駆動装置
【課題】コンパクトな構成で効率良く駆動出力を取り出すことができる駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置は、共振周波数の電圧を印加することにより駆動方向に対して垂直方向に伸縮変形を行う縦一次振動モードと屈曲変形を行う屈曲一次振動モードとを励起可能な振動部4と、振動部4の両サイドを加圧状態で挟持する2本のガイド棒3とを備えている。上記の縦一次振動モードと屈曲一次振動モードとを振動部4で励起することにより、ガイド棒3と接触する振動部4の両サイド、つまり突起部411〜412および突起部413で互いに逆回りとなる回転運動Ka、Kbが生じるが、この回転運動を用いて振動部4がガイド棒3に対して移動する。このような駆動装置により、コンパクトな構成で効率良く駆動出力を取り出すことができる。
【解決手段】駆動装置は、共振周波数の電圧を印加することにより駆動方向に対して垂直方向に伸縮変形を行う縦一次振動モードと屈曲変形を行う屈曲一次振動モードとを励起可能な振動部4と、振動部4の両サイドを加圧状態で挟持する2本のガイド棒3とを備えている。上記の縦一次振動モードと屈曲一次振動モードとを振動部4で励起することにより、ガイド棒3と接触する振動部4の両サイド、つまり突起部411〜412および突起部413で互いに逆回りとなる回転運動Ka、Kbが生じるが、この回転運動を用いて振動部4がガイド棒3に対して移動する。このような駆動装置により、コンパクトな構成で効率良く駆動出力を取り出すことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定方向への駆動を行う駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波アクチュエータ(駆動装置)は、コンパクト化や静音化といったメリットがあるため、小型カメラのレンズ駆動機構等での活用が期待されている。
【0003】
超音波アクチューエータとしては、例えば特許文献1に開示されるものがある。このアクチュエータでは、超音波振動子(振動体)の上下両端部に複数の突起部を設け一対のガイド部材で振動体を挟み込むとともに、振動体の移動方向に関する伸縮振動と図22に示す2次の屈曲振動とが励起された振動体9において上下両端部に生じる回転運動により、ガイド部材に対して振動体の移動が可能となっている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−104984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のアクチュエータでは、図22のように複数の振動の節・腹が生じるように振動体9を共振させるため、移動方向に関する振動体の長さが長くなる。このように移動方向に長い振動体で必要な駆動ストロークを確保するには、その分ガイド部材も長くなって、アクチュエータの大型化を招くこととなる。
【0006】
また、振動体9の上下両端部の回転運動については、図22に示すように振動体9の上端面9uにおいて回転運動91、94と回転運動92、93とが逆方向の回転となり、下端面9dにおいて回転運動95、98と回転運動96、97とが逆方向の回転となる。一方、振動体9を移動させるには上端面9uと下端面9dとで生じる回転運動を逆方向にしなければならない。よって、振動体9では、ガイド部材に接触する突起部を例えば回転運動91、94が生じる上端面9uの各位置に設けるとともに、回転運動96、97が生じる下端面9dの各位置に設ける必要がある。
【0007】
しかし、このような位置に突起部を設けると、上端面9uの回転運動91、94に比べて下端面9dの回転運動96、97の回転径が小さくなるため、その速度差による滑りが上下の端面9u、9dの間で生じることとなる。これでは、駆動ロスが発生して効率よく駆動出力を取り出せないとともに、磨耗の原因にもなる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、コンパクトな構成で効率良く駆動出力を取り出すことができる駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、所定方向への駆動を行う駆動装置であって、(a)前記所定方向に対して垂直方向に伸縮変形を行う第1の振動モードと、前記伸縮変形と異なった変形を行う第2の振動モードとを励起可能な振動部と、(b)前記所定方向に沿って配置され、前記振動部の両サイドを加圧状態で挟持する2のガイド部材とを備え、前記振動部において前記第1の振動モードと前記第2の振動モードとを励起することにより、前記振動部の両サイドで互いに逆回りとなる回転運動を生じさせるとともに、前記回転運動を用いて前記振動部がガイド部材に対し相対的に移動することで前記所定方向への駆動が行われる。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る駆動装置において、前記振動部の両サイドそれぞれでは、サイド全域にわたって前記回転運動の回転方向が同一である。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る駆動装置において、前記第1の振動モードは、前記振動部の伸縮変形に関する一次振動モードであり、前記第2の振動モードは、前記振動部の屈曲変形に関する一次振動モードである。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る駆動装置において、前記振動部は、(a-1)前記所定方向に対する垂直方向に沿って並列に配置され、当該垂直方向にそれぞれ伸縮変形が可能な一対の伸縮変形部と、(a-2)前記一対の伸縮変形部の両端それぞれを連結する連結部材とを有し、前記第1の振動モードは、前記一対の伸縮変形部が伸縮変形に関する同位相の振動を行うことで励起されるとともに、前記第2の振動モードは、前記一対の伸縮変形部が伸縮変形に関する逆位相の振動を行うことで励起される。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明に係る駆動装置において、前記振動部の両サイドのうち少なくとも一方のサイドにより、ガイド部材に対する前記振動部の姿勢が規制される。
【0014】
また、請求項6の発明は、請求項5の発明に係る駆動装置において、前記少なくとも一方のサイドには、前記ガイド部材に接触する複数の突起が設けられている。
【0015】
また、請求項7の発明は、請求項5の発明に係る駆動装置において、前記少なくとも一方のサイドには、一定の接触長さをもって前記ガイド部材に接触する接触部が設けられている。
【0016】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかの発明に係る駆動装置において、前記2のガイド部材それぞれは、(b-1)前記ガイド部材の外形を形成するパイプ部と、(b-2)前記パイプ部の内部に配設された制振部材とを有する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1から請求項8の発明によれば、所定方向に対して垂直方向に伸縮変形を行う第1の振動モードと、伸縮変形と異なった変形を行う第2の振動モードとを振動部において励起することにより、振動部の両サイドで互いに逆回りとなる回転運動を生じさせるとともに、この回転運動を用いて振動部の両サイドを加圧状態で挟持する2のガイド部材に対し振動部が相対的に移動することで所定方向への駆動が行われる。その結果、コンパクトな構成で効率良く駆動出力を取り出すことができる。
【0018】
特に、請求項2の発明においては、振動部の両サイドそれぞれではサイド全域にわたって回転運動の回転方向が同一であるため、駆動装置の構成を簡素化できる。
【0019】
また、請求項3の発明においては、第1の振動モードが振動部の伸縮変形に関する一次振動モードであり、第2の振動モードが振動部の屈曲変形に関する一次振動モードであるため、振動部の小型化が図れる。
【0020】
また、請求項4の発明においては、所定方向に対する垂直方向に沿って並列に配置され当該垂直方向にそれぞれ伸縮変形が可能な一対の伸縮変形部が伸縮変形に関する同位相の振動を行うことで第1の振動モードが励起されるとともに、一対の伸縮変形部が伸縮変形に関する逆位相の振動を行うことで第2の振動モードが励起される。その結果、振動部の構成を簡素化できる。
【0021】
また、請求項5の発明においては、振動部の両サイドのうち少なくとも一方のサイドによりガイド部材に対する振動部の姿勢が規制されるため、振動部の姿勢を安定化できる。
【0022】
また、請求項6の発明においては、少なくとも一方のサイドにはガイド部材に接触する複数の突起が設けられているため、振動部の姿勢を簡易に安定化できる。
【0023】
また、請求項7の発明においては、少なくとも一方のサイドには一定の接触長さをもってガイド部材に接触する接触部が設けられているため、振動部の姿勢を簡易に安定化できる。
【0024】
また、請求項8の発明においては、2のガイド部材それぞれはガイド部材の外形を形成するパイプ部の内部に制振部材が配設されているため、振動部によるガイド部材の振動を適切に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
<第1実施形態>
<駆動装置の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る駆動装置1Aの要部構成を示す図である。ここで、図1(a)は、駆動装置1Aの正面図を示しており、図1(b)は、駆動装置1Aの側面図を示している。
【0026】
駆動装置1Aは、例えば超音波アクチュエータとして構成されており、ベース部2と、ベース部2によって保持される一対のガイド棒3(下部ガイド棒31および上部ガイド棒32)と、この2本のガイド棒(ガイド部材)3の間に挟まれる振動部4とを備えている。この駆動装置1Aでは、共振周波数の電圧印加によって共振する振動部3が2本のガイド棒3に沿って移動することにより駆動方向Dkへの駆動が行われる。
【0027】
ベース部2は、「コ」の字状の外形を有するフレーム部21と、上部ガイド棒32を加圧する加圧部材22とを備えている。
【0028】
フレーム部21は、例えば駆動装置1Aが搭載される装置内に固定されており、その側面21sには、円形状の形状を有し下部ガイド棒31を固定する下孔21aと、両端が円形の長穴を有し上部ガイド棒32を保持する上孔21bとが形成されている。そして、下孔21aには、圧入や接着によって下部ガイド棒31が固定されるとともに、上孔21bには、上部ガイド棒32が上下方向Udに移動可能なように遊挿されている。この上部ガイド棒32の両端部には、下部ガイド棒31と平行な状態で上部ガイド棒32を上下方向Udに移動させるとともに上孔21bから上部ガイド棒31が外れるのを防止するリング部材32rが固定されている。なお、リング部材32rに関しては、上部ガイド棒32と一体として成形しても良い。
【0029】
加圧部材22は、例えば板ばねとして構成されており、その一部がフレーム部21の内壁に固定され適度な加圧力で上部ガイド部材32を下部ガイド棒31の方向に付勢する。このような加圧部材22により、駆動方向Dkに沿って配置される2本のガイド棒3が振動部4の両サイドを加圧状態で挟持できることとなる。なお、加圧部材22については、板ばねに限らずコイルばねで構成するようにしても良い。
【0030】
2本のガイド棒3は、円形断面の棒状部材として構成されており、振動部4の移動をガイドするガイド部材として機能する。このガイド棒3は、例えば安価で製造しやすいステンレスなどの金属材料で形成されており、その表面には、振動部4との磨耗を抑えるため焼入れや窒化処理などの表面硬化処理が施されている。なお、表面硬化処理については、窒化クロム(CrN)や炭窒化チタン(TiCN)などのセラミックコーティングを施しても良く、またアルミナやジルコニアなどのセラミックを使用して耐磨耗性を向上させても良い。
【0031】
振動部4の構成について、図2を参照しつつ説明する。
【0032】
図2は、振動部4の要部構成を示す図である。ここで、図2(a)は、振動部4の正面図を示しており、図2(b)は、振動部4の側面図を示している。
【0033】
振動部4は、略直方体状の形状を有しており、ガイド棒3に当接する当接部41と、圧電部42とで構成されている。
【0034】
当接部41は、下部ガイド棒31に当接する2つの突起部411、412と、上部ガイド棒32に当接する1つの突起部413とを備えている。各突起部411〜413には、図2(b)に示すように前後方向Fbへの振動部4の移動を防止するために、ガイド棒3と係合するV溝41vが形成されている。このように2本のガイド棒3に対して突起部411〜413の3点で振動部4を支持することにより、ガイド棒3に対する振動部4の姿勢が安定することとなる。すなわち、ガイド棒3に対する振動部4の移動に伴って、1つの突起部413のみが接触する上部ガイド棒32では若干の傾きが生じる可能性があるものの、下孔21aに固定された下部ガイド棒32に対し2つの突起部411、412で支持される振動部4の姿勢は、常に変化しない。これにより、高精度な位置制御や速度制御が可能になる。
【0035】
突起部411〜413は、ガイド棒3との磨耗を低減するために超硬合金やアルミナ、ジルコニアなどのセラミックスで形成されており、エポキシなどの比較的高弾性の接着剤によって圧電部42に固定されている。
【0036】
圧電部42は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電特性を持つ長方形の圧電セラミックス薄板(以下では「圧電薄板」と略称する)421が積層された構造を有しており、圧電薄板421の間には、図3(a)に示すような2分割された左側内部電極L1および右側内部電極R1と、図3(b)に示すような2分割された左側内部電極L2および右側内部電極R2とが交互に介挿されている。また、圧電部42の前面および背面には、4つの外部電極、具体的には左前の外部電極Lf、左後ろの外部電極Lb、右前の外部電極Rfおよび右後ろの外部電極Rbが圧電薄板421の積層方向に沿って配設されている。なお、これらの外部電極Lf、Lb、Rf、Rbは、銀などの金属からなっており、リード線やフレキシブルプリント配線板(FPC)を介して駆動回路と電気的に接続している(図示省略)。
【0037】
そして、左前の外部電極Lfには、左側内部電極L2が電気的に接続されるとともに、左後ろの外部電極Lbには、左側内部電極L1が電気的に接続されている。また、右前の外部電極Rfには、右側内部電極R2が電気的に接続されるとともに、右後ろの外部電極Rbには、右側内部電極R1が電気的に接続されている。
【0038】
以上のような構成を有する振動部4に対して、振動部4を共振させる高周波(例えば人間の可聴周波数域から外れた超音波領域の周波数)の電圧を駆動回路(不図示)から印加し圧電部42の圧電薄板421で周期的な変位を生じさせると、振動部42が共振して、例えば図4に示すように下部ガイド棒31に当接する突起部411、412には時計回りの楕円軌道を描く回転運動Kaが発生し、上部ガイド棒32に当接する突起部413には反時計回りの楕円軌道を描く回転運動Kbが発生する。このように互いに逆方向に回転する回転運動Ka、Kbが振動部4の両端で生じると、ガイド棒3と突起部411〜413との間に働く摩擦力によって、ガイド棒3に対する駆動力が各突起部411〜413で発生するため、ガイド棒3に沿った方向Drに振動部4が移動できることとなる。なお、突起部411〜413では、加圧部材22からの加圧力によって生じる垂直抗力と、ガイド棒3に対する摩擦係数とで決まる駆動力が発生する。以下では、圧電部42の動作について詳しく説明する。
【0039】
圧電部42は、共振周波数の電圧印加によって励起される縦(伸縮)一次振動モードおよび屈曲一次振動モードという2種類の固有振動モードを利用することにより突起部411〜413で回転運動を生じさせる。これらの振動モードについて以下で説明する。
【0040】
(i)縦一次振動モード
図5(a)に縦一次振動モードの変形の様子を示している。電圧無印加時の状態Mo(破線で図示)に対して全体的に伸長した状態M1と不図示の収縮した状態を繰り返す。このように振動部4が駆動方向Dk(図1)に対して垂直方向に伸縮変形を行う一次振動モード(第1の振動モード)が、縦一次振動モードである。
【0041】
振動部4の圧電部42において、左前の外部電極Lfおよび左後ろの外部電極Lbの間と、右前の外部電極Rfおよび右後ろの外部電極Rbの間とに同極性の電圧を印加すると、圧電部42において左半分および右半分の圧電薄板421が同期した伸長変形(収縮変形)を行う。従って、左側電極と右側電極とに対して縦一次振動モードの共振周波数で同位相の電圧を印加することにより、縦一次振動モードが励起され、縦方向(伸縮方向)に変位が大きく拡大される。
【0042】
(ii)屈曲一次振動モード
図5(b)に屈曲一次振動モードの変形の様子を示している。全体に屈曲した状態M2と不図示の反対に屈曲した状態を繰り返す。このように振動部4が縦一次振動モードでの伸長変形と異なった屈曲変形を行う一次振動モード(第2の振動モード)が、屈曲一次振動モードである。
【0043】
振動部4の圧電部42において、左前の外部電極Lfおよび左後ろの外部電極Lbの間と、右前の外部電極Rfおよび右後ろの外部電極Rbの間とに逆極性の電圧を印加すると、圧電部42において左半分の圧電薄板421が伸長(または収縮)する一方、右半分の圧電薄板421が収縮(または伸長)するため、圧電部42は全体として右方向または左方向に屈曲変形することとなる。従って、左側電極と右側電極に対して屈曲一次振動モードの共振周波数で逆位相の電圧を印加することにより、屈曲振動モードが励起され、屈曲方向に変位が大きく拡大される。
【0044】
以上のような縦一次振動モードの共振周波数と屈曲一次振動モードの共振周波数とを、例えば振動部4の縦横比を調整することで略一致させるとともに、その共振周波数において位相を90度ずらせた電圧信号(図6参照)を圧電部42の左半分・右半分に印加して縦一次振動モードおよび屈曲一次振動モードを同時に励起することにより、圧電部42の上下端部に例えば回転運動Ka、Kb(図4)を発生させることが可能となる。すなわち、振動部4において縦一次振動モードと屈曲一次振動モードとを励起することにより、振動部4の両サイドで互いに逆回りとなる回転運動が生じるとともに、振動部4の両サイドそれぞれではサイド全域にわたって回転運動の回転方向が同一となる。
【0045】
ここで、振動部4の両端で生じる回転運動の回転方向については、一方の電圧信号に対して他方の電圧信号の位相を90度進ませたり90度遅らせたりすることで回転方向の反転を行えるため、ガイド棒3に対する振動部4の移動方向を容易に変更できる。
【0046】
以上の駆動装置1Aの構成および動作により、振動部4において縦一次振動モードと屈曲一次振動モードとを励起し、ガイド棒3と接触する振動部4の両サイド、つまり突起部411〜412と突起部413とで互いに逆回りとなる回転運動を生じさせることで振動部4がガイド棒3に対して移動するため、コンパクトな構成で効率良く駆動出力を取り出すことができる。すなわち、縦一次振動モードの縦振動方向に2本のガイド棒3で振動部4を挟持することにより振動部4の移動方向の寸法(長さ)を小さくできるため、振動部4の駆動ストロークを確保するために必要なガイド棒3の長さが短くなって駆動装置1Aを小型化できる。
【0047】
また、駆動装置1Aでは、振動部4の両端部それぞれで生じる回転運動を利用して駆動力を取出すため、振動体の片端のみから駆動力を取出していた従来のアクチュエータ(例えば特開平7−143770号公報参照)に比べて、大きな駆動力を取り出すことができる。さらに、振動体の片端から駆動出力を得ていた従来のアクチュエータでは他端にローラやベアリングなどの回転支持機構が必要であったが、本実施形態の駆動装置1Aでは、そのような回転支持機構が不要である。よって、駆動装置1Aの小型化が図れるとともに、回転支持機構での回転負荷(ロス)が発生しない。
【0048】
また、駆動装置1Aでは、振動部4の両サイドのうち一方のサイドには2個の突起部411、412が設けられているが、これらの突起部411、412によりガイド棒3に対する振動部4の姿勢が規制される。これにより、移動する際でも振動部4の姿勢が安定することとなる。
【0049】
また、ガイド棒3に接触する振動部4の各端部(各サイド)では端面の全領域において回転運動の回転方向が同一であるため、突起部を必ず設ける必要がなく当接部の設計自由度が向上する。以下では、上述した当接部41と異なる構成を有する当接部について、図7〜図9を参照しつつ説明する。なお、図7〜図9については、(a)が振動部の正面図を示しており、(b)が振動部の側面図を示している。
【0050】
図7に示す当接部43は、一定の接触長さをもって下部ガイド棒31に接触する接触部431と、上部ガイド棒32に接触する突起部432とを有している。ここで、接触部431は、その長手方向(振動部4の移動方向)の長さLaが振動部4の移動方向の長さLbの半分以上であるとともに、突起部432は、上述した突起部413(図2)と同様の構成を有している。このような構成を有する当接部43により、下部ガイド棒31に対して比較的広範囲に接触する接触部431によって振動部4が支持されるため、振動部4の姿勢が安定する。
【0051】
図8に示す当接部44は、下部ガイド棒31に当接する接触部441と、上部ガイド棒32に当接する接触部442とを有している。ここで、接触部441および接触部442それぞれは、上記の接触部431(図7)と同様の構成を有している。このような構成を有する当接部44においても、2本のガイド棒3に挟まれる振動部4の姿勢が安定することとなる。
【0052】
図9に示す当接部45は、下部ガイド棒31に接触する接触部451と、上部ガイド棒32に接触する接触部452とを有している。ここで、接触部451および接触部452それぞれは、圧電体断面と同形状の直方体状の形状を有している。そして、ガイド棒3に接触する部分には、突起部411〜413のようなV溝41v(図2)が形成されておらず、平坦な構造となっている。なお、このように平坦な端面を持つ接触部4では振動部4を規制できないため、振動部4の厚み(奥行き)方向の移動を規制する部材等(規制手段)が別途必要となる。以上のような構成の当接部45は、圧電部42の積層構造と一体的であるため、その構造が簡素化されて製造面やコスト面で有利になる。
【0053】
また、振動部4の圧電部については、図10〜図13に示すような構成を有していても良い。図10、図12および図13においては、(a)が振動部の正面図を示しており、(b)が振動部の側面図を示している。また、図12および図13においては、(c)が振動部の背面図を示している。以下では、図10〜図13に示す各当接部の構成を順に説明する。
【0054】
図10に示す圧電部46は、上述した圧電部42(図2)のように圧電薄板421を振動部4の高さ方向(上下方向)に積層するものとは異なり、圧電薄板461を振動部4の厚み(奥行き)方向に積層する構成となっている。そして、圧電薄板461の間には、図11(a)に示すような2分割された左側内部電極S1および右側内部電極T1と、図11(b)に示すような2分割された左側内部電極S2および右側内部電極T2とが交互に介挿されている。また、圧電部46の左側面および右側面には、4つの外部電極、具体的には左上の外部電極Su、左下の外部電極Sd、右上の外部電極Tuおよび右下の外部電極Tdが圧電薄板461の積層方向に沿って配設されている。そして、左上の外部電極Suには、左側内部電極S2が電気的に接続されるとともに、左下の外部電極Sdには、左側内部電極S1が電気的に接続されている。また、右上の外部電極Tuには、右側内部電極T2が電気的に接続されるとともに、右下の外部電極Tdには、右側内部電極T1が電気的に接続されている。
【0055】
以上の構成を有する圧電部46に外部電極を介し図2の実施例と同様の電圧を印加してガイド棒3に沿った駆動出力を取出す際には、縦一次振動モードの振動方向(縦振動方向)が積層方向と垂直な方向(いわゆる31方向)であるため、縦振動方向を積層方向(いわゆる33方向)とする上述の圧電部42(図2)に比べて駆動量が減少するものの、圧電部46では圧電薄板461の積層数が少なくなるため、上述の圧電部42より製造面で有利となる。また、圧電薄板を構成する圧電素子は積層方向の引張力に弱いため、圧電部46は上述の圧電部42に比べて強度面でも有利となる。
【0056】
図12に示す圧電部47は、図10の圧電部46のように複数の圧電薄板461が積層されている積層構造でなく、単層(バルク)圧電体471として構成されている。そして、圧電部47の前面には図12(a)に示すような2分割された電極Sfおよび電極Tfが配設され、圧電部47の背面には図12(c)に示すような1つの電極STbが共通電極として配設されている。
【0057】
以上の構成を有する圧電部47に電極を介して図2の実施例と同様の電圧を印加すると、上記の圧電部46と同様にガイド棒3に沿った駆動出力を取り出せることとなる。なお、圧電部47においては、圧電薄板461の積層構造を有する圧電部46と同等の駆動量を取出すためには高電圧の電圧印加を必要とするが、圧電部46よりシンプルな構造であるため、製造面やコスト面で有利となる。
【0058】
図13に示す構成は、薄板状の弾性体480の前面および背面に圧電薄板481、482が導電性接着剤などで貼付された構成を有している。また、圧電部48の前面には図13(a)に示すような2分割された外部電極Sfおよび外部電極Tfが配設され、圧電部48の背面には図13(c)に示すような2分割された外部電極Sbおよび外部電極Tbが配設され、外部電極Sfと外部電極Tb、外部電極Tfと外部電極Sbが共通電極となるように接続される。また、弾性体480を全ての圧電薄板の共通電極(GND)とする。弾性体480は、振動に係る減衰係数が低く耐磨耗性の高い金属材料、例えば窒化処理が施されたステンレスからなっている。
【0059】
以上の構成を有する圧電部48に外部電極を介して図2の実施例と同様の電圧を印加すると、上記の圧電部46と同様にガイド棒3に沿った駆動出力を取り出せることとなる。そして、弾性体480に対して突起部41a〜41cを一体的に形成できるので、製造の簡素化が図れるとともに、弾性体480は、減衰の小さい金属材料で構成されることとなるためセラミック等に比べて駆動効率が向上する。
【0060】
<第2実施形態>
<駆動装置の構成>
図14は、本発明の第2実施形態に係る駆動装置1Bの要部構成を示す図である。ここで、図14(a)は、駆動装置1Bの正面図を示しており、図14(b)は、駆動装置1Bの側面図を示している。
【0061】
駆動装置1Bは、第1実施形態の駆動装置1Aと類似の構成を有しているが、振動部が異なっている。以下では、駆動装置1Bの振動部5の構成について、詳しく説明する。
【0062】
図15は、振動部5の要部構成を示す図である。ここで、図5(a)は、振動部5の正面図を示しており、図5(b)は、振動部5の側面図を示している。
【0063】
振動部5は、ガイド棒3に当接する当接部51と、圧電部52とで構成されている。
【0064】
圧電部52は、駆動方向Dk(図14)に対する垂直方向に沿って並列に配置されるとともに、当該垂直方向にそれぞれ伸縮変形が可能な一対の伸縮変形部52a、52bを備えている。各伸縮変形部52aは、例えばPZTなどの圧電特性を持つ長方形の圧電薄板521が内部電極を挟み込みつつ積層されており、いわゆる一般的な積層型圧電素子として構成されている。また、直方体状の各伸縮変形部52a、52bの前面および背面には、第1実施形態と同様の外部電極Lf、Lb、Rf、Rbが配設されている。
【0065】
当接部51は、第1実施形態の突起部411〜413と同様の構成を有する突起部511〜513と、伸縮変形部52a、52bの両端それぞれをエポキシなどの比較的高弾性の接着剤を用いて固定し連結する連結部514、515とを備えている。なお、各突起部511〜513には、第1実施形態と同様に前後方向への振動部5の移動を防止するために、ガイド棒3と係合するV溝51vが形成されている。
【0066】
以上のような構成を有する振動部5では、第1実施形態の振動部4と同様に、共振周波数において励起される縦一次振動モードおよび屈曲一次振動モードを利用することにより突起部511〜513で回転運動を生じさせる。これらの振動モードについて以下で説明する。
【0067】
(i)縦一次振動モード
図16(a)に縦一次振動モードの変形の様子を示している。電圧無印加時の状態(不図示)に対して全体的に伸長した状態M11と不図示の収縮した状態を繰り返す。このように圧電部52が駆動方向Dk(図14)に対して垂直方向に伸縮変形を行う一次振動モード(第1の振動モード)が、縦一次振動モードである。
【0068】
振動部5の圧電部52において、外部電極Lfおよび外部電極Lbの間と、外部電極Rfおよび外部電極Rbの間とに同極性の電圧を印加すると、圧電部52において各伸縮変形部52a、52bが同期した伸長変形(収縮変形)を行う。従って、左側電極と右側電極とに対して縦一次振動モードの共振周波数で同位相の電圧を印加することにより、縦一次振動モードが励起され、縦方向(伸縮方向)に変位が大きく拡大される。
【0069】
(ii)屈曲一次振動モード
図16(b)に屈曲一次振動モードの変形の様子を示している。全体に屈曲した状態M12と不図示の反対に屈曲した状態を繰り返す。このように圧電部52が縦一次振動モードでの伸長変形と異なった屈曲変形を行う一次振動モード(第2の振動モード)が、屈曲一次振動モードである。
【0070】
振動部5の圧電部52において、外部電極Lfおよび外部電極Lbの間と、外部電極Rfおよび外部電極Rbの間とに逆極性の電圧を印加すると、圧電部52において伸縮変形部52aが伸長(または収縮)する一方、伸縮変形部52bが収縮(または伸長)するため、圧電部52は全体として右方向または左方向に屈曲変形することとなる。従って、左側電極と右側電極に対して屈曲一次振動モードの共振周波数で逆位相の電圧を印加することにより、屈曲振動モードが励起され、屈曲方向に変位が大きく拡大される。
【0071】
以上のような縦一次振動モードの共振周波数と屈曲一次振動モードの共振周波数とを略一致させるとともに、その共振周波数において位相を90度ずらせた電圧信号(図6参照)を各伸縮変形部52a、52bに印加して縦一次振動モードおよび屈曲一次振動モードを同時に励起することにより、例えば図4に示す回転運動Ka、Kbを振動部5の上下端部に生じさせ、ガイド棒3に沿った振動部5の移動が可能となる。ここで、振動部5は、2つの独立した伸縮変形部52a、52bを有しているため、各伸縮変形部52a、52bの幅や長さ、伸縮変形部52a、52bの間の距離をパラメータとして縦一次振動モードと屈曲一次振動モードとの共振周波数とを略一致できる。よって、第1実施形態の振動部4に比べて振動部5の設計自由度が増すこととなる。
【0072】
以上の駆動装置1Bの構成および動作により、第1実施形態の駆動装置1Aと同様の効果を発揮する。さらに、駆動装置1Bでは、並列に配置された2つの伸縮変形部52a、52bを用いて縦一次振動モードおよび屈曲一次振動モードを励起するため、振動部5の構成がシンプルになる。
【0073】
なお、駆動装置1Bの伸縮変形部52a、52bについては、例えば振動部の厚み方向(奥行き方向)に積層された積層型圧電素子で構成しても良く、さらに例えば特開2002−185055号公報に開示されるロール型の圧電素子として構成されていても良い。
【0074】
以上で説明した第1実施形態の駆動装置1Aと第2実施形態の駆動装置1Bとは、例えばレンズなどを含む移動体を駆動するのに利用できる。この利用例について、以下で説明する。
【0075】
図17は、駆動装置1Aを用いて移動体6を駆動する構成を説明するための図である。
【0076】
移動体6は、駆動装置1Aにおける振動部4の正面上方(図1の紙面上方)に設けられ、ガイド棒3と平行に配置される別のガイド(図示省略)に沿った移動が可能となっている。また、移動体6は、レンズ61と、レンズ61を保持するホルダ62と、ホルダ62に固定された板ばね63とを備えている。板ばね63は、「コ」の字状の外形を有しており、この板ばね63で振動部4の側面の中央付近を挟むことで振動部4と移動体6とが連結される。なお、振動部4を挟んで保持する板ばね63の付勢力は、振動部4の振動を阻害しない程度の力量に設定するとともに、板ばね63と振動部4との間を柔軟な接着剤(例えばゴム系の接着剤)によって接着することで磨耗の低減を図るのが良い。
【0077】
以上のような構成により、ガイド棒3に対する振動部4の移動に連動して移動体6が駆動されるため、移動体6の駆動系をコンパクトにできる。
【0078】
<変形例>
・上記の各実施形態におけるガイド棒については、単一の材料で構成されるのは必須でなく、防振効果を奏するように複数の材料を組合せて構成するようにしても良い。
【0079】
図18は、複数の材料を組合せたガイド棒3Aの構成を示す図である。ここで、図18(a)は、駆動方向Dk(図1参照)に平行なガイド棒3Aの断面図を示しており、図18(b)は、駆動方向Dk(図1参照)に垂直なガイド棒3Aの断面図を示している。
【0080】
ガイド棒3Aは、ガイド棒3Aの外形を形成するパイプ部33と、パイプ部33の内部に配設された円柱状の制振部材34とで構成されている。
【0081】
パイプ部33は、円筒状の形状を有しており、金属やセラミックで形成されている。また、制振部材34は、振動に関して減衰係数の大きい樹脂や、制振合金(例えばMn−Cu合金やFe−Cr合金、Zn−Al合金など)からなっている。なお、制振部材34が制振合金の場合には、その外周面とパイプ部33の内周面とを接着して固定するのが好ましい。一方、制振部材34が樹脂の場合には、パイプ部33に対してインサート成型を行っても良い。
【0082】
ガイド棒は振動部4の振動に伴って加振されるが、この加振によってガイド棒の固有振動が引き起こされる恐れがある。ここで、ガイド棒の固有振動が発生すると、この固有振動と振動部4の端部の回転運動との相互作用によって、駆動力(推力)が低下したり、異音が生じる可能性がある。
【0083】
このような事態を回避するため、ガイド棒3Aでは、上述のようにパイプ部33の中に制振部材34を挿入する防振構造を採用している。これにより、パイプ部33が共振するような振動が生じても内部の制振部材34が振動エネルギーを熱に変換して振動(固有振動)を減衰させるため、駆動装置1Aの性能劣化を防止できることとなる。
【0084】
・上記の各実施形態におけるガイド棒については、円形断面を有するのは必須でなく、方形断面など異なる形状の断面を有しても良い。
【0085】
・上記の各実施形態における駆動装置については、ガイド棒に沿って移動する1個の振動部4を備えるのは必須でなく、2個以上の振動部4を備えても良い。図19は、2個の振動部4A、4Bを備えた駆動装置1Cの構成を示す図であるが、各振動部4A、4Bごとに電圧を印加することで振動部4A、4Bを独立して駆動できる。このような構成を採用すれば、2個の振動部4A、4Bを別々に駆動する場合でも1組のガイド棒3で足りるため、コストを低減できることとなる。
【0086】
・上記の各実施形態における駆動装置については、ガイド棒に対して振動部を移動させるのは必須でなく、例えば図20に示す駆動装置1Dのように振動部4Cに対してガイド棒35、36を移動させるようにしても良い。ここで、図20(a)は、駆動装置1Dの正面図を示しており、図20(b)は、駆動装置1Dの側面図を示している。
【0087】
駆動装置1Dにおいては、振動部4Cが固定部FXから伸びる2枚の板ばね71の間に挟まれて保持されるとともに、振動部4Cの両端に当接する2本のガイド棒35、36を挟み込む板ばね72を備えている。
【0088】
このような構成の駆動装置1Dでは、振動部4Cに電圧を印加して振動させることにより、例えば振動部4Cの両端に回転運動Ka、Kbが生じて、ガイド棒35、36(および板ばね72)が方向Dtに移動することとなる。
【0089】
・上記の各実施形態の駆動装置においては、リニア駆動を行うのは必須でなく、例えば図21に示す駆動装置1Eのように回転駆動を行うようにしても良い。ここで、図21(a)は、駆動装置1Eの平面図を示しており、図21(b)は、駆動装置1Eの側面図を示している。
【0090】
駆動装置1Eは、上述した上部ガイド棒31および下部ガイド棒32に対応するリング状のガイド環(ガイド部材)37、38と、ガイド環37、38に沿って等間隔に配置された3個の振動部4(図2)とを備えている。また、駆動装置1Eは、リング状のベース部材23を備えており、例えば波状ワッシャーとして構成されるリング状の加圧部材24からの付勢力によって振動部4が上下のガイド環37、38に加圧状態で挟持される。ここで、3個の振動部4を固定し、ガイド環37、38について同一の回転方向に各振動部4の駆動力が生じるように振動部4への電圧印加を行うと、リング状のガイド環37〜38およびベース部材23が回転軸Coを中心に回転されることとなる。
【0091】
以上の構成を有する駆動装置1Eにより、ロータ等の回転部材をベース部材23の内周面で保持するなどしてベース部材23に連結させれば、振動部4への電圧印加によって回転部材を回転駆動できることとなる。このような駆動装置1Eは、例えばカム環などを回転駆動してレンズを直動させる撮像装置等への適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施形態に係る駆動装置1Aの要部構成を示す図である。
【図2】振動部4の要部構成を示す図である。
【図3】圧電部42の構成を説明するための図である。
【図4】振動部4の突起部411〜413に生じる回転運動Ka、Kbを説明するための図である。
【図5】圧電部42に関する2種類の固有振動モードを説明するための図である。
【図6】圧電部42に印加する電圧信号を説明するための図である。
【図7】当接部に関する他の構成を説明するための図である。
【図8】当接部に関する他の構成を説明するための図である。
【図9】当接部に関する他の構成を説明するための図である。
【図10】圧電部に関する他の構成を説明するための図である。
【図11】圧電部に関する他の構成を説明するための図である。
【図12】圧電部に関する他の構成を説明するための図である。
【図13】圧電部に関する他の構成を説明するための図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る駆動装置1Bの要部構成を示す図である。
【図15】振動部5の要部構成を示す図である。
【図16】振動部5に関する2種類の固有振動モードを説明するための図である。
【図17】駆動装置1Aを用いて移動体6を駆動する構成を説明するための図である。
【図18】複数の材料を組合せたガイド棒3Aの構成を示す図である。
【図19】2個の振動部4A、4Bを備えた駆動装置1Cの構成を示す図である。
【図20】振動部4Cに対してガイド棒33、34を移動させる駆動装置1Dの構成を示す図である。
【図21】回転駆動を行う駆動装置1Eの構成を示す図である。
【図22】従来技術に係るアクチュエータの動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0093】
1A〜1E 駆動装置
2 ベース部
3、31、32、35、36 ガイド棒
4、4A〜4C、5 振動部
6 移動体
22 加圧部材
33 パイプ部
34 制振部材
37、38 ガイド環
41、43〜45、51 当接部
42、46〜48、52 圧電部
52a、52b 伸縮変形部
411〜413、511〜513 突起部
Ka、Kb 回転運動
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定方向への駆動を行う駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波アクチュエータ(駆動装置)は、コンパクト化や静音化といったメリットがあるため、小型カメラのレンズ駆動機構等での活用が期待されている。
【0003】
超音波アクチューエータとしては、例えば特許文献1に開示されるものがある。このアクチュエータでは、超音波振動子(振動体)の上下両端部に複数の突起部を設け一対のガイド部材で振動体を挟み込むとともに、振動体の移動方向に関する伸縮振動と図22に示す2次の屈曲振動とが励起された振動体9において上下両端部に生じる回転運動により、ガイド部材に対して振動体の移動が可能となっている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−104984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のアクチュエータでは、図22のように複数の振動の節・腹が生じるように振動体9を共振させるため、移動方向に関する振動体の長さが長くなる。このように移動方向に長い振動体で必要な駆動ストロークを確保するには、その分ガイド部材も長くなって、アクチュエータの大型化を招くこととなる。
【0006】
また、振動体9の上下両端部の回転運動については、図22に示すように振動体9の上端面9uにおいて回転運動91、94と回転運動92、93とが逆方向の回転となり、下端面9dにおいて回転運動95、98と回転運動96、97とが逆方向の回転となる。一方、振動体9を移動させるには上端面9uと下端面9dとで生じる回転運動を逆方向にしなければならない。よって、振動体9では、ガイド部材に接触する突起部を例えば回転運動91、94が生じる上端面9uの各位置に設けるとともに、回転運動96、97が生じる下端面9dの各位置に設ける必要がある。
【0007】
しかし、このような位置に突起部を設けると、上端面9uの回転運動91、94に比べて下端面9dの回転運動96、97の回転径が小さくなるため、その速度差による滑りが上下の端面9u、9dの間で生じることとなる。これでは、駆動ロスが発生して効率よく駆動出力を取り出せないとともに、磨耗の原因にもなる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、コンパクトな構成で効率良く駆動出力を取り出すことができる駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、所定方向への駆動を行う駆動装置であって、(a)前記所定方向に対して垂直方向に伸縮変形を行う第1の振動モードと、前記伸縮変形と異なった変形を行う第2の振動モードとを励起可能な振動部と、(b)前記所定方向に沿って配置され、前記振動部の両サイドを加圧状態で挟持する2のガイド部材とを備え、前記振動部において前記第1の振動モードと前記第2の振動モードとを励起することにより、前記振動部の両サイドで互いに逆回りとなる回転運動を生じさせるとともに、前記回転運動を用いて前記振動部がガイド部材に対し相対的に移動することで前記所定方向への駆動が行われる。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る駆動装置において、前記振動部の両サイドそれぞれでは、サイド全域にわたって前記回転運動の回転方向が同一である。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る駆動装置において、前記第1の振動モードは、前記振動部の伸縮変形に関する一次振動モードであり、前記第2の振動モードは、前記振動部の屈曲変形に関する一次振動モードである。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る駆動装置において、前記振動部は、(a-1)前記所定方向に対する垂直方向に沿って並列に配置され、当該垂直方向にそれぞれ伸縮変形が可能な一対の伸縮変形部と、(a-2)前記一対の伸縮変形部の両端それぞれを連結する連結部材とを有し、前記第1の振動モードは、前記一対の伸縮変形部が伸縮変形に関する同位相の振動を行うことで励起されるとともに、前記第2の振動モードは、前記一対の伸縮変形部が伸縮変形に関する逆位相の振動を行うことで励起される。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明に係る駆動装置において、前記振動部の両サイドのうち少なくとも一方のサイドにより、ガイド部材に対する前記振動部の姿勢が規制される。
【0014】
また、請求項6の発明は、請求項5の発明に係る駆動装置において、前記少なくとも一方のサイドには、前記ガイド部材に接触する複数の突起が設けられている。
【0015】
また、請求項7の発明は、請求項5の発明に係る駆動装置において、前記少なくとも一方のサイドには、一定の接触長さをもって前記ガイド部材に接触する接触部が設けられている。
【0016】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかの発明に係る駆動装置において、前記2のガイド部材それぞれは、(b-1)前記ガイド部材の外形を形成するパイプ部と、(b-2)前記パイプ部の内部に配設された制振部材とを有する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1から請求項8の発明によれば、所定方向に対して垂直方向に伸縮変形を行う第1の振動モードと、伸縮変形と異なった変形を行う第2の振動モードとを振動部において励起することにより、振動部の両サイドで互いに逆回りとなる回転運動を生じさせるとともに、この回転運動を用いて振動部の両サイドを加圧状態で挟持する2のガイド部材に対し振動部が相対的に移動することで所定方向への駆動が行われる。その結果、コンパクトな構成で効率良く駆動出力を取り出すことができる。
【0018】
特に、請求項2の発明においては、振動部の両サイドそれぞれではサイド全域にわたって回転運動の回転方向が同一であるため、駆動装置の構成を簡素化できる。
【0019】
また、請求項3の発明においては、第1の振動モードが振動部の伸縮変形に関する一次振動モードであり、第2の振動モードが振動部の屈曲変形に関する一次振動モードであるため、振動部の小型化が図れる。
【0020】
また、請求項4の発明においては、所定方向に対する垂直方向に沿って並列に配置され当該垂直方向にそれぞれ伸縮変形が可能な一対の伸縮変形部が伸縮変形に関する同位相の振動を行うことで第1の振動モードが励起されるとともに、一対の伸縮変形部が伸縮変形に関する逆位相の振動を行うことで第2の振動モードが励起される。その結果、振動部の構成を簡素化できる。
【0021】
また、請求項5の発明においては、振動部の両サイドのうち少なくとも一方のサイドによりガイド部材に対する振動部の姿勢が規制されるため、振動部の姿勢を安定化できる。
【0022】
また、請求項6の発明においては、少なくとも一方のサイドにはガイド部材に接触する複数の突起が設けられているため、振動部の姿勢を簡易に安定化できる。
【0023】
また、請求項7の発明においては、少なくとも一方のサイドには一定の接触長さをもってガイド部材に接触する接触部が設けられているため、振動部の姿勢を簡易に安定化できる。
【0024】
また、請求項8の発明においては、2のガイド部材それぞれはガイド部材の外形を形成するパイプ部の内部に制振部材が配設されているため、振動部によるガイド部材の振動を適切に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
<第1実施形態>
<駆動装置の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る駆動装置1Aの要部構成を示す図である。ここで、図1(a)は、駆動装置1Aの正面図を示しており、図1(b)は、駆動装置1Aの側面図を示している。
【0026】
駆動装置1Aは、例えば超音波アクチュエータとして構成されており、ベース部2と、ベース部2によって保持される一対のガイド棒3(下部ガイド棒31および上部ガイド棒32)と、この2本のガイド棒(ガイド部材)3の間に挟まれる振動部4とを備えている。この駆動装置1Aでは、共振周波数の電圧印加によって共振する振動部3が2本のガイド棒3に沿って移動することにより駆動方向Dkへの駆動が行われる。
【0027】
ベース部2は、「コ」の字状の外形を有するフレーム部21と、上部ガイド棒32を加圧する加圧部材22とを備えている。
【0028】
フレーム部21は、例えば駆動装置1Aが搭載される装置内に固定されており、その側面21sには、円形状の形状を有し下部ガイド棒31を固定する下孔21aと、両端が円形の長穴を有し上部ガイド棒32を保持する上孔21bとが形成されている。そして、下孔21aには、圧入や接着によって下部ガイド棒31が固定されるとともに、上孔21bには、上部ガイド棒32が上下方向Udに移動可能なように遊挿されている。この上部ガイド棒32の両端部には、下部ガイド棒31と平行な状態で上部ガイド棒32を上下方向Udに移動させるとともに上孔21bから上部ガイド棒31が外れるのを防止するリング部材32rが固定されている。なお、リング部材32rに関しては、上部ガイド棒32と一体として成形しても良い。
【0029】
加圧部材22は、例えば板ばねとして構成されており、その一部がフレーム部21の内壁に固定され適度な加圧力で上部ガイド部材32を下部ガイド棒31の方向に付勢する。このような加圧部材22により、駆動方向Dkに沿って配置される2本のガイド棒3が振動部4の両サイドを加圧状態で挟持できることとなる。なお、加圧部材22については、板ばねに限らずコイルばねで構成するようにしても良い。
【0030】
2本のガイド棒3は、円形断面の棒状部材として構成されており、振動部4の移動をガイドするガイド部材として機能する。このガイド棒3は、例えば安価で製造しやすいステンレスなどの金属材料で形成されており、その表面には、振動部4との磨耗を抑えるため焼入れや窒化処理などの表面硬化処理が施されている。なお、表面硬化処理については、窒化クロム(CrN)や炭窒化チタン(TiCN)などのセラミックコーティングを施しても良く、またアルミナやジルコニアなどのセラミックを使用して耐磨耗性を向上させても良い。
【0031】
振動部4の構成について、図2を参照しつつ説明する。
【0032】
図2は、振動部4の要部構成を示す図である。ここで、図2(a)は、振動部4の正面図を示しており、図2(b)は、振動部4の側面図を示している。
【0033】
振動部4は、略直方体状の形状を有しており、ガイド棒3に当接する当接部41と、圧電部42とで構成されている。
【0034】
当接部41は、下部ガイド棒31に当接する2つの突起部411、412と、上部ガイド棒32に当接する1つの突起部413とを備えている。各突起部411〜413には、図2(b)に示すように前後方向Fbへの振動部4の移動を防止するために、ガイド棒3と係合するV溝41vが形成されている。このように2本のガイド棒3に対して突起部411〜413の3点で振動部4を支持することにより、ガイド棒3に対する振動部4の姿勢が安定することとなる。すなわち、ガイド棒3に対する振動部4の移動に伴って、1つの突起部413のみが接触する上部ガイド棒32では若干の傾きが生じる可能性があるものの、下孔21aに固定された下部ガイド棒32に対し2つの突起部411、412で支持される振動部4の姿勢は、常に変化しない。これにより、高精度な位置制御や速度制御が可能になる。
【0035】
突起部411〜413は、ガイド棒3との磨耗を低減するために超硬合金やアルミナ、ジルコニアなどのセラミックスで形成されており、エポキシなどの比較的高弾性の接着剤によって圧電部42に固定されている。
【0036】
圧電部42は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電特性を持つ長方形の圧電セラミックス薄板(以下では「圧電薄板」と略称する)421が積層された構造を有しており、圧電薄板421の間には、図3(a)に示すような2分割された左側内部電極L1および右側内部電極R1と、図3(b)に示すような2分割された左側内部電極L2および右側内部電極R2とが交互に介挿されている。また、圧電部42の前面および背面には、4つの外部電極、具体的には左前の外部電極Lf、左後ろの外部電極Lb、右前の外部電極Rfおよび右後ろの外部電極Rbが圧電薄板421の積層方向に沿って配設されている。なお、これらの外部電極Lf、Lb、Rf、Rbは、銀などの金属からなっており、リード線やフレキシブルプリント配線板(FPC)を介して駆動回路と電気的に接続している(図示省略)。
【0037】
そして、左前の外部電極Lfには、左側内部電極L2が電気的に接続されるとともに、左後ろの外部電極Lbには、左側内部電極L1が電気的に接続されている。また、右前の外部電極Rfには、右側内部電極R2が電気的に接続されるとともに、右後ろの外部電極Rbには、右側内部電極R1が電気的に接続されている。
【0038】
以上のような構成を有する振動部4に対して、振動部4を共振させる高周波(例えば人間の可聴周波数域から外れた超音波領域の周波数)の電圧を駆動回路(不図示)から印加し圧電部42の圧電薄板421で周期的な変位を生じさせると、振動部42が共振して、例えば図4に示すように下部ガイド棒31に当接する突起部411、412には時計回りの楕円軌道を描く回転運動Kaが発生し、上部ガイド棒32に当接する突起部413には反時計回りの楕円軌道を描く回転運動Kbが発生する。このように互いに逆方向に回転する回転運動Ka、Kbが振動部4の両端で生じると、ガイド棒3と突起部411〜413との間に働く摩擦力によって、ガイド棒3に対する駆動力が各突起部411〜413で発生するため、ガイド棒3に沿った方向Drに振動部4が移動できることとなる。なお、突起部411〜413では、加圧部材22からの加圧力によって生じる垂直抗力と、ガイド棒3に対する摩擦係数とで決まる駆動力が発生する。以下では、圧電部42の動作について詳しく説明する。
【0039】
圧電部42は、共振周波数の電圧印加によって励起される縦(伸縮)一次振動モードおよび屈曲一次振動モードという2種類の固有振動モードを利用することにより突起部411〜413で回転運動を生じさせる。これらの振動モードについて以下で説明する。
【0040】
(i)縦一次振動モード
図5(a)に縦一次振動モードの変形の様子を示している。電圧無印加時の状態Mo(破線で図示)に対して全体的に伸長した状態M1と不図示の収縮した状態を繰り返す。このように振動部4が駆動方向Dk(図1)に対して垂直方向に伸縮変形を行う一次振動モード(第1の振動モード)が、縦一次振動モードである。
【0041】
振動部4の圧電部42において、左前の外部電極Lfおよび左後ろの外部電極Lbの間と、右前の外部電極Rfおよび右後ろの外部電極Rbの間とに同極性の電圧を印加すると、圧電部42において左半分および右半分の圧電薄板421が同期した伸長変形(収縮変形)を行う。従って、左側電極と右側電極とに対して縦一次振動モードの共振周波数で同位相の電圧を印加することにより、縦一次振動モードが励起され、縦方向(伸縮方向)に変位が大きく拡大される。
【0042】
(ii)屈曲一次振動モード
図5(b)に屈曲一次振動モードの変形の様子を示している。全体に屈曲した状態M2と不図示の反対に屈曲した状態を繰り返す。このように振動部4が縦一次振動モードでの伸長変形と異なった屈曲変形を行う一次振動モード(第2の振動モード)が、屈曲一次振動モードである。
【0043】
振動部4の圧電部42において、左前の外部電極Lfおよび左後ろの外部電極Lbの間と、右前の外部電極Rfおよび右後ろの外部電極Rbの間とに逆極性の電圧を印加すると、圧電部42において左半分の圧電薄板421が伸長(または収縮)する一方、右半分の圧電薄板421が収縮(または伸長)するため、圧電部42は全体として右方向または左方向に屈曲変形することとなる。従って、左側電極と右側電極に対して屈曲一次振動モードの共振周波数で逆位相の電圧を印加することにより、屈曲振動モードが励起され、屈曲方向に変位が大きく拡大される。
【0044】
以上のような縦一次振動モードの共振周波数と屈曲一次振動モードの共振周波数とを、例えば振動部4の縦横比を調整することで略一致させるとともに、その共振周波数において位相を90度ずらせた電圧信号(図6参照)を圧電部42の左半分・右半分に印加して縦一次振動モードおよび屈曲一次振動モードを同時に励起することにより、圧電部42の上下端部に例えば回転運動Ka、Kb(図4)を発生させることが可能となる。すなわち、振動部4において縦一次振動モードと屈曲一次振動モードとを励起することにより、振動部4の両サイドで互いに逆回りとなる回転運動が生じるとともに、振動部4の両サイドそれぞれではサイド全域にわたって回転運動の回転方向が同一となる。
【0045】
ここで、振動部4の両端で生じる回転運動の回転方向については、一方の電圧信号に対して他方の電圧信号の位相を90度進ませたり90度遅らせたりすることで回転方向の反転を行えるため、ガイド棒3に対する振動部4の移動方向を容易に変更できる。
【0046】
以上の駆動装置1Aの構成および動作により、振動部4において縦一次振動モードと屈曲一次振動モードとを励起し、ガイド棒3と接触する振動部4の両サイド、つまり突起部411〜412と突起部413とで互いに逆回りとなる回転運動を生じさせることで振動部4がガイド棒3に対して移動するため、コンパクトな構成で効率良く駆動出力を取り出すことができる。すなわち、縦一次振動モードの縦振動方向に2本のガイド棒3で振動部4を挟持することにより振動部4の移動方向の寸法(長さ)を小さくできるため、振動部4の駆動ストロークを確保するために必要なガイド棒3の長さが短くなって駆動装置1Aを小型化できる。
【0047】
また、駆動装置1Aでは、振動部4の両端部それぞれで生じる回転運動を利用して駆動力を取出すため、振動体の片端のみから駆動力を取出していた従来のアクチュエータ(例えば特開平7−143770号公報参照)に比べて、大きな駆動力を取り出すことができる。さらに、振動体の片端から駆動出力を得ていた従来のアクチュエータでは他端にローラやベアリングなどの回転支持機構が必要であったが、本実施形態の駆動装置1Aでは、そのような回転支持機構が不要である。よって、駆動装置1Aの小型化が図れるとともに、回転支持機構での回転負荷(ロス)が発生しない。
【0048】
また、駆動装置1Aでは、振動部4の両サイドのうち一方のサイドには2個の突起部411、412が設けられているが、これらの突起部411、412によりガイド棒3に対する振動部4の姿勢が規制される。これにより、移動する際でも振動部4の姿勢が安定することとなる。
【0049】
また、ガイド棒3に接触する振動部4の各端部(各サイド)では端面の全領域において回転運動の回転方向が同一であるため、突起部を必ず設ける必要がなく当接部の設計自由度が向上する。以下では、上述した当接部41と異なる構成を有する当接部について、図7〜図9を参照しつつ説明する。なお、図7〜図9については、(a)が振動部の正面図を示しており、(b)が振動部の側面図を示している。
【0050】
図7に示す当接部43は、一定の接触長さをもって下部ガイド棒31に接触する接触部431と、上部ガイド棒32に接触する突起部432とを有している。ここで、接触部431は、その長手方向(振動部4の移動方向)の長さLaが振動部4の移動方向の長さLbの半分以上であるとともに、突起部432は、上述した突起部413(図2)と同様の構成を有している。このような構成を有する当接部43により、下部ガイド棒31に対して比較的広範囲に接触する接触部431によって振動部4が支持されるため、振動部4の姿勢が安定する。
【0051】
図8に示す当接部44は、下部ガイド棒31に当接する接触部441と、上部ガイド棒32に当接する接触部442とを有している。ここで、接触部441および接触部442それぞれは、上記の接触部431(図7)と同様の構成を有している。このような構成を有する当接部44においても、2本のガイド棒3に挟まれる振動部4の姿勢が安定することとなる。
【0052】
図9に示す当接部45は、下部ガイド棒31に接触する接触部451と、上部ガイド棒32に接触する接触部452とを有している。ここで、接触部451および接触部452それぞれは、圧電体断面と同形状の直方体状の形状を有している。そして、ガイド棒3に接触する部分には、突起部411〜413のようなV溝41v(図2)が形成されておらず、平坦な構造となっている。なお、このように平坦な端面を持つ接触部4では振動部4を規制できないため、振動部4の厚み(奥行き)方向の移動を規制する部材等(規制手段)が別途必要となる。以上のような構成の当接部45は、圧電部42の積層構造と一体的であるため、その構造が簡素化されて製造面やコスト面で有利になる。
【0053】
また、振動部4の圧電部については、図10〜図13に示すような構成を有していても良い。図10、図12および図13においては、(a)が振動部の正面図を示しており、(b)が振動部の側面図を示している。また、図12および図13においては、(c)が振動部の背面図を示している。以下では、図10〜図13に示す各当接部の構成を順に説明する。
【0054】
図10に示す圧電部46は、上述した圧電部42(図2)のように圧電薄板421を振動部4の高さ方向(上下方向)に積層するものとは異なり、圧電薄板461を振動部4の厚み(奥行き)方向に積層する構成となっている。そして、圧電薄板461の間には、図11(a)に示すような2分割された左側内部電極S1および右側内部電極T1と、図11(b)に示すような2分割された左側内部電極S2および右側内部電極T2とが交互に介挿されている。また、圧電部46の左側面および右側面には、4つの外部電極、具体的には左上の外部電極Su、左下の外部電極Sd、右上の外部電極Tuおよび右下の外部電極Tdが圧電薄板461の積層方向に沿って配設されている。そして、左上の外部電極Suには、左側内部電極S2が電気的に接続されるとともに、左下の外部電極Sdには、左側内部電極S1が電気的に接続されている。また、右上の外部電極Tuには、右側内部電極T2が電気的に接続されるとともに、右下の外部電極Tdには、右側内部電極T1が電気的に接続されている。
【0055】
以上の構成を有する圧電部46に外部電極を介し図2の実施例と同様の電圧を印加してガイド棒3に沿った駆動出力を取出す際には、縦一次振動モードの振動方向(縦振動方向)が積層方向と垂直な方向(いわゆる31方向)であるため、縦振動方向を積層方向(いわゆる33方向)とする上述の圧電部42(図2)に比べて駆動量が減少するものの、圧電部46では圧電薄板461の積層数が少なくなるため、上述の圧電部42より製造面で有利となる。また、圧電薄板を構成する圧電素子は積層方向の引張力に弱いため、圧電部46は上述の圧電部42に比べて強度面でも有利となる。
【0056】
図12に示す圧電部47は、図10の圧電部46のように複数の圧電薄板461が積層されている積層構造でなく、単層(バルク)圧電体471として構成されている。そして、圧電部47の前面には図12(a)に示すような2分割された電極Sfおよび電極Tfが配設され、圧電部47の背面には図12(c)に示すような1つの電極STbが共通電極として配設されている。
【0057】
以上の構成を有する圧電部47に電極を介して図2の実施例と同様の電圧を印加すると、上記の圧電部46と同様にガイド棒3に沿った駆動出力を取り出せることとなる。なお、圧電部47においては、圧電薄板461の積層構造を有する圧電部46と同等の駆動量を取出すためには高電圧の電圧印加を必要とするが、圧電部46よりシンプルな構造であるため、製造面やコスト面で有利となる。
【0058】
図13に示す構成は、薄板状の弾性体480の前面および背面に圧電薄板481、482が導電性接着剤などで貼付された構成を有している。また、圧電部48の前面には図13(a)に示すような2分割された外部電極Sfおよび外部電極Tfが配設され、圧電部48の背面には図13(c)に示すような2分割された外部電極Sbおよび外部電極Tbが配設され、外部電極Sfと外部電極Tb、外部電極Tfと外部電極Sbが共通電極となるように接続される。また、弾性体480を全ての圧電薄板の共通電極(GND)とする。弾性体480は、振動に係る減衰係数が低く耐磨耗性の高い金属材料、例えば窒化処理が施されたステンレスからなっている。
【0059】
以上の構成を有する圧電部48に外部電極を介して図2の実施例と同様の電圧を印加すると、上記の圧電部46と同様にガイド棒3に沿った駆動出力を取り出せることとなる。そして、弾性体480に対して突起部41a〜41cを一体的に形成できるので、製造の簡素化が図れるとともに、弾性体480は、減衰の小さい金属材料で構成されることとなるためセラミック等に比べて駆動効率が向上する。
【0060】
<第2実施形態>
<駆動装置の構成>
図14は、本発明の第2実施形態に係る駆動装置1Bの要部構成を示す図である。ここで、図14(a)は、駆動装置1Bの正面図を示しており、図14(b)は、駆動装置1Bの側面図を示している。
【0061】
駆動装置1Bは、第1実施形態の駆動装置1Aと類似の構成を有しているが、振動部が異なっている。以下では、駆動装置1Bの振動部5の構成について、詳しく説明する。
【0062】
図15は、振動部5の要部構成を示す図である。ここで、図5(a)は、振動部5の正面図を示しており、図5(b)は、振動部5の側面図を示している。
【0063】
振動部5は、ガイド棒3に当接する当接部51と、圧電部52とで構成されている。
【0064】
圧電部52は、駆動方向Dk(図14)に対する垂直方向に沿って並列に配置されるとともに、当該垂直方向にそれぞれ伸縮変形が可能な一対の伸縮変形部52a、52bを備えている。各伸縮変形部52aは、例えばPZTなどの圧電特性を持つ長方形の圧電薄板521が内部電極を挟み込みつつ積層されており、いわゆる一般的な積層型圧電素子として構成されている。また、直方体状の各伸縮変形部52a、52bの前面および背面には、第1実施形態と同様の外部電極Lf、Lb、Rf、Rbが配設されている。
【0065】
当接部51は、第1実施形態の突起部411〜413と同様の構成を有する突起部511〜513と、伸縮変形部52a、52bの両端それぞれをエポキシなどの比較的高弾性の接着剤を用いて固定し連結する連結部514、515とを備えている。なお、各突起部511〜513には、第1実施形態と同様に前後方向への振動部5の移動を防止するために、ガイド棒3と係合するV溝51vが形成されている。
【0066】
以上のような構成を有する振動部5では、第1実施形態の振動部4と同様に、共振周波数において励起される縦一次振動モードおよび屈曲一次振動モードを利用することにより突起部511〜513で回転運動を生じさせる。これらの振動モードについて以下で説明する。
【0067】
(i)縦一次振動モード
図16(a)に縦一次振動モードの変形の様子を示している。電圧無印加時の状態(不図示)に対して全体的に伸長した状態M11と不図示の収縮した状態を繰り返す。このように圧電部52が駆動方向Dk(図14)に対して垂直方向に伸縮変形を行う一次振動モード(第1の振動モード)が、縦一次振動モードである。
【0068】
振動部5の圧電部52において、外部電極Lfおよび外部電極Lbの間と、外部電極Rfおよび外部電極Rbの間とに同極性の電圧を印加すると、圧電部52において各伸縮変形部52a、52bが同期した伸長変形(収縮変形)を行う。従って、左側電極と右側電極とに対して縦一次振動モードの共振周波数で同位相の電圧を印加することにより、縦一次振動モードが励起され、縦方向(伸縮方向)に変位が大きく拡大される。
【0069】
(ii)屈曲一次振動モード
図16(b)に屈曲一次振動モードの変形の様子を示している。全体に屈曲した状態M12と不図示の反対に屈曲した状態を繰り返す。このように圧電部52が縦一次振動モードでの伸長変形と異なった屈曲変形を行う一次振動モード(第2の振動モード)が、屈曲一次振動モードである。
【0070】
振動部5の圧電部52において、外部電極Lfおよび外部電極Lbの間と、外部電極Rfおよび外部電極Rbの間とに逆極性の電圧を印加すると、圧電部52において伸縮変形部52aが伸長(または収縮)する一方、伸縮変形部52bが収縮(または伸長)するため、圧電部52は全体として右方向または左方向に屈曲変形することとなる。従って、左側電極と右側電極に対して屈曲一次振動モードの共振周波数で逆位相の電圧を印加することにより、屈曲振動モードが励起され、屈曲方向に変位が大きく拡大される。
【0071】
以上のような縦一次振動モードの共振周波数と屈曲一次振動モードの共振周波数とを略一致させるとともに、その共振周波数において位相を90度ずらせた電圧信号(図6参照)を各伸縮変形部52a、52bに印加して縦一次振動モードおよび屈曲一次振動モードを同時に励起することにより、例えば図4に示す回転運動Ka、Kbを振動部5の上下端部に生じさせ、ガイド棒3に沿った振動部5の移動が可能となる。ここで、振動部5は、2つの独立した伸縮変形部52a、52bを有しているため、各伸縮変形部52a、52bの幅や長さ、伸縮変形部52a、52bの間の距離をパラメータとして縦一次振動モードと屈曲一次振動モードとの共振周波数とを略一致できる。よって、第1実施形態の振動部4に比べて振動部5の設計自由度が増すこととなる。
【0072】
以上の駆動装置1Bの構成および動作により、第1実施形態の駆動装置1Aと同様の効果を発揮する。さらに、駆動装置1Bでは、並列に配置された2つの伸縮変形部52a、52bを用いて縦一次振動モードおよび屈曲一次振動モードを励起するため、振動部5の構成がシンプルになる。
【0073】
なお、駆動装置1Bの伸縮変形部52a、52bについては、例えば振動部の厚み方向(奥行き方向)に積層された積層型圧電素子で構成しても良く、さらに例えば特開2002−185055号公報に開示されるロール型の圧電素子として構成されていても良い。
【0074】
以上で説明した第1実施形態の駆動装置1Aと第2実施形態の駆動装置1Bとは、例えばレンズなどを含む移動体を駆動するのに利用できる。この利用例について、以下で説明する。
【0075】
図17は、駆動装置1Aを用いて移動体6を駆動する構成を説明するための図である。
【0076】
移動体6は、駆動装置1Aにおける振動部4の正面上方(図1の紙面上方)に設けられ、ガイド棒3と平行に配置される別のガイド(図示省略)に沿った移動が可能となっている。また、移動体6は、レンズ61と、レンズ61を保持するホルダ62と、ホルダ62に固定された板ばね63とを備えている。板ばね63は、「コ」の字状の外形を有しており、この板ばね63で振動部4の側面の中央付近を挟むことで振動部4と移動体6とが連結される。なお、振動部4を挟んで保持する板ばね63の付勢力は、振動部4の振動を阻害しない程度の力量に設定するとともに、板ばね63と振動部4との間を柔軟な接着剤(例えばゴム系の接着剤)によって接着することで磨耗の低減を図るのが良い。
【0077】
以上のような構成により、ガイド棒3に対する振動部4の移動に連動して移動体6が駆動されるため、移動体6の駆動系をコンパクトにできる。
【0078】
<変形例>
・上記の各実施形態におけるガイド棒については、単一の材料で構成されるのは必須でなく、防振効果を奏するように複数の材料を組合せて構成するようにしても良い。
【0079】
図18は、複数の材料を組合せたガイド棒3Aの構成を示す図である。ここで、図18(a)は、駆動方向Dk(図1参照)に平行なガイド棒3Aの断面図を示しており、図18(b)は、駆動方向Dk(図1参照)に垂直なガイド棒3Aの断面図を示している。
【0080】
ガイド棒3Aは、ガイド棒3Aの外形を形成するパイプ部33と、パイプ部33の内部に配設された円柱状の制振部材34とで構成されている。
【0081】
パイプ部33は、円筒状の形状を有しており、金属やセラミックで形成されている。また、制振部材34は、振動に関して減衰係数の大きい樹脂や、制振合金(例えばMn−Cu合金やFe−Cr合金、Zn−Al合金など)からなっている。なお、制振部材34が制振合金の場合には、その外周面とパイプ部33の内周面とを接着して固定するのが好ましい。一方、制振部材34が樹脂の場合には、パイプ部33に対してインサート成型を行っても良い。
【0082】
ガイド棒は振動部4の振動に伴って加振されるが、この加振によってガイド棒の固有振動が引き起こされる恐れがある。ここで、ガイド棒の固有振動が発生すると、この固有振動と振動部4の端部の回転運動との相互作用によって、駆動力(推力)が低下したり、異音が生じる可能性がある。
【0083】
このような事態を回避するため、ガイド棒3Aでは、上述のようにパイプ部33の中に制振部材34を挿入する防振構造を採用している。これにより、パイプ部33が共振するような振動が生じても内部の制振部材34が振動エネルギーを熱に変換して振動(固有振動)を減衰させるため、駆動装置1Aの性能劣化を防止できることとなる。
【0084】
・上記の各実施形態におけるガイド棒については、円形断面を有するのは必須でなく、方形断面など異なる形状の断面を有しても良い。
【0085】
・上記の各実施形態における駆動装置については、ガイド棒に沿って移動する1個の振動部4を備えるのは必須でなく、2個以上の振動部4を備えても良い。図19は、2個の振動部4A、4Bを備えた駆動装置1Cの構成を示す図であるが、各振動部4A、4Bごとに電圧を印加することで振動部4A、4Bを独立して駆動できる。このような構成を採用すれば、2個の振動部4A、4Bを別々に駆動する場合でも1組のガイド棒3で足りるため、コストを低減できることとなる。
【0086】
・上記の各実施形態における駆動装置については、ガイド棒に対して振動部を移動させるのは必須でなく、例えば図20に示す駆動装置1Dのように振動部4Cに対してガイド棒35、36を移動させるようにしても良い。ここで、図20(a)は、駆動装置1Dの正面図を示しており、図20(b)は、駆動装置1Dの側面図を示している。
【0087】
駆動装置1Dにおいては、振動部4Cが固定部FXから伸びる2枚の板ばね71の間に挟まれて保持されるとともに、振動部4Cの両端に当接する2本のガイド棒35、36を挟み込む板ばね72を備えている。
【0088】
このような構成の駆動装置1Dでは、振動部4Cに電圧を印加して振動させることにより、例えば振動部4Cの両端に回転運動Ka、Kbが生じて、ガイド棒35、36(および板ばね72)が方向Dtに移動することとなる。
【0089】
・上記の各実施形態の駆動装置においては、リニア駆動を行うのは必須でなく、例えば図21に示す駆動装置1Eのように回転駆動を行うようにしても良い。ここで、図21(a)は、駆動装置1Eの平面図を示しており、図21(b)は、駆動装置1Eの側面図を示している。
【0090】
駆動装置1Eは、上述した上部ガイド棒31および下部ガイド棒32に対応するリング状のガイド環(ガイド部材)37、38と、ガイド環37、38に沿って等間隔に配置された3個の振動部4(図2)とを備えている。また、駆動装置1Eは、リング状のベース部材23を備えており、例えば波状ワッシャーとして構成されるリング状の加圧部材24からの付勢力によって振動部4が上下のガイド環37、38に加圧状態で挟持される。ここで、3個の振動部4を固定し、ガイド環37、38について同一の回転方向に各振動部4の駆動力が生じるように振動部4への電圧印加を行うと、リング状のガイド環37〜38およびベース部材23が回転軸Coを中心に回転されることとなる。
【0091】
以上の構成を有する駆動装置1Eにより、ロータ等の回転部材をベース部材23の内周面で保持するなどしてベース部材23に連結させれば、振動部4への電圧印加によって回転部材を回転駆動できることとなる。このような駆動装置1Eは、例えばカム環などを回転駆動してレンズを直動させる撮像装置等への適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施形態に係る駆動装置1Aの要部構成を示す図である。
【図2】振動部4の要部構成を示す図である。
【図3】圧電部42の構成を説明するための図である。
【図4】振動部4の突起部411〜413に生じる回転運動Ka、Kbを説明するための図である。
【図5】圧電部42に関する2種類の固有振動モードを説明するための図である。
【図6】圧電部42に印加する電圧信号を説明するための図である。
【図7】当接部に関する他の構成を説明するための図である。
【図8】当接部に関する他の構成を説明するための図である。
【図9】当接部に関する他の構成を説明するための図である。
【図10】圧電部に関する他の構成を説明するための図である。
【図11】圧電部に関する他の構成を説明するための図である。
【図12】圧電部に関する他の構成を説明するための図である。
【図13】圧電部に関する他の構成を説明するための図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る駆動装置1Bの要部構成を示す図である。
【図15】振動部5の要部構成を示す図である。
【図16】振動部5に関する2種類の固有振動モードを説明するための図である。
【図17】駆動装置1Aを用いて移動体6を駆動する構成を説明するための図である。
【図18】複数の材料を組合せたガイド棒3Aの構成を示す図である。
【図19】2個の振動部4A、4Bを備えた駆動装置1Cの構成を示す図である。
【図20】振動部4Cに対してガイド棒33、34を移動させる駆動装置1Dの構成を示す図である。
【図21】回転駆動を行う駆動装置1Eの構成を示す図である。
【図22】従来技術に係るアクチュエータの動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0093】
1A〜1E 駆動装置
2 ベース部
3、31、32、35、36 ガイド棒
4、4A〜4C、5 振動部
6 移動体
22 加圧部材
33 パイプ部
34 制振部材
37、38 ガイド環
41、43〜45、51 当接部
42、46〜48、52 圧電部
52a、52b 伸縮変形部
411〜413、511〜513 突起部
Ka、Kb 回転運動
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向への駆動を行う駆動装置であって、
(a)前記所定方向に対して垂直方向に伸縮変形を行う第1の振動モードと、前記伸縮変形と異なった変形を行う第2の振動モードとを励起可能な振動部と、
(b)前記所定方向に沿って配置され、前記振動部の両サイドを加圧状態で挟持する2のガイド部材と、
を備え、
前記振動部において前記第1の振動モードと前記第2の振動モードとを励起することにより、前記振動部の両サイドで互いに逆回りとなる回転運動を生じさせるとともに、
前記回転運動を用いて前記振動部がガイド部材に対し相対的に移動することで前記所定方向への駆動が行われることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動装置において、
前記振動部の両サイドそれぞれでは、サイド全域にわたって前記回転運動の回転方向が同一であることを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の駆動装置において、
前記第1の振動モードは、前記振動部の伸縮変形に関する一次振動モードであり、前記第2の振動モードは、前記振動部の屈曲変形に関する一次振動モードであることを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の駆動装置において、
前記振動部は、
(a-1)前記所定方向に対する垂直方向に沿って並列に配置され、当該垂直方向にそれぞれ伸縮変形が可能な一対の伸縮変形部と、
(a-2)前記一対の伸縮変形部の両端それぞれを連結する連結部材と、
を有し、
前記第1の振動モードは、前記一対の伸縮変形部が伸縮変形に関する同位相の振動を行うことで励起されるとともに、
前記第2の振動モードは、前記一対の伸縮変形部が伸縮変形に関する逆位相の振動を行うことで励起されることを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の駆動装置において、
前記振動部の両サイドのうち少なくとも一方のサイドにより、ガイド部材に対する前記振動部の姿勢が規制されることを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
請求項5に記載の駆動装置において、
前記少なくとも一方のサイドには、前記ガイド部材に接触する複数の突起が設けられていることを特徴とする駆動装置。
【請求項7】
請求項5に記載の駆動装置において、
前記少なくとも一方のサイドには、一定の接触長さをもって前記ガイド部材に接触する接触部が設けられていることを特徴とする駆動装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の駆動装置において、
前記2のガイド部材それぞれは、
(b-1)前記ガイド部材の外形を形成するパイプ部と、
(b-2)前記パイプ部の内部に配設された制振部材と、
を有することを特徴とする駆動装置。
【請求項1】
所定方向への駆動を行う駆動装置であって、
(a)前記所定方向に対して垂直方向に伸縮変形を行う第1の振動モードと、前記伸縮変形と異なった変形を行う第2の振動モードとを励起可能な振動部と、
(b)前記所定方向に沿って配置され、前記振動部の両サイドを加圧状態で挟持する2のガイド部材と、
を備え、
前記振動部において前記第1の振動モードと前記第2の振動モードとを励起することにより、前記振動部の両サイドで互いに逆回りとなる回転運動を生じさせるとともに、
前記回転運動を用いて前記振動部がガイド部材に対し相対的に移動することで前記所定方向への駆動が行われることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動装置において、
前記振動部の両サイドそれぞれでは、サイド全域にわたって前記回転運動の回転方向が同一であることを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の駆動装置において、
前記第1の振動モードは、前記振動部の伸縮変形に関する一次振動モードであり、前記第2の振動モードは、前記振動部の屈曲変形に関する一次振動モードであることを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の駆動装置において、
前記振動部は、
(a-1)前記所定方向に対する垂直方向に沿って並列に配置され、当該垂直方向にそれぞれ伸縮変形が可能な一対の伸縮変形部と、
(a-2)前記一対の伸縮変形部の両端それぞれを連結する連結部材と、
を有し、
前記第1の振動モードは、前記一対の伸縮変形部が伸縮変形に関する同位相の振動を行うことで励起されるとともに、
前記第2の振動モードは、前記一対の伸縮変形部が伸縮変形に関する逆位相の振動を行うことで励起されることを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の駆動装置において、
前記振動部の両サイドのうち少なくとも一方のサイドにより、ガイド部材に対する前記振動部の姿勢が規制されることを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
請求項5に記載の駆動装置において、
前記少なくとも一方のサイドには、前記ガイド部材に接触する複数の突起が設けられていることを特徴とする駆動装置。
【請求項7】
請求項5に記載の駆動装置において、
前記少なくとも一方のサイドには、一定の接触長さをもって前記ガイド部材に接触する接触部が設けられていることを特徴とする駆動装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の駆動装置において、
前記2のガイド部材それぞれは、
(b-1)前記ガイド部材の外形を形成するパイプ部と、
(b-2)前記パイプ部の内部に配設された制振部材と、
を有することを特徴とする駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2007−325466(P2007−325466A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155734(P2006−155734)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
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