説明

プリント配線板及びプリント配線板の製造方法

【課題】 絶縁距離を狭めてボンディングパッドを配置しても、ボンディングパッドでの短絡が生じないプリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】 ソルダーレジスト層70で覆った導体回路の頂部を露出させボンディングパッド58bとし、ニッケル層73、金層74を形成する。即ち、無電解めっき膜52を形成するために触媒核の付与された層間樹脂絶縁層50の表面はソルダーレジスト層70で覆われており、ニッケル層73、金層74が樹脂層に形成されることがないため、ニッケル層、金層による短絡が起きず、絶縁距離を狭めファインピッチにボンディングパッドを配置しても、ボンディングパッドでの短絡が生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップなどの電子部品を実装するためのパッドを有するプリント配線板及び該プリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献は、ワイヤーボンディング用のパッドをソルダーレジスト層から露出させることを開示している。該ボンディングパッドには、ニッケルめっきと金めっきが形成されている。ニッケルめっきと金めっきの形成方法として、無電解めっきと電解めっきとが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−103868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリント配線板の高集積化のため、パッド間の絶縁間隔を狭めることが行われている。パッド間の間隔が50μm以下になると、隣接するパッド間で短絡が生じ易くなると推察される。特に、ソルダーレジストに形成されている1つの開口で複数のパッドを露出しているプリント配線板では、パッド間で短絡が発生し易いと考えられる。
【0005】
本発明の目的は、絶縁信頼性が高く、間隔が狭いパッドを有するプリント配線板及び該プリント配線板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1のプリント配線板の製造方法は、樹脂層上に電子部品を実装するためのパッドを形成すること;と
前記樹脂層と前記パッド上にソルダーレジスト層を形成すること;と
前記パッドの上面と側壁の一部を前記ソルダーレジスト層から露出すること;と
前記露出されたパッドの上面と側壁の一部に金属層を形成すること;とからなる。
【0007】
請求項14のプリント配線板は、樹脂層と、
前記樹脂層上に形成されている電子部品を実装するための複数のパッドと、
前記樹脂層上に形成され、前記パッドの上面と側壁の一部を露出しているソルダーレジスト層と、
前記ソルダーレジスト層から露出しているパッドの上面と側壁に形成されている金属層とからなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図2】実施形態のプリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図3】実施形態のプリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図4】実施形態のプリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図5】実施形態のプリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図6】実施形態に係るプリント配線板の断面図である。
【図7】実施形態に係るプリント配線板に半導体チップが実装されている状態を示す断面図である。
【図8】図4(B)、図5中のプリント配線板を拡大して示す断面図である。
【図9】図9(A)は図8(D)に示すパッドを更に拡大して示す断面図であり、図9(B)は図9(A)のパッドの平面図である。
【図10】図10(A)は別の実施形態に係るプリント配線板の断面図であり、図10(B)は半田パッドの例を示すプリント配線板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態のプリント配線板及びその製造方法について、図1〜図9を参照して説明する。
図6は実施形態のプリント配線板を示す断面図である。プリント配線板10では、コア基板30の上面と下面に導体回路37が形成され、上面と下面の導体回路37がスルーホール導体36により接続されている。更に、該コア基板30と該導体回路37の上に層間樹脂絶縁層としての樹脂層50が形成されている。層間樹脂絶縁層にフィルドビア60が形成されている。また、層間樹脂絶縁層上に導体回路58、半田パッド58pとパッド58bが形成されている。該フィルドビア60及び導体回路58、層間樹脂絶縁層50の上に開口部70A、70cを有するソルダーレジスト層70が形成されている。
【0010】
上面側のソルダーレジスト層70は半田パッドを部分的に露出するための開口70cと複数のパッド58bを同時に露出するための開口70Aを有している。半田パッドの外周はソルダーレジストで被覆されている。半田パッド58p上には、ニッケル層73、金層74を介在させて半田バンプ78Uが形成されている。同様に、下面側のソルダーレジスト層70の開口70dにより露出するビア導体上面や導体回路が外部端子58oとして機能する。外部端子58o上には、ニッケル層73、金層74を介在させて他の基板と接続するための半田バンプ78Dが形成されている。
【0011】
それぞれの開口70cは、それぞれの半田パッドを露出している。1つの開口70Aは複数のパッド58bを露出している。ソルダーレジストの開口70cにより、半田パッド58pの上面が部分的に露出している。ソルダーレジストとして機能する開口70Aにより、パッド58bの上面と側壁の一部が露出している。ソルダーレジストの開口70Aから露出しているパッド58bの側壁はパッド58bの上面から延びている部分である。パッド58bの全上面が露出している。パッド58bとパッド58bの間にソルダーレジスト層が形成されている。パッド58bとパッド58bの間に形成されているソルダーレジスト層の厚みはパッド58bの厚みより薄い。パッド58bとパッド58bの間に形成されているソルダーレジスト層の厚みは導体回路58と導体回路58の間に形成されているソルダーレジスト層の厚みより薄い。パッド58bとパッド58bの間に形成されているソルダーレジスト層の厚みは半田パッド58pと半田パッド58pの間に形成されているソルダーレジスト層の厚みより薄い。
ソルダーレジスト層から露出しているパッド58bや半田パッド58pの表面に金属層が形成されている。金属層としては、ニッケル層とニッケル層上の金層を例示することができる。その他、ニッケル層とニッケル層上のパラジウム層とパラジウム層上の金層からなる金属層やスズ層からなる金属層を例示することができる。
【0012】
図7は実施形態のプリント配線板に半導体チップやメモリーなどの電子部品が実装されている例を示している。
プリント配線板10の半田パッドに半田バンプ78Uを介して半導体チップ110が実装されている。半導体チップ110はプリント配線板10にフリップチップで接続されている。半導体チップ110上には、接着材114を介して半導体チップ120が搭載されている。該半導体チップ120上には、接着剤123を介してメモリー130が搭載されている。プリント配線板10のパッド58bに半導体チップ120及び、メモリー130がワイヤー140を介して実装されている。半導体チップ120やメモリー130はプリント配線板10にワイヤーボンディグで接続されている。本実施形態では、パッド58bはワイヤーボンディング用のパッド(ボンディングパッド)として機能している。
【0013】
本実施形態では、ボンディングパッド58bの上面は、ソルダーレジスト層70から露出し、該ボンディングパッドを囲んでいるソルダーレジスト層の上面70Tよりも高い。また、ボンディングパッド間に存在している層間樹脂絶縁層50はソルダーレジスト層70で覆われている。このため、ワイヤーがパッド58bに接続される時、ソルダーレジスト層が邪魔になり難い。また、パッド上に金属層が形成される時、金属層がパッド間の層間樹脂絶縁層上に形成されることがない。隣接するパッド58bは金属層により短絡しがたい。
本実施形態では、ワイヤーとパッド間の接続信頼性が高くなる。本実施形態では、複数のパッド58bをソルダーレジスト層に形成されている1つの開口70Aで露出しているが、パッド58bとパッド58bとの間の間隔を狭くすることができる。パッド58b間の絶縁間隔を狭めファインピッチにボンディングパッドが配置されても、ボンディングパッド間での短絡が生じ難い。
【0014】
以下、図6に示すプリント配線板の製造工程について説明する。
(1)厚さ0.1〜0.8mmの両面銅張積層板31を準備する(図1(A))。両面銅張積層板31の絶縁層性基板(コア基板)30はエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂とガラスクロス等の心材とからなり、コア基板30の第1面とその第1面とは反対側の第2面に銅箔30A、30Bが積層されている。まず、ドリルまたはレーザで両面銅張積層板に、スルーホール導体用貫通孔32を形成する(図1(B))。
【0015】
(2)そして、両面銅張積層板の表面、スルーホール用貫通孔32の内壁面に触媒が付与される(図示せず)。次に、コア基板の第1面と第2面、スルーホール導体用貫通孔に銅やニッケルなどからなる無電解めっき膜を形成する。具体的には、市販の無電解銅めっき水溶液(例えば、上村工業社製のTHRU−CUP)中に、コア基板を浸漬して、基板表面と貫通孔の内壁に厚さ0.3〜3.0μmの無電解銅めっき膜34を形成する(図1(C))。
【0016】
(3)ついで、無電解めっき膜上に銅やニッケル等からなる電解めっき膜を形成する。具体的には、コア基板を以下の組成の電解銅めっき液に浸漬し、以下の条件でコア基板の両面と貫通孔内に電解めっき膜35を形成する(図1(D))。スルーホール導体用貫通孔は電解めっき膜で充填される。スルーホール導体用貫通孔は電解銅めっき膜で充填されることが好ましい。
〔電解めっき液〕
硫酸 0.5 mol/l
硫酸銅 0.8 mol/l
硫酸鉄・七水和物 5 g/l
レベリング剤 50 mg/l
光沢剤 50 mg/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2
時間 65 分
温度 22±2 ℃
【0017】
(4)電解めっき膜35上に所定パターンのエッチングレジストを形成する。エッチングレジストから露出する電解めっき膜35、無電解めっき膜34と銅箔30A、30Bをエッチングにより除去することで、スルーホール導体36、導体回路37が形成される(図2(A))。次いで、導体回路37の全表面とスルーホール導体36の上面に粗化面を形成する(図示せず)。
【0018】
[ビルドアップ層の形成]
(5)コア基板30の両面に、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルム(味の素社製:商品名;ABF−45SH)を積層する。その後、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを硬化することでコア基板の両面に層間樹脂絶縁層としての樹脂層50が形成される(図2(B))。
【0019】
(6)次に、CO2 ガスレーザにて、層間樹脂絶縁層に、直径40〜80μmのビア導体用開口50aを形成する(図2(C))。ビア導体用開口50aを有する基板30を、60g/lの過マンガン酸を含む80℃の溶液に10分間浸漬し、ビア導体用開口50aの内壁を含む層間樹脂絶縁層50の表面に粗面を形成する(図示せず)。
【0020】
(7)次に、基板30を、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いする。さらに、層間樹脂絶縁層50の表面およびビア導体用開口50aの内壁面に触媒を付与する(図示せず)。
【0021】
(8)次に、市販の無電解めっき水溶液中に、基板を浸漬して、層間樹脂絶縁層の表面とビア導体用開口の内壁に厚さ0.3〜3.0μmの無電解めっき膜52を形成する(図3(A))。無電解めっき膜としては、銅やニッケルなどを例示することができる。本実施形態の無電解めっき膜は無電解銅めっき膜である。無電解めっき膜の代わりにスパッタ膜などの蒸着膜を層間樹脂絶縁層とビア導体用開口に形成することができる。
【0022】
(9)ついで、無電解銅めっき膜52上に所定パターンのメッキレジスト54を形成する(図3(B))。
【0023】
(10)上述の(3)と同様の電解銅めっき液に浸漬する。上述の(3)と略同様の条件でメッキレジストから露出する無電解銅めっき膜上に電解銅めっき膜56を形成する(図3(C))。ビア導体用開口は電解めっき膜56で充填される。電解銅めっき膜の代わりに、電解ニッケル膜や電解半田膜を形成することができる。電解めっき膜の厚さは10〜20μmである。
【0024】
(11)メッキレジストを除去し、電解銅めっき膜間の無電解銅めっき膜52をエッチングで除去する。独立の上層の導体回路58、パッド58b、半田パッド58p、58oとフィルドビア60が形成される(図4(A))。フィルドビアや導体回路がパッド58bや半田パッド58p、58oとして機能しても良い。ついで、上層の導体回路58、パッド58b、半田パッド58p、58oとフィルドビア60の表面に粗化面を形成する(図示せず)。
【0025】
(12)次に、多層配線基板300の両面に、市販のソルダーレジスト組成物(例えば日立化成工業社製のSR7200)70を15〜35μmの厚さで塗布し(図4(B))、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行う。さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト組成物を硬化させる。ソルダーレジスト層が形成される。ソルダーレジスト層の厚みST(樹脂層の上面からソルダーレジスト層の上面までの厚み)は略15〜35μmである。図4(B)内の円C部を拡大して図8(A)中に示す。
【0026】
(13)次に、パッド58bに対応する位置に開口72Aを有するマスク72を載置する(図4(C))。マスクとしてはメタルマスクや樹脂製のマスクを用いることができる。その後、開口72Aから露出するソルダーレジスト層に砂、アルミナ、ガラスなどの研磨剤を吹き付けることでソルダーレジスト層の一部が薄くなる。パッド58b上とパッド58b間のソルダーレジスト層の厚みが薄くなる。この方法はブラスト処理である。ブラスト処理にはウエットタイプとドライタイプのブラスト処理がある。ブラスト処理として、研磨剤と水からなる処理液を基板に吹き付けるウエットタイプのブラスト処理が好ましい。ウエットブラストにより、パッド58上とパッド58b間のソルダーレジスト層が薄くなる。パッド58bの上面とパッド58bの側壁の一部がソルダーレジスト層から露出する(図5(A))。ソルダーレジスト層を除去する量は約10〜20μmが好ましい。ソルダーレジスト層から露出しているパッド58bの側壁の量はパッドの厚みの1/10〜9/10であることが好ましい。パッドの上面が露出するが、パッド58b間の層間樹脂絶縁層はソルダーレジスト層で覆われている。図5(A)内の円C部を拡大して図8(B)中に示す。ブラスト処理以外にレーザを用いてボンディングパッド58bの頂部を露出させることもできる。本実施形態では、ソルダーレジストに形成されている1つの開口70Aにより、複数のパッド58bがソルダーレジスト層から露出している。パッド58bを露出させるための開口70Aは複数であってもよい。但し、各開口70Aにより露出させられるパッド58bは少なくとも2つ以上である。図8(B)では、2つのパッド58bが1つの開口70Aから露出している。
ソルダーレジストを薄くする量は、処理液や研磨剤をソルダーレジストに吹き付けるブラスト圧力や処理時間を変更することで制御することができる。
【0027】
(14)レーザで上面側のソルダーレジスト層70に半田パッド58pに至る開口70cを形成し、下面側のソルダーレジスト層70に半田パッド58oに至る開口70dを形成する(図5(B))。開口70cと半田パッドは1:1で対応することが好ましい。半田パッドの外周はソルダーレジスト層で被覆されている。複数の導体回路や複数のビア導体の内、一部の導体回路や一部のビア導体が半田パッドとして機能してもよい。図5(B)内の円C部を拡大して図8(C)中に示す。この例はビア導体が半田パッドとして機能する例を示している。開口70Aと開口70cを有するソルダーレジスト層が得られる。層間樹脂絶縁層とソルダーレジスト層の間に上述の触媒が存在する。
【0028】
(15)開口70cによりソルダーレジスト層から露出する半田パッド58p及び開口70Aによりソルダーレジスト層から露出するパッド58b上に金属層を形成する(図5(C))。金属層は自己触媒作用により析出する無電解めっき膜を含むことが好ましい。金属層の例として、ニッケル、金、パラジウム、すずなどの無電解めっき膜を挙げることができる。具体的な金属層として、パッド58bと半田パッド58p上のニッケル層とニッケル層上の金層やパッド58bと半田パッド58p上のスズ層を挙げることができる。ニッケル層と金層の間にパラジウム層を形成することができる。図5(C)内の円C部を拡大して図8(D)中に示す。
【0029】
図8(D)に示すパッド58bを拡大して図9(A)に示す。図9(B)は、図9(A)のパッド58bの平面図である。パッド58b間のソルダーレジスト層の両端は金属層で覆われても良い。
パッド58bは、略矩形の形状であり、その幅Wbは30〜100μmである。また、隣接するパッド58b間の間隔(絶縁間隔X2)は10〜50μmである。ファインピッチと絶縁信頼性の観点からパッド間の間隔X2は15〜35μmであることが好ましい。開口70Aの外周に隣接するパッド58bと開口70Aの外周との距離(X1、図9(A)参照)は10〜40μmであることが好ましい。実施形態では、パッド58b間の絶縁間隔が10μmであっても、絶縁信頼性を確保することができる。
【0030】
(16)この後、半田パッド58p上にはんだボールを供給し、リフローすることによりはんだバンプ(はんだ体)76U、76Dをパッド上に形成する(図6)。
実施形態のプリント配線板にICやメモリー、チップコンデンサなどの電子部品を実装することができる。パッド58bにワイヤーを介してICなどの電子部品を実装することができ、半田パッド58pに半田バンプを介してICなどの電子部品を実装することができる。
【0031】
実施形態のプリント配線板及びその製造方法では、パッド58bを含む導体回路がセミアディティブ法で形成されている。パッド形成後、パッドとパッド間の層間樹脂絶縁層をソルダーレジスト層70で覆い、その後、パッドの上面がブラストやレーザで露出させられている。本実施形態では、複数のパッド58bがソルダーレジスト層に形成されている1つの開口により露出しているが、パッド58b間の層間樹脂絶縁層はソルダーレジスト層で覆われている。パッド58b上に金属層が形成されるとき、層間樹脂絶縁層上の触媒はソルダーレジスト層で覆われている。このため、金属層がパッド58b間に析出し難くなるので、パッド58b間の絶縁信頼性が高くなる。パッド58b間の絶縁間隔が50μm以下になるようにパッド58bが配置されても、隣接するパッド58b間での短絡が生じ難い。
以下にセミアディティブ法による導体回路の形成方法を例示する。樹脂層上に銅などの無電解めっき用の触媒を付与し、その後、層間樹脂絶縁層上に無電解めっき膜を形成する。続いて、無電解めっき膜上にめっきレジストを形成し、無電解めっき膜をシードとして、めっきレジストから露出する無電解めっき膜上に銅などの電解めっき膜を形成する。それから、めっきレジストを除去する。その後、電解めっき膜間の無電解めっき膜を除去する。以上の製法によれば、層間樹脂絶縁層としての樹脂層上に触媒が存在する。本実施形態では、パッド58b間のソルダーレジスト層は、層間樹脂絶縁層と層間樹脂絶縁層上の触媒を覆っている。
【0032】
本実施形態では、パッド58b間の層間樹脂絶縁層50上にソルダーレジスト層が形成されている。このため、ワイヤーボンディング後に樹脂封止する際に、ボンディングパッド間に封止樹脂が入り易く、絶縁信頼性や接続信頼性を高めることができる。
【0033】
また、パッド58b間のソルダーレジスト層がパッド58より低いので、ワイヤーボンディングの際に、ソルダーレジスト層が邪魔にならない。
【0034】
上述した実施形態では、層間樹脂絶縁層を1層設ける構成を例示したが、層間樹脂絶縁層を2層以上設ける構成のプリント配線板にも本実施形態の構成が適用可能であることは言うまでも無い。
半田パッド58p間のソルダーレジスト層もパッド58b間のソルダーレジスト層と同様に半田パッド58pの上面と半田パッドの側壁の一部を露出させても良い。その例が図10(A)に示されている。
【0035】
[実施例]
以下、図6に示すプリント配線板の製造工程について説明する。
(1)厚さ0.8mmの両面銅張積層板31を準備する(図1(A))。両面銅張積層板31の絶縁層性基板(コア基板)30はエポキシ樹脂とガラスクロス等の心材とからなり、コア基板30の第1面とその第1面とは反対側の第2面に銅箔30A、30Bが積層されている。まず、ドリルで両面銅張積層板に、スルーホール導体用貫通孔32を形成する(図1(B))。
【0036】
(2)そして、両面銅張積層板の表面、スルーホール用貫通孔32の内壁面にパラジウムからなる触媒を付与する(図示せず)。次に、市販の無電解銅めっき水溶液(例えば、上村工業社製のTHRU−CUP)中に、コア基板を浸漬して、基板表面と貫通孔の内壁に厚さ0.3〜3.0μmの無電解銅めっき膜34を形成する(図1(C))。
【0037】
(3)ついで、以下の組成の電解銅めっき液に浸漬し、以下の条件で銅張積層板の両面と貫通孔内に電解めっき膜35を形成する(図1(D))。スルーホール導体用貫通孔は電解銅めっき膜で充填される。
〔電解めっき液〕
硫酸 0.5 mol/l
硫酸銅 0.8 mol/l
硫酸鉄・七水和物 5 g/l
レベリング剤 50 mg/l
光沢剤 50 mg/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2
時間 65 分
温度 22±2 ℃
【0038】
(4)電解めっき膜35上に所定パターンのエッチングレジストを形成する。エッチングレジストから露出する電解めっき膜35、無電解めっき膜34と銅箔30A、30Bをエッチングにより除去することで、スルーホール導体36、導体回路37が形成される(図2(A))。次いで、導体回路37の全表面とスルーホール導体36の上面に粗化面を形成する(図示せず)。
【0039】
[ビルドアップ層の形成]
(5)コア基板30の両面に、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルム(味の素社製:商品名;ABF−45SH)を積層する。その後、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを硬化することでコア基板の両面に層間樹脂絶縁層50が形成される(図2(B))。
【0040】
(6)次に、CO2 ガスレーザにて、層間樹脂絶縁層に、直径80μmのビア導体用開口50aを形成する(図2(C))。ビア用開口50aを有する基板30を、60g/lの過マンガン酸を含む80℃の溶液に10分間浸漬し、ビア導体用開口50aの内壁を含む層間樹脂絶縁層50の表面に粗面を形成する(図示せず)。
【0041】
(7)次に、基板30を、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いする。さらに、層間樹脂絶縁層50の表面およびビア導体用開口50aの内壁面に触媒を付与する(図示せず)。
【0042】
(8)次に、市販の無電解銅めっき水溶液中に、基板を浸漬して、層間樹脂絶縁層の表面とビア導体用開口の内壁に厚さ0.3〜3.0μmの無電解銅めっき膜52を形成する(図3(A))。
【0043】
(9)ついで、無電解銅めっき膜52上に所定パターンのメッキレジスト54を形成する(図3(B))。
【0044】
(10)上述の(3)と同様の電解銅めっき液に浸漬する。上述の(3)と略同様の条件でメッキレジストから露出する無電解銅めっき膜上に電解銅めっき膜56を形成する(図3(C))。電解銅めっき膜の厚さは12μmである。ビア導体用開口は電解銅めっき膜56で充填される。
【0045】
(11)メッキレジストを除去し、電解銅めっき膜間の無電解めっき膜52をエッチングで除去する。独立の上層の導体回路58、ワイヤーボンディング用のパッド58b、半田パッド58p、58oとフィルドビア60が形成される(図4(A))。ついで、上層導体回路58、ワイヤーボンディング用のパッド58b、半田パッド58p、58oとフィルドビア60の表面に粗化面を形成する(図示せず)。図10(B)に導体回路が半田パッド58pとして機能する例を示す。
【0046】
(12)次に、多層配線基板300の両面に、市販のソルダーレジスト組成物(例えば日立化成工業社製のSR7200)70を約20μmの厚さで塗布し(図4(B))、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行う。さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト組成物を硬化させる。ソルダーレジスト層の厚みは20μmである。
【0047】
(13)次に、ワイヤーボンディング用のパッド58bに対応する位置に開口72Aを有するアルミからなるメタルマスク72を載置する(図4(C))。その後、開口72Aから露出するソルダーレジスト層に研磨剤と水からなる処理液を基板に吹き付けることで、10μm分のソルダーレジスト層を除去する。複数のワイヤーボンディング用のパッド58の上面とパッド58の側壁の一部がソルダーレジスト層に形成されている1つの開口によりソルダーレジスト層から露出する(図5(A))。ワイヤーボンディング用のパッド58b間のソルダーレジストの厚みは10μmであり、露出する側壁の量は2μmである。本実施例では平均砥粒径6.7μm(4.0〜20.0μm)の酸化アルミナを研磨剤に使用している。研磨剤と水を混合し、その混合液をスラリーポンプで投射ガンに送り、圧縮エアーで加圧してソルダーレジスト層に噴射する。
本実施例では、ブラスト圧力は0.2MPaであり、処理時間は15分である。
【0048】
(14)レーザでソルダーレジスト層70に半田パッド58pに至る開口70cを形成する(図5(B))。開口70cと半田パッドは1:1で対応している。
【0049】
(15)開口70cによりソルダーレジスト層から露出する半田パッド58p及び開口70Aによりソルダーレジスト層から露出するワイヤーボンディング用のパッド58b上にニッケル層と金層の順で形成する(図5(C))。本実施例のニッケル層は以下の無電解ニッケルめっき液に30分浸漬することで形成される。無電解ニッケルめっき層の厚みは略5μmである。
(無電解ニッケルめっき液)
塩化ニッケル:2.3×10-1mol/l
次亜リン酸ナトリウム:2.8×10-1mol/l
クエン酸ナトリウム:1.6×10-1mol/l
pH=4.5
本実施例の金層は以下の無電解金めっき液に5分浸漬することで形成される。金めっき層の厚みは略0.05μmである。
シアン化金カリウム:7.6×10-3mol/l
塩化アンモニウム:1.9×10-1mol/l
クエン酸ナトリウム:1.2×10-1mol/l
次亜リン酸ナトリウム:1.7×10-1mol/l
【0050】
図8(D)に示すワイヤーボンディング用のパッドを拡大して図9(A)に示す。図9(B)は、図9(A)のワイヤーボンディング用のパッドの平面図である。
ワイヤーボンディング用のパッド58baは、略矩形の形状であり、その幅Wbは65μmである。また、隣接するパッド58b間の間隔(絶縁間隔)X2は20μmである。開口70Aの外周に隣接するパッド58bと開口70Aの外周との距離(X1、図9(A)参照)は20μmである。
【0051】
(16)この後、半田パッド58p上にはんだボールを供給し、リフローすることによりはんだバンプ(はんだ体)76U、76Dをパッド上に形成する(図6)。
ワイヤーボンディング用のパッド58bにワイヤーを介してICやメモリーなどの電子部品が実装され、半田パッド58pに半田バンプを介してICなどの電子部品が実装される。
【符号の説明】
【0052】
10 プリント配線板
30 コア基板
36 スルーホール導体
37 導体回路
50 層間樹脂絶縁層
58 導体回路
58p 半田パッド
58b ボンディングパッド
60 ビア導体
70 ソルダーレジスト層
70A 凹部
70b、70c 開口
73 ニッケル膜
74 金膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層上に電子部品を実装するためのパッドを形成すること;と
前記樹脂層と前記パッド上にソルダーレジスト層を形成すること;と
前記パッドの上面と側壁の一部を前記ソルダーレジスト層から露出すること;と
前記露出されたパッドの上面と側壁の一部に金属層を形成すること;とからなるプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって:
前記パッドを形成することは、前記樹脂層上に触媒を付与することと前記樹脂層上に無電解めっき膜を形成することと前記無電解めっき膜上にめっきレジストを形成することとめっきレジストから露出する無電解めっき膜上に電解めっき膜を形成することと前記めっきレジストを除去することと前記電解めっき膜から露出する無電解めっき膜を除去することとからなる。
【請求項3】
請求項2のプリント配線板の製造方法であって:
前記触媒はパラジウムからなる。
【請求項4】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって:
前記露出することはブラストにより行われる。
【請求項5】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって:
前記露出することはレーザにより行われる。
【請求項6】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、
前記金属層はパッド上のニッケル層と該ニッケル層上の金層とからなる。
【請求項7】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、
前記金属層はパッド上のニッケル層と該ニッケル層上のパラジウム層と該パラジウム層の金層とからなる。
【請求項8】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、
前記金属層はスズ層からなる。
【請求項9】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、
前記パッドを形成することは該パッドと同時に導体回路と半田パッドを形成することを含み、前記ソルダーレジスト層を形成することは前記導体回路と前記半田パッド上にもソルダーレジスト層を形成することを含む。
【請求項10】
請求項9のプリント配線板の製造方法であって、
さらに、前記ソルダーレジスト層に前記半田パッドを露出させる開口を形成することを有し、前記金属層を形成することは前記開口により露出する前記半田パッドに前記金属層を形成することを含む。
【請求項11】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、前記パッドはワイヤーボンディング用のパッドからなる。
【請求項12】
請求項10のプリント配線板の製造方法であって、
さらに、前記半田パッド上に半田バンプを形成することを有し、前記半田パッドは電子部品をフリップチップ実装するためのパッドである。
【請求項13】
請求項10のプリント配線板の製造方法であって、
前記ソルダーレジストは半田パッドの外周を被覆している。
【請求項14】
樹脂層と、
前記樹脂層上に形成されている電子部品を実装するための複数のパッドと、
前記樹脂層上に形成され、前記パッドの上面と側壁の一部を露出しているソルダーレジスト層と、
前記ソルダーレジスト層から露出しているパッドの上面と側壁に形成されている金属層とからなるプリント配線板。
【請求項15】
請求項14のプリント配線板であって、ソルダーレジスト層から露出しているパッドの側壁はパッドの上面から延びている部分であり、前記ソルダーレジスト層は前記パッド間に形成されていて、前記パッド間のソルダーレジスト層の厚みは前記パッドの厚みより薄い。
【請求項16】
請求項15のプリント配線板であって、さらに、前記樹脂絶縁層上に形成されている半田パッドと導体回路とを有し、前記ソルダーレジスト層は前記半田パッドの外周を被覆すると共に前記半田パッドの上面を露出する開口を有し、前記パッド間に形成されているソルダーレジスト層の厚みは前記半田パッド間のソルダーレジスト層の厚みより薄い。
【請求項17】
請求項16のプリント配線板であって、前記金属層はパッドと半田パッド上のニッケル層とニッケル層上の金層とからなる。
【請求項18】
請求項16のプリント配線板であって、前記金属層はパッドと半田パッド上のニッケル層とニッケル層上のパラジウム層とパラジウム層の金層とからなる。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−129903(P2011−129903A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269013(P2010−269013)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】