説明

処理装置

【課題】処理効率が高く、高品質の半導体装置が製造できる処理装置を提供する。
【解決手段】内部を所定の気圧に維持し得る移載室の周囲に配設され、被処理基体を処理する、窒化チタン層形成ユニット、窒化タンタル層形成ユニット、および窒化タングステン層形成ユニットからなる群から選択される一の処理ユニットと、チタン層形成ユニットと、タングステン層形成ユニットとを各二基以上と、前記移載室の周囲に配設され、前記所定の気圧下で前記被処理基体を処理する一または二以上の予備洗浄処理ユニットと、前記移載室内に配設され、被処理基体を移載する移載アームとを具備し、前記ユニットの少なくとも一つが他の前記ユニットに対して上下方向に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に用いるシリコンウエハなどの被処理基体を処理する処理装置に係り、さらに詳細には、被処理基体表面に各種薄膜を形成する処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体装置を製造する方法として、シリコンウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)の表面に酸化膜、窒化膜、酸窒化膜などの各種の薄膜を所定の断面形状となるように形成する方法が広く用いられており、このような各種の薄膜をウエハ上に形成するには、CVDなどの装置を用いるのが一般的である。さらにウエハ上に複数の薄膜層を多段に積層する方法としては、複数基のCVDユニットをひとつの移載室で連結した、いわゆるマルチチャンバ型の製造装置を用いる方法が知られている。図27は典型的なマルチチャンバ型の処理装置300の概略構成を示した平面図である。
【0003】
このマルチチャンバ型処理装置300では、装置のほぼ中心に配設された移載室301の外周に複数の成膜用の処理ユニット310〜315が放射状に配設されており、移載室301の内部には移載アーム303,304が配設されている。この処理装置300では、未処理のウエハWが複数枚収容されたキャリアカセットCを載置台305の上にセットして起動すると、サブアーム306がキャリアカセットC内のウエハWを取り出してロードロック室307内に一旦載置し、次いで移載アーム303がウエハWを受け取って移載室301内に搬入し、所定の順序で各処理ユニット310〜315と移載室301との間でウエハWを出し入れ、処理して複数の薄膜を形成するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで最近の半導体装置では積層する薄膜の数が増え、また、薄膜の厚さも薄いものが要求されている。このように薄膜の数が増えると上記のような処理ユニットを六基備えた6チャンバ型の処理装置300でも全ての薄膜を一台のマルチチャンバ300で形成することはできない。そのため、処理装置300のような6チャンバ型処理装置を複数台並べておき、一台目の処理装置での成膜が完了したら一旦ウエハWを取り出して隣接する処理装置に再び搬入して後続の成膜処理を行なう方法が採られている。
【0005】
しかし、成膜途中のウエハWを処理雰囲気から外気に晒すと、ウエハW表面に酸化膜が生じるため、一度酸化膜を削り取る工程が必要となり、生産効率が低下するという問題がある。さらにより薄い薄膜が必要となるため、処理雰囲気からウエハWを取り出すと、ウエハW表面の薄膜が劣化し、半導体装置の品質低下を招くという問題もある。さらに、二台のマルチチャンバ型処理装置300を並べると装置の占有面積が増大し設備費、ひいては最終製品の製造コストを増大させるという問題がある。
【0006】
本発明は上記従来の問題を解決するためになされた発明である。すなわち本発明は、処理効率が高く、高品質の半導体装置が製造できる処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る処理装置は、複数の被処理基体を収容する基体容器を載置する基体容器載置台と、前記基体容器載置台に隣設され、内部を所定の気圧に維持し得る移載室と、前記移載室の周囲に配設され、被処理基体を処理する処理ユニットと、前記移載室内に配設され、被処理基体を移載する移載アームとを具備し、前記処理ユニットの少なくとも一つが他の前記処理ユニットに対して上下方向に配設されていることを特徴とする。
【0008】
上記処理装置において、前記処理ユニットは、窒化チタン層形成ユニット、窒化タンタル層形成ユニット、および窒化タングステン層形成ユニットからなる群から選択される一の処理ユニットと、チタン層形成ユニットと、タングステン層形成ユニットとを各二基以上と、一または二以上の予備洗浄処理ユニットとすることができる。また、上記処理装置において、処理ユニットは、窒化タンタル層形成ユニット、窒化チタン層形成ユニット、および窒化タングステン層形成ユニットからなる群から選択される一の処理ユニットと、タンタル層形成ユニットと、銅層形成ユニットとを各二基以上と、一または二以上の予備洗浄処理ユニットとすることができる。さらに、上記処理装置において、前記処理ユニットは、予備洗浄処理ユニット、アルミナ層形成ユニット、ジルコニウムオキサイド層形成ユニット、ジルコニウムシリケイト層形成ユニット、ハフニウムオキサイド層形成ユニット、ハフニウムシリケイト層形成ユニット、イットリウムオキサイド層形成ユニット、イットリウムシリケイト層形成ユニット、ランタンオキサイド層形成ユニット、ランタンシリケイト層形成ユニット、酸化膜形成ユニット、窒化膜形成ユニット、マンガン膜形成ユニット、ニオブ層形成ユニット、アルミニウム層形成ユニット、モリブデン層形成ユニット、ジルコニウム層形成ユニット、バナジウム層形成ユニット、コバルト層形成ユニット、レニウム層形成ユニット、イリジウム層形成ユニット、白金層形成ユニット、ルテニウムオキサイド層形成ユニット、アニール処理ユニット、タングステン層形成ユニットからなる群から選択される処理ユニットとすることができる。
【0009】
また、上記処理装置において、前記移載アームが垂直方向に昇降可能とされていることを特徴とする処理装置とすることができる。さらに、上記処理装置において、前記処理ユニットが、下段と上段の2段に設けられ、下段で隣接する二基の処理ユニットの間の位置に上段側の処理ユニットが設けられていることを特徴とする処理装置とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、処理効率が高く、高品質の半導体装置が製造できる処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の参考例)
図1は第1の参考例に係る処理装置1の平面図である。図1に示すように、処理装置1では、ウエハWを複数枚、例えば25枚収納できる、容器としてのキャリアカセットCを載置するための基体容器載置台10と、その奥側に配設された第1の移載室30と、さらに第1の移載室30の奧側に第2の移載室50が配設されている。
【0013】
第1の移載室30の周囲には第1の処理ユニット群60,70が配設され、第2の移載室50の周囲には第2の処理ユニット群80,90,100,110,120,130,140,および150が配設されている。前記第1の移載室30と載置台10とは第1のロードロック室20,20を介して連結されており、第1の移載室30と第2の移載室50とは第2のロードロック室40,40を介して連結されている。
【0014】
載置台10の上にはキャリアカセットCを複数個、例えば4個セットできるようになっており、載置台10と第1のロードロック室20,20との間にはサブアーム21が配設され、キャリアカセットCと第1のロードロック室20,20との間でウエハWの搬出入をするようになっている。
【0015】
第1の移載室30の中央付近には「フロッグレッグアーム」と呼ばれるフロッグレッグ形状を備えた移載アーム31が配設されている。ここで、「フロッグレッグ形状」の移載アームとは、全体として5辺からなり、中央の1辺を関節で接続された2本のアームの2組で支持した形状を有する移載アームをいい、上記2本のアームが、向かい合う2本のアームとともに伸縮、回転(旋回)を行なう(後述する図9各図、図10各図参照)。なお、フロッグレッグアームは、図1に示すように移載アーム31ひとつにつき、背中合わせに2つ設けることができる。その場合には、各フロッグレッグアームに用いられる上記2本のアームにうち一方はそれらのフロッグレッグアームで兼用することができる。
【0016】
この移載アーム31は、上記中央の一辺に相当する位置に配設されたウエハ保持部材31a,31bを直線運動または旋回運動させる直線・旋回運動機構を構成する。なお、この移載アームの上記中央の一辺にはウエハ保持部材が一つに限らず二つ配設されていてもよく、保持部を二つ配設する場合には、この二つの保持部を例えば180度背中合わせに配設し、専用の駆動モータをつけておき、反転自在な構造のものを用いることができる。
【0017】
処理装置1では、第1の移載室30の周囲の第1の処理ユニット群として、予備洗浄ユニット60および70が配設されており、第2の移載室50の周囲の第2の処理ユニット群としては、手前側から奥側に向って移載室50の左右両側に1基ずつ、計2基のCVDユニット80および90、同じく移載室50の左右両側に2基ずつ、計4基のALDユニット100,110,120および130がそれぞれ配設され、一番奥に2基のCVDユニット140および150が配設されている。予備洗浄ユニットの例としては、超臨界流体を利用した超臨界洗浄ユニットのほか、反応性ガスにより洗浄するリアクティブイオンエッチユニット、スパッタリングエッチングにより物理的に洗浄するスパッタエッチングユニットなどの既知の洗浄ユニットを挙げることができる。
【0018】
第2の移載室50内部には複数の第2の移載アーム41,42,43が配設されており、これら第2の移載アーム41〜43同士の間ではウエハWを直接受け渡ししてもよく、あるいは、第2の移載室50内に配設された一または二以上の移載部(図示せず:移載アームのうち少なくとも二基のものがアクセス可能な被処理基体中継所)を経由してウエハWの受け渡しをしてもよい。
【0019】
第2の処理ユニット群のうち、最も手前側に配設されている2基のCVDユニット80および90はチタン(Ti)層形成用のCVDユニットであり、その奥に配設された4基のALDユニット100〜130は窒化チタン(TiN)層形成用のALDユニットであり、一番奥に配設されたCVDユニット140および150はタングステン(W)層形成用のCVDユニットである。ALDとは、Atomic Layer Depositionの略である。チタン層や窒化チタン層、タングステン層の形成には、スパッタリングユニットを用いることもできる。
【0020】
さらに、処理ユニット群の一部として検査モジュール、例えば、膜質、膜厚、パーティクル、寸法計測の各々または複数の検査を行うモジュールを搭載することもできる。また、これらの検査を行なう機構を内蔵した処理ユニットを搭載させることも可能である。また、ロードロック室20または40内に上記検査モジュールを内蔵させることもできる。
【0021】
また、第2の処理ユニット群のうちの一部の処理ユニットに代えてロードロック室を設け、このロードロック室に接続して基体容器載置台10を含む基体の搬出手段を設けるようにしてもよい。これによれば、処理後の被処理基体を移載室50から直接に搬出することができる。
【0022】
図2は予備洗浄ユニット60の垂直断面図である。予備洗浄ユニット60は、超臨界状態の二酸化炭素を用いてウエハWなどの被処理基体の表面を洗浄する装置である。この予備洗浄ユニット60では密閉可能な箱型の処理室601内に超臨界状態の二酸化炭素を導入するための導入部603が配設されている。二酸化炭素は二酸化炭素源604から導入され、コンプレッサ607により加圧されるとともに、熱交換器608により加熱され、超臨界状態となり、導入部603を介して処理室601内に導入される。この超臨界に達した二酸化炭素により、サセプタ602上に載置されたウエハW表面が洗浄される。処理室601に導入された二酸化炭素は洗浄反応後の副生成物とともに排気口606により排出される。
【0023】
図2中、サセプタ602の右側の処理室601壁面にはウエハWを出し入れするための開口部601aが設けられており、この開口部601aの開閉はゲートバルブ605を図中上下に移動させて行なう。図2中、ゲートバルブ605のさらに右側にはウエハWを搬送する第1の移載アーム(図示省略)が隣設されており、第1の移載アームが開口部601aを介して処理室601内に出入りしてサセプタ602上にウエハWを載置したり、処理後のウエハWを処理室601から搬出するようになっている。
【0024】
図3はCVDユニット80を模式的に示した垂直断面図である。図3に示すように、CVDユニット80の処理室801は例えばアルミニウム等により気密可能な構造に形成されている。処理室801は図示しない加熱機構や冷却機構を備えている。処理室801には上部中央にガスを導入するガス導入管802が接続され、処理室801内とガス導入管802とが連通されている。また、ガス導入管802はガス供給源803に接続されている。そして、ガス供給源803からガス導入管802にガスが供給され、ガス導入管802を介して処理室801内にガスが導入されている。このガスには、薄膜形成の原料となる各種のガスが用いられ、必要な場合には不活性ガスがキャリアガスとして用いられている。
【0025】
処理室801の下部には、処理室801内のガスを排気するガス排気管804が接続され、ガス排気管804は真空ポンプ等からなる図示しない排気手段に接続されている。そしてこの排気手段により処理室801内のガスがガス排気管804から排気され、処理室801内が所望の圧力に設定されている。また処理室801の下部には、ウエハWを載置するサセプタ805が配置されている。ウエハWとほぼ同径大の図示しない静電チャックによりウエハWがサセプタ805上に載置されている。このサセプタ805には図示しない熱源手段が内設されており、サセプタ805上に載置されたウエハWの処理面を所望の温度に調整できるようになっている。
【0026】
図3中、サセプタ805の右側の処理室801壁面にはウエハWを出し入れするための開口部801aが設けられており、この開口部801aの開閉はゲートバルブ806を図中上下に移動させて行なう、図3中、ゲートバルブ806のさらに右側にはウエハWを搬送する第2の移載アーム(図示省略)が隣設されており、第2の移載アームが開口部801aを介して処理室801内に出入りしてサセプタ805上にウエハWを載置したり、処理後のウエハWを処理室801から搬出するようになっている。サセプタ805の上方にはシャワー部材としてのシャワーヘッド807が配設されている。このシャワーヘッド807はサセプタ805とガス導入管802との間の空間を区画するように形成されており、例えばアルミニウム等から作られている。
【0027】
シャワーヘッド807は、その上部中央にガス導入管802のガス出口802aが位置するように形成され、処理室801内に導入されたガスがそのまま処理室801内に配設されたシャワーヘッド807内に導入されている。
【0028】
上記は、CVD反応の励起エネルギーとして、熱を用いる例を説明したが、プラズマ放電を励起エネルギーとして用いてもよい。
【0029】
図4はALDユニット100を模式的に示した垂直断面図である。ALDユニット100の構造は上記CVDユニットからシャワーヘッドを除去し、チャンバー容積を小さくしたこと以外は上記CVDユニットとほぼ同じ構造であり、処理時に処理室内に導入する処理ガスをパルス状に導入し、排気することを繰り返す点が最大の相違点である。処理ガスをパルス状に導入し、排気する操作を繰り返すことにより、成膜を一層ずつ原子レベルで行うことができる。
【0030】
次に処理装置1を用いて半導体装置を製造する際の工程について説明する。図5は処理装置1を用いて半導体装置を製造するときのフローチャートであり、図6(a)〜図6(e)は製造途中の半導体装置の状態を示した垂直断面図である。
【0031】
まず、載置台10の上に25枚の未処理のウエハWを収納したキャリアカセットCをセットして処理装置1を起動すると、サブアーム21がキャリアカセットC内にアクセスして未処理のウエハWを取り出し、第1のロードロック室20内に載置して載置台10側のゲートバルブ(図示省略)を閉じる。次いで第1のロードロック室20内の気圧を第1の移載室30とほぼ同じ気圧にまで上昇させ、第1のロードロック室20の移載室側のゲートバルブ(図示省略)を開ける。この第1のロードロック室20内に第1の移載アーム31がアクセスして第1のロードロック室20内のウエハWを取り出し、予備洗浄ユニット(超臨界洗浄ユニット)60内に搬入する。予備洗浄前のウエハWは図6(a)に示したように、下地11上面に絶縁層12、例えばSiO層が所定のパターン状に形成されており、この絶縁層12が形成されたウエハW全面が自然酸化膜13で覆われている。
【0032】
予備洗浄ユニット60のゲートバルブ605を閉じて密閉し、加熱、加圧し所定状態に到達したら超臨界状態の二酸化炭素(CO)を供給する。
【0033】
超臨界状態に達した二酸化炭素の溶解作用により、ウエハW全面を覆っていた自然酸化膜13が除去される(図6(b))。このとき絶縁層12上の開口部12aを介してウエハW表面に露出した下地11の表面11aには酸化膜が残留している。
【0034】
次に予備洗浄ユニット60内への二酸化炭素の供給を停止して第1の移載アーム31をアクセスさせ、予備洗浄の終了したウエハWを取り出し、第2のロードロック室40の第1の移載室側のゲートバルブ(図示省略)を開けて第2のロードロック室40内にウエハWを搬入する。この状態で第2のロードロック室40のゲートバルブを全て閉じて密閉し、第2のロードロック室40内の気圧を第2の移載室50と同程度まで低下させる。次いで第2のロードロック室40の第2の移載室側のゲートバルブを開けて第2の移載アーム41をアクセスさせて第2のロードロック室40からウエハWを取り出し、チタン層形成用のCVDユニット80内に搬入する。この状態でCVDユニット80のゲートバルブ806を閉じて密閉し、所定の温度、圧力条件下でウエハWにチタン(Ti)層を形成する(ステップ2)。
【0035】
このときウエハW表面では、チタン(Ti)の還元作用により、上述したウエハWに露出した下地11に付着している残留酸化膜が除去され、下地表面が現れる。さらにこのままチタン(Ti)層形成処理を続けると、図6(c)に示したように、露出した下地表面11a上にチタン(Ti)層14が形成され、下地表面の電気特性が改善される。
【0036】
所定のチタン(Ti)層14の形成が完了したら、チタン層形成ガスの供給を停止し、ゲートバルブ806を開けてCVDユニット80内に第2の移載アーム41をアクセスさせてウエハWを取り出し、中央の第2の移載アーム42に引き渡し、さらに奥側に配設されたALDユニット100〜130のいずれか、例えばALDユニット100内に搬入する。ここでも前記CVD処理と同様に所定条件下で処理ガスを供給することにより、ウエハW最上層のチタン(Ti)層14上に、図6(d)に示すようにウエハW表面に窒化チタン(TiN)層15を形成する(ステップ3)。
【0037】
窒化チタン(TiN)層15の形成が完了したら、窒化チタン層形成ガスの供給を停止し、ゲートバルブ1006を開けてALDユニット100内に第2の移載アーム42をアクセスさせてウエハWを取り出し、一番奥の第2の移載アーム43に引渡してさらに奥側に配設されたCVDユニット140または150、例えばCVDユニット140内に搬入する。ここでも前記CVD処理と同様に所定条件下で処理ガスを供給することにより、ウエハW最上層の窒化チタン(TiN)層15の表面にタングステン(W)を成膜させて、図6(e)に示すようにウエハW表面にタングステン(W)層16を形成する(ステップ4)。
【0038】
こうして自然酸化膜13の除去からタングステン(W)層16の形成までの工程が完了したら、第2の移載アーム43〜41、第2のロードロック室40、第1の移載室30、第1のロードロック室20を経て再びキャリアカセットC内に収容する。
【0039】
このように、処理装置1では、処理時の気圧の異なる処理ユニット群をロードロック室を介して連結したので、高圧条件で行なう洗浄処理から低圧条件で行なう成膜処理まで処理装置1からウエハWを一度も取り出すことなく、首尾一貫して連続的に処理することかできるので、処理速度が高く、製造コストを低減化することができる。
【0040】
特に処理装置1では、第2の処理ユニット群を構成する8基の処理ユニットのうち、窒化チタン(TiN)層形成用のALDユニットを、100,110,120,および130の4基備えているので、CVDユニットより処理速度の遅いALDユニットの処理時間が処理時間全体の律速段階となるのを防止できる。すなわち、複数枚のウエハWを連続処理する場合において、CVD処理の後にALD処理を行なう場合、CVD処理の完了したウエハWを2基のALDユニットに振り分けて処理することにより、長い処理時間を必要とするALDユニットが処理の律速となることを防ぐことができ、第2の処理ユニット群全体での処理時間を短縮化することができる。
【0041】
また、成膜途中で処理装置からウエハWを取り出す必要がないので、製造途中の膜が酸化したり劣化することがなく、高品質の膜が得られる。また、処理装置の面積効率と一連の処理速度とをそれぞれ計算して従来のものと比較すると、それぞれ面積効率で25%、処理速度で50%従来の処理装置を用いた場合より省スペース化、短時間化を図ることができると分かった。この結果を図7と図8のグラフに示す。
【0042】
ここで、移載装置としての移載アーム41(42、43、31)についてさらに説明する。図9(a)は、移載アーム41の構成例を示す模式的な平面図である。同図に示すように、移載アーム41は、回転中心部材401と、回転中心部材401の中心に水平回転自在に支持されたアーム402、403と、アーム402、403の他端に水平回転自在に接続・支持されたアーム404、405と、アーム404、405の他端両者に点規制され接続されたウエハ支持部材(ウエハ保持部材)406とを有する。アーム402、403は、回転中心部材401に支持された部位(以下では、この部位を単に中心という。)を中心に必要に応じて回転駆動される。
【0043】
なお、アーム402、403の中心より外側の端部には、もう一組のアーム(アーム404、405に相当するアーム)とウエハ支持部材(ウエハ支持部材406に相当するウエハ支持部材)とを、アーム404、405、ウエハ支持部材406と背中合わせに設けるようにしてもよい(図1においては、この場合が図示されている)。
【0044】
図9(b)は、図9(a)の状態からアーム402、403が互いに図上側で近づくように回転した場合を示している。これにより、アーム404、405は、図示するように中心から突き出され、その端部のウエハ支持部材406が中心から放射方向に移動する。また、図9(c)は、図9(a)の状態からアーム402、403が互いに図下側で近づくように回転した場合を示している。これにより、アーム404、405は、図示するように中心に近づき、その端部のウエハ支持部材406も中心に近づく。
【0045】
以上より、アーム402とアーム403とが対称的に回転移動すると、ウエハ支持部材406は回転中心部材401の中心から放射状に直線運動することがわかる。
【0046】
図10(a)は、図9(a)の状態からアーム402、403が同方向(右回転方向)に回転した場合を一点鎖線で示す図である。図10(b)は、図9(b)の状態からアーム402、403が同方向(右回転方向)に回転した場合を一点鎖線で示す図である。図10(c)は、図9(c)の状態からアーム402、403が同方向(右回転方向)に回転した場合を一点鎖線で示す図である。
【0047】
これらから、アーム402とアーム403とが同一の方向に回転移動すると、ウエハ支持部材406は、回転中心部材401を中心に回転(すなわち旋回)することがわかる。また、図9各図および図10各図より、この旋回と上記の放射方向の直線移動とは独立して行なうことができることがわかる。
【0048】
なお、ウエハ支持部材406の平面形状は、例えば、図示するように“U”字形である。これは、処理ユニットへのウエハの出し入れの際、ウエハ載置台上に出没する上下方向可動の支持ピンとウエハ支持部材406との干渉を避けるためである。
【0049】
図11は、移載アーム同士によるウエハの受け渡し例を説明する図である。図11において、一方の移載アームには、符号の末尾に“a”を付し、もう一方の移載アームには、符号の末尾に“b”を付してある。
【0050】
同図に示すように、移載アームから隣りの移載アームにウエハ407を受け渡す場合には、ウエハ支持部材406aとウエハ支持部材406bとが接触しないように互いに相手方移載アームに対する向きを傾ける。そして、例えば受け渡される側の移載アームが上下方向に下から上に移動することにより、ウエハ407は、支持される移載アームが変更される。これにより、移載アーム同士が干渉することなくウエハ407の受け渡しを完了することができる。なお、上記のように傾けずに、ウエハ407の受け渡しを行おうとするとウエハ支持部材406aとウエハ支持部材406bとが当然接触するが、これは、移載アームとして互いに同形でありかつそれぞれが左右対称の形状だからである。
【0051】
また、上記では、「互いに相手方移載アームに対する向きを傾ける」と説明したが、少なくともいずれかが相手方移載アームに対する向きを少し傾けるようにすれば、移載アーム同士が干渉を避けてウエハ407の受け渡しを行なうことができる。
【0052】
図12は、移載アームと処理ユニットとの関係を説明する図である。図11で説明したように移載アーム同士の干渉を避けてウエハ407の受け渡しを行なうと、必然的にウエハ407とウエハ支持部材406との支持位置関係は、非対称なものになる(図11参照)。したがって、処理ユニットとの関係においては、非対称に支持されたウエハ407を不都合なく処理ユニットに出し入れすることが必要となる。特にその場合問題となるのは、処理ユニット内の載置台に出没可能に設けられる受け渡し用の支持ピンとの位置関係である。
【0053】
図12(a)は、処理ユニットの載置台408に設ける受け渡し用の支持ピン409aをウエハ支持部材406と干渉しないように載置台408の中心に寄せたものである。このようにすれば、ウエハ407に対してウエハ支持部材406の支持位置が非対称であっても支持ピン409aとの干渉はなくなりかつ支持ピン409aによるウエハ407の上下移動も支障なく行なうことができる。
【0054】
図12(b)は、処理ユニットの載置台408に設ける受け渡し用の支持ピン409bをウエハ支持部材406と干渉しないように載置台408の中心からずらせて配置したものである。このようにしても、ウエハ支持部材406と支持ピン409aとの干渉はなくなりかつ支持ピン409bによるウエハ407の上下移動も支障なく行なうことができる。
【0055】
図12(c)は、処理ユニットの載置台408に設ける受け渡し用の支持ピン409cをウエハ支持部材406と干渉しないように載置台408のへり近くに配置したものである。このようにしても、ウエハ支持部材406と支持ピン409aとの干渉はなくなりかつ支持ピン409cによるウエハ407の上下移動も支障なく行なうことができる。
【0056】
図13(a)、図13(b)、図13(c)は、それぞれ、図12(a)、図12(b)、図12(c)と同様の考えで構成したものであって、かつ処理ユニットの位置(したがって載置台408Aの位置も)を、ウエハ407に対するウエハ支持部材406の支持位置非対称分だけ移動させて構成(すなわち、処理ユニットのうち当該移載アームに最も近い位置に配置されるものの真正面に対して移載アームの旋回の中心がずれている)したものである(したがって、処理ユニットに対してアクセスする場合の移載アームの向きは、図示するように処理ユニットに対してほぼ直角になる)。このような処理ユニットの配置によれば、移載アームと処理ユニットの関係においては、ウエハ407に対するウエハ支持部材406の支持位置非対称分を考慮することなく、ウエハ407の出し入れができる。
【0057】
図14は、移載アーム同士による別のウエハの受け渡し例を説明する図である。図14において、一方の移載アームには、符号の末尾に“a”を付し、もう一方の移載アームには、符号の末尾に“b”を付してある。
【0058】
同図に示すように、この形態では、移載アームの設けられるウエハ支持部材406Aa、406Abの形状が、移載アームとしての中心線(伸縮の方向線)について非対称とされている。このような形状のウエハ支持部材406Aa、406Abによれば、移載アームとして相手方移載アームにまっすぐ向かって近づけても、図示するように接触を避けることができる。そして、例えば受け渡される側の移載アームが上下方向に下から上に移動することにより、ウエハ407は、支持される移載アームが変更される。これにより、移載アーム同士が干渉することなくウエハ407の受け渡しを完了することができる。この形態では、隣接する移載アームは移載アームとして同形であるが、それらそれぞれが左右非対称の形状であることにより、上記のように両者の干渉を避けることができるものである。
【0059】
なお、このようなウエハ407受け渡しの際の干渉を避けるためには、他に、隣接する移載アームについて異形とする方法も採り得る。例えば、一方を“U”字形のウエハ支持部材とし、他方を“W”字形のウエハ支持部材とするなどである。“U”と“W”とであれば凹凸が互い違いになるからである。
【0060】
また、隣接する移載アームが移載アームとして異形であって、少なくともいずれかが左右非対称の形状であっても、両者の干渉を避けることは可能である。例えば、一方を左右対称の形状(例えば図9各図に示す形状)とし、他方を移載アームとしての中心線について非対称とする場合である。
【0061】
図15(a)、(b)、(c)は、図14に示した移載アームの場合について、移載アームと処理ユニットとの関係を説明する図である。図14で説明したような移載アーム同士の干渉を避ける形状のウエハ支持部材406Aの場合、やはり、処理ユニット内の載置台に出没可能に設けられる受け渡し用の支持ピンとウエハ支持部材406Aとの位置関係を問題とする必要がある。これは、ウエハ支持部材406Aとウエハ407との支持位置関係としても、図14に示すように非対称だからである。
【0062】
図15(a)は、処理ユニットの載置台408に設ける受け渡し用の支持ピン409aをウエハ支持部材406Aと干渉しないように載置台408の中心に寄せたものである。このようにすれば、ウエハ407に対してウエハ支持部材406Aの支持位置が非対称であっても支持ピン409aとの干渉はなくなりかつ支持ピン409aによるウエハ407の上下移動も支障なく行なうことができる。
【0063】
図15(b)は、処理ユニットの載置台408に設ける受け渡し用の支持ピン409bをウエハ支持部材406Aと干渉しないように載置台408の中心からずらせて配置したものである。このようにしても、ウエハ支持部材406Aと支持ピン409bとの干渉はなくなりかつ支持ピン409bによるウエハ407の上下移動も支障なく行なうことができる。
【0064】
図15(c)は、処理ユニットの載置台408に設ける受け渡し用の支持ピン409cをウエハ支持部材406Aと干渉しないように載置台408のへり近くに配置したものである。このようにしても、ウエハ支持部材406Aと支持ピン409cとの干渉はなくなりかつ支持ピン409cによるウエハ407の上下移動も支障なく行なうことができる。
【0065】
以上では、移載アーム同士による直接のウエハの受け渡しを説明したが、周知のように中継台(形状は台状には限られないので、その意味では被処理基体中継所)を介して間接にウエハを、移載アームから隣りの移載アームに受け渡すようにしてももちろんよい。
【0066】
(第2の参考例)
以下、第2の参考例について説明する。図16は処理装置2の平面図である。図16に示すように、処理装置2では、ウエハWを収納するキャリアカセットCを載置する基体容器載置台10と、その奥側に配設された第1の移載室30と、さらに第1の移載室30の奥側に第2の移載室50が配設されている。
【0067】
第1の移載室30の周囲に配設された第1の処理ユニット群は、左右に2基配設された予備洗浄処理ユニット160、170と、これらの予備洗浄処理ユニット160,170の奥側に設けられた2基のCVDユニット180、190とを有する。このうち予備洗浄処理ユニット160,170は低真空下で運転するリアクティブクリーンユニットであり、CVDユニット180、190は窒化タンタル(TaN)層を形成するCVDユニットである。なお、符号32は移載アームである。
【0068】
一方、第2の移載室50の周囲に配設された第2の処理ユニット群は全てスパッタリングユニットであり、手前側の2基がタンタル(Ta)層を形成するためのスパッタリングユニット200および210であり、奥側の2基が銅(Cu)層を形成するためのスパッタリングユニット220および230であり、これら4基のスパッタリングユニット200,210,220および230は全て高真空下で運転する処理ユニットである。
【0069】
図17は、予備洗浄ユニット160の垂直断面図である。予備洗浄ユニット160は、リアクティブクリーンユニットであり、洗浄ガスを用いてウエハWなどの被処理基体の表面を洗浄する装置である。
【0070】
水素ガス(H)、ハロゲン含有ガス(NF)等の洗浄ガスはキャリアガスとともに、ガス供給源1604より処理室1601に導入される。そして洗浄ガスは、上部電極1603にて励起活性化される。これにより、サセプタ1602上のウエハWなどの被処理基体の表面が化学反応を利用して洗浄される。なお、図17ではプラズマを発生させるための上部電極1603を処理室1601内に配置しているが、処理室1601の外側にコイルを配置してもよいし、励起活性種を処理室の外側から導入してもよい。また、下部電極を配置することにより励起活性種を被処理体上に誘引してもよいし、被処理体上のダメージを軽減するために下部電極を配設しなくてもよい。なお、符号1606は、ウエハWを出し入れするゲートバルブである。
【0071】
図18は、スパッタリングユニット200を模式的に示した垂直断面図である。図18に示すように、このスパッタリングユニット200の処理室2001は密閉可能な構造になっており、放電用ガスを処理室2001内に導入して高真空状態に維持できるようになっている。
【0072】
スパッタリング室2001の中央底部には基板ホルダ2002が配設されており、この上にウエハWを載置して処理する。基板ホルダ2002の上側にはターゲット2003が電極2004を介して保持されており、高真空下で電極2004から印加された電圧により放電用ガスが励起され、この励起された正のイオンがターゲット表面に衝突し、ターゲットの原子が外部に放出し、ウエハW表面に堆積させることによりウエハW表面に所望材料の層を形成するようになっている。なお、符号2005はウエハWを出し入れするゲートバルブである。
【0073】
この例では、タンタル(Ta)をターゲットに用いたタンタル(Ta)層形成用のスパッタリングユニット200および210と、銅(Cu)をターゲットに用いた銅(Cu)層形成用のスパッタリングユニット220および230を第2の処理ユニットとして搭載している。
【0074】
次に、処理装置2を用いて半導体装置を製造する際の工程について説明する。図19は、処理装置2を用いて半導体装置を製造するときのフローチャートであり、図20は、製造途中の半導体装置の状態を示した垂直断面図である。
【0075】
まず、基体容器載置台10の上に未処理ウエハWを複数枚収納したキャリアカセットCをセットして処理装置2を起動すると、サブアーム21がキャリアカセットC内にアクセスして未処理のウエハWを取り出し、第1のロードロック室20内に載置して載置台側のゲートバルブ(図示省略)を閉じる。次いで第1のロードロック室20内の気圧を第1の移載室30とほぼ同じ気圧にまで低下させ、第1のロードロック室20の移載室側のゲートバルブを開ける。
【0076】
この第1のロードロック室20内に第1の移載アーム31がアクセスして第1のロードロック室20内のウエハWを取り出し、予備洗浄ユニット(リアクティブクリーンユニット)160内に搬入する。予備洗浄前のウエハWは図20(a)に示したように、銅(Cu)製の下地配線層11A上面に絶縁層12A、例えばSiO層が所定のパターン状に形成されており、この絶縁層12Aが形成されたウエハW全面が自然酸化膜13Aで覆われている。
【0077】
予備洗浄ユニット160のゲートバルブ1606を閉じて密閉し、所定の圧力、温度状態に到達したら洗浄ガスを供給する。高周波電源等により励起活性された洗浄ガスは、ウエハW表面の自然酸化膜13Aと化学反応することにより、図20(b)に示すように、ウエハW全面を覆っていた自然酸化膜13Aが除去される(ステップ1)。なお、スパッタエッチの場合には、一定の圧力、温度条件下に維持されることにより予備洗浄ユニット160内の処理ガスがサセプタ上のウエハW表面に衝突してウエハW表面を洗浄する。このとき、処理ガス分子がウエハW表面に衝突し、図20(b)に示すように、ウエハW全面を覆っていた自然酸化膜13Aが除去される。
【0078】
次に予備洗浄ユニット160内への洗浄ガスの供給を停止し、予備洗浄ユニット160のゲートバルブ1606を開けて第1の移載アーム31をアクセスさせ、予備洗浄の終了したウエハWを取り出し、さらに奧側に配設された第1の移載アーム32に引渡す。このとき、第1の移載アーム31から32へ直接引き渡してもよく、第1の移載室30内に配設された一または二以上の移載部(中継台)を経由して引き渡してもよい。
【0079】
しかる後に予備洗浄ユニット160の奥側に隣設されたCVDユニットまたはALDユニット180内に第1の移載アーム32を進入させてサセプタ上にウエハWを載置する。CVDユニットまたはALDユニットのゲートバルブを閉じて所定の条件下に処理ガスを供給し、ウエハW表面に所望の材料層、本実施形態では窒化タンタル(TaN)層14Aを形成する(ステップ2)。この工程で図20(c)に示したようにウエハW表面に窒化タンタル(TaN)層14Aが形成される。
【0080】
次いでCVDユニットまたはALDユニットのゲートバルブを開け、CVDユニットまたはALDユニット180内に第1の移載アーム32がアクセスして窒化タンタル(TaN)層14Aの形成が完了したウエハWを取り出し、第2のロードロック室40の第1の搬送室側のゲートバルブ(図示省略)を開けて、この中にウエハWを載置する。この状態で第2のロードロック室40の第1の搬送室側のゲートバルブを全て閉じて密閉し、第2のロードロック室40内の気圧を第2の移載室50と同程度まで低下させる。
【0081】
次いで第2のロードロック室40の第2の移載室側のゲートバルブを開けて第2の移載アーム41をアクセスさせて第2のロードロック室40からウエハWを取り出し、タンタル(Ta)層形成用のスパッタリングユニット200内に搬入する。この状態でスパッタリングユニット200のゲートバルブ2005を閉じて密閉し、所定の温度、圧力条件下でウエハWにタンタル(Ta)層15Aを形成する(ステップ3)。このときウエハW表面では、窒化タンタル(TaN)層14Aの表面にタンタル(Ta)層15Aが形成され(図20(d))、次に形成する配線層である銅(Cu)層のシード層16Aの密着性と濡れ性とが改善される。
【0082】
所定のタンタル(Ta)層15Aの形成が完了したら、処理ガスの供給と電圧の印加とを停止し、スパッタリングユニット200のゲートバルブ2005を開けてスパッタリングユニット200内に第2の移載アーム41をアクセスさせてウエハWを取り出し、さらに奥側に配設された銅(Cu)層形成用のスパッタリングユニット220内に搬入する。
【0083】
ここでも前記スパッタリングユニット200と同様に所定条件下で処理ガスの供給と電圧の印加とをすることにより、ウエハW最上層のタンタル(Ta)層15A上に銅を堆積させて、図20(e)に示すように、ウエハW表面にシード層としての銅(Cu)層16Aを形成する(ステップ4)。こうして自然酸化膜13Aの除去から銅(Cu)層16Aの形成工程まで完了したら、第2の移載アーム41、第2のロードロック室40、第1の移載室30、第1の移載アーム32および31第1のロードロック室20を経て再びキャリアカセットC内に収容する。
【0084】
このように、本実施形態に係る処理装置2では、処理時の気圧の異なる処理ユニット群をロードロック室を介して連結したので、低真空下で行なう成膜処理から高真空下で行なう成膜処理まで処理装置2からウエハWを一度も取り出すことなく、首尾一貫して連続的に処理することができる。したがって、処理速度が高く、製造コストを低減化することができる。
【0085】
また、成膜途中で処理装置2からウエハWを取り出す必要がないので、製造途中の膜が酸化したり、劣化することがなく、高品質の膜が得られる。
【0086】
(第3の参考例)
図21は処理装置3の概略を示した平面図である。処理装置3では、前記第1の処理装置1で予備洗浄ユニット60および70として用いた超臨界洗浄ユニットの代わりに、処理ガスで洗浄する、リアクティブイオンエッチユニット61、71を使用する。これらのリアクティブイオンエッチユニット61、71は、後段処理で用いるCVDユニット80,90,140,150やALDユニット100,110,120,130と同じ移載室30Aの周囲に配設する。なお、符号33、34、35、36は移載アームである。
【0087】
リアクティブイオンエッチユニット61、71は減圧下で使用するのでこのようなユニットのレイアウトが可能となる。このように処理装置3では、一つの移載室30Aの回りに多数の処理ユニットを配設したので、より面積効率の高い処理装置を得ることができる。
【0088】
(第4の参考例)
図22は処理装置4の概略を示した平面図である。処理装置4では、これまで述べた処理ユニットを組み合わせることにより、図23に示すフローチャートの処理を連続で行える構成となっている。図24(a)〜(f)および図25(a)、(b)は処理過程のウエハWの垂直断面図である。
【0089】
処理装置4で処理を行うと、最初に未処理のウエハWが予備洗浄ユニット240内に搬入される。この段階ではウエハWの表面には図24(a)に示したように、下地11B上に自然酸化膜13Bが形成されている。予備洗浄ユニット240内で予備洗浄処理を行うと(ステップ1)、ウエハW表面の自然酸化膜13Bが除去されて図24(b)のような状態になる。
【0090】
次いでウエハWをアニ−ル処理ユニット250内に移し替え、ここで予備洗浄後の熱処理であるアニ−ル処理を行う(ステップ2)。この熱処理工程では、フッ素系物質などの残留物19Bが除去される((c))。次いでアニ−ル処理後のウエハWを界面酸化膜形成ユニット260内に移し替え、この界面酸化膜形成ユニット260内でシリコン酸化膜14Bを形成する(ステップ3、図24(d))。ここで形成する界面酸化膜14BはウエハW界面の電気特性を向上させるためのものである。
【0091】
次いで界面酸化膜14B形成後のウエハWを窒化膜形成ユニット270に移し替え、この窒化膜形成ユニット270内で界面酸化膜14Bの表面を窒化して窒化膜15Bを形成する(ステップ4、図24(e))。窒化膜15Bは、上下層とのバリア層である。次いで、窒化膜15Bを形成したウエハWをゲート絶縁膜形成ユニット280内に移し替える。
【0092】
このゲート絶縁膜形成ユニット280としては、アルミナ層形成ユニット、ジルコニウムオキサイド層形成ユニット、ジルコニウムシリケイト層形成ユニット、ハフニウムオキサイド層形成ユニット、ハフニウムシリケイト層形成ユニット、イットリウムオキサイド層形成ユニット、イットリウムシリケイト層形成ユニット、ランタンオキサイド層形成ユニット、および、ランタンシリケイト層形成ユニットのいずれかが挙げられる。このゲート絶縁膜形成ユニットでウエハW表面の窒化膜15Bの上にゲート絶縁膜16Bを形成する(ステップ5、図24(f))。
【0093】
ゲート絶縁膜16Bの形成が完了したら、ウエハWをゲート絶縁膜形成ユニットからアニール処理ユニット290内に移し替え、この中でゲート絶縁膜16Bの熱処理を行う(ステップ6)。このゲート絶縁膜16Bの熱処理工程でゲート絶縁膜16Bの改質が行なわれる。
【0094】
ゲート絶縁膜16Bの熱処理が完了したら、処理後のウエハWをアニ−ル処理ユニット290からゲート電極バリア膜形成ユニット400に移し替える。ここで形成されるゲート電極バリア膜は、ゲート絶縁膜16Bと次に形成するゲート電極のバリア用である。バリア膜形成ユニット400としては、具体的には、マンガン膜形成ユニット、ニオブ層形成ユニット、アルミニウム層形成ユニット、モリブデン層形成ユニット、ジルコニウム層形成ユニット、バナジウム層形成ユニット、コバルト層形成ユニット、レニウム層形成ユニット、イリジウム層形成ユニット、白金層形成ユニット、および、ルテニウムオキサイド層形成ユニットのいずれかが挙げられる。このバリア膜形成ユニット400内でゲート電極バリア膜17Bの形成を行う(ステップ7、図25(a))。
【0095】
ゲート電極バリア膜17Bの形成が完了したら、処理後のウエハWをゲート電極形成ユニット410内に移し替え、ここでゲート電極18Bの形成を行う(ステップ8、図25(b))。このゲート電極形成ユニット410は、ゲート電極の成膜を行うユニットであり、具体的には、タングステン層形成ユニット、アルミニウム層形成ユニットのいずれかを挙げることができる。上記一連の工程が完了したら、処理後のウエハWを処理装置4から搬出する。
【0096】
処理装置4では、上述のように8工程もの処理を連続して大気にさらすことなく処理できるので製造途中の膜が酸化したり、劣化することがなく、高品質の膜が得られる。さらに、一つの移載室の回りに多数の処理ユニットを配設したので、より面積効率の高い処理装置を得ることができる。
【0097】
(実施形態)
図26は本発明の実施形態に係る処理装置5の概略構成を示した図であり、図26(a)は平面図を、図26(b)は側面図をそれぞれ表わす。本実施形態に係る処理装置5では、前記の処理装置4では移載室50の周囲に配設した処理ユニット群を、上下二段に分けて配設する。すなわち、移載室50を垂直方向に伸ばし、これに伴い移載アーム33を、回転、伸縮に加えて垂直方向にもやや大きく昇降可能な構造とする。
【0098】
移載室50の下段側周囲には、予備洗浄ユニット240、アニール処理ユニット250および界面酸化膜形成ユニット260の三基のユニットを配設し、移載室50の上段側には窒化膜形成ユニット270、ゲート絶縁膜形成ユニット280、アニール処理ユニット290、ゲート電極バリア膜形成ユニット400、ゲート電極形成ユニット410の五基のユニットを配設する。
【0099】
さらに、下段側の各ユニットと上段側のユニットとは干渉しないように、下段で隣接する二基のユニットの間の位置に上段側のユニットが位置するようなレイアウトにする。このようなレイアウトにすることにより、下段側の各ユニットの保守点検などの作業がし易いという利点が得られる。
【0100】
このように本実施形態に係る処理装置5では、一つの移載室50の回りに多数の処理ユニットを二段に分けて配設したので、より面積効率の高い処理装置を得ることができる。また、それぞれの処理ユニットで比較的高さの低いユニット、例えばALDユニットを下段に配置することで、移載アーム33の昇降範囲を最小化することもでき、さらに、ユニットの上面からのメンテナンスが不要となる構造にすることにより、上下段のユニットを重ねて配置することも可能になる。
【0101】
なお、上記では、具体的に半導体装置の製造工程として、フローチャートで三例示した。本処理装置は、上記で述べた処理ユニット以外の、例えば、エッチングユニット、アッシングユニット、イオン注入ユニット、熱処理ユニット、洗浄ユニット、塗布現像ユニット等を用いることにより、他の工程にも適用できる。さらに、本発明の処理装置は、半導体以外の例えばLCD装置の製造にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】第1の参考例に係る処理装置の平面図。
【図2】第1の参考例に係る処理装置の予備洗浄ユニットの垂直断面図。
【図3】第1の参考例に係る処理装置のCVDユニットの垂直断面図。
【図4】第1の参考例に係る処理装置のALDユニットの垂直断面図。
【図5】第1の参考例に係る処理装置で半導体装置を製造するときのフローチャート。
【図6】第1の参考例に係る処理装置による半導体装置の製造プロセスを示す垂直断面図。
【図7】第1の参考例に係る処理装置の面積効率を従来型の装置と比較したグラフ。
【図8】第1の参考例に係る処理装置の処理速度を従来型の装置と比較したグラフ。
【図9】第1の参考例に係る処理装置に適用可能な移載アームの構成および伸縮動作を模式的に示す図。
【図10】図9に示した移載アームの旋回動作を模式的に示す図。
【図11】図9、図10に示した移載アーム2台による被処理基体の受け渡しを説明する図。
【図12】図9、図10に示した移載アームによる処理ユニットへの被処理基体の搬入・搬出動作を説明する図。
【図13】図9、図10に示した移載アームによる処理ユニットへの被処理基体の別の搬入・搬出動作を説明する図。
【図14】図9、図10に示した移載アームとは異なる移載アーム2台による被処理基体の受け渡しを説明する図。
【図15】図14に示した移載アームによる処理ユニットへの被処理基体の搬入・搬出動作を説明する図。
【図16】第2の実施形態に係る処理装置の平面図。
【図17】第2の参考例に係る処理装置のリアクティブクリーンユニットの垂直断面図。
【図18】第2の参考例に係る処理装置のスパッタリングユニットの垂直断面図。
【図19】第2の参考例に係る処理装置で半導体装置を製造するときのフローチャート。
【図20】第2の参考例に係る処理装置による半導体装置の製造プロセスを示す垂直断面図。
【図21】第3の参考例に係る処理装置の平面図。
【図22】第4の参考例に係る処理装置の平面図。
【図23】第4の参考例に係る処理装置を運転したときのプロセスフロー図。
【図24】第4の参考例に係る処理装置により製造される半導体装置の製造プロセスを示す垂直断面図。
【図25】図24の続図であって、第4の参考例に係る処理装置により製造される半導体装置の製造プロセスを示す垂直断面図。
【図26】本発明の実施形態に係る処理装置の構成を示す図。
【図27】従来型の6チャンバ型処理装置の平面図。
【符号の説明】
【0103】
1…処理装置 2…処理装置 3…処理装置 4…処理装置 5…処理装置6…処理装置 10…基体容器載置台 11…下地 11a…下地表面 11A…下地配線層 11B…下地 12…絶縁層 12a…開口部 12A…絶縁層13…自然酸化膜 13A…自然酸化膜 13B…自然酸化膜 14…チタン層 14A…窒化タンタル層 14B…シリコン酸化膜 15…窒化チタン層15A…タンタル層 15B…窒化膜 16…タングステン層 16A…シード層 16B…ゲート絶縁膜 17B…ゲート電極バリア膜 18B…ゲート電極19B…残留物 20…ロードロック室 21…サブアーム 30…移載室30A…移載室 31、32、33、34、35、36…移載アーム 40…ロードロック室 41、42、43…移載アーム 50…移載室 60…予備洗浄ユニット 61…リアクティブイオンエッチユニット 31a、31b…ウエハ保持部材 80、90…CVDユニット 100、110、120、130…ALDユニット 140、150…CVDユニット 160、170…予備洗浄ユニット 180、190…CVDユニット 200、210…スパッタリングユニット 220、230…スパッタリングユニット 240…予備洗浄ユニット250…アニール処理ユニット 260…界面酸化膜形成ユニット 270…窒化膜形成ユニット 280…ゲート絶縁膜形成ユニット 290…アニール処理ユニット 400…ゲート電極バリア膜形成ユニット 401…回転中心部材402、403、404、405…アーム 406、406a、406b…ウエハ支持部材 406A、406Aa、406Ab…ウエハ支持部材 407…ウエハ 408、408A…載置台 409a、409b、409c…支持ピン410…ゲート電極形成ユニット 601…処理室 601a…開口部 602…サセプタ 603…導入部 604…二酸化炭素源 605…ゲートバルブ606…排気口 607…コンプレッサ 608…熱交換器 801…処理室801a…開口部 802…ガス導入管 802a…ガス出口 803…ガス供給源 804…ガス排気管 805…サセプタ 806…ゲートバルブ 807…シャワーヘッド 1006…ゲートバルブ 1601…処理室 1602…サセプタ 1603…上部電極 1604…ガス供給源 1606…ゲートバルブ 2001…スパッタリング室 2002…基板ホルダ 2003…ターゲット 2004…電極 2005…ゲートバルブ C…キャリアカセット U1、U2、U3、U4、U5、U6、U7、U8、U9、U10、U11、U12…処理ユニット W…ウエハ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被処理基体を収容する基体容器を載置する基体容器載置台と、
前記基体容器載置台に隣設され、内部を所定の気圧に維持し得る移載室と、
前記移載室の周囲に配設され、被処理基体を処理する処理ユニットと、
前記移載室内に配設され、被処理基体を移載する移載アームとを具備し、
前記処理ユニットの少なくとも一つが他の前記処理ユニットに対して上下方向に配設されていることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の処理装置であって、
前記処理ユニットが、
窒化チタン層形成ユニット、窒化タンタル層形成ユニット、および窒化タングステン層形成ユニットからなる群から選択される一の処理ユニットと、チタン層形成ユニットと、タングステン層形成ユニットとを各二基以上と、
一または二以上の予備洗浄処理ユニット
であることを特徴とする処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の処理装置であって、
前記処理ユニットが、
窒化タンタル層形成ユニット、窒化チタン層形成ユニット、および窒化タングステン層形成ユニットからなる群から選択される一の処理ユニットと、タンタル層形成ユニットと、銅層形成ユニットとを各二基以上と、
一または二以上の予備洗浄処理ユニット
であることを特徴とする処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の処理装置であって、
前記処理ユニットが、
予備洗浄処理ユニット、アルミナ層形成ユニット、ジルコニウムオキサイド層形成ユニット、ジルコニウムシリケイト層形成ユニット、ハフニウムオキサイド層形成ユニット、ハフニウムシリケイト層形成ユニット、イットリウムオキサイド層形成ユニット、イットリウムシリケイト層形成ユニット、ランタンオキサイド層形成ユニット、ランタンシリケイト層形成ユニット、酸化膜形成ユニット、窒化膜形成ユニット、マンガン膜形成ユニット、ニオブ層形成ユニット、アルミニウム層形成ユニット、モリブデン層形成ユニット、ジルコニウム層形成ユニット、バナジウム層形成ユニット、コバルト層形成ユニット、レニウム層形成ユニット、イリジウム層形成ユニット、白金層形成ユニット、ルテニウムオキサイド層形成ユニット、アニール処理ユニット、タングステン層形成ユニットからなる群から選択される処理ユニットであることを特徴とする処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項記載の処理装置であって、
前記移載アームが垂直方向に昇降可能とされていることを特徴とする処理装置。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか1項記載の処理装置であって、
前記処理ユニットが、下段と上段の2段に設けられ、下段で隣接する二基の処理ユニットの間の位置に上段側の処理ユニットが設けられていることを特徴とする処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2008−34858(P2008−34858A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203732(P2007−203732)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【分割の表示】特願2002−146187(P2002−146187)の分割
【原出願日】平成14年5月21日(2002.5.21)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】