無線通信ネットワーク
【課題】無線ネットワーク端末のアンテナの指向性を考慮しながら容易にアドホックネットワークを構築することができる、アドホックネットワークの構築方法及び無線ネットワーク端末を提供する。
【解決手段】アドホックネットワークの構築方法は、それぞれ中継機能を持つ複数の無線ネットワーク端末16を準備する準備工程と、各無線ネットワーク端末16同士が相互に通信を行うアドホックネットワークを構築するように、複数の無線ネットワーク端末16を設置する設置工程とを備える。各無線ネットワーク端末16には、各々の無線ネットワーク端末16におけるアンテナの放射電界の指向方向を示す指向性マーク30が設けられる。設置工程において、各々の無線ネットワーク端末16を、指向性マーク30に基づいて、隣り合う無線ネットワーク端末16の指向方向が互いに略対向する向きに設置する。
【解決手段】アドホックネットワークの構築方法は、それぞれ中継機能を持つ複数の無線ネットワーク端末16を準備する準備工程と、各無線ネットワーク端末16同士が相互に通信を行うアドホックネットワークを構築するように、複数の無線ネットワーク端末16を設置する設置工程とを備える。各無線ネットワーク端末16には、各々の無線ネットワーク端末16におけるアンテナの放射電界の指向方向を示す指向性マーク30が設けられる。設置工程において、各々の無線ネットワーク端末16を、指向性マーク30に基づいて、隣り合う無線ネットワーク端末16の指向方向が互いに略対向する向きに設置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信ネットワークに関し、詳しくは、アドホックネットワークの構築方法及びそれに用いる無線ネットワーク端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線LANのようにアクセスポイントを必要としない、無線ネットワーク端末(パソコン、PDA、携帯電話など)のみで構成されたアドホックネットワーク(Ad Hoc Network)が研究・開発されている。
【0003】
アドホックネットワークは、自立分散型無線ネットワークとも言われており、IEEE 802.11、BlueTooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)などの無線通信技術を用いながら、多数の無線ネットワーク端末を各無線ネットワーク端末を中継器として相互に接続する、「マルチホップ通信」と言われる形態が取られる。このため、アドホックネットワークにおいては、基地局やアクセスポイントが不要となり、このようなインフラを持たない場所で安価にネットワークを構築することができ、ある限られた域内での簡易なネットワークの構築手段として有効である。
【0004】
アンテナの指向性の表示に関する従来技術として、特許文献1には、図11に示すように、無線通信用のアンテナ素子7が収納された筐体6の外面6aに、アンテナ素子7の放射電界の向きを示す記号8aと文字8bとを組み合わせた表示部8を設けた電子機器4が開示されている。このような表示部8を設けることによって、通信相手(PC、携帯電話など)に対して筐体6を適切な向きに設定し、良好な通信を行うことができる。この電子機器4は、1対1のデータの送受を目的としており、ネットワーク(広がり)を構築できるものではない。また、放射電界の示す方向は単方向のみである。
【0005】
また、特許文献2には、主ビームの方向を示す方向表示部を、アンテナカバーの形状によって構成したアンテナ装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−273765号公報
【特許文献2】特開平9−214220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アドホックネットワークを構築するための無線ネットワーク端末は、無線信号を送受するためのアンテナを備えている。一般に、アンテナは指向性を有しており、特定の方向に強い放射電界が存在している。そのため、アドホックネットワークは、各無線ネットワーク端末に備えられるアンテナの指向性を考慮しながら構築する必要がある。
【0007】
通常、無線LANのアクセスポイントなどは、無線機器の向きをユーザーが大まかに設置し、通信品質が悪い場合には手探りで向きを変えたりしている。一般的には、このようなアクセスポイントに使われるアンテナは無指向性が多いため、極端に方向による通信品質の劣化は少ないが、部屋などの環境によっては、マルチパスの影響を受けることもある。
【0008】
最近は指向性のあるアンテナを使用して、通信品質を高めようとしたものもある。しかし、このようなタイプだと、放射する方向に通信相手(カードなど)が存在しないと通信品質はかなり悪化する。そのためにも、どのような指向性を持っているか把握することが重要となる。
【0009】
本発明はかかる実情に鑑みて、無線ネットワーク端末のアンテナの指向性を考慮しながら容易にアドホックネットワークを構築することができる、アドホックネットワークの構築方法及び無線ネットワーク端末を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成したアドホックネットワークの構築方法を提供する。
【0011】
アドホックネットワークの構築方法は、それぞれ中継機能を持つ複数の無線ネットワーク端末を準備する準備工程と、前記各無線ネットワーク端末同士が相互に通信を行うアドホックネットワークを構築するように、複数の前記無線ネットワーク端末を設置する設置工程とを備える。前記各無線ネットワーク端末には、各々の前記無線ネットワーク端末におけるアンテナの放射電界の指向方向を示す指向性マークが設けられる。前記設置工程において、各々の前記無線ネットワーク端末を、前記指向性マークに基づいて、隣り合う前記無線ネットワーク端末の前記指向方向が互いに略対向する向きに設置する。
【0012】
上記方法によれば、無線ネットワーク端末の指向性マークを参照しながら、隣り合う無線ネットワーク端末を適切な向きに、すなわち互いに指向性が重なり双方向通信可能に設置することができる。
【0013】
好ましくは、前記設置工程は、前記無線ネットワーク端末を複数の向きに装着可能な取り付け器具を固定する第1ステップと、固定された前記取り付け器具に、各々の前記無線ネットワーク端末を、前記指向性マークに基づいて、隣り合う前記無線ネットワーク端末の前記指向方向が互いに略対向する向きに装着する第2ステップとを含む。
【0014】
この場合、取り付け器具に無線ネットワークを装着する向きを変えることによって、無線ネットワークの取り付け方向を調整することができる。
【0015】
具体的には、以下のように種々の態様で構成することができる。
【0016】
一態様としては、前記無線ネットワーク端末は、基板と、該基板に配置された前記アンテナ、RF信号処理部及び演算処理部と、少なくとも、前記RF信号処理部及び前記演算処理部を被覆するケースとを備える。前記指向性マークは、前記ケースに設けられている。
【0017】
この場合、デザイン性の優れた外観とすることが容易である。
【0018】
他の態様としては、前記無線ネットワーク端末は、基板と、該基板に配置された前記アンテナ、RF信号処理部及び演算処理部と、前記RF信号処理部及び前記演算処理部を被覆するケースとを備える。前記指向性マークは、端末の外観上の表面に設けられた前記アンテナに設けられている。
【0019】
この場合、アンテナには指向性マークが設けられているため、無線ネットワーク端末の組立作業が容易になる。すなわち、アンテナ以外の部材(例えば、ケース)に指向性マークを設ける場合のようにアンテナと指向性マークとが対応するように注意しながら無線ネットワーク端末を組み立てる必要がなくなる。
【0020】
好ましくは、前記無線ネットワーク端末は、前記アンテナを含み、前記指向性マークが設けられた本体部と、RF信号処理部及び演算処理部を含み、前記本体部を複数の向きに装着可能な取り付けベース部とを備える。前記設置工程は、前記無線ネットワーク端末の前記取り付けベース部を固定する第1ステップと、固定された前記取り付けベース部に、各々の前記無線ネットワーク端末の前記本体部を、前記指向性マークに基づいて、隣り合う前記無線ネットワーク端末の前記本体部の前記指向方向が互いに略対向する向きに装着する第2ステップとを含む。
【0021】
この場合、アンテナの指向性に応じて異なる構成部分、すなわち無線ネットワークの本体部を、小型化、簡略化することができる。また、取り付けベース部に無線ネットワーク端末の機能の一部を含めることで、取り付け器具に無線ネットワーク端末を装着する場合に比べ、全体の構成を小型化、簡略化することができる。
【0022】
また、本発明は、上述したいずれかの構成のアドホックネットワークの構築方法において用いられ、前記指向性マークを備えた無線ネットワーク端末を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、無線ネットワーク端末のアンテナの指向性を考慮しながら容易にアドホックネットワークを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について実施例を、図1〜図8を参照しながら説明する。
【0025】
<実施例> 実施例のアドホックネットワークの構築方法について、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、実施例で用いる無線ユニット10の構成図である。無線ユニット10は、天井2等の所定位置に固定される取り付け器具12と、取り付け器具12に装着される無線ネットワーク端末16とを備える。
【0027】
無線ネットワーク端末16は、基板17がケース20で覆われるように構成されている。
【0028】
基板17には、図3に示す機能無線デバイス40として機能するように、アンテナ42と、信号処理ブロック44のRF信号処理部46及び演算処理部48の電子部品とが搭載されている。RF信号処理部46は、アンテナ42にて受信した信号をフィルタリングして演算処理部48に送るとともに、演算処理部48から入力された信号をアンテナ42に送る。演算処理部48は、アドホックネットワークの中継機能などを実現するように所定のプログラムを実行するマイクロコンピュータである。
【0029】
ケース20には、図1に示すように、図において下面20a及び側面20bに、指向性マーク30が形成されている。指向性マーク30は、基板17に搭載されているアンテナ42(図3参照)の放射電界の指向方向を示している。指向性マーク30の例として、無線ネットワーク端末16に内蔵されたアンテナ42(図3参照)の指向性を矢印で示しているが、これに限るものではなく、適宜なデザインの図形や、ランプで表示するなどであってもよい。また、指向性マーク30の表示箇所は、特に限定されないが、無線ネットワーク端末16を取り付け器具12に装着する作業の際に、無線ネットワーク端末16の見やすい箇所に表示されることが好ましい。指向性マーク30は、無線ネットワーク端末16を取り付け器具12に装着した状態では外部から見えないようになってもよい。
【0030】
図2に示すように、指向性マーク30〜34は、アンテナの放射電界の指向方向(指向性)に応じて表示を変える。
【0031】
図2(A)は、無線ネットワーク端末16aのアンテナの指向性が一方向(図において右向き)の場合の指向性マーク30の例である。図2(B)は、無線ネットワーク端末16bのアンテナの指向性が一方向(図において左向き)の場合の指向性マーク31の例である。指向性が一方向のアンテナとしては、例えば、パッチアンテナ、八木アンテナ、ヘリカルアンテナなどを用いることができる。
【0032】
図2(C)は、無線ネットワーク端末16cのアンテナの指向性が図において左右方向の場合の指向性マーク32の例である。左右方向の指向性のアンテナとしては、例えば、スロットアンテナや、指向性が一方向の八木アンテナやパッチアンテナなどを組み合わせたものなどを用いることができる。
【0033】
図2(D)は、無線ネットワーク端末16cのアンテナが無指向性の場合の指向性マーク33の例である。無指向性のアンテナとしては、例えば、モノポールアンテナやダイポールアンテナなどを用いることができる。
【0034】
図2(E)は、無線ネットワーク端末16eのアンテナの指向性が図において上向きを含む場合の指向性マーク34の例である。指向性が上向きのアンテナとしては、例えば、パッチアンテナ、八木アンテナ、ヘリカルアンテナなどを用いることができる。
【0035】
無線ネットワーク端末16は、図1に示すように、無線ネットワーク端末16のケース20に固定された一対の取り付け片22の貫通穴24に取り付けねじ26を挿通し、取り付け器具12に形成されたねじ穴13に取り付けねじ26を螺合することにより、取り付け器具12に装着する。取り付け器具12には、取り付け器具12の一対の取り付け片22の貫通穴24に対応する複数対(例えば2対)のねじ穴13が設けられている。無線ネットワーク端末16は、装着のために用いる取り付け器具12のねじ穴13を選択することによって、取り付け器具12に対して向きを変えて(例えば90度ごと)に装着することができる。
【0036】
無線ネットワーク端末16を取り付け器具12に装着すると、無線ネットワーク端末16の基板17から突出するコネクタ18が、取り付け器具12に形成された嵌合穴14に挿入され、取り付け器具12側から無線ネットワーク端末16に、コネクタ18を介して電源が供給されるようになっている。
【0037】
なお、無線ネットワーク端末16の向きを変えて取り付け器具12に装着する構成は、上記に限定されない。例えば、基板17から突出するコネクタ18の嵌合のみによって、無線ネットワーク端末16を取り付け器具12に着脱する構成としてもよい。また、コネクタ18の断面を例えば正多角形とし、所定角度ごとに向きを変えて装着する構成としてもよい。
【0038】
アドホックネットワークは、複数の無線ユニット10を設置して構築する。この際、指向性の異なる複数の無線ネットワーク端末を準備しておき、適宜に選択して用いる。
【0039】
例えば、建物内における無線ユニットの設置例について、図4を参照しながら説明する。
【0040】
図4に示すように、建物内には、適宜な間隔を設けて、通路50の端51や交差部53,56や中間位置52,55,57,58、廊下59の踊場54などの所定位置(例えば天井)に、無線ユニット10の取り付け器具12(図4では図示せず)を設置し、電源供給のための電気配線工事を行う。なお、電源としては、照明用に使っていたものを利用してもよいし、太陽光などをエネルギー源とするものを利用してもよい。
【0041】
設置された取り付け器具12(図4では図示せず)には、設置状況に応じて、予め準備された異なる指向性を持つ無線ネットワーク端末16a〜16e(図2参照)を適宜に選択し、適宜な向きに装着する。
【0042】
例えば、通路50の端51には、一方向の指向性の無線ネットワーク端末16aを装着する。通路50の交差部53,56には、無指向性の無線ネットワーク端末16dを装着する。通路50の中間位置52,55,57,58には、左右の指向性の無線ネットワーク端末16cを装着する。廊下59の踊場54には、上方向の指向性を含む無線ネットワーク端末16eを装着する。
【0043】
このとき、無線ネットワーク端末16a〜16eの指向性マーク30〜34(図3参照)を見て、隣り合う無線ネットワーク端末の指向方向が互いに略対向する向きとなるように、各々の無線ネットワーク端末を装着する。
【0044】
例えば、通路50の中間位置57に装着する無線ネットワーク端末16cと、通路50の交差部56に装着する無線ネットワーク端末16dとについては、それぞれの無線ネットワーク端末16c,16dの指向性マーク32,33(図2参照)を見ながら、互いに指向方向が略対向するように設置する。これによって、無線ネットワーク端末16cについて破線で模式的に示した送受信が良好である領域16pと、無線ネットワーク端末16dについて鎖線で模式的に示した送受信が良好である領域16qとが重なり合い、無線ネットワーク端末16c,16d同士が相互に通信を行うことができるようにする。
【0045】
実際には、周囲の環境によって、うまく通信ができないこともある。そのときには、無線ネットワーク端末の向きを調整したり、無線ネットワーク端末を異なるタイプのものと交換したりする。
【0046】
無線ネットワーク端末は、指向性マークを見ながら設置することで、最初の設置時に何の指標も無く、むやみに設置する場合よりも、適切に設置できる可能性が高まる。特に、無線ネットワーク端末間を中継して、ネットワークを構築するメッシュネットワークが形成できるアドホックネットワークのような無線方式では、非常に有効である。また、大規模なネットワーク構築および、徐々に無線機器を追加していき、ネットワークを拡張することも容易となる。
【0047】
<変形例> 次に、変形例について、図5〜図10を参照しながら説明する。
【0048】
図5に示す無線ネットワーク端末16sは、実施例と同様に、アンテナ60と、RF信号処理部46(図3参照)を有する電子部品(たとえばICチップ)66と、演算処理部48(図3参照)を有する電子部品(たとえばマイコン)68とが搭載された基板17s全体がケース20sで覆われ、ケース20sには指向性マーク33が設けられている。基板17sに搭載されているアンテナ60、ICチップ66、マイコン68は、ケース20sで覆われ、露出しないようになっている。ケース20sで全体を覆うことによって、デザイン性の優れた外観とすることが容易である。
【0049】
なお、指向性マーク33の配置箇所やケース20sの構成は、実施例とは異なる。
【0050】
図6に示す無線ネットワーク端末16xのように、ケース20xは、基板17xに搭載されたICチップ66及びマイコン68のみを覆い、基板17xに搭載されたアンテナ61が露出するようにしてもよい。この例では、指向性マーク33は、ケース20xに設けられている。
【0051】
アンテナが外観上、露出する構成のときには、指向性マークをアンテナに表示してもよい。
【0052】
例えば図7に示す無線ネットワーク端末16yのように、基板17yに搭載されたICチップ66及びマイコン68を覆うケース20yの上に、指向性マーク33を設けたアンテナ62を重ねるように配置してもよい。
【0053】
あるいは、図8に示す無線ネットワーク端末16zのように、指向性マーク33が設けられたアンテナ63を、基板17zに搭載されたICチップ66及びマイコン68を覆うケース20zと並べるように配置してもよい。
【0054】
図7及び図8に示したようにアンテナ62,63にそのアンテナ自身の指向性マーク33を設けると、アンテナ以外の部材(例えば、ケース)に指向性マークを設ける場合のように指向性マークとアンテナとが対応するように注意しながら無線ネットワーク端末を組み立てる必要がない。そのため、無線ネットワーク端末16y,16zの組立作業が容易になる。
【0055】
機能無線デバイス40(図3参照)としての機能を全て無線ネットワーク端末に設ける代わりに、図9に示す無線ネットワーク端末16tのように、信号処理ブロック44のRF信号処理部46及び演算処理部48(図3参照)を構成する部分を取り付け器具70(すなわち、無線ネットワーク端末16tの取り付けベース部)に設け、指向性マーク33が設けられたアンテナ64(すなわち、無線ネットワーク端末16tの本体部)を取り付け器具70に装着するように構成してもよい。この場合、異なる指向性ごとにアンテナ64を用意するだけでよいので、異なる指向性ごとに用意する部分を小型化、簡略化することができる。また、取り付け器具70に無線ネットワーク端末16tの機能の一部を含めることで、実施例のように取り付け器具12に無線ネットワーク端末16を装着する場合に比べ、全体の構成を小型化、簡略化することができる。
【0056】
取り付け器具12,70に、無線ネットワーク端末16あるいは無線ネットワーク端末16tのアンテナ64(以下、両者を「着脱部」という。)を直接結合する代わりに、ケーブル等を介して結合するようにしてもよい。
【0057】
例えば図10(A)に示すように、取り付け器具71を天井2の上に配置し、ケーブル(たとえば同軸ケーブル)74を介して取り付け器具71に接続されたコネクタ72が天井2から出るようにする。そして、図10(B)に示すように、着脱部65にコネクタ72を接続した状態で、着脱部65を天井2に固定する。この場合、天井2に固定され露出する部分、すなわち着脱部65を小型化したり、構成を簡単にしたり、デザイン性の高い外観としたりすることができる。
【0058】
<まとめ> 以上に説明したアドホックネットワークの構築方法は、指向性が異なる無線ネットワーク端末を適宜に選択し、それぞれのアンテナの指向性を示す指向性マークを参照しながら、効率良く無線ネットワークを適切な向きに設置することができ、アドホックネットワークの構築が容易である。また、指向性を持つアンテナを使用することによって、無指向性に比べて特定方向への放射強度が強くなるので、設置する無線ネットワーク端末の数を削減することができる。さらに、ネットワークの拡張も容易となる。
【0059】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施可能である。
【0060】
例えば、無線ネットワーク端末は、建物内に限らず、屋外に設置してもよい。無線ネットワーク端末に取り付け器具から電源を供給する代わりに、無線ネットワーク端末内に電源を備えるようにしてもよい。この場合には、取り付け器具の電気配線工事は不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】無線ネットワーク端末の構成図である。(実施例)
【図2】無線ネットワーク端末の構成図である。(実施例)
【図3】機能無線デバイスのブロック図である。(実施例)
【図4】無線ネットワーク端末の設置を示す説明図である。(実施例)
【図5】無線ネットワーク端末の構成図である。(変形例1)
【図6】無線ネットワーク端末の構成図である。(変形例2)
【図7】無線ネットワーク端末の構成図である。(変形例3)
【図8】無線ネットワーク端末の構成図である。(変形例4)
【図9】無線ネットワーク端末の構成図である。(変形例5)
【図10】無線ネットワーク端末の構成図である。(変形例6)
【図11】無線機器の構成図である。(従来例)
【符号の説明】
【0062】
12 取り付け器具
16,16a〜16e,16s,16t,16x〜16z 無線ネットワーク端末
30〜33 指向性マーク
61〜63 アンテナ
64 アンテナ(本体部)
65 着脱部
70 取り付け器具(取付ベース部)
71 取り付け器具
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信ネットワークに関し、詳しくは、アドホックネットワークの構築方法及びそれに用いる無線ネットワーク端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線LANのようにアクセスポイントを必要としない、無線ネットワーク端末(パソコン、PDA、携帯電話など)のみで構成されたアドホックネットワーク(Ad Hoc Network)が研究・開発されている。
【0003】
アドホックネットワークは、自立分散型無線ネットワークとも言われており、IEEE 802.11、BlueTooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)などの無線通信技術を用いながら、多数の無線ネットワーク端末を各無線ネットワーク端末を中継器として相互に接続する、「マルチホップ通信」と言われる形態が取られる。このため、アドホックネットワークにおいては、基地局やアクセスポイントが不要となり、このようなインフラを持たない場所で安価にネットワークを構築することができ、ある限られた域内での簡易なネットワークの構築手段として有効である。
【0004】
アンテナの指向性の表示に関する従来技術として、特許文献1には、図11に示すように、無線通信用のアンテナ素子7が収納された筐体6の外面6aに、アンテナ素子7の放射電界の向きを示す記号8aと文字8bとを組み合わせた表示部8を設けた電子機器4が開示されている。このような表示部8を設けることによって、通信相手(PC、携帯電話など)に対して筐体6を適切な向きに設定し、良好な通信を行うことができる。この電子機器4は、1対1のデータの送受を目的としており、ネットワーク(広がり)を構築できるものではない。また、放射電界の示す方向は単方向のみである。
【0005】
また、特許文献2には、主ビームの方向を示す方向表示部を、アンテナカバーの形状によって構成したアンテナ装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−273765号公報
【特許文献2】特開平9−214220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アドホックネットワークを構築するための無線ネットワーク端末は、無線信号を送受するためのアンテナを備えている。一般に、アンテナは指向性を有しており、特定の方向に強い放射電界が存在している。そのため、アドホックネットワークは、各無線ネットワーク端末に備えられるアンテナの指向性を考慮しながら構築する必要がある。
【0007】
通常、無線LANのアクセスポイントなどは、無線機器の向きをユーザーが大まかに設置し、通信品質が悪い場合には手探りで向きを変えたりしている。一般的には、このようなアクセスポイントに使われるアンテナは無指向性が多いため、極端に方向による通信品質の劣化は少ないが、部屋などの環境によっては、マルチパスの影響を受けることもある。
【0008】
最近は指向性のあるアンテナを使用して、通信品質を高めようとしたものもある。しかし、このようなタイプだと、放射する方向に通信相手(カードなど)が存在しないと通信品質はかなり悪化する。そのためにも、どのような指向性を持っているか把握することが重要となる。
【0009】
本発明はかかる実情に鑑みて、無線ネットワーク端末のアンテナの指向性を考慮しながら容易にアドホックネットワークを構築することができる、アドホックネットワークの構築方法及び無線ネットワーク端末を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成したアドホックネットワークの構築方法を提供する。
【0011】
アドホックネットワークの構築方法は、それぞれ中継機能を持つ複数の無線ネットワーク端末を準備する準備工程と、前記各無線ネットワーク端末同士が相互に通信を行うアドホックネットワークを構築するように、複数の前記無線ネットワーク端末を設置する設置工程とを備える。前記各無線ネットワーク端末には、各々の前記無線ネットワーク端末におけるアンテナの放射電界の指向方向を示す指向性マークが設けられる。前記設置工程において、各々の前記無線ネットワーク端末を、前記指向性マークに基づいて、隣り合う前記無線ネットワーク端末の前記指向方向が互いに略対向する向きに設置する。
【0012】
上記方法によれば、無線ネットワーク端末の指向性マークを参照しながら、隣り合う無線ネットワーク端末を適切な向きに、すなわち互いに指向性が重なり双方向通信可能に設置することができる。
【0013】
好ましくは、前記設置工程は、前記無線ネットワーク端末を複数の向きに装着可能な取り付け器具を固定する第1ステップと、固定された前記取り付け器具に、各々の前記無線ネットワーク端末を、前記指向性マークに基づいて、隣り合う前記無線ネットワーク端末の前記指向方向が互いに略対向する向きに装着する第2ステップとを含む。
【0014】
この場合、取り付け器具に無線ネットワークを装着する向きを変えることによって、無線ネットワークの取り付け方向を調整することができる。
【0015】
具体的には、以下のように種々の態様で構成することができる。
【0016】
一態様としては、前記無線ネットワーク端末は、基板と、該基板に配置された前記アンテナ、RF信号処理部及び演算処理部と、少なくとも、前記RF信号処理部及び前記演算処理部を被覆するケースとを備える。前記指向性マークは、前記ケースに設けられている。
【0017】
この場合、デザイン性の優れた外観とすることが容易である。
【0018】
他の態様としては、前記無線ネットワーク端末は、基板と、該基板に配置された前記アンテナ、RF信号処理部及び演算処理部と、前記RF信号処理部及び前記演算処理部を被覆するケースとを備える。前記指向性マークは、端末の外観上の表面に設けられた前記アンテナに設けられている。
【0019】
この場合、アンテナには指向性マークが設けられているため、無線ネットワーク端末の組立作業が容易になる。すなわち、アンテナ以外の部材(例えば、ケース)に指向性マークを設ける場合のようにアンテナと指向性マークとが対応するように注意しながら無線ネットワーク端末を組み立てる必要がなくなる。
【0020】
好ましくは、前記無線ネットワーク端末は、前記アンテナを含み、前記指向性マークが設けられた本体部と、RF信号処理部及び演算処理部を含み、前記本体部を複数の向きに装着可能な取り付けベース部とを備える。前記設置工程は、前記無線ネットワーク端末の前記取り付けベース部を固定する第1ステップと、固定された前記取り付けベース部に、各々の前記無線ネットワーク端末の前記本体部を、前記指向性マークに基づいて、隣り合う前記無線ネットワーク端末の前記本体部の前記指向方向が互いに略対向する向きに装着する第2ステップとを含む。
【0021】
この場合、アンテナの指向性に応じて異なる構成部分、すなわち無線ネットワークの本体部を、小型化、簡略化することができる。また、取り付けベース部に無線ネットワーク端末の機能の一部を含めることで、取り付け器具に無線ネットワーク端末を装着する場合に比べ、全体の構成を小型化、簡略化することができる。
【0022】
また、本発明は、上述したいずれかの構成のアドホックネットワークの構築方法において用いられ、前記指向性マークを備えた無線ネットワーク端末を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、無線ネットワーク端末のアンテナの指向性を考慮しながら容易にアドホックネットワークを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について実施例を、図1〜図8を参照しながら説明する。
【0025】
<実施例> 実施例のアドホックネットワークの構築方法について、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、実施例で用いる無線ユニット10の構成図である。無線ユニット10は、天井2等の所定位置に固定される取り付け器具12と、取り付け器具12に装着される無線ネットワーク端末16とを備える。
【0027】
無線ネットワーク端末16は、基板17がケース20で覆われるように構成されている。
【0028】
基板17には、図3に示す機能無線デバイス40として機能するように、アンテナ42と、信号処理ブロック44のRF信号処理部46及び演算処理部48の電子部品とが搭載されている。RF信号処理部46は、アンテナ42にて受信した信号をフィルタリングして演算処理部48に送るとともに、演算処理部48から入力された信号をアンテナ42に送る。演算処理部48は、アドホックネットワークの中継機能などを実現するように所定のプログラムを実行するマイクロコンピュータである。
【0029】
ケース20には、図1に示すように、図において下面20a及び側面20bに、指向性マーク30が形成されている。指向性マーク30は、基板17に搭載されているアンテナ42(図3参照)の放射電界の指向方向を示している。指向性マーク30の例として、無線ネットワーク端末16に内蔵されたアンテナ42(図3参照)の指向性を矢印で示しているが、これに限るものではなく、適宜なデザインの図形や、ランプで表示するなどであってもよい。また、指向性マーク30の表示箇所は、特に限定されないが、無線ネットワーク端末16を取り付け器具12に装着する作業の際に、無線ネットワーク端末16の見やすい箇所に表示されることが好ましい。指向性マーク30は、無線ネットワーク端末16を取り付け器具12に装着した状態では外部から見えないようになってもよい。
【0030】
図2に示すように、指向性マーク30〜34は、アンテナの放射電界の指向方向(指向性)に応じて表示を変える。
【0031】
図2(A)は、無線ネットワーク端末16aのアンテナの指向性が一方向(図において右向き)の場合の指向性マーク30の例である。図2(B)は、無線ネットワーク端末16bのアンテナの指向性が一方向(図において左向き)の場合の指向性マーク31の例である。指向性が一方向のアンテナとしては、例えば、パッチアンテナ、八木アンテナ、ヘリカルアンテナなどを用いることができる。
【0032】
図2(C)は、無線ネットワーク端末16cのアンテナの指向性が図において左右方向の場合の指向性マーク32の例である。左右方向の指向性のアンテナとしては、例えば、スロットアンテナや、指向性が一方向の八木アンテナやパッチアンテナなどを組み合わせたものなどを用いることができる。
【0033】
図2(D)は、無線ネットワーク端末16cのアンテナが無指向性の場合の指向性マーク33の例である。無指向性のアンテナとしては、例えば、モノポールアンテナやダイポールアンテナなどを用いることができる。
【0034】
図2(E)は、無線ネットワーク端末16eのアンテナの指向性が図において上向きを含む場合の指向性マーク34の例である。指向性が上向きのアンテナとしては、例えば、パッチアンテナ、八木アンテナ、ヘリカルアンテナなどを用いることができる。
【0035】
無線ネットワーク端末16は、図1に示すように、無線ネットワーク端末16のケース20に固定された一対の取り付け片22の貫通穴24に取り付けねじ26を挿通し、取り付け器具12に形成されたねじ穴13に取り付けねじ26を螺合することにより、取り付け器具12に装着する。取り付け器具12には、取り付け器具12の一対の取り付け片22の貫通穴24に対応する複数対(例えば2対)のねじ穴13が設けられている。無線ネットワーク端末16は、装着のために用いる取り付け器具12のねじ穴13を選択することによって、取り付け器具12に対して向きを変えて(例えば90度ごと)に装着することができる。
【0036】
無線ネットワーク端末16を取り付け器具12に装着すると、無線ネットワーク端末16の基板17から突出するコネクタ18が、取り付け器具12に形成された嵌合穴14に挿入され、取り付け器具12側から無線ネットワーク端末16に、コネクタ18を介して電源が供給されるようになっている。
【0037】
なお、無線ネットワーク端末16の向きを変えて取り付け器具12に装着する構成は、上記に限定されない。例えば、基板17から突出するコネクタ18の嵌合のみによって、無線ネットワーク端末16を取り付け器具12に着脱する構成としてもよい。また、コネクタ18の断面を例えば正多角形とし、所定角度ごとに向きを変えて装着する構成としてもよい。
【0038】
アドホックネットワークは、複数の無線ユニット10を設置して構築する。この際、指向性の異なる複数の無線ネットワーク端末を準備しておき、適宜に選択して用いる。
【0039】
例えば、建物内における無線ユニットの設置例について、図4を参照しながら説明する。
【0040】
図4に示すように、建物内には、適宜な間隔を設けて、通路50の端51や交差部53,56や中間位置52,55,57,58、廊下59の踊場54などの所定位置(例えば天井)に、無線ユニット10の取り付け器具12(図4では図示せず)を設置し、電源供給のための電気配線工事を行う。なお、電源としては、照明用に使っていたものを利用してもよいし、太陽光などをエネルギー源とするものを利用してもよい。
【0041】
設置された取り付け器具12(図4では図示せず)には、設置状況に応じて、予め準備された異なる指向性を持つ無線ネットワーク端末16a〜16e(図2参照)を適宜に選択し、適宜な向きに装着する。
【0042】
例えば、通路50の端51には、一方向の指向性の無線ネットワーク端末16aを装着する。通路50の交差部53,56には、無指向性の無線ネットワーク端末16dを装着する。通路50の中間位置52,55,57,58には、左右の指向性の無線ネットワーク端末16cを装着する。廊下59の踊場54には、上方向の指向性を含む無線ネットワーク端末16eを装着する。
【0043】
このとき、無線ネットワーク端末16a〜16eの指向性マーク30〜34(図3参照)を見て、隣り合う無線ネットワーク端末の指向方向が互いに略対向する向きとなるように、各々の無線ネットワーク端末を装着する。
【0044】
例えば、通路50の中間位置57に装着する無線ネットワーク端末16cと、通路50の交差部56に装着する無線ネットワーク端末16dとについては、それぞれの無線ネットワーク端末16c,16dの指向性マーク32,33(図2参照)を見ながら、互いに指向方向が略対向するように設置する。これによって、無線ネットワーク端末16cについて破線で模式的に示した送受信が良好である領域16pと、無線ネットワーク端末16dについて鎖線で模式的に示した送受信が良好である領域16qとが重なり合い、無線ネットワーク端末16c,16d同士が相互に通信を行うことができるようにする。
【0045】
実際には、周囲の環境によって、うまく通信ができないこともある。そのときには、無線ネットワーク端末の向きを調整したり、無線ネットワーク端末を異なるタイプのものと交換したりする。
【0046】
無線ネットワーク端末は、指向性マークを見ながら設置することで、最初の設置時に何の指標も無く、むやみに設置する場合よりも、適切に設置できる可能性が高まる。特に、無線ネットワーク端末間を中継して、ネットワークを構築するメッシュネットワークが形成できるアドホックネットワークのような無線方式では、非常に有効である。また、大規模なネットワーク構築および、徐々に無線機器を追加していき、ネットワークを拡張することも容易となる。
【0047】
<変形例> 次に、変形例について、図5〜図10を参照しながら説明する。
【0048】
図5に示す無線ネットワーク端末16sは、実施例と同様に、アンテナ60と、RF信号処理部46(図3参照)を有する電子部品(たとえばICチップ)66と、演算処理部48(図3参照)を有する電子部品(たとえばマイコン)68とが搭載された基板17s全体がケース20sで覆われ、ケース20sには指向性マーク33が設けられている。基板17sに搭載されているアンテナ60、ICチップ66、マイコン68は、ケース20sで覆われ、露出しないようになっている。ケース20sで全体を覆うことによって、デザイン性の優れた外観とすることが容易である。
【0049】
なお、指向性マーク33の配置箇所やケース20sの構成は、実施例とは異なる。
【0050】
図6に示す無線ネットワーク端末16xのように、ケース20xは、基板17xに搭載されたICチップ66及びマイコン68のみを覆い、基板17xに搭載されたアンテナ61が露出するようにしてもよい。この例では、指向性マーク33は、ケース20xに設けられている。
【0051】
アンテナが外観上、露出する構成のときには、指向性マークをアンテナに表示してもよい。
【0052】
例えば図7に示す無線ネットワーク端末16yのように、基板17yに搭載されたICチップ66及びマイコン68を覆うケース20yの上に、指向性マーク33を設けたアンテナ62を重ねるように配置してもよい。
【0053】
あるいは、図8に示す無線ネットワーク端末16zのように、指向性マーク33が設けられたアンテナ63を、基板17zに搭載されたICチップ66及びマイコン68を覆うケース20zと並べるように配置してもよい。
【0054】
図7及び図8に示したようにアンテナ62,63にそのアンテナ自身の指向性マーク33を設けると、アンテナ以外の部材(例えば、ケース)に指向性マークを設ける場合のように指向性マークとアンテナとが対応するように注意しながら無線ネットワーク端末を組み立てる必要がない。そのため、無線ネットワーク端末16y,16zの組立作業が容易になる。
【0055】
機能無線デバイス40(図3参照)としての機能を全て無線ネットワーク端末に設ける代わりに、図9に示す無線ネットワーク端末16tのように、信号処理ブロック44のRF信号処理部46及び演算処理部48(図3参照)を構成する部分を取り付け器具70(すなわち、無線ネットワーク端末16tの取り付けベース部)に設け、指向性マーク33が設けられたアンテナ64(すなわち、無線ネットワーク端末16tの本体部)を取り付け器具70に装着するように構成してもよい。この場合、異なる指向性ごとにアンテナ64を用意するだけでよいので、異なる指向性ごとに用意する部分を小型化、簡略化することができる。また、取り付け器具70に無線ネットワーク端末16tの機能の一部を含めることで、実施例のように取り付け器具12に無線ネットワーク端末16を装着する場合に比べ、全体の構成を小型化、簡略化することができる。
【0056】
取り付け器具12,70に、無線ネットワーク端末16あるいは無線ネットワーク端末16tのアンテナ64(以下、両者を「着脱部」という。)を直接結合する代わりに、ケーブル等を介して結合するようにしてもよい。
【0057】
例えば図10(A)に示すように、取り付け器具71を天井2の上に配置し、ケーブル(たとえば同軸ケーブル)74を介して取り付け器具71に接続されたコネクタ72が天井2から出るようにする。そして、図10(B)に示すように、着脱部65にコネクタ72を接続した状態で、着脱部65を天井2に固定する。この場合、天井2に固定され露出する部分、すなわち着脱部65を小型化したり、構成を簡単にしたり、デザイン性の高い外観としたりすることができる。
【0058】
<まとめ> 以上に説明したアドホックネットワークの構築方法は、指向性が異なる無線ネットワーク端末を適宜に選択し、それぞれのアンテナの指向性を示す指向性マークを参照しながら、効率良く無線ネットワークを適切な向きに設置することができ、アドホックネットワークの構築が容易である。また、指向性を持つアンテナを使用することによって、無指向性に比べて特定方向への放射強度が強くなるので、設置する無線ネットワーク端末の数を削減することができる。さらに、ネットワークの拡張も容易となる。
【0059】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施可能である。
【0060】
例えば、無線ネットワーク端末は、建物内に限らず、屋外に設置してもよい。無線ネットワーク端末に取り付け器具から電源を供給する代わりに、無線ネットワーク端末内に電源を備えるようにしてもよい。この場合には、取り付け器具の電気配線工事は不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】無線ネットワーク端末の構成図である。(実施例)
【図2】無線ネットワーク端末の構成図である。(実施例)
【図3】機能無線デバイスのブロック図である。(実施例)
【図4】無線ネットワーク端末の設置を示す説明図である。(実施例)
【図5】無線ネットワーク端末の構成図である。(変形例1)
【図6】無線ネットワーク端末の構成図である。(変形例2)
【図7】無線ネットワーク端末の構成図である。(変形例3)
【図8】無線ネットワーク端末の構成図である。(変形例4)
【図9】無線ネットワーク端末の構成図である。(変形例5)
【図10】無線ネットワーク端末の構成図である。(変形例6)
【図11】無線機器の構成図である。(従来例)
【符号の説明】
【0062】
12 取り付け器具
16,16a〜16e,16s,16t,16x〜16z 無線ネットワーク端末
30〜33 指向性マーク
61〜63 アンテナ
64 アンテナ(本体部)
65 着脱部
70 取り付け器具(取付ベース部)
71 取り付け器具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ中継機能を持つ複数の無線ネットワーク端末を準備する準備工程と、
前記各無線ネットワーク端末同士が相互に通信を行うアドホックネットワークを構築するように、複数の前記無線ネットワーク端末を設置する設置工程とを備えるアドホックネットワークの構築方法において、
前記各無線ネットワーク端末には、各々の前記無線ネットワーク端末におけるアンテナの放射電界の指向方向を示す指向性マークが設けられ、
前記設置工程において、各々の前記無線ネットワーク端末を、前記指向性マークに基づいて、隣り合う前記無線ネットワーク端末の前記指向方向が互いに略対向する向きに設置することを特徴とする、アドホックネットワークの構築方法。
【請求項2】
前記設置工程は、
前記無線ネットワーク端末を複数の向きに装着可能な取り付け器具を固定する第1ステップと、
固定された前記取り付け器具に、各々の前記無線ネットワーク端末を、前記指向性マークに基づいて、隣り合う前記無線ネットワーク端末の前記指向方向が互いに略対向する向きに装着する第2ステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載のアドホックネットワークの構築方法。
【請求項3】
前記無線ネットワーク端末は、
基板と、
該基板に配置された前記アンテナ、RF信号処理部及び演算処理部と、
少なくとも前記RF信号処理部及び前記演算処理部を被覆するケースとを備え、
前記指向性マークは、前記ケースに設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のアドホックネットワークの構築方法。
【請求項4】
前記無線ネットワーク端末は、
基板と、
該基板に配置された前記アンテナ、RF信号処理部及び演算処理部と、
前記RF信号処理部及び前記演算処理部を被覆するケースとを備え、
前記指向性マークは、前記アンテナに設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のアドホックネットワークの構築方法。
【請求項5】
前記無線ネットワーク端末は、
前記アンテナを含み、前記指向性マークが設けられた本体部と、
RF信号処理部及び演算処理部を含み、前記本体部を複数の向きに装着可能な取り付けベース部とを備え、
前記設置工程は、
前記無線ネットワーク端末の前記取り付けベース部を固定する第1ステップと、
固定された前記取り付けベース部に、各々の前記無線ネットワーク端末の前記本体部を、前記指向性マークに基づいて、隣り合う前記無線ネットワーク端末の前記本体部の前記指向方向が互いに略対向する向きに装着する第2ステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載のアドホックネットワークの構築方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一つに記載のアドホックネットワークの構築方法において用いられ、前記指向性マークを備えたことを特徴とする、無線ネットワーク端末。
【請求項1】
それぞれ中継機能を持つ複数の無線ネットワーク端末を準備する準備工程と、
前記各無線ネットワーク端末同士が相互に通信を行うアドホックネットワークを構築するように、複数の前記無線ネットワーク端末を設置する設置工程とを備えるアドホックネットワークの構築方法において、
前記各無線ネットワーク端末には、各々の前記無線ネットワーク端末におけるアンテナの放射電界の指向方向を示す指向性マークが設けられ、
前記設置工程において、各々の前記無線ネットワーク端末を、前記指向性マークに基づいて、隣り合う前記無線ネットワーク端末の前記指向方向が互いに略対向する向きに設置することを特徴とする、アドホックネットワークの構築方法。
【請求項2】
前記設置工程は、
前記無線ネットワーク端末を複数の向きに装着可能な取り付け器具を固定する第1ステップと、
固定された前記取り付け器具に、各々の前記無線ネットワーク端末を、前記指向性マークに基づいて、隣り合う前記無線ネットワーク端末の前記指向方向が互いに略対向する向きに装着する第2ステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載のアドホックネットワークの構築方法。
【請求項3】
前記無線ネットワーク端末は、
基板と、
該基板に配置された前記アンテナ、RF信号処理部及び演算処理部と、
少なくとも前記RF信号処理部及び前記演算処理部を被覆するケースとを備え、
前記指向性マークは、前記ケースに設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のアドホックネットワークの構築方法。
【請求項4】
前記無線ネットワーク端末は、
基板と、
該基板に配置された前記アンテナ、RF信号処理部及び演算処理部と、
前記RF信号処理部及び前記演算処理部を被覆するケースとを備え、
前記指向性マークは、前記アンテナに設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のアドホックネットワークの構築方法。
【請求項5】
前記無線ネットワーク端末は、
前記アンテナを含み、前記指向性マークが設けられた本体部と、
RF信号処理部及び演算処理部を含み、前記本体部を複数の向きに装着可能な取り付けベース部とを備え、
前記設置工程は、
前記無線ネットワーク端末の前記取り付けベース部を固定する第1ステップと、
固定された前記取り付けベース部に、各々の前記無線ネットワーク端末の前記本体部を、前記指向性マークに基づいて、隣り合う前記無線ネットワーク端末の前記本体部の前記指向方向が互いに略対向する向きに装着する第2ステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載のアドホックネットワークの構築方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一つに記載のアドホックネットワークの構築方法において用いられ、前記指向性マークを備えたことを特徴とする、無線ネットワーク端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−189331(P2007−189331A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−3868(P2006−3868)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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