説明

車両用灯具

【課題】自動車用前照灯や標識等の灯具に適用して該灯具の点灯時における意匠効果を高めることができるとともに、デイタイムランニングランプとしての機能も有する車両用灯具を提供する。
【解決手段】半導体発光素子7からの出射光を車両前方に導くリフレクタ8を有してなる光源ユニット5を備えた車両用灯具であって、リフレクタ8のほぼ延長上に配設された導光体14と該導光体14の後側に配設されたサブ半導体発光素子13を有するサブ光源ユニット6を備えるとともに、導光体14が、サブ半導体発光素子13からの出射光をそれぞれ車両前方に向けて投射する凸レンズ部15と、該凸レンズ部15の外周部から灯具の後方に向かってサブ半導体発光素子13の外周部まで延ばされ、サブ半導体発光素子13からの出射光を前端面から灯具の前方に出射させる平板状の導光部16を有してなる車両用灯具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車等の車両に用いる車両用灯具に関するものであり、特に、灯具点灯時における意匠効果を向上できる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に用いる前照灯や標識灯の車両用灯具において、小型化等を図るために、ランプボディと前面レンズで画成された灯室内に、光源である例えばLED等の半導体発光素子(以下、LEDという)と該LEDからの出射光を車両前方に導くリフレクタを有してなる光源ユニットを備えた灯具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、点灯時における意匠効果を高めるために、ランプボディと前面レンズで画成された灯室内に、サブLEDと該サブLEDの前側で、かつ、灯具の前後方向に向けて導光板を設けた車両用灯具も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
特許文献2で知られる車両用灯具は、サブLEDからの出射光が後端面側より導光板内に取り入れられ、該光が導光板の内部で反射を繰り返しながら前端面側に導光されて該導光板の前端面から出射される。また、該導光板の内部で光が反射を繰り返すとき、該光が拡散され、灯具の外部からは該導光板の全体が発光しているように視認され、これによって意匠効果を高めるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−305575号公報。
【特許文献2】特開2006−236588号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献2に記載の車両用灯具では、サブLEDからの出射光の全てを導光板内に取り入れ、該導光体内で何回も光の反射・拡散を繰り返しながら該導光体の前端面側に導光するようにしているので光の減衰が生じ、クリアな発光が得られず、意匠効果が十分に発揮できていなかった。また、サブLED及び導光板をデイタイムランニングランプとして使用する構造にもなっていない。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自動車用前照灯や標識等の灯具に適用して該灯具の点灯時における意匠効果を高めることができるとともに、デイタイムランニングランプとしての機能も有する車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両用灯具は、ランプボディと前面レンズで画成された灯室内に、光源である半導体発光素子と該半導体発光素子からの出射光を車両前方に導くリフレクタを有してなる光源ユニットを備えた車両用灯具であって、前記リフレクタのほぼ延長上に配設された導光体と該導光体の後側に配設されたサブ半導体発光素子を有するサブ光源ユニットを備えるとともに、前記導光体が、前記サブ半導体発光素子からの出射光をそれぞれ車両前方に向けて投射する凸レンズ部と、該凸レンズ部の外周部から前記灯具の後方に向かって前記サブ半導体発光素子の外周部まで延ばされ、該サブ半導体発光素子からの出射光を前端面から前記灯具の前方に出射させる筒状の導光部を有してなる。
【0009】
この構成によれば、サブ光源ユニットにおける導光体の凸レンズ部では、サブ半導体発光素子から該凸レンズ部に入射された出射光を収束して車両前方に投射し、デイタイムランニングランプとして使用できる。また、該凸レンズ部では、サブ半導体発光素子が車両用灯具の奥まった位置に配置されていても、該サブ半導体発光素子からの光の一部を車両前方に投射して十分な配光を得ることを可能にする。一方、サブ光源ユニットにおける導光部は、サブ半導体発光素子から該導光部に入射された出射光の一部が該導光部の内部で反射・拡散を繰り返し、この繰り返しで発光面積を拡大させながら前面レンズの後面近傍まで導かれ、該導光部の全体が発光しているように見せる。これにより、サブ光源ユニットにおいては、凸レンズ部を通る光はデイタイムランニングランプ光として利用でき、導光部からの光は発光面積を拡大させ装飾用の光として利用できる。また、導光体の配置により、光源であるサブ半導体発光素子は前方から直接見えないように該導光体で隠される。
【0010】
上記構成において、上記導光体は上記レンズ部と上記導光部を有する導光部分を複数個、各々適宜の間隔をおいて列状に配設してなり、上記サブ半導体発光素子は前記導光部分に各々対応して複数個配設されてなる、構成を採用できる。
【0011】
この構成によれば、疑似発光している導光部分が複数個、列をなした状態で視認でき、被視認性が高まる。しかも、各導光部は筒状をなし、導光部間に隙間を持つので、この隙間が隣り合う導光部から漏れて来る光を遮断し、隣同士での光の干渉を防いでクリアな疑似発光を可能にする。
【0012】
上記構成において、上記導光体は、上記リフレクタと一体に形成されてなる、構成を採用できる。
【0013】
この構成によれば、導光体をリフレクタと一体に形成することによって車両用灯具のコンパクト化と部品点数の減少が可能になり、車両用灯具の小型化及び作業工数の削減が図れる。
【0014】
上記構成において、上記複数個のサブ半導体発光素子は、発光色が白色のサブ半導体発光素子と発光色が青色のサブ半導体発光素子を適宜に配置してなる、構成を採用できる。
【0015】
この構成によれば、白色を発光するサブ半導体発光素子と青色を発光するサブ半導体発光素子を適宜に配置することにより、昼夜の区別なく視認でき、被視認性の向上が図れる。
【0016】
上記構成において、上記導光体は、上記メインの光源ユニットにおける半導体発光素子からの出射光が入射される位置に配設してなる、構成を採用できる。
【0017】
この構成によれば、サブ光源ユニットのサブ半導体発光素子が点灯していない場合も、メインの光源ユニットにおける半導体発光素子が発光していれば、該メインの光源ユニットからの出射光が導光体に入射され、該導光体が疑似発光の状態となり発光面積の拡大に寄与する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、リフレクタの延長上に凸レンズ部を通って来る光によるデイタイムランニングランプと導光部により導かれて疑似発光している光を、車両前方から同時に視認することができる。しかも、導光部は、該導光部内部における光の反射・拡散により発光面積を広く見せつつ疑似発光するので、灯具点灯時における装飾性を向上させて意匠効果を高めることができる。また、導光体の配置により、該導光体が光源であるサブ半導体発光素子を前方から直接見えないように該導光体で隠しているので、さらに意匠効果を高めることができる。車両前方から、リフレクタの延長上に凸レンズ部を通って来る円形光と導光部の筒状疑似発光を同時に視認することができるので、灯具点灯時における意匠効果を高めることができる。また、導光体の配置により、該導光体が光源であるサブ半導体発光素子を前方から直接見えないように隠すので、さらに意匠効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具の正面図。
【図2】図1におけるA−A線断面図。
【図3】図1におけるB−B線拡大断面図。
【図4】図2のC部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1及び図2において、車両用灯具はフォグランプを一例としている。なお、以下の説明において、図2の左右方向左側を前方、右側を後方とし、また上下方向を上下、紙面に垂直な方向を左右として説明する。
【0022】
同図において、フォグランプ1は、ランプボディ2と該ランプボディ2の前面開口に取着された透明なカバーからなる前面レンズ3とで灯室4が画成され、該灯室4内にフォグランプ用のメイン光源ユニット5と装飾用のサブ光源ユニット6が内装されている。なお、図1では、灯室4に内装されている構成部品の配置状態を分かり易く示すのに、前面レンズ3を仮想状態で示している。
【0023】
前記メイン光源ユニット5は、2個の半導体発光素子7と、リフレクタ8等を備える。該半導体発光素子7は、例えばLED、EL(有機EL)等の半導体発光素子(本実施例ではLED)を使用する。なお、本実施例では半導体発光素子7を左右に離間させて2個設けた構造を開示しているが、半導体発光素子7は1個以上であればよく、個数は適宜選択されるものである。
【0024】
前記半導体発光素子7は、図2に示すように四角形の基板9と、該基板9の一面に固定された微小な矩形形状の半導体チップ10と、該半導体チップ10を覆う半球形状の光透過部材11と、から構成されている。そして、該半導体発光素子7は、ランプボディ2にブラケット17を介して、かつ、前記光透過部材11が下向きになるようにして固定されている。すなわち、発光素子となる前記半導体チップ10の前記基板9の他面が前記ブラケット17の下面に固定されている。
【0025】
前記リフレクタ8は、光透過性の樹脂部材等から構成されており、前側の部分と上側の部分とが開口し、その他の部分が閉塞した形状を成す。また、該リフレクタ8の凹内面には、アルミ蒸着若しくは銀塗装等を施している反射面12が設けられ、前記半導体発光素子7,7からの出射光を反射面12で反射させて拡散タイプの配光パターンとして外部(車両の前方)に照射するものである。
【0026】
前記装飾用のサブ光源ユニット6は、前記リフレクタ8の前面開口部分の下側に設けられている。該サブ光源ユニット部6は、図3に示すように各々が適宜離間し、かつ、左右方向に列を成した状態に並べられて基板18上に取り付けられている4個のサブ半導体発光素子13と、該サブ半導体発光素子13に対応して該半導体発光素子13の前側に配置された導光体14を備えてなる。
【0027】
なお、前記半導体発光素子13の個数は適宜選択されるもので、また、該半導体発光素子13は、例えばLED、EL(有機EL)等の半導体発光素子(本実施例ではLED)を使用する。さらに、本実施例では、白色を発光するサブ半導体発光素子13と青色を発光するサブ半導体発光素子13を交互に並べて使用している。これは、サブ半導体発光素子13が単色光であると、色によっては昼間・夜間のどちらかの視認性が劣る欠点があるが、白色発光するサブ半導体発光素子13と青色発光するサブ半導体発光素子13を交互に使用することにより、昼・夜の区別なく視認することができる。
【0028】
前記導光体14は、前記リフレクタ8と同じ光透過性の樹脂材で、かつ、該リフレクタ8の前面開口部分の下端側に、該リフレクタ8から延長された状態にして該リフレクタ8と一体に成形されて設けられている。該導光体14は、前記サブ半導体発光素子13に対応して左右方向に適宜な間隔で形成された4個の凸レンズ部15を有するレンズ板部19と、該レンズ板部19の裏面側で前記各凸レンズ部15の外周部からそれぞれ基板18側(灯具の後方側)に向かって前記サブ発光素子の外周部まで延ばされている筒状をした4個の導光部16と、導光体14の左右両端に形成されている外壁部21と、を一体に有して成る。すなわち、本実施例では、図3及び図4に示すように凸レンズ部15と導光部16とでなる4個の導光部分をレンズ板部19で一体化し、かつ、隣り合っている導光部16,16との間に隙間20を設けている。また、レンズ板部19は、前記メイン光源ユニット5における半導体発光素子7からの光の入射を可能とする位置に対応して設けられていて、サブ光源ユニット6のサブ半導体発光素子13が点灯していない場合も、メイン光源ユニット5における半導体発光素子7が発光していれば、該メイン光源ユニット5からの光が導光体14のレンズ板部19に入射されて該レンズ板部19の疑似発光が得られるようになっている。
【0029】
次に、本発明に係る車両用灯具であるフォグランプの作用を説明する。まず、メイン光源ユニット5の半導体発光素子7及びサブ光源ユニット6のサブ半導体発光素子13をそれぞれ点灯発光させる。すると、図2に示すようにメイン光源ユニット5の半導体発光素子7から放射された光L1は、リフレクタ8の反射面12で反射されて前面レンズ3側に向かい、さらに前面レンズ3を透過して外部(車両の前方)に照射されてフォグランプ等として機能する。
【0030】
一方、サブ光源ユニット6のサブ半導体発光素子13から放射された光L2は、図3及び図4に示すように導光体14の凸レンズ部15及び導光部16にそれぞれ入射される。凸レンズ部15では入射された光を収束して車両前方に投射し、デイタイムランニングランプとして機能する。一方、導光部16では筒状内部から光の一部が入射され、この光が反射・拡散を繰り返し、この繰り返しで発光面積を拡大させながらレンズ板部19(前面レンズ3の後面近傍)まで導かれ、該レンズ板部19の全体が発光した状態に見せる。これにより、リフレクタ8の延長上に凸レンズ部15を通って照射されて来る円形をした光と導光部16から導かれて来る光がレンズ板部19の疑似発光として同時に得られ、凸レンズ部15を通って照射された光はデイタイムランニングランプとして利用し、導光部16からの光は発光面積の拡大と装飾用として利用できる。
【0031】
以上説明したように、本実施例のフォグランプ1では、サブ光源ユニットの点灯時、凸レンズ部15を通って来るデイタイムランニングランプの光と導光部16から導かれて来る光で発光するレンズ板部19における疑似発光を、リフレクタ8の延長上に得ることができる。しかも、導光部16は、該導光部16内部における光の反射・拡散により発光面積を広くし、レンズ板部19の全体を疑似発光状態にするので、灯具点灯時における装飾性が向上し、意匠効果を高めることができる。同時に、サブ半導体発光素子13の前側に配設された導光体14によって該サブ半導体発光素子13が前方から直接見えないように隠しているので、さらに意匠効果を高めることができる。
【0032】
また、疑似発光している複数個の導光部16が列をなした状態で視認されるので、被視認性及び意匠効果が高まる。しかも、各導光部16,16間に隙間20を設け、この隙間20によって隣り合う導光部16から各々漏れて来る光を遮断し、隣同士における光の干渉をなくしているのでクリアな疑似発光が可能になる。
【0033】
さらに、サブ半導体発光素子として、発光色が白色のサブ半導体発光素子13と青色のサブ半導体発光素子13を使用しているので、昼夜の区別なく視認でき、被視認性を高める。
【0034】
また、さらに導光体14のレンズ板部19を、メイン光源ユニット5における半導体発光素子7の光が入射される位置に設けているので、サブ光源ユニット6のサブ半導体発光素子13が点灯していない場合も、メイン光源ユニット5における半導体発光素子7が発光していれば、該メイン光源ユニット5からの光が導光体14のレンズ板部19に入射されて該導光部16が疑似発光の状態となり、発光面積の拡大に寄与することになる。
【0035】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明はフォグランプに適用した場合について説明したが、前照灯や標識灯の車両用灯具としても応用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 フォグランプ(車両用灯具)
2 ランプボディ
3 前面レンズ
4 灯室
5 メイン光源ユニット
6 サブ光源ユニット
7 半導体発光素子
8 リフレクタ
9 基板
10 半導体チップ
11 光透過部材
12 反射面
13 サブ半導体発光素子
14 導光体
15 凸レンズ部
16 導光部
17 ブラケット
18 基板
19 レンズ板部
20 隙間
21 脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプボディと前面レンズで画成された灯室内に、光源である半導体発光素子と該半導体発光素子からの出射光を車両前方に導くリフレクタを有してなる光源ユニットを備えた車両用灯具であって、
前記リフレクタのほぼ延長上に配設された導光体と該導光体の後側に配設されたサブ半導体発光素子を有するサブ光源ユニットを備えるとともに、
前記導光体が、前記サブ半導体発光素子からの出射光をそれぞれ車両前方に向けて投射する凸レンズ部と、該凸レンズ部の外周部から前記灯具の後方に向かって前記サブ半導体発光素子の外周部まで延ばされ、該サブ半導体発光素子からの出射光を前端面から前記灯具の前方に出射させる筒状の導光部を有してなることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
上記導光体は上記レンズ部と上記導光部を有する導光部分を複数個、各々適宜の間隔をおいて列状に配設してなり、上記サブ半導体発光素子は前記導光部分に各々対応して複数個配設されてなることを特徴とする請求項2記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記導光体は、上記リフレクタと一体に形成されてなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記複数個のサブ半導体発光素子は、発光色が白色のサブ半導体発光素子と発光色が青色のサブ半導体発光素子を適宜に配置してなることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項5】
上記導光体は、上記メインの光源ユニットにおける半導体発光素子からの出射光が入射される位置に配設してなることを特徴とする請求項1,2,3,4のいずれかに記載の車両用灯具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−18563(P2011−18563A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162443(P2009−162443)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】