説明

内視鏡装置

【課題】視認性の確保が可能な表示形式で複数種類の観察画像での観察対象の観察を可能とする。
【解決手段】スイッチ検知回路70は、切替スイッチ17、18のスイッチ操作を検知し、検知信号を画像処理回路64に伝送する。画像処理回路64は、この検知信号に基づき、モニタ6における観察画像及び文字情報からなる合成画像の表示形式を切り替える処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察対象を複数種類の観察画像で観察する内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡等により生体からの自家蛍光や、生体へ薬物を注入し、その薬物の蛍光を2次元画像として検出し、その蛍光像から、生体組織の変性や癌等の疾患状態(例えば、疾患の種類や浸潤範囲)を診断する技術がある。
【0003】
生体組織に光を照射するとその励起光より長い波長の蛍光が発生する。生体における蛍光物質として、例えばNADH(ニコチンアミドアデニンヌクレオチド),FMN(フラビンモノヌクレオチド),ピリジンヌクレオチド等がある。最近では、このような、生体内因物質と、疾患との相互関係が明確になってきた。また、HpD(ヘマトポルフィリン),Photofrin,ALA(δ−amino levulinic acid)は、癌への集積性があり、これを生体内に注入し、前記物質の蛍光を観察することで疾患部位を診断できる。
【0004】
例えば、特開2002−345739号公報には、蛍光内視鏡装置において、通常光観察画像と蛍光観察画像とをそれぞれ、メインウインドウとサブウインドウに割り当てて、モニタ上に表示し、ボタン操作によりメインウインドウとサブウインドウへの割り当てを切り替えるための切替手段を特徴とする画像表示装置が提案されている。
【特許文献1】特開2002−345739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、通常光観察画像と蛍光観察画像のような2種類の観察画像を同一フレームで撮像できる内視鏡において、双方の観察画像を1つのモニタに同時に表示する場合、一方の観察画像を表示する場合と比較して、画像サイズが小さくなるために視認性が低下するといった問題が生じる。
【0006】
この問題に対して、上記特開2002−345739号公報では、2つの観察画像の内の一方をメインウインドウに表示し、他方をサブウインドウに表示し、スイッチ操作によりメインウインドウとサブウインドウの画像を入れ替えることのできる構成が開示されているが、この場合、サブウインドウに表示される観察画像が視認性が悪いため、両方の画像を比較することが難しいといった問題がある。
【0007】
また、モニタ上で観察画像と文字情報を同時に表示させる場合、文字情報を表示させるためのスペースの確保が必要となり、観察画像の表示サイズが制限されるという問題がある。
【0008】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、視認性の確保が可能な表示形式で複数種類の観察画像での観察対象の観察を可能とすることのできる内視鏡装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の内視鏡装置は、
可視光を含む波長帯域及び前記波長帯域とは異なる波長帯域を持つ、少なくとも2種類の照明光を照射する照明手段と、
前記照明光を伝送し観察対象に照射する照明伝送手段と、
前記照明光を前記観察対象に照射することにより得られる光を撮像する少なくとも1つの撮像手段と、
前記撮像手段によって得られる少なくとも2種類の観察画像と、複数の文字列情報からなる文字情報とからなる合成画像を生成する画像処理手段と、
前記合成画像における画像構成を制御する画像構成制御手段と、
前記画像構成制御手段に前記画像構成の切替を指示する切替指示手段と
を備えて構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、視認性の確保が可能な表示形式で複数種類の観察画像での観察対象の観察を可能とすることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について述べる。
【実施例1】
【0012】
図1ないし図20は本発明の実施例1に係わり、図1は内視鏡装置の構成を示す構成図、図2は図1の回転フィルタの構成を示す構成図、図3は図1の撮像ユニットの構成を示す構成図、図4は図1の画像演算ユニットの構成を示す構成図、図5は図4の画像処理回路が生成する合成画像の第1の表示形式を示す図、図6は図4の画像処理回路が生成する合成画像の第2の表示形式を示す図、図7は図4の画像処理回路が生成する合成画像の第3の表示形式を示す図、図8は図1の回転フィルタによる照明光の照射タイミングを示す図、図9は図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第1の変形例を説明する第1の図、図10は図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第1の変形例を説明する第2の図、図11は図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第2の変形例を説明する第1の図、図12は図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第2の変形例を説明する第2の図、図13は図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第3の変形例を説明する第1の図、図14は図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第3の変形例を説明する第2の図、図15は図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第4の変形例を説明する第1の図、図16は図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第4の変形例を説明する第2の図、図17は図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第4の変形例を説明する第3の図、図18は図1の回転フィルタの第1の変形例による照明光の照射タイミングを示す図、図19は図1の回転フィルタの第2の変形例による照明光の照射タイミングを示す図、図20は図1の回転フィルタの第3の変形例による照明光の照射タイミングを示す図である。
【0013】
(構成)
図1に示すように、本実施例の内視鏡装置1は、観察対象2を撮像する電子内視鏡3と、電子内視鏡3に照明光を供給する照明手段としての光源装置4と、電子内視鏡3で撮像された撮像信号を信号処理しモニタ6に内視鏡画像を表示する画像データ処理装置5とを備えて構成されている。
【0014】
光源装置4では、照明光源7が発光した照明光を回転フィルタ8を介することで、RGB光と観察対象2内の組織での蛍光を励起させる励起光とからなる面順次光を電子内視鏡2を内挿する照明伝送手段としてのライトガイド9の入射面に照射する。また、回転フィルタ8は、照明光源7の光路上に配置され、回転モータ10により回転駆動されるようになっている。
【0015】
回転フィルタ8は、図2に示すように、透過特性の異なる複数のバンドパスフィルタを同心円上の配置したフィルタ群であり、具体的には、例えば、それぞれ異なる波長帯域を有する、3種類の可視光R,G,Bを透過するフィルタ部8r,8g,8bと、蛍光を励起するための励起光Exを透過するフィルタ部8exとを備えて構成される。
【0016】
図1に戻り、電子内視鏡3では、体腔内に挿入される挿入部11の内部にライトガイド9を配設しており、ライトガイド9の入射面に照射した面順次光を挿入部11の先端に伝送し、照明光学系12を介して面順次光を照明光13として観察対象2に照射する。観察対象2からの戻り光14は挿入部11の先端内部に設けられている撮像手段としての撮像ユニット15で光電変換されて撮像され、撮像信号として画像データ処理装置5に出力される。
【0017】
撮像ユニット15は、図3に示すように、面順次の可視光R,G,Bの照明よる通常光観察画像を得るための撮像素子15aと、面順次の励起光により励起された蛍光よる蛍光観察画像を得るための高感度撮像素子15bより構成され、高感度撮像素子15bの撮像面の前面には励起光をカットするための励起光カットフィルタ15cが配置されている。
【0018】
再び、図1に戻り、画像データ処理装置5では、撮像ユニット15からの撮像信号を信号処理して、通常光観察画像及び蛍光観察画像を生成しモニタ6に表示する画像演算ユニット16が設けられている。この画像演算ユニット16の詳細な構成は後述する。
【0019】
電子内視鏡3の挿入部11の基端部及び画像データ処理装置5には、モニタ6における表示形式を切り替える切替スイッチ17、18がそれぞれ設けられている。
【0020】
画像演算ユニット16は、図4に示すように、撮像素子15aを駆動する撮像素子ドライバ51と、高感度撮像素子15bを駆動する撮像素子ドライバ52と、撮像素子15aからの撮像信号のノイズ除去等の処理を行うプリプロセス回路53と、高感度撮像素子15bからの撮像信号のノイズ除去等の処理を行うプリプロセス回路54と、プリプロセス回路53を介した信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ55と、プリプロセス回路54を介した信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ56と、A/Dコンバータ55からのデジタル信号に対してカラーバランス補正を行うカラーバランス補正回路57と、、A/Dコンバータ56からのデジタル信号に対してカラーバランス補正を行うカラーバランス補正回路58と、カラーバランス補正回路57及びカラーバランス補正回路58からの入力を選択的に出力するセレクタ59とを有している。また、これらの回路部51〜59の動作は、タイミングジェネレータ68からのタイミング信号により同期が図られている。
【0021】
画像演算ユニット16は、上記回路部51〜59及びタイミングジェネレータ68の他に、Rメモリ60、Gメモリ61、Bメモリ62、Sメモリ63、画像構成制御手段としての画像処理回路64、D/Aコンバータ65〜67、調光回路69及び切替指示手段としてのスイッチ検知回路70を有している。
【0022】
Rメモリ60はセレクタ59を介してR光によるデジタル信号を格納し、Gメモリ61はセレクタ59を介してG光によるデジタル信号を格納し、Bメモリ62はセレクタ59を介してB光によるデジタル信号を格納し、さらにSメモリ62はセレクタ59を介して蛍光によるデジタル信号を格納し、それぞれの画像のデジタル信号の同時化処理を実行する。
【0023】
画像処理回路64は、上記4つのメモリ60〜63で同時化されたデジタル信号に対して所定の演算を施し、通常光観察画像と蛍光観察画像の2種類の観察画像と文字情報を生成し、後述する表示形式の合成画像を生成する。また、D/Aコンバータ65〜67は、画像処理回路64で演算処理され、生成された合成画像のデジタル信号をアナログ信号に変換してモニタ10に出力する。
【0024】
調光回路69は、A/Dコンバータ55、56からのデジタル信号に基づき調光信号を生成し、光源装置4の照明光源7に出力する。また、スイッチ検知回路70は、電子内視鏡3の挿入部11の基端部及び画像データ処理装置5に設けられた、モニタ6における表示形式を切り替える切替スイッチ17、18の操作を検知し、検知情報を画像処理回路64に出力する。そして、画像処理回路64では、この検知情報に基づき、生成する合成画像の構成を切り換えて、該合成画像を生成するようになっている。
【0025】
ここで、モニタ10における観察画像と文字情報の表示に関して、切替可能な3つの表示形式の合成画像ついて説明する。なお、モニタ10における表示形式とは、モニタ10に表示される観察画像のサイズと配置、及び文字情報の配置と文字数を指す。
【0026】
図5ないし図7は、モニタ10における観察画像と文字情報からなる合成画像の表示形式を示した模式図である。観察画像は、通常光観察画像110と蛍光観察画像111の2つの異なる観察画像からなる。また、文字情報は、患者ID情報101、患者名情報102、性別情報103、年齢情報104、生年月日情報105、検査日情報106、記録装置情報107、画質情報108、ユーザコメント情報109とからなる。ここで、記録装置情報107とは、本実施例の内視鏡装置1と組み合わせて使用可能な記録装置に関する情報、画質情報108とは画像データ処理装置5における画像処理方法の設定に関する情報をいう。
【0027】
モニタ6に表示される第1の表示形式の合成画像100aでは、図5に示すように、観察画像として通常光観察画像110が構成され、文字情報は、患者ID情報101、患者名情報102、性別情報103、年齢情報104、生年月日情報105、検査日情報106、記録装置情報107、画質情報108、ユーザコメント情報109とからなる。なお、観察画像と文字情報は互いに重ならない位置に配置される。
【0028】
モニタ6に表示される第2の表示形式の合成画像100bでは、図6に示すように、観察画像として蛍光観察画像111が構成され、文字情報は、患者ID情報101、患者名情報102、性別情報103、年齢情報104、生年月日情報105、検査日情報106、記録装置情報107、画質情報108、ユーザコメント情報109とからなり、第1の表示形式と同様に、観察画像と文字情報は互いに重ならない位置に配置される。
【0029】
モニタ6に表示される第3の表示形式の合成画像100cでは、図7に示すように、観察画像として2つの異なる観察画像である、通常光観察画像110及び蛍光観察画像111が構成され、2つの観察画像110、111は互いに同一サイズを有する。また、文字情報は、この2つの観察画像110、111の上部に配置され、患者ID情報101、患者名情報102、性別情報103、年齢情報104、生年月日情報105、検査日情報106とからなり、第1及び第2の表示形式と同様に、2つの観察画像と文字情報は互いに重ならない位置に配置される。
【0030】
(作用)
このように構成された本実施例の内視鏡装置1の作用について説明する。
【0031】
光源装置4の照明光源7から発光された光は、光路上に設けられた回転フィルタ8の各フィルタ部8r,8g,8b、8ex(図2参照)を透過し、フィルタ部8r,8g,8b、8exのフィルタ特性に対応した波長帯域の光がライトガイド9を通して観察対象2照射される。
【0032】
回転フィルタ8は、回転モータ10により回転駆動され、照明光の光路上に位置するフィルタ部8r,8g,8b、8exを順次入れ替えることで、RGB光、励起光Exが観察対象2に、図8に示すような照射タイミングで順次照射される。
【0033】
このとき、画像演算ユニット16に設けられたタイミングジェネレータ68は、回転モータ10からの同期信号を受けて、撮像素子15a、高感度撮像素子15bを駆動するための撮像素子ドライバ51、52の駆動タイミングを制御する。
【0034】
この撮像素子ドライバ51、52により撮像素子15a、高感度撮像素子15bは、図8に示した照射タイミングに同期して駆動される。そして、撮像素子15aは、RGB光による観察画像を撮像し、高感度撮像素子15bは、励起光Exにより励起された蛍光画像を撮像する。
【0035】
画像演算ユニット16は、撮像素子15a、高感度撮像素子15bからの画像データをA/Dコンバータ55、56を用いてデジタル信号に変換し、カラーバランス補正回路57、58でゲイン調整した後、セレクタ59を介して、R光による画像データをRメモリ60に、G光による画像データをGメモリ61に、B光による画像データをBメモリ62に、蛍光による画像データをSメモリ63に格納する。
【0036】
その後、画像処理回路64にて、Rメモリ60、Gメモリ61、Bメモリ62、Sメモリ63から読み出した画像データに基づき、通常光観察画像及び蛍光観察画像という2つの観察画像を生成する。
【0037】
また、画像処理回路64では、文字情報が生成され、該文字情報を観察画像に付加した後の最終的な合成画像の画像データとしてD/Aコンバータ65〜67に出力する。D/Aコンバータ65〜67では、デジタル信号の合成画像の画像データをアナログ信号に変換し、モニタ6に出力することで、モニタ6上に観察画像及び文字情報からなる合成画像を表示する。
【0038】
スイッチ検知回路70は、切替スイッチ17、18のスイッチ操作を検知し、検知信号を画像処理回路64に伝送する。画像処理回路64は、この検知信号に基づき、モニタ6における観察画像及び文字情報からなる合成画像の表示形式を切り替える処理を実行する。
【0039】
このとき、モニタ6における観察画像及び文字情報からなる合成画像の表示形式は、切替スイッチ17、18が操作されることにより、図5ないし図7に示した構成の表示形式の間で(例えば、図5→図6→図7→図5→…というように)順番に切り替わる。
【0040】
(効果)
このように本実施例では、内視鏡装置1の操作者が切替スイッチ17、18を操作することにより、2種類の観察画像と文字情報を好みの表示形式でモニタ6に表示させることができる。
【0041】
また、図5及び図6のように1種類の観察画像を表示する場合と比較して、2つの観察画像を同時に表示する形式では、1つの観察画像当たりの表示サイズが小さくなる虞れがあるが、本実施例では、図7に示すように、文字情報の内、記録装置情報107、画質情報108、ユーザコメント情報109の表示を省略することで、通常光観察画像110、蛍光観察画像111の表示サイズを極力大きく確保しているため、2つの観察画像を比較することが容易に行える。このとき、2つの観察画像は同一サイズで表示されるため、操作者はモニタ6に表示された2種類の観察画像を同等の視認性で観察することができる。
【0042】
(変形例)
画像処理回路64が生成する合成画像の表示形式は、図5ないし図7に示した表示形式に限らず、以下の表示形式としても良い。
【0043】
表示形式の変形例1:
画像処理回路64が生成する合成画像の表示形式の変形例1を、図9及び図10に示す。
【0044】
図9に示す表示形式は図5に示した第1の表示形式の変形例であり、この合成画像100dでは、通常光観察画像110からなるメイン画像が図5における通常光観察画像110と同一のサイズで構成され、文字情報の内、記録装置情報107、画質情報108、ユーザコメント情報109の表示を省略することで、蛍光観察画像111からなるサブ画像を表示する領域を確保している。
【0045】
また、図10に示す表示形式も同様で、図6に示した第2の表示形式の変形例であり、この合成画像100eでは、蛍光観察画像111からなるメイン画像が図6における蛍光観察画像111と同一のサイズで構成され、文字情報の内、記録装置情報107、画質情報108、ユーザコメント情報109の表示を省略することで、通常光観察画像110からなるサブ画像を表示する表示領域を確保している。
【0046】
なお、メイン画像は各図における大きいサイズの観察画像を指し、サブ画像は小さいサイズの観察画像を指す。
【0047】
表示形式の変形例2:
画像処理回路64が生成する合成画像の表示形式の変形例2を、図11及び図12に示す(合成画像100f,100g)。
【0048】
表示形式の変形例2は、変形例1の表示形式とほぼ同じであるが、変形例1の表示形式である図9及び図10と比較して、メイン画像がより小さなサイズで構成され、サブ画像ががより大きなサイズで構成されている。また、文字情報の一部は、メイン画像とサブ画像のサイズ変更に伴ってできたモニタ6上部の表示領域に配置される。
【0049】
この変形例2の表示形式では、小サイズで表示される観察画像の視認性を向上させることができ、図9及び図10で示した変形例1の表示形式よりも2つの観察画像を比較し易いという効果がある。
【0050】
表示形式の変形例3:
画像処理回路64が生成する合成画像の表示形式の変形例3を、図13及び図14に示す(合成画像100h,100i)。
【0051】
表示形式の変形例3は、2種類の観察画像をモニタ6の対角線方向に並べた構成であり、互いに同一サイズを有する。文字情報は、患者ID情報101、患者名情報102、性別情報103、年齢情報104、生年月日情報105、検査日情報106からなり、2つの観察画像の左右の領域に配置される。
【0052】
表示形式の変形例4:
画像処理回路64が生成する合成画像の表示形式の変形例4を、図15及び図16に示す(合成画像100j,100k)。
【0053】
表示形式の変形例4は、2種類の観察画像の一部を重ねて表示し、かつそれぞれの観察画像の中心がモニタ6の対角線上に位置するように配置された構成となっている。また、本表示形式は、本実施例における内視鏡装置1の操作者がメインに観察を行う画像が上になるように重ねることを特徴とし、対角線方向への配置により下に重ねられる観察画像のうち観察情報としての重要性が低い画像周辺部分のみを重ねることで、必要な観察情報の損失を少なく抑えられるという特徴がある。ここで、対角線方向に配置するとは、図17に示すように、モニタ6を上下左右に4等分した領域において、2つの観察画像と重なりあう部分の面積が大きい領域が対角線方向に位置するような配置を示す。
【0054】
なお、回転フィルタ8の構成は、図2に限らず、以下にその変形例を説明する。
【0055】
回転フィルタの変形例1:
回転フィルタの変形例1は、本実施例における励起光を紫外光とし、回転フィルタ8に備えられる励起光フィルタが紫外域の光を透過するような光学特性を持たせた構成とする。このとき、撮像ユニット15は、高感度撮像素子15bのみで構成され、高感度撮像素子15bの撮像面の前面には紫外域の励起光をカットするための励起光カットフィルタ15cが配置されている。観察対象2から得られるRGB光及び蛍光による観察画像は高感度撮像素子15bによって撮像される。図18は、この変形例における照明光の照射タイミングを示し、UVは紫外光を示す。
【0056】
回転フィルタの変形例2:
回転フィルタの変形例2は、本実施例における回転フィルタ8が有するバンドパスフィルタの内、励起光フィルタの代りに赤外光を透過するフィルタを備えた構成である。観察対象2には図19に示すようなタイミングで照明光が照射され、RGB光及び赤外光の照射によって得られる観察画像は撮像素子15aによって撮像される。なお、図19におけるIRは赤外光を示す。
【0057】
回転フィルタの変形例3:
回転フィルタの変形例2は、RGB光及びRGB光を狭帯域化した可視光を透過するフィルタを備えた構成とする。このとき、観察対象2には図20に示すようなタイミングで照明光が照射され、通常帯域のRGB光によって得られる観察画像及び狭帯域のRGB光によって得られる観察画像は撮像素子15aによって撮像される。なお、図20におけるNR,NG.NBはそれぞれRGB光を狭帯域化した光を示す。
【実施例2】
【0058】
図21ないし図23は本発明の実施例2に係わり、図21は撮像ユニットの構成を示す図、図22は図21のモザイクフィルタの構成を示す図、図23は図21の撮像ユニットからの撮像信号を信号処理する画像演算ユニットの構成を示す図である。
【0059】
実施例2は、実施例1とほとんど同じであるので、異なる点のみ説明し、同一の構成には同じ符号をつけ説明は省略する。
【0060】
(構成)
図21に示すように、電子内視鏡3の挿入部11の先端内に設けられている撮像ユニット15には1つの撮像素子15dが備えられ、撮像素子15dの前面には、図22に示すようなモザイクフィルタ15eと、励起光をカットするための励起光カットフィルタ15cが備えられている。
【0061】
モザイクフィルタ15eは、図22に示すように、4種類のモザイク上の微小フィルタ21〜24で構成され、微小フィルタ21〜24はそれぞれ異なる波長透過特性をもつ4種類のバンドパスフィルタからなり、それぞれ実施例1におけるR,,G,B光、及び蛍光を透過するフィルタの波長透過特性で構成される。
【0062】
本実施例における画像演算ユニット16aは、図23に示すように、実施例1の画像演算ユニット16の構成を酷似した構成となっているが、実施例1と異なり、デジタル信号をモザイクフィルタ15eの微小フィルタ21〜24の各波長に対応した観察画像に分離するための分離回路80が備えられ、分離されたデジタル信号がセレクタ59によってRメモリ60、Gメモリ61、Bメモリ62、Sメモリ63に格納されるようになっている。なお、実施例1におけるタイミングジェネレータ68は有していない。
【0063】
また、図示はしないが、本実施例では、照明光源7の前面には、実施例1における回転フィルタ8及び回転モータ10の代りに、可視光及び励起光の波長帯域を透過するバンドパスフィルタが備えられている。
【0064】
なお、モニタ6における合成画像の表示形式は、変形例を含め実施例1と同じである。
【0065】
(作用)
実施例2においては、照明光源7が発光した光は、照明光源7の前面に設けられた図示しないバンドパスフィルタを透過することで、白色の可視光及び励起光がライトガイド9を通して観察対象2に照射される。観察対象2から得られる光は、撮像素子15dの前面にも設けられた励起光カットフィルタ15cにより励起光の波長帯域がカットされ、撮像素子15dの各画素ではモザイクフィルタ15eの透過特性に応じた波長の光が受光される。
【0066】
撮像素子15dで撮像された撮像信号は、画像演算ユニット16のA/Dコンバータ55でデジタル信号に変換された後、色分離回路80で各波長に対応した画像データに分離される。また、分離された各画像データはセレクタ59を介して4つのメモリ、Rメモリ60、Gメモリ61、Bメモリ62、Sメモリ63で同時化されて、画像処理回路64に伝送される。
【0067】
(効果)
本実施例においても、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【0068】
(変形例)
なお、実施例2におけるモザイクフィルタを以下のように構成することもできる。
【0069】
モザイクフィルタの変形例1:
モザイクフィルタをR光、G光、B光及び赤外光を透過する4種類の微小フィルタで構成してもよい。このとき照明光源7の前面には白色の可視光及び赤外光を透過するフィルタが設けられる。
【0070】
モザイクフィルタの変形例2:
モザイクフィルタをR光、G光、B光、NR光、NG光、NB光を透過する8種類の微小フィルタで構成してもよい。このとき照明光源7の前面には白色の可視光透過するフィルタが設けられる。
【0071】
本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施例1に係る内視鏡装置の構成を示す構成図
【図2】図1の回転フィルタの構成を示す構成図
【図3】図1の撮像ユニットの構成を示す構成図
【図4】図1の画像演算ユニットの構成を示す構成図
【図5】図4の画像処理回路が生成する合成画像の第1の表示形式を示す図
【図6】図4の画像処理回路が生成する合成画像の第2の表示形式を示す図
【図7】図4の画像処理回路が生成する合成画像の第3の表示形式を示す図
【図8】図1の回転フィルタによる照明光の照射タイミングを示す図
【図9】図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第1の変形例を説明する第1の図
【図10】図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第1の変形例を説明する第2の図
【図11】図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第2の変形例を説明する第1の図
【図12】図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第2の変形例を説明する第2の図
【図13】図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第3の変形例を説明する第1の図
【図14】図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第3の変形例を説明する第2の図
【図15】図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第4の変形例を説明する第1の図
【図16】図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第4の変形例を説明する第2の図
【図17】図4の画像処理回路が生成する合成画像の表示形式の第4の変形例を説明する第3の図
【図18】図1の回転フィルタの第1の変形例による照明光の照射タイミングを示す図
【図19】図1の回転フィルタの第2の変形例による照明光の照射タイミングを示す図
【図20】図1の回転フィルタの第3の変形例による照明光の照射タイミングを示す図
【図21】発明の実施例2に係る撮像ユニットの構成を示す図
【図22】図21のモザイクフィルタの構成を示す図
【図23】図21の撮像ユニットからの撮像信号を信号処理する画像演算ユニットの構成を示す図
【符号の説明】
【0073】
1…内視鏡装置
3…電子内視鏡
4…光源装置
5…画像データ処理装置
6…モニタ
7…照明光源
8…回転フィルタ
15…撮像ユニット
16…画像演算ユニット
17、18…切替スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光を含む波長帯域及び前記波長帯域とは異なる波長帯域を持つ、少なくとも2種類の照明光を照射する照明手段と、
前記照明光を伝送し観察対象に照射する照明伝送手段と、
前記照明光を前記観察対象に照射することにより得られる光を撮像する少なくとも1つの撮像手段と、
前記撮像手段によって得られる少なくとも2種類の観察画像と、複数の文字列情報からなる文字情報とからなる合成画像を生成する画像処理手段と、
前記合成画像における画像構成を制御する画像構成制御手段と、
前記画像構成制御手段に前記画像構成の切替を指示する切替指示手段と
を備えたことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記画像構成制御手段は、
前記2種類の観察画像のうちの一方の観察画像及び前記文字情報からなる第1の表示形式の第1の合成画像と、前記2種類の観察画像の両方の観察画像及び前記文字情報からなる第2の表示形式の第2の合成画像とを生成すると共に、
前記切替指示手段からの切替指示に基づき、前記第1の合成画像と前記第2の合成画像とを切り換えて表示手段に出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記画像構成制御手段は、
前記2種類の観察画像のうちの一方の観察画像を主画像とし、他方を従画像とした前記合成画像を生成し、
前記合成画像における、前記主画像の画像サイズと前記従画像の画像サイズと、前記文字情報の前記複数の文字列情報の配置位置及びサイズを調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記画像構成制御手段は、
前記2種類の観察画像が互いに重ならない位置に配置した第1の合成画像と、
前記2種類の観察画像の少なくとも一部が重なり、前記合成画像の全領域を4等分した配置領域の対角線方向に前記2種類の観察画像が互いに重なりあう領域に配置した第2の合成画像と
を生成すると共に、
前記切替指示手段からの切替指示に基づき、前記第1の合成画像と前記第2の合成画像とを切り換えて表示手段に出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−111359(P2007−111359A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307622(P2005−307622)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】