説明

内視鏡装置

【課題】 病変部を正しく判別するとともに、見つけた病変部の位置を正確に特定することができる内視鏡装置を提供する。
【解決手段】 被検体の管腔内に一方の端部が挿入される挿入部3と、管腔における内周面を、略円状または略円環状の内周面画像として撮像する撮像部9と、少なくとも内周面画像における一方の端部からの距離が等しい内周面に係る略円環状の画像を、略直線状または略帯状の画像に変換処理する変換処理部33と、被検体に対する挿入部3の移動距離を測定する距離測定部11と、距離測定部11により測定された移動距離に基づいて、変換処理された画像を繋ぎ合わせる画像合成部35と、が設けられたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、内視鏡としては、挿入部の中心軸線方向を観察できる直視型内視鏡と、挿入部の円周方向を観察できる側視型内視鏡とが知られている。
側視型内視鏡においては、挿入部の中心軸線に沿って、先端部にまで導かれた光を円周方向に曲げて出射させるとともに、円周方向から入射した反射光を挿入部の中心軸線方向に曲げる様々な構成が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特公昭62−3405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、側視型内視鏡によって得られた略円状または略円環状の側視画像は、画像処理を施すことなく、略円状または略円環状の画像をそのままを観察するのみだった。そのため、例えば、人間の小腸や大腸を検査した場合において、検査の結果、見つけた病変部の位置を正確に特定することが困難であった。特に、挿入部の径が細い側視型内視鏡の場合には、被観察体(小腸や大腸などの内面)の形状に対して得られる略円状または略円環状の側視画像の変形が大きいため、側視画像から見つけた病変部の位置の特定が困難になっていた。
【0004】
一方、近年において、癌等の疾患部へ集積するとともに、励起光により蛍光を発する薬剤を用いて生体組織の癌等の疾患状態を診断する技術が開発されている。つまり、悪性腫瘍には、良性腫瘍よりも多くの薬剤が集積される。そのため、悪性腫瘍は良性腫瘍よりも強い蛍光を発することとなり、良性腫瘍と区別することができる。
しかしながら、直視型内視鏡を用いて上記技術を使用した場合、一定条件の下では、悪性腫瘍と良性腫瘍との判別が困難になるという問題があった。つまり、内視鏡に対して、良性腫瘍が近くに存在し、悪性腫瘍が遠くに存在する場合には、良性腫瘍から発せられる蛍光が強く、悪性腫瘍から発せられる蛍光が弱く観察されることがある。かかる場合には、良性腫瘍を悪性腫瘍と誤って判別し、悪性腫瘍を良性腫瘍と誤って判別する恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、病変部を正しく判別するとともに、見つけた病変部の位置を正確に特定することができる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明は、被検体の管腔内に一方の端部が挿入される挿入部と、前記管腔における内周面を、略円状または略円環状の内周面画像として撮像する撮像部と、少なくとも前記内周面画像における前記一方の端部からの距離が等しい前記内周面に係る略円環状の画像を、略直線状または略帯状の画像に変換処理する変換処理部と、前記被検体に対する前記挿入部の移動距離を測定する距離測定部と、該距離測定部により測定された移動距離に基づいて、前記変換処理された画像を繋ぎ合わせる画像合成部と、が設けられた内視鏡装置を提供する。
【0007】
本発明によれば、撮像部と、変換処理部と、画像合成部とが設けられているため、被検体の管腔における内周面に存在する病変部等を正しく判別することができる。
ここで、撮像部は、管腔における内周面を円状または円環状の内周面画像として撮像することができる。つまり、撮像部は、上記内周面の全周を一度に撮像することができる。変換処理部は、少なくとも、内周面画像における一方の端部からの距離が等しい内周面に係る円環状の画像を、略直線状または略帯状の画像に変換処理することができる。なお、変換処理部における上記変換処理には、画像の反転や、画像の一部の引き伸ばし又は圧縮などの補正が含まれていてもよい。一方の端部からの距離が等しい内周面に係る円環状の画像としては、例えば、内周面画像の中心から略同一半径の円環状の画像などを挙げることができる。画像合成部は、上記変換処理された画像を繋ぎ合わせることができる。つまり、画像合成部は、管腔における内周面の展開画像を合成することができる。
したがって、画像合成部から得られた画像は、挿入部の一方の端部からの距離が等しい内周面に係る画像に基づく画像となる。その結果、内周面から発せられる光の強度を相対的に評価することができるため、病変部等を正しく判別することができる。具体的には、病変部に集積するとともに、励起光により蛍光を発する薬剤を用いて病変部の判別を行う場合、内周面から発せられる蛍光の強度を相対的に評価して病変部を判別する。そのため、画像合成部から得られた画像を用いることにより、病変部等を正しく判別することができる。また、画像合成部から得られた画像は管腔における内周面の展開画像であるため、円状または円環状の画像と比較して画像の変形が小さくなり、病変部等が判別しやすくなる。
また、距離測定部と、画像合成部とが設けられているため、見つけた病変部の位置を正確に特定することができる。
距離測定部は、被検体に対する挿入部の移動距離を測定するとともに、測定した距離情報を画像合成部に出力している。画像合成部は、測定された挿入部の移動距離に基づいて上記変換された画像を繋ぎ合わせることができる。つまり、上記内周面における病変部などの相対位置関係と、画像合成部により得られた画像における病変部などの相対位置関係とを略一致させることができる。その結果、見つけた病変部の位置を正確に特定することができる。
また、画像合成部は、挿入部の移動距離に基づいて上記変換された画像を繋ぎ合わせることにより、病変部の近傍領域においては切れ目のない連続した展開画像を生成することができる一方、それ以外の領域では間引いた展開画像を生成することができる。
【0008】
上記発明においては、前記挿入部の一方の端部には、前記挿入部の側面から前記挿入部に入射する光を前記撮像部に向けて反射する反射部が設けられ、前記撮像部が、前記反射部により反射された光による像を撮像することとしてもよい。
【0009】
本発明によれば、反射部が設けられたことにより、管腔における内周面に存在する病変部等を正しく判別することができる。
反射部は、上記内周面から発せられた光のうち、挿入部の側面から挿入部に入射する光を撮像部に向けて反射することができる。挿入部の側面から入射する光は、一方の端部から入射する光と比較して、内周面との間の距離を一定に保ちやすい。そのため、内周面から発せられる光の強度を相対的に評価することができ、病変部等を正しく判別することができる。
また、反射部を用いることにより、内周面から上記管腔の中心に向けて発せられた光を撮像部に入射させることができる。そのため、管腔の内周面に凹凸が存在している場合でも、撮像部により凹凸の底まで撮像することができ、病変部等を見逃すことなく正しく判別することができる。
【0010】
上記発明においては、前記挿入部の一方の端部には、広角光学系が設けられ、前記撮像部が、前記広角光学系を介して前記内周面を撮像することとしてもよい。
【0011】
本発明によれば、広角光学系が設けられ、撮像部が広角光学系を介して内周面を撮像するため、管腔における内周面に存在する病変部等を正しく判別することができる。
広角光学系は、内周面から上記管腔の中心に向けて発せられた光を撮像部に入射させることができる。そのため、管腔の内周面に凹凸が存在している場合でも、凹凸の底まで撮像部により撮像することができ、病変部等を見逃すことなく正しく判別することができる。
【0012】
上記発明においては、前記挿入部には、前記内周面から発せられた光を前記挿入部の他方の端部に導くイメージガイドファイバが設けられ、前記撮像部は、前記イメージガイドファイバから出射された光による像を撮像することとしてもよい。
【0013】
本発明によれば、イメージガイドファイバが設けられ、撮像部はイメージガイドファイバから出射された光による像を撮像するため、挿入部の径を細くすることができる。
イメージガイドファイバは、内周面から発せられた光を挿入部の他方の端部に導き、撮像部に向けて当該光を出射させることができる。撮像部は、イメージガイドファイバから出射された光による像を撮像することができる。そのため、挿入部の一方の端部に撮像部を設ける内視鏡装置と比較して、挿入部にイメージガイドファイバを設ける内視鏡装置は、挿入部の径を細くすることができる。
【0014】
上記発明においては、前記撮像部は、前記挿入部の一方の端部に配置され、前記挿入部には、前記撮像部から出力される画像データを前記変換処理部に導く信号線が設けられていることとしてもよい。
【0015】
本発明によれば、撮像部は挿入部の一方の端部に配置され、撮像部から出力される画像データを変換処理部に導く信号線が設けられているため、画像の解像度を高くすることができる。
撮像部は、内周面から発せられた光による像を撮像し、画像データを出力することができる。撮像部は、イメージガイドなどを介することなく内周面から発せられた光による像を直接撮像することができる。信号線は、出力された画像データを変換処理部に導くことができる。そのため、イメージガイドを介して撮像を行う内視鏡装置と比較して、直接撮像を行う内視鏡装置は、画像の解像度を高くすることができる。
【0016】
上記発明においては、前記内周面から蛍光を励起させる励起光を出射する励起光原と、前記励起光を前記挿入部の一方の端部に導くライトガイドファイバと、前記内周面から励起された蛍光のみを透過させる蛍光フィルタと、が設けられ、前記撮像部が、前記蛍光フィルタを透過した蛍光による像を撮像することとしてもよい。
【0017】
本発明によれば、励起光源と、ライトガイドファイバと、蛍光フィルタとが設けられているため、被検体の管腔における内周面に存在する病変部等を正しく判別することができる。
励起光源は、上記内周面から蛍光を励起させる励起光を出射することができる。ライトガイドファイバは、励起光源から出射された励起光を挿入部の一方の端部に導き、内周面に向けて励起光を出射させることができる。蛍光フィルタは、内周面から励起された蛍光のみを透過し、例えば、励起光などを遮光することができる。そのため、撮像部は透過した蛍光のみによる像を撮像することができる。
そのため、例えば、病変部に集積するとともに、励起光により蛍光を励起される薬剤を被検体に投与した場合、本発明の内視鏡装置は、病変部から発せられる蛍光の像を撮像でき、この蛍光の像から画像合成部を用いることにより病変部等を正しく判別することができる。
【0018】
上記発明においては、前記距離測定部には、前記挿入部に設けられた所定間隔を有する目盛り線が設けられた目盛り部と、前記目盛り線を測定する測定部と、が設けられていることとしてもよい。
【0019】
本発明によれば、距離測定部に目盛り部と測定部とが設けられているため、被検体に対する挿入部の移動距離を測定することができる。
目盛り部は、挿入部に設けられた所定間隔を有する目盛り線が設けられたものである。測定部は、目盛り部に設けられた目盛り線を測定することにより、被検体に対する挿入部の移動距離を測定することができる。
【0020】
上記発明においては、前記測定部が、光センサであることとしてもよい。
【0021】
本発明によれば、測定部が光センサであるため、被検体に対する挿入部の移動距離を測定することができる。
光センサは、目盛り部から反射光の強さの強弱を測定することができる。当該反射光は、目盛り線が形成された部分と形成されていない部分とにより、強さの強弱が異なる。そのため、光センサは、反射光の強弱の変化を測定することにより、目盛り部の目盛り線が光センサの前を通過したことを検出できる。したがって、光センサの前を通過した目盛り線の数をカウントすることにより、被検体に対する挿入部の移動距離を測定することができる。
また、測定部としてイメージセンサを用いる方法と比較して、測定部の構成を簡単にすることができる。
【0022】
上記発明においては、前記測定部が、イメージセンサであることとしてもよい。
【0023】
本発明によれば、測定部がイメージセンサであるため、被検体に対する挿入部の移動距離を測定することができる。
イメージセンサは、その前にある目盛り部における目盛り線の形状を検出することができる。そのため、例えば、目盛り線における形状の一部に位置情報を持たせることにより、被検体に対する挿入部の相対位置をイメージセンサにより検出することができる。したがって、前回検出した上記相対位置との差を演算するなどの方法により、被検体に対する挿入部の移動距離を測定することができる。
また、測定部として光センサを用いる方法と比較して、イメージセンサを用いているため、挿入部の移動距離をより正確に検出することができる。
【0024】
上記発明においては、前記距離測定部が、前記変換処理部により変換処理された画像に基づいて自己相関演算を行い、前記被検体に対する前記挿入部の移動距離を算出する演算部であることとしてもよい。
【0025】
本発明によれば、距離測定部が演算部であるため、被検体に対する挿入部の移動距離を求めることができる。
演算部は、変換処理部により変換処理された画像に基づいて自己相関演算を行い、移動した画素数を算出することにより、被検体に対する挿入部の移動距離を算出することができる。
また、挿入部に目盛り部などを設ける方法と比較して、内視鏡装置の構成を簡単化することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の内視鏡装置によれば、被検体の管腔における内周面に存在する病変部等を正しく判別することができ、見つけた病変部の位置を正確に特定することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る内視鏡装置ついて図1から図7を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る内視鏡装置の全体構成を説明する模式図である。
内視鏡装置1は、図1に示すように、挿入部3と、ガイドチューブ5と、光源7と、カメラ(撮像部)9と、距離測定部11と、画像処理部(変換処理部、画像合成部)15と、モニタ17と、を備えている。
【0028】
挿入部3は、略円柱状に形成された被検体の管腔19内に挿入されるものであって、管腔19の内周面を観察するものである。
挿入部3には、透明チューブ21と、コーンミラー(反射部)23と、イメージガイドファイバ25と、ライトガイドファイバ27と、が設けられている。
結像光学系24は、コーンミラー23とイメージガイドファイバ25との間に配置されている。結像光学系24は、コーンミラー23により反射された光をイメージガイドファイバ25の挿入端部側の端面に導くとともに、管腔19の内周面の像を該端面に結像するものである。結像光学系24は、具体的には、コーンミラー23側より順に、平板の光学部材、屈折力が正の第1のレンズ、および屈折力が正の第2のレンズを有している。なお、第1の光学部材は、コーンミラー23側に凸のメニスカスレンズに置き換えてもよいし、第1のレンズおよび第2のレンズは、それぞれ数個のレンズからなる第1のレンズ群および第2のレンズ群としてもよい。
透明チューブ21は、挿入部3における管腔19に挿入される挿入端部(一方の端部)に配置された、光透過性を有するチューブである。
コーンミラー23は、透明チューブ21の先端(図1の左端)に配置された、管腔19の内周面から発せられた光を後述するイメージガイドファイバ25に向けて反射させる反射体である。コーンミラー23は略円錐状に形成され、その円錐面が光の反射面として形成されている。コーンミラー23は、後述するイメージガイドファイバ25と中心軸線が略同一となるとともに、頂点がイメージガイドファイバ25の端面と対向するように配置されている。
イメージガイドファイバ25は、コーンミラー23により反射した光をカメラ9に導く光ファイバなどの束である。イメージガイドファイバ25は、挿入部3の中心領域であって、挿入部3の中心軸線に沿って挿入端部から操作端部(他方の端部)まで延在するものである。
ライトガイドファイバ27は、後述する光源7から出射された照明光を挿入部3の挿入端部まで導く光ファイバなどの束である。ライトガイドファイバ27は、挿入部3の周辺領域に、挿入部3の中心軸線に沿って挿入端部から操作端部まで延在するものである。ライトガイドファイバ27の挿入端部から出射された照明光は、コーンミラー23の円錐面に反射され、透明チューブ21を透過して管腔19を照明する。
【0029】
ガイドチューブ5は、挿入部3と管腔19との間に配置される光透過性を有するチューブである。ガイドチューブ5の内部には、挿入部3が長手方向に移動可能に配置されている。ガイドチューブ5を用いることにより、管腔19の内周面が挿入部3の移動に伴って、移動または変形することが防止することができる。
【0030】
光源7は、管腔19の内面を照明する照明光を出射するものである。光源7は、挿入部3の操作端部側に配置されている。光源7から出射された照明光は、ライトガイドファイバ27における操作端部側の端面に入射される。光源7としては、公知の光源を用いることができ、特に限定するものではない。
【0031】
カメラ9は、管腔19の内周面から発せられた光による像を撮像して、画像データを出力するものである。カメラ9は、挿入部3の操作端部側に配置され、イメージガイドファイバ25から出射された光が入射する位置に配置されている。カメラ9とイメージガイドファイバ25との間には、カメラ9に像を結像させるレンズなどのレンズ系10が配置されている。カメラ9は、管腔19の内周面を、略円環状の内周面画像として撮像する。カメラ9としては、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を用いたカメラを例示することができ、特に限定するものではない。カメラ9から出力される画像データは、画像処理部15に入力される。
【0032】
距離測定部11は、管腔19に対して挿入部3の移動距離を測定するものである。距離測定部11は、目盛り部29と、センサ部(測定部)31と、を備えている。
目盛り部29は、挿入部3の操作端部近傍における外周面に設けられたものであって、所定間隔の目盛り線が形成されたものである。目盛り線の所定間隔としては、コーンミラー23を用いた場合の管腔19の内周面における通常の視野範囲として200μmを例示することができるが、特にこれに限定するものではない。目盛り部29は、挿入部3の操作端部近傍に設けられているため、挿入部3が管腔19の奥にまで挿入されても、少なくとも一部は管腔19の外部に位置することになる。
センサ部31は、目盛り部29の移動を検出することにより、挿入部3の管腔19に対する移動距離を検出するものである。センサ部31は、目盛り部29と対向する位置に配置され、目盛り部29からの反射光の強弱を検出する光センサである。具体的には、センサ部31は、目盛り部29における目盛り線から反射される光の強さと、それ以外の領域から反射される光の強さとの違いを検出し、光の強弱に係る検出情報を出力するものである。センサ部31から出力される検出情報は、後述する画像処理部15に入力される。
【0033】
画像処理部15は、カメラ9から入力される内周面画像に係る画像データと、センサ部31から入力される検出情報とに基づいて、展開画像を合成するものである。
画像処理部15には、変換処理部33と、画像合成部35とが設けられている。
変換処理部33は、内周面画像に係る画像データから一部の画像データを抽出し、帯状画像に係る画像データに変換処理するものである。具体的には、変換処理部33は、まず、入力された略円環状の内周面画像に係る画像データの一部、例えば同一半径の円環状画像に係る画像データを抽出する。そして、変換処理部33は、抽出した円環状の画像データを略帯状画像に係る画像データに変換処理する。この変換処理と同時に、画像の反転や、内周側の画像の引き伸ばし、または、外周側の画像の圧縮などの変換処理が、変換処理部33において行われる。
画像合成部35は、センサ部31の検出情報に基づいて、変換処理部33により変換処理された略帯状画像に係る画像データを繋ぎ合わせた展開画像に係る画像データを合成するものである。具体的には、画像合成部35は、検出情報に基づいて、複数の略帯状画像に係る画像データの配置をずらして繋ぎ合わせて一つの展開画像に係る画像データを合成するものである。合成された展開画像に係る画像データはモニタ17に出力される。
モニタ17は、画像合成部35から出力された展開画像に係る画像データに基づいて、展開画像を表示するものである。
【0034】
次に、上記の構成からなる内視鏡装置1における観察方法について説明する。
図2は、図1の内視鏡装置における観察方法を説明する模式図である。図3は、図2の管腔サンプルの内周面を説明する展開図である。
ここでは、理解の容易化を図るために、図2に示す管腔サンプル19Sを、内視鏡装置1で観察する例に適用して説明する。管腔サンプル19Sは、円筒状のサンプルであって、内周面には、図3の展開図に示すように、アルファベットの文字列とアラビア数字の文字列とが記載されている。
【0035】
まず、内視鏡装置1により管腔サンプル19Sの内周面を観察する場合には、図2に示すように、光源7から照明光を出射させる。照明光は、ライトガイドファイバ27に入射され、挿入部3内を挿入端部側へ導かれ、コーンミラー23に向けて出射される。ライトガイドファイバ27から出射された照明光は、コーンミラー23により管腔サンプル19Sの内周面に向けて反射される。反射された照明光は、透明チューブ21を透過して管腔サンプル19Sの内周面を照明する。
【0036】
照明された管腔サンプル19Sの内周面からの反射光のうち、管腔サンプル19Sの中心軸線方向へ向かう反射光は、透明チューブ21を透過して、コーンミラー23に入射する。コーンミラー23に入射した反射光は、イメージガイドファイバ25の端面に向かって反射される。反射光は、結像光学系24によりイメージガイドファイバ25の挿入端部側の端面に導かれるとともに、管腔サンプル19Sの像を結像する。イメージガイドファイバ25における挿入端部側の端面に結像された光は、当該端面からイメージガイドファイバ25に入射し、挿入部3内を操作端部側へ導かれ、カメラ9に向かって出射される。イメージガイドファイバ25から出射された反射光は、レンズ系10によりカメラ9の撮像素子上に結像される。
【0037】
図4は、図2のカメラに結像された管腔サンプルの画像を説明する図である。
カメラ9は、撮像素子上に結像された管腔サンプル19Sの内周面の像を撮像し、内周面画像に係る画像データを出力する。管腔サンプル19Sの内周面の像は、図4に示すように、円環状の像である。図4には、アラビア数字の文字列に係る像が示されており、アラビア数字が反転した像となっている。また、アラビア数字は、像の中心から同一半径の円周上に並んでいる。
【0038】
カメラ9から出力された内周面画像に係る画像データは、図1に示すように、画像処理部15に入力される。画像処理部15に入力された内周面画像に係る画像データは、変換処理部33において変換処理される。具体的には、内周面画像に係る画像データの一部、例えば同一半径の円環状画像に係る画像データであって、画質のよい部分を抽出し、略帯状画像に係る画像データに変換処理する。この変換処理と同時に、画像の反転や、内周側の画像の引き伸ばし、または、外周側の画像の圧縮などの変換処理も行われる。
【0039】
図5は、図2の管腔サンプルの画像であって、変換処理部に変換された画像を説明する図である。
変換処理部33に変換された略帯状画像に係る画像データに係る画像は、図5に示すように、略帯状の画像に展開されている。同時に、略帯状画像は、内周面画像に対して画像が反転されているとともに、画像の歪みも補正されている。図5においては、アラビア数字の文字列が含まれた画像を一枚目の画像として抽出し、アルファベットの文字列が含まれた画像を二枚目の画像として抽出している。なお、抽出される画像の幅は、観察する対象に基づいて定めることができる。例えば、管腔19の病変部などの大きさが0.5mm程度の場合には、上記画像の幅を1mm程度とすることができる。
【0040】
一方、管腔サンプル19Sに対する挿入部3の長手方向の移動は、図2に示すように、距離測定部11により検出される。
具体的には、挿入部3に設けられた目盛り部29の移動をセンサ部31により検出される。目盛り部29が移動すると、センサ部31の前を目盛り部29の目盛り線が移動する。目盛り線の移動により、目盛り部29から反射されセンサ部31に入射する光の強さが変化する。センサ部31は光センサであるため、入射する光の強さに基づいた検出信号を出力する。センサ部31から出力された検出信号は、画像合成部35に入力される(図1参照)。例えば、目盛り部29の目盛り線の間隔が200μmの場合、センサ部31が二本の目盛り線を検出したら、挿入部3が200μm移動したと判断される。
【0041】
図6は、図2の管腔サンプルの画像の表示状態を説明する図である。
上記略帯状画像に係る画像データおよび上記検出信号は、図1に示すように、画像合成部35に入力される。画像合成部35は、検出信号に基づいて、入力された複数の略帯状画像に係る画像データの配置をずらして繋ぎ合わせて一つの展開画像に係る画像データを合成する。合成された展開画像に係る画像データはモニタ17に出力され、図6に示すように表示される。本実施形態の場合には、モニタ17の上半分に管腔サンプル19Sの展開画像が表示され、下半分にカメラ9から出力された内周面画像に係る画像データに基づいた画像が表示されている。
【0042】
上記の構成によれば、カメラ9と、変換処理部33と、画像合成部35とが設けられているため、被検体の管腔19における内周面に存在する病変部等を正しく判別することができる。
カメラ9は、管腔19における内周面を円環状の内周面画像として撮像することができる。つまり、カメラ9は、上記内周面の全周を一度に撮像することができる。変換処理部33は、少なくとも、内周面画像における挿入部3の挿入端部からの距離が等しい内周面に係る円環状の画像を、略帯状の画像に変換処理することができる。なお、変換処理部33における上記変換処理には、画像の反転や、画像の一部の引き伸ばし又は圧縮などの補正が含まれていてもよい。挿入部3の挿入端部からの距離が等しい内周面に係る円環状の画像としては、例えば、内周面画像の中心から略同一半径の円環状の画像などを挙げることができる。画像合成部35は、上記略帯状画像を繋ぎ合わせることができる。つまり、画像合成部35は、管腔19における内周面の展開画像を合成することができる。
したがって、画像合成部35から得られた画像は、挿入部3の挿入端部からの距離が等しい内周面に係る画像に基づく画像となる。その結果、内周面から発せられる光の強度を相対的に評価することができるため、病変部等を正しく判別することができる。
また、画像合成部35から得られた画像は管腔19における内周面の展開画像であるため、円状または円環状の画像と比較して画像の変形が小さくなり、病変部等が判別しやすくなる。
【0043】
また、距離測定部11と、画像合成部35とが設けられているため、見つけた病変部の位置を正確に特定することができる。
距離測定部11は、被検体に対する挿入部3の移動距離を測定するとともに、測定した距離情報を画像合成部35に出力している。画像合成部35は、測定された挿入部3の移動距離に基づいて上記略帯状画像を繋ぎ合わせることができる。つまり、上記内周面における病変部などの相対位置関係と、画像合成部35により得られた画像における病変部などの相対位置関係とを略一致させることができる。その結果、見つけた病変部の位置を正確に特定することができる。
また、画像合成部35は、挿入部3の移動距離に基づいて上記略帯状画像を繋ぎ合わせることにより、病変部の近傍領域においては切れ目のない連続した展開画像を生成することができる一方、それ以外の領域では間引いた展開画像を生成することができる。
【0044】
コーンミラー23が設けられたことにより、管腔19における内周面に存在する病変部等を正しく判別することができる。
コーンミラー23は、上記内周面から発せられた光のうち、挿入部3の側面から挿入部3に入射する光をカメラ9に向けて反射することができる。挿入部3の側面から入射する光は、挿入部3の挿入端部の端面から入射する光と比較して、内周面との間の距離を一定に保ちやすい。そのため、内周面から発せられる光の強度を相対的に評価することができ、病変部等を正しく判別することができる。
また、コーンミラー23を用いることにより、内周面から管腔19の中心に向けて発せられた光をカメラ9に入射させることができる。そのため、管腔19の内周面に凹凸が存在している場合でも、カメラ9により凹凸の底まで撮像することができ、病変部等を見逃すことなく正しく判別することができる。
【0045】
さらに、距離測定部11に目盛り部29とセンサ部31とが設けられているため、被検体に対する挿入部3の移動距離を測定することができる。
目盛り部29は、挿入部3に設けられた所定間隔を有する目盛り線が設けられたものである。センサ部31は、目盛り部29に設けられた目盛り線を測定することにより、被検体に対する挿入部3の移動距離を測定することができる。
【0046】
センサ部31が光センサであるため、被検体に対する挿入部3の移動距離を測定することができる。
光センサは、目盛り部29から反射光の強さの強弱を測定することができる。当該反射光は、目盛り線が形成された部分と形成されていない部分とにより、強さの強弱が異なる。そのため、光センサは、反射光の強弱の変化を測定することにより、目盛り部29の目盛り線が光センサの前を通過したことを検出できる。したがって、光センサの前を通過した目盛り線の数をカウントすることにより、被検体に対する挿入部3の移動距離を測定することができる。
【0047】
イメージガイドファイバ25が設けられ、カメラ9はイメージガイドファイバ25から出射された光による像を撮像するため、挿入部3の径を細くすることができる。
イメージガイドファイバ25は、内周面から発せられた光を挿入部3の操作端部に導き、カメラ9に向けて当該光を出射させることができる。カメラ9は、イメージガイドファイバ25から出射された光による像を撮像することができる。そのため、挿入部3の挿入端部に撮像部を設ける内視鏡装置と比較して、挿入部3にイメージガイドファイバ25を設ける内視鏡装置1は、挿入部3の径を細くすることができる。
【0048】
図7は、図2の管腔サンプルの画像であって、変換処理部に変換された画像の別の変換例を説明する図である。
なお、上述のように、変換処理部33において、内周面画像に係る画像データを略帯状画像に係る画像データに変換処理してもよいし、図7に示すように、略直線状(ライン状)画像に係る画像データに変換処理しても良く、特に限定するものではない。
【0049】
〔第1の実施形態の第1変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の第1変形例について図8および図9を参照して説明する。
本変形例の内視鏡装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、距離測定部の構成が異なっている。よって、本変形例においては、図8および図9を用いて距離測定部の周辺のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図8は、本変形例に係る内視鏡装置における距離測定部の構成を説明する図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
内視鏡装置101の距離測定部111は、図8に示すように、目盛り部129と、センサ部(測定部)131と、を備えている。
距離測定部111は、管腔19に対して挿入部3の移動距離を測定するものである。
【0050】
図9は、図8の目盛り部の目盛り線を説明する部分拡大図である。
目盛り部129は、挿入部3の操作端部近傍における外周面に設けられたものであって、所定間隔の目盛り線が形成されたものである。目盛り線は、位置検出目盛り線(目盛り線)130Aと、移動距離検出目盛り線(目盛り線)130Bとを備えている。位置検出目盛り線130Aには、挿入部3の位置情報が含まれている。本変形例においては、位置検出目盛り線130Aにおける移動距離検出目盛り線130Bが配置されていない側の端部に設けられた線の本数に、挿入部3の位置情報が含まれている。移動距離検出目盛り線130Bは、位置検出目盛り線130Aの間に等間隔に配置された線である。
【0051】
センサ部131は、目盛り部129のイメージを取得することにより、挿入部3の管腔19に対する移動距離を検出するものである。
センサ部131は、図8に示すように、イメージセンサ133と、ドライバ135とを備えている。イメージセンサ133は、目盛り部129と対向する位置に配置され、目盛り部129における位置検出目盛り線130Aおよび移動距離検出目盛り線130Bのイメージを取得し(図9参照)、そのエッジパターンを抽出するものである。イメージセンサ133の視野には、複数の位置検出目盛り線130Aおよび移動距離検出目盛り線130Bを収めることができる。
ドライバ135は、イメージセンサ133を駆動制御するものであり、イメージセンサ133から出力されたエッジパターン情報を画像処理部15へ出力するものである。
【0052】
次に、上記の構成からなる内視鏡装置101における観察方法について説明する。
カメラ9による管腔19における内周面の観察方法は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0053】
ここで、距離測定部111による挿入部3の移動距離の測定方法について説明する。
距離測定部111のイメージセンサ133は、まず、挿入部3に設けられた目盛り部129における複数の位置検出目盛り線130Aおよび移動距離検出目盛り線130Bのイメージを取得する。イメージセンサ133は、複数の位置検出目盛り線130Aおよび移動距離検出目盛り線130Bのイメージに基づいて、各目盛り線130A,130Bのエッジパターンを抽出する。抽出されたエッジパターンに係る情報(エッジパターン情報)は、ドライバ135を介して画像処理部15へ出力される。
【0054】
上記の構成によれば、センサ部131にイメージセンサ133が備えられているため、被検体に対する挿入部3の移動距離を測定することができる。
イメージセンサ133は、その前にある目盛り部129における位置検出目盛り線130Aおよび移動距離検出目盛り線130Bの形状を検出することができる。そのため、位置検出目盛り線130Aにおける形状の一部に位置情報を持たせることにより、被検体に対する挿入部3の相対位置をイメージセンサ133により検出することができる。したがって、前回検出した上記相対位置との差を演算するなどの方法により、被検体に対する挿入部3の移動距離を測定することができる。
また、センサ部として光センサを用いる方法と比較して、イメージセンサ133を用いているため、挿入部3の移動距離をより正確に検出することができる。
【0055】
〔第1の実施形態の第2変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の第2変形例について図10および図11を参照して説明する。
本変形例の内視鏡装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、距離測定部の構成が異なっている。よって、本変形例においては、図10および図11を用いて距離測定部の周辺のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図10は、本変形例に係る内視鏡装置における距離測定部の構成を説明する図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0056】
内視鏡装置201は、図10に示すように、挿入部3と、ガイドチューブ5と、光源7と、カメラ9と、画像処理部(変換処理部、画像合成部、演算部)215と、モニタ17と、を備えている。
画像処理部215は、カメラ9から入力される内周面画像に係る画像データに基づいて、管腔19に対する挿入部3の移動距離を算出するとともに、展開画像を合成するものである。
画像処理部215には、変換処理部33と、演算部(距離測定部)234と、画像合成部35とが設けられている。演算部234は、変換処理部33により変換処理された複数の略帯状画像の画像データに基づいて管腔19に対する挿入部3の移動距離を算出するものである。
【0057】
図11は、図10の演算部における演算に用いられる画像を説明する図である。
まず、演算部234は、図11に示すように、異なる時間に撮像された2つの略帯状画像の間で、自己相関計算を行って、同一の画像が含まれているか判別する。そして、演算部234は、上記2つの帯状画像に含まれる同一の画像の移動量を、画像の画素単位で計測する。最後に、演算部234は、計測した画素単位に基づいて挿入部3の移動距離を算出する。算出された挿入部3の移動距離に係る情報は、画像合成部35に入力され、展開画像の合成に用いられる。
【0058】
上記の構成によれば、画像処理部215に演算部234が設けられているため、被検体に対する挿入部3の移動距離を求めることができる。
演算部234は、変換処理部33により変換処理された略帯状画像に係る画像データに基づいて被検体に対する挿入部3の移動距離を算出することができる。
また、挿入部3に目盛り部などを設ける方法と比較して、内視鏡装置201の構成を簡単化することができる。
【0059】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図12を参照して説明する。
本実施形態の内視鏡装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、挿入部の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図12を用いて挿入部の周辺のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図12は、本実施形態に係る内視鏡装置における挿入部の構成を説明する図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0060】
内視鏡装置301の挿入部303は、図12に示すように、透明チューブ21と、コーンミラー(反射部)23と、レンズ系310と、CCD(撮像部)309と、信号線325と、ライトガイドファイバ27と、が設けられている。
CCD309は、管腔19の内周面から発せられた光による像を撮像して、画像データを出力するものである。CCD309は、挿入部3の挿入端部側に配置され、コーンミラー23に反射された光が入射する位置に配置されている。CCD309とコーンミラー23との間には、CCD309の受光面に像を結像させるレンズ系310が配置されている。CCD309は、管腔19の内周面を、略円環状の内周面画像として撮像する。CCD309から出力される画像データは、信号線325を介して画像処理部15に入力される。
信号線325は、CCD309から出力された画像データを画像処理部15に導く信号線である。信号線325は、挿入部303の中心領域であって、挿入部303の中心軸線に沿って挿入端部から操作端部(他方の端部)まで延在するものである。
【0061】
次に、上記の構成からなる内視鏡装置301における観察方法について説明する。
内視鏡装置301により管腔19の内周面を照明する方法は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
管腔19の内周面からの反射光のうち、管腔19の中心軸線方向へ向かう光は、透明チューブ21を透過して、コーンミラー23に入射する。コーンミラー23に入射した反射光は、CCD309に向かって反射され、レンズ系310によりCCD309の受光面に結像される。CCD309は、受光面に結像された管腔19の内周面の像を撮像し、内周面画像に係る画像データを出力する。CCD309から出力された内周面画像に係る画像データは、信号線325を介して画像処理部15に入力される。
以後の作用については、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0062】
上記の構成によれば、CCD309は挿入部303の挿入端部側に配置され、CCD309から出力される画像データを画像処理部15に導く信号線325が設けられているため、画像の解像度を高くすることができる。
CCD309は、内周面から発せられた光による像を撮像し、画像データを出力することができる。CCD309は、イメージガイドなどを介することなく内周面から発せられた光による像を直接撮像することができる。信号線325は、出力された画像データを画像処理部15に導くことができる。そのため、イメージガイドを介して撮像を行う内視鏡装置と比較して、直接撮像を行う内視鏡装置301は、画像の解像度を高くすることができる。
【0063】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図13を参照して説明する。
本実施形態の内視鏡装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、挿入部および光源の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図13を用いて挿入部および光源の周辺のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図13は、本実施形態の内視鏡装置における挿入部および光源の構成を説明する図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態における内視鏡装置401は、被検体に、悪性腫瘍などの病変部に集積するとともに励起光により蛍光を発する薬剤を投与することにより、管腔19の内周面における病変部の有無を判別するものである。
内視鏡装置401の挿入部403は、図13に示すように、広角レンズ系(広角光学系)423と、蛍光フィルタ425と、CCD309と、信号線325と、ライトガイドファイバ27と、が設けられている。ライトガイドファイバ27には、蛍光を励起させる励起光を出射する励起光源407が接続されている。
広角レンズ系423は、管腔19の内周面から反射した励起光や励起された蛍光をCCD309の受光面に結像させるレンズ系である。また、広角レンズ系423は、視野角が170°前後のレンズ系であって、挿入部403における挿入端部の端面に配置されている。
蛍光フィルタ425は、入射する励起光や蛍光のうち、蛍光のみを透過し、励起光などの蛍光以外の波長帯域の光を遮光するものである。蛍光フィルタ425は、広角レンズ系423とCCD309との間に配置されている。そのため、蛍光フィルタ425は、CCD309に蛍光のみを入射させることができる。
励起光源407は、被検体に投与された薬剤から蛍光を励起させる励起光を出射するものである。励起光源407は、挿入部403の操作端部側に配置されている。励起光源407から出射された励起光は、ライトガイドファイバ27に入射される。
【0064】
次に、上記の構成からなる内視鏡装置401における観察方法について説明する。
まず、内視鏡装置401により管腔19の内周面を観察する場合には、図13に示すように、励起光源407から励起光を出射させる。励起光は、ライトガイドファイバ27に入射され、挿入部403内を挿入端部側へ導かれ、管腔19に向けて出射される。出射された励起光は管腔19の内周面を照明する。
【0065】
励起光に照明された管腔19の内周面からは、励起光が反射されるとともに、管腔19に含まれる薬剤から励起された蛍光が発せられる。管腔19から発せられた励起光と蛍光は広角レンズ系423に入射してCCD309の受光面に向けて像を結像される。広角レンズ系423から出射された励起光および蛍光は、蛍光フィルタ425に入射する。蛍光フィルタ425に入射した励起光は蛍光フィルタ425に遮光され、蛍光はそのまま蛍光フィルタ425を透過する。蛍光フィルタ425を透過した蛍光は、CCD309の受光面に像を結像する。CCD309は、上記内周面から発せられた蛍光に係る像を撮像して、内周面画像に係る撮像データを出力する。出力された撮像データは、信号線325を介して画像処理部15に入力される。
以後の作用については、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0066】
上記の構成によれば、広角レンズ系423が設けられ、CCD309が広角レンズ系423を介して内周面を撮像するため、管腔19における内周面に存在する病変部等を正しく判別することができる。
広角レンズ系423は、内周面から管腔19の中心に向けて発せられた光をCCD309に入射させることができる。そのため、管腔19の内周面に凹凸が存在している場合でも、凹凸の底までCCD309により撮像することができ、病変部等を見逃すことなく正しく判別することができる。
【0067】
ライトガイドファイバ27と、蛍光フィルタ425とが設けられているため、被検体の管腔19における内周面に存在する病変部等を正しく判別することができる。
励起光源407は、上記内周面から蛍光を励起させる励起光を出射することができる。ライトガイドファイバ27は、励起光源407から出射された励起光を挿入部403の挿入端部に導き、管腔19の内周面に向けて励起光を出射させることができる。蛍光フィルタ425は、管腔19の内周面から励起された蛍光のみを透過し、励起光などを遮光することができる。そのため、CCD309は透過した蛍光のみによる像を撮像することができる。
そのため、病変部に集積するとともに、励起光により蛍光を励起される薬剤を被検体に投与した本実施形態の場合、内視鏡装置401は、病変部から発せられる蛍光による像を撮像でき、病変部等を正しく判別することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において上述した各実施形態を部分的に組み合わせる等して、種々変形実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施形態に係る内視鏡装置の全体構成を説明する模式図である。
【図2】図1の内視鏡装置における観察方法を説明する模式図である。
【図3】図2の管腔サンプルの内周面を説明する展開図である。
【図4】図2のカメラに結像された管腔サンプルの画像を説明する図である。
【図5】図2の管腔サンプルの画像であって、変換処理部に変換された画像を説明する図である。
【図6】図2の管腔サンプルの画像の表示状態を説明する図である。
【図7】図2の管腔サンプルの画像であって、変換処理部に変換された画像の別の変換例を説明する図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る内視鏡装置における距離測定部の構成を説明する図である。
【図9】図8の目盛り部の目盛り線を説明する部分拡大図である。
【図10】本発明の第1の実施形態の第2変形例に係る内視鏡装置における距離測定部の構成を説明する図である。
【図11】図10の演算部における演算に用いられる画像を説明する図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る内視鏡装置における挿入部の構成を説明する図である。
【図13】本発明の第3の実施形態の内視鏡装置における挿入部および光源の構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0069】
1,101,201,301,401 内視鏡装置
3,303,403 挿入部
9 カメラ(撮像部)
11,111 距離測定部
15 画像処理部(変換処理部、画像合成部)
23 コーンミラー(反射部)
25 イメージガイドファイバ
27 ライトガイドファイバ
29,129 目盛り部
31,131 センサ部(測定部)
33 変換処理部
35 画像合成部
130A 位置検出目盛り線(目盛り線)
130B 移動距離検出目盛り線(目盛り線)
215 画像処理部(変換処理部、画像合成部、演算部)
234 演算部(距離測定部)
309 CCD(撮像部)
325 信号線
423 広角レンズ系(広角光学系)
425 蛍光フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の管腔内に一方の端部が挿入される挿入部と、
前記管腔における内周面を、略円状または略円環状の内周面画像として撮像する撮像部と、
少なくとも前記内周面画像における前記一方の端部からの距離が等しい前記内周面に係る略円環状の画像を、略直線状または略帯状の画像に変換処理する変換処理部と、
前記被検体に対する前記挿入部の移動距離を測定する距離測定部と、
該距離測定部により測定された移動距離に基づいて、前記変換処理された画像を繋ぎ合わせる画像合成部と、
が設けられた内視鏡装置。
【請求項2】
前記挿入部の一方の端部には、前記挿入部の側面から前記挿入部に入射する光を前記撮像部に向けて反射する反射部が設けられ、
前記撮像部が、前記反射部により反射された光による像を撮像する請求項1記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記挿入部の一方の端部には、広角光学系が設けられ、
前記撮像部が、前記広角光学系を介して前記内周面を撮像する請求項1記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記挿入部には、前記内周面から発せられた光を前記挿入部の他方の端部に導くイメージガイドファイバが設けられ、
前記撮像部は、前記イメージガイドファイバから出射された光による像を撮像する請求項1から3のいずれかに記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記撮像部は、前記挿入部の一方の端部に配置され、
前記挿入部には、前記撮像部から出力される画像データを前記変換処理部に導く信号線が設けられている請求項1から3のいずれかに記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記内周面から蛍光を励起させる励起光を出射する励起光原と、
前記励起光を前記挿入部の一方の端部に導くライトガイドファイバと、
前記内周面から励起された蛍光のみを透過させる蛍光フィルタと、
が設けられ、
前記撮像部が、前記蛍光フィルタを透過した蛍光による像を撮像する請求項1から5のいずれかに記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記距離測定部には、前記挿入部に設けられた所定間隔を有する目盛り線が設けられた目盛り部と、前記目盛り線を測定する測定部と、が設けられている請求項1から6のいずれかに記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記測定部が、光センサである請求項7記載の内視鏡装置。
【請求項9】
前記測定部が、イメージセンサである請求項7記載の内視鏡装置。
【請求項10】
前記距離測定部が、前記変換処理部により変換処理された画像に基づいて自己相関演算を行い、前記被検体に対する前記挿入部の移動距離を算出する演算部である請求項1から6のいずれかに記載の内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−61743(P2008−61743A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241311(P2006−241311)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】