物を検出した障害部検出部4は、検出した障害物を含む情報信号を、目標通過位置検出部6へ出力する。ステップS108において、障害物を検出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS110へ移行する。
【0048】
ステップS110では、目標通過位置検出部6により、最狭部Nのうち幅方向の中心位置Pを検出して、目標通過位置を検出(ステップS110に示す「目標通過位置の検出」)する。そして、目標通過位置を検出した目標通過位置検出部6は、検出した目標通過位置を含む情報信号を、誘導状態算出部16及び誘導経路生成部18へ出力する。ステップS110において、目標通過位置を検出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS112へ移行する。
【0049】
ステップS112では、誘導状態算出部16により、誘導姿勢角と誘導横位置を算出(ステップS112に示す「誘導姿勢角及び誘導横位置の算出」)する。そして、誘導姿勢角及び誘導横位置を算出した誘導状態算出部16は、誘導姿勢角及び誘導横位置を含む情報信号を、誘導経路生成部18へ出力する。ステップS112において、誘導姿勢角及び誘導横位置を算出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS114へ移行する。
【0050】
ステップS114では、誘導経路生成部18により、誘導位置における経路曲率kを算出(ステップS114に示す「誘導位置における経路曲率を算出」)する。ステップS114において、誘導位置における経路曲率kを検出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS116へ移行する。
ステップS116では、誘導経路生成部18により、経路係数λ(λ、λ、λ)を算出(ステップS116に示す「経路係数(λ、λ、λ)の算出」)する。ステップS116において、経路係数λを算出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS118へ移行する。
【0051】
ステップS118では、誘導経路生成部18により、誘導経路を生成するための誘導点を複数箇所算出(ステップS118に示す「誘導点の算出」)する。ステップS118において、複数箇所の誘導点を算出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS120へ移行する。
ステップS120では、誘導経路生成部18により、複数箇所の誘導点の連続した集合により形成した線を、誘導経路として生成(ステップS120に示す「誘導経路の生成」)する。ステップS120において、誘導経路を生成すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS122へ移行する。
【0052】
ステップS122では、操舵支援トルク出力部32により、電動モータの制御(ステップS122に示す「EPSを制御」)を行い、トルク減衰指令値Tに相当する操舵支援トルクを操舵輪へ出力する。
トルク減衰指令値Tに相当する操舵支援トルクを操舵輪へ出力すると、自車両Cが誘導経路を走行するための操舵支援トルクが出力された操舵輪を、運転者が操舵することとなる。
【0053】
したがって、トルク減衰指令値Tに相当する操舵支援トルクを操舵輪へ出力すると、例えば、図5中に示すように、自車両Cの走行経路を、誘導経路Rとするための操舵支援トルクが出力された操舵輪を、運転者が操舵することとなる。なお、図5は、走行路における自車両Cと障害物Bとの位置関係を示す図である。また、図5中では、障害物B(小型車両B1、大型車両B2、車幅方向右側の側壁B3、車幅方向左側の側壁B4)を、図2中と同様に示す。さらに、図5中では、最狭部N、中心位置P、自車両Cを中心とする所定半径D、自車両Cを中心とする所定半径Dの領域を示す境界線DLを、図2中と同様に示す。
【0054】
ここで、操舵支援トルク算出部26が算出したトルク指令信号は、操舵角偏差算出部24が算出した操舵角偏差δθを縮小させるための操舵支援トルクの指令値である。これに加え、操舵角偏差δθを、現在位置から目標通過位置へ到達するまでに、自車両Cが目標とする誘導姿勢角及び誘導横位置に加え、現在の姿勢角、現在の横位置及び現在のヨーレートに基づいて算出する。
【0055】
したがって、走行する自車両Cが現在位置から目標通過位置へ到達するまでの間、操舵支援トルクを連続的に変化させることが可能となる。これにより、曲率の急激な変化や断続的な変化を抑制して生成した誘導経路Rを、自車両Cに走行させることが可能となる。
ステップS122において電動モータを制御し、トルク減衰指令値Tに相当する操舵支援トルクを操舵輪へ出力すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS100の処理に復帰(図4中に示す「RETURN」)する。
【0056】
なお、上述したように、本実施形態の操舵支援装置1の動作で実施する操舵支援方法は、目標通過位置を検出する目標通過位置検出ステップと、誘導姿勢角を算出する誘導姿勢角算出ステップと、誘導横位置を算出する誘導横位置算出ステップを有する。これに加え、上述した誘導姿勢角、誘導横位置、現在の姿勢角、現在の横位置及び現在のヨーレートに基づき、誘導経路Rを生成する誘導経路生成ステップを有する。さらに、目標操舵角を算出する目標操舵角算出ステップと、操舵角偏差を算出する操舵角偏差算出ステップと、操舵支援トルクを算出する操舵支援トルク算出ステップと、操舵支援トルクを操舵輪へ出力する操舵支援トルク出力ステップを有する。
【0057】
以上により、誘導状態算出部16は、誘導姿勢角算出部及び誘導横位置算出部に対応する。また、自車姿勢角検出部8は、現在姿勢角検出部に対応する。また、自車位置検出部10は、現在横位置検出部に対応する。また、操舵角センサ20は、現在操舵角検出部に対応する。
【0058】
同様に、ステップS110は、目標通過位置検出ステップに対応する。また、ステップS112は、誘導姿勢角算出ステップ及び誘導横位置算出ステップに対応する。また、ステップS114からS120は、誘導経路生成ステップ、目標操舵角算出ステップ、操舵角偏差算出ステップ、操舵支援トルク算出ステップに対応する。また、ステップS122は、操舵支援トルク出力ステップに対応する。
【0059】
(第一実施形態の効果)
(1)誘導経路生成部18が、誘導姿勢角、誘導横位置、自車両Cの現在の姿勢角、横位置及びヨーレートに基づいて、自車両の走行路において自車両が走行すべき誘導経路を生成する。
このため、走行する自車両Cが現在位置から目標通過位置へ到達するまでの間、操舵支援トルクを連続的に変化させることが可能となる。
その結果、曲率の急激な変化や断続的な変化を抑制して生成した誘導経路Rを、自車両Cに走行させることが可能となる。
また、操舵角の変化が、障害物の形状に影響されることを抑制することが可能となるため、走行中の運転者が操舵角を保持したい場合であっても、操舵角の変化を抑制することが可能となる。
【0060】
(2)目標通過位置検出部6が、目標通過位置として、自車両Cが通過可能であり且つ幅が最小の部分である最狭部Nの、幅方向の中心位置Pを検出する。
その結果、走行路上において自車両Cが障害物へ接触する可能性が高い位置における、自車両Cの横位置と姿勢角を、適正な状態に誘導することが可能となるため、自車両Cが障害物へ接触する可能性を低減することが可能となる。
【0061】
また、走行路上において、最狭部Nを構成する障害物以外の物体を考慮して目標通過位置を検出する場合と比較して、目標通過位置の検出に要する演算処理のステップを減少させることが可能となる。また、最狭部Nを構成する障害物以外の物体を考慮して目標通過位置を検出する場合と比較して、目標通過位置の検出に要する演算処理の周期を短縮することが可能となる。
これにより、操舵輪に対する操舵支援トルクの出力が遅延することを、抑制することが可能となり、操舵制御のレスポンスを向上させることが可能となる。
【0062】
(3)目標通過位置検出部6が、自車両Cを中心とする予め設定した所定半径Dの範囲内で、目標通過位置を検出する。
その結果、例えば、自車両Cの車速Vに応じた範囲等、運転者が意識しやすい範囲内で目標通過位置を検出することが可能となり、所定半径Dを設定しない場合と比較して、操舵支援トルクの急激な変化や断続的な変化を、さらに抑制することが可能となる。
【0063】
(4)目標通過位置検出部6が、予め設定した第一所定時間間隔で目標通過位置を検出する。これに加え、操舵支援トルク算出部26が、予め設定した第二所定時間間隔で操舵支援トルクを算出する。
その結果、実時間(Real Time)で目標通過位置を検出した上で、実時間で操舵支援トルクを算出するため、所定時間間隔で処理を行わない場合と比較して、操舵支援トルクの急激な変化や断続的な変化を、さらに抑制することが可能となる。
【0064】
(5)誘導経路生成部18が、誘導点を複数箇所算出し、これらの算出した誘導点の連続した集合により形成した線を、誘導経路として生成する。
その結果、誘導姿勢角、誘導横位置、自車両Cの現在の姿勢角、横位置及びヨーレートに基づいて、連続的な曲線状の誘導経路を生成することが可能となる。
【0065】
(6)本実施形態の操舵支援方法では、誘導経路生成ステップにおいて、誘導姿勢角、誘導横位置、自車両Cの現在の姿勢角、横位置及びヨーレートに基づいて、自車両の走行路において自車両が走行すべき誘導経路を生成する。
このため、走行する自車両Cが現在位置から目標通過位置へ到達するまでの間、操舵支援トルクを連続的に変化させることが可能となる。
その結果、曲率の急激な変化や断続的な変化を抑制して生成した誘導経路Rを、自車両Cに走行させることが可能となる。これに加え、操舵角の変化が、障害物の形状に影響されることを抑制することが可能となるため、走行中の運転者が操舵角を保持したい場合であっても、操舵角の変化を抑制することが可能となる。
【0066】
(変形例)
(1)本実施形態の操舵支援装置1では、目標通過位置検出部6が、目標通過位置として、自車両Cが通過可能であり且つ幅が最小の部分である最狭部Nの、幅方向の中心位置Pを検出したが、目標通過位置は、これに限定するものではない。すなわち、例えば、最狭部Nの幅が、自車両Cが通過可能な幅に対して大きな余裕がある場合等は、目標通過位置として、最狭部Nの、幅方向の中心位置Pよりも車幅方向へオフセットした位置を検出してもよい。
【0067】
(2)本実施形態の操舵支援装置1では、目標通過位置検出部6が、予め設定した第一所定時間間隔で目標通過位置を検出する。これに加え、操舵支援トルク算出部26が、予め設定した第二所定時間間隔で操舵支援トルクを算出する。しかしながら、目標通過位置検出部6の構成は、これに限定するものではなく、目標通過位置検出部6及び操舵支援トルク算出部26のうち少なくとも一方が、自車両Cの走行中において、連続して処理を行ってもよい。
【0068】
(3)本実施形態の操舵支援装置1では、目標通過位置検出部6が、自車両Cを中心とする予め設定した所定半径Dの範囲内で、目標通過位置を検出するが、目標通過位置検出部6の構成は、これに限定するものではない。すなわち、目標通過位置検出部6の構成を、所定半径Dを設定せずに目標通過位置を検出する構成としてもよい。
【0069】
(4)本実施形態の操舵支援装置1では、操舵支援トルク減衰回路30が、操舵角速度センサ28が検出した操舵角速度θ’に応じて、トルク指令値Tの減衰度合いが変化するように、減衰指令信号を算出したが、これに限定するものではない。すなわち、トルク指令値Tを操舵支援トルクとして用いてもよい。この場合、操舵支援装置1の構成を、操舵角速度センサ28及び操舵支援トルク減衰回路30を備えていない構成としてもよい。
【0070】
(5)本実施形態の操舵支援装置1では、走行路検出部2及び障害部検出部4を、自車両の周囲環境を画像として取得可能なCCDカメラ等を有して形成したが、走行路検出部2及び障害部検出部4の構成は、これに限定するものではない。
すなわち、例えば、操舵支援装置1の構成を、自車両Cの車両前後方向の前面に配置して、自車両Cの車両前後方向前方に対してレーザーを照射するレーザーセンサを備えた構成とする。そして、レーザーセンサにより、レーザーの照射と、レーザーの照射後に走行経路上の障害物等により反射されたレーザーの受信を行い、レーザーを照射及び受信した時間により、走行路や障害物を検出可能な構成としてもよい。
【0071】
(6)本実施形態の操舵支援装置1では、自車両Cの走行中において、運転者が操舵支援装置1を作動させるスイッチを操作することにより、操舵支援装置1を作動させたが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、自車両Cの周囲環境を撮像した画像を参照して、自車両が走行する道路(走行路)が、操舵支援装置1を作動させることが好ましい道路であるか否かを判定し、運転者の操作に因らず、操舵支援装置1を作動させてもよい。この場合、自車両Cの周囲環境を撮像した画像は、例えば、走行路検出部2が有するCCDカメラ等を用いて取得する。
【0072】
(7)本実施形態の操舵支援装置1では、第一所定時間間隔と第二所定時間間隔を、同じ値(100[msec])に設定したが、これに限定するものではなく、第一所定時間間隔と第二所定時間間隔を、異なる値に設定してもよい。この場合、例えば、第一所定時間間隔を100[msec]と設定し、第二所定時間間隔を50[msec]と設定する。
【符号の説明】
【0073】
1 操舵支援装置
2 走行路検出部
4 障害部検出部
6 目標通過位置検出部
8 自車姿勢角検出部
10 自車位置検出部
12 道路曲率検出部
14 ヨーレート検出部
16 誘導状態算出部
18 誘導経路生成部
20 操舵角センサ
22 目標操舵角算出部
24 操舵角偏差算出部
26 操舵支援トルク算出部
28 操舵角速度センサ
30 操舵支援トルク減衰回路
32 操舵支援トルク出力部
C 自車両
N 最狭部
P 最狭部Nのうち、幅方向の中心位置
B 障害物
D 所定半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行する走行路を検出する走行路検出部と、
前記走行路検出部が検出した走行路において前記自車両が通過する目標位置である目標通過位置を検出する目標通過位置検出部と、
前記目標通過位置検出部が検出した目標通過位置へ到達するまでに前記自車両が目標とする姿勢角である誘導姿勢角を算出する誘導姿勢角算出部と、
前記目標通過位置検出部が検出した目標通過位置へ到達するまでに前記自車両が目標とする横位置である誘導横位置を算出する誘導横位置算出部と、
前記自車両の現在の姿勢角を検出する現在姿勢角検出部と、
前記自車両の現在の横位置を検出する現在横位置検出部と、
前記自車両の現在のヨーレートを検出するヨーレート検出部と、
前記誘導姿勢角算出部が算出した誘導姿勢角、前記誘導横位置算出部が算出した誘導横位置、前記現在姿勢角検出部が検出した姿勢角、前記現在横位置検出部が検出した横位置及び前記ヨーレート検出部が検出したヨーレートに基づき、前記走行路検出部が検出した走行路において前記自車両が走行すべき経路である誘導経路を生成する誘導経路生成部と、
前記誘導経路生成部が生成した誘導経路を前記自車両が走行するために操舵輪の目標とする回転角度である目標操舵角を算出する目標操舵角算出部と、
前記操舵輪の現在の回転角度である現在操舵角を検出する現在操舵角検出部と、
前記目標操舵角算出部が算出した目標操舵角と前記現在操舵角検出部が検出した現在操舵角との差分である操舵角偏差を算出する操舵角偏差算出部と、
前記操舵角偏差算出部が算出した操舵角偏差を縮小させるための操舵支援トルクを算出する操舵支援トルク算出部と、
前記操舵支援トルク算出部が算出した操舵支援トルクを前記操舵輪へ出力する操舵支援トルク出力部と、を備えることを特徴とする車両の操舵支援装置。
【請求項2】
前記目標通過位置検出部は、前記目標通過位置として、前記自車両が通過可能であり且つ幅が最小の部分である最狭部の幅方向の中心位置を検出することを特徴とする請求項1に記載した車両の操舵支援装置。
【請求項3】
前記目標通過位置検出部は、前記自車両を中心とする予め設定した所定半径の範囲内で前記目標通過位置を検出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載した車両の操舵支援装置。
【請求項4】
前記目標通過位置検出部は、予め設定した第一所定時間間隔で前記目標通過位置を検出し、
前記操舵支援トルク算出部は、予め設定した第二所定時間間隔で前記操舵支援トルクを算出することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した車両の操舵支援装置。
【請求項5】
自車両が走行する走行路において前記自車両が通過する目標位置である目標通過位置を検出する目標通過位置検出ステップと、
前記目標通過位置検出ステップで検出した目標通過位置へ到達するまでに前記自車両が目標とする姿勢角である誘導姿勢角を算出する誘導姿勢角算出ステップと、
前記目標通過位置検出ステップで検出した目標通過位置へ到達するまでに前記自車両が目標とする横位置である誘導横位置を算出する誘導横位置算出ステップと、
前記誘導姿勢角算出ステップで算出した誘導姿勢角、前記誘導横位置算出ステップで算出した誘導横位置、前記自車両の現在の姿勢角、前記自車両の現在の横位置、前記自車両の現在のヨーレートに基づき、前記走行路において前記自車両が走行すべき経路である誘導経路を生成する誘導経路生成ステップと、
前記誘導経路生成ステップで生成した誘導経路を前記自車両が走行するために操舵輪の目標とする回転角度である目標操舵角を算出する目標操舵角算出ステップと、
前記目標操舵角算出ステップで算出した目標操舵角と前記操舵輪の現在の回転角度である現在操舵角との差分である操舵角偏差を算出する操舵角偏差算出ステップと、
前記操舵角偏差算出ステップが算出した操舵角偏差を縮小させるための操舵支援トルクを算出する操舵支援トルク算出ステップと、
前記操舵支援トルク算出ステップが算出した操舵支援トルクを前記操舵輪へ出力する操舵支援トルク出力ステップと、を有することを特徴とする車両の操舵支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−56576(P2013−56576A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194855(P2011−194855)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】