説明

シールの製造方法

【課題】伝導部材がずれて重ね合わされる場合など、伝導部材が複雑に構成されても、バリの発生を抑制することのできる、伝導部材を一体的に備えたシールの製造方法を提供する。
【解決手段】FPC21,22,23が互いにずれて重ね合わされるように複数備えられるシールの製造方法において、FPC21,22,23を型に配置する前に、FPC21,23間に形成される隙間の一部とFPC23,FPC22の表面の一部に、キャビティCからのシール材料の漏れを防止する漏れ防止部31,32,33,34を形成しておくことで、シール部材11を成形する際のシール材料の漏れを防止することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟性を有する平たい伝導部材を一体的に備えたシールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
密閉領域内部から外部に伝導部材を引き出す構造において、柔軟性を有する平たい伝導部材(FPCやFFCなど)を一体的に備えたシールを用いる技術が知られている。かかるシールは、型に伝導部材を配置した状態で、型内のキャビティに流動状態にあるゴム材料などのシール材料を充填し、その後硬化させることによって製造することができる。ここで、伝導部材の形状が簡素かつ一つのみで構成されるような場合には、シール材料が硬化されることでできたシール部材と伝導部材との間の密着性を高く保ちつつ、簡単にシールを製造することができる。
【0003】
しかしながら、伝導部材の形状が複雑であったり、複数の伝導部材がずれて重ね合わされたりする場合には、シール部材と伝導部材との間の密着性を高く保ちつつ、簡単にシールを製造することは難しい。以下、この点について、図8〜図12を参照して説明する。図8は従来例に係る伝導部材を一体的に備えたシールの平面図である。図9は図8中のAA断面図である。図10は図9中のB部の拡大図である。図11は従来例に係るシール部材の成形を行うときの様子を模式的に示した一部破断斜視図である。図12は従来例に係るシール部材の成形後の様子を模式的に示した一部破断斜視図である。
【0004】
図8に示されたシール300は、折り畳み式携帯電話に備えられるものである。折り畳み式携帯電話は、一般的に、ヒンジ部分を挟んで操作側の筐体と表示側の筐体が設けられている。そして、これら2つの筐体がヒンジ部分によって折り畳んだり開いたりできるように構成されている。シール300は、2つのゴム状弾性体製のシール部材311,312を備えており、一方が操作側の筐体内部に配置され、他方が表示側の筐体内部に配置される。そして、これらのシール部材311,312には、3つのFPC321,322,323が一体的に設けられている。これら3つのFPC321,322,323はずれて重ね合わされるように配置されている。
【0005】
従って、図9や図10からも分かるように、FPC321,322,323とシール部材311との間の密着部分が複雑な形状となる。これにより、FPC321とFPC323との間の隙間X1や段差X2,X3,X4の部分は、成形時に型からシール材料が漏れてしまい、いわゆるバリが生じてしまう。なお、シール部材312についても同様であることは言うまでもなく、以下においても、シール部材311についてのみ説明する。
【0006】
バリの発生に関して、図11及び図12を参照して、更に詳しく説明する。シール部材311を成形するための型(金型)は、下型401と上型402から構成されている。下型401と上型402には、それぞれFPC321,322,323を配置するための溝401a,402aが設けられている。FPC321,322,323を配置させた状態で型合わせを行うと、FPC321,322,323が、シール部材311を成形するためのキャビティCを貫いた状態となる。なお、図11においては、下型401にFPC321,322,323を配置した状態であって、型合わせを行う前(上型402が下型401に当たる前)の状態を示している。
【0007】
型合わせを行うと、下型401に設けられた溝401aと上型402に設けられた溝402aによって矩形の貫通孔が形成され、この貫通孔にFPC321,322,323が
挿通された状態となる。そして、上述した図10に示す隙間X1及び段差X2,X3,X4の部分が、型締め時においても隙間となってしまう。そのため、キャビティCにシール材料を充填した際に、これらの隙間からシール材料の一部が外部に漏れ出してしまう。図11におけるYは、漏れ出したシール材料を示している。
【0008】
以上のことから、成形後に型を開いて成形品を取り出した際には、図12に示すようにバリZが生じてしまう。このようなバリZが生じると、バリZを除去する作業に手間がかかるだけでなく、シール材料の充填不良の原因にもなってしまう。
【0009】
また、段差X2,X3,X4の部分による隙間をなくすためには、下型401と上型402に設ける溝401a,402aにも段差を設けることが考えられる。しかしながら、一般的にFPCは非常に薄いため、溝401a,402aに対して、重ね合わされたFPC321,322,323に適合する段差を形成するためには、高い加工精度が要求される。そのため、完全にバリの発生を防止するのは難しく、コストアップの要因にもなるので、最善の策とは言えない。しかも、この方法では、隙間X1によるバリの発生を防止することはできない。
【0010】
関連する技術としては、特許文献1〜3に開示されたものがある。
【特許文献1】特開平5−165784号公報
【特許文献2】国際公開番号WO03/085793号公報
【特許文献3】特開2005−328003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、伝導部材がずれて重ね合わされる場合など、伝導部材が複雑に構成されても、バリの発生を抑制することのできる、伝導部材を一体的に備えたシールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0013】
すなわち、本発明のシールの製造方法は、
柔軟性を有する平たい伝導部材を型に配置した状態で、型内のキャビティにシール材料を充填させることによって、伝導部材を一体的に備えたシールを製造するシールの製造方法であって、
前記伝導部材が互いにずれて重ね合わされるように複数備えられるシールの製造方法において、
伝導部材を型に配置する前に、隣接していない伝導部材間に形成される隙間の一部に、前記キャビティからのシール材料の漏れを防止する漏れ防止部を形成しておくことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、漏れ防止部によって、キャビティからのシール材料の漏れを防止することができる。
【0015】
また、本発明のシールの製造方法は、
柔軟性を有する平たい伝導部材を型に配置した状態で、型内のキャビティにシール材料を充填させることによって、伝導部材を一体的に備えたシールを製造するシールの製造方法であって、
前記伝導部材が互いにずれて重ね合わされるように複数備えられるシールの製造方法において、
伝導部材を型に配置する前に、着目する伝導部材のうち他の伝導部材よりもはみ出した部分の表面の一部に、前記キャビティからのシール材料の漏れを防止する漏れ防止部を形成しておくことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、漏れ防止部によって、キャビティからのシール材料の漏れを防止することができる。
【0017】
また、本発明のシールの製造方法は、
柔軟性を有する平たい伝導部材を型に配置した状態で、型内のキャビティにシール材料を充填させることによって、伝導部材を一体的に備えたシールを製造するシールの製造方法であって、
前記伝導部材が互いにずれて重ね合わされるように複数備えられるシールの製造方法において、
伝導部材を型に配置する前に、隣接していない伝導部材間に形成される隙間の一部及び着目する伝導部材のうち他の伝導部材よりもはみ出した部分の表面の一部に、それぞれ前記キャビティからのシール材料の漏れを防止する漏れ防止部を形成すると共に、
伝導部材の長手方向に垂直な方向における、重ね合わされた伝導部材の断面及び漏れ封止部の断面を合わせた形状を矩形となるようにすることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、漏れ防止部によって、キャビティからのシール材料の漏れを防止することができる。また、本発明によれば、キャビティから型の外部に伝導部材を挿通させるための貫通孔の形状を矩形とすればよいので、簡単に精度良く当該部分を加工することができる。
【0019】
また、本発明のシールの製造方法は、
柔軟性を有する平たい伝導部材を型に配置した状態で、型内のキャビティにシール材料を充填させることによって、伝導部材を一体的に備えたシールを製造するシールの製造方法であって、
前記伝導部材の表面に凹凸が存在しているシールの製造方法において、
伝導部材を型に配置する前に、伝導部材表面の一部に、前記キャビティからのシール材料の漏れを防止する漏れ防止部を形成しておくことを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、漏れ防止部によって、キャビティからのシール材料の漏れを防止することができる。
【0021】
なお、本発明における「柔軟性を有する平たい伝導部材」の好適な例としては、FPC(フレキシブルプリント回路基板)やFFC(フレキシブルフラットケーブル)を挙げることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、バリの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0024】
(実施例)
図1〜図7を参照して、本発明の実施例に係るシールの製造方法について説明する。
【0025】
<FPCを一体的に備えたシール>
図1を参照して、本実施例に係る製造方法により製造されたシールについて説明する。図1は本発明の実施例に係る伝導部材(FPC)を一体的に備えたシールの平面図である。
【0026】
本実施例に係る製造方法によって製造されるシール100は、折り畳み式携帯電話に備えられるものである。折り畳み式携帯電話は、一般的に、ヒンジ部分を挟んで操作側の筐体と表示側の筐体が設けられている。そして、これら2つの筐体がヒンジ部分によって折り畳んだり開いたりできるように構成されている。シール100は、2つのシール部材11,12を備えており、一方が操作側の筐体内部に配置され、他方が表示側の筐体内部に配置される。そして、これらのシール部材11,12には、3つのFPC21,22,23が一体的に設けられている。これら3つのFPC21,22,23はずれて重ね合わされるように配置されている。
【0027】
<シールの製造方法>
特に、図2〜図5を参照して、本発明の実施例に係るシールの製造方法について説明する。本実施例に係るシールの製造方法は、概略、FPCに漏れ防止部を形成する工程と、シール部材を成形する工程から構成される。図2は本発明の実施例に係るシールにおける伝導部材(FPC)に漏れ防止部が形成された状態を示す一部破断斜視図である。図3は本発明の実施例に係るシールの製造方法における漏れ防止部を形成する工程の説明図である。なお、図3は漏れ防止部が形成される部分におけるFPCの長手方向に垂直な模式的断面図(予備成形型とFPCと漏れ防止部の模式的断面図)である。図4は本発明の実施例に係るシール部材の成形を行うときの様子を模式的に示した一部破断斜視図である。図5は本発明の実施例に係るシール部材の成形後の様子を模式的に示した一部破断斜視図である。
【0028】
<<漏れ防止部形成工程>>
本実施例においては、ずれて重ね合わされた3つのFPC21,22,23のうち後述する型に配置される部分に、漏れ防止部31,32,33,34を形成している。この漏れ防止部31,32,33,34を形成する工程について、特に、図2及び図3を参照して説明する。
【0029】
ずれて重ね合わされたFPC21,22,23を、そのまま型に配置して型合わせを行うと、背景技術の中で説明したように、キャビティから型の外部に連通する隙間が生じてしまう。そこで、本実施例では、型に配置する前に、このような隙間が生じる部分を埋めてしまうような漏れ防止部31,32,33,34を形成している。
【0030】
すなわち、本実施例では、FPC21とFPC23との間の隙間の一部(FPCの長手方向の一部)と、FPC23のうちFPC21よりもはみ出した部分の表面の一部(FPCの長手方向の一部)と、FPC22のうちFPC21よりもはみ出した部分の表面の一部(FPCの長手方向の一部)と、FPC22のうちFPC23よりもはみ出した部分の表面の一部(FPCの長手方向の一部)に、それぞれ漏れ防止部31,32,33,34を形成している。なお、かっこ書き中の「FPCの長手方向の一部」とは、より具体的には、FPC21,22,23の長手方向のうち、シール部材を成形する際の型内に納められる領域を含んだ部分である(後述の図4参照)。
【0031】
なお、これらの漏れ防止部のうち漏れ防止部31は上述した図10に示す隙間X1の部分に対応し、漏れ防止部32,33,34は図10に示す段差X2,X3,X4にそれぞれ対応している。
【0032】
本実施例では、まず、FPC21,22,23のうち漏れ封止部を形成すべき各箇所にそれぞれ接着性を有する材料を塗布する。その後、予備成形型40によって、これらのFPC21,22,23を押さえ込んだ状態で当該材料を硬化させることにより漏れ防止部31,32,33,34を形成する。この接着性を有する材料の好適な例としては、後述するシール部材の材料と同様の特性を有するもの(ゴム材料)の他、エポキシ樹脂や溶剤に樹脂を溶解させたドープセメントなどを適用することができる。この接着性を有する材料を硬化させる方法としては、材料の特性に応じて適宜行えばよい。例えば、熱硬化性を有する材料の場合には加熱により、紫外線によって硬化する特性を有する材料の場合には紫外線照射により、添加剤を加えることによって硬化する特性を有する材料の場合には添加剤の添加により、常温常圧下で硬化する材料の場合には一定時間以上放置しておくことにより、それぞれ材料を硬化させることができる。また、例えば樹脂フィルムのようなフィルム状の部材を、FPC21,22,23に接着することによって、漏れ防止部31,32,33,34を形成することも可能である。
【0033】
本実施例に係る予備成形型40は、予備成形下型41と予備成形上型42から構成される。予備成形下型41と予備成形上型42は、いずれも平板状の部材に溝41a,42aをそれぞれ備えた構成である。予備成形下型41と予備成形上型42を合わせると、これらの溝41a,42aにより断面形状が矩形の貫通孔が形成される。この貫通孔内に、重ね合わされたFPC21,22,23のうち接着性を有する材料を塗布した部分が納まるように、予備成形型40によってFPC21,22,23を押さえ込む(図3参照)。そして、当該材料が硬化した後に、予備成形型40から漏れ防止部31,32,33,34が形成されたFPC21,22,23を取り出す。
【0034】
これらの漏れ防止部31,32,33,34が形成されている部分におけるFPCの長手方向に垂直な方向の断面形状(FPC21,22,23の断面と漏れ防止部31,32,33,34の断面を合わせた形状)は、図3から明らかなように矩形となる。この矩形断面の形状及び寸法は、後述するシール部材を成形する型に設けられたFPCを挿通(配置)するための貫通孔の断面の形状及び寸法と同一となるように構成されている。
【0035】
<<シール部材成形工程>>
漏れ防止部31,32,33,34を形成した後にシール部材11を成形する。この成形工程について、特に、図4及び図5を参照して説明する。シール部材11を成形するための金型50は、下型51と上型52とから構成されている。下型51と上型52には、それぞれFPC21,22,23を配置するための溝51a,52aが設けられている。FPC21,22,23を配置させた状態で型合わせを行うと、FPC21,22,23が、シール部材11を成形するためのキャビティCを貫いた状態となる。なお、図4においては、下型51にFPC21,22,23を配置した状態であって、型合わせを行う前(上型52が下型51に当たる前)の状態を示している。
【0036】
型合わせを行うと、下型51に設けられた溝51aと上型52に設けられた溝52aによって矩形の貫通孔が形成され、この貫通孔にFPC21,22,23が挿通された状態となる。
【0037】
ここで、本実施例では、漏れ防止部31,32,33,34が、溝51a,52aによって形成される貫通孔に嵌まるように型合わせが行われる。これにより、この貫通孔は漏れ防止部31,32,33,34によって完全に塞がれた状態となり、型締め時にキャビティCから外部に抜けてしまう隙間をなくすことができる。型締め後、キャビティCにシール材料(ここではゴム材料)を充填し、シール材料が硬化した後に型を開いて成形品を取り出す。なお、本工程における成形は、一般的なインサートモールドにより行われるも
のであり、公知技術であるので詳細な説明は省略する。
【0038】
図5はシール部材11が成形された状態を示している。なお、シール部材12に関しても同様に成形されることは言うまでもない。
【0039】
<本実施例に係るシールの製造方法の優れた点>
本実施例に係るシール100の製造方法によれば、キャビティCにシール材料を充填した際に、キャビティCからのシール材料の漏れを抑制することができ、バリの発生を抑制することができる。これにより、バリを除去する作業の手間を省くことができ、シール材料の充填不良を抑制することもできる。
【0040】
また、下型51及び上型52にそれぞれ設けられる溝51a,52aに、FPCの段差に合わせて段差を設ける必要もない。従って、これらの溝51a,52aは断面形状が単純な矩形で良いので、寸法精度を高く、かつ、簡単に形成することができる。
【0041】
<その他>
上記の実施例では、3つのFPCがずれて重ね合わされることによりできた隙間や段差に、漏れ防止部を形成する場合について説明した。しかし、1つのFPCであっても、隙間や段差などによって、その表面に凹凸が存在する場合があり、この場合にもシール材料の漏れが発生し得る。そのため、そのような場合にも、上記の実施例で示した方法と同様に、予め漏れ防止部を形成することで、バリの発生を抑制することができる。この点について、図6を参照して説明する。図6は伝導部材(FPC)の表面に凹凸が存在する場合において漏れ防止部を形成した様子を示す伝導部材の模式的断面図である。
【0042】
図6に示すFPC24には平面側の表面と側面側の表面にそれぞれ凹部24a,24bが存在している。これらの凹部24a,24bも、ずれて重ね合わされた3つのFPCによってできる隙間や段差の場合と同様に、シール材料の漏れの原因となる。そこで、これらの凹部24a,24bに、上述した漏れ防止部形成工程と同様な方法によって、漏れ防止部35,36を予め形成しておくことによって、シール部材を成形する際におけるシール材料の漏れを抑制することができる。
【0043】
また、上述の説明では、本実施例に係る製造方法によって製造されるシールの一例として、折り畳み式携帯電話に備えられるものを例に挙げて説明したが、勿論、他の機器に備えられるシールに応用可能であることは言うまでもない。例えば、ムービー,PDA,ノートパソコンなどの携帯機器に備えられるシールやFPC付き燃料電池ガスケットが備えられた機器など各種機器に適用できる。
【0044】
応用例の一つを、図7を参照して説明する。図7は本発明の実施例に係る伝導部材(FPC)を一体的に備えたシールの平面図である。上記の例においては、シール部材の一例として一般的なガスケットの場合を例に挙げて説明したが、ここでは、シール部材がグロメットの場合について説明する。図7に示すシール200は、シール部材としてのグロメット13と3つのFPC25,26,27とから構成されている。グロメット13はシール性と共に遮音性を備えたものである。このシール200の場合にも、ずれて重ね合わされた3つのFPC25,26,27に予め漏れ防止部を形成してからグロメット13を成形することによって、グロメット13を成形する際に成形材料の漏れを防止することができることは言うまでもない。
【0045】
近年、携帯電話を初めとした小型通信機器の分野では、ユーザ層の拡大と共に、様々な差別化が行われており、耐衝撃性,防水性などの品質性の向上や各種機能の多様化や小型化が進んでいる。これに伴って、FPCなどの電気を流すための伝導部材の形状も複雑化
したり、多層化されたりしている。これにより、シールへの要求も増しており、上述したように、本実施例に係る製造方法を用いることで、そのような要求に好適に対応することが可能となる。
【0046】
なお、これまでの説明では、伝導部材の一例としてFPCの場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、例えばFFCの場合にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は本発明の実施例に係る伝導部材を一体的に備えたシールの平面図である。
【図2】図2は本発明の実施例に係るシールにおける伝導部材に漏れ防止部が形成された状態を示す一部破断斜視図である。
【図3】図3は本発明の実施例に係るシールの製造方法における漏れ防止部を形成する工程の説明図である。
【図4】図4は本発明の実施例に係るシール部材の成形を行うときの様子を模式的に示した一部破断斜視図である。
【図5】図5は本発明の実施例に係るシール部材の成形後の様子を模式的に示した一部破断斜視図である。
【図6】図6は伝導部材の表面に凹凸が存在する場合において漏れ防止部を形成した様子を示す伝導部材の模式的断面図である。
【図7】図7は本発明の実施例に係る伝導部材を一体的に備えたシールの平面図である。
【図8】図8は従来例に係る伝導部材を一体的に備えたシールの平面図である。
【図9】図9は図8中のAA断面図である。
【図10】図10は図9中のB部の拡大図である。
【図11】図11は従来例に係るシール部材の成形を行うときの様子を模式的に示した一部破断斜視図である。
【図12】図12は従来例に係るシール部材の成形後の様子を模式的に示した一部破断斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
11,12 シール部材
13 グロメット
21,22,23,24,25,26,27 FPC
24a,24b 凹部
31,32,33,34,35,36 漏れ防止部
40 予備成形型
41 予備成形下型
42 予備成形上型
41a,42a 溝
50 金型
51 下型
52 上型
51a,52a 溝
100,200 シール
C キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性を有する平たい伝導部材を型に配置した状態で、型内のキャビティにシール材料を充填させることによって、伝導部材を一体的に備えたシールを製造するシールの製造方法であって、
前記伝導部材が互いにずれて重ね合わされるように複数備えられるシールの製造方法において、
伝導部材を型に配置する前に、隣接していない伝導部材間に形成される隙間の一部に、前記キャビティからのシール材料の漏れを防止する漏れ防止部を形成しておくことを特徴とするシールの製造方法。
【請求項2】
柔軟性を有する平たい伝導部材を型に配置した状態で、型内のキャビティにシール材料を充填させることによって、伝導部材を一体的に備えたシールを製造するシールの製造方法であって、
前記伝導部材が互いにずれて重ね合わされるように複数備えられるシールの製造方法において、
伝導部材を型に配置する前に、着目する伝導部材のうち他の伝導部材よりもはみ出した部分の表面の一部に、前記キャビティからのシール材料の漏れを防止する漏れ防止部を形成しておくことを特徴とするシールの製造方法。
【請求項3】
柔軟性を有する平たい伝導部材を型に配置した状態で、型内のキャビティにシール材料を充填させることによって、伝導部材を一体的に備えたシールを製造するシールの製造方法であって、
前記伝導部材が互いにずれて重ね合わされるように複数備えられるシールの製造方法において、
伝導部材を型に配置する前に、隣接していない伝導部材間に形成される隙間の一部及び着目する伝導部材のうち他の伝導部材よりもはみ出した部分の表面の一部に、それぞれ前記キャビティからのシール材料の漏れを防止する漏れ防止部を形成すると共に、
伝導部材の長手方向に垂直な方向における、重ね合わされた伝導部材の断面及び漏れ封止部の断面を合わせた形状を矩形となるようにすることを特徴とするシールの製造方法。
【請求項4】
柔軟性を有する平たい伝導部材を型に配置した状態で、型内のキャビティにシール材料を充填させることによって、伝導部材を一体的に備えたシールを製造するシールの製造方法であって、
前記伝導部材の表面に凹凸が存在しているシールの製造方法において、
伝導部材を型に配置する前に、伝導部材表面の一部に、前記キャビティからのシール材料の漏れを防止する漏れ防止部を形成しておくことを特徴とするシールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−237592(P2007−237592A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−64096(P2006−64096)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】