プリント配線板、プリント配線板の製造方法及び電子機器
【課題】熱膨張率の差による製品の反りや捩れを防止する。
【解決手段】基材2の面部2Aを表裏に貫通する配線用スルーホール5Aを備え、基材2と異なる熱膨張率の絶縁材料6Bを使用した配線用スルーホール部位5と、基材2の面部2Aに形成した下孔6Aを備え、当該下孔6Aに絶縁材料6Bを充填して形成する熱膨張調整部位6とを有し、基材2の面部2Aに区画したセル20内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、当該セル20内の配線用スルーホール部位5の配置位置に応じて、当該セル20内に熱膨張調整部位6を配置した。
【解決手段】基材2の面部2Aを表裏に貫通する配線用スルーホール5Aを備え、基材2と異なる熱膨張率の絶縁材料6Bを使用した配線用スルーホール部位5と、基材2の面部2Aに形成した下孔6Aを備え、当該下孔6Aに絶縁材料6Bを充填して形成する熱膨張調整部位6とを有し、基材2の面部2Aに区画したセル20内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、当該セル20内の配線用スルーホール部位5の配置位置に応じて、当該セル20内に熱膨張調整部位6を配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板、プリント配線板の製造方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI(Large Scale Integration)パッケージングが実装されるプリント配線板の熱膨張率は、パターニングされる銅配線の材料に整合して、17ppm/℃程度のものが一般的である。しかしながら、近年では、熱膨張率が3〜3.5ppm/℃程度のシリコンウエハに近い低熱膨張率のプリント配線板が求められているのが実情である。
【0003】
そこで、FR4、FR5、FR6(Flame Retardant:プリント配線板の部材である銅張積層板の耐燃性の等級を示す記号)やBTレンジ等の中から熱膨張率の低い樹脂材料を含浸したプリプレグ材料を使用してプリント配線板の基材を形成している。更に、プリプレグ化する場合に使用する繊維材料として、一般的なEガラス繊維(熱膨張率:約5.5ppm/℃、弾性率:約70GPa)の代わりに、Tガラス繊維等の低熱膨張特性のガラス繊維(熱膨張率:約3ppm/℃、弾性率:約80GPa)を使用している。つまり、プリプレグ材料やプリプレグ化に使用する繊維材料を適宜選択することで、プリント配線板の基材の低熱膨張化を図ろうとしている。しかしながら、このようなプリント配線板の基材は、概ね12ppm/℃以上の熱膨張率となるため、シリコンウエハに近い熱膨張率を得るのは難しい。
【0004】
そこで、更なる改善方法として、ガラス繊維に代えて、約100GPaを超える高弾性率で、かつ、1ppm/℃以下の低熱膨張率のアラミド繊維等の有機繊維やカーボン繊維等の無機繊維に樹脂含浸したプリプレグ材料を基材に使用することが知られている。また、有機繊維や無機繊維の代わりに、インバー材等の低熱膨張特性の合金板をプリント配線板のコアに使用することも知られている。尚、有機繊維は絶縁材料であるのに対して、無機繊維及びインバー材等の合金板は導電性材料である。
【0005】
そこで、このような改善方法を採用したプリント配線板について説明する。図11は、導電性材料の基材を使用した従来のプリント配線板の断面図である。図11に示すプリント配線板100Aは、カーボン繊維等の無機繊維やインバー材料等の低熱膨張率の導電性材料を基材101Aに使用している。プリント配線板100Aでは、基材101Aが導電性材料であるため、配線層102A間を接続するスルーホール103Aを基材101Aから電気的に絶縁する構造が必要となる。従って、プリント配線板100Aでは、スルーホール103Aを形成する部分に大きい下孔104Aを形成してエポキシ等の樹脂材料105Aで穴埋めして、基材101Aとスルーホール103Aとの間を樹脂材料105Aで電気的に絶縁する二重構造としている。
【0006】
図12は、絶縁材料の基材を使用した従来のプリント配線板の断面図である。図12に示すプリント配線板100Bは、アラミド繊維等の有機繊維の低熱膨張率の絶縁材料を基材101Bに使用している。プリント配線板100Bでは、基材101Bが絶縁材料であるため、配線層102B間を接続するスルーホール103Bを基材101Bから電気的に絶縁する必要はない。しかしながら、プリント配線板100Bでは、配線層102B上にビルドアップ配線層106Bを形成する際、基材101B面部のスルーホール103B自体をエポキシ等の樹脂材料105Bで穴埋めする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−80486号公報
【特許文献2】特開2001−160601号公報
【特許文献3】特開2006−13395号公報
【特許文献4】特開2004−31812号公報
【特許文献5】特開2001−332828号公報
【特許文献6】特開2000−138453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のプリント配線板100A,100Bでは、基材101A、101B部分の熱膨張率と、穴埋め用樹脂材料105A,105Bや、メッキ銅等を内周壁面にメッキしたスルーホール103A,103B部分の熱膨張率とが大きく異なる。例えば、基材101A,101B部分の熱膨張率は約1ppm/℃であるのに対し、穴埋め用樹脂材料105A,105Bの熱膨張率は約30ppm/℃、メッキ銅の熱膨張率は約17ppm/℃である。その結果、プリント配線板100A,100Bでは、スルーホール103A、103B部分の熱膨張率が極端に高くなる。
【0009】
そこで、穴埋めに使用するエポキシ等の樹脂材料単体の熱膨張率を下げるべく、シリカ粉末等の低熱膨張率の無機フィラーを添加する方法も考えられるが、無機フィラーの添加量には限界がある。更に、僅かな添加量で特性を大きく改善できる繊維状の材料を穴埋め用材料に混合してスルーホール103A,103Bの面方向に配置する方法もあるが、極細のスルーホールを製造するには適しておらず、低熱膨張率の基材に適した穴埋め材料を得るのは困難である。
【0010】
つまり、上記従来のプリント配線板100A,100Bでは、製造時のワーク面内でスルーホールの密度が高い部分と、スルーホールの密度が低い部分とが存在した場合、密度が高い部分と密度が低い部分との間で熱膨張率に大きな差が生じる。その結果、プリント配線板製造時の積層工程等で行う熱プレス等でワーク面に反りや捩れ等が発生してしまう。更に、プリント配線板製造時の加熱硬化工程に起因する温度経過で永久的に反りや捩れ等の歪みが製品自体に残ってしまう。
【0011】
開示技術は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱膨張率の差による製品の反りや捩れを防止するプリント配線板、プリント配線板の製造方法及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の開示するプリント配線板は、一つの態様において、基材の面部を表裏に貫通する配線用貫通孔を備え、前記基材と異なる熱膨張率の絶縁材料を使用した配線用貫通孔部位と、前記基材の面部に形成した下孔を備え、当該下孔に前記絶縁材料を充填して形成する熱膨張調整部位とを有し、前記基材の面部に区画した所定区画内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置した。
【発明の効果】
【0013】
本願の開示するプリント配線板の一つの態様では、熱膨張率の差による製品の反りや捩れを防止するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施例のプリント配線板の断面図である。
【図2】図2は、実施例のプリント配線板で使用する基材の面部の外形を示す平面図である。
【図3】図3は、配線用スルーホール部位及び熱膨張調整部位を形成した基材の面部を示す説明図である。
【図4】図4は、実施例のプリント配線板の製造工程を示す説明図である。
【図5】図5は、正方形セル内の配線用スルーホール部位及び熱膨張調整部位の配置構成の一例を示す説明図である。
【図6】図6は、長方形セル内の配線用スルーホール部位及び熱膨張調整部位の配置構成の一例を示す説明図である。
【図7】図7は、6層プリント配線板の断面図である。
【図8】図8は、ビルドアップ配線板の断面図である。
【図9】図9は、ビルドアップ配線板の断面図である。
【図10】図10は、絶縁材料の基材を使用したビルドアップ配線板の断面図である。
【図11】図11は、導電性材料の基材を使用した従来のプリント配線板の断面図である。
【図12】図12は、絶縁材料の基材を使用した従来のプリント配線板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本願の開示するプリント配線板、プリント配線板の製造方法及び電子機器の実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。
【実施例】
【0016】
図1は、実施例のプリント配線板の断面図である。図1に示すプリント配線板1は、基材2と、基材2の表面及び裏面に積層した配線層3と、配線層3上に形成した配線パターン4とを有する。更に、基材2の面部2Aには、配線用スルーホール部位5と、熱膨張調整部位6とを有する。配線用スルーホール部位5は、基材2の面部2Aを表裏に貫通する配線用スルーホール5Aを備え、基材2と異なる熱膨張率の絶縁材料6Bを使用した部位である。更に、熱膨張調整部位6は、基材2の面部2Aに形成した下孔6Aを備え、当該下孔6Aに絶縁材料6Bを充填して形成した部位である。
【0017】
図2は、実施例のプリント配線板1で使用する基材2の面部2Aの外形を示す平面図、図3は、配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6を形成した基材2の面部2Aを示す説明図である。尚、説明の便宜上、図3では、配線用スルーホール部位5を白丸、熱膨張調整部位6を黒丸で示す。図2に示す基材2の面部2Aは、製品部分11と、製品外部分12とを有し、製品部分11は、複数の所定区画のセル20が区画してある。更に、セル20内には、配線用スルーホール部位5と、熱膨張調整部位6とを有し、当該セル20内の配線用スルーホール部位5の配置位置に応じて、当該セル20内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限、例えば“0”となるように熱膨張調整部位6を配置してある。
【0018】
また、製品外部分12は、製品部分11のセル20内の縦横方向の熱膨張率と同一となるように、当該セル20内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6と同一配置構成で当該製品外部分12内に熱膨張調整部位6を配置した。更に、製品外部分12には、製品部分11上に形成したセル20内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6と同一配置構成で配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の製品保証用のクーポン回路40を形成した。
【0019】
更に、製品部分11には、セル20以外の切り離し部分11Aを有する。その切り離し部分11Aには、セル20内の縦横方向の熱膨張率が同一となるように、セル20内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6と同一ピッチで熱膨張調整部位6を配置した。
【0020】
次に、プリント配線板1の製造工程について説明する。図4は、実施例のプリント配線板1の製造工程を示す説明図である。先ず、レイアウト設計工程では、基材2の面部2Aに区画したセル20内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、セル20内の配線用スルーホール部位5の配置位置に応じて、セル20内に熱膨張調整部位6を配置するレイアウト構成を設計する。尚、基材2の製品外部分12及び切り離し部分11Aも、セル20内の縦横方向の熱膨張率と同一となるように、当該セル20内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6と同一配置構成で熱膨張調整部位6を配置するレイアウト構成を設計する。
【0021】
そして、基材形成工程(ステップS11)では、基材2を形成する複数のプリプレグ材料2Bを積層し、これら積層したプリプレグ材料2Bを熱プレスして基材2を形成する。尚、プリプレグ材料2Bとしては、カーボン繊維の織布に樹脂を含浸してBステージ化した材料である。カーボン繊維は、例えば、熱膨張率が約0ppm/℃、弾性率が約370GPaの繊維を使用する。更に、このカーボン繊維は、FR4等で使用する樹脂を塗工しても、硬化後の低熱膨張基材(CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic))の物性値で熱膨張率が約0ppm/℃、弾性率が約80GPaの特性が得られる。
【0022】
次に、下孔形成工程(ステップS12)では、レイアウト設計工程で設計したレイアウト構成に基づき、基材2の面部2Aをドリルで穿孔して下孔6Aを形成する。尚、下孔6Aの直径は、例えば、Φ0.8mmとする。更に、下孔6A形成時のカーボンの切粉による樹脂の汚染を防止する目的で下孔6Aの内周壁面に25μmの銅メッキを施すものとする。
【0023】
次に、熱膨張調整部位形成工程(ステップS13)では、基材2の面部2Aに形成した下孔6Aに穴埋め用の絶縁材料6Bを充填して、その面部2Aに熱膨張調整部位6を形成する。尚、穴埋め用の絶縁材料6Bは、例えば、その熱膨張率を低下させる目的でシリカフィラーを混合した熱膨張率が約33ppm/℃、弾性率が4.7GPaの樹脂を使用する。更に、基材2の面部2Aから漏れ出た絶縁材料6Bの部分を研削して面部2Aを平坦化する。
【0024】
更に、銅箔積層工程(ステップS14)では、熱膨張調整部位6を形成した基材2の表裏面にFR4のプリプレグ材料7を使用して銅箔8を積層する。尚、プリプレグ材料7は、カーボン繊維の露出を防止するためにガラス繊維入りのプリプレグ材料とする。
【0025】
更に、配線用スルーホール形成工程(ステップS15)では、レイアウト構成に基づき、配線用スルーホール部位5の配置位置に対応した熱膨張調整部位6、すなわち絶縁材料6Bを充填した部分を表裏にドリルで穿孔して配線用スルーホール5Aを形成する。
【0026】
更に、配線用スルーホールメッキ形成工程(ステップS16)では、形成された配線用スルーホール5Aの内周壁面に、熱膨張率が約17ppm/℃の銅メッキ5Bを施してセル20内に配線用スルーホール部位5を形成する。尚、配線用スルーホール部位5は、基材2の表裏を電気的に接続する。
【0027】
更に、配線パターン形成工程(ステップS17)では、配線用スルーホール5Aの内周壁面に銅メッキ5Bを施した後、銅箔8上にドライフィルムレジストを形成する。更に、配線パターン形成工程(ステップS17)では、基材2の面部2A上の銅箔8をエッチングすることで面部2A上に配線パターン4を形成する。その結果、約3〜7ppm/℃の熱膨張率を有する両面タイプのプリント配線板1を得た。
【0028】
そこで、基材2の製品部分11を試作し、その製品部分11のセル20内に配線用スルーホール部位5のみを配置し、セル20内の熱膨張率を実測した。その結果、セル20内の縦横方向の熱膨張率は横方向X=6.5ppm/℃、縦方向Y=7.9ppm/℃となって、縦横方向の熱膨張率の差はΔ1.4ppm/℃となった。これに対して、セル20内の配線用スルーホール部位5の配置位置に応じて、当該セル20内の縦横方向の熱膨張率の差を抑制するように熱膨張調整部位6を配置し、セル20内の熱膨張率を実測した。その結果、セル20内の縦横方向の熱膨張率はX=6.3ppm/℃、Y=7.0ppm/℃となって、縦横方向の熱膨張率の差はΔ0.7ppm/℃となった。
【0029】
つまり、本発明を採用することで、セル20内の縦横方向の熱膨張率の差分を抑制できることが判明した。尚、配置精度を高めることでセル20内の縦横方向の熱膨張率の差をほぼ“0”に近づけることが可能である。更に、セル20内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6と同一配置構成で製品外部分12及び切り離し部分11A内に熱膨張調整部位6を配置した場合、熱膨張調整部位6がない場合に比べて製品の反りを約0.4mmから0.2mmまで低減できる。その結果、製品の反りは半減できることが判明した。
【0030】
また、製品の製造においては、実際のワークサイズが510×340mmの基材2を使用し、製品外部分12及び切り離し部分11A内に熱膨張調整部位6を何等配置しない場合、その部分の熱膨張率は約5ppm/℃、製品部分11の熱膨張率は約7ppm/℃となった。その結果、製品部分11内にのみ、熱膨張調整部位6を配置した場合、製品製造中に約20mmの反りが発生した。
【0031】
これに対して、製品部分11の他に、製品外部分12及び切り離し部分11Aに製品部分11内のセル20内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6と同一配置構成で熱膨張調整部位6を配置した。この場合、製品製造中に生じた反りは数ミリ程度まで低減され、基板製造上の製品歪みを防止できることが判明した。
【0032】
従って、実施例では、基材2の面部2Aに区画したセル20内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、セル20内の配線用スルーホール部位5の配置位置に応じて、セル20内に熱膨張調整部位6を配置した。その結果、基材2のセル20内の熱膨張率が均一になるため、従来のような熱膨張率の差による製品の反りや捩れ等の歪みを防止できる。
【0033】
更に、実施例では、基材2の面部2Aの製品部分11、切り離し部分11A及び製品外部分12内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、製品部分11、切り離し部分11A及び製品外部分12内に熱膨張調整部位6を配置した。その結果、従来のような熱膨張率の差による製品の反りや捩れ等の歪みを防止できる。
【0034】
また、実施例では、熱膨張調整部位6を配置しても、その熱膨張調整部位6は絶縁材料6Bで穴埋めした状態であるため、熱膨張調整部位6で配線パターン4の配線密度が低下してしまう事態も回避できる。
【0035】
また、上記実施例では、セル20内の縦横方向の熱膨張率の差を最小限とすべく、セル20内に配置する配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置密度が均一となるように、セル20内に配置した熱膨張調整部位6の配置個数を調整した。配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置密度が同一サイズであるため、熱膨張調整部位6の配置個数でセル20内の熱膨張率を調整できる。
【0036】
尚、上記実施例では、所定区画のセル20について説明したが、そのセル20は正方形セルであっても良い。では、セル20を縦列(N=8グリッド)及び横列(M=8グリッド)の正方形セルにした場合の熱膨張調整部位6の配置方法について説明する。図5は、正方形セル内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置構成の一例を示す説明図である。尚、正方形セル20A内には、配線用スルーホール部位5(白丸)が配置してある。先ず、正方形セル20A内には、縦列毎に配置した配線用スルーホール部位5の配置個数から配置個数毎の縦列本数を得る。図5では、配置個数毎の縦列本数は、配置個数2個の縦列が3本(2TH*3)と、配置個数4個の縦列が4本(4TH*4)となる。更に、正方形セル20A内には、横列毎に配置した配線用スルーホール部位5の配置個数から配置個数7個の横列本数を得る。図5では、配置個数毎の横列本数は、配置個数7個の横列が2本(7TH*2)と、配置個数4個の横列が2本(4TH*2)となる。
【0037】
正方形セル20A内に配置する配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置密度を均一にするには、正方形セル20A内の配置個数毎の縦列本数と、配置個数毎の横列本数とが同一となるように、正方形セル20A内に熱膨張調整部位6を配置する必要がある。
【0038】
図5の(例A)では、正方形セル20A内の配置個数毎の縦列本数と横列本数とが同一、すなわち7TH*2,4TH*2,2TH*3となるように正方形セル20A内に熱膨張調整部位6(黒丸)を配置する。また、図5の(例B)では、7TH*4及び4TH*4となるように正方形セル20A内に熱膨張調整部位6(黒丸)を配置する。
【0039】
つまり、正方形セル20Aの場合、正方形セル20A内の配置個数毎の縦列本数と横列本数とが同一となるように、正方形セル20A内の配線用スルーホール部位5の配置位置に応じて熱膨張調整部位6を追加配置する。その結果、正方形セル20A内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置密度が均一になって縦横方向の熱膨張率の差を最小限に抑制できる。
【0040】
尚、図5の(例A)では、熱膨張調整部位6を6個配置するのに対し、図5の(例B)では、熱膨張調整部位6を18個配置した。熱膨張調整部位6の配置個数が増えるに連れて、熱膨張率が上昇するため、熱膨張調整部位6の配置個数を少なくした方が望ましい。
【0041】
次に、セル20を縦列(N=6グリッド)及び横列(M=8グリッド)の長方形セルにした場合の熱膨張調整部位6の配置方法について説明する。図6は、長方形セル内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置構成の一例を示す説明図である。尚、長方形セル20B内には、配線用スルーホール部位5(白丸)が配置してある。図6の長方形セル20B内には、縦列毎に配置した配線用スルーホール部位5の配置個数2個の縦列が4本(2TH*4)である。更に、長方形セル20B内には、横列毎に配置した配線用スルーホール部位5の配置個数4個の横列が2本(4TH*2)である。
【0042】
長方形セル20B内の縦列に配置した配線用スルーホール部位5の配置ピッチと、長方形セル20B内の横列に配置した配線用スルーホール部位5の配置ピッチとが同一ピッチとなるように、当該長方形セル20B内に熱膨張調整部位6(黒丸)を追加配置した。その結果、図6では、縦列毎に配置した配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置個数3個の縦列が4本(3TH*4)、横列毎に配置した配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置個数4個の横列が(4TH*3)となる。
【0043】
つまり、長方形セル20Bの場合、長方形セル20B内の縦列に配置した配線用スルーホール部位5の配置ピッチと、横列に配置した配線用スルーホール部位5の配線ピッチとを同一ピッチとすべく、当該長方形セル20B内に熱膨張調整部位6を追加配置した。その結果、長方形セル20B内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置密度が均一になって縦横方向の熱膨張率の差を最小限に抑制できる。
【0044】
また、熱膨張調整部位6の配置個数を調整することで熱膨張率を調整するようにしたが、セル20内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置密度が均一になるように、セル20内に配置した熱膨張調整部位6の容積を調整するようにしても良い。配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置密度が異なる場合でも、熱膨張調整部位6の容積で調整できる。
【0045】
尚、上記実施例では、図1に示す通り、両面タイプのプリント配線板1を例に挙げて説明したが、多層タイプのプリント配線板にも適用可能である。図7は、6層プリント配線板の断面図である。尚、図1に示すプリント配線板1と同一のものには同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図7に示す6層プリント配線板1Aは、両面タイプのプリント配線板1の表裏に積層した配線パターン4の銅箔上に、回路を形成した両面銅張板9を挟み込んでプリプレグ材料で積層することで6層構造とした。つまり、6層プリント配線板1Aにも本実施例を適用できる。
【0046】
図8は、ビルドアップ配線板の断面図である。尚、図1に示すプリント配線板1と同一のものには同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図8に示すビルドアップ配線板1Bは、両面タイプのプリント配線板1に形成した配線用スルーホール5A内に穴埋め用の絶縁材料31を充填して蓋メッキ32をした後、その配線パターン4上にビルドアップ配線層33を積層する構造とした。つまり、ビルドアップ配線板1Bにも本実施例を適用できる。
【0047】
図9は、ビルドアップ配線板の断面図である。尚、図1に示すプリント配線板1と同一のものには同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図9に示すビルドアップ配線板1Cは、両面タイプのプリント配線板1に形成した配線用スルーホール5A内に穴埋め用の絶縁材料31を充填した後、その配線パターン4上にビルドアップ配線層33を積層配置する構造とした。つまり、ビルドアップ配線板1Cにも本実施例を適用できる。
【0048】
尚、図1、図7乃至図9のプリント配線板1の基材2に導電性材料を使用した例について説明したが、基材2として絶縁材料を使用しても良い。図10は、絶縁材料の基材を使用したビルドアップ配線板の断面図である。尚、図8に示すビルドアップ配線板1Bと同一のものには同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。絶縁材料の基材2Cは、アラミド繊維、ポリ−Pベンゾビスオキサゾール又は芳香族ポリエステル繊維の有機繊維の織布若しくは不織布を熱膨張の制御材料として使用したプリプレグ材料で形成する。ビルドアップ配線板1Dは、基材2Cが絶縁材料であるため、配線用スルーホール5Aと基材2Cとの間を電気的に絶縁する絶縁材料6Bが必要ない構造になる。つまり、ビルドアップ配線板1Dにも本実施例を適用できる。
【0049】
更に、上記実施例では、基材2の面部2Aに形成された配線用スルーホール部位5と熱膨張調整部位6とを同一サイズとしたが、その容積が同一であれば、必ずしも同一サイズに限定する必要はない。
【0050】
更に、上記実施例では、熱膨張調整部位6の下孔6Aを基材2の面部2Aを表裏に貫通する貫通孔としたが、有底孔であっても良い。
【0051】
更に、上記実施例では、基材2をカーボン繊維の無機繊維の織布又は不織布を熱膨張の制御材料として使用した導電性材料のプリプレグ材料2Bで形成した。しかしながら、導電性材料のプリプレグ材料2Bとして、インバー材、42アロイ又はコバールの合金を熱膨張の制御材料として使用しても良い。
【0052】
更に、上記実施例では、所定区画としてセル20内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、配線用スルーホール部位5の配置位置に応じて、セル20内に熱膨張調整部位6を追加配置した。しかしながら、所定区画としてはセル20単位に限定するものではなく、所定個数分のセル20、製品部分11や基材2の面部2A単位であっても良い。
【0053】
上記実施例では、プリント配線板1を例に挙げて説明したが、プリント配線板1を試験するプロブカードに適用しても良い。
【0054】
また、上記実施例では、プリント配線板1を製造する材料の熱膨張率、弾性率や寸法等の数値を具体的に明記したが、これら明記した数値は本願発明の一例に過ぎず、これら数値によって本願発明の技術的思想が限定されてしまうようなことは到底ない。
【0055】
以上、本実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0056】
(付記1)基材の面部を表裏に貫通する配線用貫通孔を備え、前記基材と異なる熱膨張率の絶縁材料を使用した配線用貫通孔部位と、前記基材の面部に形成した下孔を備え、当該下孔に前記絶縁材料を充填して形成する熱膨張調整部位とを有し、前記基材の面部に区画した所定区画内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置したことを特徴とするプリント配線板。
【0057】
(付記2)前記所定区画内の縦横方向の熱膨張率の差を最小限とすべく、前記所定区画内に配置する前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度が均一となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置したことを特徴とする付記1記載のプリント配線板。
【0058】
(付記3)前記所定区画内に配置する前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度が均一となるように、当該所定区画内に配置する前記熱膨張調整部位の個数を調整することを特徴とする付記2記載のプリント配線板。
【0059】
(付記4)前記所定区画内に配置する前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度が均一となるように、当該所定区画内に配置する前記熱膨張調整部位の容積を調整することを特徴とする付記2記載のプリント配線板。
【0060】
(付記5)前記所定区画内に配置する前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度を均一とすべく、前記所定区画を縦列及び横列で区画し、前記所定区画内の縦列毎に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置個数で得た配置個数毎の縦列本数と、前記所定区画内の横列毎に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置個数で得た配置個数毎の横列本数とが同一となるように、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置したことを特徴とする付記2又は3記載のプリント配線板。
【0061】
(付記6)前記所定区画内に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度を均一とすべく、前記所定区画を縦列及び横列で区画し、前記所定区画内の縦列に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置ピッチと、前記所定区画内の横列に配置した前記配線用貫通孔及び前記熱膨張調整部位の配置ピッチとが同一ピッチとなるように、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を追加配置したことを特徴とする付記2記載のプリント配線板。
【0062】
(付記7)前記基材は、
アラミド繊維、ポリ−Pベンゾビスオキサゾール又は芳香族ポリエステル繊維の有機繊維の織布若しくは不織布を熱膨張の制御材料として使用したプリプレグ材料で形成することを特徴とする付記1〜6の何れか一つに記載のプリント配線板。
【0063】
(付記8)前記基材は、
カーボン繊維の無機繊維の織布又は不織布を熱膨張の制御材料として使用した導電性のプリプレグ材料で形成することを特徴とする付記1〜6の何れか一つに記載のプリント配線板。
【0064】
(付記9)前記基材は、
インバー材、42アロイ又はコバールの合金を熱膨張の制御材料として使用した導電性のプリプレグ材料で形成することを特徴とする付記1〜6の何れか一つに記載のプリント配線板。
【0065】
(付記10)前記基材内部の導電性材料と前記配線用貫通孔との電気的接続は、
前記配線用貫通孔部位に使用する前記絶縁材料で絶縁することを特徴とする付記8又は9に記載のプリント配線板。
【0066】
(付記11)前記基材は、
製品部分と、製品外部分とを有し、
前記製品部分は、
前記複数の所定区画に区画し、
前記製品外部分は、
前記製品部分の所定区画内の縦横方向の熱膨張率と同一となるように、前記熱膨張調整部位を配置したことを特徴とする付記1〜10の何れか一つに記載のプリント配線板。
【0067】
(付記12)前記製品部分の前記所定区画内に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位と同一配置構成の前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位を配置した配線板保証用のクーポン回路を前記製品外部分に形成したことを特徴とする付記11記載のプリント配線板。
【0068】
(付記13)基材の面部を表裏に貫通する配線用貫通孔を備え、前記基材と異なる熱膨張率の絶縁材料を使用した配線用貫通孔部位と、前記基材の面部に形成した下孔を備え、当該下孔に前記絶縁材料を充填して形成する熱膨張調整部位とを有し、前記基材の面部に区画した所定区画内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置するプリント配線板のレイアウト構成を設計するレイアウト設計工程と、
前記レイアウト設計工程にて設計した前記レイアウト構成に基づき、前記基材の面部を穿孔して、前記熱膨張調整部位の前記下孔を形成する下孔形成工程と、
前記下孔形成工程にて形成した前記下孔に前記絶縁材料を充填して前記熱膨張調整部位を形成する熱膨張調整部位形成工程と、
前記基材の面部に銅箔を積層する銅箔積層工程と、
前記レイアウト設計工程にて設計した前記レイアウト構成に基づき、前記配線用貫通孔部位の配置位置に対応した前記熱膨張調整部位を表裏に穿孔して前記配線用貫通孔を形成することで、当該熱膨張調整部位を前記配線用貫通孔部位として形成する配線用貫通孔形成工程と、
前記配線用貫通孔の内周壁面に鍍金を形成する鍍金形成工程と、
前記鍍金形成工程にて前記配線用貫通孔の内周壁面に鍍金を形成した後、当該基材上に配線パターンを形成して前記プリント配線板を形成する配線パターン形成工程と
を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【0069】
(付記14)基材の面部を表裏に貫通する配線用貫通孔を備え、前記基材と異なる熱膨張率の絶縁材料を使用した配線用貫通孔部位と、前記基材の面部に形成した下孔を備え、当該下孔に前記絶縁材料を充填して形成する熱膨張調整部位とを有し、前記基材の面部に区画した所定区画内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置したプリント配線板を内部に搭載したことを特徴とする電子機器。
【符号の説明】
【0070】
1 プリント配線板
2 基材
2A 面部
4 配線パターン
5 配線用スルーホール部位
5A 配線用スルーホール
6 熱膨張調整部位
6A 下孔
6B 絶縁材料
11 製品部分
12 製品外部分
20 セル
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板、プリント配線板の製造方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI(Large Scale Integration)パッケージングが実装されるプリント配線板の熱膨張率は、パターニングされる銅配線の材料に整合して、17ppm/℃程度のものが一般的である。しかしながら、近年では、熱膨張率が3〜3.5ppm/℃程度のシリコンウエハに近い低熱膨張率のプリント配線板が求められているのが実情である。
【0003】
そこで、FR4、FR5、FR6(Flame Retardant:プリント配線板の部材である銅張積層板の耐燃性の等級を示す記号)やBTレンジ等の中から熱膨張率の低い樹脂材料を含浸したプリプレグ材料を使用してプリント配線板の基材を形成している。更に、プリプレグ化する場合に使用する繊維材料として、一般的なEガラス繊維(熱膨張率:約5.5ppm/℃、弾性率:約70GPa)の代わりに、Tガラス繊維等の低熱膨張特性のガラス繊維(熱膨張率:約3ppm/℃、弾性率:約80GPa)を使用している。つまり、プリプレグ材料やプリプレグ化に使用する繊維材料を適宜選択することで、プリント配線板の基材の低熱膨張化を図ろうとしている。しかしながら、このようなプリント配線板の基材は、概ね12ppm/℃以上の熱膨張率となるため、シリコンウエハに近い熱膨張率を得るのは難しい。
【0004】
そこで、更なる改善方法として、ガラス繊維に代えて、約100GPaを超える高弾性率で、かつ、1ppm/℃以下の低熱膨張率のアラミド繊維等の有機繊維やカーボン繊維等の無機繊維に樹脂含浸したプリプレグ材料を基材に使用することが知られている。また、有機繊維や無機繊維の代わりに、インバー材等の低熱膨張特性の合金板をプリント配線板のコアに使用することも知られている。尚、有機繊維は絶縁材料であるのに対して、無機繊維及びインバー材等の合金板は導電性材料である。
【0005】
そこで、このような改善方法を採用したプリント配線板について説明する。図11は、導電性材料の基材を使用した従来のプリント配線板の断面図である。図11に示すプリント配線板100Aは、カーボン繊維等の無機繊維やインバー材料等の低熱膨張率の導電性材料を基材101Aに使用している。プリント配線板100Aでは、基材101Aが導電性材料であるため、配線層102A間を接続するスルーホール103Aを基材101Aから電気的に絶縁する構造が必要となる。従って、プリント配線板100Aでは、スルーホール103Aを形成する部分に大きい下孔104Aを形成してエポキシ等の樹脂材料105Aで穴埋めして、基材101Aとスルーホール103Aとの間を樹脂材料105Aで電気的に絶縁する二重構造としている。
【0006】
図12は、絶縁材料の基材を使用した従来のプリント配線板の断面図である。図12に示すプリント配線板100Bは、アラミド繊維等の有機繊維の低熱膨張率の絶縁材料を基材101Bに使用している。プリント配線板100Bでは、基材101Bが絶縁材料であるため、配線層102B間を接続するスルーホール103Bを基材101Bから電気的に絶縁する必要はない。しかしながら、プリント配線板100Bでは、配線層102B上にビルドアップ配線層106Bを形成する際、基材101B面部のスルーホール103B自体をエポキシ等の樹脂材料105Bで穴埋めする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−80486号公報
【特許文献2】特開2001−160601号公報
【特許文献3】特開2006−13395号公報
【特許文献4】特開2004−31812号公報
【特許文献5】特開2001−332828号公報
【特許文献6】特開2000−138453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のプリント配線板100A,100Bでは、基材101A、101B部分の熱膨張率と、穴埋め用樹脂材料105A,105Bや、メッキ銅等を内周壁面にメッキしたスルーホール103A,103B部分の熱膨張率とが大きく異なる。例えば、基材101A,101B部分の熱膨張率は約1ppm/℃であるのに対し、穴埋め用樹脂材料105A,105Bの熱膨張率は約30ppm/℃、メッキ銅の熱膨張率は約17ppm/℃である。その結果、プリント配線板100A,100Bでは、スルーホール103A、103B部分の熱膨張率が極端に高くなる。
【0009】
そこで、穴埋めに使用するエポキシ等の樹脂材料単体の熱膨張率を下げるべく、シリカ粉末等の低熱膨張率の無機フィラーを添加する方法も考えられるが、無機フィラーの添加量には限界がある。更に、僅かな添加量で特性を大きく改善できる繊維状の材料を穴埋め用材料に混合してスルーホール103A,103Bの面方向に配置する方法もあるが、極細のスルーホールを製造するには適しておらず、低熱膨張率の基材に適した穴埋め材料を得るのは困難である。
【0010】
つまり、上記従来のプリント配線板100A,100Bでは、製造時のワーク面内でスルーホールの密度が高い部分と、スルーホールの密度が低い部分とが存在した場合、密度が高い部分と密度が低い部分との間で熱膨張率に大きな差が生じる。その結果、プリント配線板製造時の積層工程等で行う熱プレス等でワーク面に反りや捩れ等が発生してしまう。更に、プリント配線板製造時の加熱硬化工程に起因する温度経過で永久的に反りや捩れ等の歪みが製品自体に残ってしまう。
【0011】
開示技術は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱膨張率の差による製品の反りや捩れを防止するプリント配線板、プリント配線板の製造方法及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の開示するプリント配線板は、一つの態様において、基材の面部を表裏に貫通する配線用貫通孔を備え、前記基材と異なる熱膨張率の絶縁材料を使用した配線用貫通孔部位と、前記基材の面部に形成した下孔を備え、当該下孔に前記絶縁材料を充填して形成する熱膨張調整部位とを有し、前記基材の面部に区画した所定区画内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置した。
【発明の効果】
【0013】
本願の開示するプリント配線板の一つの態様では、熱膨張率の差による製品の反りや捩れを防止するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施例のプリント配線板の断面図である。
【図2】図2は、実施例のプリント配線板で使用する基材の面部の外形を示す平面図である。
【図3】図3は、配線用スルーホール部位及び熱膨張調整部位を形成した基材の面部を示す説明図である。
【図4】図4は、実施例のプリント配線板の製造工程を示す説明図である。
【図5】図5は、正方形セル内の配線用スルーホール部位及び熱膨張調整部位の配置構成の一例を示す説明図である。
【図6】図6は、長方形セル内の配線用スルーホール部位及び熱膨張調整部位の配置構成の一例を示す説明図である。
【図7】図7は、6層プリント配線板の断面図である。
【図8】図8は、ビルドアップ配線板の断面図である。
【図9】図9は、ビルドアップ配線板の断面図である。
【図10】図10は、絶縁材料の基材を使用したビルドアップ配線板の断面図である。
【図11】図11は、導電性材料の基材を使用した従来のプリント配線板の断面図である。
【図12】図12は、絶縁材料の基材を使用した従来のプリント配線板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本願の開示するプリント配線板、プリント配線板の製造方法及び電子機器の実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。
【実施例】
【0016】
図1は、実施例のプリント配線板の断面図である。図1に示すプリント配線板1は、基材2と、基材2の表面及び裏面に積層した配線層3と、配線層3上に形成した配線パターン4とを有する。更に、基材2の面部2Aには、配線用スルーホール部位5と、熱膨張調整部位6とを有する。配線用スルーホール部位5は、基材2の面部2Aを表裏に貫通する配線用スルーホール5Aを備え、基材2と異なる熱膨張率の絶縁材料6Bを使用した部位である。更に、熱膨張調整部位6は、基材2の面部2Aに形成した下孔6Aを備え、当該下孔6Aに絶縁材料6Bを充填して形成した部位である。
【0017】
図2は、実施例のプリント配線板1で使用する基材2の面部2Aの外形を示す平面図、図3は、配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6を形成した基材2の面部2Aを示す説明図である。尚、説明の便宜上、図3では、配線用スルーホール部位5を白丸、熱膨張調整部位6を黒丸で示す。図2に示す基材2の面部2Aは、製品部分11と、製品外部分12とを有し、製品部分11は、複数の所定区画のセル20が区画してある。更に、セル20内には、配線用スルーホール部位5と、熱膨張調整部位6とを有し、当該セル20内の配線用スルーホール部位5の配置位置に応じて、当該セル20内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限、例えば“0”となるように熱膨張調整部位6を配置してある。
【0018】
また、製品外部分12は、製品部分11のセル20内の縦横方向の熱膨張率と同一となるように、当該セル20内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6と同一配置構成で当該製品外部分12内に熱膨張調整部位6を配置した。更に、製品外部分12には、製品部分11上に形成したセル20内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6と同一配置構成で配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の製品保証用のクーポン回路40を形成した。
【0019】
更に、製品部分11には、セル20以外の切り離し部分11Aを有する。その切り離し部分11Aには、セル20内の縦横方向の熱膨張率が同一となるように、セル20内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6と同一ピッチで熱膨張調整部位6を配置した。
【0020】
次に、プリント配線板1の製造工程について説明する。図4は、実施例のプリント配線板1の製造工程を示す説明図である。先ず、レイアウト設計工程では、基材2の面部2Aに区画したセル20内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、セル20内の配線用スルーホール部位5の配置位置に応じて、セル20内に熱膨張調整部位6を配置するレイアウト構成を設計する。尚、基材2の製品外部分12及び切り離し部分11Aも、セル20内の縦横方向の熱膨張率と同一となるように、当該セル20内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6と同一配置構成で熱膨張調整部位6を配置するレイアウト構成を設計する。
【0021】
そして、基材形成工程(ステップS11)では、基材2を形成する複数のプリプレグ材料2Bを積層し、これら積層したプリプレグ材料2Bを熱プレスして基材2を形成する。尚、プリプレグ材料2Bとしては、カーボン繊維の織布に樹脂を含浸してBステージ化した材料である。カーボン繊維は、例えば、熱膨張率が約0ppm/℃、弾性率が約370GPaの繊維を使用する。更に、このカーボン繊維は、FR4等で使用する樹脂を塗工しても、硬化後の低熱膨張基材(CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic))の物性値で熱膨張率が約0ppm/℃、弾性率が約80GPaの特性が得られる。
【0022】
次に、下孔形成工程(ステップS12)では、レイアウト設計工程で設計したレイアウト構成に基づき、基材2の面部2Aをドリルで穿孔して下孔6Aを形成する。尚、下孔6Aの直径は、例えば、Φ0.8mmとする。更に、下孔6A形成時のカーボンの切粉による樹脂の汚染を防止する目的で下孔6Aの内周壁面に25μmの銅メッキを施すものとする。
【0023】
次に、熱膨張調整部位形成工程(ステップS13)では、基材2の面部2Aに形成した下孔6Aに穴埋め用の絶縁材料6Bを充填して、その面部2Aに熱膨張調整部位6を形成する。尚、穴埋め用の絶縁材料6Bは、例えば、その熱膨張率を低下させる目的でシリカフィラーを混合した熱膨張率が約33ppm/℃、弾性率が4.7GPaの樹脂を使用する。更に、基材2の面部2Aから漏れ出た絶縁材料6Bの部分を研削して面部2Aを平坦化する。
【0024】
更に、銅箔積層工程(ステップS14)では、熱膨張調整部位6を形成した基材2の表裏面にFR4のプリプレグ材料7を使用して銅箔8を積層する。尚、プリプレグ材料7は、カーボン繊維の露出を防止するためにガラス繊維入りのプリプレグ材料とする。
【0025】
更に、配線用スルーホール形成工程(ステップS15)では、レイアウト構成に基づき、配線用スルーホール部位5の配置位置に対応した熱膨張調整部位6、すなわち絶縁材料6Bを充填した部分を表裏にドリルで穿孔して配線用スルーホール5Aを形成する。
【0026】
更に、配線用スルーホールメッキ形成工程(ステップS16)では、形成された配線用スルーホール5Aの内周壁面に、熱膨張率が約17ppm/℃の銅メッキ5Bを施してセル20内に配線用スルーホール部位5を形成する。尚、配線用スルーホール部位5は、基材2の表裏を電気的に接続する。
【0027】
更に、配線パターン形成工程(ステップS17)では、配線用スルーホール5Aの内周壁面に銅メッキ5Bを施した後、銅箔8上にドライフィルムレジストを形成する。更に、配線パターン形成工程(ステップS17)では、基材2の面部2A上の銅箔8をエッチングすることで面部2A上に配線パターン4を形成する。その結果、約3〜7ppm/℃の熱膨張率を有する両面タイプのプリント配線板1を得た。
【0028】
そこで、基材2の製品部分11を試作し、その製品部分11のセル20内に配線用スルーホール部位5のみを配置し、セル20内の熱膨張率を実測した。その結果、セル20内の縦横方向の熱膨張率は横方向X=6.5ppm/℃、縦方向Y=7.9ppm/℃となって、縦横方向の熱膨張率の差はΔ1.4ppm/℃となった。これに対して、セル20内の配線用スルーホール部位5の配置位置に応じて、当該セル20内の縦横方向の熱膨張率の差を抑制するように熱膨張調整部位6を配置し、セル20内の熱膨張率を実測した。その結果、セル20内の縦横方向の熱膨張率はX=6.3ppm/℃、Y=7.0ppm/℃となって、縦横方向の熱膨張率の差はΔ0.7ppm/℃となった。
【0029】
つまり、本発明を採用することで、セル20内の縦横方向の熱膨張率の差分を抑制できることが判明した。尚、配置精度を高めることでセル20内の縦横方向の熱膨張率の差をほぼ“0”に近づけることが可能である。更に、セル20内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6と同一配置構成で製品外部分12及び切り離し部分11A内に熱膨張調整部位6を配置した場合、熱膨張調整部位6がない場合に比べて製品の反りを約0.4mmから0.2mmまで低減できる。その結果、製品の反りは半減できることが判明した。
【0030】
また、製品の製造においては、実際のワークサイズが510×340mmの基材2を使用し、製品外部分12及び切り離し部分11A内に熱膨張調整部位6を何等配置しない場合、その部分の熱膨張率は約5ppm/℃、製品部分11の熱膨張率は約7ppm/℃となった。その結果、製品部分11内にのみ、熱膨張調整部位6を配置した場合、製品製造中に約20mmの反りが発生した。
【0031】
これに対して、製品部分11の他に、製品外部分12及び切り離し部分11Aに製品部分11内のセル20内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6と同一配置構成で熱膨張調整部位6を配置した。この場合、製品製造中に生じた反りは数ミリ程度まで低減され、基板製造上の製品歪みを防止できることが判明した。
【0032】
従って、実施例では、基材2の面部2Aに区画したセル20内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、セル20内の配線用スルーホール部位5の配置位置に応じて、セル20内に熱膨張調整部位6を配置した。その結果、基材2のセル20内の熱膨張率が均一になるため、従来のような熱膨張率の差による製品の反りや捩れ等の歪みを防止できる。
【0033】
更に、実施例では、基材2の面部2Aの製品部分11、切り離し部分11A及び製品外部分12内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、製品部分11、切り離し部分11A及び製品外部分12内に熱膨張調整部位6を配置した。その結果、従来のような熱膨張率の差による製品の反りや捩れ等の歪みを防止できる。
【0034】
また、実施例では、熱膨張調整部位6を配置しても、その熱膨張調整部位6は絶縁材料6Bで穴埋めした状態であるため、熱膨張調整部位6で配線パターン4の配線密度が低下してしまう事態も回避できる。
【0035】
また、上記実施例では、セル20内の縦横方向の熱膨張率の差を最小限とすべく、セル20内に配置する配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置密度が均一となるように、セル20内に配置した熱膨張調整部位6の配置個数を調整した。配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置密度が同一サイズであるため、熱膨張調整部位6の配置個数でセル20内の熱膨張率を調整できる。
【0036】
尚、上記実施例では、所定区画のセル20について説明したが、そのセル20は正方形セルであっても良い。では、セル20を縦列(N=8グリッド)及び横列(M=8グリッド)の正方形セルにした場合の熱膨張調整部位6の配置方法について説明する。図5は、正方形セル内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置構成の一例を示す説明図である。尚、正方形セル20A内には、配線用スルーホール部位5(白丸)が配置してある。先ず、正方形セル20A内には、縦列毎に配置した配線用スルーホール部位5の配置個数から配置個数毎の縦列本数を得る。図5では、配置個数毎の縦列本数は、配置個数2個の縦列が3本(2TH*3)と、配置個数4個の縦列が4本(4TH*4)となる。更に、正方形セル20A内には、横列毎に配置した配線用スルーホール部位5の配置個数から配置個数7個の横列本数を得る。図5では、配置個数毎の横列本数は、配置個数7個の横列が2本(7TH*2)と、配置個数4個の横列が2本(4TH*2)となる。
【0037】
正方形セル20A内に配置する配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置密度を均一にするには、正方形セル20A内の配置個数毎の縦列本数と、配置個数毎の横列本数とが同一となるように、正方形セル20A内に熱膨張調整部位6を配置する必要がある。
【0038】
図5の(例A)では、正方形セル20A内の配置個数毎の縦列本数と横列本数とが同一、すなわち7TH*2,4TH*2,2TH*3となるように正方形セル20A内に熱膨張調整部位6(黒丸)を配置する。また、図5の(例B)では、7TH*4及び4TH*4となるように正方形セル20A内に熱膨張調整部位6(黒丸)を配置する。
【0039】
つまり、正方形セル20Aの場合、正方形セル20A内の配置個数毎の縦列本数と横列本数とが同一となるように、正方形セル20A内の配線用スルーホール部位5の配置位置に応じて熱膨張調整部位6を追加配置する。その結果、正方形セル20A内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置密度が均一になって縦横方向の熱膨張率の差を最小限に抑制できる。
【0040】
尚、図5の(例A)では、熱膨張調整部位6を6個配置するのに対し、図5の(例B)では、熱膨張調整部位6を18個配置した。熱膨張調整部位6の配置個数が増えるに連れて、熱膨張率が上昇するため、熱膨張調整部位6の配置個数を少なくした方が望ましい。
【0041】
次に、セル20を縦列(N=6グリッド)及び横列(M=8グリッド)の長方形セルにした場合の熱膨張調整部位6の配置方法について説明する。図6は、長方形セル内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置構成の一例を示す説明図である。尚、長方形セル20B内には、配線用スルーホール部位5(白丸)が配置してある。図6の長方形セル20B内には、縦列毎に配置した配線用スルーホール部位5の配置個数2個の縦列が4本(2TH*4)である。更に、長方形セル20B内には、横列毎に配置した配線用スルーホール部位5の配置個数4個の横列が2本(4TH*2)である。
【0042】
長方形セル20B内の縦列に配置した配線用スルーホール部位5の配置ピッチと、長方形セル20B内の横列に配置した配線用スルーホール部位5の配置ピッチとが同一ピッチとなるように、当該長方形セル20B内に熱膨張調整部位6(黒丸)を追加配置した。その結果、図6では、縦列毎に配置した配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置個数3個の縦列が4本(3TH*4)、横列毎に配置した配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置個数4個の横列が(4TH*3)となる。
【0043】
つまり、長方形セル20Bの場合、長方形セル20B内の縦列に配置した配線用スルーホール部位5の配置ピッチと、横列に配置した配線用スルーホール部位5の配線ピッチとを同一ピッチとすべく、当該長方形セル20B内に熱膨張調整部位6を追加配置した。その結果、長方形セル20B内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置密度が均一になって縦横方向の熱膨張率の差を最小限に抑制できる。
【0044】
また、熱膨張調整部位6の配置個数を調整することで熱膨張率を調整するようにしたが、セル20内の配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置密度が均一になるように、セル20内に配置した熱膨張調整部位6の容積を調整するようにしても良い。配線用スルーホール部位5及び熱膨張調整部位6の配置密度が異なる場合でも、熱膨張調整部位6の容積で調整できる。
【0045】
尚、上記実施例では、図1に示す通り、両面タイプのプリント配線板1を例に挙げて説明したが、多層タイプのプリント配線板にも適用可能である。図7は、6層プリント配線板の断面図である。尚、図1に示すプリント配線板1と同一のものには同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図7に示す6層プリント配線板1Aは、両面タイプのプリント配線板1の表裏に積層した配線パターン4の銅箔上に、回路を形成した両面銅張板9を挟み込んでプリプレグ材料で積層することで6層構造とした。つまり、6層プリント配線板1Aにも本実施例を適用できる。
【0046】
図8は、ビルドアップ配線板の断面図である。尚、図1に示すプリント配線板1と同一のものには同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図8に示すビルドアップ配線板1Bは、両面タイプのプリント配線板1に形成した配線用スルーホール5A内に穴埋め用の絶縁材料31を充填して蓋メッキ32をした後、その配線パターン4上にビルドアップ配線層33を積層する構造とした。つまり、ビルドアップ配線板1Bにも本実施例を適用できる。
【0047】
図9は、ビルドアップ配線板の断面図である。尚、図1に示すプリント配線板1と同一のものには同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図9に示すビルドアップ配線板1Cは、両面タイプのプリント配線板1に形成した配線用スルーホール5A内に穴埋め用の絶縁材料31を充填した後、その配線パターン4上にビルドアップ配線層33を積層配置する構造とした。つまり、ビルドアップ配線板1Cにも本実施例を適用できる。
【0048】
尚、図1、図7乃至図9のプリント配線板1の基材2に導電性材料を使用した例について説明したが、基材2として絶縁材料を使用しても良い。図10は、絶縁材料の基材を使用したビルドアップ配線板の断面図である。尚、図8に示すビルドアップ配線板1Bと同一のものには同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。絶縁材料の基材2Cは、アラミド繊維、ポリ−Pベンゾビスオキサゾール又は芳香族ポリエステル繊維の有機繊維の織布若しくは不織布を熱膨張の制御材料として使用したプリプレグ材料で形成する。ビルドアップ配線板1Dは、基材2Cが絶縁材料であるため、配線用スルーホール5Aと基材2Cとの間を電気的に絶縁する絶縁材料6Bが必要ない構造になる。つまり、ビルドアップ配線板1Dにも本実施例を適用できる。
【0049】
更に、上記実施例では、基材2の面部2Aに形成された配線用スルーホール部位5と熱膨張調整部位6とを同一サイズとしたが、その容積が同一であれば、必ずしも同一サイズに限定する必要はない。
【0050】
更に、上記実施例では、熱膨張調整部位6の下孔6Aを基材2の面部2Aを表裏に貫通する貫通孔としたが、有底孔であっても良い。
【0051】
更に、上記実施例では、基材2をカーボン繊維の無機繊維の織布又は不織布を熱膨張の制御材料として使用した導電性材料のプリプレグ材料2Bで形成した。しかしながら、導電性材料のプリプレグ材料2Bとして、インバー材、42アロイ又はコバールの合金を熱膨張の制御材料として使用しても良い。
【0052】
更に、上記実施例では、所定区画としてセル20内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、配線用スルーホール部位5の配置位置に応じて、セル20内に熱膨張調整部位6を追加配置した。しかしながら、所定区画としてはセル20単位に限定するものではなく、所定個数分のセル20、製品部分11や基材2の面部2A単位であっても良い。
【0053】
上記実施例では、プリント配線板1を例に挙げて説明したが、プリント配線板1を試験するプロブカードに適用しても良い。
【0054】
また、上記実施例では、プリント配線板1を製造する材料の熱膨張率、弾性率や寸法等の数値を具体的に明記したが、これら明記した数値は本願発明の一例に過ぎず、これら数値によって本願発明の技術的思想が限定されてしまうようなことは到底ない。
【0055】
以上、本実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0056】
(付記1)基材の面部を表裏に貫通する配線用貫通孔を備え、前記基材と異なる熱膨張率の絶縁材料を使用した配線用貫通孔部位と、前記基材の面部に形成した下孔を備え、当該下孔に前記絶縁材料を充填して形成する熱膨張調整部位とを有し、前記基材の面部に区画した所定区画内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置したことを特徴とするプリント配線板。
【0057】
(付記2)前記所定区画内の縦横方向の熱膨張率の差を最小限とすべく、前記所定区画内に配置する前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度が均一となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置したことを特徴とする付記1記載のプリント配線板。
【0058】
(付記3)前記所定区画内に配置する前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度が均一となるように、当該所定区画内に配置する前記熱膨張調整部位の個数を調整することを特徴とする付記2記載のプリント配線板。
【0059】
(付記4)前記所定区画内に配置する前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度が均一となるように、当該所定区画内に配置する前記熱膨張調整部位の容積を調整することを特徴とする付記2記載のプリント配線板。
【0060】
(付記5)前記所定区画内に配置する前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度を均一とすべく、前記所定区画を縦列及び横列で区画し、前記所定区画内の縦列毎に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置個数で得た配置個数毎の縦列本数と、前記所定区画内の横列毎に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置個数で得た配置個数毎の横列本数とが同一となるように、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置したことを特徴とする付記2又は3記載のプリント配線板。
【0061】
(付記6)前記所定区画内に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度を均一とすべく、前記所定区画を縦列及び横列で区画し、前記所定区画内の縦列に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置ピッチと、前記所定区画内の横列に配置した前記配線用貫通孔及び前記熱膨張調整部位の配置ピッチとが同一ピッチとなるように、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を追加配置したことを特徴とする付記2記載のプリント配線板。
【0062】
(付記7)前記基材は、
アラミド繊維、ポリ−Pベンゾビスオキサゾール又は芳香族ポリエステル繊維の有機繊維の織布若しくは不織布を熱膨張の制御材料として使用したプリプレグ材料で形成することを特徴とする付記1〜6の何れか一つに記載のプリント配線板。
【0063】
(付記8)前記基材は、
カーボン繊維の無機繊維の織布又は不織布を熱膨張の制御材料として使用した導電性のプリプレグ材料で形成することを特徴とする付記1〜6の何れか一つに記載のプリント配線板。
【0064】
(付記9)前記基材は、
インバー材、42アロイ又はコバールの合金を熱膨張の制御材料として使用した導電性のプリプレグ材料で形成することを特徴とする付記1〜6の何れか一つに記載のプリント配線板。
【0065】
(付記10)前記基材内部の導電性材料と前記配線用貫通孔との電気的接続は、
前記配線用貫通孔部位に使用する前記絶縁材料で絶縁することを特徴とする付記8又は9に記載のプリント配線板。
【0066】
(付記11)前記基材は、
製品部分と、製品外部分とを有し、
前記製品部分は、
前記複数の所定区画に区画し、
前記製品外部分は、
前記製品部分の所定区画内の縦横方向の熱膨張率と同一となるように、前記熱膨張調整部位を配置したことを特徴とする付記1〜10の何れか一つに記載のプリント配線板。
【0067】
(付記12)前記製品部分の前記所定区画内に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位と同一配置構成の前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位を配置した配線板保証用のクーポン回路を前記製品外部分に形成したことを特徴とする付記11記載のプリント配線板。
【0068】
(付記13)基材の面部を表裏に貫通する配線用貫通孔を備え、前記基材と異なる熱膨張率の絶縁材料を使用した配線用貫通孔部位と、前記基材の面部に形成した下孔を備え、当該下孔に前記絶縁材料を充填して形成する熱膨張調整部位とを有し、前記基材の面部に区画した所定区画内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置するプリント配線板のレイアウト構成を設計するレイアウト設計工程と、
前記レイアウト設計工程にて設計した前記レイアウト構成に基づき、前記基材の面部を穿孔して、前記熱膨張調整部位の前記下孔を形成する下孔形成工程と、
前記下孔形成工程にて形成した前記下孔に前記絶縁材料を充填して前記熱膨張調整部位を形成する熱膨張調整部位形成工程と、
前記基材の面部に銅箔を積層する銅箔積層工程と、
前記レイアウト設計工程にて設計した前記レイアウト構成に基づき、前記配線用貫通孔部位の配置位置に対応した前記熱膨張調整部位を表裏に穿孔して前記配線用貫通孔を形成することで、当該熱膨張調整部位を前記配線用貫通孔部位として形成する配線用貫通孔形成工程と、
前記配線用貫通孔の内周壁面に鍍金を形成する鍍金形成工程と、
前記鍍金形成工程にて前記配線用貫通孔の内周壁面に鍍金を形成した後、当該基材上に配線パターンを形成して前記プリント配線板を形成する配線パターン形成工程と
を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【0069】
(付記14)基材の面部を表裏に貫通する配線用貫通孔を備え、前記基材と異なる熱膨張率の絶縁材料を使用した配線用貫通孔部位と、前記基材の面部に形成した下孔を備え、当該下孔に前記絶縁材料を充填して形成する熱膨張調整部位とを有し、前記基材の面部に区画した所定区画内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置したプリント配線板を内部に搭載したことを特徴とする電子機器。
【符号の説明】
【0070】
1 プリント配線板
2 基材
2A 面部
4 配線パターン
5 配線用スルーホール部位
5A 配線用スルーホール
6 熱膨張調整部位
6A 下孔
6B 絶縁材料
11 製品部分
12 製品外部分
20 セル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の面部を表裏に貫通する配線用貫通孔を備え、前記基材と異なる熱膨張率の絶縁材料を使用した配線用貫通孔部位と、前記基材の面部に形成した下孔を備え、当該下孔に前記絶縁材料を充填して形成する熱膨張調整部位とを有し、前記基材の面部に区画した所定区画内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置したことを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記所定区画内の縦横方向の熱膨張率の差を最小限とすべく、前記所定区画内に配置する前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度が均一となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置したことを特徴とする請求項1記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記所定区画内に配置する前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度が均一となるように、当該所定区画内に配置する前記熱膨張調整部位の個数を調整することを特徴とする請求項2記載のプリント配線板。
【請求項4】
前記所定区画内に配置する前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度が均一となるように、当該所定区画内に配置する前記熱膨張調整部位の容積を調整することを特徴とする請求項2記載のプリント配線板。
【請求項5】
前記所定区画内に配置する前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度を均一とすべく、前記所定区画を縦列及び横列で区画し、前記所定区画内の縦列毎に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置個数で得た配置個数毎の縦列本数と、前記所定区画内の横列毎に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置個数で得た配置個数毎の横列本数とが同一となるように、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置したことを特徴とする請求項2又は3記載のプリント配線板。
【請求項6】
前記所定区画内に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度を均一とすべく、前記所定区画を縦列及び横列で区画し、前記所定区画内の縦列に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置ピッチと、前記所定区画内の横列に配置した前記配線用貫通孔及び前記熱膨張調整部位の配置ピッチとが同一ピッチとなるように、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を追加配置したことを特徴とする請求項2記載のプリント配線板。
【請求項7】
前記基材は、
製品部分と、製品外部分とを有し、
前記製品部分は、
前記複数の所定区画に区画し、
前記製品外部分は、
前記製品部分の所定区画内の縦横方向の熱膨張率と同一となるように、前記熱膨張調整部位を配置したことを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載のプリント配線板。
【請求項8】
前記製品部分の前記所定区画内に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位と同一配置構成の前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位を配置した配線板保証用のクーポン回路を前記製品外部分に形成したことを特徴とする請求項7記載のプリント配線板。
【請求項9】
基材の面部を表裏に貫通する配線用貫通孔を備え、前記基材と異なる熱膨張率の絶縁材料を使用した配線用貫通孔部位と、前記基材の面部に形成した下孔を備え、当該下孔に前記絶縁材料を充填して形成する熱膨張調整部位とを有し、前記基材の面部に区画した所定区画内の縦横方向の熱膨張率が均一となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置するプリント配線板のレイアウト構成を設計するレイアウト設計工程と、
前記レイアウト設計工程にて設計した前記レイアウト構成に基づき、前記基材の面部を穿孔して、前記熱膨張調整部位の前記下孔を形成する下孔形成工程と、
前記下孔形成工程にて形成した前記下孔に前記絶縁材料を充填して前記熱膨張調整部位を形成する熱膨張調整部位形成工程と、
前記基材の面部に銅箔を積層する銅箔積層工程と、
前記レイアウト設計工程にて設計した前記レイアウト構成に基づき、前記配線用貫通孔部位の配置位置に対応した前記熱膨張調整部位を表裏に穿孔して前記配線用貫通孔を形成することで、当該熱膨張調整部位を前記配線用貫通孔部位として形成する配線用貫通孔形成工程と、
前記配線用貫通孔の内周壁面に鍍金を形成する鍍金形成工程と、
前記鍍金形成工程にて前記配線用貫通孔の内周壁面に鍍金を形成した後、当該基材上に配線パターンを形成して前記プリント配線板を形成する配線パターン形成工程と
を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項10】
基材の面部を表裏に貫通する配線用貫通孔を備え、前記基材と異なる熱膨張率の絶縁材料を使用した配線用貫通孔部位と、前記基材の面部に形成した下孔を備え、当該下孔に前記絶縁材料を充填して形成する熱膨張調整部位とを有し、前記基材の面部に区画した所定区画内の縦横方向の熱膨張率が均一となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置したプリント配線板を内部に搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
基材の面部を表裏に貫通する配線用貫通孔を備え、前記基材と異なる熱膨張率の絶縁材料を使用した配線用貫通孔部位と、前記基材の面部に形成した下孔を備え、当該下孔に前記絶縁材料を充填して形成する熱膨張調整部位とを有し、前記基材の面部に区画した所定区画内の縦横方向の熱膨張率の差が最小限となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置したことを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記所定区画内の縦横方向の熱膨張率の差を最小限とすべく、前記所定区画内に配置する前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度が均一となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置したことを特徴とする請求項1記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記所定区画内に配置する前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度が均一となるように、当該所定区画内に配置する前記熱膨張調整部位の個数を調整することを特徴とする請求項2記載のプリント配線板。
【請求項4】
前記所定区画内に配置する前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度が均一となるように、当該所定区画内に配置する前記熱膨張調整部位の容積を調整することを特徴とする請求項2記載のプリント配線板。
【請求項5】
前記所定区画内に配置する前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度を均一とすべく、前記所定区画を縦列及び横列で区画し、前記所定区画内の縦列毎に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置個数で得た配置個数毎の縦列本数と、前記所定区画内の横列毎に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置個数で得た配置個数毎の横列本数とが同一となるように、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置したことを特徴とする請求項2又は3記載のプリント配線板。
【請求項6】
前記所定区画内に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置密度を均一とすべく、前記所定区画を縦列及び横列で区画し、前記所定区画内の縦列に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位の配置ピッチと、前記所定区画内の横列に配置した前記配線用貫通孔及び前記熱膨張調整部位の配置ピッチとが同一ピッチとなるように、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を追加配置したことを特徴とする請求項2記載のプリント配線板。
【請求項7】
前記基材は、
製品部分と、製品外部分とを有し、
前記製品部分は、
前記複数の所定区画に区画し、
前記製品外部分は、
前記製品部分の所定区画内の縦横方向の熱膨張率と同一となるように、前記熱膨張調整部位を配置したことを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載のプリント配線板。
【請求項8】
前記製品部分の前記所定区画内に配置した前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位と同一配置構成の前記配線用貫通孔部位及び前記熱膨張調整部位を配置した配線板保証用のクーポン回路を前記製品外部分に形成したことを特徴とする請求項7記載のプリント配線板。
【請求項9】
基材の面部を表裏に貫通する配線用貫通孔を備え、前記基材と異なる熱膨張率の絶縁材料を使用した配線用貫通孔部位と、前記基材の面部に形成した下孔を備え、当該下孔に前記絶縁材料を充填して形成する熱膨張調整部位とを有し、前記基材の面部に区画した所定区画内の縦横方向の熱膨張率が均一となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置するプリント配線板のレイアウト構成を設計するレイアウト設計工程と、
前記レイアウト設計工程にて設計した前記レイアウト構成に基づき、前記基材の面部を穿孔して、前記熱膨張調整部位の前記下孔を形成する下孔形成工程と、
前記下孔形成工程にて形成した前記下孔に前記絶縁材料を充填して前記熱膨張調整部位を形成する熱膨張調整部位形成工程と、
前記基材の面部に銅箔を積層する銅箔積層工程と、
前記レイアウト設計工程にて設計した前記レイアウト構成に基づき、前記配線用貫通孔部位の配置位置に対応した前記熱膨張調整部位を表裏に穿孔して前記配線用貫通孔を形成することで、当該熱膨張調整部位を前記配線用貫通孔部位として形成する配線用貫通孔形成工程と、
前記配線用貫通孔の内周壁面に鍍金を形成する鍍金形成工程と、
前記鍍金形成工程にて前記配線用貫通孔の内周壁面に鍍金を形成した後、当該基材上に配線パターンを形成して前記プリント配線板を形成する配線パターン形成工程と
を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項10】
基材の面部を表裏に貫通する配線用貫通孔を備え、前記基材と異なる熱膨張率の絶縁材料を使用した配線用貫通孔部位と、前記基材の面部に形成した下孔を備え、当該下孔に前記絶縁材料を充填して形成する熱膨張調整部位とを有し、前記基材の面部に区画した所定区画内の縦横方向の熱膨張率が均一となるように、当該所定区画内の前記配線用貫通孔部位の配置位置に応じて、当該所定区画内に前記熱膨張調整部位を配置したプリント配線板を内部に搭載したことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−33579(P2012−33579A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169846(P2010−169846)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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