説明

顔認証データベース構築方法、顔認証装置及び顔認証プログラム

【課題】撮像装置で撮像された画像データ内に複数の利用者の顔画像データが存在する場合に、認証対象者となる利用者の顔画像データを正確かつ効率的に顔認証データベースに自動登録することを課題とする。
【解決手段】カメラ3により撮像された利用者の顔画像データを検出する顔画像検出部12と、カメラ3により撮像された画像データ内の利用者のカメラ3からの位置を算出し、該算出結果をもとに操作器2から利用者までの距離を算出する距離算出部13と、操作器2の操作が行われ、操作器2から利用者までの距離が所定距離Dth以下である場合に、最小距離の利用者の顔画像と利用者IDとを関連付けて顔認証データベース5に登録する登録処理部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カメラ等の撮像装置で撮像された画像データ内に、複数の利用者の顔部分を含む部分画像データ(以下、「顔画像データ」と言う)が存在する場合に、認証対象者となる利用者の顔画像データを正確かつ効率的に顔認証データベースに自動登録することができる顔認証データベース構築方法、顔認証装置及び顔認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、認証対象者となる利用者に対して会員証や社員証などのIDカード(Identity Card)を発行しておき、各利用者の入退出時にIDカードに記録した利用者識別情報(以下、「利用者ID」と言う)をリーダライタで読み取って個人認証を行う個人認証システムが知られている。また、かかるIDカードの偽造等の不正に対応するために、利用者の指紋を用いた個人認証を行う個人認証システムも知られている。
【0003】
ところが、上記指紋認証技術等を用いる場合には、利用者を認証する度に該利用者を静止させて指紋を採取しなければならず、利用者の利便性等の観点から見て好ましくない。このため、最近では、歩行する利用者を静止させなくとも個人認証を行うことができる顔認証技術が注目されている。例えば、特許文献1には、あらかじめ利用者の顔画像データの特徴量を辞書情報として登録しておき、歩行中の利用者がカメラに近づく際に、該カメラで利用者の顔部分を撮像して顔画像データを取得し、取得した利用者の顔画像データの特徴量と辞書情報の内容とを照合して利用者の顔認証を行う技術が開示されている。
【0004】
しかし、この特許文献1に代表される従来の顔認証システムによれば、あらかじめ利用者の顔画像データを顔認証データベースに登録しなければならないため、利用者自身及び顔認証データベースの作業者に負担を強いる結果となる。顔部分を撮影した顔画像データを顔認証データベースに登録する時間が利用者及び作業者に必要であり、また作業者が該顔画像データを手動で編集する必要が生ずるからである。特に、人の顔は経年変化する性質があるため、定期的に上記負担が生ずる。
【0005】
このため、特許文献2では、出入口の近くにカードリーダ及びカメラを設置しておき、利用者IDが付与されたIDカードがカードリーダで読み込まれた際に、該カメラに映っている人物の顔画像データを利用者IDに関連付けて顔認証データベースに自動登録するよう構成した入退室管理装置が開示されている。この特許文献2を用いると、初回のみ利用者の顔画像データを利用者IDに関連付けて登録しておけば、2回目以降はIDカードの読取操作を行わなくとも出入口を通過することができる。また、利用者の顔画像データが自動取得され、自動取得された顔画像データが利用者IDに関連付けて顔認証データベースに自動登録されるため、利用者及び作業者の負担を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−104599号公報
【特許文献2】特開2005−146709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2を用いたとしても、複数の利用者が連れだって歩行し、カメラで撮像された画像データ内に複数の利用者の顔部分が映ってしまうと、各利用者の顔画像データのいずれを利用者IDと関連付けるべきかが不明確になってしまう。その結果、一人の利用者のみをカメラで撮影できる位置(例えば、リーダライタの手前)まで利用者を誘導しないと、利用者IDに対応する顔画像データが正しく登録できなくなるという問題が生ずる。
【0008】
これらのことから、カメラで撮像された画像データ内に複数の利用者の顔画像データが存在する場合に、認証対象者となる利用者の顔画像データをいかにして正確かつ効率的に顔認証データベースに自動登録するかが重要な課題となっている。なお、かかる課題は、カメラで利用者の静止画を撮像するだけではなく、ビデオカメラで動画を撮影して静止画を切り出す場合にも同様に生ずる課題である。
【0009】
本発明は、上述した従来技術の課題を解消するためになされたものであって、撮像装置で撮像された画像データ内に、複数の利用者の顔画像データが存在する場合に、認証対象者となる利用者の顔画像データを正確かつ効率的に顔認証データベースに自動登録することができる顔認証データベース構築方法、顔認証装置及び顔認証プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、利用者の操作に応答して該利用者を一意に識別する利用者識別情報を取得する操作器の近傍に配設された撮像装置によって撮像された利用者の顔画像データを前記操作器により取得された利用者識別情報と関連付けて顔認証データベースに登録する顔認証データベース構築方法であって、前記操作器が操作されたか否かを検出する操作検出工程と、前記撮像装置により撮像された画像データ内の利用者の顔部分を含む顔画像データを検出する顔画像データ検出工程と、前記顔画像データが検出された利用者の前記撮像装置からの位置を算出し、該算出結果をもとに前記操作器から前記利用者までの距離を算出する距離算出工程と、前記操作器の操作が検出され、前記操作器から前記利用者までの距離が所定距離以下である場合に、最小距離の利用者の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて前記顔認証データベースに登録する登録処理工程とを含んだことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、利用者の操作に応答して該利用者を一意に識別する利用者識別情報を取得する操作器の近傍に配設された撮像装置によって撮像された利用者の顔画像データを前記操作器により取得された利用者識別情報と関連付けて顔認証データベースに登録する顔認証データベース構築方法であって、前記操作器が操作されたか否かを検出する操作検出工程と、前記撮像装置により撮像された画像データ内の利用者の顔部分を含む顔画像データを検出しつつ該利用者を追跡し、該追跡された利用者の一連の顔画像データを関連付けて保持する追跡処理工程と、追跡されている利用者の前記撮像装置からの位置を算出し、該算出結果をもとに前記操作器から前記利用者までの距離を算出する距離算出工程と、前記操作器の操作が検出され、前記操作器から前記利用者までの距離が所定距離以下である場合に、最小距離の利用者の顔画像データをもつ前記一連の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて前記顔認証データベースに登録する登録処理工程とを含んだことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記登録処理工程は、前記最小距離の利用者の顔画像データと同一の利用者識別情報が関連付けられた前記顔認証データベースの登録済みの顔画像データと、前記一連の顔画像データとの類似度を算出し、該一連の顔画像データのうちの所定の類似度以上を有した顔画像データを前記顔認証データベースに登録することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記登録処理工程は、前記最小距離の利用者の顔画像データと該最小距離の利用者の顔画像データ以外の一連の顔画像データとの類似度を算出し、前記一連の顔画像データのうちの所定の類似度以上を有した顔画像データを、前記最小距離の利用者の顔画像データとともに登録することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記撮像装置により撮像された画像データ内の複数の利用者のうちの一人の利用者が前記登録処理工程によって登録された場合に、該登録された利用者からの距離が所定範囲内の利用者であって前記登録処理工程によって登録されない利用者が存在すると判定されたならば、該利用者を不審者として警報出力する警報出力工程をさらに含んだことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、利用者の操作に応答して該利用者を一意に識別する利用者識別情報を取得する操作器と、該操作器の近傍に配設された利用者を撮像する撮像装置と、該撮像装置により撮像された利用者の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて登録する顔認証データベースとを有し、該顔認証データベースを用いて利用者の顔認証を行う顔認証装置であって、前記撮像装置により撮像された利用者の顔画像データを検出する顔画像検出部と、前記撮像装置により撮像された画像データ内の利用者の前記撮像装置からの位置を算出し、該算出結果をもとに前記操作器から前記利用者までの距離を算出する距離算出部と、前記操作器に対する操作が行われ、前記操作器から前記利用者までの距離が所定距離以下である場合に、最小距離の利用者の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて前記顔認証データベースに登録する登録処理部とを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、利用者の操作に応答して該利用者を一意に識別する利用者識別情報を取得する操作器と、該操作器の近傍に配設された利用者を撮像する撮像装置と、該撮像装置により撮像された利用者の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて登録する顔認証データベースとを有し、該顔認証データベースを用いて利用者の顔認証を行う顔認証装置であって、前記撮像装置により撮像された画像データ内の利用者の顔画像データを検出しつつ該利用者を追跡し、該追跡された利用者の一連の顔画像データを関連付けて保持する追跡処理部と、追跡されている利用者の前記撮像装置からの位置を算出し、該算出結果をもとに前記操作器から前記利用者までの距離を算出する距離算出部と、前記操作器の操作が行われ、前記操作器から前記利用者までの距離が所定距離以下である場合に、最小距離の利用者の顔画像データが関連付けられた前記一連の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて前記顔認証データベースに登録する登録処理部とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、利用者の操作に応答して該利用者を一意に識別する利用者識別情報を取得する操作器と、該操作器の近傍に配設された利用者を撮像する撮像装置と、該撮像装置により撮像された利用者の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて登録する顔認証データベースとを有し、該顔認証データベースを用いて利用者の顔認証を行う顔認証装置の顔認証プログラムであって、前記撮像装置により撮像された利用者の顔画像データを検出する顔画像検出手順と、前記撮像装置により撮像された画像データ内の利用者の前記撮像装置からの位置を算出し、該算出結果をもとに前記操作器から前記利用者までの距離を算出する距離算出手順と、前記操作器に対する操作が行われ、前記操作器から前記利用者までの距離が所定距離以下である場合に、最小距離の利用者の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて前記顔認証データベースに登録する登録処理手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、利用者の操作に応答して該利用者を一意に識別する利用者識別情報を取得する操作器と、該操作器の近傍に配設された利用者を撮像する撮像装置と、該撮像装置により撮像された利用者の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて登録する顔認証データベースとを有し、該顔認証データベースを用いて利用者の顔認証を行う顔認証装置の顔認証プログラムであって、前記撮像装置により撮像された画像データ内の利用者の顔画像データを検出しつつ該利用者を追跡し、該追跡された利用者の一連の顔画像データを関連付けて保持する追跡処理手順と、追跡されている利用者の前記撮像装置からの位置を算出し、該算出結果をもとに前記操作器から前記利用者までの距離を算出する距離算出手順と、前記操作器の操作が行われ、前記操作器から前記利用者までの距離が所定距離以下である場合に、最小距離の利用者の顔画像データが関連付けられた前記一連の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて前記顔認証データベースに登録する登録処理手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、操作器の操作が検出され、操作器から利用者までの距離が所定距離以下である場合に、最小距離の利用者の顔画像と利用者識別情報とを関連付けて顔認証データベースに登録するよう構成したので、撮像装置で撮像された画像データ内に、複数の利用者の顔画像データが存在する場合に、認証対象者となる利用者の顔画像データを正確かつ効率的に顔認証データベースに自動登録することができる。
【0020】
本発明によれば、撮像装置により撮像された画像データ内の利用者の顔画像データを検出しつつ該利用者を追跡し、該追跡された利用者の一連の顔画像データを関連付けて保持し、操作器の操作が検出され、操作器から利用者までの距離が所定距離以下である場合に、最小距離の利用者の顔画像データを含む一連の顔画像データと利用者識別情報とを関連付けて顔認証データベースに登録するよう構成したので、実環境に近い様々な顔画像データを登録することができ、利用者識別情報と利用者の顔画像との関連付けを一層精度高く自動登録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本実施例1に係る入退室管理装置の構成を示す模式図である。
【図2】図2は、顔画像検出部によって取得される顔画像の一例を示す図である。
【図3】図3は、画角が一定の場合におけるカメラと基準画像と利用者の顔画像との距離関係を説明する説明図である。
【図4】図4は、画角が異なる場合におけるカメラと利用者の顔画像との距離関係を説明する説明図である。
【図5】図5は、顔が撮像方向に傾いた状態を示す説明図である。
【図6】図6は、カメラからの距離とカメラに対する角度とを用いて利用者の顔画像の位置を算出する説明図である。
【図7】図7は、操作器と利用者の顔画像との間の距離を示す説明図である。
【図8】図8は、図1に示した入退室管理装置による顔認識データベースへの顔画像登録処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本実施例2に係る入退室管理装置の構成を示す模式図である。
【図10】図10は、図9に示した追跡処理部による一連の顔画像データを生成する追跡処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、追跡処理によって取得される一連の顔画像データの一例を示す図である。
【図12】図12は、図9に示した入退室管理装置による顔認識データベースへの顔画像登録処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る顔認証データベース構築方法、顔認証装置及び顔認証プログラムの好適な実施例を詳細に説明する。以下に示す実施例1及び2では、本発明に係る顔認証データベース構築方法、顔認証装置及び顔認証プログラムを入退室管理装置に適用した場合について説明する。
【実施例1】
【0023】
まず、本実施例1に係る入退室管理装置1の特徴及び構成について説明する。図1は、本実施例1に係る入退室管理装置1の構成を示す図である。図1に示す入退室管理装置1は、顔認証を利用して利用者の入退室管理を行う装置であり、従来技術と同様に予め各利用者に対して該利用者を一意に識別する利用者IDが記録されたIDカード2aを発行する。ただし、かかるIDカード2aを発行する時点では、該利用者の顔画像データについては登録しない。なお、IDカード2aを発行する時点で利用者の氏名や所属等の個人情報を登録することもできるが、ここではその説明を省略する。
【0024】
そして、利用者が、初回の入室を行うためにIDカード2aを操作器2に読み取らせたならば、カメラ3によって撮像した画像データから利用者の顔部分を含む顔画像データを切り出し、これをIDカード2aの利用者IDに関連付けて顔認証データベース5に登録する。このように、この入退室管理装置1では、事前に良好な環境で利用者の顔画像データを取得するのではなく、IDカード2aのみを先に発行しておき、利用者の顔画像データは実環境で取得することとしている。実環境で撮像した利用者の顔画像データを顔認証データベース5に登録することで、より一層顔認証の精度が向上するからである。
【0025】
ここで、本実施例1に係る入退室管理装置1は、初回登録時にカメラ3で撮像された画像データ内に複数の利用者の顔部分が映っている場合であっても、各利用者の顔画像データの中から最も適切な顔画像データを抽出し、抽出した顔画像データを利用者IDに関連付けて顔認証データベース5に登録するよう構成した点に特徴がある。
【0026】
具体的には、予め操作器2を基準位置とした距離のしきい値Dthを設定しておき、このしきい値Dth内に所在する利用者の顔画像データを利用者IDに関連付けて顔認証データベース5に登録する。例えば、図1に示すカメラ3で撮像した画像データ内に利用者M1及びM2の顔画像データが含まれている場合に、操作器2から利用者M1の顔部分までの距離DX1及び操作器2から利用者M2の顔部分までの距離DX2を算定し、しきい値Dth内の距離DX1となる利用者M1の顔画像データを顔認証データベース5に登録する。これにより、本実施例1に係る入退室管理装置1によれば、カメラ3により撮像された画像データ内に複数の利用者の顔部分が映っている場合であっても、正確な顔画像データを効率良く顔認証データベース5に登録することが可能となる。
【0027】
なお、利用者に対する初回の顔画像データの登録が完了し、該利用者が2回目以降の入退出を行う場合には、その時点での新たな顔画像データを取得して顔認証データベース5に登録される。利用者の顔部分は経年変化に伴い変動しやすい性質を有するためである。
【0028】
図1に示すように、本実施例1に係る入退室管理装置1は、操作器2と、カメラ3と、制御部4と、顔認証データベース5と、ゲート10とを有する。また、制御部4は、操作検出部11と、顔画像検出部12と、距離算出部13と、登録処理部14と、類似度算出部15と、顔認証処理部16と、警報出力部17とを有する。なお、図1では入退室管理装置1のうちの入室側の構成を図示したが、顔認証データベース5を退室側にも共通使用することができる。
【0029】
操作器2は、利用者M1及びM2が保有するIDカード2aの利用者IDを取得するカードリーダである。具体的には、IDカード2aが非接触式のカードである場合にはIDカード2aに記録した利用者IDを近距離無線通信により受信し、IDカード2aが磁気記録式のカードである場合にはIDカード2aに磁気記録した利用者IDを読み取る。なお、かかる操作器2は、利用者自身が手入力で利用者IDを入力するテンキー等であっても良く、利用者IDを取得できればよい。
【0030】
カメラ3は、利用者を撮像して画像データを出力するCCD(Charge Coupled Device)素子などからなる撮像装置である。このカメラ3は、操作器2を操作する利用者の顔部分並びに利用者が操作器2に至る途中での該利用者の顔部分を撮像できる画角にあらかじめ設定されている。
【0031】
制御部4は、入退室管理装置1を全体制御するコンピュータであり、操作器2、カメラ3、ゲート10及び顔認証データベース5と接続されている。この制御部4は、少なくとも、操作器2を操作した利用者の顔画像データを利用者IDに関連付けて顔認証データベース5に自動登録する処理を行う。また、この制御部4は、顔認証データベース5に登録された顔画像データを用いて利用者の顔認証処理を行い、この認証結果に基づいて利用者の入退室管理を行う。具体的には、制御部4は、利用者を認証できた場合にはゲート10を開き、利用者を認証できない場合にはゲート10の閉鎖状態を維持する制御を行う。なお、ゲート10の開閉制御は周知の技術を用いることができるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0032】
顔認証データベース5は、利用者IDと1又は複数の顔画像データとを関連付けて格納するデータベースである。この顔認証データベース5は、利用者にIDカード2aを付与する時点では該利用者の顔画像データが登録されておらず、IDカード2aの初回利用時に利用者の顔画像データが登録される。このため、利用者の初回利用時にはIDカード2aを発行した作業員が立ち会うことが望ましい。なお、上記制御部4は、顔認証データベース5のデータベース管理装置(DBMS)の役割を果たす。
【0033】
操作検出部11は、利用者により操作器2が操作されたか否かを検出する処理部である。例えば、IDカード2aが非接触式のカードである場合には、利用者がIDカード2aを操作器2に翳し操作したことを検出して、該IDカード2aから利用者IDを受信する。また、IDカード2aが磁気記録式のカードである場合には、利用者がIDカード2aを操作器2に接触させたことを検出して、該IDカード2aから利用者IDを読み取る。
【0034】
顔画像検出部12は、カメラ3によって撮像された画像データ内に存在する人の顔部分を含む矩形の顔画像データを切り出す処理部である。図2は、顔画像検出部12によって検出される顔画像データの一例を示す図である。同図に示すように、ここではカメラ3で撮像された画像データ20内に利用者M1及び利用者M2が含まれており、この利用者M1の顔画像データ21と利用者M2の顔画像データ22を切り出す状況を示している。ここで、利用者の顔画像データを切り出す際には、人の一般的な顔の輪郭を示すテンプレートを準備し、このテンプレートを画像データ20にずらしマッチングすることで、画像データ内に存在する顔画像データ21及び22を検出することができる。なお、かかるテンプレートマッチングだけではなく、公知の各種顔検出アルゴリズム(画像処理技術)を用いることができる。
【0035】
距離算出部13は、カメラ3により撮像された2次元の画像データ上の利用者の位置を算出し、算出した位置から操作器2の位置までの距離を算出する処理部である。この距離算出部13により、図1に示す操作器2から利用者M1までの距離DX1及び操作器2から利用者M2までの距離DX2が算出される。この画像データ上の利用者の位置は、カメラ3からの距離とカメラ3の光軸からの角度とによってベクトル的に求められる。なお、この距離算出部13による距離算出の詳細な説明については後述する。
【0036】
登録処理部14は、利用者の顔画像データを利用者IDに関連付けて顔認証データベース5に登録する処理部である。すでに説明したように、本実施例1では、利用者にIDカード2aを発行する時点で別環境にて利用者の顔部分を撮像するのではなく、利用者が実環境で最初にIDカード2aを利用して入室する時点で利用者の顔部分をカメラ3で撮像して顔認証データベース5に登録する。また、利用者が2回目以降の入退室を行う際に、新たな顔画像データを利用者IDに関連付けて顔認証データベース5に追加登録する。具体的には、操作器2により利用者のIDカード2aを用いた操作が検出され、操作器2から利用者までの距離が算定されると、この距離がしきい値Dth以下である場合に、最小距離の利用者の顔画像データと操作器2により取得した利用者IDとを関連付けて顔認証データベース5に登録処理する。
【0037】
類似度算出部15は、顔画像データ相互間の類似度を算出する処理部である。例えば、ある顔画像データと他の顔画像データの相互相関係数を算定し、算定した相互相関係数を類似度とすることができる。かかる相互相関係数を類似度として用いると、両顔画像データに同一人物の顔部分が含まれる場合に類似度が高くなり、両顔画像データに異なる人物の顔部分が含まれる場合に類似度が低くなる。なお、この類似度算出部15では、相互相関係数以外の公知の類似度算出技術を用いることもできる。
【0038】
顔認証処理部16は、上記類似度算出部15により算出された類似度を用いて、利用者が顔認証データベース5に登録された登録済みの利用者であるか否かを認証する処理部である。具体的には、顔画像検出部12により検出された利用者の顔画像データと顔認証データベース5に登録された顔画像データとの類似度を算出するよう類似度算出部15に指示し、この類似度算出部15により算出された類似度に基づいて、該利用者が顔認証データベース5に登録された登録済みの利用者であるか否かを認証する。顔認証データベース5に登録済みの利用者については、IDカード2aの操作がなされなくともゲート10を開制御する必要があるためである。
【0039】
なお、顔認証データベース5に登録された顔画像データが一つのみである場合には、上記顔画像データ間の類似度が所定の閾値以上である場合に、利用者が顔認証データベース5に登録済みであると判定し、顔認証データベース5に登録された顔画像データが複数存在する場合には、顔画像検出部12により検出された利用者の顔画像データと顔認証データベース5に登録された複数の顔画像データの各類似度のうちの例えば上位3つの類似度を抽出し、抽出した上位3つの類似度のうちの平均値が所定の閾値以上である場合に、利用者が顔認証データベース5に登録済みであると判定することができる。なお、かかる判定処理としては、既存の周知技術を用いることができる。
【0040】
警報出力部17は、顔認証処理部16により利用者が顔認証データベース5に登録済みでないと判定された場合に、警報を出力する処理部である。かかる警報出力としては、実際に音声出力するほか、所定の警備員の携帯端末に「異常発生」を報知するものでも良い。なお、かかる警報を出力している間は、ゲート10の閉鎖状態が維持される。
【0041】
次に、上記距離算出部13による距離算出の概念について図3〜図7を用いて詳細に説明する。図3に示すように、カメラ3から利用者の位置までの距離Lは、顔画像データ上の顔部分の幅を形成する画素数をFとし、予め設定された基準となる距離をLsとし、この距離Lsに対応して設定された基準となる顔部分の幅の画素数をFsとすると、
L=(Ls×Fs)/F
の算定式を用いて算定することができる。かかる算定式は、カメラ3によって撮像された画像データ中の顔部分の大きさが操作器2から利用者までの距離に応じて変化し、利用者の位置が操作器2に近いほど大きくなり、利用者の位置が操作器2から離れるほど小さくなることを利用したものである。なお、ここでは顔部分の幅の画素数を用いる場合を示しているが、顔の頭の先から顎までの幅の画素数、眉から口元までの幅の画素数又は目から顎までの幅の画素数等の所定幅を用いることもできる。
【0042】
また、図3では基準となる画像データと距離算出対象となる画像データの画角αsが一定である場合を示したが、基準となる画像データの画角αsと異なる画角αで距離算出対象となる画像データを撮像した場合には、かかる画角の変化を補正する必要がある。図4は、画角が異なる場合のカメラ3と画像データまでの距離の関係を説明するための説明図である。図4に示したカメラ3から利用者までの距離Lは、
L=(Ls×tan(αs/2)×Fs)/(tan(α/2)×F)
の算定式を用いて算定することができる。
【0043】
また、図5に示すように、顔の向きが上下あるいは左右に傾いた場合には、かかる傾きの誤差を補正する必要がある。正面を向いた顔画像の顔部分の幅がF画素である場合に、傾いた顔部分の幅は、カメラ3の撮像方向への傾きをβとすると、F×cosβとなる。したがって、距離Lは、
L=(Ls×tan(αs/2)×Fs)/(tan(α/2)×F×cosβ)
の算定式を用いて算定することができる。
【0044】
一方、図6に示すように、カメラ3の光軸から利用者への角度θは、カメラ3の水平方向の画角をαhとし、カメラ3の水平方向の全画素数をNとし、利用者の水平方向の座標をXとした場合に、
θ=tan-1((2×X/N)−1)×tan(αh/2))
の算定式を用いて算定することができる。
【0045】
したがって、図6に示した距離L及び角度θを算出することにより、カメラ3に対する利用者の位置(座標)Pを算出することができる。そして、このようにして利用者の位置Pが算定できると、たとえば、図7に示すように、カメラ3の位置P10に対する利用者M1の位置P1、カメラ3の位置P10に対する利用者M2の位置P2を算出することができる。一方、カメラ3の位置P10に対する操作器2の位置P0は既知であるので、操作器2と利用者M1との間の距離DX1並びに操作器2と利用者M2との間の距離DX2を算出することができる。
【0046】
次に、図1に示した登録処理部14による顔認証データベース5への顔画像データの登録処理手順について説明する。図8は、図1に示した登録処理部14による顔認証データベース5への顔画像データの登録処理手順を示すフローチャートである。ここでは、利用者がIDカード2aを用いて顔画像データを初回登録する場合を示している。
【0047】
同図に示すように、登録処理部14は、まず、カメラ3に対する操作器2の位置P0及びしきい値Dthを取得する(ステップS101)。その後、カメラ3により撮像された画像データを取得するとともに(ステップS102)、利用者によって操作器2が操作されたか否かを判定する(ステップS103)。
【0048】
ここで、利用者によって操作器2が操作された場合には(ステップS103,Yes)、取得された画像データ内で顔部分が検出されたか否かを判定する(ステップS104)。これに対して、利用者によって操作器2が操作されない場合には(ステップS103,No)、ステップS102に移行して、次の画像データが取得される。なお、画像データ内で顔部分が検出されない場合にも(ステップS104,No)、ステップS102に移行して、次の画像データを取得する。
【0049】
そして、画像データ内で顔部分が検出された場合には(ステップS104,Yes)、距離算出部13に全ての顔画像データを送信して、利用者と操作器2との距離DXを算出させる(ステップS105)。その後、算出された距離DXがしきい値Dth以下であり、かつ、距離DXが取得された距離DXのなかで最小距離であるか否かを判定する(ステップS106)。距離DXがしきい値Dth以下で、最小距離である条件を満足しない場合には(ステップS106,No)、ステップS102に移行して、次の画像データを取得する。
【0050】
これに対して、距離DXがしきい値Dth以下であり、かつ、最小距離である場合には(ステップS106,Yes)、操作器2から取得した利用者IDと、この顔画像データとを関連付けて、顔認証データベース5に登録する(ステップS107)。その後、ステップS102に移行して次の画像データを取得する。
【0051】
上述してきたように、本実施例1では、利用者による操作器2の操作が検出され、操作器2から利用者までの距離DXがしきい値Dth以下である場合に、最小距離の利用者の顔画像データと操作器2により取得された利用者IDとを関連付けて顔認証データベース5に自動登録するように構成したので、カメラ3により撮像された画像データ内に複数の顔部分が映っている場合であっても、利用者IDに対応する利用者の顔画像データを正確かつ効率的に顔認証データベース5に自動登録することができる。このように、利用者の顔画像データを自動登録することで、利用者並びに顔認証データベース5を構築する作業者にかかる負担が軽減される。また、精度の高い顔認証データベースが構築されるため、顔認証処理自体の精度が向上する。
【実施例2】
【0052】
ところで、上記実施例1では、操作器2の前に移動した利用者の顔画像データのみを顔認証データベース5に登録するよう構成したため、利用者が操作器2を操作する時点の顔画像データのみが顔認証データベース5に登録される。その結果、仮に利用者が操作器2を操作する時点で利用者の適正な正面顔の画像データが撮像されていない場合には、認証処理結果が低下するという問題がある。特に、インターホンのようにカメラ3と操作器2とが常に一体であるとは限らず、施工上の問題で操作器2の向きとカメラ3の向きとが異なる場合があるため、例えば操作器2がカメラ3に対して横を向いている場合には、利用者が操作器2を操作する時点で該利用者が横を向いてしまい、利用者が操作器2を操作する瞬間の正面顔をカメラ3で取得することが困難となる。加えて、顔認証処理を行う際には、複数枚の顔画像データを登録して認証精度を上げることが望ましいため、たとえ利用者が操作器2を操作する時点の正面顔の顔画像データを取得できた場合であっても、それ以外の顔画像データを含めて一括登録することが望ましい。
【0053】
そこで、本実施例2に係る入退室管理装置101は、図9に示すように、カメラ3が撮像した画像データ内の利用者の顔部分を検出しつつ該利用者を追跡し、追跡した利用者の顔部分を含む一連の顔画像データを関連付けて保持する追跡処理部18をさらに設けている。なお、距離算出部13は、追跡されている利用者のカメラ3からの位置を算出し、該算出結果をもとに操作器2から利用者までの距離を算出する。登録処理部14は、利用者による操作器2の操作が行われ、操作器2から利用者までの距離DXがしきい値Dth以下となった場合に、最小距離の利用者の顔画像データを含む一連の顔画像データを操作器2により読み取られた利用者IDに関連付けて顔認証データベース5に登録する。その結果、顔認証データベース5には、様々な向きや大きさなどの顔画像や実環境の照明に適した一連の顔画像データが自動登録され、顔認証精度が向上する。
【0054】
まず、図10に示したフローチャートを参照して、追跡処理部18による利用者の追跡処理手順について説明する。追跡処理部18は、まずカメラ3により撮像された画像データを取得する(ステップS201)。その後、この画像データ内で顔部分が検出されたか否かを判断する(ステップS202)。顔部分が検出されない場合には(ステップS202,No)、ステップS201に移行して新たな画像データを取得する。
【0055】
一方、顔部分が検出された場合には(ステップS202,Yes)、この顔画像データを保持する(ステップS203)。その後、追跡条件を満足するか否かを判断する(ステップS204)。この追跡条件とは、各画像データの取得時間間隔内で、利用者が画像データ上で移動可能な範囲内となることである。たとえば、利用者の平均移動速度が秒速10mであり、カメラ3が1フレームを処理する時間が毎秒30枚であるとすると、利用者の1フレームあたりの移動範囲は、10(m/秒)÷30(枚/秒)=0.33mとなる。この0.33m以内の範囲が移動可能な範囲となる。
【0056】
そして、追跡条件、すなわち、次の画像データ内の利用者が移動可能な範囲内である場合には(ステップS204,Yes)、この追跡条件を満たす顔画像データを前回の顔画像データを含む現在追跡中のこれまでの顔画像データに関連付けて保持し(ステップS205)、その後ステップS204に移行し、次の顔画像データを検出した位置で追跡条件を満足するか否かの判定を繰り返して一連の顔画像データを保持する。一方、追跡条件を満足しない場合には(ステップS204,No)、追跡中の全顔画像データを削除して(ステップS206)、処理を終了する。
【0057】
したがって、上記追跡処理では、追跡条件を満足する限り、顔部分の状態に関わらず同一利用者の顔部分を含む複数の顔画像データが関連する一連の顔画像データとして保持されることになる。たとえば、図11に示すように、追跡条件を満足する顔画像データ31〜34は、顔部分の状態に関わらず、一連の顔画像データ30として保持されることになる。
【0058】
そして、登録処理部14では、図12のフローチャートに示した顔画像登録処理手順によって、実施例1と同様に、検出された顔画像データの利用者M1と操作器2との間の距離DXがしきい値Dth以下で、最小距離であるか否かを判定する(ステップS306)。なお、ステップS301〜S306までの処理は、上記ステップS101〜S106と同じである。そして、距離DXがしきい値Dth以下で、最小距離である場合には(ステップS306,Yes)、操作器2により読み取られた利用者IDと、このステップS306の判定条件を満足した顔画像データを含む一連の顔画像データとを関連付けて顔認証データベース5に登録する(ステップS307)。その後、ステップS302に移行して上記一連の処理を繰り返す。
【0059】
なお、利用者M1のすぐ後ろを人物Aが歩いているような場合には、利用者M1の追跡結果のなかに人物Aの顔画像が混ざり込む可能性がある。この場合、利用者M1が操作器2を操作すると、利用者M1の利用者IDに人物Aの顔画像データが誤って関連付けられてしまい、誤認証や識別性能低下の原因となる。そこで、追跡結果のなかに誤って混ざり込んだ顔画像データを顔認証データベース5に登録しないように対策を講ずる必要がある。
【0060】
その第1の対策としては、追跡結果のなかの顔画像データと、顔認証データベース5内に格納された利用者M1のすべての顔画像データとの類似度を算出し、この類似度から利用者M1と判定される顔画像データだけを、利用者M1の利用者IDに関連付けて顔認証データベース5に登録するようにするとよい。
【0061】
その第2の対策としては、逆に、追跡結果のなかの顔画像データと、顔認証データベース5内に格納された利用者M1のすべての顔画像データとの類似度を算出し、この類似度から利用者M1以外の人物と判定される顔画像データに対して顔認証データベース5への登録処理を行わず、その他の顔画像データを利用者M1の利用者IDに関連付けて顔認証データベース5に登録するようにするとよい。
【0062】
その第3の対策としては、まず、実施例1のように、追跡結果のなかの全顔画像データのうち、操作器2に最も近い距離に位置する顔画像データを利用者M1と判定する。さらに、追跡結果のなかの他の顔画像データのうち、利用者M1と判定された顔画像データと類似する顔画像データを利用者M1と判定する。このような2段階の処理を行うことにより、利用者M1と判定された顔画像データを、利用者M1の利用者IDに関連付けて顔認証データベース5に登録するようにするとよい。
【0063】
上述してきたように、本実施例2では、操作器2の操作が行われ、操作器2から利用者までの距離DXがしきい値Dth以下である場合、最小距離の利用者の顔画像データをもつ、追跡された一連の顔画像データと操作器2が読み込んだ利用者IDとを関連付けて顔認証データベース5に登録するようにしているので、上述したように、歩行時の様々な向きや大きさの顔画像データを一括して顔認証データベース5に登録できることなる。この結果、運用する実環境の照明や動線に適した顔画像データを効率的に自動登録することができる。換言すれば、従来のシステムによる、顔の大きさの正規化や照明変動の推測、顔向きの推測によって構築されたデータベースよりも、実環境に対応した顔認証データベースを自動構築することができ、利用者および構築作業員の負担を軽減するとともに、顔認証精度の向上も実現することができる。
【0064】
なお、上記実施例1及び2では、本発明を入退室管理システムに適用した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、勤怠管理システムなど各種システムに適用することができる。また、操作器2としてカードリーダを用いることで、従来、社員証等のICカードの利用のみで実現していた入退室管理や勤怠管理に、顔認証を導入することができる。そして、顔認証用の顔画像データが自動登録されるため、利用者は、わざわざIDカードをかざさなくても、電気錠の開錠やタイムカードの打刻が可能になる。さらに、開錠時(打刻時)の映像と利用者IDとを関連付けて登録することができる。この結果、管理者によるチェックを一層厳密に行うことができるとともに、不正防止を図ることができる。なお、ICカードの利用と顔認証処理との二重照合も可能であり、この二重照合を行うことによって、通常よりもセキュリティの高いシステムを実現することができる。
【0065】
また、上記実施例1及び2では、操作器2をカードリーダとする場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。操作器2は、ID情報のやり取りができればよく、社員証などのICカードでなくても適用可能である。例えば、パーソナルコンピュータ(PC)のディスプレイにウェブカメラを取り付け、ログインする際のユーザ名とパスワードと顔画像データとを関連付けるようにして顔画像データを登録することができる。また、マンションのエントランスに設置されているオートロックなどに対しても、顔画像データと開錠用のパスワードとを関連付けて顔画像データを登録することもできる。
【0066】
さらに、上記実施例1では、距離算出部13が画像データを利用した位置算出処理を行って、操作器2の直近の利用者だけを顔認証データベース5に登録することとしたが、複数の利用者の位置と認証結果とを用いることにより、複数人の共連れを検出することも可能である。例えば、登録されている利用者の後方から認証されていない人物が接近している場合、不審者の共連れとして利用者M1に通知し、出入口の開錠を行わないなどの共連れ防止を行うこともできる。この場合には、警報出力部17はかかる不審者の存在を警報出力することになる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係る顔認証データベース構築方法、顔認証装置及び顔認証プログラムは、入退室監視システムや勤怠管理システムなどに適しており、特に、複数の利用者の顔画像データが存在する画像データから認証対象者となる利用者の顔画像データを正確かつ効率的に抽出して顔認証データベースに自動登録する場合に適している。
【符号の説明】
【0068】
1,101 入退室管理装置
2 操作器
2a IDカード
3 カメラ
4 制御部
5 顔認証データベース
10 ゲート
11 操作検出部
12 顔画像検出部
13 距離算出部
14 登録処理部
15 類似度算出部
16 顔認証処理部
17 警報出力部
18 追跡処理部
20 画像データ
21,22 顔画像データ
M1,M2 利用者
Dth しきい値
DX1,DX2 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の操作に応答して該利用者を一意に識別する利用者識別情報を取得する操作器の近傍に配設された撮像装置によって撮像された利用者の顔画像データを前記操作器により取得された利用者識別情報と関連付けて顔認証データベースに登録する顔認証データベース構築方法であって、
前記操作器が操作されたか否かを検出する操作検出工程と、
前記撮像装置により撮像された画像データ内の利用者の顔部分を含む顔画像データを検出する顔画像データ検出工程と、
前記顔画像データが検出された利用者の前記撮像装置からの位置を算出し、該算出結果をもとに前記操作器から前記利用者までの距離を算出する距離算出工程と、
前記操作器の操作が検出され、前記操作器から前記利用者までの距離が所定距離以下である場合に、最小距離の利用者の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて前記顔認証データベースに登録する登録処理工程と
を含んだことを特徴とする顔認証データベース構築方法。
【請求項2】
利用者の操作に応答して該利用者を一意に識別する利用者識別情報を取得する操作器の近傍に配設された撮像装置によって撮像された利用者の顔画像データを前記操作器により取得された利用者識別情報と関連付けて顔認証データベースに登録する顔認証データベース構築方法であって、
前記操作器が操作されたか否かを検出する操作検出工程と、
前記撮像装置により撮像された画像データ内の利用者の顔部分を含む顔画像データを検出しつつ該利用者を追跡し、該追跡された利用者の一連の顔画像データを関連付けて保持する追跡処理工程と、
追跡されている利用者の前記撮像装置からの位置を算出し、該算出結果をもとに前記操作器から前記利用者までの距離を算出する距離算出工程と、
前記操作器の操作が検出され、前記操作器から前記利用者までの距離が所定距離以下である場合に、最小距離の利用者の顔画像データをもつ前記一連の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて前記顔認証データベースに登録する登録処理工程と
を含んだことを特徴とする顔認証データベース構築方法。
【請求項3】
前記登録処理工程は、前記最小距離の利用者の顔画像データと同一の利用者識別情報が関連付けられた前記顔認証データベースの登録済みの顔画像データと、前記一連の顔画像データとの類似度を算出し、該一連の顔画像データのうちの所定の類似度以上を有した顔画像データを前記顔認証データベースに登録することを特徴とする請求項2に記載の顔認証データベース構築方法。
【請求項4】
前記登録処理工程は、前記最小距離の利用者の顔画像データと該最小距離の利用者の顔画像データ以外の一連の顔画像データとの類似度を算出し、前記一連の顔画像データのうちの所定の類似度以上を有した顔画像データを、前記最小距離の利用者の顔画像データとともに登録することを特徴とする請求項2に記載の顔認証データベース構築方法。
【請求項5】
前記撮像装置により撮像された画像データ内の複数の利用者のうちの一人の利用者が前記登録処理工程によって登録された場合に、該登録された利用者からの距離が所定範囲内の利用者であって前記登録処理工程によって登録されない利用者が存在すると判定されたならば、該利用者を不審者として警報出力する警報出力工程をさらに含んだことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の顔認証データベース構築方法。
【請求項6】
利用者の操作に応答して該利用者を一意に識別する利用者識別情報を取得する操作器と、該操作器の近傍に配設された利用者を撮像する撮像装置と、該撮像装置により撮像された利用者の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて登録する顔認証データベースとを有し、該顔認証データベースを用いて利用者の顔認証を行う顔認証装置であって、
前記撮像装置により撮像された利用者の顔画像データを検出する顔画像検出部と、
前記撮像装置により撮像された画像データ内の利用者の前記撮像装置からの位置を算出し、該算出結果をもとに前記操作器から前記利用者までの距離を算出する距離算出部と、
前記操作器に対する操作が行われ、前記操作器から前記利用者までの距離が所定距離以下である場合に、最小距離の利用者の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて前記顔認証データベースに登録する登録処理部と
を備えたことを特徴とする顔認証装置。
【請求項7】
利用者の操作に応答して該利用者を一意に識別する利用者識別情報を取得する操作器と、該操作器の近傍に配設された利用者を撮像する撮像装置と、該撮像装置により撮像された利用者の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて登録する顔認証データベースとを有し、該顔認証データベースを用いて利用者の顔認証を行う顔認証装置であって、
前記撮像装置により撮像された画像データ内の利用者の顔画像データを検出しつつ該利用者を追跡し、該追跡された利用者の一連の顔画像データを関連付けて保持する追跡処理部と、
追跡されている利用者の前記撮像装置からの位置を算出し、該算出結果をもとに前記操作器から前記利用者までの距離を算出する距離算出部と、
前記操作器の操作が行われ、前記操作器から前記利用者までの距離が所定距離以下である場合に、最小距離の利用者の顔画像データが関連付けられた前記一連の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて前記顔認証データベースに登録する登録処理部と
を備えたことを特徴とする顔認証装置。
【請求項8】
利用者の操作に応答して該利用者を一意に識別する利用者識別情報を取得する操作器と、該操作器の近傍に配設された利用者を撮像する撮像装置と、該撮像装置により撮像された利用者の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて登録する顔認証データベースとを有し、該顔認証データベースを用いて利用者の顔認証を行う顔認証装置の顔認証プログラムであって、
前記撮像装置により撮像された利用者の顔画像データを検出する顔画像検出手順と、
前記撮像装置により撮像された画像データ内の利用者の前記撮像装置からの位置を算出し、該算出結果をもとに前記操作器から前記利用者までの距離を算出する距離算出手順と、
前記操作器に対する操作が行われ、前記操作器から前記利用者までの距離が所定距離以下である場合に、最小距離の利用者の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて前記顔認証データベースに登録する登録処理手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする顔認証プログラム。
【請求項9】
利用者の操作に応答して該利用者を一意に識別する利用者識別情報を取得する操作器と、該操作器の近傍に配設された利用者を撮像する撮像装置と、該撮像装置により撮像された利用者の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて登録する顔認証データベースとを有し、該顔認証データベースを用いて利用者の顔認証を行う顔認証装置の顔認証プログラムであって、
前記撮像装置により撮像された画像データ内の利用者の顔画像データを検出しつつ該利用者を追跡し、該追跡された利用者の一連の顔画像データを関連付けて保持する追跡処理手順と、
追跡されている利用者の前記撮像装置からの位置を算出し、該算出結果をもとに前記操作器から前記利用者までの距離を算出する距離算出手順と、
前記操作器の操作が行われ、前記操作器から前記利用者までの距離が所定距離以下である場合に、最小距離の利用者の顔画像データが関連付けられた前記一連の顔画像データと前記操作器により取得された利用者識別情報とを関連付けて前記顔認証データベースに登録する登録処理手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする顔認証プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−69155(P2013−69155A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207806(P2011−207806)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】