説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】 チャネル形成領域に異なる応力を発声させる膜を互いに積層形成した半導体装置において、当該膜のエッジ部形状に起因するボイドが形成された場合であっても、隣り合うコンタクトがショートすることがない半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 コンタクト開口部を形成した後に絶縁材料を堆積して、コンタクト開口部に表出したボイド開口部を塞ぐ。これにより、当該ボイドに導電性材料が侵入することを防止し、隣り合うコンタクトがショートすることを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板上にMIS構造(Metal Insulator Semiconductor)から成る電界効果トランジスタを有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MIS構造を有するトランジスタのうち絶縁膜として酸化膜を用い、同一基板上にnMOSFET(n Channel Metal Oxide Field Effect
Transistor)とpMOSFET(p Channel Metal Oxide Field Effect Transistor)が形成されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)FETが実用化されている。CMOSFETは電力消費が少なく、微細化、高集積化、高速動作が可能であることから、LSIデバイスとして広く実用化されている。
【0003】
近年このCMOSではMOSFETのチャネル形成領域に対して意図的に応力を付与してキャリア移動度を増大させる動作高速化技術が研究されている。その中で、nMOSFETのチャネル形成領域に引っ張り応力を発生させる膜を、pMOSFETのチャネル形成領域に圧縮応力を発生させる膜をそれぞれのMOSFET上に形成した、Dual Stress Liner技術(以下DSL技術という)を用いた半導体装置が知られている(特許文献1)。(以下特に明記しない限り、nMISFET及びnMOSFETを総称してnFETと、また、pMISFET及びpMOSFETを総称してpFETと記載する。)
図13は従来から知られているDSL技術を用いた半導体装置の製造プロセス途中における模式的断面図である。半導体基板101にはp型半導体領域102とn型半導体領域103とが形成されている。p型半導体領域102の表面近傍には、n型不純物層105及び導電体層106からなるソース領域又はドレイン領域が形成されている。ソース領域とドレイン領域との間のp型半導体領域102の表面にはチャネル形成領域109が構成されている。チャネル形成領域109の上にはゲート絶縁膜110を介してゲート電極111と導電体膜112が形成されている。このようにして図13の半導体基板101の表面左側にはnFETが構成されている。同様に、n型半導体領域103の表面近傍には、p型不純物層107及び導電体層108からなるソース領域又はドレイン領域、チャネル形成領域113、ゲート絶縁膜114、ゲート電極115、導電体膜116が形成されている。このようにして図13の半導体基板101の表面右側にはpFETが形成されている。
【0004】
次に、nFETにはそのゲート電極111を覆うようにして第一の膜117が選択的に形成され、チャネル形成領域109に引っ張り応力を発生させる。同様にpFETにはそのゲート電極を覆い、第一の膜117の一部を覆うようにして第二の膜118が選択的に形成され、チャネル形成領域113に圧縮応力を発生させる。
【特許文献1】国際公開2002/043151号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この第二の膜118をエッチングして第一の膜117の上の第二の膜118を除去する際に、第二の膜118のエッジ部が第一の膜117の界面近傍においてオーバーエッチされ、ひさし、あるいは、日傘上にせり出してオーバーハング120が形成される。図13はこの状態を示している。
【0006】
図14は、第一の膜117と第二の膜118の上に層間絶縁膜119を堆積し、フォトリソグラフィ及び異方性エッチングによりコンタクト開口部121を形成した半導体装置の製造プロセス途中における模式的断面図である。層間絶縁膜119を堆積させる工程において、第二の膜のオーバーハング120下部に層間絶縁膜119の絶縁材料が回り込むことができず、ボイド123が形成される。このボイドがコンタクト開口部121と交差すると、その側壁にボイド123の開口が形成される。次に、FETと外部回路との電気的導通をとるためにコンタクト開口部121に導電材料が堆積されてプラグが形成される。そうすると、導電材料が当該ボイド123に侵入し、あるいは、オーバーハング120の下部表面に導電性不純物が残留してボイド123が電気的に導通状態となり、隣接するコンタクト間においてショートが発生してLSIの動作不良の原因となった。
【0007】
図15は図14に示した半導体装置を上部から見た模式的平面図である。素子分離領域104を挟んでnFET1とnFET2からなるnFET領域と、pFET1とpFET2からなるpFET領域が示されている。コンタクト開口部121が各ソース領域及びドレイン領域に2個ずつ形成され、コンタクト開口部121a、121b、121cを連通するようにしてボイド123が形成されている。
【0008】
図16は、ボイド123の形成状態の理解を容易にするため、導電体層であるドレイン領域106の上部構造を表した模式的斜視図である。導電体層であるドレイン領域106上の両コンタクト開口部121aと121cとは、第二の膜118の端部に形成されたオーバーハング120に起因するボイド123により連通する。その後コンタクト開口部に導電材料を堆積させてプラグを形成すると、nFET1のコンタクト開口部121aに形成したプラグとnFET2のコンタクト開口部121bに形成したプラグとが電気的に導通してショートが発生しLSIの動作不良の原因となった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するために以下の手段を講じた。
【0010】
請求項1に係る本発明では、基板上に第一トランジスタと第二トランジスタを形成する工程と、前記第一トランジスタに応力を発生させる第一の膜を前記第一トランジスタの上に形成する工程と、前記第一の膜の上に薄い絶縁膜を形成する工程と、前記第二トランジスタに応力を発生させる第二の膜を前記第二トランジスタの上及び前記薄い絶縁膜の上に選択的に形成する工程と、前記薄い絶縁膜及び第二の膜の上に第一絶縁膜を形成する工程と、前記第一絶縁膜及び前記第二の膜を選択的に除去してコンタクト開口部を形成する工程と、前記コンタクト開口部の内壁に絶縁物を堆積する工程と、を含む半導体装置の製造方法とした。
【0011】
請求項2に係る本発明では、前記基板上に第一トランジスタ及び第二トランジスタを形成する工程は、半導体基板の第一表面領域に第一導電領域及び第一チャネル形成領域を形成するとともに、前記第一表面領域とは異なる第二表面領域に第二導電領域及び第二チャネル形成領域を形成する工程を含み、前記第一の膜は前記第一チャネル形成領域に引っ張り応力を、前記第二の膜は前記第二チャネル形成領域に圧縮応力を発生させることを特徴とする請求項1に記載した半導体装置の製造方法とした。
【0012】
請求項3に係る本発明では、前記コンタクト開口部の内壁に絶縁物を堆積する工程は、前記コンタクト開口部を形成した基板上に第二絶縁膜を堆積する工程と、前記第二絶縁膜を選択的に除去して前記コンタクト開口部の内壁にサイドウオールを形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法とした。
【0013】
請求項4に係る本発明では、基板上に形成された第一トランジスタ及び第二トランジスタと、
前記第一トランジスタの上に形成され、前記第一トランジスタに応力を発生させる第一の膜と、前記第一の膜の上に形成された薄い絶縁膜と、前記第二トランジスタの上に形成されるとともに前記薄い絶縁膜の表面の一部に延在して形成され、前記第二トランジスタに応力を発生させる第二の膜と、前記薄い絶縁膜及び第二の膜の上に形成された第一絶縁膜と、前記第一絶縁膜及び前記第二の膜が選択的に除去されて形成されたコンタクト開口部と、前記コンタクト開口部の内壁であって、前記第一の膜又は前記第二の膜の近傍に形成された絶縁物と、を含む半導体装置とした。
【0014】
請求項5に係る本発明では、前記第一トランジスタは、半導体基板の第一表面領域に形成されたnFETであって第一チャネル形成領域を有し、前記第二トランジスタは、前記第一表面領域とは異なる第二表面領域に形成されたpFETであって第二チャネル形成領域を有し、前記第一の膜は前記第一チャネル形成領域に引っ張り応力を、前記第二の膜は前記第二チャネル形成領域に圧縮応力を発生させることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置とした。
【0015】
請求項6に係る本発明では、前記コンタクト開口部の内壁には、前記絶縁物によってサイドウオールが形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の半導体装置とした。
【0016】
請求項7に係る本発明では、前記コンタクト開口部の上部断面積は下部断面積よりも大きいことを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の半導体装置とした。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、第一の膜と薄い絶縁膜とを第一トランジスタの上に選択的に形成し、第二の膜を第二トランジスタと薄い絶縁膜の上に成膜し、第二の膜を薄い絶縁膜の上の一部に残して選択的に除去した場合に、第二の膜の端部形状がオーバーハングとなってその上に堆積した第一絶縁膜にボイドが形成され、隣り合うコンタクト開口部が連通した場合であっても、コンタクト開口部の内壁に更に絶縁物を堆積させるのでボイドを介してコンタクト開口部間が連通することを防止することができる。その結果、コンタクト開口部に導体を充填してプラグを形成しても隣り合うプラグ同士がショートすることがない。そのために、設計ルールを変更することなく、第一の膜や第二の膜に適用する材料の選択肢が拡大されるとともに、成膜条件や処理条件の制限が大幅に緩和された半導体装置の製造方法を提供することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、第一の膜は第一トランジスタのチャネル形成領域に引っ張り応力を発生させ、第二の膜は第二のトランジスタのチャネル形成領域に圧縮応力を発生させることができるために、トランジスタのキャリア移動度を効果的に向上させることができ、かつ、コンタクト開口部がボイドにより連通することがないため隣り合うプラグ同士のショートを防止することができる半導体装置の製造方法を提供することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、コンタクト開口部の内壁に絶縁物を堆積させてサイドウオールを形成するので、第二の膜の端部がオーバーハングとなってその上に形成した第一絶縁膜にボイドが形成されて隣り合うコンタクト開口部が連通した場合であっても、その後に形成した絶縁物によるサイドウオールにより、コンタクトホール開口部間の連通を確実に阻止することができる。そのために、隣り合うプラグ同士がショートすることがなく、製造歩留まりを向上させることができる半導体装置の製造方法を提供することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、第一トランジスタの上に形成され第一トランジスタに応力を発生させる第一の膜と、その上に形成された薄い絶縁膜と、第二トランジスタの上に形成され、第二のトランジスタに応力を発生させるとともに薄い絶縁膜の上に選択的第二の膜が形成され、コンタクト開口部の内壁であって第二の膜の近傍に絶縁物が形成されているので、第二の膜の端部がオーバーハングとなってその上に堆積された第一絶縁膜にボイドが形成され、隣り合うコンタクト開口部が連通した場合であっても、コンタクト開口部の内壁に更に絶縁物が堆積されているのでボイドを介してコンタクト開口部間が連通することがない。その結果、コンタクト開口部に導体が充填されてプラグが形成されても隣り合うプラグ同士がショートすることがなく、設計ルールを変更することなく第一の膜や第二の膜に適用する材料の選択肢が拡大されるとともに、成膜条件や処理条件の制限が大幅に緩和された半導体装置を提供することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、nFETおよびpFETの各表面にそれぞれ第一の膜および第二の膜が形成されており、nFETのチャネル形成領域に引っ張り応力が、pFETのチャネル形成領域に圧縮応力が発生するために、トランジスタのキャリア移動度を向上させることができ、かつ、コンタクト開口部がボイドにより連通することがないため隣り合うプラグ同士のショートを防止することができる半導体装置を提供することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、第二の膜の端部がオーバーハングとなってその上に形成された第一絶縁膜にボイドが形成され、隣り合うコンタクト開口部が連通したとしても、コンタクト開口部の内壁にサイドウオールが形成されてボイドの開口部が確実に塞がれている。その結果、その後に形成されるプラグ同士がショートすることがなく、製造歩留まりを向上させることができる半導体装置を提供できる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、コンタクト開口部の上部断面積を下部断面積よりも大きくしたので、コンタクト部におけるプラグの高抵抗化を防止することができ、高密度高速動作の半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の半導体装置及びその製造方法は、まず、基板上の第一表面領域に第一トランジスタを、第一表面領域とは異なる第二表面領域に第二のトランジスタを形成する。基板としては半導体単結晶基板を使用することができる。また、絶縁体の上に半導体層を形成したSOI(Silicon On Insulator)基板を用いることができる。
【0025】
第一トランジスタ及び第二トランジスタは例えば次のようにして形成することができる。まず、基板上にゲート絶縁膜を介して第一表面領域に第一ゲート電極を、第二表面領域に第二ゲート電極を形成する。そして、第一ゲート電極下部の基板の表面近傍に第一チャネル形成領域を規定し、この第一チャネル形成領域を挟むように分離してソース領域及びドレイン領域からなる第一導電領域を形成する。同様に、第二ゲート電極下部の基板の表面近傍に第二チャネル形成領域を規定し、この第二チャネル形成領域を挟むように分離してソース領域及びドレイン領域からなる第二導電領域を形成する。第一チャネル形成領域がnチャネル導電型である場合、第一トランジスタはnFETであり、第二チャネル形成領域がpチャネル導電型の場合、第二トランジスタはpFETである。
【0026】
次に、第一の膜及び薄い絶縁膜を、第一表面領域の第一ゲート電極や第一導電領域、及び、第二表面領域の第二ゲート電極や第二導電領域の上に成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチング技術を用いて第二表面領域の第一の膜及び薄い絶縁膜を選択的に除去する。次に、第二の膜を、第一表面領域の薄い絶縁膜、及び、第二表面領域の第二ゲート電極や第二導電領域の上に成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチング技術を用いて薄い絶縁膜の一部の表面に残して第一表面領域から選択的に除去する。薄い絶縁膜は第二の膜のエッチングの際に、エッチングストッパーとして機能する。これにより、第一の膜は第一チャネル形成領域に応力を発生させ、第二の膜は第二チャネル形成領域に応力を発生させる。この第二の膜を選択的にエッチングすると、薄い絶縁膜の界面近傍がアンダーエッチされ、ひさし状あるいは日傘状のオーバーハングが形成される。
【0027】
第一の膜及び第二の膜としてシリコン窒化膜を用いることができる。また、シリコン窒化膜の他にシリコン酸化膜やこれらの多層構造膜を用いることができる。また、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜に限定されるものでなく、トランジスタのチャネル形成領域に必要な応力を発生させることができるものであればよく、他の絶縁性材料や、導電性材料と絶縁性材料を組み合わせた複合構造の膜を使用することができる。薄い絶縁膜としては酸化膜、例えばシリコン酸化膜を用いることができる。
【0028】
シリコン窒化膜はその成膜条件や成膜後の表面処理によってチャネル形成領域に発生する応力を変化させることができる。例えば第一トランジスタがnFETの場合は引っ張り応力を第一チャネル形成領域に発生させ、第二トランジスタがpFETの場合は圧縮応力を第二チャネル形成領域に発生させることができる。一般に、nFETはチャネル形成領域の引っ張り応力が大きいほどドレイン電流が増加し、一方pFETはチャネル形成領域の圧縮応力が大きいほどドレイン電流が増加する。
【0029】
次に、基板上に第一絶縁膜を堆積する。第一絶縁膜はシリコン酸化膜を用いることができる。この層は層間絶縁膜として機能する。次に、第一トランジスタ及び第二トランジスタの第一導電領域及び第二導電領域と外部回路との導通をとるためにコンタクト開口部を形成する。コンタクト開口部はフォトリソグラフィ及び異方性エッチングにより第一絶縁膜、第二の膜、薄い絶縁膜および第一の膜の順に掘り下げ、第一トランジスタの第一導電領域が露出するまで行う。
【0030】
次に、第一絶縁膜の上及びコンタクト開口部の内部に絶縁物を堆積する。絶縁物はコンタクト開口部の側壁にも堆積し、第二の膜の端部形状がオーバーハングとなりこの部分にボイドが形成されてコンタクト開口部内壁にボイド開口部が表出した場合でも、このボイド開口部を塞ぐことができる。また、コンタクト開口部に堆積した絶縁物によってサイドウオールを形成することができる。更に、この後コンタクト開口部に導電材料を堆積して電極としてのプラグを形成するが、上記サイドウオールを形成したことによってプラグの直径が縮小してその抵抗が大きくなるのを防止するため、サイドウオールをコンタクト開口部の底部の第二の膜近傍の内壁にのみに残してその他の内壁から除去することができる。このようにボイド開口部を塞ぐことによって、コンタクト開口部に導電材料からなるプラグを形成してもこの導電材料がボイド内部に侵入することがない。
【0031】
以下、図1から図12に示す半導体装置の模式的断面図を用いて本発明の実施の形態をさらに詳細に説明する。
【0032】
図1は、基板の表面領域にnFETとpFETを形成した状態を示す模式的断面図である。基板としてはシリコン半導体基板(以下、半導体基板1という)を用いる。まず、半導体基板1の表面に減圧CVD(Chemical Vapor Deposition)によりシリコン窒化膜を堆積させ、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、素子分離領域とすべき領域のシリコン窒化膜及び半導体基板を順次選択的に除去して浅いトレンチを形成する。次に、このトレンチに減圧CVDによりシリコン酸化膜を堆積させてそのトレンチを埋め込む。その後、化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polish)を施して平坦化し、続いて酸素雰囲気中で熱酸化を行って酸化膜を緻密化し、素子分離領域4を形成する。その後、シリコン窒化膜を除去し、半導体基板にイオン注入を行って、nFETを形成する領域にp-ウエルであるp型領域2を、pFETを形成する領域にnウエルであるn型領域3を形成する。半導体基板としてp型あるいはn型を用いて上記いずれかのイオン注入工程を省略することもできる。
【0033】
次に、ゲート絶縁膜14、18及びゲート電極15、20を形成する。ゲート絶縁膜14、18は半導体基板1の表面を熱酸化して形成し、その上にポリシリコンを減圧CVDにより堆積させ、フォトリソグラフィ及びエッチングにより選択的に除去してポリシリコンから成るゲート電極15、20を形成する。次に、素子分離領域4の左側であるnFET領域にゲート電極15をマスクとして砒素をイオン注入してLDD(Lightly Doped Drain)領域を形成する。同様に、素子分離領域4の右側であるpFET領域にゲート電極20をマスクとしてボロンをイオン注入してLDD領域を形成する。次に、プラズマCVDによりシリコン窒化膜とシリコン酸化膜を堆積し、異方性エッチングを施してゲート電極15、20にゲートサイドウオール17、21を形成する。次に、nFET領域にゲート電極15とそのゲートサイドウオール17をマスクとして砒素又は燐をイオン注入して第一導電領域を構成するソース領域5及びドレイン領域7を半導体基板の表面近傍に形成する。同様に、pFET領域にゲート電極20とそのゲートサイドウオール21をマスクとしてボロンをイオン注入して第二導電領域を構成するソース領域10及びドレイン領域13を形成する。
【0034】
次に、半導体基板の全面にコバルトをスパッタリングにより堆積し、次に瞬時熱処理(RTA:Rapid Thermal Anneal)を行って、ソース領域5、10及びドレイン領域7、13、更に、ポリシリコンから成るゲート電極15、20の上のコバルトをシリサイド化(CoSi)した導電層6、8、11、12、16、19を形成する。その他の領域、例えば素子分離領域4の上のコバルトを除去する。そして導電層であるコバルトシリサイド層6、8とソース領域5及びドレイン領域7から成る第一導電領域をnFET領域に形成する。同様に、コバルトシリサイド層11、12とソース領域10及びドレイン領域13から成る第二導電領域をpFET領域に形成する。
【0035】
図2は、nFET領域及びpFET領域の導電層6、8、11、12、16、19及び素子分離領域4の上に第一の膜22及び薄い絶縁膜40を堆積した半導体基板1の模式的断面図である。より具体的には、第一の膜22としてプラズマCVD法によりシリコン窒化膜を50nmから100nm堆積する。シリコン窒化膜の他の堆積方法として、熱CVD法によりシリコン窒化膜を形成してもよく、また、シリコン窒化膜と他の膜との二層構造や複合構造とすることもできる。薄い絶縁膜40としては絶縁膜、例えばシリコン酸化膜を使用することができる。
【0036】
図3は、第一の膜22及び薄い絶縁膜40を素子分離領域及びpFET領域から除去した半導体基板1の模式的断面図である。より具体的には、フォトリソグラフィ及びエッチングによって第一の膜22及び薄い絶縁膜40をnFET領域に残しpFET領域から除去する。第一の膜22はnFETの第一チャネル形成領域9に引っ張り応力を発生させる。なお、本実施の形態ではnFETに引っ張り応力を発生させた例を示しているが、この領域にpFETを形成して第一の膜22によりpFETのチャネル形成領域に圧縮応力を発生させるようにしても良い。
【0037】
図4は、図3の半導体基板の上に第二の膜23を堆積した半導体基板1の模式的断面図である。より具体的には、プラズマCVD法によりシリコン窒化膜を50nmから100nm堆積する。シリコン窒化膜の他の堆積方法として、熱CVD法によりシリコン窒化膜を形成してもよく、また、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜の二層構造やその他の複合構造とすることもできる。
【0038】
図5は、第二の膜23を選択的に除去した半導体基板1の模式的断面図である。より具体的には、フォトリソグラフィ及びエッチングによって、第二の膜23を、pFETの上、及びnFETの第一導電領域7、8の上部であり薄い絶縁膜40と積層する部分を残してnFET領域の他の部分から除去する。このとき、薄い絶縁膜40に接する第二の膜23であるシリコン窒化膜はその端部においてアンダーカットされ、ひさし状あるいは日傘状のオーバーハング24が形成される。第二の膜23としてプラズマCVD法によるシリコン窒化膜を用いて、第二チャネル形成領域9’に圧縮応力を発生させる。プラズマCVD法によって堆積したシリコン窒化膜は、その成膜条件や成膜後の表面処理等によりシリコン窒化膜の下部の領域に圧縮応力を発生させるか引っ張り応力を発生させるか、またその大きさについて適宜に選択することができる。第二の膜23は、第一の膜22と同様に、この領域にnFETを形成して第二の膜23によりnFETのチャネル形成領域に引っ張り応力を発生させるようにしても良い。
【0039】
図6は、図5の半導体基板の表面に第一絶縁膜25を形成した半導体基板1の模式的断面図である。第一絶縁膜25は層間絶縁膜として機能する。より具体的には、第一絶縁膜として二酸化シリコンを第一の膜22及び第二の膜23の上にプラズマCVD法により500nmから1500nm堆積する。しかし、第二の膜23であるシリコン窒化膜の端部に形成されたオーバーハング24下部に二酸化シリコン材料が回り込むことができず、内部が空洞であるボイド26が形成される。
【0040】
図7は、第一絶縁膜25にコンタクト開口部27を形成した半導体基板1の模式的断面図である。nFETの電極を構成する第一導電領域7,8及びpFETの電極を構成する第二導電領域10,11等と外部回路との電気的導通をとるために、第一絶縁膜25にコンタクト開口部27を形成する。より具体的には、フォトリソグラフィおよび反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Eching)技術を用いてシリコン酸化膜である第一絶縁膜25の異方性エッチングを行い、第一導電領域7、8及び第二導電領域10、11を露出させる。薄い絶縁膜40上に積層形成された第二の膜23の端部がコンタクト開口部27と交差する場合には、第二の膜23の端部に形成されたボイド26がコンタクト開口部27の内壁にボイド開口部26’として開口される。
【0041】
図8は、図7の半導体基板に絶縁物28を堆積した半導体基板1の模式的断面図である。具体的には、絶縁物としてシリコン酸化膜をプラズマCVDにより堆積する。コンタクト開口部27の内壁にも絶縁物28が堆積されるので、ボイド開口部26’を塞ぐことができる。絶縁物28としてはシリコン酸化膜に限らず、シリコン窒化物やその他の絶縁材料を用いることができる。
【0042】
図9は、異方性エッチング技術により絶縁物28を選択的に除去した半導体基板1の模式的断面図である。コンタクト開口部27の底部絶縁物を選択的に除去して、第一導電領域の導電層8や第二導電領域の導電層11を露出させ、更にコンタクト開口部27の内壁であって少なくとも導電層8、11近傍の絶縁物を残留させてサイドウオール29を形成する。このコンタクト開口部の内壁に形成したサイドウオール29の厚さは、コンタクト開口部27の内径の10%を超えないようにすることが望ましい。更に、導電層8又は導電層11がコンタクト開口部27の底部で露出する露出部の面積は、コンタクト開口部27の上部面積の80%を下回らないようにすることが望ましい。後にコンタクト用の導電性材料をコンタクト開口部27に堆積させてプラグを形成したときに、当該プラグの外形寸法が小さくなる、あるいは導電層8又は導電層11とプラグとの接触面積が小さくなることによって、プラグの抵抗が増加することを防止するためである。
【0043】
このように、コンタクト開口部27に絶縁物からなるサイドウオール29を形成することにより、コンタクト開口部27にボイド開口部26’が表出した場合であっても、これを塞ぐことができる。
【0044】
図10は、図9の半導体基板の上にバリアー層30を形成した半導体基板1の模式的断面図である。バリアー層30としてチタンやチタンナイトライド膜をCVD法により堆積した。バリアー層は、この後に堆積する導電材料と第一絶縁膜25やサイドウオール29との密着性を向上させるとともにバリアー開口部の内壁から導電材料への不要な物質の混入することを防止するために設ける。
【0045】
図11は、バリアー層30に続いて導電材料31を堆積した半導体基板1の模式的断面図である。導電材料31としてタングステンを堆積し、プラグメタル(Plug Metal)を構成する。このようにして、nFETの第一導電領域の導電層8やpFETの第二導電領域の導電層11と電気的コンタクトをとるようにした。次に、導電材料31及びバリアー層30にCMP処理を施して平坦化した。
【0046】
図12は、上記平坦化した表面に配線層32を形成した半導体基板1の模式的断面図である。配線層32として、アルミニウム等をスパッタリング等により成膜し、フォトリソグラフィ及びエッチングにより選択的に形成して配線層32とした。
【0047】
なお、上記実施の形態においては半導体基板上にnFETやpFETを構成したが、これを絶縁性基板上に堆積したアモルファスシリコンやポリシリコンからなる半導体層を用いてnFETやpFETを構成することができる。更に、上記説明において第一トランジスタであるnFETの第一導電領域の上に第一の膜と第二の膜の積層部分を構成して説明したが、これを、第二トランジスタであるpFETの第二導電領域の上に第一の膜及び薄い絶縁膜と第二の膜との積層部分を構成することもできる。さらに、第一の膜と第二の膜の積層順序を反対にして、第二の膜の上に薄い絶縁膜を形成しても良い。
【0048】
また、上記実施の形態における説明において理解を容易にするために、第一の膜及び薄い絶縁膜の上に積層形成された第二の膜の端部が、コンタクト開口部と交差する例について説明した。しかし、設計上コンタクト開口部が第二の膜の短部と交差しない場合であっても、上記実施の形態を適用することができる。すなわち、設計上交差しなくとも、製造途中の位置合わせ誤差等に基づいて、コンタクト開口部の内壁にボイド開口部が表出し、隣り合うコンタクト間が電気的にショートすることがあり、これを未然に防止することができれば良いからである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施の形態における半導体装置の製造プロセスを示す模式的断面図である。
【図2】本実施の形態における半導体装置の製造プロセスを示す模式的断面図である。
【図3】本実施の形態における半導体装置の製造プロセスを示す模式的断面図である。
【図4】本実施の形態における半導体装置の製造プロセスを示す模式的断面図である。
【図5】本実施の形態における半導体装置の製造プロセスを示す模式的断面図である。
【図6】本実施の形態における半導体装置の製造プロセスを示す模式的断面図である。
【図7】本実施の形態における半導体装置の製造プロセスを示す模式的断面図である。
【図8】本実施の形態における半導体装置及びその製造方法を説明するための模式的断面図である。
【図9】本実施の形態における半導体装置及びその製造方法を説明するための模式的断面図である。
【図10】本実施の形態における半導体装置の製造プロセスを示す模式的断面図である。
【図11】本実施の形態における半導体装置の製造プロセスを示す模式的断面図である。
【図12】本実施の形態における半導体装置の製造プロセスを示す模式的断面図である。
【図13】従来から知られたプロセス途中の半導体基板の模式的断面図である。
【図14】従来公知技術における課題を説明するための半導体基板の模式的断面図である。
【図15】従来公知技術における課題を説明するための半導体基板の模式的平面図である。
【図16】従来公知技術における課題を説明するための半導体基板の模式的斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 半導体基板
2 p型領域
3 n型領域
4 素子分離領域
5、10 ソース領域
7、13 ドレイン領域
9 第一チャネル形成領域
9’ 第二チャネル形成領域
6、8、11、12、16、19 導電層
14、18 ゲート絶縁膜
15、20 ゲート電極
17、21 ゲートサイドウオール
22 第一の膜
23 第二の膜
24 オーバーハング
25 第一絶縁膜
26 ボイド
26’ボイド開口部
27 コンタクト開口部
28 絶縁物
29 サイドウオール
30 バリアー層
31 導電材料
32 配線層
40 薄い絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第一トランジスタと第二トランジスタを形成する工程と、
前記第一トランジスタに応力を発生させる第一の膜を前記第一トランジスタの上に形成する工程と、
前記第一の膜の上に薄い絶縁膜を形成する工程と、
前記第二トランジスタに応力を発生させる第二の膜を前記第二トランジスタの上及び前記薄い絶縁膜の上に選択的に形成する工程と、
前記薄い絶縁膜及び第二の膜の上に第一絶縁膜を形成する工程と、
前記第一絶縁膜及び前記第二の膜を選択的に除去してコンタクト開口部を形成する工程と、
前記コンタクト開口部の内壁に絶縁物を堆積する工程と、を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記基板上に第一トランジスタ及び第二トランジスタを形成する工程は、半導体基板の第一表面領域に第一導電領域及び第一チャネル形成領域を形成するとともに、前記第一表面領域とは異なる第二表面領域に第二導電領域及び第二チャネル形成領域を形成する工程を含み、
前記第一の膜は前記第一チャネル形成領域に引っ張り応力を、前記第二の膜は前記第二チャネル形成領域に圧縮応力を発生させることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記コンタクト開口部の内壁に絶縁物を堆積する工程は、前記コンタクト開口部を形成した基板上に第二絶縁膜を堆積する工程と、前記第二絶縁膜を選択的に除去して前記コンタクト開口部の内壁にサイドウオールを形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
基板上に形成された第一トランジスタ及び第二トランジスタと、
前記第一トランジスタの上に形成され、前記第一トランジスタに応力を発生させる第一の膜と、
前記第一の膜の上に形成された薄い絶縁膜と、
前記第二トランジスタの上に形成されるとともに前記薄い絶縁膜の表面の一部に延在して形成され、前記第二トランジスタに応力を発生させる第二の膜と、
前記薄い絶縁膜及び第二の膜の上に形成された第一絶縁膜と、
前記第一絶縁膜及び前記第二の膜が選択的に除去されて形成されたコンタクト開口部と、
前記コンタクト開口部の内壁であって、前記第一の膜又は前記第二の膜の近傍に形成された絶縁物と、を含む半導体装置。
【請求項5】
前記第一トランジスタは、半導体基板の第一表面領域に形成されたnFETであって第一チャネル形成領域を有し、前記第二トランジスタは、前記第一表面領域とは異なる第二表面領域に形成されたpFETであって第二チャネル形成領域を有し、
前記第一の膜は前記第一チャネル形成領域に引っ張り応力を、前記第二の膜は前記第二チャネル形成領域に圧縮応力を発生させることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記コンタクト開口部の内壁には、前記絶縁物によってサイドウオールが形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記コンタクト開口部の上部断面積は下部断面積よりも大きいことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−351734(P2006−351734A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−174355(P2005−174355)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】