説明

電源装置及びそれを用いた放電灯点灯装置、LED電源装置並びに照明装置

【課題】コストアップを抑えつつ待機電力を低減させた電源装置及びそれを用いた放電灯点灯装置、LED電源装置並びに照明装置を提供する。
【解決手段】電源装置14は、商用交流電源1から受けた電力を蛍光ランプ12に供給する昇圧チョッパ回路4と、抵抗Rd4,Rd5の直列回路を有し、商用交流電源1に対して昇圧チョッパ回路4と並列的に接続されるチョッパ電圧検出回路6と、チョッパ電圧検出回路6の検出結果に基づいて昇圧チョッパ回路4の出力を制御するマイコン8及びフィードバック制御回路13と、マイコン8に動作電源を供給する制御電源回路11と、制御電源回路11の出力端とチョッパ電圧検出回路6の出力端の間に接続され、マイコン8により昇圧チョッパ回路4が停止されるとチョッパ電圧検出回路6への入力電流をマイコン8の動作電源として供給するダイオードD3とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及びそれを用いた放電灯点灯装置、LED電源装置並びに照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電源装置の分野において、負荷への電力供給を停止して待機している状態での消費電力(待機電力)を低減することは重要な特性である。上記の待機電力は待機中に制御回路で消費される電力であるが、この制御回路に給電するための専用の電源回路はコスト低減のため省略されることが多い。また、通信機能を備えた電源装置では、待機電力が増加する傾向にある。
【0003】
特許文献1に示す照明装置は、赤外線によるリモコン信号を受信する機能を備えた照明装置であり、制御回路(マイコン)の待機電力を低減させる技術が開示されている。この技術によれば、上記のリモコン信号を受信していないときはマイコンへの電力供給を停止し、上記のリモコン信号を受信するとマイコンへの電力供給を開始させており、その結果、待機中の消費電力を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−312591号公報(段落[0006]−段落[0013]、及び、第1,2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、通信を開始させるリモコン信号の送信期間が短い場合、マイコンの起動時間が問題となる。つまり、マイコンでは、受信したリモコン信号に含まれるデータを復号する処理を行っているため、リモコン信号の種類によってはマイコンの起動が間に合わないこともあり、その結果、リモコン信号を正常に受信できない場合があった。そのため、この場合には待機中もマイコンに電力を供給し続けることが必要になるが、待機電力を低減するためにはスイッチング方式の電源回路を用いなければならず、コストアップになっていた。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、コストアップを抑えつつ待機電力を低減させた電源装置及びそれを用いた放電灯点灯装置、LED電源装置並びに照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電源装置は、電源から受けた電力を負荷に供給する第1の電源回路と、複数の抵抗の直列回路を有し、電源に対して第1の電源回路と並列的に接続される少なくとも1つの検出回路と、検出回路の検出結果に基づいて第1の電源回路の出力を制御する出力制御回路と、出力制御回路に動作電源を供給する第2の電源回路と、第2の電源回路の入力端又は出力端と検出回路の出力端の間に接続され、出力制御回路により第1の電源回路が停止されると検出回路への入力電流を出力制御回路の動作電源として供給する電力供給手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この電源装置において、電源の入力端間にスイッチ素子を介して接続された複数の抵抗の直列回路からなる第1の検出回路を検出回路として備え、電力供給手段は、第1の検出回路の抵抗間に接続されており、出力制御回路は、第1の電源回路を停止させた状態ではスイッチ素子をオフにしているのが好ましい。
【0009】
また、この電源装置において、電源に対して第1の検出回路と並列的に接続された複数の抵抗の直列回路からなる第2の検出回路を検出回路として備え、電力供給手段は、第2の検出回路への入力電流の少なくとも一部を出力制御回路の動作電源として供給するのも好ましい。
【0010】
本発明の放電灯点灯装置は、上記電源装置を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明のLED電源装置は、上記電源装置を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明の照明装置は、上記電源装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
コストアップを抑えつつ待機電力を低減させた電源装置、放電灯点灯装置、LED電源装置及び照明装置を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の照明装置の一例を示す回路図である。
【図2】同上の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図3】同上の動作を説明するための別のタイムチャートである。
【図4】同上の動作を説明するためのさらに別のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、照明装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は本実施形態の照明装置の一例を示す回路図であり、この照明装置は、電源装置14と、電源装置14から供給される点灯電力により点灯する蛍光ランプ(負荷)12とを備える。
【0017】
電源装置14は、商用交流電源(電源)1の交流電圧Voutを整流する整流回路2と、整流回路2により整流された直流電圧Vblkを所望の電圧値の直流電圧Vdcまで昇圧する昇圧チョッパ回路(第1の電源回路)4と、昇圧チョッパ回路4から出力される直流電圧Vdcを高周波の交流出力に変換するインバータ回路5とを備える。また、電源装置14は、昇圧チョッパ回路4の出力を制御するマイコン8及びフィードバック制御回路13と、整流回路2から出力される直流電圧Vblkを検出することで電源電圧を検出する電源電圧検出回路3と、昇圧チョッパ回路4から出力される直流電圧Vdcを検出するチョッパ電圧検出回路6と、蛍光ランプ12の有無や蛍光ランプ12のフィラメント断線を検出する無負荷検出回路7とを備える。さらに、電源装置14は、フィードバック制御回路13及びインバータ回路5に動作電源Vccを供給する制御電源回路10と、マイコン8に動作電源Vddを供給する制御電源回路(第2の電源回路)11とを備える。ここに、整流回路2の出力端間には、昇圧チョッパ回路4の入力インピーダンスを下げるための平滑コンデンサC1が接続されており、この平滑コンデンサC1は、例えば0.1μF程度の容量を有している。
【0018】
電源電圧検出回路3は、複数(図1では3個)の抵抗Rd1〜Rd3の直列回路を有し、整流回路2により整流された直流電圧Vblkをマイコン8で監視するのに適した電圧に分圧する。本例では、抵抗Rd2と抵抗Rd3の接続点の電圧、つまり抵抗Rd3の両端電圧Vm1がマイコン8に入力され、マイコン8では、この両端電圧Vm1から入力電源のONからOFFへの変化を検出して、それまでの動作に関する各種のデータを内部メモリに保存する。ここに、この電源電圧検出回路3に流れる電流は平均100μA程度になるように設計される。また、商用交流電源1の交流電圧VoutがAC100V〜200Vで動作するように設計する場合には、交流電圧Vout=100Vでも十分電流が流れるように設計する必要がある。なお、本実施形態では、電源電圧検出回路3により第2の検出回路が構成されている。
【0019】
昇圧チョッパ回路4は、トランスTr1、スイッチング素子Q1、ダイオードD1、電解コンデンサC2及びフィードバック制御回路13で構成され、整流回路2から出力される直流電圧Vblkを所望の電圧値の直流電圧Vdcまで昇圧し、後段のインバータ回路5に供給する。フィードバック制御回路13は、スイッチング素子Q1を高周波でON/OFF制御し、電解コンデンサC2の両端電圧Vdcが所定の電圧値となるようにフィードバック制御を行っている。また、フィードバック制御回路13は、マイコン8から出力される制御信号EN2に応じてチョッパ動作を開始又は停止する。
【0020】
チョッパ電圧検出回路6は、複数(図1では2個)の抵抗Rd4,Rd5の直列回路と、この直列回路に直列接続されたスイッチ素子Q2とで構成され、昇圧チョッパ回路4が動作している間は、マイコン8から出力される制御信号SC1によりスイッチ素子Q2がONし、抵抗Rd4と抵抗Rd5の接続点の電圧、つまり抵抗Rd5の両端電圧Vfb1がフィードバック制御回路13に入力される。また、マイコン8から出力される制御信号EN2により昇圧チョッパ回路4及びインバータ回路5が停止している間は、スイッチ素子Q2は制御信号SC1によりOFFにされる。ここに、抵抗Rd4,Rd5の抵抗値は、昇圧チョッパ回路4の動作時に当該チョッパ電圧検出回路6に流れる電流が100μA程度になるように設定されるが、これはフィードバック制御回路13への入力電流(約1μA)より十分大きい値とするためである。
【0021】
ここで、フィードバック制御回路13では、チョッパ電圧検出回路6から入力される抵抗Rd5の両端電圧Vfb1と所定の基準電圧Vref1とが一致するようにスイッチング素子Q1のオン時間を制御する。なお、上記の基準電圧Vref1は、例えば2.5Vに設定される。
【0022】
無負荷検出回路7は、複数(図1では4個)の抵抗Rd6〜Rd9の直列回路と、この直列回路に直列接続された上述のスイッチ素子Q2とで構成され、この回路中を流れる電流の有無を検出することで、蛍光ランプ12の有無や蛍光ランプ12のフィラメント断線を検出する。例えば、フィラメントが断線した場合には抵抗Rd9に電流が流れなくなるため、抵抗Rd8と抵抗Rd9の接続点の電圧、つまり抵抗Rd9の両端電圧Vk2は0Vになる。そして、マイコン8は、この両端電圧Vk2が0Vになったことを検出すると、インバータ回路5を停止させるなどの出力制御を行う。ここに、抵抗Rd6〜Rd9の抵抗値は、当該無負荷検出回路7に流れる電流が100μA程度になるように設定される。なお、本実施形態では、チョッパ電圧検出回路6と無負荷検出回路7とで第1の検出回路が構成されている。
【0023】
制御電源回路10は、昇圧チョッパ回路4から出力される直流電圧Vdcが入力されて、フィードバック制御回路13及びインバータ回路5の動作電源Vccを生成する。また、制御電源回路10は、マイコン8から出力される制御信号EN1に応じて起動又は停止する。ここに、昇圧チョッパ回路4が動作している間は、トランスTr1の二次巻線W2、抵抗R2、ダイオードD2及びコンデンサC3で構成される補助電源回路から動作電源Vccが供給されるため、制御電源回路10は停止している。
【0024】
制御電源回路11は、例えばシリーズレギュレータなどで構成され、制御電源回路10又は上記の補助電源回路で生成された動作電源Vccが入力されて、マイコン8の動作電源Vddを生成する。なお、動作電源Vccは動作電源Vddよりも高く、例えば10V〜15Vであり、動作電源Vddは、例えば2.8V〜5.0Vである。
【0025】
インバータ回路5は、例えばハーフブリッジ型のインバータ回路であり、昇圧チョッパ回路4から入力された直流電圧Vdcを高周波の交流出力に変換し、直流カットキャパシタCd3を介して蛍光ランプ12に供給する。このインバータ回路5は、マイコン8から出力される制御信号EN2に応じて発振を開始又は停止する。
【0026】
マイコン8は、フィードバック制御回路13及びインバータ回路5に対して制御信号EN2を出力し、両回路5,13を起動又は停止させる。また、マイコン8は、制御電源回路10に対して制御信号EN1を出力し、制御電源回路10を起動又は停止させる。さらに、マイコン8は、電源電圧検出回路3から入力される抵抗Rd3の両端電圧Vm1により直流電圧Vblkの電圧値を監視するとともに、無負荷検出回路7から入力される抵抗Rd9の両端電圧Vk2により蛍光ランプ12の有無やフィラメント断線を検出する。また、マイコン8は、制御信号SC1によりスイッチ素子Q2のON/OFFを制御し、待機時の電力ロスを低減する制御を行う。つまり、昇圧チョッパ回路4及びインバータ回路5を停止させている間はスイッチ素子Q2をOFFにし、昇圧チョッパ回路4及びインバータ回路5を起動している間はスイッチ素子Q2をONにしている。ここに、本実施形態では、フィードバック制御回路13とマイコン8とで出力制御回路が構成されている。
【0027】
ここにおいて、9は通信インターフェース回路であり、この通信インターフェース回路9には外部からの設定信号が入力される。設定信号としては点灯・消灯信号や調光レベル信号、アドレス設定信号などがあり、通信インターフェース回路9で受信した各種の設定信号はマイコン8に伝送され、マイコン8ではこれらの設定信号に基づいて昇圧チョッパ回路4及びインバータ回路5の動作を制御する。
【0028】
ここで、電源電圧検出回路3の抵抗Rd1と抵抗Rd2の接続点と、制御電源回路11の出力端(マイコン8の電源入力端子Vdd)との間にはダイオードD4が接続されており、抵抗Rd1と抵抗Rd2の接続点の電圧が動作電源Vddよりも高いときには、抵抗Rd1に流れる電流の一部がマイコン8の動作電源として供給される。
【0029】
また、チョッパ電圧検出回路6の抵抗Rd4と抵抗Rd5の接続点と、制御電源回路11の出力端(マイコン8の電源入力端子Vdd)との間にはダイオードD3が接続されており、マイコン8の制御信号SC1によりスイッチ素子Q2がOFFになり、且つ、抵抗Rd5の両端電圧Vfb1が動作電源Vddよりも高いときには、抵抗Rd4に流れる電流がマイコン8の動作電源として供給される。さらに、無負荷検出回路7の抵抗Rd7と抵抗Rd8の接続点と、制御電源回路11の出力端(マイコン8の電源入力端子Vdd)との間にはダイオードD5が接続されており、マイコン8の制御信号SC1によりスイッチ素子Q2がOFFになり、且つ、抵抗Rd8と抵抗Rd9の接続点の電圧が動作電源Vddよりも高いときには、抵抗Rd6,Rd7に流れる電流がマイコン8の動作電源として供給される。
【0030】
つまり、昇圧チョッパ回路4及びインバータ回路5を停止させた状態(待機状態)では、上記の補助電源回路や制御電源回路10から動作電源Vccが出力されないため、このままではマイコン8が停止することになるが、上述のように抵抗Rd1に流れる電流の一部、抵抗Rd4に流れる電流、及び抵抗Rd6に流れる電流をマイコン8の動作電源として供給することで、待機状態において制御電源回路10を起動させることなくマイコン8を起動し続けることができ、しかも制御電源回路10を起動させなくてもいいことから、待機電力を低減することができる。ここに、本実施形態では、ダイオードD3〜D5により電力供給手段が構成されている。
【0031】
次に、図2は電源装置14の動作を説明するタイムチャートである。時刻t1以前では、マイコン8から出力される制御信号EN2がLowであるため、昇圧チョッパ回路4及びインバータ回路5が安定に動作し、蛍光ランプ12が点灯した状態にある。このとき、制御信号EN1がLowであるため、制御電源回路10は動作電源Vccを生成しておらず、動作電源Vccは上記の補助電源回路により生成される。またこのとき、制御信号SC1がHighであるため、スイッチ素子Q2がONしており、フィードバック制御回路13には抵抗Rd5の両端電圧Vfb1が入力される。ここで、両端電圧Vfb1は、
Vfb1=Vdc×Rd5/(Rd4+Rd5)
で求められる。また、昇圧チョッパ回路4が定常状態にあるときは、両端電圧Vfb1は基準電圧Vref1に略等しくなるように制御される。
【0032】
続けて、時刻t1のときに外部から消灯待機モードに移行するための制御信号が入力されると、マイコン8は制御信号EN2をHighにして、フィードバック制御回路13及びインバータ回路5の動作を停止させる。そして、フィードバック制御回路13により昇圧チョッパ回路4を停止させると、上記の補助電源回路からの動作電源Vccの供給がストップするため、フィードバック制御回路13も停止する。このとき、電解コンデンサC2の両端電圧Vdcも低下していき、商用交流電源1のピーク値付近で安定する。
【0033】
さらに、時刻t1から数100μs経過した時刻t2のときに制御信号SC1がLowに切り替わると、スイッチ素子Q2がOFFになり、チョッパ電圧検出回路6及び無負荷検出回路7の動作が停止される。
【0034】
さらに、時刻t3のときに抵抗Rd5の両端電圧Vfb1≧Vdd+0.4(V)になると、両端電圧Vfb1=Vdd+0.4(V)で制限され、それと同時にダイオードD3には順方向電流(バイアス電流)I1が流れ、マイコン8に動作電源として供給される。このとき、抵抗Rd7と抵抗Rd8の接続点の電圧もVdd+0.4(V)を上回ることから、ダイオードD5にも順方向電流(バイアス電流)が流れる。なお、上記の0.4VはダイオードD3,D5の順方向電圧であり、この順方向電圧は実際には0.3V〜0.4V程度である。
【0035】
次に、時刻t3〜時刻t4の期間では、ダイオードD3の順方向電流I1が継続して流れるとともに、ダイオードD5の順方向電流も継続して流れる。つまり、マイコン8の電源入力端子Vddには、ダイオードD3の順方向電流I1及びダイオードD5の順方向電流が供給されることになり、合計で200μA程度の電流が供給される。
【0036】
さらに、時刻t4のときに外部から点灯モードに移行するための制御信号が入力されると、マイコン8は制御信号SC1をHighにしてスイッチ素子Q2をONにするとともに、制御信号EN1をHighにして制御電源回路10を起動させて、フィードバック制御回路13及びインバータ回路5の動作電源Vccを生成させる。このとき、スイッチ素子Q2がONになることでチョッパ電圧検出回路6及び無負荷検出回路7が動作を開始するが、両検出回路6,7の検出信号が安定するまでの時間は数100μsで十分である。つまり、時刻t5のときには両検出回路6,7の検出信号は安定している。
【0037】
動作電源Vcc、検出信号Vfb1,Vk2が十分安定した時刻t5以降では、マイコン8は制御信号EN2をLowにしてフィードバック制御回路13及びインバータ回路5を起動させる。そして、昇圧チョッパ回路4が起動した時刻t6のときには、上記の補助電源回路(二次巻線W2、抵抗R2、ダイオードD2及びコンデンサC3で構成される電源回路)から動作電源Vccが供給されるため、マイコン8は制御信号EN1をOFFにして制御電源回路10を停止する。その結果、昇圧チョッパ回路4の動作中においては、制御電源回路10で消費される電力の分だけ電力消費を抑えることができる。
【0038】
次に、図3は蛍光ランプ12の点灯時におけるダイオードD4の順方向電流I2の時間変化を示している。図3中のVblkは整流回路2から出力される直流電圧であり、商用交流電源1の交流電圧Voutを全波整流した電圧波形が表されている。図3では、時刻t2と時刻t5のときに商用交流電源1の交流電圧Voutが0Vになっている。また、図3中のVm1は抵抗Rd2と抵抗Rd3の接続点の電圧、つまり抵抗Rd3の両端電圧であり、この両端電圧Vm1はマイコン8に入力される。マイコン8では、この両端電圧Vm1が一定時間以上Lowになったことを検出することで、入力電源がOFFになったことを検出し、それまでの動作に関する各種のデータを内部メモリに保存する。なお、上記の両端電圧Vm1は、図3に示すように所定の電圧レベルV1で制限された形となっている。
【0039】
ここで、抵抗Rd1と抵抗Rd2の接続点の電圧がマイコン8の動作電源Vdd+0.4(V)以上になる時刻t3〜時刻t4の期間ではダイオードD4がONになり、順方向電流(バイアス電流)I2が流れる。そのため、抵抗Rd3の両端電圧Vm1は、図3に示すように所定の電圧レベルV1で制限された形となる。なお、上記の順方向電流I2は、動作電源としてマイコン8に供給される。
【0040】
また、図4は蛍光ランプ12の消灯時におけるダイオードD4の順方向電流I2の時間変化を示している。なお、図4中のVblkは整流回路2から出力される直流電圧を、Vm1は抵抗Rd3の両端電圧をそれぞれ示している。ここで、上述した図3と比較すると、整流回路2から出力される直流電圧Vblkの谷部(電圧が最も低くなった部分)が全体的に高くなっていることが分かる。これは、昇圧チョッパ回路4を停止させたときに、整流回路2の出力端間に接続されたコンデンサC1の放電量が少なくなるためである。また、抵抗Rd3の両端電圧Vm1は、図3と比較すると所定の電圧レベルV1に制限されていない時間T2が短くなり(T2<T1)、ダイオードD4に順方向電流I2が流れる期間が長くなる。その結果、マイコン8に供給される順方向電流I2が多くなり、マイコン8の電源電流を多く確保することができる。
【0041】
ここにおいて、マイコン8の動作時の消費電流は5mA程度であり、例えば商用交流電源1の交流電圧Vout=240Vの場合には、待機時に5mAの電流をシリーズレギュレータで確保しようとすると待機電力は1.2W必要になる。また、待機時にマイコン8のクロック数を下げることで消費電流を2mAまで低下させることは可能であり、このとき待機電力は0.48Wまで低減できるが、省エネルギーの観点からはさらに低減することが必要である。さらに、クロックを停止させることで消費電流を10μAまで低減できるマイコンもあるが、通信性能を確保するためには、ある程度の処理を行いながら待機状態を維持する必要がある。
【0042】
一方、本実施形態の場合、電源電圧検出回路3を構成する抵抗Rd1、チョッパ電圧検出回路6を構成する抵抗Rd4及び無負荷検出回路7を構成する抵抗Rd6それぞれに100μA程度のバイアス電流を設定しているので、全体として0.3mA程度の待機電力を確保でき、その結果、0.1W程度の待機電力を低減することができる。
【0043】
また、昇圧チョッパ回路4を、商用交流電源1の交流電圧Vout=100V〜240Vまで対応させようとした場合、各検出回路3,6,7のバイアス電流は増加する傾向にあり、上記の効果はさらに高められる。例えば、電源電圧検出回路3の抵抗Rd1に流れるバイアス電流を、交流電圧Vout=100Vのときに100μAに設定すると、交流電圧Vout=240Vのときには240μAのバイアス電流が流れることになる。したがって、上記のバイアス電流によって、商用交流電源1の交流電圧Voutが増加した場合でも待機電力が増加するのを抑えることができる。
【0044】
さらに、上述のように各検出回路3,6,7のバイアス電流をマイコン8の待機電力として利用しているので、スイッチング方式の電源回路を用いる場合に比べてコストアップを抑えることができる。また、本実施形態のように、チョッパ電圧検出回路6のスイッチ素子と、無負荷検出回路7のスイッチ素子をスイッチ素子Q2で兼用した場合には、さらにコストアップを抑えることができる。
【0045】
なお、本実施形態では、チョッパ電圧検出回路6と無負荷検出回路7とでスイッチ素子Q2を共用しているが、個別にスイッチ素子を設けてもよい。また、本実施形態では、制御電源回路10の入力電源を昇圧チョッパ回路4の出力端から取っているが、整流回路2の出力端から取るように構成してもよい。さらに、自己の動作電源Vddをモニターする機能をマイコン8に設けてもよく、このモニター機能を利用して動作電源Vddの電圧低下を検出した場合には、制御信号EN1により制御電源回路10を起動させることで、制御電源回路11から動作電源Vddを供給することができ、その結果、動作電源Vddを維持することができる。
【0046】
また、本実施形態では、電源装置14を備えた放電灯点灯装置を例に説明したが、例えばLEDを負荷とするLED電源装置であってもよく、同様にコストアップを抑えつつ待機電力を低減することができる。さらに、待機電力に利用するためのバイアス電流を生成する回路は本実施形態に限定されるものではなく、例えば位相調光(トライアック調光)を行う場合には、調光レベル検出やトライアックの保持電流のためのバイアス電流回路などであってもよい。
【0047】
また、本実施形態では、外部からの制御信号に応じて待機状態に移行する場合を例に説明したが、例えば無負荷検出回路7により蛍光ランプ12の異常(フィラメントの断線)を検出し、昇圧チョッパ回路4及びインバータ回路5を停止した場合においても同様な制御を行うことで、消費電力を低減することができる。さらに、本実施形態では、入力電源が交流の場合を例に説明したが、直流であってもよい。また、本実施形態では、各検出回路3,6,7のバイアス電流を制御電源回路11の出力端に供給しているが、供給先は制御電源回路11の入力端であってもよく、同様にコストアップを抑えつつ待機電力を低減することができる。
【0048】
さらに、本実施形態では、第1の検出回路(チョッパ電圧検出回路6及び無負荷検出回路7)及び第2の検出回路(電源電圧検出回路3)の両方を備えた場合を例に説明したが、第1の検出回路のみであってもいいし、第2の検出回路のみであってもよい。また、本実施形態では、第1の電源回路が昇圧チョッパ回路4の場合を例に説明したが、例えば降圧チョッパ回路や昇降圧チョッパ回路であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
4 昇圧チョッパ回路(第1の電源回路)
6 チョッパ電圧検出回路(第1の検出回路)
8 マイコン(出力制御回路)
11 制御電源回路(第2の電源回路)
12 蛍光ランプ(負荷)
13 フィードバック制御回路(出力制御回路)
14 電源装置
D3 ダイオード(電力供給手段)
Rd4,Rd5 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から受けた電力を負荷に供給する第1の電源回路と、
複数の抵抗の直列回路を有し、前記電源に対して前記第1の電源回路と並列的に接続される少なくとも1つの検出回路と、
前記検出回路の検出結果に基づいて前記第1の電源回路の出力を制御する出力制御回路と、
前記出力制御回路に動作電源を供給する第2の電源回路と、
前記第2の電源回路の入力端又は出力端と前記検出回路の出力端の間に接続され、前記出力制御回路により前記第1の電源回路が停止されると前記検出回路への入力電流を前記出力制御回路の動作電源として供給する電力供給手段とを備えていることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記電源の入力端間にスイッチ素子を介して接続された複数の抵抗の直列回路からなる第1の検出回路を前記検出回路として備え、
前記電力供給手段は、前記第1の検出回路の抵抗間に接続されており、
前記出力制御回路は、前記第1の電源回路を停止させた状態では前記スイッチ素子をオフにしていることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記電源に対して前記第1の検出回路と並列的に接続された複数の抵抗の直列回路からなる第2の検出回路を前記検出回路として備え、
前記電力供給手段は、前記第2の検出回路への入力電流の少なくとも一部を前記出力制御回路の動作電源として供給することを特徴とする請求項2記載の電源装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の電源装置を備えていることを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか1項に記載の電源装置を備えていることを特徴とするLED電源装置。
【請求項6】
請求項1〜3の何れか1項に記載の電源装置を備えていることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−175820(P2012−175820A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35906(P2011−35906)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】